「駅を起点とした歩行領域」
目次
1:はじめに 2:研究目的 3:研究背景 3.1:既存研究について 3.2:駅の領域について 3.2.1:駅の役割
3.2.2:駅の領域
3.2.3:駅の連続性
3.3:歩行領域について 3.3.1:歩行領域
3.3.2:限界域の決定について
3.3.3:トリップについて
3.4:歩行距離について 3.4.1:歩行距離と歩行速度について
3.4.2:歩行距離と歩行目的について
3.5:研究フローチャート
4:山手線全駅の周辺土地利用調査 4.1:調査目的
4.2:調査対象
4.3:調査内容
4.4:調査結果 4.4.1:山手線全駅周辺土地利用調査結果(絶対評価) 4.4.2:相対評価基準 4.4.3:山手線全駅の駅タイプの分類
4.4.4:駅タイプの分類
4.4.5:アンケート調査対象駅の選択
5:歩行領域アンケート調査 5.1:調査目的
5.2:調査内容
5.3:歩行領域アンケート結果 5.3.1:アンケート回答者の属性 5.3.2.1:意識的歩行時間
5.3.2:利用者アンケート調査結果
5.3.2.2:意識的歩行距離
5.3.2.3:意識的歩行時間/意識的歩行距離
5.3.3:歩行領域アンケート調査結果
6:歩行領域3 D モデル 6.1:歩行領域3Dモデルの狙い
6.2:歩行領域3Dモデルの作成方法
6.3:歩行領域3Dモデル結果
7:考察 7.1:山手線周辺土地利用調査に関する考察 7.1.1:土地利用と歩行領域の関係 7.1.2:調査対象駅周辺の土地利用と歩行領域の変化予想ダイアグアム 7.1.3:2次元的表現での限界と行動領域の3次元的な空間把握 7.2:利用者アンケート調査に関する考察 7.4:歩行領域モデルに関する考察
7.3:歩行領域アンケートに関する考察 7.5:歩行領域の進展に関する考察
7.6:年齢による歩行領域の違いに関する考察
7.7:歩行領域に関する総合的考察
7.8:歩行領域に関する発展的考察
7.9:実例による歩行領域の制御
7.9.1:情報による歩行領域の制御
7.9.2:技術による歩行領域の制御
8:おわりに 参考文献 資料
-1-
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第 1 章:はじめに
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1:はじめに □まちづくりの起点 駅周辺には、さまざまな建設活動があり、これらを総合的にまとめることができれば大きな効果をあげ ることができる。川崎市や横浜駅周辺地区は周辺開発へのガイドラインなどで成果をあげた例である。1 980年代に入ると多くの都市で駅周辺開発が始まった。様々な駅でアーバンデザインがすすめられ個性 的な空間を形成しつつある。複雑な調整を乗り越えるためにアーバンデザインのシステムにも工夫を加え た。専門家と関係者、行政などで協議組織をつくり、アーバンデザイナーが施設構成やデザインのプラン の策定を通じて、調節を行おうとするものである。 これらのまちづくりに共通して言えることは、新しい都市の軸は自動車交通の空間ではなく、 「歩行者の 空間」であるという理念である。全国的に見れば駅周辺開発計画は現在も相当な数があり、鉄道ヤードや 工場跡地などの業務・商業の需要はない。バルセロナやパリなど多くの都市では駅周辺に大規模な公園や 文化施設がつくられており、ヘルシンキ駅ではその背後の広大な貨物ヤードが公園に生まれかわる。 駅周辺に施設や機能を集積し過ぎると都心の他地区とのバランスを崩すことになる。むしろ、駅という 立地をいかしてオープンスペース、展示場等イベントスペース、あるいは将来のためのリザーブ用地とし て確保して置くべきではないだろうか。
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第 2 章:研究目的
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2:研究目的 本研究では駅を街の起点ととらえ、駅とその周辺環境に焦点を当て、利用者の行動領域と周辺環境の関係を 明らかにすることを目的とする。
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3:研究背景
3.1:既存研究について これまで駅を起点とした歩行に関する研究はいくつかされているが、その研究範囲を設定し、そのなかでど のような行動をするかに焦点を当てたものが多く、基本にある行動領域そのものに焦点を当てた研究は少ない。 「駅及びその周辺における人間流動に関する研究」 (1990年:佐野友紀/内藤茂/野沢理恵:卒業論文)で は街の範囲を駅から500m以内と定義している。 これは利用者のワントリップでの行動調査結果をもとにし たものである。しかし、駅から人がどこまでを行動領域としているかというワントリップに限らない場合に関 しては研究されておらず、また歩行領域は常に一定ではなく駅の持つ周辺環境や歩行を補助する機能などに よって変化すると思われる。本研究ではその行動領域に着目する。
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3.2:駅の領域について 3.2.1:駅の役割 今日駅は駅は本来の役割である発着場としてだけでなく、 様々な施設や機能を内包したり近隣に持つことで 複合化し、多様な用途に答えられる施設となりつつある。 職
□現在の駅の役割 ・電車の乗り降り(発着場) ・駅を中心とした街づくり(街の玄関、ランドマーク) ・商業スペースの複合化(買い物や食事) ・温泉などの娯楽施設 ・交流の場 など
住
商 地方都市における駅の在り方
このような駅の使われ方の多様化は駅を中心に街づく りをしてきた大都市の駅に多く見られる。東京のような 大都市圏の駅は各駅ごとに特徴ある機能を持ち、それら の機能をもった街を鉄道がつなぐ様になっている。つま り、大都市における駅ほど様々な機能を複合化したり近 隣に持つ傾向にあり、駅自体が街化し、都市構造の変化 が駅とその周辺環境によるところが大きい。
商 住
職
大都市における駅の在り方
図3.2.1:地方都市と大都市における駅の在り方
3.2.2:駅の領域 駅舎に様々な機能が複合化するのは大きく分けて「内包」と「結合」の二通りが考えられる。 内包型
a
複合化
b
結合型
a
b
結合型
内包型
図3.2.2:複合化のタイプ
□内包型:駅舎の中に様々な施設を駅ビルのようなかたちで合わせ持つ。 (例;大都市部の駅、JR京都駅
など。)
□結合型:駅舎の外に様々な機能を合わせ持つ。 (例:恵比寿駅-ガーデンプレイス、新宿駅- ルミネ、小田急、京王百貨店)
今後もこのような他の機能を複合化した駅が増加することが予想される。駅利用者にとってどこまでが駅と して認識されるのであろうか。駅からどこまでの距離までなら利用するのだろうか。 この駅から利用される範囲を「駅の領域」ととらえ、この「駅の領域」について考えてみる。 「領域」を「起 点から同一なものとして認識される範囲」として考えると、 「駅の領域」を考えるということは「駅の連続性」 について考えることと等価であると考えられる。
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3.2.3:駅の連続性 駅の連続性について様々な角度から考えてみる。
□物理的連続性:(a)駅を起点とした歩行距離 (b)移動をさまたげる要素の有無(道路、信号、階段
など)
(c)地図上の直線距離 □時間的連続性:駅を起点とした歩行時間 □経済的連続性:(a)乗換え時の費用の有無(乗換で再び初乗り運賃を払うか) (b)他の交通機関を利用したときの経済的負担 □情報的連続性:徒歩何分とか何mなどの情報の有無 □心理的連続性:心理的負荷の有無(混んでいる、上り坂である
など)
以上のように連続性についてはいくつかの項目が存在する。 本研究ではもっとも一般的な歩行距離と歩行時間に焦点をあて「駅を起点とした歩行領域」の研究を行う。
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3.3:歩行領域について 3.3.1:歩行領域 駅の領域について研究するに当たり、駅の領域を評価するものは「距離」と「時間」であり、その領域は「利 用者の行動領域」に相当するものと考えた。従って本研究において「駅の領域」とは「駅を起点とした利用者 の歩行領域」と定義し研究を行った。また、今回研究対象を東京の主要交通手段である山手線とした。一般に 都市の密度が減少するにつれ、徒歩トリップは自動車トリップへ移項する傾向にあり、逆に都市内の高密度地 域では自動車交通が徒歩や鉄道やバスなどの公共交通機関に移行する。以上の理由からも歩行交通が東京のよ うな高密度都市部では重要な交通手段であるので「歩く」という行為に的を絞って研究を行った。
3.3.2:限界域の決定について 「駅を起点とした利用者の歩行領域」を研究するにあたり、その領域の決定の仕方について定義する。 歩行領域を歩行距離の限界ではなく、 日常的にどこまでの範囲を利用するかという一般的な利用領域として 定義する。従って「どこまで歩くことができるか」ではなく、 「どこまで歩いて利用するか」ということにな る。
3.3.3:トリップについて 一般に人のワントリップでの歩行距離は600mといわれるが、本研究においてはワントリップということ に限定せず利用者の行動領域について研究を行うため特に利用者の行動について規定を設けず利用者の行動領 域を調査する。 従って利用者が途中にどこかへよって歩行を続けるような行動を認め、 「歩行領域とその領域の土地利用と の相関関係」を明らかにすることができると思われる。
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3.4:歩行距離について 3.4..1:歩行距離と歩行速度について 先述したように人の駅を起点としたワントリップでの歩行距離は約500mで、また表3-1(「歩行者の ための都市空間」)からも分かるように都市部での平均歩行距離は524mで起点から600m圏内をワント リップでの歩行領域として定義することができる。 ほとんどのグループのトリップの徒歩部分は時間的に同じ で、平均すると遅滞時間、待ち時間、ウィンド・ショッピング時間を除いた、歩行に費やす正味時間は約6分 間である。またその分布も大部分は5.5〜6.8分の間にあるが、最も若い男性のグループだけが4.7分と いう不釣り合いな歩行時間となっているが、これはこの世代の歩行速度が分速97.5mと速いためである。大 部分のグループは時間について同程度の経済価値を見出しているが、 速く歩く程一定時間に長い距離を進むた め、 歩行距離の差異はほとんど歩行速度の差異によっていることが分かる。 ちなみにここでいうトリップとは、 モートン・シュナイダ−による定義である「トリップとはすべてが最短経路上にある、1人の人の全移動行程 の各部分」である。
