携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究 Study on the Perception of Space - in Using Portable Audio Player -
秦野 晃一
0 はじめに
◇はじめに
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
0 はじめに
多くの若者がそうであるように、私も iPod という携帯型オーディオプレーヤー のハードユーザーの一人である。一人で散 歩するとき、混雑した町中を通り抜けると き、通学時、電車の中。外出時に一人でい るときは必ず聴いていると言ってよい程で ある。 なぜか音楽を聴いていると、つい散歩 が長くなってしまう、町中を歩いてもさほ ど疲れない、周りに人がいても不快でない。 そのような効果を、音楽が持っているので はないか、と考えたことがこ研究の出発点 であった。 一方、街を歩いているとき、ぶつかりそ うになってあわてて避ける人、実際にぶつ かってしまう人は大概、携帯電話で話して いる人、操作している人か、音楽を聞いて いる人である。やはり音楽というのは、人・ 空間の近くに多大な影響を及ぼしているの ではないか。 いまや街を歩く多くの人が音楽を聴いて いる。その人数は携帯電話で話している人 を圧倒する。もはやその存在は無視できる ものではない。この研究をきっかけに、今 まで無視されていた、携帯型オーディオプ レーヤー使用者も考慮に入れた設計が今後 されることを期待している。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
はじめに
目次
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
はじめに
第1章
1 研究目的
9
◇ 1-1 研究目的
10
◇ 1-2 研究の流れ
11
◇ 1-3 用語の定義
12
2 研究背景
14
◇ 2-1 社会的背景
15
◇ 2-2 回避行動について
18
◇ 2-2 都市のパラメータと空間知覚
20
◇ 2-2 音楽について
21
3 研究方法
22
◇ 3-1 事前調査
23
3-1-1 調査方法 3-1-2 調査結果 ◇ 3-2 街路空間におけるパーソナルスペースの調査
25
◇ 3-3 街路空間における回避行動の実験
27
◇ 3-4 実験室実験による知覚空間の計測
30
3-4-1 パーソナルスペースの測定実験 3-4-2 回避行動の測定実験 ◇ 3-5 認知距離の測定実験
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
38
4 結果
41
◇ 4-1 分析方法
42
◇ 4-2 街路空間におけるパーソナルスペースの調査結果
43
◇ 4-3 街路空間における回避行動の実験結果
45
◇ 4-4 実験室実験による知覚空間の計測
46
4-4-1 パーソナルスペースの測定実験 4-4-2 回避行動の測定実験 ◇ 4-5 認知距離の測定実験
5 考察
53 57
◇ 5-1 パーソナルスペースに関する考察
58
5-1-1 パーソナルスペースの調査結果に対する考察 5-1-2 パーソナルスペースの実験結果に対する考察 5-1-3 パーソナルスペースの調査結果と実験結果との比較 ◇ 5-2 回避行動に関する考察
63
5-2-1 回避行動の街頭実験結果に対する考察 5-2-2 回避行動の実験室実験結果に対する考察 5-2-3 回避行動の街頭実験結果と実験室実験結果との比較 ◇ 5-3 認知距離に関する考察
6 まとめと展望
66 68
◇ 6-1 まとめ
69
◇ 6-2 展望
71
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
◇参考文献
72
◇おわりに
76
第 2 章 資料編 ◇資料編
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
78
第 1 章 本論
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
1 研究目的
◇ 1-1 研究目的 ◇ 1-2 研究の流れ ◇ 1-3 用語の定義
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
1 研究目的
1-1 研究目的
携帯型オーディオプレーヤー使用時の人 間の空間知覚を明らかにし、その知覚特性 を考慮した建築設計に生かすことを目的と する。 本研究では街路での衝突の防止を目的 とし、特に回避距離、パーソナルスペース、 認知距離に着目する。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
1 研究目的
1-2 研究の流れ(図 1.2.1)
携帯型オーディオプレーヤー使用に関する事前調査
街路空間における
実験室における
パーソナルスペース・回避行動
パーソナルスペース・回避行動
の調査
の実験
街路空間における 認知距離 に関する実験
分析・考察 図 1.2.1 研究フロー
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第 1 章 本編
1 研究目的
1-3 用語の定義
□パーソナルスペース ホール (1966) により提唱された概念で あり、人間の周りにある、目に見えない心 理的領域のことである。ホールは、対人距 離のとり方を、密接距離、個体距離、社会 距離、公衆距離の 4 つに分類し、それぞれ ※ 1 文 1
に特性があることを述べた。(※ 1) 本報では、街路空間での間の取り方も広義 のパーソナルスペースととらえ、それらも パーソナルスペースと呼称する。 □回避行動 人が歩行の際に、他者と進行方向が交錯 する際、ぶつからないよう行動することで ある。 □回避距離 ここでは、回避行動の際に、最も近づい たとき = 最近接距離を回避距離とする。 □好きな曲 本研究では、好きな曲を「日常、自分が 常に持ち歩き、聴取している曲」とする。
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第 1 章 本編
1 研究目的
□認知距離 メジャーで測るような距離は誰しもがメ ジャーを使えば同じ距離が測れ、客観的な 距離と言える。一方、人がメジャーのよう な尺度を与えられなかったとき、その距離 は主観的なものになる。このような個々人 の感覚に基づいた距離をここでは認知距離 と呼ぶ。
□携帯型オーディオプレーヤー HDD オーディオプレーヤー、シリコン 型オーディオプレーヤー、ミュージック携 帯など、音楽を外出先で聴けるものを総称 として、携帯型オーディオプレーヤーと呼 称する。 □聴覚遮断 本研究における聴覚遮断とは、曲を聴く ことではなく、耳を塞ぐことによって周囲 の音が聞こえなくなる状態を示す。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
2 研究背景
◇ 2-1 社会的背景
◇ 2-2 回避行動について
◇ 2-3 都市のパラメータと空間知覚
◇ 2-4 音楽について
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
2 研究背景
2.1 社会的背景
携帯型オーディオプレーヤーの普及はと どまるところを知らない。米調査会社 Insat によると、2006 年に携帯型オーディオ プレーヤーは全世界で 1 億 8000 万台以上 出荷され、2011 年には 2 億 7000 万台を ※ 1 文 17 「携帯プレーヤー、ビデオ再生可能機種が主流 に」
超えるという。(※ 1)単体のプレーヤー とともに、統計に含まれない、携帯電話 にミュージックプレーヤーが搭載されると いう形態も増え、ソニーエリクソンによる ウォークマン携帯は 2007 年 3 月に累計出 荷 1 億 1000 万台を超え、潜在的な携帯型 オーディオプレーヤー使用者は増え続けて いる。 日本でも利用者は増加の一途をたどり、 後述する事前調査の結果では、通勤通学 時間帯における 4 割以上の人が携帯型オー ディオプレーヤーを使用している。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
2 研究背景
一方、それに伴う社会問題も出てきてい !"#$%&'()*+,51/..0
る。ウォークマンが世の中に登場したとき、 その社会問題は、もっぱら、大音量での使
5./..0
用による難聴であった。しかし、現在では、
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携帯型オーディオプレーヤー使用による空
3/..0 2/..0
間知覚の変化が、交通事故、接触事故の増
1/..0
加原因となり、ニューヨーク州では、交通
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図 2.1.1 迷惑行為ランキング推移
事故を引き起こす恐れがあることから、路 上で携帯型オ ーディオプレーヤーの使用を 禁ずる法案が提出された。 (※ 1) 日本民営鉄道協会による「駅と電車内の
※ 1 文 19 「ニューヨーク州上院議員、路上横断時の iPod 規制法案を提出へ」
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
迷惑行為ランキング」でも、携帯型オーディ オプレーヤー使用に対し、不快感を示す意 見が増加している。(図 2.1.1)
第 1 章 本編
2 研究背景
