U0611 早稲田大学理工学部建築学科卒業論文 指導教授 渡辺仁史
気分転換を促す空間に関する研究 A Study on the Space which Affect the Chage of Mood
本田 悠夏
Department of Architecture,School of Science and Engineering, Waseda University
はじめに
* はじめに ストレスの多い現代社会において、特に都会での生活の中で、それでも「ほっとする場所」 「気 持ちの良い場所」 「居心地の良い時間」がある。人間・空間・時間の3つの要素が、一定の条 件で確保された時、ふと気持ちが転換できる(スイッチする)といった経験があると思った。 ストレスを発散するために能動的に何か行動するというのではなく、ここに行くと自然に気 分転換でき新たな活力がわき、集中力を取り戻すことができるといった「シーン」というもの があるのではないかと思い、この研究をはじめた。
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
1
* 目次
目次
* はじめに 目次
0. 用語の定義 □□用語の定義
6
□気分転換 □スイッチ空間
1. 目的
□□目的
8
2. 研究背景 □□ 2-1 社会的背景
10
□ 2-1-1 現代社会とストレス □ 2-1-2 ストレス人口の増加 □ 2-1-3 ストレスとは
□□ 2-2 気分転換の有効性
12
□ 2-2-1 ストレスと気分転換 □ 2-2-2 気分転換の効果 □ 2-2-3 気分転換が有効なストレス状態 □ 2-2-4 良いストレスと悪いストレス □ 2-2-4 気分転換の状態変化のモデル図
□□ 2-3 現状の気分転換
16
□□ 2-4 オフィスにおける気分転換
18
□ 2-4-1 ストレスとオフィス □ 2-4-2 ビジネスとオフィス □ 2-4-2 リフレッシュスペースに対する満足度・要望
□□ 2-4 本研究の位置づけ
20
3. 研究フロー □□研究フロー
22
4. 気分転換を促す空間に関する実態調査 □□ 4-1 実施概要
24
□ 4-1-1 調査目的
24
□ 4-1-2 調査日時
24
□ 4-1-3 調査対象者 24
□□ 4-2 調査方法
25
□□ 4-3 調査結果
26
□ 4-3-1 スイッチ空間の特徴 □ 4-3-2 スイッチ空間に重要な構成要素
□□ 4-4 スイッチ空間データベース
30
□□ 4-5 利用頻度の高いスイッチ空間
33
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3
目次
* 5.気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験 □□ 5-2 実験空間
36
□ 5-2-1 実験空間の選定 □ 5-2-2 実験空間について
□□ 5-3 実験概要
38
□ 5-3-1 実験概要 □ 5-3-2 計測の手順
□□ 5-4 検査用紙
41
□ 5-4-1 POMS 簡易版 (Profile of Mood States) □ 5-4-2 クレペリンテスト
□□ 5-5 実験で使用した測定機材
44
□ 5-5-1 ストレス計測器 □ 5-5-2 パルスオキシメーター □ 5-5-3 脳波計 □ 5-5-4 照度計
6. 実験結果・分析 □□ 6-1 データの扱い方
50
□ 6-1-1 対象被験者 □ 6-1-2 分析方法
□□ 6-2POMS による気分の変化傾向
54
□ 6-2-1 マイナス気分の変化傾向 □ 6-2-2 休憩前後のマイナス気分の増減率からみる気分転換効果の差
□□ 6-3 唾液アミラーゼ量によるストレス値の減少率 □□ 6-4spo2 測定によるリラックス - 緊張度の変化傾向 □□ 6-5 脳波の変化率
57
59 60
□脳波からみたリラックス度の変化
□□ 6-6 計算量増加率
63
□□ 7 考察
66
□ 7-1 ストレス・緊張度合の軽減に適したスイッチ空間 □ 7-2 集中・作業効率に適したスイッチ空間 □ 7-3 閉じた空間のスイッチ空間としての効果
8. 展望
オフィスへの提案
9. まとめ
70
まとめ
72
おわりに 参考文献
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4
0 用語の定義 -1
気分転換
-2
スイッチ空間
用語の定義
0 0. 用語の定義 本論文中で用いる用語の定義を行う。
□□気分転換 仕事や生活を持続可能にするために取り入れる行為。 人の仕事や勉強への集中力や作業効率・意欲は無制限に持続するものではなく、長時間作業 しているとそれらはしだいに低下してくる。集中力・作業効率・意欲を保つため、または取り 戻すための行為を気分転換と定義する。(2-2-2 参照)
□□スイッチ空間 - 本研究を始めるにあたって作った用語 気分転換を促す効果のある空間のこと。 気分転換を、空間の視点からみた時に用いることば。 空間を移動する、空間の質の変化させることなどによって、空間から受動的に気分転換でき る空間のことをさす。
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6
1 目的
目的
1
1 目的 空間が促す気分転換の構成要素、さらに効果を明らかにすることにより、利用目的にあった 気分転換に効果的な空間を提案することを目的とする。
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2 研究背景 -1
社会的背景
-2
気分転換の有効性
-3
現状の気分転換
-4
オフィスにおける気分転換
-5
研究の位置づけ
研究背景
2 2. 研究背景 気分転換が必要とされている社会的背景をはじめ、どのよなスペースが求められているのか を示す。また、気分転換とはどのような状態をさすのか、気分転換の種類や有効性を説明する。
□□ 2-1 社会的背景 □ 2-1-1 現代社会とストレス 「ストレス」という言葉は、すでに医学用語として、世界的に用いられており、とくにわが 国では、日常語にもなって、「ストレスがたまった」とか、「ストレス解消」とかいって、さか んに使われているが、その本当のことは、あまりよく理解されていなかたのではないかと思わ れる。それは、この「ストレス」ということ(概念)は、これまでの健康や病気の見方や考え方、 医学(医療)のあり方を根本からかえなければ理解できない、画期的なものだったからである。 上記はハンス・セリエ著「THE STRESS OF LIFE 〜現代社会とストレス〜」の訳者杉靖三郎 のあとがきである。20 年前の書籍であるが、現在も同様にストレスというもの本当のことをよ く理解されていないままに「ストレス」という言葉が頻繁に使われているのが現状だ。 一方、ストレスを抱えている現代人が多いのも確かなことであり、ストレスを解消させ、効 率のよい充実したライフスタイルを送れるようになることを望んでやまない。忙しく、つまっ たスケジュールであわただしく生活をおくる中で、ストレスに適切な対応をしつつ、仕事など でよい成果を出せるような状況をつくりだすことが必要である。
□ 2-1-2 ストレス人口の増加 著しい成果主義社会となっている今日、日常にストレスを多く抱え込んでしまっている人は 増加傾向にある。東京保健福祉局の 2006 年 2 月の報告によれば、「しばしばストレスを感じて いる」都民は 5 年前の 17.3% に対し 24.6% に増加し、3 人に 2 人が「ストレスを感じる」と答 えている。 (図 2-1-2) 年齢層で見ると 20 〜 40 歳代にストレスを抱えている人が多い。社会に従属し、仕事をして いる人々が、ストレスというものを実感しているようだ。 平成6年
17.4 46.1 25.9 10.5
平成 9 年 16.5 47.1 24.9 11.3 平成 12 年 17.3 48.3 24.1 10.3 平成 16 年
24.6 41.7 21.5 12.2
しばしば感じる たまに感じる あまり感じない ほとんど感じない
0% 20% 40% 60% 80% 100% 図 2-1-2「イライラやストレスを感じている人の割合の推移」 健康に関する世論調査 (2004 年 9 月調査 ) 生活文化局
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研究背景
2 □ 2-1-3 ストレスとは それではストレスがあるとはいったいどのような状態をさすものなのか。 ストレス、さらにストレスのかかった状態を説明する。 ◇「ストレス」の用語の意味 「ストレス」 (stress)は、緊迫・圧迫・歪み(歪緑)、応力などのことであるが、ここでは 辞書における医学的なストレスについて記す。
・寒冷・外傷・疾病・精神的緊張などが原因で体内におこる非特異的な防御反応。また、そ の原因。まず交感神経の緊張、副腎随質のアドレナリン分泌が起こり、ついで脳下垂体からの ACTH の分泌とそれによる副腎皮質の分泌増量が起こる。カナダの内分泌学者ハンス・セリエ (H.Selye)の用語。 ・俗に、精神的緊張。 (文1)
◇ストレスとストレッサー 「ストレス」とは、例えば、ボールに圧力がかかって、ひずんだような状態のことをさす。 そのときのストレス状態を引き起こす要因が「ストレッサー」である。「人間関係」や「仕事 の忙しさ」や「気温の変化」などが「ストレッサー」にあたる。(図 2-1-3 参照) 「ストレス」とは、 「ストレッサー」が加わって、「心身に負荷がかかった状態」である。
・ストレスのない状態
・ストレスのかかった状態 人間関係 仕事の忙しさ
気温の変化
図 2-1-3 ストレスとストレッサー
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研究背景
2 □□ 2-2 気分転換の有効性 □ 2-2-1 ストレスと気分転換 ストレスの発見者ハンス・セリエ博士(1907-1982)は、ストレス解消のために「気分転換」 を重視している。ストレスを抱えていると、ストレスの対象にばかり意識が集中。 問題を解決 することは重要だが、あまりにもそのことばかりに意識が行ってしまうと、ストレスの対象に 自分がはまりこんでしまい、本当の問題解決策が見えてこなくなる。 そこで、別のことに意識を向け、一時的にストレスの対象に意識が行かないようにして、心 の余裕を作るのが「気分転換」である。 たとえば仕事に追い込まれ、疲労がたまり仕事の効率が悪くなってきた場合、あえて仕事を 中断し、 眺めの良い場所へ食事にいく。その間は仕事の手を休めることになるため、気分転換は、 問題に対して直接的な解決策とはならない。しかし、街の中の人の流れを眺めたり食事中にふ と知人に出会うことによって、気持ちの余裕が生まれたり新しい視点をみつけられ、再び仕事 に戻ったとき、良い集中状態で仕事に臨められる。 これが気分転換である。 見方を変えれば、気分転換とは、ストレスが集中した部分を休ませることでもある。ストレ スというのは、 「ある部分にエネルギーが行きすぎた状態」であり、バランスをとる必要があ る時のサインと言える。 「仕事で強いストレスを感じている」ときも、「仕事にエネルギーがい きすぎなため、少し仕事のことから意識を離して、全体のバランスをとる必要がある」という サインとである。
□ 2-2-2 気分転換の効果 気分転換をすることによって、望まれる効果を状態変化を示すことによって説明する。 人の仕事や勉強への集中力や作業効率・意欲は無制限に持続するものではなく、長時間作業 しているとそれらはしだいに低下してくる。集中力・作業効率・意欲を保つため、取り戻すた めに気分転換は効果がある。 (図 2-2-1 参照) 気分転換によって仕事に対する集中力・作業効率・意欲を維持していける状態にできるとい
集中力・意欲 作業効率
うことが、気分転換が現代社会で役に立つと考えられる理由といえる。
time 図 2-2-2 気分転換の効果
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研究背景
2 □ 2-2-3 気分転換が有効なストレス状態 セリエ博士は、ストレスを心身の「エネルギーの消耗」 であるとも考えていた。 「ストレス」について、エネルギーのバランスという視点から別の角度から示し、どの状態 が気分転換が効果を発揮する状態かを説明する。(図 2-2-3 参照) 1. ストレスのない状態 - 気分転換は不必要 ストレスをほとんど受けていない場合、エネルギーは十分にある。エネルギーがまんべ んなく使われており、 バランスも取れている。 この状態の場合は気分転換をする必要がない。 2. ストレスのかかった状態 - 気分転換が有効 ストレッサー ( ストレスの原因 ) が加わると、それに対処するためにエネルギーを使う。 ストレッサーに対してエネルギーを振り向けるため、エネルギーのバランスが崩れてきた 状態。 例えば、仕事が忙しく、仕事に対してたくさんのエネルギーを振り向けている状態。 特 定の部分に多くのエネルギーをシフトしていくため、バランスが崩れる。 この状態は、気分転換をしてバランスをとっていくことが必要である。 3. ストレスのかかった状態が続いた状態 - 気分転換が有効 ストレスが続くとストレスに対応しようとして、エネルギーを消費し、エネルギーは徐々 に減っていく。 例えば、仕事でエネルギーを使い、徐々に心身が疲れてきた状態。 この状態もまた、気分転換をしてバランスをとっていくことが重要である。 4. エネルギーがなくなった状態 - 気分転換は無効 さらにストレス状態が続くと、エネルギーが非常に少なくなっていく。ストレスに対処 するために、エネルギーを使い切ってしまい、エネルギー・レベルが非常に低くなっている。 例えば、仕事で疲れ切ってしまった状態。エネルギーがほとんどなく、何もやる気が起 こらない、やろうと思ってもできなくなる。 この状態では、気分転換は無効ちなる。エネルギーがない状態では、エネルギーを補給 することが最優先となる。活動をいったん停止し、休むこと、眠ることが必要。
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研究背景
2 1.ストレスのない 状態
2.ストレスの かかった状態
3.ストレスのかかった 状態が続く
stressor
stressor
4.エネルギーがなく なった状態
stressor
×× ×
energie
Energie LEVEL
high
気分転換が不必要 エネルギーが十分あり、 バランスの取れた状態。
low
気分転換が有効
気分転換してはダメ
エネルギーが偏っている人には 気分転換でバランスをとること が有効。 この状態が本研究のフィードバ ック対象。
休気分転換をするエネル ギーも残ってない状態。 休むむことが必優先。
energie
図 2-2-3 気分転換に有効なストレス状態
気分転換とは、エネルギーバランスを修正するというストレスマネジメントである。 セリエ博士のストレス・マネジメントに関する方法論を整理する。
If there is proportionately too much stress in any one part, you need diversion. If there is too much stress in the body as a whole, you must rest. (Hans Selye) ・一部分に強くストレスがかかっているとき 気分転換をしなさい。 (バランスを回復しなさい) ・全体に強くストレスがかかっているとき 休みなさい。 (エネルギーを補給しなさい)
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研究背景
2 □ 2-2-4 良いストレスと悪いストレス 気分転換は、別のストレッサーを加えるというやり方である。それによって、偏ったエネル ギーの使い方のバランスがとる。(図 2-2-4 参照) ここでいう別のストレッサーとは良いストレッサーである。ストレスにも良いストレス (eustress)と 悪いストレス (distress)があるのだ。
stressor
stressor
energie energie
図 2-2-4 気分転換によるバランスのとれたエネルギー状態
□ 2-2-4 気分転換の状態変化のモデル図 気分転換による、人のエネルギー状態の変化を、オートマトンシステムにならって、遷移図 で整理した。 (図 2-2-4 参照) これにおいて気分転換を示す部分は、 「状態 E1 の時に状態 E0 にもどすために e( 良いストレス ) を与えること」である。すなわち、気分転換は、ストレスがかかり、エネルギーに偏りがでた 状態において、バランスのとれたエネルギーバランスの状態に戻すことである。 遷移条件
状態
状態遷移表 <状態> E0:エネルギー十分あり均衡な E1:エネルギーが偏った E2:エネルギーがなくなった <遷移条件> e:eustress(良いストレス) d:distress(悪いストレス) r:rest(休息)
図 2-2-4 気分転換の状態変化のモデル図
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研究背景
