fMRIを用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究

Page 1

「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

はじめに  デカルトの二元論では、「脳」と「こころ」は異なる存在としてい る。官能評価は従来、「こころ」を研究対象として哲学的・心理学的 手法を用い行われてきた。しかし近年の急速な脳機能計測装置の発展 により、人間の脳の活動を非侵襲に測れるようになり、「脳」の活動 を計測することで「こころ」の一部が物理的に捉えられるようになっ た。現在は様々な分野で、心理学的手法に変わる新たな評価指標とし て「脳」を対象とした研究が行われている。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

序論


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

<本論文の構成> 序文 目次

第一部 論文編

1 研究目的

1-1 研究目的

1-2 用語の定義

2 研究背景

2-1 本研究の位置づけ

2-2 脳研究の応用事例

14

3 基礎調査

15

3-1 脳計測法に関する調査

22

3-2 脳機能に関する調査

31

4 研究概要

32

4-1 研究の流れ

33

5 研究方法

34

5-1 fMRI による脳計測の方法

37

5-2 アンケート調査の方法

38

6 研究結果

39

6-1 fMRI による脳計測の結果

47

6-2 アンケート調査の結果

51

6-3 脳計測とアンケート調査の結果比較

58

7 総括

59

7-1 総括

62

7-2 展望

63

参考文献

64

参考論文

65

終わりに  第二部 資料編    1 サンプル画像    2 脳解析の資料

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

目次


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第一部

論文編 THESIS

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

論文編

1


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第一章

研究目的 PURPOSE

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究目的

2


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

1 ー 1 研究目的  fMRI を用いて空間画像の表現による違いが、脳内で三次元情報知 覚に異なる反応を示すということを被験者実験により明らかにする。  これにより、fMRI が建築空間の知覚に関する評価に利用できる可 能性を示す。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究目的

3


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

1 ー 2 用語の定義 非侵襲 ( ひしんしゅう )  身体を傷つけないこと   空間分解能 ( くうかんぶんかいのう )  広い領域での脳活動を測定し、脳の活動部位を限局的に捉えること ができる能力 時間分解能 ( じかんぶんかいのう )  脳活動を細かい時間単位で測定する能力

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究目的

4


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第二章

研究背景 BACKGROUND

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

5


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

2 ー 1 本研究の位置づけ  従来空間評価は、心理学的手法を中心に行われてきた。心理学的手 法は意識上に現れる情動を調査の対象としているため客観性に欠け、 得られた結果自体被験者の思考を正確に反映しているとは言えなかっ た。  そのため近年では心理学的指標の定量化が試みられ、脳波測定を 用いて脳を生体的に捉える空間の評価手法が取られるようになってき た。しかし脳波測定は、脳の活動部位の特定を特殊な推定法(双極子 追跡法など)を用いない限り困難であり間接的な位置推定にならざる を得なく、空間分解能でも限界がある。  そこで現在使われている脳機能計測装置の中で最も空間分解能が高 く、脳の活動部位を直接的に計測が可能な fMRI を用いることで、映 像の表現による建築空間の三次元情報知覚の意識下での反応の違いを 実験により明らかにする。それを通して fMRI を用いることが新しい 空間の知覚評価の指標として利用できるかを確認する。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

6


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

2 ー 2 脳研究の応用事例 ヒューマノイドロボット

ROBODEX2003

ロボティクスは、コンピュータや情報通信などの基盤技術の急速な

Robot�Dream�Exposition

進展や、社会の科学技術への期待の高まりを表象するロボットの姿を

http://www.robodex.org/

求めることで、大きな変革期を迎えている。社会の関心は科学技術の 中でも医療福祉、ゲノム、個人情報通信機器などの人間関連分野に向 けられている。人間関連分野でも中心的な生理に関する研究は、特に 脳研究において生物学,医学,心理学,言語学,非線形数学,計測技 術などの学際的な研究が進み、さまざまな仮説や理論が立てられてい る。  そういった流れの中での近年のロボット研究は、自立力学系の結合 という視点に立ち、脳研究と結びつけるという発想から開始されたも のである。そのための研究として、ヒューマノイド動作の測定・生成・ 制御については、着実な成果を上げ、優れたシステムが開発された。 加えて人間の全身運動,視線,床反力,脳波の同時計測と3D映像提 示を組合わせて行うことで,認知とその結果としての運動を関連づけ ようとしている。  脳科学では、脳の中にある約 1000 億個のニューロンが持つ情報構 造と、生物や人間の体の感覚器や筋肉の微細構造、それらが持つ複 雑性が、ニューロンの微視的なモデル化、さらに非侵襲な脳機能計測 によって脳の計算構造を観察することで理解されつつある。中でもミ ラーニューロンの発見は、ロボット研究が注目する最近の脳科学にお ける成果である。これは霊長類以上において、他人の運動を観察した ときと、自分で同様の運動を行うときの両方において活動するニュー ロンがあるという事実であり、運動の需要(観察)と運動の生成(行動) が同じ一つの情報処理が結びついていることを示唆している。ミラー ニューロンが発見された霊長類以上というのはシンボル操作を行うと 言われる動物に対応していると考えられている。T.W.Deacon が「言 語と脳の共信化」と呼んだようにシンボルの操作とそれによるコミュ ニケーションが我々の脳の特徴であることを考えると、ミラーニュー ロンの情報処理を一つのきっかけにしてヒューマノイドの脳型情報処 理のパラダイムをくみ上げることが考えられる。しかし現在の科学技 術でこれらを人工的にまねて超巨大システムを再構成し脳の情報処理 や計算理論をシンセティックに検証することは不可能である。そこで 「脳を創る」ことによって,「脳の理解」を検証するためには,脳のマ クロな機能を抽象化した数学モデルや,感覚器や筋肉の組織を工学的 に抽象化・一般化した制御サブシステムを用いて,このシンセシス問 題に立ち向かおうとしている。 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

7


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

※参考 http://www.so-net.ne.jp/af5/ iin_yamanaka.html

図:2-2-1 ヒューマノイドロボット

人の脳の情報処理の原理を解明することは、知の探求としての脳研 究の究極の目的であるのみならず、複雑な知能機械であるヒューマノ イドロボットの「脳」を創るという現代的技術課題に大きな示唆を与 えるものである。この研究は、自律的な行動単位が力学的に結合し、 その結果として生ずる情報制御システムが脳型の知能機械に内在する という認識のもとに、知能機械としてのロボットを開発することによ り、同時に知能機械としての脳の本質に迫ろうというものである。こ のために、人の力学系の測定と制御、これを記述し制御する実時間ア ルゴリズムとそのソフトウェア、情報処理系をなす非線形力学系の設 計、さらに力学的情報処理を基礎とする知能の理論の構築を目指すも のである。  今後は脳の基礎研究によって得られた知見を応用することにより、 ロボットシステムに実装して脳型情報処理機械の原型を開発しヒュー マノイド型ロボットの知能化が目指されている。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

8


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

ニューラルネットワーク

※参考 http://www.elec.shonanit.ac.jp/mizutanilab/pages/ neuro_intros.html

ニューラルネットワークとは脳の情報処理機構をヒントとしたモ デルで、ニューロン(神経細胞)を模した素子をネットワーク状に多 数接続した構造を持っている。この構造をまねることで、人間が得意 とするパターン認識や連想記憶などの処理を効率よく行うことができ ると考えられている。ニューロンとは、生体の細胞の中で情報処理用 に特別な分化を遂げた細胞である。脳を生理学的に調べると、ニュー ロンが網の目のようにつながり、ネットワークをなしていることがわ かっている。その各ニューロンは他の多数のニューロンから信号を受 け取り、それを総合して次のニューロンに信号を伝えている。このよ うに脳の中ではたくさんのニューロンのネットワークによって情報を 処理している。  そのようなニューロンのネットワークの代表的な特徴としては、分 散並列処理方式をとること、情報をパターンとして表現すること、学 習や自己組織化能力を持つことである。このような特徴を生かし、実 際に脳が行う高度で複雑な機能を実現するための研究が行われてい る。  この分野は、脳を物理的に解明しようという生理学的、解剖学的、 アプローチや、多数の素子が結合した非線形な系のふるまいについ て数理学的に解析するアプローチ、工学的システムという観点から ニューラルネットを考える情報工学的なアプローチといった様々な分 野とも関連しており学際的研究分野といえる。

Input

Output

x1 x2

y

xn 図:2-2-2 ニューロン間の情報処理

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

9


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

このようにニューラルネットワークの研究は、神経細胞の一つ一つ の動作をモデル化し、コンピュータで計算することによって、それら が多数集まったネットワークが全体としてどのような働きを示すかを 調べ、以下のような例で実用化が目指されている。 ○文字認識  手書き文字や印刷された文字を読みとるために、ニューラルネット ワークを利用する。現在の技術では、人間が読みとれる文字を機械が 読みとれないことはよくあることである。そこで、人間と同じ思考の 機構を持ったニューラルネットワークならば、人間と同じように文字 を読むことができるのではないかと考えられている。 ○音声認識  人が喋った言葉を機械が理解することは難しいことである。それは 話す人によっても、その日の体調によっても、発生する音声は違うか らであるが、人間はそれを理解している。しかし、人間と同じ思考の 機構を持ったニューラルネットワークならば、人間と同じように話を 理解するのではないかと考えられている。 ○画像認識  画像認識とは、画像があった時にそれが何であるかを理解する方 法です。� 例えば、その絵が、「りんごである。」「人間である」などを 理解することである。さらに、人間であれば、「その人が誰であるか」 ということや「笑っているのか怒っているのか」なども判断すること が要求される。このような複雑な判断も、ニューラルネットワークを 応用することによって可能になるのではないかと期待されている。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

10


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳科学と教育

文部科学省  「脳科学と教育」に関する検討会 http://www.mext.go.jp/b_menu/

近年、少子化及び高齢化などにより、人を取り巻く生活環境や社会 環境が不連続かつ劇的に変化している。このような状況下において、

shingi/chousa/gijyutu/003/

社会・経済の発展基盤である人の知性と感性が健やかに育まれ、人が

index.htm

本来有する能力と個性を適切に発揮することを支える新たな視点から の研究が必要である。  これまで、教育の場における課題に対しては、保育学・児童心理学 や教育学などの知見、また教育現場などでの様々な試みの蓄積を活か しながら取組がなされてきた。近年では、社会・経済の変化などの影 響を受けて教育をめぐる環境条件も大きく変わり、教育・学習を阻害 する様々な現象への対応なども大きな課題となっている。こうした中 で、脳科学に基づいた能力開発や教育手法、あるいは、教育における 障害の軽減や克服のあり方が模索されてきた。  一方、日本では、アリストテレスの観照知・実践知・制作知の視点 から、脳を「知る」、「守る」、「創る」という研究が推進されてきた。 また、分子生物学の進展は、遺伝子解析並びに発現解析を可能にしつ つある。これらに加え、心理学、社会学、行動学、医学・生理学、言 語学などの広範な分野にわたる研究や実践を架橋・融合し、人が本来 有している能力の健やかな発達・成長や維持、あるいはそのための障 害を取り除くことを目指した総合的な視点に立った研究が可能となっ てきた。具体的に脳科学が教育に寄与する研究は、脳内報償系(行動 結果に対する報償として快感を生じさせる脳の機能)といったドーパ ミンなどの神経伝達物質が関与し、記憶などの効率が高められる仕組 みを解明することで、注意力や意欲の増進・動機付け、創造性に関す る教育方法などの開発に役立てることなどが重点的に行われている。  これらの状況を踏まえ、日本では世界に先駆けて平成 13 年度より、 科学技術振興事業団(JST)において、社会技術研究の一部として「脳 科学と教育」領域を設定し、具体的な研究を開始した。  また、国際的な動向としては、経済協力開発機構(OECD)とア メリカにおいて顕著な動きがある。OECD の教育研究革新センター (CERI)では、「学習科学と脳研究(Learning� sciences� and� brain� research)」に関する取組みを、専門家による自由な議論の形で平成 11 年に開始している。幅広い分野の専門家による研究ネットワーク により、脳の発達と生涯にわたる学習(日本による調整)、脳の発達 と計算能力(イギリスによる調整)、脳の発達と読み書き能力(アメ リカによる調整)に関する調査検討を進めることとなった。こうした OECD の動向に対して、中国などもこの分野の研究について強い関心 を示している。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