また、駅などで歩いている際、ぶつかる 人の多くが、携帯電話、携帯型オーディオ プレーヤーを使用しているという認識から、 大学生を対象としたアンケートを以下のよ うに実施したところ、接触する際の主要因 として、携帯電話の使用とともに、携帯型 オーディオプレーヤーの使用が多数を占め ている。(図 2.1.2) □アンケート ・対象者 大学生 22 名 ・質問 図 2.1.2 歩行者との接触要因 ※総回答数 40 図中の単位は「人」
1,駅や町中で歩いている時、歩行者とぶ つかる、ぶつかりそうになることはあるか 否か。 Yes or No 2,1 で Yes の場合 その歩行者がしている行為を述べる。 (複 数回答可、自由回答) □アンケート結果 図 2.1.2 の よ う に 22 人 中 の 9 人 と 言 う、4 割以上の人が携帯型オーディオプレー ヤー使用者とぶつかりそうになった経験が あることがわかった。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
2 研究背景
2.2 回避行動について
回避行動に関しては、松本による「歩行 ※ 1 文 10
者の回避行動に関する観察実験」 (※ 1)から、 回避行動とパーソナルスペースに関係性が あることがわかった。
□パーソナルスペースに関する既往研究 パーソナルスペースはホールによって提 ※ 2 文 2 「香りがパーソナルスペースに与える影響」 ※ 3 文 6 「パーソナルスペースに影響を及ぼす要因の検
唱されて以降、香り(※ 2)、または相対す る人の特性(※ 3)により、パーソナルスペー スがどのように変化するかについて研究が 行われて来た。また、空間のボリュームなど、
討」
外部要因によってパーソナルスペースが変
※ 4 文 3
化するという研究(※ 4)も行われている。
「公共空間における他者の占有領域の知覚に関
一方、携帯電話とパーソナルスペースと
する研究」
いう、主に携帯電話が発する音とパーソナ
※ 5 文 7
ルスペースの関係を見ると言った、環境音
「携帯電話がパーソナルスペースに及ぼす影響」
に関する研究は行われているものの(※ 5)、 音楽がパーソナルスペースに与える影響を 見た研究はまだない。
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第 1 章 本編
2 研究背景
□回避行動に関する既往研究 回避行動の研究は、歩行という行為それ 自体に着目し、人対人が 1 対 1 で回避行 ※ 1 文 10 「歩行者の回避行動に関する観察実験」 ※ 2 文 11 「歩行空間における歩行者と自転車の回避行動」 ※ 3 文 9 「ロボットに対する人間の回避距離」
動をとるものや(※ 1)、人対自転車(※ 2)、 人対モノといった組み合わせでの回避行動 を見る(※ 3)という研究が行われてきた。 近年では、より巨視的に、群集という人ま とまりの集団がどのような回避行動をとる かについての研究が行われた。 一方、それらはあくまでも回避行動者と、 被回避者との属性の違い・組み合わせの違 いによる研究であり、音楽といった外部要 因による回避行動の変化に関する研究は行 われていない。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
2.3 都市のパラメータと空間知覚
都市のパラメータと空間知覚との関連性 についての研究として、認知距離実験があ る。 □認知距離に関する既往研究 認知距離に関する研究で、2 点間に存在 する曲がり角や、結節点に注目した研究は 数多く見られる。それは、主に都市スケー ルで歩行した場合に見られるものである。 丹羽ら (1999 年 ) による「歩行時における 空間の距離認知に関する研究」(※ 1)では、 ※ 1 文 15
認知距離が、歩行速度や、その歩行空間で の経験の有無、乱雑さの有無で、変化する と述べている。また、柳瀬らによる「空間 情報と認知距離の関連」(※ 2)では、空
※ 2 文 12
間情報の多寡・その歩行空間での経験の有 無によって、認知距離のばらつきに変化が あることを明らかにした。 他既往報では、経路幅、天井高、開口部 といった具体的な建築要素の変化・空間の 印象により、認知距離に変化があることを 明らかにしている。 しかしながら、視覚以外の付加要素によ り、認知距離に変化が起こることは明らか にされておらず、近年の携帯型オーディオ プレーヤー使用者の増加に対応した研究が 求められる。
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2 研究背景
第 1 章 本編
第 1 章 本編
2 研究背景
2.4 音楽について
□音楽に関する既往研究 音楽に関する既往研究では、谷口によ る感情価測定尺度(1998)などを利用し、 音楽が心理面へ持つ影響力を客観的に測定 しようと試みられているが、もっぱら心理 領域のもの、もしくは人間の生体情報に関 係するものである。
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3 研究方法
◇ 3-1 事前調査
◇ 3-2 街路空間におけるパーソナルスペースの調査
◇ 3-3 街路空間における回避行動の実験
◇ 3-4 実験室実験による知覚空間の計測
◇ 3-5 認知距離の測定実験
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3.1 事前調査
街路空間において、どの程度の人が携帯 型オーディオプレーヤーを使用しているか について知ることを目的とする。 3-1-1 調査方法 □実施日時 2007 年 10 月 30 日 9:00-10:00 □場所 2007 年 10 月 30 日
図(3.1.1) 早稲田駅改札
東西線早稲田駅改札(図 3.1.1) □調査場所選定理由 ・改札口を通る人すべてを把握できる改札 数であること ・通勤、通学に使われている駅であること □調査対象 10-20 代男女 253 名 30-40 代男女 117 名 50-60 代男女 13 名 □調査手順 1 改札口から出る人のうち、オーディオプ レーヤーを使用している人、使用していな い人の人数を数える。 □調査における注意項目 ・特になし
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3 研究方法
第 1 章 本編
3-1-2 調査結果(図 3.1.2) 携帯型オーディオプレーヤーを 使用していない 46% 54%
10-20 代男女 113 名 30-40 代男女 82 名 50-60 代男女 12 名 携帯型オーディオプレーヤーを
オーディオプレーヤー使用 オーディオプレーヤー不使用 図 3.1.2 オーディオプレーヤー使用率
使用している 10-20 代男女 140 名 30-40 代男女 35 名 50-60 代男女 1 名
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3 研究方法
第 1 章 本編
3.2 街路空間におけるパーソナルスペースの調査
街路空間における、携帯型オーディオプ レーヤー使用者、不使用者の周囲との距離 の取り方を調査した。これにより、街路空 間での「好きな曲」を聴く時と何もつけな い状態との人と人との距離の取り方の違い を明らかにすることを目的とする。 □実施日時 2007 年 10 月 30 日 10:00-14:00 図 3.2.1 新宿丸の内線ホーム
□場所 2007 年 10 月 30 日 新宿駅丸の内線ホーム(図 3.2.1) □調査場所・時間選定理由 本調査では、人と人と距離の内、前方を 調査する。 ・測定場所 通勤・通学でのラッシュ時間以外の、ホー ムから人があふれない時間帯の駅ホームを 選んだ。その他人が前方に距離をとる箇所 としては、交差点、駅ホームが考えられるが、 交差点では、横から前に入ろうとする人が いるなど、必ずしも個々人の感覚に基づか ない距離感覚がとられている。 また、タイルなど、指標となるものさし がある場所であることを条件とした。
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3 研究方法
第 1 章 本編
□調査対象 男 65 名女 64 名 並び方を(前、後)として、例えば、 (男、男) ならば前、後ともに男とする。 携帯型オーディオプレーヤーを聴いていな い
計測
( 男、男 )=15 組
距離
( 男、女 )=18 組 ( 女、男 )=20 組 ( 女、女 )=14 組 携帯型オーディオプレーヤーを聴いてる
図 3.2.2 計測距離
( 男、男 )=17 組 ( 男、女 )=15 組 ( 女、男 )=15 組 ( 女、女 )=15 組 □調査手順 1,人が 1 列に 3 人以上並ぶまで待つ 2,列の 2 人目以降の人の前の人との間隔 を測る。(図 3.2.2) 3,電車到着のアナウンスが流れ次第、そ の回の調査を終了する □調査における注意項目 ・斜めに立っている人は除く ・電車の遅延などの際、ホームが満杯になり、 前方をつめざるを得ない場合は除く。
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3 研究方法
第 1 章 本編
3.3 街路空間における回避行動の実験
街路空間において、人はどのような回避 行動を行っているか実験した。これにより、 街路空間での「好きな曲」を聴く時と何も つけない状態との回避行動の違いを明らか にすることを目的とする。 □実施日時 図 3.3.1 新宿駅東南口広場
2007 年 10 月 25 日 12:00-18:00 □場所 新宿駅東南口広場(図 3.3.1) □調査場所選定理由 ・人が自由に流動できる場所であること ・ビデオ撮影の際、距離の指標となるもの があること。 □調査対象 男 66 人女 30 人 携帯型オーディオプレーヤーを使用してい ない人同士のすれ違い 50 パターン 携帯型オーディオプレーヤーを使用してい る人と使用していない人とのすれ違い 46 パターン □実験協力者 男1人 女1人
