視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究- プロフィールからみた位置把握のための音情報の違い -

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視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 - プロフィールからみた位置把握のための音情報の違い A Study on Sound Information for Visually Defected People -Differnce in Using Sound for Awareness of Where They Are Viewed in Their Profiles-

早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 1g02d099-1 高村 尚吾

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はじめに -in the beginning-

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

◆はじめに 私は赤ん坊の頃から定期的にある盲目の鍼灸師の方に診てもらっ ている。外出時に道がわからなくなったり、自分がどこにいるかわ からなくなることがあるという話がふと頭に浮かび、視覚障害者の ためになることをできればと考えるようになった。 そんな動機から視覚障害者について調べ、実際に視覚障害者の方 にお会いし、話を伺った。そうした中で視覚からの情報が乏しい人 たちにとって、音情報が大きな手がかりとなっていることがわかり、 さらには人によって歩行に必要とする情報が異なるということが見 えてきた。そして、人のどのような部分によって欲しい情報が異な るのかを知りたいということからこの研究は始まった。

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目次 -contents-

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◆目次 はじめに 2 目次 3

第1章 序論 5 1-1 研究目的 6 1-2 用語説明 7 1-3 研究背景 8 1-4 研究概要 17

第2章 事前調査 18

2-1 視覚障害者へのヒアリング 19

第3章 研究方法 25 3-1 調査方法 26 3-1-1 プロフィールアンケート調査 3-1-2 手がかりとする音情報調査 3-1-3 手がかりとする音情報の重要度調査 3-2 分析方法 29 3-2-1 手がかりとする音情報の分類 3-2-2 歩行の手がかりとする音情報の重要度の標準化 3-2-3 プロフィールによる手がかりとする音情報の重要度評価 3-2-4 場所の分類による手がかりとする音情報の重要度評価

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◆目次 第4章 結果・考察 31 4-1 調査結果 32 4-1-1 プロフィールアンケート調査結果 4-1-2 手がかりとする音調査結果 4-2 結果考察 34 4-2-1 プロフィールから見た考察 4-2-2 歩行空間から見た考察

第5章 結論 42 5-1 まとめ 43 5-2 展望 44 5-3 今後の課題 45 おわりに 46 参考文献・参考資料 48 資料編 50

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第1章 序論 -prologue第2章 事前調査 -a feasibility study第3章 研究方法 -a way of study第4章 結果・考察 -results・consideration第5章 結論 -a conclusion-

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1-1 研究目的 本研究では、歩きなれた空間において、視覚障害者のプロフィー ル *1 によって、歩行の手がかりとする音情報の違いを明らかにし、 視覚障害者のパーソナルナビゲーションシステムの開発や歩行空間 計画の指針とすることを目的とする。

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1-2 用語説明 *1 プロフィール 視覚障害者の属性。本研究においては視覚障害者の性別、年齢、受 障時期、視力、歩行訓練歴、外出頻度、点字ブロックの使用頻度の 7種類を。

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1-3 研究背景 ◆視覚障害者に関して 視覚障害者とは、何らかの原因により視機能に障害があり、回復 が不可能または著しく困難であって、障害が永続的または長期にわ たり続く人のことを言う。 視覚障害は大別すると「視力障害」「視野障害」「色覚障害」の 3 つに分けることができるが、 「色覚障害」は、身体障害者となる視 覚障害の範囲を視力と視野についての障害に限定しているため、身 体障害者福祉法による障害者には含まれていない。 また、視力障害は「全盲」「弱視」の二つに大別でき、視覚障害 者全体の約 8 割が弱視者で、残りが全盲とその他だと言われている。 全盲は、文字通りに全く見えず、明暗さえ感じることができない。 弱視は、基本的にめがねやコンタクトレンズなどで視力を補正して も両眼の視力の和が 0.3 以上得られない状態である。 弱視は、単に 視力が低いだけではなく、明順応や暗順応の障害または、視野狭窄 などの複数の障害を併せ持つ人がおり、見え方はそれぞれの人に よって異なる。また、強度の弱視になると「光覚」 「手動弁」 「指数弁」 と呼ばれる見え方になる。光覚は明暗を判別することができ、手動 弁は目の前の手などが動いているか止まっているか判別でき、指数 弁は目の前の指の数などが判別できる見え方である。

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一方で、視野障害は、 「狭窄」「暗点」の 2 つに大別することがで きる。狭窄は、中心部を残して周辺部が見えない同心狭窄、全体的 に狭くなる求心性視野狭窄、 視野の片側が見えない半盲などがある。 暗点は、視野の中に島のように見えない部分ができるもので、これ が視野の中心部に生じた中心暗点 ( 中心が見えない ) は視機能に重 大な影響を与える。 ちなみに身体障害者福祉法によって定められている視覚障害の等 級は以下の表のようになっている。 ( ここでの視力は矯正視力であ り、両眼の視力の和が基準となっている。) 表 1-1 身体障害者福祉法による視覚障害等級表

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◆身体障害者の現状 平成 13 年 6 月に厚生労働省が行った障害者実態調査によると、 在宅の 18 歳以上の身体障害者数は全国で 3,245,000 人 ( 推計 ) おり、 平成 8 年 11 月の調査からは 10.6% 増加している。 視覚障害者総数

平成16年

平成8年

平成3年

2400

2500

2600

2700

2800

2900

3000

3100

3200

3300

(千人)

図 1-1 身体障害者総数の推

障害の種類別では、平成 8 年 11 月の調査と比較すると、視覚障害、 聴覚・言語障害はほぼ横ばいであり、肢体不自由は 5.6% 増、内部 障害は 36.7% 増となっている。 視覚障害 9%

聴覚言語障害 11%

肢体不自由 54%

内部障害 26%

図 1-2 視覚障害者別割合

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◆視覚障害者の現状 視覚障害者の総数は平成8年から平成 13 年に減っているが、年 齢階級別に視覚障害者数の構成比をみると、70 歳以上が 45.7% を占め、また、平成8年の調査と比較すると、60 歳以上の割合が 67.0% から 72.9% に増加しており、高齢化の傾向がうかがえる。 視覚障害者の人口比は、人口 1,000 人に対して 31.1 人で、前回に 比して 7.6% 増加している。また、年齢階級別にみた身体障害者の 出現率は高年齢になるほど高くなっている。 表 1-2 視覚障害者人口推移