2 □□ 2-3 現状の気分転換 実際の「気分転換」には、何をどこでなされているか、などについてまとめる。
実際に「気分転換」と聞いて、思いつく事柄について、自由に言葉をだしてもらうブレイン ストーミングを行った。協力者は、大学生 10 名。(表 2-3-4 参照) 読み取れたこととしては、行為で行われていることが大半であるということである。(表 2-3-1)気分転換とは行為で行われるものだという認識が高いことが読み取れた。 ・コミュニケーションをとる
・音楽を聴く
・体を動かす
・声を出す
・身体・身なりをきれいにする
・趣味
・心を整理する
・特定のことしかできない状況にする ・手順の決まったことをする 表 2-3-1 行為による気分転換
また、自分のおかれた環境を変えることによって行われる気分転換もあることが分かり、空 間から気分転換を促すことの可能性があることが読み取れた。 ・いつもと違う場所に行く ・場所を変える ・光を取り込む ・身の回りの環境を整える 表 2-3-2 空間による気分転換
その他に読み取れたこととしては下記にあげる。 ・気分転換とは行為をすることによってなされる ・現状変化させることが重要である ・気分転換は、空間・行為・時間のパラメータによって成り立っている(図 2-3-1 参照)
Space
Time
Action
図 2-3-1 気分転換のパラメータ
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研究背景
2 いつもと違う 場所に行く 近所だけどあまり行かない所 行ったことのない場所に行く 道を替えてみる 自転車でどこまでも行く
コミュニケーション 親と話す
ラジオをつける
家族と話す 友達とおしゃべりする
ヘッドホンで大きな音を聞く
犬と遊ぶ 人のいる所へ行く
美術館に行く 人のいる所へ行く
カラオケ よく笑う
街へでかける
ジョギング
叫ぶ
中心街へ行く
走る
泣ききる
買い物
テニスする
初めての店
犬と散歩する
少しこだわりの店に行く
行ったことのない所に散歩
旅行に行く
散歩する
山小屋
少し遠くまで散歩する
軽井沢
姿勢を変える
海岸に行く
伸びをする
温泉宿
のびをする
趣味
つり 映画をみる 推理小説 ラグビー観戦 ギターを弾く バイオリンを弾く
目の向きを変える
cafe で仕事をする
声を出す
うたう
体を動かす
場所を変える
音環境
音楽を聴く
特定のことしかできない
ストレッチ
状況にする
ヨガ コンビニにいく
cafe で読書
身体・身なりを
cafe で休む
奇麗にする
買い物 旅行に行く
顔を洗う
ひなたぼっこ
シャワーを浴びる
ピアスを変える
風にあたる
アクセサリを買う
お花見
化粧をする
昼寝
食べる 昔の写真をみる 仕事・本業を忘れる いつもと違うことをする
目薬をさす
窓を開ける
料理 外食
髪を洗う
雲を眺める
お菓子づくり 作ったことのない料理をする
髪を切る
吹き抜けのある場所
帰りの電車 塾バイト
お風呂 エステ
窓をあける
鈍行電車に乗る バイト
歯磨き
光を取り込む
電車に乗る
体重計にのる
身の周りの環境
手順の決まった 心を整理する
を整える
ことをする ドリップコーヒー
掃除
1人になる
コーヒー
模様替え
日記を書く
緑茶をいれる
洗濯
涙をながす
電車の乗り換え
お皿洗い
泣ききる
たばこ
布団を干す
昼寝
いつもと同じことをする 表 2-3-1 気分転換の分類(KJ 法)
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研究背景
2 □□ 2-4 オフィスにおける気分転換 □ 2-4-1 ストレスとオフィス 2-3-1 で示したように、ストレスの年齢層で見ると 20 〜 40 歳代にストレスを抱えている人 が多い。これらの年代は、会社に所属し、仕事をしている年代である。日々オフィスで過ごし、 長時間の仕事を自席で行い続ける人も多い。そのため、オフィスにおけるスイッチ空間を考察 していくことが、今日のストレス社会に対する提案の基礎となりえると考える。
□ 2-4-2 ビジネスとオフィス オフィスに対する考え方は変わりつつある。ビジネスにとってオフィスが大事だという経営 者も増えた。社員が働きやすい環境を整え始め、「働く人を大切にしている」というメッセー ジを打ち出す手段としてオフィスをとらえる経営者も現れ始めた。重役が個室に、管理人が窓 際にいては、いくらフラットで風通しの良い社風を掲げても説得力がない。外部の目に留める ロビーや VIP 用会議室だけにコストをかけていてもだめだと理解し始めている。 ( 参考文献:日経アーキテクチュア 2005-2-21p.90) ワークプレイス環境も経営戦略の重要なファクターと考えられてきているようだ。リフレッ シュルームのような休憩のための空間をオフィスに組み込みたいと考えている経営者も多いよ うだが、実際には、そのような快適性を求めた空間をお金をかけて作るよりも「執務空間を増 やし、一人でも多くの社員を収容する方が経営戦略として有益なのではないか」というのが経 営側の本音である。そのような会社に対して、スイッチ空間の有効性を提案することにより、 スイッチ空間を組み込む有用性の裏付けが必要だと考える。
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研究背景
2 □ 2-4-2 リフレッシュスペースに対する満足度・要望 2004 年 11 月から 2005 年 2 月に社団法人ニューオフィス推進協議会で実施された、首都圏に 勤務するワーカー 314 人に対して「オフィス内における最も好む場所と好まない場所」のアン ケートを参照し、リフレッシュスペースに対する満足度や要望について読み取る。 調査の中で、一般的なオフィスと先進的オフィスとの調査比較が記されている。(表 2-4-2 参照) 「先進的なオフィス」とは、日経ニューオフィス推進協議会が毎年表彰している優秀な 空間作りのオフィスのことを指す。
一般オフィスワーカーの「好む場所」上位
先進的オフィスワーカーの「好む場所」上位
1 位 自席 (34.2%)
1 位 自席 (20.9%)
2 位 喫煙室 (13.3%)
2 位 喫煙室 (14.0%)
3 位 リフレッシュコーナー (10.4%)
3 位 コミュニケーションスペース (11.5%)
4 位 トイレ (8.5%)
4 位 会議室 (7.5%) 表 2-4-2 オフィス内における最も好む場所
その結果をみると、1 位「自席」、2 位「喫煙室」の順位は変わらないものの、 「先進的オフィ ス」では「自席」を好む率が 13 ポイント少なくなっており、「自席」以外のスペースを好む率 が増えている。 ここでいう「好む場所」というのは休憩時に限らず、オフィスの中で好きな場所として質問 している。そのため、1位の自席を好きな理由も先進的オフィスと一般的オフィスとでは結果 が異なってきている。 (表 2-4-2 参照)一般的オフィスが先進的オフィスに比べて「他にくつ ろげる場所がないから」という理由が 6.8%高いところに注目したい。社員は他につろげる場 所がないために、しかたなく自席で過ごす時間が増えているようだ。
自席を好む理由
一般オフィス
先進的オフィス
他にくつろげる場所がないから
27.6%
20.8
落ち着くから 慣れた場所だから
27.6% 17.3%
13 23.4
一人になれるから PCが使えるから 機能的で使いやすい 仕事ができるから 環境がよい その他
6.3% 10.2% 5.5% 1.6% 1.6% 2.4%
5.2 2.6% 7.8% 9.1% 7.8% 10.4%
100.0%
100.0%
表 2-4-2 自席を好む理由
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研究背景
2 □□ 2-4 本研究の位置づけ 快適性を目指したオフィス空間やリフレッシュルームの研究はなされているが、休憩後の良 質な作業状態を目的とした休憩のための空間の研究はされていない。また、既往のそれら研究 は調査にとどまっており、実際にどのような影響・効果を与えるのかについて計測された研究 はない。 リフレッシュルームのような休憩のための空間をオフィスに組み込んで、快適なオフィスを 社員に提供したいと思いつつ、実際には、余裕のある空間を作るためにお金をかけるよりも、 執務空間を増やし、一人でも多くの社員を雇ったりする方が経営戦略としてリスクが少なく、 効果が見込めるため、空間にはお金をかけないというのが現状のようだ。この傾向は、大手企 業よりも、中小企業やベンチャー企業に当てはまるだろう。 スイッチ空間の有効性を提示できれば、そのような会社に対して、経営戦略の一端として利 用出来る空間の提案ができると考える。
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3 研究フロー
研究フロー
3 3. 研究フロー 本研究の流れを以下の図に示す。
実態調査 気分転換を行う空間に関する調査
調査結果・考察 気分転換を促す空間の構成要素の考察
実験 空間自体に気分転換を促す効果が 実際にあるか検証する
実験結果・考察 測定項目による 空間の促す気分転換の効果の考察
スイッチ空間の有用性の提示
図 3-1 研究フロー
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4 気分転換を促す空間に関する 実態調査 -1
実施概要
-2
調査方法
-3
調査結果
-4
スイッチ空間データベース
-5
利用頻度の高いスイッチ空間
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 4. 気分転換を促す空間に関する実態調査 多くの人が、普段、作業の合間に行う気分転換についてのアンケート調査を行い、どのよう な行為や、 どのような空間で、行っているかを聞いた。作業している空間、気分転換のために使っ ている空間について、具体的に聞き、内容を分析した。 ストレス発散のため、能動的に何か行うのではなく、この場所に行くと自然に気分転換でき、 新たな活力がわき、集中力を取り戻すことができるといった「シーン」を提示してもらった。
スイッチ空間(気分転換を促す空間)とはどのような構成になっているのかを明らかにし、 構成要素に基づいてスイッチ空間のタイプ分けを行う。
□□ 4-1 実施概要 □ 4-1-1 調査目的 普段、 作業の合間に場所を変えて気分転換をするときの場所について、 「作業中の空間」と「気 分転換のための空間」ついて調査を行う。作業空間と、気分転換をする空間の特徴とその違い を明らかにする。とくに、気分転換のために行っている行為 ( 例えば、スポーツや、喫煙など ) については分析を行わず、空間構成要素や、時間的推移などについて詳しく分析を行う。 気分転換する前の作業していた空間と、気分転換を促す空間とスイッチ空間の差を比較、ま た推移をみることにより、スイッチ空間になり得る空間を探る。
□ 4-1-2 調査日時 2006 年 6 月 23 日実施 2006 年 7 月7日回収
□ 4-1-3 調査対象者 早稲田大学理工学部建築学科の学生 100 人配布回収
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気分転換を促す空間に関する実態調査
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□□ 4-3 調査結果 スイッチ空間が、作業空間に比べて、どのような空間的特徴的があるかをスケッチ調査から 分析したところ、それらの空間同士の違いは、以下の項目(4-3-1)で表す事が出来る。この ように空間を変化させて、気分転換が行われていることが分かった。 スケッチのサンプルを資料 4-3 に載せる。
□ 4-3-1 スイッチ空間の特徴 スイッチ空間は、気分転換前の空間と比べて、変化が必要であることが読み取れた。 以下にスイッチ空間の構成要素を7つの大枠にて示す。 また次ページにアイコンにて示す。
・Movement:移動 場所を移動することがスイッチ空間の第一の条件である。 m 1- 隣接する空間に移動する。 m 2- 隣接しない空間に移動する。シークエンスが付随してくる。 m 3- シークエンス重視。行く先の空間よりも、移動そのものがスイッチ空間となる。 ・Area size: 広さ 平面的広さが変化することは、変わらないことよりも気分転換できる。
a1- 狭くなる。 a2- 広くなる。 a3- 屋外に行く。屋外は建築ではないが、最も変化量が大きくなる空間である。
・Height: 高さ 高さが変化することも、広さと同様である。
h1- 低くなる。 h2- 高くなる。 h3- 屋外。
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気分転換を促す空間に関する実態調査
4 ・Light: 光・明るさ 明度の変化は環境的空間要素として気分転換に働きかける。 l1- 自然光をあびる。半屋外以上の開放的な状態で、直接日光を浴びられる環境に移る。 l2- 自然光を取り入れる。屋内にいながらも、日光を取り込むという変化。 l3- 闇。暗い環境に移ることもまた、気分転換となり得る。 l4- スポットライト的な環境。周囲は暗いが、ある場所だけ光がさしている状態。
・Opening: 開口部 開口部の形態は光の状態とはまた別に重要となっている。視線の抜けのあるなしも 開口部と関連づいてくる。
o1- 大きくなる。開口部が大きくなる、または視線の抜けができることによって、気 分が変化する。 o2- 小さくなる。閉ざされることにより、集中できる状態が得られ、気分転換できる。 o3- 屋外。開口部という作られたものではなく、開放的な空間となることが気分転換 に大きく働きかける。
・Personal space: パーソナルスペース パーソナルスペースがどのように形成されているのか、その状態が変わることも空 間が変わることである。 p1- 周囲が人体サイズほどにまで建築で囲われている状態。トイレのような状態。 p2- 解放。空間を広々と感じて、心身ともに開放的な空間。 p3- 建築で囲われてはいないが、自分の空間をつくりあげている状態。カフェ etc. で生じる。 p4- 交わる。自分以外の人の存在が感じられる状態。周囲の人の状態が空間の質を変 える。
・Information: 情報量 情報の量もスイッチ空間の構成要素として欠かすことはできない。情報の量の調 節は都市型生活ほど重要となる。
i1- 多くなる。多くの情報に接することにより、良い精神状態にもっていける空間。 i2- 少なくなる。極わずかな情報に触れる状態にすることによって、ものごとに対す る視点をかえることができる空間。
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26
1
目的
気分転換を促す空間に関する実態調査
4
M
m1
m2
movement 移動
A
adjoin 隣接
a1
height 高さ
L
h1
information 情報量
larger 広くなる
h2
l1
o1
∞type 屋外
h3
higher 高くなる
l2
sunshine 自然光
∞
∞type 屋外
l3
take
the
sun
in 自然光取り込み
o2
l4
darkness 闇
spotlight スポットライト
o3 ∞
larger
大きくなる
p1
personalspace パーソナル スペース
I
a3
lower
低くなる
opening 開口部
P
a2
smaller 狭くなる
light 光
O
sequence
add
sequence シークエンス シークエンス 付随 重視
∞
area
size 広さ
H
m3
smaller 小さくなる
p2
enclose 囲われ
i
1
A C B more 多くなる
all
open
開放空間
p3
openness 開放
p4
save 確保
join 接する
i
2
a fewer 少なくなる 図 4-3-1 スイッチ空間の特徴
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28
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 □ 4-3-2 スイッチ空間に重要な構成要素 「広さ、高さ、開口部、光、温度、気流、人の密度のうち、気分転換する空間において重要 度が高いものから順に並べてください」という調査項目より、点数化して順位をつけた。重要 度の最も高いものを7点、一番低いものを1点として、1〜7点の点数をつけ、平均点をとった。 結果、重要だというものから順に、1. 光 2. 広さ 3. 開口部の大きさ 4. 高さ 5. 人の密 度 6. 温度 7. 気流 となった。 そのうち、広さと高さの2項目をひとくくりに空間の大きさとしてまとめ、光と開口部の大 きさから、明るさと視線の抜けに再編成し、上位3項目を本人が自覚しているスイッチ空間と した。
・視線の抜け : view - non view ・明るさ : light - dark ・空間の大きさ : large - small