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3 研究方法
第 1 章 本編
□実験手順 1,オーディオプレーヤーを使用している通行者を視認する。 2,その人と直線ですれ違うような状況を作る。 3,通行者に回避させる。 4,オーディオプレーヤーをつけていない通行者も同じ手順を繰り返す。 5,以上の様子を DV カメラに録画する。
通行者
実験者位置 1,オーディオプレーヤーを使用している通行者を視認する。
実験者位置
通行者
2,その人と直線ですれ違うような状況を作る。
実験者位置 通行者 3,通行者に回避させる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□実験機材 ・ビデオカメラ ・三脚 ・コンベックス □解析 上 記 手 順 4 で 撮 影 し た 映 像 に お い て、 DKH 社の FRAME DIAS2 を使用し、回避距 離を求める。 □調査における注意項目 ・周囲の障害物に近い状態で歩行している人 は正確なデータがとれないため除外する。 ・群衆になってしまうと 1 対 1 のデータが とれないため除外する。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
3.4 実験室実験による知覚空間の計測
実験室実験により、人の知覚空間がどの ように変化するかを測定した。これにより、 実験室空間での「好きな曲」、 「筆者選定の曲」 を聴く時と何もつけない状態、耳栓をつけ た状態でのパーソナルスペース、回避行動 の違いを明らかにすることを目的とする。 また、実験室空間と街路空間での違いを 明らかにすることを目的とする。 3-4-1 パーソナルスペースの測定実験 □実施日時 2007 年 10 月 11 日 12:00-22:00 2007 年 10 月 31 日 15:00-22:00 □場所 早稲田大学理工学部 55 号館 S 棟 9 階サロ ン □実験場所選定理由 外的要因から影響を受けない場所で行わ れなければならないため。 □被験者 男 20 人女 5 人 □実験協力者 男1人
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
第 1 章 本編
3 研究方法
□実験機材 ・コンベックス ・ノート PC ・iPod ・イヤホン替えパッド ・耳栓 ・ビニールテープ ・DV カメラ □使用した音楽について ・曲名 曲 A = Basement Jaxx 'Red Alert' 曲 B = Blue 'Breathe Easy' 曲 C = Tarkan 'Simarik' ・選定理由 (※ 1)
運転の際に危険な曲リスト・安全な曲リス
英国自動車協会の調査機関
ト(※ 1)の中から、曲調があまり変化し ない曲を 2 曲選び、あとの 1 曲はリズムが
「RAC Foundation」より
その 2 曲の中間程度になるものを選ぶ。 ・音量について 音量差を十分に感じられるように 3 段階に て設定する。 曲順はランダムに設定する。 曲名には、耳栓をつけてください、何もつ けないで下さいという名称があり、その指 示に従う。 □実験パターン 曲(A・B・C)×音量(小・中・大)= 9 好きな曲(音量は被験者が設定)・耳栓・ 無装着= 3 の計 12 パターン行う。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
□設営方法 ・4500mm( ホールのパーソナルスペースの定義における公衆距離 ) の直線を引 いた後、被験者から 300mm ごとに線を引く。 ・被験者の 600mm 四方は図にような線を引く。 ・線はビニールテープ ( 黒色 ) を用い、必要長さは、約 10m である。 ・被験者位置、実験協力者初動位置は図中の通りとする。
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被験者位置
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図 3.4.1.1 パーソナルスペース実験設営図
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□実験手順 1,被験者は iPod を装着し、実験協力者と 向かい合って立つ。(図 3.4.1.2) 2,被験者は曲の 1 曲目を聴く。 3,聴き始めてから 60 秒後に、接近者が近 づいてくる。 4,その接近を不快に感じる地点まで接近 者が近づいたら被験者は手をあげる。(図 3.4.1.3) 5,被験者に図の矢印のように、反時計回 りに 45°回る。
図 3.4.1.2 パーソナルスペース実験 1
6,同様に反時計回りにさらに 45°ずつ回 り、接近者に対して 180°回るまで繰り返す。 これを 1 セットとする。 次のセットは、入っている曲の 2 曲目を 聴き、同様に繰り返す。
□実験における注意項目 ・協力者と向かい合う場合には協力者と視 線を合わせる。 ・立っている時は、上下左右へは向かずに、 まっすぐ真正面を向く。 図 3.4.1.3 パーソナルスペース実験 2
・被験者は iPod を操作などせず、ポケット など、気にならない場所に持つ。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
3-4-2 回避距離の測定実験 □実施日時 2007 年 10 月 12 日 15:00-21:00 2007 年 10 月 31 日 15:00-22:00 □場所 早稲田大学理工学部 55 号館 S 棟 9 階サロ ン □実験場所選定理由 本研究で測定する回避距離は、人を知覚す る行為によってできるスペースなので、外 的要因から影響されない場所で行われなけ ればならないため。 □被験者 男 19 人女 5 人 □実験協力者 男1人 □実験機材 ・コンベックス ・ノート PC ・iPod ・イヤホン替えパッド ・耳栓 ・DV カメラ
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□設営方法 ・3000 × 6000(mm) の領域に 300(mm) ピッチで床にビニールテープを引く。 ・実験室の床は灰色であるので、床のビニールテープは黒色を用いる。 ・撮影に用いるビデオ (DV) は 2 台とする。→ 前方と側方から撮影し、前方は 固定、側方は手動で動かす。 ・被験者位置、実験協力者初動位置は図中の通りとする。
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DV-1 (全体撮影用)
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被験者位置
DV-2 (足下撮影用)
図 3.4.2.1 回避実験設営図
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□使用した音楽について ・曲名 曲 A = Basement Jaxx 'Red Alert' 曲 B = Blue 'Breathe Easy' 曲 C = Tarkan 'Simarik' ・選定理由 (※ 1)
運転の際に危険な曲リスト・安全な曲リス
英国自動車協会の調査機関
ト(※ 1)の中から、曲調があまり変化し
「RAC Foundation」より
ない曲を 2 曲選び、あとの 1 曲はリズムが その 2 曲の中間程度になるものを選ぶ。 ・音量について 音量差を十分に感じられるように 3 段階に て設定する。 曲順はランダムに設定する。 曲名には、耳栓をつけてください、何もつ けないで下さいという名称があり、その指 示に従う。 □実験パターン 曲(A・B・C)×音量(小・中・大)= 9 好きな曲(音量は被験者が設定)・耳栓・ 無装着= 3 の計 12 パターン行う。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□実験手順 1 被験者は iPod を装着し、協力者と向か い合って立つ。 2 被験者は入っている曲の 1 曲目を聴く。 3 聴き始めてから 60 秒後に、合図し、協 力者者・被験者は歩行する。(図 3.4.2.2) 4 被験者は、協力者者を、 危険や衝突の 不安に耐えうる最大限度の距離 で避ける。 (図 3.4.2.3) 5 壁まで歩いた後、元の場所に戻る。 図 3.4.2.2 回避実験 1
これを 1 セットとする。 次のセットは、入っている曲の 2 曲目を 聴き、同様に繰り返す。
□実験における注意項目 ・被験者は iPod を操作などせず、ポケット など、気にならない場所に持つ。
図 3.4.2.3 回避実験 2
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
3.5 認知距離の測定実験
都市のパラメータによる空間知覚の変化 を測る実験として、街路空間において、人 の認知距離についての実験を行った。これ により、街路の印象と、「好きな曲」・「筆 図 3.5.1 明治神宮北参道
者選定の曲」・「無装着」・「耳栓」との関係 性を明らかにすることを目的とする。 □実施日時 2007 年 11 月 7 日 10:00-15:00 2007 年 11 月 8 日 10:00-15:00 2007 年 11 月 9 日
図 3.5.2 中央通り地下道
11:00-14:00 □場所(図 3.5.1-4) ・明治神宮北参道 ・大久保住宅街 ・新宿駅地下街サブナード ・中央通り地下道 (新宿駅から都庁方面に向かう地下道)
図 3.5.3 新宿サブナード
□実験場所選定理由 ・歩行の際距離が分かるような指標となるも のが無い。 ・100m 以上、同じような風景が続く。 ・左右の印象が異ならない。 □被験者 男 7 人女 3 人
