複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究

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複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究

A Study on User's Behavioral Characteristic and Evacuation Possibility in Complex Cafe

「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

Introduction

序文 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 2


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

はじめに     漫画喫茶を初めて利用したのは、今から 8 年前、1998 年。

場所はたしか赤羽だったか、いけない場所に入る時のような気 持ちで、緊張しながらも、わくわくした気分でお店に入ったの を今でも覚えている。   たくさんの漫画とドリンクバーしかない当時で言えばごく普 通の漫画喫茶であったが、利用料金の高さという点を省けば、 ジュースが飲み放題で、好きな漫画も読み放題のその空間は、 自分にとっては天国のようなところであった。少なくともファ ーストインプレッションはそうであった。

あれから8年という年月が経過した。天国のように居心地が よかった空間はその形態、サービスの中身を変え、さらに居心 地のよい娯楽空間へと進化した。 ハイスペック PC、ゲーム機、オフィス機器、シャワー室、 ダーツやビリヤードなど、多様化したサービスによって漫画喫 茶はもはや「漫画喫茶」とは呼べず「複合カフェ」と呼ぶのが 本来は相応しいのだが、 日常的にはあいかわらず「マンキツ」 「ネ カフェ」という呼び名の方がその代名詞を獲得している。サー ビスの多様化に伴い、利用者の属性も当時漫画好きの学生、フ リーターが主だったものが、ビジネスマンや働く女性、主婦、 家族連れなどへと多様化している。下位文化だった漫画喫茶と いうものをここまで一般的に受け入れられるものへと変えるこ とができたのは、社会的ニーズをうまく取り入れた企業の戦略 勝ちというところか。 しかし、一般的に人々に受け入れられた反面、社会的問題を 多く抱えるようになったのもまた事実である。複合カフェでの 集団結核感染、フリーターの宿泊先としの利用、青少年のたま り場、ネットの匿名性を利用したハイテク犯罪など近年特に問 題視されている。直近のニュースだが、朝日新聞では 2006 年 10 月 27 日 と 11 月 2 日( 図 0-1、 図 0-2) 、わずか 1 週間の うちに 2 回も複合カフェに関する記事が載せられていた。特に 11 月 2 日の夕刊では一面記事に複合カフェの問題をとりあげ ていた(5 ページ参照)。複合カフェにおける問題は今後企業側 にとっても、地域側にとっても対策をとらなくてはならない事 項の一つであることは間違いないだろう。

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

今、複合カフェは一つの転換期を迎えているように私は感じ ている。一般的になり、社会的問題も抱えるようになり、サー ビスの多様性もある程度一段落着いた。今後どう進化していく か、それ自体は経営側の問題であるが、社会的問題の解決のた めの助言や事件を未然に防ぐための提案などは利用者である私 たちにも出来ることである。本研究は建築学科という立場であ る私からの、複合カフェに対する一助である。

8 年前、初めて漫画喫茶を利用した私は、その空間を天国だ と感じ、「もしここに住めたら幸せだろうなぁ」と本気で考え ていた。まさか、その 8 年後に実際に漫画喫茶で生活する若者 フリーターが都市部で増え、社会問題になっているとは、少な くとも当時中学2年生だった自分には想像もつかなかったこと である。

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図 0-1 朝日新聞 2006 年 10 月 27 日夕刊

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図 0-2 朝日新聞 2006 年 11 月 2 日夕刊

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Index

目次 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 7


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

本論文の構成

序文

目次

第一部 論文編

10

1 目的

11

1ー1 研究目的

12

2 背景

13

2ー1 研究背景

14

2ー2 語句の定義

16

2ー3 複合カフェに関する基礎資料

16

17

2-3-2 複合カフェのサービス

2-3-1 複合カフェの歴史

2-3-3 複合カフェの魅力と市場規模

19 22

2-3-4 複合カフェで起こった社会的問題

24

2-3-5 複合カフェ側の対策と実態

26

2-3-6 複合カフェにおける防災対策

27

3 研究方法

28

3ー1 調査概要

30

3ー2 調査方法

30

3-2-1 行動調査

31

3-2-2 経路調査

32

3-2-3 アンケート調査

33

3-2-4 空間把握特性に関する調査

34

3ー3 仮説

35

4 結果と考察

36

4ー1 行動調査

37

4ー2 経路調査

38

4ー3 アンケート調査

40

4ー4 空間把握特性に関する調査

41

5 まとめと展望

42

5ー1 まとめ

42

5-1-1 まとめ

43

5-1-2 避難可能性の検証

49

5ー2 展望

50

謝辞

52

参考文献

54

第二部 資料編

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Main Chapter

Chapter One

論文編

第一部

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

目的 Purpose

One

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1 ー 1 研究目的

複合カフェにおける利用者の行動特性を明らかにし、店舗の 内部構造と利用者の空間把握特性との関係が避難行動に及ぼす 影響について考察を行う。

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背景 Background

Two

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2ー 1 研究背景

近年、漫画喫茶やインターネットカフェなどが融合した、多 様なサービスを提供する「複合カフェ」とよばれる商業施設が 都心を中心にその店舗数を増やしている。  癒しの空間が求められている現代社会において、複合カフェ 内の空間は「くつろぎ空間」としてその居心地の良さに対する 評判は比較的高く、コミック漫画やインターネット、ゲームな どを低料金で楽しめるとあって、20 ∼ 30 代を中心に人気が定 着し最近は女性にもユーザー層が広がっている。24 時間年中無 休が普通である複合カフェはその多様なサービス展開から、 「ア クティビティのコンビニ」と呼ぶに相応しく、日本複合カフェ 協会によれば、複合カフェの市場規模は今後 5 年間で 7 割増が 予想されており、今後より一層身近な存在になると言える。  しかしその一方で、利用者の増加に伴い、複合カフェが社会 問題を引き起こす原因になっていることも事実である。中高生 の夜遊びや家出先としての利用、フリーターの臨時の簡易宿泊 所としてではなく定住先としての利用などに使われる場合があ り、その過度なケースとしては、漫画喫茶で約 2 カ月間寝泊ま りし、利用代金を支払わなかったとして、詐欺の現行犯で住所 不定、無職の男が逮捕されたという事件まで起きている。多様 なサービス、居心地の良さが招いた事件とも言えるだろう。  また、都心の多くの複合カフェは雑居ビルのフロアを借りて 営業しているところが多く、防災という面においてもまだ不透 明な部分は多いと言える。特に近年東京都新宿区歌舞伎町で火 災が起きたビルと複合カフェが入っているビルは比較的その建 物の種類や構造が似ており、実際の店舗の内部も、火災が起き たビル内部にあった風俗店と複合カフェでは照明の暗さや窓が ない(あるいは塞がれているところが多い)といった点におい て共通している部分が多く、加えて複合カフェには大量の漫画 雑誌類が置いてあることから、今後火災事故が起こることも十 分に考えられる。  複合カフェというものが徐々に私たちの身近な存在になって いく過程で、社会問題を招き、事故の可能性も考えられるとい う現状があるにもかかわらず、それを建築的視点から調査した 研究がなく、またその資料も不十分であると言える。

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2ー2 用語の定義

複合カフェ:  漫画喫茶とインターネットカフェのサービスを合わせた複合 型サービス空間、またはそれをベースにさらに付加的に様々な サービスを展開している複合型商業施設の総称(図 2-2-1)。  漫画、雑誌の閲覧、インターネット、テレビゲームの利用の他、 テレビ、DVD、マッサージチェア、フリードリンク、店舗によっ ては卓球やダーツ、ネイルサロンなども楽しめる。  従来のカフェまた喫茶店では注文した飲食物に対して課金さ れるのに対し、複合カフェではその滞在時間に対し課金をとる 時間制課金システムを採用している部分も特徴の一つである。 漫画喫茶:

