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M0703 視 覚 情 報 の 逓 減 か ら み た 街 頭 プ ロ モ 1 シ 3 ン 活 動 の 見 物 衆 の モ デ ル 化
菊 池 徹
修士論文
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化 Modeling of Audience Behavior of Street Oratory Based on Diminution of Visual Information
平成 19 年度 早稲田大学大学院理工学研究科 建築学専攻建築計画専門分野 菊池 徹
Hitoshi Watanabe Lab. 2007
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
はじめに
本論をはじめるにあたり唐突ではありますが、実は私はミュージシャンにあこがれてこれまでの 学生生活を送ってきました。好きなアーティストは誰?と聞かれても、当然建築デザイナーよりも、 ミュージシャンのほうが先に挙がるのです。学部時代の生活では大久保キャンパスにいる時間より 新学生会館にいることのほうがはるかに多く、また、講評会で人前に立つよりステージ上で人前に 立つことのほうがはるかに多かった。建築のオーダーに関する薀蓄(うんちく)よりも、音楽の和 音構成に関する薀蓄のほうが、それこそ冴えが違いました。 しかし私は悩みました。音楽で生きていくことは考えるな。幼少期からの菊池家(+親戚一同) の教えです。ならば建築出身の人間としてこのまま建築について何も知らずに世に出てよいものか。 そこで私は心を決めたのです。これまでの遅れを取り戻すべく、大学院に進み建築について一丁前 の持論を持てるようになろうと。こうしてバンド仲間には別れを告げて渡辺仁史研究室のドアをた たいたのでした。 その決心から3年あまり、研究室内では情報化建築を選び、最先端の「かっこいい」研究を模索 しました。このあたりにも「バンドマン=かっこいいもの好き」の精神が働いていたのでしょう。 ところがです。二転三転、めぐりめぐって最終的に修士研究に選んだテーマは、情報化建築のハイ テク研究とは少々毛並みの違う、本研究でこれから論じようとしている「人だかり」でした。音楽 をやっていたころの、ステージが見たいのに見えない、前に行きたいのに行けない、落ち着いて見 ていたいのに人が多すぎて疲れる、この体験から発展したものでした。 結局修士学生として意気込んで建築の持論を展開しようとしても、基となる自分の着眼点は変わ らないということなのでしょうか。ならばミュージシャンとしてパフォーマンスする主体となるこ とはなくなっても、今度はそれを見る立場として見物衆を科学してみよう、そこから建築や都市を 考えてみよう。こうして私は人だかりの研究に着手したのでした。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 1
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
目次 はじめに
1
目次
2
1 序論 1.1 研究目的
3
1.2 研究背景 1.2.1 選挙遊説の動きと課題
4
1.2.2 群集流動に関する既往研究
5
1.2.3 研究の位置づけ
7
1.3 語句の定義 1.3.1 語句の定義 1.3.2 見物衆の定義
9 12
2 本論 2.1 研究方法 2.1.1 研究の流れ
13
2.1.2 調査方法
14
2.1.3 分析方法
16
2.2 基礎分析 2.2.1 密度の可視化
18
2.2.2 見物衆の規模
21
2.2.3 人数の分布
23
2.2.4 基礎分析のまとめ
29
2.3 仮説と分析 2.3.1 仮説の設定
30
2.3.2 視野確保
31
2.3.3 個人領域に関して
33
2.4 モデル化 2.4.1 アルゴリズムの構築
39
2.4.2 パラメータの設定
43
2.4.3 通行人の影響と滞在時間の検討
50
2.4.4 モデルの提案
56
2.4.5 視線高について
58
2.5 シミュレーション 2.5.1 シミュレーション環境について
61
2.5.2 見物衆の制御について
65
3 結論 3.1 まとめ
69
3.2 展望
70
