U9303 早稲 田大学理工学部建築学科事業論 文 ` 指導教授 渡辺仁史
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□
第 1章
序論
(1)東 京の街路 「街 路」、それは都市の 中 において非常 に重 要 な部分 を占めるものである。なぜ なら古 く か ら人 々は街路 によって移 動 、あ るいは物 の輸送 を可能 に し、 また街路 において、様 々 な生 活 を営 んできたか らである。 これは我 々が住 んでい る日本 、特 に東京 については特 にその よ うで あ る。西洋 の都市 には街路 の他 に広場 とい うものがあって、広場が人 々の大事 な生活 の 場 とな ってい る。 しか し日本 、特 に東京 はその よ うな広場 とい うものが少 ないので、街路 が、 人 々の移動、輸送 の空間で あ り、大事な生活空間 となってい るのである。 そ して今 日、その 東京 の「街路」 とい うものは様 々 な要素 で構成 されてお り、それゆえその中での人 の行動 も 様 々で ある。そ の ような今 日の東京 の街路 を考 える ことは非常 に重 要 になってい るのである。
(2)我 々は今 日、どの よ うに街路 を捉 えるべ きか これ まで、街路 とい うもの は数多 く研究 されて きた。 しか しそれ らの研究 は街路 の形態論 のみ 、 もしくは街路内の行動特性 の内、"溜 まる"と い う行動 にだけ注 目 したものがほ とん どで あ った。 では今 日の街路 を考 える際 にどの よ うな態度 で望 まなければな らないであ ろ う か。 まず、街路 内のの行動特性 を"溜 まる"と い う状態 の一元的 な視点か らだけ ではな く、" 流 れる"と い う状態 も含 み、 多元的 な視点か ら捉 える ことが必要 である。 さらに これまでの 街路形態論を とっても、そ れ は平面形態 とその フアサ ー ドに関するものがほ とんどであ った。 しか し今 日、街路 には様 々 な要素が入 り込み、 もはや平面形態 とファサ ー ドだけでは説明が つ かな くなって しまってい る。そ こで新 たに「装置」 とい う概念 を取 り入 れなければな らな い。 そ うす ると街路 を構成 してい るものは「形態」 と言 うよ りも「要素」 であると言え るで あろ う。 つ ま り平面形態 もフ ァサー ドとい った 「形態」 も「要素」 の 1つ として捉 えるべ き なのである。 そ して この よ うな新 しい視点 の も とに得 られた「街路構成要素」 と「行動特性」 とを融合 させ て、我 々は今 日の街路 を考 えるべ きせある。
渡辺
仁史 研究室
卒業論文
(3)こ れ までの研 究 か ら (A)「 静的空間 と動的空間」 「静的空間 と動的空間」 、 これはジム・マ クラスキーがその著書「街並 をつ くる道路」 で 述べ てい る概 念 である。 「静的空間 とはその形態 か ら、静上 と完全性 とい う感 じを与 える空 間であ り、一 方、動的空間 とは動 きと変化 を暗示す る空間であ る。」 と、そのなかで述べ ら れてるが 、それ を人の行動 と比べ て考 えると、"静 的空間"と は"溜 まる"状 態 を示 し、" 動的空間"と は"流 れる"状 態 を示 していると言え る。 そ して"溜 まる1と い う状態 は"生 活空間 としての街路 "を つ くり、流 れる とい うのは"移 動空間 としての街路 "を つ くるので ある。 さらにマ クラスキー は「優 れた街並 をつ くる とい うことは、場所 の感覚 をつ くりだす とい うことと密接 にか らんでい る。 だか ら、道路 に沿 って展 開される空間の動的性格 を抑え、静 的空間を増す ことを目指 さなければならない。」述べ てい る。 しか し今 日の状況 を考 えると、 このことは一概 には言えな くなって きている。 それは現代社 会 にお いて、生活 の リズ ムは迅 速化 される一 方 であ り、街路 に移動空間 と しての 、つ ま り"動 的空間"と しての機能を抑 え ることは不可能 に近いからである。 そ こで我 々は行路 における"静 的空間"と
"動 的空間"
の融合、 つ ま り街路内 に"溜 まる"状 態 と"流 れる"状 態 の両方を作 り出す ことが必要 であ ると言え る。
(B)「 都市 の道具」 「都市 の道具」、それは GK研 究所 が述 べ た概 念 であ り、 これは「建築、土木 レベル以外 の ものであ って 、都市 の路 上 に見出 される様 々の人工物」 と定義 されてお り、 この「都市 の 道具」 なるもの は、今 日の街路 を考 える上 では切 り外 せない存在 である。本論 では特 にそれ を"街 路 のなかでなんらかの働 きをする もの"と 考 え「街路構成装置」 とい う概念 を用 い て い る。 さらに「都市 の道具」 とい う文献 の中では、それが人 の行動特性 に様 々 な影響 を及 ぼす と 書 かれてい るが、本論 では その ような街路 内の「装置」 を「平面形態」「表層 」 と合 わせて、
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卒業論文
人 の行動特性 に どの よ うな影響 を及 ぼすかを考察す る。
(4)街 路 にお ける行動特 性 とそれ らが作 り出す街路 の性 格 今 日の都市 にお いて人々の行動 が最 も多様 なのが街路 で ある。街路 はただ単 に一 つの地 点 か ら他 の地点 までの人の移動 、あ るい は物 を輸送するとい う目的だけを持 つ空間 ではない。 そ こでは人 は「商 う」、「休 む」、 「食 べ る」、 「待 つ」、「見 る」、「会話す る」 な どの さまざまな生活 と しての行動 をす る場 で もある。 この よ うな「商 う」 、「休む」 、「食 べ る」 「待 つ」、「見 る」 といった行動 を人々が とると街路 では"溜 まる"と い う状態 が生 まれる。 逆 に人 が街路 を移 動 のための 空間 として い ると、そ こに"流 れる"と い う状態 が生 じる。 '日
これ をまとめてみ る と次 の よ うになる。 表
:1-1
行動 パ ター ン分類表
"流
"流 れ る"
れる"
移動 のための街路 で は
「移動す る」
生活 としての街路 では
「商う」、「休む」、「食べる」、
"溜 まる"
「待つ」、「見る」 このように街路での人の行動特性は大 きく"流 れる"、
溜まる"と いう2つ の極を持 っ
て い る。
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卒業論文
□
第 2章
研究 目的
序論 で述べ た よ うに、街路 内 には代表的な行動 として、"溜 まる"と い う行動 と"流 れ る" とい う行動 が存 在す る。そ してそれ らが組 み合 わ さった"溜 ま りなが ら流 れる"と い う行動 も街路 での特徴 的な行動 で あ り、街路内の様相 を複雑 に している。 しか しなが らそれ らの行 動、特 に"溜 まる"と い う状態 が ど うして生 じるか は解 か つていない。そ こでそれ らが生 じ る原因 となる街路構成要素 を割 り出す ことは今 日の街路 の一見 、渾沌 としてい る様相 を解 明 し、 これか らの街路 とい うものを模索 してい くための 1つ の指針 となるであろ う。 つ ま り、 本論文 は どの よ うな街路構成 要素が"溜 まる"と い う状態 を作 り出 し、 また"流 れる"と い う状態 を作 り出す のかを制 りだ し、街路構成 要素 とその中での人の滞流行動 の関係性 を明 ら かにす ることを 目的 とする。
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□
第 3章
言葉 の 定 義
(1)滞 流 とは ? 「たい りゆう」 とは本来 「滞留」 と書 くので あるが、「滞留」 とい うのは"溜 まる"と い う意味 しか示 さず、街路内の人 の行動特性 を示す には不十分 である。
(1)で も述べ たよ う
に街路 内の行動 を説明するため には、街路内 の重要な行動特性 である"溜 まる"と
"流 れる"
とい う 2つ の状態 を指 し示す言葉 を用 い な くてはならない。 そ こで本論 では"流 れる"、
"
溜 まる"と い う 2つ の状態 を示す造語 として『 滞流』 とい う言葉 を用 い る。 この言葉を用 い ることによ り、街路内の行動特性 は「淵:留 」 とい う言葉 を用 い るよ り、正確 に表現 で きるの で ある。
(2)街 路 のパ ターン化 街路 を構成 (決 定 )す る要因 と して
1∼ 「平面形態」
2∼ 「表層」 3∼ 「装 i置 とい う3つ の要素 が揚 げ られる。そ してこれ ら 3つ の要素 が重な りあ つて 1つ の街路 を構 成す る。その よ うに してで きたさまざまな街路 では人 の滞流 もさまざまで ある。 では街路 の おける「平面形態」、「表層 J、 「装置」 とは どの よ うなものであるのだろ うか。 それを順 次述べ てい く。
(A)街 路 の「平面形態」 について 街路 の「平面形態」 を考 えるにはまずその街路 が含 まれてい る街並 み と言 うもの を考 える 必要があると思 われる。今 日の街並 み とい うもの を大 きく2つ のパ ター ンに分 け ると次 の よ っになる。
(paternl)近
代都市計画i的 に作 られ た街並 み。 ここでは まず街路 を幾何 学的 にひ
くことか ら計 画 が始 まる。 "初 め に路 あ りき"な ので あ る。 そ して街 並み の構成 も幾何 学 的
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(patern2)偶
発的 にあ るいは埋め合 わせ的 に形成 された街並み。 これは江戸 時代
の地割 りであ り、今 日の近代都市 計画 に取 り残 されたところで もある。 この ような場所 では いわゆる残余 の空間が街路 を,形 成 してい る。 ここではそのよ うな形成背景 か ら街路 は幾何学 的形態 をとらず、複雑 で有機的 な形態 を とる。 また広場 と一体化 したような連続 した空間構 成 をとってい ることも多 い。 そ してこの ように分 けた 2つ の街並みのパ ター ンか ら、 4つ の「街路平面形態」 のタイプ を作 り出す と、次 の よ うになる。 表
:3-1
「平面形態」分類 表
(p a t e r n I
)
浅草仲 見 世 型
直線 的 な街路 (街 路 に凹 凸 がない)
原宿 表参 道 型
基本 的 には直線 だが そ の 中 に凹 凸 を含 む街路
L野 駅 周 辺 型
(p a t e r
n 2)
原宿 住 宅 地 型
直線 の なか にある要素 が組 み込 まれ た街路
御徒 町 ア メ横 型
可学的形態 をとらな い 、 いわ ゆ る街並 みの中¢ 幾イ 残余 空 間 と しての街路 。 この
typeの
街路 は広
場的要素 を含 んでい る こ とも多 い。
街路 の「平面形態」 は本当 は直線 だけでは表す ことはで きず、曲線的な要素 もあ るのだが、 本論 では特 に街路内 の人 の行動特 性 と合 わせて考 えるため、あるいは扱 ってい る街路 がそれ ほ ど大 きなスケールで ないため街路 を直線 的 に扱 ってい る。
(B)街 路 の表層に ついて 街路空間を決定づ け ているのは 、言 うまで もな く街路両Jllの フアサ ー ドである。 しか しな が らその ファサー ドは複雑 であ り、 ただ壁 があるとい うわけではない。街路 中の ファサ ー ド にはさま ざまな機能 を持 った ものが多 いのである。例 えば街路 に面 す る店舗 などは街路空間 を決定づ けるとい う機能の他 に街 路 に商空間を形成す るとい う機能 を持 ってい る。 この よ う に街路 の ファサー ドを、それが持 っている機能 の数別 に分類す ることができるであろ う。 こ こで単 一の機能のみ持 つ ファサ ー ドを「一元的表層」 とする。 また複数の機能を持 つ ファサ
渡辺
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卒業論文
― ドを 「多元的表層」 とする。 表
:
3-2
「表層」分類表
「一元的表層 」
単一の機 能 のみ を持 つ フ ァサ ー ド
建 築物 の 壁 、塀 な ど
「多元的表層 」
複数 の機 能 を持 つ フ ァサ ー ド
店舗 、 シ ヨー ウイ ン ドー な ど