「カフェ・喫茶店」

漫画を多数揃えた喫茶店、またはそこから発展した漫画の閲 覧などの娯楽サービスを有料で提供する施設の総称。

複合カフェ 漫画喫茶

インターネット カフェ

普通の カフェ・喫茶店

インターネットカフェ:  有料でインターネットにアクセスできるパソコンを利用でき

時間制課金

商品に対して課金

図 2-2-1 カフェ・喫茶店の定義

るカフェまたは施設の総称。 個室席:  複合カフェ内における座席のタイプの一つ。座席まわりを パーティションで仕切り、ブース状にしたもの(図 2-2-2)。  近年、ほとんどの複合カフェで採用され、且つ店内でもっと も数が多い座席タイプである。座席まわりには主にパソコンが 設置されており、自由にインターネットをすることができる。 店舗によってはパソコン以外にもテレビやゲーム機などが設置 されているところもある。イスのタイプも普通はリクライニン グシートのタイプだが、店舗によってはマットがひいてあるフ ラットタイプ、畳がひいてある畳タイプなどの種類もある。ま た普通は一人用であるが、店舗によっては二人用、三人用にブー

図 2-2-2 個室席

スが広くなっているタイプも存在する。 オープン席:  複合カフェ内における座席のタイプの一つ。座席まわりが パーティションで仕切られてなく、利用者が隣同士お互いの姿 が見られるようになっている(図 2-2-3)。  座席まわりはパソコンが設置されているが、テレビやゲーム 機が設置されているところは少ない。座席の料金の値段が個室 席に比べて安く設定してある店舗が多く、人との待ち合わせな どに使われるケースもある。昔の漫画喫茶では主にこのオープ ン席タイプを採用しているところが多い。

図 2-2-3 オープン席

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日本複合カフェ協会:  複合カフェ店舗数の増加による様々な社会的貢献を目的と し、消費者、店舗運営事業者、取引事業者との健全な関係を構 築すると共に、複合カフェにおける利用秩序の形成を通じ、公 正な経済活動の確保を目指し、複合カフェ業界の公正な評価の ための広報活動を行うために 2001 年 6 月に設立された協会。 2006 年 11 月現在の加盟店は日本全国で約 1300 店。 参照:日本複合カフェ協会 http://www.jcca.ne.jp/

英語名:Japan Complex Cafe Association 略称:JCCA

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2ー3 複合カフェに関する基礎資料

2-3-1 複合カフェの歴史  日本での複合カフェはもともと漫画喫茶が始まりである。70 年代に漫画が置いてある喫茶店を「漫画喫茶」と呼んだのが起 漫画喫茶誕生

漫画喫茶

1970年代

源であり、当初はお店に入り何かを注文すると 70 分料金代を 加算され、それ以降は延長料金をいただく徴収する形をとって いた。中京圏は喫茶店の数が多く競争が激しいため、ある店が サービスの一環として始めたのが広まったものではないかとさ れている。それが 90 年代からは図書館式といわれる、時間使

図書館式と呼ばれる 時間制課金システムの登場

1990年代

用料だけ徴収して飲み物をフリーとする形に変わっていった。    95 年ぐらいからパソコンが安くなってきたことと、インター ネットというインフラが発展したことからインターネットカ フェが登場し、98 年頃のネットカフェブームの影響から漫画

インターネットカフェ の登場

喫茶にもパソコンを置く店舗が徐々に出始める。1998 年8月

インターネット カフェ

1995年

に埼玉県春日部市にオープンした「自遊空間」が複合カフェの 定義にしっかり基づくという点では複合カフェ第 1 号店とされ ている。    2000 年頃から漫画喫茶とインターネットカフェの隔たりが なくなり、漫画も読めて、ネットもできるお店が当たり前になっ てくる。またこの頃からネットゲームが出来る店舗も増えてき

複合カフェ第1号店誕生

複合カフェ

1998年

て、漫画、ネットに加わる新しいサービスとしてゲームという ものが加わった。    2003 年頃から今の複合カフェに近い、多様化したサービス

複合カフェの出店が加速 ネットゲームができる店舗が登場

2000年

を展開する店が増え始める。店舗の大きさを拡大し、ビリヤー ドや卓球といった娯楽を楽しめるお店や店内の照明を暗くして インテリアなどもモダンなものにしたおしゃれな複合カフェも 登場しはじめた。一方で複合カフェに設置してあるパソコンか ら、その匿名性を利用した不正アクセスなども多発し、複合カ フェを舞台とした社会的な問題もこの頃から徐々に台頭し始め

サービスの多様化が進む

2003年

る。    2005 年 9 月時点で複合カフェは全国で 2,737 店舗に達し、 現在全国に約 3500 店舗以上、都内で 600 店舗近い数がある。

現在

今後もその数は増えていくことが予想され、サービスや形態な ども変化していくとされている。

図 2-3-1 複合カフェの歴史

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2-3-2 複合カフェのサービス (1)サービス  漫画とインターネットができる PC が完備され、飲み物はす べてフリードリンク、そして時間性課金システムを導入してい るのが最も基本的な複合カフェの形と言える。  ネットゲームやプレイステーション2などのゲームができる 店舗や、DVD ソフトを取り揃えて、映画が見られるような店舗 も最近では当たり前になってきている。  その他、卓球、ダーツ、ビリヤード、ネイルサロン、日焼け サロンなどのサービスを展開している店舗や、少し郊外にいく とカラオケや釣堀など様々なサービスが付加された大型複合娯 楽施設として営業しているところもあり、サービスの多様化は 近年特に進んでいる(図 2-3-2) 。  また、深夜営業を行う店舗も東京などの大都市を中心に増え てきており、シャワー室やマッサージ機などのサービスを取り 揃え、宿泊施設としての役割を果たす店舗も多い。座席が個室 ブースに分かれているということから、カプセルホテルより安 い簡易宿泊所として、終電に間に合わなかった人が始発を待つ 際の仮眠に利用されるケースが出てきている。  最近では、設置されているパソコンの中に Office ワード、エ クセル、パワーポイントがインストールされており、PC 周辺 機器であるカラープリンタ、スキャナ、コピー機などを備え付 けている複合カフェも多い。会社のデスクに戻る暇がないため、 複合カフェで必要な書類をコピーするというようなサラリーマ ンもでてきており、複合カフェが簡易オフィス的な役割を果た す一面もある。  飲食に関しては、飲み物はフリードリンク、食べ物はスナッ ク菓子とカップラーメンが置いてあるというのが一般的である が、店舗によっては冷凍食品をその場調理してくれるところや、 近隣の飲食店に複合カフェにいながら注文を出せるところ、珍 しい例だとコンビニエンスストアと複合カフェがくっついてお り、自由にコンビニに買出しにいけるところも存在する。

図 2-3-2 複合カフェ内の多様なサービス

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(2)利用料金  複合カフェの利用料金であるが、1 時間 400 円というのが一 番基本的な値段と言える。ただ店舗によって料金体系はばらば らであり、安いところでは 1 時間 100 円から、高いところでは 1 時間 600 円と一概に言うことはできない。ただ、ほとんどの 店舗で料金パックという時間で区切った料金体系を導入してお り、たとえば 1 時間 400 円もお店でも 3 時間パック 1000 円 や 5 時間パック 1500 円などと割安なプランをあらかじめ用意 している。  また最初の 1 時間目だけを割安に設定している店舗や土日祝 日は値段を上げている店舗も多い。料金パックの方も深夜パッ クという夜 11 時以降(例)でしか使えない料金パックを導入 している店舗が多く、深夜のほうが昼間の料金パックより割安 に設定されている。  座席タイプによる利用料金の違いもあり、オープン席のほう がブース席より割安に設定している店舗が多い。  近年では犯罪防止のため会員制を導入している店舗も増え、 年会費をとる複合カフェもある。  あくまでも私個人の感想であるが、近年複合カフェにおける 料金体系は徐々に複雑化してきている印象をもつ。

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2-3-3 複合カフェの魅力と市場規模 (1)複合カフェの魅力  複合カフェの魅力は、その安さと選択肢の広さである、平 均 2 時間程度の滞在が主流だが、平均単価は 1000 円程度で済 む。店内での様々な時間の過ごし方があることから、身近なレ ジャー施設のような感覚での利用が進んでいる。  例えば、都心では喫茶店が少なくなったことで平日は若者や サラリーマンがちょっとした休息や時間つぶしのために使って いるほか、土日には若いカップルが利用することも多い。カラ オケやダーツ、ゲームなどのサービスを複合的に展開している 複合カフェでは、カラオケの後に店内の DVD で映画を観るこ とが出来たり、ゲームやダーツをすることも出来る。遊びや時 間つぶしの選択肢が幅広いにもかかわらず、料金は定額(時間 性)で済むことが人気につながっている。  複合カフェの利用者は 20 − 30 代の男性が最も多く、男女比 は 7 対 3 である。暗い・汚いというイメージが強かった複合カ フェだが、近年は顧客層の拡大、特に女性層の拡大や滞在時間 の長期化のためにきれいでゆったりとした内装作りやマッサー ジや女性専用席など女性に喜ばれるサービスの導入が進んでい る。

