*-*-*
■はじめに 卒業論文というものを意識し始めた頃は、就職活動の真っ最中であった。この先、 自分のやりたいことが何であるか、ということを考えながら卒論のテーマを考えてい た。建築業界は私の就職活動のターゲットには入っていなかったが、面接などにおい て、しばしば自分が大学でどのように建築と向き合ってきたかということを考えさせ られる場面があった。そこで気付いたのは、私は建築の価値について懐疑的であると いうことだった。人にとって一番身近な建築物は自分の住まいであるが、現在の日本 で提供されている住宅の多くは提供者の都合で設計されたものが多すぎる。そんな非 難めいた意識を持っていた。それが卒論のテーマにコーポラティブハウスを選んだ一 端となったことは間違いない。住み手にとって最良の建築であるという価値を持つこ とが大前提となるコーポラティブハウスを通して、自分なりの建築の価値を考えてみ ようと思いながら、この論文の執筆にあたる。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
1
*-*-*
■目次 1 2
■はじめに ■目次
□1章 序論 3 1■研究背景 4 2■研究目的 5 6 3■研究概要
□2章 研究方法・内容 7 1■コーポラティブハウスとは 1.コーポラティブハウスの起源と歴史 2.日本におけるコーポラティブハウスの現状 3.コーポラティブ方式の分類 4.コーポラティブハウスのメリット/デメリット 2■コーポラティブハウスの企画におけるニーズ調査 1.コーポラティブハウスのニーズと最終的な計画の事例収集 2.一戸建住宅のニーズと最終的な計画の事例収集 3■かたちの詳細設定のための調査 1.個別住宅設計におけるかたちの詳細調査 2.集合住宅の配置、全体ボリュームの詳細調査
8 8 9 10 12 13 13 14 15 15 15
□3章 研究結果・考察 16 1■考察の流れ 2■企画段階におけるニーズと最終的な計画の事例収集 1.既存コーポラティブハウスのニーズと最終的な計画の事例 2.一戸建住宅のニーズと最終的な計画の事例 3.小規模集合住宅における配置計画の事例と特徴 3■ニーズの分類整理と建築的要素への変換 1.コーポラティブハウス独自のニーズ 2.個人住宅に関するニーズ 3.全体配置に関するニーズ 4■ニーズ調整のためのフローチャート作成 1.キーワードの設定 2.「ニーズ→かたち」の分解フローチャート作成 3.配置の決定方法 4.かたちの詳細設定 5.かたちの競合に関するチャート作成
17 18 18 29 31 42 42 43 45 46 46 47 58 60 73
□4章 ボリュームスタディーツールの構築 76 1■ボリュームスタディーツールの構築 1.ボリューム生成までの流れ 2.システム構成 2■システムのインターフェース 3■ツールシステムで生成されたボリューム
77 77 78 79 80
□5章 まとめと展望 83P p 84 85
1■まとめ 2■展望
86 87
■参考文献 ■おわりに
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
2
1-*-*
■1章 序論
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
3
1-1-*
■研究背景 2000年度から2001年度にかけて、コーポラティブハウスの建設戸数は民間
のものだけで180戸から391戸と倍増しており、日本におけるコーポラティブハ ウスの本格的な普及期を迎えている。 コーポラティブハウスの建設は企画段階から入居者が関わってくる点等、従来の集 合住宅の取得方法と異なる部分が多い。メリットとして一般の分譲マンションに比べ、 施主のニーズを建築計画に反映し、個性ある住まいの実現が可能であることや、共同 設計を通して親密なコミュニティを形成できることなどが挙げられる。一方、デメリッ トとして、入居者が組合員(施主)となって敷地の決定から設計・施工まで関わるこ とになるため、完成までに時間と手間がかかることや、企画段階において視覚的シミュ レーションができないことなどがある。このため入居者は自分たちが作ろうとしてい るコーポラティブハウスの全体像がつかみにくく、また、施主間のニーズに対する理 解を妨げる原因になっている。 こうしたデメリットを軽減し、入居者のニーズを反映した建物がどのようなものに なるか、視覚的に提案するシステムが必要とされている。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
4
1-2-*
■研究目的 コーポラティブハウスの企画段階において、入居者から提案される複数のニーズを 調整し、ニーズと敷地の諸条件を反映した全体計画を視覚的に提案するシステムを構 築する。そのシステムを用いることで、コーポラティブハウスの企画がより迅速で、 入居者にとって理解しやすいものとなることを目的とする。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
5
1-3-*
■研究概要 コーポラティブハウス等に関する文献調査から企画段階におけるニーズと最終的な 計画の事例を収集し、コーポラティブハウス独自のニーズ、個別住宅に関するニーズ、 全体配置に関するニーズに分類した。収集した事例より、ニーズから導かれるかたち のパターンを設定し、ニーズを建築的要素に分解・変換した。その上で、競合するニー ズの組み合わせ等を考え、その条件と各ニーズの関連性に基づく「ニーズ→かたち」 のチャートを作成し、ニーズ調整のためのルールとする。 それをもとに、 コーポラティブハウスに住みたいと思う建築的に素人である人々 が、自分の住まいに対するニーズをキーワードから選択することで、ニーズを反映し たコーポラティブハウスのボリュームを提示できるシステムを構築した。 今まではコーポラティブハウスの企画段階では入居者はコーポラティブハウスの全 体像を把握することが困難で、ニーズ調整作業に時間と手間を要したが、このシステ ムの作成により、入居者は自分のニーズを反映したコーポラティブハウスのボリュー ムを視覚的に確認することが可能となる。また自分以外の入居者のニーズとそれに基 づくかたちも把握できるようになるので、入居者間の相互理解を深めることができる。 コーポラティブハウスに住みたいと思う建築的に素人である人々が、自分の住まい に対するニーズをキーワードから選択することで、ニーズを反映したコーポラティブ ハウスのボリュームを提示できるシステムを作成する。
コーポラティブハウス等に関する文献調査 ・既存コーポラティブハウスのニーズと最終的な事例の収集
収集した事例の分類と分析 ・ニーズからかたちを導くためのチャート作成 ・ニーズ調整のルールとかたちの詳細の作成
システムの構築 ・ボリュームスタディーツールシステムの作成 ・システムで作成したボリュームの考察 図1- 3- 1 本研究の流れ
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
6
2-*-*
■2章 研究方法・内容
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
7
2-1-1
■コーポラティブハウスとは 1.コーポラティブハウスの起源と歴史 コーポラティブハウスの起源は18世紀のイギリス、産業革命による労働者の劣悪 な住宅事情を解消するために、バーミンガムにおいてケトレー建築組合が労働者から の賃金を積み立てて、住まいを協同組合方式で建設したのが始まりといわれている。 その後、ヨーロッパを中心に広く普及しており、ドイツでは全住宅の約10%、ス ウェーデンでは約20%、アメリカ・ニューヨークでも約20%がコーポラティブハ ウスであるといわれている。 日本におけるコーポラティブハウスの歴史は30年ほどで、これまでに約7000 戸ほどが建設されている。1980年代の第一次ブームでは建築設計事務所がコー ディネーターの役割を担ったことが特徴で、大阪の都住創がその代表格だった。 現在は2000年ごろから始まった第二次ブームの中にある。第二次ブームの特徴 は若手企業家たちがコーディネーターとしての役割を専門で担う会社を立ち上げたこ とである。こうした企業が土地選定から建築ボリューム、住戸割をあらかじめ企画し、 事業全体のサポートを行う方式をとるライト系と呼ばれるタイプのコーポラティブハ ウスが登場した。都市デザインシステムやアーキネットがこの代表格である。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
8
2-1-2
2.日本におけるコーポラティブハウスの現状 欧米でのコーポラティブハウスの普及率が10~20%であるのに対して、日本で の普及率は0.1%未満とまだまだ普及率は低い。しかし、2000年から2001 年にかけて、コーポラティブハウスの建設戸数は180戸から391戸と倍増してい る。またコーポラティブハウスが雑誌などのメディアに取り上げられる機会も多く、 新しい集合住宅取得の方法として注目度を増している。このことからも今後さらに建 設戸数は増えるものと考えられる。
図2-1-1 コーポラティブハウスの竣工年別統計(コープ住宅推進協議会の集計資料による)
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
9
2-1-3
3.コーポラティブ方式の分類 コーポラティブハウスはコーポラティブ方式でつくられた住宅を指す言葉であり、 コーポラティブ方式は、「自ら居住するための住宅を建築しようとする者が、組合を 結成し、きょうどうして 、事業計画を定め、土地の取得、建物の設計、工事発注そ の他の業務を行い、住宅を取得し、管理していく方式」と定義されている。(建設省 住宅局「コーポラティブ方式研究員会『コーポラティブ方式による住宅建設に関する 研究』」1978年より) 日本におけるコーポラティブ方式には主体となる団体の属性によって、「入居者主 導型」、「コーディネーター主導型」、「公的機関主導型」の3つに分類される。 参加者による自主建設のかたちをとるのは「入居者主導型」と「コーディネーター 主導型」の2つに分類される。「入居者主導型」は土地探し、建築の検討など企画を 立ち上げるには手間が多く、専門知識も必要となる。かなりの困難を伴う場合が多く、 実現したものは数の上では「コーディネーター主導型」が多いのが現状である。「コー ディネーター主導型」は参加者にとっての手間などの負担は軽減される。しかし設計 事務所にとってコーポラティブハウスは手間とリスクが大きい企画であり、こうした 企画を行う設計事務所は限られていた。最近では、「ライト系」と呼ばれるより参加 者の手間を省いた方式のコーポラティブハウスの建設が増えている。 「公的機関主導型」で公団が主体となるコーポラティブハウスはどのタイプにして も、敷地、コーディネート、計画、資金などの各側面からの援助を受けられるため、ユー ザーは安心して参加することが可能である。しかし、公団の組織改変により、公団は 分譲を手掛けなくなったため、今後こうしたコーポラティブハウスが企画されること はなくなった。 公社は比較的規模の大きなコーポラティブハウスを実現してきたが、近年、コーポ ラティブハウスへの取り組みはあまり見られなくなっている。 以上のことから、現在は公的主体によるコーポラティブハウスの企画はほとんどな いというのが現状である。 表2-1-1 コーポラティブ方式の建設主体による分類