表 1-3 年齢別視覚障害者別割

不詳 18-39 1% 5% 40-59 21%

6073%

図 1-3 年齢別視覚障害者別割

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重 複 障 害 に つ い て み る と、 最 も 重 い 1 級 が 重 複 障 害 者 全 体 の 50.3% を占め、1・2 級を合わせると 77.1% にのぼり、重度の障害 の割合が高いことがわかる。 1・2 級の重度視覚障害者の割合は 59.5% で、身体障害者全体の 45.1% を大きく上回っており、増加している。また、年齢階級別 にみた身体障害者の出現率は高年齢になるほど高くなっている。 6級 11% 5級 11%

1級 35%

1級 2級 3級

4級 9%

4級 5級 6級

3級 9%

2級 25%

図 1-4 等級別視覚障害者別割

18 才以上の在宅の視覚障害者 301,000 人のうち、「ほぼ毎日外出 している」と答えたのは 91,000 人 (30.2%)、「週に二・三回」は 80,000 人 (26.6%)、「月に二・三回」は 61,000 人 (20.3%) でした。 一方、過去一年間に「外出なし」と答えた人は 20,000 人 (6.6%)、 「年 に数回」が 40,000 人 (13.3%) もありました。 外出の頻度の「ほぼ毎日」の割合は、聴覚言語障害は 52.6%、内 部障害は 45.5%、肢体不自由は 37.4% で、他の障害者と比べて最 も低くなっています。 7%

3% 30%

13%

ほぼ毎日 週2,3回 月に2,3回 年に数回 過去一年間になし

20%

不明 27%

図 1-5 外出の状況

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◆盲導犬について 盲導犬とは、視覚障害者を安全に快適に誘導する犬のことである。 1957 年に国産第一号が誕生して以来、日本でも盲導犬の育成が続 けられている。 しかし、視覚障害者が 30 万人強いるのに対して、実際に実働で きる盲導犬の数は数千頭程度と非常に少ないのに加え、実働できる までの養育費などにコストがかかりすぎることが問題となってい る。 現在は盲導犬ロボットの開発が進められているが、その大きさや コスト面から実用化にはまだまだ時間がかかりそうである。

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◆歩行訓練について 視覚障害者に対するリハビリテーション。大きく分けて感覚訓練、 社会適応訓練、職業訓練の 3 つがある。その社会適応訓練の中に、 行動訓練というものがある。さらにその中に、歩行訓練と日常生活 動作訓練がある。 屋外の歩行訓練においては以下の五点から構成される。 1 技術 白杖あるいは盲導犬の適切な使用 2 地図的操作 目的地までのルートを心的地図を描きながら、地図に基づいて行 動する。 3 環境認知 環境からの情報を得て総合的に判断し、自分の位置の確認、行動 方法の決定をする。 4 行動方法 環境認知により決定された行動を行う上での白杖の操作や身体運 動を正しく行う。 5 援助依頼 必要に応じて援助を依頼する。 以上のことは、安全な単独歩行に不可欠な条件とされていて、晴 眼者は1以外の四つのことを無意識に行っている。これを、その人 の必要とする経路や範囲において、歩行訓練士と実践し、習得する ということが歩行訓練となっている。 しかし、多くの人はさまざまな理由で正規の歩行訓練を受けるこ とをしておらず、晴眼者の知り合いに付き添って経路を歩いてもら うなど、我流による訓練のみしか行っていないのが現状である。

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◆視覚障害者誘導用ブロックについて 視覚障害者誘導用ブロックとは、通称点字ブロックと呼ばれるも ので、1967 年に日本で開発され、現在では駅のホーム、屋外の歩 道など、さまざまな場所に設置されている。 視覚障害者誘導用ブロックには、線状の突起のついた方向を示す 誘導ブロックと、点状の突起のついた注意を喚起する警告ブロック の二種類がある。しかし、JIS による規格が曖昧であったために、様々 なデザインのものが作られており、区分けのつきにくいものが設置 されるという問題が起きている。 また、視覚障害障害者関係の施設のある周辺や公共施設などには 設置されているが、その他の場所では未設置のケースが多い。また、 設置されている場所においても、点字ブロックの設置方法やブロッ ク上に置かれた障害物などによって有効に役割を果たしていないと ころもある。

図 1-6 視覚障害者誘導用ブロッ

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◆本研究の位置づけ 視覚障害者に関する研究は多く、特に点字ブロックに関しては視 覚障害者が最もたよりにする情報のひとつとして、様々な研究がな されている。また、ある経路上において手がかりとする情報に関す る研究も様々されており、触覚情報にかかわる研究が多い。 しかし、手がかりとする情報はその場所の状況や人によってばら つきがあり、たよりとする音の内容やその重要性が異なる。しかし、 人による違いという切り口でたよりにする情報を研究しているもの はない。 そこで、本研究では視覚障害者が通い慣れた道において、どのよ うな音情報をたよりにしているか、また、その重要性が人のどのよ うな属性に影響しているのかということを研究する。 社会のユビキタス化が進む近年、音声情報はより重要性を増し、 どのような情報が必要なのか、また必要でないのかということを はっきりさせ、より個人に適切な情報を与えることが求めらている。

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1-4 研究概要 以下の流れで研究を行った。

ヒアリング調査

屋外歩行調査 プロフィールアンケート調査 手がかりとする音情報調査 手がかりとする音情報重要度評価

結果分析 手がかりとする音情報の分類 手がかりとする音情報の点数化 空間要素の抽出

考察 プロフィールからの考察 空間からの考察 図 1-7 研究フローチャート

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第1章 序論 -prologue第2章 事前調査 -a feasibility study第3章 研究方法 -a way of study第4章 結果・考察 -results・consideration第5章 結論 -a conclusion-