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(2)複合カフェの市場規模  近年の複合カフェにおける顧客層拡大の流れの影響から、認 知度が高まるとともに、マーケットも拡大している。  2002 年度に 700 億円だった複合カフェの市場規模は 2004 年には 1500 億円へと成長し、日本複合カフェ協会の予測によ ると 2009 年には 2570 億円、2014 年には 3800 億円になる 見通しである(図 2-3-3) 。  また、全国の都道府県別の複合カフェ(漫画喫茶も含)件数 とコンビニエンスストア件数の分布図(図 2-3-4)を比べてみ ると、ほぼ一致していることが見て取れる。このことからも今 後の複合カフェ市場は、コンビニと同じように着実に伸びてい くのではないかと予想できる。

図 2-3-3 複合カフェの市場規模

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図 2-3-4 都道府県別の複合カフェ件数とコンビニ件数の分布

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2-3-4 複合カフェで起こった社会的問題 (1)複合カフェ集団結核感染事件  2005 年 10 月 17 日、川崎市疾病対策課は、同市川崎区内の インターネットカフェで、従業員の 20 代の男女 2 人が結核を 発病したほか、11 人が感染したと発表した。同課は結核の集 団感染に当たるとして、厚生労働省に報告した。同課によると、 発病した 2 人は治療中で快方に向かっており、感染者 11 人に 症状はみられないという。インターネットカフェをよく利用し ていた 40 代の土木業の男性が 2004 年 8 月ごろに発病。調査 の結果、集団感染が判明した。 (2)複合カフェ無銭飲食事件 -1 24 時間営業のマンガ喫茶に 2 か月近く滞在し、使用料など 約 52 万円を払わずに逃げたとして、新潟県警機動捜査隊と長 岡署は 12 日、住所不定、無職の男性(33)を詐欺(無銭飲食) の疑いで逮捕した。  調べによると、この容疑者は 8 月 2 日∼ 9 月 26 日、同県長 岡市内のマンガ喫茶に滞在し、カレーや牛丼など約 140 品を注 文し、使用料約 47 万円と飲食代約 5 万円、計 52 万を支払わ ずに逃走した疑い。容疑者はこの間、ほとんど外出せず、店内 で寝泊まりし、食事をとりながら漫画やインターネットを楽し んでいた。  店は通常 12 時間ごとに精算を要求するが、店員は容疑者が 常連客であるため信用していたという。 -2 朝日新聞によると、岐阜県岐阜市の岐阜北警察署は 12 日、 岐阜市内の漫画喫茶店に 33 日間泊まり込み、料金を支払わな かった男を、詐欺(無銭飲食)の現行犯で逮捕した。  この男は、3 月 10 日から 4 月 12 日まで、漫画喫茶の個室に 泊まり込んでいた。共同通信によると、この個室は 9 時間あた り 1,000 円。中日新聞によると、店が 12 日になって料金を請 求したところ、 16 円しか金を持っておらず、 支払いができなかっ たため、警察署に通報した。料金の総額は 15 万 7630 円に上っ た。  男は、個室料金に含まれる朝食を食べていたほか、下着の洗 濯は店の洗面所で行っていた。また、朝日新聞によると、最初 の内は銭湯に行っていたという。

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(3)複合カフェにおけるサイバー犯罪  2003 年に、入力履歴を記録するソフトをネットカフェのパ ソコンに仕掛けてネットバンキング利用客のパスワードを盗 み、大手銀行から 1600 万円を搾取する事件が起きた。  また、2005 年、自殺サイトで知り合った相手を次々殺害し た事件でネットカフェが使われた。  このように、他人の ID・パスワードを無断で使用して認証サー バーに不正にアクセスする行為や、インターネットを介したわ いせつ画像・児童ポルノ・海賊版ソフトの頒布や偽ブランド品 の販売、詐欺行為、その他電子メールや電子掲示板を利用した 名誉毀損や脅迫等の行為などが複合カフェで起きている。近年 では架空出品などネットオークション詐欺に使われる例も目立 つ。 (4)青少年の利用問題  複合カフェは、その個室ブースなどの人目に晒されないとい う特徴から、青少年の悪いたまり場としての問題も起きている。 ブース内での飲酒や喫煙、深夜の宿泊先としての利用や、青少 年に有害なインターネット上のコンテンツが見放題であること など、多くの問題を抱えている。 (5)フリーターの宿泊先としての利用問題  直接的に犯罪につながる問題ではないが、低料金でシャワー や個室などを完備する複合カフェで生活する若者が都市部で増 え、社会的な問題になっている。生活が困窮し、家を失った若 年フリーターが特に多く、昼間は日雇いなどのバイトでお金を 稼ぎ、夜は複合カフェに泊まるというのを繰り返すケースが多 発している、格差社会の象徴ともいえるこの問題は最近特に問 題視されている。

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2-3-5 複合カフェ側の対策と実態 (1)衛生上の問題に対して  複合カフェは食品衛生法に基づき保健所に届け出るだけで開 業できる。しかし枕やシーツを提供すると旅館業法が適用され、 簡易宿泊施設として消防設備の充実が義務づけられる。また浴 槽を備えると、公衆浴場法による厳密な水質管理が必要となる。 このため多くの複合カフェはひざ掛けだけを提供し、簡易シャ ワーだけで済ませるなど「飲食店」としての形態を保っている のが実態である。  特に衛生上の問題に関しては、日本複合カフェ協会の制定す る店舗運営ガイドラインにも記載されておらず、実際の対策は 不透明である。今後企業側が明らかにしなくてはいけない事項 の一つである。 (2)無銭飲食の問題に対して  現在、都内の多くの複合カフェでは、12 時間あるいは 24 時 間おきに一度清算しなくてはいけないというシステムを導入し ている。このシステムが全国の複合カフェにも導入されていけ ば、無銭飲食等の問題は対策がとれると感じる。

(3)サイバー犯罪などの問題に対して  サイバー犯罪に関しては、店内掲示による警告や利用履歴を 削除するソフトやリカバリーソフトをパソコンにインストール するなどの措置は日本複合カフェ協会が制定する店舗運営ガイ ドラインに記載してあるが、これだけでは効果は薄いと感じる。  そのため最近の対策としては、2 ちゃんねる等の掲示板への 書き込みを禁止に設定している店舗やフィルタリングソフトを 導入している店舗も見られる。 (フィルタリングソフトとは、 特定のサイトを閲覧できなくさせるようパソコンに制限をかけ るソフトのこと)  今後とも特に力を入れるべき対策の一つである。 (4)青少年問題に対して  日本複合カフェ協会が設立した店舗運営ガイドラインでは、 「成年者または 18 歳未満の青少年等と思われる者に対して身分 証明証等の提示を求め、その年齢を確認し、16 歳未満の利用 客には午後 8 時以降、18 歳未満の利用客には午後 10 時以降の 利用を認めないものとする」と記載してある。  特に最近では協会側が会員制導入を全国の加盟店に呼びかけ ており、どの店舗も会員制が導入されれば、青少年問題はある 程度対策がとれるように感じる。

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青少年の飲酒・喫煙問題に関しては、18 歳未満の利用客に は個室席でなくオープン席にしか案内しないといった対策や、 個室席の周囲のパーティションを一部取り外すといった対策を とっている店舗が出てきており、また有害なインターネット上 のコンテンツの閲覧問題に関しても、フィルタリングソフトを 導入することで、青少年に有害なインターネットサイトを閲覧 させなくしているといった対策が最近では増えてきている。 (5)フリーター問題に対して  直接的に犯罪につながる問題ではないため、複合カフェ側が この問題に対して対策をとっている例はほとんど見られない。  この問題に関しては、今後、地域あるいは国と複合カフェが 協力して対策を立てるべきである。