注)視線の抜け:開口部があり、見通しのよさがある状態のこと。 開口部が大きくても、隣接したビルによって見通しが悪い場合は視線の抜 けがないこととなる。
light small
(点)
6
4.8
5
4.7 4.1
3.9
4
3.8
3.6
3.2
3 2 1
non
-vie
w
view
large
流 気
度 温
密 度 の
さ 人
高
き さ 大
さ 広
部 の
開
口
光
0
図 4-3-2 気分転換に重要視する構成要素
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dark 図 4-3-3 気分転換に重要視される3要素
29
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 □□ 4-4 スイッチ空間データベース スイッチ空間の特徴と重要な構成要素を掛け合わせてスイッチ空間のデータベースをつくった。 (図 4-3-3 参照)
M
A
H
O
L
P
I
移動 広さ 高さ 開講 光 人 情報
∞
light small non
-vie
w
view
m2
a3
h3
o3
l1
p2
large
dark
∞
light
∞
small non
-vie
w
view
m3
h3
o3
l1
p2
h2
o1
l2
p2
l1
p3
A C B
i1
large
dark
light small non
-vie
w
a2
view
large
view-light-large
dark
∞
light
∞
small non
-vie
w
view
m1
a1
h3
o3
large
dark
light small non
-vie
w
view
m3
h2
p2
large
dark 図 4-3-3 スイッチ空間データベースⅠ
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
30
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 M
A
H
O
L
P
I
移動 広さ 高さ 開講 光 人 情報 light small non
view-dark-large
non view-dark-small
-vie
w
a1
view
h1
o2
l2
p1
a
i2
large
dark
a1
h1
p1
h1
p3
a
i2
light small non
-vie
w
view
m3
large
dark
∞
light small non
-vie
w
∞
∞
a3
view
h3
o3
l3
large
dark
∞
light
∞
small non
-vie
w
view
m3
a3
a h3
l3
l4
i2
large
dark
図 4-3-3 スイッチ空間データベースⅡ
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
31
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 M
A
H
O
L
P
I
view-light-small
移動 広さ 高さ 開講 光 人 情報
∞
light
∞
small non
-vie
w
m1
view
a1
h3
o3
l1
p2
o1
l2
p2
large
dark
light small non
-vie
non view-light
non view-light -large
non view-small
view
w
view
large
dark
light small non
-vie
w
view
m2
p3
A C B
i1
large
dark
light small non
-vie
w
a1
view
h2
o1
l2
p4
A C B
i1
large
dark
light small non
-vie
w
view
2
1
2
1
A C B
1
large
dark
図 4-3-3 スイッチ空間データベースⅢ
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32
気分転換を促す空間に関する実態調査
4 □□ 4- 5利用頻度の高いスイッチ空間 100 人の調査によって集められたスイッチ空間を、気分転換に重要視される3要素による分類
し、空間の構成ごとに割合を求めた。利用頻度の高いものとして、view-light-large(視線の 抜けがある・明るい・広い)と non view-dark-small(視線の抜けがない・暗い・狭い)の対 照的な二つの空間が利用されていることがわかった。
1.view-light-large(視線の抜けがある・明るい・広い) 2.non view-dark-small(視線の抜けがない・暗い・狭い)
視線の抜けがあり、明るくて広いといった開放的な空間だけでなく、視線の抜けがなく、暗 く狭いといった閉鎖的な空間もスイッチ空間と利用されていることは、とても興味深い結果と いえる。
light small
16%
33%
1%
5%
22% non
vie7w%
13%
large
-vie 3% w
dark 図 4-3-4 利用頻度の高いスイッチ空間
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33
5 気分転換を促す スイッチ空間の効果に関する実験 -1
実験目的
-2
実験空間
-3
実験概要
-4
検査用紙
-5
測定機材
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □□ 5-1 実験目的 4章の実態調査から得られたスイッチ空間のデータを基に、仕事効率や生体反応を計測し定 量化することを通して、実際にスイッチ空間として効果があることを明らかにすることを目的 として実験を行う。 空間により、気分転換が促されること、またその効果を明らかにし、気分転換の目的に応じて、 効果的に空間を設計・提案するためのデータを得ることを目的とする。
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35
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □□ 5-2 実験空間 □ 5-2-1 実験空間の選定 4章の結果によりスイッチ空間は様々なタイプがあるが、今回の実験では、オフィスなどの 作業空間を想定した typeA を基準にして、view-light-large(視線の抜けあり・明るくなる・ 広くなる)の typeB と non view-dark-small(抜けがない・暗くなる・狭くなる)の typeC を 休憩場所として3タイプ選んだ。 実態調査より、typeB と typeC は気分転換に実際に多く用いられていることが明らかになっ ている。 (4-5 参照) また、typeB と typeC は「視線の抜けがある - ない」「明るい - 暗い」「広い - 狭い」と対照 的であり、ともに気分転換の効果があると認められる結果となった場合、スイッチ空間の種類 の可能性が広がることが予想される。 休憩時は typeA・B・C と3タイプで行い、作業時はすべて typeA で行うものとする。つまり、 typeA はスイッチ空間として想定した typeB・C の効果を読むための基準の空間といえる。
light small non
-vie
w
view
large
dark
typeA W1600
typeC W600
D2200 H2700
typeB W7500
D910
D5800
H2600
H3350
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36
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □ 5-2-2 実験空間について 実験空間について説明する。
typeA: オフィスなどの執務室を想定して設定した。建築資料集成の一人当たりの執務 面積(5〜15㎡)を参考に一般的な執務空間とした。文(2
1600
2- 4- 2において、オフィスワーカーは自席を利用して休憩をとっている人が
多いことが示されており、そのようなシチュエーションの栄光を検証する。 W1600
basis
2200
D2200 1/100
H2700
typeB: 広くて明るくて抜けのある空間である。開放的な空間で、一般的に気持ちよく 快適だと思われている場所を想定した。快適性が気分転換の効果と結びつくのか
5800
検証する。 W7500
view
D5800
light
H3350
large
1950
3600
1950
7500
1/100
typeC: 狭くて薄暗くて抜けのない空間である。閉鎖的でトイレのように一人でこもる ような場所を想定した。実態調査での割合が typeB に続いて多かったタイプであ る。閉鎖的な空間も気分転換に効果があるのか検証する。
910
600
1/100
W600
non-view
D910
dark
H2600
small
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37
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □□ 5-3 実験概要 □ 5-3-1 実験概要 ◇実験場所 早稲田大学 55 号館 S 棟 8 階 渡辺研究室・ラウンジ
◇被験者 21 〜 24 歳 健常者 9 名 ( 男性 5 名 女性 4 名 )
◇実験日程 プレ実験 :10 月 2 日 本実験 :10 月 3 〜 16 日
◇時間帯 11:00 〜 12:00 14:00 〜 15:00 15:30 〜 16:30
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38
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □ 5-3-2 計測の手順 ◇1回の計測のながれ 以下の図に計測のながれをまとめた。 大枠としては計算→休憩→計算の流れである。休憩を行う空間を変えて、各被験者3回の計 測を行う。計算と休憩の前後に気分やストレスの測定をし、スイッチ空間の効果をはかる。 ここでの計算はオフィスでの仕事を想定しており、毎回 typeAの空間で計算を行う。
time 実験説明 脳波計装着
10min.
脳波測定
3min. 気分&ストレス測定 Ⅰ*注) 計算 (クレペリンテスト)
typeA:
15min. 気分&ストレス測定 Ⅱ 移動
typeB:
気分転換 typeC:
3min.
移動 気分&ストレス測定 Ⅲ
3min. 30sec. 5min. 30sec. 3min.
計算 (クレペリンテスト)
15min. 気分&ストレス測定 Ⅳ
3min. 3min.
*注)
脳波計取り外し
< 気分 & ストレス測定で行うこと > SPO2: 装着 8 秒後を記録 唾液アミラーゼ :30 秒後回収 POMS: アミラーゼのチップをくわえたまま記入開始
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60min. 図 5-3 計測の流れ
39
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 <計測パターンについて> 個人間の差を考慮し、空間の変化による効果を測定するために、各被験者が気分転換空間と して typeA・B・C の各3回の実験を行った。実験中に生じる慣れ・疲労を考慮し、1 人 1 日1 回のみの実験とし、被験者によって実験順序をコントロールした。(表 5-2-1 参照) 日内変動の影響も考慮し、各被験者ごとに同じ時間帯にて実験を行った。(表 5-2-2 参照)
表 5-2-1 実験パターン 表 5-2-2 実験時間帯
1回目 2回目
3回目
10:00
14:00
|
|
|
11:00
15:00
16:30
被験者1
A
B
C
被験者1
被験者2
C
A
B
被験者3 被験者4 被験者5 被験者6
B A C B
C B A C
A C B A
被験者2 被験者3
○
被験者4 被験者5
○ ○
被験者7 被験者8 被験者9
A C B
B A C
C B A
被験者6 被験者7
○
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被験者8 被験者9
15:30
○ ○
○ ○ ○
40
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □□ 5-4 検査用紙 本実験で使用した2種類の測定用紙の概要を説明する。
□ 5-4-1 POMS 簡易版 (Profile of Mood States) 文(3 POMS(Profile of Mood States)は、気分を評価する質問用紙の一つとして McNair らによ り米国で開発され、対象者がおかれた条件により変化する一時的な気分、感情を測定できると いう特徴を有している。また、 「緊張 - 不安 (Tension-Anxiety)」 「抑うつ‐落ち込み (Depression- Dejection)」「 怒 り‐ 敵 意 (Anger-Hostility)」「 活 気 (Vigor)」「 疲 労 (Fatigue)」「 混 乱 (Confusion)」の6うの気分尺度を同時に評価することが可能である。 POMS 日本語版の 65 項目版(正規版)は発行以来約 10 年間にわたり、臨床、職場、学校など さまざまな方面で活用されてきた。日本版作成のねらいは、精神障害(うつ秒、不安障害など) の治療経過、身体疾患を持つ人々の精神面の変化、職場でのスクリーニング、運動やリラクセー ション効果などの評価測定といった幅広い分野での応用にあった。そのため医療者だけでなく、 看護、福祉、教育関係専門家、産業医、雇用決定担当者、スポーツ医学研究者や指導者、フィッ トネス関係者などの件個に関わるあらゆる人々に使用を意図してきた。 また短縮版は、65 項目晩と同様の測定結果を提供しながらも、項目数を 30 に削減すること により対象者の負担感を軽減し、短時間で変化する介入前後の気分、感情の変化を測定するこ とが可能である。 POMS を用いて気分転換の気分評価を行った。 30 項目の質問調査を行い、休憩空間 A・B・C の違いによる気分の違いについて、POMS の 6 つの気分尺度にしたがって検討する。 30 項目の短縮版も同様の測定結果を得られることが確認されているため、対象者の負担感を 軽減し、短時間で変化する介入前後の気分、感情の変化を測定するために短縮版を用いる。
< POMS の 6 つの気分尺度> ・緊張 - 不安 (Tension-Anxiety, 以下 T-A) 緊張及び不安感 ・抑うつ‐落ち込み (Depression- Dejection, 以下 D) 自信喪失感を伴った抑うつ感 ・怒り‐敵意 (Anger-Hostility, 以下 A-H) 敵意と怒り ・活気 (Vigor, 以下 V), 疲労 (Fatigue, 以下 F) 意欲や活力の低下・疲労感 ・混乱 (Confusion, 以下 C) 思考能力低下・当惑
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41
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5
被験者は、提示された各項目ごとに、その項目が表す気分になっていることが「まったくな かった」 (0 点)から「非常にあった」 (4 点)までの 5 段階(0 〜 4 点)のいずれか一つを選択する。 採点は、膳項目が記入されたことを確認した上で回収し、5 項目ずつの各尺度ごとに合計得 点を算出する。 POMS では相互の得点に互換性がもてる標準化得点(T 得点)を利用する , 得点が高いほどその状態が深刻 (V を除く ) であることを示す。ただし、V の場合のみ点数が 高い程 , 活気があるという判断になる。
< POMS の質問 30 項目> 被験者には、以下の 30 項目を5段階評価で記入してもらう。
表 5-4 POMS30 項目
「緊張—不安 (Tension—Anxiety)」
「活気 (Vigor)」
(1) 気がはりつめる
(4) 生き生きする
(6) 落ち着かない
(8) 積極的な気分だ
(12) 不安だ
(10) 勢力がみなぎる
(16) 緊張する
(27) 元気がいっぱいだ
(20) あれこれ心配だ
(30) 活気がわいてくる
「抑うつー落ち込み (Depression—Dejection)」 「疲労 (Fatigue)」 (7) 悲しい
(3) ぐったりする
(11) 自分はほめられるに値しないと感じる
(13) 疲れた
(15) がっかりしてやる気をなくす
(19) へとへとだ
(17) 孤独でさびしい
(22) だるい
(21) 気持ちが沈んで暗い
(23) うんざりだ
「怒りー敵意 (Anger—Hostility)」
「混乱 (Confusion)」
(2) 怒る
(5) 頭が混乱する
(9) ふきげんだ
(18) 考えがまとまらない
(14) めいわくをかけられて困る
(24) とほうに暮れる