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2-1 視覚障害者へのヒアリング タカラトミーの職員の方で視覚障害者の方に、音についてヒアリ ングを行った。 実施日:2006 年 9 月25日 T さん ( 女性・先天性全盲 ) □歩いているとき、何を利用して曲がり角や自分の位置を知るのか ? 音を利用する事が多い。 よく利用する音から順に、 1 パチンコ屋の音 理由 : 音が大きい / 音が鳴り止まない ( これが重要 )/ 夜遅くまで鳴 っている ( これも重要 ) 2 自動ドアの音 理由 ; 鳴っている時間が多い / それぞれのドアの音に個性があって 識別しやすい 3 道の対岸の歩道の音 ( 反響音 / 風など ) 理由 : 音が鳴り止まない 他には、コンビニの入り口から漏れる音 / マンホールからする音 / 自動販売機のコンプレッサーの音 / 風鈴 / 曲がり角の向こう ( 曲 がる先の道 ) の音 など。 また、においもよく利用する。

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□盲人用信号機は利用しているか ? 周囲の音がうるさく利用しにくい。直前でないと気付かない。曲 がり角や信号は 1m 程度手前で気付けば十分。ただ必ず気付くよう に音が鳴ってほしい。 それに比べ、改札の音など、誘導のための音は遠くから聞こえるの がよい。 □地下鉄の駅を使うのは難しいか ? 反響音が大きいため、空間はわかりやすい。ただ一番問題なのは、 ホームなのか通路なのかがわかりづらく、ホーム転落の危険性があ ること。ホームにたどり着いた時に知らせるような工夫が欲しい。 最近では、「エキナカ」が発展し、そのにおいや空調などで空間が わかりやすい。具体的には、食べ物 / 包み紙 / 空調 / 本屋のにおい など。 ・音は、においに比べピンポイントな情報。 他、歩くときに手がかりにする音は、 ・風鈴 / 雨音 / 虫の声 ( エンマコオロギは、常に同じ場所で鳴くの で分かりやすい )/ 蝉の声 ( うるさすぎて、他の重要な音が聞こえな い場合もある )/ 噴水 ・道に車があると、圧迫感があるので分かる。 圧迫感は、反響音 / 風がそこだけ吹かない / 車の向こうの音が遮断 される、などが原因と思う。 ・建物の素材の差でも、反響音が違ってくる。 マンションとオフィスビルの違いはあまり分からない。 ・住宅の中の音 / におい。においは、線香や蚊取り線香など。 ・広い場所 ( 丸の内など ) だと音が分散し、反対に狭い場所 ( お茶 の水 ) だと分散しないので分かりやすい。 ・道路の対岸の音が聞こえると安心する。空間の立体的把握の手助 けになる。

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□音で障害物を避けるとき、どれぐらい手前で分かるか ? 地下鉄の柱 ( 直径 50cm くらい ?) なら 50cm 手前で分かる。 避けやすいのは、静かな場所に停めてある乗用車。トラックやバス は、下が大きく抜けているため音や風の遮断が無くわかりにくいた めぶつかることがある。 特にバスなどはゆっくり動くことが多いため、非常に分かりにくく 危険。 □白状の音はどの程度たよりにしているか ? 個人差も大きく、自分はあまり音を立てないが、不安になった時 には音を立ててたよりにする。 □音で障害物を避けるとき、どれぐらい手前で分かるか ? 地下鉄の柱 ( 直径 50cm くらい ?) なら 50cm 手前で分かる。 避けやすいのは、静かな場所に停めてある乗用車。トラックやバス は、下が大きく抜けているため音や風の遮断が無くわかりにくいた めぶつかることがある。 特にバスなどはゆっくり動くことが多いため、非常に分かりにくく 危険。 □白状の音はどの程度たよりにしているか ? 個人差も大きく、自分はあまり音を立てないが、不安になった時 には音を立ててたよりにする。

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□触地図は実際に使うか? 使わない。地図を指でなで回すのは抵抗があるし、その暇があっ たら周りの人に道を聞いてしまう。また、理解に時間がかかる割に は役に立つ情報が少ない。ただ、「少しお茶がしたい」「おしゃれな ご飯が食べたい」と思ったときにお店を選べるような、「フレンチ レストラン」「軽食」という情報や、「この店でセールをしている」 といった「楽しい」情報が触地図にあればうれしい。 □携帯電話のサービスで、よく使うのは何か? 乗り換え案内 / ピンポイント情報 ( 電車を何両目で降りればいいか ) は非常によく使う。 それらに加え、最寄り駅検索 / 天気予報 / 運行状況など。 □街レベル ( 広範囲 ) のにおいにはどんなものがあるか 築地−魚、月島ーもんじゃ、飲食店街ー食べ物と古い油、商店街ー 魚、果物、挙げたての油のにおい □季節で変わるにおいはあるか 冬のにおい−硬質なにおい 雪のにおいーナフタレンのにおい ( 古い押し入れのにおい ) 葉が生い茂った樹木ー少しツンとしたにおい 葉が散った樹木ー甘いにおい □足裏の触覚は利用しているか 段差の触覚など、かなり利用する。

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□点字ブロックは利用するか 利用する。あるとうれしいけど、あり過ぎると本当に大事なもの が見つけにくくて困る。設置は大事なところだけでよい。 こういう点字ブロックやチャイムなど、人の作ったものは画一的で 個性がなくわかりにくい。音の個性がああると良い。 特に、改札口には JR と私鉄を間違えないために路線の個性を反映 した音がほしい。また、階段には駅の個性 / 出入り口の個性を反映 した音がほしい。 新宿駅は、駅の出口ごとに違った鳥の声がするので、何口なのかわ かりやすくてよい。 □歩行時、どういう空間把握をしているのか ? 初めは、メンタルマップで言えば「線」の理解をしている。人に 聞いて歩いているような時はこれ。しかし、その道に慣れてくると、 次第に周囲のことも知りたくなり、だんだんと「面」の理解になっ てくる。例えば鐘の音が鳴ると、自分が町の中のどの辺りにいるの かが分かり有効。 盲の人は、全てがメンタルマップ。得た情報に加えて、「道はこう あるべきだ」「交差点はこうあるべきだ」といった「常識」に沿っ て歩行している。 □まっすぐ歩くのは難しいか ? 訓練を受けても歩ける人・歩けない人がいる。バランス感覚が重 要、いかに周囲の情報を無意識のうちに取り込めるかだと思う。広 いロータリーでは、無意識のうちにじゃなり音を頼りにしている。

