U9807 早稲 田大学理工 学部建築学科事 業論 文 指導み授 渡辺仁史
における増減 の要因 に する研 究
11
‘ ■ L ´ ・ ヽ ・ ‘ く 、
DIPLOMA 1998
ス キー場利用客数 にお ける 増減 の要 因 に関す る研 究 Increase and Decrease of the Number of visitors on Ski Resorfs
G95D058-1
木崎
Hゴ
s力 `ο
聡
I Waranabc LAB,WASEDA UIV11降
1998
DIPLOMA 1998
は じめ に 1990年 代 に入 つて全国のスキー来場客数 は過去最高 に達 したが、1993年 のピー クを境
に激減 して きてい るこの厳 しい現状 において、ス キー場来場客数 のシェアを伸 ば してい るス キー場 と減 らしてい るス キー場 の差 がはっきりとしてきてい る。現在、各 ス キー場 は来場客数 を伸 ばす ために様 々 な対 策 を行 お うとしてい るが、他 のスキー場 との差別化 を図 るために独 自の方向性 を示す ことが必要であ る。
しかしながら、 現在 どの様 なスキー場が来場客数を伸ばしているのかといったデータが そろっておらず、来場客数の増減に関する統計的な資料が極めて少ない。
そ こで、 来場客数 を伸 ば して きてい るスキー場 の共通点 と来場客数 を減 らしてきている スキー場 の共通点 を比較す る ことによ り、 どのような要素が来場客数 に影響 してい るの かを分析す る ことで、今後 のスキー場 リニ ュー アルの方向性 を示す重要な資料 を提供 し たい と考 えてい る。
私事 ではあ りますが、大学生活の冬 は毎年2カ 月近 くスキー場 で働 いてお り、このとき にスキー場関係者の方々が、 どのようにすればお客さんが増えるのだろうと毎年悩 んで おられるのを見 ていて、何か役立つことができないだろ うかとい う考 えが この研究動機 であ り、 この研究結果が少 しで もスキー場関係者のお役 にたてることを願 ってい ます。
HFtosfli Waranabc LABo WASEDA IJNry 1998
DIPLO鳳
1998
目次
は じめ に
1.研 究 目的
2.研 究背景
2
2.1.ス キ ー場 の変遷 2.2.近 年 のスキー場 の傾 向
3.研 究方法
6
3.1.索 道運輸実績 のデ ー タ分析 3.2.ス キ ー場 の各要素 の 多変量分析
3.3.特 定地 区 での競合状況 の分析 7 一
4.研 究結果 4.1.ス キ ー場各種 デ ー タの解析 4.1.1.過 去 10年 間 の来場客数 の変遷 4.1.2.ス キー場 の要素間 の 関係
4.2.湯 沢 地 区での競合状況 4.3.新 潟管轄 ス キー場来場客数 の増減率 トップ 20 とワース ト20の 比較
5.考 察 参考文献 おわ りに Hiloshi Waranabc LAB.WASEDA IIIN17 1998
DIPLOMA 1998
1.研 究 目的
″frosわ f
Waranabe LAB.WASEDA aNIア 1998
DIPLOMA 1998
1.研 究 目的 各 スキー場 の要素 との関 新潟管轄内のスキー場 の索道運輸実績 の変遷 と、 本研究では、 係 を分析す ることで来場客数の現状 を把握 し、スキー場 をリニ ューアルす る時の指針 を 得 ることを目的 とす る。
蘭 losfli Waranabe LABo WASEDA IIIN11に
1998
DPLOMA r998
2.研 究背景
HirOshi Waranabc LAB.WASEDA
υNIヽ乙
1998
DPLOMA 1998
2.研 究背景 2.1.ス キー場 の変遷 1949年 に新 聞 にスキー場 の宣伝記事 が載 るようになった。1950年 代初 めには、経済 も 復興 し、旅行 も自由にで きる ようにな り、ス キー用具 も自由に手にはい るよ うにな り、国 鉄 のスキー車内持 ち込み制限の撤廃、新聞社 や交通公社 のスキー講習会開催 など、一般 へ のスキーの普及が急速 に進 んだ。 1959年 にはス キーがブームとなったが、この頃のスキーヤ ーは神風 ス キーヤ ー と呼 ば れ、 もっぱら神風 のよ うに滑 つてただちにリフ トに乗 るといった、スポー ッ としてのス キーが楽 しまれていた。 スキー リフ トが一般化す ると、 今度 は大型 のグ レンデと整 った宿泊施設が求 め られるよ うになった。当時 は、赤倉観光 ホテ ルの付属 スキー場 が時代 の最先端 といわれてお り、そ れにな らって開発 された岩原 スキー場 も、付属 した洋式 ホテル と最新 の リフ トを備 えた 近代的 なスキー場 として人気 を呼 んだ。また、この時代 には温泉地に付属 したスキー場、 鉄道立地 のスキー場 が相次 いで開発 されている。 この時代 の代表的 なス キー場 には、駅 前 ス キー場 として有名 な中里、湯沢、石打 スキー場 がある。
1960年 代 には、高度経済成長 によ り生活 も向上 し、一般 のスキーヤ ーは急激 に増加す る。そ して、大 きなゲ レンデが好 まれるようにな り、スキー に適 した斜面 に本格的 なス キー場 が 開発 される よ うになる。 この時代 には、中里、八方尾根、猪苗代、苗場、天神 平、栂池、函館 山、天元台、妙高高原 など、 日本 を代表す るようなス キー場 が 開発 され てい る。 これ らの新設 ス キー場 は規模 が大 きく、施設整備にかな りの資金 を必要 とす る ため、大手資本 が乗 り出 して計画的に整備 されて いった。 また、この頃、経済発展 の歪みに よる過疎化対策 として地域振興 に注力 され、地元住民 の厚 生施設 としてスキー場 がつ くられるようになった。現在 日本 のスキー場 のほぼ半分 が地元住民 を対象 にした小 さなスキー場 や、立地条件 の悪 い古 いスキー場 で あ る。 1964年 の東京 オリンピック似合わせて飛躍的 に高速道路が整備 され、自動車が急速 に 普及す る。それ によってスキーヤ ーの主 な移動手段 は、それまでの鉄道 に 自家用車やバ ″ fι os力 r