建設主体 入居者主導型
方式 自分たちで仲間を集めて、組合を結成し、土地探しから建設の発注、建設 後の管理運営まですべてをこなす方式。
コーディネーター 建築家などのコーディネーターが、土地を特定したうえでプロジェクトを 企画し、参加者を募る。集まった人たちで組合を結成し、自分たちの希望 主導型 に合わせた計画を、コーディネータの協力を得ながら建設する。
公的機関主導型
グループの結成と土地の特定 タイプ1 を自分たちで行い、公団が建 公団や大きな都市の住宅供給公社 設するもの。 では、居住者参加型の分譲住宅の システムを持っている。公団の場 公団の用地で公団が建設する 合は「グループ分譲住宅」と呼ば タイプ2 が、募集はグループ単位でお れ、グループ分譲住宅はグループ こなうもの。 の結成や土地取得の方法によって 公団の用地で公団が建設し、 3つのタイプに分かれている。 タイプ3 募集は個人で行って応募後に グループを結成するもの。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
10
2-1-3
図2- 1- 2 コーポラティブハウス事業の流れ
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
11
2-1-4
4.コーポラティブハウスのメリット/デメリット ・メリット ①自分のライフスタイルに合った間取りや好みのインテリアが実現でき、個性ある 住いが可能。 ②デベロッパーの経費がない分、一般分譲マンションに比べ、同じ程度のものであ れば安価に手に入れられる。また使用する資材やその価格に関しての情報が開示 されているので、納得いく価格でマンションを手に入れることができる。 ③組合結成からの話し合いを通じて、あらかじめ住む人同士が知り合えるため、気 心が知れた仲間として意志の疎通が計り易く、良好なコミュニティが形成される。 ④組合管理とし、管理を外注しなければ維持費が実費で抑えられる。 ⑤自治によりスラム化を防げる。 ・デメリット ①設計や建設組合全体の打ち合わせに時間と労力を割く必要やある。 ②参加者で組織する建設組合で進めることからリスクがある。 ③すぐには手に入らない。(入居は組合結成から早くて 1 年半から 2 年) ・特に住民主導型のデメリット ・土地探しとそれを確保することが難しい。 ・参加者集めは宣伝広告や、口コミ、チラシなどに頼ることになり、困難を伴う。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
12
2-2-1
■コーポラティブハウスの企画におけるニーズ調査 1.コーポラティブハウスのニーズと最終的な計画の事例収集 文献より既存のコーポラティブハウスについて、そのコーポラティブハウスの企画 段階において、施主である入居者がどのようなニーズを提案したのかを調べるととも に、そのニーズがどのようなかたちで最終的な計画に反映されたのかを調査する。 収集した事例をもとに、施主が持つ主要なニーズを選定し、それらのニーズを建築 的要素に変換する。
表2- 2- 1 文献からニーズ収集調査を行ったコーポラティブハウス一覧
コーポラティブハウス名 01 Mポート 02 ユーコート 03 ネイキッドスクエア 04 経堂の杜 05 A-flat 06 Co-com 07 都住創カレンズ 08 つなねコーポラティブ住宅 09 松原アパートメント
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
13
2-2-2
2.一戸建住宅のニーズと最終的な計画の事例収集 一戸建住宅の設計時に施主から提案されるニーズは、コーポラティブハウスの個別 住宅の設計段階に施主から提案されるニーズと共通するものが多いと考えられる。し たがって、建築雑誌等の文献から、施主の住まいに対する考え方や、ライフスタイル を反映したニーズに基づいて設計された住宅を調査し、施主から提案されたニーズが どのようなかたちで建築に反映されているかの事例を収集する。
表2- 2- 2 文献からニーズ収集調査を行った戸建住宅とその掲載誌一覧
住宅名
掲載書籍名
01 HOUSE 99.99
Lives 2002 Autumn
02 S邸
Lives 2002 Autumn
03 白井邸
Lives 2002 Autumn
04 野田邸
Lives 2002 Autumn
05 木テラスの家
住宅建築 2002 4月号
06 牛久のギャラリー
住宅建築 2002 4月号
07 サロンの家
住宅建築 2002 4月号
08 上目黒の家
住宅建築 2002 4月号
09 ダブル・ハウス
住宅特集 11月号
10 BARN-5
住宅特集 10月号
11 伊藤邸
クロワッサン 2001年1月10日号
12 吉野邸
クロワッサン 2001年1月10日号
13 K邸
クロワッサン 2001年1月10日号
14 山根邸
クロワッサン 2001年1月10日号
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
14
2-3-1
■かたちの詳細設定のための調査 1.個別住宅設計におけるかたちの詳細調査 システムを構築する際に必要となる、個別住宅におけるかたちの詳細(形状・数値 等)を決定する。文献より、詳細を決定すべきかたちが用いられている既存の建築の 図面を調査し、詳細を決定していく。建築資料集成等により、最低地、標準値等が定 められているものについてはそれらの値を参考にする。
2.集合住宅の配置、全体ボリュームの詳細調査 システムを構築する際に必要となる、全体の配置、ボリュームに関するかたちの詳 細(形状・数値等)を決定する。文献より、詳細を決定すべきかたちの用いられてい る既存の集合住宅建築の図面を調査し、詳細を決定していく。建築資料集成等により、 最低地、標準値等が定められているものについてはそれらの値を参考にする。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
15
3-*-*
■3章 研究結果・考察
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
16
3-1-1
■考察の流れ 1.結果・考察の流れ
3ー2. 企画段階におけるニーズと最終的な計画の事例収集 コーポラティブハ ウスの企画におけ るニーズと実現事 例の把握
・既存コーポラティブハウスにおける事例収集 ・一戸建住宅における事例の収集 ・小規模集合住宅における配置計画の事例収集
3ー3. ニーズ分類整理と建築的要素への変換 ニーズとかたち
・コーポラティブハウス独自のニーズ
の関係性の構造化
・個別住宅に関するニーズ
ニーズ調整のため のルール作成
・全体配置に関するニーズ
3ー4. ニーズ調整のためのフローチャート作成 ボリューム作成に
・キーワードの設定
必要な情報の分類・
・「ニーズ→かたち」分解フローチャート
設定
・配置の決定方法 ・かたちの詳細設定 ・かたちの競合に関するチャート
4章 ボリュームスタ ディーツールシス テム作成へ
図3- 1- 1 考察の流れ
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
17
3-2-1
■企画段階におけるニーズと最終的な計画の事例収集 1.既存コーポラティブハウスのニーズと最終的な計画の事例 既存のコーポラティブハウスに関する文献から、コーポラティブハウスの企画段階 に施主となる入居者から提案されたニーズとそれが実際の計画の中でどのようなかた ちで実現されたかを調査した。
表3- 2- 1 既存コーポラティブハウスのニーズと実現されたかたち
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
Mポート 954.33m2 1654.65m2 16戸
コーポラティブハウス全体に関するニーズ 提案されたニーズ 隣接住戸との適度な距離 住人の長屋的往来の重視 集会室 人がたまれる場所 植物を育てられる場所 食事会などができる広場 子供が土に触れられる場所
Diploma 2002
実現されたかたち 住戸を直列につながずにずらす バルコニーに隣家同士で仕切りをつけない 集会室 風が抜ける広めの階段室 間口3.2mの玄関まわり 屋上庭園 砂の広場
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
18
3-2-1 コーポラティブハウス名
Mポート
個別住宅に関するニーズ 提案されたニーズ
実現されたかたち
夫婦で別々の出入り口 カリブ海風の仕上げ 空間に変化がほしい
2つの玄関 原色(ピンクとブルー)をテーマカラーに 段差で空間を分割(スキップフロア)
制度・時間に囚われないくつろいだ空間
LD空間に金属フレームのあづまや
家の周りを草花で一杯にしたい たまに来る母親のための寝室 たっぷりの収納 落ち着きのある家 風通しの良い家
Diploma 2002
1階の専用庭 普段は居間の一部となる4畳半の和室 床下、天井裏に収納庫 廊下から玄関への視線を遮断 専用庭側に勝手口
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
19
3-2-1
コーポラティブハウス名
Mポート
提案されたニーズ
実現されたかたち
くつろげるバルコニー くつろげる窓辺のスペース
居間と寝室に面した2つのバルコニー 居間の南側全面に開いた窓
3階でも地に足がついたような家 くつろげる広いバルコニー なるべく長時間顔を合わせていられる空間 家具で仕切るワンルーム空間 空間をより大きくする 天井を高く、窓を大きく
高齢になっても住みやすい家 夏涼しく、冬暖かい 居間を中心にあまり動かずに生活できる
