は じめ に 幼 い 頃から自分 は 日に見 えないモノは信 じなしヽ性格 だつた。 例 えば 、 占いや宗 教などの ことだ。 ただし、サ ンタクロースや 歯 の妖 精などは、 日に見えるかたちで 単純 に 自分 の利 益 につ ながるので 、特別 に信 じた。 そんな 自分 が大学 院 に入 つてから研 究等 の 関連 で身近 に耳 にするようになり、知 るように な ったのが 「パ ーソナル スペ ース」だ。 それ はす べ ての 人 の周 りに存在 する領域 で 日に 見 えないものであるけれ ども、 はっきりと日に見 える現 象 として存在 す る、とい う不思議 な 特徴 をもつていて 、今 までにない 、そしてたとえ利 益 が 得 られないとしてもほつてお けない ほど、とても自分 にとって身近 なものだった。 自分 が普段 のなにげない生 活をおくる中で 、街 を散歩 しているときも、喫茶 店でひとり座 っ ているときも、ホームで 電 車を待 っているときも、また電 車 の 中でも、またベ ンチ に腰掛 け てよつてくるハ トを眺 めるときも…パ ーソナルスペ ースが 、距 離となつて現 れ、その 都度 自 分 の 興 味を引くようになった。 そしていざ学生生活 の集 大成としての研 究テ ーマをなににするかを頭 を悩ませる時期 がき たわけだが 、 自分 が 今もつとも興 味を引かれることにつ いて研 究をしようとい うことは初 めか ら決 心していた。 そして決 定したのがまさしく「パ ーソナル スペ ース」 だつた。 もともと研 究室 に入 学 した動機 も ア快適性 や非 快適性 の 要 因 になっていると思われる、 日 に見えない現象を研 究 によって実証したい」 ということだったため 、迷 うことなくテーマ は決 定された。そして …
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目次
目次 は じめに 目次
第 1章
11
序論 研 究 目的
1-2 研 究背 景 1-2-1 既往研 究
12-2
社会 的背景
1-3 ス トレス につ いて
11
14
14
語 句 の 定義
第 2章
方法
2-1
実験 概 要
18
22
実験 方 法
20
23
2-4
2-2-1 実験 の概 要
20
222
実験 のフ ロー チ ャー ト
21
2-2-3
配置 ハ タ ー ン
24
実験 環境
28
231
実験 空 間
28
2-3-2
,こ 場 灸彬機本オ
30
分析 にむ けて
33
2-4-1 デ ー タ の コー ド化
33
24-2
34
第 3章
デ ー タ の 統合
分析
3-1 分析 方 法 3-1-1 要素 の 定義 づ け
31-2 33-3 3・
3-2
3-4
37
ス トレス 量 の算 出方法
39
波形 の分類
41
ス トレス 指数 の算 出方法
46
分析 結 果
3-2-2 波形分布 に よる比 較 3-2-3 指数 に よる順 位 付 け
32-4
実空間適 用 の優位性 に よる順位 付 け
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49 55 65
目次
第 4章
4-1
予測 モデル
72
指数 に よる比較
4-1-1 総合 ス トレス指数 に よ る比較 4-1-2 初 期 ス トレス に よる比 較
5章 ま とめ 5-1 ま とめ
72 78
第
5-2
85
89
展望
終わ りに 謝辞 参考文献 資料編
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第 1章 序論
第 1章
1-1
序論
研究 目的 座位者 の体 の向き・ 視点の高 さに着 日し、見知 らぬ他人 と近距離で座姿勢 をとつて い る時 の生理的 ス トレス量を計測器 を用 いて定量的に とらえた上で指数変換 を行 い、様 々な座配置 に関す るス トレス量 の比較 を行 うためのモデル式を作成す ること を目的 とする。
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2
第
1-2
1章 序論
研究背景 1-2-1
既往 研 究
○パ ー ソナル スペ ー ス につ い て 哺平L類 は周 囲 の状 況 を感 覚 でつ か み、身 を守 るため に必要 な空 間 を持 つ てい る。 い わ ゆる 「なわ ば り」 と混 合 されや す いが 、これ は固体 に付 随 して移動す る空間 であっ て 、人 間 の 場 合 には パ ー ソナル スペ ー ス とい うことに な る。 パ ー ソナル ス ペ ー ス は 人 の身体 を取 り巻 く 目に見 えない泡 の よ うな領域 で あ り、平均 的 には手 を伸 ばせ ば 届 く程度 の 範 囲で あ る。 その 中に他 人 が侵 入 す る と無 意識 の うちに身体 の 向 きを変 えた り、顔 をそむ け るな どの行 動 を とる こ とで 、人 は相 手 になん らか の メ ッセ ー ジ を送 つてい る。 この よ うな領 域 は 個 人 だ けでな く、集 団 の周 りに もあ る。 ただ し、 この 空 間 の 大 き さは周 囲 の 状 況や 自己防御 の必 要性 に応 じて 伸縮 す る。 そ して この 目に見 えない境 界 の 中に入 り込む の は特別 な意 味 を もつ とみ な され る。 例 えば 、周 囲に誰 もい な い 場 所 で 、知 らな い 人 が 近 寄 っ て くる と緊 張す る。 ところが 、満 員電車 では身 体 が接 触 して も不 自然 さを感 じない。 この ときパ ー ソナル ス ペ ー ス はな くな っ て い る の で あ る。 しか し、 この よ うな状態 は正 常ではな いた め 、長 時 間続 ける こ とはで きな い。 また、人 と人 が 話 し合 っ て互 い に親 し くな るには、 この パ ー ソナル スペ ー ス に踏 み 込 む必要 が あ る。 また 、距離 が 離れ てい る と会話 が 成 立 しに くい。 ノく― テ ィー で 人 が少 な い と盛 り上が らない の は 、 パ ー ソナル スペ ー ス が重 な る ところまで近 づ きに くいか らだ 。 逆 に会場 が込 み合 うとパ ー ソナル スペ ー ス も縮小 し、違 和感 な く談笑 で きるよ うにな る。 この 「パ ー ソナル ス ペ ー ス」 を提 案 したのが ロバ ー ト・ ソマー で あ る。彼 は 、人 間 は 固体 の 周 りを取 り巻 く他 人 を入 れ させ た くな い 見 え な い 領域 を も つ て い る と し、 それ を 「パ ー ソナル ス ペ ー ス 」 また は 、持 ち運 びが で き る とい う点 か ら 「ポー ダブ ル テ リ トリー 」 とも呼 んだ。 そ して建 築・都 市 空間 を考 え る上で、パ ー ソナル スペ ー ス の重要性 を指摘 し、 そ の よ うな人 間的要 因 へ の 配慮 を欠 いた 現代 の都 市空 間 を批 判 してい る。 最近 の研 究 の 中では 「個人 空 間」 また は 「個 体空間」 の名 前 で も取 り 上 げ られ て い る。 も とも とパ ー ソナル スペ ,ス の研 究 は動物 行 動 の研 究 に 由来 してい る。動物 心理 学 者 で あ るヘ デ ィ ガー は 、 ユ リカ モ メが互 い に一 定 の 距 離 を保 つて 湖 畔 の欄 干 に止 ま つ てい る の を観 察 し、動物 には同種 の個 体 間 にあ る特 定 の距離 を保 つ 傾 向 が あ る こ とに気 づ い た。 この 考 えを人 間 に当ては め よ うと した一 人 が エ ドワー ド・ ホール で ある。彼 は 、行動観 察 か ら人 間 同 士 の距離 の と り方 な どの 空間 の使 い方 は 、それ
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第 1章
序論
自体 が コ ミュニ ケ ー シ ョン と して機 能 を持 つ と考 え 、距離 を コ ミュニ ケ ー シ ョン と 対応 させ て 分類 し、 4つ の 距 離感 (密 接 、個体 、社 会 、公衆距離 )を 提案 した。 こ の うち個 体距離 は 、個 体 の 小 さな防御 距離 、生物 が 自分 と他者 の 間 に保 つ 距離 に あ た る。 さ らに この よ うな行 動 は文 化 に よつて 異 な る こ と指摘 した。 そ して この よ う な、文化 に根 ざ した 人 間 の 空 間行動 を研 究す る領域 を「プ ロクセ ミクス 」と名 づ けた。 人間 の 周 りの 空 間 には 目には見 えない が特 定 の 寸法 を持 った秩 序 の よ うな ものが 拡 がつてい る。 これ らの こと を著書 「か くれ た次元 」 (1970)の 中で指摘 してい る。 パ ー ソナル スペ ー ス と似 た概 念 に 「 ソシオ ペ タル・ ソシオ フー ガル 」 が あ る。 これ はオ スモ ン ドが 精神 病 院 の あ り方 につ い ての研 究 で 、空間デザイ ンの二つ の タイ プ として提 唱 した概 念 であ る。 ソシオ フー ガル とは 、人 間同 士 の 交流 を妨 げ る よ うな デザイ ン を示 し、 ソシオ ペ タル は逆 に交流 を促 す よ うなデザイ ン を示す。 屋 外や 駅 構 内に置 か れ た ベ ンチ の デ ザイ ン に も この 考 え方 を取 り入れ た ものが 見 られ る。 た とえば、座 る向 き を限定 しない 4人 掛 けベ ンチ の デ ザイ ンで あ る。知人 同 士 の 2人 が親 しい 関係 で座 る こと もで き る し、他 人 同 士 の
2人 の場合 は 両端 にす わ り、近 い
距離 で も身 体 の 向 きを変 え る こ とに よ つ て互 い の パ ー ソナル ス ペ ー ス を確 保 で き る よ うにな つ てい る。
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4
第 1章
序論
○ 過 去 の研 究 ボ ロ ヴィッツ らは人が他人 または物体 に周囲か ら近 づ く実験 によ り、人 が他人 に対 して取 ろ うとす る空間は物体 に対 して よ り大 き く、精神分裂病患者 の場合は特 に他 人 に対 して大 き く距離 をあけることを示 し、人 間 は 自分 の まわ りに他人 の侵入 を防 ご うとす る 「ボデ ィーバ ッフ ァー ゾー ン」を持 つ とした。 (図 11) 田中政子は 8方 向か ら 「近す ぎて気詰 ま りな感 じがす る」 とい う主観 的な接近距離 を、被験者が 中心の人に近 づ く場合 と、被験者 自身が中心に立 ち相手が近 づい て く る場合にわけて測定 し、正 面 が遠 く背後が近 い 、卵形 のパー ソナル スペ ース を得 た。 (図 1-2)
渋 谷 昌 三 は 「それ 以 上近 づ きた くな い (近 づ い て ほ しくな い )」 、「不快 を感 じる 」 点 に よつて境 界 が 作 られ るパ ー ソナル スペ ー ス を実演1し 、男性 が 見知 らぬ 男性 、女 性 に接 近す る ときに大 き くな る ことや 、女性 が知 り合 いの 男性 に接 近す る とき に大 き くな る こ とを明 らか に した。 (図
13)
墳近 案験 にようパー ソナル・ スベー ス
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渋谷昌三によるパー ソナルスペース 図 1-3
第
1章
序論
高橋 。西 出 らは、 位 置 に よつて他 人 か ら 「離れ たい 」 とす る力 に よ り形成 され る空 間 の潜 在 力 の 分布 を 「固体域 」 と呼び 、相 手 の 人 がい る こ とに よるそ の 場 所 の 居 心 地 を ど う感 じるか を被 験者 に評定 させ る実験 に よ つ て物理 的空 間 と対応 付 けて測定 した。「離 れ たい 」 とす る度 合 い は相 手 か らの距 離 に よ つ て対 数 的 に減 衰 し、 ― 固 体 を中心 に再配列 す る と、人 を取 り囲む等 高線 に よ り表現 され る。 これ は パ ー ソナ ル スペ ー ス が行動 の上 で どの よ うに認 知 され るか の一 側 面 とい え る。 (図
14)
以 上 が 最 近 を代 表 す るパ ー ソナル スペ ー ス に関す る研 究 で あ るが、 この ほ か に も パ ー ソナ ル ス ペ ー ス の 平 面的 な拡 が りに 関す る研 究 は 数 多 く され てい る。 例 えば、 多様 な対 人 状況 にお け る個人領域 の 変化 を解 明 した ものや 、多 くの PS研 究 で用 い られ るア ン ケ ー トとは異 な る手法 に よ つ て 領域 の解 明 を行 つ てい る もの な ど様 々 で あ る。 一 方 、類 似 の研 究 と して は、「コ レ・ ソ レ・ ア レ」 な どの指 示語 に よ つ て 、 単独 で あ る個 人 が 周 囲 の 空 間 か ら うけ る感 覚 の領 域 を二 次 元的 に解 明 した も の
(「
包 J)力 `
あ る。 (図 1-5)「 包 」 の概 念 は パ ー ソナル スペ ー ス に極 めて近 い 概 念 と して と らえ られ て い るが、対人 に対す る感 覚 の 領域 で あ るパ ー ソナル スペ ー ス とは厳 密 には異 な り、研 究 に基 づ いて そ の二 次元的 な拡 が りを実証 した研 究は い まだ され て い な い。 現 実空 間 で パ ー ソナル スペ ー スの二 次 元的拡 が りが 有効 に作 用 してい る場 面 は、た とえば 階段 な どの段 差 空間段 にお いて近距離 に段違 い で座 り込 む 他 人 同 士 の配置 に も見 られ る よ うに、それ は 自然発 生 的で あ り建築 がそ の行動 を促す よ うに計画 され て い る と は 考 えに くい。 しか し、 この よ うな場面 で起 こって い る現 象 は他 に も様 々 な空間 に応 用可能 で あ る と考 西出 らによる固体域 図 1-4
え る。 そ して 、 これ らの空 間 を計 画的 に作 り出 して い くた めの基礎 的な資料 が必要 で あ る と考 え る。 ■ ・1 ︲ ■・ o
―
■
―
―
‐ 甲 ―■ ● ‐ ●
指示代名詞 「これ・ あれ・ それ」の領域 図 1-5 早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁史研究宅
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6
第
1-2-2
1章 序論
社 会 的背 景
○ 感 覚 の 定 量 化 手 法 の利 点 過去 のパ ー ソナル スペ ース研究にお ける個人 の感覚 の解明手法 に関 しては、 アン ケー トや ヒア リングによる定性的なものが多 く、個人 の主観 に依存 しているものが 手法 の 中で主 流 といえる。実際 の感覚 をよ り的確 に とらえるために、 ア ンケ ー ト項 目としての言葉 による表現 に関す る工夫 もされて い る。 しか しそ こには 「快適」「不 快」 な どの言葉 による表 現 と対応 させ る感覚 の、個人 内の認識 の差や 、被験者 のア ンケー ト回答 中の精神状態 な どによつて影響 を受 けやす い と考 える。 さらに、 「快適」 「不快」のみな らず「やや快適」「やや不快」な どといったあいまいな感 覚 に関 しては、 個人 の 中で も不確 かな感覚であるが故 に、なお さら実際 とは ことな る項 目を選択 し て しま う可能性 が高 いので はないか。 過去 の研究 においてパ ー ソナルスペ ー スの領域 を定量的な手法で求 めよ うとい う試 み を した もの もある。そ の手法 としては 、個人 の周囲 を一 定 の時間歩行 を して もら い 、そ の歩行軌跡 の分布 によつて領域 を とらえるとい うもの である。 しか しこの手 法 も、長時間に及ぶ 同 じ空 間内 の歩行 によ り、他人 の個人領域 内に侵入す ることを 避 ける歩行 とは異なる軌跡 が生 じて しま う可能性 が高いのではないか。 一 方、生理的 な ス トレス反応 は、実験 を行 い なが ら同時に測定す る ことがで きるた め、定性的な手法 を適用 した際 の、実験 を終了 したあ とにアンケー トに答 える場合 の時間差 に よる影 響 が さけ られ る上、個人差 を克服 した感覚 の算出が可能 である と い う利点 がある。 定性 的な手法 によ っては的 確 に とらえることがで きなか った 「快適」「不快」 の 中 間的なあい ま い な感覚 も的確 に とらえ、生理的な ス トレスの値 の大小 に よる定量的 評価 が可能 となる。
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第 1章
序論