Waranabc LAB.WASEDA UNI▼l
r998
DIPLOMA r998
スが取 つて代 わった。 自動車ス キ ー時代 の先駆 とい えるのは苗場 スキー場、栗子 ス キー 場 などが挙げ られる。 首都圏から交通至便な範囲にス キー場 の適地 を求め、大規模 な駐車場 苗場 スキー場 は、 を整備 した。それまでの スキー場 は、 リフ トの整備 は積極的 に行 うが飲食施設や宿泊施 設 に対す る投資 は怠 りがちであ り、 これ らの施設 を全 く異業者任せ とす るス キー場 も多 か った。 しか し、苗場 ス キー場 はス キー場 を総合的 な リゾー トとして捉 え、ゲ レンデ内 の整備 は もとよ り、様 々 な付帯設備 を直接経営す る ことによ り、サ ー ビス水準 を高位 か つ一定 に保 った。その結果、当時 か ら車 で苗場 にス キーに行 くことはひとつのステ イタ ス にもなってお り、 この 開発手法 は後 のスキー場開発 の大 きな流れを作 った。 大型観光バススキーの代表 とい えるのは斑尾 スキー場 であ る1972年 に新設 された この ス キー場 は、 ホテルとペ ンションを主体 とした宿泊施設 を備 え、統一的なデザイ ンが施 された新 しい時代感覚 のスキー場 で あ り、大型観光バス にも対 応で きるように計画 され た。 また、当時 はまだ新 しかった宿泊施設 としてペ ンシ ョンを取 り入れる ことで若者 の 関心 を集 め、立地条件 が悪 いにもかかわらず人気 を博 した。大手資本に よるスキー場 の ほかは、小規模事業所 や個人経営 のホテル、ペ ンシ ョン、 ロ ッジ、 レス トラ ンなどを集 積 させてお り、計画的な土地分譲 による不動産 。金融商品化 の先鞭 をつ けたことも特徴 であ る。
1972年 には冬季 オリ ンピックが 本L幌 で 開催 され、 これを機 に一段 とス キ ーが盛 んに なった。 また、 これを契機 に飛行機 を利用 した北海道 ス キーパ ックが盛 んになる。
1980年 代 に入 って も経済成長 は続 き、国民生活 もます ます向上 した。 レジ ャー に対 し て も大 きなウェイ トが置 かれ、ス キ ー場 も質的に大 きく変化 してい く。西欧諸国の技術 が積極的 に導入 され、 リフ トは高速 。大量輸送時代 を迎 えた。 ペ アリフ ト、 トリプル リ フ ト、デ タッチ ヤブル リフ ト、 ゴン ドラリフ トなどが続 々 と導入 された。ゲ レンデの整 備 に圧雪車 が使 われるよ うになった の もこの時期 であ る。 人口造雪機 が本格的 に普及 したの もこの時期 か らである。1963年 に六 甲山スキー場 で 初登場 し、1970年 には、国土計画が軽井沢 での使用実験 を開始 し、1979年 か ら人エ ス キー 場 として開業 してい る。人工造雪機 により雪が少ない時期 で もス キーがで きる ようにな り、雪不足 に悩 まされる ことなく、安定 して長期間の営業が可 能 になった。さ らには、雪 Irilosヵ f"raranabe
LABo WASEDA IINIヽ 41998
DIPLOMA 1998
が少 ないが気温 は低 い地方 で もスキー場 を営業す る ことがで きるようにもなってい る。 運賃の高 くなった鉄道 か ら乗 り心地が一段 と良 くなった大型 バスや 自 利用交通手段 も、 家用車 へ ますます移行す ることとなる。
1980年 代後半 にはバ ブル経済 とともにリゾー トブーム にな り、各地 で 目玉施設 として のスキー場開発計 画が持 ち上が った。1985年 にオー プ ン した北海道 アルフ ァリゾー トト マムは、豪華な施設や専用 ス キー列車 。バスの運行 など、総合的なリゾー ト整備 の代表 として持 てはや された。1989年 にはスキー場 の新設 ラッシユ とな り、この時期 に既存 の スキー場 の施設整備 も飛躍的 に進んだ。温泉やプー ル、 レス トラ ンなどの施設 との複合 化 もこの 頃か ら進 み、高級 リゾー トとしての整備 が この時期 に盛んに進め られた。また、 リフ トの 自動改札 システムが登場 し、自動化 。簡易化 が進 み始 めた。 東北新幹線 の開業 で、アクセ ス時間が 夜行 バ スやス キ ー専用列車 もにぎわった。上越 。 短 く、乗 り心地 も良い新幹線 を利用 した日帰 リス キー も増加 した。新幹線 の駅 にスキー セ ンターが組み込 まれ、駅か ら直接 スキー場へ行 け るガー ラ湯澤 は 1990年 に誕生 した。 1991年 のバ ブル経済崩壊 とともにリゾー トブーム に乗 った大半 のスキー場開発計画 は頓
挫す る。現在では、スキー場 の飽和感 が 出て きてお り、施設間競争 が激化 してい る。 ひ と昔前 の ようなス キーー辺倒 とい う人 は少 な くな り、ライ ト感覚 のお しゃれなス キー を 楽 しむ傾 向が高 まっている。 ス キー場 の差別化 はます ます進み、プリペ イ ドカー ドの導 入、託児所 の設置、 クアハ ウスの新設、ナ イター 。早朝 スキーヘ の対応、更衣室 ・仮眠 室 。化粧室・ トイ レ等 の充実 など、切磋琢磨 が くり広 げられてい る。一方、 この時期か らスノー ボーダーが急増 し、一大 ブーム となる。各 ス キー場 では、当初 はスノー ボー ダー 受け入 れ をため らっていたが 、スキーヤーが減少 してい ることもあ って受け入 れるとこ ろが増 えている。