Diploma 2002
敷居をなくす、浴室等に手すりを設置 パッシブ・ソーラーシステム、サンルーム 寝室、居間、食堂をワンルームに
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
20
3-2-1 コーポラティブハウス名
Mポート
提案されたニーズ
実現されたかたち
城が眺められる居間 台所・食堂と分離可能な居間 空間にゆとり
城の方角に窓を持つ居間 35cmの段差と障子 出窓
外部との連続性 家事スペースの確保 与えられた面積を縮小
外部を取り込むかたちのバルコニー 食堂から脱衣所までをつなぐライトコート 隣人の離れ(書庫)として面積を提供
将来の生活パターンの変化に対応 効率の良い収納 通風と外での入浴
Diploma 2002
最小限の間仕切り、オープンな空間 段差による収納スペース確保と空間分割 寝室とサニタリー空間の間にライトコート
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
21
3-2-1 コーポラティブハウス名
Mポート
提案されたニーズ
実現されたかたち
大型窓 静けさに優れた家 収納の工夫 大胆で冒険的な遊び心のある空間
テラスの大型木製ガラス戸 ブリッジとテラスで書斎とLDKをつなぐ 居間からも寝室からも入れる納戸 暗(玄関)と明(テラス)の対比
玄関のドアの色はフェラーリの赤 土足で生活したい 2枚の大きな抽象画を飾りたい 高齢者が安全に住める家 風が吹き抜ける家
玄関ドアを赤に いぶし瓦の床 絵を活かす暖かい白の漆くい壁 床の段差をなくす 間仕切りをなくす
必要最小限(水まわりと睡眠の場)
水まわりだけを配置したあとは自由な空間
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
22
3-2-1 コーポラティブハウス名
Mポート
提案されたニーズ
実現されたかたち
仕切りは最小限 雄大な自然を楽しむ広いバルコニー 数千冊の本の収納
間仕切りは少なく、メゾネットで空間分割 居間に面した広いバルコニー 本棚を後から設置するフレキシブルな空間
家族の会話を楽しめる広々としたLDK 団らんの場と個人の空間の分離 窓から四季の変化を楽しめる 部屋に開放感
Diploma 2002
トップライトで昼明るく、夜は天体観測 メゾネットによる空間の分割 4階から緑の多い風景を望める窓 高い傾斜した天井
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
23
3-2-1 コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
ユーコート 3315.79m2 5866.70m2 48戸
コーポラティブハウス全体に関するニーズ 提案されたニーズ 子供がのびのび遊べる広い庭 自由に使える集会室 車の通らない空間の確保 共同倉庫 長屋形式
実現されたかたち 中庭 集会室 駐車場は敷地の端 倉庫 ベランダ開放(続きバルコニー)
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ 多面開口 星を見れる広いバルコニー プライバシーとコミュニティの確保 いろり 我が家らしい傾斜した屋根 家庭菜園 上の階でも緑を育てたい
実現されたかたち 3面開放 広いバルコニー タウンハウス いろり 切妻 専用庭 日が当たるバルコニー
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
24
3-2-1
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
ネイキッドスクエア 3877m2 4627m2 37戸
コーポラティブハウス全体に関するニーズ 提案されたニーズ 一戸建てとマンションの魅力 オープンスペース 入居後増改築できる コモンスペースの確保 統一感のある街並み
Diploma 2002
実現されたかたち タウンハウス型 建物中央に囲み庭形式 2住戸境壁、一戸建て登記 駐車場をまとめる 外壁材の統一
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
25
3-2-1
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
経堂の杜 784.41m2 1734m2(地下含む) 12戸
コーポラティブハウス全体に関するニーズ 提案されたニーズ 敷地に存在している樹木の保護 植栽 壁面緑化 冬の日射の効率的利用 環境共生 夏の風の取り込み
実現されたかたち 樹木の部分に建物を建てない 植栽スペースの確保 つる性植物の栽培 南側に懐の深い共用庭 ビオトープ池 建物を2棟に分割
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ パーゴラ 菜園
実現されたかたち パーゴラの設置 屋上庭園、専用庭
広がりとつながりのある空間 夏は緑を楽しむ 暖炉
ワンルームで続く空間、段差による分割 下の階と協力して植物の栽培 薪ストーブ
老後も安心して住める家 書斎がほしい
Diploma 2002
車椅子が通れる幅の廊下 リビングと連続した書斎スペース
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
26
3-2-1
コーポラティブハウス名 提案されたニーズ
経堂の杜 実現されたかたち
シンプルな構成 茶室 明るい部屋
Diploma 2002
ワンルームのリビング、メゾネットの寝室 にじり口のついた3畳の和室 ガラスブロックの開口部
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
27
3-2-1
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
Aーflat ? m2 ? m2 戸
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ 光がたくさん入る ガーデニングがしたい 将来子供部屋を分割 将来フレキシブルに変化できる空間
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
Coーcom ? m2 ? m2 12戸
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ 通風と採光に配慮したリビング お茶を飲んだりできるバルコニー 健康的で安全な素材
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
実現されたかたち コンクリート打ち放しの内壁 竹フローリング
つなねコーポラティブ住宅 2696.92m2 2028.8m2 23戸
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ 仕事場と住空間の分離
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
実現されたかたち 複数の入り口
松原アパートメント 767m2 1217m2 11戸
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ シンプルなライフスタイルの実現 採光
Diploma 2002
実現されたかたち 2面開口 インナーガーデン 珪藻土の壁
都住創カレンズ 180.29m2 1057.90m2 12戸
個別住戸に関するニーズ 提案されたニーズ 素材を活かす 素材を活かす
コーポラティブハウス名 敷地面積 延床面積 戸数
実現されたかたち トップライト 地下のライトコートのテラス 梁を設置 収納家具、ガラス戸で仕切り
実現されたかたち ベッドルームと広いLDK トップライト
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
28
3-2-2
2.一戸建住宅のニーズと最終的な計画の事例 コーポラティブハウスの個別住戸に関するニーズは一戸建住宅に対するニーズと類 似するものが多数あると考えられる。従って、既存の一戸建住宅に関する文献から、 コーポラティブハウスの企画段階に施主となる入居者から提案されたニーズとそれが 実際の計画の中でどのようなかたちで実現されたかを調査した。 表3- 2- 2 一戸建住宅のニーズと実現されたかたち
01 | 住宅名 HOUSE99.99 提案されたニーズ 仕事場と住居スペースの分離 2,3階につながり
実現されたかたち アトリエを1階に2,3階を住居に 2,3階をつなぐ階段室に吹抜け
02 | 住宅名 S邸 提案されたニーズ 風通し 広いリビング 採光
実現されたかたち スキップフロア 高い天井(吹抜け)で広く見せる トップライト
03 | 住宅名 白井邸 提案されたニーズ ギャラリーのような空間 プライベート空間の分離
実現されたかたち 間仕切りのないメインルーム 吹抜けで仕切られた離れ
04 | 住宅名 野田邸 提案されたニーズ 光と風がいっぱいの家 どこにいても一体感のある空間
実現されたかたち ライトコート 吹抜け
05 | 住宅名 木テラスの家 提案されたニーズ 採光確保 プライバシー バリアフリー
実現されたかたち 2階に居間 日当たりの良いテラス テラスの位置を高くし視線を遮る 1階の仕事場を老後の生活スペースに
06 | 住宅名 牛久のギャラリー 提案されたニーズ ギャラリー+住宅 散歩道の延長のような中庭 単身で住まう家
実現されたかたち 1階をギャラリー、2階を住居に コの字型の平面 間仕切りを設けずに家具や形で分割
07 | 住宅名 サロンの家 提案されたニーズ 音の性能を備えた居間(サロン) 人を呼べる居間
実現されたかたち R屋根、高く傾斜した天井 広い居間
08 | 住宅名 上目黒の家 提案されたニーズ サスティナブルな家 サスティナブルな家 サスティナブルな家
実現されたかたち 間仕切り可能な空間 2ヶ所のエントランスで2世帯にも対応 簡単に外せるロフトで吹抜けを増やす
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
29
3-2-2
09 | 住宅名 ダブル・ハウス 提案されたニーズ 実現されたかたち 家族がお互いの存在を感じることができる スキップフロア 10 | 住宅名 BARNー5 提案されたニーズ 子供が外に飛び出して行ける家 間仕切りせず、ゾーニングのみ
