建築内部空間の連結関係を考慮した空間生成支援ツールに関する研究

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200 1 年度卒業論文

建築内部空間の連結関係を考慮した、 空間生成支援ツールに関する研究 Space Generation Support Too l Reflecting Connectivity o f Internal Space of Architecture

早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 Waseda University Hito shi Watanabe Lab. g98d08 1-1  齊籐 裕介 Yusuke Saito

早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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目次

□ はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 □ § 1  序章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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1.1 研究背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5

1.2  研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6

1.3  研究概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7

□ § 2  既存建築における内部空間の連結関係の分析・・・・・・・

8

2.1  サヴォワ邸(ル・コルビュジエ)・・・・・・・・・・・ 9 □ § 3  内部空間の大きさを決定するための要素・・・・・・・・・ 13     3.1  動作空間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14     3.2  単位空間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 □ § 4  内部空間の連結関係を決定するための要素・・・・・・・・ 18     4.1  生活行為の種類と居室の種類・・・・・・・・・・・・ 19     4.2  生活行為相関頻度表・・・・・・・・・・・・・・・・ 21     4.3  機能相関図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 □ § 5  空間生成支援ツールの提案・・・・・・・・・・・・・・・ 24     5.1  形態生成までの流れ・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 5.2 Bounding Box の定義・・・・・・・・・・・・・・・ 26     5.3  入力項目(生活行為相関頻度表)・・・・・・・・・・・ 27     5.4  機能相関図の生成までの流れ・・・・・・・・・・・・ 28     5.5  連結ルールのセット・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 5 .6  スラブのかたちの種類・・・・・・・・・・・・・・・ 46     5.7  生成される建築形態・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 □ § 6  展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 □ おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61 □ 参考文献・参考論文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62 □ 付録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64     ソースコード 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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はじめに

建築を設計する際に、 コンピュータは必要不可欠なものとなってきている。 実際に、私にとっても生活に必要不可欠なものとなっている。しかし、コン ピュータの中身というものが、私には全く見えていなかった。一体どうした らこんな事ができてしまうのだろうか。  また、 「建築の分野でもコンピュータが多く利用されている」などと、知っ たかぶりをしてきたけれども、実際にどのようなことがなされているのか、 具体的なことは知りもしなかった。そして、卒業論文のテーマを決める際、 数々の既往論文を調べていたところ、建築の設計を自動的にしたり、設計の 際の発想を支援したりするプログラムが数多くあることに驚いた。  プログラムを書けば、自分が思いもしなっかった驚くようなかたちができ あがる。そんなプログラムを書いてみたいという思いが、本研究を始める きっかけとなった。

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§ 1 序章

§ 1.1 研究背景 § 1.2 研究目的 § 1.3 研究概要

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§ 1.1 研究背景  近年、建築の分野では、CADやCGなどが製図、プレゼンテーションの手 段として多く利用されるようになってきた。このようなデジタル・ツールは、 作業を効率化するためだけでなく、建築を設計する上での発想支援ツールと しても使われはじめている。また、最近では人工知能が発達し、知能を持っ た玩具やロボットが開発されている。建築の分野でも、人工知能を持った CAD が近い将来に出現すると言われている。  コンピュータを設計する際の支援ツールとして利用した研究は、数多くあ る。例えば、 「SAL 表現の自動生成」 (1995 )*1 は、SAL(Spatial Allocation Language)という建築平面形態の記号列による記述方法を用い、空間結合を 自動的に行うというものであった。  また、 「空間生成支援ツールに関する研究」 (2000 )*2 は、Invisible Volume という空間概念を用いて建築形態を生成するものであった。  本研究で作成されるプログラムと、この2つの既往論文で作成されたプロ グラムとの違いは、 ユーザーのライフスタイルをプログラムによって分析し、 そのライフスタイルに応じた内部空間の相関関係を提示して建築形態を生成 するところである。

*1 山本秀希・青木義次 (東京工業大学) *2 藍耕平・山内浩(早稲田大学) 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 1.2 研究目的  本研究は、個人のライフスタイルから、そのライフスタイルに適した内部 空間の連結関係と大きさを分析し、それを建築形態の規則として利用した空 間生成支援ツールを作成することを目的とする。