Hfrο shi
Waranabc LAB.WASEDA IIINIヽ 41998
DIPLOMA 1998 2.2.近 年のスキー場 の傾向
バ ブル経済崩壊 ととも 着実 に伸 びてきていたスキー場利用客数 は、 先 に述べ たように、 にその後、激減 してきている。スノーボー ドの人気 により、一時スキー場利用客数 は多 少増加 したが、結局 スノーボー ドブーム も続かず継続的に減少 している。 スキーが一般化 し、 最近はスキー場利用者のスキーの楽 しみ方 にもいろい ろなスタイル やパ ターンが生 じてきている。従 って、スキー場側 としてはこのようなス キー行動 の多 寸応することが これから求められている。 様化、多面化 に対 して適切に文 「保養 ス 「 ガッツスキー」 実際 には、スキー場利用客がスキー旅行 に求める要素 として、 キー」「お手軽 レジャースキー」「おつ きあいスキー」が多 く見 られる。また、量的 には 多 くはないが、はつきりしたス タイルの「 リゾー トライフスキー」「家族団 らんスキー」 「グループ旅行 スキー」 などがあ り、 このようなスキー 目的 「デー ト&レ ッスンスキー」 に対応 してい く方向 にある。
Hゴ ι Os力
f Waranabe LAB.WASEDA IJN17 1998
DIPLOMA r998
3.研 究方法
HfrOsflf Waranabc LAB.WASEDA UNIヽ 乙 1998
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3.研 究方法 3.1.索 道運輸実績 のデ ータ分析 新潟管轄内スキー場 の索道運輸実績 を分析 しエ リア内でのシェアの変化 とその理由を考 察 す る。 ここで、 各 スキー場 ごとの入場者数の算定方法が まちま 索道運輸実績 を使用 す るのは、 ちなため、変化 を確実 に調査す るためである。
3.2.ス キー場 の各要素 の多変量解析
新潟地区 における索道運輸実績 上位 100の スキー場 に関 して、スキー場 の各要素
(コ
ー
ス数、リフ ト数、最長滑走距離、総面積、相輸送能力、相延長距離、平成 9年 度 シーズ ン 総入 り込 み数、積雪、気温、営業期間、 リフ ト料金、首都圏か らの時間 。距離、最寄 り 高速 イ ンターか らの距離)と 索道運輸実績 の関係 を多変量解析 を用 いて細 か く調べ 、 ス キー場利用者数増減 の原因を統計的 に調べ る。そ して、ス キー場 の各要素 とスキー場利 用者数 の関係 を関係式 として導 き出す。 ここで、平成 9年 度 シーズン とは、平成 8年 冬 か ら平成 9年 春 までの期間であ る。
3.3.特 定地区での競合状況の分析
関越高速道路 の湯沢 イ ンター、塩沢石打 イ ンター、六 日町イ ンター を利用す るエ リアを 湯沢地区 と呼 び、過去 10年 間 における湯沢地区での競合状況 を分析 し、この地区でのス キー場利用者数増減 の原因 を考察す る。
ここで、 この論文 で使用 したデ ー タのサ ンプル数 は、314の スキー場 である。
″ frOshf wara口
abc LAB.WASEDA UN11隆 1998
DIPLOMA 1998
4。
研 究結果
shf Waranabc LAB.WASEDAじ
Hfι ο
NIヽ
41998
DIPLOMA F998
4.研 究結果 4.1.ス キー場各種 デー タの解析 4.1.1.過 去 10年 間の来場客数 の変遷 各 スキー場 ごとの確実 な来場客数 の デー タが無 いために、最 も来場客数 の推移 に近 い デ ー タである索道運輸実績 を利用す る。そ して過去 10年 間の新潟管轄地区索道運輸実績 の推移 を考察す る ことでこの地域 のスキー場来場客数 の変遷 を追 うことにす る。 ここで 利用す るデー タは秋田地区、山形地区、上越地 区、信越地区、北信地区、南信地区か ら 構成 されてお り、新潟管轄 とはいって も秋田県 と山形県 と長野県 の一部 のスキー場 を含 単位 10万 人
新 潟 管 轄 地 区 索 道 運 輸 実績
5,000 4,500 4,000 3,500
□ 南信 合 計 □ 北信 合 計
3,000
□ 信越合計
2,500
□ 上越合計
北信 合 計
□ 山形 合 計
2,000
□ 秋 田合 計
1,500 1,000
500 山形合 計
=o一 経肝
#い経肝
一 廿呻経肝 饗 の
難 =卜怪肝 一
輸
索
督 肝
#口督肝 運
寺
=n督肝
廿n経肝
#劇督ト
=眠経許
0
秋 田合 計 シ ーズ ン
図 4.1.1-1 ″′ ι οsカ ゴWa″ nabc
LAB.WASEDA IINIV.1998
DIPLOMA 1998 んでい る。 この図 4.1.1-1に 見 られ る変化 の理由を以下 に述べ る。 バ ブル経済の最中 にはスキー場 開発 や再開発が相次 ぎ、また映画の影響 などによ リス キー に行 くことがお洒落な感覚 として世 の中 に受け入 れ られ一種 のステイタス とな リス キーヤ ーの増加 を生み、スキー場 の索道運輸実績 を伸 ば していった。 しか し、バ ブル経済 の崩壊 とともにやつて きた不況 により、かな りのスキーヤーはお金 のかかるスキーか ら離 れていった。これによ り平成5年 度 シーズ ンか ら新潟管轄地区索道 運輸実績 は激減 してい る。 索道運輸実績 は平成7年 度 シーズ ンか ら平成8年 度 シーズ ンにかけて一時期伸 びてい る が これはスノーボー ドの爆発的 な人気 によるものである。しか し、この影響以上 にス キー の落ち込 みは激 しく、 ここ数年 は さらに減少 してい る。 ここで平成 5年 度 シーズンの ピー ク時 に比べ た平成 10年 度 シーズ ンの索道運輸実績 の 割合 を調べ てみると63.54%で ある ことがわかる。 次 に個 々の地区について見 るとどの地区 もピークに比べ るとかな り減少 している ことが わかる。前 に述べ たス キー場来場客数 の変化 は どの地区におい て も同様 の変化 を示 して お り、その理由 も同様 のことが考 えられる。表 4.1.1-1の ようになる。 地区 ごとの減少 の割合 をみるために先 と同様 にして、各地区 ごとの過去 10年 間のシー ズ ンの ピー ク時 に比 べ た平成 10年 度 シーズ ンの索道運輸実績 の割合 を調べ てみる と、秋 田地区、山形地区、上越地区、信越地区、北信地区、南信地区 の増減率 は下表 4。