図 3.5.4 大久保住宅街
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□実験機材 ・50m のひも ・iPod(被験者が持参) ・ビデオカメラ □実験手順 1: ま ず 事 前 に そ の 場 所 で 測 っ て お い た 50m を歩く。 2a: 自身のプレーヤーにて、今聞きたい音 楽を選び、聞く。 2b: 何も付けない。 2c: 用意された音楽を聞く。 2d: 耳栓をつける。 ( 上記 abcd の順は被験者ごとに異なる ) 3: 上記の状態を 1 分間続けた後、自身が 50m だと思う距離を歩く。 4: 被験者の歩いた距離を計測する。 これを 1 セットとし、2a-2d まで繰り返す。
□実験における注意項目 ・被験者は歩数、歩いている時間を意識的に は数えない。 ・あくまでも、最初歩いてもらった 50m を 参考に歩行する。 ・歩く前にどこまで歩くかは決めない。 ・iPod は操作などせず、ポケットなど、気 にならない場所に持つ。 ・疲労してきた等あったら知らせてもらう。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
3 研究方法
第 1 章 本編
□アンケート 実験終了後アンケートを行った。(図 3.5.5)アンケートにおける各因子は、 米谷らによる言語対を利用した。(※文 14)
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図 3.5.5 場所の印象アンケート
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
-./, 5,674* 89:;-<>" ?*@A7D"
3 研究方法
第 1 章 本編
4 結果
◇ 4-1 分析方法
◇ 4-2 街路空間における周囲の人との距離の取り方の調査結果
◇ 4-3 街路空間における回避行動の実験結果
◇ 4-4 実験室実験による知覚空間の計測
◇ 4-5 認知距離の測定実験
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4.1 分析方法(図 4.1.1)
□分析ソフト 「4Steps エクセル統計」 柳井久江著 オーエムエス出版 アドインソフト Statcel 2 を用いる。
群の数 3 群以上
2群 F 検定 等分散
バートレット法 不等分散
t 検定:(Student)
t 検定:(ウェルチ) 等分散 一元配置分散分析
母平均に 差がある
データ数均一 Turkey 法
母平均に 差がある とは言えない
不等分散 クラスカル・ウォリス法
母平均に
母平均に
差がある
差がある とは言えない
データ数不均一 t 検定:(Scheffe)
図 4.1.1 分析チャート図
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
Bonferroni/Dumn 検定
4 結果
第 1 章 本編
4.2 街路空間におけるパーソナル スペースの調査結果 男女のすべての組み合わせにおいて、プ レーヤー無装着では、プレーヤー装着よりも、 広いパーソナルスペースをとった。 (図 4.2.1、 4.2.2) 既往研究では、女性は同性に対するより も、異性に対する方が広く取るとあり、プ レーヤー装着時、無装着時ともにそれと同 様の結果が出た。一方、男性は性別に関わ らずパーソナルスペースは変化しないと既 往研究にあり、プレーヤー無装着時、装着 時を平均すると、相手の性別に関わらず同 じ程度の値をとり、これも既往研究と同様 ※ 1 文 8
の結果となった。(※ 1) □分析結果 危険率 5%で検定を行ったところ、「携 帯型オーディオプレーヤーを使用してい る」、「携帯型オーディオプレーヤーを使用 していない」ともに男女のすべての組み合 わせにおいて、有意な差が見られた。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
平均値と標準偏差
m 80 70 60 50 40 30 20 10 0 男男
男女
女男
女女
平均値
図 4.2.1 パーソナルスペースの調査結果(無装着) 平均値と標準偏差 m 80 70 60 50 40 30 20 10 0 男男
男女
女男 平均値
図 4.2.2 パーソナルスペースの調査結果(装着)
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
女女
4.3 街路空間における回避行動の実験結果
左図のようにオーディオプレーヤー装着者は、無装着者よりも小さい回避距 離をとることがわかった。(図 4.3.1)建部の「歩行者の回避行動における男女 差」によると、男女差は特に認められないとのことから、男女に分けての分析 は行わなかった。 平均値と標準偏差
m 160 140 120 100 80 60 40 20 0 装着
無装着 平均値
図 4.3.1 回避行動の街頭実験結果
□分析結果 危険率 5%で検定を行ったところ、音楽装着者と音楽未装着者の最近接距 離において、有意な差が見られた。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
4.4 実験室実験による知覚空間の計測
4-4-1 パーソナルスペースの測定実験 好きな曲を聴いた際、他の項目と比べ小さいパーソナルスペースをとること がわかった。(図 4.4.1.1-17) □角度ごとの結果
平均値と標準偏差 250 200 150 cm 100 50 0
耳栓 無音 小A 小B 小C 中A 中B 中C 大A 大B 大C 好き
平均値
図 4.4.1.1 0 度でのパーソナルスペース
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
平均値と標準偏差 cm
250 200
150
100
50 0 耳栓 無音 小A 小B 小C 中A 中B 中C 大A 大B 大C 好き
平均値
図 4.4.1.2 45 度でのパーソナルスペース
平均値と標準偏差 cm 250 200 150 100 50 0 耳栓 無音 小A 小B 小C 中A 中B 中C 大A 大B 大C 好き
平均値
図 4.4.1.3 90 度でのパーソナルスペース
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
平均値と標準偏差 250 200
Y
150 100 50 0 耳栓
無音
小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
好き
大B
大C
好き
平均値
図 4.4.1.4 135 度でのパーソナルスペース 平均値と標準偏差 cm 250 200 150 100 50 0 耳栓
無音
小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
平均値
図 4.4.1.5 180 度でのパーソナルスペース
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
□条件ごとの結果
図 4.4.1.6 耳栓での結果 図 4.4.1.7 無装着での結果
図 4.4.1.8 小 A での結果 図 4.4.1.9 小 B での結果
図 4.4.1.10 小 C での結果 図 4.4.1.11 中 A での結果
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
図 4.4.1.12 中 B での結果 図 4.4.1.13 中 C での結果
図 4.4.1.14 大 A での結果 図 4.4.1.15 大 B での結果
図 4.4.1.16 大 C での結果 図 4.4.1.17 好きな曲での結果
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
第 1 章 本編
4 結果
□分析結果 200 315
0
150
危険率 5%で検定を行ったところ、2 群の間に有意な差が見られたのは以下の組
45
100
み合わせにおいてであった。多方向に有意
50 270
差が見られたのを左に示す。(図 4.4.1.18、
90
0
4.4.1.19) 225
・45 度 (耳栓・好き)、(無装着・好き)
135
・90 度 (耳栓・好き)、(無装着・好き)
180
・135 度 (耳栓・好き)、 (無装着・好き)、 (耳
図 4.4.1.18 (耳栓・好き) 200 315
0
150
栓・小 B)、(無装着・大 A)、(無装着・大 B) ・180 度 (無装着・大 A)、(無装着・好き)
45
100 50 270
0
225
90
135
180
図 4.4.1.19 (無装着・好き)
,
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4-4-2 回避行動の測定実験 筆者選定の曲間では、音量が大きい程小さい回避距離距離をとる傾向が見ら
れた。また、好きな曲では回避距離が小さい傾向が見られた。 (図 4.4.2) 平均値と標準偏差 cm
90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 耳栓
無装着
小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
平均値
図 4.4.2 回避距離の結果 □分析結果 危険率 5%で検定を行ったところ、2群の間に有意な差が見られた組み合わ せは無かった。
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大C
4 結果
第 1 章 本編
4.5 認知距離の測定実験
□認知距離測定結果(図 4.5.1-4) 平均値と標準偏差 m
