「開口部」を通して見た空間の奥行き感に関する研究

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U9816 早稲 田大学理工学部建築学科卒業論文 ` 指導教授 渡辺仁史

‘1

「 開 口部 」



F開 □部 曇 を通 して 見:た 空 間 の 奥‐ 行 き感 に関す る研究

l lllllllilllllilllll:::::l::::l::I:l:::::I::l::::llllllllllllllll::ll:lilililll::::l:::::1:::l::I::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::!I::I:l:!:::1::il::::ill!lilllll!:l:lllllIIIl!lllllllllllllll)



はじめに

開 口部 とは、本来 【″口部J 建築 物で窓、出ス リロ、換気 口な ど、外部へ向か って開 いて ∼大辞林

三 省堂 ∼

よ グ抜粋

部分

`lる

という意味を持 っている。 だがその形状には換気や採光な どの機能的役割だけではな く、設計者の隠れた意図が 表わ されていることがある。

部屋の奥の隅か ら見た時 と開口部付近か ら見たときの外観 とでは随分違 って見えた体 験を した人は少な くはな いであろう。つま り、開口部か ら離れた場所か らは遠 くに思え ていた物が、開 口部まで来てみると以外 に近い場所 にあることがある。実はそれこそが 設計者の狙いの一つなのである。

また、開口部をフィルターと した建築 内外部空間には独特の雰 囲気を醸 し出 した もの が多く、心理 的イメー ジに様 々な影響を及ぼ していると考え られる。 中でも日本建築などの 開 口には様 々な ものがあ り、形を変えた り、庇や格子を付随 させると開口部を通 して見た外部の奥行 き感は変化すると思われる。

そ こで私は、開口部その ものが空間の奥行きに与える効果 について着 日し、開口部の 形状やその関連要素が "奥 行き"と い う心理効果にどのような影響を及ぼ しているのか について考えた い。

【開 口部の例】

【 開口部の例】


は じめに 2 3 4 5

″■1研 1究 ■1的

7 8 0 1 2

411研 1究 1方 1法 │

難猾 :晰霙 5 .

7   8

7   2

おわ りに


研 究 背 'm

1-1.開 □部 に関す る研究

1…

2.奥 行 き に関す る研究

1-3.縁 側 ・ 庇・ 格 子 に関す る研 究


1‐

1.開 口部 に関 す る研 究

空間 の形態 感情 開 口部 に関 連 した 室内

い くつかな され に関 す る研 究は過去 に

て いる。

中で も

室内 空間 の形態 感情 に関す

る研 究

(3次 元 CGに よる窓形状変 日本 建 築 学会論文

化 の心 理量 と物 理量

1996

の関係 につ いて )

押 田光雄

内空 間 を作 り出 で は 3次 元 CGを 用 いて室

し、 窓 の形状 と複数 の形容

詞特 性 によ る心

一連の 研究 によ り 3次 元 の で あ り、 この研 究 と 理量 の関係 を調 べ た も は結 果 がほ とん ど一致す

CGと 模 型 とで

る ことが述 べ られ て いる。

3次

ことは難 しく、 リリア リテ イを醸 し出す 3次 元 CG、 思わ れ る。 それ を る ことは 危険 な ことだ とは す 断定 き、 を導 で結論 元 CGの み の結 果 の可能 性 に踏 み込 み た での シ ミュ レー シ ヨン利用 像 CG画 で は 究 研 踏 まえ た上 で、本 しか も静 止画 を用 いて よ


1‐

2.奥 行 き に関す る研 究

建築物 の物理量と心理量 との関係 を扱 つた学術論文 は過去 に多数存在す る。以下 に その例を列挙す ると ◆複数 の心理因子 を用いた建物そのものによ る単相関分析

(ex.(1》

◆ 「日本的感覚」を構成要素の物理量 と心理量 の相関か ら考察 (ex.(2D ◆日中の庭口を元に建築空間構成 を比較 (ex.(3D ◆空間欠損 による室空間 の広 さの感 じ方

(ex.(4》

などの研究 が行われている。 だが これ らは、 ◇何種類 もの形容詞 による単相関分析 が多 い ◇奥行 きのみの単独の心理軸は用 いていない ◇内部空間の広 さを扱 つて いる ものである。

(1)「

(2)日

日本 的」性格 の解析 ―物理量分析 ・ 単相 関分析 日本建築 学会論文 1996 丹野敦子

他 2名

本的感 覚 に関する物 理量分析 ・ 単相 関分析 日本建 築 学会論文 1995 結城光 正

他 2名

(3)庭 園鑑 賞 にみる建築空 間構成 の 日中比較

日本建 築 学会論文

1994

その

1

竺海湧

他 3名

(4)様 々な欠損 の配置 にお ける容積 の知覚 と印象評価

日本建 築 学会論文

1997

石 田久美子

他 2名


1‐ 3。

縁 側・ 庇・ 格 子 に関す る研究

格子を扱 つた論文には、 ◆空隙率 と格子を通 した ときの背景の見やす さを扱 った もの αl》 がある。 この論文は見付寸法や隙間幅寸法、視線 と格子 との角度を変化 させ、背景の 物理的な見 えやすさを実験 によ り調査 している。

縁側 ・庇 に関 しては主眼 に置いた研究はあま りなされて いない。 ◆和風建築 とは何かを調査す る上でその構成要素と して縁側を取 り上 げて いるもの ((2))

◆庭 園 を鑑 賞 す る上で の 視 覚 方 向 を遮 る もの と して庇 を取 り上 げて いる もの 《3D はあ る もの の 、物 理 量 か らの研 究 はな され て いな い。

(1)建 物 に設 け られ る格子状部位 の視 覚特性 に関する実験

日本建築学会論文

1996

世古佳史

他 3名

光野秀治

他 2名

(2)工 業化住宅 における和 風のデザイ ン

日本建築学会論文

1995

(3)庭 園鑑賞 にみ る建築 空間構成の 日中比較

日本建築学会論文

1994

その 2 八木幸 二


2

研 究‐ 躍 的

│ 1凛

""口

麟 n"ロ ロ ●ロ 麟 口 ロ 口 ● ● ● ● 口 麟ロ 麟崚 口 崚 ● 口● 口 崚 H“ 崚ロ ロ 麟 目口 ● ロロ ロ ロ ロ ロい 口●口 麟ロ 崚 口冑 ロ ロ 崚 ロ ● ● 腱 麟ロ ""ロ 口 ● u口 口● 腱 ""口 餞 ● 崚 曖 燿n“ ロ ロ 口 "口 "“ "口 “ “ “ "“ "口 “"口 ""口 ""日 "口 “""口 "● "ロ ""● “ ""口 ““"“ “ “ “ ""口 "口 "自 "“ “ "“ ""“ “ ""口 ""口 “"口 ““"● "“


本研究 は、開口部その ものの物理量や諸 関係要素 と奥行 き感 との相関関係 を明 らか に し、また 日本建築 に見 られ る庇や縁側な どの特有 の効果 につ いて考察 す ることを 目 的 と して いる。


.き に ,つ い .て 奥 :行 3-1.建 築空間 としての奥行き 3-2.「 奥行き」 の定義


3‐

1.建 築 空 間 として の奥行 き

空間と奥行 きの関係は深 く、また 「奥」も奥行 きと関係 している。「奥」とは奥行 き がある ことに加え、意識の方向性 、すなわち志向性が伴われて いるものである。「奥」 という言葉 に匹敵する英語 がないよ うに、 この言葉はそ もそもが 日本語的な言葉なの である。