(C)街 路構成装置について 街路 におい てはさま ざまな「装置」 と呼 べ る ものが ある。 これ らは建築、土木 レベ ルほ ど 大 きい ものではな く街路 におい てアイ レベ ルに展 開す るものである。 また このよ うな「装置」 は街路 を形作 るとい うよ りも街路 におけ る人の行動 を手助けす る手段 を持 つ もので ある。例 えば街路 におけ るベ ンチなどは人の休む場所、あるいは語 らう場所 とな り、看板 な どは人に 情報 を与 えるとい う機能を持 つ。 さらに この「街路構成装置」 とい うものはそれが動 かせる ものか、あるい は動 かせない ものかによって「仮 設的装置」 と「固定的装置」 に分 け ること
ができる。例えば街路内に置かれた露店な どはいつで も撤去できる仮設的な「装置」 だが、 あらか じめ街路 に設置されたベ ンチなどは取 り外す ことので きない固定的な「装置」 である。 表
:3-3
「装置」
「装置」分類表 「仮設的装置」
露店 、看板 、屑 か ご、 自動販 売機 な ど
「固定 的装置J
シ ョー ウイ ン ドー 、あ らか じめ街路 に組 み込 まれ たベ ンチ 遊戯施 設 な ど
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第 4章
□
調査方法 お よび 解 析 方 法
(1)調 査方法の決定 ∼「街路構成 要素」 と人の滞流行動 を把握す るためにどの ような手法 があるだろ うか∼
(A)"溜 まる"原 因とな る要素 は ? 街路 には大 きく"流 れる"、
"溜 まる"と い う 2つ の行動 があ り、 これ らが複雑 な状態 で
組 み合 わ さってい るため街路 での行動 は掴み に くくな っている。 しか しこれ らの行動 は必ず その街路 の構成 要素 と深 く関係 しているはず である。そ こでまず これ らの行動の うち、"溜 まる"と い う状態 を作 り出 してい る街路構成要素 を割 り出す ことか ら調査 をは じめる。 では そのような"溜 まる"ツ t態 を作 り出す街路構成要素 を割 り出す調査方法 だが 、 2つ の 調査方法 で調べ てみ る。 1つ はまず調査地 の街路 全体 を ビデオで撮影 し、そ こに写 っている 人 々の動 きを追 って解析す る方法 で ある。 これ を本論 では「街路全体解析調査」 と名付け る。 その際人 の動 きをある程度 パ ター ン化す ることが必要 となって くるので 4つ の行動 パ ター ン で分類す る。それは直流、複雑流 、停滞流、そ して完全停滞 である。 そ してそれ らの行動 パ ター ンの定義 と評価 を次の よ うにす る。 表
:4-1
行 動 パ ター ンの定義
直流
あ る程 度 近似 的 に直線 的 に"流 れ る"行 動 パ ター ン
複雑 流
非 直線 的 に"流 れる"行 動 パ ター ン
停滞流
直線 的 、非 直線 的 に 関 わ らず "溜 ま りなが ら流 れ る"行 動 パ ター ン
完全 停 滞 表
:4-2
完全 に"溜 まってい る"行 動 パ ター ン 行 動 パ ター ンの 評価
直流
街路 を移動 のための 空 間 と して利用 され 、 ほ とん ど障 害 もな く"流 れる"
複雑流
「直流」 と同 じよ うに街路 を移動空間 として利用 されるが、なん らかの原 因 で まっす ぐ歩けない で い る
停滞 流
街路 が 移動空 ll]と して、 さ らに生活空 間 と して利用 され る
完全 停 滞
│]さ れ る 街路 が」1活 空 間 と して利 り
さらに"溜 まる"状 態 をつ くる街路構 成 素 を解 明す る もう 1つ の調査 方法 と して、街路 内
渡辺 仁 史
研究室
卒業論文
に断面線 を設けそれ らを通過す る人 を行動別 に記録す る方法 である。 これ を本論 では「街 路 内断面構成調査 Jと す る。街路 内 に複数 の断面線 を設ければ、当然その断面線 に含 まれ る街 路構成要素 も様 々 な もの とな り、 これ らを比較す ることによって、街路構成 要素 が作 り出す 人 の行動 の違 い を掴 もうとす るものである。 また ここで も各断面線 を通過す る人の行動 をパ ター ン化す ることが必要 になって くる。基本的 には「街路全体解析調査」 と同 じで あるが、 ここでは前述 の"停 滞流 "と
"完 全停滞"を 合 わせて新 たな"停 滞流 "と する。
この ように「街路全体解析調査」 と「街路内断面構成調査」 よ り、 どの ような"要 素 "が 街路内 に"溜 まる"と い う状態 を作 り出す か解明す る。 そ して次 にその要素 によって"溜 ま り"が で きた こ とによって街路内 のイ 予動 はどうなるか調べ る必要がある。
(B)"溜 まる"状 態ができることにより街路内の滞流行動 はどうなるか ? 「街路全体解析調査」 と「街路 内断面構成調査」 か ら得 られた結果 をもとに、「歩行 速度 測定調査」 とい うもの を行 う。 これは街路 内の構成要素別 にそこを通過する人の歩行速度 を 測定す るとい うもので ある:こ の調査 によ り各街路内 にで きた"溜 ま り"に よ り"流 れ"の 状態 は どう変化す るか とい う"溜 ま り"と
"流 れ"の 関係性 を解明す る。
(C)"溜 まる"度 合 い とそれ らを作 りだす街路構成要素 「歩行速度洪1定 調査」 によ り、要素 ごとの"溜 まる"度 合 いが"流 れ"に 大 きく影響 す る で あ ろ うと考 え られる。そ こで各 要素 ごとの"溜 まる"度 合 い を調べ 、それ らが街路 におい てどの ような影響 を与え ているかを考察 する。
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(2)各 調査 の具体 的手法 (A)調 査地 の設定 調査 を行 う際 に、 まず街路 の平面形態 ご とに調査地 を設定す る。 そ してそれぞれの タイ プ の街路 の様 々 な構成 要素 が、人の淵:流 行動 に及 ぼす影響 を各街路 ご とに考 察 す る。
(B)街 路全体解析調査 各 タイ プの街路 につい て そ れぞれ
15分 間 ビデオカメ ラで録 画 し、その後解析 す る。 そ れ
ぞれの調査 場所 、 日時 は次 の 通 りである。 また調企 Hは それ ぞれ晴 れの 日であ った。 表
:4-3
調査 記録 表
タイ プの種 類
訂]壁1日
浅草仲見 世型
9月 1日
原宿 表参 道型
8月
上野駅 周 辺 型
9月 1日 (水 )
原宿 住 宅地 型
8月
・ 御徒 陶 アメ横 型
9月 1日 (水 )
調査 時 間 (分 )
調査 時刻 (水 )
24日 24日
(火 )
(火 )
PM3:15-3:30
15
PM2:45-3:00
15
PMl:36∼
1:51
15
Pヽ42:15-2:30
15
PM2:00-2:15
15
(C)街 路内断面構 成調査 各 タイ プの街路 につい て 、 い くつ かの 断面線 を設定 し、そ こ を 15分 間 に通過す る人 の行 動 を、直流 、複雑流 、停滞流 の 3つ に分類 す るのだが、 それ は「街路全体 解析調査」 で録 画 し、解析 したデ ー タを もとに作成 す る。 ここで先 に設定 した"直 流 "、 流 "、
"複 雑流 "、 "停 滞
"完 全停滞:"の うち、 「街路 内断面構成 調査 │で は"完 全停滞 "は "停 滞流 "に 含 ま
れ る とす る。
(D)歩 行速度測定調査 「街路全体解析調査 J、 「街路 内断而構成調査 Jよ り、最 も人 の "溜 まる"状 態 を作 り出 す 要素 を割 り出すが、 そ の 要素 を通過す る人の 歩行速度 を、 さらにその 要素 以外 (前 後 )の 歩行 速度 を洪1定 する こ とに よって、前述の 2つ の 調査結 果 の 実証 を試 み る。 調査 は 10月
渡辺
仁史 研究室
1
卒業論文
8日
(月 )、
10月 31日
に行 わ れ たが 、両 日 と も天気 は晴 れ で あ っ た。
(E)停 滞半径測定調査 実 際 に以 _Lの 結 果 で問題 に して い た" 溜 まる"と い うのは どれ くらいの規模 なのか を 「街路 全体解析 調査 」 での解析 図 に戻 り、検証す る。 この"溜 まる"規 模 を"停 滞半径 " 定義す る。
(3)調 査方 法 の フローチ ャー ト
本論 文 の調査 の流 れ を下図 に示 す。 調査方法 の仕組 み
状態 を作 る街路構成 要素 の解 明
街路全体解析 調査
明 解 の 響 影 す ぼ 及 こ ︲ 路 街 が
"溜 ま り"
街路内断面構 成調査
構 成 要素別歩行 速度測定調査
人 を"溜 ま らせ る" 要素 と他 の要素 との関係性 の把握 停滞半径 の測定
図
:4-1 渡辺
調査方法 ダイアグラム 仁 史 研究室
卒業論文
第 5章
□
街路構成要 素 と人の"滞 流 "の 関係
■人 の "滞 流 "を 生 み だす街 路構成 要素 の 解 明
│、
「街路全体解析調査」の結果 と分析
(1)浅 草仲見世型街路での調査 より (A)街 路構成要 素
一隕
図
壁 :一 元的表層
:5-1 `浅 草表参道型街路図
店衛I:多 元的表層 図
:5-2
街路‖l成 要素
写真
12
:1
浅草仲見世街路全体写真
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(B)「 街路全体解析調査」の結果 (a)街 路内の全ての行動 2222
2252
図
:5-3
浅 草表参 道型街路全体解析 図 -1
渡辺
仁史
研究室
卒業論文
(b)街 路 内 の "直 流 "
図
:5-4
浅草表参道型街路全体解 析 図 -2
渡辺 仁史 研究室 14
卒業論 文
(c)街 路内 の "複 雑流"
図
:5-5
浅草表参 道型街路全体 解析 図 -3
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(d)街 路 内 の "停 滞 流 " 2
図
16
:5-6
浅草表参 道型街路全体解析 図 -4
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卒業論文
(C)「 街路全体解析調査」での分析
(a)
この場合、街路 の「平面形態」 は直線型 であ り、それに対 して 2つ の 人 の流 れが
あるが、その平均 をとると、人は左側通行す る傾 向があるとい うことが言え る。 さらにその 2つ の逆行す る流れの接点 となる街路 中心部 では人の流 れの衝突 が生 じ、「 よ け る」 な どとい った複雑 な動 きが起 きる。
図
(b)浅
:5-7
浅草表参道型街 路概念図 -1
1:見 世の調企地 は、片tlllが 壁 で 、 もう片側 が店舗 となってい る。 つ まり片側 草イ
が 、「一元的表層 」 で もう片佃│が 「多元的表層 」 =と 捉 える ことがで きる。 そ して この表層 の違 いが人の行動特性 に大 きな差 をもたら して い る。「 一元的表層」 では一元的 な動 き、一 方向流 を生み、「多元的表層」 では多元 的な動 き、交錯流、停滞流 、一方向流 な どのさまざ まな、動 きを生み出 してい る。 つ ま りま とめる と次 のよ うになる。
all)∼ 店舗
│一 元 的表層 」 ∼一元 的 な動 き∼一 方
(ShopZone)∼
「多元的表層」 ∼多元的 な動 き∼一方向流 +交 錯流+停 滞流
図
17
:5-8
浅草表参道型街路概念図 -2
渡辺 仁 史 研究室
事業論文
(c)街
路全体 を見た場合、街路内 には" 滞"と
一 人 一 人 の動 きの 中 にも"滞 "と
"流 "が 同時的 に起 こっているが、
"流 "が 含 まれている。つ まり「個」が「全体」 を作 り上
げ ているのが街路 であるとい え、 また 「全体」 は「個」 の行動 に影響を与 えてい るのである。 この よ うにして考 え てい くと
"街 路⇔ 人"と
い う利111関 係 が重 要 であるといえる。
図
:5-9
浅草表参 道型街路概念 図 -3
(d)人 が溜 まる場所 とは ? 調査 よ り人 が溜 ま りやす い 場所 と して (人 を溜 まらせやす い街路構成 要素 と して)、 多元 的表層 が揚 げ られ る。調査 地 区 の 多元 的表層 部分 では人 は一元的表層 部分 よ り多 く溜 まって い る。 また この街路 内 の一元的表層 部分 では、 一部多元的表層 となって い る ところが ある。 ソリ ッ ドな壁 に一 部 掲示板 とい う「装 置」 が埋 め込 まれてい る部分 であ る。 この ような一 元 的表 層 内 に組 み込 まれ た多元 的表層 部分 は、人 の注 目を引 くことが 可能 で あ り、人 を溜 ま らせ る 要素 となって い る。 さ らに多元 的表層 部分 で は 人 は一様 に溜 まる ので あるが、 なかで も人 に とって魅 力 的 で あ る部分 に人 は集 中 し、街路 空 間内 の 人 の分 布 の 「疎 Jと 「密 」 をつ く りだ して い る。 そ して 街路 特 有 の人 の行 動特性 であ る 「流 れ なが ら溜 まる │と い う行動 も多元 的表屠 部分 で起 きて い る。