1。
1…
1よ
うになる。 南信合計 北信合計 信越合計 上越合計 山形合計 秋 田合計 0。
00% 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 50.00% 60.00% 70.00%増
減率
図 4.1.1-2 各地区増減率の比較 Hftos力 f
Waranabe LABo WASEDA
υA圧ア 1998
DIPLOMA 1998
図4.1.1-2に よ り得 られる各地区の増減率 の最 も高 い南信地区
(69。
12%)と 最 も低 い北
信地区 (56.51%)を 比較す る。まず、 この各地区に含 まれる主 なスキー場 を比較す るこ とによ り増減率の違 い について考察す る。
南信 地 区
八方尾根、白馬乗鞍、御岳、HAKUBA47、 白樺 リゾー ト、五竜 とおみ、 サ ンアルピナ鹿島槍、岩岳、栂池高原 、自樺湖 ROYAL HILLな ど
南信地区のスキー場 の特徴 として、 この地域 は 日本 アル プス と呼 ばれてお り、 美 しさにおいては ヨーロ ッパ アルプス にもひけをとらない といわれてい る。 こ れだけの景観 を、麓 にい なが ら楽 しめるところは 日本 で唯一 、 この地域 の 自馬 山麓周辺 だけで あ る。 この地域 に上 に挙げたス キー場 は位置 してお り、また、 スキー場 自体 も非常 に規模 が大 きく、交通 の便 の よい地域 であ る。全体的 にペ ンシ ョンや リゾー トホテルなどが宿泊形態 をとってお り、お洒落 なイメー ジ がある。 このために、若 い年齢層 を多 く獲得 してい るようであ る。
北信地区 。・・菅平高原、斑尾高原、志賀高原、野沢温泉、黒姫前山、蓮池、戸狩、 信濃平、国設飯綱、黒姫高原 など
北信地区のスキー場 の特徴 として、 この地域 は温泉 と結 び付 いたス キー場 が 多 くあ り、民宿 が 中心 の宿泊形態 である。 しか し、最近 のスキーヤ ーの大 きな 割合 を占める若 い年齢層 の民宿離 れが進 んでお り、 この地域 のスキー場 は苦戦 を強 い られてい る。そのため、増減率が 56.51%と 、かな りの減 り具合 となって い る。
HfrOsカ ゴ Waranabe
9
LAB.WASEDAじ
NIフ 11998
DIPLOMA 1998
ここに各地区の過去 10年 間のスキー場索道運輸実績 の変化 の グラフを示す。 この図 4.1.1-3に よ り、全 ての地域 で索道運輸実績が減少 してい る ことが分かる。
各地域 の索道運輸実績
単位 10万 人
1400
1000 ―
秋 田合
J卜 山形合 、1上 越 合
‐綺 信越合言
# o一経 昨
# い経 肝 遷 変
実
各
# 口怪 肝 卸
廿 卜贅 肝
輸 運 廿 一 怪 肝 雑 廿 n 贅 叶 助
量 ト
・ 贅辟
廿劇贅叶
廿唱経肝
#n
―
北信 合
―
南信 合
シーズ ン
図 4.1.1… 3 HfrOshf Waranabc LAB.WASEDA UN11隆 10
1998
DIPLOMA 1998
次 に新潟管轄内の各地区における索道運輸実績 のシェアを見 ることによ り、 来場客数 の シェアの変化 をみる。
先 に述 べ た南信地 区 と北信地 区 の シェアをみ る と北信 地 区 か ら南 信 地区 にス キー ヤ ーが 流 れ て い る こ とが わか る。そ の 理 由 と しては、この 2つ の 地域 は互 い に隣接 してお り、最
100%
90% 80% 70% □ 南信合計
60%
□ 北信合計 □ 信越合計
50%
□ 上越合計 □ 山形合計
40%
□ 秋田合計
30% 20% 10%
/1
止 ∬F賀ト ヒ
エ
制 図 4。 1。 1-4
珍 廿o 怪 卜
怪 ト
ン 廿 m怪卜 ヽ の
廿
=■怪 卜 難
怪 ト
0
輸 せ 怪卜 運 道 =島怪 卜 嫌
廿 N
撃 怪卜
廿 H怪ト
0%
シーズ ン
HfrOsflf Waranabc LAB.WASEDAじ NIア 1998
DIPLOMA 1998
近の若者の傾向に南信地区の方が合 つているためであろう。また、交通の便から考 えて みると南信地区の方が高速道路 を降 りてからの国道、県道 の整備が整 っている。 これは 長野 オリンピックに関係 して、高速道路からのアクセスをよ くしたことの影響が多 く関 与 している。
HTloshi Waranabe LABo WASEDA IJNIア 1998 12
DIPLOMA 1998 まとめ 以上のことを考 えるとスキー場索道運輸実績 はどの地 区 を見 ても同 じように減少 してお り、経済的な原因 によるス キー人口の減少 が大 きく関係 してい る。 しか し、各地区 ごと に来場客数 のシェアを比較す ると地域的な立地条件や雰囲気 といった ものがか な り影響 してい る ことがわかる。
蘭 3os力 f Wa"nabθ
13
LAB.WASEDA IINIア