○休 憩 施 設 の現 状 街 へ の来訪者 が比較的少 ない平 日な どにおいては、休憩施設 が極端 にあま つ ている 光景が 目に付 く。 また、土 日や祝 日な どの、街 が極端 に人であふれ かえる時 には、 買 い物疲れや人 ごみ の 中を歩 き続 けた ことによる疲れ によつて人 々 は休息 を行 える 空間をさが し求 めるが 、 い ざ見 つ けた休憩施設 には 、他人 と肩 をな らべ て座 ること に よる不快感 か らその利用 を避 け、休憩施設 か らあふれ 出た休 息希望者は仕方 な く 喫茶店 に入 るな り、座 るために設計 されて い ない よ うな、歩行者 の妨 げ とな りうる 場所で の休憩行為 を行 うな どして、景観的に も悪 い影響 を及 ぼ している。休憩施設 が定員以下 の利用 しか見込 めない とい う現在 の休憩施設 の問題 があ る。 このよ うな問題 をかかえる 日本 の都 市空間にお い ては 、限 られた面積 の 中で 、休憩 施設 を今後 増加 させ るとい う解決法 よ りもむ しろ、今 ある休憩施設 の質をいか に向 上 させ てい くかが課題 である と考 える。対す る一 つの案 として 、通 常他人同士が不 快 と感 じるよ うな狭小 な空間内にお い て、 よ り多 くの人 々が同時 に快適 と感 じるこ とのできる休憩空 間作 りを考 え、それ を実現す る重要な要因 として 、パ ー ソナル ス ペ ースの 3次 元的な拡が りの可能性 に着 目した。
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8
第 1章
序論
○感 覚 定 量化 の 必 要 性 空間を設計す る際 に、建 築家 がそ こに見込 んだ利用者側 の効果 と、実際 の利用者 の 感覚 とが一致 していない 限 り、それは建 築家 の独 りよが りとなって しま う。 自分 の 設計意図 と利用者 の感覚 を一致 させ る能力 は、幾度 とな く実務経験 をつん だ末 に身 につ く場合 もあるだ ろ う。 しか し研究に基 づ き、そ の効果 を実証 して実空 間 で検証 してい くことで も身 につ けるこ ともできると考 える。 研究 の成果 を設計 にフ ィー ドバ ックす る資料 として用 い 、そ してそれが利用者 の感 覚 に関す るもので ある場合 、それは物質的な性質 を持 たないため、解 明す る際の研 究手法 に関 しては入 念 な検討 とともに、大 い なるに工夫が必要 となる。 利用者 の空間に対 して持 つ感覚 は、本人で もは っ き りとどういった感覚 か とい うこ とを言 葉 によつて表 現す るこ とができない ものが多 い と考 える。 た とえばある空 間 に対 して、「快適」「不快」 の 内 どち らの感 覚か とい うよ うに、両極端な選択肢 を選 択 して も らうとした ら、可能 か もしれない。 しか しその 中間的な感覚 をは つ き りと 言葉 によつて表現 で きるか ど うか といった ら疑間に思 う。 さらにその 中間的な感覚 が増 えるにつれ、回答 があいまい なもの になって しま う。 これ では 、設計に フ ィー ドバ ックす る際 の資料 として の精度 が下 が つて しま う。 そ もそ も、 自己内で認識 で きな い個人 の感覚 を、その個人 の主観 によって とらえていいのだろ うか。 感覚 はつ ま り個人 の 中で無意識 的に発生 している もので ある と考 える。す る と、定 性的 に感覚 をとらえるよ りも、個人内で発生 している無 意識的 な反応 を とらえるこ とで、 よ り的確 にそれぞれ の感覚 を定量的 に とらえる ことがで きるのではないか。 そ してそれは、主観 を経 由 しない 、利用者 の感覚 を直接 あ らわ した数値 として設計 の際 の資料 となる。
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9
第
1章 序論
○ 人 と人 と空 間 人 は座 姿勢 を とる際、そ の座 椅子 の形状 によつて姿勢 をかえる。た とえば背筋 を伸 ば した方が座 りやす い形状や、前かがみ の方が座 りやす い形状、または座 る と自然 と前かがみにな るけれ どもあま り快適 ではない形状 な ど。様 々 な形状 の可能性は存 在 し、同時にそ こにはその数 だけ人間 の状態 を、快適 にも非快適 にもある程度誘導 す る力が存在す る と考 える。 た とえ人 を取 り巻 く空間 の規模 が大 きくなろ うとも、それ が物理的に存在す るもの であれば、人間 の行動 に関 して快適性 。円滑性 またはそ の逆 を提供す る大 きな要因 とな りうると考 える。 人 間 の空間に対す る順応性 は高 く、最低限 の条件 さえそ ろえば、そ こを 自分 な りの 使 い方によ り心地 よい もの に してい く力 を確 かに持 つている。 しか しそ ういつた人 間 の順応性 をよ り円滑 に発揮 しや す くす る役割 を空 間は担 うべ きな ので はない の か。 現在 の休憩空間 を例 に挙 げる と、 ご く普通 に見かける光景 としてあるのが 、5人 が け の座椅子に 3名 の人 間が互いに一 つの席 の間隔 をお いて座 ってい るとい うもので ある。 人 間 の順応性 は空間に対 しては大 きな効果 を発揮す るが、そ の 間 に人間 とい う要素 が加 わることで効果 が急激 に落 ちるよ うに思 う。 この ことをあ らわ してい るのが さ きほ ど例に挙げた 、一つお きに座 られた椅子 の話である。 街 には建 築 と人間 の 間に他 の人間 がかかわつて くる場 面 が多 々 ある。大勢 の人間 が 地球 とい う一つ の 限 られた空間に暮 らして い るのだか ら当然 の ことではあるが 、 こ れ らの場面では人 間 の行動や性質 をもとに した空 間へ の配慮 をつ よめることで人間 の順応性は よ り真価 を発揮できる と考 える。
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第
1-3
1章
序論
ス トレス につ いて
○ ス トレス とは ス トレス とは 、厚 生 省 が 1988年 に実施 した 「健 康福祉 調 査 」 にお い て 、「身 体 的・ 精神 的 。社 会 的 な刺激 に対応 して生 体 に生 ず る反応状態 」 と定 義 され てい る。 ス ト レス とい う言葉 は も とも と物 理用 語 で 、圧 力 に よ つ て 引 き起 こされ る勤続 の 弾性 変 化 を意 味 して い た。 セ リエ は、 ス トレス とは 「外 界 か ら生体 に加 わ る有 害 因子 、 あ る い は信 襲 に対 す る生体 の適応 メカ ニズ ム 」 と定義 した。 生体 は 、気候 が 変 われ ば それ に適応 し、飲 み水 が 変 われ ばそれ に適 応 し、 心理 的 な ス トレス を受 けれ ば それ に適 応 してい く。 つ ま り、 ス トレス とは本 来 、生物 が外 的 ある い は内的 な刺 激 に適 応 してい く過 程 そ の もの を概念化 した もの とい える。 ス トレス 状態 を引き起 こす要 因 の こ とを「ス トレ ッサ ー 」といい 、 種 類 は 4種 類 あ り、 内容 は以 下 の よ うにな つ てい る。
。物理的 ス トレッサ ー :高 温・ 低音・ 放射線 ・ 騒音な どによる刺激 の こ と。 ・ 科学的 ス トレッサ ー :酸 素 の欠乏・ 過剰 、薬害、栄養不足な ど。 。生物的 ス トレッサー :病 原菌 の進入な ど。 ・精神的 ス トレ ッサ ー :人 間 トラブル 、精神 的 な苦痛・怒 り,不 安・憎 しみ 。緊張 な ど。 ス トレ ッサ ー はなんで あれ 、人 に対 して ス トレス は有益 あ るいは 有 害 に も働 く。 そ の 内 の 有 害 ス トレス は 、長 時 間 ス トレス が 持 続 す る とい う 「慢性 ス トレス 」 と、 ス トレ ッサ ー を取 り除 けば比較 的早 くに回復 す る 「一 過性 ス トレス」 に大 き く分 類 さ れ る。 (図
1-6)本
研 究 にお いて は精神 的 ス トレ ッサ ー に よ つ て 引 き起 こ られ る
有 害 な一過性 ス トレス に着 日して い る。
有害 ス トレス
慢性 ス トレス
比較的長期 に持続 し、疾病 につなが りかねない ス トレス
一過性 ス トレス
作業付カロな どの原因 となるものを取 り除 けば、 比較的速やかに回復す る状態
過緊張・ 不安な どの負の情動 を伴 う 緊張 ス トレス 心的状態
単調 ス トレス
うん ざり・ あきあきといった負 の 情緒 を伴 う心的状態
有害 ス トレスの種 類 図 1-6
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■■ 1■
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第 1章
序論
○ ス トレス の測 定 手 法 個人 のパ ー ソナル スペ ース 内に他人が侵入す る と、そ の人物 がス トレッサ ー とな り、 「圧迫感 が あ る」「不快 である」な どの言葉 に表現 され る精神的 ス トレスが 個人 にか か ると仮定 し、ス トレス量 の計測 によつて そ の感覚 を定量化 できると考えた。 一過性 のス トレスによる人体 へ の影響や度合 いは以下 の 6種 の手法によつて 測 る こ とができる。 (図
1-7)
皮膚温度 の 変 化 心拍数 の 変 動
―過性ス トレス 評価手法 唾液 中 コルチゾル
ス トレスの測定手法 図 1-7
心 臓 生理 量 に よる手法 に関 して は 、基本 的 に心臓 の鼓動 と連動 した波形 が 抽 出 され るため基礎 分 析 そ の も のの 難易度 が 高 く、時 系列変化 を的確 に と らえ る こ とが 困難 で あ る と考 えた。 また、内分 泌 系 に よる ス トレスの 評価 手法 に 関 しては 、唾液 を採 取 してそ の 中 に含 まれ る特殊 物 質 で あ る コル チ ゾル の 量 に よっ て ス トレス 量 を判 断す る こ とに な る が 、 この 手 法 は継続 的 に測 定 を行 い ス トレス 量 の 時間変化 を求 め るには適 して い な い と考 えた 。 以 上 の よ うに、測 定手法 の一 覧 か ら消去法 に よ つ て、本研 究 に も つ とも適 した 手法 を検討 した 。 そ して 、装置 の操 作性 が よい こ とや 、測定 開始 か ら終 了 まで の 時 系列 デ ー タを取 得 で きる こ と と、出 て くる波形 が 単純 明快 、 か つ 解 析 が比 較 的 容 易 で あ るな どの理 由か ら決定 したのが GSRに よる ス トレス量評価 手法 で あ つ た 。
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12
第
OGSRに
1章 序論
つい て
発 汗 は 、温熱性発 汗 と精神 的発 汗 に分 け られ るが、精神性発汗 活動 に起 因す る電気 変動 は手 掌 と足底 に顕 著 に出現す る。 交感神経 の 支配 下 の 汗腺 活動 を電 気 的 に測 定 して 情 緒 状 態 、認 知活動 、情 報処理 過 程 を評価 す る こ とが可 能 で あ る。 この 精神性 の発汗 を電気的 に とらえた もの を皮膚 電気 活動 (EDA)と い う。 EDAに は 、手掌や手 指 に装 着 した一対 の 電極 に微 弱 な電流 を流 し、そ の抵 抗 変化 を調 べ る通 電法 (SCA) と、 電気 を流す こ とな く電極 間 の電位 差 を直接測定す る電位 法 (SPA)と が あ る。 (図
1-8)本
実験 では通電法 を用 いた。
CSR(皮 膚 電気反射 )は 、手 のひ らと手 首 に電極 を付 けて、 これ に 3Vほ どの 直流電 流 を流 し、 回路 の途 中に敏 感 な電流 計 を つ ける。 回路 には大 体 2μ
A∼ 100 μ Aぐ
らいの 被 験者 には何 も感 じられ ない 程 度 の 電流 が 流れ る。 そ こで 、突然 音 を聞かせ た り、痛 み を与 えた り、暗算 を させ た りす る と、電流計 が触れ る とい う仕 組 み にな っ てい る。 他 に も例 えば、恋 人 の 名前や恥 ず か しい 体験 を頭 に浮 か べ る こ とに よ つ て 精神 的 に動揺 す る こ とで電流 の触れ が 発 生す る。 皮膚 に電気 を通 してお くと皮 膚 内 に電 気 抵抗 が生 じる。 これ は汗腺細胞 が電気 の流 れ に対 抗 して 分極 を起 こす た めで あ る。 ところが、突然外 か ら刺激 を与 えた り、被 験者 自身 が 興 奮す る と、汗腺 細胞 も一 時 的 に興奮 して 分極状 態 が破 られ 、皮膚 の電 気抵抗 が 減 少す る。 そ して 、それ に伴 い 、回路 の 電流 が一 時的 に増加 して 変化 が起 こ る とい う仕組 み にな って い る。 この GRSと 同 じ仕組 み で機 能す る の が 、 バ ラエ テ ィ番組 な どで も しば しば用 い られ る 「嘘発 見器 」 で あ る。
SPL skin potentiaI level
SPA skin potential activity
皮膚電位活動
皮膚電位水準
SPR skin potential reflex
EDA
皮膚 電位 反 射
electrodermal actlvlty
皮膚電気活動
SRC skin reslstance change 皮 膚抵 抗 変 化
SRL
GSR
skin reslstance level
galvanic skin response
皮膚抵抗水準
皮膚電気反応
SRR skin reslstance reflex 皮 膚抵 抗 反 射
皮膚電気活動の分類 図 1-8 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
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13
第 1章
1-4
序論
語旬 の 定義
対人状況下 見ず知 らず の他人同士である 2名 の人物 が、互いを意識す ることを さけ られ な い よ うな距離 で座 姿勢 を とってい る状況 のこ とをい う。
感覚 「快適」「不快」「圧迫感 がある」「落 ち着かない感 じ」 な どの言葉 で表 され る、空間 に対 して人間 が無意識的 に持つ 印象 の ことをい う。
被験者 “実験者 対人実験 にお いて、測定器具 を装着 し発汗量 を測定す る側 の座位者 を被験者 といい 、 一 方 の器具 を装着 しない側 の座位者 を実験者 とい う。
協 力者 被験者 と実験者 を合わせて い うときの総称。
体の向 き 座位者両者 (被 験者 と実験者 )の 体 の 向む いてい る方 向が作 り出す角度 のこ とをい う。
視点差 「-560」 「 280」 「± 0」 「+280」 「+560」 被験者 か ら見た実験者 の視点 の高 さの ことで、 の 5通 りある。 視 点差パ ター ン 配置 パ ター ン表 の 中で い う、視点差 がある場 合 の姿勢。視点差 が 「± 0」 の場合 は 含 めない。 上 位者・ 下位者 視 点差 パ ター ンにお い て、相手 を見下 ろす位 置 にい る者 を 「上位 者 」。逆 に相 手 を 見 上げる位置 にい る者 を 「下位者」 とい う。
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14
第 1章
序論
性別組み合わせ 被験者 と実験者 の性別 の組み合 わせ の ことで、「被験者 :男 性 /被 験者 :男 性」「被 験者 :男 性 /被 験者 :女 性」「被験者 :女 性/被 験者 :女 性」「被験者 :女 性 /被 験者 :
男性 」 の 4通 りある。 またそれぞれ は 「男
(男 )」
「男 (女 )」 「女 (女 )」 「女
(男 )」
と略す。 1/SCC
本研 究に用 いた発汗量測定器 によ つて得 られ たデ ー タの値 の種類 (単 位 ではな い)。 発汗 によつてお こる皮膚電気抵抗 の反応 を SCCと いい 、つ ま りそ の逆数 の ことをあ らわ している。 標準 ス トレス ス トレス量 の個人差 をな くすために、す べ ての配 置 パ ター ンごとの 対人状況で の測 定 の直前に、単独時で のス トレス値 を測定 した。 ス トレス量 実験者 の存在 によつて個人が受 けるス トレスの量 の ことをい う。 正 のス トレス と負 のス トレスがあ り、それ らの合計 ス トレス を言 つてい る。
ス トレス指数 単独時 のス トレス量 に対す る対人時 のス トレス量 の割合。対人時 のス トレス量 を単 独時 のそれで割 った値 の こと。 初期 ス トレス指 数 「 Sm」 座 姿勢 をとつてい る個人 の周辺 に、他人である相手が座 つてきた ときに感 じる瞬間 的な ス トレス量 の ことをい う。 (指 数 が 高 い ほ ど、ス トレス量が少 な い) 総合快適指数 「 S」 座姿勢 を とつてい る個人 の周辺 に、他人 である相手が座 った ときに感 じる長期的な ス トレス量 の ことをい う。 (指 数 が 高 いほ ど、 ス トレス量が少ない )
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15
第 1章
序論
緩やかなス トレス反応 波形 タイ プの内、「A― 型」が表す反応。 実験者 の存在 に よつて時間 の共 に緩や か ににス トレス量が増大す るよ うな場合 の反応 の こと。
急激なス トレス反応 あ らわす反応。実験者 の存在 によつて 波形 タイプの内、「S― 型」 と「 S+型 」 力` 一 時的に急激 な ス トレス量が増大す るよ うな場合 の反応 の こと。
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16
第 2章 方法
第 2章
2-1
方法
実験概 要
○実施 日時 )
10: 00∼
12月 7日
(火 )
10:00∼
12月 9日
(木 )
10: 00∼
12月 10日
(金 )