空間は三次元 であ り、奥行きが存在 している。 この「奥」は物理的な奥行 きや距離 を示すだけではな く、観察者 の視点 ・観点・ 見方などが問われて くるのである。 また、 「奥 Jに は限 りがな いこと、いわゆる無限であることが不可欠である。「奥」は単 に人 間が向かつて いる方向、つま り進行方向そのものに深まるものではな い。

日本の空間 の 「奥」を考察するにあた つては、まず ◆ 「奥」には 立面的に深 まつてゆく 「奥」もあれ ば、 ◆平面的 に奥 まってゆ く 「奥」 もあ り、 ◆ 目に見え る 「奥」だけではな く視覚 とは異な った意識の中に感 じ取れる 「奥」 も ある ことに注意 しな くてはな らな い し、また ◆無意識 も考慮 にいれなくてはな らな い。

日本の 「奥」の極ま つた例を挙 げると、天皇の王座がある。か つて平安京は風水 に 従 つて計画 されて いたという。京都の西北 の山か ら地中を走 った風水の 「気」 (大 地の エネルギー)は 、龍穴 という「気」が充満する場所

(こ

の場合大極殿の地)か ら一気

に地上に走 り出る。それ が朱雀門や東寺・ 西寺などによつて遮 られて京の外に「気」 が出て しまわな いように設計されて いるという。龍穴の場 には普通天皇の生活の場で ある紫農殿 が建てられたの だが、龍穴を大極殿 にする ことによ り時の天皇、桓武 天皇 は権力の集 中を計 った と いう。 レギ ーがほと走 り出る 龍穴が「奥」の最も極 まつたと ころとするな ら、「気」のエネリ ところなのだ か ら「奥」 というにふ さわ しい。そ こは風水の根 と繋が ってお り、その


根 は無限 に深 くまで続 くか らで ある。 風水は こ う した場や 「奥 」を決 める 「デザイ ン」の方法 で もあ つたのだ。


3‐ 2。

「 奥 行 き」 の 定 義

人 は観察者 とな り建物 と暮 らし、それ を使 って いる。その動作の過程の 中で は建築 その ものが特徴 的に持 つ空 間領域 を観察 して いる。

特 に 日本建 築 にお いてそ の特徴 ともなる空 間構成が放 出す る線 に向か って観察者の 視点 が進む とき、それ は特 異な 空間的な影響 力を発 して いる。例え ば観察者 にとつて 内部か ら見 た軒裏 は、その面 に沿 つて外部 へ と視線を延 ば して い く効果が ある。 ある いは内部空 間が外部空間 へ と連続 して いるよ うに意図 された り、庇の線 によ つて外部 の景観 を切 り取 つた りす る こともある。 また開 口部 に関連する諸 要素の重な りにも奥行 きが生 じる。

開 口部 に関す る奥行 きを感 じさせ る要素 と して、多 くはその前 に来 るまでの プ ロセ スや シー ク エ ンスが大き く関わ つて いると言 われて いる。

だが ここで は開口部その ものが持 つ心理 的影響 力を調査する ことを 目的 と して いる ため、あえ てスタテ ィステ ィック に開 口部を捉 える。

よ って こ こで いう 「奥行 き」感 とは、

室 内 の 一 点 か ら外 部 を 観 察 した と き の 開 口部 の 向 こ う側 の 奥 行 き感

を指す もの とす る。


.濃 :究 :方 研 4-1.ア ンケ ー ト概要 4-2.実 施アンケ ー ト


4‐

1.ア ンケ ー ト概 要

1.3次 元 CGに よる室 内空間を作成する。 間 口・ 奥行 きはともに 5m、 天丼高 は 2.lm、 床高は 0.3mの 直方体空 間で 開 口部形

6種 類 、位置変化 2種 類 、縁側 ・ 庇 ・ 格子は各 々 3種 類作成 し、各 々 の組み合

状変化

わせや視 点 の高さ・位置 、外部画像 を変化 させる。視点 高は 0.5(平 座位 )、 開 口部か らの距離 は 3m、 また存在感 を出すため に、天丼・ 床 を茶色、壁 を ライ トベー ジュに 着色 し、開 口部の外 は空の見えな い庭 園画像 をはめ込んだ。開 口部、及び枠 の形状 に つ いて は表 1∼

2に 示 す とお りである。

◆表 1-1 開口形状

0 一 ∞ 〇∞ 〇

1

TI 輩

︲︲︲十恒劇軽口〓 ﹁H︲ ︲︲

「番号 開□幅 (m) 聞□高 (m) 聞 □ 面積 (J) 詞□ 苦 198 099 1.96 A-1 A-2 1.40 1.40 1.96 A… 3 099 1.98 1.96 B… 050 1.00 0.50 B-2 0.99 1.98 1.96 2 10 1050 B-3 5.00

<開 口詳細図> 単位 ,(m)

◆表 1-2 開口形状

『番号 開□幅 (‐ ) 聞□高 (m) 開 □ 面積 (J) 開 □設置高 (ュ 聞□吾 E-1 25 1.0 2.5 0.0 10 0.5 E-2 25 25

:

◆表 2-1 縁側形状

m) 緑板長 (m) 緑板厚 (m) 緑板間隔 (m) 設置高 (m) 緑ill番 号 全体幅〔 ― 0.06 0.04 0.25 E 0.40 400 004 E-2 0.70 0.06 0.25 400 l

E-3

400

100

004

0.06

0.25

撮側 間隔

員+兆 010 <縁 側断面図> 単位 :(m)

005

醤 全体 幅 く縁側 平面 図 >

単位

,(m)


◆表 2-2 庇形状 鹿番号 軒幅 (m) 断面長 {m) H―

0.50 1.50

0.20 0.40 0.60

0.50 0.50 0.50

0.05 0.05 0.05

一 H

1.00

垂木直径 (‐ ) 壬ホ ビ ッチ {n

= 萎

5.00 5.00 5,00

i

H-2 H-3

断 EEl高 〔ni

に旧覆 oN. 0

<庇 平面口 >

単位

◆表 2-3 格子形状

格子番号 見付 け〔飢 〕見込 み (m) 奎隙幅寸法 (m K― 003 0.03 0.14 K-2 003 0.03 0.17 K-3 0.03 0,03 0.22 l

│‡

:(m)


Ш

ttI酬 臓

JI

I劇

2.Web上

で の ア ンケ ー ト調 査 。

メ ール によ り依頼 した被験者 (10、 20代 の男女計 87名 ) にホームペー ジ上でのモ ニ タ ー画像 を評定 して も らった。 内訳 は次 に示 す通 りで ある。 但 し、全ての被験者が 全質 問に対 して 回答 して い る訳ではな い。

◆アンケー ト画面

ギ ■│

:

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4■Jf= ■中

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・ 」.:..}t● ・Lァ・

"上

■ 1.:

1,次 の 3つ の画像の中で最 も奥行きがある、最も実行きがないと感 じるものを各 々一つ選んでください。

1

2

3

2,次 の 3つ の画像の中で最 も奥行きがある、最も奥行きがないと感じるものを各 々一つ選んでください。

1

2

9{}

1 tJ z tJ 3 tJ

AA'Ea$

3


◆表3‐ 1 性別 男女比

男性

女性

合計

人数

64

23

87

◆表 3-2 年齢 年齢構 成比 人数

1 0ft 15

20代

合計

72

87

年齢構威比

◆図 3-2 年齢

◆表 3-3 職業 合計

5 5

女性

6 ︲

男性

1 2

。 4 8 2

5 3 6 刃 ︲

職業構成比 建築学生 建築以外 の理系学生 文系学生 社会人

In*+.