(25) はげしい怒りを感じる
(26) 物事がてきぱきできる気がする
(28) すぐかっとなる
(29) どうも忘れっぽい
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42
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □ 5-4-2 クレペリンテスト 文(4 ドイツの精神科医・クレペリンは、数字を連続して加算していくような作業においては、作 業を継続しようという意思の働きが重要であることを見いだした。内田勇三郎は、この加算作 業を精神分裂症にみられる意思障害の診断に用いることを考え、さらに、一般的な性格検査や 適正診断にも有効な検査へと発展させた。世界でも例の少ない、作業検査法による性格検査で ある。この方式には被験者に検査のねらいが判然とせず、したがって意図的に回答を歪ませる ことが難しいという利点がある。 『検査内容と実施方法』 テスト用紙には、1行あたり 115 字、前凹版作業用に各 17 行のランダムな数字が印刷され ている。被験者の行う作業は、隣り合った数字を加算し、答えの1位のあたい を2数字の中 央株に記入していくというものである。 検査者の「初め」の合図で第1行目左端より作業を開始する。検査者は次行左端に対象をう つし、加算を続ける。以上の作業を5分間の休憩を破産で、前後半 15 分ずつ行う。 内田クレペリンテストは、性格診断テストとして用いられているが、本実験では、そのよう な目的ではなく、オフィスの作業を想定し、前半 15 分間、後半15分の計算量の変化量を分 析することによって気分転換による作業効率を測る目的で用いる。
クレペリンテストを作業内容に選んだ理由としては、 ・被験者の作業内容を統一できる ・集中力と結びつく脳波の研究にクレペリンテストが用いられてきている ・作業量の変化量が分かりやすい があげられる。
図 5-4-2 クレペリン用紙 実際に使用した用紙は資料 5-4 参照
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43
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □□ 5-5 実験で使用した測定機材 本実験で使用した4つの測定機材の概要を説明する。
□ 5-5-1 ストレス計測器 COCORO METER (NIPRO 製 ) ストレス値を測定し、ストレス - リラックスの指標とする ことを目的として使用する。
◇ストレスが測れる原理 ・唾液中にはアミラーゼという酵素が含まれている。アミラーゼは食事中の時に必要な消化酵 素であるが、ストレスを感じても活性化される。 ・情報として身体に受けたストレスは、交感神経系の視床下部を介して交感神経系の興奮を促 す。この興奮が、体外のストレスに対する体内の自己防衛反応として消化管内の毒素分解を 促す各種消化酵素と共に、アミラーゼも活性化される。このような原理を利用して精神的な ストレスを測定する。 STRESS 視床下部 脳下垂体 唾液腺
交感神経系 副腎皮質
図 5-5 唾液アミラーゼとストレス計測
◇測定結果の目安 ・単位 :KU/L ・測定結果は、4 つのレベルに分けられる。 0 〜 30:ストレスなし 30 〜 45:ややある 45 〜 60:ある 60 〜 200:だいぶある ・測定値が高い程ストレスが多いことになる。 ストレスなし
0
ややある ある
30
45
60
だいぶある
200(KU/L) 図 5-5 ストレス測定結果の目安
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44
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □ 5-5-2 パルスオキシメーター オキシハート OX-700( 日本精密測器製 ) ・酸素飽和度 (SPO2) を測定し、緊張 - リラックスの指標とする。 ・緊張すると呼吸の回数が減り、全身に輸送される酸素の量が減り、SPO2 の値も減少すると予 想される。
◇酸素飽和度 (SPO2) とは ・SPO2: 経皮的動脈血酸素飽和度 ・言葉の意味 :S は Saturation( 飽和 )、P は Pulse( 脈 )、O2 は酸素 ・ 血液にどの程度、酸素が含まれているかを示す。 ・血液中(動脈)のヘモグロビンの何%が酸素を運んでいるのかを示す。 ・血液を流れる物質の中に酸素を運ぶヘモグロビンがるが、血液にあるヘモグロビンのうち、 何 % が酸素を運んでいるかを示す。
◇測定原理について ・指先に光センサーをつけて組織を透過する光を分析して酸素運搬を担うヘモグロビンが酸素 と結合している割合 ( 酸素飽和度 ) を求める。 ・ヘモグロビンは酸素と結合していない時は、赤い色を吸収し、酸素と結合しているときは、 赤色をあまり吸収しない。この性質を利用して、色が変化している分を検出すれば、血液中 のヘモグロビンの内、どれだけ酸素を含んでいるかを測定でき、SpO2 を知ることができる。
◇測定結果の目安 ・医療現場では、正常な値としては 96% 以上、95% 未満の場合は呼吸不全の疑いがあるとされ ている。 ・緊張すると呼吸の回数が減り、全身に輸送される酸素の量が減ると予想される。 ・測定値が低い程緊張度合いが高いものとする。
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45
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 □ 5-5-3 脳波計 Brain Builder Unit( 能力開発研究所製 ) ブレインビルダーユニットと脳波解析ソフト Mind Sencer Ⅱ を用いて脳波解析を行った。
◇脳波について 脳波の測定によりリラックス度を分析する。 脳波の波形は活動の性質によってかわるため、脳波を調べることによって脳の状態を知るこ とができる。脳波には 4 種類の波形があり、それぞれ、周波数 (1 秒間にみられる波形の数の こと、単位は Hz) の低い順番に、デルタ波 (0.5 〜 4Hz)、シータ波 (4 〜 8Hz)、アルファ波 (8 〜 12 ヘルツ )、ベータ波 (12 〜 40 ヘルツ ) と分類される。
◇脳波の種類 ・デルタ波 ( δ波 ) 周波数 0.5 〜 4Hz 深い睡眠状態にあるときに現われる波形。
・シータ波 ( θ波 ) 周波数 4 〜 8Hz 浅い睡眠状態にあるときに現れる波形。何かに集中した状態で見られるという 説もあるが、電気的なノイズに紛れることも多く関連性の判断は困難。
・アルファ波 ( α波 ) 周波数 8 〜 13Hz 何かに集中した状態にあるときに現れる波形。心身をリラックスさせた状態で なおかつアルファ波がみられることもあり ( 深い瞑想、趣味の活動、くつろぎ )、 脳がこの状態にあると自己の持てる能力を最大限に発揮可能といわれている。
・ベータ波 ( β波 ) 周波数 12~40 ヘルツ 目覚めていて、五感 ( 視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚 ) が働き、意識が緊張し た状態のときに現れる波形。
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46
気分転換を促すスイッチ空間の効果に関する実験
5 ◇α波の細分化 α波はさらに 3 つに分類される。 ・α 1(slow alpha) 周波数 8 〜 9Hz 脳活動水準の低い状態 ・α 2 周波数 10 〜 11Hz ・α 3(fast alpha) 周波数 12 〜 13Hz 脳活動水準の上昇状態 α波を細分化して観察することにより、種々の精神状態における脳波の変動をより詳細に観 察することができる。
◇α波について 目が醒めた状態で通常に活動しているとき、人の脳はたいていβ波を出している。しかし、 好きなことに打ちこむなど、心身がリラックスしながらも理想的な集中状態を作り出している ときの脳波はβ波ではなく、α波という別の波形となる。この脳波が出ている状態では、β波 を出している場合よりも効率よく心身が活動しているらしいことが分かってきている。作業に 集中でき成果があがる、リラックスしているのでストレスがたまらないなどさまざまな利点が あると言われているため、気分転換においてもα波に注目する。 なかでも、脳活動水準の上昇状態といわれている、周波数 10 〜 11Hz のα2と周波数 12 〜 13Hz のα 3 を中心に分析を行う。 文(5
□ 5-5-4 照度計 Light Meter ( ライン精機製 ) それぞれのスイッチ空間の明るさの違いを示すため、また、各被験者の実験時で明るさの差 を少なくするために記録用として照度を測定した。
ここで今回の実験に測定された照度を示す。
typeA: 150 〜 360 LUX typeB: 2000 〜 5000 LUX typeC: 50 〜 70 LUX
明るいことが空間の条件である typeB の実験は、雨天で照度が低い日は避け、快晴の日のみ に行うこととした。
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
47
6 実験結果・分析
-1
データの扱い方
-2
POMS による気分の変化傾向
-3
唾液アミラーゼ量によるストレス値の減少率
-4
spo2 測定によるリラックス - 緊張度の変化傾向
-5
脳波の変化率
-6
計算量増加率
実験結果・分析
6 6. 実験結果・分析 下記の各項目の実験結果・分析を示す。
・POMS による気分の変化傾向 ・唾液アミラーゼ量によるストレス値の変化率 ・SPO2 による緊張度の変化傾向 ・脳波の変化傾向 ・作業量増加率 休憩空間 A・B・C の違いに伴う気分転換の効果を評価する。 本実験は、変化するパラメータが空間のみである。気分転換の効果に差が見られる場合、空 間は気分転換がを促すパラメータとして認められる。
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50
実験結果・分析
6 □□ 6-1 データの扱い方 □ 6-1-1 対象被験者 ・被験者2を除いた8人の被験者で統計を行った。
測定Ⅰ(5-3-2 計測の手順 図 5-3)における POMS の 6 項目の合計得点で判断した。初期状 態における実験 A と B、B と C、C と A の差の絶対値の合計得点が被験者2はきわめて大きい。 このことは、作業をする前の初期状態が異なっていることを示す。今回の実験は各実験パター ン(ABC)において、空間の差における気分転換の効果を測定するものである。3回の実験は 日にちを違えているので、各パターンの実験開始時において、初期状態に差がある被験者は、 今回の実験には適していないと判断し統計対象から外した。 被験者 2 は、実験前の疲労度にばらつきがあったために気分&ストレス測定Ⅰ(表 5-3 参照) の POMS において差がでたことが考えられる。 (点)
200 180 初期状態の合計差異
160 140 120 100 80 60 40 20 0
2
4
3
1
7
6
5
8
9
被験者 No. 図 6-1-1 被験者の実験初期状態の合計差異 表 6-1-2
表 6-1-1 測定Ⅰ における6項目合計得点
被験者1
被験者2 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8 被験者9
休憩A
休憩B
休憩C
277
277
254
320 316 325 226 239 232 228 225
234 279 294 229 246 242 226 222
230 303 333 228 239 231 225 225 ( 単位:点 )
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各個人の実験開始時の状態差異 (POMS 6項目の合計得点による)
|A-B|
0
86 37 31 3 7 10 2 3
|B-C|
23
4 24 39 1 7 11 1 3
|C-A|
23
90 13 8 2 0 1 3 0
合計
46
180 74 78 6 14 22 6 6 ( 単位:点 )
51
実験結果・分析
6 □ 6-1-2 分析方法 休憩直後の状態よりも、休憩を経て作業をしている最中や作業後の状態を重視する。具体的 には、5-3-2 計測の手順における、測定Ⅲのよりも測定Ⅳの計測値を重視するということである。 これは、気分転換というものは休憩後の作業時に効果を発揮する必要があるからである。
◇ POMS の扱い 各得点が同等に扱えるように得点化した。(T 得点 5-4-1) 6項目のうち、活気(V)とその他5項目(マイナスの気分)を分けて処理した。 活気(V)ついては、今回の測定に応じた質問項目ではなかったため、活気をのぞく5項目 で判断した。
◇増減率(%) 休憩前後の作業後におけるマイナス気分の増減量の比較を行う。 前半計算後の測定Ⅱ(図 5-3-2)で得た値を基準とし、休憩を経た後半の計算後の測定Ⅳ(図 5-3-2)で得た値の増減率を求める。 個人間の差をなくして、空間の違いによる変化量を見るために、個人の増減率(変化率)を 求めてから全体の平均の増減率・標準偏差を求める。 増減率(%)=(測定Ⅳ - 測定Ⅱ)/測定Ⅱ 増減量がない基準値は 0 となる。 測定項目によって増加することが良い時と、減少することが良い時とがある。そのためグラ フの縦軸に矢印をつけて、それぞれの測定項目において望ましい効果の向きを示す。 ・増加することが望ましい項目
測定値
spo2
増加率:25%
脳波(α波) 計算量
・減少することが望ましい項目 POMS(マイナス気分) 唾液アミラーゼ
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 測定 No. 開始→<前半作業> <休憩> <後半作業>→終了 図 6-1 増減率について
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52
実験結果・分析
6 ◇脳波データについて 計測された脳波は測定用の専用ソフト (Mind Sensor II) を介して各時刻の各周波数領域での 脳波強度 ( パワースペクトル ) に変換する。( 高速フーリエ解 fast Fourier transformation: FFT) α波の出現率あるいは量、すなわち一定時間の脳波記録にα波がどの程度含まれているかに はかなりの個体差があるため、各被験者のα波の量の増減率を算出し、比較する。
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53
実験結果・分析
6 ◇検定方法 求められた増減率に対して統計的手法を用いて分析する。 EXEL により F 検定、差の検定と、SPSS により一元配置の分散分析と多重比較を行った。 Tukey 法をとった。 差の検定では、typeA を基準として typeB と typeC には気分転換を促す効果に差があるかを 検定する。また、多重比較では3つのタイプを並列させて検定する。
F 検定によって、 「仮説 H1:typeA と typeB の休憩による気分転換の効果のばらつきは互いに等しい」 「仮説 H2:typeA と typeC の休憩による気分転換の効果のばらつきは互いに等しい」 を検定する。 有意確率(P- 値)<有意水準α =0.05 のとき仮説 H は棄却され、 “typeA と typeB の休憩による気分転換の効果のばらつきには差がある” “typeA と typeC の休憩による気分転換の効果のばらつきには差がある” こととなる。
その後、 差の検定では、 「仮説 H1:typeA と typeB の休憩による気分転換の効果は同じ」 「仮説 H2:typeA と typeC の休憩による気分転換の効果は同じ」 を検定する。 有意確率(P- 値 片側)<有意水準α =0.05 のとき仮説 H は棄却され、 “typeA と typeB の休憩による気分転換の効果は差がある” “typeA と typeC の休憩による気分転換の効果は差がある” こととなる。 多重比較では、 「仮説 H:typeA と typeB と typeC の休憩による気分転換の効果は同じ」 を検定する。 有意確率(P- 値)<有意水準α =0.05 のとき仮説 H は棄却され、 “typeA と typeB と typeC における休憩による気分転換の効果は差がある” こととなる。 3タイプを同時に比較した時にどの2タイプに差があるのかが求まる。
グラフの表示において、差がある結果がでたものには「*」で表示する。
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54
実験結果・分析
6 □□ 6-2POMS による気分の変化傾向 休憩空間の違いによって気分の変化がどのように違いが出るかを読み取る。
