歩行者流動の指標化に関する研究

Page 1

博 士論文

歩行者流動 の指標化 に関す る研 究

1997年 12月

早稲田大学大学院 理工 学研究科建設工学専攻 佐野

友紀


は じめ に わが 国の歩道等 を規定す る道路構造規格 につい ての定 めは、明治 19年 の道路 築造基準 に始 ま り、昭和 45年 の道路令改 正 まで、幾 多 の 変遷 を遂 げて い る。こ の 中で 、歩道 については、実際 の群集流動 の分析 にそって、総合的かつ体系的 に基準 が定 め られた とい う事 はな く、道路 の総幅員 の 6分 の 1と す る方法、あ るい は歩行者 一 人当た りの 単位通行 量幅 をo.75mと して決定す る方法 な どが と られて きた。この様 な状況 を改 善すべ く、歩道幅員 の 総合 的かつ合理的な計画・ 設計 方法 の確立 に資す る こ とを 目的 として、群集流動 の実態 を調査解析 して き た。 また、歩行者交通 に とって重要 なのは、交通容量 とい う量的な限界 ではな く、歩行者 が交通流 の 中 で 享受 しうるサ ー ビスの 質が 問題 となって くる。また、 鉄 道駅 の歩行空 間 にお いて も、駅利 用者 は駅 の機能評価 にお いて 、「歩 きやす 。 さ」 をかな り重視 して い る にもかかわ らす、それ を計画 設計時 に検討 で きる よ うな評価方法 はこれ まで の ところ必ず しも確立 され て い ない。その一端 をに な う言語表現 に関 しては、使 われ方 が まち まちで体系的 な整理が求 め られて い る。 また、群集流動 は、 自動車交通 に比 べ て非常 に挙動 の 自由度 が高 く、歩行 者 の相 互的変化が即時的、直接 的 に挙動変化 に表 れて くるとい える。その為、従 来 の手法 では ミクロな解析 が困難であ った ことか ら、従来 の研究 では定常 的で 特徴 的 な流動 を とりあげ調査・解析 を行 って きた。以上 の ことか ら、群 集流動 の様 々 な状態 を ミクロな視点か ら把握す る手法 を提案す ることは有効 であると い え る。調査対象 として は、日常的 に群集流動 の混乱 がお きてい る駅空 間 と、歩 行者 の交通量 が 多 く、 また、沿道 の土地利 用 が 多様 で 、計画・設計上 の課題 の 多 い東京 の 中心部 の歩行 空 間 を選択 した。 本研究 では 、時 間毎 にデ ー タを観測 し歩行 の状態 を数量的 にとらえるのでは な く、個人 の歩行軌跡 の 集 合体 として群 集流動 をとらえることによつて、概略 的 に群 集流動 を解析す る。 また、座標系 に時間 の軸 を取 り入れた三次元 モデル を用 い て、歩行者 の流 れ 。交錯 を視覚的 に表現 し、そ の上で定量的 に解析す る 手法 につい て述 べ た。 本論文 は、群集流動 を記述す るモデ ル を用 い て歩行者 の状態 を把握す る手法 を提 案 した もので ある。本論文が今後 の群 集流動 か ら見 た建 築計画発展 の一助 となれば幸 いで あ る。 筆者

1997年 12月


本 論 文 で 用 い られ る 用 語 の 定 義 ■全体 ○人間(man) 。歩行者 :人 間が歩行す る場合 の個 人、集団 の総称 歩行者流動 :単 独歩行、群集 流動等、歩行者の流 れの総称。 1:人 間 を集団 として とらえた もの ・群集 ネ 群集歩行(pedeSthan wak):一 つの歩行空間内で 、多数 の歩行者が互 い に心理的、人 間工 それぞれの目標 に向か って 学的 な影響をその歩行行動 に及ぼ しあ いなが ら、 歩行す る群集歩行現象 群集流動(pedeStHan■ ow):群 集歩行 を、歩行者 の 単一の流れあ るいはい くつかの流れの *2 交錯 としてとらえた概念

0行 動(BchaViOr) 。歩行 歩行 (wJk):人 間が足 を使 って進 む状態。本論文で速 く歩 く状態 として走行 も含め る 歩行軌跡(pcdeSthan locus):人 間 が 歩行 した履 歴 を線分 と して表 した もの 。頭 の 位置 の X,Y座 標 を歩行 者 の位置座標 を代表 す る値 として用 い る 歩行 空間(pedeStHan space):人 間が移動 す るため の 空間 。流動 流 れ(■ Ow):同 一の 日標 に向 か つて、ほぼ並行 した動線 を描 い て歩行す る歩行者群 の列 が 持 続 す る現象 を、歩行者 の生 物個体 としての形態 を捨 象 して、歩行 空 間 を満 たす流体 として と らえた概念 滞留 (queuC) :~つ の流 れ の ある断面 にお い て 、そ こへ 上流か らの 流 入流率が 、そ こ か ら下流 へ の流 出流率 を上 回 つて い る状 態 ・ 群集流動 の 分類 一 方向流 :群 集 が 一つの流 れで形成 され る流動 対 向流 :互 い に向か い 合 う分離 した 二つの 流 れによつて形成 され る流 動

:い くつかの流 れの交錯 に よつて形成 される流動 交差流 :二 つ の流 れの交差 によつてお こる流動 :対 向す る群集 が相 互 にほぼ平行 な数条 の帯状 の流 れを形作 る流動 層流 交錯流

・対象空間

解析対象範 囲 :歩 行者 の軌跡 を調査す るため に設定 した範囲。本研究 では 、Vη Rに よつ て撮 影 した空間 の 中か ら、5m*5mの 範囲 を設定 し、一定 時間内 に通過す る 全 歩行者 の歩行 軌 跡 を抽 出す る 解析対象時 間 :調 査対象 か ら、解析 のため に歩行軌跡 デ ー タを抽 出 した時 間 解析対象 立体 :解 析対象範 囲 を時 間軸 の 方向 に解析対象 時間 の長 さを とった直方体。こ の立 体 の範囲内 に解析 す る全 歩行 軌跡 が存在す る 。空 間 -時 間系歩行軌跡 モデ ル 解析 始点 :解 析 対象空間 に歩行者 が進 入 した直後、は じめて調査対 象 と して観測 された


解析 終 点 :解 析 対象空間か ら歩行者 が退 出す る 直前 に、調査対象 と して観測 された点 直進歩行 :人 間が外 的 な要因 に よつて 影響 を受 けな い際 の 歩行。この 場 合、人間 は直線 上 を等速度で歩行 す る と仮定 す る 歩行 の 基準線 :人 間 が 直進 歩行 を した と仮定 した際 の 歩行 軌跡。歩行 の 解析始点 と解析 終点 をむすぶ直線 で 表 され る 歩行軌跡 の三次元表示 :平 面 移動 を xY平 面、時 間 をz軸 に と り三次 元的 に表現 した歩 行軌跡 。空 間 ―時 間系 モデ ルで用 い られ る歩行軌跡 の表現 基準線 方向 :直 進歩行 によ つて進 む方 向。歩行 の 基準線 の 向 か う方向 とす る 基準線 鉛直面 :XY平 面 と垂 直 で、歩行 の基準線 を含 む鉛 直面。 ・ 交差 立体可視化 モ デ ル 歩行領 域 :人 間が 歩行 を行 う際 に他 の 人間、障害物等 の接触 を避 け るため に とる他者 と の 間隔 :平 面 的な歩行領域 を解析対象 立体内 に円柱 と して表現 した空間領域。本 域円柱 歩行領 論文 で は 、歩行領域 は頭 の 位置座標 を中心 とす る直径 90cmの 円 とす る。 交差 交錯

:人 間の動線 、歩行 領 域等 が交わる こ と :一 般 的 には、人間が接近 す る ことによ り移動方向・歩行 速度 を変更 し、心理 c

的、物理 的負担 を受 け るこ と。本論 文 では 、特 に群 集密度 の増加等 に よ り歩 行領域 が交差す る状 態 を い う。 ・ 歩行 を表現す る数量的指標 歩行速度 (waking speed):個 々の 歩行 者 の移動方向 へ の 単位時 間当 た りの 移動距離 (m/ 秒) 群集密度 (pedeStnan dcndty):歩 行 空 間内 に単位 面積 あ た りに存在す る歩行 者数(人 /m2) 流動係 数(■ ow v01ume):流 れの 方向 に垂 直 な単位 幅 の断面 を単位時 間 当 た りに通過す る 人数 (人 /m′ 秒 )一 様 の密 度 ρを持 つ流 れが流 速 vで 流 れ て い る定常流 とみ なせ る断面 にお い ては、そ こでの流動係数 Nと す る と N=ρ ・vが 成 り立 平均 歩行速度 :解 析対象空 間内 にお ける解析単 位時間 (0.5秒 )毎 の 各歩行者 の歩行速 度 の 平均 値 時 間平均群集密度 :従 来 の 群 集密度 は 、あ る瞬 間 におけ る値 として 用 い られてお り、 群集密度 =対 象空 間内 の 人数 /調 査 対象 面積 で 表 されて きた。本研 究 で は 、対象空間 として、あ る継続 した一定時 間内 の 人間 の行動 につ い て述 べ るため、一定時間内 の 空間内 の 延 べ 人数 を算定 し、 時 間当 た りで平均 した数値 を用 い るっ 時 間平均群集密度 =調 査 時間内 の対象空間内 ののべ 人数 (プ ロ ツ ト数 )′ 解 析対象面積 /解析 時 間


*1ぐ んしゆう「群集」「群衆」 人が集まった状態を「 ぐんじゅう」と表現するが、この最 も基本的な用語で さえ、二 「集 まる」とい う字 を用いた「群集」であ り、も 通 りの漢字が用 い られている。一つは、 「大衆の衆」の字 を用いた「群衆」である。従来、建築人間工学の分野にお う一つは、 いては、体系的 な用語の整理が行われていない。特 に、歩行者の行動 を記述する表現に ついては、論文、著作の冒頭 に説明を記 して示 してある例 もあるが、体系だった整理が 行われていない現状がある。また、これらの語の意味 は非常 に似通 つてお り、それぞれ の語 を使い分けると言うよりは、各研究者 ごとにどちらかの用語 を選択 して用いてい る。その為、歩行者流動 をとらえる概念 としての意思統 一が図 られていない。ここでは、 このような現状 をふまえて、 過去の論文 における歩行を表現する用語の用い られ方を整 理す る。 群集 :人 や生物が多 く集 まることおよび集団。 群衆 :群 が り集 まった人々の意味で、人以外 には使 わない し、動詞 として用いること はない。 1)

日本建築学会 においては、群集歩行速度・群集流 とい う言葉を続一 して用いてお り、 群衆 とい う言葉 は用いていない。3 「多人数、群が り集 まること、または 古 くは「群集」 と書いて「 ぐんじゆ」 と読み、 ` 「群衆」と書 くのが正 し その人々」をさす言葉 として使 われていた。 (中 略)群 集は、 、、“ い とい う意見 もあるが、上記のように古 くから群集の文字が用い られている、 群集歩行 は、幅の制約を受けた集団歩行である。幅の制約がなければ、集団歩行の一 団は、前進方向の障害をさけて、い くらでも自由な場所に広がることが出来る。幅の制 約があつても群集密度が 1人 /m2ま では.自 由に追い抜 きが出来るので、様 々な歩行者 5) の 自由な流れである。群集密度が 1.5人 /m2を 超えると、追い抜 きは困難 になる。 「集団」であ るが、これは予減1の 対象 となる歩行者の一団のことで、その密度は問わ 定の値 を超えることによつて、人々が 「集団」においてその密度が 一 ない ものとした。 歩行す る際に、他の人の、あるいは通路形態等の影響 を受け、自由に歩行できない状態 が「群集」であ ると考 えられるc6' 1976年 から 1996年 の日本建築学会計 画系論文集、大会学術講演梗概集、各支部研究

報告、建築雑誌 に投稿 された文章の題名において、 「群集」 を含むもの :88件 「群衆」 を含 むもの :24件 であつた。 また、他学会 においては、テレビジ ョン学会、情報処理学会において各一編、人間の 集団 として「群衆」を用いた論文が見 られた。その他、日本昆虫学会、日本生態学会、 日本陸水学会な どにおいては、動物、植物、昆虫の集 まりとして「群集」を多数用いて いる例が見られた。


このように、学会によつて、または、個人によつてどちらかの文字 を用いている例が 「群衆」を用 いている場 多 く、意味 を使い分けている例は少ない。 一般的な意味では、 「群集」を特別な意味 として用いている例が多い。本 合が多いが、建築分野 においては、 論文では、 このような点 をふまえて「群集」を用いるものとする。 :)大 野晋 ・浜西正人 :類 語国語辞典、角川書店、 1985 2)日 本建築学会編

建築学便覧 I 計画

丸善 1980

日本建築学会編 建築設計資料集 正 丸善 1983

'大 槻文彦 :「 大言海」お よび新村 出編 :「 広辞苑」 う 岡田光正 :「 空間デザ インの原点」理工学社 1993 '戸 川喜 久二 :群 集流 の観察 に基づ く避難施設 の研究 、学位論文、1963 。 吉田克之

建築計画 における避難行動予測に関す る研究 学位論文 1991

*2人 間行動 における群集流動 の定義 建築人間工 学 は成立 人間の行動 を設計 にフ イー ドバ ックす る とい う姿勢 に基 づ いて、 した。そ の 中 で 、ここで は人 間が集 まる場所 での歩行 の態様 の研究 を行 う。そ の 前段階 と して、本研 究 で用 い る基 本的 な用語 の定義 を行 う。従来、人間の行動 、特 に人 間の歩 行 を扱 う分 野 にお い て、多数 の 人間 の流 れ を「群集流動」と言 う言葉 を用 い て 表現 して

」 きた。戸川 は「歩行者の群集密度が0.3人 /m2を 越える と自然発生的に左側通行 になる。 として群集 の特性が表 れる閾値 に関 して述べ てい るが、この言葉 を含めて群 集 の研究 に 用 い られる言葉は、その人 間の集合、態様 によ り使 い分けられてお り、その用法 は体系 的 ではな く曖味なもので あ る。そ こでまず本論文 における これ らの言葉の用法 の整理 と 定義 を行 う。 歩行者 :一 人の人間を個 人、複数 の人間の集団 を群集 とす る。歩行す る人 間 の総称 を 歩行者 とす る。 行動 :一 つの方向へ 向 か う単独あ るいは集団 の移動 を歩行、い くつかの歩行 が集 まっ て影響 しあ う状態 を流動 とする。 群集流動 は、これ らの位置付 けの中で「群 集」が「流動」する状態 として以下の表 の ように位置 づ けられ る。 表 1 群集流動 の定義 歩行者

行動

流動

歩行

詳集

個人

意味

全体

人間の 集団

一 人 の 人間

全体

歩行者行 動

群集行動

行動

人 の間 集 の 歩行者流動 合流 オし 個 別 の 歩行 移 動

群集流動

群集歩行

個 人歩行


目次

1.序 論 1.1研 究背景 。 ………………………………………………………………………………………1

1.1.1 関連す る既往 の研究 .… ……………………………………………………………・ ・2 1.1.2 人間行動 の研究 .… ……………………………………………………………………2 1.1.3 視覚化手法の研究 。 ・4 …………………………………………………………………・ 1.2研 究 目的 .… ………………………………………………………………………………… 7 1,3 研究概要 .....・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨¨ ・ ・¨“¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・"・・ ・ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・¨ ・¨ ・ ・ ・“¨ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・"¨ "・・"・・8 ・ ・ ・ 1.4ま とめ `… ……………………………………………………………………………………・ ・9

2.言 語 表 現 に よ る 歩 行 行 動 の 状 態 把 握 2.1 言葉 による歩行 の表現 Ⅲ ………………………………………………………………… 12 2.1.1 言葉を用 いた人間行動の表現 .… ………………………………………………・ ・ 12 2.2 映像実験 を用 いた言葉 の定量化 .… ………・……・…………………………………… 14 2.2.1 言葉デー タの収集 .… ……………………………………………………………… 14 2.2.2 調査 1 言葉の使われ方調査 .… ………………………………………………・ ・15 2.2.3 調査 2 映像 を用いた言葉 の印象調査 .… ……………………………………・ ・ 21 2.3 フ ァジィ理論 を利用 した言葉 と定量的指標 との対応 .… …………………………・ 25 2.3.1 ファジィ理論 の基礎 .… …………………………………………………………… 25 2.3.2 メンバー シップ関数 の一致度 .… ………………………………………………・ ・ 26 2.3.3 言葉のメンパーシップ関数 の作成 .… …………………………………………・ ・ 27 2,3.4 言葉 の類似性 .… ……………………・………………………………………Ⅲ ・28 ……・ 2.3.5 言葉の認識 のばらつき 。 …………………………………………………………… 36 2.3.6 言葉 と数値データの関係 ...・ ……………● ● ●・ ● ● ち・`… … ・ ● ● ● ●40 ・● ・ ・● `… ……。 …● 2.3.7 人間の集合を表す言葉の数量的意味 。 Ⅲ ……………………… …………………・41 `・

`・

`●

`・

2.4ま とめ .… ………………………・ Ⅲ Ⅲ ・ ・……………………………………………Ⅲ ………… 44 視 覚 化 手 法 に よ る歩 行 行 動 の 状 態 把 握 3.1 群集 内の各人の歩行軌跡 の抽出手順 。 ・45 ………………………………………………・ 3.1.1 歩行軌跡抽 出システム .… ………………………………………………………… 45 3.1.2 座標変換 による歩行者座標 の算出 Ⅲ ・…… ………………………… 48 …………¨ 3.2 空間 一時間系歩行軌跡モデル (Spaceme〕 震口m MOdd).… ……………… 50 3.2.1 腰 ."“ ..¨ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・"“ ¨"・・ ・ ・・"・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・""・・ ・ ・"・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨ ・ ・¨ ・ ・""“・ ・ ・ 50 “・“¨ 3。

I。

.・

3.2.2 モデルの内容 .… ……………………………………………………………………・50 3.2.3 歩行軌跡 の抽出手順 ..… ………………・……………………………………Ⅲ …… 55 3.2.4 歩行軌跡の二次元表示 と釘Dモ デル表示 の比較 .… ………………………… 57 3.2.5 まとめ .… … …・ ・ ・ ・ ・ ・ ・………・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・… ・ ・ ・ ・ ・… ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・…… ・……… ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・78 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3.3 交差立体可視化モデル .… ……………………Ⅲ ・80 …………………………・……………・ 3.3.1 棚曖腱。 ●● ....."`・・ ・““¨ ・ ・ ・ ・¨“ ・"¨・ ・"・ ● ・.....・・ ・ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・"・ 81 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・“ ・ ・ ・ ・ ・"・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ “...・・ 3.3.2 モデルの定義 .… ……………………………………………………………………Ⅲ81 3.3.3 t7~Jレ 0意 味 .....・・““"・・"・・“¨¨““¨¨ ・ ・¨"・・ ・82 ・ ・ ・ ・ ・““¨ ・ ・““ ・ ・ ・ ・“¨¨¨ ・ ・ ・ ・¨“““ 3.3.4 モデルの仮想二次元空間での表現 .… …………………………………………・ ・85 3。 3.5 シミュレーション結果 を用 いたモデルによる群集流動の表現 .… ………… 85 3.3.6 実空間へ のモデルの適用 .… ……………………………………………………… 88 34。 まとめ .… ……………………………………………………………………… ・91 ・ ・Ⅲ ………・ ..・

:●


4.数 量 的指 標 に よ る 歩 行 行 動 の 状 態 把 握 4.1群 集流動 の指標化 .¨ ………………・……………………………………・……………・…・ ・93 4。 1.1 三次元モデル と指標化 .… ………………………………………………………… 93 412 従来 の研究 。………………………………………・・・………Ⅲ……………………… 93 4.1.3 歩行者の状態を表す従来の指標 。 ・94 …………・…………………………………… 4。 1.4 指標 の定 義 .… ・……………・ ………………………94 …………………………………・ 4。 1.5 解析対象空間 .… … ………………………………………………………………… ・99 4.1.6 移動方向 の定義 .… ………………………………………………………………・ 101 4.2 移動方向による群集流動 の指標化 .… ……………………………………………… 102 4.2.1 歩行者 の移動方向 の定義 .… ……………………………………………………Ⅲ102 4.2.2 移動方向多様度 .… ………………………………………………………………・ 103 4.2`3方 向多様度 を用 いた群集流動の分類 .… ………………………………………… 107 4。 3.個 人歩行領域 による歩行者 の交錯状態 の指標化 .… ………………………・…… 110 4.3.1 群集流動 にお ける従来 の手法 .… ……………………………………………… 110 4.3.2 歩行者間 の交錯 。 …………………………………………………………………。112 4.3.3 交差立体可視化モデル による交錯状態の算定 。 ・ 112 ……………………………・ 4.3.4 歩行交差角 と交錯時間 .… ………………………………………………………。116 。,… ……………。 4.3.5 同密度 における行動 の差異の視党化 と定量化 ,… ………・ ,132 4.4 まとめ Ⅲ 。139 …………………………………………………………………………………・ `・

5。

結論

5。

4 1 結論 .… :..… ……。 ………………………・……………・………………………………… .

5。

2 今後の展望 .… …………………………………………………………………………… 45

猪 端 付録 1.本 論文に関連す る可視化技術 2.デ ー タ処理のためのプログラムリス ト 3.解 析対象歩行者流動のモデル 4.調 査対象地データ


第 1章

序論


1.1研 究 背 景 都市部 へ の 人口 の一極集 中が高 まる中で 、都市 及 びその 中心 となる鉄道駅 に お い ては、人間が 高密度 に集 中す る状 態 が 多 く見 られる。特 に鉄道駅 にお いて は、列車 の到着 とにともな って一時 に大量 の歩行者が集 中 し、平常 時 の歩行者 流動 としては最 も過酷 な状 況 の起 こる環境 である。この よ うな状況 の 中で、適 切 な歩行者空 間 を計画す る上 にお いて 、群集流動 を調査分析 し、そ の結果 を役 立 てることは非常 に有用 な こ とであ る。そのため には、歩行者 の流動 の特性 を 把握 しわか りやす く表現す ることが 求 め られて い る。 また、撮 影機材 、解析 用 コンピュー タの発達 な ど従来 困難 であ った歩行者 個 々の動 きを微視 的 にとらえ解析す るこ とが可 能 な状況があ る。大量 のデー タ を高速 での処理 を行 うことに よ り、従来切 り捨 てて考 えて いた様 々 な現象 を観 察 し解析す ることが可 能 にな った。 しか しなが ら、この様 な測定技術 の進歩 に よ り莫大 なデ ー タを収集す ることが DT能 にな つたが 、そ れ らの解析 には時間が かかるため、概 要 を感覚的 に把握 し解析 を行 うか どうか の見極 め を行 うことが 必要 になる。人間が物事 を把握す る新 しい技術 として、 コ ンピュー タ内 の仮想

3次 元空間 を用 いてモデル を把握す る技術 の利用 が進 め られて い る。例 えば、 プ ロ グラ ミング言語 の構造 を理 解 した り、イン ター ネ ッ ト等おけ るネ ッ トワー クの構造 の把握 、超集積 回路 の設計 、医学領域 における脳 の可視化 やそれ を用 いた オペ の シ ミュ レー シ ョンな ど、複雑 に絡み合 い二次元 では表現 しきれない 現象 についての把握 に役立 つ 。技術 の 進歩 によ り、これ らの作業 が全 て手元 に あ るパ ー ソナルな コンピュー タにお い て実現 で きる状況 にな ったこ とも大 きい 要因で ある。 都市機能 の一極集中が進 む 中で 、人間の移動量が ます ます増 え、歩行者空間 における流動 に様 々 な問題 が 発 生 して きてい る。この様 な状況 の 中 で特 に過酷 な状態が起 こ りやす い鉄道駅 につい ては 、群集流動 の面 か ら様 々 な研 究が なさ れて きたが、建築計画学 と して体系 だ った整理 が な され て い るわけではない。 主 として次 の よ うな理由 に よると考 え られる。1)歩 行者流動 は特 に不定 の要素 が多 く物理現象の ように線形 の法則 に よつて表現す る ことは非常 に難 しいこと。

2)歩 行者流動調査 は、いず れの手法 にお いて も莫大 な労力 を必 要 とす ること。 3)歩 行者 がイ 固々 に意志 を持 って独 立 した行動 を しなが ら全 体 として大 きな傾向

を見せ てい るため 、全体 と個 々の二 つ の面か らの解析 が必 要であ ること。この 様 な状況 の 中で 、歩行者 の 流動 を概観的 な面 と詳細 な面か ら把握す るための手 法 が 求 め られてい る。そ こで 本研究 で は、歩行者空間 における流動 の状態 を映 像 に よつて調査・解析す る こ とで い くつ かの指標化 を提案 し歩行者 空間の設計 を客観 的 に評価 す る手法 を確 立す る もので ある。


1.1.1 関連 す る既往 の 研 究 本論文 では、歩行者 の行 動 を様 々 な視点か ら表現 し解析す る手法 を通 して、 歩行者 の流動状態 を指標化 す ることを試み る。 ここでは 、まず研究 のは じめ と して本研 究 に関連 す る研 究 につい て述べ る。本論 は各章 ご とに 3つ の歩行者行 動 を表現 する方法 を取 り上 げ る。 ここでは 、研究 の 中心 である「人間行動 の研 究」 について述べ 、つづ いて「視覚化手法 の研 究」 にお い て関連す る分野 につ いて述 べ る。

1.1.2 人 間行 動 の研 究 人間 の行動特性 につい ての研究 は 、建築計画 にお いて最 も基本的な研究 であ り様 々 な視点か ら特性 を抽 出す る研究 が行 われて い る。 ここでは、人間行動 の 「 タイム ス タデ イを 研究 を「行動軌跡 に関す る研 究」「群集行動 に関する研 究」 「空 間占有 に関 す る研究」に分類 し、それぞれ の観点 か ら関連研究 行 った研究」 につい て述べ る。 口行 動 軌跡 に 関 す る研 究 丈1'の ほか 、住宅団地内 と 近道行動 につ い ては、通学路、通勤 路 における調査 バ ス停付近 の踏 み跡 か ら近 道行動調査 した研究 文2)が ぁ り、日視や尾行調査 とと もに有効 な方法 である。経路選択 に関 して、足立、紙野 らは、駅構内 の群集 を 文 ポイ ン トチ ェ ック して人数 をカウ ン トし、群集 の経路選択 を調査 して い る ゎ。 さらに紙野 らは、同様 の手 法 を用 いて 、群 集行動 にみ られる空間的定位 の傾 向 を明 らかにして い る文→。池 原、渡辺 らは、遊 園地 の来園者 を入園時 か ら退園時 文 文o。 荒 まで追跡 し、最終 的 にはGPSSに よる シ ミュ レー シ ョンを試 みてい る 5)、

木 は 、ター ミナ ル における老 人の歩行 トリップ を追跡調査 により明 らか に して 文7)。 避難行動 に関 しては、 お り、健常者 以 外 を対象 と した例 として注 目 される 文詢 文り 避難時 の行動軌跡 を明 らか に した堀 内 らの研究 があげ られる 、 。 これは、 火災 を経験 した人 にア ンケ ー ト・ ヒア リ ングを行 つて 求 めた もので 、他 に方法 が ない ことか ら も、有効 な方法 だろ う。他 に、迷路 や煙 の 中におけ る避難行動 を実験 によ り調査 した研 究 文ゅ、丈∥)が ぁる。右 回 り 。左 回 りの調査 は、戸川が 文口 また、大須賀 は室内 における動線 映画館 や美術館 で行 った例 が 有名 である 文つ 文の 傾 向 を実験 に よ り文l⊃ 、池原 、渡辺 らは、遊 園地 の来園者 の追跡 によ り 。 、 )。

左 回 りの傾向 を論 じてい る。歩行軌跡 を本格 的 に解析 した研究 として、 右 回 り。 岸塚 、後藤 の方法 は砂浜 に残 され た足跡 の 中心線 を実測調査 し、歩行軌跡 の波 状 パ ター ンの周期 と振幅 の 平均値 か ら、歩行 曲線 のモデ ルパ ター ンを導 き出 し て い る文崎、文151。 これ らの研 究 に対 し、本研究 では歩行 者 の軌跡 をさらに詳細


な レベ ルで とらえる ことに よ り、行動 の軌跡 を時 間 にともな う歩行軌跡 として とらえ、歩行 者相互間の 関係 を記述す る方法 につい て述べ る。 ・ 群 集 行 動 に関 す る研 究 木村 、伊原 の研究 え10は 、平路、斜路、階段 における歩行速度 や、群集密 度 と 歩行速度 の 関係 を論 じた最初 の研究 として注 目される。戸川 は、これ をさらに 発展 させ 、駅 のホ ームや階段 、映画館 な どにおける群 集流 の数取調査 か ら、群 文lD。 これ らは、現在 も避難計算 集流 の集結式 、流 出式、滞留式 を提案 して い る に利用 され て い る。 また、上 田は、階段 の容 量 を階段 における群 集流 の観察結 1詢 果 か ら求 めて い る丈 。また 、中が群集 の交差流動 の画像解析 を もとに して、交 錯流動 の シ ミュ レー シ ョン を試み、良好 な結果 を得 てい る

文lヵ 。 しか しなが ら、

ここで は、二 方向 の交差流動 を用 いて交錯流動 を推測 してお り、様 々 な方 向か ら歩行者 が流 入す る交錯流動 につい ては言 及 して い ない。群集制御 の手法 の実 ]"が あ る。岡田 らは、ラツ シユ時 の 駅 の 例 を観察 した もの に、岡田 らの調査 丈 ホ ーム を鳥鳳撮影 な どによ り調査 し、群集制御 の有効性 と、それに よる群集 の 動 きの状態 を明 らか に して い る。J.Fr」 n文

19は 、_方 向流、二 方向流 での群 集

歩行 の状態 を定量的 に調査 し、歩行快適性 をサ ー ビス水準 として提示 した。 こ れ らの研究 に対 し、本研究 では、これ まで定性 的 に定義 されて きた群 集流動 の 分類 を定量 的 に分類す る尺 度 を示す。 また、歩行者 の交錯 の度合 い を定量 的 に 示す尺度 を示す。 ・ タ イ ム ス タ デ ィを 用 いた 研 究 初期 の例 と しては、今 の 調査 丈2わ がぁるが 、本格 的 に取 り組 んだ もの として は、吉武 の一連 の研 究が あげ られる文2b。 タィムス タデ ィによ り得 られたデ ー タ に待 ち行列論 な どの数理的手法 を導 入 して分析 し、い わゆる建 築計画学 を確立 した点で特筆 され る。そ の 内容 は非常 に広範 囲 にわた つて お り、 タイムス タ デ イや使 われ 方調査 を重視 したその後 の研 究 の源流 をなす もので あ る。タイム ス タデ ィを精密 に行 った研 究 としては、上原、斎藤 による国鉄駅 の便所 の利用 実態調 査が重要 である文2ハ 。この研 究 では 、各便器 に電 気接点 を取 り付 け、使用 時 間 を記録計 で記録す る方法 をとってい るため 、デ ー タの精度 は高 い。しか し、 この よ うな調 査対 象、調査 方法 の 便宜 を得 られ るの は非常 に まれで、 貴重 な デー タ を得 て い る と言 える。出 入調 査 な どの タイムス タデ ィを精力的 に行 い、 集 中現象や利用者 の時間的変動 の メカニ ズム を明 らか に した岡田の研 究 は、こ の種 の研究 の 中で も特筆す べ きもので あ るた2● 。不特定 の 多人数 の行動観察 の調 査 を数多 く行 い 、集団 を構 成す る個 々の 人 々は、独 自の 意志 と判断 に よ りまっ た く独立 に行動 してい るよ うにみ えて も、それが集積 される と一定 の パ ター ン と法則性 が 現 れ ることを明 らかに し、集団 の 人間工学 を確 立 しようと して いる 3


点 は注 目され るた2つ 。本研究 で は 、この よ うな タイムス タデ イの研究 の一環 とし て 、時 間軸 を含 む平面座標系 を用 いて三次 元上 に表現 す る ことによ り時間 と空 間 の 関係 を視覚的 に表現す る。 ・ 空 間 占有 に関 す る研 究 人 間 のテ リ トリー については 、養老施設 の居室内での領域 に関す る荒木 の研 究 2の が初期 の もの としてあげ られ るが 、高橋 、西 出 らの対人位置関係 に関す る 研 究 文2⊃ 、文2詢 も興味 あ る結果 を得 て いる。 人の集合 に関 する研 究 は、主 に高橋 らが精力的 に取 り組 んで い る文3η 。個体分布 に関 しては、足 立 らが駅 コ ンコース 文2勁 にお ける停止者 の分布 を観察 し、平均 占有量 の概念 を示 して い る 。造園の進 文30。 士 は 、公園 の芝 生園地 における利 用者の分布 を平板測量 によ り求 めてい る 池原 、渡辺 らは駅前広場や大学 キ ヤ ンパ スにお ける人の分布 パ ター ンを生態学、 丈3h柏 原、 指 田 らは広場 における観察結 3動 予測 モデルを提案 して い る丈 。座席選択 につい

計量 地理学 の概念 を応用 して解析 を試 み 果 を もとに して、滞留者 の分布

丈3助 が 初期 ては 、足立、末岡 に よる百 貨店食 堂 におけるテ ー ブ ル選択行動 の調査 文3o、 小原 は旅 の研 究 として注 目される。その 後 、進士 は地下鉄始発駅 にお い て 丈3'、 座席 の選択状況 の調 査 を行 つてい る。 客車両 文3o、 高橋 は通勤電車 にお い て 。 そ の他 、学校 のプランタイプ と休憩時間 の 児童 生 徒 の分布 の 関係 か ら、プラ 52)は 、 ン タイプの評価 を試 みた青木 らの研究 丈3● も興味深 い 。Bo● s Pushkarev丈 歩行 者 が立 っている とき、歩 いていると きに必要 とす る空 間 か ら必要 とされ る 歩行 空間の 面積 を算定 して い る。本研究 で は、待 ち合わせ 空間 における停止者 の挙動 をモデルを用 い て表現 す ることによ り、従来 の二次元上 の歩行軌跡表示 で は表す ことが 困難 で なった歩行者 と停止者 の違 い 、歩行 にお け る速度変化 に つい て述べ た。

1.1.3 視 覚 化 手 法 の研 究 近 年、様 々 な分野 にお いて 目 に見えない現 象、あるいは見 えに くい現象 をわ か りやす く示す こと (可 視化 )が 注 目されて い る。例 えば、化学 の分野 にお い ては 、 分子 の立 体的 な構造 を コ ンピュー タ_Lで 三次元的に表現す る ことによ り、 37ま た、建築 の分野 で は 、室内の温度分 そ の理解 に対 して多大 な効果 を得 た。 布 を色で表現 した ものや、高層建築 に吹 く風 の流れ を表現 した もの、暖房時 の

38な どが あげ られ る。これ らは、定量 室 内 の気流 を煙 によつて視覚化 した もの 的 な解析 あ るいは、平面的 な表現 のみでは とらえに くい現象 に対 して、感覚的 にそ の理解 を助 ける もので あ る。可視化 に関 しては、実験 的可視化法 (実 験 あ る い は 、装 置 を用 いて可視 化 す る もの )、 コ ンピュ ー タ利 用可視化法 (コ ン ピュー タを用 い て可 視化 を行 うもの )が 、最近 多 く利用 され て い る。コンピュー 4


夕利用 可視化法 は、1.画 像 デ ー タ可視化法 (画 像解析 を用 いて解析 した結果 を わか りやす く表示す る処理 )、 2.計 算 デ ー タ可視化法 (数 値計算 した結果 をわか りやす くす る表示 )、 3.計 測 デ ー タ可 視化法 (計 測 した結果 をわか りやす くす る 表示 )に 分類 され る。

39

建築人間工学 の 分野 で も、人間の動 きを様 々 な方法 を用 いて表現 して きた。 1.の 研究 として は、画像解析 によ り自動 的 に歩行軌跡 の抽出 を行 つた もの “ 41な どが 挙 げ られ や、画像解析 を用 いて歩行者 の 回避行動 について述べ た もの )

40、

る。2.の 研究 としては、流 れの 中 の 人の塊 を流 動 グルー プとして表 した もの 43)、 歩行者 と す れ違 い における個人 の動 きを歩行軌跡 として矢印で表 した もの 停止者 の分布 を メ ッシュ上 に表現 した もの

44な どがあげ られる。3.の 研究 と し

45)な どが ては、都市 における歩行者数 の 減衰傾 向 を 二次元 モデルで表 した もの 挙 げ られ る。本研 究 では、空 間 における歩行軌跡 を計測 しそれを可視化 して い

るこ とか ら、3.の 分類 に区分 され る。 また、従来 のほ とん どの人間行動研 究 で は、群集 を歩行経路 、歩行軌跡 で 表現 し、水 平面 上 に投影 された人間 の位置(x,y) とい う、 自由度 2す なわち平面 的な表現 が用 い られ て きた。 これに対 し、自由 度 を 3と した三次元的な考 え方 を用 いて時 間変化 を同時 に取 り扱 い 、群集 の平 面移動行動 を表現 す る ことに よつて 、感覚 的 に群 集流動 を理解す る こ とが 求 め られ て い るが、数値 を用 いて解析的 に行動 を分析 した研究が わずか に存在す る だけで、行動 を視 覚的 にとらえた例 はほ とん どない。 また、本研究 のモデルに用 い た空間 と時 間 を一 元的な座標 上 に表現 す る もの としては、1970年 代初頭 にス ウ エーデ ンの 地理学者 ヘー グ ルス トラ ン ドによつ て提 唱 され た時 間地理学 が あげ られ る。 ここで は、人々の生活行動 を時 間 と空 「制約」 といつた概 間 の両面 か ら分析 しようとす る もので「パ ス」「 プリズム」

m)(図 1-1)

念 が用 い られて い る。

時 間 を視覚的 に表現 した もの として、旅行時 間マ ップでは、あ る点 か ら各地 へ 向 か う際 に交通機 関 を利用 して移動す る時間 をその点 か らの距離 で 表現 して いる。鉄道、飛行機 の発達 に よ り、距離 で はな く時間的 に近 い場所 と遠 い場所 の差 が明確 に見 られ瑠。距離 の正確 な表現 であ る実際 の地図 と比較す るこ とに よ り、 日本列 島が時間的にゆが んで い る状 態 が 分 かる。 (図 卜2) 本研究 では、この ように時 間 を視覚的 に表現 す る手法 を用いて群集流動 の特 性 を視覚的 に表現 し、概略的 に把握す る手法 を示す。


■ 瞬 一 轟 鶴 磨靭 滋朝 輩響 薮 獄 獄議 菫 〓 ■瞬 ■ ■ 一

図 1-1:時 空 間座標上 の個 人 のパ ス

図 1-2:旅 行時間 マ ップ


1.2 研 究 目的 , Ⅵ Rカ メ ラなど撮 影機材 の軽量化 、簡易化等 の技術発展 に ともない、ひ じょ うに簡易 に動 きを伴 う人間 の状態 を記録す るこ とが 可能 にな った。現地観察調 査 では、後 に状 況 を再現 す ることは不■r能 であ り、記録 した状況 を検証す るこ とは非常 に困難 であ る。 これ に対 し動画映像 の記録 を用 い る方法 では、映像 を 繰 り返 し見 る ことに よ り歩行者 の状態 を把握す るこ とが可能 で あ り、現象 を画 面 上で再現す ること も可能 で ある。これ らの手法 は撮影 とい う手段 によって記 録す ることが 容易で あ る反面、観察 。解析 の 際 に 同 じ映像 を繰 り返 し見 なけれ ばならず、歩行者 の状態 を有効 に記述す る手法 が なか った。 コ ンピュー タ等 の 技術 の発達 に ともな い 、大量 の計算処理 を瞬 時 に行 うことが 可能である背 景 も あ り、歩行者 の膨大 な位 置座標 デ ー タをもとに解析 を行 うこと も可 能 になって い る。また、三次元 立 体 を コンピュー タ内 に表示 し、イ ンタラクテ イブに操作 しなが らモ デルを把握 す る技術 も実用化 されて い る。 また、この よ うに撮影 し た動画映像 を用 いて景観 の 印象調査 を行 うことが 可能 にな り、静止画 か らは判 断 で きなか った動 的 な景観要素 と して歩行者 の 行 動 を取 り上 げる事 も可能 に な った。 この ような要素 は、従来評価 の対 象か ら外 され、または低位 の尺度 と して考 え られて きた もので ある。 この様 な状況 の中 で 本研究 では動画映像 か ら群 集流動 の状態 を表現す る手法 として「言語 、視党化 、定量化」 の三つ の 視点 を取 り上げ、それ らの手法 の有 「言語 に よる手法」で は、群 集流動 の動画像 を用 い た印象調査 に 効性 を述べ る。 よ りそ こか ら受 ける印 象 の構造 を明 らか にす る。 また「視 覚化手法」で は、歩 行 者 の座標 か ら歩行 者流動 を時系列 に記述す る手法 を提案 し、歩行者 の状態 を 「定量化手法」では、群集流動 の状態 を示 概 略的 に把握 する方法 を示す。また、 す パ ラメー タの 中で 特徴 的 で ある歩行者 の「流れ の 方向」 と「交錯」 に関 して 定量的 に測 る指標 を提 示 して、詳細 な解析 を行 う。 本研究 で は 日常的 な歩行者流動 の 中で比較的高密度 の群集が発生す る地点 を 選択 し研究 を行 った 。対 象 としたのは歩行空間 と して もっと も条件が過酷 で あ り、また歩行 者が 明確 な移動 目的 を持 つ鉄道駅 における通勤時 の流動、お よび 移動 を主 目的 とはせ ず高密度 で あ りなが ら特性 の 異 なる商業施設 における流動 で あ る。座 標 系 に時 間 の軸 を取 り入れた │二 次 元 モ デルの 表現 を用 い る ことに よつて、連続 した時 間 の 中での 歩行 者 の流動 を視覚 的 に表現 す る手法 を示す。 また、特 に時 間 を断面 として切 り離 して とらえるのではな く、関連 し連 続 した 系 として とらえるこ とによつて歩行 者 の動 きを解析す る。本論文 は、歩行者流 動 を記述す るモデル を用 いて歩行者 の状態 を把握 。解析 す る手法 を示す事 を目 的 とす る。


1.3 研 究概 要 「 1章

序論」では、研究背景 として国内、海外 における他の研究 との関連 か

ら本研究 の位置付けを行 うとともに、本研究 が歩行者流動 を記述す る手法 とし て新 しい手法 であることを示 してい る。 「2章

言語表現 による歩行行動の状態把握」では、人間が集合 。歩行す るこ

と対 して、それ らを表現す る際に用いる言語 の調査か らそれらの一般的な とら え方 を分析 し、表現す る手法 について述べ ている。また、都市景観評価 におけ る動的要素 として群集の状態 をとらえ、そ こか らうける感覚 としての言葉 の関 係 を明 らかに している。 視覚化手法 による歩行行動 の状態把握」では、群集流動 の調査方法 と して都市 お よび駅空間における調査 およびデー タの測定手法 を提案 し、また歩 「3章

行者 の状態 を視覚的 に表現す る新 しい 2つ のモデルを定義 してい る。これ らは、 歩行者 の歩行軌跡 を時間の流 れの中で とらえる「空間―時間系歩行軌跡 モ デ ル」 お よび歩行者 間の「接近」お よび「交錯」 を評価す る「交差立体可視化 モデル」 であ る。 「4章

数量 的指標 による歩行行動の状態把握」では、まず「方向多様度 によ

る歩行者流動 の定義」として空間 における歩行者個 人の移動方向の分散 の程度 により、空間における歩行者 の流動状態 を把握する手法 についてまとめるとと もに「歩行者交錯指標 による歩行状態 の評価」 として 3章 で提案 した「交差立 体可視化 モデル」 をもとに空間における歩行者同士の「交錯」 を定量化す る手 法 について示 している。 「5章 結論」では、二つのモデルを用いて歩行者の「流 れ」 と「交錯」 を視覚 的 に示す ことが歩行者流動 の状態把握 に有効 である ことについて述べ て い る。 また、問題点 としてモデルは平面上 の動 きのみを表現す るため、高低差 のある 空間においての表現 には検討 が必 要 なこと、モデル化 のための基礎 デー タの作 成 に多大 な労力 を必要 とす ることなど包括的 に考察 している。また、本 モデル を用 いて空 間 における歩行者状態 を指標化 す る一連の手順 と手法 についてまと 「交 めてい る。また今後 の展望 として、本論文で定量化 した指標値が表す「流れ」 錯」状態の レベ ル を体系的 に整理 したが、さらに継続 した研究 によるデー タの 蓄積 の必要性 について述べ ている。 表 1- 1 研 究 の流 れ 定量 的 功34.2苫 ユ 空 間一 時 間系歩行 軌跡 モデ ル 方向 多様 度 ・群 集 密 度 。歩行速 度 第 4.3章 第 3.3章 な錯指 標 交 井 立体 可視 イヒモ デ ル

視覚 的 流動 の 構 造 「 舅 3.2言 ユ 表現

交錯 量

定性 的 第 2章 歩行 の 表 現 第2章

人の交錯 の表現


1.4ま とめ 本章 では研究 の序章 と して まず 、現在歩行者行動研究 が抱 えてい る問題点 と して、研究対 象 を体系的 に記述す る 手法 が確 立 されてい ない こと。群集流動 の 分類 に明確 な定 義付 けが な されて い ない こと。群集流動 の効率 を考 える際 に問 題 にな りやす い「交錯」 に関 して定量的な指標が ないことをあげた。 また、本 論文 を作成す るにあたつた経緯 お よび他 の研究 との 関連 か ら本研究 の位置付 け 「行動軌跡 の を行 つた。そ の 中で 、従来行 われて きた人間行動 の研究 の 中か ら、 「空 間占有 の研 究」に 「群集行動 の研究」 「 タイムス タデ イを用 い た研究」 研 究」 つい てまとめて述べ た。 また、建築分野 にお い て言語か ら対 象 をとらえる「言 語 の研究」 につい て述べ た。本研 究 で新 しい概念 として用 い た空 間 と時 間 を三 次元 で示す モ デル と関連 して、デ ー タを視覚 的 に表現す る「可 視化 の研 究」の 他分野での利 用 について も述べ た。この ような研究 の位置付 け をふ まえて本研 究 の 目的 を群 集流動 を表現 す る手法 の提示 とその有効性 を明 らかにす ることと した。 ・参考文献

1) 2)

新建築学大系 H環 境心理 3.空 間と人間行動,彰 国社 紙野桂人 ,栗 山茂樹 :住 宅内団地 における歩行者空間のデザインとその使 われ方

に関する研究 ,日 本建築学会近畿支部研究報告 ,1977.5

3)

足立孝,紙 野桂人他 :通 行径路 に於ける行動の性質について,日 本建築学会論文報

告集号外 ,1967.10

4)

紙野桂人,舟 橋國男 :群 集行動 にみられる空間的定位の傾向について,日 本建築学

会論文報告集第 217号 ,1974.3

5) 6)

早大池原研究室 :建 築計画における行勤科学の新展開 ,建 築文化 ,1972.H 池原義郎 ,渡 辺仁史他 :空 間における行動特性の研究,日 本建築学会論文報告集第

180号 ,1971.2

7)

荒木兵一郎他 :大 阪駅前ター ミナルにおける老人の歩行 トリップ,日 本建築学会

大会講演梗概集 ,1975。 10

8) 9)

堀内三郎他 :ビ ル火災における避難行動事例の研究 ,火 災 nl.vol.27.No.26,1977 堀内三郎 ,室 崎益輝他 :大 洋デパー ト火災における避難行動について (そ の 1)(そ

の 2),日 本建築学会大会講演梗概集 ,昭 49.10

10)渡 部勇市 :迷 路における人間の避難行動実験 ,日 本建築学会論文報告集第 3“ 号 ,日

召59.6

11)北 後明彦 :煙 の 中 にお ける人 間の避 難行動実験 。日本建築学 会計画系論文報告集 第 353号 ,1985.7 12)日 本建築学 会編 :安 全計 画 の 視点 (安 全計 画 I),彰 国社 ,1981


13)大 須賀常良 :室 内動線傾向 について ,日 本建築学 会論文報告集号外 ,1966.10 14)岸 塚正昭 :園 路 の 曲率 に関す る基礎的研究 (1),造 園雑誌 Vol.32.No.4,1969 15)岸 塚 正 昭 ,後 藤 友 彦 :園 路 の 曲率 に 関 す る 基 礎 的 研 究 (2),造 園雑 誌 Vol.33.No.4,1970

16)木 村幸 一郎 ,伊 原 貞敏 :建 築物 内 に於 ける群集流動状 態 の観察 ,日 本建築学 会大会 論文集 ,1937.3

17)戸 川喜 久 二 :群 集流 の観 測 に基 く避難施設 の研 究 ,建 築研究報告 No.14,1955.2 18)上 田光雄 :階 段 の容量 ,日 本建築学 会論研究報告 第 29号 (第 2部 ),1954.10 19)中 祐 一 郎 :鉄 道駅 にお け る旅 客 の 交 錯 流動 に 関 す る研 究 ,鉄 道技 術 研 究報告 No.1079,1978.3

20)岡 田光正 ,吉 田勝行 ,柏 原士郎 ,辻 正矩 :建 築 と都市 の 人間工学 ,鹿 島出版会 21)今 和次郎 :考 現学 ,今 和次郎集 ,ド メス出版 22)吉 武泰水 :建 築計 画 の研 究 ,鹿 島出版 会 23)上 原 孝 雄 ,斎 藤 忠 雄 :通 勤 電 車駅 旅 客 便 所 の 設 備 個 数 ,鉄 道技 術 研 究 報 告 N(D.52,1959.1

24)岡 田光正 :建 築計 画学 12施 設規模 ,丸 善 25)

岡田光 正 ,吉 田勝行 ,柏 原土郎 ,辻 正矩 :イ ンフォー マ ル な集団 の行動 における時

間的 な らびに空 間的法則性 ,年 報社会心理学 第 14号 ,1973

26)荒 木兵 一郎 :養 老施設 の居室内 での領域 につい て ,日 本建築学会論 文報告集第 103 号 ,1964.10

27)高 橋鷹 志 他 :空 間 にお け る人 間集合 の 型そ の 1,日 本建築学 会大 会講演梗概 集 ,1978.9

28)高

橋膚志 他

:空 間 に お け る 人 間 集 合 の 型 そ の 2,日 本 建 築 学 会 大 会 講 演 梗 概 集

,1978.9

29)足 立孝他 :広 場 に於 る人の分布 ,日 本建築学会大会講演梗概集 ,1968.10 30)進 士 五 十 八 :公 園 設 計 に 関 す る 基 礎 的 研 究 (第 I報 ),造 園 雑 誌 Vol.33.No.3,1970.2

31)池 原義郎 ,渡 辺仁 史他 :人 間空 間系 の研 究 その 6,z第 221号 ,1974.7 32)柏 原士郎 他 :広 場 にお ける滞留 者の分布予測 モデ ル について ,日 本建築学会大会 講演梗概集 ,1981.10

33)足 立孝 ,末 岡利雄 :百 貨店 に於 るテー ブ ル選択行動 の実態調査 (一 )~ (四 ),日 本建 築学会論研 究報告 第 21号 ,1953.3

34)小 原二郎 他 :旅 客 サ ー ビス設備近代化 の研究 2,日 本鉄道車輪工業会 ,1975 35)高 橋鷹志 ,西 出和彦 :空 間 における人間集合 の 型通 勤電車 の場合 ,日 本建築学会論 関東支部研 究報 告集 (Vo上 49),1978

36)青 木正夫 :建 築計 画学 8学 校 1,丸 善 10


37)建 築設計資料集成 3単 位 空 間 I,丸 書 38)岡 畑恵雄他 :化 学系のため の Macintosh,講 談社 ,1991.7 39)可 視化情報学会 :「 流 れの フ アンタジー」 ,講 談社 ,1986.6

40)可 視化情報学 入門編集委員 会 :「 可視化情 報学 入門 ―見 えない もの を視 る

_」

,電 機

大 出版局 ,1994.5

41)竹 内啓五 ,掛 川秀史 ,長 田耕治 :「 画像 を利用 した群集行動評価 に関す る研究」,日 本建築学会第 15回 情報 システ ム利用技術 シンポジウム ,pp.143~ 148,1992.12 42)建 部謙治 ほか 2名 :「 歩行解析への画像処理技術の応用 に関する研究」,日 本建築学 会論文報告集 No.436,pp.41~ 47,1992.6 43)中 祐一郎 :「 交差流動の構造 ―鉄道駅 における交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 本建築学会論文報 告集 No.258,pp.93~102,1977.8 44)上 原孝雄 ,中 村和男 ,吉 岡松太郎 ほか 1名 「群集対向流動 の性状」,日 本建築学会論 文報告集 No.289,pp.119~129,1977.3

45)渡 辺仁 史 ,中 村良三 ,池 原義郎 ほか 3名 :「 人間 ―空間系の研究 その 6.空 間におけ る人間の分布 パ ターン解析」 ,日 本建築学会論 文報告集 No.221,pp.25~ 30,1974.7

46)藤 井明、原広司 ほか2名 :「 都市の活動領域 に関す る研究 その 1 歩行者数調査 に 基 づ く三次元 モデルの提案」 ,日 本建築学 会大会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9 47)吉 田克之 :「 EBモ デル (伸 縮 ブロ ツクモデル)に よる群衆流の解析、その 1 避難 行 動予測 にお ける図解法 の 問題 点 と EBモ デ ルの提案」,日 本建築学 会論文報告集 No.409,pp.35~ 43,1990.3

48)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープンスペースの「動的密度感」に関す る実験的研究」 ,日 本建築学会論文報告集 No.386,pp.71~80,1988.4

49)」 ohn J.Fruin:「 歩 行 者 の 空 間 (PE.ESTRIAN Phnning an dedgn)」 )鹿 島 出 版 会 ,1974.12

50)荒 井 良 雄 他 編 訳 :「 生 活 の 空 間

都 市 の 時 間 」 占 今 書 院 、 1989

51)Boris Pushkarcv with Jerrcy M.zupan:「

uRBAN SPACE FOR PEDESTRIANS」 ,MIT

prcss,1977

52)Robcrt Sommer:「 Personal Space Thc Bcha宙 oral Basis of Dcsign」

,Prcnticc- Hall,

Inc.,1969

53)Edward T.Hall:「 ¶he Hidden Dimension」 ,doublcday&company,Inc.,1966


第 2章

言語表現 による歩行行動 の状態把握


2.1 言 葉 に よ る歩 行 の 表 現 「人が う じゃうじゃい る」 「 ものす ご く混 人 々が都市 の状態 を表現 す る際 に、 んで いて」 な ど言葉 を用 いて群集 の状態 を表す ことが 日常 的 に行 われて い る。 この様 に、群 集 の状態 を表現 す る際 に日常 一般 の 人々 に用 い られる表現 は 、言 葉 による ものが 最 も一般 的である。 この様 な表現 としての言葉 は、建築計 画 の 際 に もコ ミュ ニ ケー シ ヨンの手段 と して用 い られる。また、建築企画 の段 階 か ら、実際 の設計 の段 階 まで設計 プ ロセスの 中 で 言葉 が コンセプ トとして用 い ら れる こ とも多 い。 この様 な状況 の 中で 、群集 の行動 を示す言葉 に関 して、そ の 意味 お よびそれが示す状態 につい て体系的 に整理 されて い ない現状 があ る。ま た、言葉 とい うものは個 人差が あ り対象 とす る状態 によつて人 々が うけ る感覚 が異 なる もの も多 い。 近年、都市景観 や町並 みへ の 人々の関心 は 、非常 に高 まって いる。しか し、快 適 な都市 、快適 な景観 といった ものが なんで あ るかは曖味 であ り、個人 の 嗜好 の問題 とも絡 み合 って い る。 また、都市景観 にお いて構成要素 の大 きな部分 を 占め る人 な ど (空 間的 に移動す る もの =移 動 要素 )が 景観評価 にあ ま り考慮 さ れて い ない。 これ らの こ とか ら、本研究 では まず、群集か ら受 ける印象 を調査 す る上で 、二 つの段階 を設 定 し、分析 を行 った。 1.歩 行 を表現す る言語 の抽 出

2.歩 行 か らうける印象 の個 人差 のば らつ き

本研究 で は 、歩行者 の 基本的な動態 か ら受 け る印象 と、その状態 にお ける数 値 デ ー タとの 関係 を明 らか にす る こ とによ り、言葉 の持 つ 印象 と数値 デ ー タの 関係 お よび個 人 による印 象 の差異 を明 らか にす ることであ る。 また、そ の対応 関係 をファジ ー理論 を用 い てモデ ル化 を行 う。また、景観 の移動要素 として歩 行者流動 をとらえそ こか ら受 け る印象の構造 を明 らかにす ることを目的 とす る。

2.1.1 言 葉 を用 いた 人 間行 動 の 表 現 人間行動 の 表現 には、数値 、言葉、映像 、記号 、モデル な ど様 々 な ものがあ る。従来 の研 究 にお い て は、人間行動 の表現 には、主 に数値 が用 い られて きた。 数値 の代表 的 な もの と して は、歩行速度、群集密度、断面交通 量、流動係数、空 間モ デ ュール な どが挙 げ られ る。 この ような表現 は、あ る一 つ の軸 を用 いて評 価 して い るので客観 的 で ある。そ の 半面、そ の指標 に関連 しない項 目に関 して は切 り捨 て られる。 また、数値化 で きない要 因、例 えば、に ぎわい 、不快感 な どは、表現す ることが出来 ない。例 えば、新宿駅西 日の通勤時 の人 の流れ と、休 12


日の原宿 の竹下通 りを比較 した際 に、群集密度が 同 じであつて も、行動 の状態 が異 なる場合 があ る。この よ うな場 合 には、言 葉 の よ うな定性 的 な表現 を用 い るほ うが 適切 で あ る場合が あ る。 そ こで本研究 で は、空間 における 人間行動 の表現 の うち、言語 と映像 の面か らとらえ解析 を行 う。 人間 の行動及 び空間にお け る群 集 の状態 は、様 々 な要因が絡み 合 ってお り、 一つ または、複数 の数値 を用 いて も簡単 に表せ るの ものではない。 しか し、人 「急 いで 歩 こ う」「ここは、混 んで い る」 の よ うに行動及び空 間 の状態 を 間 は、 言葉 で判断 して い る。そ こで 本研究 で は、言葉 の視点 か ら行動 を提 える ことに よって 、人間行動 を明 らか にす る事 を日的 とす るが 、そ の第一段 階 と して、基 本 的な数量指標 と言葉 の関係 を明 らか にす る。 言葉 の意味 は幅 を持 つてお り、様 々 な要因か らなる状態 を表 して い る。例 え ば、 「混 んで い る」 とい う状態 は、群集密度 で表す と、○ 人 /m2と ぃ ぅ 1っ の数 値 で表 されるので はな く、○ 人/m2~ o人 /m2の ように表す のが 自然 で ある。そ こで、言葉 の意味 は幅 があ り、主観的 である とい う点 に関 しては、 フ ァジイ理 論 を用 い て処理 を行 なう。 フ ァジ イ理論 に関 しては、 2.3節 で説 明す る。

う 0


2.2 映像 実 験 を用 いた 言 葉 の定 量 化 映像実験 と言葉 の定量化 こ こでは、行動 を表現す る言葉 の意味す る状態 を数量 的な値 と対応 づ けるた め に行 動 を撮影 した映像 を用 いて、そ の映像か ら受 ける印 象 と対応す る言葉 に 関す る調査 を行 つた。そ の後 、映像 の状態 の 表す数値 デ ー タを抽出 しその対応 関係 を明 らかに した。

2.2.1 言葉 デ ー タの収 集 人 間行動辞書 の基礎 とするために言葉 の収集を行 なった。デー タ収集 の もと となる文献 には、国語辞典、漢和辞典、及 び本研究室 の卒業論文・修士論文 を 用 い た。 ●抽出 した言葉 デー タの数 国語辞典…622語 漢和辞典…56語 卒業・修士論文…52語 調査 1「 言葉 の使 われ方調査」結果…55語 ●言葉 を抽出す る基準 群集流動の態様 を表現す る言葉の基礎資料 として、建築空間における人間行 動 の移動・集合 に関係のある言葉 を網羅的 に収集 した。言葉の収集の基準 は次 の通 りである。 。名詞 「歩行。右側通行。観覧。 」 のように「歩行者 の移動」 に関係のある言葉。 「群集。行列。人 ごみ。 」 の ように「人の集 まり」 に関係 のある言葉。 ・動詞 「歩 く。止る。」 の ように「歩行者 の移動」 を表す言葉。 「群れる。溜 まる。混 む。 」 のように「群集 の状態」 を表す言葉。 ・副詞 「ゆっ くり。あ しばやに。 」 (歩 く)の ように「歩行者 の程度」 を表す言葉。 「ふ らふら。す たすた。 」 の ように「歩行 を形容」す る擬態語。

14


●言葉 デー タの保存 この ように して収集 した言葉 の読み、漢字、品詞、意味 を資料 デー タか ら抜 き出 し、言葉 のデー タとした。デ ー タは、 コンピュー タにテキス トとして入力 し、後 のデー タとして利用 で きる形でデ イスク上に保存 した。

2.2.2 調 査 1

言葉 の使 われ 方調 査

●調査 目的 「人の集 まり」に関係 「人の歩行」、 空間におけ る人間行動 を表 す言葉 の うち、 す る言葉 について、その種類 を調べ る。 ●調査方法 「人の集 まりに 「歩行 に関係する言葉 (名 詞)」 、 「 (歩 く)を 修飾す る修飾語」、 関係 す る言葉」、について 自由 に記 入 した。方法 は室内で用紙 を配布 し、内容 を 記入 した後、その場で回収 を行 つた。 ●調査対象 大学生 Hl名 (回 収率 100%) ●調査 日程

92年 H月 13日 調査用紙 は次 のページに記載す る。

15


建篠 譲1河 摯ア 学 :I幕 号 1

'ケ

ー ト 器営1lFtl)

亀麟 て

:蘇 │ゆ 維穣嘩響鸞を行なってい ます.≧ こで織も夢彎・貸 舞輝購1究菫では、│夕 行・豊織=轟 係するざ 卜畿撃 :1:=ν tttな ものがあると思われ董■ り儀 まりに襲係する言葉を摯ギずももい 鷲I「 .場 轟、ま 〔 =響 í〈 ぎ :J:な です .I嗽 尋 覺驚 でご案を裁鳥てください。卜藩 稀Iこ ム て ,そ れらは、各毒自由に難定 し 終溝 ヽ し なtt● 今維、童機雑書摯てくだ書摯壼

l)Tの 機機 颯 あ ては まる雷鷲 を 3つ 熱 .L挙 げ て くだ さい 。 ただ 濃"轟 掛 :ま 饗 い

=せ

0

1

:測

資くo

:)歩 行 猿灘係す る書窯 (名 海)を 5つ 以 :l挙 :ザ て くだ 碁い。

3)人 鐵の集 ま撥に轟慄する言葉 を3つ 以 L挙 げて くだきい。 ただし、轟講は鶴 い ま も。

図 :2- 1調 査用 紙 16


●調査 1「 言葉 の使 われ方調査」結果 調査結果 は、記述 された人数が多 い順 に言葉 を示 し、 3人 以上が記述 した言 葉 を掲載す る。 文献 か らの言葉 のデ ー タ収集 は、作業 を一 人 で行 な ったため 、主観的 な選択 になる可能性があ る。そ こで本調査 の結果 か ら一 般 的 に用 い られて い る行動 に 関す る表現 を補充す る。

表 2-1「 言葉の使われ方調査」結果 (「 歩 く」に用いられる言葉)

~歩 く」 に用いられる言葉 言 葉

ぷ らぶ ら だ らだ ら て くて く

さつさと た らた ら

言葉

漢字

人数

人数

漢字

あ しば や に

6 てれ てれ 6 とこ と こ 5 足早 に

いそいそ

5 いそ い そ

おお またで がんがん aく オ a くオ

5 大股 で

しゃっきと

35 ぷ らぷ ら 28 だ らだ ら 28 て くて く 23 さつ さ と

てれてれ

23 た らた ら

とことこ

5 が んが ん

ちん た ら の ろの ろ

22 ちんた ら

い そ いで

20 急 い で 20 の ん び り

ぞ ろぞ ろ

5 やつ きと 5 ぞ ろぞ ろ

6 とろ と ろ

て きば き

5 て きば き

5 と│ま と│ま

とつ と と

ヒっとと

はや く

5 速く

4 まつす く

まった り ゆった り

5 まった り

まっ す く

よち よち

2 よちよち

す いす い

きび きび

きびきび

ひ ょこ ひ よ こ

4 すいす い 4 ち ょ こ まか 4 堂々と 4 の そのそ 4 早足 で 4 ひ ょ こ ひ よこ

もくもくと

4 異本々 と 3

8 さ つそ う と

じぐざぐに ずかずか

す ばや く の らりくらり

8 す ばや く

す りあ しで

3 す り足 で

そそ くさ

3

ぼ― っと

8 ぼ―っ と 8 もた もた

ち ゃ さち や さ

3 ちや さら や さ

ちゃらちゃ ら

3 ちゃらちゃら

7 す ばや く 7 でれで れ

て けて け て ろて ろ

3 てけて け

ゆつ くり

どた どた ひたひた ぺ たぺ た

ひた ひた ぺ たぺ た

ゆ らゆ ら

3 ゆ らゆ ら

のんび り と ろ とろ と │ま と │ま

さ くさ く ず んず ん

21

1

の ろの ろ

1

さくさ く

1

ずんず ん

つ た つた

0 うだ う だ

すたすた

0 すたす た 0 どん どん 9 よた よた

どん どん よ た よた さつ そ う と

もた もた す ばや く

でれでれ ゆっ くり よろ よろ

ゃ きしゃき せ かせ か

のらりくらり

7 7

よろ よ ろ

6 しや さ しや さ 6 せかせか

ちょこまか どうどうと の その そ はや あ しで

17

5

くね くね

5 ゆ つた り

ジグザ グに

3 ずかず か

そそ くさ

3 て ろて ろ

どた どた


表 2- 2「 言葉の使われ方調査」結果 (歩 行に用いられる言葉) 歩行 に用 い られる言葉 (名 詞 ) 言葉 しの び あ し

きようほ ぜん しん

49 忍 び足

に に ん さん さ ゃ く

漢字 7 二人三 脚

39 競 歩

ほこうしゃてんこ む―ん うお― く

6 ム ー ン ウ ォー ク

漢字

人数

言葉

ちどりあ し

34 前 進 34 千鳥足

さん さ く さしあ し

32 散 策

さんぽ

24 差 し足

す りあ し

人数

7 歩行 者 天国

勇 教足

い さみ あ し

24 す り足

はいかい ゆ うほ ど う

ぬ きあ し

24 抜 き足

いそ ぎあ し

5 散歩 5 徘徊 5 遊歩道

とほ

23 徒 歩

けんけん

かけあ し

22 馬区け云 己

つ うが く

す きつぷ

15

ほどう

15 歩 道

よちよちあるき

4 急 ぎ足 4 けんけん 4 通学 4 はい は い 4 よちよちあるき

えん そ く

12 遠 足

い っ ぽ

3

こ うた い

12 後 退

お うだ ん おお また

3 大 腹

か っ ぽ

スキ ップ

闊歩

はいはい

一歩

横断

き よ うほ しつ そ う

3 強歩 3

ジ ョギ ン グ

8 横断歩 道

じょぎん ぐ そぞ ろある き

3

そぞ ろあるき

ぎ ょ うれ つ

8 行列

だ つ しゆ

3

ダ ッシュ

は υ`さ ん く

8 ハ イ千 ン ク

bよ

3 巨運

こ つ しん

7 行進

ゆ うほ

す て つぷ

7 ステ ッ プ

ぎゆ うほ か にあ る さ ほはば

10 牛 歩

おうだんほどう

9 蟹歩 き 9 歩幅

18

ヽ しん

3 疾走

遊歩


表 2- 3「 言葉の使われ方調査」結果 (人 の集 まりに用いられる言葉) 人 の 集 まりに用 い られる言葉 人

人 文

`

群 集

せ いぜ ん

しゆ うか い

集会

にぎやか

5 に ぎや か

らっ しゆ

U)64)t"Lr

しゆうご う

29 フ ツ ン ユ 28 雑 踏 23 集 合

かそ

にぎわい

20 賑 わ い

かみつ

4 芋洗 い 4 うつ とお しい 4 過疎 4 過密 4 雑然 4 ば ら iよ ら 4 ひ とい され

ぐん じゅう

ざつ とう

38

ざわ ざわ

ざ わ ざわ

うっとお しい

ざつぜん

ひ と ごみ

人込 み

たむ ろ だ ん たい

4 たむろ

らば ら ひ とい きれ うる さい

4 団体

お しあ い へ しあ い

しゅうだん

6 集団

I∫

ぎゆうぎゆう

ぎゆ う ぎゆ う

お しくらまん じゅ

ぎょうれつ す しづめ

行列

が らが ら が らん と した けんそ う

1

寿司 詰 め

み っ しゅう

0 ご ちゃ ご ちゃ 0 密集

ひ とだか り

ご ち ゃごち や

5 整然

3

うるさい

お しあ い へ しあ い 3 お し くら まん じゅ 3 が らが ら 3 が らん と した 3

3 喧 騒

ごったがえす

ごったが えす

3

9 人集 り

せ いれつ

3 整列

デ モ

そ しき

組織

で も

かい こう

7 う じや う じや 7 会合

た い ぐん どよめ く

3 どよめ く

ま │よ ら

7 まば ら

ば ― │ず ん

3 バ ーダ ン

かん こど りが な く まちあわせ

6 閑古 鳥 が な く 6 l存 ち合 わせ

ひっそ り ひ とだ まり

まん い ん か い さん

6 満員

ごた ごた こん らん

5

ひ となみ ぶつかる まつ り

うじゃうじや

5 解 散

ごた ごた

5 混乱

り さん

19

大軍

ひ つそ り

ひとだまり 3

人波

ぶつか る 祭 り 離散


2.2.2.1 言葉 の使 われ 方 の考察 それぞれの語 について言葉 をあげた人の割合 を算定す る。「歩 く」 について 「歩行」については 9語 、 「人の集 は、全体 の 20%以 上 の人があげた語 は 5語 、 「歩 く」 につ ま り」 については 5語 であ り、また 5%以 Lの 人があげた言葉 は、 いては 45語 、 「人の集 まり」 については 29語 であっ 「歩行」 につい ては 30語 、 た。この ように歩行 か ら連想 され共通 に使 われてい る言葉 は一定数以下である ことが確 かめ られた。 「人の集 まり」に 「歩行」 言葉 か ら受け る印象のアンケー ト調査 を行 い「歩 く」 関連す る言葉 の使 われる頻度 について調べ た結果、一定数以上の人があげた言 葉 は、それほ ど多 くないこ とが明 らかになった。