図
:5-10
浅草表参道型街路 概念図 -4
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(2)原 宿表 参道型街路 での調査 より
(A)街 路構 成要素
輻陶
図
店葡‖:多 元 的表層
:5二
11
原宿表参道型街路 図
露店 :装 置
図
:5-12
街路構成 要素
写真
19
:2
原宿表参道街路全体写真
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(B)「 街路全体解析調査」の結果 (a)街 路内の全ての行動
︲ 洲 ︲¨一¨・・H I = = = H = H = = = H = H = H H H = = = 比 W 2 〓 ,・ I
22 2 図
20
:5-13
2 2
2 23
9
原宿 表 参 道 型 街 路 全体 解 析 図 -1
渡辺 仁史 研 究室
卒業論文
(b)街 路 内 の"直 流"
図
:5-14
原宿 表参道型 街路全体解析 図 -2
渡辺 21
仁史 研究室
卒業論文
(c)街 路 内 の"複 雑流"
図
:5-15
原宿表参道型街路全体解析 図 -3
渡辺 仁 史 研究室
卒 業論文
□ 塚祗隕鰈颯躙鱚隕
(d)街 路内 の"停 滞流 "
図
:5二
23
16
原宿表参道型街路全体解析 図 -4
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)「 街路全体解析調査」の分析
(a)
ここでは仮 設的 な露店 と固定 されたベ ンチに よって街路 は凹 凸 の ある平面形態 を
とってい る。そ して これらの露店 やベ ンチ とい った装 置が街路内 に"滞 :"の 状態 を生み出 し てい る。 よってこれ らの要素があるところで人 々は溜 まるとい う行動状態 をとってお り、そ の他 の部分 ではほ とん と… 溜 まる"と い う状態 は見 られず、"流 れる"と い う状態 になって い る。 また街路 の露店 の ある側 はソリッ ドな壁 とシ ヨー ウイ ン ドー とがある、 いわば「 一元的表 層」 と「多元的表層 Jが 混 ぎっている表層 となってい るが、調査時 ではシ ョーウイ ン ドーで 立 ち止 まった り、歩行速度 を落 とす人は少 なか った。 つ ま りこの場合 にはシ ヨー ウイ ン ドー は商業的機能 ははたらかず、建築 の 「内 │と 「外 1と を分 け る壁 としての機能 しか働 いてい ない「一元的表層」 とみなす ことがで きる。
図
:5-17
原宿表参道型街路概念 図 -1
(b)こ の街路 の露店 とベ ンチ とい う2つ の街路構成装置 はそれが仮設的 か固定的 かの差 があ り、それぞれ異 なった停滞状態 を持 ってい る。「仮 設的装置」 の露店 では一時的 な、短 い停滞状態 を持 ち、 「固定的装置Jの ベ ンチでは長期的 な停滞 を持 っている。 また この 2つ
の「装置」のそばを通 り過ぎる人の行動 にも差 が現われている。「仮設的装置」 の露店付近 でそこを通 り過 ぎる人は、そこで溜まっている人々を避けて通 り過 ぎるが、「固定的装置」 のベ ンチ付近でそこを通 り過 ぎる人は、ただまっすぐ通 り過 ぎるだけである。 表
:5-l
「装置」 の持つ停滞性
「仮設的装i■ J
露り lT
一!時 的停洲:を 持 つ
この 付 近 を通 り過 ぎ る人 は "避 け て 通 る"
「固定的装置
ベ ンチ
長期 的停滞 を持 つ
この 付 近 を通 り過 ぎる人 は "た だ通 り過 ぎ
_│
る"
24
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
図
X
I趨
原宿 表参道型街路概 念図 -2
:5-18
X
I碁 韓基綺籠鮨議鑢議藩黎澤繁゛業国翌翻い弱霧盛鱗麗期 X
認報機盤簿饉縦響謬嵌贈墨繋閣騨姿継餞繁餞鱗織辞露 :
図
:5-19
臓雪鐵靭錮綴認翠撻醤肇闘購騨難 l
原宿 表参道型街路概念 図 -3
(c)調 査地区 である原宿 表参道の遊歩道 は片佃│が 店舗、 もう片側 がベ ンチであ り、街路 の両側が 「多元 的表層 Jで 構成 されてい るとい える。そ してこの場合街路 と平行 に進 む人の 流 れの他 に、街路 に対 して垂直 に進 む人の流れが41じ る。 しか もその垂直方向の人 の流 れは 両恨1の 「表層」 の多元性 が強 い ところで生 じてい る。 この よ うに街路内 に垂 直方向の人 の流 れがで きている とい うことは 、 この街路 がただ単 に人や物 の通過 のためでな く、そ こに生活 空間が存在 してい ることを示 してい るとい える。
l
:
図 :5-20
25
原宿表参道型街路概念図 -4
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
3 A
上野駅周辺 型街路 での調査 より
街路構成要 素
一 2
ガー ドレール :一 元的表層
図
:5-21
上野駅周辺型街路 図
店舗 :多 元的表層
看板 :装 ぜl 街路構成 要素
写真
26
:3
上野駅周 辺街路全体写真
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
│
(B)調 査 の 結 果 (a)街 路 内 の全 ての行 動 4 4
4
326
図
27
:5-23
上野駅周辺型街路全体解析図-1
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
直流"
326
1図
28
:5-24
上野駅 周辺型街路全体解析 図-2
渡辺
仁 史 研究室
卒業論文
(c)街 路 内 の "複 雑 流 " 4
5
図
29
:5-25
1
上野駅周辺型街路全体解析 図 -3
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(d)街 路内 の "停 滞流 "
図
30
:5-26
上野駅周辺型街路全体解析 図-4
渡 辺 仁史
研究室
卒業論文
(C)調 査 の 分析
(a)
この 街路 では大 きな世1部 分 があ り、そ こに街路構成 装置 である看板 が 組 み込 まれ
てい る。 この看板 は「仮 設的装置」 である。 そ して この 凹部分 、特 に その 中 で も看板 の あ る 部分 にお いて人 は溜 まった り、速度 を落 と して流 れた りす る。 また凹部分 の壁 に も看板 が つ い てお り、 この看板 は固定 されてい るの で「固定 rl装 置」 とみ なす ことが で きる。 そ こで こ の凹 部分 内 の仮 設的看板 と│』 定的看板 が人 にどの よ うな影響 を与 えて い るかを考 え てみ る と 仮 設的看板 の付 近 には人が た くさんi″ まってい るが、固 定的看板 の付 近 には人 はほ とん ど溜 まって い ない。 この ことは まず それ らがおかれて い る高 さに問題 があ るとい える。 固定的看 板 はか な り高 い位 世 に設置 されてい るので歩 きなが らで もそ の 情報 を読む ことが で きる。 そ れ に対 して仮 設的看板 はだ い たい アイ レベ ル に設 置 されてい るので歩 きなが らとい うよ りも、 近 くに来 てそ の 情 報 を得 る とい う行動 を とると考 え られる。 さ らに同 じ看板 で も仮 設的 な も のの 方 が ヒューマ ンス ケ ール なので人が近 づ きやす い とい こ と も挙 げ られ るであ ろ う。
“
図
:5-27
上野駅 周 辺型街路概念 図 -1
渡辺
仁史 研究室
卒業論 文
(b)
調査地 の響f路 は片側 が ガー ドレール となっているが、 このガー ドレール は歩行者
道路 と車迫 とを分 け るだけの機能 しか持 ってい な いので「一元的表層」 と考 える こ とがで き る。調査結果 で もこの ガー ドレール部分 ではほ とん ど直線的 に"流 れる"状 態 しか見 られな い。他 の タイプでの調企湖
tも
合 わせて考 える と │一 元的表層」 においては"ま っす ぐ流 れ
る"と い う状態 だけを引 き起 こ しているとみれ る。
図
:5-28
上野駅周辺型街路概念図 -2
(c)凹 部分 の有月11lL 凹部分 には仮 設的装 iが あ り、そ こに人 々が溜 まる ことは iド
(1)で 述べ たが、原宿 表参道
型 のよ うに凸部分 があ りそ こに人が溜 まる場合 とはその街路内の人の対流行動 に大 きな差が ある。原宿表参道型 では、凸部分 に人が溜 まると、その付近 を通る人 々はそ こを"避 け て通 る"と い う行動 をとるが、 この上lllrp駅 周辺型 の よ うに人が溜 まる場所 が凹部分 にな ってい る
とその付近 を通る人々は"避 けて通 る"と い う行動 はあまりとらず、人々は"直 進 してなが れる"と い う行動特性 をとる4LFi向 がある。つ まり街路 の中に"溜 まる"と い う行動 と"流 れ る"と い う行動を同時的 に起 こさせる場合には上野駅周辺型のように凹部分 を設けその中に 「街路構成装置」を置 くとい うほ うが有用であるといえる。 これらをまとめると次 のように なる。 表 :5-2
_ 凹凸部分 での「装置」 の働 き
凸部分 に「街路構成装ri_│が ぁる
そ こで は"溜 まる"、
"避 け る"、 "流 れ る"と い
う 3つ の行 動 パ ター ンがある。
凹部分 に「街路構成装置iJが ある
そ こでは"溜 まる"、
"流 れる"と い う 2つ の行動
パ ター ンが ある。
32
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
図
:5-29
33
上 野駅周 辺型街路 概 念 図 -3
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(4)原 宿住宅地型 での調査 よ り (A)街 路1青 成要素
図 :5-30 ‐
El 図
:5-31
原 宿付i宅 地型街路図
オ 冊:一 元的表層
遊戯施 設 :装 置
街路オ ‖成 要 素
写真
:4
34
原宿住宅地街路全体写真
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(B)調 査 の結果 (a)街 路内の全 ての行動 2 2 2
2
図
:5-32
原宿 住宅地型街路全体解 析 図 -1
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(b)街 路 内 の "直 流 " 2 2
2
2
2 32 図
36
:5-33
原宿 住 宅 地 型 街路 全 体解 析 図 -2
渡辺
仁史
研 究室
卒 業論 文
(c)街 路 内 の "複 雑 流 "
図
:5-34
37
原宿住 宅地型 街路全 体解析 図 -3
渡辺
仁史
研究室
卒 業論 文
(d)街 路 内 の "停 滞流 "
図
:5-35
原宿住 宅地 型街路全体解析 図 -4
渡辺 仁史
研究室
卒業論文
(C)調 査 の 分析 (a)こ の街 路 内 に お け る人 の行 動 は調査 時 で はほ とん ど一 方 向流 の組 み 合 わせ で あ った。 そ して基 本 的 には人 はノこ側 通行 す る こ とが ここで もい え る。 そ して この 街路 の 特徴 と して 中 好路 構 成 装 iよ Jが 組 み込 まれ てい るため 、 「街 路 の 中 に 2つ の街 路 が 央 に遊 戯 施 設 とい う 「イ あ る」 とい う こ とが い え る 。 そ して そ れ 故 人 が この御f路 を通 る 際 に ど ち らの側 を歩 くか と い
う選択 を迫 られ ることになる。 この 選択 に関 して まず、基本 的 には人 は左側 通行 す る傾 向が 見 られ た。 これ は浅草 中│1見 IL型 の傾 向 と同 じで あ る。 また歩行 サイ ドを変 え る際 に も一 つ の 傾 向が41ら れた。 そ れ は
││ヨ
)の イ 子し、最後 に う テきた い側 にえiく には ぎ りぎ りまで左側 を直イ
方 向 を変 えるJと い う こ とであるc
図
:5-36
原宿住 宅地街路概 念 図 -1