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2-3-6 複合カフェにおける防災対策  今後起こりうることの一つとして複合カフェにおける火災事 故が考えられる。特に都心の多くの複合カフェは雑居ビルの 1 フロアを借りて営業しているところが多く、防災という面にお いてもまだ不透明な部分は多い。  東京都新宿区歌舞伎町の火災事件の例を見ても、災害が起き たときの被害の規模は大きい。歌舞伎町の火災が起きたビルと 複合カフェが入っているビルは比較的その建物の種類や構造が 似ており、実際の店舗の内部も、火災が起きたビル内部にあっ た風俗店と複合カフェでは照明の暗さや窓がない(あるいは塞 がれているところが多い)といった点において共通している部 分が多く、加えて複合カフェには大量の漫画雑誌類が置いてあ る(図 2-3-5) 。今後起こりうる火災事故を未然に防ぐためにも 防災対策は必須である。 図 2-3-5 店内にある大量の漫画雑誌類

日本複合カフェ協会が制定した店舗運営ガイドラインでは、 火災等への対応策は、 (1)消防用設備の設置(店舗には、火災の発生に備え、消防法 等の法令の定める基準に従って消防の用に供する設備、消防用 水及び消火活動に必要な施設を設置し、かつ維持するものとす る。) (2)避難経路の確保(店舗の廊下、階段、避難口その他の避難 上必要な施設については、火災等の災害発生時に避難の支障と なる物件が放置または存置されないよう管理し、また、防火戸 についても閉鎖の支障となる物件が放置または存置されないよ う管理を行なうものとする。 ) (3)火災発生時の対応(火災が発生した際には、店舗関係者は、 利用客を適切に避難口へ誘導し、消防隊が到着するまで消火、 延焼防止、人命救助等の活動を行なうものとする。 )  の以上の 3 つが記載してあるだけで、具体的な防災対策はや はり不透明である。  今回、本研究の調査を行った新宿にある複合カフェの防災対 策を調べたところ、新宿区警察署から安全対策を実施している ということで感謝状をもらっていたが、防災対策に関しては、 通常階段が無銭飲食対策の鉄柵(鍵付き)で塞がれていたり(図 2-3-6) 、非常階段に行くための店内にある扉のドアノブのとこ ろが、こちらも無銭飲食対策のために簡単に開けられないよう にプラスチックで覆われていた。実際に火災が起きた際に、両 方とも簡単に開けることができればよいが、実態は不明である。

図 2-3-6 通常階段の鉄柵

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研究方法 Research method

Three

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3 ー 1 調査概要

(1)調査概要  10 月 5 日∼ 10 月 14 日の間、被験者 20 名を新宿にある複 合カフェ A 店内の個室席とオープン席とに分け、全員に 3 時間 ずつ利用してもらった。その際に、自分の行動時間割と歩いた 経路をリアルタイムに調査シートに記入してもらい、店舗を出 た後にアンケートに答えてもらった。被験者には全員歩数計を つけてもらい、店内での歩いた歩数も調べた。    複合カフェの利用時間帯は被験者全員、各人ランダムとし、 早い時間帯で朝 9 時半から、遅い時間帯で夜の7時からとなっ た。  また上記実験から 2 週間後に、被験者全員に、店内のイメー ジマップを書かせた。 (2)被験者について  被験者 20 名の内訳は 10 名を複合カフェ初心者、10 名を複 合カフェ熟練者とした。  初心者の定義は「過去の複合カフェ利用回数 0 ∼ 1 回」 、熟 練者の定義は「過去の複合カフェ利用回数 10 回以上」とした。 なお、初心者、熟練者、個室席、オープン席は以下のように振 り分けた。 (3)調査時間について  複合カフェ内での利用者の平均滞在時間が約 2 時間から 2 時 間 30 分というデータ(株式会社アプレシオ企業説明より)が あることと、ほとんどの店で 3 時間パックというパックサービ スを行っていることから、3 時間という時間は複合カフェを利 用する人にとっての一つの基準となるものではないかと仮定し た。 (4)調査場所について  今回実験場所として選んだ、新宿にある複合カフェ A 店は、 日本複合カフェ協会の加盟店でもある、都内に最近増えてきて いるタイプの複合カフェである。  新宿の雑居ビルのワンフロアを借り営業しており、広さは約 400 ㎡で、都内で言えば大中小の中にあたる規模の店舗である。 座席数は全部 67 席あり、そのうちオープン席が 6 席、個室席 が 61 室ある。個室席のうち一人用が 48 室、二人用が 11 室、 三人用が 1 席ある。

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

店内のサービスは、最近増えてきているタイプの中でも最も 基本なものであり、漫画、ゲームソフト、DVD が置いてある棚、 フリードリンクの自動販売機、フードコーナー、シャワー室が 店内に設置してあり、オープン席にはインターネットができる パソコン、個室席にはそれに加え PS2 とテレビが設置してある。 設置してあるパソコンのうちワード、エクセルなどのオフィス ソフトが使えるものは全部で 12 台ある(図 3-1-1) 。  また、プレ調査で私がいろいろな複合カフェを回った中では、 この店舗が一番店内の経路が分かりづらく、迷いやすかった。    展開しているサービスが典型的な複合カフェのサービスで あったことと、経路が迷いやすかったことから、研究対象とし て最も適していると思いこの複合カフェを調査場所に選んだ。

図 3-1-1 複合カフェ A 店・店内マップ

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3 ー 2 調査方法

今回の研究では、被験者 20 名に複合カフェを 3 時間利用し てもらうことで、行動調査と経路調査を行い、その後アンケー トを実施することでアンケート調査を行った。また後日イメー ジマップを書いてもらい、それと先 3 つの調査結果とを合わせ ることで複合カフェ利用者の空間把握特性に関する調査を行っ た。  以下 4 つの調査の具体的な調査方法である。 3-2-1 行動調査    被験者全員に事前にストップウォッチと歩数計を持たせ、入 店と同時に両方のスイッチを押してもらう。  調査シートの行動時間割表に、被験者自身の複合カフェでの 3 時間の全行動をストップウォッチと照らし合わせながらリア ルタイムで記入してもらった(図 3-2-1)。行動は、 「ドリンクを取る」 「フードを取る」 「マンガを取る」 「雑誌を取る」 「ゲームを取る」「DVD を取る」 「フードを食べる」「マンガを読 む」 「雑誌を読む」 「ゲームをやる」 「DVD を見る」 「ネットを見る」 「お手洗いにいく」 「シャワーを浴びる」 「仮眠を取る」 「その他」 の以上 16 項目である。時間割の目盛りは 3 分刻みになっている。  移動は、席を立ってから席に戻るまでとし、一つの移動の際 に複数の行動をした場合は、時間の内訳がわかるなら詳しく記 入してもらい、わからない場合は同じ時間帯に項目を重ねて書 いてもらうこととした。  歩数計は店舗を出たあとに止め、その場で合計歩数を調査 シートの表紙に記入してもらった。

ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

6

9

12

15

18

21

24

30分

27

30

33

36

39

42

45

48

51

54

1時間

57

60

図 3-2-1 行動時間割・記入例

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3-2-2 経路調査  被験者全員に、調査シートの経路調査図に、複合カフェでの 3 時間の自分が歩いたすべての経路を、一つの移動が終わる度 に記入してもらった(図 3-2-2) 。  記入の際、一回の移動で同じ道を通ったとき(同じ道を行っ て帰ってくるとき)は、左右対称の矢印を、同じ道を通らなかっ たときは同方向の矢印を書いてもらうこととする。

同じ道を通ったとき

(同じ道を行って帰ってくるとき)