20


2.2.3 調 査 2

映像 を 用 いた 言 葉 の 印象 調 査

●調査 目的 空 間 における人間行動 を表 す言葉 と基本的な数値尺度 の 関係 を明 らか にす る。 ここでは、群集密度、歩行速度 と行動 を表す言葉 の関係 を明 らかにす る。

●調査方法 。群集密度 につい て 人 間の群集密度 に関連す る言葉 を30語 選択 し、それ らの言葉 を用 いて調査 を 行 な う。同 じア ングルで背景 が な く群集密度 の異 なる 9段 階 の写真 (図 2-3 人 の集 ま り)を 用意 し、群集密度 に関す る言葉 と一 番適合 す る写真 の番号 を記入 す る。 ・ 歩行速度 につい て 群集密度 と同様 に人 間の 歩行速度 に関連す る言葉 を予備調査 によ り9語 選択 し、それ らの言葉 を用 い て調査 を行 な う。歩行速度 に関 しては、一 人 の 人間の 歩行 をV「 Rで 真横 か ら撮 影 した映像 を用意 し、そ の再生速度 を 8段 階 に変 えて 表示 す る。歩行 の速度 が 言葉 とあては まると感 じた ときの映像 を選 んで映 像 の 番号 を記入す る。 どち らの調査 も、あ ては まる写真 、又 は映像 が ない場合 には、最 も近 い と感 じられる ものの番号 を記 入す る。また、言葉 の 評価 が相対的 にならない よ うに、 言葉 の順 は ラ ンダムに し、そ の順番 に従 って 回答 を行 な う。

●調査対象 大学生 33名

●調査 日程

93年 1月 20日 調査用紙 は、次 のペ ー ジに記載す る。なお、質問 2の 歩行速度 の調査 に用 い た映像 は、動画 のため割愛 した。

21


密度 =速 度感覚調査アンケー ト

93Ю 1/20

氏名

:

質問1:下 に挙げる言葉と最も連すると思われる写真を次のベージの中から選びその番号 (1ヽ 9)で 答 えてください。 (適 当なものがない場合も空躍を作らず最も通すると感 じる写真を答えて ください。) 百 業

百 果

rr・

さ ゆつ き ゆ つ 霰伐

密集

寿 司轟 め

混 んでいる す t` て い る に ぎわ う

否 け

ごみ ごみ

ば らば ら 讚員

U万 丁びII-

まばら

1

もの さわ力`しV`

お じめ い へ しあ い 閑散

人勢

もち やこ ち や ご た ごた

が らが ら

ちらほら

小 人数

八 こみ

ばつん

超 構買

∬ 「集

ご つた 遂 す

すかすか ひつそ り

う じゃうじゃ

きつしり

: 質 12:こ れからMκ 上で、幾つかのス ピー ドの異 なる人間 の歩行 の映像 をお見 せ します。下 に挙 げる r・

1苗 i上 に表示 されてい る番 号を記入 して ください。 :言 葉 と、映像が一致すると感 じたときの ざ

急いで

帯 ン :

`,,本

のろの ろ ふつ う に

すたす た て くて く 足早に

ゆ つ~と く~こ り I~こ

のんび り

図 2- 2:調 査 用 紙

22


図 2- 3:質 問 1の 提示画像 (人 の集 まり)

23


●調査 2「 映像 を用 い た言葉の印象調査」結果 言葉 とそれぞれの映像 を選択 した人数を結果 として示す。 この結果 をもとにファジイ理論を用いて言葉のメンバー シップ関数 を作成 し、 また言葉 の冗長度 を算定す る。 表 2-4「 言葉の印象調査」結果 (群 集密度)

(/tl

映像 番 号

群集晉反

123456789

お しあ い へ じめ い 超満 員

ぎっ しり ぎゆ うぎゆ う 寿司詰 め 満員 密集 ごった返す うじゃう じゃ ごみ ごみ ごちや ごちや 群集 ごたごた 大勢 混 んで い る ひとごみ もの さわが しい にぎわ う す いてい る が らが ら ちらほら もの さび しい まば ら 小人数 ば らばら すかすか 殺伐 閑散 ひつそ り ぼつ ん

一 〇

一 〇

・ 0

12

15

3。

33

3 3 一 3 3 〇 3 3 4 2 9 7 2 6 9 7 10 2 3 9 8 12 2 12 9 15 6 12 6 15 3 12 3 21 0 15 0 0 6 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0 0 0 0 〇 〇 一 一 一 0

一 〇

´

表 2-5「 言葉の印象調査」結果 (歩 行速度

)

歩行速度

映像 番 号

12345678

足早 に す たすた て くて く 普通 に とことこ ゆっ くり のんび り のろのろ

0 0 2 3 2

1 6

〇 一

24


2.3 フ ァ ジ ィ理 論 を利 用 した 言 葉 と定 量 的 指 標 との 対応 人 間行動 の表現 である言葉 は数値 デ ー タと対応 してい るが 、その対応関係 に は幅 があ り、明確 に 1つ の値 として決定 で きない 。そ こで本研究 では ファジイ 関数 を用 い て 、言葉 と数値 デ ー タの対応関係 を表す。

2.3.1 フ ァジ ィ理 論 の基 礎 従来理論 とい うものは、あ い まい な もの を排 除す るデカル ト的な考 え方 で進 め られて きた。 この よ うな理論 は、二値理論 とよばれ、あ る前提 に対 して解答 「私 は は、真 (1)ま たは、偽 (0)と なる。例 え ば、私 が 男であるとす る と、 「私 は女 である」 と言 う前提 の 男 である」 と言 う前提 の 回答 は真 (1)で あ り、 回答 は偽 (0)で ある。この よ うに真偽 がは っ き りしている前提 は、コンピュー タを用 いて計 算す るこ とが可 能 である。 しか し、言葉 の よ うに真偽 が はつき り と定義 で きな い ものに対 しては演算が行 なえない。そ こで 、この よ うに真偽 が は っ きりしな い もの を コンピュー タで演 算 す るため に考 え出 され たのが フ ア ジ イ理論 で あ る。ファジ イ理論 とは、従来 0と 1の 二値 で判断 して いた もの を

0~ 1の 間 の値す なわち 0.3や 0.7な どを用 いて判断す る とい う理論 である。 例 えば「 中年」 とい う言葉 を例 に取 る。中年 とい う言葉が、示す年令 はあ る 幅 を持 って い る。例 えば 35歳 ~ 55歳 と定義 す る。 しか し、 この定義 では、34 歳 の人 は中年 ではな く、35歳 になった途端 に中年 になる ことにな り不 自然 であ る。この よ うな方法 は 、言葉 の定義 としては相応 しくな く、境界付近 では、もっ と段 階的 に変化す るべ きものである。そ こで 、フ アジ イ関数 をもちいて「中年」 を定義 してみ る。35歳 ~ 55歳 の 人 の 中年 の度合 いは 1、 34歳 の人 は、中年 の度 合 いが0.6の よ うに定義 を行 な う。従来 の理論 とフアジイ理論 で 中年 の定義 をグ

図 2- 4 二値理論 とファジイ理論 を用 いた「中年」の定義


ラフとして表 したのが 下図 で ある。この よ うに、フ アジ イ関数 を用 い たほ うが よ り適切 に人 間の感覚 を表 して い る とい える。こ うして作 られたの 右 の 関数 を 言葉 の メ ンバ ー シップ関数 とい う。 (図 24)

2.3.2 メ ンバ ー シ ップ関数 の 一 致 度 このメンバー シップ関数 を用 いて、物事 の類似度 を算定す る。ファジ ィ理論 では、一般 の数学 における集合 の理論 を用 いて、一致す ることは、二 つの関数 の共通集合 で表 される。また、 2つ の物事 を表す メンバー シップ関数 の一致度 は、それぞれのメンバー シップ関数の共通部分の高 さによって表 される。(図 25)

す なわ ち

CAB=MaX(A∩ B) ただ し、 CAB:Aと Bの

一 致 度

A:Aの メ ンバー シ ップ関数 B:Bの メ ンバ ー シップ関数 MaX(【 X)):関 数 【x)の 最高値

本研 究 で は、以上の理 論 を用 いて、人 間行動 を表す言葉 のメンバ ー シ ップ関 数 を群集密度、歩行速度 を用 い て作成 し、言葉 の類似関係 を明 らか にす る。

ファジ ィ関数

A

-

ファジィ関数

B 図 2-5 フ ァ ジ イ関数 の一 致 度

26


2.3.3 言 葉 の メ ンバ ー シ ップ関数 の作 成 2.3.2の 結果 か ら、映像 と数値 デ ー タ及 び言葉 の 関係 が 明 らか になった。本節

で は、コ ンピュ ー タを用 い ての演算 を可 能 にす るため に、これ らの 関係 をファ ジ イ理論 を用 いて表す。 そ の 方法 は、次 の とお りで ある。 群集密度 を表す言葉 の なかか ら一つの言葉 を例 にとつて説明す る。映像か ら 空 間の面積 と、映像 中の 人数 を計測 し、空 間 における群 集密度 を映像 ご とに求 め る。(2.3.3参 照 )一 つの言葉 につい て、ア ンケー トの結果 か ら、各映像 の選択 確率 をPiと し、この値 をY軸 、映像 に対す る帯 集密度 の値 をX軸 に と り、そ の あ い だを直線補 間す る事 に よ り、言葉 の メンバー シ ップ関数 として決定 した。 同様 に、歩行速度 に関 して も、映像 よ り歩行速度 を計測 し、メンバー シップ関 数 を作成 した。 (表 2-6、 図 2-3) 【X)=Pi

Pi=ni/N 【x):メ ンバ ー シップ関数

Pi:映 像 iの 選択確率 ni:映 像 iの 選択度数

N:被 験者数 表 2- 6 言葉のメンバーシップ関数作成 (例 :「 ごみごみ」 ) 5

6

0.23 0.36 0 0

4

0.7

7 0.79

1.08

3

9

12

3

群衆1

:(人 /m2) (X軸

)

0.01

0.06

0

0

0.13 0

0.00

0

0

∥ 衆宵 た

ヽハロ2i

0 フ

(度 数 /総 人数 )

メ ンバ ー シ ップ 関 数 値

(Y軸

)

0

0 0.09 0.27 0.36 0.27

図 2- 6 群纂密度 を用 いた言葉 の メンバーシ ップ関数表示 27

舗 3 3


2.3.4 言 葉 の類似 性 以上 のよ うにして各 々の言葉 について求めたメンバー シップ関数の一致度 を 用 いてそれぞれ二つ の言葉同士 の類似性 を求める。対象 とする言葉 は、映像 を 「歩 用 いた言葉 の印象調査 で用 いた語である:「 群集密度」に関す る言葉 30語 、 行速度」 に関す る言葉 9語 である。 以下にメンバー シップ関数値 の一覧表 とそれをもとにグラフ化 した図を示す。 (図 2¨ 7、 2-8)フ アジイ理論 の定義 よ り二つ の言葉 の一致度 は、メンバー シップ

関数の共通集合 の高 さで表 される。すなわち、グラフの線分 とX軸 で構成 され る図形が重 なる部分 の うち最 も高 さ (Yの 値)が 大 きくなるものが一致度 とな る。この数値 は、二つの言葉の歩行速度、群集密度 にたいする意味 の一致度 を 表す ため、一致度が 1の 時 に二つの言葉 は完全 に類似 した言葉、一致度が 0の 時 に全 く類似 しない言葉 として とらえられる。 これ らをもとに「群集密度」に関す る言葉、 「歩行速度」に関す る言葉 につい 一致度 を算定 し言葉同士の類似度 を算定 した。 てメ ンバー シップ関数 を用いて、

2.3.4。

1 -致 度 の算 定

・群集密度 を表す言葉 の類似度 けの部分 は、列 の頭 にある 表 2- 8に 群集密度 を表す言葉の類似度 を示す。網推卜 「超満員、お しあいへ し 言葉 と最 も一致度 の高 い言葉 を抽出 した もので ある。、 「 ひっそ り、ぼつんJと いった言葉 のようにお互い に最 も一致 あい、ぎっ しり」 「 うじゃうじゃ、大勢」の ように複数の言葉 との一致 度 が高 くな っているもの、 「すいてい る→ まばら→ ばらばら」の ようにお互い にある程度 の 度 が 同 じもの、 一致度 を持 つが、最 も一致度が高 い言葉が異なる ものが見 られた。 ・歩行速度 を表す言葉 の類似度 表2-9に 歩行速度 を表す言葉 の類似度 を示す。群集密度の場合 と異な り、お互 い に一致度 が最 も高 くなっている ものが 多い。これは、抽出 した言葉 の数が少 なか ったことに も起因す ると思 われるが 、群集密度 の言葉 と比較 してお互 いの 対応関係 が明確 である言葉 が抽出 されていると考 え られる。 この様 に、言葉同士 の一致度 には言葉 ごとにば らつ きがあ ることが明 らかに な った。 また、それぞれの言葉 の一致度の値 と意味 の関係 を見ると、一般的 に 考 えて妥当な値 であることが確 かめ られた。

28


・群集密度 を表す名詞 の意味 群集密度 に関 しての言葉 の一致度か ら、群集を指 し示す名詞 とそれ と一致度 の高 い言葉 を取 り上げ、その意味 について考察す る。 群集密度 を表現す る名詞 として取 り上げたものは、密度 の高い とされるもの か ら、超満員、す じ詰 め、満員、密集、群集、大勢、人 ごみ、少人数、閑散の

9語 であ る。 ・群集密度 を表す言葉 と一致度 の高 い言葉 ○超満員 :「 お しあいへ しあい」「 ぎっ しり」 ○す じ詰め :「 お しあいへ しあい」「 ぎっ しり」「 ぎゅうぎゆう」 ○満員 :「 密集」 ○密集 :「 満員」

○群集 :「 ごたごた」「大勢」「混んでいる」「人ごみ」 ○大勢 :「 うじゃうじゃ」「ごみごみ」「ごちゃごちゃ」「群集 」「 ごたごた」 「混んでいる」「ひとごみ」 ○人ごみ :「 ごちゃごちゃ」 ○少A数 :「 まばら」「ぱらばら」 ○閑散 :「 ひっそり」「ぽつん」 この様 に、数値的な指標 を用いて関連する言葉 を抽出することにより、その 「すし詰め」 とは、 「お 言葉の持つ意味を推測することが可能である。例えば、 「 ぎゅうぎゆう」に詰 まっているこ しあいへ しあい」の状態で人が「 ぎっ しり」 「混んでいる」 「大勢」の「人ごみ」 「群集」とは、 「ごたごた」 した状態で、 と。 といつたように一語ではとらえきれない内在的な意味を推測することが可能に なった。この様 に、言葉の一致度を用いることによつて、言葉の間に存在する 明示的、暗示的な関係 を明 らかにするとともに、言葉の持つ意味を別の言葉か ら推測、 補足するための抽出を算定的な処理を通して行うことが可能になった。

29


表 2-7:群 集密度 を表す言葉のメンバーシップ値 群集密 度

(人

吠 1家 否 亨

123456789

0.36

)

0.01

0.06

0.13

0.23

0.7

0.79

1.08

1.93

0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0

0 0

0 0

0

0 0 0 0 0

0

0 0 0 0 0

0

0

0

0 0.091 0.182 0.182 0.364 0。 182

お しあ い へ しあ い 超満員

ぎつ しり ぎゆうぎゆう 寿司詰め 満員 密集 ごつた返す うじゃうじゃ ごみごみ ごちや ごちや 群集 ごたごた 大勢 混 んでい る ひとごみ もの さわが しい にぎわう す いてい る が らが ら ち らほら もの さび しい まばら 小 人数 ば らばら すかすか 殺伐 閑散 ひつそ り ぼつ ん

0 0

0 0 0

0 0.091 0。 909 0 0.182 0.818 0 0 0.273 0,727 0 0 0 0.273 0.727 0 0.091 0.091 0.273 0.545 0 0 0.273 0.364 0.364 0 0.091 0.273 0.364 0.273 0 0.182 0.182 0.455 0.182

0 0 0 0.091 0 0.091 0.273 0.455 0.091 0 0 0 0 0 0.364 0.182 0.364 0.091 0 0 0 0 0 0.091 0.273 0.636 0 0 0 0 0 0 0.273 0.273 0.455 0 0 0 0 0 0.182 0.182 0.455 0 0.182 0 0 0 0 0.091 0.545 0.091 0.273 0 0 0,091 0.091 0.636 0.091 0.091 0 0 0 0.273 0.182 0.273 0.091 0.091 0 0.091 0 0 0 0.364 0.545 0,091 0 0 0 0 0 0 0.364 0。 545 0.091 0 0 0 0 0 0 0.455 0.091 0.364 0 0 0.091 0 0 0 0.455 0.182 0.182 0,091 0 0.091 0 0 0 0.455 0.091 0.455 0 0 0 0 0 0 0.364 0.364 0。 !82 0.091

0.545 0.182 0.091

0

0.364 0.364 0.182

0.909 0.091

0

0

0

0

30

0

0

0

0

0

0

0 0.182

0

0 0

0 0.091

0

0

0

0 0


混 んで い る

ぼつ

ひつそ り 閑散

大勢 ごた ごた

殺伐

群集

す かすか

ご ちや ご ちや

ぱらぱら

ごみ ごみ

小 人数

う じゃう じゃ

まば ら

ごった返 す

ものさび しい

密集

ちらほ ら

満員

が ら力'ら

寿 司詰 め

す いてい る

0.8

にぎわ う

.6

もの さわが しい

0。

4

0.2

ひとごみ

2345678

rO

ぎゆ うぎゆ う

8

ぎっ しり

,6

赳 緊 率 製

4

超満 員

:0.2

お しあ いへ しあ い

23456789

9

映像 番号 密度小 一→密 度 大

映像番号 密 度小 ←→ 密度 大

図 2-7:群 集密度 を表す言葉のメンバーシ ップ関数グラフ (二 次元表示)

31

燃 緊 軍 興


一 一

ヾ o マ 3 一 や 嘔 ⊃ 輝 0 o 出 製 範 ‘ o 議 止 一 ・

. O S 範 O S 範

ャ ■ 0 製 一 0 儒 契 シ 口 噸 蝶 o つ 腋 運 撻 0 1 栞 ● キ 1 , 一 ー

く 句 く 句

3 キ 0 ケ ゛ く 傘 贅 3 く ミ 句 キ 約 ゛ 蝶 収 ぶ ヾ 用 C 句 社 く 暉 も や ヽ ・ ヽ ,■ ■

0 一 3 ゛ ケ ミ や 範 3 ゛ ″ 里 ■ 像 ・ 1 奪 機

ご 雪 ご ゛

3 一 も 約 C つ

一 1

ψ ゛ 軽 % ■ 一 長 ざ 緊 縞 く ご O 一 そ 跳 ■ 鮮 羅 も 悩

華 ま 寒 ■ キ 1 1 ◆ 由 ー 1 1 i ′ .

い い ヽ 轟 肛 卜 、 ハ ー く ハ ヽ C 靭 岬 卜 誦 や 撻 仰 麒 装 ¨ ∞ 出 図

” 難 一̈ 難 一

一 ヽ デ ■

芋 占

N . N 日 ヽ く 一 樫 専 照 継 ∝ . 〇

一= 塾 一 一 一 一

0 . 〇

∞ . 〇

卜 . Φ

Φ 守 崎 . . . C 〇 〇 イ /イ / 4-ヽ 動聯 国ニ

32

∞ . 〇

゛ . 〇

H . 〇


. C 〇

∞ 出 憔

一 ¨ 〇

一 [ O

一 ¨ 〇

い N O

一 ゛ 〇

0 ¨ O

O 0 0

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ‘〇 〇 〇 〇

い 一 〇

∞ ゛ 〇

” N 0

゛ ¨ 0

∝ “ O

¨ 0

∞ 崎 凶 い . O . ●

い 0 0

い C O

ひ い い 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

卜 ¨ 〇

¨ 〇

0 ¨ 〇

0 ¨ 〇

ψ “ 〇

0 ¨ 〇

“ O

∞ ∞ ∞ ∞ 一 一 一 一 O 〇 O 0

十 ¨ ∞ 一 一 一 一 一 パ 0 〇 0

∞ 一 〇

い N . 〇

い ヽ 〇

〇 “ 0

〇 “ O

一 つ

崎 一 パ

卜 N O

〇 0 Φ 〇 〇 〇 〇 0 O 〇 〇 〇 〇 0 O 〇 〇 〇

O 崎 ψ い C C O O O O C

い 〇 〇

い 0 ●

嗜 卜 一 い 〇 〇 一 〇 〇 〇 〇 〇

卜 a O

つ “ . ●

つ [ 〇

0 ψ つ い [ “ . 〓

卜 い O

0 ” 〇

〇 0 O 〇 〇 〇 〇 0 O 〇 〇 〇 〇 0 O 〇 〇 〇

O 〇 O ¨ O 〇 O 〇 O O 〇

ひ 〇 〇

O C O

〇 “ ∞ 〇 〇 一 〇 . 〇 〇 〇 〇

寸 い い ¨ . . 〇 〇

い 一 〇

い い や ヾ . 0 〇

0 一 ・ ●

O “ 〇

[ . O

“ C‘

〇 0 嗜 一 卜 卜 〇 0 〇 〇 〇 〇 . 〇 . 〇 〇 〇 . 〇 〇

い ひ い 〇 O ● O . 〇 〇 〇 〇

い い 〇 C . O O

い い ゛ い 〇 〇 一 〇 〇 〇 〇 〇

〇 寸 〇

い 0 . , ●

一 せ 0

〇 ¨ 〇

ψ ¨ 0

一 “ ●

〇 〇 崎 一 卜 卜 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

い 一 い 一 〇 C 〇 C 〇 〇 〇 C

い O O

い 〇 ●

い い ゛ い 〇 〇 一 〇 〇 〇 〇 〇

寸 N O

い 一 〇

6 ヾ . 0 一

● “ 0

〇 [ ⇔

0 ¨ 0

一 “

へ ヽ 約 0

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 0 〇 〇 〇 一 〇 〇 0 ●

〇 〇 〇 崎 〇 〇 〇 O 〇 〇 ● C

い C 〇 O . 〇

〇 〇 つ 〇 〇 〇 〇 0 〇 〇 〇

い 向 〇

い 一 . ●

い “ 〇

〇 ● 〇

0 “ 0

卜 い 0

一 〇 O r 〇 〇 O C 〇 〇 O 〇

い ⇔ 0

〇 つ O * 〇 〇 い 〇 . O 〇 C 〇 〇

崎 ^ い G . O 一

〇 寸 〇

い ‘ ●

〇 〇 ● 〇 〇 0 ● 〇 〇 〇 〇 〇 0 ● . 〇 〇 〇 〇 0 〇 . 〇

卜 一 〇

0 “ 〇

〇 〇 〇 嗜 一 卜 い 〇 〇 ● 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 一

い 0 い 一 〇 ● 0 C 一 0 ●

い 〇 〇

● O

い 倒 〇

∞ 一 〇

卜 い 一

〇 〇 〇 C 〇 〇 〇 〇 〇 〇 O 〇 〇 〇 〇 〇 〇 O 〇 〇 〇

卜 い い 0 C 〇 〇 0 C 〇 パ 一

い 〇 〇

い O O

い い つ 〇 〇 一 ⇔ 〇 〇 〇 ⇔

い O 〇

6 一 ●

一 一 一 ¨ 崎 卜 卜

い 卜 卜 卜 a [ 一 [ 〇

卜 [

O 〇 0 ¨ ∞ ” ∞ O 〇 ◆ 一 一 一 一 O 〇 〇 〇 〇 バ 〇

〇 0 ∞ O 倒 a 0 0 〇

[ [ パ

掏 争リ

一 一 一 い 十 O 0 ¨ “ “ c “ . 〇 〇 一 0 〇 〇 〇

0 ■ 崎 C 寸 “ 0 〇 一

十 0

t tiV

い い い 〇 一 N ] ¨ “ 寸 寸 十 ゛ 0 〇 Φ . 〇 Φ .

● [ 崎 0 ¨ ¨ ヾ . 0 C 0

い い い O 一 “ ¨ 一 a ] G ¨ “ ¨ 〇 O 〇 〇 〇 〇

〇 O 0 0 一 C “ “ 〇 C 〇 〇

G ¨ ¨ 寸 つ 卜 い

O C 0

O O O O O O

〇 〇 嗜 一 い い 〇 〇 〇 〇 〇 〇 . 〇 一 〇 〇 0 〇

い い い ひ 〇 〇 〇 〇 〇 バ 〇

〇 0 ¨ ∞ ∞ ∞ 〇 0 一 一 一 一 〇 0 〇 〇 〇 〇

(■

`

樫 0 緊 C 靭 E I

卜 a O

〇 〇 〇 〇 〇 〇 . 0 . 〇 〇

〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 . 〇 . 〇 . 〇 〇 〇 〇

悩色′

樫 仰 叫 維

卜 0 0

] N 倒 倒 a 一 里 綺 R′ ヾ N O 〇 0 ⇔ 〇 〇

S約

案0

¨ ‘ ” ¨ “ 史 争リ製 “ . 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

崎 一 ● “ 〇 C

い [

い ,

t 一 い . 0

卜 ゛ . 〇

ト ベ 〇

崎 い 〇

■ [ O

に 引 〇

゛ ‘ 〇

寸 0

つ ∞ 0 [ . 〇 0

● 〇

卜 卜 N 銀 倒 ¨ . 〇 〇 0

い 0 0

喧 〇 〇

嗜 〇 〇

い ひ ∞ 〇 〇 C . O . 〇 〇

い 一 0 一 . 〇 O

い 〇 〇

ひ a C

O 崎 倒 “ ‘ G .〇 , O 〇

い 〇 〇

0 0 0

0 0 0

倒 銀 一 一 . 〇 ⇔

“ ¨ 〇

N 一 0

∞ 一 〇

い C . 〇

C ¨

い ¨ い 一 ‘ N 0 , 〇 O

い 〇 〇

0 0 0

0 0 0

い 〇 〇

い 〇 〇

〇 〇 C

卜 ¨ O 一 . 〇 0

い O . O

い 吟 卜 倒 ¨ [ , 0 〇

い 0 0

0 0 0

0 0 0

う い 0 0 . 0 つ

〇 〇 〇

い O O

ヾ 一 〇

い 〇 . 〇

0 0 い 0 め ‘ 倒 ‘ . 〇 〇 〇 0

い 〇 〇

0 0 0

0 0 0

い 〇 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

い 〇 〇

嗜 一 〇

い 〇 〇

C ‘

卜 ¨ 卜 い 寸 “ N . 0 O 0 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

い 0 0

い 〇 〇

一 〇 〇

い 〇 〇

一 〇

い 〇 〇

0 こ 0

つ 0 卜 め ¨ い 倒 . 〇 0 〇 〇

い O C

嘴 〇

嗜 一 〇

い O O

い O O

∞ 〇 〇

い O 0

∞ 一 〇

い 0 . 〇

崎 ∞ い 寸 寺 ゛ [ 〇 〇 〇 〇

ひ 0 0

〇 〇 〇

〇 〇 〇

^ 〇 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

0 0 0

∞ 一 〇

い 〇 〇

0 〇

・ つ い 一 〇 一

い い い い O 0 〇 O . ● 0 〇 〇

, 一 一 一 一 仰 十 “ “ ¨ ¨ “ ¨ ¨ 0 O ⇔ 0 〇 O

0 ● ¨ G 一 O 〇

0 こ 〇

゛ キ ;

0 ψ 0 0 卜 い い [ ¨ 輸 ” 〇 〇 〇 〇 〇

つ 一 ¨ “ 一 パ C ,

寸 一

“ G “ (ト リく ¨ 0 0 バ 0 0 0 0

, ¨ ¨ “

0 倒 0 ¨ ¨ 〇 , 0 〇

に ●

゛ ■ 〇 卜 “ ¨ ¨ 倒 0 〇 〇

い 〇 〇

〇 〇 . 〇

〇 一 〇

い 0 0

い 〇 〇

〇 〇 〇

崎 〇 〇

¨ 一 ●

い 0 0

0 0 ψ 0 0 0 0 ¨ ¨ [ い め . . 0 〇 〇 一 〇 〇 0

0 0 一 “ , 〇 O . 0

つ ¨ 〇

つ ¨ 0

つ 0 〇 卜 “ ¨ ¨ a 〇 〇 〇 ⇔

い 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇

い 〇 ●

い 0 0

〇 〇 〇

〇 〇 〇

∞ 一 0

い 〇 〇

∞ ∞ ∞ 0 寸 卜 い ¨ ¨ “ 一 い . 〇 〇 ● 〇 〇 〇 〇

0 サ ψ ¨ ¨ ¨ “ 〇 O 〇 0

¨ 〇

倒 に バ

∞ 十 い 卜 い [ 一 [ . 0 〇 〇 O

0 ● 0

〇 〇 〇

〇 〇 〇

い 〇 . 0

い 0 0

〇 〇 〇

崎 〇 〇

∞ 一 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇 〇 〇 ¨ 嗜 嗜 嗚 嗜 い い . 〇 0 O , 〇 〇 〇

つ い 寸 に 6 “ 0 0 〇 0

卜 ‘ 一

“ ‘ ◆

a 0 ∞ 卜 ■ 一 N .0 〇 O 0

い 〇 〇

〇 〇 〇 〇 . 〇 〇

い 〇 〇

卜 O O

〇 〇 〇

〇 〇 〇

∞ 一 . 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇 〇 0 崎 一 い 6 嗜 〇 ⇔ O 0 〇

い 〇

0 崎 い ” ‘ ‘ “ . パ 0 C 0

一 0 ∞ ト ■ “ 一 ベ Φ 〇 〇 0

い 〇 〇

〇 〇 〇

O C O

い 〇 〇

卜 〇 〇 O 〇 〇 . C . 〇 0

∞ 一 . 〇

い 〇 . 0

〇 〇 い い . O . 〇

0 十 い a ‘ “ ¨ 0 0 〇

0 “ 〇

一 0

■ ∞ 6 一 寸 に 一 一 〇 O 〇 〇

ψ O O

〇 〇 〇

O O O

ψ O O

〇 〇 〇

C C 〇

∞ 一 . 〇

〇 〇 〇

. ⇔ 0 0 〇 ● い い い 嗜 い . 〇 . 〇 O 一 〇 , 一

0 ■ 0 一 “ に ‘ バ 0 バ

十 ‘

に C

〇 [ ∞ ¨ 寸 “ 一 倒 〇 〇 〇 〇

嗜 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

O 〇

〇 〇 ∞ 〇 〇 〇 . 〇 . O . 〇 〇

崎 〇 〇

0 O 〇 〇 〇 0 C 一 嗜 崎 . ‘ 〇 Φ 〇 〇

0 に 0 一 ‘ ¨ 0 バ 0 C

¨

い 向 〇

い 一 〇 一 “ ¨ 〇 [ 0 〇 〇 O

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

〇 0 . 〇

〇 〇 〇 〇 . 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

い [ C

い 一 〇 “ ‘ 〇 N 〇 〇 〇 O

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

〇 〇 ● 〇 . 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 ◆

〇 〇 〇

い 倒 C

い 一 〇 一 に ¨ 〇 い 0 〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

〇 ● 〇

〇 〇 〇

O O O

一 ● 〇

う ヤ ⊃

0留

Φ O 0 い 吟 い . ● ¨ 〇 O

!′ い ● 合 ′

0 〇 O 〇 〇 〇 6 一 崎 崎 . 〇 〇 〇 一 〇

0 0 一 “ ‘ “ ● ● 0 0

ヨ擬

Dヾ″ ♪ Dヾ ,´

O 〇 〇 〇 〇 〇 O 〇 崎 崎 嗜 い . ¨ 〇 〇 〇 〇

0 G 0 一 6 ¨ C 6 . C O . O

“ “

3 ヾ

バ 0

〇 〇 〇

〇 〇 〇

々 ヤ ⊃ ⊃ c ” イ 全 ゛ R ● 0 0 ゛ 3 3く ミ 0 3 r 一 綺 C N今 峰, 梨 ” 句 ヾ 〓 い 一 撃 ャ キ 約 ゛ 製 ヽ . ” 製 ゛く S 毎 3 ゛ ⊃ 葉 0 ゛ 一 〓 惑 00 く ゛ ヽ ・ も ´ ,, ● ″ 句 輩 妥 コ わ 綺 t 増 準 一 誕 く ヽ 一 一 一

3 P ゛ も で ´ ゛ ご 単 ψ 一 約 0 轟誂 一 な S ゛ 長 ざ ヽ ゛ く 一 一 ゛ ´ 部 そ 鳩 ● ゛ 宰 も 一 一


ぐ 〇 〇 . . C 〇 〇 ぐ C 〇

O 〇 〇 . 〇 . も 〇 く C

埋 卜 、 ハ ー く ハ ヽ C 靭 帆 卜 艦 掏 撻 照 L 熱 o & 憮

い 一 . 〇

崎 寸 . 〇

い ヽ . 〇

い 〇 . 〇

い 〇 〇 . C

い 〇 〇 . 〇

卜 Q . 〇

吟 ヾ . 〇

崎 ∞ ∞ 寸 ¨ . 〇 . 0 . 〇

い 〇 〇 . 0

卜 Q . 〇

0 “ . . 〇 〇

い 〇 . 〇

0 〇 “ . 0

峙 騨 ぶ 〓 〇 ぎ 興 国 こ 黙

. 〇

ト 卜 ベ a . 〇 . 〇

い 〇 . 〇

∞ 一 〇 . 〇 . 〇

. 〇 〇

い o . o . 〇

卜 0 . 〇

い ∞ C 一 . 0 . O

∞ 0 一 C . 〇 . O

∞ 一 . 〇

ヾ 0 . 〇

い 〇 . 〇

い い 〇 〇 . . 〇 〇

つ ∝ . 〇

梨 里卜 3畔製 頓製ト

. C

つ 0 . 〇

撻 錮 に ヽ 樫 牽 騒 C = E I

. 〇

o F 出 憮

い ヾ 〇 一 . 〇 . 〇

崎 . 〇

∞ 一 . 〇

. 〇

∞ 中 . 〇

∞ . 〇

O C 一 〇

つ “ . C。 〇

卜 〇 . 〇

い 〇 . 〇

ヾ 一 . 〇

. 〇

. 〇

. 〇

∞ 一 . 〇

∞ ” . 〇

. 〇

. 〇

. 〇

. C

∞ 〇

“ “ . 〇

ト ベ . 〇

0 “ . 〇

∞ 三 〇

∞ 〓 0

N N . 〇

d “ . 〇

い 夕 . 〇

0 一 . 〇

∞ 三 〇

∞ 〓 〇

6 “ . 〇

一 ヾ . 〇

い 0 . C

卜 一 . 〇

∝ 〓 〇

寸 . 〇

べ 一 . 〇

崎 ヾ . 〇

N G . 〇

∞ G . 〇

Q O . 〇

卜 〇 . 〇

“ “ . 〇

N ∞ N . 〇 . 〇

卜 〇 . 〇

〇 〇 . 〇

0 “ . 〇

. 〇

一月sぐ

里 測bC 塑 O月 く ぐ 和Q測CC

0 一 . 〇

0 一 . 〇

製 2卜 畔製 製ト

34

. 〇

∞ . 〇

月ss゛ bC 里測 咽 月 0く O 枷測 9CC


の ろの

のんぴ り とことこ

ゆ つ くり 普通 に て くて く すたすた

.8 .6 .4

急 いで

興 緊 ≦ 興

0.2

12345678 映像番号 密度小 一→密度大 図 2-9:歩 行速度を表す言葉のメ ンバ ー シ ップ関数グラフ (二 次元表示 ) 1

09 0.8 0.7

岡 主

綱 薇 0.6 題 ヽ 、 、 0.5 ′ I K 、 0.4 ′ ヽ

[豊 [││

一― とことこ

^ のんびり

0.3 0.2 0.1

0 5

2

2.5

歩行速度 (m′ s)

図 2-10:歩 行速度 を表 す言葉の メ ンバ ー シ ップ関数 グ ラフ 35


2.3.5 言 葉 の認 識 の ば らつ き 前 節 では、群集密度、歩行 速度 の よ うな指標値 を言葉で示す際 の明確 さに差 が見 られる こ とが 明 らかにな った。そ こで 、本節 では、情報理論 の冗長度 を用 い ることによ つて 、言葉 の認識 のば らつ きについ て考察 す る。

2.3.5。

1 冗 長 度 の基 礎

情 報理論 とは、も ともとN.ウ イー ナ ーや C.E.シ ヤ ノンによって基礎 づ け られ た、通信系 における情報伝達過程 に関す る理論 であ る。 しか し、 この理論 は通 信 工 学 の領域 を超 えて急速 に広が り、生理学や心理学 の分野 にお いて も広 く適 用 され ることとな った。情報理論 は、状況 の不確定 の度合い、すなわち情報 の 不足分 の度合 い を表す定量的 な測度 として 、エ ン トロピーの概念 を出発点 とし て い る。 この不確定度 の補数、す なわち「 1-不 確定度」 を「冗長 度」 と呼 び、 図形 の体制化 、あ るい はパ ター ンづ けの度 合 い を数量化 す る方法 を提供 して く れ る。従来、数量化 が 最 も困難 で あ るとされて きた「ゲシュ タル ト」の概念 が 、 はた して「冗長度」 の概念 によつて 、 どの くらい説明 で きるか は、建築計画 や 建 築 設計 の 分 野 にお い て も大 い に 興味 あ るテ ー マ で あ ろ う。「 図形 の よ さ 「類 同性 (similaHty)」 あ るいは「 よい連続 (g00d condnuation)」

(■ gural goodness)」

の よ うな知覚 におけるゲ シュ タル ト概念 と、群化 (grOuping)の 原理 が 、い ろい ろな タイプの冗長度 に関係す るこ とが確 かめ られて い る。 ここで 、一つの視野 内 にあ つて 、観察者 が他 の部分 を知 る ことによつて、視野内の ある部分 を正確 「冗 長度」が高 い と定義 され てい る。この「冗長 に予測する こ とがで きる とき、 度」 の概念 が 、例 えば「 よい街並 み」 あるい はケ ビン・ リンチ

文Ю の「 レジビ

リテ イ」 とどの よ うな関連 を持 ちうるかな どを考 える と非常 に興味深 い。 特定 の選択肢 が生起 しうる確率が Piで ある場合、そ の生起 に含 まれる情報量 あ るい はエ ン トロピー hiは 、次 の よ うに表 され る。 hi=log(1/Pi) あ る事象 に結 びつい たエ ン トロピー Hは 、個 々の選択肢 iの エ ン トロピー hi に、重みづ け の 因子 として、各 々 にそ の生起確率 Piを 乗 じた ものの総和 で定義 され る。

H=Σ Pllog(1/Pi)= ―ΣPilog Pi なお、情報量 を表す とき、一般 に対数 の 底 を2と す るが、 この 2を 底 とす る 単位 を ビッ トbit(2進 法 binav digれ の略 )で 表 す。エ ン トロピー Hは 、すべ て の選択肢 iが 等確率 で生起 す る場合、最 大値 をと り、全選択肢数が mの 場合、次


のように表 される。

Hmax=log m したが って、選択肢 が 2で あ り、それぞ れの生起確率 が 1/2で あ る場合、 HInax==log 2== 1 とな り、 1ビ ッ トの具体 的 な意味 を表 してい る。 ある事象 の エ ン トロ ピー H は、Hの 取 りうる最大値 Hmaxと の比 で 表す と便利 な ことが 多 い。

R=H/Hmax この Rは 、相対 エ ン トロ ピー と呼 ばれ 、この補数 Cが 冗長度 (redundancy)と して知 られて い るものであ る。C=1-Rし たが つて、冗長度 が 0と い う極端 な 場合 は 、すべ ての選択肢 の生 起確率 が 等 しく、次 に何が起 きるか まった く予測 が つ か ない場合 で あ り、冗長度 1(あ るい は 100%)と は、次 に何 が生起す るか を完全 に予測 で きる場合 を表 して い る。

2.3.5.2 冗 長 度 を用 いた 言 葉 の 分 類 以上 の定義 の よ うに情報理論 による冗 長度 とは、情報 の意味 の確定度 を示す 指標 で あ る。また、冗長度 は 、相対 エ ン トロピーの補数 で表 される。ここでは、 冗長度 を言葉 の使 われ方 にあてはめ、そ の 言葉 に対 して人 々が認識 して い る意 味 の集 中度 について述べ る。 まず、先 の印象調査結果 よ り冗長度 を算定す る。彼験者 の映像 ご との選択 し た比 率 を Piと す る と、情報 エ ン トロピー Rは 、

H=― Σ Pilog Pi

Hmax=log(N) R=H/Hmax

N:分 割数 で あ り、冗長度 Cは 、

C=1-R で表 され る。 冗長度 Cは 、意味 の全員 の認識 が 一 致 し、言葉 の認識 が集 中 して い る場合場 合 1、 言葉 の意味 の認識 が とば らつ き全 ての階級 で問 う分布 になった ときすなわ ち認識が分散 して い る場合 、0の 値 を取 る。このことによ り言葉 の認識 の集中度 をはか るこ とがで きる と考 え られる。そ こで、ここでは冗長度 を用 いて言葉 を

4つ に分類 した。

37


1.冗 長度が高 い もの (0.75~ 1)

被験者 の 回答 が 同 じ尺度 に集中 して い る もの 。群集密度 に関す る言葉 では、 お しあ いへ しあ い 、超満員 、 ぎっ しり、ぼつ ん、 ぎゆ うぎゆ う、 ひっそ り、寿 司詰 め 、満員、密集。歩行速度 を表す言葉 には見 られない。比較的極瑞 な値、はっ き りと数値指標 と対応 した内容 の言葉 が 多 く見 られる。特 に群衆密度 が高 い こ とを示す言葉 に多 く見 られ る。言葉 の意味が共通認識 と して同程度 の値 で とら え られて い る。 これ らは「言葉 の意味 の認識 が一致 して い る もの」 といえる。 2.冗 長度 がやや 高 い もの (0.5~ 0.75)

被験者 の 回答す る尺度 が やや集中 して い る もの 。群集密度 に関す る言葉では、 混 んでいる、ち らほ ら、もの さび しい、ば らば ら、ひ とごみ 、うじゃう じゃ、ごつ た返す 、に ぎわ う、す いてい る、まばら、殺伐。歩行速度 に関す る言葉 では、の ろのろ、急 いで 、足早 に。 言葉 の意味 は共通 の認識 と して とらえ られてい る が、そ の指標 の値 に幅 を持 って とらえて い る。 3.冗 長度 がやや低 い もの (0.25~ 0.5)

各被験者 の 回答 がやや分 散 してい る もの。群集密度 に関す る言葉 で は、大勢、 すかす か 、閑散 、 ご ちや ご ちや、 もの さわが しい 、 ごみ ごみ、 ごた ご た、小人 数、群集、が らが ら。歩行 速度 に関す る言葉 では、のんび り、すたす た、普通 に、ゆ つ くり、 とことこ、 て くて く。言葉 の 意味が共通認識 として とらえ られ ていない場合 ととらえられて い て も大変幅 を大 き くとらえて い る場合 が見 られ た。 この よ うにこれ らの言葉 は「言葉 の 意味 の認識 に幅 ある もの」 とい える。 4.冗 長度が低 い もの (0~ 0.25) 各被験 者 の 回答が分散 して い るもの。言葉 の意味 が 共通認識 として とらえら れてい ない。そ の 原因 として 、言葉がはっ きりと した数値 的な意味 を持 たない 、 人 によって言 葉 の認識 が異 なるな どがあ げ られ る。今回 の調査 では、あ る程度 指標 と対応す る言葉 を選択 し調査 を行 つたため 、 この 範疇 にはい る言葉 は な か った。 これ らの 言葉 は「 言葉 の意味 の認識 に相違 が ある もの」 とい える。 冗長度 を用 い ることによって言葉 の認識 の幅 によって行動 を示す言葉 を分類 「 言葉 の意味 の認識 に幅 した。そ こで「言葉 の意味 の 認識 が 一致 してい る もの」 「言葉 の意味 の認識 に相違 がある もの」の特徴 によって分類 で きる こ あ る もの」 とが 明 らかにな った。 本節 では、まず 、行動 を表現す る複雑 な言語形態 の 中か ら、最 も明確 に指標 化す ることが可 能 な群集密 度 、歩行速度 を表現す る 言葉 を選択 し、それ らの言 葉 の もつ基本 的 な特性 につ いて明 らかに した。 この方法 が、他 の複雑 な関係 を 持 つ言葉全 て に適用 で きる とは限 らないが 、言葉 を定量的 に分類す る手法 とそ の有効性 を示 した。


表 2-11 言葉 の冗長度 (群 集密度 ) 006 しあ いへ しあい 超 満員 ぎっ し り ぼつ ん

ぎゆ う ぎゆ う ひっそ り 寿司詰 め 満員

すかす か 閑散 ごちゃごちゃ もの さわが しい ごみ ごみ ごたごた 小 人数 群集

0 0

1.93

0

0

0

0 01247 0.0661

0

0 0.1426 0.0932 0 0.1426 0,0932 0 0.0877 0.1426 0.1157 0 0 0 0 0 0

0148 0.1331 0.0877 0.148 01331 0.0877

o0000 00000

0 0.1442 0.0877 0.1442 0 0 0 0

0 0.1426 0.1426 01442

0000 0000 0000

0

0 0 0.1426 0148 0.148 0 0.0877 0.0877 0.1426 0.1331

00877 0.1331 00877 0.1426 0.0877 0.0877 0 0 0 0.0877

0 0.0877 0.0877 0.1157

0 01442 0.0877

0.148

7 0.0877

0

0

0

0

0.148 0.1247

0.0877

0

0

0

0.148

0148 0.1247

0.148

108

0.23

0 0 0 0 0 0 0 0

0000 ちらはら ものさびしい ぱらぱら ひとごみ うじゃう じゃ ごった返す にぎわう すいている まばら

0.79

0.13

0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 00877 0 0 0 01442 0.1247 0.:247 0 0 0 0

0

0.148 0.1247

0

0 0 0.148 0.0877

0

0 0 0 0 0 0 0.0877 0 0.1247 0.1247 0.1442 0.1247 0 0.1247 0.1247 01247 0.1442 0 0.0877 0.1426 0.148 0.1426 0 0.0877 0.1426 0.1442 0.0877 0.0877 0 0.0877 0.0877 0.1247 0.1247 0.148 0.1247

77

0.1426 0.1247

0 0.0877

表 2- 12 言葉 の 冗長度 (歩 行速度 )

岬 一 榊

の ろの ろ 急 いで 足早 に

のんび り す たすた 普通 に ゆっ くり とことこ て くて く

1

0.7

2 0.77

3

4

0.95

1.13

6

5

1.46

1.94

8 冗 長度

7

2.89

4.44

116 0.125 0.125 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.143 0.144 0.143 0 0 0 0 0.143 0.144 0.143 0 0 0 0 0 0。 148 0.148 0.125 0.088 0 0.088 0 0.125 0.125 0.144 0.088 0 0 0.088 0.088 0.143 0.148 0.125 0 0 0.148 0.125 0.143 0.088 0.088 0 0 0 0 0.125 0.088 0.125 0.148 0.088 0.088 0 0 0 0.088 0.125 0.143 0.125 0。 125 0.088

0。

39

0.6348 0.5706 0.5706

0.4915 0.4309 0.4092 0.4092 0.3393 0.3077


2.3.6 言 葉 と数値 デ ー タ の 関係 前 節 では、フ ァジイ理論 の一 致度 を用 い た言 葉 の類似性 、情報理論 の冗長度 を用 い た言葉 の 意味 の明確 さについ て述べ た。 ここでは、これ らの結果 を もと に言葉 と数値 デ ー タの関係 を考察 す る。以 下に言葉 と数値 デー タの関係 を示す。 それぞれの言葉 に対 して被験 者 が選択 した頻度が最 も高か った映像 とその数値 デ ー タを示す。 (表 2- 13、 2- 14)頻 度 が同 じ場合 には、両方 の カテ ゴ リー に記述 した。また、冗長度 によ り言葉 の表す意味 の認識 の集中の度合 い を示す。 この 様 に、言葉が 表す意味 と数値 的 な値 に関 して、関連 づ けて示す こ とがで きた。こ の 関連 づ けにお いて、言葉 に よつて 明確 な数値的な意味 を持 つ 言葉 と、不 明確 な意味 を持 つ言葉 がある事 が 明 らか になった。その 明確 さを冗長度 を用 いて評 価す る手法 を示 した。また、それぞれ の言葉 同士 の類似性 には 、言葉 ご とに差 異があ ることが 分 かつた。 これ を一致度 を用 いて表す手法 を示 した。 また、全体 的 には、群集密 度 を表す言葉 で は密度 が高 い もの 、お よび低 い も の は冗長度 が 高 く、密度 が 中程度 の ものは冗長度が低 い傾向が 見 られた。歩行 速度 に関す る言葉 につい てはそれほ ど明確 ではないが、歩行高 い ものが冗長度 が 高 く、歩行速度 が低 い もの は冗長度 が低 い傾向が見 られた。

表 2-13 言 葉 と群集密度 の関係 映 1家 否 号

辞衆 管 度 (人 /m2)

長度

中 (025ヽ 075) ひ っそ り

イ ■ (ヽ 0.25)

006

ば ら│ざ ら

ま ば ら・ 少 人数 ・ す か す か

011

もの 寂 しい すい で い る

(0.75ヽ ) つ ん

0.36 に ぎわ う の さわ か しい

7早

ん で い る 。人混 み

う じゃ う じゃ・ ごみ ごみ・ ご ち ゃご ち ゃ・ 群集 ・ ごた ごた 。大勢

お しあいへ しあ い ・超両 員 ・ ぎっしり・ ぎゆ うぎゆ う 。す し詰め・ 満員 ・密集 ・ ごった返す

表 2-14 言葉 と歩行速度 の関係 吸塚 否 号

辞末 賓 反

(A/m2) 0.7

長度 (0,75ヽ

中 (025ヽ 075) のろの ろ

0_71

(ヽ 0.25) ゆ つ く り・ の ん び り のんび

0.91

1

こ 1_94

`)う 普 通 に ・ て くて く 。とこ と 足早 に

い lF

4.44

40


2.3.7 人 間 の 集 合 を表 す言 葉 の 数 量 的 意 味 前節 まで に群 集流動 を表現 す る言葉 と群集密度 、歩行速度等 の数量的指標 の 関係 を考察 す る。 ここでは、人 の 集合 を表す言葉 を取 り上げ、それぞれ の言葉 が持 つ意味 と認識 の 幅 を定量 的に表現す る。前節 での調査 にか ら、各言葉 に対 す る数量指標 の期待値 を算定 す る。 ここで 期待値 =Σ

(ρ i・

Pl)=

Σ (ρ io Nl)/N

ただ し ρi:映 像 iの 指標値

Pi:映 像 iの 選択 率

Ni:映 像 iの 選択 率

N:被 験者数 ここで 求 めた期待値 は平均化 された値 で あるので 、デ ー タのばらつ きを捨象 した値 となってお り、デ ー タのば らつ きを示す もの として、冗長度 が適当であ る。 例 えば、「群 集」 とい う言葉 については、群集密度 の期待値 は、 *映 像 群集密度 の期待値 〓 ((映 像 1の 密度 *映 像 1の 度 数 )十 (映 像 2の 密度

2の 度数)十 ・・ °十 (映 像 9の 密度 *映 像 9の 度数 ))/

被験者数

= 0.90 (メ 、/m2) となる。 また、先 に算定 した冗長度 は 、 冗長度 =0.48 で あ る。 この様 に算定 した期待値 と冗 長度 の散布図 を示 した ものが図2¨ H、 12で あ る。 「群 この 図 よ り、例 えば「超満員」は密度 が 高 く、認識 も明確 であるの に対 し、 集」 は密度 が 中程度 で 、認識 が ば らつい て い るこ とが 分 か る。 また全体 として は、言葉 の期待値 が 同程度 で あ つて も、冗長度が異 な り、言葉 の認識 に差があ る ことが明 らか にな った。この よ うに言葉 を用 いて行動評価 を行 う際 には、そ の意味 の認識 の一 致度 を考慮 す るこ とが必要 で あ る。 また、この図 を用 い るこ とに よ り、各言葉 が 示す指標値 とその認識 のば らつ きを視覚的 に示す ことが可 能 にな った。 また、群集密度 の期待値 に関 しては、戸川が 0。 3人 /m2で 群集 としての特性 である「左側通行が お こる」 と して いるの に対 し、期待値 は 0.98人 /m2と 実際 よ りも意識 の方 が 高 い群集密度 を許容 して い るこ とが 明 らかにな った。

41


表 2- 15 期待値・ 冗長度 デ ー タ (群 集密度

36 い

′ヽ

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ぎゆ うぎゆ う 超満員 ぎつ しり 混 んでい る 寿司詰 め ひとごみ 満員 ごつた返す 密集 ごちや ご ちや ごたごた 大勢 うじゃうじゃ にぎわ う 群集 ごみ ごみ もの さわが しい もの さび しい す い てい る すかす か ばらばら 小人数 ちらほら 閑散 殺伐 ま│ゴ ら が らが ら ひつそ り

0。 7

0.79

1.

000001 000001 000001

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1.93 1.93 1.93

0

0

0

0 0.091 0.909

0

0

0

0 0.182 0.818

0 0 0 0

0 0 0 0.273 0,727 0 0 0 0.273 0.727 0 0.091 0.091 0.273 0.545 0 0 0.273 0.364 0.364

0 0.091 0.273 0。 636

000000。

0 0.455 0.091 0.455 0.364 0.364 0.182 0 0 0.364 0.545 0.091 0 0.364 0.545 0.091

909 0.091

0

0

0

0 0

0.6539

0.9027 0.8973

0.481

0。

0

0

0

00000 00000 000000 000000

0.01

0.7 0,77 0.95 1.13 1.46 1.94 2.89 4.44

0

0

0

0

0

0

0

0 0.27 0.45 0.27

0 0.27 0.45 0.27

0

3.0536 2.0682

0 0.09 0 0.18 0.18 0.45 0.09 0 0.09 0.18 0.27 0.18 0.18 0.09

0 1.6855 0 1.4318

0 0.18 0.09 0.18 0。 36 0.09 0.09

1.4018 1.3482

0 0.09 0.09 0.27 0.36 0.18 0.36 0.18 0.27 0.09 0.09 0 0.36 0.36 0。 18 0.09 0 0

0 0 0

0 0

0.64 0.18 0.18

0

0

0

0

42

0

26

0.1973 0.1945 0.1745 0.1436 0.1436 0.1209 0.1136 0.1136 0.0145

表 2- 16 期待値・ 冗長度デ ー タ (歩 行速度 )

足早 に す たすた て くて く とことこ 普通 に ゆつ くり のんび り のろのろ

0。

8891 0。

81

0.7582

0.571 0.571 0。

431

0.308

0.339 0.409 0。

0.39 0.45

7809

0 0 0 0

0.5613 0.479

9664

0。

0 0 0

0

7642

0.4915

0。

0

7642

0。

0.9664 0.9664

0

0

0。

0.481

0

0

0.8092

1.1127 1.0473

0.3791

0 0 0.091

1982

1。

182

0

0 0.364 0.364 0.182 0.091

1

1.31

0 0 0.182 0.182 0.455 0 0.182 0 0 0.273 0.273 0.455 0 0 0.091 0.545 0.091 0.273 0 0

0 0.091 0.091 0.636 0.091 0.091 0 0 0.455 0.182 0.182 0.091 0 0.091 0 0.455 0.091 0.364 0 0 0.091 0.273 0.182 0.273 0.091 0.091 0 0.091

0。

1.8527 1.7755 1.6982 1.6982 1.4827

0 0 0.091 0.273 0.364 0.273 0 0 0.182 0.182 0.455 0。 182 0 0.091 0.182 0.182 0.364 0.182 0 0 0.364 0.182 0.364 0。 091 0 0.091 0 0.091 0.273 0.455 0.091

0.545 0.182 0.091

ぼつ ん

)

409

0.491 0.635

0。

5298

0.5333 0.5323 0.4915 0.6238 0.4915 0.6312 0.6312 0.8774 1


超満員

一 麟 ¨ 柵̈ ・

0 . 0 .

置 冨 0 → . ← 理 0 器 . K 0 .

侵 暉 瞑 0. 0 .

0.8

1

1 2

群集密度期待値 (人 /m2)

図 2-11 期待値・ 冗長度デー タ (群 集密度)

0 7 ・

饉 謬 06 → ・ ← 饉 05 S ・ 降 0 4

撻 ・ Щ R 03 ・

0 2 ・

1.5

2

歩行速度期待値 (m/s)

図 2- 12 期待値 。冗長度 デー タ (歩 行速度)

43


2.4ま とめ 本章 で は、歩行者 の動線計 画 で一般 的 に用 い られて きた人 間 を数 として定量 的 に解析 す る手法 に対 して、空 間 にお け る歩行者 の状態 を人間の感覚 の側か ら の とらえる方法 につい て分析 した。この章 では、人間の感覚 を表す もの として 、 「行動 を表現す る言葉」を対象 と して研 究 し、またそ の結果 を分析 す る方法 とし て、 フ ァジイ理論 、情報理路 を用 いて解析 、分類 を行 つた。具体 的 には、行動 状態 を示す映像 とそれ表現 す る言葉適合 させ るア ンケ ー ト実験 を行 い 、数値指 標 と言葉 の意味 は、幅 を持 った対応 関係 を持 つ ことが 明 らかにな つた。この言 葉 と数値 のはばをフ ァジイ理論 のメ ンバ ー シップ関数 を用 いて表現す ることに よ り、 コ ンピュー タ上で関係 を記述す る方法 につい て述 べ た。 また、それを用 ぃて言葉 同士 の一致度 を算定 し、言葉 の類似性 を数値化す る手法 を示 した。ま た、情報理論 の冗長度 を用 い る ことに よつて 言葉 の認識 のば らつ きを示す手法 を示 し、言葉 の「認識 が一致 してい る もの」「認識 に幅あ る もの」「認識 に相違 が あ る もの」に分類 で きる こ とを明 らか に した。歩行 の最 も基本的 な歩行 の速 さと群集 の集 ま りに関す る印象調査 を通 して言葉 と数値 の 間 には幅 をもつ緩 や かな関係 がある こ とを明 らか に した。

参考文献 _シ メ 1)室 恵子 ,羽 根 義 ,沢 田 英一 :「 言語イ

゛ の構造化に関す る研究」,日 本建築学会大

会学術講演会 ,1990 _シ メ 2)広 木 晃 ,青 木 義次 :「 言語的枠組みによる景観イ

゛ 評価」,日 本建築学会大会学術

講演会 ,1990 3)福 々一紀 ,奥 田 宗幸 ,坂 田 寛明 :「 言語から図形へ の展開に関す る研究 ,設 計知識

ス テムの提案」,日 本建築学会大会学術講演会 ,1991 獲得シ 4)門 内 輝行 :「 設計言語 に関す る記号学的研究 ,そ の 1テ

゛゛ン サイの解釈か ら生成へ」,日

本建築学会大会学術講演会 ,1991 5)香 西 克彦 「日常言語 。 詩的言語・学的言語 ,風 景 と認識 4」 講演会 ,1991 ゛

,日 本建築学会大会学術

_シ _シ の メ の検 メ 大規模調査による快適性イ 6)室 恵子 「言語イ 構造化 に関する研究 ,Ⅲ 。

討」,日 本建築学会大会学術講演会 ,1992 7)原 京子 ,柏 原 士郎 ,吉 村 英祐 ,横 田 隆司 ,阪 田 弘一 :「 言語表現からみた日本的空

間の特質 について」 ,日 本建築学会近畿支部研究発表会 ,第 35号 計画系 ま 8)青 山 斉広 ,井 上 利幸 ,寒 河江 昭二 ,沖 塩 荘一朗 :「 言語分析 による神楽坂の “ ち像 "に 関する研究」,日 本建築学会大会学術講演会 E-1,1995 9)池 田朋子、大貝彰「言説分析 を対象 とした空間 イメー ジ研究手法 に関す る考察」,日 本建築学会計画系論文報告集 ,No.492,pp.149~ 156,1997.2


第 3章

視覚化手法 による歩行行動 の状態把握


3.1 群 集 内の 各 人 の歩 行 軌 跡 の抽 出 手順 本研究 で は、V]R撮 影調査 に よつてえた動画像 か ら、単位時間毎 の 歩行者 の 位 置座標 を算定す るこ とによ り、各歩行 者 の歩行軌跡 を算出す る。各 モ デ ルの 基礎 となるデ ー タは歩行者流動 の VTR映 像 をもとに、コンピュー タを用 い て処 理 を加 え歩行者 の座標 デー タを作 成 した。 この一連 のデ ー タ抽 出の ため 、歩行 軌跡抽 出 システ ム を構築 し、デ ー タの抽 出 を行 った。

3.1。

1歩 行 軌跡 抽 出 シス テ ム

3.1.1.1基 準 の設 定 歩行者 の 映像か ら歩行者 の位 置座標 をデ ー タとして解析す るため には、画像 か らの歩行 者位置座標 を抽出す る必 要 が ある。V「Rカ メラで撮影 した映像 は高 い場所 か ら調査対象地 を俯厳 して撮影 した もので あるが、その画角 は斜 め上方 座標 を抽 出す る際 には直交座標系 に変換す る必要 がある。 向 か らの映像であ り、 そ こで、あ らか じめ調査時 に画面 上 に撮 影 した基準 をもとに座標 の変換 を行 う。 この場合 、平面 か ら平面へ の写像変換 となるため、それぞれの平面 同士 の対応 す る 3組 の点 が分かれば変換 を行 うことが 可能 で ある。 ここでは、基準点 とし て、あ らか じめ調査値 の撮影範 囲内 に長 方形 の基準 四角形 を設定 しそれ をもと に基準設定 を行 つた。 歩行者 の位置座標 と しては、歩行 者 の頭 部 の座標 を用 いて測定 を行 うもの と す る。これ は、1.ど の歩行者 の頭 部 もほ ぼ 円形 にうつ り形態が同 じで あるので、 中心位 置 を判別 しやす い事 2.画 面上 で頭 の位置が重 な らず場所 を特定 しやす い 事 による。画面上で観測す る平面 は、歩行 者 の頭 の高 さの平面 を用 い た。 この ため基 準 としては、長方形 の基準 四角形 上 に日本人の平均 身長 として 1.65mの 高 さの棒 を垂 直 に立 て あ らか じめ画像 に写 しこんだ。この棒 の先端 を結 んだ面 が頭 の高 さの通 る面 となる。 従来、歩行者 の行動 を観測 す る際 の方法 としては、画面 に写 つてい る基 準四 角形 に従 って記入 したゆがみ座標 の透明 シー トを貼 りその グリッ ドご とに解析 す る方法 、数学的な手法 として 写像変換 に よ り座標変換す る方法 の二 つ の方法 が あ る。ゆがみ座標 を貼 る方法 は撮影 した映像 を画面 上 に表示 し、先 の基準面 に従 った画面 上のゆが んだ座 標系 の グ リ ッ ドを描 き、どの グリッ ド内 に歩行者 が存在す るか 。通過 したかを調 べ る もので ある。数学的 な手法 で変換 す る方法 は、処理 が 複雑 で あ るが歩行者 の座標 を写像変換 によ り変換す る もので あ り精 度 が高 い 。本研究 では 、後者 の 方法 を用 い た。

45


3.1.1.2シ ス テ ム の構 成 歩行者座標 を抽 出す るため に コン ピュー タ内 に画 像 を取 り込み、そ の動画映 像 を もとに作業 を行 つた。 1・

システ ム構 成

撮 影機器 Sony Hi8ビ デ オカメラ CCD- TR3 解析機器 Apple PowerMacintosh 7600/120

SonyHi8ビ デオデ ツキ 解析 ソフ トウエ ア

MЖ Ped、 NIH Imttcを 用 い て独 自に開発 したアプ リケ ー シ ョン 表示 ソフ トウエ ア Rotater

3.1.1.3座 標 抽 出 の 手順

1群 集映像 の撮 影 Hi8V]Rカ メラを用 い て歩行者 の撮影 を行 い その映像解析 によっ 本研 究 では、 てデ ー タを得 た 。歩行者 の位 置座標 を頭部 の位置 で代表 させ るため、群集流動 の撮影 にあた つては、群集内 の 各歩行者 の頭頂 が映 る よ うに、群集 を可 能 な限 り高 い ア ングル か らビデ オ撮 影 した。 カメラの設置場所 は、歩行者 デ ッキ 、鉄 骨建築物 の梁 に固定 などで あ る。注lこ の とき、後 の座標変換 の作業 に用 い るた め 、歩行者 の頭部高 さの基準 となる高 さ (1.65m)の 棒 をあ らか じめ空 間 に設定 した基準長方形 の各頂点上 に垂 直 に立て 4箇 所映 しこん だ。基準長方形 は、な るべ く画角 と正 対 す る方向 を設定 し、変換 によるゆがみ を少 な くす る よ うに考 慮 した。

2歩 行軌跡 の コ ンピュー タヘ の取 り込み 撮影 した映像 デ ー タを解析 す るために コンピュー タの ハ ー ドデ イス ク上 に画 像 の取 り込 み を行 った。取 り込み時 間 は各調査点、調査 時間毎 に 30秒 間、0.5 秒 間隔 で ある。この取 り込 み 画像 を筆者 らが 開発 した独 自の歩行軌跡抽 出 シス テム を用 いて コ ンピュー タ上 に表示 し、そ の 画面 上 に映 し出 された全 ての歩行 者 につ い て位置座標 を抽 出 した。 2'こ の システ ムでは 、マ ウス を用 い て 各時間 '卜

ごとに各歩行者 の頭頂 にカー ソルを会 わせ 、クリックす ることによ り半 自動的 に頭 の座標 をデ ー タとして取 り込 む。 システムの メ イ ン構造 は、画像解析用 ソ フ トウエ ア NIH Imageを ベ ー ス として作成 し、そ のプ ロ グラ ミング言語 である


MacrOを 用 い ることによつて システムを拡張開発 した。

3デ ー タの座標変換 3.2の システ ム によって抽出 した人 間 の位置 デ ー タは コンピュー タ画面上 に投

影 された座標 デ ー タである。そ こで 直交 XY平 面座標 に投影 した群 集 の 歩行軌 跡 デ ー タを得 るため座 標変換 を行 った。'131座 標変換 につい ては以 下 に述 べ る が、座標 変換 にはプ ロ グラ ミン グ言語 PeJを 用 い た独 自の変換 プ ロ グラムを用 い た。

4歩 行者 デ ー タの形式 この様 に して得 られた座 標 デ ー タは、テキ ス トデー タとしてデー タの受 け渡 しを行 う。 ファイルのフォーマ ッ トは、以下 の よ うに設定 した。 (indeX,time,X,Y)

index歩 行者 の識 別番号 timα 観測開始時刻 か らの フ レーム数 (× △ t)

X:歩 行者 の位 置座標 X(mm) Y:歩 行者 の位置座標 Y(mm)

デ ー タ例

index l

time X

Y

1

40.4333976

334.726948

1

2

16.9101267

326。 141954

1

3

-6.1345795

328.789921

2

1

85.784543

361.114753

2

2

79.3624123

344.727962

2

3

76.0114267

314.89464

3

2

74.7211785

279.937856

3

3

72.1968895

273.044208

3

4

72.025552

252.113425

歩行軌跡 1 歩行軌跡 2

図 3.1-1:歩 行軌跡 と座標

ここでは、歩行者 1は 、座標 (ω .4333976,334.726948)(16.9101267,326。 141954)(- 6.1345795,328.789921)を 通過す る歩行軌跡 を示す。歩行者 1の 解析 開始時刻 は 1

△t、 解析終了時刻 は 3△ tで あ る。歩行者 3は 2△ tの 時点 で始 めて解析単位空 間 に表 れたことを示す。 (だ た し△ tは 、観測単位時間 とする。)