Ee*unonf;+ir

Er*+* !+r*rr. ● 図 3-3


■H□ し 番 ■ ■ 開日

1

__ 1噸

媛田

4-2.実 施 ア ンケ ー ト

1 1,次 の 3つ の画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるもの を各 々 一つ 選んで ください。

1

3

2


1-2,次 の 3つ の 画像の 中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々 一つ選んで ください。 1

3

2


1-3,次 の 3つ の画像の 中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々 一つ選んで くだ さい。 1

発 ド■ ■‐

3

2


1-4,次 の 2つ の画像の うち、奥行 きがあると感 じるほ うを各 々選んで ください。 1

2

1

2

2

1

3 1

2


1-5,次 の 2つ の画像の うち、奥行 きがあると感 じるほ うを選んで くだ さい。 1

2

1-6,次 の 2つ の画像の うち、奥行 きがあると感 じるほ うを選んで くだ さい。 2


21,次 の 8つ の画像の中で最も奥行きがある、最も奥行きがないと感じるものを各々 一つ 選 んで くだ さい 。

2

3

4

5

6

7

8


2-2,次 の 8つ の画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々 一つ 選 んで くだ さい。 1

2

3

4

5

6

7

8


2-3,次 の 8つ の画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるもの を各 々 一つ選んで ください

2

3

4

5

6

7

8


2-4,次 の 2つ の画像の うち、奥行 きがあると感 じるほ うを各 々選んで くだ さい。 1

2

1

2 2

3 1

2


2-3,次 の画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々一つ 選んで ください。

1

3

2


Ш

聞口

H田

│ 1噸

以日

2 1

3

2


■ ■ 闘 │■ HII略

.・

II :

:

,卸

3

2

3


4-2,次 の画像の中でよ り奥行 きがあると感 じるもの を選んで くだ さい。 1

2

1

2

2

1

3 1

2


4-1,次 の画像の中で最も奥4テ きがある、最も奥 選んでください。 1

3

きがないと感 じるものを各 々一つ

`予

2


4-2,次 の 4つ の 画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるもの を各 々 一つ 選 んで くだ さい。 1

2

3

4

4-3,次 の画像の うちでよ り奥行 きがあると感 じるもの を選んで くだ さい。 1

2


44,次 の 4つ の画像の 中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々 一つ選んで ください。

2

3

4


4-5,次 の 4つ の画像の中で最 も奥行 きがある、最 も奥行 きがない と感 じるものを各 々 一つ選 んで くだ さい。 1

2

3

4


4-6,次 の画像の うちでよ り奥行 きがあるものを一つ選んで ください。 1

2

4-7,次 の画像の うちでよ り奥行 きがあるもの を一つ選んで ください。 1

2


研 :究 :織 簾 5‐

1.各 項 目別の結 果 5-1-1.開 □部 の形状 変イ しによ る結 果 5-1-2.開 □部比 率 と「 枠 」 の組 み 合 わせ によ る結 果 5-1… 3.「 枠 」 の形 状変化 によ る結 果

5-1-4.外 部要素 の変化 によ る結 果 5-2.比 較 分析


Ш

翻 ■闘 嘔■L2■

5-1.各 項 目別の結果

5-1-1.開 □部の形状変化によ る結果

5‐

1-1-a.同 一面 積の元で縦横比率の異な る開 □部 (A-1,2,3)

ここで は、 同一 面積 (Area=1.96m人

2)の 元で 、比 率の異な る開 回部 における実行

感の違 いを調 べ て いる 。

◆表 5-1-1-a 開口比

21 31

無 回答

感 じない 奥 行

三 感じる 0

15

30

45 〔 人勤〕

5-1-1-a

60

75

90

合計 5 8

17 23

9 1

1:2

2 4

感 じる 感 じな い

1:1

5 8

2:1

開 回比 (x:y)


最 も感 じると答えた人が一番多かったのは 1(49.4%)、 つ ま り横長の開口部である。 また、最も感 じな いと答えた人が多かったのは 3(36.5%)、 つまり織長の開 口部で ある。 ブレアンケー トよ り】 【

>

開日の面積 を変化させず に縦横の比率のみを変えた ところ、奥行 き感を感 じるのは横長の開 口部であると い う結果にな った。 本 アンケ ー トの事前に行 っていた プレアンケー トで

3:2の

は 3つ のサ ンプルに加え、縦横比が 2:3、

開口部も用いていたが、下図に示すよ うな結果が得 ら れた ことと、よ り形の違いをはっき りさせるため、 3 つに絞った。

■ □2 圏3 ■4 ■5 1

︵奥 行 き ︶

い      る な     じ じ    饉 轟

□ 彙回磐

10

20

30

40

(人 数)

日本建築 において、横長の開 口部 には頻繁 に遺遇す る。 (ex.大 徳寺弧窪庵 )縦 長、あるいは真四角 に近 い開 回よ りも横長のほうが多いと思われるのも、設計 者が この実験結果を少なか らず意図 している結果では ないかと推測 される. 【 大徳寺弧鐘庵 】


5‐ 1‐ 1‐

>

b.縦 横比が等 しく面積の 異な る開 □部

(B‐ 1,2,3)

ここでは、同一比率 (x:y=1:2)の 元で面積の異なる開口部における奥行感の違 い を調 べている。

◆表 5‐ 1-1-b 開口面積 合計 5 日

5 2

広 もヽ 奎面 開 ロ 無回答

5 日

4 4

8 2

= 日

1要 しヽ 6 4

問□面積 感 じる 感 じな しヽ

る じ

︵奥 行 き ︶

感 じない

15

0図 5-1-1‐ b

30

■5 60 〔人 数 〕

75

90

開 口面 積

最 も感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(54.1%)、

つまり開 口面積の小さい開

口部である。 また、最も感 じな いと答えた人が多かったのは 3(51.8%)、 つま り全面開口をもつ


開 口部である。

>

同 じ織横比の開 口部では、その面積が狭いほうが奥行き感は感 じられる結果 になっ た.た だ、開口部そのものを持 つ「壁」 自体 を取 り払 った全面 開 口に奥行きを感 じる と答えた人がおよそ 3割 いたこ とも注 目したい。 右 に示すグラフはこの間にお いて奥行きを「感 じる /感 じな い」と答えたサ ンプルの組み合 わせの各 々の割合 である。 このグラフか らは ◆狭 い開 口部で奥行きを感 じる が全面開口には奥行きを感 じ ない、

良情き感o有編0握 損組み合わせ

It,a Btrs lart !e,g Is,t Isre

またはその逆で ◆全面開口に奥行 きを感 じるが 狭い開口には奥行 きを感 じな い、 と答えた人の割合が 多 いことが 読み取れる。 この ことか ら、視線の動きを 2つ のパ ター ン化できるのか もしれない。

1つ は開口面積が狭ければ、視線が外部の様子を探ろ うとする『自発的」動きであ る。そのような場合、狭 い開 口で あれば視線 は一方向に奥 へ奥へ と進 もうとするが、 開口が簡抜けであるな ら切 り開 いていく対象物がな い。外部画像が視界の多くを占め るほど視線はさまよつてしまう。 もう一つは外部画像の可視面積が広ければ、その広 さに動きを委ねて しま うよ うな 「他動的J動 きである。 この時可視面積が広 いほ どその広が りを感 じ、視線 はさらに奥 の方 へ広がろ うとする動きを持 つものの、可視面積が狭ければ壁の圧迫感 に視線を奥 方向へ と進める動 きを起こさな い。 いずれ にせよ、開 口部の奥行 き感を考慮する設計を行 う場合 には、形状 もさること なが らその面積は大きな影響力を持 つていることがはっき りと分かった。


HE聞 1硝

5‐

>

‐十

報整 11

11-I田

1-1-c.内 部明度の異な る空間の において

ここで は、 同一開 口部 において異な る明度 の元 での奥行感の違 いを 調 べ ている。 明度は Phot Shopを 用 いて「 明る さ」を ± 50調 節 し、よ り光の効 果 を醸 し出させ るた め に逆光 フィルターを 用 いた 。