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§ 1.3 研究概要  本研究では、 内部空間の連結関係と大きさを生活の機能の側面から分析し、 形態のルールを新たに組み込んだ空間生成ツール作成する。そこで、機能ご とに空間の大きさを決定するために、生活行為を行うのに必要な領域を表す 「単位空間」を用いる。また、機能ごとの空間の連結関係を作るために、生 活行為の相関度を表した「生活行為相関頻度表」や、その表に基づいて生活 行為の相関度の高いものから順次結びつけ、組み合わせていった「機能相関 図」を用いる。  建築形態の生成の流れとして、まず、ユーザーは生活行為相関度表に情報 を入力する。その入力情報をもとに、本研究で作成されるプログラムによっ て機能相関図を作成し、出力する。そして、出力された機能相関図と単位空 間により、機能別のボリュームと内部空間の連結関係を示すBounding Box を作成する。そのBounding Box をもとに、ユーザーの入力情報に応じた建 築形態が生成される。  このように、本研究で作成されるプログラムでは、ユーザーが入力する情 報によって内部空間の連結関係が決定し建築形態が生成されるので、ユー ザーのライフスタイルに応じた建築が生成できる。

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§2

既 存 建築 にお ける 内部 空間 の 連 結 関係 の分 析 § 2.1 サヴォワ邸(ル・コルビュジエ)

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§ 2.1 サヴォワ邸 (ル・コルビュジエ)  サヴォワ邸は、パリに仕事を持つ施主が、30㎞ほど郊外のポワッシーに 建てた週末住居である。常時使用する家ではなく、富裕層が時々田園の緑と 空気を楽しみに来る、伝統的なヴィラである。

写真 2.1 サヴォワ邸外観

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サヴォワ邸のピロティ内の円弧状部分の曲率は、自動車の最小回転半径で 決まった。1階は車庫、使用人室、洗濯室などとエントランス・ホールがあ る。2階には居間、サヴォワ夫人の部屋、息子の部屋、客用寝室、厨房など と空中テラスがある。屋上には、 日光浴の際の風よけとされる曲面壁が舞う。 (図 2.1 -1)

3 rd f l oor p lan

2nd floor pla n

1 st floo r plan

図 2.1-1 サヴォワ邸平面図

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サヴォワ邸では、ル・コルビュジエが提案する近代建築の5原則が確認で きる。サヴォワ邸の外観は、旧来の建築像であった「大地に根ざし、分厚い 壁に閉ざされ、外からは内部がうかがい知れない」という姿を逆転し、 「大 地から離陸し、軽やかなうすい面で囲まれ、内部空間の存在感を外に剥きだ し」ている。また、 「建築内部を散策するための斜路」という機能が理想的 なかたちで具現化されている。1階から2階への斜路は壁に囲まれていて、 とても「散策」するためのものとは思えないが、実はこの壁の裏側には車庫 と浴室があり、それは散策する時には「見せたくないもの」であるため、遮 断していると解釈できる。サヴォワ邸におけるこの斜路は、単なる移動動線 としてではなく、主体の視線と関係する独自の機能を持つ領域として存在す る。(図 2.1 -2)

図 2.1-2 内部空間の構成 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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サヴォワ邸の内部空間の構成を見ると、1階は交通としての要素が多く、 2階は生活の機能としての要素が多い。2階平面図を見ると、テラスを囲む ようにリビングと寝室が配置されている。このテラスは光のボリュームとな り、境界がガラス面となっているリビングと寝室に光を注いでいる。また、 テラスから屋上へと斜路があり、住宅内を散策する機能を果たしている。  サヴォワ邸の各機能の連結関係をモデル化すると、 図2.1 -3のようになる。

図 2.1-3 機能の連結関係のモデル 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§3 内部空 間の大き さを決定 するため の要素 § 3.1 動作空間 § 3.2 単位空間

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§ 3.1 動作空間  住宅における空間の大きさは、その空間の機能や世帯構成人数、敷地の大 きさなどの様々な要素から決定づけられる。一般的に、室空間の大きさや寸 法を計画する際の基礎となるのは人体寸法である。人体寸法に手足の動きを くわえた空間領域を「作業域」と呼ぶ。作業域は人間の静止した姿勢に手足 の動きの領域を見込んだもので、最大作業域から通常作業域までの範囲をも つ。  作業域に家具などの生活のエレメントの大きさを加え、さらに人間の動作 に必要な空間領域を含めた範囲を動作域という。動作域は一般に不定形であ り、動作を行う人間の身体の大小によって形状は異なる。それゆえに、この ままでは室空間の計画に利用しにくいため、これらにゆとりの寸法を加え、 直交座標軸で立方体として表し、これにモデュール寸法をあてはめた領域を 「動作空間」と定義されている。(図 3.1 -1)動作空間の例を図 3.1 -2 に示す。

