駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
はじめに
はじめに
駅というのは、どうしてこんなにも分かりにくいのだろうか。 卒論のテーマを決める春、就職活動中だった私は毎日慣れない駅を走り回っ ていた。約束の時間まで一秒一刻を争っているというのに、複雑な駅構造や不 親切なサインに振り回される事が多く、これが非常にストレスが溜まるのであ る。車両から降りてパッと進行方向が分かり、スムーズに目的出口及び目的物 に辿り着ける、そんな駅にはできないものか。この思いが、本研究を始めたき っかけである。 駅そのものの問題もさることながら、そもそも時間ぎりぎりにならないと動 けない自らの性格の問題もあるのは間違いないのであるが・・・。
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第1章 序論
目次
はじめに 目次
1
2
第1章 序論 1-1 研究背景 5 1-1-3 上り歩行と下り歩行 7 1-2 駅のサインシステムについて
8
1-3 プレ調査 13 1-3-1 調査方法
13
1-3-2 調査結果
14
第2章 研究概要 2-1 研究目的 16 2-2 用語説明 17 2-3 本研究の位置付け
18
2-4 新ガイドラインの提案に向けて 19 第3章 研究方法 3-1 実験方法 22 3-2 アイマークレコーダについて 3-2-1 EMR-8について
24
24
3-2-2 EMR-8のデータ解析 25 3-3 実験対象階段
27
階段A section
28
階段B plan 29 階段B section
30
第4章 研究結果 4-1 個別データ
32
4-2 注視行動シークエンス一覧
63
第5章 分析 5-1 内的要因と注視対象の変化 5-1-1 性別による変化
61
61
5-2 JR新宿駅の利用頻度による変化 63 5-2 外的要因による注視対象の変化 65 5-2-1 階段の場所による変化
65
5-2-2 階段Aと階段Bの違いによる変化 -2-
67
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駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第1章 序論
5-2-3 階段Aと階段Bの違いによる変化(階段場所別) 68 5-2-4 階段の流動量による変化
69
第6章 6-1 内的要因と注視対象の変化
71
第7章 7-1 まとめ 74 7-2 今後の課題と展望 おわりに
76
参考文献
78
75
-3-
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1
□第1章 序論
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第1章 序論
1-1 研究背景 1-1-1 階段出口での滞留の存在 鉄道駅において、ホームからコンコースへ出る階段の出口というのは滞留し やすい場所である。特にターミナル駅などの複雑かつ流動の多い駅では、降車 客が目的地への進行方向が分からずに立ち止まってしまい、それが他の降車客 の流動を妨げている光景がよく見られる。 JR駅ではコンコースへ出る全ての階段の終端にサインが設けられている。 しかし実際は、階段上を移動しつつサインを読み取るのは以下の理由からかな り困難である。 ・足元に注意しなければならないこと ・駅の大型化傾向に合わせサインの表記内容も多量かつ複雑になってきており、 理解に時間がかかること ・天井や壁により視界が狭く、サイン自体が見えにくい場合があること 交通エコロジーモビリティ財団が駅のサイン配置のガイドラインを示してい るが、これは平面歩行時のものであり、階段歩行時のことは想定されていない ためにそのまま適用するのは難しい。そこで、新たに階段におけるサイン設置 のガイドラインが求められている。
-5-
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駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第1章 序論
1-1-2 地下鉄駅と地上駅 地下鉄駅、こと関東圏内では東京メトロのサインシステムは完成度の高い整 備がなされている。それは地下空間に造ることでスペースが限られ見通しが悪 くなることや、地下と地上との位置関係が把握しづらく地上にあがる際に方向 転換を伴うと兆候感覚を失いやすいという経路探索上のハンディを負っている ことから、危機感を持って整備を進めたという背景があるだろう。 また駅空間の構成から、誘導をしやすいということも考えられる。地下鉄駅 ではまず改札を出てから平面上で経路選択が必要になることが多く、階段を上 り下りしながら経路選択を行う場面は少ない。 これに対し地上駅では、いくつもの階段が広大なコンコースにつながってい て、多くの経路選択が発生する。そのため、本研究では地上駅のみを扱い、地 下鉄駅については対象としない。
-6-
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第1章 序論
1-1-3 上り歩行と下り歩行 階段には上り歩行と下り歩行があるが、上り歩行は足元が視認しやすく、ま た正面サインも比較的視認しやすい。 それに比べ下り歩行時は足元が視認しにくいため危険が多く、高齢者の転落 事故も報告されている。そんな中でサインを見て行動しなければいけないとい うのは本来非常に困難なことであり、利用者の行動特性を把握した上での詳細 な計画が必要とされている。 また、近年は駅の巨大化・複雑化に伴いコンコースの地下化が進んでいる。 そのため、降車後に大勢の利用客に混じり階段を降り、コンコースへ出るとい う状況は今後ますます増加して行くと思われる。 そのため本研究では、下り歩行のみを扱うこととする。