47


3.1.2 座 標 変 換 によ る歩 行 者 座 標 の 算 出

VTRに よつて撮影 した映 像 は、斜 め 上方向か ら眺 め た もので あ り、座標で考 えれば、ゆが み座標 を直交化 す る作業が必 要 となる。 この座標変換 は、行列計 算 による写像 を求 めるこ とに よ り行 う。撮 影 した映像 は 、連続 した静止 画像 の 集合 であ り各静止画像か ら取 りだ したデ ー タそれぞれ につい て座標変換 を行 う ことによ り、歩行者 の直交 座標 を得 る。 モ ニ タ画面上 の 位 置座標 (F)

直交座標系 (R)

図 3.1- 2:写 像変換 による座標 の直交化 斜 め 方 向 か ら撮 影 した画 像 は 、実 平面 Rか らフ ィル ム 面 Fへ の座 標 変換 と考 え られ る。 2平 面 の 写像 を行 列 Aに よつて 行 えば 、

λη=Aζ λ :ス カラ ー η :ベ ク トル (F)

ζ :ベ クトル (R) ηとζは、各々3つ の基本ベクトルよりなるものと考えてよい。 ηi=Vl■ 1+V2■ 2+V3η 3

ζ l +μ 2ζ 2 +μ 3ζ 3 i =μ l ζ νk,μ k:ス カラー ηk,ζ k:ベ ク トル (F)

2座 標系 の対応す る 3点 が 分 かった とすれば、

ζl'ζ 2'ζ 3 48


ηl'■ 2'■ 3 と

Ⅸ I I ⋮ ⋮⋮

一 一

缶 ,可 ,可

一 η ,可 ,可

)'1百

)JT

'dfr.->T v

l,i

E

A 〓λ

と こ

一 ・ 2

一 η 3

ζl

一 ・ 2

一 ■

離餞 れ勒 い 脈 L門 ビ j

一 η 3

v2

μ

μ2

μ

μ

μ

一 一 一 L Q %

o イ ル ム 面 F 上の 占 ま

¨

r ー lu ー = Vー ー l 、 ′

を用 い 、 X=│÷

y=善 ÷ として 、実平面 R上 に変換 で きる。

以上 の理論 に従 って座標変換 プ ロ グラム を作成 し、デー タを変換 した。

49


3.2 空 間 ―時 間系歩 行 軌跡 モ デル (SpaceJme Diagram Model) 3.2.1 概 要 本研究 の 目的 は、従来 Static(静 的)あ るいは二次元的 にとらえられて きた群 集 の平面移動行動 に関 して、時間変化 に伴 う人間の歩行軌跡 を表現す るモデル を用 い ることにより、時間の流れに伴 うDynamic(動 的)な 群集 の空間移動 を 視覚的 に表現 す ることの有効性 を明 らかにすることである。

3.2.2 モデ ル の 内容 時間系 本研究では、空間におけ る群集 の平面移動特性 を表現す るため、空間一 歩行軌跡モデル (Spacedme Diagram Modd以 下 STDモ デル)を 提案 し、可視化 を行 つた。 (1)空 間、時間の表現

本 モデルは、空間におけ る時間変化 に伴 う群集内の各人の平面的 な歩行軌跡 を表現す るために、二次元移動平面 を XY平 面、時間をZ軸 方向 にとり、人間

図 3.2- 1 空間 -時間系歩行軌跡 モデルの概念

図 3.2- 2 表空間 -時間系歩行軌跡 モデル と実空間 との対応 50


の歩行軌跡 を表現 したモ デルで ある。 (図 3.2-1、 。空 間平面 (XY平 面 )

3.2- 2)

群 集 を真 上 か ら観察 した際 の頭 の位 置'14)を 地面 に投 影 した二 次 元座標 を

(X,Y)と す る。この座標 は従来 の歩行軌跡 を二次元 平面 上に表現す る際 の歩行 軌跡 で あ る。 ・時 間軸 (Z軸 )

Z軸 に時 間の単位 (秒 )を 取 り、人間の位 置 をプ ロ ッ トした。基準時 間 (t=0) は、解析 開始時 間 に設定 した。 この よ うによ うに表示 される人間の位置座標 を、

Pn(x,y,t)と す る。単位 系 は、[x,Y,T]:[mm,mm,Sec]を 用 いた。

3.2.2.1 モ デ ル の概 要 空 間 における群 集 の平面移動特性 を表現 す るため 、 空 間― 時間系歩行軌跡 モデ ル を提案 し可 視化 を行 つた。 ・空 間、時 間の 表現 空 間 における時 間変化 に伴 う群 集内 の 各 人 の歩行軌跡 を表現す るため に、二 次元移動平面 を xY平 面 、時 間 を z軸 方向 に と り、人間 の歩行軌跡 を立体的 に 表現 したモデルで ある。 (図 3.2-1、 。色 による移 動 方向の 表現

2)

各歩行者 の移動方向 を分類す るため に、以 下の よ うに各歩行者 の歩行軌跡 の 色 を設定 した。 1。

画面上 に設定 した基 準座標系 の X軸 の正 の方向 に移 動す る場合 を o° そ こ

か ら反時計 回 りに 360°

まで の移動角度 を設定 した。

2.各 歩行軌跡 の 移動方 向 は、出発点 (解 析 始点 )か ら終着点 (解 析終点 )に 向か う方向 とし、 1.で 定義 した角度 を移動方 向角 とした 。 3。

この ように設定 した 角度 と、色彩 の HSL表 示 におけ る色相 の角度 とを対応

させ 、60° ご とに 6つ に分割 し、各歩行軌跡 の色 を決定 した。 (図 3.2-3) 90°

150°

ヽ三 才// ~二 330°

:

夢行軌師

図 3.2- 3 移 動方 向 と色設 定 51


3.2.2.2 モ デ ル の表 示 方 法 本研 究 で は、(x,y,t)の 三次元 の空間座標 を表現す るため、コ ンピュー タ内 に 仮想 の 3次 元空 間 を再現 し、マ ウス を用 い て任意 の方向 に 自由に回転 しなが ら カラー表示 した歩行軌跡 を見 ることがで きる。注9こ の仮想空間内 に、本 モ デ ル を適応 す るこ とによ り、モ デル を 自由 に回転 させ、あ らゆる角度 か ら歩 行軌跡 を観察す るこ とで 、立 体 的 な前後 関係 や上下 関係 をイ ン タラクテ イプに把握す ることが可能 で ある。また、い くつ かの表示 方法 を用 い ることによって 、個人 に適 した方法 を用 い るこ とがで きる。ここで は三次元空間 を表示す る方法 とし て 3つ の方法 を検討 した。注め

1.陰 影表示 … 隠線処理 と奥 の線 ほ ど彩度 を落 とす陰影処理 によ り擬似 的 に立 体 的 に見せ る表示。 2.二 色表示 …赤、青、2色 の 3D眼 鏡 を用 い ることによ り、右 目 と左 目の視差 によ り立体感 を表現す る。 3.ス テ レオグラム表示 … 左右 に 2つ の映像 を描画 し、立 体視法 を用 い て 2つ

の画像 を重 ね合 わせ て見 る ことによ り、立体感 を把握す る。 それぞれ の表現方法 の特性 は、表 3.2-1の 通 りで あ る。本研究 では、1.特 別 の 道具 を必要 と しない、2.特 別 の技術 を要 しない 。3.カ ラーの表示 を用 い る こと が可能 を判 断基準 ととして 、陰影表示が採用 された。

操作風 景

陰影表示

二色表示

ステ レオグラム表示

図 3.2- 4 STDモ デル表現方法 表 3.2- l STDモ デルの表現方法の比較 曼不 万 云 医彫

二色 ア亭 1′ チ ″ う ′

見 ヤ ず さ

工 体 感

艮い 良い

ママ悉 い 良い

わ わ 菫

自 l 、

i、

52

備 考

赤青 眼鏡 が必要 J∥ 整 下′ ユ重


3.2.2.3 従 来 の歩 行 を 表 現 す る指標 との 関係 本 モデルは、従来 の二 次元 の歩行軌跡表示 を時間軸方向 に拡 張 した もので あ る。そ こで、従来、人間行 動研究 に用 い られて きた指標 とSTDモ デルの関係 に つ い て述べ る。 (1)移 動、停 止

空 間 を左 か ら右 に移動す る歩行者 の歩行軌跡 は右上が りの 直線 として表 され る。また、停止 してい る場合 には、時間軸 に平行 な直線 となる。この ときXY平 面上 の座標 は、従来 の二 次元歩行軌跡 を示 して い る。 (図 3.2-5) (2)歩 行速度

△ T時 間当 た りの移動距離 を△ Dと し、ベ ク トル とxY平 面 とのなす 角 を θ とす る と、歩行速度 Vは 、V=△ D/△ T〓 tan・ θと表 される。 これは、XY平 面 との傾 きの逆数が歩行速度 となる事 を示す。傾 きが小 さい ほ ど、すなわ ち水平 面 との勾配が緩 やかなほ ど、歩行速度 は大 きい。 ・ Vx(XT平

面 へ の投 影

(f:P→ XT))

W平 面へ の投影 は、△X(移 動距離 の X成 分 )を 表 してお りX軸 となす角 を ω とす るとVx=△ x/△ T=tan4 ωとな り、Pの XT平 面へ の投 影 Pxの 傾 きの逆 数 が 速 さ (Vx)を 表す。 ・ Vy(YT平

面 へ の投 影

(f:P→ YT))

Yr平 面への投影は、△Yを 表 しておりXT平 面への投影 と同様、Pの Yr平 面への投影Pyの 傾きの逆数が速さ (Vy)を 表す。Vy=△ Y/△ T=tan・ φ (図 3.2… 6)

V=△ D/△ T=如 Jθ

停止

図 3.2- 6 歩行 速度の定義

移動・ 停 止 の表現

ξ コ


(3)群 集密度

XY平 面 に平行 な平面 (T=t)で 空間 を切 つた際 の 歩行軌跡 と平面 との交点 を 求 め る。その場 合 の交点数 をその時 間での 空 間内の全 人数 (n)そ の値 を空 間の 面積 (A)で 示 した値 を群 集密度

(ρ )と す る。 ρ =n/A(図 3.2-7)

(4)断 面交通量、流動係数

T軸 に平行 か つ XY平 面上 の 断面 を通 る平面 (例 えば、X- (tlく =Tく =t2))で 空間 を切 つた平面 と歩行軌跡 との交点数 が 時間 (tl~ t2)の 断面交通量 (m)と す る。 また、 この数値 を経過時間 (dt=t2-11)と 断面線 の長 さ (1)で 除 した値 を流 動係数 (N)と す る。N=m/dtβ (図 3.2-8) (5)時 間 T=tの 位置 本 モデルで は、時刻 tに お け る歩行者 の位 置 は、平面 T=tと 歩行軌跡 の交点 の 座標 となる。 (6)空 間内 の ベ ク トルの加減 空 間内 のベ ク トルは、加法性 を保証 されて い る。そ のため、同一歩行者 の任 意 の 2点 を結 んだベ ク トル を、 もとめ、それぞれの 平面 に投影 した場合、そ の 結果 は、2点 間 の値 となる。また、速度、加速度 につ いては、2点 間の平均値 と なる。

図 3.2- 7 群集密度 の定義

図 3.2-8 流動係数 の定義

54


3.2.3 歩 行 軌 跡 の抽 出 手順 本研究 で は、モデル検証 のためのデー タとして 、空間における群集 の 各人の 軌跡 デ ー タを抽 出す るため 、歩行軌跡抽 出 システムを構築 し、デ ー タの抽出 を 行 つた。 ここでは 、一定時間 に空 間 を通過す るの群集内の 各人の歩行軌跡 を抽 出 した。 そ の手順 を以下 に示す。 (図 3.2-9)

l.映 像 デ ー タ

↓ 2.座 標 変換

↓ 3.軌 跡 図

図 3.2-9 歩行軌跡抽出 システムの流れ

55


3.2.3.1 群集 映像 の撮 影 群集 の流動 を撮影 にあたっては、群集内の各人の頭頂 が映るように、群集を 可能な限 り高い アングルか ら ビデオ撮影 した。注0こ のとき、後 の座標変換 の作 業 に用 い るため、基準 となる高 さ 1.65mの 棒 を4箇 所映 しこんだ。

3.2.3.2 歩行 軌跡 の コ ン ピュー タ ヘ の取 り込 み 撮影 した映像 デー タを 30秒 間、0.5秒 間隔で取 り込み、その画面上に映 し出 された全ての人間について 、座標を抽出 した。本研究では、座標抽出のため に 独 自のシステムを作成 し用 い た。 7'こ のシステムでは、マ ウス を用いて各時間 i卜

ごとに各人間の頭頂 にカー ソルを会わせ 、クリックすることによ り半 自動的 に 頭 の座標 をデー タとして取 り込む。

3.2.3.3 デ ー タの座標 変 換 3.1の システムによって抽出 した人間の位置 デー タは コンピュー タ画面上に投

影 された座標 デー タである。そ こで、 このデー タを人の地面 に投影 した位置 デー タに変換す るため座標変換 を行 い、X― Y平 面上 に投影 した群集の歩行軌跡 デー タを得 た。'I鱒

3.2.3.4 歩 行 軌跡 の表 示 このデー タを空間 中時間系歩行軌跡 モデルを用 いて表示す るため に、 コン ピュー タ内で仮想的な三次元表示 を行 い、マ ウスを用いて インタラクテ イブに 操作 しなが ら、モデルの構造 を把握す る。なお、基準 として画面上に表示 され る矩形 は、XY平 面 (5*5m)、 そ こから垂直 に立ち上がる直線 は、時間軸 を表す。

56


3.2.4 歩 行 軌 跡 の 二 次 元 表 示 と SttDモ デ ル 表 示 の比 較 従来 の平面 上の歩行軌跡表示 (以 下、二次元表示 とす る。)と STDモ デル を 用 い た表示 (以 下 鋼Dモ デ ル表示 とす る。)の 違 い を実際 の空間か ら抽 出 した 群集 の歩行 軌跡 デ ー タにあてはめ 、比較 を行 つた。注"

3.2.4.1 群 集 流 動 の 方 向 の表 現 (1)一 方向流

一 方向流 の場 合、二次元表示、団Dモ デ ル表示 もそれほ ど差異 は見 られない 。

STDモ デル表示 では、移動方向 に対 して、出発点か ら、終着点 に向 かって片側 があが るベ ク トル とな り、移動方向が明確 に とらえられ る。

(2)対 向流

対 向流 で は、二 次元表示 の場合進行 方向が わか りに くいが 、STDモ デル表示 では、一 方向流 を点対 象 に重ね合わせ た よ うな形 とな り、出発点か ら終着点 に 向か って、 二 組 の片上が りのベ ク トルが 読 み とれ る。

(3)交 錯流

二次元表示 の場合、時 間的 な前 後関係 をとらえる ことは困難 である。また、実 調査段 階動線 の交差 によって 、 際 に交錯 が お きて い るか どうかの判定 が 難 しい 。 ほ とん どSTDモ デ ル表示 で は、時 間 は、高 さの低 い ところか ら高 さの差 として 表現 され るため 、時間変化 に伴 う接 近、交錯 、す り抜 けな どの現象 はは とらえ やす い。全体 と しては、移動方向が分散 したベ ク トル となる。 (図 3.2- 10) この よ うにモ デルの形態 を見 るこ とによ り、群 集流動 の移動方向 を概 略的 に とらえることが可 能 になる。

57


K 憔 嗽 ヽ 川 四 憮 0 当 里 式 卜 中 却 E 択 面 絲 e 叫 維 o r N . ∞ 図

K 憮 E 攣 専 熱

嚇 脳 , 食 ごP ヽ ■■● 中 oれ ∩ 卜 ∽

)`

。 ・ ・ ● ユ ■ , い 。 o O ぐ ル ●

‘ 難 脚 ¨ ・ 計 ・

一 ギ

イ 一

¨

K 憮 唱 ヽ

察 E 楡

泰 E 鞍

ξ υ

泰 緞 侶


3.2.4.2 モ デル を用 い た 歩 行傾 向表 示 空 間― 時 間系歩行軌跡 モ デルでは、zの 値 が小 さい ところか ら大 きい ところへ 向か う方向が 人が移 動す る方 向 を表す ため 、群集流動 にお ける流れの移動方向 を視覚的 に表現す ることが 可 能 で ある。以 下の 図 の よ うに、歩行軌跡 の 向 きの 重 な り方 によって流動 の種類 を概略的 に区別す ることが 可 能 になった。 また、 一般 的 には定義 されて い な い一方向流 と二方向流 の 中間 の流れ、対 向流 と交錯 流 の 中間の流 れ、交錯流 の度合 い などを判別す ること も可能である。群 集 の流 れの違 い に よる団Dモ デルの 差異 を明確 にす るため 、各歩行軌跡 ベ ク トルの解 析始点 を原 点 に移動 し表現 した ものが 、図 3.2- 10の 右 になる。 この様 に歩行傾 向表示 を用 いて、空 間内 での移動方向 と歩行速度 の傾 向 を表現す ることが可能 になる。 (1)一 方向流

移動方向 に対 して、原点 か ら終点 に向 か って片側 があが るベ ク トル となる。 (2)対 向流

一 方向流 を点対象 に重 ね合 わせ たような形 とな り、原点 か ら終点 に向か って、 二 つ の片 上が りのベ ク トル となる。 (3)交 錯流

交通量が多 い方向 は、歩行 軌跡が集中す るが 、全体 と しては、分散 したベ ク トル となる。 この よ うに、STDモ デル を用 い る ことによって流 動 の種別 による差異 を視覚 的 に表現 で きる ことが 明 らか になった。

表 3.2-2 STDモ デ ル と歩行傾 向表示

STDモ デ ル表示 モデル

一 方向流

対向流

交錯流

聡 喩 喩

歩行傾 向表示

モデル

特徴

片上 が り

両上 が り

⊂L 毬

特徴

一方向に集中

二方 向 に集 中

多方 向 に分 散

乱雑

59


3.2.4.3 歩 行 速 度 の 表 現 (1)追 い抜 き行動

群集内 にお い て、人間 の歩行速度 が 異なる場合 に追 い抜 き行 動 が 見 られ る。 二次元表示 では歩行速度 を表現 で きないが 、STDモ デ ル を用 い ることによ り、 歩行速度 は、Z軸 方向 の傾 きの逆数 で 表現 され るので、傾 きの大小 お よび位 置 によ り、追 い抜 きが可視化で きる。 (2)移 動、停止

二次元表示 では、停止者 は点、移動歩行者 はベ ク トルで表現 されるが、停止 して い た歩行者が途 中か ら移動 した場 合 な どの 表現 は不可能で あ る。 しか し、

STDモ デルでは、停止者 は、時 間軸 に平行 な直線 、移動歩行者 は、斜 めの線 に なるため、 この よ うな行動 も表現で きる。 (3)歩 行 の加速

群集 の行動 の 中で 、集団 の拡散、即 ち、先頭 と末尾 との速度差 によって当初 の集団の長 さが伸長 し、密 度 を低下 させ なが ら速 度 を上昇 させ たる。

(4)歩 行 の減速 歩行者 の前後関係 が 広 い状態 で あ った ものが 、先頭 が停止 した ことによ りに は 間隔がせ ばめ られ、そ の結果 、集団全体 の長 さが縮小す る。文醐 このよ うな時 間変化 に伴 う群集 の動 きは、二次元表示 では表現 しに くか った が 、釘Dモ デ ル を用 い ることによって視覚的 に表現 し、把握す ることがで きる。 (図 3.2-H)

60


二 次元表示

歩行軌跡 モデル表示

= l l l 轟 u

追 い抜 き

争 .

停 止・ 移動

・ ヽ ち ヽ ・ 、 o う

縮小

図 3.2-11 群集 の渉 :サ 速度変化のモデ ル による表現 61


3.2.4.4 モ デ ル を用 い た 歩 行 速 度 変 化 の 表 現 歩行者 の歩行速度 は、モ デルでは傾 きの逆数 で表 され る。す なわち、歩行速 度 が速 いほ ど歩行軌跡 の傾 きは小 さく、XY平 面 に平行 に近 い状態 にな り、遅 い ほ ど傾 きは大 き く、XY平 面 に垂 直 に近 い状態 にな り、停止 した状態ではXY平 面 に垂 直な線分 となる。この様 に空間一 時 間系歩行軌跡 モ デ ル を用 い ることによ り、速度 の変化 を歩行軌跡 の形態か ら分類 し、把握す ることが可能 になった。こ の ことによ り、歩行者 の流動 における速 度変化 の概 要 をモ デ ル図を用 いて把握 す ることが可能 になる。 (1)停 止 :XY平 面 に対 して垂 直 に立 ち上が る歩行軌跡 となる。 (2)等 速 :傾 きが 一定 の 歩行軌跡 となる。 (3)加 速 :傾 きが だんだん小 さ くなる。歩行軌跡 は 、上 に凸 となる。 (4)減 速 :傾 きが だんだん大 き くなる。歩行軌跡 は 、下 に凸 となる。

この ように、STDモ デル を用 い ることによつて歩行速度変化 を視 覚的 に表現 で きる ことが明 らか にな った。

表 3.2-3 歩行速度変化 とモデ ル表現 状態

モデル

傾 き

停止

垂直

等速

一定

加速

上に凸

減速

下 に凸

62


3.2.4.5 歩 行 者 の位 置 関係 の 表 現 (1)歩 行軌跡 が 交差す る流動

二 次元表示 では、時間を視覚的 に表現す るこ とがで きないので 、歩行軌跡 が 図の上で重 な っている状態 で あ って も、実際 に歩行 者同士 が 同時刻 に交差 して い る とは限 らない。STDモ デル を用 い る と、流動内 における人間同士 の歩行 軌 跡 の時間的ずれ及 び交差 を視覚 的 に把握す るこ とが可能 になる。 (2)追 従行動

群集内 にお い て 、追従行動が起 こる場 合、連続 、あ るいは断続的 に同 じ経路 上 を人 間が通過す る。二次元表示 では、歩行軌跡が重 な り、時 間的 な前後関係 が把握 で きないが 、団Dモ デルでは歩行 におけ る時間的な前後関係 及 び、時 間 間隔 を視覚的 に表現す るこ とが可能 になる。 この よ うに、二 次元表現 で は動線 の重 な りと して 表現 されていた時 間のず れ を視覚 的 に表現 で きる ことが 明 らか になった。

63


二次元表示

歩行軌跡 モデル表示

ギ特義 ← ,- → ~~~― 「 ■ ∫ 1 ′

交錯

:

― - ― ―

¨ 、__」

非交錯

追従

非追従

図 3.2- 12 歩行者 の位置関係 のモデルによる表現 64


3.2.4.6 他歩行者回避行動時 の歩行軌跡

空 間一 時間系歩行軌跡 モ デルでは、群集 にお け る個 々の軌跡 を歩行者毎 に表現 して い るため 、群集歩行 の 中か ら特定 の歩行軌跡 を抽 出 して解析す ることが可 能 で あ る。ここでは、歩行者が他 の 歩行者 を回避す る状 態 のモデルの表示 につ い て説 明す る。 ・ 歩行者 の 回避行動

Fminは 、交錯流 におけ る歩行者 間の「衝突 (con■ たt)」 を以 下 の よ うに定義 し、歩 行者 の衝突 回数 を調査 してい る。 この場合 の調査 は、主歩行者流 を直角 に横 断す る地点 にカメラを設 置 し、い くつ かの密 度状態 における歩行者 の交錯 回数 を算定 して い るが 、交錯角 と「衝突」 の 関係 につい ては述べ て られてい な い。

「衝突」 とい う言葉 は、 「他 の歩行者 と接近 しす ぎたために、停止 した り、す り足 になった り、正常速度 を減速 した りすること。いずれの場合 も直 ちに速度 や方向 を調整 しなければ本当 に衝突 して しまう。 」 としている。 この定義 をもとに歩行者 の「衝突」 について まとめ 直す と、 「衝突」 とは、他 の歩行者 に接近 したために 1.停 止 した り、速度 を落 とした りす ること。

2.方 向 を調整す ること。

で ある。 そ こで、本研究 では、歩行者の回避行動 における「衝突」の定義か ら、上記 1、

2の 状態 を表すモデルについて述べ る。

65


・ 速度 回避 歩行者が他 の歩行者 の移動 を回避す るために速度 を落 と した り、加速 した り す る状態である。モデルでは、減速 によって相手 の直前で、歩行軌跡 の傾 きが 大 き くな って る様子が分か る。 (図 3.2-13に お ける青で表 された歩行軌跡)こ のよ うに速度 回避 において は、下図 のよ うに歩行軌跡 の解析始点 と解 析終点 を 結 んだ線 (こ こでは 白い直線 )に 対 して :上 側 に凸の 円弧 を描 く。

(立 面図)

(透 視 視図 図)

図 3.2-13 速度回避

・ 方 向 回避 歩 行 者 が他 の 歩行者 を 回避 す るた め に 移 動 方 向 を変 え る状 態 で あ る。モ デル で は、相 手 の 歩行 軌 跡 を回 る よ うに左 右 どち らか 一 方 にふ く らみ 、再 び も との 移 動 方 向 に戻 る。 (図 3.2-14に お け る赤 で表 され た歩 行軌 跡 )

(透 視 図 )

(平 面図)

図 3.2-14 方向回避

66


3.2.4.6 歩 行 者 モ デ ル にお け る 回避 領 域 前述 のよ うに人間は、他 の歩行者 を回避す るために速度 を変化 させた り、方 向を変化 させ る行動 を行 う。この行動 は、いずれ も STDモ デル上では、進行す る歩行者 を回るよ うに して歩 行軌跡 を避 けるよ うな線分で表現 され る。これ ら の表現 は、XY平 面 に垂 直な方向へ の回避 は速度 回避であ り、平行な方向へ の 回 避 は方向回避 である。また、人 間 は他 の歩行者 との接近 を避 けるために歩行者 と歩行者 の隙間 を塗 ってす り抜 ける行動 を行 う。 これ らは、回避 され る歩行軌 跡 の 「歩行 の基準線」の延長線上 の点 に視点 をと り眺める と、あたか も空 間 に 穴が空 いたよ うに見 える。本研究 では、この穴 を「回避ホ ー ル 」として定義 し、 この様な状態 が生 じて いる場合 には、 交錯 による回避がお きて いる ことを示す。 図 3.2-15で は、黄色 で表 され る歩行者 の軌跡 を回避する紫色 の群集 が回避 を起 こす ことによ リアクソメ図中央部 に楕 円形 の穴 (ホ ール )が 生 じて いることが 分 かる。また、図 3.2-16に お いては、緑色 で示 され る歩行者 の流れが とぎれた

P I F ι ,

上面図

アクソメ図 ー 図 3.2-15 歩行者の回避 と回避ホ ル (権 円状 )

アクソメ図 図 3.2-16 歩行者のす りぬけと回避ホール (線 状 )

上面 図

67


博 士 論文

歩行者流 動 の指標化 に関す る研究

1997年 12月 早 稲 田大 学 大 学 院 理 工 学研 究科建 設 工 学専 攻

佐野

友紀


は じめ に わが 国の歩道等 を規定す る道路 構造規格 につい ての定 めは、明治 19年 の道路 築造基準 に始 ま り、昭和 45年 の道路令改 正 まで、幾 多の変遷 を遂 げ ている。こ の 中で 、歩道 につ いては、実際 の群集流動 の分析 にそって、総合的か つ体系的 に基準が定 め られた とい う事 はな く、道路 の総幅員 の 6分 の 1と す る方法、 あ るいは歩行者 一 人当 た りの単位通行 量幅 をo.75mと して決定す る方法 な どが と 。 られて きた。この様 な状況 を改善すべ く、歩道幅員 の総合的か つ合理 的な計画 設計 方法 の確 立 に資す るこ とを 目的 と して、群集流動 の実態 を調査 解析 して き た。 また、歩行者 交通 にとつて重 要 なのは 、交通容量 とい う量的な限界 ではな く、歩行者 が交通流 の 中で享受 しうるサ ー ビスの 質が 問題 となって くる。また、 鉄 道駅 の歩行空 間 にお いて も、駅利用 者 は駅 の 機能評価 にお い て 、「歩 きやす さ」 をかな り重視 してい るに もかか わ らす、それ を計画 ・設計時 に検討 で きる よ うな評価方法 はこれ まで の ところ必ず しも確 立 されてい ない。そ の一端 をに な う言語表現 に関 しては、使 われ方 が まち まちで 体系的 な整理が求 め られて い る。 また、群集流動 は、自動車交通 に比 べ て非常 に挙動 の 自由度 が 高 く、歩行 者 の相 互的変化力淑口時的、直接 的 に挙動 変化 に表 れて くるとい える。そ の為、従 来 の手法 では ミクロな解析 が 困難 であった こ とか ら、従来 の研究 で は定常 的 で 特徴 的な流動 を と りあげ調 査 。解析 を行 って きた。以上 の ことか ら、群集流動 の様 々 な状態 を ミクロな視点か ら把握す る手法 を提案す ることは有効 で あ る と い える。調査対象 と しては、日常的に群 集流動 の 混乱 がお きている駅空間 と、歩 行者 の交通量 が 多 く、また、沿道 の土地利用が 多様 で 、計画・設計上 の課題 の 多 い東京 の 中心 部 の歩行 空 間 を選択 した。 本研究 では、時 間毎 にデ ー タを観測 し歩行 の状態 を数量的に とらえるので は な く、個人 の歩行 軌跡 の集合体 として群 集流動 をとらえることによつて、概 略 的 に群 集流動 を解析す る。また 、座標系 に時間 の軸 を取 り入れた三次元 モデル を用 いて、歩行者 の流 れ・交錯 を視覚的 に表現 し、その上で定量的 に解析す る 手法 につい て述 べ た。 本論文 は、群集流動 を記述す るモデ ル を用 いて歩行者 の状態 を把握 す る手法 を提案 した もので ある。本論文 が今後 の群 集流動 か ら見 た建 築計画発展 の一 助 となれば幸 いで あ る。 筆者 1997年 12月


本 論 文 で用 い ら れ る用 語 の 定 義 ■全体 ○人間(man) ・歩行者 :人 間が歩行す る場合 の個人、集団 の総称 歩行者流動 :単 独歩行、群集流動等、歩行 者の流れの総称。 ・群集 Ч:人 間 を集団 として とらえた もの 群集歩行(pedeStHan wJk):~つ の歩行空間内で 、多数の歩行者が互 い に心理的、人間工 学的な影響 をその歩行行動 に及 ぼ しあい なが ら、それぞれの 目標 に向かって 歩行す る群集歩行現象 群集流動(pcdeSt● an now):群 集歩行 を、歩行者の単 一の流 れあるいはい くつ かの流れの *2 交錯 としてとらえた概念

0行 動(BchaViOr) ・歩行 歩行 (wJk):人 間が足を使 って進む状態。本論 文で速 く歩 く状態 と して走行 も含め る 歩行 軌跡 (pCdeSthan locus):人 間 が歩行 した履歴 を線分 と して表 した もの 。頭 の位置 の X,Y座 標 を歩行者 の 位置座標 を代表す る値 として用 い る 歩行 空 間(pcdeStnan space):人 間 が移動 す るため の空 間 ・ 流動 流 れ(■ ow):同 一の 目標 に向か って、ほぼ並行 した動線 を描 い て歩行 す る歩行 者群 の列 が 持続 す る現象 を、歩行者 の 生物 個体 としての形態 を捨 象 して 、歩行空間 を満 たす流体 として と らえた概 念 の流 れ の ある断面 にお いて 、そ こへ 上流か らの 流 入流率が、そ こ 滞留

(qucuC) :~つ

か ら下流 へ の流 出流 率 を上 回 つている状 態 。群集流動 の分類 一 方 向流 :群 集 が 一つの流 れで 形成 され る流 動 対 向流 :互 い に向 か い合 う分離 した 二つの流 れによつて形成 され る流動

:い くつ かの流れ の 交錯 によつて形成 される流動 交差流 :二 つ の 流 れの交差 に よつてお こる流動 交錯流 層流

:対 向す る群集が相 互 にほぼ平行 な数条の帯状 の流 れ を形作 る流 動

・対 象空間 解析 対象範囲 :歩 行 者 の軌跡 を調査す るために設定 した範囲 c本 研究 で は 、VTRに よつ て撮 影 した空間 の 中 か ら、5m*5mの 範囲 を設定 し、一定 時 間内 に通過す る 全歩行 者 の歩行 軌跡 を抽 出す る 解析対象 時間 :調 査対象 か ら、解析 の ため に歩行軌跡 デ ー タを抽 出 した時 間 解析 対象立体 :解 析 対象範囲 を時 間軸 の 方向 に解析対象 時間 の長 さを とった直方体。こ の立体 の 範囲内 に 解析す る全歩行軌跡が存在 す る ・ 空 間 ―時間系歩行 軌跡 モ デ ル 解析 始点 :解 析 対 象空間 に歩行 者 が進 入 した直後、は じめて調査対象 と して観測 された


解析終点 :解析対象空間か ら歩行者が退出す る直前 に、調査対象 として観測 された点 直進歩行 :人 間が外的 な要因に よつて影響 を受けない際の歩行。この場合、人間は直線 上を等速度 で歩行 す ると仮定 する 歩行 の基準線 :人 間が直進歩行 を した と仮定 した際 の歩行軌跡。歩行 の解析始点 と解析 終点 をむすぶ直線 で 表 される 歩行軌跡 の三次元表示 :平 面 移動 をXY平 面、時間 をZ軸 にと り三次元的に表現 した歩 行軌跡。空間 ―時 間系 モデルで用 い られる歩行軌跡 の表現 基準線方向 :直 進歩行 によつて進む方向。歩行 の基準線 の向 か う方向 とする 基準線鉛直面 :XY平 面 と垂直 で 、歩行 の基準線 を含 む鉛直面。 ・交差立体可視化 モデル 歩行領 域 :人 間が歩行 を行 う際 に他 の人間、障害物等 の接触 を避けるためにとる他者 と の間隔 :平 面的な歩行領 域 を解析対象立体内 に円柱 として表現 した空間領域。本 域円柱 歩行領 論文 では、歩行領 域 は頭 の位置座標 を中心 とす る直径 90cmの 円 とす る。 :人 間の動線、歩行領域等が交 わることc 交差 交錯 :一 般的 には、人間が接近す ることによ り移動方向 。歩行速度 を変更 し、心理 的、物理的負担 を受 けること。本論文では、特 に群集密度 の増加等 により歩 行領域 が交差す る状 態 をい う。 ・ 歩行 を表現す る数量的指標 歩行速度(waking Speed):個 々の歩行者 の移動方向へ の単位時間当た りの移動距離 (m/ 秒) 群集密度(pedcStHan density):歩 行空間内 に単位面積 あた りに存在す る歩行者数(人 /m2) 流動係数(■ ow vOlume):流 れの 方向 に垂 直な単位幅 の断面 を単位時間当た りに通過す る 人数 (人 /m/秒 )一 様 の密度 ρを持 つ流 れが流速 vで 流 れてい る定常流 とみ なせ る断面 にお い ては、そ こでの流動係数 Nと す ると N=ρ ・vが 成 り立 平均歩行速度 :解 析対象空 間内 における解析単位時間 (0.5秒 )毎 の 各歩行者 の歩行速 度の平均値 時間平均群集密度 :従 来 の群 集密度 は、あ る瞬間 における値 として用 い られてお り、 群集密度 =対 象 空 間内の人数 /調 査対象面積 で表 されてきた。本研究 では、対象空間 として、ある継続 した一定時間内 の 人間 の行動 につい て述べ るため、一定時間内の空間内の延べ 人数 を算定 し、 時間当た りで平均 した数値 を用 いる。 時間平均 群集密度 =調 査時間内の対象空間内ののべ 人数 (プ ロ ツ ト数)/解 析対象面積 /解 析 時 間


*1ぐ ん じゅう「群集」「群衆」 人が集 まった状態 を「 ぐん じゅう」と表現す るが、この最 も基本的な用語 で さえ、二 「集 まる」とい う字 を用 いた「群集」であ り、も 通 りの漢字が用 い られて い る。一つ は、 「大衆 の衆」 の字 を用 い た「群衆」で ある。従来、建築 人間工学 の分野 にお う一つは、 いては、体系的 な用語 の整理 が行 われて い ない 。特 に、歩行者 の行動 を記述す る表現 に つい ては、論文 、著作 の 冒頭 に説明 を記 して示 してある例 もあ るが、体系 だった整理 が 行 われてい ない現状 があ る。また、これ らの語 の 意味 は非常 に似通 つてお り、それぞれ の語 を使 い分 ける と言 う よ りは、各研究者 ごとに どちらかの用語 を選択 して用 い てい る。その為、歩行者流動 をとらえる概念 としての 意思統 一が図 られていない。ここでは、 過去 の論文 における歩行 を表現す る用語 の用 い られ方 を整 この よ うな現状 をふ まえて、 理す る。 群集 :人 や生物が多 く集 まることお よび集団 . 群衆 :群 が り集 まった人々の意味で、人以外 には使 わない し、動詞 として用 い る こと はない。 1)

日本建築学会 にお いては、群集歩行速度・群集流 とい う言葉 を統 一 して用 いてお り、 3 群衆 とい う言葉 は用 いてい ない。 古 くは「群集」 と書 い て 「 ぐん じゅ」 と読 み 、「多人数、群が り集 まる こと、または 「群衆」 と書 くのが正 し その人々」 をさす言葉 として使 われていた.3(中 略 )群 集 は、 4) い とい う意見 もあるが、上記 の よ うに古 くか ら群 集の文字が用 い られてい る、、、 群集歩行 は、幅 の制約 を受 けた集団歩行 であ る。幅の制約がなければ、集団歩行 の一 団 は、前進方向 の障害 を さけて 、い くらで も自由な場所 に広がることが 出来 る。幅 の制 約 があつて も群集密度が 1人 /m2ま では ,自 由 に追 い抜 きが出来るので、様 々な歩行者 5) の 自由 な流れであ る。群集密度 が 1.5人 /m2を 超 えると、追 い抜 きは困難 になる。 「集団」であ るが、これは予測 の対象 となる歩行者の一団の ことで 、その密度 は問 わ 「集団」 にお いてその密度 が - 定 の値 を超える ことによつて、人 々が ない もの とした。 歩行 す る際 に、他 の人の 、あるいは通路形態等 の 影響 を受 け、自由に歩行 で きない状態 が「群集」 で あ ると考 え られる。“ 1976年 か ら 1996年 の 日本建築学会計 画系論 文集、大会学術講演梗概集 、各支部研究

報告、建築雑誌 に投稿 された文章 の題 名 にお いて、 「群 集」 を含 むもの :88件 「群衆」 を含 むもの :24件 で あ つた。 また、他学会 にお いては、テ レビジ ョン学会、情報処理学会 にお いて各一編、人間の 集団 として「群衆」 を用 いた論 文が見 られた。その他、日本昆 虫学会、日本生態学会、 日本陸水学会な どにお い ては、動物 、植物 、昆虫 の集 まりとして「群 集」を多数用 い て い る例が見 られた。


この ように、学会 によって、または、個人 によって どちらかの文字 を用 いてい る例が 「群衆」 を用 いてい る場 多 く、意味 を使 い分けてい る例は少ない。 一般的な意味 では、 「群集」を特別な意味 として用いてい る例が多い。本 合 が多 いが、建築分野 にお い ては、 論文 では、 この よ うな点をふ まえて「群集」 を用 い るもの とする。 大野晋 ・浜西正人 :類 語国語辞典、角川書店、 1985 日本建築学会編

建築学便覧 I 計画

日本建築学会編

建築設計資料集正 九善 1983

大槻文彦 :「 大言海」および新村

丸善 1980

出編 :「 広辞苑」

岡田光正 :「 空間デザ インの原点」理工学社 戸川喜久二 吉田克之

1993

1群 集流の観察 に基づ く避難施設の研究、学位論文、 1963

建築計画における避難行動予測に関する研究

学位論文 1991

*2人 間行動 における群 集流動 の定義 人 間 の行動 を設 計 にフイー ドバ ックす る とい う姿勢 に基 づ い て、 建築人間工 学 は成立 した。その中で 、ここでは 人間が集 まる場所 での 歩行 の態様 の研 究 を行 う。そ の前段 階 と して、本研 究 で 用 い る基 本的 な用語 の 定義 を行 うっ従来、人間の行動 、特 に人間 の歩 行 を扱 う分野 にお い て、多数 の 人間 の 流 れ を「群 集流動」と言 う言葉 を用 い て表現 して

きた。戸川 は「歩行者の群集密度が0.3人 /m2を 越えると自然発生的に左側通行 になる。 」 べ と して群集 の特性 が表れる闘値 に関 して述 てい るが 、この 言葉 を含めて群集の研究 に 用 い られる言葉 は、その人間の集合、態様 により使 い分けられてお り、その用法 は体系 的 ではな く曖味 なものであ る。そ こで まず本論文における これ らの言葉 の用法 の整理 と 定義 を行 う。 歩行者 :一 人の 人間を個 人、複数 の人間の集団 を群集 とす る。歩行す る人間の総称 を 歩行者 とする。 行動 :一 つ の方向へ 向か う単独あるいは集団 の移動 を歩行、い くつ かの歩行が集 まっ て影響 しあ う状態 を流動 とす る。 群集流動は、これ らの位 置付 けの 中で「群 集」が「流動」す る状態 として以 下の表 の よ うに位 置づ けられる。 表 1 群集流動 の 定義 歩行者

行動

流動

歩行

詳集

個人

1意 味

全体

人間の 集 団

一 人の 人間

全体

歩行 者行動

群 集行動

行動

人 の間 集 の 歩行 者流動 合流 オし 個 別 の 歩行 移 動

群 集流動

群 集歩行

4国

人歩行


目次

1.序 論 1.1研 究背景 .… ………………………………“…“…………………。 ……… …。 …………¨…… 1

1.1.1 関連する既往 の研究 。 …………………………………………………………………2 1.1.2 人間行動の研究 .… ……………………………………………………………………2 1.1.3 視覚化手法 の研究 .… ………・………………………………………・……・…………4 1.2研 究 目的 .… ……………………………Ⅲ ………………………………・…………………。7 1.3 研究概要 .… ……Ⅲ ………・………………………………………………… …………・……… 8 1.4ま とめ 。 …………………………………………………………………………………………9

2.言 語 表 現 に よ る 歩 行 行 動 の 状 態 把 握 2.1 言葉 による歩行 の表現 Ⅲ ………………………………………………………………… 12 2.1.1 言葉を用 いた 人間行動の表現 .… ………………………………………………・。12 2.2 映像実験 を用いた言葉の定量化 .… ……………………………………………………14 2.2.1 言葉デー タの収集 .… ……………………・………………………………………・。14 2.2.2 調査 1 言葉 の使われ方調査 。 ………………・…………………………………・ 15 2.2.3 調査 2 映像 を用 いた言葉の印象調査 .… ……………………・…………・…… 21 2.3 フ ァジィ理論 を利用 した言葉 と定量的指標 との対応 .… …………………………・25 2.3.1 フ ァジィ理論 の基礎 .… ……………………………………・……………………・ ・25 2.3.2 メンバー シップ関数 の一致度 .… …………………………………………………26 2.3.3 言葉 のメンパー シ ップ関数 の作成 .… ……………………………………………27 2.3.4 言葉 の類似性 .… …………・……………………………………Ⅲ ……・……………。28 2.3.5 言葉 の認識 のば らつ き .… ………………………………………………………… 36 2.3.6 言葉 と数値デー タの関係 .… ………………………………・● │… ….… … ・40 ………・ 2.3.7 人間の集合を表す言葉の数量的意味 。 ………………………・…………………・41 2.4ま とめ .… ………………………………………………………………………・ ・ ・………… 44

3.視 覚 化 手 法 に よ る 歩 行 行 動 の 状 態 把 握 3.1 群集 内の各人の歩行軌跡 の抽出手順 .… ……………………………………………・。45 3.1.1 歩行軌跡抽出システム .… ……………………・…………………………………・ ・45 3.1.2 座標変換による歩行者座標の算出 .… ……………………Ⅲ ……………………。48 3.2 空間 一時間系歩行軌跡 モデル (Spa∝ tine Diagram Mα た1).… ……………… 50 3.2.1 概 要 .....・・¨…… ・¨¨ ・ ・ ・…… ・ ・ ・・¨ ・ ・ ・ ・¨¨¨¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨ ・ ・ ・… ・ ・…… ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨“ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 50 ・ ・ 3.2.2 モデルの内容 .… ……………………………………………………………………・50 3.2.3 歩行軌跡の抽出手順 .… ………………………………………………………・…… 55 3.2.4 歩行軌跡 の二次元表示と割Dモ デル表示の比較 、 …………………………… 57 3.2.5 まとめ .… …………・ ・ ・………………………………………………………………・78 3.3 交差立体可視化モデル .… ………・………Ⅲ ………………………¨…・………………Ⅲ80 3.3.1 概要 .....・・ ・ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・ ・¨ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨ ・ ・¨¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨¨81 ・ ・ ・¨ ・ ・ ・ ・ ・ ・¨。 3.3.2 モデル の定義 .… ……………………………………………………………………Ⅲ81 3.3.3 モデルの意味 .… ……………………Ⅲ ・82 ……………………………・………………・ 3。 3.4 モデルの仮想二次元空間での表現 Ⅲ ………………………………………………85 3.3.5 シミュレーション結果を用いたモデルによる群集流動の表現 .… ………… 85 3.3.6 実空間へのモデルの適用 .… ……………………………………………………… 88 3.4。

まとめ .… …………………………………………………………………………………・ ・91


4.数 量 的指 標 に よ る歩 行 行 動 の 状態 把 握 1群 集流動の指標化 .… ………・……・……………・………………………………………… 93 4.1.1 三次元モデルと指標化 。 …………………………………………………………… 93 - 412 従来の研究 .… …………・・ ・…- ・…………………………………Ⅲ … ……………… 93 4.1.3 歩行者の状態を表す従来の指標 .… ……………………………………………・ ・94 の .… 4.1.4 指標 定義 ………………………………………………・ ・……………………Ⅲ94 ・ 4.1.5 解析対象空間 .… ……………………………………………………………………・99 101 4。 1.6 移動方向の定義 .… ………………………………………………………………。 4.2 移動方向による群集流動の指標化 .… ……………………………………………… 102 4.2.1 歩行者の移動方向の定義 .… ……………………………………………………Ⅲ102 4.2.2 移動方向多様度 .… ………………………………………………………………・103 4.2.3方 向多様度を用 いた群集流動の分類 .… ………………………………………… 107 4.3.個 人歩行領域による歩行者の交錯状態の指標化 .… ……………………………・110 4.3.1 群集流動における従来 の手法 .… ……………………………………………… 110 4.3.2 歩行者間の交錯 。 …………………………………………………………………。112 4.3.3 交差立体可視化モデルによる交錯状態の算定 .… …………………………・ ・112 4。 3.4 歩行交差角と交錯時間 .… ………………………………………………………。116 4.3.5 同密度における行動の差異の視覚化と定量化 .… …..,… …………………。 '132 。139 4.4 まとめ .… ………………………………………………………………………………・ 4。

5。 5。 5。

結論

1 結論 .… L...… ………………………………………………………………。 …………… 141

2 今後の展望 .… ………………………・………………………Ⅲ……・…………………・・145

猪 端 付録 1.本 論文 に関連する可視化技術 2.デ ー タ処理のためのプログラムリス ト 3.解 析対象歩行者流動のモデル 4.調 査対象地データ


第 1章

序論


1.1研 究 背 景 都市部 へ の 人口の一極 集 中が 高 まる中で、都市 及 びその 中心 となる鉄道駅 に お い ては、人 間が高密度 に集 中す る状 態 が 多 く見 られる。特 に鉄道駅 にお い て は、列車 の到着 とにと もな って一時 に大量の歩行者が集 中 し、平常時 の歩行者 流動 としては最 も過酷 な状 況 の起 こる環境 であ る。この よ うな状況 の 中で 、適 切 な歩行者空 間を計画す る上 にお い て 、群集流動 を調査分析 し、その結果 を役 立 てることは非常 に有用 な こ とである。そ のため には、歩行 者 の流動 の特性 を 把握 しわか りやす く表現す ることが 求 め られて い る。 また 、撮 影機材 、解析 用 コン ピュー タの発達 な ど従来 困難 であった歩行 者 個 々の動 きを微視的に とらえ解析す ることが可 能 な状況が あ る。大量 のデ ー タ を高速 での処理 を行 うこ とに よ り、従来切 り捨 てて考 えて い た様 々な現 象 を観 察 し解析す る ことが可 能 になった。 しか しなが ら、この様 な測 定技術 の進歩 に よ り莫大なデ ー タを収集す ることが 可能 になったが 、そ れ らの解析 には時 間が かかるため、概 要 を感覚 的 に把握 し解析 を行 うか ど うか の 見極 めを行 うことが 必 要 になる。人間が物事 を把握す る新 しい技術 と して、 コ ンピュー タ内 の仮想

3次 元空間 を用 いてモデ ル を把握す る技術 の利用 が進 め られてい る。例 えば、 プ ロ グラ ミン グ言語 の構造 を理 解 した り、インター ネ ッ ト等 おけるネ ッ トワー クの構造 の把握 、超集積 回路 の 設計 、医学領域 における脳 の可視化やそれ を用 い たオペ の シ ミュ レー シ ョンな ど、複雑 に絡 み合 い二次元 で は表現 しきれない 現象 につい ての把握 に役立 つ 。技術 の進歩 によ り、これ らの 作業 が全 て手元 に あるパー ソナ ル な コンピュー タにお いて実現 で きる状況 になったことも大 きい 要 因で ある。 都市機能 の一極集中が 進 む 中で 、人間の移動量が ます ます増 え、歩行者空間 における流 動 に様 々 な問題 が発生 して きてい る。この様 な状況の中で特 に過酷 な状 態が起 こ りやす い鉄道駅 につい ては 、群 集流動 の面か ら様 々な研究が な さ れて きたが 、建築計画学 と して体系 だった整理が な されて い るわけではない。 主 として次 の よ うな理 由 に よると考 え られる。1)歩 行者流動 は特 に不 定 の要素 が 多 く物理現 象の ように線形 の法則 によって表現す ることは非常 に難 しいこ と。

2)歩 行者流動調査 は、い ず れの手法 にお い て も莫大 な労力 を必要 とす ること。 3)歩 行者が 個 々 に意志 を持 って独立 した行動 を しなが ら全 体 として大 きな傾向

を見せ てい るため、全体 と個 々の二つの面か らの解析 が必 要 であること。この 様 な状況 の 中 で 、歩行者 の 流動 を概 観的 な面 と詳細 な面か ら把握す るための手 法 が 求 め られて い る。そ こで 本研究 では、歩行者空間にお ける流動 の状態 を映 像 によって調査・解析す る こ とで い くつ か の指標化 を提案 し歩行者空間 の設計 を客観的 に評価す る手法 を確 立す る もので ある。


1.1.1 関連 す る既 往 の研 究 本論文 で は 、歩行者 の行動 を様 々 な視点か ら表現 し解析す る手法 を通 して、 歩行者 の流動状態 を指標化 す ることを試 み る。 ここでは、まず研究 のは じめ と して本研 究 に関連す る研究 につい て述べ る。本論 は 各章 ご とに 3つ の歩行者行 動 を表現 す る方法 を取 り上 げる。 ここでは 、研究 の 中心 で ある「人間行動 の研 究」 につい て述べ 、つづい て「視覚化手法 の研究」 において 関連す る分野 につ いて述べ る。

1.1.2 人 間行 動 の研 究 人間の行動特性 につい ての研究 は 、建築計画 にお いて最 も基本的な研究 で あ り様 々 な視点 か ら特性 を抽 出す る研究 が 行 われて い る。ここでは、人間行動 の 研 究 を「行動軌跡 に関す る研究」「群集行動 に関す る研究」「 タイムス タデ イを 「空間占有 に関す る研究」に分類 し、それぞれの観点 か ら関連研究 行 った研究」 につい て述 べ る。 ・ 行 動 軌 跡 に関 す る研 究 hの 近道行動 につい ては、通学路 、通勤路 における調査 丈 ほか 、住宅団地内 と バ ス停付近 の踏 み跡 か ら近道行動調査 した研究 文2)が ぁ り、日視や尾行調査 とと

もに有効 な方法 で あ る。経路選択 に関 して、足立 、紙野 らは、駅構 内 の群集 を ポ イ ン トチ ェ ック して人数 をカウ ン トし、群 集 の経路選択 を調査 して い る文3)。 さらに紙野 らは、同様 の手法 を用 い て 、群 集行動 にみ られる空間的定位 の傾 向 を明 らか に して い る文詢。池原、渡 辺 らは、遊 園地 の来園者 を入園時か ら退園時 まで追跡 し、最終 的 にはGPSSに よる シ ミュ レー シ ョンを試 みてい るた 文o。 荒 5)、

木 は、ター ミナル における老 人の歩行 トリ ップ を追跡調査 によ り明 らか に して お り、健常者 以 外 を対象 とした例 として注 目 され るえ7)。 避難行動 に関 しては、 避難時 の行動軌跡 を明 らか に した堀 内 らの研究 が あげ られる

文詢、わ 。 これは、

火災 を経験 した人 にア ンケ ー ト・ ヒア リ ン グを行 って求 めた もので 、他 に方法 が ない ことか らも、有効 な方法 だろ う。他 に、迷路 や煙 の 中におけ る避難行動 を実験 によ り調査 した研 究 丈n、 文日)が ぁる。右 回 り 。左 回 りの調査 は、戸川 が 映画館や美術館 で行 つた例 が 有名 である文ビ また、大須賀 は室内 における動線 丈5).丈 ①、 傾 向 を実験 に よ り文l⊃ 、池原、渡辺 らは、遊 園地 の 来園者 の追跡 によ り )。

右 回 り・左 回 りの傾 向 を論 じて い る。歩行軌跡 を本格的 に解析 した研究 として 、 岸塚 、後藤 の方法 は砂浜 に残 され た足跡 の 中心線 を実測調査 し、歩行軌跡 の波 状 パ ター ンの 周期 と振幅 の 平均値 か ら、歩行 曲線 のモデ ルパ ター ンを導 き出 し て い る文鴫、丈1,。 これ らの研 究 に対 し、本研究 で は歩行者 の軌跡 をさらに詳細


な レベ ルで とらえる ことに よ り、行動 の 軌跡 を時間 に ともな う歩行軌跡 として とらえ、歩行者相互間の 関係 を記述す る方法 につい て述 べ る。 ・ 群 集 行 動 に 関 す る研 究 木村 、伊原 の研 究 文 は 、平路、斜路 、階段 における歩行速度 や、群 集密度 と 1°

歩行速度 の関係 を論 じた最 初 の研究 として注 目される。戸川 は、 これ をさらに 発展 させ 、駅 のホ ームや階段 、映画館 な どにおける群 集流 の数取調査 か ら、群 集流 の集結式 、流 出式、滞留 式 を提案 している文n。 これ らは、現在 も避難計算 に利用 されて い る。 また、上 田は、階段 の容量 を階段 にお ける群集流 の観察結 果 か ら求 めてい る文1い 。また 、中が群 集 の 交差流動 の画像解析 を もとに して、交 錯流動 の シ ミュ レー シ ョン を試み、良好 な結果 を得 てい る文 。 しか しなが ら、 1カ

ここで は、二 方向 の交差流動 を用 いて交錯流動 を推測 してお り、様 々 な方向か ら歩行者 が流入す る交錯流動 につい ては言及 して い ない。群集制御 の手法 の実 例 を観察 した もの に、岡田 らの調査 t]"が あ る。岡田 らは、 ラツシュ時 の駅 の ホ ーム を鳥厳撮 影 な どによ り調査 し、群 集制御 の有効性 と、それ に よる群集 の 動 きの状態 を明 らか に して い る。J.Fruinえ

4り

は、一 方向流、二方向流 での群集

歩行 の状態 を定量的 に調査 し、歩行快適性 をサ ー ビス水準 として提 示 した。こ れ らの研 究 に対 し、本研究 では、これ まで定性 的 に定義 されて きた群 集流動 の 分類 を定量的 に分類す る尺 度 を示す。 また、歩行者 の交錯 の度合 い を定量的 に 示す尺度 を示す。 じタ イ ム ス タ デ ィを用 いた研 究 初期 の例 として は、今 の 調査 文2い が ぁ るが、本格 的に取 り組 んだ もの として は、吉武 の一連 の研 究があげ られるた22)。 タィムス タデ ィによ り得 られたデー タ に待 ち行列論 な どの数理的手法 を導 入 して分析 し、い わゆる建 築計 画学 を確立 した点 で特筆 され る。そ の 内容 は非常 に広範囲 にわた つて お り、 タイムス タ デ イや使 われ方調査 を重視 したその 後 の研究 の源流 をなす もので あ る。タイム ス タデ イを精密 に行 った研 究 としては、 L原 、斎藤 による国鉄駅 の 便所 の利用 実態調査 が重 要 である文23)。 この研究 で は 、各便器 に電気接点 を取 り付 け、使用 時 間 を記録計 で記録す る方法 をとって い るため、デ ー タの精度 は高 い 。しか し、 この よ うな調査 対 象、調査 方法 の 便宜 を得 られるの は非常 に まれで 、貴重 な デ ー タ を得 て い る と言 える。出入調査 な どの タイムス タデ ィを精力 的 に行 い、 集 中現象や利用者 の時間的変動 の メカニ ズム を明 らか に した岡田 の研究 は、こ 2■ の種 の研究 の 中 で も特筆す べ きもので あ る文 。不特定 の 多人数 の行動観察 の調 査 を数多 く行 い 、集団 を構 成す る個 々の 人 々は、独 自の 意志 と判断 によ りまっ た く独立 に行動 して い るよ うにみ えて も、それが集積 されると一定 のパ ター ン と法則性 が現 れ ることを明 らかに し、集 団の 人間工学 を確 立 しよ う としてい る 3


点 は注 目される 文25)。 本研究 で は、この よ うな タイムス タデ ィの研究 の一環 とし て、時 間軸 を含 む平面座標系 を用 いて三次 元上 に表現す ることによ り時間 と空 間の 関係 を視覚 的 に表現す る。 ・ 空 間 占有 に 関 す る研 究 人 間 のテ リ トリー につい て は、養老施設 の居室 内での 領域 に関す る荒木 の研 究 2の が初期の もの としてあげ られるが、高橋、西 出 らの対 人位置関係 に関す る 研究 文2つ 、文2詢 も興味 ある結果 を得 てい る。 人の 集合 に関す る研究 は、主 に高橋 らが精力的に取 り組 んでい る 丈3カ 。個体分布 に関 しては 、足立 らが駅 コンコース にお ける停止者 の分布 を観察 し、平均 占有量 の概念 を示 して い る文2カ 。造園 の進 士 は、公園の 芝生 園地 にお け る利用者の分 布 を平板測量 によ り求 めてい る文3の 。 池原 、渡辺 らは駅前広場や大学 キヤ ンパ ス における人の分布 パ ター ンを生態学 、 指 田 らは広場 における観察結 計量 地理学 の概念 を応用 して解析 を試 み え■)柏 原、 果 を もとに して、滞留者 の分布予測 モデ ル を提案 して い る 文33。 座席選択 につい ては 、足立、末岡 による百 貨 店食堂 にお けるテ ー ブル選択行動 の調査 丈3助 が 初期 の研 究 として注 目され る。そ の後、進士 は地 下鉄始発駅 にお いて文Ю 小原 は旅 客車両 文3o、 高橋 は通勤電車 にお いて 丈3"、 座席 の選択状況 の調査 を行 ってい る。 )、

その他 、学校 の プ ラ ンタイプ と休憩時間 の 児童 。生 徒 の 分布 の関係 か ら、プラ ンタイプの評価 を試 みた青 木 らの研究 えも 興味深 い。Boris Pushkarcv丈 52)は 、 'も

歩行 者 が立 ってい るとき、歩 い てい るときに必要 とす る空間か ら必 要 とされ る 歩行 空 間の 面積 を算定 して い る。本研究 では 、待 ち合わせ 空間におけ る停止者 の挙 動 をモデル を用 いて表現 す ることに よ り、従 来の二 次元 _Lの 歩行軌跡表示 では表す ことが 困難 でなった歩行者 と停止者 の違 い 、歩行 における速 度変化 に つい て述べ た。

1.1.3 視 覚 化 手 法 の研 究 近 年、様 々 な分野 にお い て 目に見えない現 象、あるい は見え に くい現象 をわ か りやす く示す こと (可 視化 )が 注 目されて い る。例 えば、化学 の分野 にお い ては 、分子 の立 体 的 な構造 を コ ンピュー タ Lで 三次元的 に表現 する ことによ り、 その理解 に対 して多大な効 果 を得 た。37ま た 、建築 の分野 では、室内の温度分 布 を色で 表現 した ものや、高層建築に吹 く風 の流れ を表現 した もの 、暖房時 の 室内 の気流 を煙 によつて視覚 化 した もの 38な どが あげ られる。これ らは、定量 的な解析 あるい は、平面的 な表現 のみで は とらえに くい現象 に対 して、感覚的 にそ の理解 を助 ける もので あ る。可視化 に関 しては、実験 的可視化法 (実 験 あ るい は 、装 置 を用 い て可 視 化 す る もの )、

コ ンピュー タ利 用可視 化法 (コ ン

ピュー タを用 い て可視化 を行 うもの)が 、最近 多 く利用 されて い る。コ ンピュー 4


夕利用可視化法 は、1.画 像 デー タ可 視化法 (画 像解析 を用 いて解析 した結果 を わか りやす く表示す る処理 )、 2.計 算 デ ー タ可視化法 (数 値計算 した結果 をわか りやす くす る表示 )、 3.計 測 デ ー タ可 視化法 (計 測 した結果 をわか りやす くす る 表示 )に 分類 され る。リ 建築人間工学 の分野 で も、人間の動 きを様 々 な方法 を用 いて表現 して きた。 1.の 研究 としては、画像解析 に よ り自動 的 に歩行軌跡 の抽出 を行 った もの “ )

41な どが 挙 げ られ や、画像解析 を用 いて歩行者 の 回避行動 につ いて述べ た もの 421、 る。2.の 研究 としては 、流れの 中 の 人の塊 を流 動 グルー プ として表 した もの

すれ違 い における個人 の動 きを歩行軌跡 と して矢印で表 した もの

43)、

歩行者 と

な どがあげ られる。3.の 研究 とし ■ 5)な どが ては、都市 における歩行 者数 の 減衰傾向 を 二次元 モデルで表 した もの 挙 げ られる。本研究 で は、空間 における歩行軌跡 を計測 しそれ を可 視化 して い

停止者 の分布 を メ ッシュ上 に表現 した もの

1■

る こ とか ら、3.の 分類 に区分 され る。 また、従 来のほ とん どの人間行動研 究 で は、群集 を歩行経 路、歩行軌跡 で 表現 し、水 平面 上に投影 された人間 の位 置(x,y) とい う、自由度 2す なわ ち平面 的 な表現 が用 い られて きた。 これに対 し、 自由 度 を 3と した三次元的 な考 え方 を用 いて時 間変化 を同時 に取 り扱 い 、群集 の平 面移動行動 を表現 す ることに よつて、感覚 的 に群 集流動 を理 解す るこ とが 求 め られて い るが 、数値 を用 いて解析 的 に行動 を分析 した研究がわずか に存在す る だけで、行動 を視覚的 に とらえた例 はほ とん どない。 また、本研究 のモデルに用 い た空 間 と時 間 を一 元的な座標 上 に表現す る もの としては、1970年 代初頭 にスウェーデ ンの 地理学者ヘー ゲ ルス トラ ン ドによつ て提 唱 された時間地理学 があげ られ る。 ここでは、人々の生活行動 を時 間 と空 間の両面か ら分析 しよう とす る もので「パ ス」「プ リズム」「制約」 とい った概 念が用 い られて い る。知'(図 1-1) 時 間 を視覚的 に表現 した もの として、旅行時 間マ ップでは、あ る点 か ら各地 へ 向 か う際 に交通機関 を利用 して移動す る時 間 をその点 か らの距離 で 表現 して い る。鉄道、飛行機 の発達 に よ り、距離 で はな く時間的 に近 い場所 と遠 い場所 の差 が 明確 に見 られ瑠。距離 の 正確 な表現 である実際 の地図 と比 較す るこ とに よ り、 日本列 島が時 間的 にゆが んで い る状 態 が 分 かる。 (図 1-2) 本研究 では、この ように時 間 を視覚的 に 表現す る手法 を用 いて群集流動 の特 性 を視覚的 に表現 し、概略的 に把握 す る 手法 を示す。


↓ ■ 一 ■ ■ 饉 覇 奮 継 覆 措 擦 漁 ■

綸無 辞

購 螂 襲 騨 =

:

扇 │

■ 1

■ ■ 一 凛

│ │ :

い '

図 1-1:時 空間座標上 の個 人 の パ ス

´´ ″1- “ 議―線 :・ ―ヽ“ 摯…響 く議

図 1-2:旅 行時間 マ ップ


1.2 研 究 目的 V]限 カメ ラな ど撮影機材 の軽量化 、簡易化等 の技術発展 にともな い、ひ じょ うに簡易 に動 きを伴 う人間 の状態 を記録す るこ とが可能 になった。現地観察調 査 では、後 に状況 を再現 す ることは不可能 であ り、記録 した状況 を検証す るこ とは非常 に困難 である。 これ に対 し動画映像 の 記録 を用 い る方法 で は、映像 を 繰 り返 し見 ることによ り歩行者 の状態 を把握す ることが 可能 であ り、現象 を画 面上 で再現す ることも可 能 で ある。これ らの手法 は撮影 とい う手段 によって記 録す ることが 容易 で ある反面 、観察 ・解析 の際 に 同 じ映像 を繰 り返 し見 なけれ ばならず、歩行者 の状態 を有効 に記述す る手法 が なか った。 コ ンピュー タ等 の 技術 の発達 に ともない 、大量 の計算処理 を瞬時 に行 うことが可 能 で ある背 景 も あ り、歩行者 の膨大 な位 置座標 デ ー タをもとに解析 を行 うこと も可能 になって い る。また、三次元 立体 を コンピュー タ内 に表示 し、イ ン タラクテ イブに操作 しなが らモ デルを把握す る技術 も実用化 されて い る。 また、この よ うに撮 影 し た動画映像 を用 いて景観 の 印象調査 を行 うことが 可能にな り、静止画 か らは判 断 で きなか った動 的 な景 観要素 と して歩行者 の 行動 を取 り上 げ る事 も可 能 に な った。 この よ うな要素 は、従来評価 の対 象 か ら外 され、または低位 の尺度 と して考 え られて きた もので ある。 この様 な状況 の 中で本研究 では動画映像 か ら群 集流動 の状態 を表現す る手法 として「言語 、視覚化、定量化」 の三つ の視点 を取 り上げ、それ らの手法 の有 「言語 に よる手法」で は、群 集流動 の動画像 を用 い た印象調査 に 効性 を述べ る。 よ りそ こか ら受 ける印象 の構造 を明 らか にす る。 また「視覚化手法」 では、歩 行者 の座標 か ら歩行者流動 を時系列 に記述す る手法 を提案 し、歩行者 の状態 を 「定量化手法」では、群集流動 の状態 を示 概略的 に把握す る方法 を示す。また、 す パ ラメー タの 中で特徴 的 で ある歩行者 の「 流 れの方向」 と「交錯」 に関 して 定量的 に測 る指標 を提示 して、詳細 な解析 を行 う。 本研究 で は 日常的 な歩行者流動 の 中で比較的高密度 の群集が発生する地点 を 選択 し研究 を行 った。対 象 としたのは歩行空間 と して もっ とも条件 が過 酷 で あ り、また歩行者 が 明確 な移動 目的 を持 つ鉄道駅 における通勤時 の流動 、お よび 移動 を主 目的 とはせ ず高密度 で あ りなが ら特性 の 異なる商業施設 にお け る流動 で あ る。座 標系 に時 間 の 軸 を取 り入れた 三次 元 モ デルの 表現 を用 い るこ とに よって 、連続 した時間の 中での歩行 者 の流動 を視覚的 に表現 す る手法 を示す。 また、特 に時 間を断面 と して切 り離 して とらえ るのではな く、関連 し連 続 した 系 として とらえることに よって歩行 者の動 きを解析す る。本論文 は、歩行者流 動 を記述す るモデル を用 いて 歩行者 の状態 を把握 。解析 す る手法 を示す事 を目 的 とす る。


1.3 研 究概 要 「1章

序論」では、研 究背景 として 国内、海外 にお ける他 の研究 との 関連か

ら本研究 の位置付 けを行 う とと もに、本研究が歩行者流動 を記述す る手法 とし て新 しい手法 で ある こ とを示 して い る。 「2章

言語表現 による歩行行動 の状態把握」では、人間が集合・歩行す るこ

と対 して、それ らを表現 す る際 に用 い る言語 の調査 か らそれ らの一般 的な とら え方 を分析 し、表現す る手法 につい て述 べ てい る。また、都市景観評価 におけ る動的要素 として群 集 の状態 をとらえ、そ こか らうける感覚 としての言葉 の 関 係 を明 らか に している。 「3章

視覚化手法 に よる歩行行動 の状態把握」では 、群集流動 の調査方法 と

して都市 お よび駅空間 における調査 お よびデー タの測定 手法 を提案 し、また歩 行者 の状態 を視覚的 に表現す る新 しい 2つ のモデルを定義 して い る。これ らは、 歩行者 の 歩行軌跡 を時 間 の流れ の 中で とらえる「空間 一時間系歩行軌跡 モデル」 お よび歩行者 間の「接近」お よび「交錯」 を評価す る「交差立体可視化 モデル」 で あ る。 「4章