□ 6-2-1 マイナス気分の変化傾向 (図 6-2-1 参照) 気分転換の視点でみると、後半の作業終了時 ( 測定 IV) にタイプ B・C はタイプ A よりもマ イナス気分の得点が低く(図 6-2-1,表 6-2-1)、精神的によい状態を持続できることがいえる。 休憩自体の効果でみると、B タイプの休憩が最もマイナスの気分を緩和する効果がある。
マイナスの5つの気分尺度 ・緊張 - 不安 (T-A) ・抑うつ‐落ち込み (D) ・怒り‐敵意 (A-H) ・疲労 (F) ・混乱 (C)
マイナス5因子の T 得点の合計
(点) 250.0
休憩A
240.0 230.0
休憩B
220.0 210.0
休憩C 200.0 190.0
測定Ⅰ
測定Ⅱ
<前半作業>
測定Ⅲ <休憩>
測定Ⅳ
<後半作業> 図 6-2-1 POMS によるマイナス気分の変化傾向 注)値が低い程気分状態が良いことを示す。
表 6-2-1 POMS マイナス5の合計得点
typeA typeB typeC
測定Ⅰ
測定Ⅱ
測定Ⅲ
測定Ⅳ
221.9 218.4 219.6
240.8 243.8 242.4
236.0 210.5 223.8
243.3 234.6 235.4
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元データは資料編 6-2 参照
55
実験結果・分析
6 □ 6-2-2 休憩前後のマイナス気分の増減率からみる気分転換効果の差 休憩前後の作業後におけるマイナス気分の増減率の比較を行った。緊張 - 不安 (T-A)、抑う つ‐落ち込み (D)、疲労 (F)、混乱 (C) などの要素は低下することが求められるので、減少す る割合がより大きいほど気分転換の効果があったとみなす。
◇結果 (図 6-2-2 参照) typeB が最も減少した。typeC も減少している。 typeA が増加していることと比較してみても、作業空間で休息すること(typeA)よりも空 間を変えることを休息時にする方が気分状態の悪化を防ぐことができるということが読み取れ る。 検定の結果としては、差の検定において typeA と typeB との関係に有意な差があるという結 果が得られた。つまり、マイナス気分の増加率から評価した際に、“typeA と typeB の休憩に よる気分転換の効果は差がある”ということが認められた。 typeA と typeC との関係には有意な差はないという結果になった。標準偏差が大きいために 差が得られなかったが、平均値において増加している typeA に対し typeC は減少しているため、 typeC もマイナス気分を和らげる効果を有する傾向があると読み取れる。
15 (%) 10 5 2% 0 -5
-4%
-3%
typeB
typeC
-10 -15 -20
typeA
図 6-2-2 マイナス気分の増減率 注)値が低い程気分状態が良いことを示す。
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56
実験結果・分析
6
<POMS による比較 > 元のデータ
マイナス気分(5項目) 被験者 休憩A 休憩B 1 3
-0.08 0.00
4 5
休憩C
-0.03 -0.04
0.23 -0.01
0.00
0.01
-0.07
0.20
-0.18
-0.13
6
0.00
-0.06
-0.09
7 8
-0.06 0.04
-0.02 -0.01
-0.14 -0.04
9 平均
0.02
0.03
-0.03
-0.08
-0.03
0.23
標準偏差
0.08
0.06
0.12
分散分析:一元配置 平方和 5項目
活気
自由度
平均平方
グループ間
0.01403
2
0.00702
グループ内
0.17415
21
0.00829
合計
0.18818
23
グループ間
0.16663
2
0.08332
グループ内
0.43836
21
0.02087
0.605
23
合計
F値
有意確率
0.84611
0.44319
3.99133
0.03395
多重比較 Tukey HSD 平均値の差 (I-J)
標準誤差
有意確率
95% 信頼区間
従属変数
(I) 休憩
(J) 休憩
5項目
A
B
0.0525
0.04553
0.49333 -0.06227
0.16727
C
0.05
0.04553
0.52571 -0.06477
0.16477
A
-0.0525
0.04553
0.49333 -0.16727
0.06227
C
-0.0025
0.04553
0.99834 -0.11727
0.11227
A
-0.05
0.04553
0.52571 -0.16477
0.06477
B
0.0025
0.04553
0.99834 -0.11227
0.11727
B
-0.0375
0.07224
0.86292 -0.21959
0.14459
C
0.155
0.07224
0.10469 -0.02709
0.33709
A
0.0375
0.07224
0.86292 -0.14459
0.21959
C
0.1925 *
0.07224
0.03704
0.01041
0.37459
A
-0.155
0.07224
0.10469 -0.33709
0.02709
0.07224
0.03704 -0.37459 -0.01041
B C 活気
A B C
B *
下限
-0.1925 *
上限
平均の差は .05 で有意
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57
実験結果・分析
6 □□ 6-3 唾液アミラーゼ量によるストレス値の減少率 休憩前後の作業後における唾液アミラーゼ量の増減率の比較を行った。唾液アミラーゼの増 減はストレス値の増減を示す。唾液アミラーゼ量が減り、ストレス値が低下することが求めら れるので、減少する割合がより大きいほど気分転換の効果があったとみなす。
◇結果 (図 6-3 参照) typeB が最も減少した。typeB ではストレス値の軽減が認められた。 typeA,typeC は増加しているが、typeA よりも typeC の方が増加率は低い。
検定の結果としては、差の検定において typeA と typeB との関係に有意な差があるという結 果が得られた。つまり、ストレス値の軽減から評価した際に“typeA と typeB の休憩による気 分転換の効果は差がある”ということが認められた。 typeA と typeC との関係には有意な差はないという結果になった。共に増加し、標準偏差が 大きいために差が得られなかった。しかし、平均値において増加している typeA よりも typeC の方が増加率が低く、互いの標準偏差の差異も少ないため、typeC もストレス値を抑えられる 効果を比較的有する傾向があると読み取れる。
200
(%)
150 100 49%
50
14%
00 -50
-40%
-100 -150
typeA
typeB
typeC
元データは資料編 6-3 参照
差の検定
*
図 6-3 唾液アミラーゼ量によるストレス値の減少量 注)値が低い程気分状態が良いことを示す。
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58
実験結果・分析
6
<唾液アミラーゼによる比較> 元のデータ 唾液アミラーゼ 被験者
休憩A
休憩B
休憩C
1
-0.49
-0.75
-0.55
3 4
0.64 -0.06
0.20 -0.34
0.67 0.27
5 6
-0.50 1.94
-0.64 -0.43
-0.66 2.50
-0.43 2.53 0.27 0.49
-0.29 -0.36 -0.58 -0.40
-0.46 -0.18 -0.43 0.14
1.16
0.29
1.05
7 8 9 平均 標準偏差
一元配置分析 等分散性の検定 Levene 統計量 自由度1 3.7067487
自由度2 2
21
有意確率 0.04181
分散分析 平方和 グループ間 グループ内 合計
自由度
3.19576 17.7856 20.9814
平均平方 2 21 23
1.59788 0.84694
F値 1.88666
有意確率 0.17639
多重比較 Tukey HSD 平均値の差 (I-J)
標準誤差
有意確率
95% 信頼区間 下限 上限
(I) 休憩
(J) 休憩
A
B C A
0.88625 0.3425 -0.88625
0.46015 0.46015 0.46015
0.15616 0.74028 0.15616
-0.27358 -0.81733 -2.04608
2.04608 1.50233 0.27358
C A B
-0.54375 -0.3425 0.54375
0.46015 0.46015 0.46015
0.47671 0.74028 0.47671
-1.70358 -1.50233 -0.61608
0.61608 0.81733 1.70358
B C
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59
実験結果・分析
6 □□ 6-4 spo2 測定によるリラックス - 緊張度の変化傾向 spo2 の測定値より、リラックス - 緊張度合いの変異をみる。spo2 値は健常者であれば 95% 以上の値となり、体の調整機能によって上限値も 98%程度に保たれるため、変動域が狭い。そ の狭い変動域の中での計測のため、差異としては認められにくいが、傾向を以下にまとめる。 リラックスしている状態である程、血中酸素の濃度は上がり。緊張した状態になると酸素の 濃度は下がる。これより spo2(酸素飽和度)の値はより高いほど気分転換の効果があったとみ なす。
◇結果 (図 6-4 参照) 休憩後 typeB が最も増加の割合が高く、typeC も typeA よりも増加している。 休憩前の作業の影響による、測定Ⅰから測定Ⅱへの減少は3タイプ共同じ傾向にあることか ら、休憩以降の変化は休憩時の空間の質の違いによって生じたものであると読み取れる。測定 Ⅲから測定Ⅳへの移り変わりを読み取ると、休憩後に生じた差異がそのまま継続している。同 じ5分間の休憩をしたのに対して、差異が出たのは空間のタイプによるものであり、スイッチ 空間の効果が認められると共にスイッチ空間の質によって気分転換の効果が違うことが認めら
spo2( 酸素飽和度 )
れた。
(%) 98.0
typeA 97.0
typeB 96.0
typeC
95.0
測定Ⅰ
測定Ⅱ
<前半作業>
測定Ⅲ <休憩>
測定Ⅳ
<後半作業>
t(測定回)
図 6-4 spo2 測定によるリラックス - 緊張度の変化傾向 注)値が高い程気分状態が良いことを示す。 表 6-4 spo2 測定値
測定Ⅰ
測定Ⅱ
測定Ⅲ
測定Ⅳ
typeA
96.8
96.1
96.3
96.6
typeB
96.8
96.3
97.8
97.6
typeC
96.8
96.3
97.0
97.0
元データは資料編 6-4 参照 (%)
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60
実験結果・分析
6 □□ 6-5 脳波の変化率 休憩前後の作業中における脳波の増減率の比較を行った。本実験で用いた脳波計は、α波を 計測することが主な機能の測定器のため、α波のみを抽出して分析した。α波はα1、α2、 α3の3種に分類されるが、その中でも集中力に関係性の高いα2、α3にの増減率を中心に 分析を行った。α2、α3の量が増える程、程よいリラックスで集中できるとされていること から、値が増加することが望まれる。増加する割合がより大きい程、気分転換の効果が認めら れる。
□脳波からみたリラックス度の変化 α2、α3の平均パワー値の変化を分析する。
◇結果 3タイプとも減少した。連続した作業の中で、今回の気分転換程度では、前半作業時より後 半作業時においてα波を増加させる効果はなかったようだ。 しかし、その中で傾向を読み取ると、typeB → typeC → typeA の順で減少する割合がゆるや かである。減少率が大きいことよりα波の減少が芳しい状態となるため、typeA は最も悪い状 態だったと言える。 30
(%)
また、検定の結果としては、差の検定・
20
多重比較において typeA と typeB との
10
関係に有意な差があるという結果が得 られた。つまり、α波からリラックス
00
し た 集 中 力 を 評 価 し た 際 に “typeA
-6%
-10
と typeB の休憩による気分転換の効果
-20
-18%
-22% -30
た。 typeA と typeC との関係には有意な
-40 -50
は差がある”ということが認められ
差はないという結果になった。共に減 typeA
typeB
typeC
少し、標準偏差が大きいために差が得 られなかった。しかし、比較してみる
差の検定
*
多重比較
*
図 6- 5脳波(α2+ α3)からみたリラックス度の変化
と、typeC の方が標準偏差の幅が少な く、減少率の平均値も少ないことから、 typeC も typeA よりも良い状態だった と読み取れる。
注)値が高い程気分状態が良いことを示す。 元データは資料編 6-5-1,6-5-2 参照
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61
実験結果・分析
6
< 脳波のによる比較 > 元のデータ
α1
α3
α2
被験者 1
休憩A
休憩B
休憩C
-0.28
0.05
3
-0.24
4 5
休憩A
休憩B
休憩C
0.05
被験者 1
-0.44
-0.01
-0.47
-0.03
-0.24
3
-0.24
-0.06
-0.25
-0.46 -0.06
0.00 -0.08
-0.39 0.44
4
-0.05
-0.09
0.17
5
-0.30
-0.47
-0.41
6 7
-0.39 -0.28
-0.47 0.21
-0.39 -0.34
8 9 平均 標準偏差
-0.06 -0.08 -0.23 0.15
-0.18 0.13 -0.04 0.21
0.00 -0.23 -0.14 0.29
6 7 8 9 平均 標準偏差
-0.29 -0.09 -0.02 -0.02 -0.18 0.16
0.24 -0.24 0.07 0.07 -0.06 0.22
-0.32 -0.03 -0.14 -0.14 -0.20 0.21
α2+α3 被験者 休憩A
休憩B
休憩C
1 3 4 5 6 7 8 9 平均 標準偏差
0.07 -0.10 -0.08 -0.28 -0.11 -0.01 -0.09 0.12 -0.06 0.12
-0.16 -0.27 -0.16 -0.09 -0.36 -0.18 -0.10 -0.10 -0.18 0.10
-0.38 -0.27 -0.31 -0.15 -0.31 -0.19 -0.07 -0.05 -0.22 0.12
被験者 1 3
休憩A
休憩B
-0.32
0.15
休憩C 0.15
-0.29
-0.13
-0.29
4 5 6
-0.57
-0.06
-0.50
0.00
-0.09
0.24
-0.33
-0.47
-0.41
7 8 9
-0.29
0.23
-0.33
-0.12
-0.25
-0.06
-0.07
0.18
-0.07
平均 -0.25 標準偏差 0.18
-0.06 0.24
-0.16 0.27
等分散性の検定 Levene 統計量 自由度1 α1 α2 α3 α2+α3
1.39891613 0.1279046 0.98975252 0.52376692
自由度2
2 2 2 2
21 21 21 21
有意確率 0.26894 0.88062 0.38835 0.59982
分散分析:一元配置 平方和 α1
自由度
平均平方
グループ間
0.1369
2
0.0685
グループ内
1.046
21
0.0498
合計 グループ間 グループ内
1.1829 0.0896 0.8085
23 2 21
合計 グループ間
0.8981 0.1504
23 2
グループ内 合計 α2+α3 グループ間
1.1224 1.2728 0.1059
21 23 2
0.0534
グループ内 合計
0.2691 0.3751
21 23
0.0128
α2
α3
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F値
有意確率
1.3743
0.2749
0.0448 0.0385
1.1641
0.3315
0.0752
1.4071
0.267
4.1325
0.0307
0.053
62
実験結果・分析
6 多重比較 Tukey HSD 平均値の差 (I-J) 標準誤差
有意確率
95% 信頼区間 下限 上限
従属変数
(I) 休憩
(J) 休憩
Α1
A
B C
-0.185 -0.09375
0.1116 0.1116
0.2446 0.6828
-0.4663 -0.375
0.096274406 0.187524406
B C
A C A
0.185 0.09125 0.09375
0.1116 0.1116 0.1116
0.2446 0.6964 0.6828
-0.0963 -0.19 -0.1875
0.466274406 0.372524406 0.375024406
A
B B
-0.09125 -0.12