人体寸法

動作寸法

動作空間

複合動作空間

図 3.1-1 動作空間の概念

図 3.1-2 動作空間の例 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 3.2 単位空間  「単位空間」とは、あるひとつのまとまりをもった生活行為を行うのに必 要な広さもつ空間領域であり、いくつかの動作空間が集合してできる空間概 念である。たとえば、 「机で勉強する」、 「ベッドで寝る」、 「ドアを開ける」な どのいくつかの動作空間が組み合わされて構成され、寝室という単位空間に なる。(図 3.2 -1)

90

210

120

ベッド

タンス 120

120

書棚

ドア

図 3.2-1 寝室の動作空間の例

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単位空間には、各動作空間が相互に一部重なり合う最小限のレベル、各領 域に重複のない標準的なレベル、領域間にあきがある適正なレベルというよ うな快適さによる規模の分類がなされている。(図 3.2 -2)

360

290 最小規模

標準規模

360 適正規模

図 3.2-2 寝室の単位空間の例

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住宅を設計する場合、居間や食事室などの家族が集う場所の単位空間は、 世帯構成人数に応じて変化する。食事室の例を挙げると、動作空間と単位空 間は図 3.2 -3、図 3.2 -4 のようになる。

図 3.2-3 食事の動作空間

85

120

≧170 対向4人席

160

≧235

≧380

囲み4人席

囲み6人席

≧110

220

≧380 囲み8人席

図 3.2-4 食事室の必要スペース

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§4 内部空間の連結関係を決定するための要素 § 4.1 生活行為の種類と居室の種類 § 4.2 生活行為相関頻度表 § 4.3 機能相関図

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§ 4.1 生活行為の種 類と居室の種 類  本章では、住生活を構成する生活行為をあげ、各生活行為が行われる居室 の種類について分析する。    まず、住宅で行われる生活行為を分類すると、次の5種類に大別される。

①集合的行為・ ・・家族が集まって交流を楽しむ行為。 「テレビを見る」 「 、ゲー ムをする」、 「食事をする」などがある。主に、居間・食事室などで行われる。 ②個別的行為・・・他の家族と離れて個人的に行う行為。 「仕事や勉強をす る」、 「寝る」、 「CDを聞く」など、人に迷惑をかけたり邪魔されたくない場 合にはこの種の行為として扱われる。 ③家事的行為・・・生存するために必要な衣・食・住に関する労働を伴う 基礎的な生活行為。「料理をする」、 「洗濯をする」、 「掃除をする」などがあ る。 「掃除」は、ひとつの場所で行うものではないので、 「掃除」が行われる 特定の居室の種類を決定するのは不可能である。 ④生理的行為・・・身体を衛生的に保つために必要な基本的行為。洗面、入 浴、排泄などが含まれる。 ⑤補助的行為・・・生活行為そのものではないが、生活を円滑に果たすた めに必要な行為。ひとつは、居室間を移動する行為であり、さらには、常時 使用しないものを一時的に保管しておく収納行為がある。前者は廊下や階段 などで行われ、後者は押入や納戸などの収納スペースで行われる。

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表 4.1 .1 は、各生活行為と関連の深い居室の種類を表したものである。実 際の設計では、敷地の広さなどの制約が加わるので、類似した性質の行為を 同一の居室にまとめられる場合がある。

表 4.1-1 居室の種類と生活行為

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§ 4.2 生活行為相関 頻度表  住宅平面を計画する際に、各居室をいかに合理的に結合させるかが問題と なる。居室を結合させて合理的にまとめる方法には、 ゾーンプランニングと、 動線によるプランニングがある。ゾーンプランニングは、個々の居室が持つ 機能を読みとって、 共通した性格を持つ居室どうしをグループとしてまとめ、 その後、各グループごとに必要とする居住条件を満足する位置に配置し、居 室を結合して住宅全体を組織化する考え方である。動線によるプランニング は、人や物品が居室から居室へと住戸内を移動して生活が成り立っている様 子に注目し、これらの移動を円滑に行うのに役立つ居室空間の結合関係を実 現する合理的な側面から組織する考え方である。  このような住宅平面のプランニングを行うためには、各生活行為間の相関 関係を分析することが必要となる。そこで、 「生活行為相関頻度表」という ものを利用する。 「生活行為相関頻度表」とは、たとえば、 「料理をしたあと に食事をした」、 「テレビを見たあとに勉強した」などの生活行為間の関連性 を表にしたものである。この表により、各居室の機能の連結関係が明らかに なり、住宅平面を決定する要素となる。