◆表 5-1-1-c 明度 合計 5 8

無回答

5 8

0 3

1 4

B =

]晋 もヽ 9 3

7 2

感 じる 感 じな しヽ

= 3

日 月るもヽ 普 通

明度

る じ

︵奥 行 き ︶

感 じない

15

00

45

60

75

90

(人 数 )

◆図 5-1-1-c 明度

最 も感 じると答えた人が一番多か ったのは 3(45.9%)、 つ ま り明度の低 い開口部で ある。 また、最も感 じないと答えた人が多か ったのは 1(48.2%)、 つ ま り明度の高い開ロ


部で ある。

開 口部の形状が 同 じであれ ば 内部空間の明度 が低 いほど奥行 き感 は増大する、 とい うの は予想 して いた通 りであ った。ただ、実験結 果 には明度 の高低で大差がつかな か ったのは残念で ある。

● 低 い明度】 【

高い明度】 【


■ 田 闘 │■ Hlgし 壼

5‐ 1-1‐

>

1:」

1

d.異 なる視点からの開□部(A-3)

ここでは、立位 と平座位 による、視点高の変化に伴 う奥行感の違 いを調 べている。立 位の視点の高 さは 1.5m、 平座位の視点の高さは 0.5mと した。

幅 酬 編

◆表 5-1-1-d 視点の高さ

5 8 5 8

16

合計

5 6

11

無回答 4

0 7

15

5 8

立位

9 6

視点高 平座位

聞□ 形 状︺

15

30

45

(感 した 人 の 人 数 )

◆図 5-1-1-d 視点の高さ

60

75

90


いずれの開口部も平座位からの視点のほうが圧倒的(80%前 後)に 奥行感を感 じる、 という結果になった。

>

ここで得 られた結果 も予想 して いた通 りであった。眼の角度が同 じであっても、立位の ときにはあ

【 平座位からの視点】

立位からの視点】 【

ま り遠方 まで視線が届かなかった のが、平座位 になるとよ り遠方ま で視線を届かせることができ、視 界が広 くなるからである。 このこ とは「座る」「立つ」という行為 その ものが開口部の奥行 き感 に直 接関係 しているわけではな く、そ

プ レアンケ ー トにおいて も全 く 同様の結果が得 られて いる。プレ アンケ ー トと今回おこな ったアン ケ ー トとの違 いは外部画像の違 い である。 ブレアンケー トでは、地 平線のある革原を少 しばか した画 像を使 つていた。そのため、「座 る」「立つ」といった行為 に伴 っ て視点の高さが変化するとき、地 平線の位置は大きく変化 し、中に は見えなかった地平線が見えてく るものもある。 この変化が 結果に

0 0

度」が絡んで いると考え られる。

0 2 蛹

開 回部の上辺 とを結んだ線の角

の行為 に伴 って変化する「視点 と


大き く影響 しているかもしれな い、と考えていたのだが、地平線の見えな い画像を 使 った本調査 においても同様の結果が得 られたため、視点の高さが変わるとき、外部 画像 には左右 されず奥行き感 は変化する、ということが言える。


5‐ 1‐

1-e.異 な る距離か らの 開 □部

(A‐

1)

ここでは、開 口部までの距離が異なる ものの奥行き感の違いについて調 べ ているも のである。 視点距離は「違 い」ものは観察点から開回部までの距離が 3.00m、 「近 い」ものは 1.50mと した。

◆表5-1-1-o 距離 逓 しヽ

視点距離 感 じる

27

11し ヽ

6

合計

33

20

30

る じ 感

︹枠 の 種 類 ︶

0

10

40

(人 数) ◆ 図 5‐ 1… 1‐ o

EE離

感 じると答えた人が一番多かったのは 1(81.8%)、 つ ま り開回部までの距離が速い ものである。

>

この結果は視界の占める壁 と外部の面積の割合が大きく関わ っていると思われる。 『 5-1-1¨ a』 で得 られた結果か ら、可視面積 は狭いほうが 奥行きを感 じや す いとい うこ


とが分かっている。観察点が前後することによ り、視界に占める外部面積は近 ければ 広 く、速ければ狭 くなる。つま り、このことか ら速い方が奥行 きを感 じやすい、と言 える。

距離が遠い視点】 【

距離が近い視点】 【

また奥行きは物の重な りによっても感 じられるものである。開口部までの距離が速 い と言 うことは実在空間においてよ り物の重な りが生 じる、ということに繋が り、開 回部そのものの問題ではな く、開口部を基 準 とした観察者の位置における周辺環境の 様子 に大きく関係 していくもの と考え られる。内部空間の奥行 き感はここで取 り上げ ている目的とは異なるのだが、仮 にこの調査 に用 いたサンプル 画像 にさまざまな家具 を配置 したと した ら、距離が違 いサンプル に奥行きを感 じるという、よ りはっき りと した結果が得 られたのではな いだ ろうか。


5‐ 1-1‐ f.異

なる高さに設置された開 □部 (C-1,2)

ここでは、異なる高さに設置された、同一比・ 面積の開口部においての奥行感の違 いを調べている。

◆表 5-1-1‐ f 開口設置位置 ヽ 高 tヽ 聞□高 1氏 も 感 じる

61

22

無回答

合計

2

85

部 帥 猥

︵聞 □ 設 置 繊 置 ︶

◆ 図 5-1-1‐ f 開 口設 置位 置

よ り感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(71.8%)、 つまり設置高の低い開口部 である。


形状の同じ開 口であるな らその設置位置は低 い方が奥行 きを感 じるという結果 と な った。低位置 に開口がなされて いる 日本建築が多くみ られるのは、 この効果を期待 して設計された もの と言えるか も しれない。

【 低位置 開 回の例 】


5-1-2.開 □部比率 と「枠」 の組み合わせによ る結果

5-1‐ 2‐ a.同 一 面積で異 比率の開 □部に

5‐ 1-2‐ a‐

>

1.横 長の 開 □部

"枠 "を 付随 させたもの (E‐ 2H-2K‐ 2)

(A‐ 1)

ここでは、"横 長 "の 開口部の元で、"枠 "を 付随させた ものにおける奥行き感の違 いについて調 べた。

◆表 5-1‐ 2-a-1 "枠 "の 組み合わせ

︱蘭

Ir le

枠の薩状 囀HD

Es E+

感 じない

る じ

︵画 籠番 号 ︶

ls le Ir

le

El*s* 10

20

30

0図 5… 1-2-a-1 "枠 "の 組 み合 わせ

40

50

●●

7●


轟 │■ Httr.:fi「

│ _

::銀

最 も感 じる と答えた人が一 番多かったのは 4(69.4%)、 つ ま り縁側 と庇を付随させ させた開口部である。 また、最も感 じないと答 えた人が 多か ったのは 3(56.5%)、 つ ま り格子のみを付随 させたの開口部である。


関旧 闘

-1

1-I田

1‐

5-1‐ 2‐ a-2.正 方形の開 □部 (A-2)

ここでは、"真 四角 "の 開 口部の元で、"枠 "を 付随 させたものにおける奥行き感の 違いについて調 べ ている。

◆表 5-1-2-a-2 "枠 "の 組み合 わせ

4

8 無回 答 6

7

6

5

3

2 5

合計

62 62

1

感 じる 感 じな もヽ

1

0弱

枠 の形 1式

l

■1 囲2 □3 □4 ■5 ■6 ■7 国8 □筆回答

枠の脳 責 輌離諭

感 じない

る じ

︵画 憚 番 号 ︶

10

20

00

◆図 5-1-2-a-2 "枠 "の 組み合 わせ

40

50

60

70


開 E■

ミili

r

__ i卸

al

最 も感 じると答えた人が 一番多かったのは 4(66.1%)、 つ まり縁側 と庇を付随させ た開口部である。 また、最 も感 じないと答えた人が多か ったのは 3(61.3%)、 つまり格子のみを付随 させたの開口部である。