10100∼
12月 6日
(月
被験者 2名 1組 で 1日 に 3組 ず つ 、 上記の 4日 間にわた り対人実験 を行 つた。
○場 所 早稲 田大学大久保 キャンパ ス
55号 館 S棟 9階 サ ロン 外部 の音や風 。内部 の温度・ 湿度 な ど によるス トレス値 へ の影響 を防 ぐの に適 した空間 として選 定 した。
○協力者 計 24名
(男 性
12名 /女 性 12名 )(図
2-1)
24名 の被験者 の中か ら 6名 ずつ 、各性別組 み合わせ に割 り振 つた。 一つの性
﹂ ︵
別組み合 わせ に関 して 6つ のデー タが入手できる。 2人 1組 となる被験者 と実 験者 は必ず他人同士であることを条件 とした。
﹁︱︱∃
郵
雅 雄
葬
雅 雄
FIIL
性 別 組 み合わ せ ↓
者. ¨
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」獲 18
第 2章
方法
○ 実 験 チ ェ ッ ク リス ト 左 の 図 2-2は 実際 に実験 の 際 に使 用 したチ ェ ック リス トで ある。 わず かな 音や風 な どの些 細 な こ とで反 応 を示 す ことが あ る ス トレス を扱 う研 究 をす る上で、チ ェ ック リス トの 中に 書 き込み欄 を儲 け、浪1定 中 の どん な些 細 な出来事 もメモ を とるよ うに 心 が け た 。例 えば 「外 で バ イ クが爆 音 を発 し なが ら走 りさつ た」 な どの こ とだ。 また数 多 くあ る配置 パ ター ン に 関 して 繰 り返 し実 験 を行 うわ けだが 、配 置 を 間違 うこ とな どを さけるた めに作成 し た。
○手順 被験者 2人 1組 で、1組 ず つ 対人 実験 を行 った。初 めは一方 に被験者 にな っ
女性 jl男 性 j
ttfk
i
て もらい 、 もう片方 には実験者 にな つ
rt}l
て も ら う。 被験者 に関 して全 配 置 パ 男性 ll女 性
]
ターンの実験が終了 した ら、今度 は被 実験進行表 図 2-2
験者 と実験者 の人 を入れ替 えて 、同様 に実験 を行 う。
0性 別 組 み合 わせ 4通 りのす べ て の性 別組 み合 わせ ご とに均 等 に 6つ ず つ デ ー タを得 る こ とが で きる よ うに、被 験 者 と実験者 の性別 の組 み合 わせ を設 定 した。 また 、性別組 み合 わせ が 同 一 な実験 は同 じ日に行 うこととした。
○ 配 置 パ ター ンの 実 験 順 序 順番 に対す る慣れ によつてス トレス値 へ影響 がで るの をさけるため、対人実験 を行 う配置 パ ター ンの順序 に関 してはある程度、法則性 がないよ うに工夫 の上 、設 定 を した。
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19
第 2章
2-2実
方法
験方法
2-2-1
実験 の概 要
※計
単独 で 標準 ス トレス値 を 測定す る
15パ ター ンの配 置 に関 して、以下の手順を繰 り返す
対人状況 にお け る ス トレス値 の測定
(1分 間 )
〉
被験者 の 日線 の 高 さを計測
〉…
(1分 間 )
ア ンケ ー トな どの 定性 的手法 に よる場 合 は 、被 験者 が選択 す る選択 項 目とな る言葉 に対す る感 覚 の認識 に 個 人差 が あ る と思 われ 、それ らを平等 に比 較 す る こ とは難 し い と考 え る。 一 方 、 ス トレス 量が数値 と して測 定 され る ス トレス 量計測器 に よる定量的 な手 法 の 場合 も個 人 差 が 発 生す るた め 、そ の ままで は 個人 内 の比 較 はで きて も、個 人 間 の比 較 を行 うこ とはで きな い 。 そ こで 、各配 置 パ タ ー ン ご との計測 を行 う以前 に 、 そ の 直前 の 単独 時 での ス トレス 値 の測 定 を行 い 、 記 録 した。 ス トレスの少 な さを表 す 「ス トレス指 数 」 を後 々算 出す る際 には 、 この標 準 ス トレス との 変化 率 に よつて 計 算 を した。 また 、実験 用 の座 イ ス に関 しては 、座 つ た ときの視 点差 の 種類 は同一 にな る よ うに 設定 は して あ るが、そ の視 点 の 高 さは人 に よ り異 な るた め 、予備 デ ー タ と して 各 協 力者 の 、 3種 類 の 実験 用 イ ス にて座 姿勢 を とつた 場 合 の視 点高 さを参 考資 料 と して 測 つた。 また実験 の 際 の 注意事項 と しては 、被験者 と実験者 はあ くまで も他 人 同 士 とい う設 定 で本研 究 は な りた つて い るた め 、協力者 間 で の 実験 中 の 会話 は 一 切 禁 上 し、待機 中は互 い に背 中 を向 けた配置 にな つてい る座 椅 子 に、 椅 子 の設置 した方 向 と と同 じ 方 向を向 い て座 って も らった。 また、発 汗 量 は、睡眠不足 、 ニ コチ ン摂取 、 カ フェイ ン摂 取 な どの 状 況 を もつ 被 験 者 か らは正 常 な測 定がで きな い場合 が あ る の で 、実験 開始 前 に各被 験 者 の状 況 に関 す る ヒア リン グを行 い 、条件欠陥 の有無 を記 録 した。
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20
第 2章
2-2-2
方法
実験 の フ ロー チ ャー ト
指示 され た方 向 を 向 いてイ スに座 る 「イ スの座 り方」 の説 明 ・ 視線 はイ ス と同 じ方 向 にまっす ぐに向 け る 。首 と体 と目線 は移 動 させ な い 。相 手 と目が合 う場合 には互い のの ど元 あた りの一 点を見 る
被験者 Aに
GRSを 装着
耳栓 をつ ける + 目をつ ぶ る 指示 され た 方 向を 向いてイ ス に座 る
耳栓 をはずす 目を開ける
被験者 Bの イ スを配置す る
被験者 Aの 肩 に触れ る
※12秒 経過地点で 目を開ける ○同様 の手順で 15の 配置 パ ター ンに関 して実験 を 行う
地面か ら目までの 高 さを計測 被験者 の
被験者AB共 に 待機席で待機
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GRSを はずす
○一人の被験者 に関 して全 配置 パ ター ンの測 定工程 が終了 した ら、被験者 と 実験者 を逆 に して、実験 者 に対 して も同様 に 15 パ ター ンに関 して実験 を 行う
21
第 2章
方法
○ 実 験 の フ ロ ー チ ャ ー トに 関 す る 説 明
― 「 イスの座 り方 」 の意 味 ― 本 実験 にお いて は、被験者 。実験者共 に実験用イ スの座 り方 を限定 させ て もらつた。 「イ スの座 り方 」 の 説 明は以 下 の よ うに行 つた。 。視線 はイ ス と同 じ方向 に ま つす ぐに向 け る 。首 と体 と 目線 は移動 させ な い 。相手 と目が合 う場合 には互 いのの ど元 あた りの一 点 を見 る
以 上の よ うに座 り方 を指 示 した。 す べ ての 協力者 に同 じ座 り方 を して も ら こ とで 、 目をそ らす 、な どの よ うに ス トレ ス を回避 しよ うとす る行動 に よる個人 差 を回避 した。 また、視線 をイ ス と同 じ方 向 にま つす ぐに向け る意 味 と しては 、 比 較 的 ス トレス を 感 じや す い 状 況 (な ん とな く相 手が 自分 の ことを見 て い るきがす る)に 設 定す る こ とで、す べ て の配置 パ ター ンにお いて の ス トレス を とらえやす くした。
→
個人 差 をな くす ための統 一
― 「耳栓 を つ け る 。目を つぶ る」の意 味 ¨ 実験 の工程 の 中 で 、被験者 に 目をつぶ り耳栓 を装着 して も らい 、そ の 間 に配 置 パ ター ン に従 つ て設 置 した座 椅子 に実験者 を案 内 し、座 って も ら うとい う部 分 が あ る。 こ れ は 、次 の座 る位 置 まで実 験者 を案 内す る ところをた とえ一 瞬 で も被 験 者 が 日に し て しま つた り、人が移動 す る音 な どに よつて予測 がつ いて しま つた 場 合 、 まだ測定 装 置 を作動 させ て い な い に もかかわ らず 、そ の瞬 間 に次 の 配置 パ タ ー ン に対す る初 期 反応 をお こ して しま う。 そ して 、 い ざ装置 を作動 し、演1定 を開始 した場 合 に得 ら れ る ス トレス値 は 「慣 れ 」 に よ つて 真 の ス トレスの 値 とは異 な る もの とな って しま う。 これ を防 ぐた めに 、実験者 が配 置 へ 移動 す る間 は 目をつ ぶ り、耳栓 を装 着 して も らい 、無視 界 ・ 無音状態 の 中で 、肩 をた た くまで待機 す るよ うに した 。 →
長 時 間 にお よぶ実験 に よる疲れ の 緩 和 のため
→
実験者 の 次 の配置 の 予測 を防 ぐた め
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22
第 2章
― 「
12秒 経過 時 点で 目を開 ける」 ことの意味
方法
‐
これ は、 プ レ実験 を行 つ た際 、身 体 的発汗 が 引 くまで に最 大
12秒 かか つてい た こ
とか ら、待機 用 の イ スか ら測 定用 の イ ス まで移動 した 際 の 身体 的発 汗 の測 定 を避 け、 対 人 に よ る精 神 性 発 汗 の み を測 定 す るた め に、被 験者 (測 定者 )に は測 定 開始 後
12秒 経過 してか ら 目を開 けて も ら うこ とと した。 この動 作 は 単独 時 の一 分 間計浪 1
の 際 には行 わなか つ た。 →
身体的発汗 の演1定 を さけるた め
― 「測 定 1分 間」 の理 由 ―
これ は、心拍 計 に よるプ レ実験 を行 つ た結果 、測 定 開始直後 に受 けた ス トレス に よ る心拍 数 の増加 が あ らわ した 波形 が 、多 くの場 合
1分 以 内に単独 時 の波形 とほぼ同
一 にな るまで回復 して いたた めで あ る。 さ らに、心拍 計 に よる ス トレス反応 は発汗 に比 べ て緩 や か で あ る こ とが わか つて お り、発 汗 の場合 は即座 に ス トレス に対 す る 反 応 がでや す い性 質 を も つてい る こ とか ら、心拍 計 で 1分 間 で足 りて いた 測 定時 間 をそ のまま発 汗 を指標 とす る測 定 の 際 に も適 用す る こと と した。
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23
第 2章
2-2-3
方法
配置 パ タ ー ン
配 置 パ ター ン は、「対人 距 離 」 と 「体 の 向 き」 と 「視 点 差 」 の 3要 素 に よ つ て構 成 され て い る。 各 々 の パ タ ー ン数 は 「 1」 「 3」 「 5」 で 、 これ らの 要素 の組 み合 わせ に よつ て 、
15パ ター ンの配置 がで きる。
○対人距離 の決 定 につ いて 本研 究では配置 パ ター ン (次 項・ 表 去 の指示語領域 に関す る研 究 和彦
1)の 構成要素であ る対人距離 に関 しては、過
座位 にお ける個人空間 の指示語領域 の分節』西 出 日本建 築学会大会学術講演梗概集 1997.9 p.711)の 中で、近す ぎず 。遠
す ぎない領域
(「
(『
ソレ」)の 境界 の 開始地点 であ つた こと と、 さらにプ レ実験 の 際、
多様 な姿勢 に よる微妙 な感受 ス トレス を確実 に測定で きそ うな対人距離 を ヒア リン グによつて検証 を行 つた末 、「1,35011nl」 とした。
作業格子
鰤加知知mmm一o勁o 抑
‐ 3:"‐ 2m‐2m‐ lo.:3"導
"枷
●
●50 蜘0
13,1002"2詢
3"136m
座位者の指示語領域 図 2-3
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24
第 2章
方法
○視 点差 の決 定 につい て 本研 究では、 パ ー ソナル スペ ースが二 次元的 に拡 が りをもつ とい う仮 定 の も とに、 近 い対人距離 にお いて も、座位者両者 に視点差 を も うける とで互い のス トレス が減 少す るのでは な いか とい うことを考 えている。 このため、視点差 に関 しては、対人 距離や体 の 向き よ りも比較的 パ ター ン数 を多 めに設定 し、視点差 によるス トレス量 の軽減 に関 して 、 よ り詳細 に解明す ることを 目指 した。 また視点差 の寸 法 の決定要因は、高 さが 4 0 0nmlと
70011mの 椅子 で座 姿勢 を とつ
た とき の平均的視点差 が 「+280」 であつた ことか ら、 この寸 法 を もとに逆算 し て もとめた。 ーンは 「-560」 「-280」 「± 0」 「+280」 「+560」 とした。 パ ター
□ 』 ]座
の 子 さ 高 綺 E]□
←視点差 パ ターン 「 0」 座椅子の高 さ 出
子の高さ □[]酢
↑ 視点差 パ ターン 「280」
←視点差 パ ターン 「560」 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
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25
第 2章
方法
○ 体 の 向 きの決 定 につ い て プ レ実験 を行 い 、 自分 か ら対人距離が
1,350111111の
ところの対人 に対 して感 覚 の ヒア
リング を行 った結果、体 の 向きが 90度 以上の場合 は、相手が 自分 の視界 に入 らず、 そ の た めか相手 の存在感 す ら感 じず に圧 迫感 が ま っ た くな い とい うことがわか つ た。それが、 90度 を境 に相手 の存在 を意識す るよ うにな り、そ こか ら 0度 までの 間は比 較的圧迫感 がある とい うことがわかつた。 よつて 0度 か ら 90度 の範 囲を ス トレス量計測 の対象 とした。 またそ の間を 「 0度 」「45度 」「90度 」に 3分 割す ることで、後 の予測 モ デル式 の精度 をあげる ことを考 えた。 次項 に、 これ らの 3つ の要素
(「
対人距離」「視点差」「体 の 向 き」)の 組み合 わせ に
よる配置 パ ター ンの詳細イメー ジを載 せ る。
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26
第 2章
方法
○配置 パ ター ン
O対 人距離 すべて1,3mmで 統一 0体 の向き :0° / 45° / 90°
※被験者 と実験者の体の向むいている方向が作 り出す角度
O視 点の高 さ :見 上げる (-280)/同 じ高 さ 見上 げ る
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(-560)
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(±
0)/見 下ろす
(+280)
見下ろす (+560)
27
第 2章
2-3実
方法
験環境
2-3-1
実験 空 間
○場 所 早稲 田大学大久保 キャンパ ス
55号 館 S棟 9階
サ ロン
実験空間の様子 図 2-4
○実験 空 間 の選 定理 由
実験 を行 う空 間 に必 要 とされ る条件 を考 えた際、本研 究 は、些 細 な現象 に も敏感 に 反応 を示 す特長 を持 つ ス トレス を扱 うこ とにな るた め、以 下 の よ うな条件 を満 たす こ とを条 件 と した。 ・ 外部 の音 ・ 風 、内部 の温 度 ・ 湿度 な どに よるス トレス値 へ の影 響 を 防 ぐのに適 した空間 ・ 色 に よる影響 を除外す る るた めに、 自色 を基調 と した空間 ・ 窮屈感 をおぼ える規模 の空間 であつて はな らな い
以上 の 条件 を満 たす 空間 と して選定 をお こな った 。 図 2-4が 実験空 間 の様子 あ る。
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28
第 2章
方法
○実験の準備 選 定 した実 験 空 間 の 中央 に被験者 の 実験用 イ ス を設 置 し、視 界 に入 つて くる事象 に よる ス トレス 値 へ の影 響 を さけるた めに 、被験者 が座 姿勢 を とつ た とき に前方 に 自 色 のカー テ ンが 視界 の 大部 分 を覆 うよ うに設置 した。 (図
2-5)
ス トレス値 は 、例 えばイ ス か ら一 度 立 ち上が っ てそ の ま ま座 る とい う単純 な身体 的 運 動 を行 うだ けで変化 して しま うた め 、測 定者 であ る被 験者 の身体 的運動 を避 ける た めに配慮 を した。 実験 に関 して 、被 験者 (測 定者 )を 中 心 に、被 験者 の視 点 か ら 1,350nullの 距 離 の 、体 の 向 きが (図
0∼ 90度 の範 囲内 に実験者 が座 る とい う形 を とった。
2-6)
