0012 早閥田大学理工学 BIB贅 学科卒彙由文
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●●教最 渡辺仁鬼
不連続・ 身体・都市 :東 京現風景‐
福 地拓磨
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【不 連 続 状 態 の 分 類 】 実際の都市空間は、連続状態・ 不連続状態が複雑に絡み合 った総体 的なものと してあるが、ここではそ れを前提 としなが ら、様 々な角慶か らの分類化によって、都 市の空間か ら不連続な状態を抽出す る作業を 試み る。
[一 次 的 不 連 続 状 態 と 二 次 的 不 連 続 状 態 ] 都市空間で見 られる不連続状態を、自然発生的に生 じる不連続状態 と人為的操作によって生 じる不連続 状態に分ける ことが可能である。前者を一次的不連続状態、後者を二次的不連続状態とし、さらにそれを、 どの様な要因が不連続であると感 じさせるか、その要素によって分類 していく。
[空 間モデルによる分類]
不連続状態 とは、空間的な意味あ いを含んでいる。そこでそれぞれ不連続状態の空間的な特性を分類 し、 共存型不連続モデル・ 対向型不連続モデル・ 交差型不連続モデルの 3つ の空間モデルを提出する。さらに それ らのモデルが具体的 にどのような ものに多く見 られるか例示する。
[時 間 ・ 強 度 軸 に よ る 分 類 ] 人間が不連続状態を意識するにはその時間性と不連続の強さが最も意識の核を作る。そこで、都市空間 で見られる様々な不連続状態を、継続性・強度を軸として、その不連続状態をプロットしていく。
[一 次 的 不 連 続 状 態
]
自然発生的 に生 じる不連続状態を一次的不連続状態 と して取 り扱 う。さらにそれは、人間が活動を行 う 場所である地球 自体の 自然的な要素に現われるもの と、人間が生まれ持 って しまうものに分けられ る。
・ 自然 的な 要 素 に現 わ れ る もの 人間は、地上 に生活するようになって、大地を舞台 と して色 々な場所 に住みついた。その大地 には様 々 な 自然要素が作 り出 した不連続な場所があ り、これ らを様 々な方法を用いて連続化 してきた。しか し自然 が人間の手によ って克服 され、都市とい うものが作 り出された現在でもそれ ら自然が作 り出 した不連続状 態が、別の形の不連続状態を作 り残像的に現在の都市空間に現われている。例えば地形や川が作 り出 した 不連続状態は、道や橋 によって連続化 されたが、国境や人種を作 り出 し、各 々の個性や種的な保存を行 う 作用 として残 っている。
・ 人 間が生 まれ 持 って しま うもの 人間は、出生地や 出生する時代を選ぶ こ とな く生まれて くる。どこかの国に生 まれ、どこかの時代 に生 まれるのことを宿命 づ けられている。どこかの 国は何 らかの固有な言語や文化を持 っている。現代の都市 は、ボーダ ー レス化 とともに様 々な国の人が共存 している。多様な人種や多様な国籍を持 った人 々が共に 生活 し、異なる 習慣や異なる言語を持ち込んでいる。異な る生活習慣や言語の相違が、人の不連続を作 り 出す ことは明白である。相対する習慣や言語が もた らす様 々な軋鞣、例えば人種差別や人の位分け、 これ らの不連続 さに対する連続化が人類の歴史 と言 ってもいい くらいである。これ らの不連続を連続 化するた め に、他者の言語や習慣が学ばれている。 しか し現代で も様 々な不連続が数 多く都市 にはある。
不 連 続 状 態 を 感 じさせ る 要 因 。自然的な要素
川や海、地形の 高低差、温度、etc.
。人 間の 出生 的な要素
出生地の相違、出生年の相違、言語の相違、生活習慣の相 違 、 etc.