1998
DIPLOMA r998
4.1.2.ス キー場 の要素間の関係 4.1.2.1 各要素 と索道運輸実績 の相関関係
スキー場 を形成す る要素 と索道運輸実績 との関係 を調べ ることによ り来場客数に大 きく 関係す る原因 を調べ る。
ここでのス キー場 の要素 とは次 の 12の 要素である。
1.コ ース数 2.リ フ ト数
3.最 長滑走距離
4.総 面積 5.総 輸送能力 =各 リフ トの 1時 間あ た りの輸送人員数の合計 6。
総延長距離 =各 リフ トの距離 の合計
7.総 入込数 8。
積雪
9。
平均気温
10.営 業期間
H.リ フ ト料金 12.首 都 圏からの時間
これ らの要素 を目的変数 とし、番号順 に Xl、
X2、 X3・
・・・、X12を とす る。Ylに
平成 10年 度 シーズン索道運輸実績 を説明変数 として、多変量解析 を行 う。 ここで、多変量解析法 の重回帰分析 によってYlの 値 をxl∼ x2の 値 を使 って予測す る ことがで きる。 相関関係 とは 00
2つ の量的変数があ って、一方 の変数のデー タが変化 した ときに、 もう一方 の変数 の デー タもそれにともなって変化す る場合、これ ら2つ の変数 の 間 には相関関係 がある とい
HfrOshf waranabc LAB."И SEDA UNIア 1998 14
DIPLOMA f998 う。相 関関係 の なかで も、一 方 の変数の値 が大 きくなる と、一方の変数 の値 も大 きくな るとい う関係 を正 の関係 といい、 これ とは逆 に、一方 の変数の値 が大 きくなると、 もう 一方 の変数の値 は逆 に小 さ くなるとい う関係 を負 の相関関係 とい う。 相関関係 の強 さを測る指標が相関係数 であ る。相関係数 は通常 rと い う記号 で表記 さ れる。相 関係数 は -1か ら+1ま での間の値 をとり、相関係数 の絶対値、あ るい は相関係数 の 2乗 値 が 1に 近 い ほど相関関係 が強い と判断す る。相関係数が 0に 近 い ときは、その 2 つの変数 の間には相関関係 が ない ことを示 してい る。
Xl∼ X12と Ylと の 13の 変数 との 間に成 り立つ相 関係数 を表 にした相関行列 の表4.1.21を 示す。
これによ り総入込数 と強い相関関係 のあるスキー場 の要素 を相関関係 の強い ものか ら順 に以下 に示す。右 の数値 は相関係数 であ る。
1.総 輸送 能力 0。 95 2.リ
0.94
フ ト数
3.総 延長 距離
0。 92
0。 78
4.コ ース 数
これ らの結果 により、 規模 が大 きい とい うこと 総入込数の多いスキー場の特徴 として、 が挙げ られる。
表 4。 1.2-1各 要素 と索道運輸実績の相関関係 ス キ ー場 の要 素
相 関係 数
Xl
コース
0.785
X2 X3
リフ ト
0.941
最長滑走距離
X4
総面積
X5 X6
総輸送能力 総延長距離
X7
総 入 込 み数
X8 X9
積雪
0.527 0.418 0.953 0.920 0,907 -0.066
目的変 数
Xl l
気温 営 業期 間 97 リフ ト料金
X12
時間
X10
0.554 0.620 -0.055
Hitos力 f
15
-0.287
Waranabe LAB.WASEDA IJNIV.1998
DIPLOMA 1998
ここで、重回帰分析 により得 られる回帰式 を示す。 この回帰式 によ りXl∼ X12の 各 スキー場 の要素が決 まっていれば Ylの 値 つ まり索道 運輸実績 を予測す る ことがで きる。
ここで、この回帰式 の有効性 を評価す る寄与率 とい うものが ある。寄与率 は 目的変数 y の変動 の うちで、xを 使 った回帰式 によって説明 のつ く変動 の割合 を示す指標 であ る。寄 与率が 1に 近 いほど、回帰式 の 当てはめが うまくいっていることになる。寄与率 はR2で 示 される。 回帰 式
+319.009349 Xll
Yl索 道運輸実績 Xl コース X2 リフ ト X3最 長滑走距離 X4 総面積 X5 総輸送能力 X6 総延長距離 X7 総入込 み数 X8 積雪 X9 気温 X10営 業期間97 Xll リフ ト料金
-154746.34 X12
X12
Yl==-862726.97 -10388.01 7 Xl -16055,379 X2
+59.1837029X3 -324.89736
X4
+147.053141 X5 +42.4900131 X6 +1.88542728 X7 ¨ 482.42763 X8 -46819.347 X9
+1913.08016X10
寄与率
日 寺間
R2=0.9377
R2が 非常 に 1に 近 いために この回帰式 はかな り有効 であ る。 表 4。 1.2-2 回帰統計表
0.97 0.94 0.92
重相 関 R
重決定 R2 補 正 R2
1049152.43
標準誤差
65.00
観 測数
HfrOshJ Waranabc LAB.WASEDAじ NIVl 1998 16
DIPLOMA 1998 4.1.2.2 各要素 と増減率の相関関係
次 にY2を 増減率 として多変量解析 をお こな う。ここで、増減率 とは新潟管轄地区索道 利用延 べ 人数 の過去 10年 間の ピー クに対す る平成 10年 度 シーズ ンの割合 としてお り、 シェアの変化率 と同 じである。 下の表4.1。 2中 にある相関行列 の表 によ り、減少率 とスキー場 の各要素 の相関はあま りな いことがわか った。 また、重回帰分析 により得 られる回帰式 も、表 4.1.2-4に よ りR2が 1に 比べ て小 さな値 を示す ことがわかる。 これによ り、 この 回帰式 はあま り有効 ではない ことがわかった。