しか し配 置 パ ター ン を交換す る際 には必然 的 に被 験者 に も身体的運動 を促 す こ とと な つ て しま う。 この 問題 に対 しては 、配置 を交換 す る間 の 待機 用 の座 椅子 を近距離 にお く ことで 身 体 的運 動 に発 汗量 を最 小 限 にお さめ る こ とや 、 プ レ実験 の 結果 に よ る発 汗が引 くま で にか か る時間 を適 用 して 、測 定 開始 か ら 12秒 後 に 目を開 けて も ら うことな どの 対策 を とつ た。
被験者 の視界 図 2-5
‐
b
実験 図 2-6
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29
第 2章
2-3-2
方法
実 験機 材
○ 実 験 用 の イ ス に 関 して 本 実験 に あた って は、幅 ×奥行 き ×高 さが 「400×
400× 150」
「400×
400× 400」「400× 400× 700」 の 3種 類 のイ ス を用意 した。 (図 2-7) ス トレス値 へ の影 響 ので る可能性 の あ る色や形 状 に関 して も考慮 し、全 面 を 自色 と し、 また特 徴 的 。印象 的 な形状 は さけ、単純 なキ ュー ブ型 と した。 ―イス の座 り方 ― 。視線 はイ ス と同 じ方 向にま つす ぐに向け る 。首 と体 と 目線 は移動 させ な い 。相手 と目が合 う場 合 には互 いのの ど元 あた りの一 点 を見 る
400の イ ス に関 して は 、座 面 の 中心点 の垂 直鉛 直線 上 に視 点 が来 る よ うに。 また 700の イ ス に関 して
以上の
3項 目に加 え 、座 り方 の指 示 と して 、高 さが 150と
は 、座 面 の角 の臀部 を のせ てい る箇所 の垂 直鉛 直線 上 に視点が来 るよ うに指示 した。 点間 の距離 とな る。 対人 を設 置す る場合 の 対人距離 1,350nlmは 、それ ぞれ指 定 した地′
実験用のイス 図 2-7
早稲 F11大 学理
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30
第 2章
方法
―イスの高 さの決 定 ― 視点 が くる べ き地 点 を指 定す るよ うに してい る こ とに よ つ て あ る程度 、座 姿勢 を制 限 してい てす るわ けだが、それ が無理 な体勢 を強制 してい るよ うであれ ば、 ス トレ ス値 に大 きな影 響 を与 えて しまい 問題 が あ る。 イ スの 高 さの寸法 に関 しては 、 くるべ き地 点 に視 点 を合 わせ て座 姿勢 を と つ て も違
2-8)、 そ の寸 法 を踏 ま えた うえで 4つ の 視 点差 パ ター ン にお け る人 の 視 点 の 差 が 「 280」 と「 580 」の 2通 りの み に な る よ う逆 算 を し (図 2-9)、 そ れ ぞれ 「 700」 「 400」 「 150」 と した。 和感 な く座 れ る高 さを建 築設 計資料集 成 よ り参 考 に し (図
―イスの座 面 寸法 の決定 ― す べ ての縦 ×横 の 寸 法 が 400×
400
に統一 され て い る の は、幅 が広 す ぎ る 。 狭す ぎる、 また は気 持 ちが よい 。落 ち着
+
+
かない とい うよ うな極 端 な感 覚 を受 けな い よ うに、 一 般 的 に用 い られ る個人用椅 子 の寸法 を適 用 した 。極端 な感 覚 に よる ス トレス 値 へ の 影 響 を避 け る た め で あ る。
椅子の高 さ寸法 と姿勢 図 2-8
椅子の高 さの算出 図 2-9
2004年 度修士論文
■■ 00
早稲田大学理 工 学部建築学科渡辺仁史研究室
第 2章
方法
○精 神 性 発 汗 量 測 定器 本研究 では 、機械 工学 のみ な らず電気電子 工学、情報 工学 と非常に幅広 い学問分野 を統合 した分野 である ロボ ッ ト技術 に加 え、人間 の メカニズム を工学的 に解 明す る とともに、人 間 と共生す る ヒューマ ノイ ドロボ ッ トの開発 を通 して 、物理お よび心 理 を統合 した メカニズム に関す る研 究 を行 つてい る、早稲 田大学理 工学部機械 工 学 科 の高西研 究室 の作成 した発汗測定回路お よび 、測定 によ り得 た情報 を PC画 面上 で表示 させ る ソフ トを使 用 した。 (図
2-10)
個 人 に発 汗 が お き る と同時 に皮膚 に 発 生す る、抵 抗 の 逆 数 で あ る皮 膚 コ ン ダクタ ンス (SCC)が 当器 具 に よつ て PC上 で波 形 として とらえ られ る。 当器 具 は 0.02秒 間隔 で SCCを とらえ、 そ の 後得 た デ ー タを 自動 的 に記録 す るよ うに設 定 され てい る。 PC画 面上 に表示 され る波 形 の 値 は皮 膚 コ ン ダ ク タ ンス の 実 際 の 値 の 逆 数 の 1/SCC
精神性発汗量測定器 と PC画 面 図 2-10
とな る。 つ ま リソ フ トの 操 作画 面 上 に表 示 され る波 形 を解 釈 す る場 合 、 精神 的 ス トレス が 増 す こ とで発 汗 量 は増 し、 PC上 に表示 され る値 は減 少す る とい う こ とにな る。 測 定終 了後 、記 録 され て い るデ ー タ は 自動 的 に PC_Lに 保 存 され 、1/SCC の 時系列 デ ー タ と して 閲 覧 す る こ と ができる。本研 究では、得 られ たデ ー タを micrOsoft社 製 の Excelで 開 き、 数値解析 を行 っ た。
lA・
7.2V以 上 の直流電源 につ な
がれ た回 路 を、 中指 の 第 一 関節 と第 二 関節 部 分 の 手 のひ ら側 に 1箇 所 ず つ 装着 した電 極 へ 接続す る。 (図
11)そ
2-
こで 発 汗 は感 知 され 回路 を
通 じて PC画 面 へ と転送 され る。 早稲田大学理 工 学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
装着時 の様子 図 2-11
32
第 2章
2-4
方法
分 析 に む けて
2-4-1
デー タの コー ド化
○ コー ド化 管理・ 解析 のた め 、測定に よ り得 られたデ ー タの数値行列 の最前列 に、以下 のの項 目か ら当てはまる コー ドを選択 し、そ の 7桁 の数字 を加 えた。
デー タ種別
1.心 拍 2.発 汗 (2) 実験種類
1.プ レ調 査 2.修 論 実験 (3) デー タ測定状 況
0.単 独 時 1.対 人 時 (4) 被験者性別
1.男 性 2.女 性 (5) 実験者性別
0.な し 1.男 性 2.女 性 (6) 配置 パ ター ン
(7) 被験者番号 。名 前 。実験 日 ・
性
別
・ 条件欠 陥 (睡 眠不足 、 ニ コチ ン摂取 、 カ フェイ ン摂 取 etc)
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
33
第 2章
2-4-2
方法
デ ー タ の統合
○デ ー タの変換 測 定器 によって得 られ た生デ ー タは 0.02秒 間隔 の時系列 で 1/SCCの 値 が記録 され ている。デ ー タ解析 の結果、最大 1秒 の間隔で も十分 に波形 を再現 できる とい うこ とがわか り、 1秒 間隔 のデ ー タヘ と変換 した。
○ デ ー タの統 合 先頭 に コー ドの加 わ つた 1秒 間隔 の時系列デ ー タをす べ て excel上 の 同一のシー ト に貼 り付け、 これによ り本実験 の結果分析 の準備 が整 った。
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2004年 度修士論文
34
第 3章 分析
第 3章
3-1
分析
分析方法 1/SCCの 時系列 のデー タを折れ線 グラフ化 した結果 、多様 なタイプ の波形 が 存在す ることがわか った。そ して、 これ らを一 定 の規貝Jに 従 って平等 に評価す る こ とが必 要である と考 えた。 まず、グラフ解析 の結果抽 出 された、波形 の評価 の際に もつ とも重要 とな る要素に つ いての定義 づ けを行 い
(「
3-1-1
それ らを用 いて 、 どのよ 要素 の定義」 )、
うに波形 か らス トレス量 を判定す るかを明 らかにす る。 (「
3-1-2
ス トレス量
の算 出方法 」)そ して 、個人間 の比較 な どに用 い るために必要 な ス トレス指数 の算 出 の方法 を示す。 (「
3-3-4
ス トレス指数 の算出方法」 )
「ス トレス 量」 はあ くまで も個人 の個 々の波形 があ らわ してい るス トレス の 量 を数 値化 した もの であ り、個人間でそれ を比較す る ことによる意味はな く、む しろ して はな らない もの と考 え られ る。 これ を用 いての比較 は、個人 内 のみに限 られ る。 こ れ に対 して 「ス トレス指数」 は、直前 に単独 時に測定 した ス トレス量か ら、個人 の 対人状況下にお ける波形か ら算 出 され るス トレス量 へ の変化率 の ことを表 している ため、個人間 の比較 をす る際に欠かせない ものである。 「ス トレス指数」に よつて個人間を同条件 で比 較す る ことが可能 になる。
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36
第 3章
3-1-1
分析
要素 の 定義
○ 標 準型 波 形 の説 明 実験 に よつ て え られ たデ ー タを棒 グ ラ フ化す る と、図 3-1の よ うな グ ラフが得 ら れ る。 この波形 は 、対人 に対 して 明 らか な ス トレス 反応 を示 してい て 、 また もつ と も多 く見 られ る標 準的 な例 といえ る。
12秒 を経過 した時点で被 験者 は 目をあ ける。 そ の 瞬 間、 自分 の近辺 に座 る実験者 の 存在 を認識 し、ス トレス を感 じは じめ る。 これ に よ リグラ フ は急激 に下降す る。 (こ の 下 降 の度 合 い は配 置 パ タ ー ン に よ つて それ ぞれ 異 な る と考 え られ る。)そ して し ば らくす る と、実験者 との対人 状況 に対す る慣 れ か らス トレス が減 少 し始 め る。 こ こで グラフは下降か ら上昇 へ と転 向す る。 次 項 では 、 この 標 準的 な グラ フに 関 して共通 してみ られ る要素 を定義 づ けを紹 介す る。
[1/SCC波 形](対 人時 ) C C S 5 0 5 ︲ ︲ 0 6 6 6
͡
_―
1
/
ヽ
V
V
10
19
28
37
/
/
46
55
秒
標 準 的 な波形 の例 図 3-1
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37
第 3章
分析
○各評価 地点 の 定義 図 3-2に 標準的 な波形 の例 を挙 げ る。 以 下 の 4点 が評価 地点 である。 。 「 d点 」 (datums point):基 準地点
12秒 経過 後 で波形 がそれ まで とは異 な る傾 きを もつて 下降 を開始す る最 初 の 地点 ・「m点 」 (minimum point):ス トレス評価 地点
d地 点以 降で、 グラフが下降か ら上昇 へ と転換 し、 かつ 、値 が 最小 な地 点 。 「 r地 点 」 (recovery point):回 復 地点
m地 点 以 降で、 d地 点 と同様 の 値 を もつ よ うにな る最初 の 地点 。 「 f地 点」 (lnish point):評 価 対象終 了地点 測定開始 か ら 53秒 経過 した地 点 評価範 囲 は測定 開始 か ら 12経 過 時点 か ら 53秒 経過 時点 まで とした。 比 較 を行お うとす る複 数 の波形 デ ー タの 中に、 た とえ
1秒 であつて も計測 デ ー タが欠 けて い る
も のが あ る と、平等 に比 較 す る こ とが で き な くな る。 全 て の デ ー タ を調 べ た結果、 最 もデ ー タの欠 乏 が 多 く見 られ た波形 も、53秒 までの数値 は確保 できて い た。 よつ てその波 形 と他 の波形 に関 して も平等 に比 較 を行 えるよ うに、 53秒 まで と した。 [1/SCC波 形](対 人時)
1/SCC
12秒
53秒 時点
時点
615
f
ゾ ノ
/
く
=″
ー
/
▼ m点
1
10
19
28
37
46
55
秒
標 準 的 な波 形の 例 (評 価 地 点記 入 ) 回 3-2
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38
第 3章
3-3-2
分析
ス トレス量 の算 出方法
○ 総合 ス トレス 「 s」 の算 出 各波形 のス トレス 量評価手法 の基本 的 な考 え としては、「 12秒 経過後 に ス トレス を感 じ始める瞬 間 を基準 とし、そ こか ら 53秒 経過時点 までのグラフの上 昇 と下降 の総合的な割合 で評価す る」である。 そ こで 、 ス トレス を量的な もので とらえる必要性 があると考 え、面積 に よる評価 を 行 うことに した。 グラフが 下降 していれば、 ス トレス量 が増 えてい る ことを意味 し、ま た逆 に上昇す れ ば ス トレス量が減少 した とい うことに なる。そ こで、 『 d点 か ら水平に延長 線 を引き、それ よ り下側 に位 置す る部分 の面積 は 、 ス トレス を感 じ、そ の分元 の標 準値 まで回復す る の にかか つ た 「負 の面積」 と して とらえ、 また上側 は、標準 のス トレス状態 よ りさらにス トレス量が減 っていつてい る とい う ことで「正の面積 」 として とらえたその総合面積』 を 「総合 ス トレス量」 として定 義 した。 (図
3-3)そ
の算出方法 を以下 の よ うにま とめた。
算 出式
:
=「 負の面積」 +「 正の面積」 「負 の面積」 =t(d→ r)・ (Ym一 Yd)/2 「正の面積」 =t(r→ f)・ (Yf一 Yr)/2
総合 ス トレス量 「 s」
[1/SCC波 形収 対人時 )
f d5 0 5 0 C5 OY 0Y ︲ 6. 価 6 9 5 9 5 8 5 0 8 C 6 5 S
12秒 時 点
53秒 時 点
f
管 │
l m点
01928374655 …
ヽ
ノヽ t(d→ r)
ノ
t(r→ o
総合ス トレス量の面積部分 図 3-3
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2004年 度修士論文
39
第 3章
分析
○初期 ス トレス量 「 sm」 の算 出方法
前項 の 「総合 ス トレス量」 は 、測定開始 の 12秒 経過時点 か ら 53秒 経過時点ま での 間に個人 が感 じた 「負 のス トレス」 と 「正の ス トレス」 を総合 した ス トレス量 を意 味 してお り、比較的長期 間にわ たつて対人状況 が続 いた場合 の総 ス トレス量な どを あ らわす の に用 い る。 これ に対 して 「初期 ス トレス 量」 は、グラフで定義 をす る と、 d点 か らm点 までの 負 の面積部分 とい うことになる。 (図
3-4)具
体的 には、 d点 ・m点 と、 d点 か ら
の水平延長線 と m点 か らの鉛 直延長線 がま じわる地点の 3点 が作 る三角形 の面積で ある。 これは単独時か ら対人時に変 化 した瞬間 の初期的 に受 けるス トレス量 をあ らわす の に用いる。そ の算出方法 は以 下 のよ うになってい る。
算 出式
:
= (Yd一 Ym)″ /2
初期 ス トレス量 「 sm」
t(d→
m)・
[1/SCC波 形 1対 人時 ) d 5 ‰ C 5 5 5 0 0 0 0 ︲ 0 0 Y 9 9 8 8 C ︲ 6 6 5 5 5 5 6 S 6
12秒 時 点
10
1
53秒 時 点
り
28
37
t(d→ lol
初期ス トレス量の面積部分 図 3-4
早稲田大学理 工 学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
40
第 3章
3-3-3
分析
波形 の分類
○波形 の分類 アル ゴ リズム
□ ←一 _r点 が 存在(A―
型波形
)
歩 一 する
日
(S型 波形 )
↓ ス トレス量 「s」
―ケース 4判 定範 囲
:
測 定 開始 か ら 12秒 後 ∼ 早稲田大学理工学部建築学科清初仁史研究室
―ケース 5-
2004年 度修士論文
53秒 後
41
第 3章
分析
○波形 の分類 、お よび総合 ス トレス量 の算 出方法 ―「A十 型波形 」一 (ケ ー ス
1)
測 定 開始 か ら 12秒 後 か ら 53秒 後 の 間 に、f点 以外 の地 点 が 存在 しないケ ー ス
:
一総 合 ス トレスの算 出方法 ―
d点 が な い :初 期 ス トレス がか か らな い とい うこ と。 12秒 経過 時 点 で 目を開けた瞬 間 の 対 人 か ら受 け るス トレス が ま つ た くな く、そ の後 も緩や か に ス トレス値 が減 少 してい る。 ス トレス 量 は正 の値 とな る。
総 合 ス トレス を も とめ る際 は、 12秒 経過 時 点 か ら 53秒 経 過 時 点 の 間 の 波形 部 分 に 関 して傾 き
(A)を 持 つ 近時直線 を表示 し、それ によ り総 合 ス トレス量 を算 出す る。
波形 に見 る ス トレス 量 をあ らわす 面積 部分 は図 3-5に 示 す。
[1/SCC波 期
(対 人時
)
C珈 枷 枷 鉤 鰤 知 鰤 5 0 。 C ︲mm S
53秒 時点 1
m帥綱仙枷抑詢”蜘Ш”.