表3.4.1.1:平均歩行距離/推定平均歩行時間 グループ
構成比(%)
平均歩行距離(m)
推定平均歩行距離(分)
10.2 35.1 6.5 28.8 14.6 4.8 51.8 48.2 100
458 623 522 490 440 379 579 463 524
4.7 6.83 6.5 5.8 5.47 5.59 6.37 5.67 6.03
男性(25歳以下) (25〜50歳) (50歳以上) 女性(25歳以下) (25〜50歳) (50歳以上) 男性計 女性計 総計(16,740トリップ) 700 600 500 400 300 200 100 0
系列1
男性 女性 総計(1 (25 (25 (50 (25 (25 (50 6,74 男性計 女性計 歳以 〜50 歳以 歳以 〜50 歳以 0ト 下) 歳) 上) 下) 歳) 上) リッ 458
623
522
490
440
379
579
463
524
図3.4.,1.2:平均歩行距離 表3.4.1.3:人の平均歩行速度 男性 女性 平均
若者(20代) 5.4 km/h 4.2 km/h 4.8 km/h
中年(30、40代) 4.8 km/h 3.6 km/h 4.2 km/h
-11-
高年(50代) 4.2 km/h 3.0 km/h 3.6 km/h
平均 4.73 km/h 3.6 km/h 4.2 km/h
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3.4.2:歩行距離と歩行目的について 歩行距離に影響する要因としてトリップ目的(歩行目的)と歩行距離の関係について考えてみ る。 当然ではあるが人はただ歩くのではなく、何かの目的があって歩く。それは買い物であったり、散 歩であったり、帰宅のためであったり、そのときどきによって様々である。その目的によって人の 歩行距離も変化することが表 3.4.2(「歩行者のための都市空間」)から見ることができる。
表3.4.2:徒歩トリップの目的別歩行距離累積分布 歩行距離(m) 75 150 225 300 375 450 525 600 900 1200 1500 1600 1800 2100 2400 2700 3000 3200 平均距離(m) 中央距離(m) トリップ数
全目的
食事
通勤
娯楽
買い物
業務
7 13 27 45 61 67 74 76 83 86 93 94 95 96 97 98 99 99
5 22 45 64 78 83 88 90 96 97 97 98 98 99 99 99 100 -
9 16 27 42 55 64 71 73 78 82 91 94 95 97 99 100 -
5 19 29 42 54 62 69 71 82 92 96 98 99 99 99 100 -
4 12 22 36 50 57 65 68 78 82 89 89 89 89 90 92 95 96
8 14 23 35 45 54 61 65 82 94 98 98 98 99 99 100 -
524 326 17306
327 247 1118
573 341 7294
508 344 669
687 381 640
529 428 955
・「平均距離」:全歩行距離をトリップ数で割った値 ・「中央距離」:歩行者の半数以上が歩いている距離 ・ 「累積分布」 :ある距離を想定したときそれより短い(長い)距離を歩く人が何%になるかを示した もの。
おそらく利用者の行動領域は目的地の土地利用(施設利用)と密接な関係にあることが予想され る。買い物や業務が目的の場合は、そこへ到達するために多くの距離を歩くものと思われる。 従って、単純に歩行距離を調査するのではなく、歩行距離とその領域の土地利用の双方の調査を行 うことが「駅を起点とした歩行領域の研究」を行う上で重要である。
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3.5:研究フローチャート
山手線全駅の土地利用調査
駅タイプの分類
歩行領域領域アンケート 調査対象駅を選択
アンケート調査
利用者アンケート
歩行領域アンケート
属性
意識的歩行時間
歩行領域データ
意識的歩行距離
Arc View GIS
歩行領域3 D モデル
考察
-13-
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第4章:山手線全駅の周辺土地利用調査
12
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4: 山手線全駅の周辺土地利用調査
4.1:調査目的 「駅を起点とした利用者の歩行領域の研究」を行うにあたり、調査対象駅を選別するための予 備調査として本調査を行う。
4.2:調査対象 山手線全駅を調査対象とし、各駅を起点とした半径1 Km 圏内とする。
4.3:調査内容 (1)山手線各駅を起点とする半径1 Km 圏内の土地利用、周辺施設等を調査する。 □調査項目:(a)住居地域と業務地域の調査対象域に対する割合 (b)学校数(大学、私立高校等の数。 ) (c)文化・アミューズメント施設数(公園、美術館、大型娯楽施設等) (d)乗入れ鉄道路線数(私鉄、JR) (e)商業地区型(大型商業施設、商店街等の数。)
(2)各項目ごとにその結果を出し、各駅のデータを総合し5段階の相対評価を行う。
(3)その結果をグラフ化し駅タイプの分類を行う。 駅タイプは以下の 7 つに分類する。 □駅タイプ:(A)オフィス型 (B)住居地区型 (C)文化・アミューズメント施設型 (D)学園型 (E)商業地区型 (F)乗換え駅型 (G)その他
(4) 結果から歩行トリップが多く見られるであろう高密集地域を調査対象駅として選択する。 □選択基準:利用者が多く高密集地区となっているであろう(E)商業地区型や(F)乗換 え駅型の駅を調査対象駅として選択する。
(5)以上の結果をもとに5章の歩行領域アンケート調査を行う。
13
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4.4:調査結果 4.4.1:山手線全駅周辺地域土地利用調査結果(絶対評価) 山手線各駅の周辺地域土地利用について調査した結果は表4.4.1。 調査範囲内の土地利用(住居地区、業務地区)については「地価マップ 都市計画用途地域図 東京都」 (国土庁土地局地価調査課:平成3年:ゼンリン)を参考文献とした。 表4.4.1:山手線全駅の周辺地域土地利用調査結果 住宅
オフィス
文化・AM
%
%
施設数
新宿
10
80
6
代々木
20
35
原宿
25
渋谷
学校数
商業
ターミナル
96年度1日あたり
施設数
乗入れ路線数
の平均乗降客数
5
12
6
1535600
4
2
2
1
109715
40
2
1
3
1
141173
30
60
4
5
10
4
845611
恵比寿
40
45
2
2
2
2
236126
目黒
50
20
2
3
1
1
228126
五反田
40
40
0
4
1
2
271436
大崎
40
25
2
0
1
0
89578
品川
10
80
2
3
6
4
469397
田町
10
60
1
8
0
1
323611
浜松町
10
70
4
0
3
2
325556
新橋
10
80
2
0
0
6
462663
有楽町
10
75
5
0
1
3
331195
東京
0
100
2
0
10
7
788230
神田
10
80
0
1
6
3
237995
秋葉原
10
80
1
0
0
3
280756
御徒町
25
70
3
1
5
1
175107
上野
40
40
10
6
2
5
415271
鴬谷
50
30
3
2
3
1
48493
日暮里
50
20
3
0
1
3
157255
西日暮里
40
20
1
2
1
2
214992
田端
40
10
1
0
0
1
77786
駒込
50
10
3
1
0
1
91605
巣鴨
40
25
2
3
1
1
181436
大塚
60
20
2
1
0
0
112778
池袋
20
60
3
3
9
6
129359
目白
50
10
1
6
0
0
87019
高田馬場
40
15
3
2
1
2
440811
新大久保
50
30
1
1
0
0
71337
4.4.2:相対評価基準
■調査結果をもとに駅タイプの分類を行う。 各項目の相対評価基準は表4.4.2参照。 表4.4.2:相対評価変換基準 相対評価
住居地域
業務地区
文化・AM
学校
商業
乗換え
5
50%˜41%
100%˜81%
10˜9
8
12˜10
7
4
40%˜31%
80%˜61%
8˜7
7˜6
9˜7
6
3
30%˜21%
60%˜41%
6˜5
5˜4
6˜5
5˜4
2
20%˜11%
40%˜21%
4˜3
3˜2
4˜3
3˜2
1
10%˜0%
20%˜0%
2˜0
1˜0
2˜0
1˜0
14
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4.4.3:山手線全駅の駅タイプの分類 4.4.2で述べた基準にもとずき各項目を5段階の相対評価を行った。相対評価の結果は表4.4.3を参照。 またここでは「周辺施設評価の合計」を「集客力」としその合計の大きい駅から順に並べた。 表4.4.3:山手線全駅相対評価 住宅
オフィス
文化・AM
学園
商業
96年度1日あたり 集客力
ターミナル 乗入れ路線数
の平均乗降客数
新宿
1
4
3
3
5
4
1535600
15
上野
4
2
5
4
1
3
415271
13
渋谷
3
3
2
3
5
3
845611
12
池袋
2
3
2
2
4
4
129359
12
東京
1
5
1
1
4
5
788230
11
品川
1
4
1
2
3
3
469397
9
田町
1
3
1
5
1
1
323611
8
新橋
1
5
1
1
1
4
462663
7
高田馬場
4
1
2
2
1
2
440811
7
有楽町
1
4
3
1
1
2
331195
7
浜松町
1
4
2
1
2
2
325556
7
神田
1
5
1
1
3
2
237995
7
御徒町
3
4
2
1
3
1
175107
7
目白
5
1
1
4
1
1
87019
7
五反田
4
2
1
2
1
2
271436
6
恵比寿
4
3
1
1