表 4.1。 2-3 各要素 と増減率の相関関係 目的変数
ス キ ー場 の 要 素
Xl
コース
X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8 X9
リフ ト
相関係数
-0.130 -0.225 -0.143 0.089 -0.186 -0.195 -0.104 -0.034 -0.047 0.008 -0.093 -0.162
最長滑走距離 総面積 総輸送能力 総 延長距離 総 入込 み数 積雪
気温
X10
営業期間97
Xll
リフ ト料 金
X12
時間
表 4。 1.2-4 回帰統計表 重相 関 R
0.461
重決定 R2
0.213 0。 031 0.217 65
補 正 R2
標準誤差 観測数
Hゴ ι οsr2f
17
Watar2abe LAB. WASEDA IINIン 11998
DIPLOMA 1998
4.2.湯 沢 地区での競合状況 ここでは、関越 自動車 の湯沢 イ ンター、塩沢石打 イ ンター、六 日町インター を利用す る ス キー場 のエ リアを湯沢地区 と呼 ぶ。 このエ リア内においての来場客数 に関係す るスキー場 の要素の分析 をするために多変量 解析 の重 回帰分析 を用 い る。
Y3を 増減率 として、Xl∼
XHは 今 までの要素 を用 い、新 たな要素 に
X12・ ・ 入込 /面 積 X13・ ・ 高 速道路 の 距 離 X14・ ・ 国道 、県道 の 距 離 X15。 ・ 時 間 を用 い る こ とす る 。
これによ り得 られる次 のペー ジの相関行列 の表 4。 2-1に よ り、このエ リア内での増減率
表 4。 2-1 各要素 とエ リア内増減率 の相関関係 目的変 数
ス キ ー場 の 要素
相 関係 数
Xl
コー ス
X2 X3
リフ ト
0.256 0.218
最長滑走 距離
-0.016
X4
総面積
X5 X6
総輸送能力
0.358 0.285 0.202 0.230 0.475 0.273 0.205 0.287 0.118
X7
総延長 距離 総入込 み数
X8 X9
積雪
X10
営業期 間 97 リフ ト料 金
Xll
X12 X13 X14 X15
気温
入 り込 み/面 積 高速
国道・ 県道 時間
-0.083 -0.248 -0.458
HfrOsカ メWaranabc
18
LAB.WASEDA
υNIア
1998
DIPLOMA 1998
に多少影響 を及ぼしている要素 は、次 の6つ になる。
1.時 間
2.積 雪 3。
国道 ・県道 の距離
4.気 温 5.コ ース数
6.営 業期間
このことか ら考察す ると、 首都圏か ら近 いス キー場 で あ り、さらに高速道路 を降 りてか らの国道 。県道の距離 が短 くてアクセスが しやす く、規模 の大 きいス キー場がシ ェ アを 伸 ば してい る ことがわかる。また、営業期間が長 く積雪 が多 い とい うことか ら、人工 降 雪機 を備 えた、施設 の充実 してい るスキー場 もシェアを伸 ば してい る。
また、 この 重 回帰 分 析 に よ り得 られ る 回帰 式 は 、次 の よ う に な る 。
回帰 式
Y3
Y3=1.063
-0.014 Xl
Xl
+0.003X2
X2
+O.006X8 +O.036X9 -0.006X10 +O.010X13 +0.009X14 -0.770X15
X8 X9 X10 X13 X14 x15
エリア内増減率 コス リフト 積雪 気温 営業期間97 高速 国道・県道 時間
この回帰式 は、次 のページの回帰統計表 によ り、寄与率 R2=0。 723と な り、かな り有 効 な式 であ る。
HirOshi waranabe LAB.WASEDA IIIIV11に 1998 19
DIPLOMA 1998
表 4.2-2 回帰統計表
0.850 0.723
重相 関 R
重決定 R2 補正
-0.662
R2
0.335 19
標準誤差 観 測数
これ らの ことか ら、地区内のシェアの変化 に与 えるス キー場 の要素 は、 まとめると 1.イ
ンターか らの距離
2.施 設 の充実度 3.規 模
が影響 してい るとわかる。
Hゴ ι Os力 f
20
Waranabc LABo WASEDA IIIIVIy 1998
DIPLOMA r998
また、ここで、過去 10年 間の湯沢地区ス キー場 の索道運輸実績 により、湯沢地区のシェ アの 変化 をみ る。
100%
90% 80% 70%
60% 50%
40% 30% 20% 10%
=●二Цト
= ユ﹁眸
= ■■ト
= 卜贅 ト
= 豊﹁眸
= 崎饉 眸
= 守饉 ト
= 里﹁眸
= 里﹁眸
=は 嘔 ト
0%
シーズン 図 4.2-1湯 沢 地 区索 道 運 輸 実 績 の シ ェ ア 変 化 HfrOsヵ f
21
waranabc LAB.WASEDAじ NIア 1998
DIPLOMA 1998 まとめ この グラフと先の相 関分析 の結果 により次 のことが い える。 1.イ
ン ターか らの距離
2.施 設 の充実度 3.規 模
の 3つ の条件 の うち 1つ も満た してい ないス キー場 の増減率 は悪 い。増減率 のよいス キー場 は最低 で もこの 3つ の条件 の うち 2つ の条件 を満 た していることがわかる。
1.イ
ンターか らの距離 イ ンターからの距離 は、 ほかの条件 と比べ ると大 きな要因 とはな りに
くいが、遠 いス キー場 である場合 には他 の魅力がない場合 には増減率 は 減少傾向 にあるとい える。
2.施 設 の充実度
人工 降雪機 や リフ トの設備 が充実 してお り、早朝 ス キーがで きた り、 リフ トの輸送能力 が高いス キ ー場 や営業期間の長 いス キー場 は比較的 シ ェアを伸 ば してい る。