-7-
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第1章 序論
1-2駅のサインシステムについて 1-2-1 駅における情報 ターミナル駅での利用者の行動は「移動」「行為」「操作」「行動規制」の4 つに分類できる。「行為」としては位置確認や列車への乗車などが挙げられ、「操 作」には券売機や精算機の操作などがある。 既存の鉄道施設では行動のための情報提供の大半をビジュアル・サインで行 い、列車の運行条件などの表示にはLEDなどの情報ディスプレイを用いるこ ともある。パブリック・コンコースの移動の動機となる情報の提供もビジュア ル・サインと情報ディスプレイで行うことが基本である。
(※1)「公共交通機 関旅客施設の移動円 滑化整備ガイドライ ン」 交通エコロジー・モ ビリティ財団
図1−1 駅における利用者の行動とサイン(※1) -8-
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第1章 序論
1-2-2 駅のサインの種別 利用者が「移動」するためには、目的施設への移動経路を知る必要がある。 移動経路を知るためには直進、曲折のように2点間を線的に理解する方法と、 地図などを思い描いて面的理解をする方法とがある。 線的な理解を支えるには方向転換する場所ごとに矢印などを用いた <施設 の方向を指示する情報> =「誘導サイン」を表示し、また目的施設位置に施 設名など <施設の位置を告知する情報> =「位置サイン」を示す。このサイ ンに従えば、考えたり覚えたりすることなく、動きながらためらわずに移動す ることができる。 面的な理解を支えるには、地図上に描いた <位置の関係を告知する情報> =「案内サイン」を示す。このサインによれば、方向や距離・周辺の状況など がわかり、全体像を知ることができるので弾力的な判断を加えることができる。
図1−2 利用者の情報ニーズとサイン
-9-
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第1章 序論
1-2-3 正面サイン 前述の駅のサインのうち、階段出口に設置されるものを「正面サイン」と呼 ぶこととする。この正面サインは「誘導サイン」であり、スムーズな流動を促 すために表示内容は改札・乗り入れ路線・化粧室・案内所など、必要最低限の 内容のみである。
図1−3 階段から見た正面サイン
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第1章 序論
1-2-4 既存のガイドライン 整備ガイドライン 平成12年に「交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関 を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)」の施行と移動円滑化基準の提 示がなされ、日本において初めて法的拘束力に基づくサインシステムの整備が 実施されるようになった。 このような状況の中で、公共交通事業者が施設整備を行う際のより具体的 な指針となるガイドラインについても時代に合わせて見直しの必要が生じたた め、国土交通省で「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施 設整備ガイドライン」(昭和58年策定、平成6年改訂)の見直しを行うこと となった。これを受けて交通エコロジー・モビリティ財団がまとめたものが「公 共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」(以下「整備ガイドライ ン」)である。 交通バリアフリー法に基づく移動円滑化基準が義務基準として遵守すべき内 容を示したものであるのに対し、整備ガイドラインは多様な利用者の多彩なニ ーズに応え、すべての利用者がより円滑に利用できるよう、公共交通機関の望 ましい施設整備を示すものである。従って公共交通事業者は整備ガイドライン に従うことは義務づけられていないが、これを目安として行うことが望ましい。 対象者 整備ガイドラインの検討において主な対象者としているのは、高齢者・障害 者・妊婦・外国人など移動に何らかの不自由のあるいわゆる移動制約者である が、移動制約者はもとより全ての人にとって使いやすいものが望ましいという、 いわゆるユニバーサルデザインの考え方にも配慮してあり、整備ガイドライン に沿った計画をすることによって、全ての利用者にとって使いやすい旅客施設 となることが期待される。
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第1章 序論
1-2-5 整備ガイドラインによるサイン設置基準 移動時の視距離 遠くから視認する吊り下げ型などの誘導サインは20m以上に視距離を設定 することが一般的であり、これをもとに適切な文字の大きさや掲出高さを決め ている。 移動時の仰角 移動時は一定の高さ以上にあるものは視野に入りにくい。一般には仰角(水 平からの見上げ角度)10°より下が有効視野に入る範囲といわれている。ま た旅客施設では視認者の前方に視界を遮る他の通行者がいると考えるべきで、 その通行者より遮蔽するものがない見やすい範囲である。 視認時間 視認時間が短いと見落とす確立が高まり、情報を得ることが困難になる。 以上から、遠くから視認するサインの掲出高さは、視距離に応じた文字の大き さを選択した上で、視認想定位置から仰角10°より下の範囲内で、極力高く するのが適当である。
見やすい 範囲
仰角10°の上限線
天井面
2.5m 0m
5m
10m
視点の高さ 前方の通行者の位置 :床面より1560mm 平均身長:1680mm
20m
30m
遠くから 視認する サイン
前方5mにいる人に 遮蔽されない下限線
図1−5 整備ガイドラインによるサイン設置基準