11


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

アメリカは、OECD の取組への参加とは別に、学習研究の位置付 けを明確にし、独自の取組を本格化しつつある。医学・生物系の国 立研究所群である NIH(National� Institutes� of� Health)に初めて の工学系の研究所である NIBIB(National� Institute� of� Biomedical� Imaging�and�Bioengineering、国立生体イメージング・生体工学研究 所 ) が設立された。この分野においてアメリカは先行しているが、本 分野の研究の重要性に鑑み、「脳科学と教育」研究を可能とする脳機 能の非侵襲計測をはじめ、さらに積極的に本分野の研究を推進すべく 注力している状況である。  以上のような状況から、脳科学及びそれと関わる様々な分野の研究 と、人の生涯を通じた教育の場やそれに立脚した教育学とを架橋・融 合することにより、新たな視点に立った「脳科学と教育」研究への期 待が高まっている。特にこの分野については、高度な研究手法や計測 技術などの開発によって飛躍的に発達してきた「脳科学」という研究 分野に対して、「教育」の場における課題の解決という社会からの要 請に応える視点が求められているということができるであろう。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

12


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

臨床応用

高次脳機能の解明は脳研究の重要な一分野であるばかりではない。 ヒト脳機能解明の目的の一つがヒト脳障害の機能回復法の解明にある ことに、議論の余地はない。それは現在すでに痴呆性疾患やてんかん 症候群などの脳機能障害の臨床的な治療に応用されていることからも 明らかである。特に fMRI はその高い空間分解能により、種種の脳賦 活試験が行われ賦活部位を精密に同定することで、基礎から臨床にわ たる様々な研究テーマに用いられており、脳画像医学の中でも注目さ れている。そうした fMRI 等の脳機能計測装置の進歩に伴う脳研究の めざましい発展と、新しい研究方法の開発によって、脳における情報 処理の神経機構の解析や学習・記憶・随意運動の計画といった脳の高 次機能の解析からその基礎となる分子生物学的過程の解析にいたるま での広い研究分野で新しい貴重な知見が蓄積されてきている。また、 脳・神経系の疾患の病因の解明、診断法・治療法の開発の面でも、新 しい研究方法の発展により、大きな進歩が見られる。  研究の細分化が進み、個々の研究テーマに即した研究会や学会など も数多くなるであろう。それらの多くは、特定の機能や疾病、計測方 法などに焦点を合わせアクティブに先進的取り組みを展開していく一 方で研究テーマごとに細分化されるあまり、グローバルな視点から脳 や神経系の働きを統合的に捉えることが難しくなってしまうことも考 えられる。それぞれの個別課題毎に研究組織が構成されるようになっ てきた昨今、個別専門領域の枠を超えた様々な専門領域をつなぐグ ローバルインターフェースのような役割を持つ総合的な研究の重要性 も増していくであろう。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究背景

13


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第三章

基礎調査 BASIC STUDY

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

14


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

3 ー 1 脳計測法に関する調査 PHYSIOLOGICAL�PSYCHOLOGY http://www.okayama-u.ac.jp/ user/le/psycho/member/hase/ education/2000/_0seminar/ physiol1.html

脳は最後のフロンティアと言われ、脳研究が盛んに行われるように なり 10 余年が経つ。  最近発展してきた脳機能の画像化は、過去 10 年で脳科学に最も重 要な貢献をしたものとして高く評価されている。人を対象とした脳 機能計測装置を発展させる上で最も重点を置かれていることは非侵襲 であるということである。非侵襲では人を傷つけずに計測をするとい うことが最重点課題であるが、それ以外にも実験が長時間に渡らない ことや、計測前に絶食を必要としないなど苦痛を強いずに計測ができ るということが重要である。画像化の方法のうち、MRI(磁気共鳴断 層撮影法)を使った fMRI(functional� MRI)は、脳機能活性の部位 を MRI の脳画像上に示す空間位置の的確さにおいて、他の追従を許さ ない。まったくの非侵襲的測定法であり、正常なヒトを対象にできる fMRI は、脳機能画像化の主な測定法として、脳科学の広い分野にわ たって急速に広がってきている。  脳機能を非侵襲的に測る方法として、EEG(脳波測定法)と MEG(脳 磁図測定法)のような脳神経の電気的活動に直接由来した信号を基に したものと、PET(陽電子エミッショントモグラフィ)、fMRI さらに 近赤外線を利用した光測定法のような神経活動に付随して起きる血流 や代謝の変化を基にしたものとがある。これらのすべての方法で測る 脳の活動は、神経組織がシステムとして示す神経活動に関係したもの で、個々のニューロンの活動ではない。与えられた入力課題を扱う局 所的神経組織は 0.2 ~ 0.3 mmから 1 mm程度のマクロなサイズで多 数の神経細胞からなる。このような神経組織がシステムとして、多く の神経細胞の関わり合った協調的な活動を起こし、神経回路の演算や 次の組織への伝達情報の作成を行なう。これがいかになされるかは、 現在及びこれからの脳科学の中心問題である。  fMRI を含めた上記非侵襲的測定法では、脳神経活動や作られる情 報が意味するものを知ることは、今のところ不可能である。しかし、 脳が与えられたいろいろな課題を、どの部位を使ってプロセスする のかは、fMRI や PET によって明らかにされ、その部位がどのような 時間的応答をしているかは、EEG や MEG で調べられる。脳内には未だ その機能がはっきりしていない部分が多くあり、大体の役割が知られ ている部位でも、もっと細分化したシステムユニットの解明の必要な ことなど、脳の機能マッピングだけにでも問題は山積しており、fMRI の応用の場は非常に広い。  前述のごとく fMRI を含めて、神経活動に付随して起きる二次的現 象に依存する測定法では、シグナルの応答が非常に遅い。一方、MEG や EEG は、時間的には速い変化を測れるが、その活性部位の空間位置

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

15


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

を決めるのに難点がある。そこで、双方の特長を活かしたマルチモダ リティメジャーメントという、同じ脳刺激のパターンを使い 2 つの方 法で同時測定がなされてきている。  一方、fMRI の応答は遅いけれども、実験方法を適当にとれば、シ ステム間、あるいはシステム内での速い神経活動の時間的ダイナミク ス ( ミリ秒単位 ) を fMRI で追うことが可能である。このような機能 システム間の相互作用のダイナミクスを測ることができれば、脳内で の機能システムのネットワークの解明に進み、脳がどのように「思考」 を進めていくかの理解を深めることも夢ではなくなる。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

16


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

fMRI(functional�MRI)

脳内のある部分の活動が高まると、その部分の神経細胞が信号を 発し、これが細動脈(動脈から毛細血管への枝分かれの途中)のまわ りを囲む筋肉に作用して弛緩させ、その結果細動脈より下流の血管内 の血流量が増加するが、酸素の消費量の増加の程度は比較的低い。そ のような状態では同部位の酸化ヘモグロビンの割合が増え、酸素を 失った還元状態のヘモグロビンの割合は低下する。この還元ヘモグ ロビンは磁化されやすい性質を持っているので、もともとの地場の不 均一をもたらし、磁気共鳴によって引き起こされたプロトン(水素原 子核)のスピン回転の位相を乱すことで、高速撮像で得られる磁気共 鳴画像(MRI)の信号を低下させる。局所脳血液流量が増えると酸化 ヘモグロビンだけを含んだ新鮮な血液がより多く供給されるので、毛 細血管、細静脈、静脈内の還元ヘモグロビンの濃度は減少し、プロト ンの磁気共鳴信号が増加する。この一連の神経活動の増加→局所脳血 流量の増加→還元ヘモグロビン濃度の現象→磁気共鳴信号の増加とい う現象をとらえることで脳の活動部位を推定する方法は BOLD(blood� oxygenation� level� dependent)法と呼ばれている。活動が増加した 脳部位においては、この還元ヘモグロビンの割合が低下するために、 高速の MRI を求めると逆に信号が増強されることになる。fMRI はこ の原理を利用した機能画像法であり、PET と異なって放射性同位元素 を必要としないのが大きな特徴である。そのため同一被験者を対象と して、検査を何回でも反復することが可能である。また本人の MR 画 像そのものであるため、PET の血流画像のように MR 画像上に重畳する 操作が不必要である。また、時間分解能も数秒単位で変化を追うこと ができる。

酸素結合型ヘモグロビン優位

神経繊維

信号強度

動脈相

賦活時 T2 コントラスト

安静時 T2 静脈相 還元型ヘモグロビン優位 図:3-1-1 fMRI での脳活動計測の仕組み

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

17


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

※参考 http://www.brain.riken.go.jp/ bsi-news/bsinews4/no4/ issue1.html

これまでの fMRI 研究のほとんどは 1.5 テスラの静磁場を持った MRI 装置を用いて行われてきた。これらの測定における空間分解能は 2 ミリ程度だった。2 ミリの空間分解能は大脳皮質の領野(ほとんど は 5 ミリ以上の大きさを持つ)単位の機能分化を調べるのには十分だ が、それぞれの領野の中でどのように情報が表現され演算が行われる かを調べるには不十分である。これらの後者の問題に答えを得るには 細胞レベルでの測定が最終的には必要だが、細胞レベルでの測定を非 侵襲的に頭皮の外から行う方法の開発を狙うのは、少なくとも現時点 では合理的ではない。0.5 ミリ程度なら現在の fMRI 法の改良によっ て実現される可能性があり、これが実現されれば脳研究に大きなブ レークスルーをもたらすものと期待されている。大脳皮質のいくつか の領野で、似た性質の細胞が集まるコラム構造と呼ばれる構造が見つ かっており、このコラムの大きさが 0.5 ミリに近いからである。  静磁場を 1.5 テスラから 4 テスラに上げることにより空間分解能が 改善する可能性がある。まず、プロトンの磁化率が静磁場に比例する ので、磁気共鳴信号の大きさが一般的に大きくなる。信号の増加は信 号対雑音比(SNR)を上昇させ空間分解能を改善する。これに加えて、 BOLD 信号の発生源自身が高磁場でより局在することが期待される。4 テスラ程度までは、静脈および細静脈からの信号は静磁場に比例して 上昇するのに対して、毛細血管からの信号は静磁場の 2 乗に比例して 上昇することが理論的考察により示されている。高磁場での fMRI に は、磁気共鳴信号の減衰時間が短い、空気が脳組織の近くにある耳や 鼻のまわりの脳部位では局所的な磁場不均一のために信号が失われた りイメージが歪んだりする、などの欠点もある。  fMRI の普及のおかげで比較的手軽に人間の脳活動の空間パター ンを測ることが可能になった。いろいろな心理学的パラダイムでの fMRI 測定が盛んに行われているとともに、測定の空間分解能を改善 する技術開発も行われている。これまで実験動物を用いて得られた結 果が人間でどれくらい成り立つのかを調べる、人間にしかない超高次 な脳機能のメカニズムを調べる、という 2 つの側面で大きな期待が寄 せられている。  しかし、現在の段階では細胞レベルでの測定が、fMRI あるいは別 の新しい非侵襲計測法で実現できる見通しは立っていない。実験動物 での研究をすべて人間での研究に置き換えるわけにはいかないため、 実験動物での研究と人間での非侵襲計測法での研究は、脳科学の発展 において相補的な役割を果たしていくと期待される。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