2
2
236126
6
日暮里
5
1
2
1
1
2
157255
6
代々木
2
2
2
2
1
1
109715
6
鴬谷
5
2
2
1
2
1
48493
6
秋葉原
1
4
1
1
1
2
280756
5
目黒
5
1
1
2
1
1
228126
5
西日暮里
4
1
1
1
1
2
214992
5
巣鴨
4
2
1
2
1
1
181436
5
原宿
3
2
1
1
2
1
141173
5
駒込
5
1
2
1
1
1
91605
5
大塚
5
1
1
1
1
1
112778
4
大崎
4
1
1
1
1
1
89578
4
田端
4
1
1
1
1
1
77786
4
新大久保
5
2
1
1
1
1
71337
4
4.4.4:駅タイプの決定 相対評価した6項目(住居、オフィス、文化・AM、学園、商業、乗換え)をレーダーグラフによって表 しその形から駅タイプを決定する。相対評価結果を用いることで各駅の性格を表すことができる。
表4.4.4:駅タイプレーダーグラフ 文化・AM 型
商業地区型
ターミナル
池袋
渋谷
新宿
上野
住宅 5
住宅 5
住宅 5
住宅 5
4
4
4
3
オフィス
2
ターミナル
オフィス
2
ターミナル
4
3
オフィス
ターミナル
3
2
2
1
1
1
1
0
0
0
0
商業
文化・AM
商業
学園
学園型 田町
ターミナル
3
文化・AM
商業
文化・AM
学園
学園
住居型
オフィス型
オフィス
商業
文化・AM
学園
乗換え型
大塚
神田
東京
住宅 5
住宅 5
住宅 5
住宅 5
4
4
4
3
オフィス
ターミナル
3
2
2
1
1
0
0
商業
文化・AM
学園
商業
オフィス
文化・AM
ターミナル
3
4 オフィス
ターミナル
3
2
2
1
1
0
0
商業
文化・AM
商業
文化・AM
学園
学園
学園
15
オフィス
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
山手線全駅の駅タイプは以下の通り分類できる。 (A)オフィス型:品川・新橋・有楽町・神田・御徒町・新宿・東京 (B)住居型:五反田・恵比須・日暮里・鴬谷・西日暮里・巣鴨・駒込・大塚・田端・新大久保 (C)文化・アミューズメント型:上野 (D)学園型:田端・目白 (E)商業地区型:新宿・渋谷・池袋 (F)乗換え型:東京 (G)その他:代々木・原宿
4.4.5:アンケート調査対象駅の選択
□アンケート調査を行う対象駅の選択基準 ・利用者が多い。(=アンケート回答率の向上。) ・高密集地域である。(=歩行トリップが多く見られる。) ・周辺に様々な施設を持っている。(=集客力がある。)
以上の基準から表4.4.3の集客力で上位5駅にあたる新宿・渋谷・東京・上野・池袋の5駅をアンケー ト調査の対象駅とする。
16
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
第5章:歩行領域アンケート調査
17
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
5:歩行領域アンケート調査 5.1:調査目的 土地利用調査より歩行トリップの多いと予想される5駅について、 「調査対象駅を起点とした歩行領域」 に関するアンケート調査を行い、利用者の歩行領域を地図上に2次元的に表すのが目的。 5.2:調査内容 □アンケート対象者:私の所属するサークルの友人とその家族、所属研究室の方々など □アンケート人数及びその内訳:アンケート回答者70名 表5.2:アンケート回答者の内訳 男性 女性 計
10代 2 2 4
20代 23 15 38
30代 6 4 10
40代 4 2 6
50代以上 7 5 12
計 42 28 70
人数 36 34 70
学生 社会人/主婦 計
□アンケート方法:アンケート用紙をアンケート対象者へ配布し後日回収する。 アンケートには回答者本人が印等をつける。 □アンケート内容:(A)利用者アンケート ・アンケート回答者の属性の調査が目的 ・アンケート項目 (Q1):あなたの年齢は?(10・20・30・40・50・60代以上) (Q2):あなたの性別は?(男性・女性) (Q3):あなたの職業は?(学生・社会人・主婦・無職・自営業・その他) (Q4):あなたは駅から何分の距離までなら歩きますか? ( )分まで (Q5):あなたは駅からどれくらいの距離までなら歩きますか? (約 )mまで
(B)歩行領域アンケート ・調査対象駅5駅を起点とした2km圏内の地図を渡し、その中で「調査対象 駅を起点として歩いていったことのあるところ」へ印をつけてもらう。 ・使用した地図は東京都23区内の道路地図で縮尺は1/10000。 ・印の付け方は以下の4通り。 A:歩いて行ったことのある施設名に直接印をする。 B:街区でいったことのあるところへはその街区を囲んでいただき内 側に斜線を入れてもらう。 C:歩いて行ったことのある街区はまとめて大きな枠で囲っても良い。 D:会社や学校など毎日利用する場所がある場合は●印をつけその施設 名をお書き下さい。 ・全5駅の歩行領域アンケートにそれぞれ付いている「利用頻度/利用目的 記入表」へも記入してもらう。 《利用頻度/利用目的
記入表》
・利用頻度:毎日・良く使う・たまに使う・ほとんど使わない・使ったことがない ・利用目的:通勤・通学・買い物・乗換え・その他(
18
)
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
5.3:調査結果 5.3.1:アンケート回答者の属性
アンケート回答者の個人データは表 5.3.1.1 のとおり。 なお、表中の性別と職業、歩行領域アンケートでの利 用頻度、利用目的の項目の数値は表5.3.1.2のとおりに対 応する。
表5.3.1.1:アンケート回答者
表5.3.1.2:属性データ数値対応表 番号 1 2 3 4 5 6
性別 男性 女性 -
職業 学生 社会人 主婦 無職 自営業 その他
利用頻度 毎日 よく使う たまに使う ほとんど使わない 使ったことがない -
19
利用目的 通勤 通学 買い物 乗換え その他 -
個人データ
sample no. 年齢 性別 職業 1 40 2 3 2 30 1 2 3 50 1 5 4 50 1 5 5 50 2 3 6 30 2 3 7 20 1 4 8 30 1 2 9 20 1 1 10 20 1 1 11 50 2 2 12 50 2 3 13 20 1 1 14 20 1 1 15 20 1 1 16 20 1 1 17 20 2 1 18 20 2 1 19 20 2 1 20 20 1 2 21 20 1 1 22 40 1 2 23 30 1 2 24 20 1 1 25 50 1 2 26 10 1 1 27 20 1 2 28 40 1 2 29 20 2 1 30 40 1 2 31 20 1 1 32 30 1 1 33 20 1 1 34 30 1 2 35 20 1 1 36 20 1 1 37 40 1 2 38 30 1 2 39 20 2 1 40 20 2 1 41 20 1 1 42 20 1 1 43 30 2 2 44 20 1 1 45 20 1 1 46 10 2 1 47 50 1 2 48 20 1 1 49 50 1 2 50 20 2 1 51 20 2 1 52 20 2 1 53 50 1 2 54 50 2 2 55 20 1 1 56 50 2 3 57 20 1 1 58 20 2 1 59 10 2 1 60 20 2 1 61 20 2 2 62 20 1 2 63 30 2 3 64 30 2 2 65 40 2 3 66 60 1 2 67 20 2 2 68 10 1 2 69 20 2 1 70 20 2 1
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
5.3.2:利用者アンケート調査結果 □利用差アンケートにょる意識的歩行距離 / 意識的歩行時間の結果については表 5.3.1 の通り。 表5.3.1:利用者アンケート調査結果 歩行時間(分)
歩行距離(m)
10代・20代
17.4
1237
30代・40代
16.6
1300
50代・60代
21.4
1609
TOTAL
18.5
1382
5.3.2.1:意識的歩行時間 「あなたは駅から何分の距離までなら歩きますか?」という質問に対する回答結果は表 5. 3.2.1。結果から最も長い時間歩く世代は50〜60歳代で21.4分となった。逆に最も短い 歩行時間となったのは30〜40歳代で16 .6分であった。アンケート回答者全員の平均は 18 . 5分となった。
表 5.3.2.1:意識的歩行時間結果 歩行時間(分)
TOTAL
18.5
50代・60代
21.4
30代・40代
16.6
10代・20代
17.4 0
5
10
15
20
25
表5.3.2.2:意識的歩行領域結果 歩行距離(m)
1800
5.3.2.2:意識的歩行距離 「あなたは駅からどれくらいの距離までなら歩き ますか?」という質問に対する結果は表 5.3.2.2 のと
1600
1400
おり。 年令が上がっていくにつれて意識的歩行距離が 1200
伸びていくのが特徴。全体の平均では 1382m という 1000
極めて高い数値となった。
800
600
400
200
0 10代・20代
20
30代・40代
50代・60代
TOTAL
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
5.3.2.3:意識的歩行時間 / 意識的歩行距離 表5.3.2.3:意識的歩行時間換算値
利用者アンケートで得られた意識的な歩行時間と歩 行距離についてその関係に注目する。
1800
一般的な人の歩行速度を考慮しアンケートで得られた 意識的歩行時間を歩行距離へ換算した。表5.3.2.3
1400
はその結果である。換算には一般的な歩行速度(表5. 3.2.4)を利用。意識的歩行時間を距離へ換算した値と
1200
意識的歩行距離を比較すると、10代・20代以外の
1000
値はすべて換算値が下回った。また50代・60代の
800
値に開きがあるがほかはある程度似た値となり、歩行 距離と歩行時間に関してあまり間違った認識はしてい
1609
1600 1392 1300 1237
1295 1382
1284
1162
600
400
ないことが分かる。 200
0 10代・20代
30代・40代
50代・60代
意識的歩行時間を距離に換算
TOTAL
意識的歩行距離
表5.3.2.4:人の平均歩行速度 歩行速度[km/h]
21