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第1章 序論
1-3 プレ調査 1-3-1 調査方法 調査目的 階段出口での滞留の存在の確認→正面サインの問題点の確認 ※滞留者の定義 降車客のうち、観察対象範囲で完全に立ち止まった人+左右 どちらかに歩き出した後、反対方向に進路変更した人 調査方法 手持ちのビデオカメラによる撮影 ・車両到着1回分の降車客をカウント x5回 日時 2005/10/16(日)13:00〜14:00 ・ある程度の流動があり、かつ不慣れな人が多い日曜日を選択 ・事前の調査で高齢者の多かった昼間を選択 場所 JR新宿駅 11・12番線ホームと下階コンコース間の階段 ・流動量が多く、乗り入れ路線が多い駅 ・階段最上部からもサインが見えること→「サインが見えないから正面を見な い」という現象を考慮しないため ・階段内に撮影可能なスペースが確保できること
図1−6 プレ調査概要図
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第1章 序論
1-3-2 調査結果 ・各年代に同程度の割合で滞留者が存在する ・ハイヒールなど靴の理由から、若い女性が足元ばかり見てサインを視認して いない姿が多く見受けられた。
図1−7 年代別滞留者人数
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2
□第2章 研究概要
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第2章 研究概要
2-1 研究目的
駅階段下り歩行時における歩行者の注視行動(特にサイン注視行動)を明らか にし、駅階段の適切なサイン配置計画のガイドラインを提案する。
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第2章 研究概要
2-2 用語説明
駅階段 本論では、上階ホームと下階コンコースをつなぐ階段を指す。 コンコース 駅改札(ラッチ)構内。本論では、ホームから階段を降りた空間を指す。 視認 目で実際に確認すること。(三省堂提供「大辞林 第二版」より) 注視 目の動きがほぼ止まっている状態。 狭義では眼球運動の運動速度が一定以下(例えば5deg/s)に、もしくは視線が 一定範囲内(例えば2deg以内)にとどまっている状態が一定時間以上(例え ば150ms)持続した場合を指すが、本論では広義の「対象を見ている状態」を 指す。 注視点 アイマーク。被験者が映像を見たときにアイマークレコーダによって記録され た画像上のポイント。 注視対象 階段、サイン、人、壁などの注視点がら把握される具体的な景観要素。 注視角度 視野画像を中心としたときの注視点の座標(X,Y)。 視距離 眼球と注視対象の距離。
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第2章 研究概要
2-3 本研究の位置付け
階段における視線の研究としては、「地下鉄駅舎出入口におけるアイカメラ を用い階段歩行実験ー階段歩行時の注視行動に関する研究 その1ー」(呉怡 貞、岡崎甚幸、鈴木利友、上野達哉)があるが、これは純粋に階段という空間 における視線を分析したものであり、無駄な要素を排除するために地下鉄駅舎 を利用しており、経路探索やサイン、他の利用客の流動などは考慮されていな い。 また歩行者の属性等を考慮した歩行時の視線研究として「歩行者の注視特性 を考慮した歩行空間の実験的考察 ー老若歩行者の視覚情報処理機能の時系列 解析ー」 (伊藤納奈、福田忠彦)があるが、これは階段での歩行については触 れられていない。
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第2章 研究概要
2-4 新ガイドラインの提案に向けて
現在のJR駅階段の多くは秩序だった計画がされておらず、天井部分が非常 に低い階段など、サインが見づらい場所がしばしば存在する。例えば池袋駅な どは天井部分が低いことに加え正面サインが天井すぐ下に設置されており、階 段のかなり下まで来ないとサインを読み取ることができない。 そこで正面サインの天井からの吊り下げ距離をある程度確保することが必要 だが、一方で正面サインのコンコース側の面はコンコース通行客に対しての位 置サインとしても使われるため、整備ガイドラインによると2.5m以上の高さ に設置することが望ましいとされている。 従って、利用客が階段のどの位置からサインを視認し始めるかが分かれば、 理想のサイン設置位置を求めることができる。
図2−1 サイン位置設置の求め方
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第2章 研究概要
2-5 研究フロー
図2−2 研究フロー
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3
□第3章 研究方法
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第3章 研究方法
3-1 実験方法
本研究ではアイマークレコーダを用いて、駅構造の違い・流動量の差や対象駅 の慣れによる階段下り歩行時の注視行動の変化を調査する。 日時 2005/11/1(火)〜3(木)、7(月) 10:00〜12:30 場所 JR新宿駅 階段A及び階段B(後述) 対象 都内大学に通う学生17人(男女) 図3−1 アイマークレコーダ装着の様子
実験手順及び教示