同じ道を通らなかったとき

図 3-2-2 経路調査図・記入例

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3-2-3 アンケート調査  被験者が 3 時間複合カフェを利用し、店舗から出てきたとこ ろで、その場でアンケートにも記入してもらった。  アンケートの内容はおもに複合カフェを利用した後の被験者 の心理的、内面的なものを調査するもので、以下の全 14 項目 ある。 1)複合カフェでの 3 時間、長く感じましたか?短く感じまし   たか? 2)店内の経路のつくりはどうでしたか? 3)店内の照明はどうでしたか? 4)座席まわりのつくりはどうでしたか? 5)座席まわりの照明はどうでしたか? 6)漫画や雑誌を読んだり、ゲームやネットをしたりした際に   集中してそれに取り組むことができましたか? 7)過ごした空間の環境音(周囲の雑音)はどうでしたか? 8)上記7)の質問でとてもうるさかった、少しうるさかった   と答えた方にお聞きします。その原因は何ですか? 9)過ごした空間の快適性(居心地の良さ)はどうでしたか? 10)今日過ごした複合カフェに関して不満に思ったところはど   こですか? 11)今日過ごした複合カフェに関して満足に思ったところはど   こですか? 12)空間的やサービス的にもっとこうした方がいいと思うこと   (改善点)があれば教えてください。 13)本日複合カフェで過ごした 3 時間の満足度を教えてくださ   い。 14)今後また複合カフェ(場所に限らず)を利用したいとおも   いますか?  なおアンケートの記入に関しては、被験者に、調査シート記 入等の複合カフェを享受するためには必要のない動作体験は考 えから外してもらうよう要求した。

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3-2-4 空間把握特性に関する調査  被験者全員に、複合カフェ A 店での利用実験から 2 週間後、 店内の経路をどのくらい把握しているかを調べるために、店内 のイメージマップを書かせた。  その後、被験者全員が書いたイメージマップと実際の店内 マップとを比べ、その出来の良い順に 1 番から 20 番まで順位 をつけた。この順位と、行動調査、経路調査から得られた空間 把握に影響していると考えられるいくつかの要因(合計歩数や 出歩いた総時間など)に順位をつけたものを、スピアマンの順 位相関係数の式に代入し、その相関を求めた。  被験者 20 人のうち 3 人は過去この A 店に複数回行ったこと があったため、初めてこの店舗に利用した残りの 17 名と比べ るとイメージマップの出来に差があらわれた。本調査では利用 者が初めて店舗を利用したときの空間把握特性を考えているた め、相関を求める際、この 3 人の順位はデータから省くものと した。

スピアマンの順位相関係数  統計学において、順位データから求められる相関の指標。 チャールズ・スピアマンによって提唱され、ふつうρと書かれ る。  基本的には2つの要因の相関を求める際の計算手法の一つと して用いられる。計算のやり方としては、 まず2つの要因の各々 のデータを順位に変換し、各ペアにおける 2 つの変数の順位の 差 D を計算する。ρは以下、

の式で求められる。 ここで、D =「対応する X と Y の値の順位の差」、N =「値の ペアの数」である。 ρは -1 から 1 の範囲で求められ、1 に近づくほどこの2つの要 因に相関はあるとしている。

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

3 ー 3 仮説

複合カフェ内においては、生理現象あるいは換本行動に伴う 「出歩き行為」により、店内をくまなく移動している利用者ほ ど店内構造の把握率が高い。

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

結果と考察 Results & Considerations

four

4 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 35


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

4 ー 1 行動調査

・利用者の目的の違いにより、複合カフェ内での行動も大きく かわることが見て取れる(図 4-1-1) 。 ・漫画を読む平均時間が 101.6 分、漫画を取りに行った平均回 数が 2.2 回から、複合カフェにおいて漫画を読む人は約 46 分 おきに一度漫画を取りに行っている(図 4-1-2)。 ・ドリンクを取りにいった平均回数は利用者全体で 2.9 回、約 1 時間に一回取りにいくペース。フリードリンクを採用してい るのでもっと回数が多いかと思っていたが、そうでもなかった。 実際フリードリンクののコストはそれほどかからないのだろう (図 4-1-2)。 ・出歩いた総時間は平均約 23 分。3 時間複合カフェの中にいて、 その約 7 分の 1 から 8 分の 1 動いていることがわかった(図 4-1-2)。 ・一番歩いている人で 935 歩、歩いていない人で 194 歩と、行 動の違いによって、複合カフェ内での歩数も大きく変わること がわかった。熟練者にくらべ、初心者のほうが慣れていないせ いか多く歩いている(図 4-1-2) 。

初心者 個室席 Bb_3 Bb_4

Bb_1 Bb_2 ドリンクを取る 回数

Bb_5

熟練者

Bo_1

Bb_2

オープン席 Bb_3 Bb_4

Bb_5

Eb_1

個室席 Eb_3 Eb_4

Eb_2

Eb_5

Eo_1

Eo_2

オープン席 Eo_3 Eo_4

Eo_5

単位

6.5 2

3 2

0 0

8 3

2.5 2

7 4

5 4

5 2

9 6

5.5 3

9 4

6 2

3.5 3

2.5 2

2 2

3 2

9.5 5

5 3

2.5 3

3 3

分 回

25

22

24

3

5.5

8

7

0

9

1.5

0

11

9

14

11

12.5

9.5

9

3

10

回数 雑誌を取る

4 0

3 0

5 1

1 2

1 5.5

1 0

3 0

0 10

2 0

1 0

0 0

1 0

2 0

2 0

3 0

2 5

5 0

3 0

3 1

4 0

回 分

回数

0

0

1

1

1

0

0

4

0

0

0

0

0

0

0

2

0

0

1

0

ゲームを取る 回数

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 1

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

0 0 0

分 回 分

0 0 145.5

0 0 54

0 0 117

0 0 89

0 0 137

0 0 163

0 0 79

0 0 0

0 7 69

0 0 64.5

0 0 0

0 9 105

0 0 82.5

0 0 157.5

0 11 162

0 0 134

0 0 160.5

0 0 149

0 9 122.5

0 0 88

回 分 分

マンガを取る

DVDを取る 回数 フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む

0

0

0

61

0

0

0

55

0

0

20

0

0

0

0

22.5

0

0

0

0

ゲームをやる

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

DVDを見る

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

22

0

0

0

0

0

0

0

0

ネットを見る お手洗いにいく

0 3

100 1

30 3

0 10.5

0 4.5

0 2

70 12

79 4

84 5

0 9

145 6

31 6

75 11

0 9

0 5

0 2

0 5.5

7 3

2 4

9 1

分 分

回数 シャワーを浴びる 仮眠を取る

1

1

1

4

1

1

2

2

2

3

1

2

4

3

2

1

3

1

1

1

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 31

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

0 0

分 分

0 0 533

0 2 768

0 0 512

0 0 824

0 30 329

0 0 651

0 3 582

0 11 711

0 3 935

93 6 478

0 0 194

0 4 430

0 3 898

0 0 707

0 0 498

0 2 397

0 0 634

0 4 451

0 4 370

64 2 606

分 分 歩

作業をする その他 歩数

図 4-1-1 複合カフェ内での利用者の行動 (1)

漫画を読んだ平均時間 漫画を取りにいった平均回数 ドリンクを取りにいった平均回数 お手洗いにいった平均回数 出歩いた総時間平均 合計歩数平均

初心者個室席 初心者オープン席 108.5 75.1 2.8 1.4 1.8 3.8 1.6 2 28.6 23.8 593.2 671.4

初心者平均 91.8分 2.1回 2.8回 1.8回 26.2分 632.3歩

熟練者個室席 熟練者オープン席 101.4 130.8 1.6 3.4 2.6 3.2 2.6 2.4 21.2 19.3 545.4 491.6

熟練者平均 116.1分 2.5回 2.9回 2.5回 20.25分 518.5歩

全体平均 101.6分 2.2回 2.9回 2.2回 23.2分 575.4歩

図 4-1-2 複合カフェ内での利用者の行動 (2)

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

4 ー 2 経路調査

・被験者全 20 人中 18 人が下図の黒線部分を歩いていた(図 4-2-1) 。 ・初心者、熟練者に関係なく、複合カフェを 3 時間利用した場合、 利用者は目的を達成するために、店内をある程度隅々まで歩い ているといえる。 ・歩行距離の合計は一人当たり平均約 323m であり、席を立っ て移動した平均回数 6 回で割ってあげた1動作あたり平均歩行 距離は約 55m であった(図 4-2-2)。

ド リ ン ク

カ ウ ン タ ー

EV

EV 男子WC

女子WC シャワー ルーム

図 4-2-1 複合カフェでの行動経路 (黒線の部分を 9 割の人が歩いた)