70 60 50 40 30 20 10 0 好き
耳栓
曲A
無装着
平均値
図 4.5.1 認知距離測定結果(北参道)
平均値と標準偏差 m 70 60 50 40 30 20 10 0 好き
耳栓
曲A
無装着
平均値
図 4.5.2 認知距離測定結果(中央通り地下)
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
1 結果
平均値と標準偏差 m 70 60 50 40 30 20 10 0 好き
曲A
耳栓
無装着
平均値
図 4.5.3 認知距離測定結果(サブナード) 平均値と標準偏差 m 70 60 50 40 30 20 10 0 好き
曲A
耳栓
無装着
平均値
図 4.5.2 認知距離測定結果(大久保)
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
1 結果
□分析結果 危険率 5%で検定を行ったところ、2 群の間に有意な差が見られたのは以下の組 み合わせにおいてであった。 ・北参道 有意な差はいずれの組み合わせにおい ても認められなかった。 ・中央通り地下 (曲 A, 無装着)、(耳栓 , 無装着) ・サブナード (好き , 曲 A)、 (好き , 無装着)、 (曲 A, 無装着)、 (耳栓 , 無装着) ・大久保 (好き , 曲 A)、 (好き , 耳栓)、 (好き , 無装着)、 (曲 A, 無装着)、(耳栓 , 無装着)
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
第 1 章 本編
□認知距離アンケート結果(図 4.5.5-8)
図 4.5.5 北参道 図 4.5.6 中央通り地下
図 4.5.7 サブナード 図 4.5.8 大久保
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
4 結果
1 結果
5 考察
◇ 5-1 パーソナルスペースに関する考察
◇ 5-2 回避行動に関する考察
◇ 5-3 認知距離に関する考察
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5.1 パーソナルスペースに関する考察
5-1-1 パーソナルスペースの調査結果に対する考察 「3-2 街路空間におけるパーソナルスペース の調査」に対する考察を行う。 □音楽聴取について ここでの音楽聴取は本研究における「好 きな曲」だと考えられる。 音楽聴取の有無によって、男女のすべて の組み合わせにおいて、周囲の人との距離 の取り方に有意差が認められたことは、 「好 きな曲」により歩行者は曲へ没入し、他 者のパーソナルスペースを侵すこと、また、 逆に他者にパーソナルスペースを侵される ことへの意識が弱まったためだと考えられ る。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
5-1-2 パーソナルスペースの実験結果に対する考察 「3-4-1 パーソナルスペースの測定実験」に 対する考察を行う。 本実験では、主に「好きな曲」 ・ 「無装着」 ・ 「耳栓」間でパーソナルスペースに有意差が が認められ、他では認められなかった。 □好きな曲について 好きな曲が他項目と決定的に異なるのは 曲への没入感だと考えられる。仮に聴覚遮 断のみでパーソナルスペースが縮小するな らば、耳栓、筆者選定の曲ともに「無装着」 と比べパーソナルスペースが縮小すると考 えられるが、そのような結果は表れていない。 □筆者選定の曲について 筆者選定の曲では、曲 A、曲 B、曲 C と もに「耳栓」「無装着」との有意な差は認 められなかった。これは、筆者選定の曲では、 個々人により曲への印象のばらつきがあり、 必ずしも一定の空間知覚変化を引き起こさ なかったためだと考えられる。また、同じ 被験者であっても、角度によってパーソナ ルスペースの変化は一定ではない。これは、 初めて聴く曲であるため、実験中にも曲へ の印象が変わっていったためだと考えられ る。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
□音量について 各音量間に有意差が認められなかったの は、実験場所が静かな場所であったためだ と考えられる。聴覚遮断には音量が小でも 十分な音量であり、音量が大きくなっても 聴覚遮断の度合いは変わらなかったと考え られる。また、音量によって、曲の印象が 大きく変わらないだろうと考えられる。 □耳栓について 耳栓と差異が認められたのは、 「好きな曲」 条件のみであった。これより、聴覚遮断は、 パーソナルスペースという個人領域に関す る知覚には、あまり影響を及ぼさないと考 えられる。また、好きな曲も耳栓との差異 が認められたことから、聴覚遮断以上の影
!$ #!! ("&$
響が曲にあることが示された。
%&$ "!!
□傾向について #*!$
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有意差は認められなかったが、条件によ
+, -./0 1234 56/4
る傾向は現れた。(図 5.1.2.1)確かに、筆 ##&$
"(&$
")!$
者選定の曲での音楽聴取条件において、検 定上の差は認められなかったが、耳栓とと
もに、「何も付けない」という条件よりは パーソナルスペースが縮まる傾向が見られ
図 5.1.2.1 パーソナルスペースの傾向
た。これは、聴覚を塞ぐことにより、空間 知覚が変化しているためだと考えられる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
第 1 章 本編
5 考察
□好きな曲・0 度について cm 220
平均値と標準偏差
0 度については、後述する回避行動の結 果と大いに関係する。回避距離が大きくな
200 180
るグループ、小さくなるグループでパーソ
160
ナルスペースの結果を分類すると、0 度で
140
はそれぞれパーソナルスペースが大きくな
120 100 装着
無装着
平均値
るグループ(図 5.1.2.1)、小さくなるグルー プ(図 5.1.2.2)の 2 つに分かれる。これは、
図 5.1.2.1 大きくなるグループ
視線交錯条件が寄与していると考えられる。 曲を聴き、没入することによって、進行方
cm
向面への意識が高まる人、逆に全体的に周
平均値と標準偏差
220
りの空間への意識が弱まる人がいると考え
200
られる。このグループ分けは回避行動にお
180 160
いても同様であり、パーソナルスペースが
140
大きくなるグループは、最近接距離が増大
120
し、パーソナルスペースが小さくなるグルー
100 装着
平均値
無装着
図 5.1.2.2 小さくなるグループ
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
プは逆に最近接距離が減少する。このこと によって、この推論の正当性が推測される。
5-1-3 パーソナルスペースの調査結果と 実験結果との比較
パーソナルスペースの街路調査結果にお いては、すべての条件において有意差が認
められたものの、実験室での実験結果では 一部にしか認められなかった。これは、調 査の対象となった人が聞いていたのが、実 験条件における「好きな曲」であるためだ と考えられる。従って、実験室における実 験と、街路における調査での結果は相矛盾 しない。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
5.2 回避行動に関する考察
5-2-1 回避行動の街頭実験結果に対する考察 「3-3 街路空間における回避行動の実験」に 対する考察を行う。 □音楽聴取について ここでの音楽聴取は本研究における「好 きな曲」だと考えられる。 音楽聴取の有無によって、周囲の人との 回避距離の取り方に有意差が認められたこ とは、 「好きな曲」により歩行者は曲へ没入し、 他者への意識が鋭敏になり、近い距離で回 避するようになったり、あるいは、逆に他 者への意識が弱まり、気づかぬうちに近い 距離で回避してしまうためだと考えられる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
5-2-2 回避行動の実験室実験結果に対する考察 cm 70
平均値と標準偏差
「3-4-2 回避距離の測定実験」に対する考察
60 50
を行う。
40 30
□パーソナルスペース実験における
20 10
0 度との相関について
0 装着
無装着
平均値
5-1-2 で述べたように、回避距離はパー ソナルスペースの 0 度の結果と相関性があ
図 5.2.2.1 大きくなるグループ
ると考えられる。5-1-2 とは異なり、パー ソナルスペースが大きくなるグループ、小 cm 70
さくなるグループで回避距離の結果を分類
平均値と標準偏差
すると、それぞれ回避距離が大きくなるグ
60
ループ(図 5.2.2.1)、小さくなるグループ
50 40
(図 5.2.2.2)の 2 つに分かれる。
30 20
□有意差が認められなかったことについて
10 0 装着
平均値
無装着
図 5.2.2.2 小さくなるグループ
0 度においては、先述するように、パー ソナルスペース測定実験においても有意 差は認められなかった。従って、本実験は、 パーソナルスペース実験における 0 度と強 く関係していると考えられる。 このことを考慮に入れると、回避距離が 大きくなるグループ、小さくなるグループ はともに、「好きな曲」条件によって影響 を受けていると考えられ、回避実験におい ても、曲への没入による空間知覚変化が認 められる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
5-2-3 回避行動の街頭実験結果と 実験室実験結果との比較