0.1116 0.0981
0.6964 0.4531
-0.3725 -0.3673
0.190024406 0.127280075
C A C
0.0175 0.12 0.1375
0.0981 0.0981 0.0981
0.9826 0.4531 0.3582
-0.2298 -0.1273 -0.1098
0.264780075 0.367280075 0.384780075
C
A B
-0.0175 -0.1375
0.0981 0.0981
0.9826 0.3582
-0.2648 -0.3848
0.229780075 0.109780075
A
B C A
-0.19375 -0.09 0.19375
0.1156 0.1156 0.1156
0.2375 0.7199 0.2375
-0.4851 -0.3814 -0.0976
0.097608824 0.201358824 0.485108824
C A B B C A C A B
0.10375 0.09 -0.10375 -0.15625 * -0.03875 0.15625 * 0.1175 0.03875 -0.1175
0.1156 0.1156 0.1156 0.0566 0.0566 0.0566 0.0566 0.0566 0.0566
0.6477 0.7199 0.6477 0.0302 0.7749 0.0302 0.1192 0.7749 0.1192
-0.1876 -0.2014 -0.3951 -0.2989 -0.1814 0.0136 -0.0252 -0.1039 -0.2602
0.395108824 0.381358824 0.187608824 -0.013575523 0.103924477 0.298924477 0.260174477 0.181424477 0.025174477
Α2
B
Α3
B C Α2+3
A B C
*
平均の差は .05 で有意
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63
実験結果・分析
6 □□ 6-6 計算量増加率 休憩前後における作業量の増減率の比較を行った。気分転換によって作業効率が良くなるこ とが求められるので、増加する割合がより大きいほど気分転換の効果があったとみなす。
◇結果 typeC が最も増加した。typeB も同程度増加している。 typeA も増加していることから、後半の作業では慣れが生じていることが読み取れるが、 typeB、typeC と typeA の増加量には差が認められることからも、typeB、typeC の作業効率か ら評価する気分転換の効率は良いものだった言える。 検定の結果としては、差の検定において typeA と typeB、typeA と typeC の関係に有意な差 があるという結果が得られた。つまり、マイナス気分の増加率から評価した際に、“typeA と typeB の休憩による気分転換の効果は差がある”また、“typeA と typeC の休憩による気分転 換の効果も差がある”ということが認められた。 しかし、多重比較においてはいずれも有意な差は認められなかった。これは、typeC の標準 偏差の値が大きく、ばらつきが大きすぎるためだと考えられる。typeC による作業量に対する 影響は、被験者によって差が大きかっ たようだ。これは、閉ざされた空間に (%)
25 対する嗜好の違いによるものだと考え
ら れ る。
20
15 0.12 0.11
10
5
0.05
0 typeA
typeB
typeC
元データは資料編 6-3 参照
差の検定
*
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図 6-6 計算量増加率
*
注)値が高い程気分状態が良いことを示す。
64
実験結果・分析
6
< 作業量による比較 >
計算量 被験者
休憩A
休憩B
1
0.08
0.10
休憩C 0.08
3
0.14
0.15
0.27
4
0.05
0.17
-0.03
5
-0.01
0.05
0.09
6
0.02
0.16
0.07
7
0.04
0.07
0.19
8
0.04
0.07
0.19
9
0.04
0.07
0.10
平均
0.05
0.11
0.12
標準偏差
0.04
0.05
0.09
等分散性の検定 Levene 統計量 自由度1 3.00
自由度2 2
有意確率 21
0.07134
分散分析:一元配置 平方和
自由度
平均平方
グループ間
0.02173
2
0.01087
グループ内
0.09
21
0.00429
0.11173
23
合計
F値 2.53556
有意確率 0.10319
多重比較 Tukey HSD 平均値の差 (I-J) 標準誤差
有意確率
95% 信頼区間
(I) 休憩
(J) 休憩
A
B
-0.055
0.03273
0.23597 -0.13751
C
-0.07
0.03273
0.1061 -0.15251
0.01251
A
0.055
0.03273
0.23597 -0.02751
0.13751
C
-0.015
0.03273
0.89129 -0.09751
0.06751
A
0.07
0.03273
0.1061 -0.01251
0.15251
B
0.015
0.03273
0.89129 -0.06751
0.09751
B C
下限
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上限 0.02751
65
7 考察 -1
ストレス・緊張度合の軽減に適したスイッチ空間
-2
集中・作業効率に適したスイッチ空間
-3
閉じた空間のスイッチ空間としての効果
考察
7 □□ 7 考察 実験結果をもとにスイッチ空間の効果の違いについて考察する。 また実態調査と実験結果を結びつけて、スイッチ空間の用途について考察する。
□ 7-1 ストレス・緊張度合の軽減に適したスイッチ空間 唾液アミラーゼ量 ,spo2 といった生体反応の測定や POMS による気分評価よる結果分析によ り、空間のしつらえの違いによるストレス・緊張度合いの軽減からを読み取った気分転換の効 果についてまとめる。 (6 章 2.3,4 節参照) 作業を長時間続けて行くためには、ある程度の緊張感と共に、肩の力が抜けたリラックス状 態が求められる。ストレスや緊張度合を軽減させ、休憩後の作業時にリラックスした状態を保 つには typeB の休憩をとるとよいという結果になった。typeB は視線の抜けがあり、広く明る いといったしつらえであり、一般的に快適だと思われている空間であろう。このような空間が 今回取り上げた空間の中で、ストレス・緊張度合いの軽減に最も適していた。 また、差の検定や多重比較において差は認められなかったものの、typeC も効果があるとい う傾向があった。typeC は視線の抜けがなく、狭く薄暗い、閉ざされた空間であり、一般的に 快適な空間を選ぶ上で望まれない空間であろう。しかし、そのような空間にも、休憩時に作業 空間と同じ空間で過ごすよりもストレス・緊張度合いの軽減できるという結果となった。 分析の基準として作業時と休憩時とを同じ空間に設定した typeA は、生体反応的にリラッ クスできないのに加え、気分的にも悪い状態になっていったのに対して、typeB・C は負の気分 が軽減したことは、 「気分転換を促す空間の効果」ということができる。(6 章 2 節参照)
作業時 <気分転換効果> 十分ある ある ない
休憩時
typeA
typeB
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typeC
66
考察
7 □ 7-2 集中・作業効率に適したスイッチ空間 作業量増加率の測定・分析により、空間のしつらえの違いによる集中・作業効率の視点から 読み取った気分転換の効果をまとめる。(6-2-,3,4 参照) 作業を長時間続けていくと、集中力が途絶え、作業効率が低下してくる。作業効率を持続さ せていくのに typeB・C 共に typeA よりも適しているのという結果になった。(6-6 参照) 一般的に開放的で心地よいとされる typeB だけでなく、typeC における休憩を取り入れるこ とも作業効率があがるという結果がでたことは、視線の抜けがなく、狭く薄暗い状態という閉 鎖的な空間も気分転換を促す効果のある空間としてなり得るということであり、有益な結果と なったととらえる。自己の内面的集中・精神整理ができ得るのだろう。
作業時 <気分転換効果> 十分ある ある
休憩時
typeA
typeB
typeC 図 7-1-2 集中・作業効率に適したスイッチ空間
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67
考察
7 □ 7-3 閉じた空間のスイッチ空間としての効果 研究を通して、一般的に快適で心地よいと思われている眺望があり開放的な空間だけでなく、 閉鎖的な狭い空間においても気分転換の効果が認められ、作業効率がよくなるという結果がで た。閉ざされた小さな空間も気分転換に有効だということが明らかになったことによって、以 下のことが示された。 ・小さな空間であれ、執務室とは別にスイッチ空間を組み込むことが作業効率を維持す るために重要である ・小さな余白スペースがあれば配置可能なため、フレキシブルにスイッチ空間を組み込 める
狭くて閉ざされた空間がスイッチ空間として機能することが確認されたことは、目的に応じ て有効的な空間提示の可能性の幅を広げた。
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8 展望
展望
8 8. 展望 本研究は、作業効率をあげることに空間が貢献できるのではという考えのもと調査・実験を 進めてきた。今回の研究で分かったことをオフィスにフィードバックさせて考察してみる。
◇オフィスへの提案 閉ざされた小さな空間も気分転換に有効だということが示されたことによって、オフィス設 計プランに対する新たな提案方法が生み出された。 広くて眺望がよく開放的な空間をリフレッシュルームとしてオフィスに作ることができるな らば、それが一番望ましい。しかし、そのような空間を組み込むには広いスペースがなければ できない。多大な費用が必要となる。理想的なリフレッシュルームを作れるのは大手企業だけ である。 一方で中小企業やベンチャー企業のような会社でも、休憩のための空間をオフィスに組み込 み、快適なオフィスを社員に提供したいと思う経営者は多くいる。 しかし、 ・広いスペースをとることができない ・人件費に費用をまわしたほうが経営戦略がうまくいく可能性が高い ・空間には予算をかけるのはリスクが大きい ・窓際の環境のいいスペースは取引先との応対室に使いたい
といった、リフレッシュルームを作りたいけれども作ってられないという状況にさいなまれ実 現できていないのが現状である。 そのような時に、小さな閉ざされた空間を執務室とは別に組み込むことを提案する。ビルの コア部分でも、窓のないスペースでもよい。可能な場所にスペースに小さな空間を配置するこ とによって、経営戦略にリスクを負わせることなく、気分転換に有用な空間を実現できること となる。 そのスイッチ空間を利用することは、作業効率を持続させることにつながる。くつろげる場 所が自席しかなかった社員が、その空間を利用することによって、作業効率があがることが期 待できる。
狭くて閉ざされた空間も気分転換を促す空間として機能することが確認されたことは、経営 戦略の一端として有用な空間の利用法を提案することに結びつく。
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70
9 まとめ
まとめ
9 9. まとめ 本研究で明らかになたことは、以下の通りである。 1. 行為でなされると一般的に思われている気分転換であるが、空間の構成によって気分転換 を促すことができる。
3. 快適だと一般的に思われている開放的な空間は、気分転換という視点からみた場合にも適 している。 4. 快適な空間としては一般的に適していないと思われている閉鎖的な空間にも気分転換を促 す効果がある。 2. 休憩時には、作業空間と同じ空間で過ごすよりも異なる空間で過ごす方が、休憩後の作業 効率をあげられる。よって、執務室だけでなく、スイッチ空間を組み込むことが重要である。
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72
まとめ
9 ◇研究の展望・反省 今回の研究において、生体反応を測定し気分転換の効果を分析したことによって、空間をス イッチ空間という観念からとらえて行く可能性があること裏付けすることができた。今回は執 務室を基準として、開放的な空間と閉鎖的な空間にしぼって実験を行った。しかし、実態調査 や実験において開放的な空間も閉鎖的な空間も気分転換を促す効果があるという結果がでたこ とにより、開放的な空間から閉ざされた空間までスイッチ空間として有用な空間は多岐にわた るということが読み取れる。 今後の研究では、さまざまなスイッチ空間に対する更なる考察、検証が必要である。 検証方法も今後改善していかなければならない。特に、集中力・知的生産性については、気 分転換のもっとも重要視されるべき測定箇所であるため、熟考が求められる。 脳波測定においてθ波、α波を計測することにより、脳の集中状態の変化をみようと試みた が、脳波計の性能上、α波におけるリラックス状態をみることしかできなかった。今後測定す ることになった際は、精度の高い脳波計で測定することが望まれる。 さらに、5分間の休憩では、α波におけるリラックス度はすべての実験空間で低下した。こ のことから、スイッチ空間による気分転換において脳波を良い状態にもっていくためには、休 憩時間が5分間では足りないということが分かった。 今後、スイッチ空間の概念が多くの人に浸透し、空間の変化によって気分転換の効果を得て いくことにより、人々がより良い成果を発揮していくために役立つことを願う。
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おわりに
* おわりに 論文を締めくくるにあたり、協力してくださった多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。 自分一人の力では、ここまで出来なかったと思います。 実験に協力してくれた、松井さん 、日下部さん、佐古さん、王君、中村君、増田君、松島君、 吉田さん、忙しい中3日間もありがとうございました。 真世さんには、4月から今日に至るまで、大変お世話になりました。一緒に徹夜までしてく れて手伝ってくださった時、申し訳なさと感謝の気持ちでいっぱいでした。いつもいつも、柔 らかい笑顔と雰囲気に癒され、がんばろうという気力をたくさん頂きました。また、的確な指 摘も頂きました。真世さんに指摘を受けたにも関わらず、時間のなさとめんどくささでとその ままにして提出した中間発表のレジュメ。発表の時に同じ内容の指摘を先生から受けてしまい ました。それからというもの、真世さんの意見に素直に従おうと心に決めました。おっとりし ているのに鋭い意見をくださる真世さんは、私の自慢の担当者です。 そして長澤さん。長澤さんのアドバイスや激励があったため、「気分転換」というとりとめ ないテーマを論文としてここまで書くことができました。調査だけで終わろうとしていた私に、 「これじゃ論文にならない」と実験することを促してくれましたね。そしてその後の「大丈夫。 できるできる。 」という励まし。あのことばがあったから、実験がつらくてもやりきることが できました。長澤ゼミのメンバーになれた私は幸せものです。 最後になりましたが、仁史先生。次期遅れで仁史研究室に入りたいと思った私を快く受け入 れてくださり感謝しています。仁史研究室でなかったらこの論文はかけなかったと思います。 「気分転換」が論文として成立するのか悩んでいたころ、先生が相談に乗ってくださったために、 このテーマで論文を書ききろうという決心がつきました。 他にも感謝を伝えたい人がたくさんたくさんいます。 この場を借りてお礼を言いたいと思います。 本当にありがとうございました。
2006.11.8 本田悠夏
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参考文献
* □□参考文献 □参考書籍 1)広辞苑/新村出編/岩波書店 2)建築設計資料集成[総合版]/日本建築学会編/丸善 3)POMS 短縮版手引きと事例解説/横山和仁著/金子出版 4)脳波判読に関する 101 章/一條貞雄・高橋系一著/医学書院(1998) 5)臨床脳波学第5版/大熊輝雄著/医学書院(1999) 6)新生理心理学1巻/藤澤清他編・宮田洋監修/北大路書房(1998) 7)新生理心理学2巻/山崎勝男他編・宮田洋監修/北大路書房(1998) 8)新生理心理学3巻/柿木昇治他編・宮田洋監修/北大路書房(1998) 9)POST-OFFICE ワークスペース改造計画/岸本章弘 他/ TOTO 出版(2006) 10)現代社会とストレス/ハンス・セリエ/法政大学出版局 (1988) 11)日経アーキテクチュア/ 2005.2.21.