謝辞
71 Hitoshi Watanabe Lab. 2007 2
1章 序論 1.1
研究目的
1.2
研究背景
1.3
語句の定義
Hitoshi Watanabe Lab. 2007
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.1
研究目的
選挙遊説における街頭演説などの都市公共空間におけるプロモーション活動は、往来が多く混雑 した状況であればあるほどその目的に合致する。見物衆の規模に一般の歩行者から苦情が寄せられ るケースや、過度の密集のために危険な状態に陥るケースも見られる。このため混雑した状況を制 御し得る空間利用計画、及び管理対策が求められている。 そこで、一般の通行人にとって不快となるプロモーションや見物衆の過度な集中によってもたら される危険な状態を回避するため、本研究ではこれらのプロモーション活動に集まる見物衆の形態 をモデル化し、事前に空間の利用を検討・対策できる手段を用意することを目的とした。
図 1.1 選挙遊説に集まる見物衆のようす
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 3
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.2 研究背景 1.2.1
選挙遊説の動きと課題
本年度(2007 年度)は、政界に大きな動きが見られた一年となった。年金問題や格差経済への 対応などさまざまな分野で動き見られたが、それらの中でも特に衆参両院で第一党の異なる「ねじ れ国会」の成立や、安倍総裁の突然の辞任など、首長の転換にもっとも注目が集まった年であった といえよう。 この結果、政局の動きがメディアをにぎわす一方で、各主要駅などの往来の多い公共空間におい ては、多数の選挙活動が展開された。4月に行われた東京都知事選、7月には参議院選挙が行われ、 選挙遊説により街角は喧騒に包まれた。安倍政権の崩壊による自民党総裁選が9月に行われ、一部 の候補者においては選挙遊説とその観衆が話題になった。さらに今後も世論の高まりを受た衆議院 解散による総選挙が行われると予想されている。 一方で都市空間使われ方の観点からは、選挙の開催のたびに行われるこのような選挙遊説とは、 公共空間を突然混雑に巻き込む要因であるとも考えられる。もともと交通量が多い箇所に、突如著 名人のプロモーション活動などが起こるとすれば、さらにこの行為が人を集め、混雑が混雑を呼ぶ 結果となる。元来、選挙における街頭演説などのプロモーション活動は、その性格上より多くの人々 の目に触れる空間で行うほど、その目的に合致する。このために、プロモーションの主催側は駅構 内や駅前空間などの往来の多い空間を選定することが常である。しかし、例えば選挙遊説中行った ヒアリングによると、一般の歩行者と見物衆の錯綜や混雑にクレームが毎回寄せられているとの回 答がみられた。 また、選挙遊説は候補者など演説者の防犯安全上の理由のため、および公職選挙法の規制 1)な どのために直前まで遊説の候補地を公表しないことが一般的となっている。その結果もともと往来 の多い駅前空間に突然さらに人だかりを集める人気遊説者が出現するなどのケースも見られ、混雑 を助長する原因になっている。さらに選挙活動の公明さを保障するため、公職選挙法に基づく政治 活動用の車両は道路交通法及び自治体の道路交通規則から除かれることから、もっとも交通量の多 い場所を選定し突然街頭演説を行うことが事実上可能となっている。 往来の多い公共空間における選挙遊説では演説者と見物衆のみならず、その他一般の通行人がい るという視点を含めた空間利用が期待される。選挙遊説の突発性や往来の多い都市公共空間を使用 する特性から、事前に見物衆の検討をつけ、管理体制をとることが求められている。
1)公職選挙法に明文化されてはいないものの、総務省は「候補者は選挙期間中 WEB サイトを更新できない」という立場をとっ ている。