初心者 熟練者 個室席 オープン席 個室席 オープン席 Bb_1 Bb_2 Bb_3 Bb_4 Bb_5 Bo_1 Bb_2 Bb_3 Bb_4 Bb_5 Eb_1 Eb_2 Eb_3 Eb_4 Eb_5 Eo_1 Eo_2 Eo_3 Eo_4 Eo_5 歩行距離合計 425110 206275 445160 402390 129400 291000 402821 227731 340724 309900 83520 304185 438433 360561 383715 421400 512120 195155 258500 322054 出歩いた回数 2 2 0 3 2 4 4 2 6 3 4 2 3 2 2 2 5 3 3 3 1回あたりの歩行距離 60730 68758 63594 36581 64700 41571 80564 32533 42591 38738 27840 50698 62633 72112 76743 70233 64015 48789 51700 53676

平均 323008 6 55440

単位 mm 回 mm

図 4-2-2 複合カフェ内での利用者の歩行距離

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

4 ー 3 アンケート調査

退屈度 初心者–熟練者 (n=10) 10 9 8 7 6 初心者

5

熟練者

4 3 2

・初心者の方が時間を長く感じ、熟練者の方が時間を短く感じ

1 0 とても長く感じた

やや長く感じた

やや短く感じた

とても短く感じた

る傾向がある(図 4-3-1)。

図 4-3-1 複合カフェにおける時間の感じかた

店内経路探索(n=20) まぁまぁ分かりやすい 10%

とても分かりやすい 0%

とても分かりづらい 30%

少し分かりづらい 60% 図 4-3-2 複合カフェにおける経路探索

店内照明度(n=20)

今より明るくして欲しい

今より暗くして欲しい 0%

25%

・この店舗に関しては、被験者全体の 90%が「経路がわかりづ らい」と答えていたが、店内の照明に関しては全体の 75%の人 が今のままでいいと答えている。このことから、店内の照明の 今のままでいい 75%

暗さが経路のわかりづらさにつながっているわけではない(図 4-3-2、図 4-3-3)。

図 4-3-3 複合カフェにおける店内照明度の感じかた

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

座席利便性 個室席–オープン席 (n=10) 7

6

5

4 個室席 オープン席

3

2

・座席まわりの利便性に関しては、個室席の方がオープン席よ

1

り便利であるという結果になった(図 4-3-4) 。

0 とても不便である

少し不便である

まぁまぁ便利である

とても便利である

図 4-3-4 複合カフェにおける座席利便性

集中度 個室席−オープン席 6

5

4

個室席

3

オープン席

2

1

0 全然集中できなかった

あまり集中できなかった

やや集中できた

とても集中できた

・集中度および空間の環境音のうるささに関しては、個室席の

図 4-3-5 複合カフェにおける集中度

方がオープン席より集中でき、且つ静かだという結果になった

環境音 個室席–オープン席 (n=10) 6

(図 4-3-5、図 4-3-6)。雑音の原因としては店員のしゃべり声、

5

お客のしゃべり声、通路を歩く足音の順番で回答が多かった。 これらが集中力をそらす原因にもなっている。

4

個室席

3

オープン席

2

・オープン席が入り口カウンターのすぐ隣ということで、被験 者 10 人中、9人が店員のしゃべり声がうるさいと感じる結果 になった。オープン席はパーティションで仕切られていないこ

1

とから、周囲の声が耳に入りやすい。この結果からオープン席 は入り口付近の雑音の多い位置に設置すべきではないというこ

0 とてもうるさかった

少しうるさかった

まぁまぁ静かだった

とても静かだった

とがわかった。

図 4-3-6 複合カフェにおける環境音

快適性 個室席−オープン席 6

5

4

個室席

3

オープン席

2

1

・個室席の方がオープン席よりも快適性が高い(図 4-3-7) 。

0 とても悪かった

あまり良くなかった

まぁまぁ良かった

とても良かった

図 4-3-2 複合カフェにおける快適性

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

4 ー 4 空間把握特性に関する調査

・黒線部分を歩いた 18 人に比べ、あまり歩いていない 2 人 はイメージマップもあまり描けていなく、順位も 19 位と 20 位 であった。 ・店内での歩いた歩数の合計と歩行距離の合計、出歩いた総時 間、1 回あたりの歩行距離を数値が大きい順に順位をつけたも のと、イメージマップの順位をスピアマンの順位相関係数によ り相関を求めた(図 4-4-1)。その結果、 歩行距離の合計とイメー ジマップの出来に一番相関があることがわかった。 (相関係数 0.50) ・店内を歩けば歩くほど(歩行距離が多ければ多いほど)、イメー ジマップがうまく描けており、逆に店内を歩かなかった人はイ メージマップを描けていなかったことから、「生理現象あるい は換本行動に伴う『出歩き行為』により、店内をくまなく移動 している利用者ほど店内構造の把握率が高い」という仮説は立 証された。

被験者 イメージマップ順位

Eb_3 Bb_4 Eo_2 Bb_1 Eb_5 Eb_2 Eo_4 Eo_3 Bb_2 Eb_4 Bb_3 Bb_3 Bb_4 Bb_2 Bo_1 Bb_5 Eb_1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 順位相関係数

歩数合計 D二乗値

2 1

1 1

8 25

10 36

12 49

14 64

15 64

13 25

4 25

6 16

11 0

5 49

3 100

9 25

7 64

16 0

17 0

0.33

歩行距離合計 D二乗値

3 4

9 49

1 4

4 0

7 4

10 16

12 25

15 49

14 25

8 4

2 81

13 1

6 49

5 81

11 16

16 0

17 0

0.50

出歩いた総時間 D二乗値

10 81

6 16

11 64

2 12.5 16 72.3

5 16

15 49

9 4

7 4

10 0

1 3.5 121 56.3

3.5 110

7 12.5 64 0.25

14 4

16 1

0.17

1回あたりの歩行距離 D二乗値

9 64

12 100

6 9

10 1

9 1

11 16

4 1

3 49

5 121

16 1

0.25

8 4

2 4

7 25

15 16

14 0

1 196

13 0

図 4-4-1 イメージマップ順位とその他の要因の順位の相関比較

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

まとめ Conclusion

five

5 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 41


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

5 ー 1 まとめ

5-1-1 まとめ  今回複合カフェにおける利用者の行動を調べた結果、複合カ フェにおける利用者の行動はその利用目的によって大きく変わ り、規則性もほとんどないこと、利用者は予想以上に店内をく まなく歩いていたことということがわかった。  ここで今回実験を行った複合カフェ A 店の店内レイアウトに 着目すると、この店舗ではフリードリンクの自動販売機、フー ドコーナー、お手洗いなどのサービスの場所が、どれも集中し てなく分散されていた。そのため利用者は一つ一つのサービス を享受するために店内の大部分を歩くことになった(歩かされ た)といってよい。このことが、利用者が店内をくまなく歩い た原因になったと考えられる。  そして、この歩かされたことが、結果として利用者の歩行距 離を稼ぐことになり、それが影響して、店内の把握につながっ ている。  このことから、サービスの場所(お手洗いやフリードリンク の自動販売機、フードコーナーの場所など)をあえてフロア全 体に分散させるようなレイアウト計画にすることで、利用者に 店内をわざと歩かせ、経路を把握させることができると考えら れる。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 42


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

5-1-2 避難可能性の検証  5-1-1 のまとめをもとに、本研究で実験を行った複合カフェ A 店(図 5-0-1)において、利用者が空間を把握していること を前提に SimTread を用いて、火災が起きたことを想定して避 難シミュレーションを行った。  SimTread とは、設計実務における施設の規模設定や避難計 画に適用することを目的として構築された、個人単位で行動を 判断あるいは決定する人間を歩行させる、オブジェクト指向歩 行者シミュレーションモデルである。  今回、シミュレーションを行った避難状況は全部で 4 パター ンある。なお、すべてのパターンにおいて、エレベータは使え ないものとし、利用者は全員同時に避難を始めるものとする。 また、複合カフェ内は満室であることを前提としている。 パターン 1: 通常階段と非常階段の両方とも使えた場合。 パターン 2: 非常階段へいくための非常口が開かず(ドアノブについたプラ スチックがとれなかった)、通常階段のみ使えた場合。 パターン 3: 通常階段を降りたところの鉄柵が開かず、非常階段のみを使え た場合。 パターン 4: 通常階段、非常階段共に使えるが、本棚に火がついてしまい、 左上壁側の本にすべて燃え移り、周囲の通路が通れなくなった 場合。