街頭実験結果では差が認められたのに対 し、実験室実験での差異が認められなかっ たのは以下の要因が考えられる。 □実験室での実験手法について 実験室での実験では、被験者は、協力者 が近づいてくるのを事前に知ってしまって いる。また、実験者が自らは避けようとし ないこと、従って被験者は自らが主体的 に避けなければならないことを知っている。 パーソナルスペース実験では、実験されて いることを被験者が知っていても、実験結 果には影響しなかったが、本実験において は、影響したと考えられる。
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5 考察
第 1 章 本編
5.3 認知距離に関する考察
「3-5 認知距離の測定実験」に対する考察を 行う。 □無装着時の認知距離と実距離との比較 北参道では無装着時の認知距離が、実距 離を上回り、他の場所では下回っている。 これは、多様・見るものが多い・温かみが ある場所では、実距離よりも短い距離を認 知するからだと考えられる。上記 3 つのよ うな要素が強い場所では、周りに気を取ら れることに労力が費やされるためだと考え られる。 □好きな曲について 他条件と有意差が出たのは、大久保住宅 街・サブナードであった。 大久保・サブナードともに(好き,無装 着)に有意差が出たのは、明るい印象があ る場所では、より好きな曲に没入し、気づ かぬうちに長い距離を歩いてしまったため だと考えられる。 また、(好き,曲 A)条件では、大久保 で は「 好 き な 曲 」 の 認 知 距 離 の 方 が 長 く、 逆にサブナードでは「好きな曲」の方が短 いという結果を得た。これは、曲 A は前方 に意識が集中され、好きな曲では全体に意 識が集中したことにより、見るものが多い 場所では、曲 A のそのような要素が認知 距離を伸ばしたと考えられる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
□曲 A について 曲 A は北参道をのぞいて、(曲 A、無装 着)の間に有意差が認められている。これは、 曲 A は前方に意識が集中するため、認知 距離が伸びる一方、北参道では広い・安心・ 歩きやすい・開放的といった空間の要素が、 そのような効果を打ち消したためだと考え られる。 □耳栓について 耳栓は曲 A と同様には北参道をのぞいて、 (耳栓、無装着)の間に有意差が認められて いる。これは、耳栓は前方に意識が集中す るため、認知距離が伸びる一方、北参道で は広い・安心・歩きやすい・開放的といっ た空間の要素が、そのような効果を打ち消 したためだと考えられる。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 考察
第 1 章 本編
6 まとめと展望
◇ 6-1 まとめ
◇ 6-2 展望
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
6-1 まとめ □パーソナルスペース パーソナルスペースは筆者選定の曲では 無装着との間に有意な差は認められなかっ た。一方、好きな曲条件では、調査、及び 実験での 45 度 -180 度で共に無装着との 間に有意な差が認められた。これより、パー ソナルスペースのような個人的空間の知覚 に影響を及ぼすのは、ある特定の曲の印象 や、聴覚遮断ではなく、没入感であること がわかった。 また、5-1-2 で述べたように、実験にお けるパーソナルスペースの 0 度においては、 実験室での回避行動実験と関係性が認めら れた。これは、曲への没入により、進行方 向への意識が強まる人、逆に弱まる人がい るためだと考えられる。 □回避距離 「好きな曲」聴取によって、回避距離の 取り方に有意差が認められたことは、「好 きな曲」により歩行者は曲へ没入し、他者 への意識が鋭敏になり、ぎりぎりのところ で回避するようになったり、あるいは、逆 に他者に他者への意識が弱まり、気づかぬ うちにぎりぎりのところで回避してしまう ためだと考えられる。筆者選定の曲では有 意差が認められなかったことから、回避 行動において人の知覚に影響を及ぼすのは、 ある特定の曲の印象や、聴覚遮断ではなく、 没入感であることがわかった。実験室実験 は、その実験手法に再考の余地がある。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
6 まとめと展望
第 1 章 本編
第 1 章 本編
6 まとめと展望
□認知距離 場所の印象により、 「没入感」 ・ 「聴覚遮断」 ・ 「曲の印象」のどれが影響を与えているかが 異なった。 「好きな曲」すなわち、「没入感」は、場 所の明るい印象により、長い距離でも歩き やすくなったと考えられる。 「曲 A」「耳栓」については、認知距離が 伸びたが、聴覚遮断という意味で、視線の 方向である前方への意識が強まったためだ と考えられる。 全体に言えることとして、広い・安心・ 歩きやすい・開放的といった空間の印象を 持つ場所は、没入感、聴覚遮断共にその影 響を与えにくいことがわかった。
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第 1 章 本編
6 まとめと展望
6-2 展望
本研究では、携帯型オーディオプレー ヤーの使用によって、空間知覚に変化があ ることを示すことが出来た。 一方、個々人における曲の印象への違 いは課題である。0 度のパーソナルスペー ス・回避距離には各々の被験者に相関性が 見られたが、なぜそれらが増加するグルー プ、減少するグループに分かれたかについ ての客観性のある分析は本研究で行ったア ンケートからは不可能である。 現在、曲の印象評価には感情価・SD 法 によるものがあるが、それらは未だ十分で はない。今後、曲を遺伝子と見立て、その アルゴリズムを解析する方法など、よりよ い評価方法の確立が望まれている。 はるか昔から、今も、そしてこれからも 音楽は人とともに存在し続ける。今後も音 楽を聴くスタイルは時代とともに変化して いくだろう。それとともに、音楽と空間の 関わり合い方も変容していくべきであろう。
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
参考文献
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
参考文献
参考文献
□パーソナルスペース 1,エドワード・ホール : かくれた次元 , みすず書房 , 1970 年 2,加藤直子,城仁士 : 香りがパーソナルスペースに与える影響 , 人間科学研究 vol9,No1, 2001 年 3,大野隆造,松田好晴 : 公共空間における他者の占有領域の知覚に関する研究 , 日本建築学会計画系論文集,No519,pp93-99,1999 年 4,野瀬出,雨森雅哉,中尾彩子,松尾千尋,山岡淳 : パーソナルスペースへ の侵入に対する心理・生理的反応 -- 接近者の印象による影響 , 文京学院大学人 間学部研究紀要 vol 7,No.1,pp263-273,2006 年 5,橋本都子,高橋 公子 : 空間における心理的領域に関する研究 : 対人距離の 実験に基づく考察 , 日本女子大学大学院紀要 . 家政学研究科・人間生活学研究 科 vol 1,pp67-78,1995 年 6,遠山孝司,小塩真司,内田敏夫,西口利文 : パーソナルスペースに影響を 及ぼす要因の検討 -- 身長 , アイコンタクト , 向性に注目して , 人文学部研究論集, No16,pp115-128,2006 年 7,末増亨,城仁士 : 携帯電話がパーソナルスペースに及ぼす影響 , 人間科学研 究,vol8,No1,pp67-77,2000 年 8,青野篤子 : 個人空間に及ぼす性と支配性の影響 , 心理学研究,vol52,No2, pp124-127,1981 年
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
参考文献
□回避行動 9,遠田敦,渡辺秀俊,佐野友紀,高橋正樹,林田和人 : ロボットに対する人 間の回避距離 , 日本建築学会計画系論文集,No601,pp81-85,2006 年 10,松本輝紀,大井尚行 : 歩行者の回避行動に関する観察実験 , 日本建築学会 研究報告,九州支部 .2,環境系,No41,pp121-124,2002 年 11,朝田伸剛,大佛俊泰 : 歩行空間における歩行者と自転車の回避行動 , 日本 建築学会大会学術講演梗概集,pp1059-1060,2000 年 12,丹羽俊介,西田和彦 : 歩行時における空間の距離認知に関する研究 , 日本 建築学会大会学術講演梗概集,pp773-774,1999 年 □認知距離 13, 柳 瀬 亮 太, 相 馬 一 郎 : 空 間 情 報 と 認 知 距 離 の 関 連 : 大 規 模 建 築 空 間 内経路の空間計画のための基礎研究 , 日本建築学会計画系論文集,No530, pp163-169,2000 年 14,大野隆造, 小倉麻衣子,添田昌志,片山めぐみ : 地下鉄駅における主 観的な移動距離および深さに影響する環境要因 , 日本建築学会計画系論文集, No610,pp87-92,2006 年 15, 米 谷 一 心, 鈴 木 聡 士, 東 本 靖 史, 五 十 嵐 日 出 夫 : 意 識 距 離 の 短 縮 効 果を有する歩行空間の創出に関する基礎的研究 , 地域学研究,Vol32,No1, pp173-187,2001 年
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 1 章 本編
参考文献