[二 次 的 不 連 続 状 態 ]
人為的操作によって生 じる不連続状態を、二次的不連続状態として取 り扱う。都市空間で見受ける様々 な人間の活動の結果として作られた、多くのものの不連続な田係である。それは不連続状態を感 じさせる 佃々の要因によって、さらにいくつかに分類可能である。
制度的な不連続状態は、 様々な人やものが交錯する都市の空間をあるまとまったものとするために、 ルー ルやモラルによって作 り出された不連続である. 時間的な不連続状態は、人間の様 々な生産活動によって生み出されたモノが作 り出すもので、新 しいも のと吉いものが上手く取 り合わず、放置されたような状態としてあるものである。これ までの近代の都市 というものは、新 しいものを次々に生み出していく社会的土壌を姜置 し、古いものは新 しいものに取 つて 変わられてしまいやすい。モノに刻印されてしまう作られた年代の相違が同じフレームの中に同居する不 連続な状態である。その他時間的な不連続としてあるものを待 つている状態を挙げることが出来る。 機能的な不連続状態は、空間の機能やモノの機能が何の関連性も持たないままに同じ環境に同居 してし まう状態である。 連続的な不連続状態は、あるものを連続化 しているものが作 り出す、別の次元での不連続状態である。
不連続状態を感 じさせ る要因 ・制度的な要素
目境、パブリシティー とプライバ シー、交通ルール、etc.
0時 間的な要素
年代の相違、バス・ 電車の待ち時間、etc.
0機能的な要素
空間機能の相違、モノの機能の相違、etc.
・連続的な要素
空間のベク トル性の相違、etc.
[共 存 型 不 連 続 モ デ ル ]
様々な無関係な要素が、ある一つのフレームの中に同居している不連続状態を、共存型不連続モデルと して取 り扱 う。 この場合のフレームは、構造を共有するものや外部の空間を含まな いものが挙げられる。
共存型不連続モデルを図示する以下のようなものになる。
フ レー ム
図 1:共 7型 存型不連続 不運親 モデル
フレーム :同 居 している一つの環境 要素 :機 能、ソフ ト、内容
このタイプのモデルの例 と しては、テ レビ、ラジオ、雑誌な どの情報的なものが 多 い。 建築的な例 としては、東京 に無数にある雑居 ビル等 はこのタイプである。さらに最近一人暮 しの定番的 なライフスタイルを支えるワンフ レームマ ンシ ョン等は、隣の住人がだれであるかな ど知 らない場合が 多く、 このタイプに属すると考え られる。
以下の写真 は、 この タイ プのモデル の例 を現 実の都市空間か ら抽 出 した もの で ある。
新宿繁華街 :同 じ建 物の中に全 く関連の無 い機能が同居 している。
渋谷雑居 ビル :上 下空間の 不連続 的風景、都 市的な集落 .
新宿繁華街 :空 き地的なスペースに販売機、コインロ ッカー、駐車場。
新宿繁華街 :テ レビというフレーム 内の情報的な不連続.
コ ンビニエ ンスス トアー :無 関連な情報の陳列棚。
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Cloく 、ifirnlinn
[対 向型不連続モデル ]
近くにあるものや向き合 ったもので、対照的な性質を持っているものの不連続な関係を、対向型不連続 モデルとして取 り扱う。 この場合のフレームは、近さとか風景的な重な りといったものである。
対向型不連続モデルを 図示する以下のよ うな ものになる。
フ レーム
要素
(11) ―――― ・ 境界 図 2:対 向型不連続モデル
フレーム :距 離的に近 くの環境 要素 :新 しい 。古い、大きい 。小 さい、 固 い・柔 らかい、速 い・遅 い、な ど
このタイプのモデルの例 と しては、極端 に新 しいものと古 いものが無計画に近 くに存在 して しま う東京 の街並みに多く見 られる風景的な 不連続な関係である。
Clossificotion
以下の写真 は、 この タイ プのモデルの例 を現 実の都市空間か ら抽 出 した もので ある。
代官山住 宅地 :生 活 の 中の不連続な風景。
新宿高島屋 :デ ッキテラス と不連続な貧 しい風景。
新宿高島屋 :新 しさと古さの不連続的風 景。
神保町 :交 差点をはさんで本屋街とスキーシ ョップ街。
高級 マ ンシ ョン :住 人以外立入禁止、強い不連続。
[交 差型 不 連続 モ デル ]
連続と不連続が交差するタイプのもので、あるものを連続化することであるものが不連続化されてしま うもの。異な る空間の ベ ク トリレが交差ある いは同居 して いるもの 。