18


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

MEG( 脳磁図計測法 )

大脳皮質の神経細胞が興奮すると電位と同時に磁場も発生する。し かしその磁場は通常の環境の磁場の 1 億ないし 10 億分の 1 と極めて 微量であるため、強固なシールドルーム内で、超伝導量子干渉装置 (superconducting� quantum� interference� device,SQUID)と呼ばれ るセンサーで記録したものが脳磁場である。脳電位又は脳波が脳を 覆っている髄液や頭蓋骨の影響を強く受けて減弱し、しかも頭皮上に 広く分布するのに対して、磁場はそれらの影響を受けにくいので、脳 の活動部位を比較的精密に検出することができる。時間分解能につい ては脳電位と同様で、ミリ秒単位という短い単位の情報が得られる。 超伝導を保つために、液体ヘリウムを補充していく必要がある。  具体的な仕組みは、超伝導状態(電気抵抗がゼロ)では、超伝導リ ングに外部から磁界を加えると、超伝導リングの中に磁界を通過させ ないように、これを打ち消す超伝導電流(遮蔽電流)が流れる。しか し超伝導リングは電気抵抗がゼロであるから電圧は発生しない。とこ ろが、超伝導リングに一部細い部分(ジョゼフソン結合)を作ってお くと、そこにはわずかな遮蔽電流が流れただけで超伝導状態が崩れ、 常伝導となり、細い部分に電圧が発生する。これを利用して、わずか な磁場の変化を電圧として取り出すことが可能となる。また、ジョゼ フソン結合を2つ持つリングを作りその両端に遮蔽電流より少し弱い 電流を流しておくと、外から磁界が貫いた際に容易に超伝導状態が崩 れ、より鋭敏に磁場の変化を捕らえることができる。  そうした生体から発生する磁場の変化で起こる磁束を磁場検出コイ ルで検出して、超伝導リング(SQUID リング)に導く。1 回巻きのコ イル(マグネトメーター)ではその中に入ってくる磁場を全て検出し てしまうため、外部磁気雑音を完全に消去する高性能シールドルーム が必要となる。互いに逆方向に巻いた平行なコイル 2 つを直列につな ぐと 2 つのコイルの差として磁場が検出されるので、コイルから遠く に発生源を持つ磁界は打ち消し合ってゼロとなり、コイルの近くから 発生する磁場は検出される。もう一組の平行なコイルを接続すると、 2 次勾配型のグラディオメーターとなり、外部の磁気ノイズをより除 去できる。磁束検出コイルの形状は縦方向と横方向がある。 最新型の脳磁計では、コイルはひと巻のものとして、外部磁気ノイズ をレファレンスする脳磁計を別に設け、コンピューターによってノイ ズを除去する方式が取り入れられ始めている。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

19


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

PET( ポジトロンエミッショントモグラフィ )

ポジトロンとは、陽電子といって正(プラス)の電荷を持つ電子の ことである。普通電子は負(マイナス)の電荷を持っているが、それ と反対に正の電荷を持っているため、お互い引き寄せ合う性質があり、 ポジトロンはすぐに電子と結合する。この結合の瞬間に、ポジトロン も電子も消滅してしまう。この時、2 本の放射線を正反対の方向へ放 出するのだが、この放射線を PET 装置で撮影することによって、身体 の中のポジトロンの様子を画像にする。  ポジトロンを放出する元素は「ポジトロン核種 」 と呼ばれ、放射性 同位元素の一種である。これらは半減期(寿命)が 2 分から 110 分と 短いために、病院内のサイクロトロンという装置で造られている。ポ ジトロン核種にはさまざまな種類があるが、小型のサイクロトロンで 造った 18F(フッ素 -18)、15O(酸素 -15)などが多く使われている。  サイクロトロンでポジトロン核種を製造し、人体が必要としている 酸素、水、糖分、アミノ酸、脂肪酸、核酸、神経伝達物質などに標識 した化合物を作る。これが検査診断薬となるもので、注射剤や吸入剤 の形に調整し、静脈注射や呼吸によって体内に取りこみ、PET 装置で 断層を撮影する。  PET 検査をする際は、糖の代謝を正しく診断するため、朝から絶食 する必要がある。また血糖等を測定するため採血し、ブドウ糖のアナ ログで生体内の糖代謝を反映する 18Ffluorodeoxy�glucose(FDG) の静 脈注射をし、筋肉のブドウ糖消費をできるだけ低くするため、およそ 40 分から 60 分安静にしなければならない。この薬は膀胱から尿に排 泄されるため、トイレに行き排尿した後に、ポジトロン撮影装置のベッ ドに寝て撮影をする。  PET 検査はポジトロン核種を標識した検査薬を静脈注射したり、呼 吸によって吸入するので、わずかだが被爆がある。たとえば FDG を注 射して一回検査を受けると、およそ 2.2 m Sv(ミリシーベルト)になる。 これは自然界から受ける年間放射線量のの 2.4 とほぼ同じである。一 回の実験では人体に影響のない被爆量ではあると言われているが、放 射性元素は体内に蓄積されていくので、同じ被験者で繰り返し実験す ることは避けなければならない。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

20


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳計測法の分類 表:3-1-1 脳計測法の分類

客観性 空間分解能

時間分解能

脳波

MEG

fMRI

PET

近赤外線分光法

良 1

安全性

5 悪

前述した計測法以外にも脳波計測法や近赤外線分光法などがある。 それらの特徴を表したのが上の図である。脳の機能局在を特定するの に最も適しているのは、空間分解能が最も高い fMRI である。今日脳 研究では、fMRI と MEG で同じタスクを課し、fMRI で機能局在を、MEG で脳の時間的な情報処理を解析する方法も多くとられている。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

21


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

3 ー 2 脳機能に関する調査 日本ヒト脳機能マッピング学会

脳は部位によって果たす役割がそれぞれ決まっており、機能局在と

http://www.jhbms.org/

呼ばれている。現在の脳科学は、どの部位がどのような役割を果たす のかということを中心に研究が行われている。

認知科学する心 http://hp3.popkmart.ne.jp/ itako/link.html

脳の高次機能、すなわち認知、行動、記憶、情動、思考などの過程 が行われるメカニズムの研究は、世界的に研究の進展が顕著だが、日 本においても研究レベルは高水準で、世界をリードする研究がいくつ

MINIMUM�PSYCHOLOGY http://www.okayama-u.ac.jp/ user/le/psycho/member/hase/ education/2000/_0seminar/ index.html

も展開されている。そうした脳の高次機能を具体的に理解する研究が 次々と実現されつつある現在において、今後は精神現象をも含めて、 脳機能の理解を目指す研究の方向性が見えてきた。以下のような脳 機能の理解が脳機能計測装置を用いることで実現可能な段階にきてい る。 (1)認知機構の研究に関して、主観的認知ないしは認知情報の意味   �処理 (2)行動の制御機構に関して、随意的な行動決定機構及び目的達成   �のための思考の形成過程の解明 (3)記憶メカニズムに関して、エピソード記憶の機構解明と共に、   � 記憶内容の主体的利用機構の解明 (4)身体情報と情動が大脳辺縁系の活動に表現されるだけではなく、   � 主観的認知、行動決定、記銘や想起などの幅広い脳機能に深く   �関与する実態の明確化 (5)思考のモデルとして、前頭前野の活動が情報の抽象化と一般化、   � 有用な情報の創造、あるいは推論・判断などの過程を産み出し   �ていくメカニズムの理解 (6)コミュニケーションを実現する脳の機構の解明  また人や猿を研究対象としてシステム的脳研究を行っている研究者 には、脳機能の代表的な研究テーマとなっている脳のミクロ的構造と、 脳の微細な構成素子の働きに関する知見の進展を常に念頭から離さな いことが必要である。分子生物学・ゲノム科学の神経科学への応用が 著名な成果を挙げている現在、それらの研究手法を脳の高次機能研究 にまで適用しようとする視点が必要であり、それは近い将来の研究進 展の方向として考えられ得るものである。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

22


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

前頭葉

図:3-2-1 脳における前頭葉の位置 ※参考 http://www.asahi-net.or.jp/ ~RP5T-HR/nnkiso.html

前頭葉は中心溝より前方の領域を指す。この領域は、大まかにいう と行動を起こす領域と言える。前頭葉の中でも運動野は、筋肉を動か す指令を出す大元であり、また前方の前頭前野は意志,意欲,人間ら しい抑制など、いかに生きるかという判断を行うことにより、行動を 制御している。この領域は、ヒトになってから特に著明な発達を遂げ た場所である。サルであってもヒトに及ぶべくもない。一方、中心溝 より後方は、周囲の状況を認知する場所、と言われている。以下に前 頭葉をさらに細かく分類する。  前頭葉を外からながめると、中心溝の前に中心前溝が、それとほぼ 並行に走っている。その前は、これらの溝と直行するように水平方向 に上から上前頭溝、下前頭溝がみられる。これが外から見た基本構造 である。中心溝のすぐ前で中心前溝までの領域は、手や足、顔、口を 直接に動かす部位で ( 一次 ) 運動野と呼ばれている。この領域は、ま さに手足を動かすスイッチであり、ここが障害されると、その障害の 程度・範囲にもよるが、手足が動かなくなってしまう。ここを中心と した神経回路は錐体路とよばれている。  その前方、中心前溝より前に前運動野が存在する。前述の運動野は 運動を起こすスイッチであるが、ここはその運動を無意識のうちにス ムーズに行えるよう補助する領域であり、錐体外路と呼ばれる神経回 路を形成している。錐体外路には、脳の深いところにある基底核など も含まれている。生物は、基本は錐体外路であり、霊長類になりはじ めて錐体路が出現する。  錐体外路は、目的を持った細かい運動は苦手で、ヒトでも乳児は錐 体路が未発達であり、粗大な運動しかできない。成長し錐体路が発達 するにつれ、細かい運動が可能となる。ネコなどでは錐体外路が中心 であり、運動野を取ってしまっても普通に動くことが可能である。  この前運動野に接して前頭眼野と呼ばれる領域がある。ここは目を 横に向ける中枢であり、てんかんの診療上、極めて重要である。一般 にてんかん発作を起こしたときは、まず手足の動きに目を奪われがち である。ここで目がどちらを向いていたか、これも同じく極めて重要 である。右の前頭眼野は目を左へ向ける。例えば、一見左右の手足が 同じようにけいれんを起こしていたとしても、目が左へ向いていれば、 てんかんのもとは右側にあるかもしれない、と判断できる。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