1 アイマークレコーダの装着・調整・キャリブレーション 2 アイマークレコーダ本体・バッテリー・アイマーク映像を録画するための ビデオカメラ(SONY DCR-PC300)を収納したリュック(総重量3.4kg)を 背負う。 3 「○○へ向かって下さい」と行き先を教示(慣れによる影響を回避するた め、行き先は正面サインに表記されている項目からランダムに選択。ex.中 央線・小田急線・湘南新宿ライン・化粧室など)。 4 階段歩行開始(この際、実験者1がデジタルビデオカメラ(SONY DCR-PC1000)を持って後方から随行し、被験者の身体の位置や向き、頭部 の向き等を撮影する)。 5 被験者は、進行方向が分かった時点で軽く挙手し、実験者1に知らせる。 6 階段下り歩行終了後、実験者1の合図で歩行終了。 7 被験者の歩行中、ホーム上で待機している実験者2がカウンターを用い、 階段上部の断面下り歩行者数をカウントする。 8 一被験者に対し、これを各階段2回ずつ計4回行う。 9 実験後はアンケートを実施。
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第3章 研究方法
3-1 実験方法
注視対象の判定方法
図3−2 注視対象の判定方法 step:階段。足元注視と見なす。 sign:正面サイン。 side sign:コンコース天井部に、階段進行方向と垂直に設置されているサイン。 far:遠距離視。stepやsign以外で、かつ視距離が1m以上のときとする。 people:他の通行者。 ceiling:階段天井部。最上部の看板広告等も含む。 wall:階段壁面。 out:視線の視野外への移動やまばたき等でアイマーク検出不可能なとき。 ・視距離はアイマーク輻輳データから判定。 ・左右のアイマークが違うものを注視している場合は、左右のアイマークの中 点にあるものを注視対象と見なす。
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第3章 研究方法
3-2 アイマークレコーダについて 3-2-1 EMR-8について EMR-8は、小型・軽量で装着感を重視したキャップタイプの注視点(アイ マーク)記録装置で、注視点検出と瞳孔撮影が可能である。
特徴
図3−2 アイマークレコーダEMR-8
・小型・軽量.装着感を重視
キャップ型を採用したヘッドユニット部は約300gと軽く、これまで以上に自 由度の高い計測が可能。従来型に比べ被験者の負担も格段に軽減。 ・アイマーク検出ユニット交換方式を採用 右眼・左眼又は両眼(オプション)の検出が可能。 ・アイマーク表示視野画像とアイマーク座標データを同時に記録 アイマークの表示されたカラーの視野画像と、コード化されたアイマークの座 標データがビデオへ同時に記録できる。 ・角膜反射/瞳孔中心検出方式を採用 角膜反射/瞳孔中心検出方式は、瞳孔中心に対する角膜反射位置から視線を検 出するため、ヘッドユニットが頭部から多少ずれても直接誤差にならない。ま た、外来光に影響や瞳孔径変化による影響が少なく、安定した検出データを得 られる。 ※角膜反射方式:眼球に対し光(近赤外光)を当て、眼球の角膜内部に生じる 光源の虚像(反射光)をとらえる方式。眼球の回転中心と角膜の曲率中心がず れていることを利用して虚像点の動きから被験者の実際に見ているポイントを 算出するため、まぶた等の影響を受けず広い範囲で検出できる。 ・反自動化キャリブレーションを採用 EMR-8はヘッドユニット装着時に眼球が撮影範囲に入れば微調整を必要とし ない。視野カメラ上の特徴点を順次注視することでキャリブレーションが実行 される。 ・ビデオに記録されたアイマークの座標データは、データプロセスボードを介 してPCに取り込み解析ソフトウェアを使用することで、多様な定量解析が可 能。また、単眼/両眼眼球運動解析の他、輻輳角度解析・瞬目解析等が可能。 また、視野画像の静止画をPC上に取り込み、計測結果(軌跡図)を貼付ける ことが可能。 - 24 -
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第3章 研究方法
3-2-2 EMR-8のデータ解析 アイマークレコーダの解析内容 1 アイマークデータの定性観察「EMR8VIEW.exe」 処理機能 視野画像の表示 アイマークの時刻データ等の表示 アイマークデータの軌跡図の描画 視野画像座標上でのカーソルによる位置の計測 入力画像信号 NTSC形式の映像信号 入力画像再生速度 30F/S 表示画像 カラー画像表示 640x480 描画データ 右眼の軌跡をカラーの軌跡線で描画 時刻の表示データ 再生している画像の時刻データ 2 EMR解析ソフトウェアの仕様書 処理機能 (★が今回使用した機能) ★アイマークデータ一覧 ★アイマーク視線軌跡表示:視野平面内でのアイマークの視線軌跡の表示 ★アイマーク時間変化表示:アイマークデータと瞳孔径データの時間変化表示 停留データ一覧 停留データ視線軌跡表示:視野平面内での停留点の軌跡の表示 停留データ時間表示:停留データと瞳孔データの時間変化状況の表示 場所別停留回数分析:小領域に分割した視野平面内での停留回数の表示 場所別停留時間分析:小領域に分割した視野平面内での停留累積時間の表示 停留時間別頻度分析:停留時間の長さのヒストグラム 移動速度別頻度分析:視線の移動速度のヒストグラム ★移動方向分析:移動方向別の回数分析 ★探索範囲分析:限定された時間内での視線の運動範囲の表示 探索時間分析:ゴールに到達するまでの時間と経路の分析 瞬目解析 瞳孔反応分析:瞳孔径の変化速度の分析 ★輻輳データ一覧 ★輻輳データ分析:視距離の分析 - 25 -
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第3章 研究方法
アイマークデータの読み方 アイマークデータ一覧 FILE_NAME ,D:¥eyemark¥everyone's_eyemark.emr NAME ,NAME, COMMENT ,COMMENT DATE ,05/11/16, TIME ,12:54:41 SCENE_NO. ,096 PRE_DATA_PROCESS , AVERAGE ,,, 30
(deg) (deg) (deg)(deg) (mm) (mm) No.