非常口

通常口

図 5-0-1 複合カフェ A 店・店内マップ

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 43


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

パターン 1: 通常階段と非常階段の両方とも使えた場合(図 5-1-1)。 ・避難開始から 10 秒の時点で、トイレ前の通路と雑誌棚前、そ してカウンター付近に混雑がみられた(図 5-1-2)。 ・トイレ前の通路と雑誌棚前の混雑はその後すぐに解消したが、 カウンター付近の混雑は 20 秒の時点でもまだ解消されず(図 図 5-1-1 避難開始 00 秒

5-1-3) 、25 秒の時点でようやく解消されてきた(図 5-1-4) 。 ・パターン 1 の最終的な避難時間は 32 秒であった(図 5-1-5) 。

図 5-1-2 避難開始 10 秒

図 5-1-3 避難開始 20 秒

図 5-1-4 避難開始 25 秒

図 5-1-5 避難開始 32 秒

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

パターン 2: 非常階段へいくための非常口が開かず(ドアノブについたプ ラスチックがとれなかった) 、通常階段のみ使えた場合(図 5-2-1) 。 ・避難開始から 10 秒の時点で、トイレ前の通路と雑誌棚横の 通路、そしてカウンター付近に混雑がみられた(図 5-2-2)。 図 5-2-1 避難開始 00 秒

・雑誌棚横の通路、そしてカウンター付近の混雑は 20 秒の時 点でもまだ続いていた(図 5-2-3)。 ・雑誌棚横の通路の混雑は徐々に解消されてきたが、カウンター 付近の混雑はその後も続き、40 秒の時点でようやく解消され てきた(図 5-2-4) 。 。 ・パターン 2 の最終的な避難時間は 57 秒であった(図 5-2-5)

図 5-2-2 避難開始 10 秒

図 5-2-3 避難開始 20 秒

図 5-2-4 避難開始 40 秒

図 5-2-5 避難開始 57 秒

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

パターン 3: 通常階段を降りたところの鉄柵が開かず、非常階段のみを使え た場合(図 5-3-1)。 ・避難開始から 10 秒の時点で、トイレ前の通路と雑誌棚横の 通路、壁際の T 字路のところに混雑がみられた(図 5-3-2) 。 ・T 字路の混雑はその後すぐになくなったが、雑誌棚横の通路 図 5-3-1 避難開始 00 秒

は 30 秒の時点でもまだ混雑が続いていた(図 5-3-3) 。 ・その後 40 秒台、50 秒台はわりとスムーズに避難できた(図 5-3-4) 。 (61 秒)であった (図 ・パターン 3 の最終的な避難時間は 1 分 1 秒 5-3-5)。

図 5-3-2 避難開始 10 秒

図 5-3-3 避難開始 30 秒

図 5-3-4 避難開始 50 秒

図 5-3-5 避難開始 61 秒

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

パターン 4: 通常階段、非常階段共に使えるが、本棚に火がついてしまい、 左上の壁側の本にすべて燃え移り、周囲の通路が通れなくなっ た場合(図 5-4-1)。 ・左上の壁際の通路が通れなくなったことより、避難開始直後 から 26 名がその場から動けなくなった(図 5-4-1) 。 図 5-4-1 避難開始 00 秒

・避難開始から 10 秒の時点で、トイレ前の通路とカウンター 付近に混雑がみられた(図 5-4-2) 。 ・カウンター付近の混雑は 15 秒の時点でピークとなり、その 後徐々に解消された(図 5-4-3、図 5-4-4)。 ・パターン 4 の最終的な避難時間は 29 秒であったが、85 名中 26 名が避難できないといった結果になった(図 5-4-5)。

図 5-4-2 避難開始 10 秒

図 5-4-3 避難開始 15 秒

図 5-4-4 避難開始 25 秒

図 5-4-5 避難開始 29 秒

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 47


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

考察  パターン 1 からパターン 4 までの 4 つの状況下で避難シミュ レーションを行ったが、バターン 1、2、3 の結果からみると、 複合カフェの空間を把握した利用者は、避難口が一つの時は約 1 分、避難口が二つのときは約 30 秒という比較的短い時間で 避難口までたどり着くことが出来た。時間だけ見るなら避難可 能性は十分にあると言える。  しかし、実際に火災が起きるとパターン 4 のように本が燃え 上がり、通路が通れなくなる場合が考えられ、その場合だと犠 牲者を出すことになってしまう。また、今回のシミュレーショ ンでは利用者が同時に避難を開始したが、実際は利用者がゲー ムや DVD を見るためにイヤホンをしていることが多く、集中 していて火災発生に気付かない恐れがある。これらは今後対策 をとらなくてはならない大事な事項である。      複合カフェ A 店は都内の複合カフェでも経路が分かりづらい 方であり、迷いやすい。実際に今回の被験者も9割の人がアン ケートで経路が分かりづらいと答えている。しかし、実際に描 いたイメージマップは経路を認識している人が多く、これは店 内をある程度把握した結果だと言える。  仮に火災が起きた際、店内にいる利用者の誘導や利用者自身 の行動のためにも、店内を把握させる(する)ことは極めて重 要なことである。  複合カフェ内のサービスの場所をあえて離し、それを利用す る過程で利用者に店内を把握させるレイアウト計画は、避難可 能性を増すことにもつながるため、複合カフェの建築計画の段 階で導入すべきだと私は考える。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 48


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

5 ー 2 展望

建築の論文で、複合カフェに関する研究は本論文がはじめて である。この論文が複合カフェ研究の第一歩と言える。  本研究では、私の実験では主に朝から夜にかけての複合カ フェの利用者の行動特性を調べただけだが、深夜利用者の行動 特性に関しても調べる必要がある。また利用者属性も今回は学 生だけであったが、その他の属性(サラリーマンや主婦、家族 連れなど)に関しても調べる価値はあるだろう。  また、本研究では簡単なシミュレーションを行っただけだが、 いろいろなパラメータをいじり、より詳しく複合カフェの避難 シミュレーションをやってみるのもおもしろいだろう。    複合カフェは今後ともそのサービス、形態を変えていくこと が予想され、常にそれを追い続けていく必要がある。複合カフェ に関する研究が継続して行われることを期待したい。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 49


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

Gratitude

謝辞 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 50


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

謝辞    本研究を書くにあたりお世話になった先生や先輩、調査にご

協力して下さった皆様、同期の友人に感謝の言葉を述べたいと 思います。  卒論全体を指導して頂いた渡辺先生。本論文の中間発表の際、 先生にかけていただいた「やってみたら」というお言葉が、ど れほど私にとって心強い支えになったことか。本当にお世話に なりました。  情報化建築ゼミのボスであり、私が研究室内で最も尊敬する 遠田さん。もう本当に感謝しても感謝してもしきれません。四 月から幾度となく路線変更してきた私の卒業論文に最後までつ き合ってくれ、常に最善のアドバイスをしていただいたことで、 この論文が出来上がったといっても過言ではないです。本当に ありがとうございました。  ゼミの先輩であり、そして最高の先輩である角方さん。漫画 喫茶をテームに論文を書くことが決まったあとは、本当にお世 話になりました。角方さんからのいろいろなバックアップなし には間違いなくこの論文は完成しませんでした。本当にありが とうございました。  そして、発表の際にいつも的確な指摘をしてくださった長澤 さん、林田さん。研究室内でも大変お世話になりました。お二 人の指摘がなかったら、今頃ぐだぐだな論文になっていたこと でしょう。本当に感謝しています。  アンケートの統計をエクセルで作っていただいた引田さん。 とても面倒なことをさせてしまって申し訳ありません。引田さ んが作っていただいたものが一番役に立っています。  いつも研究室内で私の話相手をしてくださった菊池弘祐さ ん、あなたがいたから毎日研究室で作業するのも苦ではありま せんでした。  また、実験にご協力してくださった森村さん、京尾くん、松 島くん、青羽くん、松本さん、本田さん、増田くん、広岡くん、 浅野さん、大河内さん、杉浦くん、松田くん、光谷くん、金子くん、 鳥羽くん、そして情報化建築ゼミの小原さん、星くん、渡辺く ん、 、杉村くん、横尾さん、菊池徹さん、大塚さん、本当にい ろいろとお世話になりました。どうもありがとうございます。  渡辺仁史研究室で卒業論文が書けて本当によかったです!