□参考既往論文 1)要介護高齢者の心理学的評価〜 POMS を用いた施設入所者と通所リハ利用者との比較〜/ 村田 淳・島田 容伸・ 橋本 真・市川 淳・竪山 陽一 2)オフィスにおける執務時の姿勢と感覚刺激によるスオレス軽減効果に関する研究/ 大塚絵理(2005) 3)美術館動線上における気分転換に役立つ自然要素の知覚のさせ方と効果/ 渡辺朋子/日本建築学会学術講演梗概集(2003) 4)生理反応計測によるスヌーズレン空間の効果の研究/番直人(2005) 5)空間刺激としてのスヌーズレンの導入に関する研究ースヌーズレン空間における生体反 応計測によるリラックス効果の検証ー/加藤絵理子(2005) 6)オフィスインテリアプランニングに関する研究 その9リフレッシュ・スペースなどの 設計計画について/矢部昌洋/日本建築学会近畿支部研究報告集(1990) 7)オフィスワーカーのモチベーションをあげる要因はこれだ!〜仕事場を好きな場所にで きるか?〜/ニューオフィス推進協議会
□参考 WEB 在宅医療機器展示センター HP http://iryou.info/pulse/ ストレスケア .com http://www.stresscare.com/
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* 資料編
資料編
*
課題 「スイッチする場所」 ■課題目的 ストレスの多い現代社会において、特に都会での生活の中で、それでも「ほっとする 場所」 「気持ちの良い場所」 「居心地の良い時間」がある。人間・空間・時間の3つの要素が、 一定の条件で確保された時、ふと気持ちが転換できる(スイッチする)といった経験が あると思われる。 ストレスを発散するために能動的に何か行動するというのではなく、ここに行くと自 然に気分転換でき新たな活力がわき、集中力を取り戻すことができるといった「シーン」 を見つけることを、この課題の目的とする。 ここでのスイッチ(気分転換)は、「タバコを吸う」といった単なる行為によるもの ではなく、場所の変化をともなったものに限定する。つまり、同じ空間である行為をす ることによってスイッチするという事例は除き、空間を移動するか、空間の質の変化さ せることによって受動的にスイッチできるものとする。 ■ 課題の内容 各自が、ここが自分の行動をスイッチする場所だと思う空間について、空間のどのよ うな要素が、そのシーンに作用しているのか測定し、分析すること。 1) 空間の図面(配置図・平面図・室内展開図)空間のスケッチ 向いている方向が分かるように、人のプロットもすること。 2) その場所の物理的スケール(天井高の変化、広さ、開口部の大きさなど) 3) 光、温度、気流などの環境の定量的な値 4) どのような時間あるいは時刻か 5) そのシーンを構成する空間以外の要素(人間、演出など)について ■ 提出方法 提出日:7月7日(金)授業中 提出物:A3 ケント紙→1)のスケッチ 2)〜5)の内容は、指定したフォームをダウンロードし、記入例を消 して記入し、データを下記の要領で提出する。 ファイル名:1g04d001 計画 C
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資料 4-2-1 調査書
資料編
* □□スイッチする空間□□ 学籍番号: □スイッチ(気分転換)前の空間 ここに写真を添付
□スイッチ(気分転換)する空間 ここに写真を添付
場所:
場所: 滞在時刻: 例.自分の部屋 カフェ 15:10 〜 15:50 ■スイッチ前後の空間の変化を比較して記入してください。 数値も極力記入してください。 □広さ 例.狭い 16㎡ 広い 120㎡ □高さ 例.低い 2400 高い 2800 □開口部の大きさ 例.小さい 少ない 1300 × 1300 1面 大きい 多い 1400 × 2100 ×3面 □光量 例.少ない 暗い 多い 明るい □温度 例.高い 26℃ 低い 22℃ □気流 例.なし あり そよ風 周囲の人の人数 例.0人 18人 ■スイッチする空間においてどの要素があなたをスイッチしましたか? □あなたの重要度の高いものから順に並べてください。 a. 広さ b. 高さ c. 開口部の大きさ d. 光 e. 温度 f. 気流 g. 人の密度 高 → → → → → → 低い □その他の要素があれば記述してください。
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資料 4-2-2 調査記入フォーム
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -1
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -2
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -3
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -4
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -5
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -6
資料編
*
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資料 4-3 スケッチ調査のサンプル -7
資料編
* T 得点 T-A 被験者1 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
T-A 被験者2 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
A-H 50 50 56 40 50 53 56 40 45 42 61 53
D
45 43 33 45 33 33 33 35 33 58 33 38 T-A
被験者3 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
D
40 48 45 50 40 55 40 58 33 50 38 65
A-H 53 45 42 48 40 40 40 40 40 50 40 40
D
50 45 43 43 38 43 38 38 48 45 48 45
V
42 53 48 58 42 61 45 58 40 56 45 69 V
37 40 37 42 40 40 37 37 37 58 37 40 A-H
48 50 50 50 45 48 45 45 48 48 48 45
F 27 46 27 51 27 44 39 44 32 44 32 44 F 42 50 42 30 32 27 39 27 39 30 49 30
V
58 50 50 48 50 48 50 48 56 50 50 53
C 63 61 57 48 63 61 48 68 46 61 51 74 C 46 46 30 46 44 40 36 42 36 57 36 44
F 32 30 40 30 39 39 39 39 42 37 37 37
5項目合計 55 61 55 55 55 61 45 58 58 61 61 71
T-A 被験者4 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
5項目合計 55 51 39 58 45 48 32 45 45 61 39 45
C 70 61 61 66 59 59 59 59 61 61 59 59
250 273 261 251 250 291 234 282 222 270 256 332
278 275 223 269 202 201 178 199 191 284 185 207
T-A 被験者9 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
5項目合計 58 58 61 58 48 48 45 45 48 48 51 48
284 264 265 265 240 246 237 235 261 252 256 250
D
53 58 58 63 45 63 50 65 53 63 53 60 D
39 36 39 39 36 36 34 41 36 39 34 36 T-A
被験者6 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
A-H 61 67 64 67 53 67 40 67 61 64 59 59
A-H 39 39 39 39 39 39 39 39 42 39 39 39
D
36 52 48 48 43 54 34 57 39 48 34 45
V
50 58 56 49 45 64 45 61 45 59 48 48 V
37 37 39 37 37 37 37 37 37 37 37 37 A-H
39 39 39 39 39 39 39 39 39 39 39 39
F 37 35 39 44 37 32 39 37 44 44 39 39 F 30 29 34 30 30 30 39 30 30 30 39 30
V
37 37 37 37 37 37 37 37 37 37 37 37
C 66 70 66 72 59 74 63 74 66 66 63 68 C 35 41 35 43 35 39 35 39 35 41 35 41
F 30 39 37 48 30 34 40 46 30 48 34 44
5項目合計 58 74 67 77 55 67 58 71 64 71 64 67
T-A 被験者7 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
5項目合計 45 48 45 48 45 48 45 48 45 51 45 48
C 43 53 53 55 43 67 37 49 43 62 51 51
288 327 311 328 257 335 256 338 289 323 287 302
195 201 197 206 192 199 190 204 195 207 190 201
T-A 被験者8 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
5項目合計 54 45 57 48 54 54 45 54 51 48 48 42
209 226 234 227 216 251 192 236 209 234 209 214
D
34 52 36 43 43 41 34 39 34 45 34 39 D
38 50 33 58 38 45 40 45 35 50 43 45 T-A
被験者5 typeA 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeB 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ
A-H 39 39 39 39 39 39 39 39 39 39 39 39
A-H 40 42 40 42 40 40 40 40 40 45 40 40
D
36 36 45 43 39 48 34 36 34 45 34 34
F 41 46 30 41 41 39 44 48 41 48 41 55
V
37 37 37 37 37 37 37 37 37 37 37 37 A-H
39 39 39 44 39 39 39 39 39 39 39 39
V
37 37 37 37 37 37 37 37 37 40 37 37
F 32 27 32 35 30 32 27 44 32 42 27 36
V
37 37 40 40 37 40 37 37 40 37 37 37
C 39 47 47 45 37 41 35 39 35 53 41 41 C 36 36 38 36 36 36 40 36 36 36 38 38
F 30 30 30 30 34 30 46 40 30 34 39 37
5項目合計 42 48 45 45 45 45 42 45 45 51 45 39
5項目合計 45 45 45 45 45 45 45 42 45 45 45 45
C 39 45 45 55 35 47 37 35 37 43 41 32
191 223 204 209 201 203 187 199 190 228 196 195
196 210 193 218 196 203 202 200 193 213 203 205 5項目合計
45 45 54 60 45 48 39 36 48 48 42 42
196 202 223 242 195 222 186 183 198 212 193 184
マイナス5因子の T 得点合計 typeA
被験者1 被験者2 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8 平均
標準偏差
測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 250 273 261 251 typeB 258 264 265 265 280 327 311 328 196 202 223 242 209 226 234 227 191 223 204 209 196 210 193 218 195 201 197 206 221.9
240.8
236.0
243.3
31.0
38.8
36.0
35.2
被験者1 被験者2 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8
測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 250 291 234 282 typeC 240 246 237 235 257 335 256 338 195 222 186 183 216 251 192 236 201 203 187 199 196 203 202 200 192 199 190 204
平均
標準偏差
218.4
243.8
210.5
234.6
23.6
42.7
24.3
46.0
被験者1 被験者2 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8 平均
測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 222 270 256 332 261 252 256 250 289 323 287 302 198 212 193 184 209 234 209 214 190 228 196 195 193 213 203 205 195 207 190 201 219.6
242.4
223.8
235.4
32.2
34.4
32.6
48.1
標準偏差
マイナス5因子 増減率
マイナス5因子 増減率の差の検定
マイナス気分(5因子) 被験者 typeA typeB 1 -0.08 -0.03 3 0.00 -0.04 4 0.00 0.01 5 0.20 -0.18
typeA-typeB
typeA-typeC
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
6 0.00 7 -0.06 8 0.04 9 0.02 -0.08 平均 標準偏差 0.08 休憩A 平均 標準偏差
typeC 0.23 -0.01 -0.07 -0.13
変数 1
変数 2
変数 1
変数 2
-0.03
0.23
平均 1.0161 0.9611 分散 0.0071 0.0038 観測数 8 8 自由度 7 7 観測された分散比 1.8692 P(F<=f) 片側 0.2141
0.06
0.12
F 境界値 片側 3.787
F 境界値 片側 0.2641
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による検定
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による検定
-0.06 -0.02 -0.01 0.03
休憩B
-0.09 -0.14 -0.04 -0.03
平均 1.0161 0.966 分散 0.0071 0.0137 観測数 8 8 自由度 7 7 観測された分散比 0.5191 P(F<=f) 片側 0.2033
休憩C
0.02
-0.04
-0.03
0.08
0.06
0.12 変数 1
変数 2
変数 1
変数 2
平均 1.0161 0.9611 分散 0.0071 0.0038 観測数 8 8 プールされた分散 0.0054 仮説平均との差異0 自由度 14 t 1.4917 P(T<=t) 片側 0.079 t 境界値 片側 1.7613 P(T<=t) 両側 0.158
平均 1.0161 0.966 分散 0.0071 0.0137 観測数 8 8 プールされた分散 0.0104 仮説平均との差異0 自由度 14 t 0.9838 P(T<=t) 片側 0.1709 t 境界値 片側 1.7613 P(T<=t) 両側 0.3419
t 境界値 両側 2.1448
t 境界値 両側 2.1448
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
資料 6-2 POMS マイナス5因子のデータ
資料編
* 唾液アミラーゼ量 (KU / L)
被験者1 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8 被験者9
typeA typeB typeC 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 測定Ⅰ 測定Ⅱ 測定Ⅲ 測定Ⅳ 24 35 14 18 14 20 17 5 14 31 17 14 11 22 53 36 11 10 11 12 8 15 19 25 19 36 19 34 16 35 20 23 45 30 79 38 9 111 35 55 14 137 37 49 28 118 36 40 44 18 137 53 25 7 5 4 13 8 36 28 87 47 53 27 16 55 48 39 51 35 21 19 33 30 36 106 33 39 27 25 33 55 48 45 22 22 18 28 4 26 19 11 17 30 6 17
唾液アミラーゼ量 増減率
唾液アミラーゼ量 増減率の差の検定
唾液アミラーゼ 被験者 休憩A 1.00 -0.49 3.00 0.64 4.00 -0.06 5.00 -0.50 6.00 1.94 7.00 -0.43 8.00 2.53 9.00 0.27 平均 0.49 標準偏差 1.16
typeA-typeB
typeA-typeC
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
休憩B -0.75 0.20 -0.34 -0.64 -0.43 -0.29 -0.36 -0.58 -0.40 0.29
休憩C -0.55 0.67 0.27 -0.66 2.50 -0.46 -0.18 -0.43 0.14 1.05
平均 分散 観測数 自由度 観測された分散比 P(F<=f) 片側 F 境界値 片側
変数 1 変数 2 1.4894 0.60118 1.348 0.08431 8 8 7 7 15.988 0.0008 3.787
t-検定 : 分散が等しくないと仮定した2 標本による検定
平均 分散 観測数 仮説平均との差異 自由度 t P(T<=t) 片側 t 境界値 片側 P(T<=t) 両側 t 境界値 両側