(b)街 路 の 中央 に遊戯 施 設 とい う 「装 置Jが 細 み込 まれ手 い るため、 そ こで長時 間停滞 す る人が い る。 この よ うに街路 の 中央 で 人が"溜 ま り"、 その横 を人が歩 い てい くとい う風 景 は他 の タイ プの街路 にはな い風 景 であ る。 また中央 での人 の停滞 が 長期 的 なの は、そ の 遊 戯施 設 とい う 1装 置Jが あ らか じめ街路 に組み込 まれ た 「固定的装 置」 で あ る ことと密接 に 関係 が あ る。
図
:5-37
原宿住 宅地街路概念 図 -2
渡辺 39
仁史
研 究室
卒 業論 文
(c)こ の街路の片側 は付i居 の壁 となってお り、もう片側 は、手す りとなっている。
(街
路 の外側 と段差 があるため。)つ まり両恨│が 「一元的表層」 となつているのである。 このよ うに両側街路内が「一元的表層」で構成 されている場合では"流 れる"と い う行動が主とな り、街路 は生活空Flと いうよ りも輸送空間 としての性格性が強 くなる。 しか しこの街路 では 中央 に「装置」 が組み込まれているため生活空間 としての性格 も出てきて、"流 れる"、 溜 まる"と いう2つ の行動パ ターンが見 られるのである。
40
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(5)御 徒町 アメ横型での調査 より (A)街 路構成要素
外壁 :一 元的表層
図
:5-21
上野駅周辺型街路図
店舗 :多 元 的表lL71 露店 :装 iFi
図 :5-31
・
‖成要素 街路オ
写真 41
:,5 御徒 町 アメ横街路全体 写真
ニ史 り1究 室 渡辺 イ
卒業論文
(B)調 査 の結果 (a)街 路内の全 ての行 動
図
:5-40
42
御徒 町 アメ横 型街路 全体解析 図 -1
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(b)街 路 内 の "直 流 "
図
:5-41
43
御徒 町 アメ横 型街 路 全体 解析 図 -2
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
(c)街 路 内 の "複 雑 流 "
図
:5-42
44
御徒 町 アメ横 型街路全体 解析 図 -3
渡辺
仁 史 研究室
卒業論文
(d)街 路 内 の"停 滞流"
図
:5-43
御徒 町アメ横 型街 路全体解析 図 -4
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)調 査の分析 (a)こ の街路 は湘
の中の残余 の部分 が街路 となったもので、明快 な幾何学形態 をとら
`市
ない。 そ れ故他 のタイプの街路 にはない特徴 を持 っている。調査地 では特 に街路 の 中 に露店 ・ とい う「仮設的装だ1_│力 Ⅶ [み 込 まれてい る。 これは御徒町 アメ横型 の街路 が幾何 学的形態 を とらず、街路内 にあ る社度 の広場的空間
(イ
ベ ン ト的空間)を 確保 してい るからその よ うな
「仮設的装置Jが 発生 しやす い といえる。 また街路が広場的要素 を持 っているので、人 が溜 まる場所 もさまざまな場所 である。 この場合 は街路 の両側 が店舗、 つ ま り「多元 的表層 」 と なってお り、その 中央 には露店 とい う仮 設的 な 1装 置」 が組 み込 まれてい るので人 はあ らゆ る場所 に溜 まってい るのである。 また この街路 は調査
││十
にはた くさんの人がい たので、"完 全 に止 まって溜 まる"人 よ り、"
溜 まりなが ら流れる"と い う行動 をとる人が多 か った。 これはこの広場的要素を持 つ街路 に 「装置 」 がな[み 込 まれ 、その結男t空 lが 剰ll分 化 され街路 におけ る人の許容 量が少 な くな り、 │‖
混雑 じや く、"完 全 に 11iま る"と い う行動 が と りに くいためである。 この よ うな ことも御徒 町アメ杖 型 の街路 の特徴的 な行動特性 とい える。
図
:5-44
御徒 町 アメ横 型街路概念 図 -1
(b)街路内 において人が溜 まる場所 もさまざまであったが、 しか しこの場合 には街路 の 中 に露店 とい う「装 i上 」が組 み込 まれて い るため人の"流 れ"の パ ター ンはある程度限 られ ている。 つ ま り街路 内 に 1装 世ilが 剰lみ 込 まれた ことによ り、街路 の 中 に幾 つかの街路 があ るとい う形態 になってお り、その すべ ての街路 で人が行 き来 してい るのである。 その一 人一 人 の動 きは街路の形態 に沿 った直流 であるのだが 、街路全体 を見 た場合、様 々な流 れが存在
46
渡辺 仁史 研 究室
卒業論文
してお り、このような"様 々な流れが混在 している"と い うのは他のタイプの街路 には見 ら ‖アメ横型の街路 の大 きな特徴 となっている。 れず、御徒「
:5-45
御 徒 町 アメ横 型街路概念 図 一
・2
図
(c)こ の街路 において、最 も広 い空「1を 確保 している部分 では、様 々な複雑 な動 きが見 られる。その部分 に来 るまでは、直線的に歩 い てい た人 もそ こに来 ると非直線的 な動 きをす るのである。 またその部分 では停滞 した り、歩行速度 を落 と してゆ つ くり歩 くような人 もい る。それはこの部分 がある程度広 い空間であ り、行動 の 自由度 が与 え られ、広場 の よ うな空 間 となってい るか らである。街路 においてこの よ うな広場的空間で、人 々は最 もた くさ んの 種類 の行動 をとるの であ る。
図
:5-46
御徒 町アメ横型街路概念 図 -3
(d)こ の街路 にお い て も人がた くさん溜 まる場所 と、そ うでない場所 がある。 まず人が 一番 溜 まって い たの は「仮 設的装置J である露店付近 であった。それに対 して最 も人が溜 ま ってい ず、 ほ とん どの 人が "流 れる" とい う行動 をとってい たのが露店 の出入 り回 と一 元的
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
表層 とにpllま れた部分 であった。 これか らい えるのは露店 とい うのは、店先
(商
品が置 いて
ある所 )は 非常 に魅 力 r的 なのであるが、そ うでない人の出入 りす るところな どは人 のとつて ほ とん ど魅力 のない もの となって しまい人 はそ こを注 目もせず、通 り過 ぎて しまってい るの である。 つ ま り露店 など「街路‖I成 装置」 はそれが うまく機能す れば非常 に効 果的 だが、そ うでなければ街路 にとって邪魔 な もの となって しまうのである。 さらに、 この街路 の
│‖
jl‖
の店舗 の 中 で も人 々 にとって魅力的な店 は人が多 く集 まってお り、
浅草仲見 Ш:型 の場合 と同 じ様 な事が い えるのである。 また、 この街路 において人が溜 まって い る場所 の付近 を通 る人々は"避 け て通 る"、
"ゆ っくり通 る∼溜 ま りなが ら流 れる"と い
う行動 をとってVヽ る。
― 御徒町アメ横型街路概念図
48
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
2、
「街路内断面構成調査」の結果 と分析
(1)浅 草仲 見世型街路 での断面構成 (A)断 面線 の設定 下図のように断面線 を設定す る。
図
:5-48
浅草仲見世型街路断面線設定図
(B)調 査結果 表
:5-1
浅草仲見世型街路内断面構成表
直流
49 7 20
71
複雑流
2
停滞流
4
D
C
B
ヘ
64 5
77 0
7
0
0 8 0 7 0 6 0 5 0 4 0 3
︵ く︶濠く掻撻
0 2 0 1 0
図
49
:5-49
浅草仲見世型街路断面構成 図
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
(C)調 査の分析 (a)街 路 においては基本的 には"直 流 "が 最 も多 い。 これは街路 が基本的 には移動 のた めの空間である ことを示 している。 しか しそれ とは別 に"溜 まる"要 素 も見 られわけで、 こ の 要素 が多 いほ ど"生 活空 rり の街路 'と しての性格が強 い とい える。
(b)断 面 (B)に おい て、最 も人が"溜 まってい る"。
これは断面
(B)に 、最 も人 を
溜 まらせる要素 が含 まれてい ると考 え られる。特 にこの部分 には 「一元的表層 」 に「装 置」 が組み込 まれ、 「多元的表′ 脅_│と なっている部分 を含 んでい るので、 この こと も少 なか らず、 影響 してい る と.Ltわ れる。
(c)"複 雑流"が ある程度計測 されるの もこの街路 の特徴 である。 これは「街路全体解 析調査」 での分析 にも述べ た とお り、街路 の中央 で人 が擦 れ違 うため、複雑 な動 きが生 じる ためだ と言え る。
50
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(2)原 宿 表参道型街路 での断面構成 (A)断 面線 の設定 下図の よ う に街路 内 に断面線 を設定す る。
図
:5-50
原宿 表参 道型街路 断面線 設定 図
(B)調 査 結 果 表
:5-2
原宿 表参 道型街 路 内断面構成 表
C
B
ヘ
複雑流
10
53 2
停滞流
28
2
直流
28
55 2 0
ω 。 5 。 4 0 3 0 2
︵ く ︶轟 く 侵 鍵
0 1 0
C
図
:5-5 1
原宿 表参道型街 路 断面構成 図
¨ う
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)調 査 の 分析 (a)グ ラフより停滞流 が 一番多 いのは「仮 設的装置Jを 含 む断面線 である。 また複雑流 を一番多 く含 むの もこのWi面 線 である。 このことは [仮 設的装置」 が"停 滞"を 生み、そ し てそれ を避けるため"'複 雑流 "が 生 じるとい う仕剰lみ が考 え られる。 この ことか ら「装置」 は"溜 まる"と い う状態 をノ liみ だ し易 いが、それ にともなって必ず"避 け て通 る"と い う移 動す るにはあ ま り快迪 でない状態 を生も
,と
(b)断 面 (A)の
い うことも考慮 にいれ な くてはな らない。
ところではほ とんどが"直 流"で 占め られている。 このことは両側 の
表層 が 「一元的却 ]IJの 役 fiJし か果た していず、それ故 ,人 はこの 部分 で特 になに も注 目す ることな く、街路 を移動 のための手段 と して用 いてい るのである。
(c)断 面i(3)の ところでも"停 滞流"が 生 じてい るが、断面 (C)の ところほど多 く はない。停滞 してい る人の数 が多 いほ ど「生活空間 としての街路」 の性格性 が強 い と考 える な らば、露店 とい う「装Fi lの ある断面
(C)の ところのほ うが、ベ ンチの ある断面 (B)
の ところより、生活空間の街路 となってい るとい える。
52
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
(3)上 野駅 周辺 型 街 路 での断 面構 成
(A)断 面線の設定 下図の ように断面線 を設定す る。
図
D :5-52
E 上野駅 周 辺 型街路 断面 設 定 図
(B)調 査結果 表
:5-3
上野駅周 辺型街路 内断面構成 表
A
B
複雑流
82 4
77 5
停滞 流
0
4
直流
‐
C
D
E
56
50
16 :4
18
57 16
90 80 70 ︵ く︶薇く怪葬
60
50 40 30 20 10
0
図
:
5-53
上野駅周辺型街路 断面構成 図
, 9
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)調 査 の分析 (a)こ の街路 の場合 も最 も"停 滞流"の 多 いのは「仮設的装置」 のある部分 であ る。 そ してそれ に伴 い"複 雑流"の 数 も一番多 くな つてい る。 しか しこの場合 の"複 雑流 "は "避 け る"と い う行動 よ りも、装置 が
│ユ
"そ こに向 か う"と い う動 きの"複 雑流"
1部 分 にあるので
である。 また断面 (C)、 断面i(D)、 Wi面
"複 雑流 "、 "停 滞流"と
(E)を
1交
べ た場合 ほ とんど数量的 には"直 流"
も同 じくらい である。 しか し断面
(E)は 断面 (C)、
断面 (D)
と異 な り、実際 に「装置llが ある断面iで はな く、1装 置」 と「装置」 に囲 まれた部分 の 断面 で ある。 しか しそれ で も実際 に「装 世Jを 含 む 断面 (C)、 断面
(D)と
同 じ様 な数 の行動