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

Bibliography

参考文献 早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 52


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

書籍    田中千一:インターネット・まんが喫茶を発明したのは私で

す、星雲社、2003、11

新聞    朝日新聞

ウェブ  JCCA- 日本複合カフェ協会:http://www.jcca.ne.jp/  ネットカフェナビゲーション:http://www.cafeman.jp/  ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/  ウィキニュース:http://ja.wikinews.org/wiki/  asahi.com:http://www.asahi.com/  YOMIURI ONLINE-:http://www.yomiuri.co.jp/index.htm  アプレシオ:http://www.aprecio.co.jp/  http://www.bo-sai.co.jp/sinjyukukasai.htm

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

Data Base

Chapter Two

資料編

第 二部

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

調査シート

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

6

9

12

15

18

21

24

30分

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30

33

36

39

42

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48

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1時間

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60

経路

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

行動

ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

6

9

12

15

18

21

1時間30分

24

27

30

33

36

39

42

45

48

51

54

2時間

57

60

経路

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

行動

ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

6

9

12

15

18

21

2時間30分

24

27

30

33

36

39

42

45

48

51

54

3時間

57

60

経路

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 59


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

アンケート 本日は実験にご協力していただき誠にありがとうございました。 最後に簡単なアンケートにご協力お願いします。 尚、調査シート記入などのだるい動作はこの時だけ忘れていただければ幸いです。 本日3時間過ごした複合カフェに関していくつか質問します。 1)複合カフェでの3時間、長く感じましたか?短く感じましたか? 1、とても長く感じた 2、やや長く感じた 3、やや短く感じた 4、とても短く感じた 2)店内の経路のつくりはどうでしたか? 1、とても分かりづらい 2、少し分かりづらい 3、まぁまぁ分かりやすい 4、とても分かりやすい 3)店内の照明にはどうでしたか? 1、今より暗くして欲しい 2、今のままでいい 3、今より明るくして欲しい 4)座席まわりのつくりはどうでしたか? 1、とても不便である 2、少し不便である 3、まぁまぁ便利である 4、とても便利である 5)座席まわりの照明はどうでしたか? 1、今より暗くして欲しい 2、今のままでいい 3、今より明るくして欲しい 6)漫画や雑誌を読んだり、ゲームやネットをしたりした際に集中してそれに取り組むことができましたか? 1、全然集中できなかった 2、あまり集中できなかった 3、やや集中できた 4、とても集中できた 7)過ごした空間の環境音(周囲の雑音など)はどうでしたか? 1、とてもうるさかった 2、少しうるさかった 3、まぁまぁ静かだった 4、とても静かだった 8)上記7)の質問で1番、2番を答えた方にお聞きします。その原因は何ですか?(複数回答可) 1、店員のしゃべり声 2、お客のしゃべり声 3、通路を歩く足音 4、PCからでる音 5、自販機などの機材の音 6、その他 9)過ごした空間の快適性(居心地の良さ)はどうでしたか? 1、とても悪かった 2、あまり良くなかった 3、まぁまぁ良かった 4、とても良かった 10)今日過ごした複合カフェに関して不満に思ったところはどこですか?(複数回答可) 1、目的のものがない 2、まわりの雑音がうるさい 3、店内の照明が暗い 4、座席まわりの照明が暗い 5、ネット環境が不満 6、座席まわりが狭い 7、換気(空気)が悪い 8、くさい臭いがする 9、漫画の場所が分かりづらい 10、漫画が汚い 11、トイレの場所が分かりづらい 12、トイレが汚い 13、ドリンクの種類が少ない 14、ドリンクがまずい 15、フードの種類が少ない 16、フードがまずい 17、値段が高い 18、その他 11)今日過ごした複合カフェに関して満足に思ったところはどこですか?(複数回答可) 1、一人になれる空間 2、静かな空間 3、シートの座り心地 4、目的を堪能できた 5、集中することができた 6、落ち着くことができた 7、やすらぎを得ることができた 8、フリードリンク 9、ドリンクがおいしかった 10、フードがおいしかった 11、値段が安い 12、その他 12)空間的やサービス的にもっとこうした方がいいと思うこと(改善点)があれば教えてください。

13)本日複合カフェで過ごした3時間の満足度を教えてください。 1、満足しなかった 2、あまり満足しなかった 3、まぁまぁ満足した 4、とても満足した 14)今後また複合カフェ(場所に限らず)を利用したいとおもいますか? 1、たぶん利用することはない 2、目的があれば利用するかもしれない 3、暇な時はぜひ利用したい ご協力ありがとうございました。

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 60


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

行動履歴 初心者 個室席

被験者 Bb_1 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

3

6

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3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

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3

6

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3

6

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2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

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3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

被験者 Bb_2 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bb_3 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bb_4 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bb_5 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 61


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

初心者 オープン席

被験者 Bo_1 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

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3

6

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3

6

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2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

3

6

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3

6

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3

6

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3

6

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3

6

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被験者 Bo_2 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bo_3 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bo_4 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Bo_5 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 62


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

熟練者 個室席

被験者 Eb_1 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

被験者 Eb_2 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eb_3 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eb_4 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eb_5 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 63


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

熟練者 オープン席

被験者 Eo_1 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

30分

1時間

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

1時間30分

2時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

2時間30分

3時間

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

3

6

9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60

被験者 Eo_2 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eo_3 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eo_4 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

被験者 Eo_5 ドリンクを取る フードを取る マンガを取る 雑誌を取る ゲームを取る DVDを取る フードを食べる マンガを読む 雑誌を読む ゲームをやる DVDを見る ネットを見る お手洗いにいく シャワーを浴びる 仮眠をとる その他

3

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 64


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

アンケート結果

Bb_1 Bb_2 Bb_3 Bb_4 Bb_5 Bo_1 Bb_2 Bb_3 Bb_4 Bb_5 長短 2 1 2 3 3 3 2 2 2 2 店内ー経路探索 1 1 2 1 2 1 2 2 3 2 店内ー照明 2 2 3 2 2 2 3 2 2 2 座席まわりー利便性 2 3 2 4 2 2 1 1 2 2 座席まわりー照明 2 2 2 2 2 2 2 3 2 2 集中度 4 3 3 4 4 2 2 1 3 2 騒音 4 2 3 3 3 2 1 1 2 1 騒音要因 3 1 1 1 1 1 6 3 3 3 5 9 快適性 3 2 2 4 2 1 2 1 2 2 10 不満点 1 9 6 9 6 7 9 2 6 6 6 11 7 11 11 8 13 8 7 12 9 9 18 9 14 18 8 18 11 11 9 18 11 1 2 3 4 5 6 7 8

11 満足点

3

3 6

1 5

13 満足度 14 次回利用するか?

3 2

3 1

2 2

1 2 3 4 5 6 7 8

Eb_1 長短 店内ー経路探索 店内ー照明 座席まわりー利便性 座席まわりー照明 集中度 騒音 騒音要因

Eb_2

Eb_3

1 5 6 7 4 2

Eb_4

Eb_5

3 2 2 3 3 4 2 6

3 2 3 3 2 4 3

3 1 3 3 3 3 2 1 2

3 1 2 3 2 3 3

9 快適性 10 不満点

3 2 9 11 18

3 1 6 9 11

3 2 3 9

3 11

11 満足点

3 5 12

1 3 5

3 2

3 2

1 3 4 7 3 3

13 満足度 14 次回利用するか?

2 4 6 11 4 3

4

12

11

8 11

5

3 2

3 2

2 1

1 2

3 2

Eo_1

Eo_2

3 2 2 3 2 3 2 2 3 5 4 2 11 15

3 2 2 2 3 2 1 1 2 3 3 2 4 11 15 18

3 4

4 6 7

3 3

4 3

Eo_3

Eo_4

Eo_5

3 3 2 2 2 4 2 1 2

3 2 3 2 2 3 2 1

1 2 2 4 2 2 3

3 2 2 3 3 3 2 1 3

3 6 11

2 9 18

2 6 14 18

3 1 2 4 11

3 4 7

4

4

3

7 9

3 3

3 3

3 2

2 3

3 3

早稲田大学 理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2006 年度 卒業論文 65


「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

イメージマップ

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

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「複合カフェにおける利用者の行動特性と避難可能性に関する研究」

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