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□視覚障害者の美術鑑賞について研究しているとお聞きしたが? 彫刻は触れば分かるので、絵画について研究している。絵を視覚 障害者に伝えるには 2 つの派閥があって、 「全て説明する派」と「印 象を伝える派」がいる。自分は全て説明する派で、葛飾北斎などの プロジェクトに関わった。説明のためには、まずレリーフ ( 絵の内 容に沿って凹凸をつけたもの ) を作成する。次にレリーフの仕方や 説明の仕方をみんなで考えていく。晴眼者はそのまま楽しめるが、 視覚障害者は絵の説明を受けたり、そのバックボーンを聞いて楽し む。ただレリーフにするのに非常に時間がかかること、また皆が求 めているデザインから作っていくので、現在レリーフになっている のはモナリザなど有名な宗教画ばかりだ。 -- 誘導に使うなら、どんなにおいがいいか ? 自然なにおいが一番。また、食べ物のにおいは嗜好性が少なく良 いのではないか。懐かしいにおいも良さそう。 ・とにかく段差をなくせばバリアフリーデザイン、というわけでは ない。ディズニーランドでは床がでこぼこのところも多いが、その

場に適した必要なものとみなされ、車いすの人から文句が出た事は ない。「許せるデザイン」が必要だ。

・晴眼者と視覚障害者では、街歩きの際に利用しているランドマー クが違うので、一般化は難しい。

・リアルに音が流れて来て、街の疑似体験ができるサイト・・・

バリアフリータウンマップ ( 港区 )/ 音の散歩道 ( 麻布十番商店街 )

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第1章 序論 -prologue第2章 事前調査 -a feasibility study第3章 研究方法 -a way of study第4章 結果・考察 -results・consideration第5章 結論 -a conclusion-

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3-1 調査方法 3-1-1 プロフィールアンケート調査 まずはじめに、被験者のプロフィールに関わるアンケートを図 3-1 のような用紙を用いて行った。被験者として、日本盲人会連合、 東京都盲人福祉協会の職員の方々、計5名に協力して頂いた。 調査用紙 A-1 ◆調査条件◆ 日付:  年 月 日  天気: ◆ステータス◆ 性別:( 男・女 ) 年齢:(  ) 歳 視力:右 (  ), 左 (  ) 受障時期:(  ) 歳時 歩行訓練:(  ) 年間 外出頻度:(  ) 回/月   通い慣れたところ:(  ) 回/月   たまに行くところ:(  ) 回/月   滅多に行かないところ:(  ) 回/月   初めて行くところ:(  ) 回/月 点字ブロック使用頻度   ( 毎回使う、たいてい使う、あまり使わない、滅多に使わない ) ◆経路◆       →     →     → →     →     →     →

図 3-1 プロフィールに関するアンケート用紙

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3-1-2 手がかりとする音調査 被験者に、通い慣れた通い慣れた道である職場から高田馬場駅ま でを歩行してもらう。その際、調査員は二人とし、一人は被験者の 隣に付き添い、歩行行動の上で手がかりとする音情報を随時発声し てもらい、それを IC レコーダーを用いて録音すると同時に図 3-2 のような用紙に手がかりとする音情報とその場所を記録していく。 また、もう一人は後方 3~5m から歩行の様子を動画撮影を行い、歩 行状況と周りの環境を DV カメラで記録する。 調査用紙 B-1(20061012) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

TAKADANOBABA

図 3-2 手がかりとする音譲情報調査用紙

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3-1-3 手がかりとする音情報の重要度調査 3-2 で行った手がかりとする音情報調査終了後、手がかりとして 抽出された音情報に対して、その重要性を5段階で評価してもらっ た。その音の重要性が高ければ、最大数値である重要度を 5 とした。

重要度 高い

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5   4   3   2   1

低い

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3-2 分析方法 3-2-1 手がかりとする音情報の点数化 手がかりとなる音の重要性を重要度と抽出された情報の数の両方 を考慮して評価するために、「情報点数」という数値を用いて評価 することにする。

情報点数= ( Σ重要度 )/ 被験者数

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3-2-2 手がかりとなる音情報音情報の分類 手がかりとなる音の重要性を下記のように分類する。音の利用目 的利用目的から「位置把握情報」、 「危険回避情報」の二つに分ける。 また、そのうち音の質の違いから「自然環境音」、「人工環境音」、 「盲人用の音」、「人・ものが動く音」の四つに分類する。

手がかりとなる音情報 位置把握情報

危険回避情報

自然環境音

自然環境音

人工環境音

人工環境音

盲人用の音

盲人用の音

人・ものが動く音

人・ものが動く音

表 3-1 手がかりとなる音の分類リスト

音の種類

自然環境音

手がかりとなる音 ピアノの音 水の流れる音 木のざわめき 中華鍋の音

人工環境音

自動販売機 携帯屋のBGM 薬局屋の広告テープ ゲーム屋のBGM CD屋のBGM カラオケ屋のBGM パチンコ屋のBGM

人・ものが動く音

車群 バイク 自転車 自動車 人群 電車

盲人用の音

信号機 盲人用チャイム 有人改札

エコカードによる音

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第1章 序論 -prologue第2章 事前調査 -a feasibility study第3章 研究方法 -a way of study第4章 結果・考察 -results・consideration第5章 結論 -a conclusion-

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4-1 調査結果 4-1-1 プロフィールアンケート調査結果 3-1 の調査より、被験者のプロフィールが明らかになった。( 表 4-1) 外出頻度に差は見られなかったが、性別、年齢、視力、受障時期、 歩行訓練歴歩行訓練歴、点字ブロックの使用頻度に差が見られた。

表 4-1 被験者被験者プロフィール一覧表 性別

Tbさん

Tkさん

Iさん

年齢

27歳

33歳

50歳

56歳

視力(左)

0

0.02

0

0

視力(右)

0

0

0

0

Yさん 女

52歳 0 0

受障時期

先天性

先天性

後天性(15歳)

後天性(29歳)

先天性

外出頻度

30回/月

30回/月

30回/月

30回/月

30回/月

8回/月

4回/月

8回/月

8回/月

8回/月

歩行訓練

通いなれたところ

たまに行くとこと

滅多に行かないところ 初めて行くところ

点字ブロック使用頻度

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Hさん

4年間

20回/月 2回/月

2回/年

毎回使う

0.5年

25回/月 2回/月

0回/年

あまり使わない

0年

20回/月 3回/月

10回/年

毎回使う

1年

20回/月 1回/月

3回/年

たいてい使う

0年

20回/月 3回/月

10回/年

毎回使う

32


2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

4-1-2 手がかりとする音調査結果 3-2 の調査より、被験者が手がかりとしている音情報が明らかに なった。音情報を位置把握情報と危険回避情報に分類し、地図上に プロットするとそれぞれ図 4-1、図 4-2 のようになった。