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生活行為相関頻度表の記入の仕方は、例えば、「食事」のあとに「食事片 づけ」をした場合、図 4.2 -1 のように列の「生活行為」の項目から、はじめ に行った生活行為である「食事」を見つけ、行の「生活行為」の項目からあ とに行った生活行為である「食事片づけ」を見つける。その二つの行と列が 重なるセルに「1」と記入する。  各生活行為が、どの居室で行われたかは§4.1 の生活行為と居室の種類に 基づいて決定する。居室の種類は室番号で表し、各居室とその番号は表4.2 1 に示す。表 4.2 -1 に生活行為相関頻度表の例を示す。 表 4.2-1 室番号リスト

図 4.2-1 生活行為相関頻度表記入の仕方 表 4.2-2 生活行為相関頻度表の例

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§ 4.3 機能相関図  生活行為相関頻度表(表 4.2 -2)から、生活行為の相関度の高いものを順 次結びつけ、目的・性格・使用のされ方などを考えながら組み合わせていっ たものが「機能相関図」 (図4.3 )である。例えば、生活行為相関頻度表から、 「団らん- 食事- 大小便」や「遊び- 勉強- 就寝」などの生活行為の流れのルー ルが抽出でき、それをもとに、 「居間 - 食事室 - トイレ」や「居間 - 寝室」な どの居室間の連結ルールが作成される。

Bat h R .

Di ning

Kitchen

Li ving

En tran ce

W .C .

Atelier

BedR.

図 4.3 機能相関図の例

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§ 5 空間 生成 支援 ツー ルの 内容 § 5.1 形態生成までの流れ § 5.2 Bounding Box の定義 § 5.3 入力項目(生活行為相関頻度表) § 5.4 機能相関図の生成までの流れ § 5.5 連結ルールのセット     1. 配置のルール 2. 配置の方向 3.Bounding Box の結合 § 5.6 スラブのかたちの種類 § 5.7 生成される建築形態

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§ 5.1 形態生成まで の流れ  建築形態の生成までの流れは図 5.1 のようになる。

図 5.1 建築形態生成までの流れ 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 5.2 Bounding Box の定義  本研究で設計支援ツールを作成するにあたり、様々な建築要素を適用し、 より「建築らしさ」を追求するために三次元空間上の仮想エリアごとに床・ 天井・壁などの建築要素を組み合わせ、空間を作成する。この仮想エリアを 「Bounding Box 」と名付ける。この Bounding Box という仮想のボリュー ムを設定することで、プログラム上で非常に扱いやすいものとなる。  本研究では、このBounding Box の大きさを単位空間を用いて決定し、そ れを居室間の相関関係に基づいて連結させ、建築形態を生成する。

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§ 5.3 入力項目 (生活行為相関 頻度表)  本研究で作成するツールでは、入力項目として生活行為相関頻度表(§ 4.2)を用いる。ユーザーは、この表に自分の生活行為の相関関係を入力す る。この表には、あらかじめ生活に必要と思われる16の生活行為が記入さ れているが、これは自由に編集でき、生活行為を追加、削除することも可能 である。 (図 5.3 )

図 5.3 入力項目(生活行為相関頻度表)の例

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§ 5.4 機能相関図の 生成までの流 れ  本節では、前節で述べた生活行為相関頻度表から機能相関図を作成する手 順を説明する。これより説明する操作は、すべて本研究で作成するプログラ ムにより実行される。  例として、§ 5.3 の図 5.3 のような入力項目から、機能相関図を作成する 手順を示す。

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①入力された生活行為相関頻度表の、生活行為の組み合わせごとに頻度数を 求める。例えば、図 5.3 の場合「食事 - 寝る」が 3、 「寝る - 食事」が 3 であ るから、それらを合わせて「食事- 寝る」のセルに6(3+3)を入力する。そ して、 「寝る - 食事」のセルは空欄にする。この操作の後できあがる表を「生 活行為相関頻度表 2 」とする。 (図 5.4 -1)

図 5.4-1 生活行為相関頻度表 2 を作成する手順 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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このようにして、図 5.4 -2 のような表が得られる。

図 5.4-2 生活行為相関頻度表 2

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②生活行為相関頻度表2 を室種類別に合計を出し、各居室間の頻度数を整理 する。 (図 5.4 -3 )これを「生活行為相関頻度表 3 」とする。生活行為相関頻 度表2 では各生活行為間の相関関係を表していたのに対し、生活行為相関頻 度表 3 では、各居室間の相関関係を表している。