変数 1 変数 2 1.4894 0.60118 1.348 0.08431 8 8 0 8 2.0993 0.0345 1.8595 0.069 2.306
平均 分散 観測数 自由度 観測された分散比 P(F<=f) 片側 F 境界値 片側
変数 1 1.4894 1.348 8 7 1.2149 0.402 3.787
変数 2 1.144 1.1096 8 7
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による 検定
平均 分散 観測数 プールされた分散 仮説平均との差異 自由度 t P(T<=t) 片側 t 境界値 片側
変数 1 0.6012 0.0843 8 1.1437 0 14 -1.4299 0.0873 1.7613
P(T<=t) 両側
0.1747
t 境界値 両側
2.1448
変数 2 1.3658 2.2031 8
資料 6-3 唾液アミラーゼ量のデータ
typeA 測定Ⅰ 被験者1 被験者3 被験者4 被験者5 被験者6 被験者7 被験者8 被験者9 平均 標準偏差
測定Ⅱ
測定Ⅲ
typeB 測定Ⅰ
測定Ⅳ
測定Ⅱ
測定Ⅲ
typeC 測定Ⅰ
測定Ⅳ
測定Ⅱ
測定Ⅲ
測定Ⅳ
96 96 96 98 97 96 98 97
96 95 96 96 96 96 97 97
97 95 96 97 97 95 97 96
96 97 97 96 97 96 98 96
96 97 96 97 97 97 97 97
96 97 96 96 96 96 96 97
98 98 98 98 98 97 97 98
98 98 97 98 97 98 98 97
96 97 97 97 97 95 97 98
96 96 96 96 96 96 97 97
97 97 96 98 97 97 96 98
97 97 97 97 97 97 96 98
96.8
96.1
96.3
96.6
96.8
96.3
97.8
97.6
96.8
96.3
97.0
97.0
0.89
0.64
0.89
0.74
0.46
0.46
0.46
0.52
0.89
0.46
0.76
0.53
資料 6-4 spo2 測定データ
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
typeC
typeB
typeA
終期
後半計算時
休憩時
前半計算時
初期
終期
後半計算時
休憩時
前半計算時
初期
終期
後半計算時
休憩時
前半計算時
初期
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
Y
X
2.78
2.98
3.89
2.12
3.04
3.09
2.54
2.71
2.57
2.50
2.65
2.46
2.32
2.27
3.06
0HZ
4.08
3.93
5.21
2.38
4.27
3.87
3.09
3.07
3.10
2.93
3.35
3.11
2.92
2.52
4.27
1HZ
6.06
6.83
8.24
4.49
7.35
6.73
6.31
5.37
5.82
5.24
5.77
5.76
4.91
4.91
6.99
2HZ
1秒あたりの平均パワー値
7.84 4.39 5.93 4.02 8.20 4.88 7.09 4.72 7.44 4.53 9.11 5.15 8.05 4.80 9.02 5.24 10.42 6.03 9.78 6.11 7.16 4.04 12.24 7.40 10.69 6.11 8.77 5.42
6.15
10.26
3HZ
9.08
11.24
14.24
8.52
11.09
11.67
10.42
9.33
11.11
8.40
9.19
9.68
8.17
9.87
11.34
12.92
16.48
10.24
15.34
15.46
12.26
11.92
12.92
11.15
10.76
11.37
9.40
11.88
15.32
5HZ θ波
12.43
4HZ θ波
13.55 11.77 12.26 9.95 12.63 11.23 12.20 10.72 11.54 10.36 13.52 12.51 11.82 11.03 13.44 12.04 17.40 14.84 15.81 14.08 11.48 10.08 21.00 17.24 14.46 12.87 12.65 11.02
15.86
19.83
θ波
6HZ
13.77
13.25
19.84
10.60
16.02
14.98
11.98
12.03
12.86
11.42
14.03
11.97
10.80
12.66
16.74
α1
7HZ
Y: 各脳波の種類における平均(min)
X: 各周波数における平均(min)
8HZ
10.26 22.91 10.10 20.90 9.59 21.56 10.14 24.17 9.37 20.78 9.73 22.59 10.08 22.11 8.88 20.86 12.34 27.32 11.53 27.54 9.06 19.65 16.18 36.02 10.82 24.06 10.18 23.95
29.44
12.70
α1
9HZ
10.76
9.72
14.89
8.38
10.08
11.34
8.36
8.11
8.92
7.57
9.63
8.75
8.90
9.16
12.10
10HZ
9.91
11.06
14.59
8.70
11.97
11.47
9.03
9.54
9.86
8.88
10.72
9.26
10.18
10.02
14.07
11HZ
9.46 9.55 8.85 9.31 9.15 9.05 10.29 10.21 8.83 8.42 9.89 9.56 9.27 8.97 8.95 8.78 12.60 11.80 12.66 11.57 8.91 8.66 14.29 14.59 10.73 10.50 10.43 10.37
12.90
12.53
12HZ
8.56
9.93
13.96
8.29
11.42
11.61
9.12
8.78
9.87
8.12
9.03
8.89
8.10
8.68
11.29
ミッドα ミッドα ミッドα α3
13HZ
9.44
10.61
14.11
8.34
11.19
10.76
9.18
8.76
10.19
8.50
8.97
8.89
7.34
9.18
11.25
α3
14HZ
8.47 8.78 8.44 7.96 8.65 8.81 9.25 9.08 7.32 7.98 9.31 9.79 8.01 8.52 9.15 9.15 11.59 11.32 10.31 10.97 7.70 8.11 13.15 13.74 9.84 10.13 9.64 9.21
11.67
12.47
α3
15HZ
9.20
9.17
12.07
7.05
9.32
9.07
7.86
7.46
8.48
7.20
8.61
7.65
7.07
7.35
11.12
β波
16HZ
5.73
6.19
8.34
4.88
6.19
6.08
5.21
5.55
5.94
5.15
5.41
5.20
5.15
4.99
6.95
β波
17HZ
6.71
6.66
9.00
5.08
7.20
7.58
5.66
5.51
6.41
5.22
6.39
5.58
5.71
5.10
7.53
β波
18HZ
6.53
7.31
9.14
5.69
7.63
7.44
6.68
6.27
7.26
5.58
7.12
6.58
5.98
5.91
7.97
β波
19HZ
6.15
7.15
9.31
5.82
7.64
7.78
6.22
5.96
6.87
5.20
5.81
6.13
5.05
5.84
7.61
β波
20HZ
5.56
6.67
8.48
5.27
7.27
6.34
5.98
5.55
6.40
5.03
5.97
5.46
5.05
5.68
7.42
β波
21HZ
4.47
5.49
6.89
4.56
5.69
6.12
4.96
4.70
5.34
4.63
5.06
4.66
4.47
5.06
6.27
β波
22HZ
3.78 5.46 3.16 5.21 3.57 5.60 3.26 5.95 2.88 5.11 3.81 6.31 3.31 5.54 3.75 5.79 4.43 6.85 5.21 7.02 3.42 5.22 5.60 8.60 4.11 6.59 3.17 5.94
7.49
5.03
β波
2.68
2.92
4.07
2.37
3.19
2.96
2.63
2.46
2.82
2.27
2.69
2.53
2.38
2.58
3.31
HUM
24.56
26.81
43.26
24.04
78.24
20.12
22.76
17.22
21.78
16.41
28.62
19.81
22.11
30.27
57.53
EMG
資料編
*
資料 6-5-1 脳波サンプルデータ(被験者 5)
資料編
* 脳波データ(被験者 5 ∼ 9) 被験者5 1〜~6HZ 7〜~8HZ
θ波
α1
10〜~11HZ ミッドα 12〜~14HZ α3 15〜~22HZ β波
被験者6 1〜~6HZ 7〜~8HZ
θ波
α1
12〜~14HZ α3 15〜~22HZ β波
被験者7
7〜~8HZ
α1
12〜~14HZ α3 15〜~22HZ β波
被験者8
7〜~8HZ
θ波
α1
12〜~14HZ α3 15〜~22HZ β波
被験者9
7〜~8HZ
typeB 初期 前半計算 10.36 12.51 20.78 22.59 8.42 9.56 7.98 9.79 5.11 6.31
休憩時 後半計算 11.03 12.04 22.11 20.86 8.97 8.78 8.52 9.15 5.54 5.79
終期 14.84 27.32 11.80 11.32 6.85
typeC 初期 前半計算 14.08 10.08 27.54 19.65 11.57 8.66 10.97 8.11 7.02 5.22
休憩時 後半計算 17.24 12.87 36.02 24.06 14.59 10.50 13.74 10.13 8.60 6.59
終期 11.02 23.95 10.37 9.21 5.94
初期 前半計算 15.98 18.98 33.85 35.40 13.61 14.04 12.68 14.41 8.40 9.19
休憩時 後半計算 7.40 12.52 16.73 23.54 7.42 9.40 6.61 9.97 4.37 6.43
終期 5.73 14.09 6.55 4.88 3.78
typeB 初期 前半計算 4.86 15.56 12.53 31.05 5.41 12.28 4.78 12.57 3.57 8.02
休憩時 後半計算 8.84 8.97 17.34 16.68 6.86 7.11 7.77 7.19 4.83 4.88
終期 5.19 14.08 5.60 5.08 3.61
typeC 初期 前半計算 5.94 17.37 14.61 33.77 6.58 13.61 5.69 13.68 3.91 8.77
休憩時 後半計算 15.49 12.87 21.60 24.06 10.68 10.50 11.47 10.13 6.45 6.59
終期 12.87 24.06 10.50 10.13 6.59
初期 前半計算 26.17 11.82 49.82 6.42 19.38 5.27 20.71 3.13 12.87 4.66
休憩時 後半計算 11.68 18.04 23.10 34.07 9.36 13.92 8.89 13.99 6.08 8.70
終期 6.60 11.82 5.25 3.66 3.98
typeB 初期 前半計算 5.01 6.00 11.63 12.65 7.52 5.63 5.62 5.09 3.34 3.53
休憩時 後半計算 9.35 6.46 17.46 14.96 7.34 7.00 7.13 6.32 4.69 4.46
終期 7.79 16.29 12.90 7.78 4.97
typeC 初期 前半計算 13.55 17.05 26.93 35.03 10.56 13.82 10.64 13.21 6.58 8.87
休憩時 後半計算 10.18 11.03 19.80 22.80 9.27 9.34 8.21 9.10 5.31 6.00
終期 8.90 16.58 6.25 6.61 4.51
休憩時 後半計算 18.03 20.06 38.71 40.31 13.96 14.33 14.06 15.59 9.81 10.06
終期 11.29 22.85 9.63 9.27 5.85
typeB 初期 前半計算 10.49 23.41 24.34 41.27 9.45 16.12 7.98 17.78 5.44 10.34
休憩時 後半計算 10.87 18.13 22.59 33.64 8.83 12.56 8.47 13.33 5.61 8.34
終期 12.04 30.77 11.08 10.56 6.70
typeC 初期 前半計算 21.58 24.59 48.12 45.77 16.54 17.73 16.70 19.23 10.95 11.81
休憩時 後半計算 13.52 23.83 27.45 45.37 10.35 17.25 10.52 18.29 6.77 11.31
終期 12.72 25.47 10.22 8.72 6.50
休憩時 後半計算 14.53 7.77 25.72 14.43 10.25 6.41 11.28 6.16 7.18 4.15
終期 14.90 26.61 10.80 12.23 7.81
typeB 初期 前半計算 5.72 10.03 14.51 19.42 7.45 8.33 4.73 7.44 3.57 4.80
休憩時 後半計算 12.30 10.92 20.83 21.85 9.41 9.03 9.74 8.77 7.18 5.73
終期 5.49 12.08 5.97 4.81 3.43
typeC 初期 前半計算 3.99 12.72 11.32 25.92 5.09 10.63 3.49 9.42 3.06 6.21
休憩時 後半計算 7.22 7.22 13.94 13.94 6.19 6.19 5.62 5.62 3.87 3.87
終期 6.53 12.73 6.04 4.90 3.62
資料 6-6-2 脳波データ
typeA
10〜~11HZ ミッドα
1〜~6HZ
終期 10.72 24.17 10.21 9.08 5.95
typeA θ波
10〜~11HZ ミッドα
1〜~6HZ
初期 前半計算 15.86 11.77 29.44 22.91 12.90 9.55 11.67 8.78 7.49 5.46
typeA
10〜~11HZ ミッドα
1〜~6HZ
休憩時 後半計算 9.95 11.23 20.90 21.56 9.31 9.05 7.96 8.81 5.21 5.60
typeA
初期 前半計算 19.84 18.64 53.26 8.12 15.70 8.25 16.30 5.45 12.51 11.43
typeA θ波
α1
10〜~11HZ ミッドα 12〜~14HZ α3 15〜~22HZ β波
初期 前半計算 17.54 8.78 30.00 16.37 11.96 6.64 13.25 6.66 8.16 4.40
脳波(α2+α3)の差の検定 typeA-typeB
α2+α3 F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
平均 分散 観測数 自由度 観測された分散比 P(F<=f) 片側 F 境界値 片側
変数 1 変数 2 0.7835 0.9407 0.0145 0.0153 8 8 7 7 0.9427 0.47 0.2641
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による検定
平均 分散 観測数 プールされた分散 仮説平均との差異 自由度 t P(T<=t) 片側 t 境界値 片側 P(T<=t) 両側 t 境界値 両側
変数 1 変数 2 0.7835 0.9407 0.0145 0.0153 8 8 0.0149 0 14 -2.575 0.011 1.7613 0.022 2.1448
typeA-typeC F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
平均 分散 観測数 自由度 観測された分散比 P(F<=f) 片側 F 境界値 片側
変数 1 変数 2 0.7835 0.8222 0.0145 0.0091 8 8 7 7 1.5952 0.2764 3.787
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による検定
平均 分散 観測数 プールされた分散 仮説平均との差異 自由度 t P(T<=t) 片側 t 境界値 片側 P(T<=t) 両側 t 境界値 両側
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
変数 1 変数 2 0.7835 0.8222 0.0145 0.0091 8 8 0.0118 0 14 -0.714 0.2434 1.7613 0.4867 2.1448
資料 6-5-2 脳波データ
資料編
* 計算量 増減率 計算量 被験者
休憩A
休憩B
1
0.08
0.10
休憩C 0.08
3
0.14
0.15
0.27
4
0.05
0.17
-0.03
5
-0.01
0.05
0.09
6
0.02
0.16
0.07
7
0.04
0.07
0.19
8
0.04
0.07
0.19
9
0.04
0.07
0.10
平均
0.05
0.11
0.12
標準偏差
0.04
0.05
0.09
計算量 増減率の差の検定 typeA-typeB
typeA-typeC
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
F-検定 : 2 標本を使った分散の検定
変数 1
変数 2
変数 1
変数 2
平均
1.04926
1.10563
平均
1.04926
1.12188
分散
分散
0.002
0.00863
0.002
0.00216
観測数
8
8
観測数
8
8
自由度
7
7
自由度
7
7
観測された分散比 0.92655
観測された分散比 0.23223
P(F<=f) 片側 0.46121
P(F<=f) 片側 0.03652
F 境界値 片側 0.26406
F 境界値 片側 0.26406
t-検定 : 等分散を仮定した2標本による検定
t-検定 : 分散が等しくないと仮定した2標本による検定
変数 1
変数 2
変数 1
変数 2
平均
1.04926
1.10563
平均
1.04926
1.12188
分散
0.002
0.00216
分散
8
8
0.002
0.00863
観測数
8
8
プールされた分散 0.00208
仮説平均との差異
0
仮説平均との差異
自由度
観測数
自由度 t
0 14
t
10 -1.99165
-2.46974
P(T<=t) 片側0.03721
P(T<=t) 片側 0.0135
t 境界値 片側 1.81246
t 境界値 片側 1.76131
P(T<=t) 両側0.07442
P(T<=t) 両側
t 境界値 両側 2.22814
0.027
t 境界値 両側 2.14479
Hitoshi Watanabe Lab. Waseda Univ.2006
資料 6-6 計算量データ