5‐ 1‐ 2‐ a‐

>

3.長 方形の開 □部 (A-3)

"枠 "を 付随させた ものにおける奥行き感の違 ここでは、"縦 長 "の 開回部の元で、 いについて調 べているものである。

>全春

5‐

1-2-a-3"枠 "の 組み合わせ 2

2 6

2 6

ロ ロ:

8 3

7

6

5

4

︲ 4

3

。 1 4

2

感 じる 感 じな い

1

枠の形 1バ

■ ■2 □3 国4 ■5 ■6 ■7 ■3 □彙回磐

枠の驚状 (縦 長)

1

る じ

︵面 饉 書 号 ︶

感 じない

10

20

30

◆図 5-1‐ 2‐ a-3 "枠 "の 組み合わせ

40

50

60

70


最 も感 じると答えた人が一番多か ったのは 4(66.1%)、 つ ま り縁側 と庇を付随 させ た開口部である。 また、最も感 じないと答えた人が多かったのは 3(64.5%)、 つ ま り格子のみを付随 させた開口部である。

>

横長、真四角、縦長のどの開口部においても同 じ結果が得 られた。 庇や縁側は、その放 出する線 に沿 って視線が進 む時、特異な空間的影響力を持つ。 遠近のかかった面 に沿 って外部 へ と視線が延ばされていくので ある。その両者を併せ 持 つ 開 口がこの調査項 目において最 も奥行き感を感 じる、という結果にな ったのは、 その効果があ らわれたせいであると考え られる。 また、格子は視線 に対 して垂直に置かれるものである。よってその面 に視線はぶつ か り、注視点を内部へ と引き戻 して しまう効果がある、と考え られる。視線が遠方 に 進まずに室内空間にとどまって しまう、 すなわち奥行き感を感 じないとい う結果 に なったのではな いだろ うか。 ここで得 られた結果は、奥行 き感を感 じるも否 も、予想の通 りであった。


5‐ 1‐ 2‐

b."枠 "を 付随させた 開 □部 の視点の異な るもの

5‐ 1‐ 2‐ b‐

1.縁 側を付随させ視点の異なる開□部 (A‐ lE‐ 2)

ここでは、縁側を付随させた "横 長 "の 開 口部の元での立位 と平座位 による、視点 高の変化に伴 う奥行感の違 いを調 べ ている。立位の視点の高さは 1.5m、 平座位の視 点の高さは 0.5mと した。

◆表 5-1‐ 2-b… 1 視点の高さ

観点高 {緑 fll}

平座位

立位

合計

懸 じる

45

4

49

ll点宙 (緻 憚D 仕   散 士   座 平

︵祖 点 の 高 き ︺

5‐ 1-2-b-1

感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(91.8%)、

つま り平座位のときである。


5‐ 1-2‐ b‐

>

2.格 子 を付随 させ視点 の異な る開 □部

(A‐

lK‐ 2)

ここでは、格子 を付随させた "横 長 "の 開 口部の元での立位 と平座位 による、視点 高の変化 に伴 う奥行感の違 いを調 べ ている。立位の視点の高さは 1.5m、 平座位の視 点の高さは 0.5mと した。

◆表 5-1‐ 2‐ b-2 視点の高さ

視点高 (格 子 ) 感 じる

平座位

立位

合計

46

3

49

繊   世 立   塵 平

︵祖 点 の 高 き ︺

◆ 図 5-1-2-b-2 視点の高 さ

感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(93.9%)、 つ ま り平座位のときで ある。


5‐ 1-2‐ b‐

>

3.縁 側 と格子を付 随 させ視 点の異なる開 □部

(A‐

lE‐2K‐ 2)

ここでは、縁側 と格子を付随 させた "横 長 "の 開口部の元での立位 と平座位 による、 視点高の変化 に伴 う奥行感の違 いを調 べ ている。立位の視点の高さは 1.5m、 平座位 の視点の高さは 0.5mと した。

◆表 5-1‐ 2-b-3 視点の高さ

観点高 {緑 111・ 格子 ) 懸 じる

干座位

立位

合計

46

3

49

祖点高 (撮 側・ 格子 ) 繊   粒 立   塵 平

︵祖 点 の 高 き ︶

〔 人 数) 5‐ 1-2‐ b‐

3

感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(93.9%)、 つま り平座位のときである。


>

開 口部に"枠 "を 付随させた場合 においても視点の高さを変化させた場合の奥行き 感は圧倒的に平座位にお いて感 じられる、とい う結果が得 られた。 これは『 5-1-1-d』 で述 べた理由と同様である と考え られる. 更 に、視点の高 さが変化 することにともな って縁側の長 さは、見かけ上長 くなる。 『 5-1-2-a』 において縁側 の持 つ空 間的影響力について述べてきたが、 この調査で用い たサ ンプルの場合開 口面積 に占める縁側 の割合が 多くな りすぎで しまい、その特有の 効果はあまり発揮 しなかった と考え られる。 この ことから、縁側の長さは、長ければ 長 いだ け奥行き感を助長 させる効果を持つのではな く、ある程度の長 さまで に限 られ るといえる。

平座位からの視点】 【

立位からの視点】 【

なお、視点の高さを既定値 に変化させたときに庇は見えなくなってしまったため、 項 目からは除外 した。


5-1-3."枠

"の 形状 変化 による結果

5-1-3-a."枠

"の 形状を変化させた開□部 (A‐ 1)

5-1-3-a-1.縁 倶」 の長さを変化させた開□部 (E-1,2.3)

>

ここでは 、"枠 "と しての 縁側 の長 さを変化 させた 開口部 における奥行 き感の違 いに ついて調 べ て い る ものである。なお、縁側の寸法 は P12に 記載 した。

◆表 5-1-3-a-1 縁側の長 さ 9

4 5

0 ︲

4 5

長 しヽ 無回答 合 計

蒟9

5 3

短 もヽ 普通 7

枠 の長 さ {緑 イ 11) 感 じる 感 じな もヽ

枠の長 さ (録 個│)

る じ

︵奥 行 き ︶

感 じない

0 6

縁側 の長 さ

。 3

◆ 図 5-1-3-a-1


感 じると答えた人が一番多か つたのは 3(64.8%)、 つま り長 い縁側で可視面積の狭 い開 口部である。 また、感 じないと答えた人が多かつたのは 1(64.8%)、 つま り短い縁側で可視面積 の広 い開 口部である。


開 │口 田

:11

1

1

il動

nl

5-1-3-a-2.庇 の長 さを変化させた開 □部

>

(│

ここで は、"枠 "と しての庇 の長 さを変化 させた開 口部 における 奥行 き感 の違 いにつ いて 調 べ ている ものである。な お、庇の寸法 は P13に 記載 した。

◆表 5-1-3-a-2 庇の長さ [lし ヽ

曝回答 合 計 3

9 ︲

1 3

四1

短 もヽ 普 通 3 1

枠 の長 さ (庇 ) 感 じる 感 じない

54 54

枠の長 き く 庇)

る じ

︵奥 行 き ︶

感 じない

5 4

。 3 油

● 図 5-1-3-a-2

庇 の長 さ

最 も感 じると答えた人が一番多かったのは 2(53.4%)、 つ まり普通の長 さの庇の開 口部である。 また、最も感 じないと答えた 人が多か ったのは 1(54.7%)、 つ ま り短 い庇で可視面 積の広 い開 口部である。


5‐ 1-3‐ a‐

3.格 子の長 さを変イ しさせた開 □部 (K-1,2.3)

ここで は、"枠 "と しての格子 の日の粗密を変化 させた開口部 における奥行き感の違 いについて調べて いるものであ る。なお、格子の寸法は P13に 記載 した.