Cue
T
Xl
Yl
Xr
Yr
Pl
Pr
Err
1, 0,0,0,0,
0.017, 46.0, -19.2, 46.0,
0.7, 3.28, 3.12, 6060, E E
2, 0,0,0,0,
0.033, 46.0, -19.2, 46.0,
0.7, 3.28, 3.12, 6060, E E
3, 0,0,0,0,
0.050, 46.0, -13.9, 46.0,
3.0, 3.24, 3.14, 6060, E E
4, 0,0,0,0,
0.067, 46.0, -13.9, 46.0,
3.0, 3.24, 3.14, 6060, E E
時刻データ
左眼視線角度
輻輳データ一覧
右眼視線角度
瞳孔径
エラー表示
FILE_NAME ,D:¥eyemark¥everyone's_eyemark.emr NAME ,NAME, COMMENT ,COMMENT SELECT_EYE : [ LEFT ] DATE ,05/11/16, TIME ,12:54:41 SCENE_NO. ,096 PRE_DATA_PROCESS , AVERAGE ,,, 30
(deg) (deg) (deg) (deg)
No., Cue T Xl Yl Xr
Yr
(deg) (m)
Cvg Range ERR
1, 0,0,0,0,
0.017, 46.0, -19.2, 46.0,
0.7, 3.55, 1.00, 6060, E E
2, 0,0,0,0,
0.033, 46.0, -19.2, 46.0,
0.7, 3.55, 1.00, 6060, E E
3, 0,0,0,0,
0.050, 46.0, -13.9, 46.0,
3.0, 3.55, 1.00, 6060, E E
4, 0,0,0,0,
0.067, 46.0, -13.9, 46.0,
3.0, 3.55, 1.00, 6060, E E
時刻データ
左眼視線角度
エラー表示
右眼視線角度 輻輳角度
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視距離
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第3章 研究方法
3-3 実験対象階段 階段A plan
図3−1 階段A平面図 - 27 -
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第3章 研究方法
階段A section
図3−2 階段A断面図 - 28 -
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第3章 研究方法
階段B plan
図3−3 階段B平面図 - 29 -
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第3章 研究方法
階段B section
図3−4 階段B断面図 - 30 -
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4
□第4章 結果
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第4章 結果
4-1 個別データ
被験者である学生17人のうち有効なデータが採れた者が15人、さらに階 段下り歩行4パターン全てにおいて有効なデータが採れた者は12人であった。 以下に、被験者15人の各結果を示す。 ※流動数:被験者が階段を降り始めてから降り終わるまでの階段上部の断面交 通量(下り歩行者のみ)=ホームから階段へ移動した人数とする。
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階段B(流動数31)
階段B(流動数1)
階段A(流動数54)
階段A(流動数1)
視力 (0.7 0.7)
0
0
1
1
通学時にJR新宿駅利用しない
男性
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
9
9
10
10
11
11
12
12
13
13
14
14
15
15
16
16
17
17
18[s]
18[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.1
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流動数1 流動数54 流動数1 流動数31
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.1
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階段B(流動数36)
階段B(流動数2)
階段A(流動数79)
階段A(流動数0)
視力 (0.1 1.2)
0
0
通学時にJR新宿駅を利用
男性
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
9
9
10
10
11
11
12
12
13
13
14
14
15
15
16
16
17
17
18
18
19
19
20
20
21
21
22
22
23
23
24
24
25
25
26
26
27[s]
27[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.2
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駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第4章 結果
階段A 階段A 階段B 階段B
被験者no.2
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階段B(流動数72)
階段B(流動数21)
階段A(流動数65)
階段A(流動数1)
視力 (1.2 1.2)
0
0
通学時にJR新宿駅を利用
女性
1
1
2
2
3
3
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20
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22
22
23[s]
23[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.3
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数1 流動数65 流動数21 流動数72
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.3
- 38 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 39 -
階段B(流動数72)
階段B(流動数1)
階段A(流動数64)
階段A(流動数5)
視力 (0.6 0.6)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
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5
5
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6
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24
25
25
26[s]
26[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.4
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数5 流動数64 流動数1 流動数72
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.4
- 40 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 41 -
階段B(流動数0)
階段A(流動数61)
階段A(流動数3)
視力 (1.5 1.5)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
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23
24[s]
24[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.5