図 5.4-3 生活行為相関頻度表 3 を作成する手順 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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このような操作の後、図 5.4 -4 のような表ができあがる。

図 5.4-4 生活行為相関頻度表 3

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③生活行為相関頻度表3 において、相関関係を分析するのに意味のある数字 を吟味する。吟味する基準として、各居室の頻度数の合計の 1.5 割を満たな い数字を削除した。また、ユーザーにとってほとんど必要のない居室を生成 する建築形態に含めないように、居室の頻度数の合計が下から2 番目までの 居室を削除した。削除する居室の数は自由に変えられるので、建築内部の室 数を決めて必要な機能の居室だけを配置することもできる。このようにして できる表を「生活行為相関頻度表 4 」とする。 (図 5.4 -5)

図 5.4-5 生活行為相関頻度表 4 を作成する手順 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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この操作の後、図 5.4 -6 のような表ができあがる。

図 5.4-6 生活行為相関頻度表 4

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④生活行為相関頻度表4 より、居室間の相関関係を抽出し、順次結びつけた 機能相関図が作成される。 (図 5.4 -7, 図 5.4 -8)

図 5.4-7 機能相関図を作成する手順 1

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図 5.4-8 機能相関図を作成する手順 2

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図 5.4 -9 は、図 5.3 の生活行為相関頻度表から導き出される機能相関図の 例である。このように、ひとつの生活行為相関頻度表からは幾通りもの機能 相関図が考えられるため、 出力された機能相関図が気に入るものでなければ、 再試行することによって別の機能相関図が得られる。

図 5.4-9  機能相関図の例 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 5.5 連結ルールの セット § 5.5.1 配置のルール  ここでは、Bounding Box の配置の仕方について述べる。  Bounding Box を配置する際には必ず基準となる Bounding Box が存在 する。その基準となる Bounding Box に対して「xy 方向に段々配置」、 「xz 方向に段々配置」、 「yz方向に段々配置」、 「xyz方向に段々配置」という4つ の配置の仕方がある。4つの配置の仕方を図 5.5 -1 に示す。  例として、以下に「xyz 方向に段々配置」する場合の式を示す。基準とな る Bounding Box の座標を(x0,y0,z0)、大きさを dx0,dy0,dz0、新しく配 置するBounding Box の座標を(x1,y1,z1)、大きさをdx1,dy1,dz1 とする。 x1 = x 0+P*(dx0/2+dx1 /2) y1 = y0+Q*(dy0/2+dy1/2) z1 = z0-dz0/2+R+dz1/2 ここで、基準のBounding Box の中心からの距離はランダムな比率で決定し ている。その比率は以下のように設定される。 P = 0.2 5+Random*1  (0.25 ≦ P ≦ 1.2 5) Q = 0.2 5+Random*1  (0.25 ≦ Q ≦ 1.2 5) P : x 方向の距離を決定する比率 Q : y 方向の距離を決定する比率 R : z 方向の移動値 Random : 0.0 から 1.0 までの乱数 z方向に段々配置する際、z方向の移動値Rを500 ㎜の倍数とした。また、 「台 所と食事室」のような居室間に段差があることを好まないような場合とそう でない場合を分け、前者の時にはレベル差が 0 となるように設定した。

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y

z

dx1

dx1

(x 1,y1,z 1)

(x1 ,y1,z 1)

(x0,y0,z 0)

(x0 ,y0,z 0)

dx0

dx0 x

O

x O

x1 =x 0+P*( dx0/2+dx 1/2) y 1=y 0+Q * ( dy0 /2+dy 1/ 2) z 1=z0- dz0 /2+dz 1/ 2

x1 =x 0+P*(dx0/2+ dx1/2) y 1=y 0 z1=z 0- dz0/2+R + dz1/2

xz 方 向 に 段 々配 置

xy 方 向 に 段 々配 置

z

z

dy 1

y (x 1,y1,z 1)