特性 が見 られるのは、│!た 置 と装置1に 囲 まれた部分 が小空間であるならば 、装置 の周 りと同 じように人 々が装 置 に接 し、"溜 まる"空 rlと なっている」 とい うことがい えるため と考 え られる。
(b)断 面i(3)の 部分 は世1部 分 を含 むが そ こに仮 設的 な看板 を含 まず 、壁 に固定 され た 固定的 な看板 を含 んでいる。 しか しこの看板 の付 近 で"溜 まる"人 々は断面 (C)、 断面
(D)、 断面 (E)の 数 に1交 べ ると少 ない。そ してこの断面 (B)の ところでは"直 流 "が 最 も多 く観察 されたのである。 よって断面
(B)の
ところで は凹部分 があるにもかか わ らず、
そ れが うまく機能 していない といえる。
(c)"直 流"の 数 を比較 してみると断面
(A)、 断面
(B)の 2つ が、断面 (C)、
断
面 (D)、 断面i(E)の 3つ に較べ て多 くまた、 こちらのほ うが「移動空 間 としての街路」 と しての性格性が強 い といえる。 また"複 雑流 "の 数 は断面 (C)、 断面 (D)、 断面 (E) に較べ てかな り少 ない といえる。
54
渡辺 仁史 研 究室
卒業論文
(4)原 宿住宅地型街路 での断 面構成 (A)断 面線 の設 定 下図の よ うに断面線 をi設 定す る。
:
A
B 図
(B)調 査 結 果 表
:5-4
複雑 流
:5-54
原宿住宅地型街路断面設定図
原宿 住 宅地型街路 内断面構成表
C
B
A 直流
‖
c
33 0
停滞流
│
34 0 0
34 0 0
35
30 25
︵ く︶軽く掻絆
20 15
10
5
0
B 断面線
図
:5- 55
55
原宿住 宅地型街路 断面構成 図
渡辺
仁 史 研 究室
卒業論文
(C)調 査の分析 原宿住宅地型街路 では、はつき りと道路 を"移 動空間"と して利用 している人が多 い こと が「街路 内断面i構 成 調企 │か らも分 かる。調査 時 では街路中央部 の遊技施設 に"溜 まる"人 は少 なか ったが 、 これは″ J介 地が■1宅 術 であ り、調査時が平 日であ つたため と考 え られる。 祭 日ともなれば この街路 には、"溜 まる"人 も増 えるが、その際 にも"溜 まる"人 と"流 れ る"人 ははつき りと分 かれると考 え られる。 また街路全体 と しては"複 雑流 "も 存在す るの だが、 断面線 を設定 した場合 、そ こを通過する人 の行動 が"直 流 "で あるのは、街路 が、遊 技施設 とい う 1装 tiJに 利1分 化 され 、11線 的に、移動 せ ぎるを得 な くな ってい るためである。
56
渡辺 仁史 研究室
事業論文
(5)御 徒 町 ア メ横 型街路 での 断 面構 成 (A)断 面線 の設 定 下図のように断面線 を設定する。
図
:5-56
御徒 町 アメ横 型街路 断面設定 図
(B)調 査結果 表
:5-5
御徒町 ア メ横 型街路 内断面構成表
直流
複雑流 停滞流
D
C
B
A 42 l
10
57
42
43
51
9 3
10 5
2
渡辺
仁 史 研究室
0
卒業論文
60 50 ■ 直流
0 0 3 2
︵ く︶薇く侵磐
40
□ 複雑流 囲 停滞流
10
′
断面線 図
:5-57
御 徒 町 アメ横 型街 路 断 面構 成 図
(C)調 査 の 分析 (a)御 徒 川Iア メ横 ′11街 路 にお け る 4つ の 断 面 の 内、"停 滞 流 "が 最 も多 か っ たの は仮 設 的 な露 店 の 部分 を含 む 脚i面 i(A)で あ った。 これ が意 味 して い る もの は この 街 路 で は仮 設 的
な露店 が最 も人 を"溜 まらせ る"要 因を持 ってい るとい うことである。そ して次 に"停 滞流 " が多 いのが断面i(3)と 断面i(C)で ある。 これ らにはある程度人 に魅力的な店舗 を含 んで い るなので、断llli(D)よ りも"偶 f滞 流 "の 数 が多 い。
(b)"複 雑流"の 数 では断面i(A)が 最 も少 な く、断面
(B)、 断面
(C)で は非常 に
多 くな っている。 これは街路 における空‖]の 大 きさに関係 していると考 え られる。街路内 に 露店 とい う「装 置」 が置 かれた ことによ り街路空
│‖
1は 細分化 されたのであるが、そのなかで
(A)の ある部分 で、断面 (13)、 断面 (C)の ある部分 は、ある程 度 ゆ と りのある広場的の空 である。"複 雑流 "と い うのは非直線的 に進 む人の流 れなので 最 も刀ヽさい空 1間 が断i“
1用
ある程度 の大 きな空間がな い とJiじ ない とい うことになるのである。 つ ま り断面 (B)、 断 面
(C)は 広場的空間を持 つ ところに断面線 を持 っているので"複 雑流"が 多 い とい うこと
になる。
58
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(c)各 々の断面 で"直 流"、 "複 雑流"、 "停 滞流"の 割合を較べてみるとすべての断 面で直流が圧倒的に多い。つまり街路 においては直流 つ まり"流 れる"と い う行動が一番多 い。そ してこのような移動のための街路 に「生活空間としての街路」 の機能を持 たせるには" 停滞流"つ まり"溜 まる"と い う状態を街路内 に作 り出せるかにかかつている。
59
渡辺 仁史 研究室
事業論文
(1)街 路 内 では どん な要素 が人の "溜 まり"を 作 りだ しているの だろ うか ? 以上 の「街路全体解析調査 │と 「街路内断面構成調査」 よ り、各街路 にお いて何 が最 も人 が"溜 まる"状 態 を作 り出 し、何が最 も"流 れる"状 態 を作 り出 してい たか を考察す る。浅 中見 陛型では壁 とい う │´ 元的表層 」 が"流 れる"状 態 を作 り出 し、店舗 とい う「多元的 草イ 表層 」 が"溜 まる"状 態 を作 り出 した。原宿表参道型 では露店 とい う「装置」 が"溜 まる" 状態 を作 り出 し、 シ ョー ウイ ン ドー とい う「多元 的表層 」 が"流 れる"状 態 を作 り出 した。 上 野駅周辺型 では看板 とい う「装 置_│、 世 J部 分 とい う「平面形態」 が"溜 まる"状 態 を作 り 出 し、 ガー ドレール とい う「一元的表層 Jが "流 れる"状 態 を作 り出 した。原宿住宅地型 で は柵 、壁 とい う「 一元的表′ 善Jが "流 れる"状 態 を作 りJlし 、遊戯施設 とい う「装置」 が " 溜 まる"状 態 を作 り出 した。御徒 ‖ アメ横型では露店 とい う「装置」 が"溜 まる"と い う状 1・
態 を作 り、店合,と い う「多元的表層」 が"流 れる"と い う状態 を作 りだ し、広場的性格性 を 持 つ平面形態 が "流 れる"、
"溜 まる"と い う両方の状態 を作 り出 している。 これ らをまと
める と次 のよ うになる。
表
:5-12
街路構 成 要素 と人 の滞流 の 関係 性 溜 ま る"状 態 を作 り出 す もの 装運
元 的期
夕元 的薮層
「
面形態
"流 れ る"状 態 を作 装置
り出 す もの
元的表層 レ元 的表層「 面形態 ●
●
浅草仲見世型 原宿表参道型
●
上 野駅周 辺型
●
●
原宿住 宅地型
●
●
御 徒 町 アメ横 型
●
●
●
上の表からいえることは、まず"溜 まる"状 態を一番多 く作 っているのは「装置」 とい うことになる。商業的な 1装 置Jと い うのは非常 にかな り人の注目を引き、休息のための装 置があれば人 はそこを多いに利り ‖するのである。 このように街路 において「装置」 は人の注
60
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
目を引 き、そ こに人が"溜 まる"と い う状態 を状態 を作 る重 要 な役 目を負 ってい る。 また、"流 れ る"と い う状態 を最 も多 く作 り出 してい るのは 「一元的表層 」 である。街路 の内 と外 とを (時 には街路 と建築 とを)区 別す るだけの機能 しか持 たない表層 とい うのは街 路空間 を限定 し、人 に"流 れる"方 向性 を強 く与えるのである。 さらに「多元的表層」 も人 を流す 要素 となる ことが しば しば ある。それは同 じ街路内 に装 置 な どが あ りそちらの方 に人 が溜 まって しまい 、 「多元的表層 J部 分 には人 はあま り興味 を抱かず、 もはや一元的表層 と しての機能 しか働 かな くな って しまう 、その様 な状況 になるのである。 ││十
「平 Fll形 態 Jと い うのはそれ 自体 が人を流 した り、溜 まらせた りす ることは少 なか つた。 それは装 i世 や表層 といった他の街路‖I成 要素 と結 び付 いて溜 まった り、流 れ た りす るの を促 す働 きをするのである。夕1え ば上
lJIFpり (り
t型 では す る役割 を し、御徒 llllア メ‖
司辺型 では「装 置」 があ りそ こに人が溜 まるのを許容
1装
I性
Jに よって「平面形態」 が細分化 され、街路 の 中
にガヽ ト lが で きた ことによ りその大 きめ の空間が広場的役 割 を果た し、 空 │11と 少 し大 きめのイ 1出
人が溜 ま りやす い よ うに、また流 れやす い よ うになったと考 え られる。
(2)街 路内 に 「装置」 が作 り出す、人の"溜 まり" 街路 内 で「装置」 なるものが最 も人の"溜 ま り"を 作 り出す ことはjlFか つたが 、それでは 「装置」 がその よ うな"溜 ま り"を
4/1三
るとい うことはその街路 にどの よ うな影響 を及 ぼす の
で あ ろ うか ?つ ま りその他 の構成 要素が作 り出す人の"流 れ"へ の影響 で あ る。 「街路全体 解析調企_│で は人 の"溜 まり"が 出 きるとそ こを通過する人 の動 きは各 タイ プでそれぞれ異 なってい ることが解 かった。腸〔 宿表参迫Jlで はそこに"よ ける"と い う行動 が生 じ上野駅周 辺型 ではそ こに"よ け る"と い う行動 は生 じなか つた。 また御徒 町アメ横 型 においては「装 置」 が街路空 1用 を利│1分 化す るため、様 々 な行動 が生 じていた。 この ような"溜 まる"部 分 で の 、人が とる行動 の特共性 は必ず そ こを通過す る際の歩行速度 の差 となって現 われて くるは ず で ある。 この よ うな 予測をあ らか じめ持 って、次 の 「歩行速度測定調査」 を考 えてい く。
61
渡辺 仁史 研 究室
卒業論文
■"溜 まり"が 街路 に及 ぼす影響 1、
「歩行速度測定調査」 の結果 と分析
(1)浅 草仲 見世型街路 での調査 より (A)調 査 ブロ ックの設定 下ほ│の 各 プ ロ ックを設定 し、そ こ を通過す る人 の 歩行 速度 を測定 した。 この場合 は「 一 元 的表層 部分」 と 「多元 的表層 部分 Jで あ る。
Ⅲ …・ …
・Ⅲ ・ … …‐ 芝3・ 6… 1
T・ 4・
図
:5-58
浅草仲見 世型街路 調査 距 離
(B)調 査結果 表
:5-6
浅草仲見 世型街路 歩行 速度 分布 図 多元的表層部
サ ンブルー サ ンプ ルー2
72.3'
:
39.64 76.45
サ ンプ ルー3 サ ンプ ル ¨4 サ ンプ ル ー5 サ ンプ ルー6 サ ンプル ー7 サ ンプル ー3 サ ンプル ー9
02.2
80.65 47.09 44.61
37.24 24.66
0
42.3
サ ンプル ー サ ンプ ルー 2 サ ンプル ー 3 サ ンプ ル ー 4 サ ンプ ル ー 5
32.47
サ ンブ ル …
l
サ ンプ ル ー
6
サ ンプ ル ー サ ンプ ル ー
3
7
サ ンプル ー 9 サ ンプ ルー20 合計
平均速度
― 元的表層部分
89.74 86.63 69.48 67.92 95.13 60.6:
75.68 8:.52 61.53 67.34 73.95
47.6
67
31.42
87:6
60.8:
99.51
31.85 73.34 42 iC 69.48
42.77 43.82 71.46 62.86
8684
6982
37.36
57.18
1045,47
1431.::
52.27
71.56
62
渡辺
仁史 研究室
卒業論文
i00
90 30 E8 国製L小 ︵ おヽ
70
60 50 40 30 20 10
0 1
16 i7 18 :0 20
345678910H121314:5
2
サ ンプル番 号
図
:
5-59
浅草仲 見 世型街路 歩行 速度分布 図 (一 元 的表層 部分 )
90 00 70
_60 お
550 員
[
小
40 50 20 10
0 !