TAKADANOBABA

図 4-1 位置把握情報分布図

TAKADANOBABA

図 4-2 危険回避分布図

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4-2 結果考察 4-2-1 プロフィールから見た考察 ◆視力による違い 全くものが見えない全盲の視覚障害者視覚障害者とぼんやりと輪 郭を捉えることの出来る弱視の視覚障害者で位置を把握するための 音情報の種類を比較した。 情報点数による割合のグラフからわかるように、歩行の手がかり とする音の種類に差がある。全盲の視覚障害者は自然環境音や人工 環境音といった環境音を頼りにしている一方で、弱視の視覚障害者 視覚障害者は視覚からの情報が多少あるために、環境音は頼りにし ておらず、盲人用の音や人・ものが動く音といった限られた種類の 音のみを手がかりとしていることがわかった。

弱視 自然環境音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用の音

全盲

0%

50%

100%

図 4-3 視力による位置把握情報の種類

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◆性別による違い 男性と女性による比較を行った。この際、弱視の被験者は除き、 全盲の視覚障害者のみで比較した。 特に顕著な差は見られなかった。敢えて言うならば、男性の方が 人工環境音に対して対して敏感な一方、自然環境音の重要度は低か った。

盲人用の音 人・ものが動く音 人工環境音 自然環境音

0

5

10

15

20

情報点数 図 4-4 性別による位置把握情報の種類

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◆受障時期による違い 受障時期による比較を行った。先天性視覚障害者と後天性後天性 視覚障害者で分類し、比較した。この際、弱視の被験者は除き、全 盲の視覚障害者のみで比較した。 先天性の視覚障害者が環境音を頼りにしていることが下のグラフ から読み取ることができる。これは、生まれつき目の見えないこと から、視覚以外視覚以外の感覚がより優れていることが関係してい ると考えられる。

後天性

盲人用の音 人・ものが動く音 人工環境音 自然環境音

先天性

0

5

10

15

20

情報点数 図 4-5 受障時期による位置把握情報の種類

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◆歩行訓練歴による違い 歩行訓練の有無による比較を行った。 歩行訓練を受けている人の方が自然環境音を重要な手がかりとし ているという予想とは裏腹に、歩行訓練を受けてない視覚障害者の 方が自然環境音の重要性が高かった。また、人・ものが動く音を位 置把握の情報として重要視しているのも意外な結果が得られた。

なし 自然環境音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用の音

あり

0%

50%

100%

図 4-6 歩行訓練歴による位置把握情報の種類別割合

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◆点字ブロック使用頻度による違い 歩き慣れた空間において点字ブロックをどれくらい使うかによっ て「よく使う」、と「あまり使わない」に大別し、比較した。 点字ブロックをあまり使用しない被験者の方が、音情報、特に環 境音を重要な手がかりとしている。歩き慣れた空間では、点字ブロ ックにそってゆっくり歩くよりも、ある程度空間把握ができている ので、音を頼りにしながらスムーズに歩くことができるようだ。そ れ故に、自分の位置を把握するために必要な音情報を様々なところ

から抽出している。

盲人用の音

使

人・ものが動く音

人工環境音

あまり使わない

自然環境音

よく使う 0

5

10

15

情報点数 図 4-7 点字ブロック使用頻度による位置把握情報

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4-2-2 歩行空間から見た考察 ◆直線道路での直進行動 直進道路での直進行動において、歩道の有無によって位置把握の ために手がかりとする音情報の違いを比較した。 歩道があるところの方が手がかりが多く多く、その重要度も高い。 これは、歩道のある直線道路では、人通りが多く、また道路に沿っ て店舗が多く点在し、そこから流れてくる BGM などが視覚障害者 にとって、自分がどのあたりまで進んできたのかという距離感を認 識する重要な手がかりになっていることが言える。特に長い直線に おいては、行き過ぎる間違った経路を進まないように、音が出てい る場所を意識して覚えておくようだ。 位置把握情報 20 15 10

位置把握情報

情報点数 5 0 歩道あり

歩道なし

図 4-8 直線道路での直進行動においての位置把握情報

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◆交差点での直進行動 交差点での直進行動において、歩道の有無によって位置把握のた めに手がかりとする音情報の違いを比較した。 歩道ないところでの方が、交差点で聞き取れる音の重要性が高い。 また、盲人用の音の重要性が高いのが特長である。これは、小さな 路地から大きな通りに出る交差点においては、盲人用のチャイムが 設置されているところがあり、そこから発生する音が道と道の交わ るところであることから、位置把握情報としての有効性が高いこと がわかる。

歩道なし

盲人用の音 人・ものが動く音 人工環境音 自然環境音

歩道あり

0

1

2

3

情報点数 図 4-9 交差点での直進行動においての位置把握情報

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

◆交差点での曲折行動 交差点での曲折行動において、歩道の有無によって位置把握のた めに手がかりとする音情報の違いを比較した。 歩道のないところでの方が、交差点で聞き取れる音の重要性が高 い。一方で、歩道があるところでの音の重要性が低い結果となって いる。これに関しては、調査経路において被験者が歩道のあるとこ ろで曲折行動をすることが大きく影響している。

歩道なし

盲人用の音 人・ものが動く音 人工環境音 自然環境音

歩道あり

0

2

4

6

情報点数

図 4-10 交差点での曲折行動においての位置把握情報

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第1章 序論 -prologue第2章 事前調査 -a feasibility study第3章 研究方法 -a way of study第4章 結果・考察 -results・consideration第5章 結論 -a conclusion-

