6月
今月のステイトメント
「Grow up!! Artist Project のこと」 裏面へ☞
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June
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6 友 引
Shuta Hasunuma STUDIES
蓮沼執太のスタディーズ Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2012 Please Take One
今月のステイトメント
G r o w u p ! ! A r t i s t P r o j e c t の こと 何をやっているのか、良くわからない。そんな声が耳に届くことが増えている「蓮沼執太のス
アサヒ・アートスクエアには多彩なジャンルの専門家が運営委員としており、アーティストと
タディーズ」。ここでは、そのスタディーズを包み込む、 「Grow up!! Artist Project」 [以下、
定期的に意見交換を行っている。アーティストの専門ジャンルが何であれ、様々な角度から議
GUA]という枠組みを説明したい。以下、少し硬いけれども、それによって少しでも見通しが
論ができる環境がここにはある。また、その議論を具現化した場合に、多様な表現に対応でき
良くなればと思う。
る空間もある。アサヒ・アートスクエアがこれまで培ってきたネットワークを生かして、アーティ ストの要望に応えることもある。そして、今ある環境をフルに生かすことで、試行錯誤の振り
・そもそも
幅をより広くできるのではないかと考えている。
アサヒ・アートスクエアはこれまでも独自のプロジェクトを企画実行してきたが、2008 年、アー ティストの創造活動をサポートする二つのプロジェクトを新たに始動した。一つは振付家が一
・ 1 年間
度発表した作品をブラッシュアップし作品の完成度を高める「grow up! Dance プロジェクト」 。
アーティストのサポートプログラムは、多種多様なものがある。その中で、サポート期間が一
もう一つがジャンルを問わず、新しい何かを創り出そうとするアーティストに作品発表の場だ
年間というのは長いのか、短いのか。資金的、空間的な限界もあり現在は一年間としているが、
けでなく、創作の場を提供する「レジデンスプロジェクト」 。それぞれ、公募で選ばれたアーティ
Grow up!! を求めるアーティストをサポートし、その具体的な成果を見届けるには、一年間は確
ストに会場提供と資金サポートを行い、プロジェクトに取り組んでもらった。そして 2010 年、
かに短いとも言える。
この二つのプロジェクトを統合・リニューアルして生まれたのが今回の「Grow up!! Artist
ただ一方でこの「一年間」という区切りが、有効な面もある気がしている。ある期間を区切り、様々
Project」である。
な関係者のなかで、一つのことに意識的に取り組むという機会はそうそうあるものではない。 選考会では問題意識を宣言し、報告会ではこの機会で得た「次なる表現につながる何か」を報
・特徴
告する。この「一年間」というフレームワークを有効につかって、自身の問題意識をどのよう
以前の二つのプロジェクトが作品制作と発表を主なサポート対象としていたのに対し、アーティ
に掘り下げようとするのか。このとき、繰り返すが、アーティストは、試行錯誤をする主体で
ストが自分自身の活動について、多角的な視点からじっくりと「考える」機会をサポートする
あると同時に、自身が試行錯誤を続ける「場」と「時間」を設計する、プロジェクトマネジメ
のが GUA の大きな特徴だ。
ントの役割も担う。
「grow up! Dance プロジェクト」の“ブラッシュアップ” 、 「レジデンスプロジェクト」の“創 作の場” 、 “ジャンルを問わない”といった姿勢は受け継ぎつつも、展覧会や舞台公演といった
・ 蓮沼執太の「スタディーズ」
具体的な成果発表を必須とせず、事前に取り組むべきプログラムや課題も用意しない。既に発
こうした機会に蓮沼執太が考えたプロジェクトが「スタディーズ」 。毎月アサヒ・アートスクエ
表実績のあるアーティストが、これまでの経験から抱えている問題意識を出発点に、一年間、
アに通い、作品制作に取り組みたいという。事前に決めたのは日程だけ。各回の内容は、その
自らプログラムを立案し、アサヒ・アートスクエアを拠点にさまざまに試行錯誤を行う。最終
都度決め、プロジェクトを進めながら、毎回感じたこと、考えたことを盛り込みたいという。
日を公開報告会とし、一年間という短い期間ではあるが、この間どのようなことを「考え」 、次
なので長期の見通しは立てず、まずはやってみてから、ということでプロジェクトは静かに始
なる表現へとつなげていこうとしているのか、アーティストが報告を行う。この一連のプロセ
まった。
スこそが GUA である。
それにしても、学ぶことや学習、調査、事例研究、下準備のための実験などを意味するこの「ス タディーズ」というタイトルは、いかにも蓮沼らしい。これは彼の基本姿勢だとぼくは思う。