(x1,y1 ,z1) (x0,y0,z 0) dy0

(x0,y 0 ,z0)

y O

x1 =x 0 y 1=y 0+Q *( dy0 /2+dy 1/ 2) z 1=z0- dz0/2+R + dz1/2

O

yz 方 向 に 段 々配 置

x x1=x0+ P*(dx0/2 + dx1/2 ) y 1=y0+Q*(dy0/2+d y1/2) z 1= z 0-dz0/ 2+R+d z 1/ 2

xz 方 向 に 段 々配 置

図 5.5-1 配置のルール

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§ 5.5.2 配置の方向  Bounding Box の配置は、機能相関図に基づいて配置させる。しかし、新 しく作るBounding Box をどの方向に配置するかで§5.5 .1 で述べたP、Q 値の符号を制御しなければならない。そこで、新しく作るBounding Box を 配置する方向を6つに場合分けし、それぞれについてP、Q値の符号を決定 するをいう方法をとる。機能相関図において、基準のBounding Box からみ た新しくできる Bounding Box の方向を図 5.5 -2 のように設定する。  例えば、図5.5 -3 のように「居間」を基準とすると、 「台所」は「居間」か ら見て「3」の方向に位置するという認識をプログラム内でする。そして、 Bounding Box を作成する際に、台所を居間に対してどの方向に配置するか を決定する。

3

2

4

1 5

図 5.5-2 基準の Bounding Box からみた 新しくできる Bounding Box の方向

6

図 5.5-3 基準が「居間」のときの各居室の方向

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図 5.5 -2 での各方向についてのP、Qの符号は図 5.5 -4 のようになる。

図 5.5-4 Bounding Box が配置される方向 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 5.5.3 Bounding Box の結合  前節までのようにして、各居室のBounding Box を作成すると図5.5 -5 の ようになる。しかし、このままの Bounding Box に床・天井・壁の要素を作 り上げても図5.5 -6 のように、小さなボリュームしかなく、まとまりのない 建築形態しか生成されない。  そこで、2つまたは3つのBounding Box を結合して、大きなボリューム となるBounding Box を作成する。これにより、2,3の機能を含む大きな ボリュームも建築形態として生成されるようになる。

図 5.5-5 結合されない場合の Bounding Box

図 5.5-6 結合されない場合に生成される建築形態 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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2つまたは3つのBounding Boxを結合してできる新しいBounding Box を「United Bounding Box 」と呼ぶ。United Bounding Box は、結合の 対象となる2つまたは3つのBounding Box をすべて含むように作られる。  例として、2つの Bounding Box を結合する方法を示す。  2つの Bounding Box の左上の頂点の座標をそれぞれ(x1,y1)、(x3,y3)、 右下の頂点の座標を(x2,y2)、 (x4,y4)、United Bounding Box の左上の頂 点の座標を(UnitX1,UnitY1)、右下の頂点の座標を(UnitX2,UnitY2)とす ると、 UnitX1 = Min[x 1,x3] UnitX2 = Max[x 2,x4] UnitY1 = Max[y1,y3] UnitY2 = Min[y2,y4]

Min[a,b] : a と b の最小値 Max[a,b] : a と bの最大値 となる。  また、2つの Boundig Box の底面のz座標をそれぞれz1、z3、上面 のz座標をそれぞれz2、z4、United Bounding Box の底面のz座標を UnitZ1、上面のz座標を UnitZ2 とすると、 UnitZ1 = Min[z1,z3] UnitZ2 = Max[z2,z4]

Min[a,b] : a と b の最小値 Max[a,b] : a と bの最大値 となる。(図 5.5 -7)  3つの Boundig Box を結合する場合も同様にしてできる。(図 5.5 -8)

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y

(UnitX1,UnitY1)

(x3,y3) Bounding Box2 Unitのボリューム

(x1,y1) UnitX1=Min[x1,x3] UnitX2=Max[x2,x4] UnitY1=Max[y1,y3] UnitY2=Min[y2,y4]

(x4,y4) Bounding Box1

Min[a,b]:aとbの最小値 Max[a,b]:aとbの最大値 (x2,y2)

(UnitX2,UnitY2) x

O

Unitのボリューム

z (UnitX1,UnitZ1)

(x3,z3) Bounding Box2

(x1,z1)

UnitZ1=Max[z1,z3] UnitZ2=Min[z2,z4]

(x4,z4)

Min[a,b]:aとbの最小値 Max[a,b]:aとbの最大値 Bounding Box1 x

O

(x2,z2)

z

(UnitX2,UnitZ2)

(UnitX1,UnitY1,UnitZ1)

y

Bounding Box2

Unitのボリューム Bounding Box1 (UnitX2,UnitY2,UnitZ2) O

x

図 5.5-7 2つの Bounding Box の結合

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Bounding Box2

(UnitX1,UnitY1) (x3,y3) y

Unitのボリューム

Bounding Box3

(x5,y5)