78910‖
2
!2:31415
サ ンプル番号
図
:5-60
浅草仲見世型街路歩行速度分布図
63
(多 元的表層部分 )
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)調 査の分析 浅草地区の調企地 は街路 内 に特ガJな 「装置_│は 存右:せ ず、片製│が 店衡1と い う「多元的表層 」 で、 もう片側 が ソリッ ドな1催 でオ │`成 される一元的 脚督である。 そ して「街路全体解析調査」 と「街路内断面構成調査 │の 紺果 ではこの表層 の違 いが異 なった人 の行動 を生む とい うこと で あったが、それは両側 での 人 の平均歩行速度 の差 となって現 われ ている。測定距離 は街路 内 の向 かい合 う部分 の各々 、 14n125cmで あ りそれぞれ 20人 ず つ測定 した。 その結果、 「一元的脚□J部 分 では` r均 歩行速度 が 71.56cmで あ ったの に対 して、「多元 的表層 」 部分 では 52.27cmで あった。 つ ま りこの数値 か らも「多元的表層 」部分 の方 が、「一元 的表り Ⅱ」部分 に比 べ て、人 を溜 まらせやす い とい うことが 言え る。 また測定者 の各歩行速度 を見 る と個人 によっては、「多元的測 ││」 剖S分 を歩行す る人の速度 の 方が、「一元的表層 」 部分 を歩 く人 の速度 よ り速 い場合 もあるが、平均 として「多元 的表層 」 での歩行速度 の方 が 遅 いの で、 こち らの方 が 1人 を溜 まらせやす い1と 言え るのである。
渡辺 仁 史 研究室 “
事業論文
(2)原 宿表参道型街路 での調査 よ り (A)調 査 ブロ ックの設 定 下図 の各 プ ロ ックを設定 し、そ こ を通過 す る人 の 歩行 速度 を激1定 した。 この場合 は「装置」 と「 多 元的表層 」 で ある。
| '
.225,0'
9000
7500
図
:5-61
原宿表参道型街路調査距離
(b)調 査結果
表
:5-7
原宿 表参 道型街路 歩行 速度分布 図
合計
平均速度
10108 10653 68.93 126.05 83.52 95.18
9225 :3863 145.91
:2909 !:682 20:37 10069
65
54.88 49.13
多元的表層部分
!8.52
5:.72 49.34 17.93
30.99 26.95 51.49 47.27 49.13 38.33
155:7
74.57
2 5 8 5
サ ンブルー9 サ ンブルー10 サ ンプルーl! サ ンプルー!2 サ ンプルー13 サ ンプルー14 サ ンプルー15 サ ンプルー16 サ ンプルー:7 サ ンプルーi8 サ ンプルー19 サ ンプルー20
7015 102.:8 88.86 11:.14 87.72 73.24 81.17 77.88
装 置部 分
9 6 5 6
サ ンプルー6 サ ンプルー7 サ ンプルー8
:17.37'
7 3 9 8
l
8 7 9 9
多元的表層部 サ ンブルー サ ンプルー2 サ ンブルー3 サ ンプルー4 サ ンプルー5
94.64 74.5 124・
;4
91.93
46.78 67.57 59.06
109.76
6818 7653
119.21 66.91
24.22
8027 6682
62.5
1045.69 52.28
63.85
:279.94 85.33
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
。 6 0 4 0 2 。 0 0 8
E a*elnp$i'
0 6
E● 轡艘L小 ︵ おヽ
I +telxEgla' tr Fcgrh-
0 4
1
2 3 4 5 6 7 8 9 '0 11 12 13 14 i5 !6 17 :8 1920 サ ンプル番号
図
:5-62
原宿 表参 道型街 路 歩行 速度分布 図
(C)調 査 の分析 原宿表参道地区に はlf路 内 に露店 とい う「装置」 が組 み込 まれ てお り、 この「装置」 が人 の歩行 速度 にどの よ うな影響 を及 ぼ してい るか把握する ことが 目的 とされ た。 この場合 は街 路 を 3つ に分害lし 、 1装 置11の ある部分 をプ ロ ック 2、 そ してそれを挟 んで い る部分 をそれ
2m25cm、
ツ ク
ぞれ ブ r]ッ ク 1、 プ r]ッ ク3と した。各 プ ロ ックの 長 さはプ ロ ック 1が 9m、 プ ロ ック 2が プ r]ッ ク 3が
7m50cmで
あ る。
「装置 」 のあるプ ロ ック 2の 部分 での平均歩行速度 は 52.28m/秒 で 、それ に対 してブ ロ ック 1、 3の 平均 歩行速度 は 100.9
6cm/秒 、 85.33cm/秒
とな ってい る。 つ ま
りこの部分 では人 は速度 を落 として歩 い てい るのである。速度 を落 として歩 いてい るとい う のは明 らかに何 かに注 目しているとい うことを示 してお り、 この場合 では露店 とい う「装置」 で ある。 よってこの 露店 とい う「装 iよ │は 街路 内に"溜 まりなが ら流れる"と い う状況 を作 さを示 さず同 じ速度 り出 してい るといえ る。 また各個 人 で兄 た場合、 この 「装置」 に何 も関′ で歩 いてい く人 もい る。 このことは「街路構成 装置」 とい うものは万 人 に働 きかけるもので は ない とい うことを示 してい る。
66
渡辺
仁史 研 究室
事業論文
(3)上 野駅 周 辺 型 街路 での調 査 よ り (A)調 査ブロ ックの設定 下図 の各 プロ ックを設定 し、そ こを通過す る人の歩行速度 を洪1定 した。 この場合 は「装 置」 と「多元的表層」 である。
回圏国目日
口側 聞 国
日圏期日日日
・
‐ … …………………………・ ……………………………………1 ←T,す 0び・‐ グ2・ 6・ 6・ 6…
図
:5-63
上 野駅周辺型街路 調査 距離
(3)調 査結果 表
:5-8
上 野駅周 辺型街路歩行 速度分布図 多元的表層 部
サ ンブルー サ ンプルー2 サ ンプル ー3 サ ンプルー4 サ ンプ ルー5 l
98.09 10● 31
i10.91 87.4
102.4C
89.15 84.39 86.83 65.36 66.32 9:.32 58.62 56.34 60.54
サ ンプルー6 サ ンプル ー7 サ ンプルー3 サ ンプルー9 サ ンプルー:0 サ ンプル ーll サ ンプルー12 サ ンプル ー13 サ ンプルーi4 サ ンプルー15 サ ンプルー16 サ ンプル ーi7 サ ンプ ルー18
696i 68.42 83.22 69.4 8!.8 84.21
サ ンプ ル…i9 サ ンプルー20 合計
装 置部分
l:l.73` 78.84
90.54 91.39 58.4
50.35 71.09 75,9:
89.07 90.04
89 78.04 100.18 88.2 87.3! 79.03
73.:2 :06.38
57.22
6979
1562.13
:690.2
73.:l
845:
平均速度
67
渡辺
仁史 研究室
卒業論文
100 0 8 0 0 6 4
E8 u製 L事 ^ おヽ
f a*glnEglaD FiEgrh-
i
2 3 4 5 6 7 8 9 10 1! 12 13 14 15 iO !7 :8 1920 サ ンプル番号
図
:5-64
上野駅周 辺 型街路 歩行 速度分 布 図
(C)調 査 の 分析 上野 の調査 地 区 はllll部 分 があ り、その 中 に看板 とい う「装置 」 を持 ってい て、 この部分 が ・えるか を把 握す る ことが 目的 とされた。 よって凹音6分 を 人 の 歩行速度 に どの よ うな影響 を与 プ ロ ック 2、 そ れ以 外 の部分 をプ ロ ック 1と した。各 プ ロ ックの 長 さはプ ロ ック 1が 0cm、
120
プ ロ ック 2が 2 2 5 0cinで あ る。
プ ロ ック 1で の 平均 歩行 速度 は 78.1
lcm/秒 、プ ロ ック 2で の平均 歩行 速度 は 84.5
lcm/秒 であ ま り大差 が ない。 つ ま り街路 全体 をi■
してほぼ一 定 の 歩行 速度 で 人が流 れ た と
言 える。 これ世!1部 分 が あるため、 そ こに人 が溜 ま って もそ こに凹部分 があ る ため、 そ こを通 る人 は速度 を落 とさず 歩行 した とい うことが理 由 とな ってい る と考 え られ る。
6S
渡辺 仁 史 研究室
卒業論文
(4)原 宿住宅地型街路での調査 より (A)調 査 ブロ ックの設定 下区│の 各 プ ロ ックを設定 し、そ こを通過する人の歩行 速度 を測定 した。 この場合 は「装置」 と「一元 r● 表層 │に 挟 まれた直線 部分 である。
'
33750
= 図
:5-65
原宿 住 宅地型街路調査距 離
(B)調 査結果 表
:5-9
原宿住 宅地型街路 歩行 速度分布 図 原宿地区
サ ンブ ルー サ ンプルー2 サ ンプ ルー3 サ ンプルー4 サ ンプルー5 サ ンプルー6 サ ンプルー7 サ ンプ ルー8 サ ンブルー9 サ ンプ ルー 0 サ ンプルー
!32.56 92.57
サ ンプルー 2 サ ンプルー 3 サ ンブルー14 サ ンプ ルー 5 サ ンプルー 6 サ ンブルー 7 サ ンプルー 8 サ ンプルー 9 サ ンプルー20
l1747 l:89C 828
!
!
合計
平 均 速度
│:614 :i3.29 135.1:
│:6.34
12645 10724 95.37 79.79
1229!
:07.7C
!26.55 :35.6 :07.4
:0856 1207: 2263.58 :13.:8
渡辺
仁史 研究室
卒業論文
140 :20
0 0 0 8 6 4
おヽE8 塾製 こ 小 ︵
100
1
2
3
4
5
6
7
8
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!0 :!
12 :3 14 15 16 i7 18 19 20
サ ンプル番号
図
:5-66
原宿住宅地型街路歩行速度分布 図
(C)調 査の分析 この原宿地区 の街路 は遊戯施設 が剰lみ 込 まれて い るが、それによ り街路 は 2つ に分割 され、 1は 整然 と確保 されてい る。そのため街路 を"流 れてい る"人 と"溜 まってい る" 歩行者空‖
人 は完全 に分 断 されてい る。 そ こでこの街路 をただ単 に通過す る人の歩行速度 を測定 した。 調査 した部分 の街路 の長さは 3 3 7 50cmで ある。 街路 を通過す る人の平均歩行速度 は 113.1
8cm/秒 であ つた。 そ して測定者 の歩行速
度 を見 てみる と若 千 の丼が測定 された。被験者 はすべ て若年層 を対 象 としてい るので、個人 の 肉体的 な差 とい うよ りは、1急 いで移動す る」 とか、「ある程度 ゆつ くり散策す る」 とい うよ うな、街路 に対 しての歩 き方 の差 であるとい える。
70
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(5)御 徒町 ア メ横 型街路 での調査 よ り (A)調 査 ブロ ックの設定 下図の各プロックを設定 し、そこを通過する人の歩行速度を測定 した。 この場合 は「装置」 と「多元的表層」であり、「多元的衣層 _│で 囲 まれた広場的部分 での時との行動を詳 しく把 握するため、平常時 と混雑時の 2回 調査を行 った。
″ ・
″ 925Q´ ″ =´ 三
ギ∵ 由 5-67
御徒 町 アメ横 型街路調査 距離
(B)調 査結果
広 場部分 サ ンプルー サ ンプルー2 サ ンプルー3 l
サ ンプルー4 サ ンブルー5 サ ンプルー6 合計
平均 歩行速度
広 場部分
装 置部 分
56.95 77.94 79.53 77.75 70.86 64.:9
79.68 77.72 63.69 70.75 66.15 54.79
427.22
412,78
7!.2
68.8
66.83
35.74 26.09 43.94
33.:9 31.45 59.14 2:.07
サ ンプ ル ー9
2● 6:
24.21
サ ンプ ルー10
32.22
21.02
364.51
266.32
36.45
26.63
l
49.54 30.15 20.12
3827
合計
平均歩 行 速度
71
装 置音5分
サ ンプ ルー サ ンプ ル ー2 サ ンプル ー3 サ ンプ ルー4 サ ンプ ルー5 サ ンブ ルー6 サ νブ ル ー7 サ ンブ ル ー3
渡辺 仁 史 研究室
24.48 39.55 15.14 17.07
卒業論文
0 8 。 7 。 6 。 5 0 4 。 3
︿ おヽEじ u製L事
0 2 。 1 0
サンプル番号 図
:5-68
御 徒 町 ア メ横 型街 路 歩行 速度分 布 図 (平 常 時 )
70
60
50
警
40
1掛 壼 事
30
20
10
0
3456789:0 サ ンプル番号
図
:5-69
御徒 町 アメ横 型街路 歩行 速度分布 図 (混 雑 時 )
72
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(C)調 査の分析 調査 地 の街路 は複雑 な形態 を してお り、その 中 に
とい う「装置」が組み込 まれ ている
'11台
ため街路 が細分化 され 、広場的要素 を持 つ少 し広 い部分 と細 い部分 に分害1さ れてい る。 そ し てそれ らの両側 も広 い方は店舗 で あるの に対 して、剰1い 方 は片側 が店舗 で、 もう片側 が屋 台 となっている。 そ こで人が この街路 を歩 くとき
(広
い方 と細 い方両方歩 くのだが)そ の歩行
速度 に どのような差 が見 られるかを考 えてみる。広 い方をプ ロ ック 1、 細 い方をプ ロ ック 2 とした。 それぞれの 長 さはプ ロ ツク 1が 9 7 5cinで 、プ ロ ック 2が 6 0 0cmで ある。 さらに 調査 は街路内の混雑 の丼 による、人の行動 の違 い を見 るため 、混雑時 とそ うでない平常時 の
2回 に分 けて行 つた。 ・μ常時 で 71.2 プ ロ ック 1で の :r均 歩行速度 は 度 は 68.8
0cm/秒 で、プロ ツク 2で の平均歩行 速
0 cn1/秒 で、混雑 時 ではプロ ック 1で 36.4 5cm/秒 でプロ ック 2で は 26.