10代・20代 4.8 km/h
30代・40代 4.2 km/h
50代・60代 3.6 km/h
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
5.3.3:歩行領域アンケート調査結果 5.3.3.1:歩行領域アンケート調査の集計方法 歩行領域アンケート調査で得たデータは以下の手順で集計した。 (1)配布した地図と同じものをこちらであらかじめ700m×700m前後の街区に分け、そのひと つひとつに番号をうっておく。 (2)回答済みの地図に街区分けを行ってあるシートをかけ、対応する街区番号をEXCELに属性デー タと共に入力を行う。 5.3.3.2:各調査対象駅の歩行領域アンケート結果 (a):渋谷駅 (b):新宿駅 (c):池袋駅 (d):上野駅 (e):東京駅
22
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
(a):渋谷駅調査結果 渋谷 街区番号
young
middle
63
10
8
125
7
6
188
0
1
64
7
7
126
7
6
189
0
1
1
19
18
65
8
9
127
7
6
190
0
0
2
14
13
66
7
7
128
9
5
191
0
0
3
20
15
67
8
10
129
5
3
192
0
0
4
18
15
68
7
10
130
8
4
193
0
0
5
27
14
5
194
0
0
21
12
10
25
9
131
6
69
2
195
0
0
18
12
4
26
9
132
7
70
3
196
0
0
14
9
8
19
6
133
8
71
1
197
0
0
16
7
6
19
5
134
9
72
5
198
0
0
14
4
5
19
3
135
10
73
3
199
0
0
13
4
6
20
3
136
11
74
5
200
0
0
19
2
6
23
2
137
12
75
7
201
1
2
22
2
9
28
2
138
13
76
13
202
1
2
17
1
9
26
2
139
14
77
7
203
1
2
16
2
6
25
2
140
15
78
5
204
1
3
19
12
3
26
13
141
16
79
142
4
4
3
21
9
1
29
10
205
17
80
143
1
1
3
18
3
1
22
6
206
18
81 82
7
9
2
13
0
0
21
2
207
19
144
83
7
8
3
17
0
1
20
0
208
20
145 146
0
1
3
9
5
1
15
4
209
21
84
147
1
2
2
12
3
1
16
3
210
22
85
148
1
3
2
12
7
1
17
10
211
23
86 87
7
5
2
16
4
1
18
1
212
24
149
88
10
6
2
15
4
1
20
1
213
25
150
89
4
3
2
11
2
1
20
2
214
26
151
90
5
5
0
12
3
1
13
3
215
27
152
11
9
153
2
2
216
1
0
154
3
2
217
0
0
155
1
2
218
0
0
156
2
2
219
0
0
157
1
2
220
0
0
158
5
2
221
0
0
159
3
2
222
0
0
160
2
2
223
0
0
161
1
2
224
0
0
162
2
2
225
0
0
163
0
1
226
0
0
164
0
1
227
1
0
165
0
1
228
0
0
166
0
1
229
0
0
167
0
1
230
0
0
168
0
1
231
0
0
169
0
1
232
0
0
233
0
0
234
1
0
235
1
1
236
1
1
237
1
3
238
1
3
239
2
3
240
1
4
241
1
2
242
1
2
243
1
2
244
1
2
245
1
2
246
1
2
247
1
2
248
1
2
249
1
2
250
0
0
28
11
10
91
29
14
10
92
9
8
30
17
9
93
5
4
31
15
8
94
9
7
32
14
8
95
11
7
33
10
17
96
10
7
34
12
8
97
16
10
35
19
9
98
15
9
36
8
9
99
15
9
37
5
7
100
14
9
38
3
3
101
7
6
39
2
3
40
2
3
102
7
5
41
5
4
103
5
5
42
5
4
104
4
5
43
5
3
105
5
5
44
3
3
106
8
6
45
3
3
107
5
5
170
0
2
46
5
2
108
4
5
171
1
2
47
5
3
109
10
5
172
3
4
48
6
3
110
10
5
173
3
4
49
10
7
111
10
5
174
2
3
50
10
8
112
12
6
175
1
2
51
11
9
113
6
3
176
1
2
52
9
11
114
10
4
177
1
2
53
9
11
115
14
10
178
2
2
54
10
10
116
13
9
179
2
2
55
3
3
117
6
7
180
2
2
56
2
3
118
7
7
181
2
2
57
5
4
119
10
8
182
1
2
58
10
7
120
8
9
183
1
2
59
13
11
121
5
7
184
1
1
60
10
10
122
6
9
185
1
1
61
14
13
123
10
186
1
1
62
11
8
124
10
187
1
1
12 9
23
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
(b):新宿駅調査結果
新宿 街区番号
若者
中年
63
29
20
126
2
1
189
0
0
64
27
18
127
1
1
190
0
0
1
22
17
65
29
21
128
1
2
191
5
5
2
23
21
66
28
20
129
1
1
192
5
5
3
20
18
67
29
23
130
2
1
193
5
5
4
17
18
68
26
20
131
7
5
194
5
5
5
15
12
69
24
19
132
5
5
195
5
5
6
13
11
70
34
21
133
4
4
196
5
3
7
16
13
71
25
22
134
4
4
197
5
3
8
9
13
72
27
21
135
4
3
198
6
4
9
16
14
73
30
22
136
10
6
199
6
4
10
16
14
74
30
22
137
10
4
200
4
2
11
18
18
75
26
22
138
5
3
201
3
1
12
17
15
76
30
26
139
9
2
13
16
18
202
2
0
77
18
17
140
10
4
14
16
15
203
1
1
78
20
15
141
2
1
15
15
14
204
1
1
79
32
16
142
2
0
16
14
12
205
0
1
80
20
15
143
4
1
17
13
11
206
0
1
81
17
14
144
5
3
18
12
11
207
0
1
82
19
13
145
3
2
19
12
13
208
0
1
83
17
11
146
2
0
20
15
15
209
0
1
84
16
11
147
2
0
21
14
10
210
0
1
85
16
8
148
2
0
22
14
13
211
0
1
86
13
8
23
15
8
149
2
0
87
16
11
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0
1
24
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0
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213
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14
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2
0
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18
14
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0
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0
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15
216
0
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28
11
10
154
0
0
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18
217
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1
29
8
8
155
0
0
93
20
19
218
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30
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0
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9
0
0
13
0
0
31
157
219
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13
220
0
1
32
20
17
158
0
0
8
22
0
9
14
1
33
96
221
159
0
0
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7
160
0
0
0
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0
34
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0
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0
0
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224