3.規 模 規模 の 大 きな ス キ ー場 は他 の 2つ の 条件 が 組 み 合 わ されれ ば シ ェ アは 増 加 して い る。
shf Watanabe LAB.7ASEDA UNIy 1998
Hfι ο
22
DIPLOMA f998
4.3.新 潟管轄 スキ ー場来場客数 の増減率、 トップ 20と ワース ト20の 比較 新潟管轄スキー場 の増減率 のよいスキー場 と悪 いスキー場 との間にはどのよ うな違いが あ るのか を分析す るために増減率 の トップ20と ワース ト20の ス キー場 の各要素 に関 して それぞれ の平均 を比 較す る。 それ により、現在 のスキー場 の増減率 に関係す るスキー場 の要素 をはっきりと提示す る。 以下 に トップ20と ワース ト20を 比較 したグラ フを示す。
1.00
0.00
2.00
3.00
4.00
5.00
6.00
本
本数
図 4。 3-1 リ フ ト数 に関す る比較
トップ 20
ワー ス ト20
50,0
0.0
100.0
150.0
200.0
250.0
300.0:筋
ヘ ク タール
図 4.3-2 総面積 に関す る比較
上の 2つ の図4.3-1と
4.3…
2に よ り、増減率のよいスキー場 ほどリフ トの数が多 く、総面
積が大 きいことがわかる。 f Waranabe LAB.7ASEDA IIIN17 1998
Hゴ `os力
23
DIPLOMA 1998
1500 1600 1700 1800 1900 2000 210% 距離
図 4.3-3 最 長滑走 距 離 に関す る比 較
トップ
_ル ∠1____
3000
4000
5000
6000
J y
ワ ース ト
7000
m
図 4.3-4 総延長 距 離 に関す る比 較
また、上の2つ の図
4。
3…
3と 4.3-4か らは増減率のよいスキー場 ほど、最長滑走距離が長
く、各 リフトの総延長距離が長いことがわかる。
4つ の図4.3-1∼ 4。 3-4か ら、規模 の大 きいス キー場 ほど増減率 がよくな っていることが 読 み取 れる。
Hitos力 f
24
Waranabc LABo WASEDA IIINI′ 1998
DIPLOMA r998
70008000900010000110001200013000140跛
/時
図4.3… 5 総輸送能力に関する比較
ワ ース ト20
120.0 日数
図 4.3-6 平成 9年 度 シーズ ン営業期間 に関す る比較
図 4.3-5と 4.3-6に よ り、それぞれ増減率 のよいスキー場 ほどリフ トの総輸送能力が高 く、営業期 間が長 いこ とがわかる。 リフ トの総輸送能力が高 いスキー場 は高速 クワッドリフ トや高速 トリプル リフ トなどの 設備 が整 ってお り、営業期 間の長 いス キー場 は人工 降雪機 を使用 してい るとい うことか ら、増 減率 の よいスキー場 ほど施設 が充実 してい る ことがわかる。
HfrOsflf waranabe LAB.WASEDA UN11隆 1998 25
DIPLOMA 1998
¥2,500
¥3,000
¥3,500
¥4,000
¥4,500
¥5,000
図 4。 3-7 リフ ト料 金 に 関す る比 較
増減率 つ まリシェアの変化率 は リフ ト料 金 と関係 ないこ とがわかる。 図4。 3-7を みる と、
まとめ 以上 のことか ら増減率 に関係 してい るス キー場 の要素 は 1.ス
キー場 の規模
2.施 設 の充実度
であ り、これ らの要素 が 、かな リス キー場 の索道運輸実績 に影響 を与 えてお り、リフ ト 料金 は関係 が ないことがわかる。
HfrOsrli warallabc LAB.WASEDA ylv11降 1998
26
DIPLOMA 1998
HfrOshr"ζ aranabe
LAB.WASEDAじ
N11隆
1998
DIPLOMA f998
5.考 察 4。
結果 により、次 のことがわかった。
現在 ス キー場入込数のシェアの割合 を伸 ば してい るス キー場 は、 1.ア
クセスが しやす い
2.施 設が充実 してい る 3。
ある程度規模 が大 きい
といったスキー場 であ る。 アクセスが しやす い とは、 首都圏 か らの距離地階 とい うだけではな く、少 々遠 くて も高 速道路 の イ ンターか ら近い場合や、高速道路 を降 りてか らの国道 ・県道 の整備 が整 つて い るといったこととも関係 してい る。 また、施設が充実 してい るといったことは、 リフ トの輸送能力が高 く人工 降雪機 によ り積雪量 を増 や し、ス キー場 を常 によいコンデイシ ョ ンに保 っているとい うことである。そ して、規模が大 きい とい うことは、 コース数が多 く、様 々 な斜面があ り多 くの人の満足感 を満 たす ことがで きる。これ らの 1∼ 3の 条件 の うちすべ ての条件 を持 ち合 わせてい るスキー場 はかな りの来場客数 を得 てい るが、少な くとも2つ の条件 を満 た していれば来場客数のシェアを伸 ば してい るスキー場 は多 く見 ら れる。また、1つ の条件 しか満 た して い ないス キー場 はシエアを減 らしてい るが、周 りの ス キー場 とは違 った独 自のサ ービス を提供す る ことでシェアを増や してい るス キー場 な ども存在す る。 この他 に、 周 りに競合相手 のスキ ー場 が存在す る場合 は、リフ ト料金 を低 くす る ことに 効果 はあるが、それ以外 の地域 では、 ただ減収 をまね くだけであるといった こと も明 ら かになった。 ス キー場 を取 り巻 く厳 しい現状 の なか、これか らのスキー場 は上記 の3つ の条件 を持 た なけれ ば淘汰 されてい くであ ろ う。最近、隣接す るス キー場 どう しを結 び付 ける ことに よ り規模 とい う条件 を満 たそ うとしてい る。また、施設 の充実 をはかるためにリフ トを 新 しくし、人工 降雪機 を導入す るス キー場 が見受け られる。 その他 に、独 自のサ ー ビス を提供 してい るス キー場 も多 くあ る。例 えば、早朝 ス キー を 行 った り、家族向けの施設 を設けた り、スキーやスノーボー ドの大会 を多 く開催 した り す る ことでスキー場来場客数 を増 やそ うとしてい る。 HirOsヵ f