数量 的指標 に よる歩行行動 の状態把握」では 、まず「 方向多様度 によ

る歩行者流動 の定義」と して空間にお ける歩行者個 人の 移動方向 の分散 の程度 によ り、空 間 における歩行者 の流動状態 を把握す る手法 について ま とめるとと もに「歩行者交錯指標 による歩行状態 の 評価」 として 3章 で提案 した「交差立 体可視化 モデル」 を もとに空間における歩行者同士 の「 交錯」 を定量化す る手 法 につい て示 してい る。 「5章 結論」 では、二 つ のモデルを用 いて歩行者 の「流 れ」 と「交錯」 を視覚 的 に示す こ とが歩行者流動 の状態把握 に有効 であるこ とについ て述 べ て い る。 また、問題点 としてモデルは平面上 の動 きのみ を表現す るため、高低差 のある 空 間 にお いての表現 には検討 が必要 な こ と、モデル化 のための基礎 デ ー タの作 成 に多大 な労力 を必 要 とす ることな ど包括 的 に考察 して い る。また、本 モデル を用 い て空 間 における歩行者状態 を指標化 する一連 の手順 と手法 についてまと 「交 めて い る。また今後 の展 望 として 、本論 文で定量化 した指標値 が 表す「流れ」 錯」状態 の レベ ル を体系 的 に整理 したが 、さらに継続 した研究 によるデ ー タの 蓄積 の必 要性 につい て述 べ て い る。 表 1-1 研 究 の流 れ 表 現

流動 の 構 造 交錯 量

常 的

第 3.2章 空 間― 時 間系 歩 行 軌 跡 モ デ ル 第 3.3章 交差立体可視 化 モ デ ル

定′ 性的 第2章 第4.2章 方 向 多様 度 ・ 群 集 密 度 ・ 歩行 速 度 歩行 の 表現 第 2章 第4.3章 人の交錯 の表現 交錯 指 標 /Fコ 言自 句


1.4ま と め 本 章 で は 研 究 の 序 章 と して まず 、現 在 歩行 者行 動研 究 が抱 えて い る問題 点 と して、研 究 対 象 を体系 的 に記 述 す る 手法 が 確 立 され て い な い こ と。群 集 流動 の 分 類 に明確 な定 義付 けが な され て い な い こ と。群 集流動 の 効 率 を考 え る際 に問 題 にな りや す い「 交錯 」 に 関 して 定 量 的 な指 標 が な い こ とを あ げ た 。 また 、本 論 文 を作 成 す るにあ た った経 緯 お よび他 の 研 究 との 関連 か ら本研 究 の 位 置付 け 「 行動 軌跡 の を行 った 。そ の 中 で 、従 来行 わ れ て きた 人 間行 動 の 研 究 の 中か ら、 「 空 間 占有 の 研 究」 に 「 タイ ム ス タデ ィを用 い た研 究」 「群 集 行 動 の研 究 」 研 究」 つ い て ま とめ て 述 べ た 。 また 、建 築分 野 にお い て 言語 か ら対 象 を と らえ る「 言 語 の研 究 」 に つ いて 述 べ た 。本研 究 で 新 しい 概 念 と して用 い た空 間 と時 間 を三 次 元 で 示 す モ デル と関連 して 、 デ ー タを視 覚 的 に表 現 す る「可 視 化 の研 究」 の 他 分 野 で の 利 用 につ い て も述 べ た 。この よ うな研 究 の位 置付 け をふ まえて本研 究 の 目的 を群 集流動 を表 現 す る手法 の 提 示 とその 有 効性 を明 らか にす る こ と と した。

・参考文献

1) 2)

新建築学大系 H環 境心理 3.空 間 と人間行動 ,彰 国社 紙野桂 人 ,栗 山茂樹 :住 宅内団地 における歩行者空間のデザ インとその使 われ方

に関す る研 究 ,日 本建築学会近畿支部研究報告 ,1977.5

3)

足立孝 ,紙 野桂 人他 :通 行径路 に於け る行動 の性質 について,日 本建築学会論文報

告集号外 ,1967.10

4)

紙野桂 人 ,舟 橋國男 :群 集行動 にみ られる空間的定位 の傾向について,日 本建築学

会論文報告集第 217号 ,1974.3

5) 6)

早大池原研究室 :建 築計画 における行勤科学の新展開 ,建 築文化 ,1972.H 池原義郎 ,渡 辺仁史他 :空 間 における行動特性 の研究 ,日 本建築学会論文報告集第

180号 ,1971.2

7)

荒木兵 一郎他 :大 阪駅前タ ー ミナルにおける老人の歩行 トリップ ,日 本建築学会

大会講演梗概集 ,1975.10

8) 9)

堀内三郎他 :ビ ル火災における避難行動事例 の研究 ,火 災 nl.v01.27.No.26,1977 堀内 三郎 ,室 崎益輝他 :大 洋 デパー ト火災における避難行動 について (そ の 1)(そ

の 2),日 本建築学会大会講演榎概集 ,昭 49.10

10)渡 部勇 市 :迷 路 における人間の避難行動実験 ,日 本建築学会論文報告集第 340号 ,日

召59.6

11)北 後 明彦 :煙 の 中 にお ける人間の避 難行動実験 .日 本建築学 会計画系論文報告集 第 353号 ,1985.7 12)

日本建築学 会編 :安 全計画 の 視点 (安 全計 画 I),彰 国社 ,1981


13)大 須賀常良 :室 内動線傾向について ,日 本建築学会論文報告集号外 ,1966.10 14)岸 塚 正昭 :回 路 の 曲率 に関す る基礎的研究 (1),造 園雑誌 Vol.32.No.4,1969 15)岸 塚 正 昭 ,後 藤 友 彦 :園 路 の 曲率 に 関 す る基 礎 的 研 究 (2),造 園雑 誌 Vol.33.No.4,1970

16)木 村幸 一郎 ,伊 原 貞敏 :建 築物 内 に於 ける群集流動状 態 の観察 ,日 本建築学 会大会 論文 集 ,1937.3

17)戸 川喜 久 二 :群 集流 の観測 に基 く避 難施設 の研究 ,建 築研究報告 No.14,1955.2 18)上 田光雄 :階 段 の容 量 ,日 本建築学 会論研 究報告 第 29号 (第 2部 ),1954.10 19)中 祐 一 郎 :鉄 道駅 にお け る旅 客 の 交 錯 流動 に関 す る研 究 ,鉄 道技 術 研 究 報告 No.1079,1978.3

20)岡 田光正 ,吉 田勝行 ,柏 原士郎 ,辻 正矩 :建 築 と都市 の 人間工学 ,鹿 島出版会 21)今 和次郎 :考 現学 ,今 和次郎集 ,ド メス出版 22)吉 武泰水 :建 築計 画 の研究 ,鹿 島出版 会 23)上 原 孝 雄 ,斎 藤 忠 雄 :通 勤 電 車駅 旅 客 便 所 の 設 備 個 数 ,鉄 道 技 術 研 究 報 告 N().52,1959.1

24)岡 田光正 :建 築計 画学 12施 設規模 ,丸 善 25)岡 田光正 ,吉 田勝行 ,柏 原土郎 ,辻 正矩 :イ ンフ ォー マ ル な集団 の行動 にお ける時 間的 な らびに空 間的法則性 ,年 報社会心理学 第 14号 ,1973

26)荒 木兵 一郎 :養 老施設 の居室内 での領域 につ いて,日 本建築学 会論文報告集 第 103 号 ,1964.10

27)高 橋鷹 志 他 :空 間 にお け る人 間集 合 の 型そ の 1,日 本 建築学 会大 会講演梗概 集 ,1978.9

28)高 橋 膚 志 他 :空 間 に お け る 人 間 集 合 の 型 そ の 2,日 本 建 築学 会 大 会 講 演 梗 概 集 ,1978.9

29)足 立 孝 他 :広 場 に於 る 人 の 分布 ,日 本 建 築学 会 大会 講 演 梗概 集 ,1968.10 30)進 士 五 十 八 :公 園 設 計 に 関 す る 基 礎 的 研 究 (第 I報 ),造 園 雑 誌 Vol.33.No.3,1970.2

31)池 原義郎 ,渡 辺仁 史他 :人 間空間系 の研 究 その 6,z第 221号 ,1974.7 32)柏 原士郎 他 :広 場 にお ける滞留 者の分布 予測 モデル につい て ,日 本建築学 会大会 講演梗概集 ,1981.10

33)足 立孝 ,末 岡利雄 :百 貨店 に於 るテー ブ ル選択行動 の実態調査 (一 )~ (四 ),日 本建 築学会論研 究報告 第 21号 ,1953.3

34)小 原 二 郎 他 :旅 客 サ ー ビス設備近代化 の研究 2,日 本鉄道車輪工 業 会 ,1975 35)高 橋鷹志 ,西 出和彦 :空 間 における人間集 合 の型通勤 電車 の場合 ,日 本建築学会論 関東支部研 究報 告集 (Vo上 49),1978

36)青 木正夫 :建 築計 画学 8学 校 1,丸 善 10


37)建 築設計資料集成 3単 位空間 I,丸 書 38)岡 畑恵雄他 :化 学系のための Macintosh,講 談社 ,1991.7

39)可 視化情報学会 :「 流れの フアンタジー」 ,講 談社 ,1986.6 40)可 視化情報学入門編集委員会 :「 可視化情報学入門 ―見えない もの を視 る

_」

,電 機

大出版局 ,1994.5 │1秀 史 ,長 田耕治 :「 画像 を利用 した群集行動 評価 に関す る研究」 ,日 41)竹 内啓五 ,掛 ナ

本建築学会第 15回 情報 システム利用技術 シンポジウム ,pp.143~ 148,1992.12

42)建 部謙治 ほか 2名 :「 歩行解析 への画像処理技術の応用に関す る研究」,日 本建築学 会論文報告集 No.436,pp.41~ 47,1992.6

43)中 祐一郎 :「 交差流動 の構造 ―鉄道駅 における交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 本建築学会論文報告集 No.258,pp.93- 102,1977.8

44)上 原孝雄 ,中 村和男 ,吉 岡松太郎 ほか 1名 「群集対向流動 の性状」,日 本建築学会論 文報告集 No.289,pp.H9~ 129,1977.3

45)渡 辺仁史 ,中 村良三 ,池 原義郎 ほか 3名 :「 人間 ―空間系の研究 その 6.空 間 におけ る人 間の分布 パ ター ン解析」,日 本建築学会論 文報 告集 No.221,pp.25~ 30,1974.7

46)藤 井明、原広司 ほか2名 :「 都市の活動領域 に関す る研究 その 1 歩行者数調査 に 基づ く三次元 モデルの提案」,日 本建築学会大 会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9

47)吉 田克之 :「 EBモ デル (伸 縮 プロ ックモデル)に よる群衆流の解析、その 1 避難 行動 予 測 にお ける図解法 の問題 点 と EBモ デ ルの提案」,日 本建 築学 会論文報告集 No.409,pp.35~ 43,1990.3

48)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オー プンスペースの「動的密度感」に関す る実験的研究」 ,日 本建築学会論文報告集 No.386,pp.71- 80,1988.4

49)John J.Fruin:「 歩 行 者 の 空 間 (PE.ESTRIAN Planning an dedgn)」 ,鹿 島 出 版 会 ,1974.12

50)荒 井 良 雄 他 編 訳 :「 生 活 の 空 間

都 市 の 時 間 」 占今 書 院 、 1989

51)Bons Pushkarev with Jeffrey M.Zupan:「

uRBAN SPACE FOR PEDESTRIANS」 ,MT

press,1977

52)Robcrt Sommcr:「 Personal Space Thc Bchavioral Basis of Design」

,Prcnticc― Hall,

Inc。 ,1969

53)Edward T.Hall:「 Thc Hidden Dimension」

,doublcday&company,Inc.,1966


第 2章

言語表現 による歩行行動 の状態把握


2.1 言 葉 によ る 歩 行 の 表 現 「 ものす ご く混 「人が う じゃうじゃい る」 人 々が都市 の状態 を表現 す る際 に、 んで いて」 な ど言葉 を用 いて群集 の状態 を表す こ とが 日常 的 に行 われて い る。 えの 人 々 に用 い られる表現 は、言 この様 に、群 集 の状態 を表現 す る際 に 日常 一月 葉 による ものが最 も一般 的 である。この様 な表現 としての言葉 は、建築計画 の 際 にもコ ミュ ニケー シ ョンの手段 として用 い られ る。 また、建築企画 の段 階 か ら、実際の 設計 の段 階 まで設計 プ ロセスの 中で 言葉 が コンセプ トとして用 い ら れる こと も多 い。 この様 な状況 の 中で 、群集の行動 を示す言葉 に関 して、そ の 意味お よびそれが示す状態 につい て体系的 に整理 されてい ない現状 がある。ま た、言葉 とい うもの は個 人差が あ り対象 とす る状態 によって人 々が うけ る感覚 が異 なる もの も多 い。 近年、都市景観 や町並 みへ の 人 々の関心 は 、非常 に高 まっている。しか し、快 適 な都市 、快適 な景観 といった ものが なんで あ るかは曖味 であ り、個 人 の嗜好 の 問題 とも絡 み合 ってい る。 また、都市景観 にお い て構成要素 の大 きな部分 を 占める人 な ど (空 間的 に移動す る もの =移 動要素 )が 景観評価 にあ ま り考慮 さ れてい ない 。 これ らの こ とか ら、本研究 では まず 、群集 か ら受 ける印象 を調査 す る上で 、 二 つの段 階 を設定 し、分析 を行 つた 。 1.歩 行 を表現す る言語 の抽 出

2.歩 行 か らうける印象 の個 人差 のば らつ き

本研究 で は、歩行 者 の基本的な動態 か ら受 け る印象 と、その状態 における数 値 デー タとの 関係 を明 らか にす る こ とによ り、言葉 の持 つ 印象 と数値 デ ー タの 関係 お よび4回 人に よる印象 の差異 を明 らか にす ることである。また、そ の対応 関係 をファジー理論 を用 い て モデル化 を行 う。 また、景観 の移動要素 として歩 行者流動 をとらえそ こか ら受 ける印象の構造 を明 らかにす る ことを 目的 とす る。

2.1.1 言 葉 を用 いた 人 間行 動 の 表 現 人間行動 の表現 には、数値、言葉、映像、記号 、モデル な ど様 々 な もの力'あ る。従来 の研 究 にお い て は、人間行動 の 表現 には、主 に数値 が用 い られ て きた。 数値 の代 表 的 なもの と しては、歩行速度 、群集密度、断面交通 量、流動係数、空 間モデュール などが挙 げ られる。この ような表現 は、あ る一つの軸 を用 いて評 価 して い るので客観 的 である。そ の 半面 、その指標 に関連 しない項 目に関 して は切 り捨 て られる。 また、数値化 で きない 要因、例 えば、に ぎわい 、不快感 な どは、表現 す ることが 出来 ない。例 えば 、新宿駅西 日の通勤時 の 人の流れ と、休 つ 4


日の原宿 の竹 下通 りを比較 した際 に、群 集密度が同 じであって も、行動 の状態 が異 なる場合 がある。この ような場 合 には、言 葉 の よ うな定性 的な表現 を用 い るほ うが 適切 である場合が ある。

そ こで本研究では、空間における人間行動 の表現 の うち、言語 と映像 の面 か らとらえ解析 を行 う。 人間の行動及 び空間における群集の状態 は、様 々な要因が絡み合 ってお り、 一つ または、複数の数値 を用 いて も簡単 に表せるの ものではない。 しか し、人 「急 いで歩 こう」 「 ここは、混 んでい る」のように行動及び空間の状態を 間 は、 言葉 で判断 してい る。そ こで本研究では、言葉の視点か ら行動 を捉 える ことに よって、人間行動 を明 らかにす る事 を目的 とするが 、その第一段階 と して、基 本的な数量指標 と言葉 の関係 を明 らかにす る。 言葉 の意味 は幅 を持 つてお り、様 々な要因か らなる状態 を表 して い る。例え ば、 「混んでい る」 とい う状態 は、群集密度 で表す と、○人 /m2と ぃ ぅ 1っ の数 値 で表 されるのではな く、○人/m2~ o人 /m2の ように表すのが自然 で ある。そ こで、言葉 の意味 は幅があ り、主観的であるとい う点 に関 しては、ファジイ理 論 を用 いて処理 を行 なう。 ファジイ理論 に関 しては、 2.3節 で説明す る。

13


2.2 映 像 実 験 を用 いた 言 葉 の 定 量 化 映像実験 と言葉 の定量化 ここでは 、行動 を表現す る言葉 の意味す る状 態 を数量的な値 と対応 づ けるた め に行動 を撮 影 した映像 を用 い て、そ の映像か ら受 ける印 象 と対応す る言葉 に 関す る調査 を行 った。そ の 後、映像 の状態 の表す数値 デ ー タを抽出 しその対応 関係 を明 らか に した。

2.2.1 言 葉デ ー タの収 集 人間行 動辞書 の基礎 とす るために言葉 の収集 を行 なった。デー タ収集の もと となる文献 には、国語辞典、漢和辞典、及 び本研究室の卒業論文 。修士論文 を 用 いた。 ●抽出 した言葉 デー タの数 国語辞典…622語 漢和辞典 …56語 卒業・修士論文…52語 調査 1「 言葉 の使 われ方調査」結果…55語 ●言葉 を抽出す る基準 群集流動 の態様 を表現す る言葉 の基礎資料 として、建築空間における人間行 動 の移動・集合 に関係 のある言葉 を網羅的 に収集 した。言葉 の収集の基準 は次 の通 りで ある。 ・名詞 「歩行。右側通行。観覧。 」 の ように「歩行者 の移動」 に関係 のある言葉。 「群集。行列。人 ごみ。 」 の ように「人の集 まり」 に関係 のある言葉。 ・動詞 「歩 く。止 る。 」 のように「歩行者の移動」 を表す言葉。 「群れる。溜 まる。混 む。 」 の ように「群集 の状態」 を表す言葉。 ・副詞 「ゆつ くり。あ しばやに。 」 (歩 く)の ように「歩行者の程度」 を表す言葉。 「ふ らふ ら。す たす た。 」 の ように「歩行 を形容」す る擬態語。

14


●言葉 デー タの保存 このように して収集 した言葉 の読み 、漢字、品詞、意味 を資料 デー タか ら抜 き出 し、言葉 のデー タとした。デー タは、コンピュー タにテキス トとして入力 し、後 のデー タとして利用 で きる形でデ イス ク上 に保存 した。

2.2.2 調 査 1

言葉 の使 われ 方調 査

●調査 目的 「人の集 まり」に関係 「人の歩行」、 空間における人間行動 を表す言葉 の うち、 す る言葉 について、その種類 を調べ る。 ●調査方法 「歩行 に関係す る言葉 (名 詞)」 、 「 (歩 く)を 修飾す る修飾語」、 「人の集 まりに 関係す る言葉」、について 自由 に記入 した。方法 は室内で用紙 を配布 し、内容 を 記入 した後、その場で 回収 を行 つた。 ●調査対象 大学生 Hl名

(回 収率 100%)

●調査 日程

92年 H月 13日 調査用紙 は次 のペー ジに記載す る。

15


建篠 薔オ再 多アトケ ー ト 幸謝 1/13) 学格幕号 :

名前 1

ヽ ます.≧ こで:ま .歩 彎・費 :鷺 1鍮 維瀬尋軒鸞を行なゃて卜 係するよ 磐躍購1究 鷺いおtt i攀 行・豊麟 =轟 寺 書 磁轟壼薔に離 する言葉を縮:Fて も与tヽ 鷲す.場 麟、 i、 横撃 11球 サ轟 をものがあらと思われます =難 】 .て ください。卜 ヨ:な 発驚寸ご案をせ 浜 藩 鶴:こ 人 ,そ れらは、各自自由に韓定 して棒溝です.な るこ く∫ 準 い tt■ 舞 可 だ書 く 、 な 舎線、壼欄 書

:)Tの 鱗

縄 あて は まる雷業 を もつ 以 .L挙 げ て くだ さい 。 た だ し、 轟 割 は 経 ヽヽ

=鷲

1

:彦

く.

癖 歩街 稗灘係する鵞業 (名 F霧 )を 5つ 以 il挙 げてください。

i鶴 い ま 3)人 闘の集まりに纂係する言葉 を5つ 以 L挙 げて くだ きい。 ただし、轟調導

も。

図 12- 1調 査用 紙 16


●調査 1「 言葉 の使 われ方調査」結果 調査結果 は、記述 され た人 数 が 多 い順 に言葉 を示 し、 3人 以上が記述 した言 葉 を掲載す る。 文献 か らの言葉 のデ ー タ収集 は、作業 を一 人で行 な ったため 、主観的な選択 になる可能性 がある。そ こで本調査 の結果 か ら一般的 に用 い られてい る行動 に 関す る表現 を補充す る。

表 2-1「 言葉の使われ方調査」結果 (「 歩 く」に用いられる言葉)

~歩 く」 に用 い られる 言葉

言葉

人数

人数

漢字

ぶ らぶ ら

35 ぷ らぶ ら

てれて れ

だ らだ ら

28 だ らだ ら 28 て くて く

とことこ

6 てれてれ 6 とこ と こ

あ しば や に

5 足早 に

いそいぞ

5 いそ いそ

おお またで がんがん aく オ a くオ

5 大股 で

しゃっ きと

5

て くて く さつ さ と た らた ら

23 さ っさと 23 た らた ら

ちんたら

22 ちんた ら

の ろの ろ

21

い そ いで のんび り

20 急 い で 20 の ん び り 6 と ろ とろ

とろ とろ

の ろの ろ

と│ま と│ま

と│ま と │ま

はや く

5 速 く

まっす ぐ よちよち

4 まっす く 2 よちよち

きび きび

l

さくさく

1

ず んず ん うだ うだ

1

きびきび さ くさ く ず んず ん

どん どん

0 うだうだ 0 す たす た 0 どん どん

よた よた

9 よた よた

す たすた

ぞ ろぞ ろ

5

が んが ん

5

くね くね

しゃ つ き と 5 ぞ ろぞ ろ

て きば き とっとと

て きば さ とっ と と

5

ま つた り ゆった り す いす い ち ょこまか

5

まつた り

5

ゆった り

だ うど う と

の その そ はや あ しで ひ ょこ ひ ょ こ

もくもくと

5

4 す いす い 4 ち ょこ まか 4 堂々と 4 のそのそ 4 早足 で

4 ひ ょこ ひ ょこ 4 異本々 と

さつそ う と

さっそ うと

じぐざ ぐに ずかず か

すばや く

す ばや く

す りあ しで

ず かず か す り足 で

の らりくらり

そそ くさ

そそ くさ

ち ゃ さち や さ

ちや さち や さ

の らりくら り

8

ぼ― っ と

8 ぼ一っと

もたもた

もた もた

8

す ばや く

7 す ばや く 7 で れでれ 7 ゆ っ くり

でれでれ

ゆつ くり よろ よ ろ や さ しや さ

せ かせ か

7 よろ よろ

6 しゃきしゃき 6 せ かせ か

ジ グザ グ に

ちゃらちゃ ら

ちゃらちゃら

て けて け て ろて ろ

てけてけ 3 てろて ろ

どたどた

どた ど た

ひた ひた ぺ たぺ た

ひた ひた 3 ぺ たぺ た

ゆ らゆ ら

ゆ らゆ ら

17


表 2-2「 言葉の使われ方調査」結果 (歩 行に用いられる言葉) 歩行 に用 い られ る言 葉 (名 詞 ) 言葉 しの び あ じ

漢 卒

人 設

言葉

49 忍 び 足

に に ん さん さ ゃ く

ほ こ うしゃて んこ む― ん うお― く い さみあ し さん ぽ

ぬ きあ し

39 競 歩 34 前進 34 千鳥足 32 散 策 24 差 し足 24 す り足 24 抜 き足

とほ

23 徒 歩

かけあ し

22 汚 区け力芭

きようほ ぜ ん じん

ちど りあ し さん さ く

さ しあ し

す りあ し

す きつぷ

ス キ ップ

はいか い

人数

漢字

7 二 人三 脚 7 歩行者 大 国 6 ム ー ン ウ ォー ク 5

勇 み足

5 散歩 5 徘徊

ゆ うほどう

5

い そ ぎあ し けんけん つ うが く

4 急 さ足 4 けんけん 4 通字

はい はい

4 は い は ヽヽ

遊歩道

ほどう

5 歩道

よちよちあるき

4 よちよちあ るき

えんそ く

遠足

い っ │ま

3 一ガ

こ うたい

,

後退

か っ ぽ

1

闊歩

お うだん おお また

3 大股

か にあ る さ

0 午歩 9 蟹歩 き

き よ うほ しつ そ う

ほ は │∫

9 歩幅

お うだんほ ど う

8

じょぎん ぐ そぞ ろあ る き

ぎょうれつ

8 行列 8 ハ イ千 ンク

ぎゆうほ

は い さん く

こ つ しん

すて っぷ

´

横 断歩 道

行進

だ つ しゆ ち よ ヽ しん

ゆ うほ

7 ス テ ップ

18

横断

3 強歩 3 疾走

ジ ョギ ン グ

そぞろある き 3 ダ ッシュ 3 直運 3 遊歩


表 2-3「 言葉の使われ方調査」結果 (人 の集まりに用いられる言葉

)

・ ・ ・ み藁ま巧 1ビ 用t` ち れる言葉 漢字

言葉

せ いぜ ん

5 整然

ぐん しゆう

38 群 集

しゆうかい

集会

にぎやか

らっ しゆ

29 28 雑 踏 23 集 合 20 賑 わ い

い もあ らい

4 芋洗 い

うつとお しい

4 う っ とお しい

かそ

4 過原

かみ つ

4 過密 4 雑然 4 ば らば ら 4 ひ と い され

フ ツ ン ユ

さつ と つ しゆ う こ う

にぎわい ざわざわ

ざわざわ

ざつぜ ん

6 集団

│∫ ら │∫ ら

ひ とい きれ

たむろ

人込 み 4 たむ ろ

だん たい

4 団体

ざゆ うぎゆう

3

ぎょうれつ

3

し ゅ うだ ん ひ と ごみ

こぎやか

る さい お しあ い へ しあ い

3

3

うる さい お しあ いへ しあ い

ぎ ゆうぎゆう

お しくらまん じゅ

3

ん じゆ

行 all

3 が らが ら

寿 司語め

が らが ら が 聰ん と した

0 ご ち ゃご ちや 0 1密 集

けんそ う ごったが えす

3 喧騒

9 人集 り

tr) せ いオ

3 整列

で も

デモ

うじやう じや かい ご う

7

うじゃうじや

そ しき たい ぐん どよめ く

3 大軍

まば ら

7

かん こど りが な く まちあわせ まん い ん

6 閑古 鳥 が な く

す しづ め ごちゃ ごちゃ

みっ しゅう ひとだか り

l

│ │

7 会合

まば ら

6 待 ち合 わせ 6 満員

3 が らん と した 3

ごったがえす 組織

3

どよめ く

ば ― │ず ん

バ ー ゲ ン

ひっそ り ひ とだ まり ひ となみ

ひ っそ り ひ とだ ま り 人波 3 ぶつか る

かい さん ごた ご た

5

角早青文 ごた ごた

ぶつか る つ り

祭 り

二ん らん

5

混乱

り さん

3 離散

19


2.2.2.1 言 葉 の使われ 方 の 考察 それぞれの話 について言葉 をあげた人の割合 を算定す る。「歩 く」 について 「歩行」については 9語 、 「人の集 は、全体の 20%以 上の人があげた語 は 5語 、 「歩 く」 につ まり」 については 5語 であ り、また 5%以 Lの 人があげた言葉 は、 いては 45語 、 「歩行」 につい ては 30語 、 「人の集 まり」 については 29語 であ つ た。このように歩行 から連想 され共通 に使 われてい る言葉 は一定数以下である ことが確かめ られた。 「人の集 まり」に 「歩行」 言葉か ら受け る印象のア ンケー ト調査 を行 い「歩 く」 関連す る言葉 の使 われる頻度 について調べ た結果、一定数以上の人があげた言 葉 は、それほ ど多 くないこ とが明 らかになつた。

20


2.2.3 調 査 2

映像 を用 いた 言 葉 の 印 象 調 査

●調査 目的 空 間におけ る人 間行動 を表す言葉 と基本的な数値尺度 の関係 を明 らかにす る。 ここでは、群集密度、歩行速度 と行動 を表す言葉 の関係 を明 らかにす る。

●調査方法 ・群集密度 につい て 人 間の群集密度 に関連す る言葉 を30語 選択 し、それ らの言葉 を用 いて調査 を 行 な う。同 じア ングルで背景 が な く群集密度 の 異 なる 9段 階 の写真 (図 2-3 人 の集 ま り)を 用意 し、群集密度 に関す る言葉 と一 番適合す る写真 の番号 を記入 す る。 。歩行速度 につい て 群 集密度 と同様 に人 間の歩行速度 に関連す る言葉 を予備調査 によ り9語 選択 し、それ らの言葉 を用 いて調査 を行 な う。歩行速度 に関 しては、一 人 の 人間の 歩行 をⅥ限 で真横 か ら撮影 した映像 を用意 し、そ の再生速度 を8段 階 に変 えて 表示 す る。歩行 の速度 が言葉 とあては まる と感 じたときの映像 を選 んで映 像 の 番号 を記 入す る。 どち らの調査 も、あて は まる写真 、又 は映 像 が ない場合 には、最 も近 い と感 じられる ものの番号 を記 入す る。また、言葉 の 評価 が相対的 にならな い よ うに、 言葉 の順 はランダムに し、そ の順番 に従 つて 回答 を行 な う。

●調査対象 大学生 33名

●調査 日程

93年 1月 20日 調査用紙 は、次 のペー ジに記載す る。なお 、質問 2の 歩行速度 の調査 に用 い た映 像 は、動画 のため割愛 した。

21


93κ )V20

密度 `速 度感覚調査 アンケー ト 氏名

:

質 11:下 に挙げる言葉 と最も連すると思われる写真を次のベージの中から選びその番号 (1ヽ 9)で 答 えて ください。 (適 当なものがない場合 も空機を作 らず厳も通す ると感 じる写真 を答えて ください。) F・

言葉

言葉

^ry・

ぎ ゆつき ゆ つ

密集

殺伐

寿 司話 め ば らばら

んでいる 浸 ^じ ずい てい る に ぎわ う

^

満員

もの さび しい もの さわが しい

まばら お しあ い へ しあ い 再散 ごち ゃ ご ち や ごた ごた

人勢

が らが ら

う じ やつ じや

可口夢ほら

小 人数

人 こみ

ばつ ん

超溝貝 ご つた 込 す ぎつ しり

群集

すかすか ひ っそ り

質機2:こ れからMκ 上で、幾つかのス ピー ドの異なる人間の歩行の映像 をお見 せします。下 に挙げる 言葉 と、映像が一致すると感じたときのFl■ 1_llに 表4tさ れている番 サを記入 してくだきい。 襴け ン 「

`i,代

急いで のろの ろ

ふつ う│こ 死 暉 て くて く ~

こ 疋耳再 ゆつ く り とこ とこ のんび り

図 2-2:調 査 用 紙

22


図 2- 3:質 問 1の 提示画像 (人 の集 まり)

23


●調査 2「 映像 を用 い た言葉 の印象調査」結果 言葉 とそれぞれの映像 を選択 した人数を結果 として示す。 この結果 をもとにファジイ理論を用いて言葉のメンバー シップ関数 を作成 し、 また言葉 の冗長度 を算定す る。 表 2-4「 言葉の印象調査」結果 (群 集密度) 群 集晉 反

(人

映像番号

123456789

)

お しあ い へ しあ 超満員

33

一 〇

・ 0

一一 33

ぎっ しり ぎゆ うぎゆ う 寿司詰 め 満員 密集 ごった返す う じゃうじゃ ごみ ごみ ごちや ごちや 群集 ごたごた 大勢 混 んでい る ひとごみ もの さわが しい に ぎわ う す い てい る が らが ら ち らほら もの さび しい ま│ゞ ら 小 人数 ば らばら す かすか 殺伐 閑散 ひっそ り

33

29

26

24

10

23

18

12

12

12

15

12

15

12

21

15

ぼつ ん

3。 33

表 2¨ 5「 言葉の印象調査」結果 (歩 行速度

)

歩行 速 度

映像 番 号

12345678

急 いで

足早 に す たすた て くて く 普通 に とことこ ゆっ くり のんび り のろのろ

0 0 2 3 2

3 6 6 1 6

24


2.3 フ ァ ジ ィ理 論 を利 用 した 言 葉 と定 量 的指 標 との対応 人 間行動 の表現 で あ る言葉 は数値 デ ー タと対応 して い るが 、その対応関係 に は幅 があ り、明確 に 1つ の値 として決定 で きない。そ こで本研究 ではファジイ 関数 を用 いて 、言葉 と数値 デ ー タの対応関係 を表す。

2.3.1 フ ァジ ィ理 論 の 基 礎 従来理論 とい うものは 、あ い まい な もの を排除す るデ カル ト的な考 え方 で進 め られて きた。 この よ うな理論 は、二値理論 とよばれ、あ る前提 に対 して解答 「私 は は、真 (1)ま たは、偽 (0)と なる。例 えば、私が 男 で あ るとす る と、 「私 は女 で あ る」 と言 う前提 の 男 で ある」 と言 う前提 の 回答 は真 (1)で あ り、 回答 は偽 (0)で ある。この よ うに真偽 がは っ きりして い る前提 は、コンピュー タを用 いて計 算す る こ とが 可能である。 しか し、言葉 の よ うに真偽 が はっ き り と定義 で きな い もの に対 しては演算が行 なえない。そ こで 、この よ うに真偽 が は っ き りしな い もの を コ ンピュ ー タで 演算す るため に考 え出 された のが フ ア ジ イ理 論 で あ る。 ファジ イ理 論 とは、従来 0と 1の 二値 で判断 して い た もの を

0~ 1の 間 の値す なわ ち 0.3や 0.7な どを用 いて判断す る とい う理論 で ある。 例 えば「中年」 とい う言葉 を例 に取 る。中年 とい う言葉が、示す年令 はあ る 幅 を持 つてい る。例 えば 35歳 ~ 55歳 と定義す る。 しか し、 この定義 では、34 歳 の人 は 中年 ではな く、35歳 になった途端 に中年 になる ことにな り不 自然 であ る。この よ うな方法 は 、言葉 の定義 としては相応 しくな く、境界付近 では、もっ と段 階的 に変化す るべ きもので ある。そ こで 、フアジ イ関数 をもちい て「中年」 を定義 してみ る。35歳 ~ 55歳 の人 の 中年 の度合 いは 1、 34歳 の人 は、中年 の度 合 いが0.6の よ うに定義 を行 な う。従来 の理論 とフアジ イ理論 で 中年 の定義 をグ

図 2- 4 二値 理論 とファジイ理論 を用いた「中年」の定義


ラフとして表 したのが下図である。この よ うに、 ファジ イ関数 を用 い たほ うが よ り適切 に人 間の感覚 を表 して い る とい える。こ うして作 られたの右 の関数 を 言葉 の メ ンバ ー シップ関数 とい う。 (図 24)

2.3.2 メ ンバ ー シ ップ 関数 の 一 致 度 この メ ンバ ー シ ップ関数 を用 いて、物事 の類似度 を算定す る。 ファジ ィ理 論 では、一 般 の数学 にお け る集合 の理論 を用 いて 、一 致す ることは、二 つ の 関数 の共通集合 で表 され る。 また、 2つ の物事 を表す メ ンバー シップ関数 の一致度 は、それぞれ のメンバ ー シ ップ関数 の共通部分 の 高 さによって表 され る。(図 25)

すなわち

CAB=MaX(A∩ B) ただ し、 CAB:Aと Bの 一 致 度

A:Aの メ ンバ ー シ ップ関数 B:Bの メ ンバー シ ップ関数 MaX(<X)〉 関数 【x)の 最高値

本研 究 で は、以上 の理論 を用 い て、人間行動 を表す言葉 のメンバー シ ップ関 数 を群 集密度、歩行速度 を用 いて作成 し、言葉 の類似関係 を明 らか にす る。

ファジィ関数

A

-

ファジィ関数

B 図 2- 5

ファ ジイ関数 の 一 致 度

26


2.3.3 言 葉 の メ ンバ ー シ ップ関数 の作 成 2.3.2の 結果 か ら、映像 と数値 デー タ及 び言葉 の関係が 明 らかになった。本節

では、コンピュー タを用 いての演算 を可 能 にするために、これらの関係 をファ ジイ理論 を用 いて表す。その方法 は、次 の とお りである。 群集密度 を表す言葉 の なかか ら一つの言葉 を例 にとって説明す る。映像から 空間の面積 と、映像中の人数 を計測 し、空間における群集密度 を映像 ごとに求 める。(2.3.3参 照)一 つの言葉 について、アンケー トの結果か ら、各映像 の選択 確率 をPiと し、この値 をY軸 、映像 に対す る群集密度 の値 をX軸 にと り、その あい だを直線補間す る事 により、言葉 の メンバー シップ関数 として決定 した。 同様 に、歩行速度に関 して も、映像 より歩行速度 を計測 し、メンバー シップ関 数 を作成 した。 (表 2-6、 図 2-3) 【X)=Pi

Pi=ni/N Kx):メ ンバー シップ関数

Pi:映 像 iの 選択確率 ni:映 像 iの 選択度数

N:被 験者数 表 2- 6 言葉のメンバーシップ関数作成 (例 :「 ごみごみ」 ) 0.7 0.79

1.08

1.93

000039129 メ ンバ ー シ ッ

0.00

図 2- 6

0

0

群衆常 │た

│ヽ ヵm2

0

0 0.09 0.27 0.36 0.27

群 集 密度 を用 い た言 葉 の メンバ ー シ ップ関数表 示

27


2.3.4 言 葉 の類 似 性 以上 の よ うに して各 々の言葉 につい て求 めたメ ンバー シップ関数 の一致度 を 用 い てそれぞれ二つの言葉 同士の類似性 を求め る。対象 とす る言葉 は、映像 を 「群集密度」に関す る言葉 30語 、 「歩 用 い た言葉 の 印象調査 で 用 い た語 で あ る。 行速度」 に関す る言葉 9語 で あ る。 以下にメ ンバーシップ関数値 の一 覧表 とそれをもとにグラフ化 した図を示す。 (図 2- 7、

2-8)フ アジイ理 論 の定義 よ り 二つ の言葉 の一致度 は、メンバー シップ

関数 の共通集合 の高 さで表 される。す なわち、グラ フの線分 とX軸 で構成 され る図形 が重 なる部分 の うち最 も高 さ (Yの 値 )が 大 き くなるものが 一 致度 とな る。 この数値 は、二つの 言葉 の歩行速度、群集密度 にた いす る意味 の一致度 を 表す ため 、一 致度が 1の 時 に二つ の言葉 は完全 に類似 した言葉 、一 致度が 0の 時 に全 く類似 しない言葉 と して とらえられ る。 これ らを もとに「群集密度」に関す る言葉、 「 歩行速度」に関す る言葉 につい 一 致度 を算定 し言葉 同士 の類似度 を算定 した。 て メ ンバー シ ップ関数 を用 い て 、

2.3.4.1 -致 度 の算 定 。群集密度 を表す言葉 の類似度 表 2-8に 群集密度 を表 す言葉 の類似度 を示す。網掛 けの部分 は 、列 の頭 にある 「超満員、お しあいへ し 言葉 と最 も一 致度 の高 い言葉 を抽 出 した もので あ る。、 「ひっそ り、ぼつ んJと いった言葉 の ようにお互 い に最 も一致 あ い 、ぎっ しり」 「 うじゃう じゃ、大勢」の よ うに複数 の言葉 との一 致 度 が 高 くな っている もの 、 「す いて い る→ まば ら→ ぱ らば ら」の よ うにお互 い にある程度 の 度 が 同 じもの 、 一 致度 を持 つ が 、最 も一致度が高 い言葉 が異なる ものが見 られた。 。歩行速度 を表す言葉 の類似度 表 2-9に 歩行速度 を表 す言 葉 の類似度 を示す。群集密度 の場合 と異 な り、お互 い に一致度 が 最 も高 くな っている ものが 多い。これは、抽出 した言葉 の数が 少 なか った ことに も起因す る と思 われ るが 、群集密度 の言葉 と比 較 してお互 いの 対応 関係 が 明確 で あ る言葉 が抽出 されて い ると考 え られる。 この様 に、言葉 同士 の一致度 には 言葉 ご とにば らつ きがあ るこ とが 明 らかに なった。また、それぞれ の言葉 の一 致度 の値 と意味 の 関係 を見 る と、一般的 に 考 えて妥当な値 であることが確 かめ られた。

つ 一


・群集密度 を表す名詞 の意味 群集密度 に関 しての言葉 の一致度か ら、群集 を指 し示す名詞 とそれ と一致度 の高 い言葉 を取 り上げ、その意味 について考察す る。 群集密度 を表現す る名詞 として取 り上げたものは、密度の高い とされるもの か ら、超満員、す じ詰 め 、満員、密集、群集、大勢、人 ごみ、少人数、閑散 の

9語 である。 ・群集密度 を表す言葉 と一致度の高い言葉 ○超満員 :「 お しあいへ しあい」「 ぎっ しり」 ○す じ詰 め :「 お しあ いへ しあい」「 ぎっ しり」「 ぎゅうぎゆう」 ○満員 :「 密集」 ○密集 :「 満員」 ○群集 :「 ごた ごた」「大勢」「混 んでいる」「人ごみ」 ○大勢 :「 うじゃうじゃ」「ごみ ごみ」「 ごちゃごちゃ」「群集 」「 ご た ごた」 「混んで い る」「ひとごみ」 ○人 ごみ :「 ごちゃご ちゃ」 ○少人数 :「 まばら」「ぱ らばら」 ○閑散 :「 ひつそ り」「ぽつ ん」 この様 に、数値的な指標 を用いて関連す る言葉 を抽出す ることによ り、その 「す じ詰 め」 とは、 「お 言葉 の持 つ意味 を推測す ることが可能である。例えば、 「 ぎゅうぎゆう」に詰 まっているこ しあいへ しあい」の状態 で人が「 ぎっ しり」 「ごたごた」 した状態 で 、 「混 んでいる」 「大勢」の「人 ごみ」 と。 「群集」 とは、 といったように一語では とらえ きれない内在的な意味 を推測す ることが可能に なった。この様 に、言葉 の一致度 を用 い ることによって、言葉の間に存在す る 明示的、暗示的な関係 を明 らかにするとともに、言葉の持つ意味 を別 の言葉 か ら推測、 補足す るための抽 出を算定的な処理 を通 して行 うことが可能になった。

29


表 2-7:群 集密度 を表 す言葉 の メンバーシップ値 群 集密 度

(人 )

2

3

4

0.01

0.06

0.13

0.23

0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0

0 0

0 0.091 0 0

1

6

0.36

0.7

7

0.79

9

8

1.08

1.93

お じめ い へ じめ い 超満員

ぎっ しり ぎゆ うぎゆ う 寿司詰 め 満員 密集 ごつた返す うじゃうじゃ ごみ ごみ ご ちや ご ちや 群集 ごた ごた 大勢 混 んでい る ひ とごみ もの さわが しい に ぎわ う す い てい る が らが ら ち らほ ら もの さび しい まば ら 小 人数 ぱ らぱ ら すかすか 殺伐 閑散 ひっそ り ぼつ ん

0 0 0 0 0.091 0.909 0 0 0 0 0.182 0.818 0 0 0 0 0.273 0,727 0 0 0 0 0.273 0.727 0 0 0.091 0.091 0.273 0.545 0 0 0 0.273 0.364 0.364 0 0 0.091 0.273 0.364 0.273 0 0 0.182 0.182 0.455 0.182 0 0.091 0.182 0.182 0.364 0.182 0 0.091 0.273 0.455 0.091 0 0.364 0.182 0.364 0.091

0 0 0 0 0 0.091 0.273 0.636 0 0 0 0 0 0 0.273 0.273 0.455 0 0 0 0 0 0.182 0.182 0.455 0 0.182 0 0 0 0 0.091 0.545 0.091 0.273 0 0 0.091 0.091 0.636 0.091 0.09! 0 0 0 0.273 0.182 0.273 0.091 0.091

0 0.091

0 0.364 0.545 0.091 0 0 0.364 0.545 0.091 0 0 0.455 0.091 0.364 0 0 0.455 0.182 0.182 0.091 0 0.455 0.091 0.455 0 0 0.364 0.364 0.182 0.091

0.545 0.182 0.091 0.364 0.364 0.182

0.909 0.091

0 0

0

0

0

30

0

0

0 0 0 0.091 0 0.091 0 0 0 0

0

0

0 0.091

0

0

0 0

0

0 0 0

0 0 0 0

0

0 0 0 0.182 0

0

0 0

0

0

0


混 んで い る

│ま つ

ひつそ り 閑散

大勢 ごたごた

殺伐

群集

すかすか

ご ちや ご ちや

ぱらぱ ら

ごみ ごみ

小人数

う じゃう じゃ

ま│ゞ ら

ごった返す

もの さび しい

密集

ちらほ ら

満員

が らが ら

寿司詰 め

す いている

萎0.8

にぎわ う

0.6

もの さわが しい

iO.4

0.2

ひとごみ

2345678 映像番号 密度小 一 →密度大

『0

9

選 緊 率 判

ぎゆ うぎゆ う

8

ぎっ しり

,6

超満員

10.4

お しあ いへ しあい

2345678

'0.2 10 9

映像番 号 密 度小 ←→ 密 度 大

図 2-7:群 集 密度 を表す言葉の メ ンバ ー シップ関数 グ ラフ (二 次元表示 )

燃 緊 率 図


一 一 一 一 ぐ o 一 マ 0 ″ 一 範 > 総 噸 ハ O 一 握 o S 一 製 範 枷 ? 藤 上 一 ・

0 瀧 r 檬 1 業

ャ ■ う ] 0 く 費 ャ Щ 熙 o D く 撻 像 一 句 1 ● キ ・ ー

ヤ ゛

ヾ 3

投 キ ゛ 蝶 費 総 代 句 継 < 寝 ・ イ 豪 一

3 ⊃ ケ R ゛ く ミ 雫 3 ゛ ″ 約 為 や 3 ゛ 掏 C ″ も や ] ■ や T ⋮ 1 I ● 畿 1 1 ,

ヽ い ヽ 経 田 卜 、 ハ ー く ハ ヽ C = 幅 卜 憮 却 撻 偉 螺 海 “ ∞ 出 図

ご 壼 ゛ ゛ 颯

3 0 も 約 C つ 止 挙 ,

ご 長 ゛ 轟 跳 ■ 鵠 く 一 ご 晏 一 稿 そ 跳 ■ ∵ 1 豊 警 十 1 T I , 1 1

一 や き 軽 o 襄 躍 も 1 1 1 ◆ ● 1 .

N . N 日 ヽ く 盤 撻 蕪 継

0 . 〇

∞ . 〇

卜 . 〇

0 〇

守 〇

到 准 国み ′ 4-ヽ /イ /

32


わ 0 一

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

一 〇 〇

C 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

0 一 〇

C C C

〇 〇 0

0 0 0

0 や

〇 〇 〇

一 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

● 0 0

〇 ●

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 C

崎 〇 〇

0 0 0

卜 〇 〇

卜 〇 〇

い 〇 〇

ひ 〇 〇

い 〇

い 〇

い 〇

〇 〇 〇

一 〇 〇

O C O

∝ 一 〇

∞ 一 〇

∞ 一 〇

∞ 一 〇

∞ 一 〇

∞ ¨ 0

¨ 一 〇

¨ 一 一

´ や ●

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

C ● 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

喀 C

0 ● O

゛ む

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

〇 〇 一

〇 〇 〇

〇 〇 Φ

〇 〇 0

C C 〇

´ マ く

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

嗜 〇 〇

0 0 0

卜 〇 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

悩 Ъ

〇 〇 〇

〇 〇 〇

O O O

嗜 〇 〇

ψ O O

卜 〇 〇

い 〇 〇

へ ヽ

〇 0 0

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

0 0 . 〇

〇 〇 〇

〇 〇

〇 〇 〇

O O 0

〇 〇 〇

〇 〇 〇

〇 0 0

C O

〇 〇 〇

〇 〇 〇

0 0 0

一 N O

一 〇

」 範 や ,,

樫 偉 靭 維 撻 さ 照 C 靭 岬

● 〇 〇

◆ 〇 〇

● 一 〇

〇 〇 〇

∞ 〇 〇

● N O

卜 輻 〇

い 倒 ⇔

一 ¨ O

O C O

〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

い 〇 〇

い 一 〇

∞ 0 0

¨ 倒 0

い O C

い 0 一

い C O

い 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

0 一 〇

い い

ψ 6 ●

∝ 一 C

C 一 パ

嗜 一

十 一 0

“ 一 ⇔

∞ 一 〇

一 一 0

い 〇 〇

∞ 一 〇

卜 倒 O

卜 銀 0

0 ● 〇

い O C

い 0 0

卜 C C

〇 〇

卜 〇 〇

倒 一 . 〇

い 〇 〇

〇 ¨ 〇

卜 N

ψ め . 〇

0 0 6 . 〇

〇 C O

¨ ⇔ 0

ひ 〇 〇

C 0 0

〇 〇 0

〇 〇

¨ 一 ●

∞ 〇 〇

崎 十 〇

寸 凶 〇

い “ O

ひ い 崎 , ヾ “ 〇 O 〇 ,

一 ⇔ 〇

い 0 ●

い 0 0

い 0 〇

い O C

い 0 パ

い 〇

い 0 0

倒 一 〇

い ⇔ 〇

∞ 一 〇

い 倒 ⇔

O 寸 〇

寸 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

一 C 〇

い 0 ●

一 C ⇔

い 〇 〇

い 〇

い つ

い 〇

0 一 〇

い ⇔ C

0 〇

寸 N O

い に 〇

い に O

〇 〇 〇

〇 0 0

〇 〇 〇

一 〇

O O O

G O O

い 0 0

C 一

卜 N O

い 崎 O

い 〇 に ゛ ・ 〇 〇

〇 〇 0

● 〇 〇

0 0 0

C O O

C O O

じ 〇 一

い 0 0

い い ◆

崎 ひ 〇 崎 G 寸 〇 Φ 0

0 C O

い 0 0

卜 〇 一

一 ● 0

い Φ

● ●

い 0 ●

ひ C パ

い 〇 一

0 一 0

O O O

0 0 0

〇 〇

か 0

卜 0

い 0

ひ O

一 ⇔ C

ひ ⇔

一 0 0

∞ C

崎 [ 〇

卜 a パ

卜 一 〇

卜 倒 ◆

い 一

卜 鰤

卜 [ ^

卜 a

” 一 一

∞ 一 〇

ひ 一 〇

0 “ 0

∞ 一 ●

0 倒

0 ¨ 〇

0 こ 0

■ に ^

崎 寸 〇

で “

∞ C C

一 “

0 ¨ バ

崎 ヾ . ⇔

¨ 6 0

0 [ 0

0 ●

0 ‘ ⇔

ψ G 0

い に 0

c に

に バ

崎 十 ⇔

・ パ

十 ¨ 〇

一 に 0

0 こ バ

∝ 一 〓

つ “

[ に パ

“ 一 〇

∞ 一 〇

一 ¨ 〇

一 に 0

一 ¨ O

0 “ ⇔

い ¨ 〇

C ”

一 ■

銀 一 一

い い 〇

い 0 0

い 倒

,ぐ みリギ ¨ 〇 0

“ ”

“ ¨ ⇔

■ に 〇

一 G ⇔

∞ [

0 [ O

O C C

つ ヤ ′ く つ ¨

∞ “ 〇

く ,3

∞ & 憔

〇 S約 く O O 〇

終 01

,い キ ;

りξ ,マ

,lξ

'り

JO々

0 C 0

い に バ

゛ ‘ バ

十 に 0

■ に O

に 0

6 に 0

O C O

つ [ 0

0 [ 〇

0 [ 〇 ,

∞ “ 〇

∞ ¨ 〇

0 こ ⇔

一 〇

卜 N O

い 申 〇

〇 崎 〇

〇 崎 〇

〇 崎 〇

● 6

〇 崎 0

¨ 卜 〇

〇 い 〇

〇 い O

〇 嗜 〇

〇 崎

O C O

0 6

‘ “

0 い

〇 い 〇

Φ O

さ 0こヽ〇 一 . 一

」ヾ 3 ⊃ヾ 3

S,。 ● O

=

c ●

¢ に 0

■ ■三〇 い ● 0 〇

ヨ理

C “ パ

〇 〇 一

〇 〇 一

〇 い 0

か O

い 0 ●

い O C

い 〇 〇

い 〇 〇

“ [ 0

い O C

ひ 0 ●

い 0 0

0 一 〇

ひ C ●

卜 [

卜 一 0

い [

一 C .

ひ 倒 C

C ¨ パ

卜 [ C

い N

C に バ

O [ O

. 0

卜 い 0

サ 0

つ “ ^

¨ 崎 , 一 C

C に

C “ 一

に に O

つ 6 0

0 “ 0

0 , こ 0 バ

0 こ 0

“ 〇

卜 一 〇

に バ

寸 “

〇 〇

〇 い 〇

つ [ 〇

つ ‘ 0

4 0

〇 一 〇

∞ ¨ 〇

0 0

∝ “ 〇

つ “ 0

に ^

Φ

∞ “

0 輸

0 4 0

一 ¨

O 崎 O

〇 崎

〇 崎 ⇔

■ “

∞ 〇

崎 い . O

0 ¨ 〇

0 ψ ¨ “ 〇 〇

つ “ 〇

● 一 , 0

め 〇

〇 “ O

〇 に ⇔

卜 N O

0 い . 0

゛ 〇

ψ

つ [

い い O

0 “ 0

∞ a O

0 ¨ 0

O “ 〇

0 0

銀 ¨ 〇

4 ● 〇

〇 一 0

〇 “ 〇

0 ¨ 〇

倒 ¨ 0

6 い ● 0 . 0 〇

0 ¨ 0

〇 ¨ 0

一 ¨ 〇

0 “ Φ

卜 一 〇

∞ [ 〇

つ に O

卜 d O

∝ ] 〇

■ い 0

い ∞ N 一 . 〇

い い ⇔

い 一 0

¨ 一 0

0 0

O O 〇

つ 一 〇

い 〇 〇

一 “ 〇

N “ 0

“ ●

“ O

0 C 0 0 0

い ● O

ト ベ 〇

ト ベ 〇

十 6 一 N つ O

寸 “ 0

n C バ

C 0

い ひ 0 O 0 O

¨ 一 〇

い 0 0

一 一 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

0 一 0

ひ ⇔ 〇

0 0 0

〇 〇 〇

[ 一 〇

゛ 一 〇

¨ 一 〇

a 一 〇

¨ 一 〇

い ⇔ 〇

〇 〇 〇

い [ 一

い 0 0

い 0 0

0 0

0 0

い い 0 0 ● ●

O O

卜 0 0

“ 一 〇

ひ 〇 〇

〇 〇 〇

い 倒

い 0 0

い 〇 〇

〇 〇 〇

0 バ

ひ ● 0 〇

● 〇 〇

い 0 0

● 一 〇

い 〇 パ

O Φ

い い O

今 ◆ 〇

一 〇

〇 〇 0

〇 〇 〇

い 〇 〇

ひ 〇 〇

〇 〇

い O O

吟 一 パ

^ 〇 〇

O O O

一 ● 〇

い 〇 〇

い 〇 〇

い 0 0

い 0 ●

い 〇 〇

い 〇 〇

い 0 0

崎 一 〇

い 〇 〇

O O O

0 朽 . 〇

つ N O

卜 a

い 0

ひ C C

嗜 〇

0 0

い 0 0

李 O O

∞ 0 0

ひ 一 〇

∞ 一 〇

い 0 0

O O O

吟 寸 一

崎 一 . 〇

“ N 〇

卜 [ C

ひ ⇔ 〇

ひ ⇔

〇 〇

C C C

い 0 0

い O O

0 0 0

● O O

∞ 一 0

い ⇔

O 一 〇

C “

一 “ 〇

卜 倒

い 0 0

い 〇

〇 〇 〇

O ● 0

い つ 〇

い 0 0

● 0 ●

C O

∞ 一 0

い ⇔ 〇

〇 〇 〇

つ ¨ 〇

C “ 0

0 [ 〇

〇 G ⇔

卜 [

卜 〇 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

C O

ひ O ●

い 0 0

0 0

〇 〇 〇

∞ 一 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

引 に

∞ [ O

■ に 0

い 一 〇

卜 〇

い 〇 〇

ひ 一 〇

〇 〇 〇

C O C

い O O

い C 0 ● 0 ●

一 〇 〇

∞ 一 0

い 〇 〇

〇 〇 〇

N ■ ●

∞ 一 〇

卜 凶 〇

〇 〇 〇

卜 〇 〇

〇 〇 〇

〇 〇 〇

卜 O O

い 〇 O 〇 O 〇

〇 〇 〇

∞ 一 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

倒 十 ●

∞ 一 〇

卜 〇

〇 O Φ

卜 〇 〇

〇 〇 〇

C C O

い 〇 〇

い O 0

O C

〇 〇 〇

∞ 一 〇

い 〇 〇

〇 〇 〇

0 0 0

〇 〇 〇

0 〇 〇

0 0 0

〇 〇 〇

O O

〇 〇 〇

∞ 一 〇

0 0 0

〇 〇 〇

0 0

〇 〇 〇

0 ●

O O

嗜 〇 ●

● C O

〇 ● 一

∞ 一 〇

崎 O Φ

〇 0

0 0 バ

〇 〇 〇

〇 〇

● ● C

〇 〇 ●

O O O

〇 〇 0

〇 〇 〇

O O O

〇 〇 〇

〇 〇 ●

O O O

O ● 〇

● 0 0

0 0 0

〇 〇 ●

O O 一

〇 〇 〇

〇 ● 〇

0 0 0

〇 0 ●

〇 〇

0 Φ O

一 〇 〇

一 O O

〇 〇 ●

0 0

〇 卜 に

い “

[ 〇

い 一 〇

か 0 0

〇 い . O

卜 a O

ひ 0

〇 十 い こ . 0 〇

■ ∝ O

O い 〇

〇 〇

6 に

〇 〇 〇

0 6 C

〇 崎 C

〇 〇

一 〇 C

い 0 一

〇 一 〇

一 〇

0 〇

〇 〇

寸 “ 〇

O C

つ O 0

〇 ⇔

〇 〇 〇

〇 嗜 〇

O 一 〇

N ‘ 0 卜 ∞

¨ 〇

卜 に 0

0 ●

一 ‘ バ

一 ■ 〇

” 一 〇

[ 〇

〇 〇

一 “

〇 ■

[ ¨ 〇

∽ 一 〇

¨ 倒 〇

〇 〇

〇 〇 〇

一 [ 〇

〇 〇 〇

一 N 〇

〇 〇

〇 〇

〇 〇 〇

一 倒 〇

〇 〇 〇

〇 〇

〇 〇 〇

に ⇔ “

い 一 〇

一 劇

ひ ¨ O

一 〇

〇 〇 〇

ひ に O

一 “ 〇

〇 〇 〇

い N C

3 3 キ ⊃ ″ や 0 つ ゛ ■ つ や 3 く ミ 0 3 r ゛ も 0 ´ t ゛ 名 0 ■→ ξ 句 や ご ″ 年 壼 ⊃ 旬 キ 約 つ ゛ 懇 一 ψ く → ゛ 製 ャ 二 ヽ 一 . ^ ミ S 約 3 S さ 一 0 r ゛ く せ ” ゛ ゛ 0 く 々 ゛ 一 川 く や ぎ 婆 去゛ O0 ・一 一 . 一 句 一 く 誕 6 つ ] ● ´ そ 一 → ヽ 宴 も コ 約 節 長一 一 ヽ ゛ ´ 一 一 一 ヽ句 や 一 一 一 0

33


翠 ヽ 、 ハ ー く ハ ヽ e 樹 E I 卜 艦 や 撻 錮 じ ヽ 0 出 憮

卜 0 . 〇

嗜 寸 . 〇

卜 一 . 〇

い 〇 . 〇

い 〇 . 〇

い 〇 . 〇

卜 0 . 〇

吟 寸 . 〇

崎 寸 . 〇

. 〇

. 〇

い 〇 . 0

卜 0 . 〇

∞ 一 . 〇

∞ 一 . 〇

つ ” . 〇

い 〇 . 〇

0 C . 〇

卜 一 . 〇

卜 N C。

い 〇 . 〇

∞ 一 . 〇

い 〇 . 〇

∞ 一 . 〇

い 〇 . 〇

卜 N . 〇

い 〇 . 〇

. 〇

. 〇

つ “ . 〇

つ “ . 〇

ヾ 0 . 〇

. 〇 ”

” 細 懸 ぎ 興 暇 こ 熱

い 〇 . 〇

い 〇 . 〇

い 〇 . 〇

製 里卜 3 畔製 m嘔ト

. 〇

. 〇

つ “ . 〇

〇 〇 . 〇

〇 〇 . 〇

い 〇 . 〇

. 〇

. 〇

. 〇

〇 〇 . 〇

卜 〇 . 〇

N 一 . 〇

. 〇

. 〇

0 こ . 〇

卜 い 〇 〇 . 〇 . 〇

寸 一 . 〇

. 〇

. 〇

∞ 〓 0

∞ 三 〇

∞ 三 〇

∞ 〓 〇

∞ 〓 〇

∞ 一 . 〇

“ . 〇

卜 0 . 〇

0 “ O。

ヽ N . 〇

べ “ . 〇

N . 〇

“ “ . 〇

崎 寸 ●。

つ 6 一 〇

つ 0 パ

0 “ . O

∞ 口 . 〇

∞ ” . 〇

. 〇

∞ 一 . 〇

∞ 一 . 〇

∞ “ パ

つ 0 . 〇

∞ 〓 〇

. 〇

. 〇

. 〇

い 卜 0 0 . 〇 . 〇

∞ 一 . 〇

ヾ 一 . 〇

a ¨ . o

● 〇 . 〇

一 ヾ , 0

N “ . 〇

“ . 〇

∞ 口 . 〇

い 〇 . 〇

卜 〇 . 〇

一 9 9 . 〇

“ “ . 〇

0 ∞ い 一 . O。 〇

∞ 一 . 〇

卜 〇 . 〇

. 〇

●。

9 Q

樫 錮 こ 熱 撻 さ 野 C = 帆

. C

o F & 艦

日 一 . 掏 〇 ” 掏 け 一

. 〇

一 月 s ぐ

二 測 b C 咽 O同 く ぐ 枷Q却 CC

0 “ . 〇

つ 0 . 〇

製 里卜 畔製 製■

34

同sse b C 里掏 嘔月 0く ぐ 撫測 9 C C


の ろの

のんぴ り とことこ ゆつ くり

て くて く す たす た 足早に 4 ・

急 いで

0.