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0
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5
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100
225
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0
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226
165
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0
0
10
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227
39
102
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0
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0
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0
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230
169
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0
0
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0
14
5
231
43
106
170
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0
0
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0
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16
232
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107
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171
1
2
0
9
22
0
45
108
233
5
21
172
1
2
0
7
31
0
46
109
234
5
14
173
0
2
0
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110
235
174
0
3
0
4
12
1
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236
48
111
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4
175
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3
0
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112
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3
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3
240
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115
179
0
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0
0
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0
0
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10
185
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0
0
0
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59
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247
186
0
1
0
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248
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123
187
0
2
0
2
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0
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249
61
124
188
0
0
0
19
2
0
29
3
250
62
125
24
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
(c):池袋駅調査結果
池袋 街区番号
若者
中年
63
2
2
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0
189
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0
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0
0
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19
12
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0
129
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0
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0
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15
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0
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0
131
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0
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0
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134
196
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0
12
2
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135
197
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16
12
12
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1
10
3
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136
198
10
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10
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137
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0
199
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11
10
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138
0
0
200
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202
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0
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0
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0
19
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0
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0
20
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0
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215
0
1
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0
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10
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10
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11
12
35
16
13
36
16
11
37
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38
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4
39
2
2
40
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3
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1
0
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0
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45
1
0
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0
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0
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0
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0
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2
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4
55
8
5
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3
57
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1
58
1
0
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143
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1
82
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145
1
0
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0
250
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0
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9
7
124
3
1
62
4
4
125
4
0
25
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
(d):上野駅調査結果
上野 街区番号
若者
中年
63
0
0
126
0
0
189
0
0
64
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0
127
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20
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17
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194
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0
0
132
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1
195
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1
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5
70
0
0
133
1
1
7
2
2
196
0
0
71
3
5
134
0
1
8
21
20
197
0
0
72
2
5
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0
1
9
13
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198
0
0
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0
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10
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199
0
0
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19
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137
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200
0
0
12
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138
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0
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204
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205
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0
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0
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0
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0
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228
0
0
104
0
1
167
0
0
229
0
0
105
0
0
168
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4
230
0
0
106
0
1
169
0
0
231
0
0
107
0
0
170
0
0
232
0
0
108
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0
171
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233
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109
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0
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0
234
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0
110
0
0
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0
0
235
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0
111
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0
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0
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0
0
112
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0
175
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0
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0
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240
0
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0
246
0
0
247
0
0
248
0
0
249
0
0
250
0
0
20
1
0
21
14
14
22
18
17
23
11
12
24
19
17
25
12
10
26
18
12
27
8
7
28
12
9
29
7
5
30
8
5
31
4
3
32
4
1
33
2
2
34
4
2
35
4
0
36
2
0
37
3
2
38
3
0
39
3
0
40
4
2
41
3
11
42
4
1
43
3
1
44
2
1
45
4
2
46
2
3
47
1
2
48
0
0
49
0
0
50
1
3
113
0
0
176
0
0
1
114
0
0
177
0
0
1
115
0
0
178
0
0
0
0
179
0
0
51 52
0 1
53
1
2
116
54
1
2
117
0
0
180
0
0
55
0
0
118
0
0
181
0
0
56
0
0
119
0
0
182
0
0
57
0
0
120
0
0
183
0
0
58
0
0
121
0
0
184
1
0
59
0
0
122
0
0
185
1
0
60
0
0
123
0
0
186
1
0
0
0
187
1
0
0
0
188
1
1
61
0
0
124
62
0
0
125
26
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
(e):東京駅調査結果
東京 街区番号
若者
中年
63
6
6
126
0
4
189
0
1
64
5
8
127
0
3
190
0
1
1
10
11
65
7
8
128
0
3
2
1
6
191
0
2
66
6
7
129
1
5
3
2
4
67
8
7
130
4
7
192
0
1
4
0
3
68
5
7
131
2
7
193
0
0
5
0
3
69
8
7
132
9
8
194
0
0
6
0
3
70
1
4
133
4
7
195
0
1
7
0
5
10
8
1
5
4
134
1
2
0
8
71
196
10
9
4
5
6
135
1
4
0
9
72
197
136
4
7
3
5
7
0
1
5
198
10
73
137
4
7
2
6
7
0
2
5
199
11
74
138
5
5
1
6
4
0
3
3
200
12
75
139