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数3 流動数61 流動数0
階段A 階段A 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.5
- 42 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 43 -
階段B(流動数41)
階段B(流動数0)
階段A(流動数74)
階段A(流動数1)
視力(1.0 1.0)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
男性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
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9
10
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24
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25
26[s]
26[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.6
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数1 流動数74
流動数0 流動数41
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.6
- 44 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 45 -
階段B(流動数72)
階段B(流動数21)
階段A(流動数65)
階段A(流動数1)
視力 (0.1 0.1)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
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8
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25[s]
25[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.7
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数1 流動数65 流動数21 流動数72
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.7
- 46 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 47 -
階段B(流動数21)
階段B(流動数2)
階段A(流動数48)
階段A(流動数5)
視力 (1.0 1.0)
0
0
1
1
通学時にJR新宿駅を利用しない
男性
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
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8
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13
13
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15
16
16
17
17
18[s]
18[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.8
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数5 流動数48 流動数2 流動数21
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.8
- 48 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 49 -
階段B(流動数0)
階段B(流動数6)
階段A(流動数22)
階段A(流動数2)
視力 (0.8 0.8)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
9
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18
19
19
20
20
21[s]
21[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.9
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数2 流動数22 流動数0 流動数6
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.9
- 50 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 51 -
階段B(流動数49)
階段B(流動数1)
階段A(流動数74)
階段A(流動数5)
視力 (0.6 1.0)
0
0
通学時にJR新宿駅を利用
女性
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
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22
23
23
24[s]
24[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.10
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数5 流動数74 流動数1 流動数49
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.10
- 52 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 53 -
階段B(流動数40)
階段B(流動数26)
階段A(流動数61)
階段A(流動数3)
視力 (1.5 1.5)
0
0
通学時にJR新宿駅を利用
男性
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
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16
16
17
17
18[s]
18[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.11
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数3 流動数61 流動数26 流動数40
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.11
- 54 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 55 -
階段B(流動数53)
階段B(流動数3)
階段A(流動数93)
階段A(流動数15)
視力 (0.1 0.1)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
男性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
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26
26
27[s]
27[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.12
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数15 流動数93 流動数3 流動数53
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.12
- 56 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 57 -
階段B(流動数45)
階段B(流動数4)
階段A(流動数30)
階段A(流動数1)
視力 (0.8 0.8)
0
0
通学時にJR新宿駅を利用
男性
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