1/SCC波 初 (対 人時) 〔
12秒 時点
早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁史研究室
+
f
A+型 波形の面積部分 図 3-5
2004年 度修士論文
42
第 3章
分析
―「A― 型 波形 」 ― (ケ ー ス 2)
演1定 開始 か ら 12秒 後 か ら 53秒 後 の 間 に、 d′ 点と f点 の み存在 す るケ ー ス
:
一総合 ス トレスの算 出方法 ―
d点 が あ る :初 期 ス トレスがかか る とい うこと。 12秒 経過 時点で 目を開 けた瞬 間 に対 人
(実 験者 )か らス トレス を受 け、そ の後
d点
の値 まで回復す る傾 向は見 られず 、緩や か に ス トレス値 が増加 し続 ける。 ス トレス 量 は負 の値 とな る。
総 合 ス トレス を も とめ る際 は 、 時 曲線 を表示 し、傾 き
d点 か ら 53秒 経 過 時 点 の 間 の 波形 部 分 に関 して近
(A)を 求 め、そ の を持 つ 近似 直線 を表示 し、それ に よ り総
合 ス トレス量 を算 出す る。 波形 に見 る ス トレス 量 をあ らわす面積部 分 は図 3-6に 示す。
“¨ “ ¨ “ 鰤 瑯 ﹃
\
´
V
錦
\ │ _│
“鋤¨如¨﹃枷仰輌輌枷
1/SCC菫 影]("人 〔 ",
■」
ヽ
i■_二
ヽ ヽヽ /
__
―
0枷¨如 4 “頭輌“¨¨伸4 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
`、
ン
で
A― 型波形の面積部分 回 3-6
2004年 度修士論文
43
章 の名前
―「 A― 型 波 形 」 ― (ケ ース 3)
測定開始 か ら 12秒 後 か ら 53秒 後 の間に、 d点 とm点 と f点 のみ存在す るケース
:
―総合 ス トレスの算 出方法 ―
d点 がある :初 期 ス トレスがかか るとい うこと。 12秒 経過時点 で 目を開けた瞬間 の対人 か らス トレス を受 け、そ の後 はス トレス値 が 減少 し、グラ フは上昇す るが、 d点 まで完全 に回復 しき らな い。 ス トレス量は負 の値 となる。 総合 ス トレス を も とめる際 は 、ケ ース 2の 場合 と同様 、 d点 か ら 53秒 経過時点 の
(A)を 持 つ近時直線 を表示 し、それ によ り総合 ス トレ
間 の波形部分 に関 して傾 き ス量を算出す る。
波形 に見るス トレス量 をあ らわす面積部分は図 3-7に 示す。 [1/SCC波 ●l〈
中
ゆ¨ ¨ “ “ “ 瑯 柳
"人
\
ハ′
\ ―
“““¨“呻¨”¨”瑯
[1/SOC浚 嗣 ("人 ● )
ヽ
F_。
ヽ
。 m18麺 嘔 4
ヽ \
ノヽ
´、′
峙
[1/SC● 菫
椰田 “ “ “ “ 一 ” 鰤 蜻 贅 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
)
"l lH人
A― 型波形の面積部分 図 3-7
2004年 度修士論文
44
第 3章
OS―
―「 S+型 波 形
分析
型波形 」―
(ケ ース 4・ ケース 5)
測定開始 か ら 12秒 後 か ら 53秒 後 の 間 に、全て の地点が存在す るケース
:
一総合 ス トレスの算 出方法 ―
d点 がある :初 期 ス トレスがかか る とい うこと。 12秒 経過 時点で 目を開けた瞬間 の対人 か らス トレス を受 け、そ の後 はス トレス値 が 減少 し、基準値 まで回復す るまで の部分 のス トレス量は負 の値 となる。 総合 ス トレス をもとめる際は、 d点 か ら水平 に延長線 を引き、波形 と、 d点 の延長 線 とが囲い 込む部分 の 面積 を調 べ る。延長線 よ り下側 に位置す る部分 の面積 は、 ス トレス を感 じ、そ の後標準値 まで回復す るの にかか つた 「負 の面積」 として とらえ、 また上側 は、標準 のス トレス状態 か らス トレス量が減少 し続 けるとい うこ とで、「 正の面積」 として とらえたその総合面積 S― 型波形 :負 の面積部分 の方が正 の面積部分 よ りも大 き くなるケース
S+型 波形
:正 の面積部分 の方が負 の面積部分 よ りも大 きくなるケース
波形 に見 るス トレス量 をあ らわす面積部分は図 3-8に 示す。 [1/SCO波 期 (対 人時)
。 獅輌 9 蒙珈 詢 詢 昴 詢 珈 “ 詢 4
ノ
/ r点
1点
ノ
― ン
●
/
ヽ
7
[1/SCC波 鶴
(対 人■)
師m m 詢 渕 詢 勁 m ” “ 枷 ¨
12砂 時 点
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S+型 波形・ S― 型波形の面積部分 図 3-8 2004年 度修士論文
45
第 3章
3-3-4
分析
ス トレス指数 の算 出方法
本実験 では 、個人 のス トレス計測 に関 して、まず は じめに対人 のいない単独 時 の場 合 を測定 し、そ の直後 に対人 をお いた場合 を測定 した。 これ は、個人 のス トレス を 感 じる量の個人差 による、個人間 の比較 のむずか しさを克 服す るために行 つた。 単独時 のス トレス 量 と、対人 をお いた場合 のス トレス量 を算 出 し、それ らを比較す ることで ス トレス指数 が算 出 られ る。「対人 がい ない とき と、対人が い る ときのス トレス量 の違 い」によつて個人間 の比較 を行 えると考 えた。
○ 単 独 時 の 波 形 の説 明 ス トレッサー
(対 人)が 存在 しないため、負 のス トレスを感 じることなく、緩や か
にス トレス値 が減少 をつづ けたよ うな波形になる。 (図
3-9)こ の波形 は対人時
の場合 のA+型 波形 ときわめて似た波形 となってい る。 [1/SCC波 形](単 独 時 )
0 0 壼 6 才
1011
単独時の波形 図 3-9
ス トレス 量 を 2種 類定義 した。初期 ス トレス量 「 sm」
と、総合 ス トレス量 「 s」
である。 しか しこの値 のままでは個人間 の比較 は行 えないので 、 この 2種 類 のス ト レス量の全デ ー タに関 して、対 にな って い る単独時 のス トレス 量 の値 との比較 を行 い、個人間 に共通す る 「ス トレス指数」 を算 出 した。 その算 出方法は次項 に示す。
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46
第 3章
分析
○総 合 ス トレス 指 数 の算 出 ― 算出式― 初期 ス トレス指数「 S」
=総 合ス トレス量「 s」 /単 独時のス トレス量
(対 人時 の総合 ス トレス量が、同 じ時 間範囲 の単独時 のス トレス量 の何倍か をあ らわす指数 )
ここで 問題 になるのは対人時の ス トレス量 と比較 を行 うた めに、単独時 のス トレス 量を算 出す る際、 どの時系列範 囲に関す る面積 を求 めるか とい うことである。 そ こで 、単独時 のス トレス量 の算 出には 、対人時 のス トレス量 を求めた際 と同範 囲 の時系列範囲を適用 した。 (図
3-10)
初期 ス トレス量に関 しては、面積算出の際に適用 した時系列 の範 囲が分類波形 ごと にことな ってい るが、適用 の時間範囲に関 しては図 3-11に 示す とお りである。 [1/SCC菫 期 ("人 時 )
C“ ¨ 価 ¨ 瑯 枷 椰 鰤 C S
適用す る時間範囲 回 3-10
管 ″
/ [1/SCC波 期 (■ ■■ )
A+型 波形
(ケ ー ス
A― 型波形
(ケ
A―
単 独 時 に適 用 す る 時 間 範 囲
12秒 ∼ f点 の 時 間
ース2
型 波 形 (ケ ー ス
S+型 波形
(ケ
ー ス4
S― 型波形
(ケ
ース 5
d点 の時 間 ∼ f点 の 時 間
単独時へ の適用時間範囲 回 3-11
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2004年 度修士論文
鋼﹁ 輌 枷 如 ¨ 釉 m 。
対人 時 の 波影 タイ プ
7
46
:5
"
47
第 3章
分析
○初 期 ス トレス 指 数 の 算 出 ― 算出式― 初 期 ス トレス 指 数 「 Sm」
=初 期 ス
トレス 量 「 sm」
/単 独 時 の ス
トレス 量
(対 人時の初期ス トレス量が、同じ時間範囲の単独時のス トレス量の何倍かをあらわす指数)
初期 ス トレス には 、総合 ス トレスの場 合 の よ うに波形 のバ リエ ー シ ョンが 存在 しな い。 なぜ な ら、12秒 経過 時点 で対人 の 存在 を認識 した瞬 間 の負 のス トレス反応 の み を取 り扱 っ て い るか らであ る。
初期 ス トレス 量 を求 める際 の 時系列 の範 囲は、デ ー タに よつて それ それ異 な り、そ こに法則 性 はな い。 従 つて 、対 人時 の ス トレス量 との比 較 を行 い 、 ス トレス指 数 を 求 める場 面 にお け る の単独 時 の適用 時間範 囲 は 、対 人 時 の時 間範 囲 と同一 とな る。 (図
3-12) 口/SCC波 倒 (対 人時)
︲ m “ mm瑯L鰤 瑯 m 頭5 6
12秒 時 点
″
0撃
…
-74655秒
0 珈 如 0 ︺6
[1/SCC波 嗣
(単 彗
")
0 0 0 鰤 ︲ 1
10
19
23
37
46
55
秒
単独時に適用す る対人時の時間範囲 図 3-12
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48
第 3章
3-2 3-2-2
分析
分析結 果
波形分布による比較
分類 され た波形 にはそれ ぞれ特徴 とそ の 要 因があ り、それ ぞれ の波形 を得 た被 験者 の特徴 を述 べ る こ とがで き る。波形分類 に よ つ ては 個人 間 また い での評価 は行 うこ とはで きな いが 、測 定者 と波形 の 関係性 の傾 向は十分 に読 み取 る ことがで きる と考 え 、比較 を行 うこと とした。
○被験者 の性別 に よる波形 分布 の比較
[性 別組み合わせによる波形分布の比蜘
S― 型波形 と S+型 波形
:
被 験者 が 男性 の場合 の方 が 多 く見 られ る。 男性 の方が急激 な ス トレス反応 を示 しやす い ことがい え る。
A― 型波形 とA+型 波形
:
女性 の被験者 に多 く見 られ る。 女性 の方が緩 やか なス トレス反応 を示 しやす い こ とがい える。
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49
第 3章
分析
○性別組み合 わせ に よる波形 分布 の比 較
[性 別組み合わせによる波形分布の比劇
■ S― 型 国 S+型 日A― 型 ■ A+
S+型波形
:
被験者 :男 性 /実 験者 :男 性 の とき、極端 に多 くみ られ る。 これは、
男性同士では基本的にス トレス量が少ない ことを意味している。
A― 型波形
:
女性 の被験者 に多 く見 られた波形。 女性は対人の性別を問わず緩やかなス トレス反応 を示 しやす い 傾 向があるよ うだ。
A+型 波形
:
女性 の被験者 に多 く見 られた波形 。 女性 は対人の性別を問わず、ス トレス反応を示 しに くい 傾 向があるよ うだ。
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50
第
3章 分析
○体 の 向 き に よる波形 分布 の 比較
膵 の 向きによる波形 分 布 の 比 欄 ● S― 型
S+型 A― 型 ■A+型
S― 型波形
:
体 の 向 きが 0度 →
A+型 波形
45度 → 90度 と角度 が大 き くな るにつ れ減 少 してい る。
:
体 の 向きが 0度 → 45度 →
90度 と角度 が大 き くな るにつ れ増 えてい る。
以 上の こ とか ら、 体 の向 きの角 度 が 増 えるほ ど、ス トレス量が少 な くな る こ とが い え る。
S+型 波形
:
体 の 向きが 45度 であ る配置 パ ター ンの ときに も つ とも多 く見 られ る。
A― 型波形
:
体 の 向きが 45度 で ある配置 パ ター ンの ときに も つ とも少 な い。 以 上の ことか ら、 体 の向 きが 45度 の場合 は、 0度 ・
90度 に比 べ て比較的ス トレス量 が少 な い
こ とがい える。
2004年 度修士論文
■■ EJ
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
第
3章
分析
○ 各 体 の 向 き に お け る 視 点 差 に よ る波 形 分 布 の 比 較 ―体の向きが 0度 の場合 ―
[視 点 塾 による波 形 分 布 の 比蜘
一 体 の 向 きが 0度 の 場 合 ―
昨 0度
S― 型波形
o度
:
視 点差が -560か
ら+560ま へ と大 き くな るにつ れ 多 くみ られ る波形 。
対 人を大 き く見上 げる配 置 ほ どス トレス 量が 多い 傾 向があ る。
S十 型波形
-560で
:
極 端 に多 く見 られ る。
対 人 を大 き く見下 ろす配 置 はス トレス 量 が最 も少な い こ とがい え る。
A― 型波形
-560で
:
は見 られ ない波形。
対人 を大 き く見下 ろす配置 ではス トレス量 が 少な い こ とがい える。
A+型 波形
:
視点差が大 き い 方か ら± 0へ と収 束 して い る。 視 点差が な くな るほ どス トレス 量が増 え る傾 向が あ る。
早稲田大学理工学 部建築学科渡辺 仁史研究室
2004年 度修士論文
52
第 3章
分析
¨体 の向きが 45度 の 場 合
[視点 ■ による波形 分 布 の 比 靭 一体 の 向きが 45度 の 場 合 ― □ S― 型
S+型 _A― 型 ■ A+型
S+型 波形
:
視 点差が 一か ら+へ 大き くなるほ ど、多 く見 られ る波形 のよ うだ が 、視点差 が
+280は
例外的 に少 ない。
基本的に「大 き く見上げる」配置ほ どス トレス量が少ない傾向があるが、例外的に 視 点差 +280の 場合は ス トレス量が 多 いことがい える。
A+型 波形 と S+型 波形
:
視点差 が小 さくな るほ ど多 くみ られ る傾 向があるが 、 ± 0で は極端 に少 な く、そ の とき S+型 波形 は比較的多 い。 視 点差が小 さ くなるほどス トレス量が少な くなるが、視点差がな くな ると、ス トレ ス量が比較的大 き くなる傾 向がある。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
53
第 3章
分析
一体の向きが 90度 の場合 ‐
[観 点 避 による演 移 分 布 の 躙
一体 の 向きが 90度 の 場 合 ― ■ S― 型 暉 S+型 ■ A― 型 ■A+型
S十 型波形 と S― 型波形 ,べ
:
Ct/7視 点差によく見 られ る波形 Cあ るが、視点差が十
Z80で は比較的少な く
な ってお り、逆 に S― 型波形 は多 くな っている。 このことか ら 対人を小 さ く見上 げる配置 では、ス トレス量が比較的多い 傾 向がある ことがいえる。
A― 型波形
:
視点差 が 一か ら+へ 大 きくなるほ ど多 く見 られ る。 対人を大 き く見上 げる配置 ほ ど、ス トレス量が多い 傾 向がある。
A+型 波形 と S― 型波形 視点差が ± 0と +560の
:
場合 によくみ られ、逆 に S― 型波形 は他の視点差 に比 べ
て少 な くな ってい る。 この ことか ら 視点差が ± 0と
+560の
場合 は比較的ス トレス量が少ない傾 向がある。
早稲田大学理 丁学部建築学科渡辺仁史研究室 2CX14年 度修士論文
54
第 3章
3-2-3
分析
指数 に よる順位 付 け
○総合 ス トレス指数 「S」 に よる順位付 け 性別組 み合 わせ ごとに各 々の配 置 に関す る総合 ス トレス指数 の 平均 を求 め 、 そ の値 に よ り順位 付 けを行 つ た。視点差 の な い配置 を基準 と し、 比 較 に よ り視 点差 の あ る 配置 の有効性 を実証す る とともに、視点差 と体 の 向 き の 関係性 を さ ぐつ た。 ―被験者 :男 性 /実 験者 :男 性 の 場 合 ―
大 ▲T I I I 総 合
■04/+=● ●
ス ト レ
││1鵡 7● Ⅲ漱まL
ス 指 数 ︰l l
●:● 風率■●嶽 ■ ■
45産 /-280 45農 /-500
, 小
『
■
1擬E凛 蠣 鮨 1世 (■ 1
45壼 /+200
=■
0度 の場合
:
全 視点差 が有効。 大 き く 「見下 ろす」配置 ほ ど良い。 小 さく 「見上げる」配置 ほ ど良い。
45度 の場合
:
視点差は大 き く 「見上げる」配置 のみ有効。 小 さく 「見上げる」配置は厳禁。 「見下ろす」 に関 しては 、小 さく 「見下ろす」ほ ど基準 に近 づ く。
90度 の場合
:
