展示空間での観覧シミュレーションによる行動満足評価に関する研究
MASTER'S THESIS 2002
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「最高の美術館とは何であろう」 美術関係者、建築家にとって 永遠のテーマであろう。私自身ずいぶんと悩まされてきた。展示する作 品自体が多種多様に存在しているのだから当然であろう。しかし、いま まで来館者は十人十色とはとらえられずに、どんな目的を持った人にも 同一の順路で観覧させる事が、美術館設計の大半を占めてきた手法であ る。 昨年度、東京都美術館を訪れた時、普段閉ざされている同じ階同士の 展示室間の扉が開かれており、階をあがっていく行動動線ではなく、横 の展示室間を移動するのが自由な展示会となっていた。展示室がタイル 上に並び、隣り合う展示室への移動が自由であったといえばわかりやす いだろうか。強制的な順路で作品を見させられているのとは異なり、自 分の意志で作品を見て回れた事に、新鮮さを感じた。この、体験の個人 化が最高の美術館へのキーになるのではないかと。しかし、行動選択が 自由な空間配置は、空間把握力を必要とし、結局近い作品から順を追っ てみていく事になり疲れから、フロア全体を見る事に至らなかったし、 入り口付近が込んでいた、という欠点が否めなかった。 そのもやもやが続いていたなか、 西臨海水族館での携帯通信端末を 用いた観覧を分析する機会があり、そこは順路は決まっていたが、行動 選択が自由な空間配置でも、空間把握を携帯通信端末でサポートできる のではと考えた。また、さらに茅野市新市民会館での携帯通信端末導入 に参加させていただいていることで、本研究の重要性も感じ、今回、こ こにこの論をつづっていく事となった。
Waseda Univ. Hitoshi Watanabe Lab. ,Master's Thesis 2002 早稲田大学渡辺仁史研究室 2002年度修士論文
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