交差型不連続モデル を図示す る以下のよ うな ものにな る。
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ー フレ ム 要素
ー
図 3:交 差型不連続 モデル
フ レーム :交 差す る地点 要素 :ベ ク トル性 のある空 間
この よ うな モデルの例 と して、交通の イ ンフラス トラクチ ャー や電話が作 る空間な どが挙 げ られ る。
Clcrqsif
icoiion
以下の写真は、このタイプのモデルの例を現実の都市空間から抽出したものである。
代 々木踏切 :連 続のための一次的不連続。
池尻大橋
:246号
線 によ って寸断 された
目黒川
新宿 百人町 :電 車 のための 高 い不連続空間。
新宿繁華街 :電 話使用 による近 くの人 との不連続。
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[時 間 ・ 強 度 軸 に よ る 分 類 ] 座 強さを示す強度軸 によつて分類 し、 都市空間でみ られる様 々な不連続状態をその継続性を表す 時間軸、 標 を作成 しプ ロ ッ トして い く。その 際、軸が表す不連続状態の継続性、強度 についての解釈を以下 に記述 する。
1)時 間軸 に関 して 不連続状態の継続性 とは、ある ものの接続 に関 して、それが変化 しやすいものであるか どうかを基 準 として いる。その時間が不定期 であつた り仮設的である場合 を瞬間性の高 いもの と し、構造物のよ うななかなか変化 しな いものを継続性の高 いものと している。
≠ 2)強 度 軸 に関 して 不連続状態の強度 とは、ある ものの接続状態が有す る境界の強 さに関する指標 である。空間の連続 性を遮 る構造物の大き さや、空 間の方向性、すなわち ベク トルの交差の角度 によつて決定され る性質 、 である。
【不 連 続 状 態 か らわ か る こ と一 考 察 】 これ まで都市空間で見 られ る様 々な不連続状態を分類化 してきた。ここではこのよ うな不連続性か らど のよ うな ことが見えてき、現在の都市の問題 とな っているかを考察 していく。考察する項 目として、 「良 い 「切 り刻まれた都市空間」 「悪 い不連続」 不連続」 「プロ ック化 と機能集 中」 「均質化 と多様化」 「情報化 と不 連続」「不連 続 と身体」を挙 げている。
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[良 い 不 連 続
Cnnci.larntinn
]
不連続 さといって も、良いもの と悪いものがあると言える。 例 えばモラルが作 る不連続。パ ブ リックとプライ ベー トを分ける不連続 多くの ヒ トが生活する都市空間 では、社会的なモラルを保 っていくために、所有者 とその他の人を分 ける必要があ り、空間の不連続、い わば内部 と外部 に分 ける必要がある。このよ うな社会的な不連続性は社会を円滑化 して行 くには良 い不連 続 と考え られる。ただ し、一般的にはこのよ うな不連続性が 良 い意味を持 っているが、空間を内部 と外部 に分 ける ことが社会 において様 々な密室を作 り出 し、外部 と内部のギ ヤップが大きな社会的問題 として浮 き彫 りにされることも併記 しておきたい。 例えば、時間の不連続。人は朝 に起きて昼間活動 し、夜は眠る。 この よ うに一 日の時間を分類 したよ う な時間の不連続性は、多くの人が集 う都市では リズムを作 り出 し、良い不連続としてとらえることが 出来 る。 その他、交通を円滑にするための不連続 もモラフ レが作る不連続 といえる。一方通行や進入禁上、時間的 に不連続を入れ替える信号機な どである交通の円滑化という社会的機能を担っている点でよい不連続 と言 える。
これ らのモラル的な不連続性は、複雑な都市環境では良 い ものとして とらえ られて行 くべ きで、都市 に 入 り乱れた邪悪 さや、錯綜 した人間の欲望を一つにまとめてい くル ール として機能 していると言える。
[悪 い 不 連 続
]