2
5
1
4
5
0
2
3
201
13
76
140
2
6
1
4
5
0
2
2
202
14
77
141
4
6
1
9
5
0
3
2
203
15
78
142
6
7
1
4
5
0
1
2
204
16
79
17
1
4
80
0
2
143
1
6
205
0
1
18
1
4
81
0
5
144
2
16
206
0
1
19
4
11
82
0
4
145
5
6
207
0
1
20
4
9
83
0
2
146
4
6
208
0
1
21
6
11
84
0
3
147
3
6
209
0
1
22
0
5
85
0
4
148
1
5
210
0
1
23
0
5
86
0
4
149
2
3
8
87
2
4
6
1
0
3
0
24
150
211
5
88
2
4
5
1
0
2
0
25
151
212
4
89
2
3
5
1
0
1
0
26
152
213
3
1
13
6
0
8
1
214
27
153
3
0
4
2
0
0
1
215
28
154
3
0
7
1
0
1
1
216
29
155
0
1
0
3
0
217
30
2
218
0
1
31
0
5
32
3
7
219
1
3
33
4
7
220
0
3
34
1
221
0
2
222
0
2
35
1
90 91 92
2 2 2
93
1
3
156
94
1
2
157
1
0
95
1
3
158
1
1
96
0
2
159
2
1
3
97
0
2
160
1
1
3
98
0
5
161
1
1
1
1
162
1
1
223
0
2
36
0
3
99
37
1
4
100
1
1
163
1
1
224
0
2
38
1
6
101
0
1
164
1
1
225
0
2
39
1
3
102
0
1
165
1
1
226
1
4
40
2
6
103
0
1
166
1
1
227
0
4
41
2
6
104
0
2
167
1
1
228
1
4
42
2
4
105
0
1
168
1
1
229
1
4
43
2
4
106
0
1
169
1
1
230
1
6
44
1
5
107
0
0
170
1
1
4
108
0
2
1
4
2
1
1
45
171
231
4
109
1
5
1
3
3
1
0
46
172
232
47
3
5
2
1
3
0
1
0
110
173
233
48
1
4
3
3
3
0
0
1
234
111
174
49
1
4
3
50
1
6
2
1
0
0
1
235
112
175
236
0
3
4
6
2
0
2
1
51
113
176
237
0
3
7
6
2
2
2
1
52
114
177
238
0
2
7
6
2
3
1
0
53
115
178
239
0
2
9
13
1
3
3
0
54
116
179
1
240
0
0
8
5
0
3
1
180
55
117
1
241
0
1
7
5
0
2
1
181
56
118
1
242
0
1
6
4
0
1
0
182
57
119
2
243
0
1
6
5
0
1
3
183
58
120
1
244
0
1
6
4
0
1
1
184
59
121
0
245
0
1
4
4
0
1
1
185
60
122
0
246
0
1
4
4
0
1
1
186
61
123
0
6
5
0
4
0
187
62
124
247
0
0
125
0
5
188
0
1
248
0
0
27
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
第 6 章:歩行領域3 D モデル
28 HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
第 6 章:歩行領域3 D モデル 6.1:歩行領域3 D モデルの狙い 「歩行領域アンケート」で得られた結果を「駅を起点とした歩行領域」として3次元的に表現することで 利用者の歩行領域と土地利用の関係を明らかにするのが狙いである。 6.2:歩行領域3 D モデルの作成方法 歩行領域3D モデルの作成は以下の手順で行った。(図6.2参照) (1):「歩行領域アンケート」で配付したのと同じ範囲の地図情報をArc View GISへ取り込む。 (使用したソフト:数値地図 2500 東京5/6(刊行:国土地理院)) (2):読み込んだ地図情報に「歩行領域アンケート」の結果を結合させる。 (3):Arc View GIS上で数値をゲラデーションで表す。 (4):ArcView GISで作成した図をForm Z によって3D 化する。 歩行領域アンケート 結果(EXCEL)
数値地図2500
Arc View GIS
解答の多かった場所ほど濃い色で表現 2Dグラデーションモデル 駅を起点とした600m圏を表示
Form Z
歩行領域3 D モデル
図6.2:歩行領域3Dモデル作成フロー
6.3:歩行領域3 D モデル結果 各調査対象駅の2D グラデーションモデルと歩行領域3D モデルを結果としてのせる。
29 HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
第7章:考察
30
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
第7章:考察 7.1:山手線周辺土地利用調査に関する考察 7.1.1:土地利用と歩行領域の関係 土地利用からある程度利用者の歩行領域の変化を予想することができる。第3章で述べているように歩 行トリップの距離はそのトリップ目的と密接な関係にあり、調査対象地域の土地利用を調査することでお おまかなフレーム部分を予想することができる。 各土地利用と歩行領域の変化予想を書くと表7.1のようになる。 表7.1:土地利用と歩行領域の関係
土地利用 住居地区 業務地区 商業地区 文化・AM地区
歩行領域 進展する 変わらない 縮小する 進展する
7.1.2:調査対象駅周辺の土地利用と歩行領域の変化予想ダイアグラム 今回調査した5駅(渋谷、新宿、池袋、上野、東京)の主な周辺土地利用とその歩行領域の外枠がどの ように変化するかを予想し、そのダイアグラムを表現してみる。
商業
住居
商業
業務
歩行領域予想 土地利用
図 a:渋谷
業務
商業
文化 住宅
土地利用
商業
図 b:新宿 31
歩行領域予想 HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
住居 商業 学園 住居 歩行領域 土地利用
図 c:池袋
文化 住居
商業 住居
土地利用
歩行領域予想
図 d:上野
業務 業務
業務 商業
土地利用
歩行領域予想
図 e:東京
32
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
以上が土地利用と歩行領域予想である。しかしこれらは外枠を考えたものに過ぎず、これらは 「歩いて利用する領域」ではなく、 「歩いていくことのできる領域」という「歩行限界」になり本 研究の目的とは異なる。 7.1.3:2次元的表現での限界と行動領域の3次元的な空間把握
土地利用からもある程度は歩行領域の「かたち」を予想することはできる。しかし7.1.2で表現 したような2次元的な表現は歩行領域の境界線を表現したに過ぎない。歩行領域を2次元的な 「ON /OFF」で表現することで「歩行領域の限界線」を引くことは出来たがそれは「歩行領域」と いう3次元空間を認識する上で必ずしも正しい解釈をしてはいない。実際の空間を「簡略化した モデル」で表現するには同じ基準で判断しなければならない。従って「駅を起点とした歩行領域」 は平面的なものではなく、駅を頂点として外へいくに従って減少していく連続空間で、3次元的 な表現をすることで認識すべきものである。またそのような3次元的表現は駅から遠くなるにつ れ減少していくその変化の仕方が1次関数的であるのか、指数関数的であるのか、それとももっ と他の傾向なのかも理解することができると思われる。
33
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.2:利用者アンケート調査に関する考察 7.2.1:意識的歩行距離、意識的歩行時間に関する考察 アンケート結果からワントリップでの歩行距離といわれる600mをはるかに越える値が得られた。ア ンケートの段階でワントリップに限らない質問形式だったためこのような結果になったとおもわれる。 平均距離で1300mを越え、平均時間でも18分と大変長い距離、長い時間が出たのは調査を行った のが世界的にも人口が高過密である東京という場所柄であり、自動車等の交通手段が必ずしも速くなく、 ま た都心部では隣接駅までの距離も比較的短く、徒歩という移動手段がもっとも有効な交通手段であること を表している。
7.3:歩行領域アンケートに関する考察 歩行領域アンケートを各駅ごとに見ていくと利用頻度や利用目的で分類するより年齢で分類したものの ほうが差が明確になった。利用者の歩行領域に最も影響を与えているのは年齢であり、意識的歩行距離は 年配者の方が長い結果であるが領域は若い方が広い結果になる傾向を示した。 しかし調査駅によって中年以上の方が領域が広い場合もあり、これらには年齢以外の他の要素が大きく 影響を及ぼしていると思われる。アンケート結果から歩行領域自体は駅を起点とした半径600m圏内に おさまることが多かったが、特定の年齢層にのみ距離が伸びる地区も見られた。 これらの歩行領域が進展したり、収縮する原因を歩行領域モデルによって解明する。
7.4:歩行領域モデルに関する考察 歩行領域モデルを具体的に各駅ごとに見てみる。 (a):渋谷駅 ・駅南側には利用者の歩行領域がのびない。 ・駅から代々木公園へかけての歩行領域は600mをはるかにこえる結果となっている。 ・若者の歩行領域は駅は明治通りを北上し原宿駅まで伸びている。またそこから表参道を通り青山 から渋谷駅まで含めた広い地域を歩行領域としている。 (b):新宿駅 ・駅西側の高層ビル街での歩行領域は年齢よる差はあまりない。 ・駅西側の商業地区を同様に近い結果を示したが若者の方が歌舞伎町や明治通りの花園神社付近ま で若干広くのびていた。 (c):池袋駅 ・歩行領域にあまり差はなく西側は立教大学のあたりまで、東側はサンシャイン60あたりまでの 歩行領域を示し特別なにか違いがあるわけではなかった。 (d):上野駅 ・駅東側への歩行領域に差はなく駅を起点とした600m圏内におさまる結果となった。 ・駅西側の公園や美術館の多い地域へは中年以上の方が広い結果を示し、御徒町へつづくアメ横へ も同様に中年以上の方が広い結果を示した。 (e):東京駅 ・若者、中年ともほとんど同じ結果を示した。 ・有楽町、東京フォーラムへの南へ歩行領域が伸びる以外は歩行領域はあまり進展を見せなかった。