23


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

言語野については、場所は通常右利きの人の場合は左側、左利きの 人の場合は右、もしくは左側に存在し、前運動野の下部にある。この 部位の言語野はブローカ野といい、言葉を作り出す領域である。言語 を生み出す過程は非常に複雑で、よくわからないことも多いのだが、 言葉を理解する場所は側頭葉にあり、言葉を作り出す場所は前頭葉に ある。実際に言葉を出すために口を動かす場所は、前述した一次運動 野の口の領域である。言語野は、おおまかな位置は共通ですが、電極 を用いて言語野を調べると、その位置も大きさも実に個人差に富んで いる。この個人差のために、この近くの手術では脳の中に埋め込んだ 電極を用いて言語野の位置を調べる必要がある。言語野のある側の大 脳半球を優位半球と言う。優位半球を広汎に損傷すると言葉が理解で きない、つまり人とのコミュニケーションがとれないだけでなく、場 合によれば自分の頭の中でものを考えることができなくなってしまう ので、優位半球は極めて大切である。  また前頭前野だが、ここはまさに神秘の領域である。脳の検査のた めに頭の中に埋め込んだ電極で電気刺激をしても、何も起こらない。 しかし、何らかの事故によりこの領域にひどい脳挫傷を起こすと、意 欲がなくなって、一日中ぼんやりとしていたり、逆にふざけてばかり いたり、非常に落ち着きが無くなったり、異性にすぐにさわりたがっ たり、人としての意欲・意志、自分を律する心が失われてしまう。人 の精神を生み出す領域の少なくとも一部をなしていることは間違いな い。また前頭葉の不思議なことの一つに、右もしくは左の片方だけで あれば損傷されても案外何事も起こらない。優位半球の方がより重要 であることは間違いないと言われているが、それでもある程度までは 手術されても大丈夫である。ヒトにおいてはこれほど広大でありヒト の精神を生み出すにも関わらず、切り取っても何事も起こらない。  最後に前頭葉の下面および内側面について触れる。まず、下面に 臭いの神経が通っている。そのため、事故等でこの部位に脳挫傷を起 こすと、臭いが分からなくなってしまう。前頭葉の下面の後ろの方や 内側面でも帯状回と呼ばれる所などは大脳辺縁系と密接なつながりを 持っている。そのため、この部位の発作は側頭葉てんかんとの鑑別が 困難になる場合がある。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

24


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

頭頂葉

図:3-2-2 脳における頭頂葉の位置

頭頂葉の機能は重要で外部の刺激を受けてそれを評価し、行動を司 る部位である。  頭頂葉は脳の後半部を形成するが、前方は中心溝によって前頭葉と 後方は頭頂後頭溝によって後頭葉とに分けられる。頭頂後頭溝は内側 においては明らかであるが、外側においてははっきりとした境界は、 脳溝としてはなしていない。後頭葉と側頭葉の間に、後頭前切痕とい うくぼみがあり、これと頭頂後頭溝の上限との間に線を想定し、後頭 葉との境とされている。頭頂葉の機能を簡単にいうと、感覚の身体上 の位置を判別する(局在の識別)、話すことや聞くことに関すること、 行為の遂行(身体各部の位置の把握などの一連の動き )、計算、左右 の区別、空間的認識などに関連する働きをなすので、この部の障害で はこれらの機能の障害をきたすことになる。  頭頂葉の構成は基本的に体性感覚野、頭頂葉連合野、頭頂葉下部の 三つに分けられる。体性感覚野は中心溝のすぐ後方にある。その後方 は頭頂間溝によって上下の部分に分けられ、上部が頭頂葉連合野でそ の下が角回・上縁回よりなる頭頂葉下部である。  体性感覚野はブロードマンの脳(細胞の構築によって,脳を約 40 に分類している。臨床ではもっともよく用いられている)では、3,1,2 野に相当する。中心溝のすぐ後ろにあり、ペンフィールドの“知覚の 侏儒”にしたがって分布している。この特定の部位には体の様々な領 域に対応する場所が運動野のものと対応する形で配列されている。顔 の領野は最も下側にあり、その上に手 , 腕 , 体幹 , 脚 , 足の感覚野が 存在している。手 , 顔 , および口に関与する皮質領野は不釣り合いに 大きく、手の指、特に母指および示指に関する部がよく発達している。 ほとんどが対側からの感覚路であるが、このうち口 , 咽頭喉頭部 , 直 腸 , 生殖器は両側の刺激がくるとされている。  皮膚からの刺激は第 3 野へ、また関節や他の深部知覚は 1,2 野にいっ ている。一次感覚野の下方、頭頂葉弁蓋の島にむかう部分では、二次 感覚野がある。二次感覚野は一次感覚野より小さく、皮質での順序は 逆かあるいは一次感覚野で見られるものとは異なっている。感覚の伝 導路について簡単に述べると、感覚は末梢神経の効果器から、知覚神 経となり、脊髄にはいる。脊髄から、視床という部に行き、体性感覚 野に入る。知覚は、この視床に入った段階で意識にのぼるが、入って HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

25


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

きた知覚の判別・統合などは一次感覚野において行われる。嗅覚を唯 一の例外として、すべての感覚路は視床の灰白質に終止し、視床皮 質放線を通って大脳の特定の領域に投射されている。  一次感覚野の障害では,表在知覚の障害はあっても軽度であるが, からだのどこで知覚をうけたかなどの識別覚,深部知覚,運動がいち じるしく障害される。このような感覚障害を皮質性感覚障害というが, 通常,触覚失認,身体部位失認,病態失認など種々の失認をともなう。 また,後述する失語,失算,失行などと一緒に出現している。  頭頂葉連合野はブロードマンの脳では、5,7 野に相当する。5 野で は皮膚 , 筋肉 , 深部組織 , 特に関節からの刺激に反応する細胞が同定 されている。空間における体の位置・運動に関する情報を統合・認識 する働き、また 7 野は視野に関した運動を認識する働きがある。  頭頂葉下部は、上縁回と角回とからなる。この部分はヒトでもっと も発達している部分である。左右で出現する症状に違いがあるが、こ の部位の障害には多くの症状が記載されており、主なものにとどめる が、いずれにしてもこの部の障害は、言語や行為の遂行、空間的認識 などに重篤な障害をきたす。  左の脳障害としては、失語、主に伝導失語 ( 繰り替えして云うこと ができない )、健忘失語 ( 言葉を忘れてしまう )、また身体部位の失 認 ( 指が何指かわからない,手の位置を適切に言えない ) などといっ た症状がある。また,失読 , 失書 , さらに運動失行などの出現をみる こともある。失行は多くが優位半球障害 ( 右利きの人は左,左利きの 人もほとんど左が優位半球である ) で起きる。これにたいして、半側 病態失認、また着衣失行、地誌的記憶障害などは、劣位半球である右 の障害で生じる。地誌的障害とは、よく知った場所でも見当をうしなっ たり、記憶をうしなうことであり、右の頭頂葉の症状とされる。  識別性触覚については、頭頂葉の機能を理解する上で重要である。 この感覚は温覚、痛覚とは解剖学的に異なる経路で大脳へ連絡される。 検査方法であるが、被検者に目を閉じさせて、皮膚に文字や数字を書 いて当てさせる方法、また、2 点識別覚といって、2 点を同時に刺激し、 2 点と感じる距離を測定する。体の異なった部位を左右対症的に同時 に刺激し、一方のみを感じ、他方を感じないという現象があるが、こ れを知覚の消去現象と言い、知覚の消失している側に対応する頭頂葉 の障害を疑う。このように位置覚、識別性知覚、立体覚の障害のみ認 められ、痛覚ならびに温覚の障害はわずかに障害、あるいは正常のま まであるような場合、大脳皮質知覚症侯群という。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

26


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

後頭葉

図:3-2-3 脳における後頭葉の位置

後頭葉の機能は視覚を中心としたものである。後頭葉は小さく、小 脳テントの上に位置し、大脳半球の後極を形成する。そして、後頭葉 は内側面で特徴的構造がある。脳のしわをみるとき、切れ込んだ部分 と盛り上がった部分とからなっている。この切れ込みが脳溝であり、 盛り上がりが脳回という言い方をする。脳溝,脳回は個人差が大きい が、だいたい基本的原則は共通している。後頭葉の場合もだいたい基 本的構造は共通で、以下のようである。  前方の境界は頭頂後頭溝というきれこみがあり、それより前が頭頂 葉である。この溝は外側からはその上端において認められるのみで、 はっきりとしないが、内側面では明らかに認められる。内側でもう一 本特徴的な溝が鳥距溝である。これは後頭葉の後端から、前方で頭頂 後頭溝に合流して、両者で Y 字形を呈している。鳥距溝によって楔部 と舌状回の二つに分けられる。この鳥距溝の両側の脳回の皮質は一次 視覚野 ( ブロードマンの領野で 17 野 ) といわれる部位で、視覚の一 次中枢をなしている部位である。二次視覚野はその周囲に存在し、ブ ロードマン領野でいうと 18 野および 19 野がこれに相当する。  後頭葉病変に由来する症状は多彩であり、視覚の関するあらゆる情 報を整理統合して、意味あるものとして合理的に把握する部位という ことができる。後頭葉の特徴的な機能および機能障害を理解するには、 視覚路(網膜から後頭葉まで伝導路)についての理解が不可欠で、以 下簡単に述べる。視覚路は網膜から後頭葉の一次視覚中枢まで、各部 位は正確に対応しており、ネコやサルの実験から、かなり詳細に研究 がすすんでいる。視覚は網膜の視細胞にて光刺激をインパルスに変換 し、視神経をつたわって、視床の外側膝状体に向かう。視覚は他の感 覚刺激と相違し視神経から視床にいたる間で半交叉する。左目であれ ば、右半分からの網膜の線維が反対側にむかい、左半分の網膜からの 線維が交叉せず、同側に向かう。外側膝状体にて左右の視野が交互に 配置し、この部から、視放線という線維を後頭葉にむけて出している。 視放線は側頭葉の内側面、内包といわれる線維群の後外側面から発し、 やや前方に進んだ後に、後頭葉へと向かう。結果として、左右の半球 の視覚野はそれぞれ同側の網膜の外側半分と、反対側網膜の内側半分 からのインパルスをうけており、視野の反対側半分の視覚に関係する。 ( 右の後頭葉は左半分,左の後頭葉は右半分の視界を担当している ) HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