実現されたかたち バルコニーで外空間をつくる スキップフロア
11 | 住宅名 伊藤邸 提案されたニーズ 猫の居場所がある家 猫のマーキング対策
実現されたかたち 上下運動ができる空間、梁を設置 内装に外装材を使って予防
12 | 住宅名 吉野邸 提案されたニーズ 日当たりが良く暖かい家 縁側でおしゃべり
実現されたかたち L字型平面、L字内側前面開口 L字内内側に縁側
13 | 住宅名 K邸 提案されたニーズ 空と緑と一体感のある家
実現されたかたち サンルーム
14 | 住宅名 山根邸 提案されたニーズ 庭が欲しい どこにいても庭を眺められる
実現されたかたち 2階に中庭テラス コの字型に中庭を囲む
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
30
3-2-3
3.小規模集合住宅における配置計画の事例と特徴 コーポラティブハウスの全体配置のパターンを定義するために、2〜30戸程度の 小規模集合住宅における配置計画の事例を収集し、平面配置と立体配置を調査した。 表3- 2- 3 小規模集合住宅における配置の事例
■Mポート 配置図
■地上5階■敷地面積=954m2■延床面積= 1654 m2■16戸
平面配置
・クラスター型配置 ・共有スペース=広場 集会場
■ネイキッドスクエア 配置図
配置図
平面配置
立体配置
・規則的な直列配列 ・縦割り
■B1・地上5階■敷地面積= 3316 m2■延床面積= 5866 m2■48戸 平面配置
・雁行型配置 ・共有スペース=広場 公園
Diploma 2002
・不規則配列
■地上3階■敷地面積= 3877 m2■延床面積= 4627 m2■37戸
・囲み庭形式配置 ・共有スペース =駐車場兼広場
■ユーコート
立体配置
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
立体配置
・規則的な直列配列 ・横割り
31
3-2-3
■ J-STAGE 配置図
■ Lattice 配置図
■エイトピア浜田山 配置図
Diploma 2002
■地下1階・地上2階■敷地面積=76m2■延床面積=89m2■2戸
平面配置
立体配置
・長方形配置
・規則的な直列配列
・共有スペース無し
・横割り
■地上2階■敷地面積=129m2■延床面積=168m2■3戸 平面配置
立体配置
・直列長方形配置
・規則的な直列配列
・共有スペース無し
・縦割り
■地上2階■敷地面積=232m2■延床面積=219m2■8戸 平面配置
立体配置
・直列長方形配置
・規則的な直列配列
・共有スペース=庭
・縦割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
32
3-2-3
■ Loop A 配置図
■屯 配置図
■ La Commune 配置図
■地上3階■敷地面積=191m2■延床面積=223m2■5戸
平面配置
立体配置
・凹型配置
・直列配列
・共有スペース=テラス
・縦割り
■B1・地上2階■敷地面積=306m2■延床面積=293m2■6戸 平面配置
・囲み庭形配置
・直列配列
・共有スペース=中庭
・縦割り
■地上3階■敷地面積=360m2■延床面積=347m2■6戸
平面配置
・クラスター型配置 ・共有スペース=テラス
Diploma 2002
立体配置
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
立体配置
・不規則配置
33
3-2-3
■ HOUSE MH 配置図
■地上4階■敷地面積=242m2■延床面積=411m2■12戸
平面配置
・2棟分割型配置 ・共有スペース=中庭
■ T-REX2 配置図
■ライトコート春日 配置図
Diploma 2002
立体配置
・不規則配置
■地上2階■敷地面積=559m2■延床面積=425m2■18戸 平面配置
立体配置
・直列長方形配置
・直列配列
・駐車場=敷地の端
・縦割り
■B1・地上4階■敷地面積=350m2■延床面積=604m2■20戸 平面配置
立体配置
・2棟分割・凸型配置
・規則的な直列配列
・共有スペース=光庭
・横割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
34
3-2-3
■ライトコートK 配置図
■西院の集合住宅 配置図
■ DUO 配置図
■地上3階■敷地面積=439m2■延床面積=669m2■ 8 戸 + α
平面配置
・直列配置
・規則的配置
・共有スペース=光庭
・横割り
■地上3階■敷地面積= 1328 m2■延床面積=682m2■8戸 平面配置
立体配置
・直列長方形配置
・直列配列
・駐車場=建物1階
・横割り
■B1・地上3階■敷地面積=321m2■延床面積=691m2■12戸 平面配置
・2棟分割配置 ・共有スペース=アトリウム
Diploma 2002
立体配置
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
立体配置
・不規則配列
35
3-2-3
■ FULL HOUSE 配置図
■ TERRAZZA 芦屋川 配置図
■東山ヒルサイドコート 配置図
■B1・地上4階■敷地面積=332m2■延床面積=691m2■18戸
平面配置
・直列配置
・規則的直列配置
・駐車場=建物1階
・横割り
■地上2階■敷地面積= 1059 m2■延床面積=758m2■9戸 + α 平面配置
立体配置
・3棟分割配置
・規則的配列
・駐車場=敷地の端
・横割り
■B1・地上3階■敷地面積=389m2■延床面積=815m2■10戸 平面配置
・直列配置 ・駐車場=建物1階
Diploma 2002
立体配置
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
立体配置
・不規則配列
36
3-2-3
■クレスト小豆沢 配置図
■地上4階■敷地面積=416m2■延床面積=844m2■13戸
平面配置
・直列配置
■ Apartment 傳 配置図
■羽根木の森 配置図
・不規則配置
■地上3階■敷地面積= 1081 m2■延床面積=904m2■22戸 平面配置
立体配置
・2棟分割・凹型配置
・規則的配列
・共有スペース=中庭
・縦割り
■地上3階■敷地面積= 1035 m2■延床面積=985m2■11戸 平面配置
・直列配置 ・共有スペース=ピロティ
Diploma 2002
立体配置
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
立体配置
・不規則配列
37
3-2-3
■深江スパイラル 配置図
■ SOUTH COAT 本山 配置図
■B1・地上4階■敷地面積=386m2■延床面積= 1006 m2■27戸
平面配置
・囲み庭形式配置
・規則的直列配置
・共有スペース=中庭
・横割り
■B1・地上4階■敷地面積=470m2■延床面積= 1080 m2■20戸 平面配置
・凹型配置
■ FH・HOYA- Ⅱ 配置図
Diploma 2002
立体配置
立体配置
・規則的直列配列 ・横割り
■B1・地上3階■敷地面積= 2008 m2■延床面積= 1273 m2■10戸 平面配置
立体配置
・雁行型配置
・直列配列
・共有スペース=ピロティ
・縦割り・横割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
38
3-2-3
■ K2 FLAT 配置図
■地上8階■敷地面積=546m2■延床面積= 1647 m2■23戸
平面配置
・直列配置
■兵庫県営片山ふれあい住宅 配置図
■早稲田南町コーポラス 配置図
Diploma 2002
立体配置
・直列配置 ・縦割り・横割り
■地上2階■敷地面積=314m2■延床面積=329m2■6戸 平面配置
立体配置
・直列配置
・規則的直列配列
・共用スペース=共用室
・横割り
■地上4階■敷地面積= 1047 m2■延床面積= 1483 m2■19戸 平面配置
立体配置
・直列配置
・直列配列
・共有スペース=屋上庭園
・横割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
39
3-2-3
■コミュニティコーポあるじゅ 配置図
■東尻池コート 配置図
■浜田町第一共同住宅 配置図
Diploma 2002
■地上4階■敷地面積=666m2■延床面積= 1199 m2■13戸
平面配置
立体配置
・直列配置
・不規則配置
・共有スペース=共用倉庫
・横割り
■地上5階■敷地面積=663m2■延床面積= 1228 m2■18戸 平面配置
立体配置
・クラスター型配置
・直列配列
・共用スペース=中庭
・横割り
■地上3階■敷地面積=502m2■延床面積=957m2■9戸 平面配置
立体配置
・2棟分割配置
・直列配列
・共有スペース=中庭
・横割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
40
3-2-3
■ CO・OPERA 配置図
■松原アパートメント 配置図
■ビラ徳丸417 配置図
Diploma 2002
■B1・地上6階■敷地面積=408m2■延床面積= 1012 m2■13戸
平面配置
立体配置
・クラスター型配置
・不規則配置
・駐車場=敷地の端
・縦割り・横割り
■地上4階■敷地面積=767m2■延床面積= 1217 m2■11戸 平面配置
立体配置
・凹型配置
・直列配列
・共用スペース=植栽
・横割り
■B1・地上6階■敷地面積= 1180 m2■延床面積= 2505 m2■35戸 平面配置
立体配置
・4棟分割配置
・直列配列
・共有スペース=植栽
・横割り
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
41
3-3-1
■ニーズの分類整理と建築的要素への変換 収集したニーズを分類し、分類したニーズを事例をもとに建築的要素=かたちに変 換した。本研究では、ボリュームスタディーツールの作成を目的としているので、コー ポラティブハウスの配置、かたち、空間構成等に影響を与えないと思われるニーズ(内 装素材に関するもの等)については、分類する際に除外した。
1.コーポラティブハウス独自のニーズ コーポラティブハウスが一般の分譲マンションのような集合住宅と異なる点とし て、個別住宅の自由設計の他にコミュニティの重視やそれにともなう共用施設が挙げ られる。全てのコーポラティブハウスにそういった傾向が見られるわけではないが、 コミュニティの重視や共用施設に対するニーズをコーポラティブハウス独自のニーズ と位置付けた。 分類は「コミュニティ」と「植物」の2つに分類した。ニーズから導かれる共用施 設の場所は屋外、屋内、屋上に大別される。またコミュニティに関するニーズ以外に、 共用部における植物に関するニーズが多いこともコーポラティブハウス独自のニーズ だと言える。 表3- 3- 1 ニーズ分類表「コーポラティブハウス独自のニーズ」