◆表 5‐ 1-3-a-3 格子の長さ

無回答 合 計

4 5

38

4 5

幅広

38

11

普通

幅狭

枠 の長 さ {格 子 } 感 じる 感 じない

11

枠の長き (格 子)

15

00

45

60

〔 人数) 5-1‐

3-a-3

最 も感 じると答えた人が一番 多かったのは 3(70.4%)、 つ ま り目の粗 い格子で可視 面積の広 い開口部である。 また、最も感 じな いと答えた人が 多か ったのは 1(70.4%)、 つ ま り目の細かい格子 で可視面積の狭 い開 口部である。


>

縁側や庇が、遠近 のかかった面 に沿 って外部 へ と視線が延ばされ ていく、特異な空 間的影響力を持 つことは前述の通 りである。従 って両者はある程度の長さがあるほう が奥行き感を助長 させることは分か つているのだが、 ここでの調査 に用いた庇の "長 い"の サ ンプルはその長 さが少 し長すぎたよ うである。逆 にこの結果か ら言える こと はいくら特異な空間的影響力があ るか らといって度が過ぎて しまうと逆効果、 とい う ことである。 また、格子の効果 についても先 に述 べたが、空隙幅寸法が大き いほど奥行き感を感 じやすいという結果 にな ったの も、納得のいくと ころである。


Ш

ttEJH:■ И

llll: 1

5-1‐ 3‐ b."枠

1 __

11‐

II闘

"を 付随させた 開 □部までの

ここで は、"枠 "を 付随させ た 開 口部 までの距 離が異な るものの奥行 き感 の違 いにつ いて 調 べ ている ものである。視 点距離は「速 い」 ものは観察点 か ら開 口部 までの距離 が 3.00m、 「近 い 」 ものは

1.50mと

した。

近 しヽ 無回答 合 計 0

違い

視点距離

6 2

5 2

6 2

馴庇膊

◆表 5-1-3-b E巨 離

33 33 33

子 庇  側 格   撮

︵枠 の 種 類 ︶

10

20 (人 勲〕

5-1-3-b

:目 1議

30

40


感 じると答えた人が一番多か つたのは全ての開 口部において 1(80%程 度 )、 つま り 開 口部 までの距離が速 いものである。

> :

この ことにつ いて は『 5… 1-1-e』 同様 で あ り、先 に述 べた通 りで ある。それ を前提 と

すると"枠 "を 付随させた開口部でも、開口部までの距離は遠い方が奥行き感を感じ

:

る、 と い う ことが 言 え る。

この結果 は、視界 の 占める壁 と外部の面積の割合が大 き く関わ つて いる と思わ れ る。

霧影咄 ==゛ 檬輛


馴 ■闘 嘔略

1

1回

5-1-4.外 部要 素 の変化 によ る結果

5-1-4‐ a.背 景の密度が異なる もの

>

(A‐ 3)

ここでは、背景の密度を変化 させた開口部 における奥行き感の違 いについて調 べて いる ものである。

◆表 5-1-4-a 外部密度 2

合計

2 6

焦点 あ り 無回答 5 ︲

密集 ︲

4 4

2 6

5 5

「密度 焦点 な し 外書 感 じる 感 じな い

う し

︵奥 行 き ︶

感 しない

15

00

15

11

(人 動 )

◆ 図 5-1-4-a

外部密度

感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(71.0%)、 なる物を持たない背景の開 口部である。

つ ま り視線が均―に届き焦点 と


また、感 じな いと答えた人が 多か ったのは 2(88.7%)、 つま り視線 に密着するよう な背景を持つ開 口部である。

>

この調査においては一貫性のある背景画像を用 い られなかったため、結論を言 い切 ることは避けることにするが、 2の ような 「密」で重な りを持たない背景よ りは同 じ 要素であっても多少の散在 による重な りを持つ方が奥行きを感 じるであろう。 開 回部に奥行き感を持たせるためには、外部要素 にもその重な りによる「厚み」を 持たせることも不可欠である。

厚みがある】 【

厚みがない】 【


5‐ 1‐ 4‐

b.飛 び石の 配置

(A‐ 3)

こ こでは、 背景 の飛び石 の配置 を変化 させた開 口部 にお ける奥行 き感 の違 いについ て調 べ ている ものである。

□ 縦―直機 圏 横―直線

感 じる

■ 縦ジグザダ □ 準回磐

10

2日 〔 人蜘〕

◆図 5-1-4‐ b 飛 び石の配置

0 4

︵奥 行 き ︶

■なし

感 じない

合計

0 4

9 2

■0

感 じる 感 じなしヽ

◆表 5-1‐ 4-b 飛 び石の配置 ・ 飛 び 石 の配 置 な じ 縦 ― 直線 横 ― 直線 寵ジグザ ゲ 無 回 答


感 じると答えた人が 一番多か つたのは 2(80.0%)、 つま りより速近感 を助長 させる 飛び石の配置がな された背景を持 つ 開 口部である。 また、感 じないと答えた人が多かつたのは 3(72.5%)、 つま り速近感を助長 させな い飛び石の配置がな された背景を持 つ開 口部である。

> : : 1 : :

飛び石 とは本来、 目的地へ と導 くための道標 という役割を持 っている。それを ここ では、建物の軒 とともに左中程 によ リパースを効かせる"道 具

"と して捉えて いる。

結果は期待 して いた とお りの効果を挙げた。更に、奥行 きを感 じる背景 として次点 とな ったのは、少数 ではあるが散在 しなが らも軒の線 に近づ いていく 4と いう結果 に な つた。また、奥行 きを感 じな い背景 としては横一直線 に飛び石が配置 されたもの と な ってお り、 この飛び石 によ り軒の線の効 かせたパース も、やや打ち消 されて しまつ た結果 になったのではな いだろ うか。

'1 :

この ことよ り、奥行 きを感 じさせ るの は物の重な りだ けではな く、飛び石 のよ うに 故意 的 に配置 され た要素 も関係 して くる と いえる。


5‐ 1‐ 4‐

>

c.対 象物の有無

(A‐ 3)

ここでは、背景 に比較物 (近 景 。中景等 )と なる石楼の有無の開口部 における奥行 き感の違 いについて調 べている ものである。

◆表 5-1-4-c 比較物 Lヒ

車交 物の有無 懸 じる

^鋼 石

な し あ り

12

47

10

20

無回答

合計

3

62

回箸

奮 あり し =な

30

40

50

(人 勲〕 5-1-4-c

よ り感 じると答えた人が一番多かったのは 2(75,8%)、 つまり近景のある開口部で ある。

物の重な りが奥行き感を醸 し出す、とい うことが再確認できる結果とな った.


5‐ 1‐ 4‐

d.中 景、近 景 をともな い 背景の コン トラス トが強 い開□部

(A‐ 3)

ここでは、 コン トラス トが強い背景の もとでの比較物の組み合わせの違いによる開 口部の奥行き感について調 べているものである.