□参考 URL 16,ipod 等の携帯デジタルオーディオプレーヤー (HDD, シリコン共 ) の市場 規模 http://q.hatena.ne.jp/1126608056 17,携帯プレーヤー、ビデオ再生可能機種が主流に̶̶米調査 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/29/news020.html 18,No.058 事故を招く危険な音楽 http://fleshwords.at.infoseek.co.jp/dt/dt058.htm 19,ニューヨーク州上院議員、路上横断時の iPod 規制法案を提出へ http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20342614,00.htm
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
おわりに
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
おわりに
おわりに
謝辞 紆余曲折ありましたが、なんとか書き終えることが出来ました。 この論文でお世話になったすべての人に感謝します。 途中から担当になったにも関わらず、連日深夜までメッセに付き合ってくださった森村さん。 最後まで懲りずに付き合ってくださった大塚さん。 普段は冗談を言いながらも、親身になって見てくださった遠田さん。 あの成績にも関わらず、論文を書く機会をくださった渡辺先生。 寒さに震えながらも、気にかけてくださった林田さん。 会議では、厳しくも的確なアドバイスをくださった長澤さん。 担当でないにも関わらず飲みに、相談に、愚痴に付き合ってくださった多和田さん。 数々の暴言を許してくださり、笑顔で癒しを与えてくれた小原さん。 ゼミに、ゼミ後に相談にのってくださった菊池さん。 いつもは無口でも、鋭い指摘をくださったひでさん。 励まし合って、苦楽を共にした卒論生のみんな。 実験を手伝ってくれた建築学科のみんな。 憂鬱になっているとき、励ましてくれた友人たち。 人まで集めてもらって、ほんとに長い間実験を手伝ってくれた清水。 忙しい中、実験室を休んでまで来てくれたおっさー。 みんな本当にありがとう ! 2007.11.11 秦野晃一
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
1 街頭パーソナルスペース調査データ □携帯型オーディオプレーヤー無装着 男男
男女
女男
女女
40
40
55
60
60
30
55
50
70
50
35
60
45
40
35
40
45
45
60
50
75
45
35
40
50
50
40
20
55
40
100
20
50
45
50
30
50
30
60
55
45
30
50
35
45
45
60
65
15
30
50
60
50
45
60
60
55
50
50
45
65
50
50
50
60 50 60
□携帯型オーディオプレーヤー装着 男男
男女
女男
30
30
45
女女 35
30
45
25
25
25
30
40
40
35
40
45
40
40
15
45
20
60
40
45
10
20
30
30
15
10
50
30
35
45
15
20
20
10
40
20
20
15
30
25
15
30
15
30
60
45
15
55
20
15
40
15
10
40
40
25
15
40 10
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
2 街頭回避行動実験データ
!"
#!"
!"
#!"
79.2
88.4
42.8
67.8
29
134.4
4.9
117
49.6
100.9
58.5
77.8
31.2
74.1
28.1
83
63.4
98.2
50.9
76.3
56.7
120
70
101.6
22.3
89.5
49.8
139.5
39.3
90
42.4
60.7
60.8
99.4
67.5
77.1
48.3
124.4
40.2
72.9
38.9
126
51.4
154.9
23.7
125.5
37.7
72.7
32.4
166.5
65.2
104.1
61.2
113.9
88.4
167.8
68.4
138.6
18.6
110.9
41.5
107.4
63.4
178.7
55.2
193.4
123.2
74.4
106.8
90.6
76.9
87.4
53.1
44.8
68.7
186.4
65.3
120.3
60.5
97
127.3
80.5
10.4
66.9
28.1
134.7
55
61.6
87.3
40.5
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
3 パーソナルスペース結果データ □0度 被験者番号
耳栓
無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
1
105
160
165
145
200
105
105
185
100
130
130
2
120
3
145
115
120
135
105
135
125
115
125
140
120
85
140
135
145
135
145
155
115
125
175
4 5
130
175
180
120
175
115
95
130
110
115
150
180
180
180
185
170
170
180
165
170
170
185
6
225
270
220
110
255
260
225
215
100
220
240
7
180
240
175
220
170
200
190
230
210
185
155
8
105
90
100
70
80
80
100
105
120
125
115
9
130
145
145
140
150
150
150
145
130
150
165
10
130
120
100
110
125
130
135
145
110
140
120
11
175
210
190
180
175
180
180
215
180
155
160
無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
□ 45 度 被験者番号 1
耳栓 120
130
105
155
135
110
105
165
120
170
70
2
150
90
120
115
120
120
130
105
115
130
125
3
140
180
115
135
150
105
120
125
100
120
125
4
120
140
165
90
95
95
70
100
75
90
130
5
210
200
195
210
165
190
200
170
180
170
195
6
210
300
190
120
270
265
215
250
140
160
230
7
180
215
160
210
165
175
170
195
180
160
120
8
90
85
90
60
95
90
90
85
110
110
100
9
135
150
120
125
120
130
130
130
125
105
115
10
110
100
100
105
100
105
120
110
105
120
110
11
130
125
115
130
100
115
120
135
120
115
100
大B
大C
□ 90 度 被験者番号
耳栓
無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
1
100
150
75
120
145
90
95
125
85
190
35
2
110
140
115
135
165
105
135
135
105
120
100
3
130
160
130
145
165
140
135
130
85
120
140
4
145
90
135
95
90
120
75
120
70
90
130
5
210
160
215
225
170
210
200
220
260
205
210
6
200
285
210
85
240
250
230
260
160
120
170
7
145
200
110
195
130
140
165
170
180
140
115
8
100
75
75
65
105
95
80
90
100
105
95
9
120
135
90
135
135
110
130
120
130
70
110
10
110
90
80
90
110
95
130
100
90
95
75
11
120
95
75
95
70
70
100
105
100
90
85
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
□ 135 度 被験者番号
耳栓 無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
1
0
110
45
60
75
45
20
95
20
50
0
2
75
65
75
60
90
45
50
75
10
60
60
3
35
30
95
15
55
60
50
30
25
60
25
4
95
0
0
0
0
120
0
0
0
0
0
5
180
140
165
180
125
260
80
240
160
150
210
6
165
190
105
0
135
135
225
260
60
30
120
7
0
120
0
0
0
30
0
0
45
0
0
8
0
90
0
0
0
0
35
0
0
0
50
9
0
110
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
65
0
90
0
0
110
75
75
45
35
□ 180 度 被験者番号
耳栓 無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
1
15
65
40
95
0
0
55
15
0
60
0
2
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