UnitX1=Min[x1,x3,x5] UnitX2=Max[x2,x4,x6] UnitY1=Max[y1,y3,y5] UnitY2=Min[y2,y4,y6]

(x1,y1) (x4,y4) (x6,y6)

Min[a,b,c]:aとbとcの最小値 Max[a,b,c]:aとbとcの最大値 (x2,y2)

Bounding Box1

(UnitX2,UnitY2) x

O

Bounding Box2

z

Unitのボリューム

(UnitX1,UnitZ1) (x3,z3) Bounding Box3 UnitZ1=Max[z1,z3,z5] UnitZ2=Min[z2,z4,z6]

(x4,z4) (x5,z5)

(x1,z1)

Min[a,b,c]:aとbとcの最小値 Max[a,b,c]:aとbとcの最大値 (x6,z6)

Bounding Box1

x

O

(x2,z2)

z

(UnitX1,UnitY1,UnitZ1)

(UnitX2,UnitZ2)

Bounding Box2

y Unitのボリューム Bounding Box3

Bounding Box1 (UnitX2,UnitY2,UnitZ2) O

x

図 5.5-8 3つの Bounding Box の結合

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§ 5.6 スラブのかた ちの種類  本節では、各 Bounding Boxに作成されるスラブのかたちの種類について 述べる。スラブのかたちの種類は、次のようなものがある。 ①対象とする Bounding Boxの底面の長方形と同じ長方形 ②正多角形 ③ランダムなかたちの多角形

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①対象となる Bounding Box の底面の長方形と同じ長方形  対象とするBounding Boxの底面の長方形をそのままスラブのかたちにす るルールである。  対象とする Bounding Boxの中心座標、大きさを取得し、その底面形を割 り出す。

図 5.6-1 スラブのかたち(底面と同じかたち)

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②正多角形  対象とするBounding Box の底面と同程度の面積を持つ正多角形を作成す るルールである。多角形の種類は、正方形、正五角形、正六角形、正八角形、 円(正六十四角形)の計5種類である。(図 5.6 -2)

図 5.6-2 スラブのかたち(正多角形) 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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③ランダムなか たちの多角形  対象とするBounding Box の底面に2∼3個の長方形または楕円の合成、 切り抜きによって作られた多角形を配置するルール。図形の個数、種類、大 きさ、角度、配置、操作に様々なパターンがあるため、多彩な形態が作成さ れる。 (図 5.6 -3)

●大きさのルール  はじめに作られる直方体または楕円の大 きさは、対象とする Bounding Box の底面 の6∼8割の大きさになっており、それ以 降はひとつ前の図形に、ある比率を乗じて 作成される。(図 5.6 -4)

図 5.6-3 スラブのかたち(ランダム)

図 5.6-4 スラブの大きさのルール 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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●回転のルール  はじめに作成された図形は、ある角度で回転される。その角度をx正方向 を 0°としてθ 1 とすると、その次に作成された図形はθ1をもとに、ある パターンの角度で回転される。(図 5.6 -5)

図 5.6-5 回転のルール

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●配置のルール  はじめに作られるスラブは、Bounding Box の中心点にスラブの中心を重 ねるように配置する。それ以降に作られるスラブは、ひとつ前に作られたス ラブのターゲットポイントとその図形自身のターゲットポイントを重ねるよ うにして配置する。(図 5.6 -6)  ターゲットポイントとは、スラブが長方形の場合、   ①中心点   ②頂点   ③辺の中点 スラブが楕円形の場合、   ①中心点   ②長半径、短半径の頂点 のことを示す。

図 5.6-6 配置のルール

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§ 5.7 生成される建 築形態  前節までのような過程を経て、内部空間の連結関係を考慮した建築形態を 生成する。§5.4 でも述べたように、ひとつの生活行為相関頻度表からは幾 通りもの機能相関図ができる。さらに、それぞれの機能相関図からも様々な Bo unding Bo x の配置の仕方ができ、Bo unding Bo x ごとにも様々なかた ちが生成し得る。それゆえ、最終的に出力される建築形態は、入力項目から は到底想像できないものとなる。  このように、本研究で作成されたツールは、一見無秩序に作成されたよう に思われる建築形態が、実際はユーザーのライフスタイルという個々に特有 なものを入力項目として、 その入力項目に基づいた建築形態を生成している。

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type5 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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§ 6 展望