6 3 cin/秒 であつた。 これはプ ロ ック 2の 部分 には露店 とい う「装置」 があるのでそ こに関 心 を払 い なが ら歩 くので歩行速度 は遅 くな ったと考 え られる。 また平常時 ではプ ロ ツク 1と プ ロ ック 2で の平均 歩行速度 の差 が 2.4
0cm/秒 であ つたのに、混雑時 では 8.8 2cm/秒
と大 き くなっている。 これはプ ロ ック 1と プ ロ ック 2の 空間の大 きさの差 が もた らしている と考 え られる。 つ ま り広 い空間か ら、狭 い空間へ とい う空間の流 れがある場合 には混雑時 に は、そ れが助長 され るのである。 さらに測定者 それぞれを見 てみるとプ ロ ック 1で の歩行 速 度 の方 が 早 くて、 プ ロ ツク 2で の方 が遅 い人 もい る。 これはプ ロ ック 2の 広場的要素 を持 つ 空間でのんび りす る人 もい るとい うことで ある。 これ より街路 における広 い空間 とい うのは 人 を流 しやす く、 また溜めやす い とい う二 面性 を持 ってい るとい うことも言 える。
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
2、
「歩行速度測定調査」からの考察
以上の各 タイプの街路 での結果 を比較 した場合 、原宿 表参道型、御徒町アメ横型 では装 置 の ある部分 で歩行速度 が減少 したが、L野 駅周辺」1の 場合 は減少 しなかった。 これは装置が 世 かれ ている街路 の平
l“
1形 態 が関係
してい ると思 われる。上野りt周 辺型 の場合 で も、「街路
全体解析調査」 と「街路内断面構成 諄1全 」 か ら装置部分 に人の"溜 ま り"が で きてい るの に 歩行速度 が減少 しなか つたのは、そ こに凹部分 があ り、 これが人の"溜 ま り"を 吸収 し、人 ・えなか ったか らと言える。 それに対 して原宿表参道型 や御徒 町 ア の"流 れ"に 余 り影響 をり メ横型 の場合 はその ような世l部 分 をもった「平 ini形 態 Jが 存在 しないので、「装置」 の周 り にで きた人の"溜 ま り"を 吸収 で きなかったので ある。 これを もう少 し詳 しく考 えると、 「装置」 の周 りにで きた人の"溜 まり"の 半径 を_LlllJ2駅 周辺型 の凹 部分 はその 中 に吸収す る ことが で きたが、原宿表参道型、御徒 ‖ ∫アメ横型 の場合 には、その"溜 ま り"の 半径 を吸収 で きなか ったことになる。 この よ うに考 えると、街路 において「装置」 が作 りだす"溜 ま り" の半径 の大 きさは重要 であ り、その もとで「平面形態 Jは 「装置」 をバ ックア ップする要素 で ある と言える。
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
” ヽ
■ 1
溜まり"と "流 れ"の 関係性 「停滞半径測定調査」の結果
(1)「 装置」がつ くる"停 滞半径" 各 タイプの街路別「歩行 速度測定調査」 の考察 よ り、「装置」 が作 り出す "溜 ま り"の 大 きさが街路 における人の"滞 流 "に 大 きな影響 を及ぼ してる と考 え られた。 そ こで「街路全 体解析調査」 に再 び戻 り、その際「装置」 が作 り出 してい た、 "溜 ま り"の 大 きさ
(そ
れを
本論文 では"停 滞半径 "と 呼 ぶ ことにす る)を 測定 した。 その結果 をまとめ ると次 の よ うに なる。
(こ
こで、浅草仲見世型 の場合、 これ とい った「装置」 が無 いので この タイプの もの
は省略 した。) 表
:5-13
各街路 の装置 が作 り出す "停 滞半径 "
街路 タイプ
「装置」の種類
"停 滞半径 " (mm)
原宿表参道型
屋台
2000
上 野駅周 辺型
看板
1000∼ 2000
原宿住 宅街 型
遊技施 設
0
御徒 町 アメ横 型
屋台
1000
75
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
2、
「停滞半径測定調査」からの考察
(1)"停 滞半径 "の 差 を考 える 上図の結果 よ り、"停 滞半径 "な るものはそれ を4/1iり 出 して い る「装置」 の種類 に異 なっ ている と言える。 これは調企 で1供 り上げた露店、看板 、遊技施 設、露店 などが街路 に働 きか ける機能 の差 である。 つ ま り露店 は街路 に商空間を作 り、看板 は情報空間を作 り出 し、遊技 施設 は遊戯空間を作 る とい う空 1用 の差 であると言える。 そ して この空間が及 ぶ半径 が"停 滞 半径"で あ り、これは 1装 置_│ご とに異なるのである。
(2)空 間の重ね合 わせ では 「装置」が街路 内 に作 りだす力iた な空間、つ ま り"停 滞半径 "内 空間、あ るいは"溜 まる"空 ‖ ]が 、街路 に及 ぼす影響 はどう説明 されるので あろ うか ?こ れは街路内の"流 れる" 空間 との重ね合 わせ とい う形 で説明 される。そ してこの"溜 まる"空 間 と"流 れる"空 間が 重なった部分 において人 は"よ け る"と い う行動 をとるものだ と考 えられる。 よってこの 2 つの空間が重なる部分 を少 な くする ことによって、 は じめて"溜 まる"空 間 と"流 れる"空 間が、 つ ま り生活空間 と移動空 F」 が快適性 を持 って融合 され る と言える:
76
渡辺
仁史 研究室
卒業論文
□
第 6章
「装置」別考察
これ までの 1街 路全体ff/1析 調企 │、 「街路内
│‖
成副1杢 」、 「歩行速度測定調査」 、そ
"i面
して「停滞半径 測定調企 │よ りそれぞれ様 々な尉i果 と考察 が得 られ 、今 日の街路 において、 「装置」 とい う要素が最 も重要である ことが分 か つた。 そ してこれを各 タイプの街路 に含 ま れる「装 置」別 にまとめ る ことが必要 である。 つ まり街路 を「装置」 を中心 として「街路全 体解析訓企」 、 「街路内 Wi而 構成調査 │、 「歩行 速度速度調査 J、 「停滞半径測定 調査」 を 再 び捉 え てい こ うとす る ものである。
渡 辺 仁史 研究室
卒業論文
(1)原 宿表参道型街路における"露 店"と いう「装置」
写真 :6
原宿表参道街路の"露 店"
(A)"屋 台"と い う装置があると、4靖路 の人の"流 れ"は 遅 くなる。これは原宿型街路 において、特 に顕著 にり1わ れる。 これは"露 店"と い う「装置」が街路 に凸部分 を作 り、そ こで人を"溜 める"性 格を1寺 つためだと考 えられる。「歩行速度測定調査」 の結果 より、要 素ごとの平均歩行速度 を求めると下図のように、「装置」のある部分 で減少す る。 120
1∞
0 ω 4
させこ出錮t熱 ︵
80
多元的表層
78
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(B)"露 店 "と い う 1装 置」 が作 り出す停滞 半径 は、「停滞半径測定調査」 よ り、や く 2000m:nで あ つた。そ して この 2 0 0 0mnlと い う"溜 ま り"が 街路 の"流 れ"を 妨 げて い る。 これ を図 に表 わす と下図の よ うになる。
323
22 2
6-2
2 2
原 宿 表参 道型街路 、
79
渡辺
23
9
露店 "が 作 り出す停 滞 半径
仁 史 研究室
卒業論文
(2)上 野駅周辺型街路における"看 板"と いう「装置」
写真
:7
上 野駅周辺街路 の"看 板 "
(A)"看 板 "と い う 1装 置」が人の"溜 ま り"を 作 りだすが、 ここでは街路 内 に凹部分 があるため、"看 板 "に よってで きる"潔 まり"は "流 れ"の 妨げ とならない。 つ ま り"看 板 "の 持 つ停滞半径 を含み うるllll部 分 を「平面i形 態 │は 持 っているとい える。それが、 .こ の 5 8
街路 を通 る平均歩行 速度 にも現 われてい る。 4 8 3 8 2 8 ︲ 8 0 8 9 7 8 7
書■8楓錮専黙 ︵
7 7 6 7 5 7 4 7
多元的表層 図
:6-3 上
装置
野駅周 辺 型街路、 "看 板 "付 近の平均歩行速度
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
B)"看 板 "の 持 ってい る"停 滞 半径 "
2000mmで
は、 1000mm∼
あ り、上野駅
周 辺 型街 路 の凹部分 の深 さよ り小 さい ため、 そ こに"よ け る"と い う行動 が少 な く、それを 下 図 に示 す。
4
2 図
:6-4
2
5
2
上 野駅周 辺 型街 路 、 "看 板 "が 作 り出す停滞半径
渡辺 仁 史 81
研究室
卒業論文
(3)原 宿住宅地型街路における"遊 戯施設"と いう「装置」
写真
:8
原宿住宅地街路 の"遊 技施設"
(A)"遊 技施設"に はイ‖F半 径 がない とい うのは、 それが人を"溜 まらせる"こ とがで │り
きないのではな くて、そ こに"溜 まる"人 は"遊 技施設 "の 中に入 り込 んで しまうためだ と 考 え られる。 つ ま り、"遊 技施設 "は 街路内 におい て、人 を吸引 し、その中に"溜 まらせ る" 性格 を持 っているといえる。 それゆえ、その そばを通 る人は"流 れる"こ とを妨 げ られずの で平均歩行速度 も一 定 し、またイ 也の街路 に比べ て速 い傾 向 にある。 :20
100
0 0 6 4
︵ 金葛o ︶出用こ熱
80
装置
S2
渡i型
仁史 研究室
卒業論文
□ (B)"遊 技施 設 "に 停滞 半径 が内の で 、街路 内 の 人 の行 動 も、直線 的 になって い る。 ま た、"遊 技施 設 "に は人をその 中 に"溜 ま らせ る"要 因 を持 って い るが、 これは他 の「街路 構成装 置 Jに はない 要
ある。
2 2 2'1で2
停滞半径 =0 図
:6-6
原宿住 宅地型街路 、"遊 戯 施設 "が 作 り出 す停滞 半径 00
渡辺
仁史
研 究室
卒 業論 文
(4)御 徒町アメ横型街路における"露 店"と いう「装置」
写真
:9
御徒 町アメ横街路 の"露 店 "
‖ アメ杖オ (A)御 徒 「 i!街 路 の よ うに、広場的空 rJの あるところには、必ず といっていい ほ ど、"屋 台"や "露 店 "が 立 ち並 ぶ。そ してそれは、その街路 の人 の行動 に大 きな影響 を及 ぼす。今 肛1訓 企 した"露 り li"も 人 の"流 れ"に かな り、影響 を与え てい た。 そ してこの よ う な"屋 台 "に は多 くの人が関心 をよせ、人の"溜 まり"を 作 るのである。 また"露 店"が 街 路 を劇│1分 化するため、"溜 ま り"が で きるとそ こが通 りに くくなるため、更 に"溜 ま り"ふ あで きるのである。 つ まり"溜 ま り"が "溜 ま り"を 引 き起 こす性格 をこの場合 の"露 店 "
︵ 書■e運Hにヽ
5 ︲ 0 5 0 9 5 9 8 5 8 “ .7 .7 ︲ .6 .6 7 7 6 6
は持 っているので ある。
84
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
(B)"露 店 "と い う 1装 置」 のなかで も人が多 く"溜 まる"所 とそ うでない所 がある。 つ ま り"露 店 "の 中にも"溜 まり"を 作 らせやす い所 とそ うでない ところがある と言 うこと になる。 しか しなが ら、その停滞半径 が他 の「装置iJに 比べ て余 り大 きくなか ったのは、そ れが街路空間を劇│1分 化 してお り、人 の"流 れ"を 余 り妨げない よ うにするため であったと考 ぇ られる。
図
:6-8
御徒町アメ横型行路、"露 店"が 作 り出す停滞半径 85
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
□
第 7章
まとめ
■全 ての調 査 を通 じて