燃 緊 率 園

12345678 映像 番 号 密 度小 ←→ 密 度 大 図 2-9:歩 行速 度 を表 す言 葉 の メ ンバ ー シ ップ関数 グ ラフ (二 次元表 示 )

軍 薇 置 卜 、 、 ′

II]:::│ ― てくてく │

く ハ ヽ

=:::り 一

2

2.5

歩行速度 (m/s)

図 2-10:歩 行速度 を表す言葉の メ ンバ ー シ ップ関数 グ ラフ 35

とことこ │


2.3.5 言 葉 の認 識 の ば らつ き 前節 では、群集密度、歩行速度 の よ うな指標値 を言葉 で示 す際 の明確 さに差 が 見 られる こ とが 明 らか になった。そ こで 、本節 で は、情報理論 の冗長度 を用 い る ことによって、言葉 の認識 のば らつ きについ て考察 する。

2.3.5。

1 冗 長度 の基 礎

情報理論 とは、も ともとN.ウ イー ナ ーや C.E.シ ヤ ノンによって基 礎 づ け られ た、通信系 における情報伝達過程 に関す る理論 で あ る。 しか し、 この理論 は通 ヽ と 理学 の分野 にお い て も広 く適 信 工 学 の領域 を超 えて急速 に広が り、生理学や′ 用 され ることとなった。情 報理論 は、状況 の 不確定 の度 合い、すなわち情報 の 不足分 の度合 い を表す定量 的な測度 として 、エ ン トロ ピーの概念 を出発 点 とし て い る。 この不確定度 の補数、す なわ ち「 1-不 確定度」 を「冗長度」 と呼 び、 図形 の体制化 、あ るいはパ ター ンづ けの度 合い を数 量化す る方法 を提供 して く れ る。従来、数量化 が最 も困難 で ある とされて きた「ゲ シュ タル ト」の概念が、 はた して「冗 長度」の概 念 によって、 どの くらい説明 で きるかは、建築計画や 建 築 設計 の 分 野 にお い て も大 い に 興味 あ るテ ー マ で あ ろ う。「 図形 の よ さ 「類同性 (simnaHty)」 あるいは「 よい連続 (good condnuaion)」

(■ gural goodness)」

の よ うな知覚 におけるゲ シュ タル ト概念 と、群化 (grOuping)の 原理が、い ろい ろな タイプの冗長度 に関係 す ることが確 かめ られて い る。ここで 、一つの視野 内 にあ って 、観察者が他 の 部分 を知 る こ とによつて 、視野内の ある部分 を正確 に予測す るこ とがで きる と き、 「冗 長度」が 高 い と定義 されている。この「冗長 度」 の概念 が、例 えば「 よい街並 み」 あるい はケ ビン・ リンチ 文い の「 レジビ リテ イ」 とどの よ うな関連 を持 ちうるか な どを考 える と非常 に興味深 い。 特定 の選択肢 が生起 しうる確 率 が Piで ある場合、そ の生起 に含 まれる情報量 あ るいはエ ン トロピー hiは 、次 の よ うに表 される。 hi=log(1/Pl) あ る事象 に結 びつい たエ ン トロピー Hは 、個 々の 選択肢 iの エ ン トロ ピー hi に、重 みづ けの 因子 として 、各 々 にそ の生起確率 P,を 乗 じた ものの総和 で定義 され る。

H=Σ Pilog(1/Pl)= ―ΣPilog Pi なお、情 報量 を表す とき、一般 に対数 の 底 を2と す るが 、 この 2を 底 とす る 単位 を ビッ トbit(2進 法 binary dig■ の略 )で 表す。エ ン トロピー Hは 、すべ て の選択肢 iが 等確率 で生起 す る場合、最 大値 をと り、全選択肢数が mの 場合、次


のように表される。

Hmax=log m したが って 、選択肢 が 2で あ り、それぞれの生起確率 が 1/2で ある場合、 IIInax== log 2== 1

とな り、 1ビ ッ トの 具体 的な意味 を表 して い る。あ る事象 の エ ン トロ ピー H は、Hの 取 りうる最大値 Hmaxと の比 で 表す と便利 な ことが 多 い。

R=H/Hmax この Rは 、相対 エ ン トロ ピー と呼 ばれ 、この補数 Cが 冗長度 (redundancy)と して知 られて い るものである。C=1-Rし たが つて、冗長度が 0と い う極端 な 場合 は、す べ ての選択肢 の生起確率が等 しく、次 に何が起 きるか まった く予測 が つ かない場合 であ り、冗長度 1(あ るい は 100%)と は、次 に何 が生 起す るか を完全 に予測 で きる場合 を表 して い る。

2.3.5。

2

冗 長 度 を 用 いた 言 葉 の分 類

以上の定義 の よ うに情報理論 による冗 長度 とは、情報 の意味 の確定度 を示す 指標 で ある。また、冗長度 は、相対 エ ン トロビーの補数 で表 される。ここでは、 冗長度 を言葉 の使 われ方 にあてはめ 、そ の 言葉 に対 して人 々が認識 して い る意 味 の集 中度 について述 べ る。 まず、先 の 印象調査結果 よ り冗長度 を算定 す る。被験者 の映像 ご との選択 し た比 率 を Piと す る と、情報 エ ン トロピー Rは 、

H=― ΣPilog Pi

Hmax=log(N) R=H/Hmax

N:分 害1数 で あ り、冗長度 Cは 、

C=1-R で 表 され る。 冗長度 Cは 、意味 の全 員 の認識が 一致 し、言葉 の認識 が集中 して い る場合場 合 1、 言葉 の意味 の認識 が とば らつ き全て の階級 で間 う分布 にな った ときす なわ ち認識が分散 して い る場 合、0の 値 を取 る。このことによ り言葉 の認識 の 集中度 をはか るこ とがで きる と考 え られ る。そ こで 、ここでは冗長度 を用 い て言葉 を

4つ に分類 した。

37


1.冗 長度 が高 い もの (0.75~

1)

被験 者 の 回答 が 同 じ尺 度 に集 中 してい る もの 。群集密度 に関す る言葉 で は、 お しあ いへ しあ い、超満員、 ぎっ しり、ぽつ ん、 ぎゆ うぎゆ う、 ひっそ り、寿 司詰 め、満員 、密集。歩行速度 を表 す 言葉 には見 られない。1ヒ 較的極瑞な値 、はっ き りと数値指標 と対応 した内容 の言葉 が 多 く見 られる。特 に群衆密 度 が高 い こ とを示す言葉 に多 く見 られ る。言葉 の意味 が 共通認識 として 同程度 の値 で とら え られてい る。 これ らは「言葉 の意味 の認識 が 一致 して い る もの」 とい える。 2.冗 長度 が やや高 い もの (0.5~ 0.75)

被験者 の 回答 す る尺度がやや 集 中 してい る もの。群集密度 に関す る言葉で は、 混 んで いる、ち らほ ら、もの さび しい 、ぱ らば ら、ひ とごみ、うじゃうじゃ、ごっ た返す 、に ぎわ う、す い て い る、まば ら、殺伐。歩行速度 に関す る言葉 では、の ろの ろ、急 い で 、足早 に。 言葉 の 意味 は共通 の認識 として とらえ られてい る が 、その指標 の値 に幅 を持 って とらえて い る。 3.冗 長度 が やや低 い もの (0.25~ 0.5)

各被験者 の 回答が やや 分散 して い る もの 。群 集密度 に関す る言葉 では、大勢、 すかす か、閑散 、 ごちや ご ちや、 もの さわが しい 、 ごみ ごみ 、 ごたごた、小 人 数、群集、が らが ら。歩行速度 に関す る言葉 では、の んぴ り、す たす た、普通 に、ゆっ くり、 とことこ、て くて く。言葉 の 意味が共通認識 として とらえ られ ていない場合 ととらえられて いて も大変幅 を大 きくとらえてい る場合が 見 られ た。 この よ うに これ らの言葉 は「言葉 の意味 の認識 に幅あ る もの」 とい える。 4.冗 長度 が低 い もの (0~ 0.25) 各被験者 の 回答 が分散 して い る もの。言 葉の意味が共通認識 として とらえら れて い ない。そ の原因 として 、言葉 がはっ き りとした数値的な意味 を持 たない、 人 によって言 葉 の認識 が異 なるな どがあげ られる。今 回の調査 では、あ る程度 指標 と対応す る言葉 を選 択 し調査 を行 つたため 、 この 範疇 には い る言葉 は な か った。 これ らの言葉 は「言葉 の 意味 の認識 に相違 が ある もの」 といえる。 冗長度 を用 い ることによって言葉 の認識 の幅 によつて行動 を示す言葉 を分類 「言葉 の 意味 の認識 に幅 した。そ こで「言葉 の意味 の 認識 が 一致 してい る もの」 「言葉 の意味 の認識 に相違 がある もの」の特徴 によつて分類 で きる こ あ る もの」 とが 明 らかにな った。 本節 では、 まず 、行動 を表現す る複雑 な 言語形態 の 中か ら、最 も明確 に指標 化す ることが可 能な群集密度、歩行速度 を表現す る 言葉 を選択 し、それ らの言 葉 の もつ基本 的 な特性 につ いて明 らかに した。 この 方法 が、他 の複雑 な関係 を 持 つ言葉全 で に適用 で きる とは限 らないが 、言葉 を定量的に分類す る手法 とそ の有効性 を示 した。


表 2- 11 言葉 の 冗長度 (群 集密度 ) 2

3

4

6

7

006

0 13

0.23

036

0.7

079

お しあ いへ しあし 超満員 ぎっ しり はつん 0 0 ぎゆ う ぎゆ う ひっそ り 00349 00877 0 0 寿 司詰 め 満員 密集

0

0

0 0

0 0 0 0 0

0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0

0 0

0

0

映像 番 号 群集密 度

l

001

iiLん で い る

0

ち らほ ら もの さび しい ぱ らぱ ら ひ とごみ う じゃ う じゃ ご った 返 す に ぎわ う すいている ま 1ゴ ら 殺伐

0

人勢

す かす か 閑散 ご ち ゃご ち ゃ もの さわが しし ごみ ごみ ごた ごた 小 人数 群集 が らが ら

0 0

0 0

0

0.148 01331 00877

0 0148 01331 0.0877 0 01442 0.0877 0.1442

0 0

0 0

0

0

0

0

1.93 1

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 00877 00349 0

0

1

1 1

0.8774

0 08774

0 01247 00661 0 0 0 01426 00932 0 0 0 01426 00932 0 00877 0i426 O1157 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0.8092

07642 07642 0653S O.631,

0631, 0623〔

0 0 1426 01426 01442 0 0.570( 0 0 01426 0148 0_148 0.5611 0 00877 0.0877 01426 0 1331 0548g 0 0 0 0 00877 0.1331 00877 01426 0 0548S 0.0877 01157 00877 00877 0 0 0 0533[ 00877 0 148 0 0 00877 0 0 0.532〔 0 0 0 0.0877 0 0 0 1247 0529f 0 0 148 01247 0148 00877 0.491f 0 0 0 148 01247 00877 0 0 0 0 O.4911 0 0

0 00877 0 01442 0.1331 01247

0 0

0 0

冗長度

8

108

0 0148

0 0

0 0 0 0.0877 0 0 0.491f 0 012■ 7 0.1247 0 1442 0 1247 O.481( 0 0 0 0 01247 01247 0.1442 0 01247 0.481( 0 0.0877 01426 0148 0 1426 0.47S 0 0 0 00877 0 0.0877 01426 0_1442 00877 O.4f 0 00877 0 0 O.430S 0 0.1442 0 1247 01247 00877 0 0 0.0877 0.1247 0 1247 0148 0.1247 O.3S 0 0 01426 01247 01426 00877 00877 0 00877 0 0 OR,6( 0.148

0 0 0 0

0148 01247

0 0 0 0

表 2-12 言葉 の 冗長度 (歩 行速度 ) 映像 番 f 歩

の ろの ろ 急 いで 足早 に

のんび り す たすた 普通 に ゆ つ くり とことこ て くて く

3

4

0.7 0.77 0.95 0.116 0.125 0.125

1.13 0

1

0

2

0

0

6

1.46 0

0

1.94 0

8 冗長度

7

2.89 0

4.44 0

0 0 0 0 0.143 0.144 0.143 0.148 0.148 0.125 0.088 0 0 0

0 0

0 0.088 0 0.125 0.125 0.144 0.088 0 0.088 0.088 0.143 0.148 0.125 0 0.148 0.125 0.143 0.088 0.088

0

0

0 0.125 0.088 0.125 0.148 0.088 0.088 0 0.088 0.125 0.143 0.125 0.125 0.088 39

0.6348

0 0.143 0.144 0.143 0.5706 0.5706

0.4915

0 0.4309 0 0.4092 0

0.4092

0 0.3393 0 0.3077


2.3.6 言 葉 と数 値 デ ー タ の 関係 前節 では、フ ァジイ理 論 の一 致度 を用 い た言葉 の類似性 、情報理論 の冗長度 を用 い た言葉 の意味 の明確 さについ て述べ た。ここでは、これ らの結果 をもと に言 葉 と数値 デ ー タの 関係 を考察 す る。以 Fに 言葉 と数値 デー タの 関係 を示す。 それぞれの言葉 に対 して被験者が選択 した頻度が最 も高か った映像 とその数値 デ ー タを示す。(表 2-13、 2-14)頻 度 が 同 じ場合 には、両方 の カテ ゴ リー に記述 した。また、冗長度 によ り言葉 の表す意味 の認識 の 集中の度合 い を示す。 この 様 に、言葉 が 表す意味 と数値 的 な値 に関 して、関連づ けて示す ことがで きた。こ の 関連 づ けにお いて、言葉 によって 明確 な数値的 な意味 を持 つ言葉 と、不明確 な意味 を持 つ 言葉 がある事 が 明 らか になった。その 明確 さを冗長度 を用 いて評 価す る手法 を示 した。また、それぞれ の言葉同士 の類似性 には、言葉 ご とに差 異があ るこ とが 分 かつた。 これ を一致 度 を用 いて表す手法 を示 した。 また、全 体 的 には、群 集密度 を表 す言葉 では密度 が高 い もの 、お よび低 い も のは冗長度 が 高 く、密度 が 中程度 の ものは冗長度が低 い傾向が見 られた。歩行 速度 に関す る言葉 につい てはそれほ ど明確 ではないが 、歩行高 い もの が冗長度 が 高 く、歩行速度が低 い ものは冗長度 が低 い傾向が見 られた。

表 2-13 言 葉 と群集密度の関係 哭 像誉 号

許蒸 笛反

(人 /m2) 1

圧長 反

高 (075ヽ ぼつ ん

(025ヽ 075)

1辟

(、 0つ ヽ

)

閑散 ・ ひつそ り

Iら 1ま ら もの 履 しし すい ている

01

まば ら ・ 少 人数 ・ す か す か が らが ら ・ ち ら ほ ら

こきわ う もの さわ か

7

昆ん で い る 。人混 み

Iン

う じゃ う じゃ 。ごみ ごみ 。 ご ちゃご ち ゃ・ 群集 ・ ごた ごた 大勢

お しあいへ しあ い 超満員 ・ ぎっしり・ ぎゅ うぎゆ う 。す し詰め ・満員 ・密集 ごった返す

表 2-14 言葉 と歩 行速度 の 関係 映 1家 杏 号

不 人

冗長度 高 (075ヽ

額 嗣

l

)

中 (025ヽ 075) σ)ろ σ)ろ

低 (ヽ 025) ゆ つ く り・ の ん び り

2

のんび り

4

ふつ う

I

普通 に 。て くて く 。とこ と 1_46

6

足 早

魚いで

9

444

40

,7こ ,7こ ・ (ヽ (ヽ


2.3.7 人 間 の 集 合 を表 す 言 葉 の 数 量 的意 味 前節 までに群 集流動 を表現 す る言葉 と群 集密度 、歩行速度等 の数量的指標 の 関係 を考察す る。 ここでは 、人 の集合 を表 す言葉 を取 り上 げ、それぞれ の言葉 が持 つ 意味 と認識 の 幅 を定量 的 に表現す る。前節 での調査 にか ら、各言葉 に対 す る数量指標 の期待値 を算定 す る。 ここで 期待値 =Σ

(ρ i・

Pl)=

Σ (ρ i・ Nl)/N

ただ し ρi:映 像 iの 指標値

Pi:映 像 iの 選択 率

Ni:映 像 iの 選択 率

N:被 験者数 ここで 求 めた期待値 は平均 化 された値であるので 、デ ー タのばらつ きを捨 象 した値 となってお り、デー タのば らつ きを示す もの として 、冗長度 が適 当で あ る。 例 えば、「群集 」 とい う言葉 については、群集密度 の期待値 は、 群集密度 の期待値 =((映 像 1の 密度 *映 像 1の 度数 )十 (映 像 2の 密度 *映 像

2の 度数 )+・ ・・+(映 像 9の 密度 *映 像 9の 度数 ))/ =

0。 90

被験者数

(人 /rn 2)

となる。 また、先 に算定 した冗長度 は、 冗長度 =0.48 で あ る。 この様 に算定 した期待値 と冗 長度 の散布図 を示 した もの が図2-H、 12で ある。 この 図 よ り、例 えば「超満員」は密度 が 高 く、認識 も明確 で あるの に対 し、 「群 集」 は密度 が 中程 度 で 、認識 が ば らつい てい ることが 分 か る。 また全 体 として は、言葉 の期待値 が 同程度 で あ って も、冗長度が異 な り、言葉 の認識 に差があ ることが 明 らか にな った。 この ように言葉 を用 いて行動 評価 を行 う際 には、そ の意味 の認識 の一 致度 を考慮 す ることが必要 で あ る。また 、この図 を用 い るこ とによ り、各言葉が示す指標値 とその認識 のば らつ きを視覚的に示す ことが可 能 になった。 また、群 集密度 の期待値 に 関 しては、戸川が 0.3人 /m2で 群集 としての特性 であ る「左側通行 がお こる」 と してい るの に対 し、期待値 は 0.98人 /m2と 実際 よ りも意識 の方 が高 い群集密 度 を許容 して い るこ とが 明 らか になった。

41


表 2- 15 期待値・ 冗長度デ ー タ (群 集密度

い ´ゝ │ン あ ``

ぎゆ うぎゆ う 超満員 ぎっ しり 混 んでい る 寿司詰 め ひとごみ 満員 ごった返す 密集 ごちや ごちや ごたごた 大勢 う じやうじや にぎわ う 群集 ごみ ごみ もの さわが しい もの さび しい す いてい る す かすか ぱ らぱ ら 小 人数 ち らほ ら 閑散 殺伐 まば ら が らが ら ひっそ り ぼつ ん

1

0.06

0.13

0.23

00000 00000 00000 00000 0 0 0 0

0.36

0 0

0 0 0 0

0 0 0 0

0.545 0.182 0.091

1.08

1.9

1.31

1.1982 1.1127 1.0473

0 0.364 0.182 0.364 0.091 0 0.091 0.273 0.455 0.091

0 0 0.091 0.273 0.636 0 0 0.182 0.182 0.455 0 0.182 0 0 0.273 0.273 0.455 0 0 0.091 0.545 0.091 0.273 0 0

0

0

0

0

0 0

0

0 0.364 0.545 0.091 0 0.364 0.545 0.091 0

0

0 0.091

0 0.364 0.364 0.182 0.091 0 0.455 0.091 0.455 0

0

1.8527 1.7755 1.6982 1.6982 1.4827

0 0 0.273 0.727 0 0 0.273 0.727 0 0.091 0.091 0.273 0.545 0 0 0.273 0.364 0.364 0 0.091 0.273 0.364 0.273 0 0.182 0.182 0.455 0.182

0.273 0.182 0.273 0.091 0.091

0.909 0.091

1.93

0 0.091 0.909 0 0.182 0.818

0 0.091 0.091 0.636 0.091 0.091 0 0 0.455 0.182 0.182 0.091 0 0091 0 0.455 0.091 0,364 0 0 0.091

0.364 0.364 0.182

1.93 1.93

0 0.091 0.182 0.182 0.364 0.182

0 0 0 0.091

0 0 0 0

0.79

0 0

0

0 0 0 0

0.7

)

0 0

0

0 0

0

0

0

0

0

0

0 0.091 0 0

0 0

0 0

0000 0000

0

0.9664 0.9664 0.9664 0.9027 0.8973 0.7809 0.3791 0.26 0.1973 0.1945 0.1745 0。 1436 0.1436 0.1209 0.1136 0.1136 0.0145 0.01

表 2-16 期待値 。冗長度デ ー タ (歩 行速度

)

0.7 0.77 0.95 1.13 1.46 1.94 2.89 4.44

足早 に す たすた て くて く とことこ 普通 に ゆっ くり のんぴ り のろのろ

0 0 0 0 0 0.27 0.45 0.27 0 0 0 0 0.27 0.45 0.27 0 0 0.09 0 0.18 0.18 0.45 0.09 0 0 0.09 0.18 0.27 0.18 0.18 0.09 0 0 0.18 0.09 0.18 0.36 0.09 0.09 0 0 0.09 0.09 0.27 0.36 0.18 0 0 0.36 0.18 0.27 0.09 0.09 0 0 0 0.36 0.36 0.18 0.09 0 0 0 0

3.0536 2.0682

0.64 0.18 0.18

0.7582

0

0

42

0

0

0

1.6855 1.4318 1.4018 1.3482 0.8891 0.81

0.571 0.571 0.431

0.308 0.339 0.409 0.409 0.491 0.635

1

1

1

0.8774 0.8092 0.7642 0.7642 0.5489 0.5613 0.479 0.4816 0.39

0.4915 0.45

0.6539 0.4816 0.5706 0.5489 0.5298 0.5333 0.4309 0.5323 0.3269 0.4915 0.6238 0.4915 0.6312 0.6312 0.8774 1


超満員 1

0 9 ・ 0 8 ・ 0 7 ・

燿 S 06 → ・ 摯 05 雪 ・ 降 0 4 ・

侵 暉 R 0・3 0 2 ・ 0 1 ・ 0

0.8

1

1.2

群集密度期待値 (人 /m2)

図 2-11 期待値・ 冗長度デー タ (群 集密度 )

0 7 .

置 雷 06 → . ← 躍 05 器 . K 0 4

墨 . 暉 R 03 .

0 2 .

0.5

1

1.5

2

2.5

歩行速度期待値 (m/s)

図 2- 12 期待値 0冗 長度データ (歩 行速度)

43


2.4ま とめ 本章 では、歩行者 の動線計 画 で一般 的 に用 い られて きた人間を数 として定量 的に解析す る手法 に対 して、空間にお け る歩行者 の状態 を人 間の感覚 の側 か ら の とらえる方法 につい て分析 した。この章 では 、人間の感覚 を表す もの として 、 「行動 を表現す る言葉」を対象 と して研 究 し、またその結果 を分析す る方法 と し て、 フ アジイ理論 、情報理路 を用 い て解析 、分類 を行 った。具体的 には、行動 状態 を示す映像 とそれ表現す る言葉適合 させ るア ンケー ト実験 を行 い、数値指 標 と言葉 の意味 は、幅 を持 った対応関係 を持 つ こ とが 明 らかになった。この言 葉 と数値 のはば をファジイ理 論 のメ ンバ ー シ ップ関数 を用 いて表現す ることに よ り、 コ ンピュー タ上で関係 を記述す る方法 につい て述べ た。 また、それ を用 いて言葉 同士 の一 致度 を算定 し、言葉 の類似性 を数値化す る手法 を示 した。ま た、情報理論 の冗長度 を用 い る ことによって 言葉 の認識 のば らつ きを示す手法 を示 し、言 葉 の「認識 が一致 してい る もの」「認識 に幅あ る もの」「認識 に相違 がある もの」 に分類 で きる こ とを明 らか に した。歩 行 の最 も基本的な歩行 の速 さと群集 の集 ま りに関す る印象調査 を通 して言葉 と数値 の 間 には幅 をもつ緩 や かな関係 がある こ とを明 らか に した。

参考文献 _シ メ 1)室 恵子 ,羽 根 義 ,沢 田 英一 :「 言語イ

゛ の構造化に関する研究」,日 本建築学会大

会学術講演会 ,1990 _シ メ 2)広 木 晃 ,青 木 義次 :「 言語的枠組みによる景観イ

゛ 評価」,日 本建築学会大会学術

講演会 ,1990 3)福 々一紀 ,奥 田 宗幸 ,坂 田 寛明 :「 言語か ら図形への展開に関する研究 ,設 計知識

テムの提案」,日 本建築学会大会学術講演会 ,1991 獲得シス ゛゛

ンの解釈から生成へ」,日 4)門 内 輝行 :「 設計言語 に関す る記号学的研究 ,そ の 1テ サ イ 本建築学会大会学術講演会 ,1991 5)香 西 克彦 「 日常言語・詩的言語・学的言語 ,風 景 と認識 4」 ,日 本建築学会大会学術

講演会 ,1991 _シ メ 6)室 恵子 「言語イ

゛ ゛ _シ メ の構造化 に関する研究 ,IH。 大規模調査による快適性イ の検

討」,日 本建築学会大会学術講演会 ,1992 7)原 京子 ,柏 原 士郎 ,吉 村 英祐 ,横 田 隆司 ,阪 田 弘一 :「 言語表現 からみた日本的空

間の特質 について」 ,日 本建築学会近畿支部研究発表会,第 35号 計画系 8)青 山 斉広 ,井 上 利幸 ,寒 河江 昭二 ,沖 塩 荘 一朗 :「 言語分析 による神楽坂の “ ま

ち像 ∥に関する研究」,日 本建築学会大会学術講演会 E-1,1995 9)池 田朋子、大貝彰「言説分析 を対象 とした空間 イメー ジ研究手法 に関す る考察」,日

本建築学会計画系論文報告集 ,No.492,pp.149~ 156,1997.2


第 3章

視覚化手法 による歩行行動 の状態把握


3.1 群 集 内 の各 人 の 歩 行 軌 跡 の 抽 出 手順 本研究 では、V[R撮 影調査 によつて えた動画像 か ら、単位時間毎 の歩行者 の 位 置座標 を算定す ることに よ り、各歩行者 の 歩行軌跡 を算出す る。各 モデルの 基礎 となるデ ー タは歩行者流動 の VTR映 像 を もとに、コ ンピュー タを用 い て処 理 を加 え歩行 者 の座標 デ ー タを作成 した。 この一連 のデ ー タ抽 出のため 、歩行 軌跡抽 出 システムを構築 し、デ ー タの抽 出 を行 った。

3.1.1歩 行 軌 跡 抽 出 シス テ ム 3.1.1.1基 準 の 設 定 歩行者 の映像 か ら歩行者 の位置座標 をデ ー タとして解析す るため には、画像 か らの歩行者位 置座標 を抽 出す る必 要 がある。VTRカ メ ラで撮影 した映像 は高 い場所 か ら調査 対象地 を俯厳 して撮影 した もので あるが、その画角 は斜 め上方 向 か らの映 像 で あ り、 座標 を抽出す る際 には直交座標系 に変換す る必 要 がある。 そ こで、あ らか じめ調査時 に画面上 に撮 影 した基準 をもとに座標 の変換 を行 う。 この場合、平面 か ら平面 へ の写像変換 となるため 、そ れぞれの平面 同士 の対応 す る 3組 の点が分かれ ば変換 を行 うことが EI能 で ある。 ここでは、基準点 とし て 、あ らか じめ調査値 の撮 影範囲内 に長方形 の基準 四 角形 を設定 しそれ をもと に基 準設定 を行 つた。 歩行者 の位 置座標 として は、歩行 者の頭 部 の座標 を用 い て測定 を行 うもの と す る。これは、1.ど の歩行 者 の頭部 もほぼ円形 にうつ り形態が同 じであるので、 中心位置 を判別 しやす い事 2.画 面上 で頭 の位 置が重 な らず場所 を特定 しやす い 事 による。画面上 で観測す る平面 は、歩行 者 の頭 の 高 さの平面 を用 い た。 この ため基 準 としては、長方形 の基準 四 角形 上 に日本人の平均 身長 として 1.65mの 高 さの棒 を垂 直 に立てあ らか じめ画 像 に写 しこんだ。この棒 の先端 を結 んだ面 が 頭 の高 さの通 る面 となる。 従来、歩行者 の行動 を観 測す る際 の方法 としては 、画面 に写 ってい る基準四 角形 に従 って記 入 したゆがみ座 標 の透明 シー トを貼 りそ の グリッ ドご とに解析 す る方法、数学 的 な手法 と して写像変換 に よ り座 標変換す る方法 の二 つ の方法 が ある。ゆがみ座標 を貼 る方法 は撮 影 した映像 を画面上 に表示 し、先 の基準面 に従 った画面 上 の ゆが んだ座標系 の グリッ ドを描 き、どの グリッ ド内 に歩行者 が 存在す るか ・通過 したか を調べ る もので ある。数学 的 な手法 で変換す る方法 は、処理が複雑 で あるが歩行者 の座標 を写像変換 によ り変換す る もので あ り精 度 が 高 い。本研 究 では、後者 の方法 を用 い た。

4_5


3.1.1.2シ ス テ ム の構 成 歩行者座標 を抽出す るために コン ピュー タ内 に画像 を取 り込み、そ の動 画映 像 をもとに作業 を行 った。 1・

システム構成

撮 影機器 Sony Hi8ビ デオカメラ CCD― TR3 解析機器 Apple PowerMacintosh 7600/120

SonyHi8ビ デオデ ッキ 解析 ソフ トウエ ア MacPerl、

NIH Imageを 用 い て独 自 に開発 したアプ リケ ー シ ョン

表示 ソフ トウエ ア Rotater

3.1.1.3座 標 抽 出 の 手 順

1群 集映像 の撮影 Hi8VlRカ メ ラを用 い て歩行者 の撮影 を行 いそ の映像解析 に よっ 本研究 では 、 てデ ー タを得 た。歩行者 の位置座標 を頭部 の位置 で代表 させ るため、群 集流動 の撮影 にあたっては、群 集内 の 各歩行者 の頭頂 が映 るように、群集 を可能 な限 り高 い ア ングルか らビデ オ撮影 した。 カメラの 設置場所 は、歩行者 デ ッキ 、鉄 骨建築物 の梁 に固定 な どである。 1こ の とき、後 の座標変換 の作業 に用 い るた i卜

め 、歩行者 の頭部高 さの基準 となる高 さ (1.65m)の 棒 をあ らか じめ空 間 に設定 した基準長 方形 の各頂点 上 に垂 直 に立て 4箇 所映 しこんだ。基準長方形 は、な るべ く画角 と正対 す る方向 を設定 し、変換 に よるゆがみ を少 な くする よ うに考 慮 した。

2歩 行軌跡 の コ ンピュー タヘ の取 り込み 撮影 した映 像 デー タを解析す るために コ ンピュー タのハ ー ドデ イス ク上 に画 像 の取 り込 み を行 つた。取 り込み時 間 は 各調査点、調査時 間毎 に 30秒 間、0.5 秒 間隔 で ある。この取 り込 み 画像 を筆者 らが 開発 した独 自の歩行軌跡抽 出 シス テ ム を用 いて コ ンピュー タ上 に表示 し、そ の 画面 Lに 映 し出 された全 ての歩行 者 につい て位 置座標 を抽 出 した。 2こ の シス テ ムでは、マ ウス を用 いて 各時 間 '卜

ごとに各歩行者 の頭頂 に カー ソル を会わせ 、クリックす るこ とによ り半 自動的 に頭 の座標 をデ ー タとして取 り込 む。 システ ムの メ イ ン構造 は、画像解析 用 ソ フ トウエ ア NIH Imageを ベ ース と して作成 し、そ の プ ロ グラ ミング言語 で ある


MacЮ を用 い るこ とによつて システ ム を拡張開発 した。

3デ ー タの座標 変換 3.2の システ ム によつて抽 出 した人間の位置 デー タは コ ンピュー タ画面上 に投

影 された座標 デ ー タである。そ こで 直交 XY平 面座標 に投影 した群集 の歩行軌 標変換 については以 下 に述べ る 跡 デ ー タを得 るため座標 変換 を行 つた。

'H座

が、座標変換 にはプ ロ グラ ミング言語 PeJを 用 い た独 自の変換 プ ロ グラム を用 い た。

4歩 行者 デー タの形式 この様 に して得 られた座標 デ ー タは、テキ ス トデ ー タとしてデ ー タの受 け渡 しを行 う。 ファイルのフォーマ ッ トは、以 下の よ うに設 定 した。 (indeX,time,X,Y) index:歩 行者 の 識 別番号 timα 観測開始時刻 か らの フ レーム 数 (× △ t)

X:歩 行者 の位 置座標 X(mm) Y:歩 行者 の位置座標 Y(mm)

デ ー タ伊1

lndcx

time

X

Y

l

l

40.4333976

334.726948

1

2

16.9101267

326.141954

1

3

-6.1345795

328.789921

2

1

85.784543

361.114753

2

2

79.3624123

344.727962

2

3

76.0114267

314.89464

3

2

74.7211785

279.937856

3

3

72.1968895

273.044208

3

4

72.025552

252.113425

歩行 軌跡 1 歩行 軌跡 2

図 3.1-1:歩 行軌跡 と座標

ここでは、歩行 者 1は 、座標 (ω 。 4333976,334.726948)(16.9101267,326.141954)(― 6.1345795,328.789921)を 通過す る歩 行軌跡 を示す。歩行者 1の 解析 開始時刻 は 1

△ t、 解析終了時刻 は 3△ tで あ る。歩行者 3は 2△ tの 時点 で始 めて解析単位 空 間 に表 れた ことを示す。 (だ た し△ tは 、観測単位時 間 とする。)

47


3.1.2 座 標 変 換 によ る歩 行 者 座 標 の 算 出

VTRに よつて撮 影 した映像 は、斜 め_L方 向 か ら眺めた もので あ り、座標で考 えれば、ゆが み座 標 を直交化 す る作業が必 要 となる。 この座標変換 は 、行列計 算 による写像 を求 め る ことに よ り行 う。撮 影 した映像 は、連続 した静止画像 の 集合 であ り各静止画像 か ら取 りだ したデー タそれぞれについ て座標変換 を行 う こ とにより、歩行者 の直交座標 を得 る。 モ ニ タ画面上 の位 置座標 (F)

直交座標系 (R)

図 3.1- 2:写 像変換 による座標の直交化 斜 め 方 向 か ら撮 影 した画像 は 、実 平面 Rか ら フ イルム 面 Fへ の 座 標 変換 と考 え られ る。 2平 面 の 写像 を行 列 Aに よつて 行 え ば 、

λη=Aζ λ :ス カラー η :ベ ク トル (F)

ζ :ベ ク トル (R) ベ ηと ζは、各 々 3つ の基本 ク トル よりなるもの と考 えてよい。 ηi=Vl■ 1 +V2η 2+V3η 3

ζ l +μ 2ζ 2 +μ 3ζ 3 i=μ l ζ νk,μ k:ス カラー ηk,ζ k:ベ ク トル (F)

2座 標系 の対応す る 3点 が 分 か った とすれば、

ζl'ζ 2'ζ 3 48


■1'η 2'■ 3 と

一 缶 ,可 ,百

一̈

⋮ 〓

)J百

一 ■ ,可 ,可 IJ可

従 って

λ

A=λ

じ C こ

一 ・ 2

一 ・

i

一 ■

一 ■ 3

一 ・ 2

0 V 2

一 ■ 3

〓A

v 3

v2

離輩o ル ム 面 上 の 占 ¨ 江 ”ィ い 刊 Vuーーー ー l′ L・ じ A r円

を用 い、 X=■

一 一 一 L % L

μ

μ2

μ

μ

μ

μ

{百 ,可 ,可

y= ガ として、実平面 R上 に変換で きる。

以上 の理論 に従 つて座標変換 プ ロ グラム を作成 し、デ ー タを変換 した。

49


3.2 空 間 一時 間 系 歩 行 軌 跡 モ デル (Spaceume Diagram Model) 3.2.1 概 要 本研究 の 目的 は、従来 Stttic(静 的 )あ るい は二次 元的 にとらえられて きた群 集 の平面移動行動 に関 して、時間変化 に伴 う人間 の歩行軌跡 を表現す るモデル を用 い る こ とによ り、時 間の流れ に伴 う Dynamic(動 的)な 群集 の空間移動 を 視覚的 に表現 す るこ との有効性 を明 らか にす ることである。

3.2.2 モ デ ル の 内容 時間系 本研究 で は、空間にお ける群集 の平面移動特性 を表現す るため、空間― 歩行軌跡 モデル (spacetime Diagram Modd以 下 STDモ デ ル)を 提案 し、可視化 を行 つた。 (1)空 間、時間の表現

本 モデルは、空間にお け る時間変化 に伴 う群集内 の各 人 の平面的 な歩行軌跡 を表現す るために、二 次元移動平面 を XY平 面、時 間 を Z軸 方向 にと り、人間

疏 ぃ Y\

図 3.2-1 空間 ―時間系歩行軌跡 モデ ルの概念

図 3.2- 2 表空間 -時間系歩行軌跡 モデル と実空間 との対応 50


の歩行軌跡 を表現 したモ デルであ る。 (図 3.2-1、 3.2-2) 。空 間平面 (XY平 面 )

41を 地面 に投影 した二 次 元座 標 を 卜 群集 を真 上 か ら観察 した際 の頭 の 位 置 ′ (X,Y)と す る。この座標 は従来 の歩行軌跡 を二次元平面 上に表現 す る際 の歩行 軌跡 で ある。 ・時間軸 (Z軸 )

Z軸 に時 間 の単位 (秒 )を 取 り、人間の位 置 をプ ロ ッ トした。基準時 間 (t=0) は、解析 開始時間 に設定 した。 この よ うに よ うに表示 され る人 間 の位置座標 を、

Pn(x,y,t)と す る。単位 系 は、[X,Y,T]:[mm,mm,Sec]を 用 い た。

3.2.2.1 モ デル の概 要 空間― 時間系歩行軌跡 モデ 空間にお け る群集 の平面移動特性 を表現 す るため 、 ル を提案 し可視化 を行 つた。 ・空 間、時 間の表現 空 間 にお け る時間変化 に伴 う群 集内 の 各 人 の歩行軌跡 を表現 す るため に、二 次元移動平面 を xY平 面 、時 間 を z軸 方向 に と り、人間の歩行軌跡 を立 体的 に 表現 した モデルで あ る。 (図 3.2-1、 。色 による移動方向の 表現

2)

各歩行者 の 移動方向 を分類す るため に、以 下の ように各歩行者 の歩行軌跡 の 色 を設定 した。 1.画 面 上 に設 定 した基 準座標系 の X軸 の 正 の方向 に移 動す る場 合 を o°

か ら反時計 回 りに 360°

そこ

まで の移動 角度 を設定 した。

2.各 歩行軌跡 の移動方 向 は 、出発点 (解 析始点 )か ら終着点 (解 析終点 )に

向 か う方向 と し、 1.で 定義 した角度 を移動 方向角 とした。 3.こ の よ う に設定 した 角度 と、色彩 の HSL表 示 における色 相 の 角度 とを対応

させ 、60° ご とに 6つ に分割 し、各歩行軌跡 の色 を決定 した。 (図 3.2- 3) 90°

~ヤ

30°

ヽ ― ― ― 』 iⅢ 二 ― :―

二 ´/ノ

向 :

330°

夢行軌跡 Red

図 3.2- 3

移 動方 向 と色設 定 51


3.2.2.2 モ デ ル の 表 示 方 法 本研 究 では、(x,y,t)の 三次元 の空 間座標 を表現す るため、コン ピュー タ内に 仮想 の 3次 元空 間 を再現 し、マ ウス を用 いて任意 の方 向 に 自由 に回転 しなが ら カラー表示 した歩 跡 を見 るこ とがで きる。注9こ の仮想空間内 に、本 モデル `f軌 を適応す ることによ り、モデル を 自由に回転 させ 、あ らゆる角度 か ら歩イ サ軌跡 を観察す ることで、立 体 的 な前 後 関係 や上下関係 をイ ンタラクテ イブに把握す るこ とが可能 で あ る。また、い くつ かの表示方法 を用 い ることによって、個人 に適 した方法 を用 い るこ とがで きる。ここでは三次元空 間 を表示 す る方法 とし て 3つ の方法 を検討 した。注め

1.陰 影表示 … 隠線処理 と奥 の線 ほ ど彩度 を落 とす陰影処理 に よ り擬似 的に立 体 的 に見せ る表示。 2.二 色表示 … 赤、青、2色 の 3D眼 鏡 を用 い ることによ り、右 目 と左 目の視差 によ り立体感 を表現す る。 3.ス テ レオ グラム表示 …左右 に 2つ の映像 を描画 し、立 体視法 を用 い て 2つ

の画像 を重ね合 わせ て見 ることに よ り、立体感 を把握す る。 それぞれ の表現方法 の特性 は、表 3.2… 1の 通 りで あ る。本研究 で は、1.特 別 の 道具 を必 要 と しない、2.特 別 の技術 を要 しない。3.カ ラーの表示 を用 い ること が可 能 を判断基準 ととして 、陰影表示が採用 された。

操作風景

陰影表示

二 色表示

ステ レオグ ラ ム表示

図 3.2-4 STDモ デ ル表現方法 表 3.2-l STDモ デ ルの表現方法 の比較

52


3.2.2.3 従 来 の歩 行 を 表 現 す る指 標 との 関係 本 モデルは、従来 の二 次 元 の歩行軌跡表示 を時 間軸方 向に拡張 した もので あ る。そ こで 、従来、人間行動研究 に用 い られて きた指標 とSTDモ デルの関係 に つい て述べ る。 (1)移 動、停止

空間を左 か ら右 に移動 す る歩行者 の歩行軌跡 は右 上が りの直線 として表 され る。また、停止 している場 合 には、時間軸 に平行 な直線 となる。この と きXY平 面 上の座 標 は、従来 の二 次元歩行軌跡 を示 して い る。 (図 3.2-5) (2)歩 行速度

△T時 間当 た りの移動 距離 を△ Dと し、ベ ク トル と xY平 面 とのなす 角 を θ とす る と、歩行速度 Vは 、V=△ D/△ T=tan・ θと表 される。これは、XY平 面 との傾 きの逆数が歩行速度 となる事 を示す。傾 きが小 さいほ ど、す なわち水平 面 との勾配 が緩 やかなほ ど、歩行速度 は大 きい。 ・ Vx(XT平

面 へ の投 影

(f:P→ XT))

XT平 面へ の投影 は、△X(移 動距離 の X成 分 )を 表 してお りX軸 となす角 を ωとす る とVx=△ x/△ T=tan・ ωとな り、Pの XT平 面 へ の投影 Pxの 傾 きの逆 数 が速 さ (Vx)を 表す。 ・ Vy(YT平

(f:P→ YT)) Y「 平面への投影は、△Yを 表 してお りXT平 面への投影と同様、Pの Ⅵ 平 面への投影 Pyの 傾きの逆数が速さ (Vy)を 表す。Vy=△ Y/△ T=tan・ φ (図 面へ の投 影

3.2-6)

V=Δ Dノ /△ T=tan■ θ

停止

図 3.2- 6 歩行速度 の定義

移動・ 停 止 の表現

53


(3)群 集密度

XY平 面 に平行 な平面 (T=t)で 空 間を切 つた際 の歩行軌跡 と平面 との交点 を 求 め る。その場合 の交点数 をその時 間での空 間内 の全人数 (n)そ の値 を空 間 の 面積 (A)で 示 した値 を群集密度

(ρ )と す る。 ρ ¬ /A(図 3.2-7)

(4)断 面交通量 、流動係数

T軸 に平行 かつ XY平 面上 の断面 を通 る平面 (例 えば、X=x(tlく =Tく =t2))で 空 間 を切 つた平面 と歩行軌跡 との交点数 が 時 間 (tl~ t2)の 断面交通 量 (m)と す る。 また、 この数値 を経過 時間 (dt=t2-tl)と 断面線 の長 さ (1)で 除 した値 を流動係数 (N)と する。N=m/dtЛ (図 3.2-8) (5)時 間 T=tの 位置

本 モデルでは、時刻 tに お け る歩行者 の位 置 は、平面 T=tと 歩行軌跡 の交点 の 座標 となる。 (6)空 間内 の ベ ク トルの加減

空 間内 のベ ク トルは、加法性 を保証 されて い る。そのため 、同一歩行者 の任 意 の 2点 を結 んだベ ク トルを、 もとめ 、そ れぞれの平面 に投影 した場合、そ の 結果 は、2点 間 の値 となる。 また、速度、加速度 につい ては、2点 間の平均値 と なる。

図 3.2- 7 群集密度 の定義

図 3.2-8 流動係数 の定義

54


3.2.3 歩行 軌跡 の抽 出手順 本研究 では、モ デル検証 のためのデータと して、空間における群 集の各人の 軌跡 デー タを抽出す るため、歩行軌跡抽出 システムを構築 し、デー タの抽出 を 行 つた。 一定時間 に空 間 を通過するの群集内の各人の歩行軌跡 を抽出 した。 ここでは、 その手順 を以下に示 す。 (図 3.2,9)

1.映 像 デ ー タ

↓ 2.座 標変換

3.軌 跡図

図 3.2- 9 歩行軌跡抽出 システムの流 れ


3.2.3.1 群 集 映像 の撮 影 群集の流動 を撮影 にあたつては、群集内の各人の頭頂 が映るように、群集 を 可能な限 り高 い アングルか ら ビデオ撮影 した。注。この とき、後 の座標変換の作 業 に用 い るため、基準 となる高 さ 1.65mの 棒 を4箇 所映 しこんだ。

3.2.3.2 歩行 軌跡 の コ ン ピュー タ ヘ の取 り込み 撮影 した映像 デー タを 30秒 間、0。 5秒 間隔で取 り込 み 、その画面上 に映 し出 された全ての人間について、座標 を抽出 した。本研究では、座標抽出のために 独 自のシステム を作成 し用 い た。'L71こ のシステムでは、マ ウスを用 いて各時間 ごとに各人間の頭頂 にカー ソルを会わせ 、クリックすることによ り半 自動的に 頭 の座標 をデー タとして取 り込む。

3.2.3.3 デ ー タの座標 変 換 3.1の システムによって抽出 した人間の位置 デー タは コンピュー タ画面上に投

影 された座標デ ー タである。そ こで、 このデー タを人 の地面 に投影 した位置 デー タに変換す るため座標変換 を行 い、X― Y平 面上 に投影 した群集の歩行軌跡 デー タを得 た。注m

3.2.3.4 歩 行 軌跡 の表 示 このデー タを空 間 ―時間系歩行軌跡 モデル を用 い て表示す るために、 コン ピュー タ内で仮想的な三次元表示 を行 い、マ ウスを用い て インタラクテ イプに 操作 しなが ら、モデルの構造 を把握す る。なお、基準 として画面上 に表示 され る矩形 は、XY平 面 (5*5m)、 そ こから垂 直 に立ち上がる直線 は、時間軸 を表す。

56


3.2.4 歩 行 軌 跡 の 二 次 元 表 示 と SttDモ デ ル 表 示 の比 較 従来 の平面 上の歩行軌跡表示 (以 下、二次元表示 とす る。)と sTDモ デル を 用 い た表示 (以 下 STDモ デル表示 とす る。)の 違 い を実際 の空間か ら抽 出 した 群集 の歩行 軌跡 デ ー タにあてはめ 、比較 を行 った。 リ }

'ト

3.2.4.1 群 集 流 動 の 方 向 の表 現 (1)一 方向流

一 方向流 の場 合、二次元表示、STDモ デ ル表示 もそれほ ど差異 は見 られない 。

STDモ デル表示 では、移動方向 に対 して、出発点か ら、終着点 に向か って片側 があが るベ ク トル とな り、移動方向が明確 にとらえられる。

(2)対 向流

対 向流 で は、二 次元表示 の場合進行方向が わか りに くいが 、STDモ デル表示 では、一 方向流 を点対 象 に重 ね合わせ た よ うな形 とな り、出発点か ら終着点 に 向 かって、 二 組 の片 上が りの ベ ク トルが読 み とれ る。

(3)交 錯流

二次元表示 の場合、時間的 な前 後関係 を とらえることは困難 である。また、実 際 に交錯 がお きて い るか どうかの判定 が難 しい。 調査段階動線 の交差 によって、 ほ とん どSTDモ デ ル表示 では 、時間 は、高 さの低 い ところか ら高 さの差 として 表現 されるため、時間変化 に伴 う接 近、交錯、す り抜 けなどの現象 はは とらえ やす い。全体 としては、移動方向が分散 したベ ク トル となる。 (図 3.2-10) この よ うにモ デルの形態 を見 ることによ り、群 集流動 の移動方向 を概 略的に とらえることが 可能 になる。

57


K 誦 噌 ヽ =

K 憮 恒 堅 に ヽ

´ 一 一 。

K 脳 ミ 黙 中 ∩ 卜 ∽

熙 脳 Ю ヽ 里 く 卜 申 却 恒 択 総 総 C 靭 維

` 酢 一

, ・

■ 。

, 一 ● ¨ ● . ‘

れ 漱 埠 ⋮ ⋮⋮ 一 一 ャ

メ ^

│【

o r N . ∞ 図

憮 IR

K II

泰 恒 像

泰 潔 枢


3.2.4.2 モ デ ル を用 い た 歩 行傾 向表 示 空 間― 時間系歩行軌跡 モ デルでは、zの 値 が小 さい ところか ら大 きい ところヘ 向か う方向が人が移動す る方向 を表す ため 、群集流動 における流れの移 動方向 を視覚的 に表現す ることが可 能であ る。以 下の 図 の よ うに、歩行軌跡 の 向 きの 重 な り方 によって流動 の種類 を概 略的 に区別す るこ とが 可能 になった。 また、 一般 的 には定義 されてい な い一方向流 と二 方向流 の 中間 の流れ、対 向流 と交錯 流 の 中間の流 れ、交錯流 の 度合 い な どを判別す ることも可 能であ る。群集 の流 れの違 い による洲Dモ デ ルの差異 を明確 にす るため 、各歩行軌跡 ベ ク トルの解 析始点 を原 点 に移動 し表現 した ものが 、図 3.2-10の 右 になる。 この様 に歩行傾 向表示 を用 い て 、空 間内 で の移動方向 と歩行速度 の傾 向 を表現す ることが可能 になる。 (1)一 方向流

移動方向 に対 して、原 点 か ら終点 に向か って片側 があが るベ ク トル となる。 (2)対 向流

一 方向流 を点対象 に重 ね合 わせ たような形 とな り、 原点 か ら終点 に向か って、 二 つ の片上が りのベ ク トル となる。 (3)交 錯流

交通量が多 い方向 は、歩行軌跡が集 中す るが、全 体 と しては、分散 したベ ク トル となる。 この よ うに、STDモ デル を用 い ることによって流動 の 種別に よる差異 を視覚 的 に表現 で きる ことが明 らか になった。

表 3.2-2 STDモ デ ル と歩行傾 向表示

STDモ デ ル表示 モデル

一方向流

lil向 流

交錯流

聡 喩 喩

歩 行傾 向表示

モデル

特徴

片上 が り

⊂L

特徴

一方向に集中

―古 由 ι 笙 由 「

両 卜が り

多方 向 に 今 散

].雑

59


3.2.4.3 歩 行 速 度 の 表 現 (1)追 い抜 き行動

群集内 にお い て、人間 の 歩行速度 が 異なる場 合 に追 い抜 き行動が見 られ る。 二次元表示 で は歩行速度 を表現 で きないが 、sTDモ デ ル を用 い る ことに よ り、 歩行速度 は、Z軸 方向 の傾 きの逆数 で表現 され るので、傾 きの大小お よび位 置 によ り、追 い抜 きが可視化で きる。 (2)移 動、停止

二次元表示 では、停止者 は点、移動歩行 者 はベ ク トルで表現 されるが 、停止 して い た歩行者 が途 中 か ら移動 した場合 な どの 表現 は不可能 で ある。 しか し、

STDモ デ ルで は、停止者 は 、時 間軸 に平行 な直線 、移動歩行者 は、斜 めの線 に なるため、 この よ うな行動 も表現 で きる。 (3)歩 行 の加速

群集 の行動 の 中で 、集 団 の拡散、即 ち、先頭 と末尾 との速度差 によって 当初 の集団の長 さが伸長 し、密度 を低 下 させ なが ら速 度 を上昇 させ たる。

(4)歩 行 の減速 歩行者 の前後関係 が 広 い状態 であ った ものが 、先頭が停止 した ことに よ りに は間隔がせ ばめ られ、そ の結果、集 団全体 の長 さが縮小す る。文m) この よ うな時間変化 に伴 う群集 の動 きは、二次 元表示 では表現 しに くか った が、STDモ デ ル を用 い るこ とによって視覚的 に表現 し、把握す ることがで きる。 (図 3.2-H)

60


二 次元表示

追 い抜 き

停 止・ 移 動

歩 行軌跡 モ デ ル表示

,゛ 1

・ ヽ ち ,ヽ も 、 o わ

縮小

伸長

・ ・ ギ

=:難

1

「 図 3.2- 11 群集 の ■ 1速 度変化 のモデルによる表現 61


3.2.4.4 モ デル を用 いた 歩行速度変 化 の表現 歩行者 の歩行速度 は、モデルでは傾 きの逆数 で表 される。すなわち、歩行速 度が速 いほ ど歩行軌跡 の傾 きは小 さく、XY平 面 に平行 に近 い状態にな り、遅 い ほ ど傾 きは大 きく、XY平 面 に垂直 に近 い状態 にな り、停止 した状態ではXY平 時間系歩行軌跡 モデルを用い ることによ 面 に垂直 な線分 となる。この様 に空 間― り、速度の変化 を歩行軌跡 の形態か ら分類 し、把握す ることが可能 になつた。こ のことによ り、歩行者 の流動 における速度変化 の概要 をモ デル図 を用 いて把握 す ることが可能になる。 (1)停 止 :XY平 面 に対 して垂直 に立ち上が る歩行軌跡 となる。 (2)等 速 :傾 きが一定の歩行軌跡 となる。 (3)加 速 :傾 きが だんだん小 さくなる。歩行軌跡 は、上 に凸 となる。 (4)減 速 :傾 きがだんだ ん大 きくなる。歩行軌跡 は、下 に凸 となる。

このように、STDモ デルを用いることによって歩行速度変化 を視覚的 に表現 で きることが 明 らかにな った。

表 3.2- 3 歩行速度変化 とモデル表現 状態 停止

モデル

傾 き 垂直

等速

一定

加速

上 に凸

減速

下 に凸

62


3.2.4.5 歩 行 者 の位 置 関係 の 表 現 (1)歩 行軌跡 が 交差す る流動

二次元表示 では、時間を視覚的 に表現す るこ とがで きないの で 、歩行軌跡 が 図の上で重 な っている状態 で あ って も、実際 に歩行 者同士 が 同時刻 に交差 して い るとは限 らない。剖Dモ デル を用 い る と、流動 内 における人間同士 の歩行 軌 跡 の時間的ずれ及 び交差 を視覚的 に把握す るこ とが可能になる。 (2)追 従行動

群集内 にお いて 、追従行動 が 起 こる場 合、連続 、あ るいは断続的 に同 じ経路 上 を人 間が通過す る。二次元表示 では、歩行軌跡 が 重 な り、時間的 な前 後関係 が把握 で きないが 、団Dモ デルで は歩行 における時間的な前後関係 及 び、時 間 間隔 を視覚的 に表現す るこ とが可能 になる。 この よ うに、二次元表現 で は動線 の重 な りと して 表現 されて い た時 間のず れ を視覚的 に表現 で きる ことが 明 らか になった。