例えば、言語が作 る不連続。言語は地球 という一つの惑星を幾 つかの言語 によ っって分けてきた。 この よ うな分離化が 多くの歴史的な争 いとして 発展 している。言語の不連続は人間の コミュニケ ー シ ョンの連 続化にとって最 も困難な問題のひとつである。 例えば、風景的な不連続。東京 という都市 はカオス 的だと言われ、この よ うなカオス性を賞賛する向き がある。 しか しこのカオス性 は、時間的な 不連続性すなわち、古 い もの と新 しいものが共存 していくよ う な性質を備えていな い。風景的な不連続が新 しいもの と古いものの対立的な状態を生 み出 し、活力を与え ていくというのが理想 的な不連続であるが、そのよ うな不連続を都市空間に持ち込んだ として も、多くの 場合、古 い ものはやがて新 しいものに立場 をとって変わ られる運命 にある。 風景的な不連続状態を巧み に都市計画に取 り入れた例 として、 OMAが マスタープランを担当 したユーラ リール計画がある。この計画では、都市機能 的に老朽化が進み人 口が減少 しつつあ った リール に活力を与 えるために、地形 的に低 い部分を新 しい計画 とし、古 い街か らいつ も新 しい街が見下ろせ、リール全体に 活力を与えていくということを コンセプ トと している。 例えば、交通イ ンフラが作る不連続。大きな幹線道路や 。高速道路 。電車路線 。な どの交通のイ ンフラ ス トラクチャー は、その線的な「流れ」が、強 い軸性 を持ち、それ に直行する方 向性を持 つ都市の「流れ」 を妨げている。
悪い不連続 とは、不連続であるが故にますます異なる要素が孤立化 していく都 市の性質を加速 させた り、 そ こに住み働 く人間の意識を貧 しくしていって しまうよ うな力を持 っているといえる。
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[切 り刻 ま れ た 都 市 空 間 ]
都市空間は、人やものを運び込み、運び出 し、生活を円滑化 していく働きを持 つ交通のイ ンフラ、大き な 自動車幹線道路・高速道路・電車路線 。な どが至る所 に張 り巡 らされ、我 々の生活の「流れ」を支えて いる。しか しそれ らの構造物は、 「流れ」であるか らこそ空間的にベ ク トル性を持ち、その ベ ク トルの持つ 方向性が他 の流 れの方向性を妨げて しま う働きも持つ。都市での生活を 円滑化する力を持ち、様 々な要素 を「流れ」によ って結びつけなが ら都市空間を切 り刻んで細分化 して しまう働きも持つ。K・ リンチが言 う と ころの 「エ ッジ」が都市空間の至る所 に張 り巡 らされている。それ らは概 して大きな構造物であ り、複 雑 に入 り乱れたインフラは、至る所 に不連続地点を作 り出 している。現在の都市は このよ うにして出来た 不連続点が様 々な断片を断片のまま放 置 して しまうものとして 出来て いる。 この ような断片化 として衛区形成すなわちプ ロック、 化が挙げ られ る。大きな通 り、 や鉄道路線や高架 の構 造物が、住宅地やオフィス街や歓楽街 というようなまとまった街区を形作るのである。これ が空間の機能 集 中を引き起 こ しブロ ックとプロ ックどうしの不連続性を作 り出す。このよ うな空間機能の集中化 によっ て突如周囲の風景と趣を異 にした街並みが現われる様な ところがあった りする。例えば西新宿の高層 ビル 街 、秋葉原の家電 シ ョップ街等である。 、銀座や丸 ノ内のオフィス街な どはそぐそばにあ るに もかかわ らず 異なる風景を持 っている。このよ うな街 は 自然発生的に生まれるよ うな街 もあればそうでな く計画的に作 られたような ものもある。ブ ロ ック化や空間機能の集 中化の問題は、例えば丸 ノ内のように休 日には全 く 人が いな くな って しまった り、西新宿の高層 ビル街 のすぐとな りのプ ロ ックに小 さい一軒家があった りす るよ うに、プロ ックの孤立化や周囲との不連続 さを作 り加速 させて しまうことである。 このような街 区のプ ロ ック化と空間機能の集中化は、交通のイ ンフラによって切 り刻まれて しまった現 在の都市の姿を浮かび上が らせている。
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[均 質 化 と 多 様 化
]