分類
ニーズ
かたち
長屋的な往来
続きバルコニー 集会室 屋上庭園、屋上広場 中庭
人が集まれる場所が欲しい 共用庭 駐車場を広場として使用 コミュニティ 広さのある共用廊下 広場 中庭 子供が遊べる場所が欲しい
屋上広場 共用庭 公園
敷地に存在する樹木の保護 植物
樹木を避けて建築物を計画 植栽スペースの確保
緑を育てたい 共用庭
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
42
3-3-2
2.個別住宅に関するニーズ 個別住宅に関するニーズは既存のコーポラティブにおける収集事例と、一戸建て住 宅における収集事例から分類した。分類項目は「明るさ(採光)」、 「風通し」、 「内部空間」、 「外部空間」、 「プライバシー」、 「バリアフリー」、 「サスティナビリティー」、 「特殊ニー ズ」の8つに分類した。
表3- 3- 2 ニーズ分類表「個別住宅に関するニーズ」
分類
ニーズ
かたち
明るさ(採光)
明るい空間
大きな窓 トップライト サンルーム 多面開口 ライトコート
風通し
風通しの良い家
2面以上の開口部 ライトコート 間仕切りをしない スキップフロア 吹抜け
内部空間
空間に変化がほしい
スキップフロア 吹抜け
連続性のある空間
ワンルーム スキップフロア 吹抜け
家族と顔を合わせやすい家
ワンルーム
家族の空間と個人の空間の分割
メゾネット トリプレット
広く感じる空間
天井を高く 吹抜け 窓を大きく 出窓
開放感
多面開口 大きな窓 高い天井 傾斜した天井
間仕切りをせずに空間を分割
スキップフロア
外部と内部の連続性
内側にくいこむ形のバルコニー テラス ライトコート
収納スペース
納戸を設置 スキップフロアで段差を収納に 地下室
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
43
3-3-2
分類
ニーズ
かたち
外部空間
植物を育てたい
1階の専用庭 日が当たるバルコニー 屋上 テラス
くつろげる外部空間
広いバルコニー 専用庭 テラス 屋上
眺望を楽しみたい
大きな窓 上のほうの階
空を見たい
トップライト 屋上
プライバシー
静かな家
隣家と接する部分をずらす 上のほうの階
上下の階の音を気にしたくない
メゾネット トリプレット
戸建感覚
タウンハウス型
外からの視線を遮る
窓の位置を部屋の様子が見えにく い位置にする
バリアフリー
高齢になっても住みやすい家
段差をつくらない 地上1階 車椅子が通れる幅を確保
サスティナビリティー 特殊ニーズ
あまり動かずに生活できる
ワンルーム
将来変更可能な間取り
間仕切りをしない
増築可能な空間を残す
吹抜け
仕事場と住空間を分離したい
出入り口を分ける 階 を 分 割 = メ ゾ ネ ッ ト・ ト リ プ レット
人を呼びたい
広いリビング ギャラリー
音楽を楽しみたい
地下の防音室 高い天井 傾斜した天井
犬が飼いたい
1階専用庭 広いバルコニー 屋上
猫を飼いたい
吹抜けと梁 高い天井と梁
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
44
3-3-3
3.全体配置に関するニーズ コーポラティブハウス独自のニーズ、個別住宅に関するニーズを分類した上で、全 体配置に関わるニーズについてまとめた。分類項目は「駐車場」と「個別住戸の配置」 の2つに分類した。
表3- 3- 3 ニーズ分類表「全体配置に関するニーズ」
分類
ニーズ
かたち
駐車場
駐車場が欲しい
駐車場スペースの確保
駐車場に車がないときは広場とし 駐車場をまとめる
個別住戸の配置
て使いたい
共有スペースと隣接させる
車の通らない空間の確保
駐車場は敷地の端
全ての住戸が共有スペースに面す 建物中央に囲み庭形式 る 人が集まれる場所が欲しい
建物中央に囲み庭形式
一戸建てとマンション魅力
タウンハウス型
プライバシーの重視
住戸を直列につながずずらす タウンハウス型
風通りを良くする
建物を2棟に分割 ライトコート
採光を良くする(多面採光)
雁行形式 住戸を直列につながずずらす
複数の住戸に専用庭
Diploma 2002
雁行形式
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
45
3-4-1
■ニーズ調整のためのフローチャート作成 1.キーワードの設定(ニーズの再編成) ボリュームスタディーツールのインターフェースにおいて、システム利用者が自分 の住まいに対するニーズを入力する際に選択する項目を、表3- 3- 1〜3より<キー ワード>として再編成した。
全体・配置に関するニ�ズ
コミュニティ
駐車場
がほしい
がほしい
植物を 育てたい
バリアフリー
一体感
明るい家
風通し の良い家
プライバシー
景色を 楽しみたい
個別住宅に関するニ�ズ
音楽を
くつろげる
楽しみたい
屋外空間
猫を飼いたい
犬を飼いたい
開放感
空が見たい
仕事場 がほしい
図3- 4- 1 キーワードの属性
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
46
3-4-2
2.「ニーズ→かたち」の分解フローチャート作成 ニーズの各キーワードを条件と要素に従って分解していく。これにより、キーワー ドからかたちまでの流れを構造化し、各キーワードごとのフローチャートを作成する。
かたち
ニーズ
かたちに 影響を与える 他の要素
AND
OR
コミュニティ がほしい
屋内
共有スペース (集会室)
施設・ スペース
広場
屋外 コミュニティ
屋上広場
がほしい
囲み庭形式
配置 バルコニー をつなぐ
図3- 4- 2_1 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「コミュニティがほしい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
47
3-4-2
駐車場 がほしい
広場
駐車場を 広場として 利用
広場と 隣接して 駐車場設置
広場と駐車 場は離れて いるべき 駐車場 がほしい
駐車場は 敷地の端
図3- 4- 2_2 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「駐車場がほしい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
48
3-4-2
植物を 育てたい 階数
専用庭
屋根のない
個別住宅
バルコニー
屋上
植物を 育てたい
共用庭 共用 スペース 植栽 スペース
入居者全員
配置
雁行形式
が選択
図3- 4- 2_3 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「植物を育てたい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
49
3-4-2
明るい家 窓を大きく プライバシー
トップライト
個別住戸 多面開口
ライトコート
明るい家
雁行形式
配置
直列に つながずに ずらす 入居者全員 が選択
図3- 4- 2_4「ニーズ→かたち」のフローチャート:「明るい家」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
50
3-4-2
風通し の良い家 多面開口
スキップ フロア 個別住戸 吹抜け
風通し
間仕切りを
の良い家
しない
2棟に分割
配置
囲み庭形式 入居者全員 が選択
図3- 4- 2_5 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「風通しの良い家」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
51
3-4-2
バリアフリー
地上1階
フラット
バリアフリー
間仕切りを しない
図3- 4- 2_6 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「バリアフリー」
プライバシー
メゾネット
静かな家
トリプレット
視線の高さ に窓を 作らない 外からの 視線 プライバシー
窓は最小限
配置
直列に つながずに ずらす
図3- 4- 2_7 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「プライバシー」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
52
3-4-2
一体感
吹抜け 機能ごとに 空間を分割 スキップ フロア 一体感
フレキシブル
間仕切りを
に使える空間
しない
図3- 4- 2_8 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「一体感」
景色を 楽しみたい
視線の 高さに窓
窓を大きく 景色を 楽しみたい
最上階
図3- 4- 2_9 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「景色を楽しみたい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
53
3-4-2
開放的 プライバシー
多面開口 外部に対し て開放的 窓を大きく
開放的 間仕切り
間仕切りを
がない
しない
内部のつなが り方が開放的
吹抜け
傾斜天井
天井を高く
図3- 4- 2_10 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「開放的」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
54
3-4-2
音楽を 楽しみたい 天井を高く 音が響く 空間 傾斜天井 音楽を 楽しみたい
音が外に
地下室
漏れない
図3- 4- 2_11 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「音楽を楽しみたい」
くつろげる 屋外空間 階数
専用庭
くつろげる
広い
屋外空間
バルコニー
屋上
図3- 4- 2_12 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「くつろげる屋外空間」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