>

◆表 5… 1-牛 d 比較物の組み合わせ

︵奥 行 き ︶

い      る な     じ じ     感 庫

■ なし

目郡 ■郡・靖 ■鰭 □輌薦 15

30 (人 蜻〕

5-1-4‐

d

比較物 の組み合 わせ

45

60

2 6

比鋏物の組み合わせ (コ ン トラス トが強い曹量〕

合計

2 6

無回答 3

感 じる 感 じな い

七 1壺 ・ 廉

引 5

な し 石椎

日関

ト ヒ 輯物の組み合わせ


。 最 も感 じると答 えた人が一番 多かつたのは 3(50.0%)、 つま り中景 近景のある背 景の開 口部である。 また、最も感 じな いと答えた人が多か つたのは 1(56.5%)、 つま り比較物を何 も持 たな い背景の開口部である。

> : i

中景 と近景の両方をともな った背景のサ ンプルが最も奥行 きを感 じる、 という結果 が得 られたが、 これ こそが物の重な りの効果 と言えるだろう。但 し、次の項 目との比 較をお こな うため、詳 しくは『 5-2-4』 で述 べ る。


5‐ 1‐ 4‐

e.中 景、近景をともない背景のコン トラス トが33い 開□部 (A‐ 3)

ここでは、 コン トラス トが弱 い背景の もとでの比較物の組み合わせの違いによる開 口部の奥行き感 について調 べ ているものである。

◆表 5‐ 1-4-e 比較物の組み合わせ

︵奥 行 き ︶

■ なし 感 じない

回 石機 圏 石機・ 鮨

感 じる

■ 鮨 □ 輝回箸

0

15

30 (人 拍〕

ヒ ◆図 5-1-4-o 上 較物の組み合わせ

45

6●

2 6

比織物の組み合わせ (コ ン トラエ トが弱い背景 )

合計

2 6

無回答 2

。 7 4

石植・ 簾 簾 5

石 1壺

恥2

な じ 2

L隣 交 物の組み合わせ 感 じる 感 じな い


最 も感 じる と答 えた人が 一番 多か ったのは 2(58.1%)、 つ ま り中景のある背景 の開 回部で ある。 また 、最 も感 じな い と答 えた人が 多 か つたの は 4(64.5%)、 つ ま り近景のあ る背景 の開 口部で ある。

> 1

ここで は前間 とは異な る結果が得 られた。 両者 のサ ンプルの違 いは背景画像 にある のだが、 この "コ ン トラス トの強弱 "は 奥行 き感 に何 らかの形で関わ つて くる よ うで ある。他項 目との比較 が必要 と考 え るため、、詳 しくは 『 5-2-4』 で述 べ る。

'


5‐ 1‐ 4‐ f.中

>

景 を伴わず背景 の コ ン トラス トの強33が異 なる開 □部

(A‐ 3)

ここでは、比較物を伴わない背景で コン トラス トの強弱の違 いによる奥行き感 につ いて調 べ ているものである。

>

◆表 5-1-4-f 背景コン トラス ト JJも ヽ

コ ン トラス ト

強 しヽ

無回答

合計

5

0

40

35

感 じる

背景oコ ン トラス ト 〔 石樫な し) コ

ン 無回彗 ト ス

弱しヽ ロ 4

0 3

。 2 鳩

5‐ 1-4-f

よ 強 き

強い

コン トラス ト

感 じると答えた人が一番多か ったのは 1(87.5%)、 つ ま リコン トラス トの弱い背景 の開口部である。


背景画像の距離感が影響 して しまったように思 える。 実際に同じ物を同 じ場所 に配 置 したとき、配 置 された物の色彩の コン トラス トの強弱は距 離 感に影響 してくる.個 人的な印象か ら述 べ る と、 コン トラス トが弱い場合よ りも強い方が視 覚全面に追 つて くるような圧迫 を感 じ、視線 は

【コン トラス ト強い】

行止まつて しまいが ちである。 すなわち、奥行 きを感 じにくいので ある。 逆 にコン トラス トが弱い場合、視線はその奥 へ奥 へ と進 もうとするように感 じる。つま り、 奥行き感を感 じ、よ りその方向 へ と進んでいこ うとしていると思われるのである。 【コン トラス ト弱 い】


5‐ 1‐ 4‐ g。

>

中景 を伴 う背景の コ ン トラス トが異 な る開 □部

(A‐ 3)

ここでは、比較物 を伴 う背景で コン トラス トの強弱の違いによる奥行き感 について 調 べ ているものである。

l*s-r-a-q fr*=> Ftz JJも ヽ

コ ン トラス ト

33

感 じる

t

唖墨もヽ

7

無回答 0

合計

40

背量の コン トラス ト (石 饉あ り〕 コ

ン 軍回磐 ト 強い

ぃ よ弱 強 き

11

20

30

40

(人 数 ) 5-1‐ 牛 g

コ ン トラス ト

感 じると答えた 人が 一番多か ったのは 1(82.5%)、 つまリコン トラス トの弱い背景 の開 田部である。

この調査において も前間で述 べた とお りであ り、石楼によつて空 間の厚みがよ り増 した と考えられる.


5-2.比 較分析

5‐ 2‐

1.開 □面 積 と開 □部まで の距離の 関係

下 に示すグラフは「開 口面積 の違 い」 (1-2)と 「開口部までの距離」 (1-5) において奥行きを感 じる、 と選択 したサンプルの組み合わせの各々の割合である。 開 口部までの距離が近 くなる、ということは視界 に占める外部面積の割合が増える のであるが、 この距離が「速 い」方が奥行きを感 じた、という人の 84%が 開 口面積 の「狭い」開口部 に奥行きを感 じる、と答えている.つ ま り、「狭い」面積 に奥行きを 感 じるとい う人は距離が関係する開 回部の「狭 さJに も奥行きを感 じるようである。 また、「狭い」開口 面積 に奥行きを感 じた 人の 中Jに は、距離が

口面積の大きさには奥 行き感の違いがは っき りと関係するといえる。 また、面積は狭 いほ う が奥行きを感 じや す い、 とい うことが分か った.

t      t

これ らのことか ら、開

近   遣

択 した人はいなか った.

︵聞 □ 部 ま で の距 離 ︺

『近 い」サンプルを選

開□面積 とEE離

5

10

15

(感 した人 の人数 )

◆ 図 5-2-1 開口面積 と距離

20


Ш

ttE□

H口 曖

1‐

1‐

11‐

llal

5-2-2.3つ の開 □部 ともに同 じ"枠 "を 中

この 分析 は、ア ンケ ー ト2-1か ら 2-3に おいて 3つ とも同 じ枠 の組み合わせ に奥 行きを感 じた人の 割合 である。 この該 当回答者数 は 29人 であるが、その 中で も全てを 4番 、すなわ ち縁側 と庇 を付 随 させた開 口部に最 も奥行 きを感 じる人が 22人 もいる ことに注 目 した い。これ は全 回 答者数 (62人 )中 で も 35.5%を 占めてお り、も しどんな比率の開 口部で も、考 えるの が面倒 だか ら、とい う理 由で 3つ を同 じマーキ ング した人が いた と して も、4番 を選ん だ人 は 3つ に同 じ組み合わせを選 択 した人の

75.9%を 占める。 これ は明 らか に縁側 と

庇 を付随 させた開 口部 に奥行 きを感 じる人が 多 い、 といえるであろ う。

◆表 5-2-2 3つ の"枠 "の 選択組み合わせ

画像番号

1

人数

1

2 2

3

0

4 22

5

0

6 0

3の 開□部 とも同 じ「粋」に感 じた人の割合

◆ 図 5-2-2

3つ の"枠 "の 選択組 み 合 わせ

7 1

8 2

無回答 1


5‐ 2‐

3.背 景 の可 視面積の違 い

この分析は、アンケ ー ト2-3に おいて枠の形状の違 いに変化する背景の可視面積 の違 いを調査 した ものである。 縁側・ 庇の場合 はその長 さが長い ほど可視部分は狭 め られる。すなわ

いる。また、格子

い  通 い 薇  普 広

を「狭い」と して

︵可 籠 面 積 ︶

ち、ここではそれ

の場合はその 目が 粗 いほ ど可視部分

15

は広 くなるので 「広い」とする.

