駅構内施設の利用実態に関する研究

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DIP.1999 WATANABE Lab.Waseda Univ.

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はじめに

以前の駅は、鉄道省の建築家、伊藤滋の 「停車場建築は内部に停滞居住するものではなく、むしろ道路の一部であると いうところにその特徴がある。レールウェイ・インダストリーというものは、す べて単純と秩序と迅速によらねばならない。また、停車場建築も単純と秩序は迅 速の観念の上に設計されるべきである。この精神は建築思想と良く一致する。 」 という言葉に表されるように当時の機能主義全盛の建築思想ともあいまって、 旅客の流動、停留の扱い、ラッシュ時の容量決定、それらに伴う空間づくりと いったように、列車に乗降する場としての機能に限られたものであった。 その後、国鉄解体と共に駅の役割、機能の見直しがされ始め、駅は「単なる乗 降の場」という見方から、もっと複合的、都市的に見直し再構築する必要がある といったように認識され始めた。 このような駅づくりに対しての考え方の変化が、現代の駅のような複合化され た駅を生み出してきた。現代の駅においては駅の持つプログラムが、交通の結節 点というものだけでなく、駅に行くこと自体が目的になるということにも広がっ ていくのではないだろうか。 そのような変化するプログラムに対して、現代の駅はまだそれに追い付いてい ないと感じ、それに対しての解を考えようというのが、本研究の出発点である。

はじめに

駅構内施設の利用実態に関する研究

早稲田大学建築学科 渡辺仁史研究室 1999 年度 卒業論文

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