・プロジェクトマネージャーとしてのアーティスト
CD リリース、ライブパフォーマンス、個展、ラジオ番組、イベントプロデュース、映画や CM
GUA とは端的に言えば、アーティストの試行錯誤の機会であり、そしてその場と時間をアーティ
への楽曲提供など、こんなに多岐にわたる活動が可能なのも、彼にこの常に学ぶことに開かれ
スト自ら立案し、プロジェクトをマネジメントする点に大きな特徴がある。こちらから何らか
た姿勢があるからに他ならない。
のプログラムを提示することはなく、アーティストが自分の問題意識を深めるために、自ら場
知識を体系的に習得してから取りかかろうなんてしていたら間に合わない。何だか分からない
/時間を設計し、そのプログラムを実行する。現場で動きつつ、かつ先を見通しながら舵取り
けれど走り出し、やりながらその知識やスキルを求めていく。積極的に周囲に働きかけ、ネッ
する、そんな複眼的な姿勢も要求される。
トワークを組み、人を巻き込み、現場を学習[スタディ]の場に変えて行くのが、彼のやり方だ。
もちろん、こうしたプロジェクトの性格上、公募で選ばれたサポート・アーティストによって、
その意味で、彼のスタディーズとは研究室に一人閉じこもって続ける類いのものではない。ま
その年のプロセスは大きく変化する。実際、2010 年のサポート・アーティストの寺内大輔[作曲家・
してや教える側と教えられる側が線引きされ、一方的な知識の伝達が行われるものでもない。
即興演奏家]と 2011 年の岩渕貞太[ダンサー・振付家]を比べてみても、この一年間の使い方
必要なのは、対話であり、興奮であり、議論であり、相互の交流だ。そして、このダイナミッ
は全く違った。そして一年間の成果をどのように見たらいいのか、これも非常に大きな課題だ。
クなプロセスから新たな動きを生み出していくのが、彼の本質であり、アウトプットはこのプ
GUA 後のアーティストの活動をフォローしながら、GUA の一年間が何だったのか、その意味
ロセスの一過程に過ぎない。
を考えて行く必要があるだろう。
試行錯誤の場である Grow up!! Artist Project の仕組みと、この蓮沼の開放的で、触媒的な在り 方は、底の方で通じ合う。スタートして 3 回、徐々に輪郭が見えつつある「スタディーズ」に、
・サポート
既に多くの人間が関わり始めている。これから、どのようなプロセスが生まれ、新しい作品が
そしてそれは、アサヒ・アートスクエアが求められるサポート内容、体制も毎年違うというこ
つくられるのか。期待していただきつつ、会場は常に公開されているので、ぜひ思い切ってこ
とを意味する。金銭的、人材的、設備的な限界はもちろんあるが、この環境を生かして、公募
のプロセスに飛び込んでもらいたいと思う。
内容から、アーティストのサポートまで、どれだけ実りあるプロセスをつくれるか、受け入れ る我々も試行錯誤をしている。
坂田太郎[アサヒ・アートスクエア ディレクター]
次回のスタディ
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STUDIES(for Interview)
12/21
水
6月6日
*内容・時間などの詳細は決まり次第ホームページに掲載します。
都営 吾妻 地下 橋駅 鉄浅 草線
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Shuta Hasunuma STUDIES
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蓮沼執太のスタディーズ Asahi Art Square Grow up!! Artist Project 2012
10/14
9/27
アサヒ ビール
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6/6
隅田川 8/22
←アサヒアートスクエア 吾妻橋
主催:アサヒ・アートスクエア 協賛:アサヒビール株式会社 お問合せ:アサヒ・アートスクエア事務局 Tel. 090-9118-5171 / E-mail aas@arts-npo.org http://asahiartsquare.org
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本所
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Asahi Art Squar Grow up!! Artist Project 2012 とは すでに発表実績のあるアーティストが自らの表現ともう一度向き合い、多角的な視点からじっくりと 「考える」機会を提供するプロジェクト。公募で選ばれたサポート・アーティストに、アサヒ・アートス クエアの会場の無償提供、資金サポートなどを行っている。2012 年は蓮沼執太が、アサヒ・アートス クエアを拠点に新プロジェクト「蓮沼執太のスタディーズ」に取り組んでいる。
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