27


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

視野の検査をおこなうことで、どの部位に障害があるのかについて重 要な情報がえられるのもこの視覚路の特徴から明らかである。  17 野は鳥距溝の壁の脳皮質に存在する。この領域の皮質は特徴的 で、新鮮な皮質の割面において、明瞭な線をみとめ、これを発見者に 因んで、Gennari の線条といわれている。このためにこの領域は、有 線野とも言われる。この部位の障害では、対側の半分の視野に欠損が 生じる。すなわち障害側の反対の半分がみえなくなる。これを同名性 半盲といういいかたをするが、この視野障害のパターンは視交叉以後 の視覚路の障害によっても生じる。後頭葉障害の場合、中央の視野 ( 網 膜においては、黄斑部といって、視野の中心をなす重要な部位 ) は通 常は欠損を見ない。これを黄斑部回避といって、後頭葉性の視野障害 の特徴である。2 次視覚領野は一次視覚領野からのインパルスをうけ、 その意味合いを解釈する部位である。  一側の障害では半盲であるが、両側の後頭葉が障害されると全盲が 生じる。この場合、眼底は正常、また対光反射もあるという点が視神 経や網膜障害との重要な鑑別点である。目が全くみえず、かつ眼底が 正常である場合には両側後頭葉障害を考えねばならない。通常は血管 障害、あるいは脳腫瘍まれに外傷によっても生じる。このような全盲 においては、視力はまったくないのに、患者がわたくしは盲ではない、 と主張することがある。これは、後頭葉由来の盲に特徴的で、皮質盲 といわれることもある。これは、病態失認の一種で、多かれ少なかれ、 頭頂葉障害も認められる。  他に、後頭葉障害で有名なものが失認という現象である。失認とは 対象がなにかを判定することができない状態をいう。日常用いている ものをみせても、それが何であるかを分からないのが視覚失認である。 そして、触らせたり、音を聞かせたりしてそれが何かが判明する。相 貌失認は人の弁別・表情の理解ができない。これにっいては、サルの 実験などから、かなり解析が進んでいる。字を読むことができないの が、失読である。これは、左後頭葉障害で生じる。後頭葉性失読は特 徴的で、書かれた文字を指や筆でなぞらせると読むことができ、純粋 失読とよばれているが、これは、視覚失認の一種である、頭頂葉性失 読にみられるような失書を伴わず、自発書字は可能であるが、写字は きわめて困難である。これは、左後頭葉と脳梁の膨大部の両者の病巣 でおきる。原因はやはり脳腫瘍,および血管障害である。  視空間失認とは視空間の半側にある対象を無視 ( 多くは左 ) するこ とである。図を書かせると半側しか書かないので証明できる。両側性 の後頭葉から頭頂葉の障害で凝視の注視麻痺は、Balint 症侯群とし て記載され有名である。これは視線を随意的に動かすことができず、 凝視しているところ以外に対する注意がきわめて低下した状態で、視 線の周辺でのものの動きなどによって規線が動かされることはない、 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

28


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

これと凝視したものをつかもうとして、患者が手を出すとき、大きく 見当がくるうという症状 ( 視覚性運動失調 )、さらに視覚性注意障害 として視覚性刺激にたいする注意が非常に低下していて、注視したせ まい範囲にしか注意をはらわない、という現象である。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

29


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳による視覚情報の処理経路

網膜…映像を入力 後頭葉(視覚野) V1(第一次視覚野)…プリミティブな線分要素に分解 方向選択性を持つ ニューロン

V2…線分の傾きの知覚

V4…V1で大別された色情報の分析 MT野…運動視知覚の中枢

側頭葉(側頭連合野)

頭頂葉(頭頂連合野) 視空間認識

視覚パターンの弁別

位置情報認識 体性感覚

前頭葉(前頭連合野) 加工済みの情報を高次に分析

図:3-2-4 脳による視覚情報の処理経路

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎調査

30


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第四章

研究概要 ABSTRACT

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究概要

31


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

研究のフロー

CG画像の作成

fMRIでの 脳活動計測

アンケートでの 心理的調査

画像を見たときの 脳内の情報処理を解析

画像を見たときの 心的反応を分析

fMRIのデータと 心理的データを比較

新たな空間の知覚評価法 としての可能性を検証

図:3-2-4 脳による視覚情報の処理経路

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究概要

32


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第五章

研究方法 METHOD

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究方法

33


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

5 ー 1 fMRI による脳計測の方法             �実験日時         �9 月 26 日 ( 金 )15:00 ~ 20:00             �実験場所         東京電機大学超伝導応用研究所  東京電機大学超伝導応用研究所との共同研究として、fMRI を用い て脳計測を行う。             �実験装置 ● MRI:Magnetic�Resonance�Imaging   (日立メディコ製、Stratis�Ⅱ)  1.5T 超伝導磁石型  EPI 用超高速切り替え傾斜磁場コイルシステム  全身、頭部用コイル、表面、四肢用コイル、頚椎、腰椎コイル装備 ●視覚刺激提示装置 ●機能的画像解析システム ●キャンパス間画像貯蔵・転送システム

視線

スクリーン

fMRI プロジェクター

図:5-1-1 脳計測の実験装置

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究方法

34


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

fMRI 実験の手順 1、実在する建築(サヴォワ邸・チューゲントハット邸)をモデリン   グする。 2、1 と同じ建築の写真を合計 30 枚用意し、モデリングした建築を   写真と同じアングルで、以下の様な表現の空間画像を、それぞれ   30 枚ずつ作成する。      ・影を付けてレンダリングされた CG( 以下 CG 影あり )   ・影を付けずにレンダリングされた CG( 以下 CG 影なし )   ・陰線消去表示でレンダリングされた CG( 以下 CG 線のみ ) 3、1 種類 30 枚の画像を 1 枚 5 秒間ずつ被験者に見せ、脳の活動部   位を fMRI を用いて 1 種類単位で計測することを 1 セットとし、   それを 4 種類 4 セット行う。

1 scan 28 cut

Relax

Task 10枚

Relax

Task 10枚

Relax

Task 10枚

10 scan 50s

10 scan 50s

10 scan 50s

10 scan 50s

10 scan 50s

10 scan 50s

図:5-1-2 脳活動の計測方法

画像 1 種類の実験は上図の様に行う。リラックスとタスクを交互 に 50 秒間ずつ被験者に課す。リラックスとは、スクリーンに何も投 影されていない状態であり、タスクとはスクリーンに画像が投影され ている状態であり、それぞれ画像を 10 枚ずつ見せる。リラックス時、 タスク時には 5 秒ごと 10 回の脳の断面写真を撮影する。1 回の撮影で、 28 断面の写真を撮影する ( 図:5-1-2)。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究方法

35


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像種類の順序  画像の種類ごとの見せる順番は、順番による脳の反応の違いが出な いように被験者ごとにランダムに並べ替える。ランダムに並べる方法 は、マイクロソフトのエクセルを用いて RAND 関数を使うことで乱数 を発生させ,その大小の順番で並べ替えることでランダムとした。順 番を以下に示す。 被験者 A 写真→ CG 線のみ→ CG 影あり→ CG 影なし 被験者 B CG 影あり→ CG 影なし→ CG 線のみ→写真             画像の順序  実験で画像を見せる順番は、前半の 15 枚をランダムに並べ、後半 の 15 枚を番号順に並べることで、順番による脳の反応の違いが出な いようにする。並べた順番を以下に示す。 写真 18,6,15,2,9,14,11,1,3,4,5,10,7,13,12,16,17,18,19,20,21,22,23,2 4,25,26,27,28,29,30 CG 影あり 11,5,14,12,15,8,4,10,1,6,7,9,2,13,3,16,17,18,19,20,21,22,23,24 ,25,26,27,28,29,30 CG 影なし 5,10,14,1,4,7,12,11,9,6,2,13,3,8,5,16,17,18,19,20,21,22,23,24, 25,26,27,28,29,30 CG 線のみ 7,13,2,1,10,3,6,15,5,4,11,8,12,14,9,16,17,18,19,20,21,22,23,24 ,25,26,27,28,29,30              被験者  被験者は 20 歳代前半の健康な男女で、建築学を専攻している者と そうでない者の 2 名とする。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究方法

36


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

5 ー 2 アンケート調査の方法          �アンケート調査の手順 1、建築空間の画像を評価できる、汎用性が高いと考えられるアンケー  �トの評価項目を以下の通り 10 個選定する。  �・評価項目(奥行き・広がり・スケール感・方向性・開放的・軽い・  �      調和的・すっきり・魅力・親しみ) 2、fMRI 計測の際に作成した画像を被験者に見せ、画像についての   心的反応を 7 段階の評価項目に記入してもらう            画像種類の順序  順番による回答への影響が出ないよう被験者ごとにランダムに並べ 替える。             画像の順序  fMRI の実験の際と同様の順番で被験者に見せる。              被験者  20 歳代前半の男女で、建築学を専攻している者とそうでない者の 区別なく合計 20 名を対象とする。 NO.

VRの空間性に関するアンケート

年齢(  )歳  性別( 男 ・ 女 )

画像をで見たときに、画像の種類ごとでそれぞれの項目についての感じ方を7段階でチェックして下さい

奥行きがない

非 常 に

か な り

や や

-3

-2

-1

でど もち なら い 0

や や

か な り

非 常 に

1

2

3

非 常 に

か な り

や や

-3

-2

-1

でど もち なら い 0

や や

か な り

非 常 に

1

2

3

奥行きがある

奥行きがない

広がりがない

広がりがある

広がりがない

広がりがある

スケール感がない

スケール感がある

スケール感がない

スケール感がある

方向性がない

方向性がある

方向性がない

方向性がある

閉鎖的な

開放的な

閉鎖的な

開放的な

奥行きがある

重い

軽い

重い

調和的でない

調和的な

調和的でない

調和的な

乱雑な

すっきりとした

乱雑な

すっきりとした

軽い

つまらない

魅力的な

つまらない

魅力的な

親しみのない

親しみのある

親しみのない

親しみのある

奥行きがある

奥行きがない

広がりがない

広がりがある

広がりがない

広がりがある

スケール感がない

スケール感がある

スケール感がない

スケール感がある

方向性がない

方向性がある

方向性がない

方向性がある

閉鎖的な

開放的な

閉鎖的な

開放的な

重い

軽い

重い

軽い

調和的でない

調和的な

調和的でない

調和的な

乱雑な

すっきりとした

乱雑な

すっきりとした

奥行きがない

非 常 に

か な り

や や

-3

-2

-1

でど もち なら い 0

や や

か な り

非 常 に

1

2

3

非 常 に

か な り

や や

-3

-2

-1

でど もち なら い 0

や や

か な り

非 常 に

1

2

3

奥行きがある

つまらない

魅力的な

つまらない

魅力的な

親しみのない

親しみのある

親しみのない

親しみのある

図:5-2-1 アンケートの調査用紙

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究方法

37


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第六章

研究結果 RESULT

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

38


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

6 ー 1 fMRI による脳計測の結果 分析方法  脳計測の分析方法は以下の通りに行う。           1、活動面積の算出  脳の活動を解析した画像において、活動部位を表す黒い部位の面積 を脳全体・前頭葉・頭頂葉・後頭葉それぞれについて算出し、画像の 種類によっての脳の活動面積の違いを検証する。           2、活動強度の算出  脳の活動を解析した画像において、活動部位を表す黒い部位を、濃 淡がレベル 5 ~レベル 1 の5段階となるようにポスタライズする。濃 い部位をレベル 5 とし、それぞれの濃さの部位の面積を調べることで、 活動の強度を測る。活動強度は、濃さのレベル別に面積を点数化(例 えばレベル 5 は面積× 5 点)し、活動の強度を可能な限り正確に算出 したものである。それぞれの画像の種類で、前頭葉・頭頂葉・後頭葉 での活動の強さの違いを検証する。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

39


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果1:活動面積の算出

被験者 A 画像の種類�:�写真 活動部位の総面積       940 前頭葉の活動部位の面積    178 頭頂葉の活動部位の面積    340 後頭葉の活動部位の面積    522

頭頂葉の活動は主に後部に計測された。 後頭葉は活動の強度も弱く、活動範囲も 狭い。 図:6-1-1 被験者 A の脳の活動ー写真ー

画像の種類�:�CG 影あり 活動部位の総面積      �1666 前頭葉の活動部位の面積    457 頭頂葉の活動部位の面積    643 後頭葉の活動部位の面積    566

