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■はじめに 卒業論文というものを意識し始めた頃は、就職活動の真っ最中であった。この先、 自分のやりたいことが何であるか、ということを考えながら卒論のテーマを考えてい た。建築業界は私の就職活動のターゲットには入っていなかったが、面接などにおい て、しばしば自分が大学でどのように建築と向き合ってきたかということを考えさせ られる場面があった。そこで気付いたのは、私は建築の価値について懐疑的であると いうことだった。人にとって一番身近な建築物は自分の住まいであるが、現在の日本 で提供されている住宅の多くは提供者の都合で設計されたものが多すぎる。そんな非 難めいた意識を持っていた。それが卒論のテーマにコーポラティブハウスを選んだ一 端となったことは間違いない。住み手にとって最良の建築であるという価値を持つこ とが大前提となるコーポラティブハウスを通して、自分なりの建築の価値を考えてみ ようと思いながら、この論文の執筆にあたる。
Diploma 2002
Waseda University Hitoshi Watanabe Lab.
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