55
3-4-2
空を見たい トップライト
空を見たい
屋上
図3- 4- 2_13 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「空を見たい」
猫を 飼いたい 梁を通す
猫を
上下運動
飼いたい
できる空間
吹抜け
天井を高く
図3- 4- 2_14 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「猫を飼いたい」
犬を 飼いたい 階数
犬を 飼いたい
専用庭
広い バルコニー
屋上
図3- 4- 2_15 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「犬を飼いたい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
56
3-4-2
仕事場が ほしい メゾネット 仕事場が
住空間との
ほしい
分割 トリプレット
図3- 4- 2_16 「ニーズ→かたち」のフローチャート:「仕事場がほしい」
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
57
3-4-3
3.配置の決定方法 配置に直接的に影響するニーズを抽出すると図3- 4- 3のようになる。
2棟に分割 風通し の良い家 囲み庭形式 コミュニティ
バルコニー をつなぐ
同時成立不可
がほしい
植物を 育てたい 雁行形式
明るい家 直列に つながずに ずらす プライバシー
駐車場
広場と 隣接して 駐車場設置
がほしい 駐車場は 敷地の端 図3- 4- 3_1 ニーズと配置の関係性
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
58
3-4-3 □配置の決定方法 この時、同時に成立することが困難なかたちは「囲み庭形式」と「雁行形式」の組み 合わせになる。従ってこの二つの優先順位を求める必要がある。優先順位はどちらか のかたちを導くニーズがひとつ選択されていることに対して1点とし、点数化する。 例えば、3人の施主がそれぞれ「風通しの良い家」、「植物を育てたい」、「明るい家」 を選択した時には、「囲み庭形式」が1点、「雁行形式」が2点と評価され後者が平面 配置として選択される。点数化した時、同点となった場合には同確立においてランダ ムに選択されるものとする。 □配置に関するかたちに影響を与える特殊ケース 1つのコーポラティブハウスの中に「猫を飼いたい」というニーズを選択した施主 と、 「犬を飼いたい」というニーズを選択した施主が存在する時、 「バルコニーをつなぐ」 というかたちは無効になるものとする。
猫を 飼いたい 「猫を飼いたい」施主と 「犬を飼いたい」施主が 存在する場合
無効
バルコニー をつなぐ
犬を 飼いたい *同一の施主がこの2つのニーズを 選択した場合を除く
図3- 4- 3_2 配置に関する特殊ケース
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
59
3-4-4
4.かたちの詳細設定 フローチャートを作成により、ニーズから導かれるかたちが確定した。次に、シス テムを構築するにあたり、かたちの形状や数値等の詳細を設定していく。詳細を設定 していく際にはこれまでに収集した事例や、建築設計資料集成等の各種資料の値を参 考にした。
直列に つながずに ずらす
配置に関するかたち
窓に関するかたち トップライト
窓を大きく 2棟に分割 雁行形式
駐車場は
多面開口
窓は最小限
敷地の端
共有スペース (集会室)
視線の高さ に窓を 作らない
囲み庭形式
地上1階
階数に関するかたち
共有空間に関するかたち
広場と 隣接して 駐車場設置
視線の 高さに窓 広場 屋上広場
地下室 植栽
バルコニー
スペース
をつなぐ
最上階
共用庭 屋根のない 天井を高く
バルコニー
ライトコート
広い バルコニー
吹抜け スキップ
間仕切りを 専用庭
トリプレット
しない
梁を通す
空間に関するかたち
屋外空間に関するかたち
傾斜天井
フロア 屋上
フラット メゾネット
空間構成に関するかたち 図3- 4- 4 かたちの分類図
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
60
3-4-4 □配置に関するかたち ・敷地面積の設定 敷地面積収集した小規模集合住宅の事例より、各集合住宅に対して「敷地面積÷戸 数=1戸あたりの敷地面積」を求め、30棟の平均を算出した。この値を参考に基準 となる一戸あたりの敷地面積を設定し、 敷地面積=(一戸あたりの基準敷地面積) × (戸数) とした。 表3- 4- 4_1 小規模集合住宅の事例における一戸あたりの敷地面積 名称 Mポート ネイキッドスクエア ユーコート JーSTAGE Lattice エイトピア浜田山 Loop A 屯 La Commune HOUSE MH TーREX2 ライトコート春日 ライトコートK 西院の集合住宅 DUO FULL HOUSE TERRAZZA芦屋川 東山ヒルサイドコート クレスト小豆沢 Apartment 傳 羽根木の森 深江スパイラル SOUTH COAT FH・HOYAーⅡ K2 FLAT 兵庫県営片山ふれあい住宅 早稲田南町コーポラス コミュニティコーポあるじゅ 東尻池コート 浜田町第一共同住宅 CO・OPERA 松原アパートメント ビラ徳丸417
敷地面積(m2)延床面積(m2) 戸数 一戸あたりの敷地面積(m2) 954 1654 16 59. 625 3877 4627 37 104. 78 3315 5866 48 69. 063 76 89 2 38 129 168 3 43 232 219 8 29 191 223 5 38. 2 306 293 6 51 360 347 6 60 242 411 12 22 559 425 18 31. 1 350 604 20 17. 5 439 669 8 54. 9 1328 682 8 166 321 691 12 26. 8 332 691 18 18. 4 1059 758 9 117. 7 389 815 10 38. 9 416 844 13 32 1081 904 22 49. 1 1035 985 11 94. 1 386 1006 27 14. 3 470 1080 20 23. 5 2008 1273 10 200. 8 546 1647 23 23. 7 314 329 6 52 1047 1483 18 58. 1 666 1199 13 51. 2 663 1228 18 36. 8 502 957 9 55. 8 408 1012 13 31. 4 767 1217 11 69. 7 1180 2505 35 33. 7
一戸あたりの敷地面積の平均=54.91 敷地面積=55m2 × (戸数) とする。 本システムにおいて、戸数は3〜5戸として設定した。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
61
3-4-4 ・個別住戸の住戸専用面積の設定 個別住戸の住戸専用面積は都市居住型誘導居住水準(建設省第7期5ヵ年計画の誘 導居住水準)の値で設定した。これは世帯人員ごとに必要な住戸専用面積を設定した ものである。 表3- 4- 4_2 都市居住型誘導居住水準 世帯人員
室構成
居住室面積
住戸専用面積
1人
1DK
20.2m2(12. 0畳)
37m2
1人(中高齢単身)
1DK
23. 0m2(14. 0畳)
43m2
2人
1LDK
33. 0m2(20. 0畳)
55m2
3人
2LDK
46. 0m2(28. 0畳)
75m2
4人
3LDK
59. 0m2(36. 0畳)
91m2
5人
4LDK
69. 0m2(42. 0畳)
104m2
5人(高齢単身含む) 4LLDK
79. 0m2(48. 0畳)
122m2
6人
74. 5m2(45.5畳)
112m2
84. 5m2(51.5畳)
129m2
4LDK
6人(高齢夫婦含む) 4LLDK
表3- 4- 4_3 本システムにおける住戸専用面積の設定
Diploma 2002
世帯人員
住戸専用面積
1人
37m2
2人
55m2
3人
75m2
4人
91m2
5人
104m2
6人
112m2
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
62
3-4-4 ・平面配置 配置に関する詳細を決定する際には、既存コーポラティブハウスの事例が少ないこ ともあり、既存の集合住宅(戸数3〜 = 20戸程度の小規模なもの)の事例も参考に した。調査した集合住宅における個別住戸の平面配置に関して、敷地面積が狭い場合 には直列に配置していることが多く、共用スペースがある場合には囲み庭形式の配置 や凹型の配置が見られた。また専用庭をとるためや土地の形状に合わせて、個別住戸 がずれてつながれているクラスター状の配置も見られた。コーポラティブハウスの事 例では広場を囲む凹型形式や共用スペースや専用庭をとりながらのクラスター状の配 置が見られた。 表3- 4- 4_4 配置に関する詳細 直列に つながずに ずらす
標準
X
2棟に分割
X
配置に関するかたちが選択され ていない場合。 個別住戸が直列に規則的に配置 される。
隣接する住戸がずれて接する。 =クラスター型配置
数戸の住戸で構成される棟が2 つ存在する。
3.0 m<X< 5.0 m
X> 3.0 m
雁行形式
囲み庭形式
P
X P
広場と 隣接して 駐車場設置
隣接する住戸が同じ方向にずれ て接する。
共有スペースを囲む配置。
3.0 m<X< 5.0 m
P=戸数× 5.0 m2
広場と駐車場が隣接しあっている。
Ex)
広場
がない場合。敷地の端に駐車場を設置。
Ex) 広場
駐車場
広場 建物
広場と駐車場が隣接しない。または広場
敷地の端
Ex)
Ex) 駐車場
駐車場は
駐車場
建物
建物 建物
建物 駐車場
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
63
3-4-4 ・立面配置 立面配置に関しては、収集した事例では規則的な縦割り(タウンハウス形式)、 フラットな住戸が規則的に積み上げられている横割りの事例が多かった。しかし、 コーポラティブハウスではこのような規則的な縦割り、横割りの配置は有効でな いと考えられるため、ニーズに応じて不規則に配置されるものとする。
■縦割り