頭頂葉は広い範囲で活動が計測された。 後頭葉も活動の強さは弱いものの、広範 囲で活動している。前頭葉はわずかに活 図:6-1-2 被験者 A の脳の活動ー CG 影ありー

動している程度である。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

40


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像の種類�:�CG 影なし 活動部位の総面積       972 前頭葉の活動部位の面積    192 頭頂葉の活動部位の面積    270 後頭葉の活動部位の面積    510

頭頂葉・後頭葉とも活動が低い。前頭葉 は全く活動していない。

図:6-1-3 被験者 A の脳の活動ー CG 影なしー

画像の種類�:�CG 線のみ 活動部位の総面積      �1851 前頭葉の活動部位の面積    343 頭頂葉の活動部位の面積    695 後頭葉の活動部位の面積    813

頭頂葉・後頭葉の活動が高い。後頭葉 は他の4種と比較すると、活動が広域に 渡っている。 図:6-1-4 被験者 A の脳の活動ー CG 線のみー

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

41


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

被験者 B 画像の種類�:�写真 活動部位の総面積       921 前頭葉の活動部位の面積    309 頭頂葉の活動部位の面積    147 後頭葉の活動部位の面積    465

頭頂葉の活動がほとんど見られない。後 頭葉は活動強度も強く、広範囲に渡って いる。 図:6-1-5 被験者 B の脳の活動ー写真ー

画像の種類�:�CG 影あり 活動部位の総面積      �1783 前頭葉の活動部位の面積    831 頭頂葉の活動部位の面積    437 後頭葉の活動部位の面積    515

前頭葉が比較的活動している。頭頂葉は 強く活動している範囲は狭いが、広範囲 に活動している。後頭葉も活動範囲が広 図:6-1-6 被験者 B の脳の活動ー CG 影ありー

い。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

42


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像の種類�:�CG 影なし 活動部位の総面積      �1036 前頭葉の活動部位の面積    131 頭頂葉の活動部位の面積    441 後頭葉の活動部位の面積    464

前頭葉はほとんど活動していない。頭頂 葉・後頭葉は活動が狭い範囲で強く計測 された。 図:6-1-7 被験者 B の脳の活動ー CG 影なしー

画像の種類�:�CG 線のみ 活動部位の総面積      �1904 前頭葉の活動部位の面積    730 頭頂葉の活動部位の面積    517 後頭葉の活動部位の面積    657

後頭葉が主に活動している。頭頂葉は活 動が見られるが、強度も弱く範囲もあま り広くはない。 図:6-1-8 被験者 B の脳の活動ー CG 線のみー

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

43


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果2ー1:活動強度の算出ー前頭葉ー 被験者 A

レベル5 350

表:6-1-1 被験者 A の画像種類別の活動レベル面積ー前頭葉ー

300

写真

250 200 150 レベル1

レベル4

100 50 0

レベル2

レベル3

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

レベル5 レベル4

������0 ������0

�����0 �����0

����0 ����0

�������0 �������0

レベル3

������0

���49

����0

�������0

レベル2

����24

���73

����1

�����47

レベル1  活動強度

��154 ��202

�335 �628

��95 ��97

���296 ���390

図:6-1-9 被験者 A の画像種類別の 活動レベル面積ー前頭葉ー

被験者 B

表:6-1-2 被験者 B の画像種類別の活動レベル面積ー前頭葉ー

レベル5 500

写真

400 300 200

レベル1

レベル4

100 0

レベル2

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

レベル5 レベル4

������0 ������0

�������0 �����29

����0 ����0

���������0 ���������0

レベル3

������0

���292

����0

���������0

レベル2

����40

���212

����0

�������28

レベル1  活動強度

��269 ��349

���298 �1714

131 131

�����235 ���1021

レベル3

図:6-1-10 被験者 B の画像種類別 の活動レベル面積ー前頭葉ー

被験者 A  強く活動している部分はほとんどなく、CG 線のみと CG 影ありが弱く かつ広い範囲で活動している。それと比較して写真は活動が非常に弱く、

写真 CG影あり CG影なし CG線のみ

CG 影なしは全体に渡ってほとんど活動が見られない。 被験者 B  CG 影ありがレベル 3 から弱い範囲での活動が主に見られた。また CG 線のみもレベル 2、レベル 1 と弱いながらも活動範囲が広く計測された。 写真は活動が弱く、CG 影なしはほとんど活動が見られない。

60.0%

50.0%

40.0%

被験者A

30.0%

被験者B

20.0%

10.0%

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-1-11 前頭葉の画像種類別の活動強度

総合した活動は、いずれの被験者も CG 影ありが他と比較し突出して強く活動し ており、続いて CG 線のみが CG 影ありと比較して 2/3 程度の活動が見られた。写真 と CG 影なしは活動が弱く活動がほとんど計測されなかった。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

44


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果2ー2:活動強度の算出ー頭頂葉ー 被験者 A

レベル5 350

表:6-1-3 被験者 A の画像種類別の活動レベル面積ー頭頂葉ー

300

写真

250 200 150 レベル1

レベル4

100 50 0

レベル2

レベル3

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

レベル5 レベル4

����27 ����46

�����45 �����85

��35 ��27

�������41 �������58

レベル3

����41

���128

��59

�������93

レベル2

����79

���136

��34

�����156

レベル1  活動強度

��147 ��747

���249 �1470

115 643

�����347 ���1375

図:6-1-12 被験者 A の画像種類別 の活動レベル面積ー頭頂葉ー

被験者 B

表:6-1-4 被験者 B の画像種類別の活動レベル面積ー頭頂葉ー

レベル5 350

写真

300 250 200 150 レベル1

レベル4

100 50 0

レベル2

レベル3

図:6-1-13 被験者 B の画像種類別 の活動レベル面積ー頭頂葉ー

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

レベル5 レベル4

������0 ������0

�����45 �����54

����27 ����56

���������0 �������30

レベル3

������0

�����87

��108

�������96

レベル2

����12

�����96

��103

�����135

レベル1  活動強度

��135 ��159

���155 �1049

��147 1036

�����256 �����934

被験者 A  CG 影ありがレベル 4 以下の活動が広く、CG 線のみは活動が弱い部位 が広い。写真と CG 影なしは活動が弱い。

写真 CG影あり CG影なし CG線のみ

被験者 B  CG 影ありと CG 影なしは活動が強い部位と弱い部位が偏りなくあり、 CG 線のみもレベル 5 の強さの活動はほとんど見られないものの、それ 未満の強度の活動部位は広く計測されている。写真は他と比較して活動 が弱い。

40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 被験者A

20.0%

被験者B

15.0% 10.0% 5.0% 0.0% 写真

CG 影あり     CG 影なし      CG 線のみ VR影あり VR影なし VR線のみ

図:6-1-14 前頭葉の画像種類別の活動強度

総合した活動は、いずれの被験者も CG 影ありが最も活動が強く、続いて CG 線の みが強く活動していた。また写真は他と比較すると活動が非常に弱い。CG 影なし は被験者によって活動の強さが異なる結果が出た。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

45


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果2ー3:活動強度の算出ー後頭葉ー 被験者 A

レベル5 400

表:6-1-5 被験者 A の画像種類別の活動レベル面積ー後頭葉ー

写真

300 200 レベル1

レベル4

100 0

レベル2

レベル3

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

レベル5 レベル4

������0 ������8

�������0 �����34

����0 ����6

���������0 �������18

レベル3

��106

���167

137

�����156

レベル2

��189

���246

154

�����364

レベル1

��219

���119

213

�����275

活動強度

��947

�1248

956

���1543

図:6-1-15 被験者 A の画像種類別 の活動レベル面積ー後頭葉ー

被験者 B

表:6-1-6 被験者 B の画像種類別の活動レベル面積ー後頭葉ー

レベル5 400

写真

300 200 レベル1

レベル4

100 0

レベル2

レベル3

図:6-1-16 被験者 B の画像種類別 の活動レベル面積ー後頭葉ー

CG影あり

レベル5 レベル4

����108 ������76

レベル3

CG影なし

CG線のみ

�����13

����21

���������58

������64

���109 ���116

����89 ��110

�������115 �������107

レベル2

������71

���122

��114

�������157

レベル1

����146

���155

��130

�������220

活動強度

��1324

�1248

1149

�����1605

被験者 A  CG 線のみがレベル3からレベル 1 の強度で強く活動している。続い て CG 影ありが強く、写真と CG 影なしは同程度の活動であった。全体的

写真 CG影あり CG影なし CG線のみ

にレベル 2 の強度の活動が広く計測された。 被験者 B  CG 線のみの活動が最も強く計測されたが、他の画像と比較してもそ れほどの差異は見られない。写真が、他と比較してレベル 5 の強度で広 く活動が見られた。

40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 被験者A 20.0%

被験者B

15.0% 10.0% 5.0% 0.0% 写真

VR影あり VR影なし VR線のみ CG 影あり     CG 影なし      CG 線のみ

図:6-1-17 後頭葉の画像種類別の活動強度

総合した活動は、CG 線のみがいずれの被験者も最も強く活動した結果を得た。 写真と CG 影なしは目立った差は見られず、CG 影ありでは被験者で差があり、被験 者 A は写真と CG 影なしよりも比較的強く活動しており、被験者 B は写真と CG 影な しと同程度の活動であった。 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

46


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

6 ー 2 アンケート調査の結果 分析方法  アンケートの分析方法は以下の通りに行う。           �1、平均値の算定  アンケートの評価項目について、4種類の画像すべてにおいて評価 項目ごとの結果の平均値を算出する。算出された平均値は空間性に関 する評価項目と印象性・視認性に関する評価項目に分類し、それぞれ について比較・分析する。            �2、相関分析  1種類の画像ごとに10項目あるアンケートの評価項目同士の相関 係数を算出し、項目ごとの類似性を検証する。4種類の画像について 行うことで、画像の種類それぞれの複合的な評価の度合いを測る。           3、クラスター分析  1種類の画像ごとに10項目あるアンケートの評価項目同士のユー クリッド距離を測ることで類似度を算出し、それぞれの評価項目をグ ループ化する。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

47


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果1:平均値の算定 6

5

4 平均

写真

VR影あり

3

VR影なし VR線のみ

2

1

0

奥行き

広がり

スケール感

方向性

開放的

図:6-2-1 アンケートの空間性に関する項目の画像種類別平均値 表:6-2-1 アンケートの空間性に関する項目の画像種類別平均値

奥行き

広がり

スケール感

方向性

開放的

写真 VR影あり VR影なし

5.4 4.4 2.1

5.2 4.15 2.1

5.3 3.8 1.8

4.9 3.95 2.35

3.9 4.3 2.6

VR線のみ

2.25

1.9

2.15

2.1

3

空間性に関する5項目の内、奥行き・広がり・スケール感・方向性について写 真が最も評価が高く、続いて CG 影ありであった。CG 影なしと CG 線のみはどの 項目についても評価は同程度であった。 6

5

平均

4 写真

3

VR影あり

VR影なし VR線のみ

2

1

0

軽い

調和的

すっきり

魅力

親しみ

図:6-2-2 アンケートの印象性・視認性に関する項目の画像種類別平均値 表:6-2-2 アンケートの印象性・視認性に関する項目の画像種類別平均値

軽い 写真 VR影あり VR影なし VR線のみ

調和的 2.4 3.55 3.35 5.15

すっきり 3.5 4.05 2.8 3.65

魅力 3.4 4.4 3.65 4.4

親しみ 4.5 3.75 1.8 3.25

4.75 3.55 1.35 3

印象性に関する調和的・魅力・親しみの項目では CG 影なしが評価が低く、写 真は親しみの項目で評価が高い。また軽いの項目では CG 線のみが最も評価が高 い。 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