27
Waranabc LAB.WASEDA IIINI′
1998
DIPLOMA 1998 現在 のスキー場 の特徴
現在 のスキー場 をリフ ト数 によって以下のように分類す ることで、ス キー場 の規模別 に よるそれぞれのスキー場 の全体 に占める割合 を図 1-1に 示す。
1
リ フ 卜数 20以 上
2 3 4 5
リフ 卜数 10∼ 19
。大規模
リフ 卜数 6∼ 9
。中規模
リフ 卜数 4∼ 5
・ 中規模 2
リフ 卜数 1∼ 3
・小 規模
超大規模
1
この図 5-1を みるとリフ ト数 9本 以下の 中規模 1、 中規模 2、 小規模 のスキー場 が全体 の72%を 占めてい る。また、リフ ト数 20本 以上 の超大規模 ス キー場 は全体 の H%に しか す ぎない。 これは、 日本 の地形や山の規模 がかな り影響 してい る。
20以 上 11%
リフ ト数
10∼ 19 17%
リフ ト数
図 5-1 リフ ト数別 ス キー場 の割合
HTlosfli Waranabc LAB.WASEDA IINIヽ 41998
28
DIPLOMA 1998
次 に、規模別 のスキー場 1∼ 5に つい て、
平成 10年 度 シーズ ン索道運輸実績 増減率 平成 10年 度総入込 み数 最寄 リインターか らの距離
(国 道 ・剣道 の距離 )
の 4つ のスキー場 の要素 を調べ る。 各要素 につい ての平均値 を、規模別 のスキー場 1∼ 5に よ り比較す る。
表 5-1 リフ ト数別 にみる各要素
平成 10年 索道 運輸 実績 リフ ト数 20以 上 リ フ ト数
10-19
リフ ト数 6∼ 9
リフ ト数 4∼ 5 リフ ト数 1∼ 3
割合 /エ リアの割合
9448000 3062000 1622000 861000 312000
0.87 0.93
0.88 0.91
0.84
Hfゎ shi
29
総 入込 み数
1089100 357000 230200 116800 85500
国道 。県道 の距 離
26.8 21.9
20.4 25.5 16.8
Watanabe LAB.WASEDA UNIy 1998
DIPLOMA 1998
表 5-1を グラフにしたのが以下 に示す図 1-2と 図 1… 3で あ る。
リフ ト数 1∼ 3
リフ ト数 4∼ 5
リフ ト数 6∼ 9
リフ ト数 10∼
19
リフ ト数 20以 上
84%
860/o
889/o
90%
92%
図 5-2 規模別 の増減率
規模別 に見 る増減率 のよいス キー場 は、リフ ト数 10∼ 19本 の大規模 ス キー場 とリフ ト 数 4∼ 5本 の 中規模 2で ある。 また、増減率 の悪 いスキー場 の規模 は、リフ ト数 1∼ 3本 の小規模 ス キー場 であ る。こ の規模 のスキー場 は、先 の図 1-1に よ リス キー場全体 の25%を 占め、この ままだと日本 の ス キー場 の 25%近 くが淘汰 され ることもあ りうる。
Hftosfli Watanabc LABo WASEDA IIIN11に
30
1998
DIPLOMA 1998
リフ ト数 1∼ 3
リフ ト数 4∼ 5
リフ ト数6∼ 9
リフ ト数 10∼
19
リフ ト数 20以 上
15.0
10.0
図 5-3 規模 別 の 最 寄 リイ ン ター か らの 距離
また、スキー場 の規模 とスキー場 へ のアクセスの しやす さの関係 をグラフにしたのが、 図 5-3で ある。ここでは、スキー場 へ のアクセスの しやす さとして、高速道路 のインター を降 りてか らスキー場 までの距離 を用 いた。 この図 5-3に よ リリフ ト数 20本 以上 の超大規模 ス キー場 が、一番 アクセス しやす いこ とがわかる。逆 に、リフ ト数 1∼ 3の 小規模 スキー場 ほどアクセス しに くいこ と もわかる。 先 の図 5-2に よ り得 られる、リフ ト数 1∼ 3の 小規模 スキー場が増減率 を悪 くしてい る ことか ら考 えると、リフ ト数 1∼ 3の 小規模 ス キー場 はアクセスの しに くさによって増減 率 を悪 くしてい るよ うである。
Hitoshf Waranabc LABo WASEDA IIINIy 1998 31
DIPLOMA 1998
参考文献 098ス キーマ ップル全 国、三浦雄 一朗監修、 ミウラ 。ドルフインズ編集、昭文社 ・世界 の リゾー トⅡス キー リゾー ト&マ ウンテ ン、森拓之編 。98ス ノーボー ドマ ップル全国、昭文社
臓
toslli Watanabe LAB.WASEDA UN17 1998
DIPLOMA 1998
おわ りに 本研究 に際 し、デー タの収集 に快 く協力 して下さつた西武建設のみなさまに、この場 を 借 りてお礼 を申 し上げます。また、渡辺仁史先生をは じめ、研究室のみなさん、プロジェ ク ト室の中村良三先生、林 田和人さん、山口有次 さん、特に事細かにご指導 して下さつ た馬場義徳 さんに深謝いた します。
島西rOslli
Waranabc LABo WASEDA IIN17 1998