■横割り タウンハウス形式。 メゾネット、あるい はトリプレットの個 別住戸が横に連結。 他の住戸が上下に存 在することはない。
■縦割り・横割り
上下の階で同じ形状 のフラットな個別住 戸が積みあがって層 をつくっている。
■不規則配置 複数の層を持つ個別 住宅とフラットの個 別住宅が混在。ほぼ 規則的で縦割りと横 割りの配置が混在し ている。
立面配置に規則性が なく、上下の階で全 く異なる平面配置を しているもの。
図3- 4- 4_1 立面配置の分類
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
64
3-4-4 □窓に関する詳細 ・窓の形 窓の形は長方形のみとする。 ・開口部のある面の数 表3- 4- 4_5 窓に開口部に関する詳細
標準
壁、天井の面に対して一面以上
多面開口
壁、天井の面に対して2面以上
・窓の面積 窓の面積による満足度のグラフ(図3- 4- 4_2)を見ると人は窓/窓壁比が 30%を超えると概ね満足し40%以上ではほとんど満足度が変わらないといえ る。また窓が窓としての価値を持つ最小限度の面積は床面積に対して16分の1 以上とされている。(※1) 以上の情報をもとに面積の変動幅を決定した。また図 より窓の分割数が多く なると満足度が下がることがわかる従って、窓の分割数は一つの壁面に対して1 とした。 ※1 彰国社刊 「昼光照明の計画」より
図3- 4- 4_2 窓面積と満足感(地平線のある都市の遠景の場合)
図3- 4- 4_3 窓の分割数と主観評価(窓/窓壁比は20%)
表3- 4- 4_6 窓面積に関する詳細
標準
壁面積×20%〜30% 1つの窓の最小面積=床面積×6.25%(16分の1)以上
窓を大きく 壁面積×30%以上
窓は最小限
Diploma 2002
1つの窓の最小面積=床面積×6.25%(16分の1)以上 一つの空間の窓の最小面積=床面積×1/7以上
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
65
3-4-4 ・窓の位置 窓の位置は位置が持つ機能によって分類を行った。各窓の位置の変動幅は生活 姿勢の寸法(※2)を参考に設定した。 ※2 建築設計資料集成1より 表3 4- 4_7 窓の位置に関する詳細
バルコニー・専用庭に面する窓→掃出し窓①
標準
それ以外→肘掛窓・腰窓、掃出し窓②、らんま、トップライト
視線の高さ 掃出し窓② に窓を らんま 作らない トップライト
バルコニー・専用庭に面する窓→掃出し窓①
視線の 高さに窓
それ以外→肘掛窓・腰窓
トップライト
トップライト→窓面積は実際の面積×3で計算する 上に他の住戸がこないこと。
・窓の種類と数値設定
表3- 4- 4_8 窓の種類と数値設定
掃出し窓①
掃出し窓②
肘掛窓・腰窓
1.60 m<y<b
0<y< 1.25 m
0.36 m<w< 1.10 m
0<x<a
0<x<a
0.95 m<w + y<b
0<z<a−x
0<z<a−x
0<x<a 0<z<a−x
らんま
トップライト
1.60 m<w<b
0<z + x<a
0<w + y<b
0<w + y<b
0<z<a−x
窓面積=3xyで計算
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
66
3-4-4 □階数に関する詳細 階数に関する詳細は次のように設定した。 表3- 4- 4_9 階数に関する詳細
地下室
地上1階
最上階
住戸はメゾネット(地下1階+地上1階)、またはトリプレット(地下1階+地 上1,2階とする。 地面(GL)に接地。 この住戸の下に他の住戸が存在しない。
この住戸の上に他の住戸が存在しない。
□空間に関する詳細 ・天井高
表3- 4- 4_10 天井高に関する詳細
標準
床からの高さ、最低値2.1m〜2.5m
天井を高く 床からの高さ、3. 0m〜5.0m
住戸の階数配置が最上階であること。 傾斜天井
傾斜天井のパターンとその詳細は図 を参照。
表3- 4- 4_11 天井の形状に関する詳細
傾斜天井 x h
R天井
h=標準値 1.0m<x<2.0m
断面図
x h 断面図
h=標準値 1.0m<x<2.0m となる円弧
・梁 表3- 4- 4_12 梁に関する詳細 梁を通す
Diploma 2002
幅15cm、厚さ25cm程度。猫の移動空間としての設置なので、吹抜けに 最低1本の梁がの一端が接するようにする。一つの空間に3〜5本。ランダム で配置。壁から1.0m以上離して設置する。
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
67
3-4-4 ・吹抜け 表3- 4- 4_13 吹抜けに関する詳細 吹抜け
吹抜けのパターンは事例から以下の4つを設定した。変動する数値の幅は以下 のパターン参照。
1.0m<x<a,1.0m<y1<b/2 または 1.0m<x<a/2,1.0m<y1<b2 吹抜けは常にSRとSPに接する。
x1>1.0m x2>1.0m x1+ x2=a 1.0m<y1<b/2 1.0m<y2<b/2 1.0m<|y1—y2| 吹抜けx1y1、x2y2は常にSRに接する。
x1>1.0m x2>1.0m a—x1—x2>1.5m 1.0m<y1<b,1.0m<y2<b/3 または、1.0m<y2<b,1.0m<y1<b/3 1.0m<|y1—y2| 吹抜けx1 y1 は常にSR、SPに接し、吹抜けx2 y2は常にQR上を移動する。
a/2<x1<a 1.0m<x2<a/3 1.0m<y1<b/3 y2>1.0m b—y2—y1>1.5m 吹抜けx1y1は常にSRに接する。 吹抜けx2 y2 は吹抜けx1 y1 に接し、x2 の中心は 常に軸P上に存在する。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
68
3-4-4 □空間構成に関する詳細 表3- 4- 4_14 空間構成に関する詳細
間仕切りを しない
フラット
間仕切りを作らない。ワンルームタイプ。
スラブ1枚のみ。
メゾネット
スラブ2枚。
トリプレット
スラブ3枚
スキップ フロア
スラブ3枚〜4枚。詳細は以下の事例をもとに2つのパターンを設定した。 パターンについては図3- 4- 4_1・2 参照。 占有部分の長いほうの辺の長さによりスラブ枚数は変化。
スキップフロア・パターン1
図3- 4- 4_4 スキップフロア・パターン1
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
69
3-4-4
スキップフロア・パターン2
図3- 4- 4_5 スキップフロア・パターン2
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
70
3-4-4 □屋外空間に関する詳細 バルコニー、専用庭の面積に関しては住宅情報誌の物件情報を調査し、一般的な分 譲マンション30戸におけるバルコニー、専用庭の面積の値の平均値をそれぞれ参考 にした。屋上に関しては同様にしてルーフバルコニーの面積を参考とした。
図3- 4- 4_6 バルコニー面積の分布
図3- 4- 4_7 専用庭面積の分布
図3- 4- 4_8 ルーフバルコニー面積の分布
表3- 4- 4_15 屋外空間に関する詳細
標準
一般的な分譲マンション30戸におけるバルコニーの平均=19.3m2
バルコニー システムにおけるバルコニー面積の設定:10m2〜25m2 屋根のない バルコニーの上部に他の住戸が存在しない。 バルコニー 面積は標準に従う。
最大で標準の1.5倍とした。 広い バルコニー システムにおける広いバルコニー面積の設定:25m2〜37. 5m2
屋上
一般的な分譲マンション30戸におけるルーフバルコニーの平均=38. 59m2 システムにおける屋上面積の設定:35m2〜45m2
専用庭
一般的な分譲マンション30戸における専用庭の平均=23. 34m2 システムにおけるバルコニー面積の設定:15m2〜30m2 ライトコートの上部に他の住戸がこないこと。
ライトコート
Diploma 2002
面積の設定:5.0m2〜15m2
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
71
3-4-4 □共用空間に関する詳細 共用空間に関する詳細は次のように設定した。 表3- 4- 4_16 共用空間に関する詳細 広場
面積=全戸数×5.0m2 ただし、全戸数×5.0m2<20m2のときは面積=20m2とする。
屋上広場
面積=全戸数×5.0m2 ただし、全戸数×5.0m2<20m2のときは面積=20m2とする。
共用庭
面積=全戸数×5.0m2 ただし、全戸数×5.0m2<20m2のときは面積=20m2とする。
共有スペース (集会室)
植栽 スペース
バルコニー をつなぐ
Diploma 2002
屋内共用空間 面積=全戸数×5.0m2 ただし、全戸数×5.0m2<20m2のときは面積=20m2とする。 面積=全戸数×5.0m2 ただし、全戸数×5.0m2<20m2のときは面積=20m2とする。 面積の最大値<敷地面積の20%とする。 隣接する住戸のバルコニーが接するようにする。
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
72
3-4-5
5.かたちの競合に関するチャート作成 同時に成立できないかたち、成立するために他のかたちを必要とするかたち、を表 3- 4- 5に示した。 表3- 4- 5 かたちの競合表
かたち トップライト
必要なかたち
同時に成立できないかたち
最上階
窓を大きく
視線の高さ に窓を 作らない
窓は最小限
窓を大きく
視線の高さ に窓を 作らない
窓は最小限
窓を大きく
トップライト
視線の 高さに窓
トップライト
多面開口
地上1階
地下室
最上階
地上1階
最上階
最上階
地下室
地上1階
天井を高く
傾斜天井
最上階
吹抜け
メゾネット
梁を通す
吹抜け
O R
トリプレット
フラット
フラット
間仕切りを しない
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
73
3-4-5
かたち
必要なかたち
フラット
同時に成立できないかたち メゾネット
スキップ
スキップ フロア
トリプレット
吹抜け
フラット
フロア
メゾネット
フラット
トリプレット
トリプレット
フラット
メゾネット
広い バルコニー
地上1階
屋根のない
地上1階
バルコニー
屋上
最上階
専用庭
地上1階
ライトコート
最上階
共有スペース (集会室)