視点差は大 き く 「見 上げる」場合 と小 さく 「見下ろす」場合 のみ有効。 (大 きく 「見 上げる」 >小 さく 「見下 ろす」)
早稲田大学理 工 学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
55
第 3章
分析
―被験者 :男 性 /実 験者 :女 性 の場合
大 → ︱l l総合ストレス指数 ︱ ︱ 小
45度 /+560 45度 /+280
0輸″■1婿 戦絣 │
10ν ■●10●
:■
45度 /-280
45度 /-560
0議 尋■
11崚 曲ノ■
0度 の場合
:
視 点差は大 き く 「見上 げる」場合 と、 小 さく 「見下 ろす」場合 の み有効。 (大 きく 「見 上 げる」 >小 さく 「見下 ろす」 )
45度 の場合
:
視 点差は大 き く 「見 上 げ る」 ほ ど良 い。 「見下 ろす 」場合 は、小 さく 「見下 ろす」 の み有効。
90度 の場合
:
視 点差 は大 き く 「見下 ろす」 ほ ど良 い。 「見 上 げ る」場合 は大 き く見 上 げ るほ ど基準 に近 づ く。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
56
第
3章
分析
―被験者 :女 性 /実 験者 :女 性 の 場合 ‐
大 →︱ ︱ ︱総︿ ロストレス指数 ︱︱ ︱ 小
Ot/― ‐ ユ●●
1‐
・
酔
45度 /+280 45度 /-560
.:
・・ ・
45度 /+560
00度 の場合 視点差は大 き く 「見 上げる」 と 大 きく 「見下 ろす」配置 のみ有効。 (大 き く 「見上げる」 く大 きく 「見下ろす」)
045度
の場合
視点差 は小 さく 「見下 ろす」配置 のみ有効。 「見 上げる」 に関 しては 、小 さく 「見上げる」配置 ほ ど基準 に近 づ く。
090度 の場合 視点差はな い方 が 良い。 大 きく 「見 上 げる」ほ ど基準 に近 づ く。 小 さく 「見下 ろす」ほ ど基準 に近 づ く。
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2004年 度修士論文
57
第 3章
分析
―被験者 :女 性 /実 験者 :男 性の場合
[
00度 の場合 全視点差が有効。
大きく「見上げる」配置ほど良い。 小 さく 「見下ろす」配置 ほ ど良い。
045度
の場合
視点差 は大 き く 「見下 ろす」配 置以外 は全 て有効。 小 さく 「見上 げる」配置 ほ ど良い。
090度
の場合
視点差 は大 き く 「見上 げるJ配 置 は ど良い。 大 き く 「見下 ろす 」配置 ほ ど基 準 に近づ く。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 20C14年 度修士論文
58
第 3章
分析
‐全性別組み合わせの平均順位 …
大 ︱︱︱総合ストレス指敏︱ ︱ 小 ,
00度 の場合 全視点差 が有効。 大きく「見上げる」配置 ほど良い。 大きく 「見下ろす」配置 ほど良い。
045度 の場合 視 点差は大きく「見上げる」場合 と 小 さく「見下ろす」配置 のみ有効。 (大 きく「見上げる」 >小 さく「見下 ろす」
090度 の場合 視点差 は小 さく「見下ろす」配置 のみ有効。 大きく 「見上げる」配置ほど基準に近づ く。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004年 度修士論文
59
第 3章
分析
○ 初 期 ス トレス 指 数 「 Sm」 に よ る順 位 付 け ―被験者 :男 性/実 験者 :男 性 ―
大→ ︱ ︱ 初期ストレス指数 ︱ ︱ 小
45鷹 /+280 隕醐副轟艤覇莉
5産
/-280
45産 /-560
41慶 /+56o
00度 の場合 視点差 は小 さく 「見上げる」場合 と、 小 さく 「見下 ろす」配 置 のみ有効。 (小
さく 「見上げる」 >小 さく 「見下ろす」 )
045度 の場合 視点差は大 き く 「見上げる」配置以外 は全 て有効。 小 さく 「見下 ろす」配置 ほ ど良い。
090度 の場合 視点差 は大 き く 「見上 げる」場合 と 大 きく 「見下 ろす」配置 のみ有効。 (大 き く 「見 上げる」 >大 き く 「見下ろす」 )
早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
60
第 3章
分析
―被験 者 :男 性 /実 験 者 :女 性 ‐
大キーーー初期ストレス指数 ︱︱小
45農 /+280 45魔 /-280
45魔 /-660
45度 /+660
00度 の 場 合 視 点差 は大 き く 「見 上 げ る」配置 以外 は全 有 効。 大 き く 「見 下 ろす」配 置 ほ ど良 い。
045度
の場 合
視 点差 は小 さ く 「見 上 げ る」場合 と 小 さ く 「見 下 ろす」配 置 の み有 効。 (小 さ く 「見 上 げ る」 >小 さく 「見 下 ろす」 )
090度
の場 合
視 点差 は な い 方 が 良 い。 大 き く 「見 下 ろす」配 置 ほ ど基準 に近 づ く。 大 き く 「見 上 げ る」配置 ほ ど基準 に近 づ く。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
61
第 3章
分析
―被験者 :女 性 /実験看 :女 性 ―
大■︱︱︱初組ストレス指数ll 小
00度 の場合 視点差 は小 さく 「見下 ろす」場 配置 以外 は全有効。 小 さく 「見上げる」配置 ほ ど良い。
045度 の場合 視点差 は大 きく 「見下 ろす」場合 と 小 さ く「見上げ る」配曇 のみ有魏 (大 き く「見下ろす」 >小 さく [見 上 げる」 )
090度
銹
視点差 はな■方が 良t、 小 さく「見上 げ る』配置 ほ ど基準に近 づ く。 小 さ く「見下 ろす」配置ほ ど基準に近 づ く。
―
―
渡辺動 ―
室
2004n‐
L論文
62
第 3章
‐ ―
:女性 /轟
分析
:男性 ‐
大■︱︱●初期ストレス指数F︰小
00度 の場合 全て の視点差 が有効。 ガヽさく 「見上げる」配置 ほ ど良い。 小 さく 「見下 ろす」配置 ほ ど良い。
045度
の場合
視 点差 がある場合 は小 さく 「見上げ る」配置 のみ有効 。 小 さく 「見下 ろす」配置 ほ ど基準 に近 づ く良い。
090度
の場合
視点差 はない方が 良 い。 大き く 「見下 ろす」配置ほ ど基 準に近 づ く。 大き く 「見上げ る」配置 ほ ど基準 に近 づく。
早稲菌大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2αИ年度鬱士論文
63
第 3章
分析
全性別組み 合 わせの平 均 …
大 下 I I I 輌 鋼 ス ト レ ス 指 敏 ︱ 小
00度 の場合 視点 は大き く 「見上げ る」配置以外 は全有効。 大 きく 「見下 ろす」配置 ほ ど良い 。
045度
の場合
視 点差は大き く 「見上げる」場合 と 小 さく 「見下 ろす」配 置 のみ有効。 (大 き く 「見上げる」 >小 さく 「見下ろす」)
090度 の場合 視 点差 は ない方 が 良い。 大き く「見下 ろす」配置 ほど基準 に近 づ く。 ど基準 に近 づ く。 大 きく 「見上げる」配置 ほ ―
攀 …
20044-
64
第
3-2-4
3章 分析
実 空 間適 用 の優位 性 に よる順 位 付 け
他人同士の対人時状況下にお いてス トレスの少ない座配置 を解 明す るのが本研究 の 目的であるが、実際に座装置 を配置す ることにな つた場合 、対人状況下で片方 の快 適性 を確保すれ ばいいのではな く、上位者・ 下位者双方 の快適性 を可能 な限 り均等 に確保す ることが理想である。 つ ま り、上位者 と下位者 のス トレス量 の差 が小 さく、かつ合計 ス トレス指数 が高い ものほ ど、実際 の設計ヘ フ ィー ドバ ックする際 の 良 い配置であると考 え られ る。そ こで以下のよ うに順位付 けの流れ を設 定 した。
○ 総 合 ス トレス 指数 「 Sm」 の 差 に よる順位 付 け ― 視点差パターンの順位決定の流れ ―
1)L位
者・ 下位 者 の ス トレス指数 が共 に
「正 」担 つ て い る配置 を選 出
2)上
位者 ・ 下位 者 の指数 の 差 が小 さい順 に並 べ る
3)上
位 者 ・ 下位 者 のス トレス指数 が 「正 」 と
「負」 の組 み合 わせ にな つ てい る配置 を選 出
4)上
位 者 。下位 者 の指数 の 差 が小 さい順 に並 べ る
5)上 位者・ 下位 者 のス トレス指数 が共に 「負」にな つ ているものを選 出
6)上
位 者 ・ 下位 者 の指数 の 差 が小 さい順 に並 べ る
早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁 史研究室 2(Ю 4年 度修士論文
65
第
3章 分析
○視 点差 パ ター ンにお ける上位者 ・ 下位者 のス トレス指数比較 ●上位者 のス トレスが少ない姿勢 ・ 体 の前 き0度 /視 点r_‐ 280 。体 の向き45度 /視 点差郎 0
■下位 口上位
●下位者 のス トレスが少ない姿勢 ・ 体 の向き0度 /視 点差560
嗜獅
・体 の向き郷 度 /視 点E560 ・ 体 の向き90度 /視 点差郎 0 ・ 体 の 向き90度 /視 点差560
● 上位者 の ス トレスが少 ない姿勢 ・ 体 の向き0度 /視 点差280
〔 凛 点 差 があ る場 合の 上位 書・ ド位 者 双 方 の ス トレス■ の違 い ]
■下位 口上位 45薦
●下位者 の ス トレスが少ない姿勢 ・ 体の 向き0度 /視 点差56Kl ・ 体 の向き45度 /視 点差560 ・ 体 の向き90度 /視 ′ 点差280 ・ 体 の 向き90度 /視 点差560
45壼
¨ 一 一 ¨ . 口 ﹂ E ・・ ・ ・ ・
45魔
●上位者 のス トレスが少ない姿勢 ・ 体 の向き0度 /視 点差560 ・ 体 の向き45度 /視 点差560 。体 の向き90度 /視 点差560 ■下位 ■上位
●下位者 のス トレスが少ない 姿勢 ・ 体 の向き0度 /視 点差器 0 ・ 体 の 向き45度 /視 点差280 ・ 体 の向き90度 /視 点差2800
[凛 点
"が
●上位者 のス トレスが少な い姿勢 ‐体 の向き90度 /視 点差560
あ る● 合の上 位 オ・ 下位 著 双 方 の ス トレス● 0違 い ]
1政 ■下位 口上位
●下位者 のス トレスが少ない 姿勢 ・ 体 の向き0度 /視 点差280 ・ 体 の向 き0度 /視 点差 560 。体 の向き45度 /視 点差280 ・ 体 の向き45度 /視 点差560 ・ 体 の向き90度 /視 点差郎 0
早稲田 大学理 工学部建築学科渡辺仁史研究室
2α 〕4年 度修 士論文
66
第 3章
分析
○ 視 点差 配 置 の 実 空 間適 用 の優 位 性 の順 位 今回 の分析に よつて性別 組み合わせ ごとの有効な視点差配置 の1贋 位 が求 めた。 しか し、実際 の空間にお いては座位者 の性別組み合わせ を予測す ることが困難 な場合が 多 い。そ のため全性別組 み合わせが混在す るよ うな場面 における資料 として 、平均 的順位 も求めた。 表 3-1 『総合 ス トレス指数』 ―実空間適用優位性の順位付 け表―
あ る程度来訪者 の性別 を特定で きる公共 の施設 な どの場 所 の休憩空 間や 、視 点差 を 必要 とす る空 間 の設 計 の 際 に有効 な資料 とな るで あろ う。 この順位付 け表 は 、総 合 ス トレス指数 を も とに差 を特 定 してい る。 総 合 ス トレス指 数 は比較 的長時 間継続 して 、他 人 との対 人状況 にあ る とき の は じめ か ら最期 まで の ス トレス 量 の総量 をあ らわ してい る。 今 回求 めた表
3-1は
、着 座選択 の 余地 が あ り、他人 が 個人 の近辺 に隣 り合 って座
っ て きた場面 にお い て互 いの感 じる ス トレス量 を特定す る際 な どに有 効 な資料 とな る と考 える。
早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁 史研究室
2α 〕4年 度修
I:論 文
67
第 3章
分析
〇初 期 ス トレス指数 「Sm」 差 に よ る順位付 け 義 点差パ ター ン嚇
決定の絲
―
初期 ス トレス指数 「Sm」 は S一 、お よび S+型 波形 の 12秒 経過付近 でみ られ る 急激 なス トレス反応部分 のみ の面積 をもとに算 出 した値 であるため、すべ て負 の値 となる。 よつて 単純に指数 の差 が少 ない視点差配置ほ ど実空間適用 には有利 な配置 であると考えた。
軸
学理工静詔議鐵部犠 辺仁攀
20044鍛
論文
68
第
3章 分析
○視 点差 パ タ ー ン にお け る上位 者 ・ 下位 者 のス トレス指 数 比 較 ●上位者 のス トレスが少 ない姿勢 ・ 体 の 向き0度 /視 点差280 ・ 体 の 向き0度 /視 点差560 ・体 の 向 き45度 /視 点差280
期 ス トレ ス 機 華 「 S倒 の ス トレス量の違 い ] [複 点 差 があ る 7■ 合 の上 “ 位 者・ ド位 者双 方 ―男 (男 )の 場 合 ―
● 下位 者
●下位者 のス トレスが少な い姿勢 ・ 体 の 向き45度 /視 点差 560 ・体 の 向 き90度 /視 点差280
口上 位者
・ 体 の 向 き90度 /視 点差
0
“ S‐
値
〔 IB薫 差が あ る船
●上位 者 のス トレスが少 ない 姿勢 ・体 の 向き0度 /視 点差 280 ・ 体 の 向 き0度 /視 点差 560
初ロ ス トレス指 数 「Sョ J の 上位者・ ド│1吉双 方 の ス トレス量 の 違 い ] ―男 (女 )の 場 合 ―
・ 体 の 向 き∞度 /視 点差560 ■下 位者
●下位者 のス トレスが少 ない姿勢 ・ 体の 向 き45度 /視 点差280 ・ 体 の 向 き45度 /視 点差 560 。体 の 向 き90度 /視 点差280
口上位 者
初期 ス トレス精漱 「 ヽ口」
●上位者 のス トレスが少ない姿勢 ・ 体 の向 き0度 /視 点差560 ・ 体 の 向 き45度 /視 点差560
¬
S lll債
・ 体 の 向 き90度 /視 点差280 ■ 下位者
●下位者 のス トレスが少ない姿勢 ・ 体 の 向 き0度 /視 点差280 。体 の 向き45度 /視 点差280
□ 上位 者
・ 体 の 向 き90度 /視 点差 560
S Ill僣
1頭 :-1‐
[視 点 差 があ る● 合 の 上位者・ 下位 毒双 方 の ス トレス量 の 違 い ] ―女 (男 )の 場 合 ―
│
●上位者 のス トレスが少な い姿勢 ・ 体 の 向 き0度 /視 点差560 ・ 体 の向 き45度 /視 点弟560 l
tT&* o-t'Ea
●下位者 のス トレスが少ない姿勢 ・体 の 向 き0度 /視 点差280 ・ 体 の 向き45度 /視 点差280 ・ 体 の 向 き90度 /視 点差即 0 ・ 体 の 向 き90度 /視 点差 560
J
早稲田大学理
Il学 部建築学科渡辺仁 史研究字
2∞ 4年 度修 │:論 文
69
第
3章 分析
○ 視 点 差 配 置 の実 空 間適 用 の優 位 性 の順 位 今回 の分析 によつて初期 ス トレス指数を元に、性別組み合 わせ ご との有効な視点差 配置 の順位 が求まつた。 実際 の空間にお いては座位者 の性別組み合わせ を予測す ることが困難 な場合が多い ため、総合 ス トレス指数 に関す る場合 と同様 に、全性別組み合わせが混在す るよ う な場面 のために平均的順位 を求 めた。
表 3-2 初期ス トレス指数 「 Sm」 ―実空間適用優位性の順位付 け表―
今 回 は 初期 ス トレス指数 の差 の 大 小 に よ つて順 位 付 けを行 つて い る。 初 期 ス トレス とは、他人 が 自分 の近辺 に来 て座 姿勢 を と り、 自分 が そ の人物 の 存在 感 を認識 した 、そ の 直後 に感 じる ス トレス 量 の こ とをい つ てい る。 つ ま り、実空 間 で考 える と、着座選択 の余地 が あ り、他人 が個 人 の近辺 に隣 り合 っ て座 つて きた ときに、互 い の きま づ さか ら再度席 を立 つ 割合 な どを害1り 出す た め の 基礎 資料 として有 効 で あ るか も しれ な い。 (表
3-2)
も しくは短時 間 の み座 るよ うに用意 され てい る椅 子 な どの設計 の 資料 として も有効 で あ る と考 え る。
早稲田大学騨 工学部建築学科渡辺仁史研究宇 2CX14年 度修 I=論 文
70
第 4章 予測 モ デ ル
第 4章
4-1
予測 モ デル
指 数 に よ る比 較
4-1-1
総合ス トレス指数 「S」 による比較
○被験者の性別によるス トレス量の比較
平均ストレス数
厳 験者の性刷 によるストレス量 の 比襲
1.20
1.∞
0.80 0.60
0.40
0."