現代の都市は、ど こにいって も同じ様な ものや情報が手に入 り、様 々な人が 24時 間動き続け、それを 支えていくよ うにできている。コ ンビニエ ンスス トアーはどこにいってもあ り、同 じ様な ものを陳列 し、た とええ夜中に欲 しいものがあってもいつ も明る い蛍光灯を灯 し続け何かを売 って くれる。ものや情報は、 都 市の隅 々まで行き渡 り時間も選ばない様な空間がある。そ ういう意味では都市空間は均質化 しているとい える。均質化 とは、よくいえば平等化であ り、悪 くいえばアイデ ンテ ィティーの喪失である。我 々の住み 着 いている現代の都市は、消費活 動が都市機能の大きな基盤を作 り、それを成立させるための流通が もの や情報を均質化 させている。このよ うな均質化とは、都 市空間その ものが連続化 していることを示 してい るのではな い。 これ まで様 々な不連続状態を見てきたよ うに、 均質化 とは反対の ことも起 こっているといえるのである。 プロ ック化 による機能の集中は、よくいえば街 の個性 を作 りだ し都市全体は多様化 し、悪 くいえば断片化 された ものがそのまま放置 されて しまって いるので ある。 連続 と不連続が同居する複雑な回路によ って出来上が った都市空間は、いわば均 質化 と多様化が同時進 行 しているという、その矛盾性 によって成 立 しているといえる。
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[情 報 化 と 不 連 続 ] K・
リンチがその著書「都 市のイメー ジ」において注 目した都市の不連続性は、都市の構造物 と人の意識
や動きの流れ との関係であ った。都市空 間における交通のイ ンフラス トラクチャーが 「エ ッジ」と して不 連続点を生み出す働きを しているというものであった。 この「エ ッジ」という概念は、これ までの都市空 間をイメー ジするときにかな り重要な概念であ り、今で も十分効 力を持 ち、そのよ うな大きな構造物が都 市にはあち こちにある ことが認められる。これまでの大きな都市の空間像 には必ず といっていいほど、も のや人が この「エ ッジ」という交通のイ ンフラス トラクチャーを利用 しているような 動き回 っているイメー ジがあ った。 これ に対 して今現在、多 くの人が口をそろえて論 じる明るい都市の未来像として、情報化が進んだ都市 空間はあ らゆる場所 に不連続性がな くな り、コミュニケ ー シ ョンが行われているよ うな ものが語 られてい る。 しか し、これ まで出来上がってきた都市の過程を振返 って見れば、連続化 と不連続が同居 しているよ うに、今後の都 市が いかに情報化の道、すなわち連続化の道をたどった と しても、これまでのよ うに不連 続な地点は必ず形成 されると思われる。 では情報が主導権を握 っている都市の不連続状態 とは何であるのか。都市の情報化 といって もそれ は現 在の都市の基盤の上 に成 り立 っていくものであることを考えれば、それ は これ までの不連続 と深 い関わ り を持 っているといえる。情報のインフラは現在の都市の機能的な優先順位の上に引かれ、これ までの重要 な情報 の処理機関であるとか教育施設であるとかは、比較的高度な情報経路が形成 され、住宅であるとか これ まであま り重要でなか ったような場所 は、そのよ うな高度な情報経路を必要 と しない。つま り、情報 に接する機会 に大きな偏 り、すなわち不連続点を作 って しまうといえる。さらに個 々の人間を視野 に入れ たと しても、同 じことがいえる。コンピュ ーターや情報機器はそのイ ンター フェースが難解 であれば難解 であるほど使用が困難であ り、 慣れな いものにリテラシー 的な不連続状態を作 って しまう。ばらば らになっ て しまった現在の都 市を再び連続的な もの にする力が情報 にあるな らば、計画者は この ような情報が作 り 出す不連続性 に注 目すべ きである。
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[不 連 続 と 身 体
Consiclerntion
]
不連続 とか連続 とい う問題 は領域論 的な 問題 を含み 、それ ゆえそれ を対象 と した分類や考察 は、あるフ レー ムを必要 とする もので ある。この フ レームの 設定 の仕方 によ って、考察の対象 とす る不連続 とい う意 味合 いも異な って くるが 、逆説的にわれ われが生活す る都市空間で は、このよ うな フ レームが錯綜 した状 態 で存在 して いるこ とが判 る。コン ビニ エ ンスス トア ー の 中にフ レー ムを設定 すれ ば、入 り回近 くの雑誌 コー ナ ー には全 く関係 のな い情報が 一 緒 に陳列 されて いた り、外 に出て フ レームを 設定すれ ば、 コ ン ビニ エ ンスス トア ー の隣 りに宝石屋が あ った り、もっと大 きな フ レー ムを用 意すれ ば、街全体 で は連続 的な要 素が並んで いて も、隣の街 とは全 く風景が異な っていた りする。 この よ うに錯綜 した不連続 さが、 フラクタル に連続 した もの と して都市が成 り立 って いる こ とが判 る。 