30

45

(感 じた人 数 )

5-2

まず格子である が、 この アンケ ー トでは日の粗 い ものの方がよ り奥行きを感 じるという結果 にな っている.こ れか ら考え られる ことは、速近 を比較するもの の占める面積がある程度大き くな つて しまうと 逆 に視界を遮るものになって しまうのではな い

縁側や庇の視覚に及ぼす効果】 【

か、ということである。格子 は、他の質問で も 奥行き感をあま り感 じさせな いとい う結果が得 られているが、これは格子が開 口部全体を覆 つ て しまう、とい う性格 に関連 しているもの と思 われる。先の述 べ たのであるが、格 子は視覚 に 対 して直角に対面する。それ によ り視線を通 つ て しまうので ある。 また、縁側 においてはその長 さが長いほど奥 行きを感 じやすいという結果が得 られている。

格子の視党に及ぼす効果】 【


これは、速近感を感 じる比較物 とそれを助長 ささせるライ ンが大きく起因 しているも のと思われる。また ここでは庇 にも同様の効果 を期待 していたのだが、 いい結果は得 られなか つた。 庇・ 縁側は奥行 きを感 じるの にその長 さが長ければ いくらで もいいのか、 というわ けではな しヽ ある程度の長 さを境 目に、そ の長 さが遠近を助長 させるものか ら可視背 ・ 景面積 を狭める効果 を持つもの と考え られる。 このアンケ ー トにお いては縁側 庇の 同 じ選択肢で異なる長 さのものを用 いたため、このような結果 を生み出 しやす くな つ たものではな いか と考え られる。


5‐ 2‐ 4・

背景の コ ン トラス トの違い

この分析は、ア ンケー ト4-3に おいて、まず近景 (石 楼 )の 有無による奥行き感の 違 いを考慮 した上で、アンケー ト4-4・ 5で 背景に コン トラス トの強いものと弱いも のとを用いたときにやはり近 ・ 中景を入れてはどうか、を調 べたものである。

答 靖 鯖 催 し 回      と 石   な 錮¨    催 石

︵背 景 の相 台 せ︶

項 4‐ 3の 結果

項 4¨ 4の 結果

(人数 )

E => F".z' FSIi4HHLI E =r h":, l.ttiEHdgl I =:, l."r l-FttEFr*LI I =r F":. Fttt;6F8gt

項 4‐ 5の 結果

◆表 5‐ 2-4 コン トラス トと近景

(1)最 初(4-3)に 近景はないほうが奥行きを感 じると答えた人の場合 背景の様子に関わらず近景がないときと石楼・簾の近景・中景の両方を付随さ

□い □い

この結果より、背景と比較物 との関係 には 2通 りあることが分かる。

のに奥行きを感 じている。比較できるものは何 もな い方が 奥行き感は感 じるものの、あ るな らばいくつかあっても奥行きを感 じている、 ということになる。

(2)最 初(4-3)に 近景があった方が奥行きを感 じると答えた人の場合 同 じく背景の様子にはあま り関係な く何 らかの比較物があった方が奥行きを感

る。また、背景の コン トラス トが弱いな ら際立つ石楼、強いな らものの重な りを加える 石楼 と簾 に、それぞれ奥行きを感 じている。奥行き感を醸 し出すものの重な りは、背景 コン トラス トが弱 いと厚みがあると見な され、逆 に強いな ら厚みは薄 い、と見な させる 傾向にあると言えるので、この場合 コン トラス トが強いな ら複数の比較物 を、弱 いな ら 一つ の比較物 を加えることで奥行き感は増す、と考え られる。


讚 :と│め

6-1.考 察

6-2.参 考文献

=一 一 ¨ =¨ 一 ¨ = 一 = =■一 一 一 一 一 一 一 ■一 一 一 ″一


6‐

1.者 察

この 研究を通 じて、奥行 きを感 じやす い要素 と して以下の ことがわ か った。 ◆開 口部 に関 して 。開 口形状が 横長 ・ 開 口面積が狭 い 。内部空間が暗 い 。設置位置が低 い ◆枠 に関 して 。ある程度の長 さを持つ縁側 や庇 ・格子 を付随するな ら空隙幅の大 きいもの ◆視点 に関 して 。枠の有無 にかかわ らず速 くの視点、低 い視点 ◆背景 に関 して ・ 飛び石の配置で遠近感を助長 させる 。近景 を配置 させ る ・ コン トラス トが弱 い背景 ・ コン トラス トの はつき り した外部な らば、複数 の比較物 ・ コン トラス トの は っき りと しな い外部な らば、1つ の比較物

3次 元 CGと 模型 に於 いて 同 じ内容の実験 を行 うことで CGの 有用性 が示 された論文 は過去 にいくつ も存在 し、仮 に実 空間 において も本研究の調査を行 うことができるのな ら この結果 は大 い に設計の シミュ レー シ ョンにお いて 活用できる と思われる。残念なが ら本研究は CGモ デル による調査 のみ にとどま って しま うが、予想 された結果が数 多 く 得 られた ことによ り、漠然 と考 え られて いた こ とが証 明 されて いる。 従 つて、建築設計 において参考 にすることは十分 に可能であろ う。


6-2.参 考 文 献

参考 文 献

1).安 原 2).京 極 3).佐 藤

盛彦 『 日本の建築空間』 迪宏

学芸和風建築叢書『現代の数寄屋住宅』 『建築 MAP京 都』

新風書房

TOTO出

学芸出版社

参考 論文

1).押

田 光雄 『室 内空間の形態感 情 に関する研究 』

(3次 元 CGに よる窓形状変化の心理量 と物理量の関係 について) 日本建築学会論文

2).丹 野

敦子

;『「日本的」性格の解析

日本建築学会論文

3).結 城

光正

海湧

木 幸二

石 田 久美子

世古 佳史

秀治

1994 その 2』

1994 1997

;『 建物 に設け られる格子状部位の視覚特性に関する実験』

日本建築学会論文

8).光 野

その 1』

;『 様 々な欠損の配置 における容積の知覚と印象評価』

日本建築学会論文 7)。

1995

;『 庭園鑑賞にみる建築空間構成 の 日中比較

日本建築学会論文 6)。

1996

;『 庭園鑑賞にみる建築空間構成の 日中比較

日本建築学会 論文

5).八

―物理量分析・ 単相関分析』

;『「 日本的感覚 に関する物理量分析・ 単相関分析』

日本建築学会 論文

4).竺

1996

1996

;『 工業化住宅 における和風のデザイン』

日本建築学会論文

1995


おわ りに

幾度 とな く挫折 しそ うにな りま した。テ ーマを変 えた くな りま した。不安でた ま らな くな りま した。それ で も最後 まで 「奥行 き」をテ ーマ と して貫 き通 したのは、私の頑 固 な性格の せ いか も知れ ません。 このテ ーマ は、自分 自信 も混乱 する程 に考えれ ば考えるだけ調査 した い項 目が浮上 し、 どこまでを ここで取 り上げるの か 、頭 を悩 ませ ま した。 しか し、結果 的 には奥行 きの

"

方向性 "を 垣 間見れ た ことで、達成感 を味わ う こともで きま した。

長引いた就職活動等で、あまり連絡を取ることも研究室に顔を出すこともままならな かったにもかかわ らず、4月 に担当にな つていただいて以来ず つと面倒を見て下さつた 様々なア ドバイスをくださつた渡辺研究室の皆様 に感謝 して 飯田さんをはじめとして、 おります。

1998年 11月 竹下

瑞穂




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