― ―
―
0.llll
男性
女性
・男性 の被験者 の方が女性 の被験者 よ りも総 合ス トレス指数平 が高 くな つてい る。 男性 は女性 よ りも比較 的対人に対す る総合ス トレス量が 少な いことがわかる。
早稲田大学澤 工学部感築学科構コ仁 申研究 宰
2α M年 音修 十論文
72
第 4章
予測 モ デル
○ 対 人 の性 別 交 代 に よ る ス トレス 量 の 比 較
― │
平均 ス トレス指数
[対 人の性
代 によるストレス量 の変 化 ]
_
"1交
2.m 2.lXl
l邸 1.00
0." 0.lXl
│
・ 被 験者 が 男性 で対人が 同姓 で ある場合 は、異性 の場 合 に 比 べ て 、総 合 ス トレス指 数 が大 きい こ とが わか る。 男 性 は対 人 の 男性に 対 して のス トレス量が 平均的 に低 い こ とが い える。
被験者 が女性で対人 が 同姓 である場合は、異性 の場 合 に 比 べ て、総 合ス トレス 量は微妙に多 いが 、 ほぼ同
であ
る といえる。 女性の対人に対する総合ス トレス指数 は、対人の性男1に よってあま り変化 しない ことが言 える。
早稲田 大学理工学部建築学科渡辺仁史研究宇
2004年 度修士論文
73
第 4章
O各 体 の 向 き の 視 点 差 に お け る ス
予測 モ デ ル
トレス 量 の 比 較
性別組み合 わせ を問わず、全員 の被験者 に関す る0度 、45度 、90度 の各体 の向きの
5通 りの視点差 におけるス トレス指数 の変化 を比較 し、ある程度 の法則性 が見 られ る (、 のに関 しては近 似 曲線 を二 次式によつて表示 した。今回 の 実験では設 定 しなか った中間的体 の 向きや視点差 に関 しての予測 モデ ルの作成 のた めだ。 一体の向きが 0度 の場合― [体 の 向 き0度 の 視 点 差 にお けるス トレス量 の 比 劇 平均 トレス指 ●
7.00 6.00 5.00
近似式
(赤
4.00
):
3.00 2.00 1.00 0.00
y = -0.4757x3 +5.3309x2 _ 18.573x + 19.691 R2 = 0 989
-1.00 -2.00
一体 の向 き力
'45度
の場 合 ― 尋コ 島度の観 点 差 にお けるストレス量 の 比刺
‖
"諄 1.00
0.80 0.60
近似式
(■
0.40
):
0.20
y = 0 1893x3 _ 1 732x2 + 4 7242x - 3 2541 R2 = 0 9282
0.00
-0.“
一体 の向きが 90度 の場合― 膵 の 向き90度 の視 貞 差 におけるストレス量 の 躙
F卜
IT
11・ 00 1 0.50
近似式 (● :
y = 0 254x3_ 2 0004x2 + 5_9421x - 3 5815 R2 = 0.8487
早稲留 大学碑 工学部建築学科渡辺仁 史研究宇
2004年 度修 士論文
0.00 -0.50
74
第 4章
予測 モ デル
―モ デル式 に 関す る考察 ― 各 々の体 の 向 きに関 して求 めた近 似 式 を統合 し、そ の傾 向 を分析す る。 (赤 :体 の 向 き 0度 /青 :体 の 向 き
45度 /緑
:体 の 向 き 90度 )
体 の 向 きが 45度 と 90度 の場合 のモ デ ル 曲線 はほぼ同一 ととれ え られ る こ とか ら 、 45度 と 90度 の間の 体 の向 きを持つ配置 に関 しては青 と緑 の平均 的 モデ ル 式 を 適 用す る こ とで総 合 ス トレス指数 を求 め る こ とがで き る と考 えるし また 、体 の 向 きが 0度 で あ る場 合 のモ デル 曲線 は 45度 。90度 の もの とは大 き く ことな つ てい る ことか ら、 0度 も しくは 、 0度 に限 りな く近 い 体 の 向 きを もつ 配置 に関 しては赤 のモ デ ル 式 を適 用す る こ とで、総合 ス トレス 指 数 を求 め ることがで きる と考 え る。 [各 観 点差の体の向 きにおける総合ス トレス指数算 出 モデル]
│
スト ;‰. 7.lXl
6.00 5.│●
4.00 3.00
2m l.∞
0.00 -1.00 -2.lXl
[各 視 点 差 の 体 の 向 き に お け る 総 合ス トレス 指 数 算 出 モ デ ル ]
│
―予測 モデル式― 総合ス トレス指数 体 の向き
0度
45∼ 90度
→
y=-0.4757x3+5.3309x2_18.573x+19.69 2.0207x2+5.3332x-3.4178
→ y=0.2216x3…
x:視 点差 y:総 合 ス トレス指数
早稲田 大学翠 工学部建築学科渡辺仁 史研究宰
2004年 度修 士論文
75
第 4章
予測 モ デル
○各視点差 の体 の 向きにお けるス トレス 量 の 比 較 ー視 点差 が -560の 場 合 ―
近似式 (赤 ): y = 3 3616x2 R2・ 1
16 224x , 18 904
‐視点差が-280の 場合 ―
近似式 (青 ): y = 3 3616x2
16 224x + 18 904
R2 = 1
‐視 点差が ± 0の 場合 ―
近似式
(D :
y = -0 0422x2 + 0 7421x - 1 1828 R2 = 1
-視 点差が +280の 場合 ―
近似式 (茶 ): y = -0 5319x汁 1 7699x - 1 2631 R2 = 1
近似式 (黒 ):
︻ 哺噸“”¨¨呻¨咄¨ ﹃
-視 点差 が +560の 場 合 ―
y = -0 2518x2 + 0 7534x + 0 2045 R2 = 1
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004年 度修士論文
76
第 4章
予測 モ デル
一モ デル式に関す る考察 ―
[各 体 の 向 き の 観 点 差 に お け る 総 合 ス トレス 指 数 算 出 モ デ ル ]
ス トレス指颯
赤青 総 茶 ニ
モ デル曲線 か ら読み取れ ることとしては、まず赤 の、視点差 が-560の ときの角 度 によるス トレス指数変化 グラフだが、他 の視点差 と比 べ てス トレス指数 の変化 が 著 しい。角度 が0度 に近づ くほどス トレス指数が高 くなる傾 向があるよ うだ。 また黒 と茶 の 曲線 に着 目 してみるとわか るよ うに、非常に形 の似 た波形 にな つて い る。視点差が+280か ら+560ま で増加す るとともに、グラフ も上方向へ と上昇 していつてい る。 つ ま り、 「相手 を見 上 げる」視点差が増す ほどス トレスが あが る ことがいえる。 青 と緑 のモデル 曲線 に関 しては、 ほぼ同 じ波形であるととらえて よい とい える。 つ ま り視点差 が± Oと
-280の 場合は同 じモデル 曲線 を適用す ることが可能で、角
度が増す と共にス トレス もあがる とい うことがいえる。 以 上をま とめて モデル式 を以下に示す。
一予測 モデル式― 総合ストレス指数 視 点差
↓ ↓ ↓ ↓
-560 -280∼ ± 0 +280 +560
y=3.3616x2_16.224x+18.904 y=0.5386x2… 1.6158x+0.8656
y=-0.5319x2+17699x-1.2631 y=‐ 0.2518x2+0.7534x+02045 x:体 の向き y:総 合 ス トレス指数
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
77
第 4章
4-1-2
予測 モ デル
初期 ス トレス指数 「Sm」 に よる比較
○ 被験者 の性別 に よるス トレス 量 の比 較
勁 ストレス指数
朧
者の性別による初期ストレス量の比劇
0.00
■
-5.00
― -10。 00
-15.00
‐ -20.00
・ 女性 の被験者 の 方が男性 の被験者 よ りも初期 ス トレス指数 平均 が 高 くな っ て い る。
男性は、女性 と比べて対人に対する初期ス トレス量が多い ことがわかる。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
78
第 4章
予測モ デル
○対人の性別交代による初期ス トレス量 の比較
鞠 ス トレス相漱
尉 人の性周‐ 交代による初期ストレス量の■IL」
0.00
■
-5.00
■ ■
-10.00
■ -15.00 …20.00
■ -25。
4111
。男性 の被験者 は、対人が 同 姓 で ある場合は、異性 の場合 に比 べ て 、初期 ス トレス量が大 きい こ とが い える。 男性は異性 よ りも同姓に対 しての初期 ス トレス量が多い ことが言 える。 ・ 女性 の被験者 は、対人が同姓である場合 は、異性 の場合 に比 べ て 、 ス トレス量は少 ない ことがい える。 女性は同姓 よ りも異性 it対 しての初期ス トレス量が 多い ことが言 える。
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2004年 度修士論文
79
第 4章
予測 モデル
〇各体の向きの視点‐ 差 にお ける初期 ス トレス量 の比較
琳 の向きが o度 の場争 略 の向き曖 0観 点■にお喝 初期ストレス量●lLm
判 ストレ凛 Q・ 00 -3.00
■10,00
=15.o0 ‐20.00
理 式 は ): y= ‐0 042x3 - 7.4730x2 + 47 119x - 78.7561 R2 =10,846
25.00
‐ 30.00 ・ 35.00 -4o,00
‐ 45,00
-ftotEt*rr4 5Eo)fr€140nt45度 の観点羞にお嘲
鞠
ストレス量の囀
ス レえ饉薇 I・
,
m m m O ■
モ .lXl -3.oo
‐ 10.00 12:∞
近似式 (青):
‐14.00
y● -1.4953x3●
R2=08619
12064x2-281008x+ lQ 505
-16.00
■
lXI
“
一体― の向きが
-9‐
o度 の場← 幸詢 ・ ストレスー お菫
体の向き90魔 の祖点菫にお向
期ストレス量のttu
0.l10
-2.00 ・ 4.00 ‐6.00
近似式 く o
l
-3.00 -11.00 ■12.00
y=0.5886x3 ‐415712x2■ 3.005,- lo1 518
-14.Illl
R2 = 0 2933
,16●
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004年 度修士論文
00
80
第 4章
予測 モ デル
―モデル式に関する考察―
(赤
:体 の向き 0度 /青 :体 の向き 45度 /緑 :体 の向き 90度 )
体の向きが 0‐ 度である場合のモデル曲線は 45度 。90度 のもの とは大きく異なつ ている。 また 45度 と90度 のモデル曲線を比べると、比較的似通つているが,波 形の山と 谷が逆転 していて、同一 と判断することは困難であると考える。 よつてもつとも値の近い角度に関するモデル式を適用させることで初期 ス トレス量 を算出できると考える。
, ■
・ 底魔 菫 うo
書
―予測 モデル式二 初期ストレス指数
体の 向き → y=_o.o42x3_7.4739x2+47.119x¨ 78.756 → y=-4.4953x3+12.064x2_28.008x+10.505 → y=0.5886x3_4.5712x2+8:605x‐ 10.518 i:複 点差 y:総 合 ス トレス指数
1■ 00
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 20o4年 度修士論文
第 4章
予測 モ デ ル
○ 各 視 点 差 の 体 の 向 き に お け る初 期 ス トレス 指数 の比 較
蔦鮮 鮮
ー視点差が-560の 場合 ―
近似式 (ホ ): y = -15 515x2 + 79 868x - 105 01 R2 = 1
﹁
-視 点差が-280の 場 合 ―
︱
近似式
(■
):
y = -1 901lx2 + 6 8226x - 13 644 R2 = 1
‐視 点差が ± 0の 場 合 ―
“ m ¨ 抑 抑 仰 ¨ 枷 抑 4 ¨ ・ ﹁
近似式 (縁 ): y = -2 1134x2 ■ 13 447x - 26 17 R2 = 1
-視 点差 が +280の 場合 ―
近似式 (秦 ): y = -8 1646x2 + 23 435x - 26 703 R2 = 1
-視 点差が +560の 場合 ― 0
∞
■
¨
0 ∞ 0 〇 1 一 ・ 0 5 0 3 3 ‘ ・ ・ ^
m
m
m m ∞
y = -6 8192x2 + 41 984x - 71 929
2. 翡 ・
近似 式 (黒 ): R2 = 1
早稲 田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
82
第 4章
予測 モ デ ル
―モデル式に関する考察― 平均 ストレス指数
[各 視 点 差 の 体 の 向 き に お け る 総 合 ス トレス 指 数 算 出 モ デ ル ]
0 00 -5 00
■ じ ∞ト -15.00 -20_00 -25 00
■+ +
-35 00
二
赤青 縁茶凛
-30.00
-40.00 -45.00
モ デル式か ら読み取れ ることとして、まず赤 と黒 のモデル式に関 して、-560と +
560の 式が ともに、体 の向きが 0ど の ときに極端 に初期 ス トレス指数 が低 くな つ てい る。 これ は対人状況になつた瞬間に感 じる負のス トレス量が 多 いとい う ことに なる。そ して角度が増すにつれス トレス量が減少 している。 よつて、同一 のモ デ ル 式で予測す る こ とができると考 え られ る。 次 に青 と緑 のモ デ ル 式 に着 日してみ ると、 ± 0と -280ど の場合 は波形 の 山 と谷 が逆転 してい ることがわかる。 ± 0の 場合は体 の 向きが増す につれ ス トレス量が増 えているのに対 し、 ± 0の 場合は体 の向きが増す につ れ ス トレス量が減 つている。 つ ま り、正面に向き合 つている場合 は初期ス トレス量 は体の向きが増すに つれ減少 す るのに対 し、相手 を 280見 下 ろす場合は、体の向きが増す と共にス トレス量が 増 えている。 以 上をま とめてモ デル式 を以下に示す。 一予測 モデル式― 総合ス トレス指数 視 点差
±
+280
0
↓ ↓ ↓ ↓
-560と +560 -280
y=‐ 15.515x2+79.868x‐ 105.01
y=-1.901lx2+6.8226x… 13644 y=-2.1134x2+13.447x‐ 26.17 y=… 8.1646x2+28.435x‐ 26.793 x:体 の向 き y:初 期 ス トレス指数
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
83
第
5章
ま とめ
第
5-1
5章 ま とめ
まとめ
本研究を行 った上、興味深 く思 った こと、また主な成果物 としてあげ られるものを 以下に挙げた。 前提条件
:
互いの存在 を意識せ ざるをえないほ どの近距離 にて、他人 。もしくは半他人 同士が 静止 姿勢 を とつてい る場面 ○ ス ト レス に 対 す る 視 点 差 の 有 効 性 対人 か ら受 けるス トレスの緩和措置 として視点差 が確 かに有効である こ とが本研 究 か らわかった。 しか し分析結果 か ら、全 体的に体 の 向きが 0→ 45→
90と 大 きくな るにつれ、 ス
トレスの緩和措置 としての視点差 の有効性 は、減少 していた。 既往 の研 究 にも常に紹介 され 、また 自らの経験か らもわか るよ うに (満 員電車 の 中 の 自分 の行動 を想像 していただ けれ ば納得 しや す い と思 う)人 間は対人に対 して圧 迫 を感 じると、まず 互 いの距離 を確保 しよ うと努 め、それができな い場合は体 の 向 きを変 えることで対策 を とり、それで も緩和 されない場 合は首 を曲げて視線 をそ ら す、 とい う順序で対策 を とってい る。 この事実か らも、体 の向きを変 えることによ るス トレス緩和はよ く使 われ る有 効 な手段であることがわか る。 本研究では、 この 「体 の 向きを変 える」 とい う緩和措置 の有効性 が要 因 とな り、視 点差に よる緩和措置 の有効性が影 を潜 めた可能性 はある。 そ もそ も、空間によ つて視点差 をつ けるとい う手段は、対人 との距離や、 自らの 姿 勢 を変 えず して、満員電車 の例で言 う最終手段 としてある 「視線 をそ らす」 とい う 行為 を してい るの と同 じ状況である と言 え、またその有効性 もなお さらあ りそ うで ある。
早稲田大学理 T学 部建築学科清初仁史研究室
2004年 度修士論文
85
第 5章
ま とめ
○ 男 女 の ス トレ ス に 対 す る反 応 の 違 い