屋上広場
広場
共用庭
植栽 スペース
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
74
3-4-5
必要なかたち
かたち
同時に成立できないかたち
直列に つながずに ずらす バルコニー をつなぐ
2棟に分割
雁行形式
専用庭
囲み庭形式
広場
囲み庭形式
O R
共用庭
植栽 O R スペース
雁行形式
駐車場は 敷地の端 広場と 隣接して 駐車場設置
Diploma 2002
広場
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
75
4-*-*
■4章 ボリュームスタディーツールの構築
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
A
4-1-1
■ボリュームスタディーツールシステムの作成 1.ボリューム生成までの流れ コーポラティブハウスのボリューム生成までの流れは図4- 1- 1のようになる。
施主A
施主B
施主C
家族構成人数 と優先したい3 つのニーズを選 択・入力
家族構成人数と 優先したい3つ のニーズを選 択・入力
家族構成人数 と優先したい3 つのニーズを選 択・入力
敷地面積と敷地の形状の
住戸専用面積
住戸専用面積
住戸専用面積
決定
決定
決定
決定
かたちの優先順
かたちの優先順
かたちの優先順
位決定
位決定
位決定
個別住戸のボ
個別住戸のボ
個別住戸のボ
リューム作成
リューム作成
リューム作成
共用部分の面積形状決定
平面配置形式決定
個別ボリュームの結合
コーポラティブハウスボリュームの出力
3章までの設定内容 を用いて、システム
出力されたボリューム対する満足度評価
内で行われる操作
図4- 1- 1 ボリューム生成までの流れ
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
77
4-1-2
2.システム構成 本システムの構成は図4- 1- 2のようになる。
サーバサイド
クライアントサイド
ActionScript インターフェース
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/moodel/
入力項目 ・ニーズ ・世帯構成人数 ・地域(国)
複数人で画面を共有
AppleScript CGI(acgi) サーバアプリの自動化
perl
ニーズの調整 ・選択されたニーズから"配置"の候補を選ぶ
各パラメータに採点データを 反映させパラメータを再計算
・選択されたニーズから各種"かたち"の候補を選ぶ ・"かたち"候補からランダムで"かたち"を決定 ・"かたち"を構成するパラメータ(数値)を計算 ・うまくいかないときは再計算する
VectorScript (VectorWorks) "かたち"を具体化 ・パラメータから各住戸をモデリング ・ファイルを保存
・ボリュームプラン画像の提示 ・CADファイルの閲覧
結果を採点する
図4- 1- 2 ボリューム生成までの流れ
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
78
4-2-*
■システムのインターフェース
世帯人数の選択 世帯の構成人数を 1~6人の中から選 択。
入力完了ボタン ボリューム作成の開 始ボタン。
ニーズ一覧
各ユーザーのニーズ選択部分
ユーザーはピクトグラム化された ニーズの中から、自分の理想に近い 3つのニーズを選択する。
ユーザーが選択した3つのニーズが 表示される。
図4- 2- 1 システムのインターフェース
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
79
4-3-*
■ツールシステムで生成されたボリューム
世帯人数 USER
A
2人
USER
B
2人
USER
C
1人
ニーズ
植物を
風通し
育てたい
の良い家
植物を 育てたい
植物を 育てたい
バリアフリー
開放感
バリアフリー
プライバシー
開放感
作成されたボリューム
図4- 3- 1 入力されたニーズとシステムで作成されたボリューム
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
80
4-3-*
世帯人数
ニーズ
USER
A
5人
一体感
4人
プライバシー
4人
一体感
USER
B
風通し の良い家
景色を 楽しみたい
開放感
開放感
USER
C
明るい家
プライバシー
作成されたボリューム
図4- 3- 2 入力されたニーズとシステムで作成されたボリューム
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
81
4-3-*
図4- 3- 3 システムで作成されたボリューム
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
82
5-*-*
■5章 まとめと展望
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
83
5-1-*
■まとめ 本研究では、既存のコーポラティブハウスがどのようなニーズからその建築的なか たちが構成されるに至ったかという流れを、文献やそれに付随する図面から読み取る ことを中心に調査を行った。 この調査から得られた結果は、施主となる人々が住まいに対して持っているニーズ に対して、かたちを与えるためのルールであり、ニーズから建築的なかたちに至るま での過程の構造化である。またそれに基づいてコーポラティブハウスのボリュームを 作成するシステムを構築した。 このシステムは、コーポラティブハウスという方式で家を作ろうとする「建築的に 素人である人」が、具体的に建築家に相談する以前に、自分の住まいに対するニーズ を言葉のなかから選択することで自分が得ることになる建築がどのようなかたちにな るかをイメージとして把握すると同時に、コーポラティブハウスにともに住まうであ ろう人々の住まいがどのようなものとなるのか、それが全体としての集合住宅として どのような形態となるのか、ということを視覚的に把握してもらうことを目的として いる。 システムによって作成されるボリュームはおおまかなものではあるが、ニーズに よってだいぶ違ったかたちになり、コーポラティブハウス全体としては個性的なかた ちが現れる。システムによって作成されるかたちがユーザーにとって満足のいくもの であったか得点をつけられるようになっているので、かたちのパターンがニーズに対 して適切なものであるかの判断材料として、かたちの詳細に関してはさらに改良を加 えたい。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
84
5-2-*
■展望 最近、「ライト系」と呼ばれるコーポラティブハウスが増加している要因の一つと して、インターネットの普及が挙げられている。それはインターネットが参加者を集 めるための媒体として参加者にとっても、事業者側にとっても手軽でリーズナブルで あるからだと考えられる。インターネットがコーポラティブハウスの企画にとって有 効であるのは見ず知らずの人と知り合える機会の多さであると言える。 本研究で作成したシステムもインターネットを利用したものであり、複数の人がイ ンターネットを通じて同時に使用することができる。現段階では、インターネットは 「コーポラティブハウスに住みたい人」を集めるための媒体として活用されているが、 このシステムを発展させ、コーポラティブハウスの参加者を集めるための支援システ ムとしての利用が考えられる。 複数の施主のニーズからかたちを導くボリュームスタディーツールを通して、自ら のニーズを把握するとともに自分がどのようなニーズを持った人々とコーポラティブ ハウスをつくりたいか、という情報をインターネットで収集することで、あるニーズ を持つ人々のグルーピング等が可能になる。それによって「あるニーズを持った人が 集まってつくるコーポラティブハウスの企画」など、個別のニーズを満たすだけでな く、集住する意義を生み出すような、より多様な特徴を持ったコーポラティブハウス が可能になる。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
85
*-*-*
■参考文献 「これからの集合住宅づくり」 延藤安弘 著 晶文社 1995年 「都市集合住宅のデザイン」 まちをつくる集合住宅研究会 著 彰国社刊 1993年 「昼光照明の計画」 日本建築学会設計計画パンフレット 彰国社刊 1985年 「LIVES 2002 AUTUMN」 第一ブログレス 2002年 「クロワッサン 1月10日号」 マガジンハウス 2000年 「自分たちでマンションを建ててみた」 大平一枝 著 河出書房新社 2000年 「自分スタイルの住まいづくり」 村島正彦 著 廣済堂出版 2000年 「アーバンスモールハウジング」 建築資料研究者 1998年 「集まって住みあうまちづくり」 ユーコート管理組合 1993年 「建築設計資料集成」 日本建築学会 編 丸善 1963年 「住宅情報 2002年11月6日号」 リクルート 2002年
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
86
*-*-*
■おわりに この論文を通して、コーポラティブハウスや一戸建住宅の図面や、そこに住まう人々 がどんな願望を持っていたかということを調べる中で言葉からかたちを導くことの難 しさを感じた。その一方で、言葉からかたちを導くチャートを作成する作業は、普段 の設計で自分が考えるよりさらに細かく「なぜこのかたちなのか。」という思考の穴 を埋めることだった。卒業論文の執筆を通して、建築が持つかたちを考える上でそこ に論理性を持たせる方法がわかったような気がする。 □謝辞 この論文の完成までに、たくさんの方々の御協力を賜った。半年間、卒論を書くに あたりご指導いただいた渡辺仁史教授、卒論を進める上で道標になるような貴重な意 見を下さった木村謙さん、かたちづくりゼミの藍さん、斉藤さん、田口さん、すまい づくりゼミの横田さん、牛山さん、楠さん、大川さん、研究室の皆様のおかげで卒論 を書き上げることができました。ここに感謝の意を記して謝辞とさせて頂きます。 最後に、テーマ決めからこの卒業論文の執筆まで半年の間、多大な御助力を頂き、 迷走しがちな私を卒論の完成まで丁寧に指導して導いて下さった担当の渋谷さんに心 より感謝を申し上げます。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
87