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5-1 まとめ この調査により、必要とする音情報の量、質、種類において個人 差があることがわかった。被験者の数から明らかとは言えないが言 えないが、プロフィールによってその差が決定されることもうかが える。 ・視力との関係 今回の最も顕著な結果が出た。社会的には同列に扱われることが 多いが、同じ視覚障害者でも全盲の人と弱視の人とでは、手がかり としている音の量や種類が大きく異なり、弱視の人にとっては環境 音はそれほど重要ではなく重要ではなく、時として環境音がその他 の大切な音情報を妨げる可能性があると言えるかもしれない。 ・受障時期との関係 受障時期によって、重要な手がかりとする音情報の種類が異なる ことがわかった。先天性の視覚障害者にとって環境音は大切な手が かりであると言えるだろう。また、先天性の人の方が手がかりとす る音情報も多く、後天性の視覚障害者よりも音に敏感であることが わかった。 ・点字ブロック使用頻度との関係 歩き慣れた空間において、点字ブロックを使うか否かによって、 歩き方に差がある。点字ブロックをあまり使わなくても歩行できる 人は歩くスピードが速く、また無駄な歩行が少ない。これは、音情 報をしっかりと捉え、経路の途中にランドマークとなりうる音を見 極め、記憶していることで可能にしている。 ・行動と歩行空間との関係 直線行動を行う場所では、自分がどれくらいの距離を歩いてきた かを確認するための情報を音から得ている。また、曲折行動を行う 場所では、自分が方向転換を行う分岐点を確認するための情報を得 ている。直線行動よりも曲線行動のときに得る音の方が重要である ことがわかった。

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5-2 展望 この分析結果により、歩行行動と歩行空間に対して、プロフィー ルからその人にとって重要性の高い音を与えてやることで与えてや ることで、よりスムーズかつ安心感をもった歩行をすることができ るようになる。また、視覚障害者にとって歩行しやすい空間作りの ための参考になる。

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5-3 今後の課題 今回の調査では被験者が五人ということもあり、プロフィールを より細分化した分析が不可能であった。より正確かつ有効なデータ をとるためにはより多くの被験者で調査を行う必要がある。 また、より一般化された空間において、有効な音を与えながら歩 行してもらうような検証実験をして、今回の分析の裏付けをすると 良い。 視覚障害者誘導用チャイムが近隣苦情のために午後7時以降は鳴 らなかったり、様々なものの静音化が進む社会背景とは裏腹に、盲 人のために発生させている音情報や何気ない環境音といったもの が、視覚障害者にとっては重要な情報であり、歩行するための手が かりとなっている。現存する歩行空間において必要とされている音 と妨げになっている音を明確にし、視覚障害者と健常者双方にとっ て快適な空間作りが求められている。

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おわりに -in the end-

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◆おわりに この卒業論文を書き上げるために協力していただいたすべての方 に感謝を述べたいと思います。 渡辺仁史教授、林田先生、長澤さん、遠田さん、研究室の院生、 卒論生のみなさん、ありがとうございました。お粗末な研究しかで きないにも関わらず、自分の我を通して研究させていただいたこと で多大な心配とご迷惑をおかけしたことをお許し下さい。なんとか ここまでたどりつけたのも、みなさんの理解があったからだと思っ ています。 ヒアリング調査にご協力いただいたタカラトミーの高橋さん、被 験者として協力していただいた日本盲人会連合会および東京都盲人 福祉協会のみなさん、協力に快諾して頂き誠にありがとうございま した。他の団体で冷たく断られる中で、みなさんがご協力してくだ さったおかげで、なんとか調査を行い、この論文を書き上げるにい たりました。 調査のためにビデオ撮影撮影を手伝ってくれた寮の後輩たち、ど うもありがとう。大したお礼もできないのに、協力してくれたこと、 とてもうれしく思っています。 そして、担当者としてアドバイスを何度も何度もしてくれた小沼 くん、ありがとう。同期でやりにくかったかもしれないけれど、小 沼くんの頭の良さに何度も救われた気がします。これからもどうぞ よろしく。 そして、陰で私が学業をすることを支えてくれている親、友人にこ の場を借りてお礼を言いたいと思います。 「本当にありがとうございました。」

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参考文献・参考資料 -reference materials-

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◆参考文献・参考資料 1) 太田篤史 田村明弘、「視覚障害者の屋外歩行時における情報の 利用 ( 全盲の場合 )- アンケート調査による心理構造の探求 -、日本 建築学会、1998 年 2) 津田美知子著、「視覚障害者が街を歩くとき ケーススタディか らみえてくるユニバーサルデザイン」、都市文化社、1999 年 3) 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部、「体障害児・者実態 調 査 結 果 」、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0808-2. html 4) 吉澤昌江、「音と空間」、筑波大学附属盲学校研究協議会用資料、 2004 年 5) 室谷正裕、「音による視覚障害者の移動支援―旅客施設内の音に よる移動支援ガイドライン―」、交通エコロジー・モビリティ財団、 2002 年 6) 米澤敬幸、「視覚障害者の利用する屋外空間における触覚情報に 関する研究」、日本建築学会、2004 年

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資料編 -data-

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◆プロフィールアンケート用紙

調査用紙 A-1 ◆調査条件◆ 日付:  年 月 日  天気: ◆ステータス◆ 性別:( 男・女 ) 年齢:(  ) 歳 視力:右 (  ), 左 (  ) 受障時期:(  ) 歳時 歩行訓練:(  ) 年間 外出頻度:(  ) 回/月   通い慣れたところ:(  ) 回/月   たまに行くところ:(  ) 回/月   滅多に行かないところ:(  ) 回/月   初めて行くところ:(  ) 回/月 点字ブロック使用頻度   ( 毎回使う、たいてい使う、あまり使わない、滅多に使わない ) ◆経路◆       →     →     → →     →     →     →

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◆手がかりとする音情報調査用紙

調査用紙 B-1(20061015) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

TAKADANOBABA

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36 37 38 39 40 41 42

Tb Tb Tb Tb Tb Tb Tb

Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y

16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35

Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk Tk

名前

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

No.