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7
7
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25
25
26[s]
26[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.13
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数1 流動数30 流動数4 流動数45
階段A 階段A 階段B 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.13
- 58 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 59 -
階段B(流動数)
階段B(流動数65)
階段A(流動数64)
階段A(流動数1)
視力 (1.0 1.0)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
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9
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24[s]
24[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.14
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
流動数1 流動数64 流動数65
階段A 階段A 階段B
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.14
- 60 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
- 61 -
階段B(流動数36)
階段B(流動数3)
視力 (0.6 0.6)
0
0
1
1
2
2
通学時にJR新宿駅を利用しない
女性
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
8
8
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19
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20
21[s]
21[s]
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究 第4章 結果
被験者no.15
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第4章 結果
流動数3 流動数36
階段A 階段A
被験者no.15
- 62 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段におけるサイン注視行動に関する研究
第4章 結果
4-2 注視行動シークエンス一覧
- 63 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
5
□第5章 分析
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-1 内的要因と注視対象の変化 5-1-1 性別による変化 ・男性は女性より合計注視時間(=下り歩行にかかる時間)が短い。 ・男性は足元注視時間と天井部分注視時間、女性はサイン注視時間と人の注視 時間が長い。
図5−1 男女別注視時間量
図5−2 男女別注視時間割合 -61-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
図5−3 男女別注視時間割合(男性)
図5−4 男女別注視時間割合(女性)
-62-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-2 JR新宿駅の利用頻度による変化 ・日常的利用者は非日常的利用者よりもサイン注視時間が短く、また足元注視 時間と人の注視時間が長い。 ・他の項目には有意な差は見られなかった。 ※通学時にJR新宿駅を利用する被験者を日常的利用者(新宿駅に慣れている 者)、利用しない被験者を非日常的利用者とした。
図5−5 利用頻度別注視時間
図5−6 利用頻度別注視時間割合 -63-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
図5−7 日常的利用者の注視時間割合
図5−8 非日常的利用者の注視時間割合
-64-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-2 外的要因による注視対象の変化 5-2-1 階段の場所による変化 階段を階段上部・踊り場・階段下部の3カ所に分け、注視対象とその時間を 分析した。 ・階段上部では足元注視時間・人の注視時間・天井部分の注視時間が長く、反 対に階段下部ではサイン注視時間と遠距離視時間が長い。 ・踊り場では足元注視時間とサイン注視時間が7割を占めた。
図5−9 階段場所の分け方
図5−10 階段場所別注視時間量 -65-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
図5−11 階段上部での注視時間割合
図5−12 踊り場での注視時間割合
図5−13 階段下部での注視時間割合
-66-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-2-2 階段Aと階段Bの違いによる変化 ・階段Aは階段Bよりもサイン注視時間が長く、足元注視時間と天井注視時間 が短い。
図5−14 階段別注視時間量
図5−15 階段別注視時間割合
-67-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-2-4 階段Aと階段Bの違いによる変化(階段場所別)
図5−16 階段上部での注視時間割合(階段A、Bの比較)
図5−17 階段上部での注視時間割合(階段A、Bの比較)
図5−18 階段上部での注視時間割合(階段A、Bの比較) -68-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第5章 分析
5-2-4 階段の流動量による変化 ・流動量と足元注視時間にはほとんど相関は見られない。
図5−16 流動量と足元注視時間
・流動量の増加に従い、サイン注視時間は緩やかに増加。
図5−17 流動量とサイン視認時間
-69-
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
6
□第6章 考察
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第6章 考察
6-1 内的要因と注視対象の変化
●性別による変化 プレ調査では、ハイヒールを履いた女性が足元を長く注視する姿が見られた が、実験では男性よりも女性の方が足元注視時間量及び注視時間割合は低かっ た。これは実験時に歩きやすい靴を履いて来るよう被験者に指示してあったこ とが理由と思われる。 一方、男性が女性よりサイン注視時間が少ないのは、天井部分の注視が多い ことも考え合わせると、女性より身長が高いために階段下り歩行時にサインを 見ることがかなり困難なためと思われる。 ●JR新宿駅の利用頻度による変化 日常的利用者は記憶や慣れなどによってサインから目的地を読み取る時間が 少なくてすむため、サイン注視時間が短い。また、その分足元を見ながら急い で階段を降りようとする姿が見受けられた。
- 71 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第6章 考察
6-2 外的要因と注視対象の変化