我 々 の住んで いる都 市の空 間 とは、ま さに不連続の塊 で ある。 この よ うな場所で何故 我 々 は生活する こ とができるのか。それ は、我 々が不連続な組み合わせや対 立的 な ものを身体 によって繋 ぎ止めているか らだ といえる。 しか しその身体 にも限 界が あ り、そのよ うな限界 点が表 に出て くるとき に都 市 は不連続で あ ることを露 呈 するのである。自分 の住んで いる家のす ぐとな り に、全 く関わ りのな い不審 な建物があ る こ とで、それ を ど うにか身体 で繋ぎ止 める こ とでス トレスがた ま るよ うな 問題 な どは、ま さに不連続 を身体が 受け止 め られな いままに放置 され ている状態 で ある。ある い は都市 とい うものは、一 つの まとま りや集 合なので はな くば らば らな ものを身体で繋 いで い く こ とが都市 出ある と感 じて いるのか も しれな い。 どち らに して も、不連続 が 身体 によって繋がれな い様な状態 は、都市の空間の不幸であ り、そのよ うな都 市 は人間を不幸 に して い る といえる。
【今 後 の都 市 空 間 へ の 展望 】 ここでは、今後への都市空間に対する展望として、今まで見てきた数々の都市空間にある不連続状態 に 対 して、計画的アプローチとしてどのようなモデルが理想的なものと して提出できるか考察する。
[不 連 続 と 都 市 空 間 ] こうして見て くると都市空間には不連続な ものが数多く見 られ、しか もその出会 い方があま りにも唐突 な場合が多 い。全 く関係な い機能の隣接や並列は空間の合理的な使い方か ら生 まれて しまう。限 られた都 市の空間を有効 にムダな く使 うことでこの よ うなカオス的状態が生まれて しまう。しか し様 々な無関係な 要素が複雑な経路 によって様 々な種類の連鎖を作 っている現実の都市では、あ らゆる ことが繋が りを持 っ てまとまることは不可能である。 このよ うな都市空間の性質 に対 し、よ り質の高い、不連続 さの少な いま とま りのあるよ うな都市空間を望むな らば、計画者はどのよ うに都市を計画す べきなのであろうか。 これ までの都市空間で見 られ る、お互 いに不連続のな ものどうしの出会 い方をおおまかに図式化すると、 要素同士が距離的に隣接 した状態で出来上が った図 4の よ うなモデルが提示 できる。
図 4:こ れまで不連続モデル
全 く関係性を取 り合おうと しない異なる要素がすぐ隣に接 している状態であ り、この よ うに関係が希薄 なままに放置 されて しまっているものは数 多くある。この よ うな関係性の希薄 さか らは何 も生 まれて こな いといえる。関係の希薄 さが連続的にある と、個 々の ものが主張 し、ノイズ的になる。あるいは、ただ単 にばらば らな ものが連続 した状態であるだ けである。これがいわば現在の都市環境であるといつていい。こ のよ うな環境か らは統一性や連続感は全 く生まれて こな い。 18
しか し都市空 間 に人間が コ ン トロール しきれな い様 々 な要素が入 り込み 、様 々な不連続点 を形成 して し ま うの はさける こ とのできな い状態であるが 、これ らの不連続な出会 いを人間の 身体だ けで受 け止めて し ま うのではな く、ま さに都市 にに空間を作 って いく計画 者 が それを受け止めて空 間化 していかな けれ ばな らな い。ここで一 つの解答 を提示するとすれ ば、不連続な もの どうしが 出会 う中性 的な場 を作 る こ とであ る。 図式的なモ デルで示すな らば図 5の よ うになる。
中性 的な場
図 5:中 性 的な場をは さん だ不連続モデル
異なる要素同士の出会 う隣接点 に、どち らにも属 さな いよ うな中性的な場所を設けることで、人間の身 体が不連続な ものをつなぎとめて行けるよ うな、 行為や感覚の移行の場を提供 していくことだ といえる。具 体的な空間要素で言えば、建 物 内部のヴォイ ドであ り、オ ー プンスペースであ り、都市的な要素 と しては 公園のよ うなものである。このよ うな空間の ヴォキャプラ リーを都市空間にばらまくことで、この場 に隣 接す る要素が流れ込んだ り、異なるものや対立する要素を調停 していける。ば らな らな要素を繋ぎ止めて いける場を作 っていくことが、今 後の都市 には求め られて いるといえる。
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