本研 究 を通 じて 、対 人 に対す る感 じ方 は性 別 に よ つ て異 な り、またそれ を改善す る の に適 した方法 、 ま たは 個 人が行 う対策 も異 な る こ とが わか つた 。 男性 は対人 の存在 感 に よ り圧迫 を感 じる際 には相 手 を視 界 に入れ な い よ うにすれ ば す るほ どス トレス が 緩 和 され る傾 向がみ られ た。 これ に対 し、女性 は視 界 の 内部 に 対 人 が 入 つてい る場 合 で も、す で に十分 に緩和 され る場 合 があ る とい うこ とが結果 と してあ っ た。 この こ とか ら推測 す るに、男性 は対人 に よる圧迫 を感 じる と、まず そ のス トレ ッサ ー が 自分 の視界 か ら外れ る よ うに願 う。 つ ま り視 界 の操 作 とい う物理 的 な手法 に よ って 、そ の状況 を解 決 しよ うとす る傾 向が あ る。 比 べ て 、女性 は、対人 に よる圧 迫 を感 じる と、基本 的 にそ の状況 を物理 的 に変 えたい と願 う気持 ちは あるが、 それ と 同時 に 自己 の 内面 にお い て処理 しよ うとす る傾 向が あ る ので はな いか
○ 公 共 の 場 に お け る利 用 者 の 快 適 性 の 確 保 本研 究 では 、対人状 況 下 に い る個人 が 、対人 に よつて 受 け るス トレスの 量 を配 置 パ ター ン ご とに調 べ 、 そ の順 付 けを行 っ た。 これ はあ くまで も対人状況 の 中で 一 方 の 感 覚 につ いての み考 える際 の資料 と してはそ のまま適 用 可能 であ る。 しか し実 際 、 実空間 においては 、 そ の 空間 の利用者 は 多 くの場合 平等 な 立場 にあ り、空間設 計者 は よ リー人で も多 くの利 用者 に快適性 を提供 す るよ うな空 間 つ く りを しなけれ ばな らな い と考 える。 そ こで 、対人状 況 下 にお ける一 方 の反応 を組 み合 わせ る こ とで 、個人 と、そ の 対人 双方 のス トレスの 具合 を把握 し、それ を総 合的 とらえ る ことで配置 パ ター ンの評価 を行 つた 。 そ の結 果 と して 、公共 の場 におい て よ り多 くの 人 の快適性 を平均 的 に確 保 で きる配置 の順 付 け の 表が完成 した。
早稲田大学理 工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修 士論文
86
第 5章
ま とめ
○ 初期 ス トレス指数 につい て 性 別組 み合 わせ ご との配置 を初期 ス トレス指 数 をも とに順 位 付 け を行 い 、 それ らを 分 析 した結果 、明確 にわか つ た こ とを部分 的 に紹介す る。
・ 正 面 に対 人 がい る場合 は視 点差
280が 有効 である
(全性別組 み合 わせ 共 通 )
。自分 に対 して 45度 の 角度 に対人 がい る場 合 は、視 点差 +280が 有効 で 、 この 際 、視点差 を+560ま で上 げ る と逆 に ス トレス緩和 の効果 が な くな り、 ス トレ スの 元 とな って しま う。 (全 性別組 み合 わせ共通 ) 。自分 か ら 90度 の 角度 に対人 がい る場 合 は、視点差 が配 置 が もつ ともス トレス が 少 な い。 ただ し例外 的 に、それ が男性 同 士 の場合 は視 点差
560の 空間 が も つ と
もス トレス が少 な い。
で は これ らの結果 は どの よ うな空 間 に適用 す れ ば よいのだ ろ うか 。 「初期 ス トレス 」 とは 、他 人で あ る対人 の 存在 を認識 した際 に、瞬 間的 に感 じる ス トレス 量 のみ をあ らわす指数 の こ とであ る。 フ ィー ドバ ック先 と して以 下 の よ うな 場 面 を例 に挙 げた。
・ 座 る時 間 があま り長 くな らな い よ うな空 間 ・ 座 席 の選択余地 が あ り、 自ら対人状況 を さけることが比較 的容易 な空間 。強制 的 に長居 をせ ざるをえな い よ うな空 間
つ ま り、 一 時的 な休 憩 ・ 静 止 を行 う空間 で あ る。 た とえば具体的 には、休憩 所 、待 合 室 な どが挙 げ られ る。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
87
第 5章
ま とめ
○ 総 合 ス トレ ス 指 数 に つ い て 性別組 み 合 わせ ご との西己置 パ ター ン に関 して 、総合 ス トレス指 数 を も とに順 付 けを 行 い 、それ らを分析 した 結果 、明確 にわか つ た ことを部 分的 に紹介 す る。 ・ 正 面 に対 人が い る場 合 は視点差 が+560が 有効 (全 性別 共通 ) 。自分 に対 して 45度 の 角度 に相 手 がい る場合 、ほ ぼ全性別組 み合 わせ にお い て 視 点差 +560が 有 効 であ るが、例 外 として女性 同 上の組 み合 わせ の場 合 は視 点差 ―
280の 方が よ リス トレスが 少 な い。 ・ 自分 に対 して 90度 の 角度 に相手 がい る場 合 、視 点差 -280が 有効 (全 性 別共 通 )で あ るが、逆 に視 点差 +280で 、相 手 か ら見 下 ろ され る場 合 は ス トレス 量 が増 え る。
以 上 の よ うな結果 が わか つたが 、 これ は どの よ うな空 間 にす る こ とが望 ま しいのだ ろ うか 。 総合 ス トレス指数 は、対 人 の存在 を認識 した瞬 間 に起 こ る初期 ス トレス反応 か らさ らに 、そ の 後 のス トレス値 の変 化 を も総合 してい る指数 とらえて い る もので あ る。 これ は 、 一 瞬 のス トレスの み を感 じるよ うな初期 ス トレス に よ つ て求 めた空 間 へ の 適用 で は な く、長期 間 にわた つて そ の対人状況 を継続せ ざるをえな い よ うな空間 ヘ の適用 が望 ま しい と思 われ る。適 用空 間 の 条件 を挙 げ る。 。他 人 同 士 が静 止 した 状 態 で密集 してい る状況 ・ 座席 選 択 の余地が な く、長居 をせ ざるをえな い よ うな状 況 、 も し くは したい状況
具体的 な フ ィー ドバ ック先 の例 をあげ る と、避難所 、喫茶 店 な どで あ る。 先 日起 こった新潟 中越 地震 の 際 には、実 家 をな くされ た大 勢 の被 災者 の 方 々 が学校 の体育館 の よ うな仕 切 りの な い 、そ して限 られ た広 さの 空間 に大勢密 集 した状 態 で の生 活 を強 い られ て い た とい う。 計 り知れ な い被 災 に よる精神 的 ス トレス に加 え、 一 瞬で は特 に気 にな らな い よ うな ス トレス が 長期 にわた る こ とで大 きな精神 的負荷 につ なが る可能性 は否 定 で きな い 。 た とえば あ の 空間 に微妙 な視 点差 を も うける こ とで 、被 災者 ごとの プ ライ バ シー が今 以 上 に確保 され 、無意識 的 な ス トレス を減 ら す手助 け とな るので は な いだ ろ うか。
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2004年 度修士論文
88
第 5章
5-2
ま とめ
展望
本研 究 によ つて 、人 間 が 自己 のパ ー ソナル スペ ー スの確保 につ いて 分析す る上で重 要 な要素 であ る 「対人距離 」 。「体 の 向 き」 。「視線 」 に加 え、 さらに 「視 点差 」 とい う新 たな要 素 に よつて 、対人状況 下 にあ る個人 のス トレス を緩和 でき る こ とが 明 らか にな つた 。 さらに今 回、 ス トレス 指数 に関す るモ デル式 を作成 し、 これ に よ り、 ある程度 の 西己置 パ ター ンの ス トレス指数 の予没1は 可能 にな った 。 またそ の性 別 に よる違 いが あ る こ とが明 らか にな つた 。 しか し、 「体 の 向き」 と 「視 点差 のノくタ ー ン」 につ いて は 、実験 の都 合 によ りそれ ぞれ 「 3通 り」 と 「 5通 り」 で、少 な め に項 目を設 定 を していたが 、 このパ ター ン を増やす こ とでモ デ ル 式 の も と とな つて い る近似 曲線 の 整 合性 が あげ る こ とがで きる と考 え る。 今後 の展望 と して は、今 回取 り扱 っ た以外 の 体 の 向 きや 、 さらに詳細 な視 点差 に関 して 、同様 に ス トレス指標 を求 め る実験 を行 い 、本研 究 のモ デ ル式 に関 して 検証 を 重 ね る ことで 、 よ り正確 な モ デル式 を立 て る ことが 可能 にな る と考 える。 また今回作成 した モ デル式 は、全 ての性別組 み合 わせ の 平均 として算 出 した もので 、 つ ま り性別 に よ る差 の 考慮 は されてい な い 。今 後 のモ デ ル の発 展 系 として は、新 た に 「性別組 み合 わせ」や 「対 人距離」 の パ ラメー タを入力す る こ とで、 ス トレス 指 数 がわか る も の を考 えてい る。
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2004年 度修士論文
89
おわ りに …今 こ うして論文執筆 を終 えたわけだが、正直な感想 として 、 どこか さび しさのよ うな、切 なさのよ うな感覚がある。おそ らくこれは、研究室 の一 員 として 、そ して 自分 の大学院生活 の集大成 としての論文を書 きおえたあ と、残 された最後 の仕事 … 「卒業」。 この二 文字が脳 裏 をよぎつているためだ と思われ る。 初 め研 究室に入 りたての頃は、そ の 「大学院」 とい う物 もの しい雰 囲気 にな じむ こ とがで きず、重大 な用事がない 限 り研究室には顔 を出 したが らない 自分だ つた。そ れが、同学年 の仲間達や、尊敬す る先輩 ・先生方、そ して徐 々 にできていった後輩 達 とのつ なが りにつ られ るよ うに生活 を し、気 づ くと、論文執筆 のため に研究室内 で4泊 を過 ごし、意識 が朦朧 とす るなか、 「ここは 自分 の家 ではない」 とい うこと にふ と気 づ き、夜 中にひ と リリアクシ ョンを とつている…そんな研究室大好 き人間 の一 人 になつていた。 それが、卒業す る こ とによつて もう三度 と同 じ経験 はできな くなる。共に研究 の厳 しさと楽 しさを分 かち合 った仲間や後輩や先生方 との絶 妙 なや り取 りも、あ と残す こ とわずか …。そ んな さび しさと切な さでい っぱいなのだろ う。 この さび しさを感 じさせて くれた渡辺仁史研 究室 の メ ンバ ー全員 に感謝の気持 ちをのこ とを心に刻み 、 自分 の この先 の人生 の糧 として いこ うと思 う。 そ してまた次 あ う日にはなつか し い話 に花 を咲かせ て 、共 に夜 を飲み明か したい … と。 まだ論文執筆 が終了 しただけで、卒業 のかかってい る研 究発表会 も終 えていな い身分でかな り先の世 界ヘ トリップ していた 自分で した。。 とにか く、 自分が好 きで決 めたテー マ に、 とことんのめ り込んで奮闘 で きた ことに満足感 を覚 えてい る。結果は ど うあれ 、 自分 の人生に とつて本 当に貴重 な経験 をさせて もらつ た と思 つてい る。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文
謝辞 今 回論 文 を書 くにあた つ て本 当にた く さん の 方 々 にお世話 にな りま した。
まず 本研 究 の 中で も圧倒 的 に重要 な役 割 をはたす発 汗測 定器 を、突然 の ご連絡 に も かか わ らず 、 こころ よ く貸 して くだ さい ま した 、早稲 田大学理 工 学部 高西研 究室 の 伊藤 先 生、な らび に ご連 絡 の際には主 にお世話 にな り、 また理 工 系 であるに も関 わ らず機 械 の 基礎知識 の ま つた くな い 自分 にあきれ た顔一 つ 見せ ず に親切 に器 具 の 仕 組 みや使 い 方 を教 えて くだ さった忽 滑 谷 さん。 お借 りした装置 が あ つたか らこそ 、 今 こ う して無事 執筆 を終 えることがで きた とい つ て も過言 では あ りませ ん。 発汗 計 に関 しては 、ま った く持 つて 問題 がお きず に最 後 までデ ー タを記録 して くれ ま した 。本 当に上質 の器 具 を寛 大 な心で貸 して くだ さい ま して 、本 当にあ りが と うご ざい ま した 。 また 、合 同研 究会 では い コ トブキの生 原 様 、 一 木様 、佐藤様 、小林 様、江原様 、藤 井様 、佐 野様 、耕様 、大 久保様、林様 に大変お世 話 にな りま した。椅子製作 のプ ロ フェ ッシ ョナル 的視点か らいただ く貴重 なア ドバ イ スの数 々 は 、 どれ もあ りが たか く、研 究会 ではい つ も勉 強 させて い た だ きま した 。 楽 しく、そ して 時 には厳 しい ア ドバ イ スー つ一つが論文 を書 く上で の 大 きな糧 とな りま した。 いつ も親身 にな って くだ さい ま して あ りが と うございま した 。 なた、実験 中に関 しては 、 工 程 が一 人 で行 うのはむ ず か しい とい うこ とで 、卒論 が 終 わ っ た ばか りで徹夜 で遊 び疲れ の 近藤 君 は眠 い 目を こす りなが らも一生懸命 手伝 つて くれ ま したね。 お ま け に実験 の担 当者 と して 苦 労 してそ うな僕 に暖 かい 缶 ジ ュ ー ス をプ レゼ ン トして くれ ま したね 。 本 当にあ りが と う。助 か りま した。 また ラー メンで も食 べ に行 こ う。 そ して 、林 田先生 には今 回本 当にお世話 にな りつ ば な しで した。 なか なか言 うこ と を聞かず にわが道 を行 こ うとす る僕 を、 いつ もの 笑顔 と的確 な突 つ込みで、支 えて いただ きま した。 体 が悪 くな るまで僕 ら修 士 の 論 文 に付 き合 つ て い ただ きま したね 。 そ の節 は本 当に、本 当 に あ りが とい うございま した。無事終 わ つた ら百薬 の長 で 、 一 緒 に風邪 を治 しに行 きま しょ う。 そ の他 に も、大変 で つ らい はず の徹夜 作 業 を一緒 ににぎや かに過 ごす ことがで きて 、学 と遊 の融 合 した場 を提 供 して くれ た修 士二 年 の 福西君、熊 倉君 、片倉君 、遠 田 君。 また、修論疲れ の とき に常に明 る い 雰 囲気 で気 持 ちを和 ませ て くれ た歩行者 ゼ ミのみ ん な。急 なが ら実験 に こころよ く参加 して くれ た 被験者 の皆様。 つ らか つた ときそ つ とジ ュー ス を差 し入れ して くれ た心 優 しい荻 内君。 なにか と作業 で行 き詰
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つ た ときになぜ か タイ ミングよ くそ こで解決方法 をそ っ と教 えて くれ た タイ ミング のい い角方君。 作 業 の休憩 の ときに声 を掛 ける と、 ま つ ていま した とばか りに反応 して くれ る気持 ち のいい 中村 君。 また バ トミン トン勝負 しよ うね 。 そ の他 に も ささ い な こ とで皆様 に気遣 つてい ただ き、それ らはた とえ些細 な こ とであって も 自分 に とつ て確実に修 論 の 限度力 とな り支 え られ 、感謝 の 気持 ちでい つ ぱいです 。 … あ と 、徹 夜 で不健 康 極 ま りな くな っ ていた僕 の 体 をそ っ とや さしく健 康志 向 に して くれ た 「エ ー ス コ ッ クの春 雨 スー プ 」。 み ん なあ りが と う。 そ して 、渡辺先 生 には修 論 報告 の 中間発 表 の時点 か らず っ と見 て い ただ い て い て 、 そ の とき のア ドバ イ ス がな けれ ばき つ と今 の満 足 の 行 く内容 まで には達 して い なか つ た よ うに思 い ます 。 この二 年 間 とい う短 い大学 院 生 活 で したが 、渡辺仁史研 究室 に入 つて よか つ た と思 つてい ます 。 そ してす ば ら しい 仲 間 たち と先 生方 のい る この 空 間 を提供 して くだ さつ た渡辺 先 生 に心 よ りお礼 申 し上 げた い と思います 。本 当に あ りが と うござい ま した。
2004年 2月 6日
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
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羽 生大 輔
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http:〃 輛
hql jp/gpd/jpn/― /hdb/work/content/c5/c5htm
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室
2004年 度修士論文