63


二次元表示

歩 行軌跡 モデル表 示

"も

交錯

二_」 '

~~~~~マ

非交錯

追従 ・ -` ¨ ~′ ¨ ・・ ._″ ● 、 ヽ

ヽ、 、 、 、 ____ふ

非追従

図 3.2- 12 歩行者の位置関係 のモデルによる表現 64


3.2.4.6 他歩行者 回避行 動時 の歩行軌跡

空 間― 時間系歩行軌跡 モ デルでは、群集 における個 々の軌跡 を歩行者毎 に表現 して い るため 、群集歩行 の 中か ら特定 の歩行軌跡 を抽 出 して解析す ることが可 能 である。ここでは、歩行 者が他 の 歩行者 を回避す る状態 のモデルの表示 につ いて説 明す る。 ・ 歩行者 の 回避行動 Fruinは 、交錯流 における歩行者間 の「衝突 (con■ ict)」 を以 下 の よ うに定義

し、歩行者 の衝突 回数 を調査 してい る。 この場合 の調査 は、主歩行者流 を直角 に横 断す る地 点 にカメラを設 置 し、い くつ かの密 度状態 における歩行者 の交錯 回数 を算定 して い るが 、交錯 角 と「衝突」の 関係 につい ては述べ て られてい な い。

「衝突」 とい う言葉 は、 「他 の歩行者 と接近 しす ぎたために、停止 した り、す り足 になった り、正常速度 を減速 した りすること。いずれの場合 も直 ちに速度 や方向 を調整 しなければ本当 に衝突 して しまう。 」 としている。 この定義 をもとに歩行者 の「衝突」 について まとめ直す と、 「衝突」 とは、他 の歩行者 に接近 したために 1.停 止 した り、速度 を落 とした りす ること。

2.方 向 を調整す ること。

で ある。 そ こで、本研究 では、歩行者の回避行動 における「衝突」の定義か ら、上記 1、

2の 状態 を表す モデルについて述べ る。

65


・ 速度回避 歩行者が他 の歩行者 の移動を回避するために速度 を落 とした り、加速 した り する状態である。モデルでは、減速によって相手の直前で、歩行軌跡の傾きが 大きくなってる様子が分かる。(図 3.2-13に おける青で表 された歩行軌跡)こ のよ うに速度回避にお いては、下図のよ うに歩行軌跡 の解析始点 と解析終点 を 結 んだ線 (こ こでは白い直線)に 対 してt上 側 に凸の 円弧を描 く。

(透 視図 )

図 3.2-13 速度回避 ・ 方向回避 歩行者が他 の歩行者 を回避す るために移動方向 を変 える状態で ある。モデル では、相手 の歩行軌跡を回るよ うに左右 どち らか一 方 にふ くらみ、再び もとの 移動方向 に戻 る。 (図 3.2-14に お ける赤で表 された歩行軌跡)

(透 視図)

(平 面図)

図 3.2-i4方 向回避

66


3.2.4.6 歩 行 者 モ デ ル にお け る 回避 領 域 前述 のよ うに人間は、他 の歩行者 を回避す るために速度 を変 化 させた り、方 向 を変化 させ る行動 を行 う。この行動 は、いずれ も STDモ デル 上では、進行す る歩行者 を回 るよ うに して 歩行軌跡 を避 けるよ うな線分で表現 される。これ ら の表現は、W平 面に垂直 な方向へ の回避 は速度 回避であ り、平行 な方向へ の 回 避 は方向回避 である。また、人間は他の歩行者 との接近 を避 けるために歩行者 と歩行者 の隙間 を塗 ってす り抜 ける行動 を行 う。 これ らは、回避 され る歩行軌 跡 の 「歩行 の基準線」の延長線 上の点 に視点 をと り眺める と、あたか も空 間 に 穴が空 いたよ うに見える。本研究 では、この穴 を「回避ホー ル」として定義 し、 この様な状態 が生 じて い る場合 には、 交錯 による回避がおきて い る ことを示す。 図 3.2-15で は、黄色 で表 され る歩 行者 の軌跡 を回避す る紫色 の群集が回避 を起 こす ことによ リアクソメ図中央部 に楕 円形 の穴 (ホ ー ル)が 生 じて いることが 分 か る。また、図 3.2-16に お いては、緑色 で示 され る歩行者 の 流れが とぎれた

′ ト

上面図 口]3.2-15

アクソメ図 ー 歩行者の回避 と回避ホ ル (楕 円状 )

上面図

アクソメ図 図 3.2-16 歩行者のす りぬけと回避ホ ール (線 状 )

67


隙 間 を赤色 で 示 され る軌跡が通過 してい る様子 が 示 されて い る。 ここでは、回 避 ホ ー ルは線状 とな ってい ることが 読 み とれる。 回避 ホー ル :歩 行者型 の歩行者 の流れ を横 断す る際 に、横断歩行者 または、流 動歩行者が 回避す るこ とによつて生 じる空 間。歩行 者間の距離 力Ⅵヽさ くお互 い の 方 向選択 に影響 を与 える場 合 には回避 ホ ールは楕 円形 に、距離 が 大 き くお互 いの方向選択 に影響 を与 えない場合 には線状 になる。 この様 に、個 人歩行 お よび群集流動状態 における歩行者 の他歩行者回避行動 を視 覚的 に表現す るモデ ル上で の 穴 の存在 を確認 し、 「 回避 ホール」として定義 した。この「 回避 ホ ール」の存在 は経験 的 に理 解 されて きたが、本研究 で は、視 覚的 に把握す る手法 を提案 した。また、この概念 を用 い て さらに「 回避 ホ ー ル」 が起 こる状況 とその形状 、空 間の構 成要素 との対応 関係等 を明 らか に し、計 画 段 階 におい て人為的 に「 回避 ホ ール」 を作 り出す装 置 として柱、壁、通路、開 口部 などを計 画的 に操作す ることによ り、人の流れ を制御す る計画 の支援 を行 う事 が可能 になる。

68


3.2.4.7 空 間 一時 間 系 歩 行 軌 跡 モ デ ル の 実 空 間 へ の 適 用 3章 では歩行軌跡 の表現 に時間 を軸 に入れて 、 歩行者 の動 きを平面座標 と時間

軸 の3次 元 的 に表現 し、歩行者 の状態 を把握す るためのモデルの定義 を述べ た。 また、い くつ かの群 集流動 の種類 を表現 した。 ここでは、それ らを実際 の空間 における歩行者流動 に適用 し状 態 を把握 す る方法 につい て説明す る。また、従 来移動方向、速度が均 一で ある と して とらえて きた群集流動 に質的 な違 いがあ ることについ て述べ る。 ここで 質的 な違 い として取 り上げる ものは 、歩行者 の 「歩行速度 の変化」 お よび「流れ の 方向」 で ある。 ・歩行速度 の変化 ○停止者 と歩行者 空間 ― 時 間系歩行軌跡 モ デ ルで は、xY平 面に垂直なz軸 が 時間 を表す。また、 前節 モ デ ルの定義 にお い て歩行速度 は傾 きの逆数で ある事 を述べ た。す なわち、 歩行者 の速度が遅 い ほ ど歩行軌跡 は立 ち 11が って、Z軸 に平行 に近 くな る。 ま た 、完全 に停止 してい る場合 には、Z軸 に平行 な線分 (図 中の 白い粒 )で 表現 される。図 3.2-17は 、 」R大 宮駅 の ラ ッチ外 コンコー ス を示 して い る。 この空 間 は、線路 をわたる東西 の 自由通路 となってお り、鉄道駅 の他 に百貨店等 もあ り、人間の 流れ の多 い空 間である。 また、右手奥 にはモ ニ ュメン トが あ り、そ の周辺 で待 ち合わせ をす る人が 多 く見 られる。図 3.2-17で 、XY平 面 に垂 直 な立 ち上が った軌跡 は、停止 して い る人 を表 し、傾 い た軌跡 は歩行者 を表 す 。 ここ で は、停止者 の 間を歩行 者 が縫 う ように歩行 して い る様子 が分 か る。 また、停 止者 も常 に一 つ の場所 に立 ち止 まってい るわけではな く、ずれた り、歩 き回 つ た りす る様子 が 観察 され る。この様 に待 ち空間にお ける歩行者 の行動 を把握す ることが 可能 で ある。 ・歩行者流動 の隊列 (プ ラ トウー ン化 )現 象 群集流動 にお いては、あ る程度 以 上の密度 になる と、歩行者が塊 となって歩 行 す る現象 が 見 られる。 これは 、隊列 (プ ラ トウー ン)現 象 と呼 ばれて い る。 「積極的定義」 とし Bo五 s pushkarevに よれば 、隊列 (プ ラ トウー ン)効 果 は、 て 、交通流 の 中 に平均 以上 の密度 の波 が出現 して きた ことを観測者 が 認 めた ら 「消極的定義」では、それ と対 それ を隊列 と し、そ の時 間 と人数 とを測定す る。 照的 に流 れの 中 に隙間が 出来た らそれ を隊 列ではない状態 と認 め 、そ の時間 と 人数 を数 え、その値 を全 体 の時間 と交通 量か ら引 い ての こ りを隊列 とす る。 と して い る。 モデルで は 、歩行者 の 隊列 は、歩行軌跡 の東で表現 される。(図 3.2-18)モ デ


ル にお い ては 、歩行者 の移動方向 によつて 色分 け した表示 を してい るので 、紫 と緑 の流動が対 向 して進 んでい る様子 が 分 かる。 本研究 では、同一方向 に進 む歩行軌跡 の 束 を歩行者 の隊列 として とらえ、概 観 的 な歩行者 の流動 を把握 す る。図 3.2-18モ デ ル図 では 、右か ら左 へ 進 む緑色 の 流 れの一部が左 か ら右へ 進 む紫色 の流 れ を横断 して 、互 い に絡 み合 っている 様 子 が 見 て取 れ る。2本 の 大 きな流れであ った歩行 者流が互 い に向か い合 う4 つ の塊 を持 つ 層 の流れ に変化 してい る。また、それ に ともなって傾 きが大 きく な り、歩行速度 の減少 が見 られ る。 この よ うに歩行軌跡 モデル を観察す ることによ り、2次 元平面上 では理解 し づ らか った時 間 にともな う歩行者流動 の変化 を視覚的 に把握す ることが可能 に なる。 また、同一 方向の歩行軌跡 の塊が歩行者 の大 きな流れ を表す ため 、概観 的 に歩行者 の流動 を把握す る手法 として利 用で きる。 ・ 歩行 における加速 と減速 時 間変化 に ともな う人 の動 きとして は 、歩行者 の加速 と減速 があげ られ る。 これ には、障害物 や他 の歩行者 を回避 す るための個人 の加速、減速、群集が形 成 されてい る場合 に前方 の 歩行者 の影響 によつて全 体的 に歩行速度 を加速 した り減速 した りす る例が見 られ る。これを群 集 を一 まとま りとして考 えて表現す 「歩行 の伸長」は、 る と「歩行 の伸長」と「歩行 の1又 縮」とい う言葉 で表 される。 あ る一 定数 の歩行者 の 集団 の うち、前 方の 歩行者 の 歩行速度が上が るまたは、 停止 か ら歩行 し始める ことに よつて歩行集団の しめ る面積が広が り、群集が疎 「 歩行 の収縮」は 、逆 に前方 の歩行者 が減速、あ るい になる現象 で あ る。また、 は停止 したため に後方 か ら来 た歩行者が つ ま り、群 集 が密 になる現 象 である。 ○歩行 の伸長 図 3.2-19は 、交差点 にお い て横断歩道 の信号 が 赤 か ら青 に変 わった際 の状態 を表現 す るモデルである。モ デルでは、時 間が進 むにつ れて軌跡 の傾 きが小 さ くな っている。す なわち、歩行 軌跡 は上 に凸 となる。 これは、時間 に と もなっ て全 体 的な歩行 者 の速度が増加 して い ることを表 して い る。この様 に停止 して い た歩行者 が 移動 を始 めた際 、前 の 人の移動 につ れて順次 後 ろの歩行者が移動 して い る「伸長」現象が 見 られ る。

70


○歩行の収縮 時間系モデルでは、歩行速度は、傾 きの逆数であるので、速度が遅いは 空間― ど歩行軌跡は立ち上がって表現される。図3.2-20は 、JR渋 谷駅ホームの階段 下空間のモデルである。モデルでは、時間力'進 むにつれて軌跡の傾きが大きく なっている。すなわち、歩行軌跡は下に凸となる。これは、時間にともなつて 全体的な歩行者の速度が減少 していることを表している。この様 に歩行者が階 段 によつて減速 し、その影響が順次後ろから到着する歩行者におよび歩行速度 が落ちる「収縮」現象を起 こしている様子が見 られる。

71


F半 11疇

図 3.2-17 歩行者 と停止者

図 3.2-18 流れの隊列化

図 3.2-19 歩行者 の伸長

日]3.2-20

歩行 者の収縮

72


3.2.4.8 流 動 係 数 の 可 視 化 ○流動係数 の可視化 空 間 ―時 間系歩行軌跡 モデル (以 下STDモ デ ル)で は、z軸 に時間軸 をと り、 傾 きに よ り歩行速度 を表現 して い る。また 、このモデルを用 い て歩行 断面 にお け る流動係数 の可視化お よびその 時間変化 につい て述べ る。 図 3.2-21は STDモ デル を用 い て 、群集流動 を表現 した もので あ る。ここで青 の線分 は歩行軌跡 を表 し、緑 色 の平面 は XY平 面、縦 の 目盛 のつい た軸 は時間 軸、青 の半透明 の鉛直面 は流動係数 を算定 す る断面 とす る。 このモデルで、線 分 と半透明 の鉛直面 の交差す る部分 を算定す る。 これは、あ る断面 を人 間が通 過す る時刻 を表す。そ こで 、 この点 が Z軸 方向 に密 になって い る場合 には到着 間隔 が短 く、疎 になって い る場合 には到着 間隔 が長 い。 また算 定断面 は 、ここで は locmの 断面 を用 い ている。そ こで 、ここで表示 さ れて い る点 の高 さは、10cmを 移動す るため にかか る時間 を表 す。そ こで点 の高 さが低 くつぶ れた形 になって い る場 合 は 、移動時 間が短 く、点 の高 さが高 くの びて い る ものは、その場所 での 歩行速度 が低 いこ とが分 か る。 ○ ケー スス タデ イに関す る考察 ここでは、ラ ッシュ時 の鉄 道駅 ホ ーム階段 前 の群集流動 をケ ースス タデ イと して、モ デ ル につい て説明す る。図 3.2-21、 22は 、 この地点 における群 集流動 を空 間 一 時 間系歩行軌跡 モ デ ル を用 いて可視化 した もので ある。図 3.2-23は 、こ のモデル をもとに流動係数 の 算定 を行 った もので ある。時刻が 経過 す るにつ れ て点 の 間隔 は短 く、点 の高 さは高 くなっている。す なわ ち、時刻 の経過 に従 い 群集 の到着 間隔 は長 く、速度 は遅 くな っている。 これは、階段前 に群 集 が密集 したため最初 は正常 に流れて い た群 集が 時間の経過 に従 い滞留状態 に変 化 して い るためで ある と考 え られ る。 この よ うな手法 を用 い るこ とに よって従来数量的な指標 と して用 いて きた流 動係数 を視覚的 に表現す るこ とが 可能にな り、また、そ れ を用 いて時 間 にとも な う流動係数 の変化 を視覚的 に判 断 で きる ことが 明 らかになった。

73


流動係数 算定断面

ホーム側

-*- XY平面 10cm

通路幅 図 3.2-21

図 3.2-22 歩行者の収縮 (右 側面 )

歩行者の収縮 (ア ク ソメ図 ) 通路幅

粉 → 30 囮 歯

流動係数 算定断面

:′

'

調査対象地 :JR渋 谷駅 埼京線ホーム階段下

図 3.2-23 流動係数 の可視 化 (正 面 図)

74


3.2.4.9 群 集 流 動 の流 れ の 方 向 の 表 現 ここでは、群集流動 の流 れ の方向 のモ デルによる表現 につい て述 べ る。都市 空 間か ら抽 出 したそれぞれ の 地点 にお けるモデル を分析 し、特徴 的 な ものを取 り上 げ比較す る。 また、その際 の二次 元平面上 の表示 との比較 を行 い、三次元 モデルの有効性 を示す。 ○ 一 方向流 歩行者が 一 つ の方向 に向か って流 れ る流れである。一 方向流 の場合、二次元 表示 、三次元表示 もそれほ ど差異 は見 られない。三次元表示 では 、移動方向 に 対 して、出発点か ら、終着点 に向か って片側があが るベ ク トル となる。 ○対 向流 お互 い に向か い合 う方向 に進 む流れで二つの流れに分かれてい る もので あ る。 対 向流 で は、二 次元表示 の場 合 どち らの 方向 に進 んで い るかわか りに くいが、 三次元表示 では、一方向流 を点対象 に重 ね合わせ た よ うな形 とな り、出発点 か ら終 着点 に向か って、二組 の 片上が りのベ ク トルが 明 白 に読 み とれ る。 ○層流 お互 い 向か い合 い なが ら数条 の筋 になって相手 の 間 をす り抜 ける流れである。 層流 では、二 次元表示 の場合移動方向が わか りに くいが 、色 の違 い によって対 向す るい くつ かの層 が出来 て い る様 子 が 見 て取 れる。三次元表示 で は 、出発点 か ら終 着点 に向か う片上が りのベ ク トルが、互 い違 い に層 になって い る様子 が 見 られ る。 ○交錯流 あ る地点 に対 して、多数 の 方向か ら人が流入す る流れ で ある。交錯流 では、二 次元表示 の場合、動線 の交差 によつて 、ほ とん ど時 間的 な前後関係 をとらえる ことは 困難 で あ る。三次元表示 では 、時 間は 、高 さの低 い ところか ら高 い とこ ろへ 流 れ るため 、時間変化 に伴 う移動 は とらえやす い。全体 としては、分散 し たベ ク トル となる。 本 モ デルでは 、流動 の 方 向に よつて 色分 けを行 った ことによ り、同方向 に 向 か う歩行軌跡 を一 団の塊 として とらえることが 出来 る。この こ とによ り、群 集流動 の大 きな まとまった流 れ 、重 な り合 い、流 れの方向性 な どの状態 をとら える こ とが 出来 る。

75


。モ デルに よる歩行方 向 の表現 空 間- 時間系歩行軌跡 モ デルでは、zの 値 が小 さい ところか ら大 きい ところヘ 向か う方向が 人が移動す る方向 を表 す ため 、群集流動 における流れの移動方向 を視覚 的に表現す ることが 可能である。以 下の 図 の よ うに、歩行軌跡 の 向 きの 重 な り方 によって流動 の種 類 を概略的 に区別す るこ とが 可能 になった。 また、 一般 的 には定義 されて い な い一方向流 と二 方向流 の 中間の流 れ、対 向流 と交錯 流 の 中間の流 れ、交錯流 の 度合 い な どを判別す るこ とも可能 である。

表 3.2- 4 方 向 の変化 とモデ ル 流 動 の種 類

モデル

特徴

片上 が り

一万 同流

毯 対 同流

両上 が り

層 流

互 い運 い

交錯流

乱雑

76


二次元表示

二 次元表示

一 方 向流

,「

`°も

対向 流 酵 附 ト ト h 田 暦流

交結流

図 3.2- 24 流 れの移動方 向 とモデ ル表現

´11・


3.2.5 ま とめ 時間系歩行軌跡 モ デ ル を提案 し、それ を用 いて群 集 の動 き 本研 究 では、空間― のモデル をを コ ンピュー タ上で三次元空 間 を擬似 的 に表現 し、イ ンタ ラクテ イ ブな操作 に よってモ デ ル を見 る こと を通 して、平 面的 な表示 で は とらえに く か った、群集流動 の時間的要素 を含 んだ構造 を視覚的 に理 解す るこ とが 可能 に な った。 空間― 本研究 で は、 時間系歩行軌跡 モデルに移動方向 によって色 を設 定す るこ とによ り、同一方向 に進行す る群 集 を一つの塊 と見 るモデ ル を提案 した。これ によ り、群集 の全体的な動 きを概略的 に とらえることが出来 る。 また、本 モデル を用 い た新 たな表現 方法 により理解が容易にな った例 として、 歩行者 の移動方向、歩行速度 の 変化 、位 置関係 の把握 、回避行動 の性 状 を取 り 上 げ、そ の有効性 を示 した。 従来、時 間 を伴 う歩行者 の流 れについ ては、動画映像 を繰 り返 し見 ることに よつて 、理解す るこ とが 一般 的 であ ったが 、本 モデル を用 い ることに よって、静 止画 を用 いて 、時間の フ ァクタを視覚的 に表示す るこ とが 可能 になった。

STDモ デルの本当 の効果 は紙面 ではな く、コンピュー タで表示 され た 、群集 の三次元空 間 をイ ン タラクテ イブに操作 しなが ら解析 す ることによ り発 揮 され る。 しか し、一定 の ア ングル を設定す る紙 面上 で も同様 な観察結果 をあ る程度 表示 す るこ とがで きる こ とも確 かめ られた。II m

1)調 査 地点 として 、1.一 方向流 :新 宿駅 西 日 2.対 向流 :新 宿駅西 口駅前 3.交 錯流

:

新宿駅西 口改札 を用 い た 。

2)座 標 変換 に用 い るため に基準 四角形 を地 面 _Lに 設定 し、その うえ に人 間 の 身長 に 相 当す る高 さ (1.65mと 設定 した)の 棒 を立 て撮影す る。コンピュー タ内 にお い て 、棒 の 先端 をマ ウ ス を用 い て ク リックす るこ とに よ り、その 座標 を基準 四角形 と して入力 し、 また、 ダイア ロ グボ ックスか ら基準四 角形 の実際 の 大 きさを入力す る。

3)斜 め 方向 か ら撮影 した映像 は 、実 平面 Rか ら、フ ィル ム面 Fへ の座標 変換 と考 え られ る。 二 平面 間の斜像 を行 列 Aに よ り行 えば、 (λ

:ス カラー ,:ベ ク トル (F),:ベ ク トル (R))

と して実平 面 R上 に変換 で きる。

4)頭 部 の動 きで人の動 きを代 表 したの は 、地面か らほぼ 一定 の高 さにあ り、群集密 度 が 高 くな った ときな ど、足元 よ りも画面 上で位 置 の判定 が 容易 とい う理 由か らであ る。

5)本 研 究 で は 、 コ ン ピュ ー タ内 に 仮 想 の 二次 元 空 間 を再 現 す る 方 法 と して 、


Macintoshの PDSで あ る Rotaterと い う ソフ トウエ ア を用 い た。この ソフ トウエ アは、三 次元空間の座標 と色 を指 定 す るテキ ス トファ イル をや りと りす ることによ り、三次元空 間 を再現す る もので あ る。

6)本 報 では 見やす さを考慮 し、1)陰 影表示 を用 い たが 、紙面で表現す る都 合上、コ ンピュー タを用 い た イ ン タラクテ イフな画 lin表 示 に比べ て理 解度 はあ る程度犠牲 に され る。

7)STDモ デ ルシステムの操作性・モデルの理解については、システム開発者以外 に、 何人かの利用者 に対 して ヒヤ リング した結果、「立体構成 。前後関係」に関 しては、明 らかに カラーで表示 したデ イスプ レイのインタラクテ イブな操作 によるほ うが、 有効 で あるが 、「全体的な状態 の把握」 に関 しては、紙面上の グレイ表示 で もある程度 の理解 がで きることが 明 らかにな つた。

参 考文献

1)岡 畑恵雄他 :化 学系 のための Macintosh,講 談社 ,1991.7

2)可 視化情報学会 :「 流れの ファンタジー」,講 談社 ,1986.6 3)可 視化情報学入門編集委員会 :「 可視化情 報学入門 ―見えない ものを視 る

_」

,電 機

大出版局 ,1994.5

4)竹 内啓五 ,掛 川秀史 ,長 田耕治 :「 画像 を利用 した群集行動評価 に関す る研究」,日 本建築学会第 15回 情報 システム利用技術 シンポジウム ,pp.143~ 148,1992.12 5)建 部謙治 ほか2名 :「 歩行解析へ の画像処理技術 の応用 に関す る研究」,日 本建築 学会論文報 告集 No.436,pp.41~ 47,1992.6 6)中 祐一郎 :「 交差流動 の構造 ―鉄道駅 における交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 本建築学会論文報告集 No.258,pp.93~ 102,1977.8

7)上 原孝雄 ,中 村和男 ,吉 岡松太郎 ほか 1名 「群集対向流動 の性状」,日 本建築学会 論文報告集 No.289,pp.H9~ 129,1977.3

8)渡 辺仁史 ,中 村良三 ,池 原義郎 ほか 3名 :「 人間 -空間系の研究 その 6.空 間におけ る人 間の分布 パ ター ン解析」,日 本建築学会論 文報告集 No.221,pp.25~ 30,1974.7

9)藤 井明、原広司 ほか 2名 :「 都市の活動領域 に関す る研究 その 1 歩行者数調査 に基 づ く三次元モデルの提案」 ,日 本建築学会大会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9

10)吉 田克之 :「 EBモ デ ル

(イ

申縮 プ ロ ックモデル)に よる群衆流 の解析、その 1 避

難行動予測 にお ける図解法 の問題点 と EBモ デルの提案」 ,日 本建築学会論文報告集 No.409,pp.35~ 43,1990.3

H)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープンスベースの「動的密度感」 に関す る実験的研 究」,日 本建築学会論文報告集 No.386,pp.71~80,1988.4 12)」 ohn J.Fruin:「 歩 行 者 の 空 間 (PEDESTRIAN Planning and design)」 ,1974.12

79

,鹿 島 出 版 会


3.3 交 差 立体可視 化 モデル 空 間 における歩行者 のお互いが 及 ぼ しあ う作用 で あ る相互作用 のひとつ に 「交錯」があげられる。この状態 は歩行者の進行 を阻害 し、心理的、肉体的に負 担 を与えるなど問題が 多 い。これに対 し、中ら丈∥は鉄道駅での群集流動 の交差 をとらえ数学的に解析 しモデル化 を行 っている。また大蔵 ら文2)は 、鉄道 ター ミ ナル空間における交錯 を「錯綜」 とい う言葉で定義 しサ ービス水準 との対応 に ついて述べ てい る。これ らはいずれ も、多方向か ら歩行者が流入する交錯流で はな く、二方向の流動が交差す る交差流 を対象 としてあげてお り、交錯流につ いては言及 していない。 本研究では、群集内の歩行者 の「交錯」を「群集内の他 の歩行者 に接近 し、ま 「接近」をJ.Fruinの 提唱 した た、動線 を横切 ること」 として定義 した。ここで、 文 9)非 接触領域 (緩 衝空間の直径 を 90cmと する。空間モデュールは 0。 7m2/ L・ 人)が 重な り合 う距離 とした。′ 筆者が既報 文71で 報告 した空間 ―時間系歩行 軌跡 モデル (以 下歩行軌跡 モデル)(図 3.3-1)を もとに、その概念 に群集内の歩

毎- 幹

亀 モデル図

1念 図 概念図

図 3.3-1 空 間 -1寺 間 系歩 行軌跡 モ デ ル

モ デ ル図

概念 図

図 3.3- 2 立 体 交差 モデ ル

80


行者 の歩行領域 の概念 を加 えた交差立 体 モ デル (図 3.3-2)を 提案 し、歩行者 の 交錯状態 を三次元 モデルを用 いて視覚的 に表現す る。

3.3.1 概 要 本節 の 目的 は、群集流動 にお ける歩行者 の 交錯の状態 を示す 三次元 モ デル を 提案 し、コンピュー タの 3Dグ ラフ イックス を用 いて可視化す ることによ り、群 集 の交錯状態 を把握す るこ とで ある。

3.3.2 モ デ ル の定 義 前節 3.2で は 、空間 ―時間系歩行軌跡 モデル として時系列 に伴 う歩行者 の軌跡 を移 動平面 を xY平 面、時 間軸 を Z軸 とした :二 次元空間に立体的 に表現 したモ デ ル を提案 した。本節 では 、各時間におけ る 各歩行者 の位置座標 を中心 とした 円 を描 き、そ の 円 を時間軸 で ある Z軸 方向 に重ね合 わせ て作成 した 多段 円柱 を 用 い て個人 の 歩行領域 円柱 と定義す る。このモデルは、歩行軌跡 モデル によっ 、 とした一 定半径 を て立 体 的に表現 した歩行軌跡 を中札、 として 、そ の線分 を中′ 亡 持 つ 多段 円柱 を作成 した もの と同 じであ る。(図 3.3… 2 概念図)ま た、この立 体 同士 が 交差す る部分 を交差立 体 とした。実 際 の手順 を以 下に示す。 1.時 系列 の 各歩行者 の 座標 デ ー タをもとに歩行軌跡 モデル文 7)を 作成 し、歩

行者 の 空間移動 を xY平 面 に、時間 を Z軸 上 にとり三次 元的に表現す る。 2.作 成 した立 体的 な歩行軌跡 を用 いて 、そ の軌跡 に沿 って、非接触 領域 (直 径 90cmの 円)文 9,注 ■ を作成す る。 3.こ れ らの立 体 同士が交差す る部分 を コ ンピュー タを用 い て計算 (ブ ー リア

ン演算 )を 行 うことによ り、交差立体 を抽 出す る。 4.こ の立体 は 、歩行者 の交錯 の 度合 い を表 す立体 と して とらえ られる。

この立 体 を コンピュー タ内 の三次元空 間 に表現す ることによ り、空 間 にお 121 け る交錯 の状 態 を可視化す る。ソ 5。

81


本研 究 で は 、 この よ うな領 域 が 重 な り合 う部 分 (立 体 )を 交 差 立 体 (Inters∝ ting Solid)と す る 。この立 体 は 、各歩行者 の個 人 の歩行領域 の重な りを

示 し、 これ を群 集内にお ける歩行者 間の「 交錯」 と定義 す る。 ここでは、 ワイ ヤ ー フ レーム (線 画 )の 部分 が 歩行 領域円柱 、 ソ リッ ド (塊 )の 部分 が交差立 体 で ある。 (図 3.3-2)注 3)

Ci j=Vi∩ Ⅵ ただ し、

Cij:歩 行者 I,J間 の交差立体

Vi:歩 行者 Iの 歩行領 域 円柱 Ⅵ :歩 行者 Jの 歩行領域 円柱

3.3.3 モ デル の意 味 本 モデルは、空間における歩行領域 の重な り合い を時 間変化 とともに視覚 的に示すモデルである。モデル を三次元的に表現す ることによ り、空間― 時間を 並列的 に理解 で きるとと もに、それを各平面に投影す ることによ り多様 な角度 か ら交錯 とい う群集特性 をとらえることが出来 る。

高 さ (△ t)

82


3.3.3.1 個 人 間の 交 錯 歩行 領域 円柱 の重 な り方 を見 る と、以 下 に示す よ うに個 々の交錯 の仕方 に よつて形態 が異 なる。この ことに着 目 し、交錯 パ ター ンと交差立体 の形状 の関 係 について示す。 ・ 交差立体 の形状 、 亡 理 的負担 は、交錯 の起 こる歩行者 同士 の 交錯状態 にお いて歩行 者 が 受 ける′ 位置関係 によって異なる。そ こで ここでは、個 人間 の 交錯 をお互 いの動線 の交 わ り方 によって 3つ の型 に分類す る。 (図 3.3.4) 並行型 歩行交差角 が小 さい。動線 が 平行 あるいは、浅 い角度 で交 わる場合 で ある。追 い抜 き行動や、並行 して歩 く場 合 にあたる。交差立 体 は 、線状 になる。 対 向型 歩行 交差角が大 きい。お互 い に相対 して向か い合 い なが ら接近す る場合 で あ る。交差立体 は、円状 になる。 直交 型 歩行交差角 が 直角 に近 い 。動線 が、直交方向 に交 わる場 合で あ り、歩行者 は、 相手 の前 、 または後 ろをす り抜 け るとい う行動 をとる。交差立体 は、細長円状 になる。 ・ 交差立体 の高 さ 交差立体 の高 さ (Z軸 方 向 の高 さ)は 、Z軸 が 時間軸 を表すので 、領域が重複 して い る時間 の長 さを示 して い る。す なわ ち、交錯 の お こっている時間の長 さ を表 わす。 (図 3.3- 3)

平行

対向

コ 予 蟷

交差立体

JJず 直交

図 3.3-4 交錯 の パ ター ンと交差立体 の 形状 83


3.3.3.2 各 平 面 へ の 投 影 モ デルは 、三次元 で表現 されて い るが 、これ を各平面 に投影 した状 態 で 見 る こ とによ り、 い くつ かの意 味 をとらえる こ とがで きる。 ・XY平 面 へ の投影

XY平 面へ の投影 は、時 間軸 の圧縮であ るので、あ る 一定時間内 に交錯がお きた位置が表 される。す なわち、交 錯 の お こ りやす い位置 をとらえるこ とが 出 来 る。従来 の二次元平面上 の表現 で は、動線 の重 な りが人の交錯 を表 して い る とは限 らないが 、このモ デルを用 い ることに よって、動線 が交差 して交錯がお きて い る状 況 を交差立体 を用 い て表現 す る こ とが可能 になる。 (図 3.3-5) 。XZ,YZ平 面へ の投影

Z軸 は、時 間 を表現す る軸 で あ るので 、空 間 における交錯 の お こる時 間 の長 さによって交錯 の起 こる時 間帯 を表す こ とがで きる。 (図 3.3-6)

モデル

交差立体

図 3.3- 5

XY平 面 へ の投影

モ デル

交差立体

図 3.3- 6

XZ平 面 へ の投 影 84


3.3.4 モ デ ル の 仮 想 三 次 元 空 間 で の表 現 本 モデルは、三次元空 間 に人 間 の歩行領域 を示す モデルで あ り、紙面上 な ど 二 次元平面 にお いては、理解 しに くい。そ こで 、本 モデルは、 コ ンピュー タ内 の仮想 三次元空間 にモ デルを表示 し、マ ウスを用 いて イ ン タラクテ イブに回転 させ なが ら立 体 を理 解 す る手法 を用 い た。

3.3.5 シ ミ ュ レ ー シ ョン結 果 を用 いた モ デ ル に よ る群 集 流 動 の表 現 群集 内における歩行 者 の交錯 の度合 い とモデ ルの 関係 を比 較す るため には、 調査対象 を同面積、同密度空間 と して群集流動 を解析 す ることが必要 であるが 、 実空 間 の調査 によつて この よ うな状態 を再現す るのは、困難 で あ る。そ こで 、本 研 究 では、群集 の流れ を 単純 な数理 モデル を用 いて 再現 し、その結果 を用 いて モデルの適用 を試みた 。

3.3.5.1 群 集 流 動 シ ミ ュ レー シ ョンの た め の 数 理 モ デ ル 1.シ ミュ レー シ ョン実行空間 と して、5m*5mの 正方形 の空 間 を設 定 し、その

中での 人 の流れ を再現 す る。 2.モ デ ル を簡易 に設 定す るため 、人間の 発生点 は 、正 方形 の辺上 に発生す る。

3.発 生 した人間は、全 て 、正方形 の 内側 に向 か って進行す る。 4.進 行方向 は、 正 方形 の辺 と垂直 な方向 となす角 を乱数 を用 い て設定す る。本

モ デ ルでは、進行方 向 の 角度 をあ る程度 の 直進性 を確保す るため に-5度 ~+5度 の範 囲 の一様乱数 を設 定す る。 5。

歩行速度 は、平均 1.0標 準偏差 0.2の 正規分布 を用 い る。

6.本 シ ミュ レー シ ョンでは発生 パ ター ンは 、辺 上の 発生範囲 を「 分散発 生 」と

「集 中発生」、発 生 方向 を「 1」 、 「2」 、「4方 向 (辺 )」 とす る 6つ のパ ター ンをに つ いて計算 を行 う。

'L4)

ここで 、分散発生 は、発 生辺上 に一様乱数 で発生。集中発生 は 、指定 した箇所 にを中′ いとして 、平均 0標 準偏差 1.0の 正規分布 で発生す る。 ここで は、XY平 面 に投 影 した図 を用 いてその結 果 と特徴 を示 す。 (図 3.3-7)

85


集中費生

分散発生

二方向灘

図 3.3-7 シ ミュ レー シ ョ ン結果 の モ デ ル 表 示

(XY平 面 図

)

3.3.5.2 発 生 パ タ ー ン と交 差 立体 の 形 態 歩行者 の発生 、移動パ ター ンを変更 してお こな った シ ミュ レー シ ョン結果 を もとに可視化 モ デルを作成 し、交錯流動 との対応 を調べ た。 図 に歩行者 の発 生パ ター ンと発生地点 の 設定 図 を示す。 (図 3.3-8) 一方向流 0分 散発生 線状 の並行 型立体が平行 に並ぶ 。 これ は、歩行者 同士の左右 の接近 を表 す。 一方向流・ 集中発 生 集中発生 と比較 して、線状 の立体 が 多 く見 られる。これは、発生 が 集中す ることに よ り、歩行 者 間の距離が 近 づ い たため と考 えられる。 二方向流・ 分散発生 線状 の並行型立体が平行 に並ぶ。そ の 中に対向型 円状 の立体 が 分散す る。 二方向流・ 集中発生 線状 の並行型立体が平行 に並ぶ。その 中央 に対向す る集団 との交点 に円状 の対 向型立体が存在す る。 多方向流・ 分散発生 全体 に円状 の直交型立 体 が分布 す る。

86


多方向流・ 集中発 生 それぞれ の流れの 方向 に線状 の並行型立 体 が平行 に並ぶ。その 中 に円状 の 直交型立 体 が分布す る。 この よ うに、各流動 における交錯 は 、並行型 、対向型、直交型 の 各交差 立 体 の構成 パ ター ンで表現す ることが可 能 であ る と考 えられる。 (図 3.3-7、 3.3-8)

パ ー ン タ 錯 パ ー ン交 タ 発 生 狂国 赳国 礼□ 隧□ 渕閂 集中発生

分散発生

発生 パ ターン

一方向流

二方向流

多方向流

発生方向 発生地点

ぃ ●

交錯パ ターン

並行型交差立体 直交型交差立体

図 3.3- 8 群集発生 パ ターン と交錯のパ ターン

87


3.3.6 実 空 間 へ の モ デ ル の適 用 都市 にお い て交錯 の状態 が 観察 され る空 間 を 3都 市 (新 宿、渋谷 、立川)8場 面選択 し、群集流動 の V「 R映 像 を撮影 し、その映像 を用 いて解析 を行 った。以 下 にその具体 的 な方法 を示 す。

3.3.6.1 群 集 流 動 映像 か らの デ ー タ抽 出 とモ デ ル 化

1.VTR撮 影 に よる群 集流動 映像 の抽 出 歩行者 の流動状態 のデ ー タを確保す るために、各 空間 におい て 8mmVTRを 用 いて撮影 を行 った。撮影場 所 は各歩行者 の頭頂部 の位置 を追える よ うに、群集 を上 方 か ら撮 影 した。カメ ラ設 置後 、撮 影開始前 に後 の座標変換 の 基準点 とす るため、 1.65mの 高 さの棒 を基準四角形 の上に立 て撮 影 した。

2.VTR映 像 デ ー タか らの 歩行者位置座標 の抽出 調査対象地 で撮 影 した VTR映 像 を コ ンピュー タ内 に0.5秒 間隔 で 30秒 間、画 像 ファイル と して取 り込 ん だ。筆者 らが 開発 した独 自の システム文 7)を もちい て 、調査対象空 間 に存在 す る全ての歩行 者 の画面 上の位 置 を抽 出 し、座標変換 を行 うことに よ り、各時間 における 各歩行者の二次 元平面 の位置座 標 の算出 を 行 つた。調査対 象範囲 は、おおむね 5m*5mに 設定 した。 3.モ デル を用 い た交錯状 態 の可視化

本研究 では、以上 の よ うに算出 した時 系列 の歩行軌跡 デー タを用 い て、モ デ ル に適用 し、 コン ピュー タ内 の仮想空 間 に表現す るこ とによ り、群 集 の交錯状 態 の視党化 を行 う。

3.3.6.2 群 集 流 動 パ タ ー ンと交 差 立体 の 形 態 交差立体 は、そ の交錯 の 仕 方 によ り形態が異なる。 この点 に着 目 し、交差立 体 の形 か ら、歩行 者相互 の 交錯 の仕方 について考察す る。 (図 3.3-9) 一方向流 歩行者が 同 じ方向 に 向 かって流 れ る状態。 交差立体 は、細長 い 並行型交差立体が並ぶ 。 この場合、密 度 がそれほ ど 高 くな い ため、ほ とん ど交錯 は見 られない 。図 か ら二次元 表示 (XY平 面 へ の写像 )な どでは動線 が交差 してい るように見え るが 実際 には、時 間 的にずれがあ るため 交錯がお こってい ない状態 をモデルか ら読 み とるこ とがで きる。

88


対向流 歩行者 が 対向す る二 群 とな って 、向か い合 う方向 に進 む状態。各集団 の 中では 、細長 い並行型 交差立体 が生 じて い る。 交錯流 歩行者が様 々な方 向 か ら、交錯す る状態。 この場合、様 々 な場所 で 、直交方向 の交錯がお こるため 、円状 の直交型交差 立体 が 分散 して生 じてい る。 この ように群 集流動 パ ター ンの違 い による交錯状態 の違 い を視覚的 に表現 で きる。また、この結果 によ リシ ミュ レー シ ョンにおける結果 と類似す る結果 が 得 られた。

ア ク ソ メ図

方向流

対 向流

交錯流

図 3.3- 9

実空間 での群葉流動 とモデ ル

89


3.3.6.3 群 集 密 度 変 化 と交 錯 流 の モ デ ル 以下 に、密度 の異 なる交錯流 にモデルを適応 した例 につ い て示す。ここでは、

XY平 面 に投影 した図 を用 いて説明 する。 低 密度 円状 の直交 型立体、分散 して分布 して い る。 また、群集密度が低 い ため 、歩 行者同士がす り抜 けを行 うため二次 元的 には歩行軌跡が重 な っていて も、時間 的なず れがあ るため に交錯 が少 な くな って い る様子 が分か る。 高密度 数多 くの交差 立体 が 密 にかた まってお り、交錯が激 しい様子 を示 して い る。 この よ うに、従来表現 しに くか つた交錯状態 の違 い をモ デ ル を用 い て視 覚的 に とらえる こ とがで きる。

′ │:ゞ ■ - │-

交錯流 (低 密度

交錯流 (高 密度

)

)

図 3.3- 10 群 集 密 度 と交錯 流 の モデ ル

90

││―

(XY平 面 図 )


3.4。 ま とめ

本節 では 、交差立体 モデル を提案 し、モデル を コ ンピュー タ内 の 三次元空間 に表現す ることによって 、日に見 えない 空間における群集の交錯状態 を視覚的 に表現 す る手法 を提案 した。 また、そ れ を用 いて実際 の都市空 間 の群集 の交錯 状態 を可 視化 した。 具体的 には、交差立体 モ デルにお ける 各「交差立体」か ら、そ の高 さ (Z軸 方 向の距離 )は 交錯時間、XY平 面上 の位置 は、交錯 の お きて い る位 置 をを表す こ とに よって 、群集内 にお ける ミク ロ な交錯 の状 態 を表現す る こ とが可能 に な った。また、これ らの 交差立体か ら群 集内 における交錯 の種類 を把握す るこ とが可能 になった。

1)人 体領域 につい ては、様 々 な研究 が な されてい るが 、本研 究では人 間の 感覚的 な要 因 で はな く、物理的 な要 因 に主 眼 をお き文 9)の 非接触領域 を用 い た 。

2)動 線 、立体 の交差部分 の よ うに物理 的 に交 わることを交差 、人間同士 の動線が交差 した状態 を交錯 と した。

3)モ デ ルのモ デ リ ングにあ た っては 、筆 者が作成 した独 自の プ ロ グ ラ ム を用 い て、 DXF形 式 の フ ァイル を作成 し、それ を、Imagc&Mesurement社 の 3Dモ デ リ ングソフ ト、 ForrnZを 用 い て形態 を作 成 した。 本 ソフ トウエ アでは 、三次元的 に重 な り合 う部分 を ブ ー リア ン演算 を用 い て抽 出す るこ とが 可能 で あ る。 また、 モデル を三次 元的 に表示 し、 回転 させ なが ら見て理 解 す るため に Applc社 の QuickDraw3Dの 技 術 を用 い た。

4)こ の シ ミュ レー シ ョンは 、発生地点 か ら乱数で向か う方向 に直進 し、他 の歩行者 の 状態 を考慮 せ ず進行す るな ど実 際の 群集歩行 と必ず しも一致 しない ところがあ るが 、 流 動 とモ デルの 関係 を示す ため には 、有効 で あ る と考 え られ る。

参考文献

1)中 祐 一郎 :「 交差流動 の構造 ―鉄道駅 における交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 本 建築学会論文報告集 No.258,pp.93~102,1977.8 2)大 蔵泉、宗広祐司 :「 鉄道駅 ター ミナル歩行空間における錯綜の分析 とサ ー ビス水準」 第 30回 日本都市計画学会学術研究論 文集、pp.619-624、 1995

3)吉 岡松太郎 ,中 村和男 ほか 1名 :「 歩行者間の相互干渉の特性」製品科学研究所研究 報告 ,No.96,pp.39~ 47.1983

4)竹 内啓五 :「 画像処理 による群集の特徴評価 に関す る研究」,日 本建築学会論文報告 集 No.486,pp.109~ H6,1996.8 91


5)建 部謙治 ほか2名 :「 歩行解析への画像処理技術の応用に関する研究」,日 本建築学 会論文報告集 No.436,pp.41- 47,1992.6

6)吉 岡松太郎 ,中 村和男 ほか2名 :「 群集対向流動の解析」日本建築学会論文報告集 ,第 289号 ,pp.Hり 129。 19803

7)佐 野友紀 ,渡 辺仁史 :「 空間―時間系モデルを用いた群集歩行軌跡の可視化」,日 本建 築学会論文報告集 No。 479,1996.1,pp.125- 130 8)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープンスペースの「動的密度感」に関する実験的研究」

,

日本建築学会論文報告集 No。 386,pp。 71- 80,1988.4 9)John J.Fruin:「 歩行者の空間 (PEDES瓢 uAN Planning and dedgn)」 ,鹿 島出版会,1974.12

10)中 祐一郎 ほか2名 :「 交錯する歩行者の衝突回避行動 に関する観測 と解析」,日 本建 築学会大会学術講演梗概集 ,pp.563~ 564,1988.10

92


第 4章

数量的指標 による歩行行動 の状態把握


4.1群 集 流 動 の指 標 化 4.1.1 三 次 元 モ デ ル と指 標 化 前章 では、3次 元 モデル をもちいて群集流動 にお ける「流れ」と「交 錯」につ い て視覚的 に示す手法 を示 した。ここで は 、そ れ らの 意味 を定量的 に位 置付 け る指標 を用 いて数量指標 か ら歩行者状態 を把握す る手法 につい て示す。一つ は、 群集流動 にお ける「流れ」 の方向 の 多様 さを示す指標 で あ り、群集流 動 の種別 の分類 を定量 的 に行 う方法 につい て示す。 もう一つ は、群集流動 における歩行 者 間の「接 近」 を定量 的 に把握 をす る手法 を提案 し、群 集流動 と交差指標 の 関 係 を明 らか にす る。

4.1.2従 来 の 研 究 鉄道駅 な ど都市部 にお ける多数集客施 設 にお いては、都市化 の拡大 と駅周辺 における業務 ・集積施設 の集積 によつて大 量の利用者が集中 して い る。 この様 な状況 の 中で 、鉄道駅施設 は地価高騰 による用地取得 の難 しさ、鉄道営業 と並 行 して拡 張 工 事 を行 わなければな らない制約 な どによ り、床面積 が制約 を受 け る傾 向 にあ る。 この制約 を最 も受 けやす い施設 が歩行 者 のための 空間であ る。 また、鉄道駅 にお いては そ の利用 上 の特性 か ら集中 して歩行者 が 到着す る傾 向 があ り、様 々 な場所 で歩行者 の交錯 が発生 して い る。従 って、歩行者 の動線処 理 を安 全か つ 円滑 に行 う事が鉄道駅 ター ミナ ル歩行空間の計画 における基 本課 題 の一 つ とい える。 また、駅 利用者 は駅利 用評価 にお い て滞留 の ない「 スムー ズ な流れ」 を重視 して い るに もかかわ らず 、そ れ を計画 ・設計時 に検討 で きる 手法 が確立 されてい な い現状があ る。都心 にある鉄 道 ター ミナ ル駅 にお ける歩 行者 の流動 は 、特 に ピー ク時 には、構内 や改札 口周辺 を中心 に して歩行 者 同士 の交錯 が 頻繁 に発生 して い る。その ような交錯 に関す る研究 としては、二 方向 の互 い に交差す る群 集流動 に関 して交錯状態 を扱 った もの 文P、 シ ミュ レー シ ョ ンによる旅客流動 を扱 った もの 文2等 が見 られ るが 、交錯時 における個 々の歩行 者 に対 して、衝突回避行動 に対す る分析 を行 っている とは言 えな い。また、個 別 の歩行者 の 回避行動 に関 しては、障害物 の 巨]避 を歩行軌跡調査 よ り詳細 に算 定 して い る もの 文3)が ぁ り、非常 に興味深 い 。しか しなが らこれは直進歩行 にお ける一対 一の 回避 を算定 してお り、交錯状 態 で そ の まま適用で きる とはい えな い。 以上 の こ とか ら、歩行 空 間 における交 錯現象 の構造 を明 らか に し、計画 にあ たっての基礎 的資料 とす ることが必 要 で あ る と考 え られる。

93


4.1.3 歩 行 者 の 状 態 を 表 す従 来 の指 標 建築人間工 学 にお い て人 間の行動 を測 るい くつ かの指標 が用 い られて きた。 歩行 者 の状態 をはか る際 に、一般 的 に使 われてい る定量 的な指標 と して 、歩行 者断面交通量 ・群集密度 ・歩行速度 ・流動係数 ・歩行者空間モデ ュールがあ げ られ る。 これ らの値 は、空間 における歩行者 の状態 を代表す る とい うことで取 り扱 いやす いが面 積 、人数、距離等 の設定 の決 め方 によ り、数値が異 なる とい う問題 がある。そ こで 、そ れぞれの数値指標 の とらえ方・意味 につ い て述べ る。 また、3章 にお い て時 間 を一つの 軸 として取 り入れた歩行者 の歩行軌跡 を表 現す るモデル を提案 し、モデルの 意味 につい て述べ た。本章で は 、 このモデル の概念 を用 い て歩行者 の動 きお よび状態 を定量的 に把握 するため に二 つ の指標 を提案 し、そ の意味 につい て述 べ る。 本節 では、従来用 い られて きた歩行者 の状態 を表す 指標 につい て その意味お よび適用 に関 して考察す る。また本研究 での それぞれ の指標 の扱 い につい て述 べ る。歩行者 の移動 方向 の 多様 さを表す指標 と歩行者間 の接近 の度 合 い を表す 指標 を提案す ることに よ り、空間における歩行者 の状態 を分類 ・把握す ること を目的 とす る。

4.1.4 指 標 の 定 義 4.1.4.1 歩 行 速 度 の 定 義 。歩行速度 の定義 歩行速度 は、一般 的 に二 点 間の距 離 を通過 にかかった時間で割 ることによ り 算定 される。従来行 われて きた調査 では、歩道な ど、一 方向あ るい は対向二 方 向 に通行す る空 間 にお い て始点 と終点 とす るための線 を設定 し、始点線 を通過 した時刻 と終点線 を通過 した時刻 の 差 を求 め 、その 間の距離 を時 間差 で割 るこ とに よ り算定す る。 この場合 、観測者 は進行方向 に対 して側面 方向 か ら観測 を 行 うが 、奥行 き方 向 に対す る対象歩行者 の動 きを全て除外 して値 を算定 して い るため 、歩行者が設定 した移 動面 に対 して斜 めに歩 い た場合、誤差 が生 じるこ とが 考 え られ る。また、回避行動 な ど歩行 が 直進 でない場合 に も誤 差 を生 じる。 この よ うな歩行速度 の観測平面上 へ の投影値 を「見か けの」歩行 速度 とす る。 これ に対 して本研究 で は、以下の よ うな方法で歩行速度 を算定す る。 1.観 測 した単位時間 ご との 歩行者 の座標 デー タをもとに、単位 時 間 ごとの移

動距離 を算定す る。 2.こ の移動距 離 を単位時 間 で 割 るこ とによ り、単位時 間 ごとの 歩行速度 を算

定す る。


3.こ の よ う に して 求 めた単位 時間 ごとの 歩行速度 を合計 し、総時 間 で 割 つて

平均値 を求 め る。 この「歩行速度」は、す なわ ち「単位時 間 ご との歩行速度」の平均 で あるが、 歩行者 の移動 は、単位時間 ご とに移動方向が異 なるため、状況 によって二点間 の距離 と時間 を用 いた前者 の 方法 とは、速度 のず れの幅 が異 なる。 「 見かけの歩 行速度」 と、本研 究 での「 歩行速度」 を比 較 した ものが 図 4.1-1、 4.1-2で ある。 歩行者 の移動方向 との比較 を見 る と、移動 方向数が小 さい ものでは「ずれ」 は 小 さいが、移 動方向数が大 きい もの になる とず れが 大 き くな っている傾 向が見 られる。移動方 向数が少 ない場 合 には 、歩行軌跡 が 歩行 の基準線 に近 い ためず れが 少 ないが 、移動方向数が 多 い場 合 には 、ほかの歩行者 を回避す るな どによ り歩行 の基準線 と離 れた歩行 軌跡 をとるためずれが 大 きくなる。 この よ うに歩行速度 の測定 に際 してはは、基準 とす る距離お よび時 間の算定 「単位 時間 ごとの歩行速度 法方 を一 定 に して算定す る必 要 がある。本研究 では 、 の平均値」 を もとに各歩行者 の歩行速度 を算定 した。 また、群 集 の歩行速度 に 関 しては、群 衆内 の歩行者 の 歩行速度 の 平均値 を用 い た。

95


見かけ の速度差 (立 川7-1-7.05) 35 30 25 20

堅 緊 15

10 5 0

R9888

N 〇

歩行速度差

区間 (cm/s)

図 4.1- 1:見 かけの速度差

(二 方 向 )

見 か けの 速度差 (立 川8-1-7.40) 35 30 25

燃 20 緊 15 10 5 0

R9388R零 歩行速度差 区間 (cm/s) 図 4.1- 2:見 かけの速度差 (八 方向)

96


4.1.4.2 群 集 密 度 の 定 義 建物 の 内外 を問 わず、群集 の 集 まる ところではすべ て 、そ の場所 の面積 に応 じた収容可能 人数 を考 えておかねばな らない。 群 集密度 の算定方法 群集 につ い て最 も基本的 な属性 は群集密度 であ り、一般 的 には次 の よ うに定 義 される。 群集密度 =人 数 (人 )/群 集 の 占有面積 (m2) 。面積 につ いて 群集密度 はふつ う、人/m2と ぃ ぅ単位 で 表 わ され るが 、占有面積 の取 り方や 人 の数 え方 によって算定 された値 に差 が生 じる。また、人口密度 と同 じよ うに 「 グ ロスの密度」 と「 ネ ッ トの密度」が あ る。た とえば、公園に人が集 まってい る場合 を考 える。植込 みや花壇 な どの部 分 も含めて 占有面積 として密度 を算定 すれ ば、そ れは「 グ ロスの密度」で あ り、通路や広場 だけに限定 してそれ を占 有面積 と した場合 には「 ネ ッ トの密度」 で ある。 なお、群 集密度 (人 /m2)の 逆数、つ ま り1人 当 た りの面積 を混雑度 の評価 尺度 とす ることもある。Fruin文 4は これ を「歩行 者空間モデュー ル」 と名付 け た。密度 の逆数 は、元来、交通 工 学 にお い て 自動車 の 混雑度 を表 わす ためのサ ー ビス水準 として用 い られて い た もので 、それ を流用 した と考 え られ る。自動車 は人 間 よ りもはるか に大 きいので 、lm2当 た り何台 とい うことでは、常識 的 に も 不 自然 で イメ ー ジ しに くい。 ど う して も 1台 当た り何 m2と ぃ ぅ単位 、つ ま リス ペ ー シング (密 度 の逆数 )で 表現 した くな る。 だが人間 の場 合、群集整理が必 要 な状況で は lm2に 数人 になるこ とが 多 いの で 、密度 の逆数 で は コンマ以下の 数字 になって便 い に くい。ただ し、事務室 などでは 1人 当 た りの面積 が 10m2/ 人程度 になるので 、密度 の方 が小 数点 以 下 の数字 になる。 したが って 、対象 と す る混雑度 に応 じて便 い分 け るこ とも考 え られる。 。人数 について 人数 を観測す る際 に、その瞬 間で とらえるのか、平均 で とらえるのか によっ て そ の意味が異 なる。そ こで 、時 間単位 の取 り方が 重要 な要素 になって くるた め 、そ れ を明確 にす ることが 重要 である。 時 間単位 :瞬 間

期間

秒、分、時 間、 日、週、月、年

ごとの総計 の平均

歩行者 の 流動 は、場所 に よつて 、常 に平均 して流れて くる とは限 らない。特 に駅 空間な どにおい ては 、電車 の発着 ダイアによって疎密 がお こるこ とが 知 ら 97


れて い る。また、滅多 に人が 通 らない、 一度 に人がた くさん来 てす ぐにい な く なるな どの場合、平均値 と ピー ク値 がかけ離 れた数値 となる可能性が往 々 に し て考 え られるため、注意 が必 要 で ある。 また、人数 の数 え方 につい て も、抱 か れて い る幼児 を 1人 と数 え るか 、歩行者 の密度 として停止者 を人数 に入れるか ど うかなどが 問題 になる。群 集密度 は、その基準 の設定方法 によってば らつ き を持 つ可能性 を秘 めてお り、取 り扱 い には注意が必要 で あ る。 本研究 では、この よ うな点 を考慮 し解析対象範囲 として 歩行者空間 の 中か ら そ の空 間 を代表す る範囲 と して、空間か ら正方形 の切 り取 つた範囲 を用 いてそ の 地点 にお け る値 を代表 し算定す る。 具体的 には、モデル におけ る群集密度 は、解析対 象時 間内 に存在す る延べ 歩 行者人数 (停 止者 を含 む)を 解析対象時 間の長 さと解析対 象空間の面積 で 除 し た値 を時間平均群集密度 と して 用 い る。

時 間平均群集密度

=

解析対象空間面積

98

/

歩行者 人数

/

時間


4.1.5 解 析 対 象 空 間 4.1.5.1 歩 行 者 間 の距 離 の研 究 本研究 で は 、空 間 にお け る歩行 者同tの 相互作用 につ い て研究 を進め るが 、 そ の基準 の 設定 と して多 くの研究 の 中か ら 二つの研究 を取 り上げ参考 に した。 E.T.ホ ー ル 文5)は 、人間同士 の 関係 によって持 つ い くつ か の 距離 につい て以下 の よ うに説明 した。 密接距離 :0.5m以 下 二 人の体 の一部 がふれあ うこと もあ り、相手 の体臭 や 体温 まで分 かる。 個体距離 :0.5-1.2m以 下 相手 にふれ るため には手 を伸 ばす必 要があ り、体臭 は重要性が な くな り相手 の顔 が最 もは っ き り見 える。 社 会距離 :1.23.7m以 下 相手 に手 が 届 かず 、肉体 的な接触 の 可能性 の 限界 を超 える。 公衆距離 :3.7m以 上 相手 を見分 けるためには努力 を必 要 とす る し、必要な場合 には避 ける こと も で きる。 また、J.Fruh文 41は 、歩行者 の領域 を物理的 な条件か ら算定 し、接触領域 、非 接触領域 、快 適領域 、通 り抜 け領域 、 と分類 した。 接触領域 :o.6m以 下 他 人 との接触 は不可避 で あ り、人混 みの 中 を通 り抜 ける ことは 出来 ない。 非接触領域 :o.6-0.9m 立 ち止 まって い る歩行者 同士 は接触 しないが不快感 を感 じる程度 に接近 して お り、人混 みの 中 を歩 くの は非常 に制 約 が 多 く、集団で しか前進で きない。 快適領域 :o.9-1.lm 立 ち止 まって い るだけであれば誰 か らも影響 を受 けず快適 で あるが、その あ いだ を歩 き回ろ うとす る と きは、声 をかけて動 かなければな らない。 通 り抜 け領域 :1.1-1.2m 立 ち止 まってい る歩行者 間 を通 り抜 け られ るが 、やや制約 を受 ける。 無市1約 :1.2m以 上 誰 にも妨 げ られず、歩行 者間 を通 り抜 ける こ とが 出来 る。

HJl 本研究 で は 、 他 の研 究 の 中か ら最 も本研究 に適合す る二 つ の研究 として 、 の研 究 をもとに解析対象範 囲 を設 定 し、Fruhの 研 究 を もとに歩行領域 を設定 し た。


4.1.5.2 解 析 対 象 空 間 の 定 義 本研 究 では、歩行者 の歩行 軌跡 を比 較 ・解析す るため に、同 一面積 、同一時 間で歩行軌跡 を抽 出する必 要 がある。そ こで以 下の よ うに解析対 象 とす る空間 を設 定 した。 ・解析対象空 間 空 間内 に一定 の 長 さの辺 を持 つ 正 方形範囲 を仮 想的 に設定 し、一 定時間の 間 に、その範囲 に存在 した全 歩行者 に関 して解析 を行 う。 ここでは 、 この際 に用 い る正 方形範囲 と時間 を空 間― 時間系 モデル を用い て三次元的 に表現 した直方体 を解析対象空間 と定義す る。これは 、空 間― 時間系 モ デ ル を用 い た単位空間で あ り、実在 の三次元 空間 とは異 なる。解析 に用 い られ る全 ての歩行軌跡 は、この 解析対 象空間の 中 に存在す る。 解析対象空間 :歩 行者の解析 のため に用 い る地面 上の正方形範囲 と解析対象 時 間 を空 間 ―時 間系 モデル を用 い て 二次 元的 に表現 した 直方体 そ こで 、解析対 象空間の定義 として 、HJlの 研究 文5の うち最 も離 れた人 間の 間 の距離 として定義 されて い る公衆距 離 を考慮 して解析対象平面 を5m*5mと 設定 した。また 、比較的 ゆっ くりの 歩行 の 平均 的な歩行速度 を lm/sと した場 合、この空間 を歩行者が確実 に通過 す る時間 として 、解析対象時間 を lo秒 間 と した。 また、解析 は0.5秒 刻 み に行 うため 、解析画像 は 20コ マ となる。 解析対象空間 の 範囲 :5m*5m*10秒 解析単位時間

:10秒 、20コ マ

本研 究 では、調査対象地 ご とに比 較 を行 う場合 には、/1Nて 上記 の 解析対象空 間の範 囲 を用 い た 。 コ ンピュー タ画 面で 表示す る際 には 、この基準平面上 の範 囲 (5m*5mの 正 方形 )を 基準正方形 と して青色で表示 し、時間軸 は、基準正 方形 の左上 の頂点 か ら垂 直 に シア ン色 の ご1線 で表示 した。また、同地点 におけ る広 い調査範囲 の比較、解析 にあた ってはそのつ ど解析空間 を設 定 した。

100


4.1.6 移 動 方 向 の定 義 歩行者 の移動 方 向 には 、様 々 な レベ ルが 考 え られる。都市か ら都市 へ とい っ た巨視 的な レベ ル か ら、単位時間 に方向ベ ク トルが 向 い ている方向 といった微 視 的 な レベ ル まで様 々で あ る。これ らの レベ ル は、そ の必要性 に応 じて使 い分 け られ るべ きもので ある。本研究で は、調査対象空 間 の レベ ル を加味 し、歩行 者 の移動方向 を以下の よ うに定義 す る。 前節 で述べ た よ うに本研 究 では、調査解析単位空間 と して 5m*5mの 範囲 を 設定 し、その空 間内 における全歩行 者 の歩行軌跡 を用 い て解析 を行 う。 この際 に空 間 における歩行者 の移動方向 を代表す る もの と して 、各歩行者 の解析始点 か ら解析終点 へ 向 か う方向 を各歩行 者 の 移動方向 と し、また、この 2点 を結 ぶ 線分 を歩行 の「基準線」 と定義す る。 この基準線 は 、解析 単位空間 の進入点 と 退出点 を結 んだ 直線 で あ り、歩行者が 解析 単位空間 とい う局所的な空間内で ど ちらか らどちらへ 向かったか を表 して い る。この定義 を用 い ることによ り歩行 者群集流動 の概 略的な流 れの把握す る事 が可 能 になる。 歩行 の「基準線 」:解 析 始点 と解析終点 と結 ぶ線分。 歩行者 の「移動 方向」:解 析始点 か ら解析終点 へ 向 か う方向。角度 で表現す る 際 は 、設定 した空 間の座標 系 における X軸 との なす 角 を方向角 として用 い る。

移動方向平面 (平 面 d)

歩行の「基準線」 ↑時間

へ の投 影

- ″=` … ・ …… …… ・ 「

平画p、 の

移動平面 (平 面 p) 図 4.1- 3:移 動方 向 の 定義 101


4.2移 動 方 向 に よ る群 集 流 動 の指 標 化 群 集 の歩行行動 を分析す る際 、そ の分類 として用 い られる方法 と して、群集 の移動方向 による分類 があげ られ る。 これは、群 集が集団 として、 どの方向 に 向 か っているか を判 別す る もので あ り、従 来の研究 では大 きな流れ の 数 によっ て 、一 方向流、二 方向流、多方向流 とい つた分類 がな されて きた。この判 断 は、 主 に状 態 の定性 的な定義 に とどまってお り、数量的な定義付 け は行 われてい な い。群集流動 では、歩行者 は 同 一 方向 に進 む流れがある場合 には、それ に従 っ て流 れ にの って進 む現象が見 られ る。この ことによ り歩行者 の流 れは徐 々 に大 き くなる と考 えられ る。また 、自分 の進 む 方向 の流 れがない場合 には、他 の流 れ を縫 うよ うに して進 む現象 が 見 られ る。 この様 に群 集流動 は、全体的 な大 き な流 れ とそれ を妨 げ る小 さな流れ によつて成 り立 っている と考 え られ る。 流 れの方 向 を決定す る原 因 は 、局所 的 には歩行者 の発生 とそ の 目的地 に よって与 えられる。 本研究 では、空 間 における群 集流動 の 移動 方向 による分類 のため に情報 エ ン トロ ピー理論 を用 い て歩行者 の移動方向 の 多様性 による分類 を行 う。また、そ の手法 を都市空間 に適用 し、空 間の構成 と群 集流動 の関係 につい て述 べ る。

4.2.1歩 行 者 の移 動 方 向 の 定 義 本研究 では、歩行 者 の移動 を定義す るため に以下の方法 で歩行者 の 移動方向 の定義 を行 つた。 歩行者 の移動方向 :解 析対 象空間 にお ける各歩行 者 の歩行軌跡 の解析視点 と 解析終点 を結 んだ線分 を歩行 の「基準線 」 とす る。 この線分 の 方向 ベ ク トルが 設定座標軸 の X軸 の正 の方向 を o度 と し、そ こか ら反時計回 りに 360度 までの 角度 と設定す る。設定座標軸 は 、各観測対 象 ごとに設定 した座標軸 で調査画面 に平行 な方向で右手方向をx軸 の 正 の方 向、画面 の奥行 き方向 をY軸 の正 の方 向 とす る。

150°

向 l l

:

. 1 7

図 4.2-1:歩 行 の基準線 ・ 移動方向 と色設定

9 一


4.2.2 移 動方 向 多様度 4.2.2.1 情報 理 論 の位 置 づ け と基 礎 本研究で用 い る考 え方 は、C。 シャノンによって一般的に提唱 された「情 報理論」 に基づ くものである。この情報理論 は、電信や電話 の必要性 とともに 誕生 し、第二次世界大戦中、 レー ダーの研究な どに応用 され急速 に発展 して き た。 C。 シャノンが情報量 の考 え方 を確率論的 に定義 し、エ ン トロピーの概念 を使 つて数学的形式 をとったことによつて、現在では、生物学、経済学、社会 学 にまで も、広 く応用 される ようにな った。 一般的 にエ ン トロピー とい う言葉 を用い る場合、熱力学 の理論 に用い られ ることが多い。この情報エ ン トロピー理論 は、熱力学理論 と同 じ公式 を用 い な が ら、情報 とい う全 く異なった対象 を扱 っているため、混乱が生 じやす い。そ こで本研究では、 「情報エ ン トロピー」とい う言葉を用 い るかわ りに、物事 の多 様性 を示す度合 い とい う意味 で同 じ理論 を「 多様度」 と置き換 えて用 いる。 ここで、C。 シャノンが提唱 した「情報理論」については、2.3.5に おいて 簡単 にまとめた。情報エ ン トロピーはその定義 により、冗長度の補数であ り、物 事 の多様性 を表す。その値 は 0~ 1の 値 を取 り、0に 近 い ほ ど多様性 が低 く集中 してお り、1に 近 いほど多様性 が高 い。

103


4。

2.2.2 歩 行 者 の移 動 方 向 の 多様 さの 定 量 化

「情報 エ ン トロ ピー」理論 を用 い て歩行者 の移動方向の多様度 を算 本節 では、 定す る手法 を提案す る。 ・ デ ー タの抽出 と方向多様度 の算定 1.各 歩行者 の座標 デ ー タよ り、解析始点 か ら解析終点 に向 か う方向 をその個

人 の 移動方向 と定義す る。方 向角 はデー タ観測時 に設 定 した XY平 面座標系 の

X軸 の方 向 を o度 と し、そ こか ら反時計回 りに 360度 まで とす る。方向角 を 0_ 30度 、30¨ 60度 、、、330-360度 と 30度 毎 に 12分 割 し、それそれの移動 方 向角 の 頻度 の算定 を行 う。 2.各 方向角 の頻度 を全歩行者 数 で 除 して 各方向角の 出現確率 を計算 す る。 3,そ の値 をもちいて 多様度 Eを 算定す る。

方 向多様 度 Eは 、情報理論 に よ り相対 エ ン トロピー と して

E=(― ΣEiLogっ Ei)/Emax Emax〒 Log。 (12) E:移 動方 向多様度 Ei:各 方向角 の 出現確率

に よって 求 め られる。 方 向多様 度 Eは 、そ の定義 か ら 0~ lの 値 を取 り、一 方向 に集中 して い る場 合 は 0、 全方向に等 確率 の場合 は 1の 値 を取 る。この こ とか ら、群集 の 移動方向 の 多様性 を定量的 に示す ことが可 能 で あ る。 (図 4.2-2) 移動方 向多様度 :各 歩行者 の移動 方向角 を情報 エ ン トロ ピー理論 を用 いて 定量化 した値。対象空 間内 の歩行 者 の移動 方向の 多様性 を表す。 ・ 理論値 を用 い た移動方向数 と方向多様度 の 関係 ここでは 、多様度 の 数値 と移動方向数 の 関係 を示す ため に全 方向 (12方 向) 中、 n方 向 に歩行者が各 々等確 率 で分布 した際 の理論値 を示す。 この様 に一 方向 では E=0、 二 方向で は E=0。 279、 三 方向で は E=0。

442と 増加 し、全方向同確率 で E二 1と なる ことが 分 かる。 (表 4.2-1) 以上 の例 は理論値 よ り算定 した もので あ る。実際 の群衆流動 へ の適用 に関 し ては 、この よ うな算定 も理論 的 には EI能 で あるが、群衆流動 は定常 的 で は ない ため も う少 し大 きな枠組 みの 区分 を用 い る必 要がある と考 え られ る。 そ こで 、 ここで は、群衆流 動 の 方向性 と方向多様度 の 関係 を実例 に適用 してその 関係 を 調 べ た。

104


歩行軌跡 モデル

方向別頻度 の算定

E=(― Σ EiLog2Ei)/Emax Emax=Log2(12) E:移 動方向多様度 Ei:各 方向角 の 出現確率

図 4- 2.2 方向多様度 の定義

105


][] [[言│

1:31

:[言│

場∫ :』

11'「711「111:11[71'「111:~1,~1,ユ i~二112[言 │

× 2[言│

::こ│ 106


4.2.3方 向 多様 度 を用 いた 群 集 流 動 の 分 類 。方向多様度 の算定 前節 では 、歩行者 の移動方向多様度 を算定す ることに よ り、歩行者空間にお け る歩行者 の移動方向の多様 さを1情 報エ ン トロピー理論 を用 い ることによって 、 方向多様 度 として示 せ ることを述 べ た。 ここでは 、実測 したデ ー タをもとに映 像 か ら定性 的な定義 による群 集流動 の分類 を代表す る流動 を抽出 し、方向多様 度 を算定 し、群集流動 の種別 と方向多様度 の 関係 につい て述べ る。 ・群集流動 の種 別 の定義 群集流動 の種別 は、各歩行者 の進 む方向 によつて定性 的 に大 きく3つ に分類 「一方 向流」 「対 向流」 「交錯流」 と呼 ばれる ものが一般 され ている。それ らは、 的 で ある。 ここで は、その分 類 につい て 文献 よ り定性的 な説明 を抽出 し、定 義 付 けを行 う。 ・従来研 究 での群 集流動 の定性 的な定義 一 方向流 :群 集 が 一つの流 れで形成 される流動 対 向流 :互 い に向かい合 う分離 した ■つ の流 れによって形成 される流動 交錯流 :い くつ かの流れの 交錯 によつて形成 される流 動 交差流 :二 つの 流 れの交差 に よつてお こる流動 ・方向多様度 の適用 歩行軌跡 を算定す るデー タと しては、駅空間か ら45、 都市空間か ら42時 点 の 様 々 な状況 のデー タについ て 方 向多様度 を算定 し比 較 した。そ の 中か ら、群集 流動 の定性 的な定義 に従い 、流動 の分類 を代表す る地点 のデー タとその状 況 を 示す。左 が 測定値 と多様度、中央 が動 直iか らの原画像 のサ ンプ ル、右 が 歩行傾 向 モデル と空 間― 時 間系歩行軌跡 モデル による歩行傾 向 を図示 した ものである。 (図 4.2-2)

○ 一方 向流 方 向多様度 E=0.00 ホ ーム と駅舎 を結 ぶ長 い コ ン コー スで あ り、電車 の到着 とともに大量 の人間 が 同 じ方 向 に進 んで い る。移動 方向角 は 、全 ての人が 同 じ区分 に入る。同 じ方 向 にスムー ズに歩行者 が流れて い る様子 がわか る。 ○ 二 方向流 (対 向流 )方 向 多様度 E=0.27 道路脇 の歩道 で あ り、定常 的 に両側 か ら人が 歩行 して い る。移動方向角は、2 方向 に集 中 して い る。お互 い 向 か い 合 った 二つ の 流 れで 、左側通行 を しなが ら 対 向 して い る様子 が 分 かる。 ○ 四方向流 方 向多様度 E=0.42 駅構内 の 広が りを持 つ コ ン コースであ り、以下 の 2つ も同 じ調査地点 で異 な る時 間 にお ける映像 である。 この 空間 では 、 4つ の 方向 か ら人が進 んで くる。 150~ 180度 方向 の 頻度 が高 く、この 方向 に大 きな流れがあ ることが 分か る。全 体 的 には、 い くつ か の方向か ら歩行 者が流入 して くる様 子が 分 かる。 107


○ 八 方向流 方向多様度 E=0.76 この空間では 、8つ の方向 か ら人が 進 んで くる。比較的210-240度 方向 と240270度 方向の流 れが 多 い。様 々 な方向か ら歩行者がが流入 して くる様子 が 分 か る。 ○ 多方向流 方向多様度 E=0.86 この状態 では 、様 々な方向 か ら歩 行者 が流 入 し、流れは存在 しない。歩行軌 跡 はたが い に絡 み合 い、い たる所 で 歩行 者 の 交錯が見 られる。状態 は、全 方向 流 に限 りな く近 い。 移動方向数 と方向多様度 の 関係 をまとめ た ものが以下の表 で あ る。 表 4.2- 2:移 動方 向数 と方 向多様度 の 定義

0.14-0.42 0.42^-0.70 0。

70-0.92

この よ うに方向多様度 を用 い ることによって群 集流動 の移動方向数か ら見 た 分類 が行 えるこ とが 明 らか になった。 また、歩 行傾向モデル との対応 か ら、移 動方向 の多様 度 をモデル を用 い て主観的な判断 か らある程度把握す ることが可 能 で あ る。 従来 の分類 では 、一方向流 、二 方 向流以外 の 人の流れ の交錯が起 こる流動 を 全 て交錯流 と して とらえて きた。本論 文で は 、交錯流 の 中に も程 度 の段 階 が あ り、流入方向数 を用 いてその差 を定量的 に示す ことが可 能 になった。 以上の よ うに群 集 の移動方向 を情報 エ ン トロ ピーの概念 を用 い ることに よっ てその移動方向 の多様性 を方向多様度 を用 い て定量化す ることが可能 になった。 また、従来定性 的 に言葉 を用 いて に定義 されて きた方向流 の分類 を定量 的 に定 義す ることが 可能 になった。

108


十 I三婁 キ ・ ■■ :_・

1・

図 4.2-3:方 向多様度 と群集流動の種類 109


4.3.個 人 歩 行領 域 に よ る歩 行 者 の 交 錯 状 態 の 指標 化 歩行者 が空 間 にお い て 歩行す る場 合、まわ りに存在す る他 の歩行 者 や障害物 か ら一定 の距離 をとって 歩行す る。 これは 、あ たか もその歩行者が 自分 の領域 を持 ちなが ら移動 して い る よ うに見 える。この領域 は、群集密度 の増加 にとも ない侵害 されてゆ くが 、これにと もない 歩行者 は まわ りの環境か ら`と 、 理的 な負 担 を受 け ることになる。快適 な歩行空間 を提案す るためには、この個人歩行領 域 (以 下個 人領域 )に つ いて考察す るこ とは重要 な ことである。そ こで本節 で は、前章 で提示 した「交差立 体可視化 モ デ ル」 を用 いて個人領域 の 交差 を定量 的 に算定す る手法 につ い て述べ る。 ここで 交差 とは、接近 によって個 人領域 同 士が互 い に重 な り合 う こ ととす る。

4.3.1群 集 流 動 にお け る従 来 の 手 法 従来 の歩行 者の流動 を歩行 の快適性 の 面か らとらえ評価す る手法 としてサ ー ビス水準 が あげ られ る。J.Frttnが 、 「 歩行者 の空 間」文4 で提唱 し、そ の後 い く つ かの文献 で取 り上 げ られ 、数値等 の改善が加 え られて い る。本研究 では、そ の 中で、HCM(HighWay Capacity Manual)え 6に おける値 を取 り上げて考察す る。