48


0.299 -0.059

(9)魅力的 (10)親しみ

-0.023 -0.325 0.377 0.113 0.663 0.218

(5)開放的 (6)軽い (7)調和的 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

(1)奥行き

1.000 0.651 0.810 0.559

CG線のみ (1)奥行き (2)広がり (3)スケール感 (4)方向性

0.360 -0.080 0.626 -0.196 0.184 0.111

(5)開放的 (6)軽い (7)調和的 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

(1)奥行き

1.000 0.483 0.571 0.456

-0.304 -0.382 0.135 -0.520 -0.468 -0.023

(5)開放的 (6)軽い (7)調和的 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

CG影なし (1)奥行き (2)広がり (3)スケール感 (4)方向性

1.000 0.293 -0.142 -0.242

(1)奥行き (2)広がり (3)スケール感 (4)方向性

(1)奥行き

-0.394 -0.152 -0.301

(6)軽い (7)調和的 (8)すっきり

CG影あり

0.631 -0.171

(4)方向性 (5)開放的

(1)奥行き

1.000 0.777 0.593

(1)奥行き (2)広がり (3)スケール感

写真

分析結果2:相関分析

(2)広がり

(2)広がり

(2)広がり

(2)広がり

0.7以上

0.221 -0.302 0.240 0.241 0.503 0.457

1.000 0.628 0.700

0.386 0.230 0.490 0.264 0.455 0.515

1.000 0.212 0.217

0.469 -0.341 0.460 -0.104 -0.360 -0.367

1.000 0.159 0.359

0.278 0.000

-0.143 -0.070 -0.294

0.672 -0.178

1.000 0.755

-0.082 0.098 -0.116

1.000 -0.101 0.534 0.478 0.520

1.000

0.049 -0.533 0.477 0.043 0.502 0.402 (3)スケール感 (4)方向性

1.000 0.712

0.485 -0.133 0.606 -0.299 0.213 0.253 (3)スケール感 (4)方向性

1.000 0.717

0.254 0.168 0.466 0.312 -0.051 0.060 (3)スケール感 (4)方向性

1.000 0.283

0.285 -0.393 0.235 0.134 0.173 0.361

1.000

0.194 -0.405 0.311 -0.317 0.145 0.420

1.000

0.501 0.270 0.262 0.278 0.102 -0.082

1.000

(5)開放的

(5)開放的

(5)開放的

1.000 -0.037 -0.085 0.338 -0.182 0.020

1.000 0.338 0.771 0.315 0.285 0.202

1.000 0.408 0.303 0.168 0.269 0.215

(6)軽い

(6)軽い

(6)軽い

0.524 0.480 -0.067 0.209 0.126 -0.208 (3)スケール感 (4)方向性 (5)開放的 (6)軽い

-0.149 0.000 -0.230

0.573 -0.185

1.000

1.000 -0.309 0.287 -0.387 -0.452

1.000 0.216 0.601 0.235 -0.019

1.000 0.159 0.314 0.504 0.600

-0.136 -0.186

1.000 0.625 0.709

(7)調和的

(7)調和的

(7)調和的

(7)調和的

表:6-2-3 アンケートの画像種類別の評価項目相関 0.5~0.7

1.000 0.332 0.504 -0.148

1.000 0.201 0.518 0.310

1.000 0.322 -0.169 0.151

0.432 -0.115

1.000 0.632

1.000 0.140 1.000 -0.432 0.369 1.000 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

1.000 0.221 1.000 0.248 0.443 1.000 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

1.000 -0.165 1.000 -0.021 0.479 1.000 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

0.053 1.000 -0.289 0.536 1.000 (8)すっきり (9)魅力的 (10)親しみ

1.000

「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

49


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果3:クラスター分析

写真

(1)�奥行き

VR影あり (1)�奥行き

(2)�広がり

(2)�広がり

(3)�スケール感

(4)�方向性

(4)�方向性

(5)�開放的

(9)�魅力的

(3)�スケール感

(10)�親しみ

(7)�調和的

(5)�開放的

(6)�軽い

(6)�軽い

(10)�親しみ

(8)�すっきり

(9)�魅力的

(7)�調和的

(8)�すっきり 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1.1 1.2

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1.1 1.2

距離

距離

VR影なし (1)�奥行き

VR線のみ (1)�奥行き

(5)�開放的

(3)�スケール感

(7)�調和的

(4)�方向性

(3)�スケール感

(2)�広がり

(4)�方向性

(9)�魅力

(9)�魅力的

(7)�調和的

(2)�広がり

(10)�親しみ

(10)�親しみ

(5)�開放的

(6)�軽い

(8)�すっきり

(8)�すっきり

(6)�軽い 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1.1 1.2

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

距離

1.1 1.2

距離

図:6-2-3 アンケートの画像種類別の評価項目クラスター

相関分析・クラスター分析の結果は、写真と CG 線のみは奥行き・広がり・スケー ル感・方向性の項目について、評価項目の類似性が高い(各評価項目の相関計数 が 0.7 以上)ことが共通している。CG 影なしは、スケール感と方向性、開放的 と調和的について、それぞれ評価項目の類似性が高い。それに対して、CG 影あ りは、それぞれの評価項目の独立性が比較的高い。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

50


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

6 ー 3 脳計測とアンケート調査の分析結果比較  脳計測で得られた分析結果とアンケート調査で得られた分析結果を 比較し、さら分析する。それぞれのアンケートの評価項目に関係して いると考えられる脳の部位の活動強度と、アンケートの平均値をクロ ス集計することで、意識下での情報処理である脳の活動と意識上の評 価であるアンケートの結果との関係性を検証する。評価項目と脳の部 位の比較は以下の通りに行う。    �1、前頭葉の活動×アンケートの印象性に関する項目  アンケートの印象性に関する項目は、脳の部位の中で最も高次に情 報処理をしている前頭葉の活動と比較をする。    �2、頭頂葉の活動×アンケートの空間性に関する項目  アンケートの空間性に関する項目は、視覚情報に含まれる三次元情 報の処理をしている頭頂葉の活動と比較する。    �3、後頭葉の活動×アンケートの視認性に関する項目  アンケートの視認性に関する項目は、視覚情報が最初に運ばれ線分 要素や色要素などを処理している後頭葉の活動と比較する。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

51


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果1:前頭葉の活動×アンケートの印象性に関する項目 調和的の項目 1.6

60.0%

1.4 50.0%

40.0% ��1 0.8

30.0%

0.6 20.0%

前頭葉の活動強度

アンケートの平均

1.2

0.4 調和的

10.0% 0.2

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-1 前頭葉の活動強度とアンケートの調和的項目のクロス集計

平均値は、画像の種類によってあまり差が見られず前頭葉の活動強度との 関係性が見えづらい。

魅力の項目 ��2

60.0%

1.8

アンケートの平均

1.4

40.0%

1.2 ��1

30.0%

0.8 20.0%

0.6 0.4

前頭葉の活動強度

50.0%

1.6

魅力

10.0%

被験者A

0.2

被験者B ��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-2 前頭葉の活動強度とアンケートの魅力項目のクロス集計

平均値は写真が最も高く、CG 影ありが最も低いが、これは前頭葉の活動 強度とは反比例する結果である。CG 影なしと CG 線のみについては関係性が 見出せない。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

52


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

親しみの項目 ��2

60.0%

1.8

アンケートの平均

1.4

40.0%

1.2 ��1

30.0%

0.8 20.0%

0.6 0.4

前頭葉の活動強度

50.0%

1.6

親しみ

10.0%

被験者A

0.2

被験者B ��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-3 前頭葉の活動強度とアンケートの親しみ項目のクロス集計

平均値は写真と CG 影なしが高く、CG 影ありが低いが、これは前頭葉の活 動強度とは反比例する結果である。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

53


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果2:頭頂葉の活動×アンケートの空間性に関する項目 奥行きの項目 ��6

40.0% 35.0%

��5

��4 25.0% ��3

20.0% 15.0%

��2

頭頂葉の活動強度

アンケートの平均

30.0%

10.0% 奥行き

��1 5.0%

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-4 頭頂葉の活動強度とアンケートの奥行き項目のクロス集計

平均値は写真が最も高いが、頭頂葉の活動強度は低い。CG 影ありは平均 値と頭頂葉の活動強度共に高く、CG 影なしは平均値と被験者 A の頭頂葉の 活動強度共に低い。CG 線のみは平均値と頭頂葉の活動強度が反比例する結 果である。 広がりの項目 ��6

40.0% 35.0%

��5

��4 25.0% ��3

20.0% 15.0%

��2

頭頂葉の活動強度

アンケートの平均

30.0%

10.0% 広がり

��1 5.0%

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-5 頭頂葉の活動強度とアンケートの広がり項目のクロス集計

平均値は写真が最も高いが、頭頂葉の活動強度は低い。CG 影ありは平均 値と頭頂葉の活動強度共に高く、CG 影なしは平均値と被験者 A の頭頂葉の 活動強度共に低い。CG 線のみは平均値と頭頂葉の活動強度が反比例する結 果である。 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

54


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

スケール感の項目 ��6

40.0% 35.0%

��5

��4 25.0% ��3

20.0% 15.0%

��2

頭頂葉の活動強度

アンケートの平均

30.0%

10.0% スケール感

��1 5.0%

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-6 頭頂葉の活動強度とアンケートのスケール感項目のクロス集計

平均値は写真が最も高いが、頭頂葉の活動強度は低い。CG 影ありは平均 値と頭頂葉の活動強度共に高く、CG 影なしは平均値と被験者 A の頭頂葉の 活動強度共に低い。CG 線のみは平均値と頭頂葉の活動強度が反比例する結 果である。 方向性の項目 ��6

40.0% 35.0%

��5

��4 25.0% ��3

20.0% 15.0%

��2

頭頂葉の活動強度

アンケートの平均

30.0%

10.0% 方向性

��1 5.0%

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-7 頭頂葉の活動強度とアンケートの方向性項目のクロス集計

平均値は写真が最も高いが、頭頂葉の活動強度は低い。CG 影ありは平均 値と頭頂葉の活動強度共に高く、CG 影なしは平均値と被験者 A の頭頂葉の 活動強度共に低い。CG 線のみは平均値と頭頂葉の活動強度が反比例する結 果である。 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

55


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

開放的の項目 40.0%

��5 4.5

35.0%

��4 30.0% 25.0%

��3 2.5

20.0%

��2

15.0%

頭頂葉の活動強度

アンケートの平均

3.5

1.5 10.0% ��1

開放的 5.0%

0.5

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-8 頭頂葉の活動強度とアンケートの開放的項目のクロス集計

CG 影ありが平均値と頭頂葉の活動強度が共に最も高く、CG 影なしは平均 値と被験者 A の頭頂葉の活動強度が共に最も低い。CG 線のみは平均値と頭 頂葉の活動強度が比較的高く、写真は平均値と頭頂葉の活動強度が反比例し た結果である。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

56


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

分析結果3:後頭葉の活動×アンケートの視認性に関する項目 軽いの項目 ��6

35.0%

30.0%

��5

20.0% ��3 15.0% ��2

後頭葉の活動強度

アンケートの平均

25.0% ��4

10.0% 軽い

��1

5.0%

被験者A 被験者B

��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-9 後頭葉の活動強度とアンケートの軽い項目のクロス集計