120
65
160
165
180
230
90
270
30
210
285
6
350
190
190
0
80
90
155
75
95
0
210
7
30
150
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
60
0
0
0
0
0
0
0
20
0
9
0
35
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
□追加実験データ 被験者番号
無装着
好き
150
60
1
2
135
40
2
3
105
65
3
4
150
120
5
120
6
1
被験者番号
無装着
好き
無装着
好き
75
1
155
65
115
35
2
105
30
90
65
3
90
40
4
135
100
4
90
95
145
5
135
120
5
120
130
145
125
6
165
95
180
被験者番号
135
160
6
7
150
170
7
100
90
7
100
90
8
120
105
8
130
105
8
150
90
9
140
75
9
140
60
9
165
50
10
165
180
10
240
150
10
230
115
11
160
105
11
120
60
11
50
0
12
120
75
12
110
95
12
125
85
13
150
120
13
120
90
13
105
60
14
240
225
14
270
210
14
240
210
15
225
210
15
260
175
15
180
115
16
60
70
16
75
70
16
70
70
17
195
170
17
150
155
17
110
120
18
195
145
18
180
120
18
100
75
19
150
160
19
175
160
19
190
170
0 度 45 度 90 度 被験者番号
無装着
好き
無装着
好き
1
150
70
1
180
155
2
30
15
2
210
0
被験者番号
3
135
0
3
85
0
4
55
30
4
0
0
5
0
90
5
125
0
6
0
0
6
0
0
7
0
0
7
0
0
110
0
30
0
8
120
45
8
9
105
0
9
10
210
135
10
225
0
11
30
0
11
30
0
12
145
60
12
120
115
13
30
0
13
0
0
14
30
0
14
55
0
15
85
0
15
30
30
16
95
125
16
100
180
17
30
0
17
0
0
18
70
0
18
25
0
19
165
60
19
30
0
135 度 180 度
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
第 2 章 資料編
4 回避行動結果データ □実験結果
被験者番号 耳栓 無装着 小A
小B
小C
中A
中B
中C
大A
大B
大C
1
80
60
60
60
70
65
45
60
60
50
60
2
50
65
50
60
60
60
65
60
60
75
70
3
60
35
45
45
35
50
50
50
45
50
45
4
75
55
55
55
65
70
75
70
70
75
75
5
70
75
65
90
60
80
70
65
75
75
70
6
75
70
65
75
70
80
70
70
75
70
75
7
70
70
75
60
80
65
65
70
65
60
70
8
70
70
70
75
70
75
90
85
65
65
65
9
55
50
75
70
60
60
55
55
65
60
60
10
55
55
70
50
50
50
50
55
50
45
45
11
35
55
45
35
45
40
40
45
40
40
35
12
95
80
80
70
85
70
75
90
70
65
60
13
60
65
55
50
60
70
70
65
55
55
45
14
90
70
65
65
60
70
70
50
65
45
55
15
60
60
60
65
70
55
60
75
40
65
50
16
80
65
80
65
80
70
60
65
80
60
90
17
40
45
45
50
50
55
45
50
50
50
50
18
60
45
75
60
70
60
60
60
70
60
60
被験者番号
無装着
好き
1
53
35
2
79
26
3
64
38
4
51
57
5
45
53
6
37
43
7
26
40
8
48
29
9
67
63
10
52
40
11
44
24
12
63
53
13
45
42
14
41
41
15
62
46
16
37
45
17
55
72
18
73
63
19
61
64
追加実験結果
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
5 認知距離実験結果データ □実験結果
大久保
好き
曲A
耳栓
無装着
都庁
好き
曲A
耳栓
無装着
1
70
52
59
56
1
54
51
55
40.6
2
60
58
52.5
45
2
47.4
53
55
45.8
3
59
57.5
57.5
50
3
48
52.2
39
48.2
4
60
49
58
36
4
43
50
48
45
5
60.5
52.5
54
44
5
45.2
51.2
44.4
41.2
6
61
52.5
53.5
42.5
6
51.2
52.6
45.2
42
7
61.5
55
58
47.5
7
48.6
52.8
47
46
8
67.5
57.5
58.5
50
8
49.2
50.2
52.8
46
9
63
54.5
57.5
48
9
47.6
50.4
52.2
47.2
10
60
53
59
48.5
10
47
50
54
47
無装着
サブナード
好き
曲A
耳栓
無装着
神宮
好き
曲A
耳栓
1
50.4
67.2
60
40.4
1
43.4
41.6
44.6
59
2
57.2
59.6
59.2
52.8
2
63.8
50
50.6
61.4
3
48
58
46.8
36.8
3
53.6
56.6
60.4
46.4
4
45.2
43.2
39.2
40
4
47
51.8
45.8
45.8
5
47.6
50.4
50.4
41.2
5
44
43.4
45.2
47
6
52
58
49.2
43.2
6
51.2
52.4
53
54.2
7
51.2
61.2
52
45.6
7
58.4
56
58.4
59.6
8
49.2
59.2
54
42
8
45.2
48.8
48.2
50
9
50
60
52.8
43.2
9
52.4
48.8
47.6
51.2
10
51.2
53.2
49.6
39.6
10
59
50.6
49.4
57.2
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
第 2 章 資料編
5 認知距離実験結果データ □アンケート結果
神宮
明るい
にぎやか
温かみ
広い
多い
多様
開放的
新しい
歩きやすい
安心
1
2
2
2
5
2
2
5
3
5
4
2
2
1
1
3
2
2
4
2
5
5
3
4
1
1
5
3
2
4
1
5
5
4
2
1
2
4
3
1
2
1
5
4
5
2
1
2
4
3
3
4
1
5
4
6
2
1
2
4
2
2
4
1
5
5
7
3
2
2
5
4
2
4
1
5
4
8
3
1
2
5
2
2
3
2
5
3
9
2
1
1
4
3
2
4
2
5
5
10
2
1
1
3
2
2
4
2
5
5
都庁
明るい
にぎやか
温かみ
広い
多い
多様
開放的
新しい
歩きやすい
安心
1
2
4
3
2
4
4
2
3
2
2
2
4
5
3
2
5
4
2
5
2
2
3
2
5
3
1
1
1
1
4
3
3
4
2
3
3
3
3
2
1
3
3
2
5
1
5
2
3
4
4
2
4
2
2
6
2
4
3
2
2
2
2
4
3
3
7
3
4
4
2
4
4
1
4
3
2
8
2
5
2
3
4
3
2
3
1
2
9
2
5
2
2
4
3
1
4
3
2
10
2
4
3
2
3
3
2
4
2
2
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究
第 2 章 資料編
5 認知距離実験結果データ □アンケート結果
サブナード
明るい
にぎやか
温かみ
広い
多い
多様
開放的
新しい
歩きやすい
安心
1
4
4
3
3
4
5
2
5
3
5
2
5
5
4
3
5
5
2
5
4
4
3
3
5
4
1
4
3
3
2
2
3
4
4
4
4
2
5
4
2
2
4
3
5
5
5
4
3
5
5
3
2
4
4
6
4
4
4
3
5
5
2
4
3
3
7
4
4
3
2
4
4
2
3
3
4
8
4
5
4
2
4
4
2
3
4
4
9
5
5
4
2
5
5
3
3
4
4
10
4
5
4
3
5
4
3
3
3
4
大久保
明るい
にぎやか
温かみ
広い
多い
多様
開放的
新しい
歩きやすい
安心
1
2
2
2
1
2
2
3
2
5
4
2
3
2
2
2
2
2
3
2
2
2
3
3
3
4
1
2
4
4
2
2
2
4
5
1
2
3
4
4
4
2
3
4
5
5
2
2
1
2
2
3
3
2
2
6
4
1
3
2
3
3
3
2
4
3
7
4
3
2
2
2
3
3
3
2
2
8
3
2
2
2
2
2
4
2
2
3
9
3
2
3
1
3
3
3
2
3
4
10
4
2
2
1
2
3
4
2
3
2
携帯型オーディオプレーヤー使用時の空間知覚に関する研究