HCMで は 、歩行者 の サ ー ビス水準 は歩行速度 、流動係数の数値的な指標 とそ の状態 を表す言葉、お よびその ラ ンクを表すサ ー ビス水準 か らなる。 これ によ り歩行者交通 流 にお け る歩 きやす さの 質 をA~ Fの 6段 階 の評価 として表す。し か しなが ら、この指標 は主 として一 方向流 における状態 を評価す る もので あ り、 交差流、交錯流 に関す る定性 的な記述が述べ られて い る ものの 、定量的な数値 による記述 については述 べ られて い ない。 従来、歩行者交通流 のサ ー ビス水準 は 、 - 方向流 または二方向流 (対 向流 )の 状態 にお い て、主 に密 度 や速 度、交通量 等 の交通現 象 を分析す ることによ り設 定 されて きた。 また Fruin t iや 吉岡 え'1ま 、歩行行動 の 自由度 として横断や追 い越 しの難易度 を評価 項 目に加 えて 区分 してい る。 しか し、それ らの評価尺度 は主 観的、定性的な もの にとどまっている。 歩行者交通流 の特性 は 、その歩行 日的 によ り差 異が生 じるため、歩行 目的別 にサ ー ビス水準 を設定 す ることが必 要 であるが 、本研究 ではそ の 中で移動 を主 目的 とす る最 も基本的 な流 動 として 、鉄道駅 にお ける歩行 を対 象 と して解析 し た。


4.3.1.1 サ ー ビス 水 準 の 定 性 的な 記 述 歩行者 の流動指標 を と して用 い られて きた歩行者サ ー ビス水準 は、一 方向流 に関 してのみ の定量値 を 与 えてお り、交錯流 に関 して は定性 的 な表現 に とど まっているこ とを述べ た。 しか しなが ら、交錯 を考 えてゆ く上で、 レベ ルの設 定 と して この 定性 的 な表現 を整 理 す る こ とは有効 で あ る。 そ こで ここで は 、 サ ー ビス レベ ルの 中か ら、交錯 に関連す る 事項 を抽 出 し整理 し直 した。(表 4.3-

1)左 側 に記 された LOSは 、Levd Of Standardの 略 でサ ー ビス水準 を表 し、Aか らFに い くに従 って状態が悪 くなる ことを示 してい る。中左 の記述 がサ ー ビス 水準 の定義 を整理 し直 した もの 、右側 の数値 は、一 方向流時 の対応す る値 であ る。 分析 の結 果 、サ ー ビス水準 の記述 は空 間 の状態 を示す「空間表現」、歩行者 の 速度 を示す「速度表現」、歩行者 間 の衝突 を示す「衝突表現」に分類 で きること が 明 らか になった。

表 4.3-1:歩 行者 サ ー ビス レベル (Leve1 0f Standard)の 記述 サ ー ビ ス レベ ル の 記 述

亦 何 百 省 反

猟 朗 係 叡

(人 /m2)

(人 /m/s) 6.6

0.083-0.269

23.0

0.269-0.449

32.0

0.449ヽ 0.718

49.2

0.718~ 1.794

82.0

1794ヽ

不 定

ヽ0_083

LOS A ・ 他 の 歩 行 者 に 応 じて 自 らの 動 き と速 度 を変 え る こ とな く、 希 望 す る部 分 を歩 く (空 間 ・ 歩 行 速 度 は 自 由 に選 べ る (速 度 ・ コ ンフ リ ク トは起 こ ら な い (衝 突 )

)

)

LOS B ・ 自 由 な歩 行 速 度 で 歩行 す る の に 充 分 な空 間 を も つ (空 間 ・ 衝 突 を避 け る た め に充 分 な空 間 を もつ (衝 突 ・ 空間 ・ 他 の 歩 行 者 に注 意 を払 う (衝 突 )

)

)

LOS C ・ 通 常 の 速 度 で 歩 け る (速 度 ・ 同 一 方 向 で は 他 の 歩行 者 を追 い 越 す こ との 出 来 る充 分 な ス ベ ー ス が あ る 。 (空 間 ・ 逆 方 向 あ る い は 横 断 す る 歩行者 が あ る 場 合 に は 、 希 に衝 突 が 起 こ り歩 行 速 度 が遅 くな る (衝 突 )

)

)

LOS D

歩 行 速 度 の 選 択 す る 自 由 は 制限 (速 度 歩 行 空 間 で しば しば歩 行 速 度 の 変 更 (速 度 歩 行 空 間 で しば しば進 行 方 向 の 変 更 (空 間 交 差 が あ る と こ ろで は 衝 突 す る 確 率 が 高 くな る (衝 突 )

)

)

)

LOS E 歩 き方 を調 整 され て通 常 通 りの 歩 行 速 度 は 制 限 (速 度 空 間が な い の で ゆ っ く り歩 く しか な い (速 度 流 れが 停 止 ま た は 妨 害 され る (衝 突 )

)

)

LOS F 歩 行 速 度 は ひ ど く制 限 され る (速 度 (衝 突 1ン ば しば他 の 歩 行 者 と接 触 )

)


4.3.2歩 行 者 間 の 交 錯 歩行者 は、歩行空間内 に障害物 が ない場 合には 自分 の歩行速度、歩行方向、他 の歩行者 との 間隔 といった歩行者間 の相互作用 によって 自分 の 歩行 を決定す る。 従 って 、あ る歩行者 が 歩行者流 を横 断 しようとす る と き、そ の 歩行者密度が高 くなれ ば なる ほ ど、どちらか 一方 にあるいはお互 い に衝突 を避 けるための挙動 の変化 が生 じる。文ア この様 な歩行 者 の交錯 は 、鉄道駅 にお いて は、頻繁 に発生 して い るが 、そ の交錯状態 を体系 的 に評価 した ものは少 ない。

4。

3.3交 差 立 体 可 視 化 モ デ ル に よ る交 錯 状 態 の 算 定

前 章 で、個 人 の歩行領域 を時間 に ともなって立 体 的 に示す 三次元歩行領域 モ デル と して交差立体可視化 モデル を提 案 した。本節 では このモ デ ルの概念 を用 いて 、個人歩行 領域 の交差 をあ らわす ウl体 か ら歩行 者間 の接近状態時間 と交錯 回数 を算定 し、空 間 にお ける交錯量 を定 量化す る指標 を示す こ とで あ る。

4.3.3.1 交 差 指 標 の 定 義 。歩行者 の 歩行領域 につ いて 人 間 の領域 については 、様 々な研究が な されて い る。J.J.Fruin文 4は 、人体楕 円 と して、接 触 、通 り抜 け、 とい った物理的 な要因 を もとに して作 られた領域 モ デル を示 し、群集流動 な どを考 える 11で の指標 とした。M.J.HOrowiz丈 8)ら は、 心理 的要因を含 めた領域 で 、人の まわ りの 8方 向 の それぞれに近 づ く場合 と正 面 向 きの相手 に対 して被験 者が八 方 向の それぞれ を向け なが ら近 づ く場合 の 2 種類 につい て近接距離 の算定 を した。また、高橋 らは比 較的空間的制約 の ない 広場 や駅のホ ールでた ち話 をして い る」1人 連 れの グルー プの位 置関係 を調べ た。 本研 究 では人 間 の感覚 的 な要因 で はな く、物理的 な要因 に」l眼 をお き、また 歩行領域 の指標 として Fruin丈 上 の 非接触領域 を用 い た。これは 、歩行者同士が 、 と 接触 せ ず に歩 行 す るための物理的 な算定値 であ り、歩行者 の頭 の位置 を中′ と した直径 90cmの 円形 の領域 となる。この領域 では、 一人あた りの個 人領域 を示 す空 間 モデュール (群 集密度 の逆 数 )は 、0.635m2/人 (群 集密度 :1.57人 /m

aで あ り、この範 囲 に他 の 人が入 って くる状 態 は、か な りの接近状態 で ある。フ ルー イ ンは、歩行 のサ ー ビス水準 として空 間全体 で 平均 した群集密度 の値 が、 0.5~ 1.0人 /m2の 状態 で は 、 「 自分 の通常 の 歩行速度 では歩けない。歩行路 の

可能容量 の限界 での流れ の 滞留 が起 こる。」として 、例 として短時 間 に大量の人 間が 退 出す る よ うな建物 をあげて い る。 この様 にこの 歩行領域 が重 なる場 合、 歩行者 は互い に交錯状態 にあるとい える。 う 4


4.3.3.2 歩 行 者 間 の 接 近 の 指 標 化 3.3で は、歩行者 の 交錯状態 を視覚的 に表現す るモデ ル につい て述 べ た。ここ

では、そ の概念 をもとに歩行 者間の接近 を表す指標 を提案す る。3.3の 「交差立 体可視化 モデル」にお いて 歩行 者 の 歩行領域 を定義 し、そ の立体的な交差 を「交 差立体」 として視覚的 に表現 した。 本節 で は、 この ような領域 が重 な り合 う部分 で あ る交差 立 体 (Intersecting s01id)を 用 いて個人領 域 の 交差 を表現す る。 この立 体 は 、各歩行者 の個人 の歩 行領域 の重 な りを示 し、これ を群 集内 における歩行者 間 の「交錯」と定義す る。 ここでは、ワイヤ ー フ レー ム (線 画 )の 部分が歩行領域 円柱、ソ リッ ド (立 体 ) の部分 が 交差立体 である。 (図 4.3-1)

Ci j=Vi∩ Ⅵ ただ し、

Ci j:歩 行者 I,J間 の 交差 立体

Vi:歩 行者 Iの 歩行 領域 円柱 Ⅵ :歩 行者 Jの 歩行 領域 円柱 本論 では、この立体が歩行 領域 の重な り、す なわ ち交錯 を表す ことに着 目 し、 交錯 の度合 い を示す指標 を算定す る。 Vi:歩 行者 Iの 歩行領域円柱

TI:交 錯指 標 Ⅵ :歩 行者 Jの 歩行領域円柱 ■・ …Ⅲ_.:、 ・

図 4.3-1:歩 行者間 の接 近 の定量化

113


4.3.3.3 交錯 指 標 の算 定 「交錯指標」 本論 では、交差立体 を用 いて歩行者間の交錯状態 を定量化する。 として歩行領域 の重 な りを表す立体 の高 さで表 される「交錯時間」を累計 した 「交錯指標」は、空間内 における交錯程度 の算定 に用 い、 値 を用 いる。 「交錯時 間」 は個別 の交錯 の程度 を示す もの とす る。 歩行者 の個人領域 の重な りは歩行者同士 の接近 を意味 し、心理的な負荷が生 じる。歩行者間の心理的負荷 は必ず しも距離 と線形な関係 を持 っているとは限 らない。む しろ、あ る距離 か らある距離 までの 間 においては一定 の心理状態 を とる階段状 の領域 をもつ と考 えられる。そ こで本研究では、歩行領域が重な っ てい る状態 を歩行者間の「交錯」状態 とし、 「交錯」状態が継続 してい る時間 を 「交錯時間」 とした。 「交錯」 は、歩行者間の距離が 一定値 よ り小 さくなる状 態 であ り、この状態 で歩行者 は何 らかの物理的な負荷 を受 けると考 えられる。本 「交錯指標」によって歩行者間の相互作用 による物理的な負荷 を表現 研究 では、 す るもの とす る。 また、歩行者間の交錯 はその動線 の交差す る角度 によつて歩行 の負担量が異 なると考 えられる。そ こで、本研究では歩行者間の移動方向の なす角 によって 交錯 の種類 を分類 し、指標化 を行 う。 交錯 :歩 行領域が重 なる状態 交錯時間 :交 差立体 の高 さより算定。個 人間の交錯 の程度 を示す。 交錯指標 :交 錯 の種類別 の交錯時間の累計。空間内の交錯 の程度 を示す。

114


4.3.3.4 歩 行 者 間の 歩 行 交 差 角 に よ る人 間 の 交 錯 の分 類 歩行者 の 歩行領域 の「接触時 間」 は そ の 定義 よ り歩行者間の「交錯」がお き てい る状 態 の継続時 間 を表現 して い る もので あ り、歩行 者 同士 の進行 方 向 に よって 、異 なる意味 を持 つ と考 えられ る。そ こで 、歩行者 間の移動方向 の なす 角 を前節 で定義 した歩行 の「基準線」 を用 い て以 下の よ うに定義す る。 ・ 歩行者 の交差角 の定義 歩行 の「基 準線」:各 歩行者 の歩行軌跡 の 解析始点 と解析終点 を結 んだ直線 の ベ ク トル直線 。 「基準線 」方向 :画 面 に対 して右手 を X軸 の正 の方向、奥手 をY軸 の正 の方向 とと した設 定軸 の X軸 の方向 を o度 の 方向 とし、そ こか ら反時計 回 りに 360度 まで とす る。 歩行 の「 交差角」:二 歩行者 の 「基準線」 方向角 の なす 角。 θ =θ l ― θ l

ただ し θ:歩 行交差 角 (二 歩行者 の移動方向角 の なす角) θF歩 行者 iの 移動方向角 θ∫歩行 者 jの 移動方向角

図 4.3- 2:歩 行者 の 交差角 の 定義

115


4.3.4 歩 行 交 差 角 と交 錯 時 間 4.3.4.1 歩 行 者 映像 撮 影 の た め の 実 測 調 査 歩行者 同士 の交錯が起 こる際 の群 集密度 の基準 を定義す るために、以 下 の調 査 デー タを用 いて交差角度 と交錯時 間 を算定 した。解析対 象地選定 にあたって は、以下 の点 を考慮 した。 1.交 錯流 が 継続 して起 きて い ること。 2.歩 行者 同士 の相互作用 以 外 に障害物 な どの 歩行 に影響 を与 える要因が 少 な

い と考 え られ るこ と。 以上 の 点 を考慮 し、 JR渋 谷駅 中央 ロ ラ ッチ外 を解析対 象 として選定 した。 また、調査対象時間 は、交錯 が 適度 に起 こ りまた列車の到着 とと もに様 々 な密 度状態 が 見 られる時間帯 を選択 した。 ・解析対 象 デー タ 対象場所 :」 R渋 谷駅中央 ロ ラ ッチ外 調査 日時 :1996年 9月 4日 (水 ) 対象時 間 :7:50:00-7:52:10(130秒

260フ レーム

)

対象時 間内歩行者交錯回数 :473回 解析対 象範囲 :5m*5m 。交錯指標 の算定 調査対象地点 の 映像か ら、歩行者 の位置座標 デ ー タの抽 出 を行 つた。ここで は簡単 にデ ー タ抽 出か ら交錯指標算定 の 流れを示す。 1.コ ンピュー タ内 に群 集流動 の 画像 の取 り込み

VTRを コン ピュー タに接 続 し、画像 をデジ タル動画 デー タとして0.5秒 ごと に取 り込 んだ。 2.歩 行軌跡抽出 システム を用 い て 半自動的 にデ ー タの抽 出

取 りこん だ動画 デ ー タをもとに、独 自の座標抽 出 システムによ り歩行 者 の頭 の位置 をク リックす ることに よ り半 自動 的 に歩行 者の位 置座標 をデ ー タとして コンピュー タ内に記録 した。 3.デ ー タを座 標変換 独 自に開発 した座標 変換 プ ロ グラム を用 い て歩行者 の位置座標 を画面上 の座 標 か ら直交座標 に変換 した。 また、画像 を表示 させ るための アプ リケ ー シ ョン ソフ トウエ アで用 い るため にデ ー タ形式 を変換 した。 4.立 体 の 継続時 間お よび交差す る 歩行者 の イ ンデ ックスの算定 3.の 座標 デ ー タか ら交差立体可視化 モ デ ル を用 いて歩行者 の歩行領域 を算出

し、歩行者 間 の歩行領域 の交差す る部分 をブー リア ン演算 (三 次元立体 同士 の 116


加 減 を算定 す る演 算 方 法 )に よって 算定 を行 う。 注 )こ の手 法 は ソフ トウエ アの 問題 か らか な りの部分 を手作 業 で 行 わなけれ ば な らな い。大 変作 業 が煩 雑 になるため、 そ の 代 わ りの 手法 と して プロ グラ ミング言語 JAVAを 用 い て専用 の アプ リケー シ ョンソフ トを開発 し、演算作 業 をに用 い た。

5.デ ー タの解析 この様 に して算定 され るデ ー タは、交差歩行者 1の イ ンデ ックス、交差歩行 者 2の イ ンデ ックス、交差時間、交差角度 の時系列 デ ー タで ある。 これ らを用 い て 交差角度 ―交差時 間 グラフと して表示す る。

l17


4.3.4.2 交 差角 と交錯 時 間の分布特 性 交錯流動 は交錯 は、お互 いの流 れの間 を歩行速度 を落 とさずす り抜 けるす り 抜け状態 か ら流れが停滞す る滞留状態 まで い くつかの段階が見 られる。ここで はまず、交錯 の程度が軽 い、歩行者が停止せず歩行行為 を行 い なが ら交錯す る 状態 について取 り上げる。図4.3- 3は 、常時交錯流の状態がお きている渋谷駅中 央回の朝 ラッシュ時 のデー タをもとに歩行者間の「交錯」がお きた地点 におけ る歩行交差角 の分布 を示 した ものである。解析時間は60秒 間 120コ マで 、平均 群集密度は 0。 748人 /m2、 平均歩行速度 は 1.2m/sで あ り比較的高密度であ り なが ら、お互 いの間をす り抜けて流れている。横軸が歩行交差角、縦軸が 各歩 行者間 に交錯 がおきて い る状態 の継続時間で ある。グラフ左側 の交差角度力Ⅵヽ さい部分では値 が大 き く、それ以外 の部分 では一定値以下になっている様子が 読 み とれる。 また、図 4.3-4は 、歩行交差角毎 の度数分布 を調べ た もので ある。 横軸 は歩行交差角、縦軸 は頻度 である。これ らの図 よ り交差角度 θが小 さい場 合、すなわち同一方向 に進む場合 の交錯時間が高 く、頻度 も高 くなっているこ 12

10

8 轟

顧6 4

2

0 交差 角度

図 :4.3- 3歩 行交差 角 と交錯時間

::::::::::: 図 4.3- 4:歩 行交差角毎 の度数分布 118


とが 分 かる。 また、 θ力'大 きい部分 に関 しては、交差時 間の値 は他 と同 じよ う に低 い部分 で 分布 して い るが、度数分布 は高 くな っている。これ らの ことか ら 交錯時 間 は、同一 方向 に進 む場 合 につ い ては他 の場合 と比較 して 大 きくなる傾 向が見 られる。 この様 に歩 行 の 交錯指標 を算定す る場合 、交差角 に よって、交 差角度が小 さい部分、交差 角 が大 きい部分、そ れ以 外 の交差角 の 部分 に分 ける のが妥 当 で ある と考 え られ る。

4.3.4.3 交 錯 角 度 の 意 味 よ る接 近 の分 類 前節 で は、歩行者 の交差 角度 によって 、歩行者 の 歩行領域 の接 触 を表す指標 の値 が異 なる こ とを述べ た。ここでは 、歩行者 の交錯角度 による指標 の分類 と、 その意味 につ い て述べ る。 図4.3-5は 、交差角度 10度 ごとに平均値 と標準偏差 を算定 した もので ある。こ の グラフよ り、先 ほ どの交差 角力Ⅵヽさい部分 での交錯指標値が高 い結果 が現 れ て い ることが わかる。そ こで 、隣 り合 う交錯角度 の 区分毎 の平均値 の差 の検定 を行 つた。そ の結果 、20° ~ 30°

と30° ~40° の 間 に有意差 があ る ことが 明 ら

か になった。そ こで 、 この結果 よ り、30度 を境値 と して指標 の分類 を行 う。 ここで 、交差角度 の意味 の 定義 よ り、歩行者が歩行す る際 に交差 す る角度 が 小 さ く、接近 して い る時間が 長 い とい うことは、す なわ ち、同一 方 向 に人が平 行 な状 態 で歩 い てい るこ とを示 して い る。そ こで 、この接近指標 を並 行接近 と す る。交差角 は、0° ≦ θ≦ 30° であ る。この状態 は、同一 方向 に進 む人の「流 れ」 を表 して い る。 また この ことか ら、 この角度 で逆 向 きに歩行す る場合 は対 向 の歩行 を表 す。そ こで 、対 向者 か ら見 て 30度 の範 囲 で ある交差 角 が 150° ≦

2.5

E 2

一 平均 - 挙…標準偏差

歯 嘔 侶 1.5

1

0.5

0 〇 ¨ Φ

O 剌 工 一

0 い

o す

0 崎

O ∞

O 卜

O N

0 め

O め

O O

O ∞ , O ト

0 0 i O ∞

o o r o o

角 度

〇 r ¨ O O 中

O ” r O F 一

〇 一 ¨ , O N r

O や け i O “ 一

〇 い ” 0 寸 ¨

0 0 中 八 崎 一

図 4.3- 5:交 差角 と交錯時間の平均 、標準偏差 H9

〇 卜 ” o O 一 ¨

O ∞ ¨ 0 卜 一


θ≦ 180° の範囲 を対 向接近 とす る。また 、残 りの部分 は他 の歩行者 との直角方 向 の接近 を表す ので、交差 角 30° <θ <150° の範 囲 を直交接近 と定義す る。こ の結果 か ら同一方向 に進 む人 の 角度 は30° 以内に入る と考 え られ、方向多様度 算定 の際 の 角度分割 の幅 を30° としたこ とについ て もその正 当性 が確 かめ られ た。

4.3.4.4交 差 指標 の 分 類 以上の結 果 か ら、歩行 者 の接近 は歩行 交差角 によって大 き く3つ に分類す る こ とがで きる ことが明 らか になった。境 となる交差 角度 は 、30度 と 150度 で あ る。そ こで これ らの接近状態 に対 してそ の 移動方向角 の なす 角 によって交錯指 標 を分類す る。 並行交錯 :0≦ θ≦ 30 並行 に歩行す る歩行者 間 の接 近 を表す 。 直交交錯 :30<θ <150 ある歩行 者 に対 し、相手 を斜 め 方向 に見なが らの接近 を示す。 対 向交錯 :150≦ θ≦ 180 お互 い 向か い合 って 、反対方向 に進 み なが らの接近 を示す。 これ らの 条件 で 交差す る立 体 は 、それぞれ、並行 、直交、対 向の際 の歩行者 間 の歩行領域 の交差 を示す。そ こで 、各解析対象空 間 におけるこれ らの交差立 体 の生成時 間 (立 体 の Z軸 方向 の高 さ)を それぞれ合計 し、交錯指標 として算 定 した。 また、それぞれの指標値 を 平行 交錯指標 、直交交錯指標、対 向交錯指 標 とした。

4.3.4.5各 指 標 の指 標 値 上記 の よ うに設定 した指標 に関 して先の例 につい て、並行交 錯、直 交交錯、対 向交錯 の値 を算定 し、それぞれの平均値 、標準偏差 を求 めた ものが以 下 の値 で あ る。 ・平均値 並行交錯 :2.79 直交交錯 :1。 32 対向交錯 :1.05 。標準偏 差 並行交錯 :2.02 直交交錯 :0.73 対向交錯 :0.57 この値 か らも、並行交錯 につ い ては他 の 部分 の値 か ら突出 してお り状態が異 なる事 が 分 か る。

120


● X 0 い 3 い

寸 嗜 ∞ 吟 . 0

倒 い O N . 寸 一

∞ 一

0 一

ヽ 一

゛ 卜

卜 一 . C N

“ 一

に 嗜 寸 . O

∞ ¨ 嗜 一 N . 一

N 一

¨ 0 ∞ 0 0 . 〇

ト ト 〇 ∞ . ∞ 寸

〇 凶

一 ∝

∝ 嗜

6 一

∞ N 一 . 一

一 一

い ∝ ヾ 凶 0 . 〇

C 6 や 0 . い

N N

¨ N

一 ∞ N

嗜 ゛

崎 ¨ い 0 一 .

N 一

ヽ 一 い ∞ . い 一

嗜 N

O N

N 卜 崎

い ヽ

一 ¨ つ . 〇

N 一 N

一 一

倒 や O O 嗜 . C

0 0 寸 0 . 崎 N

一 一

N N

つ O

一 つ 一 〇 ヾ . 一

ヾ 一

い “ 倒 い 0 . 〇

ヾ 卜 に 卜 . ∞ “

卜 ヽ

∞ N

い 0 ∝

N O

“ “ ゛ 〇 “ . 一

一 一

一 C C N 卜 . 〇

∞ 〇 ゛ い 。 6

一 ¨

0 〇 一

C ヾ

O O い 〇

い 〇

ひ 一

〇 ヽ

] N 一

い 一 つ ヾ 〇 . ¨

0 0

O C 一 ユ 崎 一 ” O L ユ 〓 二 〓 ニ ユ 一 ● M ユ N 一 N

肛 歯 拙 悩 却 収 搬 枢 に ヽ ¨ N o . 寸 憮

八 〓 一 〓 一 〓 〓 〓 二 〓 い 〓 す 0 え

X 八 〓

. 一

゛ ∞ 0 . C

O C 一

C 一

0

¨

06 -O

倒 . ゛ ¨

卜 ● 倒 C 寸 ∝ N ” “ 卜 . C

0 . 〇

一 一

い ∞ 嗜 ¨ 寸 . C

い 一

卜 ゛

嗜 い 〓

一 . ∞

卜 ∞ 〇 い 0

い ¨ 一

嗜 N

C C

∞ ト

∞ N ヽ 卜 . C

0 “ ● ゛ . N い

O N

い ∝

O 卜 一

“ 一

嗜 “

一 い 一

倒 “

∞ 寸 一

〇 一

O N

嗜 ∞

0 い ユ メ

い 0 卜 〇 “ . 一

メ Y O L

嗜 卜 ∞ ¨ ∞ .

卜 一

O O い C C .

0 い 0 . 寸

O L 二 ヾ

∝ ヾ .

寸 一

一 一 一 0 い 。

ヾ ヾ ヾ ∞ . 寸 ∞

い ヽ

● ゛ ヾ

0 “ ] ヾ か . 〇

崎 い 〇 ∞ . ∞ ∞

∝ N

崎 一 〇 N N。

い 一 嗜 一 C .

4 ∞ ∞ . 0 0 N

い で

一 崎

卜 ∞ 倒

い 一

C ゛ 一 い 0 . a

ヾ 嗜 卜 . 卜 に や

O ∝

¨

一 ∞

∞ 一 〇 一

ヾ “

崎 . 嗜 ゛

“ ∞ ゛ 卜 に . N

¨ 一 0 . 一 0

〇 〇 一

一 〇 一

卜 ¨ 卜 N

凶 ∝

〓 1 ● M [ 0 ● 八

゛ . 一

ヾ 0 い N。 ∞ 卜 ¨ ‘ . ¨

一 一

い 0 ¨ い 卜 . N

C い C N C いて

兼 軍 熙測 R 覇 半騨 翠寧 ヽ R要 E恒 ≪ 響軽 園そ< 記 手祗 余輝 咲 0ト Rト

121


4.3.4.6 滞 留 時 の 交 錯 指 標 と交 差 角 の 関係 ここで は、滞留時 にお ける歩行者 の交錯時 間の長 さについ て考察 す る。滞留 につい て 、中 は「一つ の流 れのある断面 にお いて 、そ こへ の上流か らの流入人 「 として い る。 また、 数が、そ こか ら下流 へ の流出人数 を上回 つている状態」文

Fminの サ ー ビス水準 にお け る Fラ ンクは 、 この滞留状態 にあたる と考 え られ、 「全ての 歩行 者 の歩行速度 は極度 に+1限 を受 け、前進 はず り足 しかで きな くな る。歩行者相互 の接触 は頻繁 に起 こ り、 さけ られ ない。」 としてい る。文4) 歩行者 の交錯 を平行交錯 、直交交錯、対 向交錯 と分類 した場合、平行交錯 に ついては 、値 が大 き くなる傾 向が 見 られた。これは、同一方向 に進 む ことか ら、 歩行領域 の 交差 してい る状態が継続 して続 くことが お こ り得 るためで ある。こ れに対 し、非滞留状態 で は直交、対 向交錯 にお いては、歩行速度が 一定 で あ る と仮定す る と接近、交差 、通過 の 一連 の動作 に よ り歩行速度が 一定 の場合 には 、 すれ違 う時 間 は一定時 間以下 になる。これは、前節図 4.3-3を 見て も明 らかであ る。 これ に対 し群 集密度 の増加 に よ り、歩行 者 の移動がず り足状態 にな り、移 動速度 が低 く停止状態 に近 づ い た場 合 には 、交錯 の状態が保たれ るため 、直交 交錯、対 向交錯等 にお いて も歩行領域 の交錯時 間 は長 くなる傾 向が ある。図4.36、

4.3-7は 、立川駅内空 間の朝 ラ ッシュ時 における同地点 の 7:40と 7:50の 二

時点 を示 した もので あ る。群集密度 は、7:40は 1.062人 /m2、

7:50は 748 0。

人 /m2で ぁ り、歩行速度 は 7:40は 0.63m/s、 7:50は 1.20m/s、 方向多様 度 は 7:40は 0.859、 7:50は 0.687で ある。7:40は 、電車が到着 した事 に よる 歩行者 の 強 い密集状態 を表 してお り滞留状態が起 こってい る。映 像 か ら 7:40 では、非常 に高密度状態 のため移動速度が減少 し、他 の 歩行者 との接触 した状 態 に長 い時 間 おかれて い る様子 が 分 かる。この結果 が グラフに表 れて い る と考 え られ る。7:50も 、群集密度 は比 較的高 いが 、流 れは保 たれて い る。歩行者 間 の接触 は、す れ違 う際 に起 こるのみで あるので 、交錯時間 は 2秒 以下 に収束 し て い る。 この ように交錯 は歩行領域 の重 な りが起 こることで あ り、交錯がお きて い る あい だ歩行者 は物理的 な負担 を受 ける こ とになる。歩行速度 の低下 に よる交錯 の増加 も、本手法で の 交錯時 間 を用 い て 表現 す る こ とがで きる事 が明 らか に な った。 また、通常 の歩行速度 で通過 しなが ら交錯 を起 こす場合、交錯 の継続 時間 はおお むね 2秒 以 下である ことが 明 らか になった。

つつ 一″


10

9 8 7 6 5

4 3

2 1

0

20

40

60

80

100

120

140

160

図 4.3- 6 立 川 7:40Ю O交 差 角 -交差時間分布図 (滞 留状態 ) 10 9 8 7 6 5

4 3

2 1

0

20

40

60

80

100

120

140

160

図 4.3- 7 立川 7:50Ю O交 差角 -交差時間分布図 (流 動状態 )

表 4.3- 3 数値デー タ

123


4.3.4.7 交 錯 指 標 と群 集 密 度 の 関係 交錯 は、歩行者 各人 の 歩行領域 の侵害 で あるので 、一 人 当 た りの面積が小 さ くな る と、自ず と交錯指標 が大 きくなる ことが 考 えれ らる。歩行者空間にお い て も、群集密度 の増加 に ともない歩行 者 の交錯 の度合 いが 増加す ることが考 え られる。 また、歩行者 の流動 方向が 異な ることに よって交錯指標値 も変 わるこ とが考 え られ る。ここで は 、並行、直交、対向交錯 を含 む流動 で ある交 錯流 (方 向多様度 0.5以 上 )の 流れ を取 り上げ、群集密度 と並行 、対 向、直交 の 3つ の交 錯指標 の関係 につい て述べ る。 図 4.3-8,9,10は 、群集密度 と交錯指標 の分布 を示 した もので ある。横軸 が群 集 密度 、縦軸が交錯指標 で あ る。 ○並行交錯指標 群集密度 との相関が高 い 。群 集密度 の増加 によって 、歩行者 の間隔 が小 さ く なる こと文4)に も適合 して い る。また、群集密度 がある値 以下では、指標値 が 0 になるとい う結論 が得 られ る。 これは 、群集密度 が低 い場合 には、歩行者 は間 隔 をと り各 自の歩行領域 を確 保す るためである と考 え られる。図中の直線 は一 次 回帰直線 で あ り、重相関係 数 は0.758で ある。この 回帰 直線 に従 えば、0.23人 /

m2以 下 で は、並行交錯 は起 こ らない。 (図 4.3-8) ○直交交錯指標 群集密度 との相関が比較 的高 い。この場 合 も、群 集密度があ る値 以下で交錯 指標 が 0に なる ことを示 して い る。 これは 、 一定密度 以 下で は、歩行者 同士が 間隔 をとってす り抜 け るこ とによ り、交錯がお こ らない状態 を示 して い る。重 相 関係数 は 0,749で ある。 この 回帰 直線 に従えば 、0.24人 /mユ 以下では、並行 交錯 は起 こ らない。 (図 4.3-9) ○対向交錯指標 群集密度 との相 関 は低 い 。 これは、 一 方向流、対 向流 な ど流動 の種類 によっ て、群集密度 に関係 な く対 向交錯 が 起 こる場 合が 少 な くなる事が考 え られ る。 (図 4.3-10)

これ らの結果 か ら、交錯流 にお いては 0.24人 /m2以 下 で は並行交錯、直交交 錯 が起 こらない状態 であ り、交錯か ら見 た群 集流動 の レベ ル と しては、この状 態 を目標 に設計す ることが 望 まれる。

124


y= -26.582+ 117.07r R^2=0.758

嘔ロ ζ口 鼈

00

0 2

04

06

0 8

1 0

1 2

mitu● do

図 4.3- 8 群集密度 -並行交錯指標 y= -29347● 120 27x RA2=0_749

0 0

02

04

06

08

1 0

1 2

¨

図 4.3-9 群集密度 -直交交錯指標 y= -a0319■ 18 756x RA2=0466

00

02

04

06

08

1 0

1_2

nitu8d●

図 4.3-10 群集密度 -対向交錯指標 125


4.3.4.8 実空 間 にお ける方 向 多様度 、交錯 量 の関係 前節 では、空間における人間の交錯 を定量的 に示す方法 について 」R渋 谷駅 のデー タを用 いて手法 の妥当性 を示 した。ここでは、実際の駅空間の例 として 」R立 川駅 を取 り上げ、歩行者状態 の把握 を行 う。 駅空間においては、歩行者の移動空間は、大 きく二種類 に分類 される。二点 間 を結 ぶ通路空間 と多数の利用者 の動線分離 。方向変換 を行 うための広場空間 である。本研究 では、歩行者空間の形態 と交錯指標 の関係 を時間 にともなって 調査す るため に、以下の解析対象 について比較 を行 った。解析対象 は、同時刻 に同 じ駅構内 に隣接 してVTRカ メラを設置 し撮影 した映像 をもとにデー タを算 定 した。 ・解析対象地点

JR立 川駅 (広 場型

)

」R立 川駅 (通 路型 )

7:20-8 :20

(10分 置 き 7時 点

)

13 :00-14:00

(10分 置 き 7時 点

)

7:20-8 :20

(10分 置 き 7時 点

)

13 :00-14:00

(10分 置 き 7時 点

)

・解析対象時間 各地点 とも、lo分 お きに 10秒 間ず つ 解析 した。解析単位時 間 は、0.5秒 で 20 フ レーム につ い て解析 を行 った。

解析対象 と して選択 す る条件 と して以 下の点 を考慮 した。 1.時 間的 な変化 が見 られやす い

2.条 件 が 類似 (同 時刻 、隣接地点

)

空間形態 の異 なる駅構 内空間 を選択 し、解析 を行 った。調査対象地 は、 」R 立 川駅 コ ンコー ス にカメラを設置 し、VTR撮 影 を行 った。朝 の ラ ッシユ時 と、 昼 の 閑散時 の変化 お よび 、時間経過 による変化 を見るため、朝 7:00~ 9:00 昼 13:00~ 15:00の 時間帯 にお いて 、解析 を行 つた。各時間帯 について 10分 毎 にO.5秒 刻 みで 10秒 間 (20コ マ )ず つ にデー タを抽出 し、各指標 の算定 を行 っ た。 。時 間帯変化 に ともな う各指標 の 変化 人間 の歩行状態 を示す群集密度 と方向多様度 を場所、時間帯 別 に表示 した も のが 図 4.3-Hで あ る。左 か ら広場 型 ・朝、広場型 ・昼、通路型 ・朝、通路型 ・ 昼 にお ける値 を示す。棒 グラフが方 向多様度、折 れ線 グラフが群 集密度 を示す。 126


。多様度 と群 集密度 の時 間変化 各時刻毎 の群集密度 と方向多様度 を示 した ものが図4.3-6で ある。時 間変化 に ともない群集密度 は、変化 して い る。 これは、駅空間 にお いて列車 の到着 に よ る人 間 の発生 による もので あ る。方向多様度 と群集密度 との相関 を算定 してみ る と相 関係数 は0.51と それ ほ ど相関が高 くな く、む しろ場 所 によって影響 を受 けて い る ことが分 か る。 場所毎 の平均 を求 め る と、 立川朝 (広 場型 )0.64 立川昼 (広 場 型 )0.58 立川朝 (通 路型 )0.47 立川昼 (通 路 型 )0.49 とな り、二 つ の 空 間 にの 方向多様度 の 平均 には有意差 が 見 られた。この事 か ら方向多様度 は、空 間構成 に関連がある と考 え られ る。 ここでの算定 は、特定 の駅構 内 の特定 の場所 に限 られたため 、この結果 が全 て を示す と言 うことは 出 来 ないが 妥 当な結果 である と考 え られる。 ・交錯指標 と行動 の関係 交錯指標 はの一 つ で あ る総交錯時間 は、各空間での歩行者 の歩行領域 の重 な りが起 きて い る時 間 (交 差立体可視化 モ デ ルの高 さで 表現 される)を 場所毎 に 累計 した もので ある。各時刻 の 交錯指標 を算定 し、表示 した ものが 図 4.3-12で あ る。左 か ら広場型 ・朝 、広場型 ・昼、通路型 ・朝 、通路型 ・昼 における値 を 示す。この 図 で突出 して い る値 は、こ川広場 。朝 7:40の 値 である。図 4.3-Hに よる と、この部分 は非常 に高 い密度 を示 してお り撮 影 した映像か らもほ とん ど の人が刷 り足状態 で 、非常 に歩行環境 が悪 くな っている状態 で あ った。また、こ の様 な状況では一度 に複数 の歩行者 との 交錯 がお こ り、数値が級数的 に高 くな る様子 が見 られた。 上記 で示 した状 態 は、最 も混雑 した状態であ り特殊 な状 態 で あ る と考 えられ る。 この状態 では、交錯指標 は 500を 示す。駅空間以外 の 日常空間で この様 な 状態が起 こる例 は限 られて い ると思 われ る。 次 に交錯指標 が 高 いの は 、広場型 ・朝 7:50、 通路型・朝 7:40、 8:00、 通路 型 。昼 13:20で ある。 これ らの状 態 は いずれ も混雑状態 であるが 、滞留 によつ て歩行者 の速度が落 ちるほ どではない。状況 を見 ると滞留 が起 こ らない程度 の 混雑 はの指標 は 140~ 150程 度 である と考 え られ る。 この様 に、交錯指標 を用 い て定量的 に歩 行者間の交錯 を示す ことが可 能 で あ ることを示 した。 また、各指標 の数値 の程度 に関 しては、群集密度 における歩 行者状態 の調査 の蓄積 に よってその 関係 が明 らか に され たの と同様 に、さらに 体系的 な調査 を行 い状態 との 対応付 け を行 うこ とが必 要 で ある。 127


0.8

● E ヽ く

侵 華 ヽ C 楡 編 籠

撻 腱 轟 結

2 ・ ■

広場型 (朝 )広 場型 (昼

三 2 一 時 )

通路型 (朝 )通 路型 (昼 )

図 :4.3- 11」 R立 川駅群集密度 0多 様度

口対向 口 E交

腱並列

融 蝉1

広場型 (朝 )広 場型 (昼 )

通路型 (朝 )通 路型 (昼 )

図 :4.3- 12」 R立 川駅交錯指標

128

■■ 多様度 ―

密度


表 4.3-4:立 川 駅解 析 デ ー タ 鮮 玄∥

多緒 慮

密慮

基行ヽ 東南

立川 広場 。朝 方 向多様度平均

7.20.00 0.598 0.324 1.3794 7.30.00 0.502 0.428 1.4084 0.643571429 7.40.00 0.859 1.62568 0.6033 7.50.00 0.687 1.016 1.2013 8.00.00 0.599 0.58216 1.2413 8.10.00 0.764 0.576 1.1987 8.20.00 0.496 0.464 1.3366 1.00.00 0.664 0.16 1.0799 立川広場 。昼 1.10.00 0.601 0.08 0.8793 方 向多様度平均 0.585142857 1.20.00 0.582 0,38 1.0156 1.30,00 0.59 0.14 0.9189 1.40.00 0.442 0.044 0.8831 1.50,00 0.682 0.252 1.2255 2.00.00 0.535 0.068 0,9629 2.10.00 0.4885 0.056 0.923 7.20.00 0.472 0.992 1.2603 立 川通 路・ 朝 7.30.00 0.213 0.21712 1.4616 方 向多様度平均 0.474285714 7.40.00 0.637 1.104 1.3079 7.50.00 0.528 0.66912 1.3602 8.00.00 0.464 0.98664 1.417 8.10.00 0.657 0.528 1.3497 8.20.00 0.349 0.164 1.3382 1.00.00 0.536 0.04 0.2697 立川通路・ 昼 1.10.00 0.438 0.204 1.2721 方 向多様度平均 0.490714286 1.20.00 0.645 1.184 1.0745 1.30.00 0.442 0.096 0 1.40.00 0.407 0.056 1.4172 1.50.00 0.424 0.14 0.9922 2.00.00 0.543 0.16 1.1312

129

並列

直交

対向

合計

1 26 0 27 40 55 0 95 3303 4002 1211 8516 801 521 138 1460 132 140 16 288 152 129 32 313 0 62 12 74 7007 0 0 10 10 68 65 0 133 81 0 0 81 0000 10 14 0 24 0000 0000 578 389 1 968 0 0 0 0 778 410 223 1411 411 229 14 654 323 1108 41 1472 222 566 64 852 0 10 13 23 0 75 0 75 969 246 185 1400 51 10

0 0

0 0

51 10


。モ デルの 形態 か ら見 た各時 間帯 ごとの特徴 以下の図は、」R立 川駅 にお い て調査 を行 った映像 をもとに空 間― 時間系歩行 軌跡 モデル を用 いて歩行 者 の状態 を表現 した もので あ る。調査地点 は、前節 で あげた通路型 と広場型 の二 地点 、時 間帯 は 、朝 の ラ ッシュアワー と昼 の時間の 二 時点 である。時間 は、10分 間隔 で 各々 0.5秒 間隔 で 10秒 間 20フ レームず つモ デ ル を作成 した。 ・時 間帯 に よる考察 ○朝時間帯 平 日朝 の ラ ッシェア ワー時 にお い ては、広場型、通路型 とも歩行者数が 多 い ため 、歩行軌跡 の数 が 多 くな っている。歩行速度 は高 い。鉄道駅 とい う性 質 か ら、時 間 による人数 の粗密 の波 が大 きい。 また通路 型 にお いて は、待 ち合わせ のため に集団 で立 ち止 まる学 生が見 られ 、モデル中では、立 ち上が る軌跡 と し て表 れてい る。(通 路型 7:35、 7:45)こ の時間帯 では 、ほ とん どの人が 移動主 目的 で ある と考 え られ 、最短距離 をまっす ぐに歩行す る直進歩行 を して い る様 子 が 読 み とれ る。ただ し、混雑時 にお い ては、他 の歩行 者 を避 けるため に方向 を変 えた り、速度 を落 と した りす る現象 が見 られるため、歩行軌跡 はジグザ グ の線分 となって表 れる。 ○昼時間帯 昼 におい ては 、歩行者 数が 少 な くまた 、それ ほ ど急 いでい る様子 も見 られ な い こ とか ら、移 動 主 目的 の 度合 いが 低 い と考 え られる。その結果 として 、全体 的 に歩行速度 が低 い。一 人の歩行者 が 利用 で きる自由 な空 間が 多 い ため 、立 ち 止 まった り、思 い直 して 方向 を変更 す る人などが 見 られ る。(広 場 型 13:20)全 体 的 に群集密度 は低 いが 、電 車 の到着 と同時 に一斉 に降卓客 が流 入す る場面 が 見 られた。 (通 路 型 13:20) 以上 の よ うに時間帯 に よる比較 では 、朝時間帯 は歩行速度が速 く、直進歩行 で 、同 一方向 に集団で移動 す る流 れが 見 られた。昼時間帯 では歩行速度 が遅 く、 たち止 ま りや、後戻 りな どの現 象 も見 られた。ただ し、駅空間 とい う性 質 もあ り、 多 くの 人は、直線歩行 をとって い た。 ・ 空 間 による比較 ○広場空間 広場 空間で は多方向 か らの歩行 者 の流 人によ り方向多様度が大 きくなってい る。 また、歩行者 の流入 は全ての 方向か らではな く、特定 の方向 か ら発生す る もので あ り、そ の方向か らの発生があ るか 否 かによって交錯 の 度合 いが増減す るこ とが 明 らか になった。例 えば、朝 の時 間帯 にお いて顕著 な流 れは、0度 方 向、80度 方向、 180度 方向、280度 方向 で ある。特 に広 場型の 7:40で は、これ 130


ら全ての方向か ら多量 の歩行者が流入 し、非常 に歩行環境が悪化 してい る様子 が分 かる。直交交錯指標 も400と 非常 に大 きな値 になってお り、交錯の状態が 大 きいことが うかがえ る。 ○通路空間 通路型 については、移動方向が 90度 、180度 方向 に集中 してお り、流入の発 生 によって、一方向流 と二方向流が入れ替 わってい る。方向多様度 も0.2~ 0.5 前後が 中心 で あ り、その様子 を数値 か らも読み とることがで きる。直交す る歩 行者が少ないこ とか ら、直交交錯指標 も小 さい値 を示 している ものが多い。通 路空間であ つて も他 の 人 を追い越すな どの行為が み られ、全ての人が直進行動 をとってい るわけではないことが 明 らかになった。

131


4.3.5 同 密 度 にお け る行 動 の 差 異 の 視 覚 化 と定 量 化 従来、歩行者 の流動 を評価す る方法 として 、群集密度 あ るいは流動係 数 が用 い られて きた。それ らの まとめ として例 えば、J.魚 linが 提 唱す るサ ー ビス水準 な どが あげ られ る。これ らの値 は大量 の調査 、観察か ら レベ ル を設定 してお り有 効 な指標 であ る。 しか しなが ら、 これ らの指標 には次 の ような条件 の歩行者流 動下 での指標 として扱 って お り全 ての群 集流動 を扱 ってい るわ けで は ない 。 条件 1:定 常 な流れ 歩行者 の流動 は一 定時 間内 では定常 で あ り、その状態 を表す歩行速度 、群集 密度、流動係 数等 にお いて は、代 表値 として平均値 を用 い る。 条件 2:均 一 に分散 歩行空 間内 にお い て歩行者 は偏 りな く分散 し、等 間隔 で歩行 す る。 条件 3:停 止者 は扱 わない 停止者 は、群集流動 とはわ けて扱 う。 条件 4:歩 行方向が 一 定 指標 を扱 い やす くす るため、一 方 向流 に関 して指標化 を行 う。 として とらえて い る。 これ に対 し本研究 で は、密度や流動係 数 が 同値 で あるにも関わ らず、状 態 が 異 なる歩行者流動 の実例 を示す こ とによ り、そ の問題点 につい て述べ る。本研 究 では、様 々 な場面で算定 した歩行者 の状態 を表す モ デ ル をもとに、そ の 中か ら歩行者群 集時間密度 が近似す る 2つ ず つ の場面 を選択 し比較す る。これ らは、 任意 の空間か ら取 り出 した任意の シー ンで あ り、特殊 な例 を比 較 して い ること になるが 、群 集密度 が 同等 で あ って も、歩行行動 に質 の違 いがある ことを示す 例 で あ る。

132


1 同密度空 間 にお ける歩 行 軌跡 モデル の違 い Casel。 (密 度 0.07人 /m2)歩 行者 と停止者 <速 度 > 4.3.5。

停止者がい る場合 には、その扱 いが問題 になる。人数 として算定す る場合 に は、その人が観測対象空間内 に長時間滞在す ることになるため 、平均時間密度 を求 めた場合 には高い値 がでる傾 向が見 られる。このように、群集密度 を平均 値 として用 い ることは、必ず しも歩行 の状態 を表現す るのに適合 してい ない場 合がある。

群集密度 :0.07人 /m2/s Case l

│17… 2 ムと′

群衆密度

0.07 [人 /m2]

多様度 歩行速度

0.424

平行交錯指標 直交交錯指標 対向交錯指標

立jl1 8-2 13.30.00

13.50.00

0.9922〔 m/s]

10

0 0

群衆密度

0.07

多様度 歩行速度

0.59

[人 /m2]

0.9189 [m/s]

平行交錯指標

81

直交交錯指標

0

対向交錯指標

0

Case2.(密 度 0.08人 /m2)立 ち寄 り <速 度 > 左 はキオス クな どに立 ち寄 る例 、右 は立 ち寄 りせ ず素通 りす る例 。立 ち寄 り をす る例 では、左 図の 中央 の歩行軌跡 が立体 的に折 れ 曲が ってい る様子 が分 か る。これ に対 して素通 りす る場合 には、傾 きが ほぼ一 定 で (歩 行 速度が 一定 )直 線 的 な歩行軌跡 となる。

群集 密 度 :0.08人 /m2/ Case 2

ユムll1 7-2

14.00.00

群衆密度

0.08

1人 /m2]

多様度 歩行速度

0.543

立 ll1 8-2 群衆密度 多様度 歩行速度

11312[m/s〕 0 直交交錯指標 0 対向交錯指標 0 平行交錯指標

平行交錯指標 直交交錯指標 対向交錯指標

133

13.00.00

0.08 0.664

人 ノm21 〔

1.0799

1m/S]

7 0 0


Case3。

(密 度 0。 18人 /m2)歩 行者移動方向数 の検討

<方 向 >

歩行者 の歩行方 向数が違 う例。左 は移動方向が分散 してお り、右 は移動方向 が集 中 して い る。左 は 4方 向流、右 は 1方 向流 にあた る。 この様 に、密度が 同 じであ って も、歩 行者 の 移動方向が異 なる場合 には、移動 に対す る歩行者 の心 理的、物理的負担 が異 なる。

群 集 密度 :0.18人 /m2/s

Case 3

渋 谷 中央 口 7.36.10 群衆密度

0.186

0644 多様度 歩行速度 1.105 平行交錯指標 105 直交交錯指標 対向交錯指標

Case4。

埼 京線

1

人ノm2] 〔

群衆密度

[m/s]

多様度 歩行速度

0178 [人 /m2] 0191 1642 〔m/s〕

平行交錯指標

239

直交交錯指標 対向交錯指標

1 0

72 0

(密 度 0。 27人 /m2)隊 列 (プ ラ トウー ン)歩 行

<密 度 >

歩行 グル ー プの例 、歩行 者 は固 まって流 れ を作 ることに よ り歩行 の負担 を軽 減す る傾 向が ある。この よ うに同一 方向 に固 まって歩行 す る状 態 を「隊列歩行」 とし、 モ デ ルでは 同一 方 向 の (同 色 の)歩 行軌跡 の東 で 表 される。

群 集密 度 :0。 27人 /m2 Case 4

セ ンター街 1.25.55

マ リオ ン 2.13.05 群衆密度

/m2〕 囃 0 6 5 7 ・ 臓 [m/S〕 平行交錯指標 価 直交交錯指標 7 5 対向交錯指標 5 [人

多様度 歩行速度

134

群衆密度

人 /m2] 〔

多様度 歩行速度

[m/S]

吻 岬 輌 平行交錯指標 5 直交交錯指標 7 対向交錯指標 2 0


Case5。

(密 度 0.38人 /m2)群 集流動 の秩序

<方 向 >

空 間構成 の違 い と流 動 の秩序 の 関係。この 2箇 所 は同 じ駅内のほぼ 同時刻 の 様子 で ある。左 は改札 口付近、 もう一 方 は長 い通路 の一部 で あ り、空間構成 の 違 い によ り歩行者 の流動が変化す る。

群集密度 :0.38人 /m2/s Case 5

群衆密度 多様度 歩行速度 平行交錯指標 直交交錯指標 対向交錯指標

Case6。

咄 剛 鵬 枷 価 4

人 /m2] 〔

群衆密度

0 3 8 ・ 0 歩行速度 椰 平行交錯指標 怖 直交交錯指標 対向交錯指標 0 0

[人

/m2]

多様度 [mノ S]

(密 度 0.42人 /m2)群 集流動 の絡 み合 い

[m/S]

<方 向 >

同 じ場所 での40秒 の 間隔 を もつ状態 で ある。左 と比較 して右 にお い て動線 が絡 み合 つてい る様子 が分 かる。駅空 間 にお い て は、 この様 に短時 間で流動 が 変化 した り、群集密度 が変化す る現象 が起 こる。

群 集 密度 :0.42人 /m2/s Case 6

渋谷 中央 口 7.50.50 群衆密度

渋谷 中央 口 7.50.10

人 /m2〕

0 4 2 〔 ・ ] 〔m/S〕 酬 平行交錯指標 8 直交交錯指標 9 。 8 対向交錯指標 3 9 9 多様度 歩行速度

135

群衆密度

0.42 [人 /m2]

多様度 歩行速度

0.667

平行交錯指標

240

直交交錯指標

507

対向交錯指標

54

11528 [m/s]


Case7.(密 度 0。 46人 /m2)す りぬ け

<密 度 >

同密度 であ りなが ら接触量が異 なる例

左 では、人 と人 との 間 を間隔 をとっ

て う ま くす り抜 けてい る様 子 が読 み とれ る。 この様 に、同密度 にお い て も、歩 行者 間 の交錯 が 異 なる こ とが 分 かる。

群集密度 :0.46人 /m2/ Case 7

マリオン 2.15.40

多様度 歩行速度

0453 [人 /m2] 0514 1058 [m/s〕

平行交錯指標

465

群衆密度

直交交錯指標 対向交錯指標

渋谷中央 口 7.50.20

0.462 [人 /m2〕 多様度 0.636 歩行速度 1∞ 72[m/si 平行交錯指標 597

群衆密度

0 57

直交交錯指標 対向交錯指標

887

79

Casc8.(密 度 0.50人 /m2)歩 行 目的 の 違 い による歩行速度 の差異

<速 度 >

同密度 あ りなが ら歩行速度 が極端 に異 なる例である。左 は通勤時 、右 は買物 時 の行動 で ある。歩行速 度 を表 して い る歩行軌跡 の傾 き (仰 角 )が 全体 的 に異 なる。また、左 にお いて歩行 軌跡 は直線 で あ るの に対 し、右ではジ グザ グに折

群集密度 :0.50人 /m2/s Case 8

立 り:17-1 群衆密度 多様度 歩行速度 平行交錯指標 直交交錯指標 対向交錯指標

0496 0472 12603

7.05.00 [人 /m21

群衆密度

[m/Sl

多様度 歩行速度

578 389

1

136

アメ横 2.35.00 0.498 [人 /m2]

0.534

0.726 [m/s]

平行交錯指標

975

直交交錯指標 対向交錯指標

467

45


Case9。

(密 度 0。 76人

/m2)す り足状態 <方 向 >

極 限状態 に近 い歩行状態 で ある。左 は、全方向か ら歩行者が集 中す る交錯状 態、右 は、同一 方向の流 れ を歩行者 が横断す る状態 である。 どち らも自分 の歩 行速度 が とれ ずす り足状態 となって い る。

群 集密度 :0.76人 /m2/s Case 9

ュと││18-1

ア メ横 2.19。 20

7.40.00

群衆密度

0812 [人 /m2]

群衆密度

多様度 歩行速度

0.859

多様度 歩行速度

] /m2] 0 2 0 5 ・ m [m/S] 平行交錯指標 3 0 5 直交交錯指標 2 3 9 対向交錯指標 8 2 0

0.6033[m/s]

平行交錯指標

3303

直交交錯指標 対向交錯指標

4∞ 2

12H

[人

以上 の よ うに、群集密度 のみ を用 い て群 集流動 を算定す る際 には、い くつ か の 問題点 が考 え られる。以 下 にそれ らについ て まとめ る。 ・ 群集密度 に よる群集流 動算定 の問題点 各事例 の右肩 に問題点 の種 類 を記述 した。

1.<方 向 >歩 行者 の移動 方 向 にたいす る考慮 が必要 で ある。

2.<密 度 >群 集密度 の算 定 のための面積 、人数 の算定方法 の条件設定 の必 要 が あ る。 また、群 集密度 は場 所 によってば らつ きが あるため、算定 された密 度 以上 の状態 になる場所 があ る。 また群 集流動 は、隊列化 によって歩行 の負担 を 減 らす傾 向があ り、歩行者 の移動負担 を定量化す る指標 が必 要 で ある。

3.<速 度 >歩 行速度 は、 一 定値 を示す とは限 らず、また、歩行軌跡 も直進 で ない場合があ るため、考慮 す る必要があ る。 本研 究 ではこの様 な観点 か ら、歩行者 の移動方向 を定量化す る指標 と歩行 者 「交錯 の移動 にかか る負担 の少 な さを表すサ ー ビス レベ ル をはかる指標 として、 指標」 を提案 し、それぞれ の 状態 での数値 を示す とともに新 たな指標化 づ くり を提案す る。 この指標 は、歩行者間の個 人領域 の重 な り合 い を示す もので あ り、移動 を 目 的 とす る群 集流動 に関 して は値 が低 いほ ど効率 が 良 く、人 の集 ま りを目的 とす るイベ ン ト、商業施設 な どにお い ては、あ る程度高 い場合 が望 ましい と考 え ら れ る。 137


4.3.5.2 交 錯 指 標 か ら見 た 考 察 ○低密度状態 低密度 にお い ては、歩行者 はお互 い に 自分 の領域 を保 とう とす るため 、各交 錯 はほ とん ど起 こ らない。 (Case.1、 2)

○多様度 の差 と交錯 あ る程度以上 の密度 の場合、多様度 によつて交錯指標 に違 いが 見 られ る。多 様度 が低 い場合 には、群 集流動 は同一 方向 に向 かってお り、直交交錯指標 は小 さ くな る。平行交錯指標 は 同程度 の値 を示 し、同一方向 の歩行者 間 の交錯 は 同 程度 で あ ることが分 か る。 (Case。 3、 5) ○群集流動 の絡 み合 い と交錯 群集流動 の方 向 の均 一 性 の 違 い に よって交錯指標 が異 なる。 同 一 方 向 に 向 か って流 れて い る場合 には、平行交錯指標 が 大 きく、流動が交差 して い る場合 には、直交交錯指標が大 き くな る。 (Case.6) ○す りぬ け と交錯 す りぬ けの方法 によって直交交錯指標 が異 なる。互 い に間隔 を とる秩序 だ っ たす りぬ けが起 こる場合 には、直交交錯指標 は小 さい。 (Case.7)

○高密度状態 高密度状態 にお いては、交錯状態 の まま滞留 す る現象 が起 こ るため交錯指標 は非常 に高 くな る傾 向が見 られ る。 また、様 々 な方向か ら流動 が流入 す る交錯 点 にお い ては、全 ての交錯指標 が 高 い値 を示す。 (Case。 9) この よ うに「交錯」 は、低密度状態 ではお互 いが 間隔 をとるため、起 こ りに くい 。 また、あ る程度以 上 の密度 の場合 には、歩行方向 の多様度 によって、交 錯 の度合 いが異 なる ことが 明 らか になった。 また、高密度状態 で は、交錯が起 きた状態 で滞留 が起 こるこ とによ り、交錯指標 が非常 に大 き くな ることが 明 ら か になった。 交錯 は 同密度 で あ って も、そ の歩行方向 の 多様度 によって度合 いが異 な り、 方向 による違 い を 3つ の交錯指標 によって示す ことが可 能 になった。

138


4.4 ま とめ 本 章 では、数量的な面 か ら歩行者 の状態 を把握す る手法 につ い て述べ た。3章 のモ デルで外観 的 に把握 した後の詳細 な検討 の際 に用 い られ る二 つ の指標 を示 し、そ の有効性 につい て述 べ た。一つ は、歩行者流動 の「流れ の方向」 の多様 性 を示す「方 向多様度」 で あ り、 これ は情報 エ ン トロ ピー理論 を用 い て算定 し た。 もう一つ は、歩行者 間 の「交錯」 を示す「交錯指標」 で あ る。交錯時間の 長 さ と交錯 の概念か ら、歩行者 間 の交錯 は、並行交錯 、直交交錯 、対 向交錯 に 分類す ることが 必要であ るこ とを示 した。交錯指標 は、個人間 の交錯 の程度 を 表す「交錯時 間」を歩行交差 角 による分類別 に累計 して算定 した ものである。こ れ に よ り歩行 者空間 にお け る交錯 を定量 的に示 した。 4.1に お い て 、 歩行者 を数量 的に表現す る従来 の指標 について そ の意味 と特性

をま とめ、いず れの指標 も数値 を算定す る条件や方法 によって値 が異 なる可 能 性 の あ ることを示 し、利用 す る際 には条件 を明確 に示す必要が あ ることを示 し た。そ れ とと もに本論文 で用 い た観測 。分析 の設定条件等 につい て述べ た。 4.2に お い て 、群集流動 の「流れ」 の 多様性 を示す 「 方向多様度」 を算定 し、

従来、定性的 な手 法 のみで 定義 されて い た群 集流動 の分類 を定量 的 に示す指針 となる指標 を示 した。また、その手法 を都市空間 に適用 し、時 間帯 によって歩 行 の 方 向 の多様性 に差異が あ るこ とが 明 らかにな った 。 4。

3に おい て 、群集流動 にお ける歩行者 間の「交錯」 を示す「交錯指標」 を提

案 し、そ の交錯時 間か ら、交錯 が並 行交錯、直交交錯 、対 向交錯 に分類 で きる こ とが 明 らか になった。3章 の「交差立体」 「高 さ」 か ら歩行 者空 間 における個 人 間 の交錯 の強 さを算 定 し、 また、方 向別 に数値 を累計す るこ とによ り空間全 体 での交錯 の度 合 い を定量 的 にはか る「交錯指標」 を提案 した。 また、滞留 の 有無 によって直交、対 向交錯 時間が異 な り、滞留 の ない状態 で は交錯時間 は 2 秒 以下 であるこ と、滞留 が あ る場合 には、滞留 による停止時間 に応 じて交 錯時 間が増加す るこ とが 明 らか になった。 また、交錯流 における群 集密度 と交錯時 間 の 関係 によ り、交錯が起 こ らない と予想 される群 集密度 は0。 24人 /m2以 下 で ある こ とが 明 らか にな った 。 歩行者 の群集流動 の状態 を従来 の群集密度 のみでは な く、移動方 向 の多様性、 交錯 とい った観念 か ら定量化 す る手法 を提案 し、群集 の状態 を把握す ることが 可能 になった。

参考文献

1)中 祐一郎 :「 交差流動の構造 ― 鉄道駅 における交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 139


本建築学会論文報告集 No.258,pp.93~ 102,1977.8

2)土 木学会編 :「 地区交通計画における需要予測」,交 通需要予測ハ ン ドブック第 3 章

3)建 部謙治ほか 2名 :「 歩行解析への画像処理技術の応用 に関する研究」,日 本建築 学会論文報告集 No.436,pp。 41- 47,1992.6 4)John J.Fruin:「 歩 行 者 の 空 間 (PEDEttRIAN Plalming and dcsign)」 ,鹿 島 出 版 会 ,1974.12

5)E.T.H狙

1、

日高敏彦 ほか訳 :「 か くれた次元」 ,み すず書房 ,1966

6)TranspOmtiOn Research Board:「 Special Repo■ 209 Highway Capacity Manual」

,1985

7)中 村和男、小林賞 :「 交通環境 における歩行行動」国際交通学会誌 ,Vol。 10,No.5 8)BoHs Pushkarev with Jeffrey M.Zupan:「 lTRBAN SPACE FOR PEDESlRIANS」

,MIT

press,1977 9)吉 岡昭雄 :「 歩行者交通 と歩行空間 (Ⅲ )」 ,交 通工学 Vol.16,No.3,pp.13~21,1981 10)上 原孝雄 ,中 村和男 ,吉 岡松太郎 ほか 1名 「群集対向流動 の性状」,日 本建築学会

論文報告集 No.289,pp.119~ 129,1977.3

H)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープンスペースの「動的密度感」 に関す る実験的研 究」,日 本建築学会論文報告集 No.386,pp.71~ 80,1988.4 12)藤 井明、原広司ほか2名 :「 都市の活動領域 に関する研究 その 1 歩行者数調査 に基づ く三次元モ デルの提案」,日 本建築学会大会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9

13)吉 田克之 :「 EBモ デル (伸 縮ブロックモデル)に よる群衆流の解析、その 1 避 難行動予測にお ける図解法の問題点 とEBモ デルの提案」,日 本建築学会論文報告集 No.409,pp.35~ 43,1990.3

140


第 5章

結論


5.結 論

5.1 結論 「時間」とい う観点か ら、群集流動 の状態 を 本論文 は、群集流動 にたい して、 把握す る新 しい手法 を提案 し、それを用 い ることの意義、それによって把握 で きる現象 について述べ た。また、それ らの手法 による評価 を把握す るために定 量的な指標 を提案 した。また、群集 の状態 の定性的 な表現 である言語 に着 日し、 群集状態 に対す る認識 を言語 の面か ら考察 した。 以下に本論文 でえられた知見 をあげ る。

(1)時 系列 の歩行者 の「流れ」 を視覚的 に把握す る手法 を示 した 同一方向 に進 む歩行者 の集団であ る歩行者 の「流れ」は、建築空間、都市空 間の至 るところで観察 される現象であるが、時間に ともなう歩行者 の「流れ」を 二次元平面 に矢印 を図示す る手法が一般的であ つた。 視覚的 に表現す る方法 は、 この方法では、矢印の重 な り等 によ り時間の状態 を把握す ることが困難であ つ た。本論では、 「空間 ―時間系歩行軌跡 モ デル」 を用 い ることによ り、歩行者 の 時系列 の歩行者 の「流れ」 を概観 的 に把握す る新 しい手法 を提案 した。

(2)時 系列 の歩行者 の「交錯」 を視覚的 に把握する手法 を示 した 駅改札口周辺 など、多数 の方向か ら歩行者が流入する空間にお いて歩行者 の 交錯現象が発生する。この現象 を視覚的 に表現す るために「交差立体可視化 モ デル」 を提案 し、交錯 の状況 を一望 し、把握する新 しい手法 を提案 した。

(3)「 流れの方向の多様 さ」 か ら群集流動 を定量的尺度 によって分類 した。 「流れ」の方向 群集流動 を大 きな「流れ」の集合 であ るとして とらえた場合、 の多様性 を表す手法 として、歩行者 の移動方向の多様 さを一 元的 に表現す る 「方向多様度」 を提案 し、流れの「多様性」 を示す手法 を提案 した。

(4)歩 行者 間の「交錯」 を定量的 にとらえる指標 を提案 した。 群集流動 にお いて、歩行者同士 の動線 が交差、接近す ることによって起 こる 歩行者 の「交錯」 について、定量的に とらえる手法 を示 した。 (5)行 動 を表現す る言語表現 の意味 の認識 のばらつ きを表現す る手法 を提案 した。 言語 の認識 の個人 によるばらつ きをコンピュー タ上で示す手法 として、フア 141


ジイ理論 を用 い て表現 した。またそ こか ら、言葉 同士 の一致度 を算定 し、言葉 の類似性 を数値化す る手法 を示 した。 また、情報理論 の冗長度 を用 い ることに よつて言葉 の認識 のば らつ きを示す手法 を示 し、言 葉 の「認識が 一 致 してい る 「認識 に幅あ る もの」「認識 に相違 があ る もの」 に分類 で きる こ とを明 ら もの」 か に した。歩行行動 の最 も基本 的な歩行 の速 さと群集 の集 ま りに関す る印象調 査 を通 して言葉 と数値 の 間 には幅 をもつ緩 やかな関係 があることが 明 らかに し た。 時系列 か ら見 た歩行者流動 の指標化 。視覚化 の研 究 は緒 につい たばか りで あ るため、今後 に残 された課題 も少 な くないが 、上 記 の よ うに二 つ の「空間 ― 時間 系歩行 モ デル」が もた ら した多 くの知見 に よって、歩行者流動 の解析 に新 たな 局面 を開 くこ とが出来 た と考 える。 以下 に、各章 でえられ た知見、成果 な らびに考察 を記述 し、本論文 の結論 と す る。

「1章

序論」では、まず研 究背景 として現在歩行者行動研究 が抱 えてい る問

題点お よび 国内、海外 にお け る他 の研究 との 関連 か ら本研究 の位置付 けを行 い、 本研 究が群 集流動 を記述 す る手法 として新 しい手法 で あ ることを示 した。また、 本研 究 で もち い た空 間 と時間 を三次元 で示す モ デルの他分野 での利用 につい て も述 べ 、い くつ かの例 を示す こ とによ り手法 の妥 当性 を確 かめた。 これ らをふ まえて、時 間軸 をもつ新 しい手法 を用 い て群 集流動 を表現す ることによ り、群 集流動 の特性 を明 らか に した。

「2章

言語 表現 による歩行行動 の指標化」では、人 間が歩行者行 動 を表現す

る際 に用 い る言語 の調査 か ら歩行者空 間 における人 間 の状態 とそ こか らうけ る 感 覚 としての言葉 の関係 を明 らかに した。 この章 で は、人間の感覚 を表す もの と して「行 動 を表現す る言葉」 を対象 として研 究 し、またその結果 を分析す る 方法 として フ ァジイ理 論 を用 い て解析、分類 を行 った。具体的 には、歩行行動 を表現す る言葉 を選出す るため に国語辞典 、漢和辞典 、歩行 に関連す る論文 か 「走行 に関連す る言葉」 「 人 の集 まりに関連す る言葉」 ら「 歩行 に関連 す る言葉」 を 693語 抽 出 した。 さらに この 中か ら予 備 ア ンケ ー トによつて 386語 を選択 し 「歩行」 「 人 の集 ま り」 た 。言葉 か ら受 け る印象 の ア ンケ ー ト調査 を行 い「 歩 く」 に関連す る言葉 の使 われ る頻度 について調 べ 、全体 の 20%以 上 の 人が あげた語 「歩 く」 につい ては45 は 、10語 以下 であ りまた、5%以 上の人が あげ た言葉 は、 語 、「歩行」 につい ては 30語 、「人 の集 ま り」 につい ては 29語 で あ り、共通認 142


識 として用 い られてい る言葉 は一定数以下であることが確 かめられた。これ ら の言葉 の示す状況 を定量的 に把握す るため に、さらにこの結果 から「歩行者 の 「歩行者 の密度」に関連す る言葉 30語 を選 択 した。 移動」に関連す る言葉 9語 、 「歩行者 の密度」 に関連 「歩行者 の移動」に関連す る言葉 については歩行速度、 す る言葉 については群集密度 の異 なる映像 を被験者 に提示 し、それぞれの言葉 の印象が最 も適合する映像 を選択す る調査 を行 つた結果、言葉 と歩行速度や群 集密度 との数値 の対応関係 を明 らかにした。また、言葉 と数値 の対応関係 は一 「認識 に 対 一ではな く、個人 による認識 の幅があ り「認識 が一致 してい るもの」 「認識 に相違 があるもの」の 3つ に分類 されることが明 らか になっ 幅あ るもの」 た。 「3章

視覚化手法 による歩行者 の状態把握」では、都市、駅空間 における調

査お よびデー タの測定手法 を提案 し、また歩行者の状態 を表現す る新 しい 2つ のモデルを定義 した。これ らは、歩行者 の歩行軌跡 を時間の流 れの 中で とらえ るための「空 間 中時間系歩行軌跡 モデル」 お よび歩行者同士 の「接近」 お よび 「交錯」 を評価す る「交差 立体可視化モ デル」 とした。調査 は主にⅥRカ メラ を用 いて歩行者 デ ッキ上、あ るい は梁 に固定 して上方か ら歩行者の動 きの撮影 を行 った。その映像 をコンピュー タ内に取 り込 み、各歩行者 の頭 の位置か ら作 「空 成 したデー タを直交座標 に変換す ることにより歩行者 の座標デー タとした。 間 ―時間系歩行軌跡 モデル」は、歩行者 の移動 を平面的 にXY平 面上で表 し、時 間軸 をz軸 方向 とす ることによ り各歩行者 の歩行軌跡 をコンピュー タ内の三次 元空間 に立体的 に表示す るモ デル とした。このモデル を実際の空間におけ るい くつ かの歩行者 の行動 に適用す ることによ り、歩行者 の流れを全体的 に把握 で きる ことを示 した。 また、歩行者 の状態算定 に一般的 に用 い られる歩行速度 。 群集密度等 の指標のモデル上での意味 と、時間にともな う歩行者の動 きを視覚 「交差立体可視化 モデル」は、空間におけ 的 に表現す ることの有効性 を示 した。 る歩行者間の接近 によつて起 こる「交錯」現象 を視覚的 に表現す るモ デル とし た。 このモ デルでは、歩行者個人が歩行 中 にまわ りの歩行者、障害物 との間 に とる間隔であ る「歩行領域」の概念 を空 間 ― 時間系 モ デルの中に組み込み、多段 円柱 として表現 した。この歩行領域 の立体 的な交差 によつて生 じる立体 を「交 差立体」 とし、 この立体 が生 じる時間の長 さを用 いて歩行者 の「交錯」 を定量 「交錯」が各歩行者の移動方向のなす角に よつて 3つ 化 した。このモ デルから、 に分類 され、これ らによって現象 として とらえることはで きるが、日に見 えな い歩行者間の相互作用 で ある歩行者 の「交錯」を視覚的 に表現 で きる ことが明 らかになった。これら 2つ のモデルを もちいて、時間の経過 にともな う歩行者 143


の状態 を視覚 的 に表現 し、歩行者状態 を把握す る手法 の有効性 について示 した。 「4章

数量 的指標 による歩行行動 の把握」では、まず「移動方 向多様度 によ

る群 集流動 の 定義」として 空 間 にお け る歩行者個 人 の移動方 向 の分散 の程度 に よ り、空間 にお け る群 集 流動状態 を定量 的 に把握 す る手法 につい て まとめた。 ここでは観測 空間内の各歩行者 の歩行軌跡 の解析始点 と解析終点 を結 んだ線 を 各歩行者 の「歩行 の基準 線」 と定義 し、そ の方向 を個人 の移動 方向 と定義す る こ とによ り、空 間 にお け る歩行者全体 の移動方向 の「多様度」 を情報 エ ン トロ ピー理論 を用 い て算定 を行 った。 この歩行者 の移動方向の「多様 度」 をもちい る ことで、群集流動 の分類 を一 元 的な尺度 で表現 で きる こ とを示 した。また、従 来概念的 に分 類 されて きた群 集流動 の種別 を移動方向 の「多様度」 を用 い て定 義 した。具体 的 な多様度 の算定方法 は、歩行者 の流動方向角 を 30度 毎 に 12方 向 に分割 し、それぞれ の 区分 の 出現確率 により、情 報 エ ン トロ ピー理論 を用 い て歩行者 の移動方向の「 多様度」 とした。 また、 この手法 を実空 間 にお け る歩 行 者 の流動 に 当 てはめ新 しい尺度 を提案す ることによ り、従 来明確 に分類 され て い なか った群集流動 につ いて「一 方向流」隊寸向流」「交錯流」 の定量的 な定 義 づ けをえ る こ とを明 らか に した 。 次 に「歩行 者交錯指標 に よる歩行状態 の評価」 として 3章 で提案 した「交差 立 体可視化 モ デル」 を もとに空 間 における歩行者 同士 の「交錯」 を定量化す る 手法 につい て 示 した。具体 的 には、歩行領域 を示す多段 円柱 が立 体的 に交差 し て い る部分 を コンピュー タの ブ ー リア ン演算 によって算定 した。 この立体 は、 歩行者同士 の個 人領域 の重 なる部分であ り、これが「交錯」を表す もの とした。 そ の高 さは「交錯」の起 きて い る時 間 を表す ため 、 この高 さを算定 し交錯時 間 を求 めるこ とによって「 交錯時 間」 を算定 した。 また、空間 にお け る全 歩行者 の「交錯時 間」 を累積す るこ とに よ り、空間での歩行者 の「交錯指標」 とした。 歩行者 の交錯 は歩行者 間 の交差角度 によ り意味 が異 な り、交差角度 との 出現頻 度 の算定 に よ り、交差立体 は、30度 、150度 を境 に 3種 類 に分類 で きることが 明 らかにな った。 これ らの「交錯」 をそれぞれ「並行交錯」 隊寸向交錯」「直交 交錯」 と分類 し、交錯 の種 類毎 に「交錯指標」 を算定す るこ とによ り、群集流 動 にお け る交錯 を定量 的 にはかれ ることを明 らか に した。 また、鉄道駅空間で の 指標値 の算 定 し、指標 の妥 当性 を示 した。 「5章 結論」 では、二 つ のモ デル を用 いて歩行者 の「流れ」 と「交錯」 を視覚 的・定量的 に示 す ことが 群 集流動 の状態把握 に有効 で あ るこ とについて述べ た。 また、問題点 としてモ デル は平面 上 の動 きのみ を表現す るため 、高低差 の あ る 144


空間 にお い ての表現 には検討 が必 要 な こ と、モデル化 のための基礎 デ ー タの作 成 に多大 な労力 を必 要 とす ることな ど包括 的 に考察 した。 また、本 モ デル を用 い て空 間におけ る歩行者流動 を指標化す る一連 の手順 と手法 について まとめた。 また今後 の展望 として、本論文 で定量化 した指標値 が 表す「流れ」 「交錯」状態 の レベ ル を体系 的 に整理 したが、さらに継続 した研 究 によるデ ー タの蓄積 の必 要性 につい て述べ た。

5.2 今 後 の展 望 本研 究 では、時間 に ともな う歩行者 の行動 を視 覚 的 に表現す るモ デル を用 い て歩行者 の時系列 の動 きを把握す る手法 を示 したが 、これによって様 々 な場面 での時系列 の歩行軌跡 デ ー タ観察 に貢献 で きる こ とが予想 される。従来 の研究 では、群集流動 は主 に避 難計画、効率 を重視 した鉄 道駅 の流動評価 な ど、歩行 者 の移動効率 を最優先 に考 える研 究 が主であった。 これ に対 し、本 モ デ ル を用 い て広場空間、商業空 間、待 ち合 わせ空 間な ど、移動 を主 目的 としない空間で の歩行者 の行動 を記述す ることが可 能 になる。この よ うな分野で移動 をともな う歩行者 の動 きに適用 し、行動 の解析 を行 うことが 望 まれる。本論文 で は、手 法 の提案 お よびそ の活用法、歩行流動 の分類、交錯 の定量化 に とどまったが 、本 手法 に関 しては、まだ始 まったばか りで あ り、歩行 者 の詳細 な動 きのメカニズ ム、歩行者 間の相互作用 の時系列変化 な どい くつ かの項 目で更 なる調査研究 を 行 う ことによ り、時系列 の歩行者 の行動 につい て解 明 してい くことが必 要 で あ る と考 えて い る。

145


参考文献 ■用語の定義

1)大 野晋・浜西正人 :類 語 国語辞典、角川書店、 1985 2)日 本建築学会編 建築学便覧 I 計画 丸善 1980 日本建築学会編 建築設計資料集 正 丸善 1983

3)大 槻文彦 :「 大言海」 お よび新村 出編 :「 広辞苑」 4)岡 田光正 :「 空間デザ イ ンの原点」理工学社 1993 5)戸 川喜久二 :群 集流の観察 に基づ く避難施設 の研究、学位論文、 1963 6)吉 田克之 :建 築計画 における避難行動予浪1に 関す る研究 学位論文 1991 ■第 1章