自動車 バイク 自転車 人群 自動車 盲人用チャイム 人群

自動販売機 盲人用チャイム 水の流れる音 水の流れる音 自動車 工事音 車群 盲人用チャイム 人群 ゲーム屋のBGM 信号機 盲人用チャイム カラオケ屋のBGM 自動車 携帯屋のBGM 車群 信号機 電車 車群 信号機

音情報

ピアノの音 車群 自転車 車群 薬局屋の広告テープ 盲人用チャイム ゲーム屋のBGM 盲人用チャイム CD屋のBGM カラオケ屋のBGM 人群 車群 信号機 電車 人群

人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音

人工環境音 盲人用 自然環境音 自然環境音 人・ものが動く音 非日常的な音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用

音の種類

自然環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 人工環境音 盲人用 人工環境音 人工環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音

直線道路 直線道路 直線道路 T字路 T字路 T字路 十字路

直線道路 T字路 T字路 直線道路 直線道路 直線道路 直線道路 T字路 T字路 直線道路 直線道路 T字路 直線道路 横断歩道 直線道路 横断歩道 横断歩道 直線道路 横断歩道 横断歩道

場所

T字路 直線道路 直線道路 T字路 直線道路 T字路 直線道路 T字路 直線道路 直線道路 横断歩道 横断歩道 横断歩道 直線道路 直線道路

なし なし なし なし なし なし なし

なし なし なし なし なし なし なし なし→あり あり あり あり あり あり なし あり あり なし あり あり なし

歩道

なし なし なし なし→あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり

停止 停止 直進 直進 停止 直進 右折

直進 右折 右折 直進 停止 直進 直進 左折 左折 直進 直進 直進 直進 停止 直進 停止 直進 直進 停止 直進

右折 直進 直進 左折 直進 直進 直進 直進 直進 直進 停止 停止 直進 直進 直進

行動

なし なし なし なし なし なし 少ない

なし なし なし なし なし なし なし 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い

なし なし なし 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 多い

人通り

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし 有り 有り なし 有り 有り なし

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし 有り 有り

点字ブロック

5 5 3 2 5 3 3

1 2 4 2 5 -3 3 4 2 4 2 2 4 5 4 4 5 4 4 5

3 2 3 4 3 3 2 3 2 2 4 4 5 5 4

重要度

危険回避 危険回避 危険回避 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握

位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 困惑要素 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 危険回避 位置把握 危険回避 危険回避

位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避 危険回避 位置把握 位置把握

音の利用目的

女 女 女 女 女 女 女

女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女

女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女 女

性別

33 33 33 33 33 33 33

52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52

50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50

年齢

0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

視力

33 33 33 33 33 33 33

52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52 52

35 35 35 35 35 35 35 35 35 35 35 35 35 35 35

受障歴

0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

15 15 15 15 15 15 15 15 15 15 15 15 15 15 15

受障時期

0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

歩行訓練歴

あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない

あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない

毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う

点字ブロック使用頻度

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65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84

H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H

I I I I I I I I I I I I I I

I

51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64

50

Tb Tb Tb Tb Tb Tb Tb

43 44 45 46 47 48 49

エコカードによる音 バイク 自動販売機 自転車 自動販売機 自転車 盲人用チャイム 自動販売機 自動車 自動車 自転車 車群 盲人用チャイム 自動車 ゲーム屋のBGM 盲人用チャイム カラオケ屋のBGM パチンコ屋のBGM 電車 中華鍋の音

車群 人群 ゲーム屋のBGM 盲人用チャイム CD屋のBGM カラオケ屋のBGM 盲人用チャイム 携帯屋のBGM 電車 車群 信号機 車群 信号機 有人改札

木のざわめき

盲人用チャイム 自転車 車群 盲人用チャイム 人群 自動車 電車

自然環境音

盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人工環境音 人・ものが動く音 自然環境音

人・ものが動く音 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 盲人用 盲人用

盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音

T字路 なし なし→あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり あり

なし

なし なし なし なし なし なし なし

施設入口 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし T字路 なし 直線道路 なし T字路 なし T字路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし T字路 なし→あり T字路 なし→あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 地下鉄入口 あり

直線道路 T字路 直線道路 T字路 直線道路 直線道路 T字路 直線道路 直線道路 横断歩道 横断歩道 横断歩道 横断歩道 駅入口

十字路 直線道路 十字路 十字路 十字路 横断歩道 T字路

停止 停止 直進 直進 直進 直進 右折 右折 直進 直進 直進 直進 左折 左折 直進 直進 直進 直進 直進 直進

直進 左折 直進 直進 直進 直進 直進 直進 直進 停止 直進 停止 直進 直進

右折

直進 直進 直進 直進 直進 停止 右折

なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし 多い 多い 多い 多い 多い 少ない

なし なし 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 多い 多い 多い 多い 多い 多い

なし

少ない 少ない 少ない 少ない 多い 多い 少ない

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし 有り なし 有り

有り

有り 有り 有り 有り 有り なし なし

1 5 3 3 4 3 5 5 4 4 3 3 5 5 3 4 3 3 4 3

4 3 2 3 2 2 4 2 4 4 5 5 3 3

2

2 3 2 3 3 5 2

位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避 危険回避 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握

位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避 危険回避 危険回避 位置把握

位置把握

位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握

男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男

男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男 男

女 女 女 女 女 女 女

27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27

56 56 56 56 56 56 56 56 56 56 56 56 56 56

56

33 33 33 33 33 33 33

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0

0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02

27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27

27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27 27

27

33 33 33 33 33 33 33

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

29 29 29 29 29 29 29 29 29 29 29 29 29 29

29

0 0 0 0 0 0 0

4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

1

0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5

毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う 毎回使う

たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う たいてい使う

たいてい使う

あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない あまり使わない

2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

54


2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

TAKADANOBABA 20 19 18 17 16

15

10

1413

12 11

9 78 6

No.

音情報

1 エコカードによる音 2 バイク 3 自動販売機 4 自転車 5 自動販売機 6 自転車 7 盲人用チャイム 8 自動販売機 9 自動車 10 自動車 11 自転車 12 車群 13 盲人用チャイム 14 自動車 15 ゲーム屋のBGM 16 盲人用チャイム 17 カラオケ屋のBGM 18 パチンコ屋のBGM 19 電車 20 中華鍋の音

音の種類

盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人工環境音 人・ものが動く音 自然環境音

場所

歩道

施設入口 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし T字路 なし 直線道路 なし T字路 なし T字路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし 直線道路 なし T字路 なし→あり T字路 なし→あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 直線道路 あり 地下鉄入口 あり

5

4 3

2 1

行動 人通り 点字ブロック 重要度 音の利用目的 停止 なし 停止 なし 直進 なし 直進 なし 直進 なし 直進 なし 右折 なし 右折 なし 直進 なし 直進 なし 直進 なし 直進 なし 左折 なし 左折 なし 直進 多い 直進 多い 直進 多い 直進 多い 直進 多い 直進 少ない

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし

1 5 3 3 4 3 5 5 4 4 3 3 5 5 3 4 3 3 4 3

位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避 危険回避 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握

日付 :2006/10/12 天気 : 晴れ 被験者 :H さん

HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

TAKADANOBABA

14

10 1311 8 12 9

6 5 4 3 2

7

No.