●階段の場所による変化 サイン注視時間は階段上部、踊り場、階段下部の順に増加している。 また踊り場で最も足元注視時間が多いことから、短時間で足元の変化が大き い踊り場では足元以外の注視行動は難しいことが考えられる。 ●階段Aと階段Bの違いによる変化 BはAと違い階段上部から正面サインがほとんど見えないが、替わりに天井 部分の注視が増加していることから、被験者が正面サインを探して天井部分を 注視してしまっていると考えられる。 ●階段Aと階段Bの違いによる変化(階段場所別) 階段上部と踊り場でのサイン注視時間割合は、ほとんどサインが見えないB がAに比べかなり低い。 反対に、階段下部ではサイン注視時間割合はBの方が多くなっている。また、 正面サインだけでなく、side sign:階段に対し平行にコンコースに設置されて いるサインの注視時間割合も多い。 このことから、被験者がB階段上部と踊り場ではサインを探しているが十 分に見ることができず、階段下部でさらにサインを視認しようとしていること が読み取れる。 したがって、下り階段歩行時は階段上部の時点からサインの視認が求められ ている。 ●階段の流動量による変化 流動量の変化に従いサイン注視時間がゆるやかに増加したが、これはまとま った時間のサイン注視ができないことや、注意力が散漫になることが原因と考 えられる。
- 72 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
7
□第7章 まとめ
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第7章 課題と展望
7-1 まとめ
階段下り歩行者がサインを視認し始めるの波、階段上部からである。 したがって、階段最上部に立ったときの視点と天井最下端を結んだ線と、高さ 2,500mmの床との平行線が交わる点にサインを設置するのが最も理想的であ る。 これを今回の実験で利用した階段Bに適用すると、以下の図のようになる。
図7−1 提案サイン設置位置の階段Bへの適用
- 74 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
第7章 課題と展望
7-2 今後の課題と展望
本研究では、階段下り歩行時のサイン注視行動というミクロな範囲について 調査したが、本来駅のサイン計画は駅全体のマクロな視点から始まり構成され ていくものである。したがって、今後は階段歩行時も正面サインだけでなく階 段周辺のサインとの関連性まで考慮していくべきであるし、また駅全体での文 字情報以外の新しいサイン計画についても考えていかねばならないであろう。 さらに、今回は被験者の属性が若年の学生と限られていたが、バリアフリー の概念が一般的になってきている現在では、高齢者や外国人などの交通弱者に ついても同様の調査を行う必要がある。
- 75 -
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
おわりに
駅階段降下時における注視行動に関する研究
おわりに
「秋の卒論合宿ってさ、泣く子がいるらしいよ」
「え まじで?!」(いやいやちゃんと前からやろーよ・・・) 合宿で、ではなかったけれど、半年前はまさか自分がその泣く子になるとは夢にも思いません でした。
秋になってもテーマが決まらず、自分の論理性のなさやいい加減さ、未熟さをつくづく思い知 らされましたが、何とか皆さんのおかげで卒論(と呼んでください)を仕上げることができました。 実験を初め、ここまで全て自分でマネージメントする機会は初めてだったためにいつもテンパっ
てばかりでしたが、少しは成長できたのではないかと思います。次の就職活動は、前より少しう まく行く気がしています。駅マスターになったし乗り換えもスムーズに行くはず。
まずは半年間を通して適切なアドバイスをしていただいた渡辺仁史先生、本当にありがとうご ざいました。林田先生も、中身の濃いディープなゼミで本当にお世話になりました。また、担当 者のタイガー荻内さんには、最初から最後まで頼りっぱなしで頭が上がりません。虎の子はいつ
も口ばっかりでごめんなさい。そして端子の違いすら分からなかった私に付き合って何度もパソ コンを開けてくれた遠田さん、本当にありがとうございます。何かが起きたらすぐ「遠田さ〜んっ」 の癖は徐々に治していきます。また長澤”人間の方の”夏子さん、行き詰まった時に話を聞いて いただき、とても救われました。面倒な実験に付き合ってくれた小川さん、羞恥心を捨て被験者 になってくれた方々も、危険を伴うゲリラ実験だったのに本当にありがとうございました。自分 の不行き届きで至らない所も多かったことをこの場を借りてお詫びします。
次に、卒論合宿をした同期たち。とりあえず、寝姿とか数々の失態は忘れてください。始めは 合宿生活が楽しくてビールばかり飲んでたけど、あまりに楽しそうなみんなに危機感を持ってみ たり、でもやっぱり一緒に遊んでしまったり。寝てみたり。女の子たち、いつもグチってばかりだっ
たけど楽しかったです。みんなの優しさとか気配りには本当に感動します。合宿生活、作業効率 は最低だったとしても、最高の思い出になりました。12月が目標の一人暮らし生活は、ティファー ルと共に始めます。
最後に、ほとんど家に帰らない私を影ながら支えてくれた家族に感謝します。「家族」というテー マは、研究ではなくこれからの個人的なテーマにするつもりです。
2005.11.22 城戸奈津子
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
駅階段降下時における注視行動に関する研究
おわりに
Best Eyamark Fasion Award 2005 no.3 ms.Matsui no.2 mr.Goddy no.1 ms.AsAki
Congratulations!
2005年度 早稲田大学 渡辺仁史研究室 卒業論文
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□参考文献
駅階段降下時における注視行動に関する研究
参考文献
「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」 財団法人 運輸経済研究センター
「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」 交通エコロジー・モビリティ財団
「駅における案内サインの配置に関する研究
ーサインの認知率からみた配置状況の評価ー」 渡辺仁史研究室2002年度卒論 平岡久枝
「駅におけるサイン量の過不足判断に関する研究」 渡辺仁史研究室2002年度卒論 片倉潤也
「車窓シークエンス景観における注視特性に関する研究 ー都電荒川線の車窓景観によるスタディーー」 後藤晴彦研究室 古田五波 「注視行動の統計的性質」
土木学会論文報告集第213号 1973/5 村田隆裕 「アイマークレコーダによる歩行者の注視特性に関する基礎的研究」
昭和58年度第18回日本都市計画学会学術研究論文集 田島学、朝倉博樹 建築外観の力感に関する視環境評価に関する研究(その3) 日本建築学会大会学術講演梗概集 1991/9 加藤
地下鉄駅舎出入口におけるアイカメラを用い階段歩行実験 ー階段歩行時の注視行動に関する研究 その1ー
日本建築学会大会学術講演梗概集 2001/9 呉怡貞、岡崎甚幸、鈴木利友、上野達哉 階段上り歩行実験で見られる注視行動の特徴
ー階段歩行時の注視行動に関する研究 その2ー
日本建築学会大会学術講演梗概集 2001/9 呉怡貞、岡崎甚幸、鈴木利友、上野達哉 階段下り歩行実験で見られる注視行動の特徴
ー階段歩行時の注視行動に関する研究 その3ー
日本建築学会大会学術講演梗概集 2001/9 呉怡貞、岡崎甚幸、鈴木利友、上野達哉 歩行者の注視特性を考慮した歩行空間の実験的考察 ー老若歩行者の視覚情報処理機能の時系列解析ー
日本建築学会大会学術講演梗概集 2001/9 伊藤納奈、福田忠彦
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□資料編
駅階段降下時における注視行動に関する研究
資料編
分析用データ 表1−1 個人の注視時間平均
表1−2 男女別の注視対象の違い
表1−3 階段Aと階段Bによる違い
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駅階段降下時における注視行動に関する研究
資料編
表1−4 階段場所別の注視時間の違い
表1−5 会談場所別の注視時間の違い(階段場所別)
表1−6 流動者数と注視時間
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駅階段降下時における注視行動に関する研究
資料編
アイマーク解析結果
図1−1 アイマーク視線軌跡表示
図1−2 探索範囲分析
図1−3 探索範囲分析
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駅階段降下時における注視行動に関する研究
資料編
図1−4 アイマーク時間変化表示
図1−5 瞳孔反応分析
図1−6 瞬目解析
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