1)新 建築学大系 H環 境心理 3.空 間 と人間行動 ,彰 国社 2)紙 野桂人 ,栗 山茂樹 :住 宅内団地 にお ける歩行者空間のデザ インとその使 われ方 に関 す る研究 ,日 本建築学会近畿支部研究報告 ,1977.5

3)足 立孝 ,紙 野桂人他 :通 行径路 に於 ける行動 の性質 について ,日 本建築学会論文報告 集号外 ,1967.10

4)紙 野桂人 ,舟 橋國男 :群 集行動 にみ られる空 間的定位 の傾向 について ,日 本建築学会 論文報告集第 217号 ,1974.3

5)早 大池原研究室 :建 築計画 における行勤科学 の新展開 ,建 築文化 ,1972.H 6)池 原義郎 ,渡 辺仁史他 :空 間 における行動特性 の研究 ,日 本建築学会論文報告集第 180 号 ,1971.2

7)荒 木兵一郎他 :大 阪駅前タ ー ミナルにお ける老人 の歩行 トリップ,日 本建築学会大会 講演梗概集 ,1975.10

8)堀 内三郎他 :ビ ル火災 にお ける遊難行動事例 の研究 ,火 災 nl.v01.27.No.26,1977 9)堀 内三郎 ,室 崎益輝他 :大 洋 デパ ー ト火災 における避難行動 について (そ の 1)(そ の 2),日 本建築学会大会講演梗概集 ,昭 49.10

10)渡 部勇市 :迷 路 における人間の避難行動実験 ,日 本建築学会論文報告集第 340号 ,昭 59.6

H)北 後明彦 :煙 の中にお け る人間の避難行動実験 。日本建築学会計画系論文報告集第 353号 ,1985.7

12)日 本建築学会編 :安全 計画 の視点 (安 全計画 I),彰 国社 ,1981

13)大 須賀常良 :室 内動線傾 向 について ,日 本建築学会論文報告集号外 ,1966.10 14)岸 塚 正昭 :回 路 の曲率 に関す る基礎的研究 (1),造 園雑誌 Vol.32.No.4,1969

15)岸 塚 正 昭 ,後 藤 友 彦 :園 路 の 曲率 に 関 す る基 礎 的研 究 (2),造 園 雑 誌 Vol.33.No.4,1970

16)木 村幸 一郎 ,伊 原貞敏 :建 築物内 に於 ける群集流動状態 の観察 ,日 本建築学会大会 論文集 ,1937.3


17)戸 川喜 久 二 :群 集流 の 観 測 に基 く避 難施 設 の研 究 ,建 築研 究報 告 No.14,1955。 2 18)上 田光 雄 :階 段 の 容量 ,日 本 建 築 学 会論研 究 報告 第 29号 (第 2部 ),1954.10

19)中 祐 一 郎 :鉄 道 駅 に お け る旅 客 の 交 錯 流 動 に 関 す る研 究 ,鉄 道 技 術 研 究 報 告 No.1079,1978.3

20)岡 田光正 ,吉 田勝行 ,柏 原 士 郎 ,辻 正 矩 :建 築 と都 市 の 人 間工 学 ,鹿 島 出版 会

21)今 和次郎 :考 現学 ,今 和次郎集 ,ド メス出版 22)吉 武泰水 :建 築計画の研 究 ,鹿 島出版会

23)上 原孝 雄 ,斎 藤 忠雄 :通 勤 電 車 駅旅 客便 所 の 設備 個 数 ,鉄 道技 術研 究報 告 Nく D.52,1959.1

24)岡 田光正 :建 築計画学 12施 設規模 ,丸 圭 25)岡 田光正 ,吉 田勝行 ,柏 原 土郎 ,辻 正 矩 :イ ン フォーマル な集団 の行動 における時 間 的 な らびに空 間的法則性 ,年 報社 会心理学第 14号 ,1973

26)荒 木兵一郎 :養 老施設 の居 室 内 での領域 につ いて ,日 本建築学会論文報告集第 103 斐計,1964.10

27)高 橋鷹志他 :空 間 におけ る人 間集合 の 型そ の 1,日 本建築学会大会 講演梗概集 ,1978.9 28)高 橋膚志他 :空 間 にお け る人 間集合 の型 そ の 2,日 本建築学会大会講演梗概集 ,1978.9

29)足 立孝他 :広 場 に於 る人 の分布 ,日 本建築学会大会講演梗概集 ,1968.10 30)進 士五十八 :公 園設計 に関す る基礎 的研究 (第 I報 ),造 園雑誌 Vol.33.No.3,1970.2

31)池 原義郎 ,渡 辺仁史他 :人 間空 間系 の研 究 その 6,z第 221号 ,1974.7 32)柏 原士郎他 :広 場 におけ る滞留 者 の分布予測 モ デ ルについ て ,日 本建 築学会大会講 演梗 概 集 ,1981.10

33)足 立孝 ,末 岡利 雄 :百 貨店 に於 るテ ー ブル選択行動 の実態調査 (一 )~ (四 ),日 本 建築学 会論研究報 告第 21号 ,1953.3

34)小 原 二郎他 :旅 客サ ー ビス設備近代 化 の研 究 2,日 本鉄道車輪工 業 会 ,1975 35)高 橋鷹志 ,西 出和彦 :空 間 におけ る人 間集合 の型通勤電車 の場合 ,日 本建築学会論 関東 支部研究報告 集 (Vo上 49),1978

36)青 木 正夫 :建 築計画学 8学 校 1,丸 善 37)建 築設計資料 集成 3単 位 空 間 I,丸 書 38)岡 畑恵雄他 :化 学系 のための Macintosh,講 談社 ,1991.7 39)可 視化情報学 会 :「 流れ の フ ァ ン タジー」 ,講 談社 ,1986.6

40)可 視化情報学 入 門編集委 員会 :「 可視化情報学入 門 ―見 えない もの を視 る

_」

,電 機

大 出版局 ,1994.5

41)竹 内啓五 ,掛 川秀史 ,長 田耕 治 :「 画像 を利用 した群 集行動評価 に関す る研 究」 ,日 本建 築 学会第 15回 情 報 システム利用技術 シ ンポジ ウム ,pp.143~ 148,1992。 12

42)建 部謙治 ほか 2名 :「 歩行解析 へ の画像処理技術 の応用 に関す る研 究」,日 本建築学 会論 文報告集 No.436,pp.41- 47,1992.6

43)中 祐一郎 :「 交差流動の構造 ―鉄道駅における交錯流動 に関する研究 (1)- 」,日


本建築学会論文報告集 No.258,pp.93~ 102,1977.8

44)上 原孝雄 ,中 村和男 ,吉 岡松太郎 ほか 1名 「群集対向流動 の性状」,日 本建築学会論 文報告集 No.289,pp.H9~ 129,1977.3

45)渡 辺仁史 ,中 村良三 ,池 原義郎ほか 3名 :「 人間 ―空間系 の研究 その 6.空 間におけ る人間の分布パ ターン解析」,日 本建築学会論文報告集 No.221,pp.25~ 30,1974.7

46)藤 井明、原広司ほか2名 :賭『市の活動領域 に関する研究 その 1 歩行者数調査に 基づ く三次元モデルの提案」,日 本建築学会大会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9

47)吉 田克之 :「 EBモ デル (伸 縮ブロックモデル)に よる群衆流の解析、その 1 避難 行動予測における図解法 の問題点 とEBモ デルの提案」 ,日 本建築学会論文報告集 No.409,pp.35~43,1990.3

48)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープンスペースの「動的密度感」に関する実験的研究」 ,日 本建築学会論文報告集 No.386,pp.71~ 80,1988.4

49)John J.Fruin:「 歩行者 の空間 (PE.ESttWN Plalming an dcsign)」 ,鹿 島出版会 ,1974.12

50)荒 井良雄他編訳 :「 生活の空間 都市の時間」古今書院、1989 51)Bo五 s Pushkarev with Jcffrey M.Zupan:「 uRBAN SPACE FOR PEDES■ RIANS」 ,MIT press,1977

52)Robert Sommer:「 PersOnal Space The Bcha宙 oral Basis of Design」

,Prenticc― Hall,

Inc.,1969

53)Edward T.Hall:「 Thc Hidden Dimension」

,doubleday&company,hc。 ,1966

■第 2章 ゛

_シ 1)室 恵子 ,羽 根 義 ,沢 田 英 一 :「 言語イ メ の構造化 に関す る研究」,日 本建築学会大会

学術 講演会 ,1990 ゛

ー 2)広 木 晃 ,青 木 義次 :「 言語的枠組みに よる景観イ メ シ 評価」,日 本建築学会大会学術講 演会 ,199o 3)福 々一紀 ,奥 田 宗幸 ,坂 田 寛明 :「 言語 か ら図形へ の展 開 に関す る研究 ,設 計知識獲

ステムの提案」 ,日 本建築学会大会学術講演会 ,1991 得シ ゛゛

4)門 内 輝行 :「 設計言語 に関す る記号学的研究 ,そ の 1テ サ イ ンの解釈 か ら生成 へ」,日 本

建築学会大会学術講演会 ,1991 5)香 西 克彦 「 日常言語 。 詩的言語 。 学的言語 ,風 景 と認識 4」

,日 本建築学会大会学術講

演会 ,1991 ゛

_シ の _シ メ 6)室 恵子 「言語イ の検討」 構造化 に関す る研究 ,IⅡ 。 大規模調査 による快適性イメ

,日 本建築学会大会学術講演会 ,1992

7)原 京子 ,柏 原 士郎 ,吉 村 英祐 ,横 田 隆司 ,阪 田 弘 一 :「 言語表現か らみた 日本的空間

の特質 につい て」 ,日 本建築学会近畿支部研究発表会 ,第 35号 計画系 8)青 山 斉広 ,井 上 利幸 ,寒 河江 昭二 ,沖 塩 荘 一朗 :「 言語分析 による神楽坂 の “まち像

∥に 関す る研究」 ,日 本建築学会大会学術講演会 E- 1,1995


9)池 田朋子、大 貝彰 「言説分析 を対象 とした空 間 イメー ジ研究手法 に関す る考察」,日

本建築学会計画系論文報告集 ,No.492,pp.149~ 156,1997.2 ■第 3章

1)中 祐 一郎 :「 交差流動 の構造 ―鉄道駅 にお け る交錯流動 に関す る研究 (1)― 」,日 本 建築学会論文報告集 No.258,pp.93- 102,1977.8 2)大 蔵泉、宗広祐司 :「 鉄道駅 ター ミナ ル歩行空 間 にお ける錯綜 の分析 とサ ー ビス水準」 第 30回 日本都市計画学会学術研究論文集、pp.619-624、 1995

3)吉 岡松太郎 ,中 村和男 ほか 1名 :「 歩行者 間の相互干渉の特性」製品科学研究所研究 幸隧響 霊,No.96,pp.39~ 47.1983

4)竹 内啓五 :「 画像処理 による群集 の特徴評価 に関す る研究」,日 本建築学会論文報告 集 No.486,pp.109~116,1996.8

5)建 部謙治 ほか 2名 :「 歩行解析へ の画像処理技術 の応用 に関す る研究」,日 本建築学 会論文報告集 No.436,pp。 41~47,1992.6

6)吉 岡松太郎 ,中 村和男 ほか2名 :「 群集対向流動 の解析」日本建築学会論文報告集 ,第 289ザ 計,pp.119~ 129。 1980.3

7)佐 野友紀 ,渡 辺仁史 :「 空間 ―時間系 モデルを用 いた群集歩行軌跡 の可視化」,日 本建 築学会論文報告集 No.479,1996.1,pp.125~ 130

8)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープ ンスペースの「動的密度感」に関す る実験的研究」

,

日本建築学会論文報告集 No.386,pp.71~ 80,1988.4 9)John J.Fruin:「 歩行者 の空 間 (PEDE割 限鵬N Plaruling and design)」 ,鹿 島出版会 ,1974.12

10)中 祐 一郎 ほか 2名 :「 交錯 す る歩行者 の衝 突 回避行動 に関す る観測 と解析」,日 本建 築学 会大会学術 講演梗概集 ,pp.563~ 564,1988.10

■第 4章

1)中 祐 一郎 :「 交差流動 の構 造 ―鉄道駅 にお け る交錯流動 に 関す る研 究 (1)― 」,日 本 建築学会論文報告 集 No.258,pp.93~ 102,1977.8

2)土 木学会編 :「 地区交通計画 における需要予測」,交 通需要予測ハ ン ドブック第 3章 3)建 部謙治 ほか 2名 :「 歩行解析へ の画像処理技術 の応用 に関す る研究」,日 本建築学 会論文報告集 No.436,pp.4147,1992.6 4)John J.Fruin:「 歩行者の空間 (PEDE剖 限鵬N Plalming and design)」 ,鹿 島出版会 ,1974.12

5)E.T.H狙

1、

日高敏彦 ほか訳 :「 か くれた次元」 ,み すず書房 ,1966

6)TrallspOrtation Research Board:「 Special Report 209 Highway Capacity Manual」

,1985

7)中 村和男 、小 林賓 :「 交通環境 にお ける歩行行動」 国際交通学会誌 ,Vol.10,No.5 8)Bo五 s Pushkarcv with Jeffrcy M.Zupan:「 URBAN SPACE FOR PEDES「 ΠtIANS」

,MF

press,1977 9)吉 岡昭雄 :「 歩行者交通 と歩行空間 (Ⅲ )」 ,交 通工学 Vol.16,No.3,pp.13~21,1981 10)上 原孝雄 ,中 村和男,吉 岡松太郎ほか 1名 「群集対向流動の性状」,日 本建築学会論文


報告集 No。 289,pp。 1lγ 129,1977.3

11)山 崎俊裕 ,長 倉康彦他 :「 オープ ンスペースの「動的密度感」に関する実験的研究」 ,日 本建築学会論文報告集 No。 386,pp。 71~8o,1988。 4

12)藤 井明、原広司ほか2名 :「 都市の活動領域 に関す る研究 その 1 歩行者数調査に 基づ く三次元モデルの提案」,日 本建築学会大会講演梗概集 F,pp.515-516,1994.9 13)吉 口克之 :「 EBモ デル (伸 縮プロックモデル)に よる群衆流の解析、その 1 避難 行動予測 にお ける図解法の問題点 とEBモ デルの提案」,日 本建築学 会論文報告集 No。 409,pp.35'43,1990.3


付録


付 録 1。 本 論 文 に 関 連 す る 可 視 化 技 術 建築分野 にお いて、コンピュー タの可視化技術 を用 い て様 々な ものを表現 した り、シ ミュ レー トした りする事が行 われてい る。建築 のプレゼンテー シ ョンをcG(Computer Graphics)や アニ メー ションといった手法 を用 い て行 った り、建築物が完成 した際の景

観評価 のために敷地写真 と建築物 の CGを 合成 して、完成予想図を示 した りす る例 は、 かな リー般的 に行 われている。また、研究の分野 では、ビル周辺 の空気 の流 れをcGを 用 い て可視化 した り、温熱環境 を可視化す る手法 もとられてい る。空間研究 におい て は、視覚変化 を抽 出 。再構築 し立体的なモデル としてにとらえた もの、視覚 によってみ ることが出来 る範囲 を視覚 コー ンとして空 間の評価 を行 った ものなど、 様 々 な例が見 ら れる。また、建築 にお ける人間工学分野にお い て も人 間行動 を視覚的 に記述す る手法が い くつか用 い られてい る。コンピュー タでお こなった群集流動 シミュ レー シ ョンの結果 を画面上で人 間の位置を粒で表 し三次元 CG空 間で表現 した り、 人間の視覚 に うつ る範 囲 を cG技 術 を用 いて表現 した ものなどがあげ られる。 これ らの手法 は、ほとん どが 、現実空間では、表現 しに くい物体、現象 などを仮想的 な手法 を用 い て視聴者 にわか りやす く理解 して もらうための表現 として用 い られてい る。本研究 で も、一般的 には、観測、表現 しづ らい時間の変化 を一軸 として、立体的に 表現す るモデルを用 いることによ り、設計者 に理解 しやす いモ デルの表現 を行 った。 ○ イ ンタラクテイブな操作 が可 能 な可視化手法 ・QuickDraw3D

QuickDraw3Dは Apple社 が 開発 した規格 で あ り、3DNIIF(3 Dimcnsion Meta File)を 用 い て 3次 元 モ デ ル を表示 す る。この手法 では 、Vicwcr内 のモ デ ル をマ ウスで ドラ ッグす る事 に よ り、モ デルを 360度 自由な方 向 に回転 させ た り、移動 、拡大、縮小 す る ことが 可能 で あ る。 また、 マ ッピングの技術 を用 い てモデルの面上 にテ クス チ ャー を貼 った り、ワイヤ ー フ レームで表示 した りす る事 もで きる。Apple Macintoshコ ンピュー タに標 準 で 添付 され る Tcxt Viewerで あ るSimpt Tcxtを 用 い てみ ることが 出来 、また イ ン ター ネ ッ ト上で公 開 し、Netscapc Navigatcr等 の Viewcrを 用 い てネ ッ ト上でイ ン タラクテ イ ブに操作 しなが ら見 るこ とが 可 能 で あ る。欠点 と しては、ワイヤ ー フ レー ム表示 の場合 は あ ま り問題 にはな らない が 、 レング リング表示 を した場合、かな り動作 が遅 くな る。 また、標準 の Viewcrで は機 能 が限定 されてお り、高性 能 のVicwcrは あ ま り種類 が な く、 Sharcware等 を利用 す る事 になるが 、 これ らは シス テ ムの安定性 が低 い な どが あげ られ る。 ・ VRML

VRML(Vinual Reality Modeling Languagc)は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト等 ネ ッ トワ ー ク上 で 動 作 す る 3次 元 モ デ ル の 規 格 で あ る 。この モ デ ル は 、テ キ ス ト形 式 も フ ァ イ ル に よ つ て

かかれてお り、高 い互換性 を持 つ。Netscapc Navigater等 の Viewerを 用 いてネ ッ ト上で イ ン タラクテ イブに操作 しなが ら見 ることが 可能 で ある。 このモ デルは、回転、移動、


拡大、縮小 の他 にモデル内を通 り抜 ける ような視点 (ウ ォー クスルー)に よってモ デル を見 ることが 出来 る。現在、VRNIIL2.0と い う規格 が中心 に規格統 一が進 め られてい る が、近年中 にVRNIL3.0と い う新 しい規格 が発表 される予定である。この手法 の欠点 は、 ファイルをテキス ト形式 で記述 し処理 す るため、処理 に莫大 な計算時間が必要 とな り、 複雑 なモデル には適 さない点 で あ る。また、規格統合 が完全 には合意 されてお らず、現 在進行中である。 ・Rotater Rotaterは 、Craig Klocden氏 が 開発 した Freewareで あ り、三次元 の位 置座標 デ ー タの

みで、マ ウスで イ ンタラクテ イブ に操作 で きる 3次 元 モデル を生成 す る。この ソフ トの 利 点 は、 複雑 な構造 のモデルで もマ ウス操作 に対 し非常 に素早 い反応 で動 かす ことが 出 来 る こ と。デ ー タ構造 が 簡単 で あ るため、追加 、修 正等 が 簡易 で あ ることがあ げ られる。 移動 、拡大 、縮小等 の操作 は 出来 な い。

・QuiCkamevR(01jectVR) QuiCkttmeVRの 一手法 で あ るOttectVRは 、モ デ ル を 1回 転 12方 向か ら見 た映像 を用 い て表示す る。 マ ウスの動 きに会わせて回転 させ ることによって、擬似的にモデル を 360度 方向か ら見 ることが 出来 る。上下方向 につい ては、登録す る画像数 を増やす こと によって、対応する。欠点 としては、画像 を作成 。合成す る作業が煩雑 であ る点があげ られる。

○動画を表示する手法 。JAVA

JAVAは 、ネ ッ トワー ク上で動 くプログラムの総称 であ り、その中 にモデルを 3次 元 的に表示す るプ ログラムが あ る。 この プログラムは、モデルを 1回 転 12方 向 か ら見た 映像 を順番 に表示す る事 によって、回転 してい るように見せ る手法 であ る。マ ウス等 に よるインタラクテ イブな操作 は 出来 ない。 ・ ShockWave

これは、アプ リケー シ ョンソフ トウエ ア Directerを 用 い て作成 したファイル をネ ッ トワー ク上で用事す るために変換す るものである。マ ウス等 によるイ ンタラクテイブな 操作 は出来 ない。 ・ AnimationGif

これは、アニ メー シ ョンを行 うために画像 ファイルを Gifと い う圧縮形式 で保存 し、 連続 して表示す ることによ り、動画 を表現す るものであ る。マ ウス等 によるイ ンタラク テ イブな操作 は出来ない。


O Rotaterに ついて

マ9呉誠 で 二次元 立体を 露∫ 動 作し )騨 諸ぽ 管 χ 還 禁 写 鶉 、 ==5崎 この ソフ トウエ アの利点 として、以下の点があげ られる。

ふ躍 選

O Ro絋 ter 3.5 ■ ソフ トの特徴 1.動 作が機敏である こと 表示機 能 を ヽ 一 ある

ツ トの解説 一 ら構成 さ れ る 。

帥 り よ スべ一ス ま た は ′を プ と す る ヽ

I[[∥

へ ら 移 動 は→ 〔ふ な ぞ フが 昇 資言 翠だiJl鳴 倉 ]に

F勢

i寧

,ル

醜 i f < c 〓 昨 昨 i f < c 〓 昨 昨 i f < > c #:#に

赤 緑 3 青 4 黄色 5 紫 6 シア ン 6 白 1

続 く部分 は、 コメン トとしてプ ロ グラム上では、処理 しない。

0.52.3- 10#(0.52.3- 1)へ 線 を引かず に移動

を引 く

:輩 3‡ 81ζ S-2″ 翼 85格 )yξ メ ロサ詠 ギ複昇

には、機能を特化 したい くつかのバージョンが存在す る。 き麓 誌 アニメーションを行 う。

9発

`.1卜 ユ 明 等 彗 躍 示を 喘に する 。

以下 に Readmeフ アイルか らの解説 の 抜 粋 を載せ る。 Rotater 3.5

服漁l硼器拙蹴釜'1艦盤聡猥 ∬臨 be rotated with the mouse in real dme.

Requires System 7 or greater. 8 bit cobur scleen and Power Macintosh preferable. Forrnat of ule lnput File

The input file consists of sets of four points on each line

xy zc x = x coordinate of a point (real) y = y coordinate of a point (real) z = z coordinate of a point (real) c = colour and/or drawing method (integer)

if (c = 0) move to the x,y,z point without drawing if (c > 0) draw a line to the x,y,z point ftom the cunent position using colour c

if (c < 0) draw a dot at x,y,z using colour -c where

め . デ 、

タを

¨

マツ o


r●〓D r“ 一 υ 一 r↑ 〓 Э r“一 O 一 r“ 〓 ” r● 一 0 一 r● > 0

赫 ¨ ¨ ¨ ¨ m m

・ S ・ S ・ 蟷 ・ S ・ S 一 S ・ “

d 卿 賑 山 呻 卿 血

eg 0.5 2.3 -1 0 {l moves to point 0.5 23 -l widrout drawing # draws rcd lirrc frort 0.05 2.3 -l to 3 5 6 35 5

62 -52-3 *plots bluedot t5 -52

The poine rre aufomafically scdedto fitintk wirdow aod rot8tion is 4bout 0,0,0. The hput ffle can be any tixtfiIe. * 9o16651 lines begin with tlc '# chrract€r.

Text after the four poin* on a li'r is igDq€dComplealy blank linesare ok ($ey arc ignorcd). Noteg This program is free and I a&e m rcsporNibility if it tiils yow machine or drives you mad. Use at your ownrisk

It may not be sold. Source code ardproject files for &e lvtetrocrc*s CW5 compilers are available at the archive gita or on rcquesL

&mril me if you find a use fortlds program orcome up with a cool ser of poinMines worth rdding to tbe collection.

Thc official Arrchive $ite for souce code, new updafes,

rotation files enc is:

ft p://raruadelrile.eduauhoater/

or hfi p:rtar&adelaide.edu.au&otarcr/

Craig Kloeden

crrig@raruadelai&.edu.au 4 February 1996


2.デ ー タ処理 のための プ ログラム リス ト 本研 究 で は、デ ー タ解析 のためにプ ロ グラ ミング言語 Mac PcJを 用 い て座 標 変換、アプ リケ ー シ ョンの ため の デ ー タの フォーマ ッ ト化 を行 った 。 ここで は、その最 も主 要 な もの を一つ 取 り上 げ、今後 の利用 のため に そ の リス トを示す 。 IPersmkintProi∝ tOrPro(ShaZOhKunPro) Ssize=0; Sslzeme=Saddpa」 ■'s曖 ';

Open(S17F,''く ssizefllet'); while(く SIZE>) {

s/1ゴム

Ssize=1;

puSh(@dim,SD; }

close S17F;

@dir=Sp■ ″:/,SARGV[01); sphce(@dir.- 1);

Saddpath=joi<1',@dirp.∵

;

SILoc=SaddPath.'rLoct

open(RL∝ ,"<6rLoc")∥ die“ can't open the SrLoc:S!¥n"; whle(KRLCXゝ ) {

s″

@Str=Sputr/Yt/,S_,2) "ん puSh(@Str,1) puSh(@rvec,@Str);

@Str=t }

close RL∝

;

SfLoc=Saddpath』 bcヽ open(FLOC,"く $■oc")∥ die"Cantt open the SfLoc:$!¥n"; while(く FL∝ >) {

s/Y唯

@Str=SplitK/Yげ ,亀,2)

puSh(@Str,1光 puSh(@fVec,@Strb;

@Str="; 〕

close FLOC;

@m〓 @rVeq&rotate; &inverse;

@五 =@mm; @X=@ri;

@y=(Srvec191,SrVec[101,SIVec[111); &muli;@mumat=($Z[01,0,0,0,Sz[1],0,0,0,SZ[2]);

@m=@fVec;&rotate;

@mmt=@m; &inverse;

@X=@nlm;

@y=(SfVec[91,SfVec〔 101,SfVec[Hl);

&muli;

@nurnat=(sZ101,0,0,0,Sz[11,0,0,0,SZ[2]);

@m=@mmmt&inversc @X=@缶 mt@y=@num¨ &multi: @X=@石 @y=@mm;&multi; @X=@写 @y=@H;&multi; @X=@4 @y=(0,0,1);

de"Cmto"n dle DATA:$!ht

雛 践 TARGV")∥ {

ギ畝

f蹴 耀 野

%Sy101,SyllD=Splitlrt/,畦 ,今

{

($y[0],Sy[11,Sindex,Sime)=Split(′

山 蹴輸 血

〓 Y

白ム錐 ,4);


$ft = $z[0]; $fy = $z[1]; if($z[2] != 0) { $ft /= $zt2l; $fy /= $zt2l; } $ouqut .= $index.$frane.in($fr ).'Tt".in($fy).'Tn";

l

close DATA;

if($size: l) t

@xarray = (0, $dirtt0l, gdimtOl,0); @yarray = (0,0, $dimtU, $dimtll);

for ($at = q $at < 4; $at++) {

$y[0] = ga1*t[$at1; 9y111 = $yarray[$at]; &multi; if ($z[2] !=0) { $ztOl l=$zl2l; $ztlll=521211 1

if ($at: O) { $ox = $z[0]; $oy = $z[1]; $width = $zt0l; $height = 92111' I if ($z[0] < $ox) { $ox = $z[0]; ]

if($zlll <$oy) { $oy=$zlU; }

if ($zt0l > $width) { $width = $z[0]; ] if ($zlu > $heiglrt) { $height = 52U1' 1 I

# $oupur =' width='.$width.', heighF'.$heighr'Yn".$oueug # $output = 'oxJ.$ox.', oy='.$oy.','.$oupuq

l

print $ouFuq $rcsult = $addpath.'rcsult'l open( RESLJLT, ">$result" ) ii die "Can't open $result : $!Tn"; print RESULT $outruq close RESULT; # sanosan no t€tsudai! # hig'rcsult' File to

#+**.roti file # @dir = sptrt(/:/, $ARGV[O]); splice(@dir,-l); $addpath = join(':', @dir).'J; $filename = $addpath.'Ouput rot'; $filename2 = $addpath'Oueutrotl'; $filename3 = $addpath.'Outpulex'; $filenarne4 = $addpath.'Outpurex l'; open( OUT, ">$filename" ); open( OUT4, 5$fi lename2" ); open( OUTZ, ">$filename3" ); open( OUT3, ">$filename4" ); $nurnber = ft #$scaleZ = 20; $scaleZ = 200; $result = $addpath.'result'; open( RESLJLT, "dresult") ii die "Can't open tbe $rcsult : $!Yn";

while( <RESUTLT>) I

chop( $- ) if( /.*Yn/ ); @co = spli( 'Tt", $_ );

$colll t'= gt*"''

$manNumber = ( $co[0] % 7 ) +l;

r( $number != $manNumber ) I

",SCO13].'Wl.SCO[11.'■ mVn"ゝ

print Otr12(軍耐 CtOYnり "nt OIJr(scO121.:晩 StlumbeF=$manNm蹴 $baseX=Sco121; SbaseY=Sco[3];

SbaseZ=$∞ [11;

SbHX; 簿 =Sco[2]- =Sco[3]- SbeY; 阿 =SCO[1]― SbttEZ; 厖

Sco2=Sco[2].'Vti'.SCo[3].'Vピ '.SCO[1].lYt".$mum転 '■ n";

瀞露」 l翻 翼 ]撚翻騨 漂二 激嶺↓ 「ぶ ".SmanNumber● Sco4=SreX.'蹴 "。

.SteZ'■ SreY。 '■ “

print OIЛ sco2; pFint OIJr2 Sco3;

print OUB Sco4;

(-

1).黎h";

=0。

¬1


print OUT4 $co5;

l

printOUT "Sn';

printOUT2'Tn"; print OUT3 Tn"; printOUT4'Tn"; close OUT; close OUT2: close OUT3; close OUT4; open( IN, 5>$filename3" ); open( IN2, "<$filenanea" );

while(dNb) {

printlN$_;

)

close IN; close IN2; open( IN, 5>$filename" ); open( IN2, "4filename2" );

while(dNb) {

print IN $_;

I

close IN; close IN2; close RESULT; # COIOf Camel*****{r***t ***********

#

#to MiniCADFile # $colorRot = $addpath.'color.rot ; open( OUT, ">$colorRot" ); $number = O $color = O

$s0=Q

$i =Q $sum = 0;

$c0=O $cl =O

$c2=Q $ccO = Q

$ccl = O $cc2 = O

$rot = $addpath.'Outputrot' ; open( ROT, "drof) ii die "Can'torpen the $rloc: $!Yn";

while(<ROI}) t

chop( $- ) i( /.*Yn/ ); @co = spti( 'Tt", $_ );

i( $s0:0) { $cO = $co[O];

$cl = $colll;

$c2 = $co[2];

I

tf( $cot3l

:0 && leof )

{

pdnt OUT $c0.Tt".$cl.'1t".&2.'Yfin";

if( $s0 != 0) {

$thota+tail( ($ccl - $cl) , ($cc0 - $c0) ) * 180&.14159?.6; $thera=$thetr%360; pdnt OUT ?".$thei&Tt".$ccl.'Yt".$@O.'Tt".$c1.'1t".$c0.'ln";

¨ ¨

澪 0ル ルShtaく 30 16nta,澪 330&&Sthetaく 3“))

l;


i($tbeta >= 30 && $dreta < 90)

t

$color = 4;

l

i($theta >- 90 && $thea < 150) {

$color = 2; )

if($ttpta >= 150 && $tlrcta < 210) t $color = 6; )

if($tEta >= 210 && $tbera < 270) t $color = 3; )

i($thea >- nO &.& $theta < 330) {

$color = 5; )

$i =0;

while($i <= $sum-l) t

print OUT &o2[$i].$color.'Yt".$theta'Yn"; $i += 1;

l

print OUf $c0.'!t".$cl.'Tt".$c2.'Yffn";

$i=0;

while($i <= $sum-l) {

print OUT $co2[$i].$color*Gl).'Tt".$tbeta'Yn"; $i += l;

l

$c0 = $co[O];

$cl = $colll; $c2 = $co[2];

$sum= 0; )

$s0 = l; I

if( &o[3] >0) {

$co2[$su6] = ft6t01.'Tt".$cot1l.'Yt".$co[2].'Yt"; $sum += 1;

$cc-0 = $cot0l;

$ccl = $cofU;

.

$cc2=$co[2];

l l

print OUT 'Tn"; clooe OUT; open(IN,∥ ≫ ScolorRot")

while( <IN>) {

l

print IN $_;

cloce IN;

#Colorcarcl

# #to MiniCADFile

*

$colqEx = $addpath.'color.ex';

opa(OUT,5&olorEx" ); $number=O


$colc=G $s0= Q

Ei=8

&um=Q $c0 = 0;

$cl =Q

$c2=Q

$cc0 = O $ccl = 0; $cc2 = O $ex = $addpqth.'Otrputex'; opcn( EX, "dex) ii die "C.an'topenthe

whildcE)(>) {

$rloc: $!In";

chop( $-) if(/.tn/); @co = spli( 'Yr", $_ );

t( $sO:0) { $cO = $cotOl;

$cl = $colU; $c2 = Sco[2]; )

if( $cot3l :0 && leog t

prht OUT $co.'Tf'.$cf .Tt".$c2.Tfin';

i( SsO != 0) {

$ilpta-atrn?( (&cf - $cl) , (&c0 - $c0) ) * 1E06.1415926; $theta=$thera%360

prht OUT'#".$theta'Yf .&cl."St'".$cco.'Yt".&l.Tt".&O.'Yn"; if(($freta >= 0 && $theta < 30) li ($frera >= 330 && $6er8 < 360)) {

$colo= l; )

if($rheta >- 30 && $rhera < 90)

$color= 4;

l

if($thct8 >= 90 && $fter8 < 150) {

$olor=2; l

r($theta >= 150 && $rhetr < 210) {

$color = 6: I

if($rbt8>= 210 && $seta <270) {

$color = 3; )

l($d€tr >= 270 && $rhet8 < 330) {

$colq=5;

l

$i =O

wtilc(gieggm-l) {

print OUT &o2t$il.&olor.Tt".$theta.Tn"; $i += 1; I

prid OUT $c0.'Tt".$cl.Tt".$c2"Sffin";

$i=Q

whitdgi+Sum-l) {

prinr OUT $co2t$il.$color*(-l).'Tt".$tbctr.Tn'; $i +- l:

l

$c0 = tco[0];


Scl=Sco[1]; Sc2 3 Sco121;

Ssum=Q SsO=1; 〕

r( $co[3] >0) t $co2[&um] = $co[0].Yt".$co[1].Tt".$co[2].Yt";

l:

$sum +-

$cc0 = $cot0l;

$ccl = $colll; $cc2 = &o[2];

l l

print OUT'Tn"; clooe OUT;

open( IN, ">>$colo€x" );

whiHdN>) {

print IN $_;

) close IN; # Sub Lootineti****

subinv€rse {

@mm = (0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0);

&gforetsushiki; if ($rcsult != 0) t $dd = $result fo($i = 0; $i < 3; $i+r)

t

fo($j=q$j<3;$j++) {

$row = Sj; $col = $i;

&yoinshi;

$gtmlSi + $j'r3l = $result/ $dd;

山 }

州 赫

蝸 椰

thaVe餞 INVERSttnt

Q鋭 fOISCOl=Q● Olく 3;Scol- D {

鋼 蹄=脚t }

Ssult=':; fOISCOl=Q SCOlく 3:Scol- D {

Seult- SmlsCOl・ 劉 。Syott■ 〕

}

Sub畑

臨 _の {@r=。 ,2) 践 if(S― -1){@r=Ca;}

I脚 ヨ│{鯛 麟│ rcscOl=Э

{@C=01):} sut=smluOl+sclol● 3]● $mESr11卜 SC[1]'31- 3mlsrEl]+SCIOl・ 3]'SmIIOl+SC[1]・ 31 Ц CSrOW+SCOl)%の }

sub multi{

〔mSult

=_1;}


if((2y==9) {

@Z=(0,0,0,0,0,0,0,0,0); fOく Si=0;Siく

3;Sh+)

1

fOく Si=0;Siく 3;助 - ) {

fOr(Sk=0:Skく 3;Sk- ) {

Sz[Si■ 3+Si]- SX[Si*3+Skl*$y[$k辛 } } }

}elSe{

@Z=(0,0,0;

fOKSi=0;Siく 3;Si十+) {

fOく Si=0;Siく

3;助 I「 )

1

SZ[Si]- SX[Siキ 3+Si]*Sy〔 Si]; } } }

}

sub rotate{

@rOt=(Smlol,Sm[31,Sm[6],Sm[1],Sm[4],Sm17],Sm[2],Sm[5],Sm[8]);

@m=@rOt: )

subpmmat{ fOr(Si=0;Siく ((pp/3);Si++) I

fOr(Si=0;Siく 3;Si++) {

pnnt Sp〔 Si*3+Si].:γ t"; }

pmt'Vn"; }

pnnt'¥n"; }

3+覇 ];


3.解 析対象歩行者流動 のモデル 本論文 におい て解析 に用いたデー タえおモデル化 した ものを示す。 調査対象地 :鉄 道駅内空間

都市空間

薪籍毅 立川駅 巣鴨 上野 秋葉原 渋谷 新宿 原宿


空間 中時間系 モデ ル

移動方向傾 向

時亥J

7.50.00

群衆密度

0.35[人

0.701 ヽ多様度 行速度 1.2151[m 奉 平行交差指標 185 直交交差指標 444 対向交差指標 “

7.50.10

時刻

群衆密度

0.42[人

多様度

0.667 1.1528[m

行速度

平行交差指標 2“

直ヽ交差指標507 対向套差指標 54

欧 争 亥J 群衆密度 /́へ

7.50.20

0.462 1人

0.636 速 度 1.0072[m v行 キ行交差指標597

、多様度

置 `交差指標887

対向変差指標 79

時亥1

7.50.30

群衆密度 ` 多 様度

0.38[人 0.608

速 度 1.1331[m S] .ヽ ヽ行 300 差 平年交 指標 直交変差指標405 対向養差指標4 ・ゝ

渋谷駅中央 口改札 (広 場型 )

″ 角 電 謹 籠 。パ


空間 ―時間系 モデル

移動方向傾 向

7.50.40 0.342[人 /m 0.649 多様度 歩行速度 1.0787[m/ 時刻 群衆密度

ヽ ヽ

葉 重 帽 蜃 埴冥

:│:

へ向交差指標72 ● ~・

時刻 群衆 密 度

7.50.50

0.42[人 /m 0.544 1.0479[m/

多様度 歩行速度 平行交差指標 981

`直交交差指標 308 、 .村

向交差指標99

渋谷駅中央 口改札 (広 場型 )

‘ ∴ 弓 ♂


空間 ―時間系 モデル

移動方向傾 向

時刻

7.36.10

群衆密度

0.186[人 /m2 0.644

ゝ 5[m/s ヽ │∬ 軍 得 霙 曇 指 標 、 多様度

ヽ交交差指標72 ふ申交差指標0

0「

時刻

7.37.50

群衆密 度

0.0%[人 /m 0.628 1.43H[m/s

多様 度 歩行 速度

平行交差指標0 \ ` 0 直交交差指標 対向交差指標 3

時刻

7.39.20

群衆密 度

0.316[人 /m 0.707

多様 度

` 、 [::8::信 層:│:)79[m/s \ ヽ向交差指標20 ヽ ヽ

時刻

7.39.40

群衆 密度

0.202[人 /m 0.648 1.2591[m/s

多様 度 歩行 速 度 \ ヽ

平行 交差 指標 21

、直交 交差指標 126

向交差指標 ヽ寸

1

渋谷駅 中央 口改 札 (広 場型 )

1 4 嘴 曽 嘱 勝


空間 ―R寺 間系 モ デル

移動方向傾 向

時刻

群衆密度

多様度 歩行速度

7.20.00

0162[人 /m2 0.598 1.3794[m/s]

平行交差 指標 1 、直交交差 指標 26 0

い向交差指標

(8"s ●む

彗 彰

t eqe 4i

時刻

群衆密度 多様度 レ

0一

歩行速度

7.30.00

0.214[人 /m 0.502 1.4084[m/s]

平行交差 指 標 40

や ・ そ鳴~ ′ 了 。

ヽ直交交差指標55 `す 向交差指標0

時刻

群衆密度

7.40.00

1.062[人 /m2 0.859 0.6033[m/s]

多様度 歩行速度 ヽ 、平行交差指標 3303 直交交差指標 4002

´ 詩向交差指標12H

時刻

群衆密度 多様度 歩行速度

7.50.00

0.748[人 /m2 0.687 1.2013[m/s]

` 重帽曇 ::│ 、直堀葉 _.●

ど:藤

向交差指標138

立 川駅 コ ン コー ス (広 場 型 )

穐 ず れ 。


空間 一時間系 モデル

移動方向傾 向

L じ

時刻 群衆密度 多様度 歩行速度

積 、

8.∞ .∞ 0.29108[人 /m 0.599 1.2413[m/s

平行交差 指標 132 140 巨人 人 左 fHl示 指 標 1甲 ヽ 直交交差 16 卜対向交差指標

- ・

時刻 8.10.∞ 群衆密度 0.288[人 /

.

多様度

0.764

客 異 曇 指 標187[m/ \軍 │」

、直交交差指標 129

3対 向交差指標32

瑚 ぽ い 。

0

中 鶴 観 嗜 ・ 総 ヽ じ

レ ヽ

時刻 群衆密度 多様度 歩行速度

8.30.∞ 0.052[人 /m 0.27

1.428[m/s

、 平行交差指標 0 、直交交差指標 0 ` 対 向交差 指標 0

立川駅 コンコース (広 場型 )

む 、 ゎ

い 、 .、 ´


空間 -時間系 モ デル

移動方向傾向

13.(X)100 時刻 008 [人 ノm 群衆密度 a664 多様度 1.0799[m/s 歩行速度 平行交差指標 7

● ●

当ψ ・ 、 ・● 、

0

´ ・ だ _― ヽ¨

0

時刻 群衆密度

ボ 't〆

時刻 13.20.00 群衆密度 0。 19 [人 ノm2 多様度 歩行速度 10156[m/sI 平行交差指標 68 直交交差指標 65

´ 〆′″́

時刻

ヽ 、

13.lQ∞ 0.04[人 /m

指標 0

13.30。 ∞

群衆密度 多様度

Q07[人 ノm2 Q59

歩行速度

Q9189[mノ S]

平行交差指標 81 直交交差指標 0 交差指標 0

立川駅 コンコー ス (広 場型 )


空間 ¨時間系 モデル

移動方向傾向

13.50.00

#ft8tr o.rxi l),.tm2 *ffi*.

0.682

1.2255 [n1/ s] 歩行速度 平行交差指標 10 14

0

群衆密度 0.034[人 /m2 Q535 多様度 歩行速度 0。 9629[m/s] 平行交差指標 0 直交交差指標 0

立川駅 コンコース (広 場型 )


空間 -時 間系 モ デ ル

移動方向傾 向

時刻

群衆密度

多様度 歩行 速度

7.05.00

0.496[人 /m2 0.472 1.2603[m/s]

、 平行 交差指標 578 \ 直交交差指標 389

%`

十ゝ

`寸 マ向交差指標

1

時刻

群衆密度

多様度 歩行速度 レ

7.15.CЮ

0.10856[人 /m2 0.213 1.4616[m/s]

ヽ 平行交差指標 0 ヽ 直交交差指標 0

向 交差指 標0 寸 ヽ

時刻 群衆 密 度 多様 度 歩行 速 度

7.25.CXl

0.552[人 /m 0.637 1.3079[m/s

、 平行 交差指標 778 \ 直交交差指標 410

交差指標223 \対向

時刻

群衆密度

7.35.00

0.33456[人 /m

0.528 1.3602[m/s 平行交差指標 4H 多様度 歩行速度

直交交差指標 229 、 ヽ対向交差指標 14

立川駅 コ ン コー ス (通 路 型 )

凄 訣 酸 砂


空間 ―時間系 モデル

移動方 向傾 向

時刻

7.45.∞

群衆 密度

0.49332[人 /m2 0.464 1.417[m/s]

多様度 歩行速度

、 平行交差指標 323 ヽ 直交交差指標 H08

交 差指 標 向 ヽ寸

41

´-ゝ ´

亀 ゝ 一

7.55.∞ 群衆 密 度 0.36[人 /m2 0.657 多様 度 歩行 速度 1.3497[m/s] 時刻

、 平行 交差指標 222 6

` ヽ 蕎 霙 重 層露 帽 最

8.05.00 群衆密 度 0.082[人 /m2 0.349 多様 度 歩行速度 1.3382[m/s] 時刻

` 重 纂 帽 唇 看 霙 \ 10

対向交差指標 13

″` ´ ・- ・・ ~

立川駅 コンコース (通 路型 )


空間 -時間系 モデル

移動方向傾 向

時刻 群衆 密度

多様度 歩行速度 ヽ

1

13.00.00

0.02[人 /m2 0.536 0.2697[m/s]

ヽ 平行交差指標 0

` ヽ奮 葉 重 帽 層 『 :

13.10.00

時刻

多様 度

0.102[人 /m2 0.438

歩行 速 度

1.2721[mノ s]

群衆密度 _´ メ ゝ

0

平行 交差指標 0

直交交差指標 75 、 ` 村 向交差指標 0 \

13.20.00

時刻

群衆密度 多様度 歩行速度

0.592[人 /m2 0.645 1.0745[m/s] 969

、 平行交差指標 ヽ直交交差指標 246

`向交差指標185

13.30.00

時刻

群衆密度 多様度 歩行速度

0.048[人 /m2 0.442

0

[m/s]

、 平行交差指標 0

` \言 葉 重 [種 『

:

立川駅 コンコース (通 路型 )


空間 ―時間系 モデル

移動方向傾 向

13.40。 ∞

時刻

0.028[人 /m2 0.407 1.4172[m/s]

群衆密度

多様度 歩行速度

` ヽ 冥 重 帽 曇 葉 看 \

:1

)ゞ ´´

向交 差 指 標 0

13.50.00

時刻

0.07 [人 /m 0.424 922[m/s]

群衆密度

,

多様度

\奪 愛 曇 提票 \直客 交交差指標 :ヵ

│∫

0

ヽ ヽ ヽ マ e ゝ 、 。

向 交 差 標 指 ド - ′ ″ ′ ″ ィ 0

時刻 群衆密度 多様度 歩行速度

14.∞ .∞

0.08

[A/rn 2

0.543

1.1312[m/s]

- r猪 _ノ 葉 重 種 裔 帽 :

t__´

__ノ

ン′=′

´ヽ - ~´・ - ´

時刻

群衆密度 多様度 歩行速度

14.10.00

0.184[人 /m 2 0.622

1.H33[m/s]

平行交差指標 34・ 5 直交交差指標 24 対向交差指標 0

立川駅 コンコース (通 路型 )

._0¨

¨ ●


空間 -時間系 モデ ル 時刻 7.51.40 群衆密度 0.178[人 /m2] 多様度 歩行速度

0.191 1.6422[m/s]

平行交差指標 239 直交交差指標 1 対向交差指標 0

時刻 7.51.50 群衆密度 0.198[人 /m2] 多様度 0.215 歩行速度 1.4696[m/s] 平行交差指標 29 直交交差指標 7 対向交差指標 0

時刻 7.52.00 群衆密度 0.386[人 /m2] 多様度 歩行速度

/

0.216 1.3782[m/s]

平行交差指標 387 直交交差指標 3 対向交差指標 0

渋谷駅 コンコース (通 路型 )


群衆密度

0.138[人

0.19081 多様度 歩行速度 1.3079[m 平行交錯指標 10.4 直交交錯指標 0 対向交錯指標 0

秋葉原 (昼 )

群衆密度 多様度 歩行速度

0.156[人 0.275 1.3483[m

平行交錯指標 27.5 直交交錯指標 0 対向交錯指標 0.4

秋 葉原 (夕 )

群衆密度

多様度 歩行速度 ● X X 9 ゛ 薔 鬱 蜜 辞 ”

0.324[人 /m2] 0.69827 1.2983[m/s]

平行交錯指標 17.5 直交交錯指標 1 対向交錯指標 0

渋谷駅 (昼 )

群衆 密度 多様 度 歩行 速度

0.448[人 0.7888 1.4923[m

平行 交錯指標 13.5 直交 交錯 指標 2.4 対 向交錯指標 4.8

渋谷駅 (夕 )


群衆密度

0.65[

0.56065 多様度 歩行速度 1.2158[ 平行交錯指標 96.6 直交交錯指標 55 対向交錯指標 0.6

/g・ \

け 響 写 戸 1

中 一 凱

新宿駅 (朝 )

群衆密度

0.194[人 0.61986

多様度 歩行速度 1.456[m 平行交錯指標 17.1

′ ヤ ゆ 烏

直交交錯指標 1.6 対向交錯指標 0.4

、 、 1 0

新宿駅 (昼 )

群衆密度

0.45[

0.70722 多様度 歩行速度 1.249[ 平行交錯指標 30.7 直交交錯指標 25.1 対向交錯指標 4.9

新宿駅 (夕 )


群衆密度

0.192[人 /

0.33159 多様度 歩行速度 1.4932[m/ 平行交差指標 3.3 直交交差指標 2.5 対向交差指標 0 新宿 オフィス (朝 )

0.2“ [人 / 0.46009 多様度 歩行速度 1.3097[m/ 群衆密度

平行交差指標 12.2 直交交差指標 0 対向交差指標 1.1

新宿 オフィス (昼 )

群衆密度

0.15[人 /

0.21317 多様度 歩行速度 1.4229[m/ 平行交差指標 8.1 直交交差指標 0 対向交差指標 0

新宿 オフィス (夕 )

2 1 I ・ F


群衆密度 多様度 歩行速度

0.514[人 / 0.4386 1.0781[m/

平行交差指標 97.7 直交交差指標 2.5 対向交差指標 34.5

巣鴨 (朝 )

群衆密度

0.372[人 /m 0.68322

多様度 歩行速度 0.743[m/s - 平行交差指標 43.7 出 ど 直交交差指標 12.1 対向交差指標 0.4

巣鴨 (夕 )

群衆密度 多様度 歩行速度

0.256[人 / 0.47015 1.5608[m/

平行交差指標 35.4 直交交差指標 0 対向交差指標 4.4

上野 (朝 )

群衆 密度

多様度 歩行速度

1.006[人 /m2 0.70517 1.Oω 7[m/s]

平行交差指標 189.4 直交交差指標 48.8 対向交差指標 15。 1

上野

(夕 )


4.調 査対象地 デ ー タ 研究 に用 いた調査対象地についてのデー タを示す。


■調査資料 本調査 は駅構 内各所 に ビデオカメ ラを設置 し、それぞれの場所 での群 集密度 お よびそ の時 間変化 を把握 す る 目的 で実施 され た。 ■実施 日 1996年 9月 4日 (水 )

く 鋤

/

← 恵比寿

埼京線

新宿 →

] 一 〓

」R中 央口

□ [

動 く

*ビ デ オカ メラ設置箇所 および固定方法 (1)埼 京線 ホ ーム :天 丼鉄骨梁 に専用金具 にて 固定 (2)埼 京線 コンコース :キ オ ス ク上 に三脚 (3)埼 京線 ホ ーム :天 丼鉄骨梁 に専用 金具 にて 固定 (4)~ (6)埼 京線 コンコース :天 丼鉄骨 梁 に専用 金 具 にて 固定 (7)山 手線 ホ ーム (内 回 り):喫 煙 ス ペー ス付近 の柱 の 陰 に三 脚 (8)山 手線 ホ ーム (外 回 り):キ オ ス ク上 に三脚 (9)中 央 口改札付近 (ラ ッチ内):柱 の 陰 に三脚

(10)中 央 回改札付近 (ラ ッチ外 ):表 示板支柱 に専用 金具 にて 固定

く (10)


■ カメラ 1

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:41:10~ 9:44:00 撮影範 囲 JR渋 谷駅埼京線 ホ ーム恵比寿寄 り階段 上 り口付 近 使用 ビデ オカ メラ SONY Hi8ビ デ オカメラ(CCD- TRV60) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 0.6

固定方法

天丼鉄骨梁 に専用金 具 にて 固定。

有効撮影面積

588528m2

備考 階段前蛸集 を確 認。 9時 直前 の電車 2本 で の 到着 に関 しては蝿集 は発生 せ ず、9時 にエ ス カ レー ター運転方向が変 わった後 には再 び観察 され た。

ビデ オ カ メラ設置 状 況

撮影映像


■ カメラ 2

ビデ オカメラ設置 状況

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:46:10~ 9:06:47 撮影 範囲

R渋 谷駅埼京線橋上 コンコース 」 使用 ビデ オカ メラ SONY Hi8ビ デオカメラ(CCD- TR3000) バ ッテ リー駆動(本 体下部 に別ユ ニ ッ トにて 装着

)

wide conversion lens× 07

固定方法

キオス ク上 に三脚 を設置。

有効撮影

671169m2

備考

特 にな し

撮影映像


■ カメラ 3

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:42:59~ 9:46:08 撮影範囲 R渋 谷駅埼京線 ホーム原宿寄 り階段上 り回付近 」 使用 ビデオカメラ

SONY H18ビ デ オカメラ(CCD- TR2000) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 0.7

固定方法

天丼鉄骨 梁 に専用金具 にて 固定。

有効撮影面積 422654m2 備考 特 に階段前蝠 集が観察 される。

ビデ オカ メラ設置状 況

撮影 映像


■ カメラ 4

撮 影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有 効 映像 7:48:32~ 9:51:59 撮影 範 囲

JR渋 谷 駅 埼 京線橋 上 コ ンコース 使 用 ビデ オ カ メラ

SONY H18ビ デ オ カメ ラ(CCD- TR2000) バ ッテ リ ー駆 動 wide conversion lens× 07 固定方法

天丼 鉄骨梁 に専 用 金具 にて 固定 。

有 効 撮影 面 積 備考

1946277m2

特 に な し。

ビデオカメラ設置状況

撮影映像


■ カメラ 5

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:50:15~ 9:52:53 撮影範囲

R渋 谷駅埼京線橋 上 コンコース 」 使用 ビデオカメラ SONY Hi8ビ デオカメラ(CCD- TR2000) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 07

固定方法

天丼鉄骨 梁 に専用 金具 にて固定。

有効撮影面積 276.0976m2 備考 カメラ 4と 撮 影範囲が重 なるため、デ ー ビデ オカ メラ設置状況

タ採取 はせ ず。

撮影映像


■ カメラ 6

ビデ オカ メラ設置状況

撮影 日時 1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30 有効映像 7:51:31~ 9:46:06 撮影範囲

JR渋 谷駅埼京線橋 上 コ ンコース 使用 ビデオカメラ SONY Hi8ビ デ オカメラ(CCD- V700) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 0.7

固定方法

天 丼鉄骨梁 に専用金具 にて 固定

有効撮影面積 836235m2 備 考 レンズの 規格 上 、画像 の歪 み が大 きい が 、面積算定 で は考慮 して い ない 。

撮影映像


■ カメラ 7

撮影 日時 1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30 有効 映像 7:25:21~ 9:00:07 撮影 範囲

JR渋 谷駅 山手線 内回 リホ ー ム上 、中央 口接 続 階段恵比寿寄 り上 り口付近 使 用 ビデオカメラ

SONY Hi8ビ デオカメ ラ(CCD- VX1/NTSC) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 0.7

固定方法

三 脚 に一 脚 を接 続

有 効撮影面積 66.8071m2 備考 ホ ーム上 の待 ち行列お よび連続 した乗 車流 が観察 され る。

ビデ オカ メ ラ設置状況

撮影映像


■ カ メラ 8

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:29:50~ 9:31:41 撮影範囲

JR渋 谷駅 山手線外 回 リホ ーム上、中央 口接続 階 段 恵比寿寄 り上 り回付 近 使用 ビデ オカ メ ラ

SONY Hi8ビ デ オカメラ(CCD- TR1000) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 07

固定方法

三 脚 にて固定

有効撮影面積 21.6733m2 備考 カメラア ン グル上 、撮影範囲が限 られた。

ビデオカ メラ設置状況

撮影映像


■ カメラ 9

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:31:40~ 9:33:23(8:30:10 ~ 8:30:50ま ではテ ー プ交換 のため 欠損 ) 撮影範囲

JR渋 谷駅 山手線 中央 口改札付近(ラ ッチ内

)

使用 ビデ オ カメラ SONYデ ジ タル ビデオカ メラ(DCR- VX1000 NTSCl バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 07

固定方法

三 脚 に一脚 を接続

有効撮影面積 37.8040m2 狭 い 中に も、改札 直前 の流動が確 実 に収め

備考

られて い る。

ビデオカ メラ設置状況

撮影映像


■ カ メラ 10

撮影 日時

1996年 9月 4日 (水 )7:30~ 9:30

有効映像 7:34:01~ 9:37:05 撮影範囲

JR渋 谷駅 山手線 中央 口改札付近(ラ ッチ外

)

使用 ビデ オカ メラ

SONY Hi8ビ デ オカメ ラ(CCD- TR2000) バ ッテ リー駆動 wide conversion lens× 07

固定方法

表示板支柱 に専用金具 にて固定

有効撮影面積 43.3592m2 備考 中央 ロラ ッチ外 の 、様 々 な方向 に入 り 乱 れ る流動が記録 されて い る。

ビデオカ メラ設置状況

撮影映像


謝辞 私 が建築 にお け る人間行 動 の研究 を始めたのは、1990年 に早稲 田大 学理工 学 部建築学科渡辺仁史教授 の もとで行 った「駅お よびそ の周辺 における人 間行動 に関す る研究」 の 時 で した。そ の頃 か ら、歩行者流動 にお け る質的 な違 い に興 味 があ り、歩行者 の「混雑」 と「 にぎわ い」につい ての差異 につい て研 究 を行 っ てお りま した。そ の流れが、本論文 の 2章 における「言語 表現 による歩行行動 の状態把握」 によつて、集大成 された とい えます。 このテ ーマ は、 もともと博 士課程 にあが る際 に渡辺先 生 か ら進 め られ たテ ーマ で もあ り、 自分 も興味 が あ った ことか ら継続的に研 究 を進め、修士論文 では「空 間 における人間行動 の 表現 に関す る研 究」 として ま とめ ま した。 また、博 士課程 では人間行 動 の コ ンピュー タ技術 を利用 した可視化 に興味 を もち、 1996年 「空 間 一時間系 モ デル を用 い た群衆歩行軌跡 の可視化」、 1997年 「交差 立 体可視化 モデルを用 い た群衆 の交錯状態 の表現 に関す る研究」を日本建 築学会論文報告 集 を投稿 し、採用 され ま した。この際 には、渡辺先 生 に全 体、細 部 にわたる細やかな ご指導 をい ただ きま した。この内容 は、本論文 の 3章 にお け る「視覚化手法 による歩行行動 の状態把握」 にまとめ ました。 渡辺先 生 には、これ らの 意義深 い研 究 テーマ につい て 、終始一貫 して親切丁 寧 な ご指導 を賜 りま したばか りでな く、常 に大所高所 か ら示唆 に富 む ご意見 を い ただ き、人間行動 と建築計 画 に関す る理解 を深 める機会 を与 えてい ただ きま した ことを′ いか ら感謝 い た します。 早稲 田大学教授 入江正之先 生 、古谷誠章先生 、早稲 田大学大学院理 工 学研 究 科講師中村良三 先 生 には、 ご多忙 の 中、快 く審査 をお引 き受 けい ただ き、また 貴重 な ご助言 とご指導 をい ただ きました ことを感謝 い た します。 また、本論文作成 にあた りご助言 をい ただい た、早稲 田大学理 工 学総合研 究 セ ン ター訪間研 究員林 田和 人先生、デ ー タの収集 。解析 にお いて多大 な協力 を 得 ま した長澤夏子 ・橘木卓 。馬場義徳 (現 大学院生 )の 各氏 に感謝 の意 を表 し ます。 最後 にな りま したが、私 の研 究活動 お よび私 生活 を支 え、暖か く見守 って く れた両親 に感謝 の意 を表 します。


題 名、

種 類 別 論文

発表 ・ 発行 掲 載誌 名 、

発表 。発 行年 月、

連名者

「交差立体可視化モデルを用 いた群衆の交錯状態の 表現 に関す る研究」 ○佐野 友紀 渡辺 仁史 日本建築学会計画系論文報告集 第 494号 1997 pp.147- 151 「空 間 -時間系モデルを用 いた群衆歩行軌跡の可視化」 日本建築学会計画系論文報告集 第 479号 1996 pp.125- 130

0佐 野 友紀 渡辺 仁史

高瀬 大樹 佐野 友紀 他 4名 「歩行者動線 シ ミュ レーシ ョンシステムの開発」 日本建築学会技術 報告集 3 1996 pp.263- 267 第 111集 第 1399号

講演

0佐 野 友紀

渡辺 仁 史 他 2名 「平均最短歩行 を用 い た歩行行動 の「質」 の解析 空間 -時間系歩行軌跡 モ デ ル を用 いた歩行軌跡 の可視化 日本建築学会大会学術 講演梗概集 1997

その 2」

林 田和 人 佐野 友紀 他 3名 「 回遊空 間 における最短経路 歩行 について」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1997 曹波

「設計 思考過程 の支援 シス テムの 開発 事例 ベース 推論 による設計支援 システムに関す る研 究」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1997 佐野 友紀

他 4名

長澤 夏子 佐野 友紀 他 4名 「建築設計 における景観情報 の共有化 に関す る研 究 」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1997 中丸 隆二 佐野 友紀 他 3名 「群集流動 の評価指標 に関す る研究 群集の流動 と滞留 に関す る研 究 その 1」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1997 群集の流動 と滞留 に関す る研究 その 2」 梅澤 力 佐野 友紀 他 3名 「群集流動 の評価指標 に関す る研 究 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1997 遠藤 寛子 佐野 友紀 他 4名 「 3次 元仮想空間 を用 い た実験方法 に関す る研究」 日本 建築学 会大会学術講演梗概集 1997

0佐 野 友紀

林 田 和 人 他 2名 「空 間 にお ける群衆歩行軌跡 の表現 空間 -時間系歩行軌跡 モデルをもちいた歩行軌跡 の可視化 その 1」 日本建築学会大会学術講演梗概 集 1996年 E- 建築計 画(1) 1996 pp.837-838

渡辺 仁 史 他 3名 「空間 -時間歩行領域 モ デ ル を用 いた群衆流動 における交錯状態 の可視化」 1996 pp.125- 130 情報 ・ システム ・利用 ・技術 シ ンポジ ウム論文集 第 119回

0佐 野 友紀 0佐 野 友紀

「Spacedme Diagrarn Moddを 用 いた群衆歩行軌跡 の可視化」 渡辺 仁 史 第 24回 可視化情報 シンポジウム講演論文集 1996 pp.157- 160

伊藤 育子 佐野 友紀 他 3名 「都市空間 における群衆か ら受 けるイメー ジに関す る研究」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1996年 E- 1建 築計画(1) 1996 pp.841- 842 他 4名 「大 規模空間 におけるメッシュ型 シミュ レー シ ョンシステム 動線計画 のための 人間流動モ デルに関す る研 究 その 4」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1996年 A- 2情 報 システム技術 1996 pp.391- 392

高瀬 大樹

佐野 友紀

平野 え りか 佐野 友紀 他 4名 「映像空 間の分類 映像空間の研 究 その 1」 日本建築学会大 会学術講演梗概集 1996年 E- 1建 築計画(1) 1996 pp.629- 630 長澤 夏子 佐野 友紀 他 4名 「映像 空間における人間行動研 究 映像 と建築空間 その 2」 日本建築学会大 会学術 講演梗概集 1996年 E- 1建 築計画(1) 1996 pp.631- 632


題 名、 発表 。発行掲載誌名、

発表 。発行年 月、

連名者

林田和人 佐野 友紀 他4名 「博覧会場内の行動における 1日 の総量指標について」 日本建 築 学 会大 会学術 講演 梗概 集

中丸 隆二

1996年 E- 1建 築 計 画 (1)

1996 pp.839-840

他 4名 「駅が近接す る区域における行動圏の重 な りに関す る研究」 1996 pp.851- 852 1996年 E- 1建 築計 画 (1)

佐野 友紀

日本建 築 学 会大会学術 講 演 梗概 集

他 5名 「電車発着 パ ルスか らホーム における群集密度波形 を導 出す る 駅 にお ける群集密度変動 の時系列分析 その 2」 日本建築学 会大会学術 講演梗概集 1996年 E- 1建 築計画(1) 1996 pp.853 - 854

樋 口 智幸

佐野 友紀

福富 康人 他 5名 「駅前 ペ デ ス トリア ンデ ッキにおける利用者 の歩行特性 動線計 画支援のための 人間流動 モデルに関す る研究 その 3」 1995 pp:775- 756 日本建 築 学 会大 会学術 講 演梗概 集 1995年 E- 1建 築 計 画 (1)

○佐駐 友紀

浜田 隆弘

佐野 友紀

他 5名「新宿駅及 び駅周 辺地区の歩行者 の行動 に関す る研 究」 1995 pp.753 - 754 1995年 E-1建 築計 画 (1)

日本建 築 学 会大会学術 講演 梗概 集

福富 康人

佐野 友紀 他 4名「博覧会場 における来場者 の回遊パ ターン及 び歩行距離 について 韓国大田博覧会つ3に おける人間行動 の研究 その 4」

日本建築 学 会大 会学術 講演 梗概集

岡本 匡司

佐野 友紀

1995年 E-1建 築計 画 (1)

1995 pp.759 -760

他 4名 「テーマパ ー クにおける入場者数予測 モデルに関す る研究」 t995 pp.161-762 1995年 E- 1建 築計 画 (1)

日本建 築 学 会大 会学術 講演 梗概集

林 淳蔵

佐野 友紀 他4名 「駅勢圏改札口分担モデルによる利用者数の予測に関する研究」

日本建築学会大会学術 講演梗概集

白井 宏昌

1995年 E-1建 築計画(1)

t995 pp.789 - 790

佐野 友紀 他 4名「待ち合わせ空間における構成要素・位置と利用度の関係性に関する研究」

日本建 築 学 会 大 会学術 講 演 梗概集

1995年 E- 1建 築 計 画(1)

1995 pp.729- 730

樋 回 智幸 佐野 友紀 他 5名「駅 における群 集密度変動 の時系列分析」 日本建築学 会大会学術講演梗概集 1995年 E-1建 築計画(1) 1995 pp.757- 758 関澤 麻 里 佐野 友紀 他 4名 「住宅にお ける音 に対す る意識調査」 日本建築学 会大会学術 講演梗概集 1995年 E- 1建 築計 画(1)

1995 pp.821- 822

長澤 夏子 佐野 友紀 他 3名 「都市景観 の 時間的変化 の記述 に関す る研究」 日本建築学会 大会学術 講演梗概集 1995年 F- 1都 市計 画 1995 pp.H9- 120 後藤 聡 佐野 友紀 他 2名「変化か らみ た景観分析」 日本建築学 会大会学術講演梗概集 1995年 F-1都 市計画

0佐 野 友紀 林 淳蔵

1995 pp.121- 122

「大規模空 間 におけるプ ロ ック型 シミュレー シ ョン 動線計 画支援のための人 間流動 モデルに関す る研究 その 2」 日本建築学 会大会学術 講演梗概集 1994年 A情 報 1994 pp.1785- 1786 他 4名

後藤 聡 佐野 友紀 渡辺 仁 史「街の構成要素 と街へ の愛着 に関す る研 究」 日本建築学 会大会学術 講演梗概集 1994年 E建 築計画 l99a pp.1091 - i092

林田 和人 佐野 友紀 他 3名「浜松町周辺利用者の目的地選択 について」 日本建築学会大会学術講演梗概集 1994年 E建 築計画 1994 pp.1031- 1032 「駅及 び周辺市街地 におけるネットワー クフロー型 シミュレーション 動線計画支援のための人間流動 モデルに関す る研究その 1」 日本建 築 学 会 大会学術 講 演 梗概 集 1994年 A情 報 1994 pp.1783 - 1784

林 淳蔵 佐野 友紀

白井 宏昌

他 4名

佐野 友紀

他 2名 「街路 にお ける構成要素 と人の滞流行動 に関す る研 究」

日本建 築 学 会大 会学術 講 演 梗概集

1994年 E建 築 計 画

1994 pp.1037 - 1038


題名、

種 類 別 講演

績 発表 0発 行掲 載誌 名 、

発表 ・ 発行年 月、

連 名者

○佐野 友紀 林 田 和 人 他 3名「建築空間要素のプ ロツク化 による人間流動 シミュレー シ ョンの簡易化 に関す る研究」 1993 pp.139- 144 情報 ・ システム・利用 ・技術 シ ンポジウム論文集 第 16回 高 明秀 他 4名 「言 葉 と映像 を用 いた人間行動 の表現 に関す る研究」 1993 pp.949- 950 日本建築学会大 会学術 講演梗概集 1993年 E建 築計画

0佐 野 友紀

岸野 綱 人 佐野 友紀 他 3名「平面 図 の記憶特性 と探索行動 に関す る研究」 1993 pp.977- 978 日本建築学会大 会学術講演梗概 集 1993年 E建 築計画 佐野 友紀 他 4名「建築計画研究支援 システムに関す る研 究」 高 明秀 日今建築学会大 会学術 講演梗概集 1993年 A情 報 システム技術 1993 pp.1521- 1522 佐藤 宏 佐野 友紀 他 3名 「上野 商店街 における来街者の構成 人 に関す る研究」 1993 pp.951- 952 日本建築学会大 会学術講演梗概 集 1993年 E建 築計画 佐野 友紀 他 3名「巣鴨駅構 内 における高齢者 の行動特性 に関す る研 究」 林 淳蔵 1993 pp.953- 954 日本建築学会大 会学術 講演梗概 集 1993年 E建 築計画 林 田 和人 佐野 友紀 他 4名「博覧会 における入場者数の曜 日変動 について博覧会 における人間行動 に関する研究」 1993 pp.675- 676 日本建築学会大 会学術 講演梗概 集 1993年 E建 築計画 他 2名 「駅 の改札 口における群衆流動 に関す る研究 自動改札 と有人改札」 1992 pp.979- 980 日本建築学会大会学術 講演梗概 集 1992年 E建 築計画

0佐 野 友紀 鄭 姫敬

佐野 友紀 他 3名「駅 及 びその周辺 における人間流動 に関す る研究 その 1」 鄭 姫敬 1991 pp.833- 834 日本建築学会大 会学術講演梗概 集 1991年 度 E.建 築計画 他 3名 「駅 及 びその周辺 にお ける人間流動 に関す る研究 その 2」 1991 pp.835- 836 日本建築学会大 会学術講演梗概 集 1991年 度 E.建 築計画

0佐 野 友紀 鄭 姫敬



Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.