平均値は、被験者 A の後頭葉の活動強度とほぼ類似した結果である。被験 者 B については写真で後頭葉の活動強度が高いがその他は平均値と類似した 結果である。

すっきりの項目 ��5

35.0%

4.5 30.0%

25.0%

3.5 ��3

20.0%

2.5 15.0%

��2 1.5

後頭葉の活動強度

アンケートの平均

��4

10.0%

��1

すっきり 5.0%

被験者A

0.5

被験者B ��0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:6-3-10 後頭葉の活動強度とアンケートのすっきり項目のクロス集計

平均値は、被験者 A の後頭葉の活動強度と類似した結果である。被験者 B については CG 影ありで後頭葉の活動強度が低いがその他は平均値と類似し た結果である。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

研究結果

57


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第七章

総括 CONCLUSION

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

総括

58


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

7 ー 1 総括  本研究では、空間の画像を見たときの脳の活動部位を計測すること で、画像の種類の違いによって画像に含まれる三次元情報の処理で脳 が異なる活動をするということが、fMRI を用いることで初めて明ら かにすることができた。また画像の種類により脳の部位ごとで活動強 度の違いが fMRI で計測されたことで、空間を見たときの脳の活動を fMRI を用いて計測することは、空間知覚の新しい評価手法として有 用であるということが明らかになった。本研究で脳内の三次元情報の 知覚を始め脳内の空間画像の視覚情報処理について、明らかになった ことを以下に示す。 (1)�前頭葉  本研究では、前頭葉の活動についてはアンケートの印象性に関する 評価項目との傾向を見出すことができなかった。前頭葉は哺乳類の中 でヒトが最も発達している部位であり、思考や感情等の高次な情報を 処理しているといわれている。人を対象とした脳機能の計測法が確立 されて間もない今の段階では、前頭葉の機能局在がほとんど明らかに されておらず、関係性を求めるのは難しい状況である。

60.0%

1.8 1.6

50.0% 1.4 1.2

40.0%

1 30.0% 0.8 0.6

20.0%

0.4 10.0% 0.2

印象性 被験者A 被験者B

0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:7-1-1 前頭葉の活動強度とアンケートの印象性に関する項目のクロス集計

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

総括

59


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

(2)�頭頂葉  三次元情報を処理している頭頂葉については、脳内では CG 影あり を最も空間として認知しているという傾向があるということが明らか になった。画像の種類により活動強度に差が出る結果を得たことで、 アンケートの空間性に関する評価項目と頭頂葉の活動を比較をする と、頭頂葉の活動はアンケートとは全く異なる写真が低く、CG 影あ りが高いという傾向がみられた。これは、写真に含まれる三次元情報 はあまり脳内で処理しておらず、CG 影ありは画像の中の三次元情報 を多く処理しているということになる。

6

40.0%

35.0% 5 30.0% 4 25.0%

20.0%

3

15.0% 2 10.0% 1 5.0%

空間性 被験者A 被験者B

0.0%

0 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:7-1-2 頭頂葉の活動強度とアンケートの空間性に関する項目のクロス集計

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

総括

60


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

(3)�後頭葉  視覚情報の原始的な処理をしている後頭葉については、CG 線のみ が脳内では複雑な画像として処理している傾向があるということが明 らかになった。後頭葉での CG 線のみを見たときの活動が高いという 結果は、画像の中の情報を最も視認しづらく、アンケートの視認性に 関する項目の軽さとすっきりの高い評価とは異なる結果である。

6

35.0%

30.0%

5

25.0% 4 20.0% 3 15.0% 2 10.0% 1

5.0%

視認性

被験者A 被験者B

0

0.0% 写真

CG影あり

CG影なし

CG線のみ

図:7-1-3 後頭葉の活動強度とアンケートの視認性に関する項目のクロス集計

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

総括

61


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

7 ー 2 展望  本研究で有用性が確認された fMRI を用いた建築空間の知覚評価は、 本研究のように空間の表現による違いのみならず、従来心理学的手 法に頼っていた以下のような建築空間の知覚評価に活かされると考え る。    ・シークエンスの異なる空間の知覚評価  ・照明の色の異なる空間の知覚評価  ・家具の配置の異なる空間の知覚評価  ・仮想現実空間の知覚評価  本研究では、脳機能計測での被験者が 2 名であったため、建築空間 画像の表現の種類による優劣の判断は下すことができなかった。脳研 究の分野では、5 ~ 8 名の被験者数をもって論文とされており、今後 研究を進める上で、10 名弱の十分な被験者数で脳機能計測を行うこ とで、上記のような空間の知覚評価に関しての一般論を導き出すこと ができる。  また脳研究の分野で脳の機能局在の解明が進めば、fMRI を用いた 脳内の情報処理を計測することで様々な情報を得ることができるよう になる。特に前頭葉の機能局在が解明されることで、空間の知覚評価 に限らず、空間に対する情動などを含めた総合的な評価を下すことが 可能になる。

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

総括

62


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

�参考文献 ニューロサイエンス入門 【著者:松村道一 / 出版社:サイエンス社 / 発行年:1995】 脳を究める 【著者:立花隆 / 出版社:朝日新聞社 / 発行年:2001】 視覚の文法ー脳が物を見る法則 【著者:ドナルド .D. ホフマン / 出版社:紀伊国屋書店 / 発行年: 2003】 建築・都市計画のための調査・分析方法 【著者:日本建築学会 / 出版社:井上書院 / 発行年:1987】 都市・建築空間の科学―環境心理生理からのアプローチ 【著者:日本建築学会 / 出版社:技報堂出版 / 発行年:2002】 統計的官能検査法 【著者:佐藤信 / 出版社:日科技連 / 発行年:1985】

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

参考文献

63


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

�参考論文 平面透視図から立体虚像構築の脳内処理過程 【著者:王力群 / 掲載元:超伝導応用研究所ハイテクリサーチセンター 研究成果報告書 2002/ 発行年:2002】 視認性に関する心理的・生理的解析~一対比較法と機能的 MRI を用い て~ 【著者:斎藤恵一�他 3 名 / 掲載元:超伝導応用研究所ハイテクリサー チセンター研究成果報告書 2002/ 発行年:2002】 奥行き多義性をもつ画像の解釈に関する脳反応 【著者:西村千秋�他 5 名 / 掲載元:超伝導応用研究所ハイテクリサー チセンター研究成果報告書 2002/ 発行年:2002】 単語の音韻処理にかかわる脳活動抽出  【著者:砂盃尚子� 他 2 名 / 掲載元:第 15 回日本生体磁気学会論文集 / 発行年:2000】   両眼視差刺激時の誘発脳磁場と奥行き知覚過程  【著者:大脇崇史� 他 1 名 / 掲載元:第 15 回日本生体磁気学会論文集 / 発行年:2000】 視覚的単語認知における選択的注意効果:脳磁場による検討  【著者:小山紗智子� 他 3 名 / 掲載元:第 15 回日本生体磁気学会論文 集 / 発行年:2000】 視覚 N400m 反応を用いた単語に関する記号解析    【著者:秋庭豊� 他 2 名 / 掲載元:第 16 回日本生体磁気学会論文集 / 発行年:2001】

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

参考論文

64


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

�終わりに    今回論文をまとめるにあたり多くの方の協力・指導を頂きました。 以下の文言をもって感謝の意とさせて頂きたいと思います。    まず現在に至るまで育て、また支えてくれた両親,姉,祖父母,曾 祖母にはこの場をもって感謝を述べたいと思います。    指導をして頂いた渡辺先生を始め、からだ情報ゼミの山口さん,林 田さん,樫村さん,担当の川井さん,牛山さん,小杉さん,遠田さん など諸先輩方、アンケート・脳計測に協力して頂いた方々に御礼申し 上げます。    卒論の提出が迫る中で、共に励まし合い、サポートをしてくれた高 野君を始めとする渡辺研究室内外の友人にも感謝したいと思います。  最後に今回共同研究として fMRI を使わせて頂いた、東京電機大学 超伝導応用研究所の斎藤恵一先生,田中さん,関川さんには迷惑をお 掛けしたことをお詫びすると共に、感謝の意を表します。                      二〇〇三年十一月九日

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

終わりに

65


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

第二部

資料編 DATA

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

サンプル画像 画像の種類:写真

画像 NO.1

画像 NO.2

画像 NO.3

画像 NO.4

画像 NO.5

画像 NO.6

画像 NO.7

画像 NO.8

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.9

画像 NO.10

画像 NO.11

画像 NO.12

第一章

画像 NO.13

画像 NO.14

画像 NO.15

画像 NO.16

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.17

画像 NO.18

画像 NO.19

画像 NO.20

第一章

画像 NO.21

画像 NO.22

画像 NO.23

画像 NO.24

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.25

画像 NO.26

画像 NO.27

画像 NO.28

第一章

画像 NO.29

画像 NO.30

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

サンプル画像 画像の種類:影を付けてレンダリングされた CG

画像 NO.1

画像 NO.2

画像 NO.3

画像 NO.4

画像 NO.5

画像 NO.6

画像 NO.7

画像 NO.8

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.9

画像 NO.10

画像 NO.11

画像 NO.12

第一章

画像 NO.13

画像 NO.14

画像 NO.15

画像 NO.16

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.17

画像 NO.18

画像 NO.19

画像 NO.20

第一章

画像 NO.21

画像 NO.22

画像 NO.23

画像 NO.24

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.25

画像 NO.26

画像 NO.27

画像 NO.28

第一章

画像 NO.29

画像 NO.30

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

サンプル画像 画像の種類:影を付けずにレンダリングされた CG

画像 NO.1

画像 NO.2

画像 NO.3

画像 NO.4

画像 NO.5

画像 NO.6

画像 NO.7

画像 NO.8

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.9

画像 NO.10

画像 NO.11

画像 NO.12

第一章

画像 NO.13

画像 NO.14

画像 NO.15

画像 NO.16

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.17

画像 NO.18

画像 NO.19

画像 NO.20

第一章

画像 NO.21

画像 NO.22

画像 NO.23

画像 NO.24

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.25

画像 NO.26

画像 NO.27

画像 NO.28

第一章

画像 NO.29

画像 NO.30

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

サンプル画像 画像の種類:陰線消去表示でレンダリングされた CG

画像 NO.1

画像 NO.2

画像 NO.3

画像 NO.4

画像 NO.5

画像 NO.6

画像 NO.7

画像 NO.8

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.9

画像 NO.10

画像 NO.11

画像 NO.12

第一章

画像 NO.13

画像 NO.14

画像 NO.15

画像 NO.16

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.17

画像 NO.18

画像 NO.19

画像 NO.20

第一章

画像 NO.21

画像 NO.22

画像 NO.23

画像 NO.24

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

画像 NO.25

画像 NO.26

画像 NO.27

画像 NO.28

第一章

画像 NO.29

画像 NO.30

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 A:写真

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 A:影を付けてレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 A:影を付けずにレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 A:陰線消去表示でレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 B:写真

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 B:影を付けてレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 B:影を付けずにレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

脳解析資料 被験者 B:陰線消去表示でレンダリングされた CG

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

snr_design

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

RPV

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


「fMRI を用いた建築空間の知覚評価指標に関する研究」

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

資料編


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.