音情報

音の種類

場所

歩道

行動 人通り 点字ブロック 重要度 音の利用目的

なし

停止

1

自動車

人・ものが動く音

直線道路

なし

3 4

自転車 人群

人・ものが動く音 人・ものが動く音

直線道路 T字路

なし なし

6 7 8 9 10 11 12

盲人用チャイム 人群 盲人用チャイム 自転車 車群 盲人用チャイム 人群

14

電車

2

5

13

バイク

自動車

自動車

人・ものが動く音

人・ものが動く音

直線道路

T字路

盲人用 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音

T字路 十字路 十字路 直線道路 十字路 十字路 十字路

人・ものが動く音

T字路

人・ものが動く音

横断歩道

1

なし なし なし なし なし なし なし なし なし なし

停止

なし

有り

5

危険回避

直進 直進

なし なし

有り 有り

3 2

危険回避 位置把握

停止 直進 右折 直進 直進 直進 直進 直進 停止

なし

なし

なし 少ない 少ない 少ない 少ない 少ない 多い 多い

右折 少ない

有り

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り

なし なし

5

5 3 3 2 3 2 3 3 5 2

危険回避

危険回避

位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避

位置把握

日付 :2006/10/13 天気 : 晴れ 被験者 :Tb さん

HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

TAKADANOBABA 15 14 13

11 12 10

9 8

7

65 4 3

2 1

No.

音情報

音の種類

1 ピアノの音 自然環境音 2 車群 人・ものが動く音 3 自転車 人・ものが動く音 4 車群 人・ものが動く音 5 薬局屋の広告テープ 人工環境音 6 盲人用チャイム 盲人用 7 ゲーム屋のBGM 人工環境音 8 盲人用チャイム 盲人用 9 CD屋のBGM 人工環境音 10 カラオケ屋のBGM 人工環境音 11 人群 人・ものが動く音 12 車群 人・ものが動く音 13 信号機 盲人用 14 電車 人・ものが動く音 15 人群 人・ものが動く音

場所

歩道

行動 人通り 点字ブロック 重要度 音の利用目的

T字路 なし 右折 なし 直線道路 なし 直進 なし 直線道路 なし 直進 なし T字路 なし→あり 左折 少ない 直線道路 あり 直進 少ない T字路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない T字路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない 横断歩道 あり 停止 少ない 横断歩道 あり 停止 少ない 横断歩道 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 多い

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし 有り 有り

3 2 3 4 3 3 2 3 2 2 4 4 5 5 4

位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避 危険回避 位置把握 位置把握

日付 :2006/10/16 天気 : 晴れ 被験者 :Tk さん

HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

TAKADANOBABA 15 1413 12 11 10 9

8

7 6 5

4 3 2

1

No.

音情報

13 14

車群 信号機

1 木のざわめき 2 車群 3 人群 4 ゲーム屋のBGM 5 盲人用チャイム 6 CD屋のBGM 7 カラオケ屋のBGM 8 盲人用チャイム 9 携帯屋のBGM 10 電車 11 車群 12 信号機

15

有人改札

音の種類

自然環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人工環境音 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 盲人用 盲人用

場所

歩道

行動 人通り 点字ブロック 重要度 音の利用目的

横断歩道 横断歩道

あり あり

停止 直進

T字路 なし 右折 なし 直線道路 なし 直進 なし T字路 なし→あり 左折 なし 直線道路 あり 直進 少ない T字路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない T字路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 少ない 直線道路 あり 直進 多い 横断歩道 あり 停止 多い 横断歩道 あり 直進 多い

駅入口

あり

直進

多い 多い 多い

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし

2 4 3 2 3 2 2 4 2 4 4 5

位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 危険回避

有り

3

位置把握

有り なし

5 3

危険回避 危険回避

日付 :2006/10/17 天気 : 晴れ 被験者 :I さん

HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.

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2006 年度 卒業論文 視覚障害者が歩行の手がかりとする音情報の研究 ープロフィールからみた位置把握のための音情報の違いー

TAKADANOBABA 20 1817 19 16

15

14

13 12 1110

9 7

5

8

6

4 2 3 1

No.

音情報

1 自動販売機 2 盲人用チャイム 3 水の流れる音 4 水の流れる音 5 自動車 6 工事音 7 車群 8 盲人用チャイム 9 人群 10 ゲーム屋のBGM 11 信号機 12 盲人用チャイム 13 カラオケ屋のBGM 14 自動車 15 携帯屋のBGM 16 車群 17 信号機 18 電車 19 車群 20 信号機

音の種類

人工環境音 盲人用 自然環境音 自然環境音 人・ものが動く音 非日常的な音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人工環境音 盲人用 盲人用 人工環境音 人・ものが動く音 人工環境音 人・ものが動く音 盲人用 人・ものが動く音 人・ものが動く音 盲人用

場所

歩道

行動 人通り 点字ブロック 重要度 音の利用目的

直線道路 なし 直進 T字路 なし 右折 T字路 なし 右折 直線道路 なし 直進 直線道路 なし 停止 直線道路 なし 直進 直線道路 なし 直進 T字路 なし→あり 左折 T字路 あり 左折 直線道路 あり 直進 直線道路 あり 直進 T字路 あり 直進 直線道路 あり 直進 横断歩道 なし 停止 直線道路 あり 直進 横断歩道 あり 停止 横断歩道 なし 直進 直線道路 あり 直進 横断歩道 あり 停止 横断歩道 なし 直進

なし なし なし なし なし なし なし 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い 多い

有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り 有り なし 有り 有り なし 有り 有り なし

1 2 4 2 5 -3 3 4 2 4 2 2 4 5 4 4 5 4 4 5

位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 困惑要素 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 位置把握 危険回避 位置把握 危険回避 危険回避 位置把握 危険回避 危険回避

日付 :2006/10/23 天気 : 雨 被験者 :Y さん

HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.

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