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本研究で作成されたツールでは、建築内部空間の機能が明示されているた めに、生成された建築形態を評価する事も可能である。例えば、入力項目に 「日当たりの良い家」と入力したら、内部空間に入射する光の量が1位から 10位までの10通りの建築形態を提示するようなツールができる。また、 「日当たりが良い」と「やわらかい」という複数の入力項目がある場合、両 方の性格の中間解のような建築形態が出力されるようなツールもできる。  このような、ある性格をもったものと別の性格をもったものの中間解を導 き出すには、遺伝的アルゴリズムなどの人工生命を利用することになる。こ の人工生命を空間の配置や、かたちづくりに利用することで、多種多様な空 間が生成され、かつユーザーの要求に応えるような建築形態を生成すること ができるだろう。

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また、前述したようなツールをweb上で動かすことで、様々なかたちの分 析ができる。例えば、 「日当たりがよい家」という入力項目で出た10通り の建築形態のうち、どのようなかたちが気に入られているかなどの統計をと ることができる。その統計をもとに、 新たな建築形態のルールが作成できる。  さらに、出力された建築形態に対し、提案や改善をすることでユーザーの 要求に応じた建築形態が生成できる。 (図 6-1, 図 6-2 )

図 6-1 インターフェースイメージ図

図 6-2 web 上での空間生成ツールの流れ 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2001 年度卒業論文

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おわりに

最近、学校へ行くときに歯磨きセットを持っていくようになった。それも これも卒論のため。こんなに学校に泊まることがあるとは想像もしていな かった。しかし、学校に泊まっているといろいろな発見があって面白い。最 近、8階の研究室から富士山が見えることを知った。朝に見える富士山はや はりきれいだ。あの壮大な富士山を見ていると、イヤなことや辛いことを一 時でも忘れることができる。しかしその時、自分は卒論という険しい山を 登っていた事に気づく。 「一体いつになったら頂上に着くのだろう。」そんな ことをいつも言っていた。時には遠回りしたり、石につまずいたり、小さな 穴におにぎりを落としてみたり、Yaho o !のことをヤッホー!と読んでみた り、いろいろなことがあったけれども、なんとか登頂してみせた。果たして これで「ご来迎」となるのであろうか・・・。  最後に、 卒業論文を書くにあたって親切なアドバイスをしてくださったり、 ベクタースクリプトを教えてくださった M2 の大場さん、M1 の藍さん、遠 くで見守っていてくれたOBの山内さん、ゼミの時にいろんな提案をしてく ださった木村謙先生、樫村さん、缶コーヒーを差し入れてくださった高柳さ ん、また、お世話をしてくださった研究室のみなさんに心から感謝を申し上 げます。

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参考文献 ・参考論文

●参考文献 住環境の計画∼2 . 住宅を計画する∼第二版 * 巽和夫・小川正光・田代純・山内陸平・加藤力・野口美智子 小川裕子・高田光雄・秋山哲一著  住環境の計画編集委員会編 彰国社 設計方法Ⅱ - 設計プロセス / ケース・スタディ * 日本建築学会 建築計画委員会 彰国社 設計資料集成 3 単位空間Ⅰ 日本建築学会 丸善

●参考論文 設計余剰の充足と配列の自由度の両立を、コンピュータプログラムで可能に する研究∼住宅の日照条件を例として∼ * 日本建築学会大会学術講演梗概集 1995 年 8 月 5226  渡辺誠 機能・設配置における最適化を、コンピュータプログラムで可能にする研究 ∼要素間の「最適距離」に注目して * 日本建築学会大会学術講演梗概集 1997 年 9 月 5283  渡辺誠 設計与条件の充足と配列の自由度の両立を、コンピュータプログラムで可能 にする研究∼集合住宅の日照条件を例として 2 ∼ * 日本建築学会大会学術講演梗概集 1997 年 9 月 5284  渡辺誠 建築 CAD データベースのための位置と寸法に関する基本方程式 * 日本建築学会大会学術講演梗概集 1989 年 10 月 5301  青木義次 イメージ・モデルによる空間位置関係推論- 建築CADのための基礎的方法* 日本建築学会大会学術講演梗概集 1989 年 10 月 5302  青木義次 SAL の拡張と SAL 表現を求める方法 - 建築平面分析のための空間構成記述 方法 その3 * 日本建築学会大会学術講演梗概集 1995 年 8 月 5397  青木義次

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SAL 表現の自動生成 - 建築平面分析のための空間構成記述法 その 4* 日本建築学会大会学術講演梗概集 1995 年 8 月 5398  青木義次 空間生成支援ツールについての研究 2000 年度卒業論文 * 藍耕平・山内浩

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付録 ソースコード

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