34
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.5:歩行領域の進展に関する考察 歩行領域モデルの結果を土地利用とともに考えてみると以下のことに気付く。 ■その場所にある施設等のターゲットとしている世代の歩行領域は伸びている。 ■歩行領域が大きくのびるにはその場所へ駅から600m以内の所に利用者にとって魅力的な施設等が 存在があり、そこを起点として周辺へ歩行領域がのびることが分かった。(図7.5.1) ■利用者にとって魅力的な施設が駅から遠くなっても続けて存在する場合は歩行領域は続けて伸びてい く。(図7.5.2)
駅
歩行領域
歩行領域
駅
施設 A
図 7.5.1:歩行領域と施設の関係
d
c
a
b
駅
歩行領域の進展
図 7.5.2:歩行領域と施設の関係2
35
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.6:年齢による歩行領域の違いに関する考察 調査対象年齢によって歩行領域に差異が生じる理由について考えてみる。 歩行領域モデルから利用者にとって魅力ある施設であればそこまで歩行領域が進展することが分かった。 つまり、両者における「歩行領域の差異」は「利用者層にとって魅力ある施設」が異なることが最大の原 因であると思われる。歩行領域は図7.6のようになる。
若者の歩行領域 中年の歩行領域
若者にとって 魅力ある施設
駅
中年にとって 魅力ある施設
図 7.6:利用者年齢による歩行領域の差異
逆に歩行領域に差がない場合は魅力ある施設がないか、両者にとって魅力的な施設であるのが原因 と思われる。渋谷を除く多くの駅では決定的に多きな差は生じなかった。これは他の調査駅周辺の 環境が両者にとって同様に魅力的であり、渋谷から原宿にかけては若者にとって大変魅力的であっ たので1500 m を超える歩行領域を示す結果となったと思われる。
36
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.7:歩行領域に関する総合的考察 □駅利用者の歩行領域はほとんどの場合、駅を起点とした600m圏内におさまることが分かったが、こ れは利用者が600mしか移動しないということではなく多くの場合、駅を起点とした600m圏内に利 用者の目的地があるためとおもわれる。 □利用者の歩行領域がのびるのは、駅を起点として、目的地に至る経路の通過点であり、かつ起点から 600m以内の場所に利用者にとって魅力的な施設や機能が存在する場合であることが分かった。 渋谷では若者の歩行領域は原宿にいたる1500mを超えるところまで進展したが、ほぼ同距離に存在 する代官山や恵比寿へ歩く例は少なく、またこれらの場所まで「遠いから」いう理由で他の交通機関を使 用して行く回答もアンケート結果から見ることもできた。 □駅を起点とした利用者の歩行領域は基本的には600mという範囲に収まることが多いが、その領域 内に利用者にとって魅力的な施設があればその歩行領域はそこからさらに発展し1500mを超える領域 に及ぶことが分かった。(図7.7参照)
一般的な歩行距離である600mを超えるとこ ろまでは利用者は歩いてそこまで行くことは少な く、他の交通機関等を利用しアクセスする。
600 m
駅
1500 m
駅を起点とした600m圏内に利用 者にとって魅力的な施設があればそ こから更に歩行領域が進展する。
駅
魅力ある施設
図7.7:歩行領域の進展の仕組み
■具体的な施設や機能と利用者にとっての魅力の関係 ・若者=若者をターゲットとした商業施設、商業地区。 (例:丸井、パルコ、渋谷−原宿間の明治通り) ・中年=美術館や公園などの文化施設、アメ横のような日用品を多く扱うところ。 ・両者にとって魅力的なところ=デパートなどの大型総合商業施設。
■結論 利用者の属性にとって魅力的な施設をつくることで、 ことができる。
37
その属性の歩行領域を制御する
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.8:歩行領域に関する発展的考察 本研究結果を多角的にとらえ「駅を起点とした歩行領域」について考えてみる。 □歩行速度を考慮する 歩行領域モデルから若者の方が中年以上よりも長い距離を歩く傾向が見られた。しかし両者 の歩行速
度を考慮すると若者の方が歩行速度が速く、歩行時間は両者ともあまり変わらないこ
とに気付く。歩行
距離の違いはその属性にとって魅力ある施設の有無も重要であるが、それら
の施設がない場合は歩行速度の差に因るところが大きいと思われる。 □若者の歩行領域のみに注目する 若者の歩行領域にのみ注目してみる。調査対象は全駅で同じ人間であるにも関わらず、調査 対象駅によってその歩行距離に大きな差が生じた。これらは周辺の施設や機能に因る部分も多い が、 同時に若者の対象駅の利用頻度に注目してみると新宿や渋谷といった駅では利用頻度が高く、 上野や東京等の駅では利用頻度が低い。利用頻度の高い駅では歩行領域も広く、利用頻度の低い 駅では歩行距離も狭い結果となった。これは利用頻度がたかい程その街の情報を多く得ることが でき、より遠くまで歩いていくことができ、逆に利用頻度が低い程その街の情報が乏しく他の交 通機関等を用いてできるだけ目的地の近くまで行くことになり歩行距離が伸びないものと思われ る。 □歩行距離と他の交通機関の関係を考える 一般に高密度地区ほど歩行トリップが多く見られる傾向にあることは先述したが、本研究の 対象である東京の山手線地区に限って考えてみる。 東京は山手線を中心として地下鉄網が充実し、 バスやタクシーといった自動車交通も盛んな都市である。しかしその経済的負担は大きく、鉄道 の初乗りは130円前後、バスでは200円前後、タクシーでは600円前後である。東京の都 心での移動には自動車交通は道路が混雑しているため時間的な負荷が大きく、それを補うだけの 効果を経済的負担をしてまですることができずさける傾向にあると思われる。鉄道などの時間的 負荷の少ない交通手段を考慮すると、例えば渋谷−原宿間は130円であるが若者は払わず歩い てしまうことも多いと思われる。距離にして1500m前後であり、1000mあたり80円の 経済負担をするに値しないという結果を得られる。これらの経済的負担は若者よりも年をとる程 すると思われる。若者は経済的負担をせず歩くというのも、中年よりも長い距離を歩くという結 果が得られる一因となっていると思われる。 更に経済的負担に関して考察してみると、定期券が有効な駅だあるかどうかも歩行領域に差異 を生む要因であると思われる。定期券を持っていれば利用頻度が上がり、情報を多く得て歩行距 離が伸び、定期券をもっていない場合は目的地へ行くのにすでに金銭的負担をしており、そこか らすこし多くの金銭的負担をするだけで近くへ行けるため、そこまで他の交通機関を利用しそこ から短い距離だけ歩くものと考えられる。
38
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
7.9:実例にみる歩行領域の制御 7.9.1:情報による歩行領域の制御 □新宿:タカシマヤ タイムズスクエア/紀伊国屋書店新宿南口店 新宿タカシマヤと紀伊国屋書店南口店は数年前に 出来た新宿南口の再開発の主要施設である。 この施設 は位置的には新宿-代々木間のほぼ中間に位置してい るが、駅利用者に「情報」を与えることで新宿からの
JR新宿駅
利用者を導いている。 実際には紀伊国屋書店であれば代々木駅の方がはる かに近い。しかしそこへ「新宿タカシマヤと同じ場所 にある」という情報を多く流すことで、紀伊国屋書店
タカシマヤ タイムズスクエ
の最寄駅は新宿駅であるという認識を行い、 頭の中で 仮想地図をつくりこのような1000m をこえる範 囲にまで歩行を行う傾向が見られる。
紀伊国屋書店
このように歩行領域を土地利用だけでなく目に見え ない「情報」によって制御することも可能であること
JR代々木駅
が分かる。
7.9.2:技術による歩行領域の制御 □恵比須ガーデンプレイス
JR恵比寿駅
恵比須のビール工場の再開発で生まれた恵比 須ガーデンプレイスは駅から600m程度の距離 に位置し、駅との間には商業施設もなく、また歩 きやすい道があるわけでもない。しかし駅利用者
恵比須スカイウォーク
を導くため駅から直結するスカイウォークという 動く歩道を設置することで歩行時間の短縮をはか り、実際の距離を感じさせない仕組みになってい
恵比須ガーデンプレイス
る。このような技術進化による歩行領域の制御も 三越
近年進んでいる。東京駅京葉線への通路や空港内 での移動など長距離の移動を可能にしている。 H
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8:おわりに
「駅を起点とした歩行領域」について研究を行ったわけですが、私の行った研究は都市計画のような部分 も含み、微妙な位置にある論文で、最終的に建築に反映できるような提案を行えれば当初の目標であった プログラム建築に近付くことが出来たかも知れず、もう少し深く追求することができればと少し後悔して います。 勤勉という言葉とは程遠い私を見捨てず指導して下さった長沢さん、山本さん、そしてもっとも迷惑を かけたであろう担当の加納さん、その他研究室のみなさんのおかげでこの卒論を書くことが出来、大変感 謝しています。 また、お忙しい中ご指導くださり、私に研究と楽しい時間を与えて下さった渡辺仁史先生に感謝いたし ます。
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□参考文献 ■文献 ・阿久津
邦男:歩行の科学(不味堂新書
1975)
・ボリス・S・プシュカレフ/ジェフリー・M・ジュパン共著 :歩行者のための都市空間(鹿島出版会 1977) ・造景
no13
特集「駅とまちづくり」(建築資料研究社
月尾嘉男訳
1998)
■論文 ・佐野友紀
内藤茂
野沢理恵:駅及びその周辺における人間流動に関する研究 (1990年 卒業論文)
・村上長:街の機能特化度による駅の在り方に関する研究(1995年 ・佐藤雅子:ぐるり山手線(1994年
卒業論文)
卒業論文)
・中丸隆二:駅が近接する区域における行動圏の重なりに関する研究(1995年
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卒業論文)
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