(1)街 路における「装置」の功罪 全 ての訂 J企 を通 じて街路 にお いては、 「装置 Jな る ものが 最 も人 を"溜 ま らせやす い "こ とが解 か った。 これ は今 まで いわれ て きた I街 路 にIJ部 分 が あれば人 は溜 まる」 とい う常 説 が 、今 日の街路 では もはや簡 ir.に そ うだ と言 い きれな くな って い る ことを示 して い る。 それ は今 日の街路 が様 々 な要素 で構成 され、特 に 1装 i■ │の 存在 が 大 き くな ってお り、 これ を無 「 視 しては街路 を言 liる ことがで きな くな ってい るか らであ る。 特 に 装 置」 は街路 内 に容 易 に 11活 行動 を発 Jiさ せ る要因 とな りうるのであ る。特 に本 論 文 移 動 以外 の行動 、つ ま り様 々 なイ
での"溜 まる"と い う状態 は まさ しく街路 内 の生 活行動 で あ る と言 える。例 え ば も し街 路 に お い てベ ンチ とい う 「装ri lが 置 かれたな らば、そ こは休息 の ための空間 となる。 また街路 に露店 とい う 1装 置_│が発 41し ただけで、そ こは商業空 間 とな りう るのであ る。 この よ う に 街路 にお いて 1装 ilJと い うもの は移動空 │11に 新 たな空 間 を発 生 させ る文字 どお り「空 間発 生装置」 で ある と言 え る。 つ ま り 1装 置i」 によ り、空 間 と空 間 の 重 ね合 わせ が可 能 なの で あ る。 しか しなが ら「装 i趾 │に はその よ うな有川性 だ け が あるので はな い。 「装置」 によ り街 路 内 に力iた に
"i留 まる"空「1が で きた とい う ことは 、"流 れる"と い う行動 の 障 空‖ ]、
`li活
" 害 を引 き起 こす こ とも本論文 の謝J企 ではりJら か になった。 つ ま り"溜 まる"空 間 の "流 れ る
空‖ 1へ の侵略 であ る。 今 日の 人や物 の移動 の迅速化 とい う現象 を考 えるな ら、街路 にお い て" 流 れ る"状 態 を妨害 す るこ とは避 け なければな らない。
(2)「 平面形態」が人の"滞 "と "流 "を 調停する ロ」 によつて、街路空間が限定 され ると生 じるのだ 街路 内 では"流 れ"と い うものは 「表リ が、それ では 1装 ti lに よってで きた"溜 まり"が その"流 れ"の 状態 を妨害 しない よ うに す るには どうす れば よいか ?調 査 によれば 「装置 │が 世 かれてい る部分 の「平面形態」 によ ・えた り、 ′ って人 の"溜 ま り"が "流 れ"に 影響 をり Jえ なか った りした。「平面形態」 の取
S6
渡辺
仁 史 研究室
卒業論文
り方次第なのである。 ここで街路 において「平面形態 」 は「装置」 をバ ックアップす る要素 で あると言える。例 えば lijl」7り (周 辺ι llで は 「 ll部 分 とい う部分 が、人の"溜 ま り"を 吸収 して い た。御徒町アメ横 型 では広場的空間が"溜 まる"状 態 を緩 していた この 和 。 場合「装置」 によってで きる"溜 ま り"の 大 きさが問題 になってい た。「装置」 に溜 まる人の 存在 半径 を" 停滞半径 "と す るな ら、その停滞 半径が作 る凸部分 の街路 に占める割合 を少 な くすれば 、そ の"溜 まり"は "流 れ"の Fiil害 とな らないの である。 つ まり「装 置」 ="溜 まり"と
"流 れ"
の融合 には、その停滞半径 が媒介 となっているのである。
(3)今 日的街路 を目指 して
今 日求められている街路像 を移動空 rり と生活空間、 つ ま り"流 れ"と
"溜 ま り"の 調和 の
取 れた街路 であ るとす るな らば、必ずそこに"停 洲:半 径 "と い う問題が浮かび上が って くる。 この"liり 洲:半 径 "は 街路 内 の 「装置 1に よって様 々で ある。 それゆえ 日街路 今 を設計 す る際 には、 この"停 滞半径 "を 算出す ることが非常 に重要 である。 "停 滞半径 "を 正確 に んで 掴 それに見合 った「平面形態 Jを 作 り挙 げれば、人 の"流 れ"と
"溜 ま り"を 設計者 は コ ン ト
ロールするこ とがで きる。街路 においてはある ところでは を"流 "、 人 し またある ところで は人を"溜 まらせる"と い う慮、うに適材迫所 な らぬ 、通材適 "行 動 "を せ まられることが 多 い。 この ように"流 れ"と
"溜 ま り"を コン トロールす る、あるいはできる とい うこ とが"
流 れ"と "溜 ま り"を 融合することにはかならない。その際 には必ず"停 滞半径"を 考慮 に 入 れ なければ な らな い ので あ る。
(4)建 築計 画 へ の 発展 視′ 点を都市 レベルから建築 レベルに変えてみると、街路は建築内においては「廊下」、 「通路」であると言える。解か りやすい例 として美術館 を挙げてみる。美術館においては 「通路Jが 「街路_│で あ り「壁_│は 「表lむ Jで あ り、「美術混:Jが 「装置 であるとい ふ 」 う うに言い換えることができる。特に美術館の計画│に 関 しては人の動 き、"溜 まり"と "流 れ" をコン トロールすることがせ まられる。 当然「装置l」 と言い換えられる「美術品」の 周 りに
渡辺
仁史
研 究室
卒 業論 文
` 人 の"溜 まり"が で きる。そ して それ らの "停 滞 卜径 "を 予測 してプランニ ング、つ ま り 「平面形態Jを 決定 していけば、人は美術館 内 においてスムー ズに美術鑑賞 をする ことがで きるのである。
88
渡辺
仁史 研 究室
卒業論文
■ 今 後 の展 望
(1)さ
らに街路 を把握す るために
べ´ 各「装 111ご との研 究 ∼
]む ためには、そ こに含 まれ ている「装置」 なる 今回 の論文で、今 日、街路 とい うもの を‖
ものの存在 を11視 で きない と言 うこ とが解 かった。 そ こで さらに多 くの街路 を把握するため に、街路 内に含 まれている様 々 な種類 の「装置_│に つい て、 そ れ らが街路 にどんな影響 を及 ぼ してい るかを求め る必要がある。本論文 で取 り上げた街路 の種類 は 5つ であったが、 これ をさらに発展 させる と、当然 そ こに含 まれ ている 「装置」 の種 類 も増え ることになる。「装 置」 の種 類 が えば、それが街路 に及 ぼす影響 も違 い、それ らの数は膨 大 にな りそ うだが 、 '生
仮 にこれ らの膨 大 な数 の 1装 置 │と それ らの街路 へ の影響 が あ る程度 パ ター ン化 で きれば、 「装置」 のパ ター ン化 が 能 となる。 1装 置Jの パ ター ン化 が可能 となればそれに合 わせた nJ‐
「平面形態J決 定 の有効 な手段 とな りうる。 つ ま り街路内 にあ る「装 置」 を持 ち込みたい時、 「装置」 のパ ター ンがllylか ってぃ れば、そのパ ター ンによって「平面形態」 が決定 で きると い うものである。 では「装置Jを パ ター ン化す る際の指針 となるものは何 か ?そ れが本論文 で最後 に求めた"停 滞半径 "で ある。 「装耀lJの パ ター ン化 とはその"停 滞半径 "ご とに分 類す ることに他 ならない。 「装inJ力 剤j路 に及 ぼす影響 とはその"溜 ま り"の "停 滞半径 " ではかれ るのである。 つ まり、"停 滞 lli径 "を 1装 置」 の基 準 として捉 え、 これ を分類す る
のである。では本論 で取 り上げた屋台、遊技施設、看板 といった物の他にどんな「装置」 が あるだろうか?fE柱 、道路標識、屑 かご、電話ボックス、自動販売機 など様 々である。そ し てこれ らがf/1iり だす"停 滞半径"を 割 りだ し、分類することは今後の課題 の 1つ として残 る であろう。
(2)場 所論 への発展 "溜
まる"と い う行 動 は街路 に よって様 々 な もので あ り、 そ れ をその街路特有 の もの と考
えるな ら、"i砕 まる"と い う行動 は その街路 に田 右 の場所性 を与 える可能性 を持 って い る。
S9
渡辺
仁史 りi究 室
卒業論文
そ して"溜 まる"と い う行動 を作 り出す要素が「装置」 であるとい うこ とと合わせ ると、 「装 置」 が場所性 を作 り出す とも言えるのではないか。 「街並 をつ くる道路 」 の著者 ジム・ マ クラスキー もその中で「優 れた街並 をつ くる とい うことは、場所 の感覚 を作 り出す とい う ことと密接 にか らんで いる。だか ら道路 に沿 って展 開される空間の動的性格 を抑 え、静的性 格 を増す ことを [1指 さなければならない │と 述 べ ている。 その よ うな街路 における場所性 と い うものが静的空間、つ ま り"溜 まる"空 rlに よって作 り出せ、 さらにその ような"溜 まる" 空間 と"流 れる"空 ‖ 1が 融合 で きるなら、「装 置 │が 場所性 を作 り出すか ど うか追求す るこ とはで きそうである。 もしその様 なことが可能 であるとうい うなら街路 に固有性 つ ま り場所 性 を与 えるこ とがで き、都市 のなかで街路 とい うものの持 つ役割 は我 々が今 日考 えてい る よ りももっと大 きく、それゅえ その街路 をつ くる とい うことは都市 にとって非常 に重 要 で ある と言える。特 に東京 の ような様 々 なものが混舌Lし ている、 カオステイックな都市の中では こ の よ うに、街路 に場所 1`卜 を見 いだ してい くこ とは、その混乱 さのなかに人の よ りどころを作 り出す とい う点 で有効 であるか もしれない。原広 司氏 は「東京 とい う都市 に どう対処す るか ?」 の間 に「均質 の 中に特共`点 を作 り出す」 と答 えた。街路 に固有性、つ ま り場所性があれば、 これは原リ ム司氏が述 べ た特共点 とな りうる ことがで きるのではないか。 この よ うに街路 にお ける場所性 とい うもの もまだはっき りと定義 で きてい ないが、街路 にこの場所性 なるもの を 見 いだ し、それを本論文 で述 べ て きた 1装 置」が つ くる"溜 ま り"に よってな しうるか ど う か調査 す ることは到i常 に11要 であ り、興味深 い│IJ題 である。
90
渡辺 仁史 研究室
卒業論文
□
第 8章 参考文献
「見えが くれする都市
│
槙
鹿 島出版
著
文彦他
祥 二、 GK研 究所
「都市の道具」
栄久庵
「街並をつ くる街路J
ジム・ マ クラスキ ー 六fFl 正治
「人間のための都市」
鹿 島出版
著
訳
パ ウル ハ ウ ンス 。ベー ター ス 河合
正一
「街路 の意味 J
竹山
実
「街並みの美学」
芦原
義信
「 ヒト、空「1を 構想するJ
原
著
鹿 島出版
訳
鹿 島出版
オ
岩波書店
著
広 司 、黒井
91
鹿 島出版
著
千秋
著
渡辺 仁史 研究室
朝 日出版社
事業論文
お わ りに 本論文 を書 くにあたつて、なかなか自分 の考 えが まとまらず、 どうにか書 き上げた感 じが する。今 日の街路 │IJ題 を取 り上げることは重要 で あ り、 また とても面 白い だろう。 そ して論 jJl待 だけで進めて きた感 があ 文 をすすめてい くうちに、な にかでて くるのではないか とい う
るが、終 わって振 り返 ると果た して新 しい ことを 自分 が論文 で研究 したか どうか考 えると怪 しい ところがある。 それで も何 日も学校 に とま り、書 き上げた充実感 は得 られた。 そ してこ れか らもこの よ うな充実感 を得 るために日々精進 しなければ と思 う。最後 に論文 が書 き終 わ るまで、親身 になって道先案内 を して くれ た修士 の水越 さん、その他 多 くの渡辺仁 史研究室 の諸先輩方 に感謝 の 意 を表 して、本論文 の終 わ りとする。
92
渡辺 仁史 研究室
卒業論文