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.2.2 群衆流動に関する既往研究 事前の空間利用を検討する作業に有効であると考えられるのが、空間の使い手である人間の行動 をシミュレーションすることである。空間における人間の挙動をシミュレーションによって再現す ることは、その空間設計が使い手にとって適切なものかを検討する重要な手段となり得る。そして、 これによってある空間において人間がどのような利用の仕方をするのか、利用上どのような問題点 があるのか事前に確認することが可能となる。これまでシミュレーションによる利用者の事前の空 間利用の検討によって実現可能となった建築や、明らかになった問題点など、その成果は多岐にわ たる。そしてこのようなシミュレーションを可能にするためには、利用者の行動を再現するモデル をが必要である。このため建築計画では、ある空間を人間がどのように使っているのかといった建 築の使われ方研究に端を発し、特定の空間内での人間の行動特性のモデル化を試みる研究が進んだ。
歩行行動のモデル化 これまで、人間の行動特性のモデル化とシミュレーションによる応用は、規模算定や配置計画決 定によりどころとなる資料を提供する目的で研究と実践が積み重ねられてきた。この起源は特定の 施設の利用時間という特性を実測調査による統計的な解析処理より導き出した吉武らによる「建物 の使われ方研究」1)にさかのぼる。 吉武は、トイレなどのサービス時間を統計的に算出することで、待ち行列理論をつかった規模の 算定に資するものとなった。建築的施設をノードにリンクで結んでサービス状況や稼動率を動的に 算出することに成功したシステムダイナミクス 2)も人間行動シミュレーションの建築への応用の 基礎を築いた成果の一つであろう。さらに、近年では計算環境の発展によって人間の微視的な行動 の再現と時々刻々と変化する状況を再現し、実際の空間との対応を考えたモデルが多く発表される ようになる。岡崎ら 3)は歩行する人間間に作用する一種の斥力を磁気に見立てモデル化し、簡単 な回避行動や交差行動の再現に成功した。松下ら 4)は歩行者の滞留をアニメーションによって再 現し建築の動線計画上の問題点を指摘している。 以降、建築計画のための歩行行動の再現を目的に、セルラオートマトンによる歩行特性の記述や 衝突可否や減速など細かい人間の挙動な歩行関連行動を再現可能にしたエージェント試行型のモデ ル 5)、粒子動力学法による大規模な計算を可能にしたシミュレーションモデル 6)が多く発表された。 これらの高い再現性により、ボトルネックや過密群衆の危険性など歩行行動による空間評価は一定 の成果を上げている。 1)吉武泰水 : 建築計画の研究 , 建物の使われ方に関する建築計画的研究 ,1965 2)中村 , 渡辺 , 中島ら:人間 - 空間系の研究 ,1972.11 3)岡崎甚幸 : 建築空間における歩行のためのシミュレーションモデルの研究 , その1磁気モデルの応用による歩行モデル , 日 本建築学会論文報告集 ,Vol.283,pp.111-119,1979.9 4)松下聡 : 待ち行動を含む群集歩行シミュレーションモデルの研究 , 日本建築学会計画系論文報告集 ,Vol432,pp.79-85,1992.2 5)例えば渡辺仁史研究室と A&A、竹中工務店によるエージェント指向シミュレータ SimTread 6)例えば高柳英明 : 群衆力学に基づく歩行行動モデル , 渡辺仁史研究室学位論文 ,2003.3
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
立ち止まり行動のモデル化 計算機器の発展により動的な表現が可能になって以降、空間評価のための人間行動のモデル化は、 歩行行動のモデル化とシミュレーションの研究を中心に進められてきた。ボトルネックや過密な歩 行者による滞留現象の再現は一見見物衆の過密さに似通ってはいるが、自ら立ち止まる決定をして いる見物衆はこれらで再現できるものではない。 一方で立ち止まり行為の特性の研究に、例えば梅澤 7) による待ち合わせ行動の特性を把握し、 建築計画に活かそうというものが挙げられる。待ち合わせという立ち止まる行為がおきやすい空間 的なポテンシャルを調査より明らかにし、人間本来の待ち合わせ行動に即した設計を提案するもの であった。しかし、待ち合わせ行動は過密な群衆の持つ危険性を主眼においたものではなく、この 点で見物衆の行動特性の把握とは視点の異なるものである。 また、同種の研究に伊藤 8)による路上パフォーマンス空間の観客の行動特性の研究が挙げられる。 観察データを蓄積することにより、観衆の形態や通行人との関係など、基礎的な資料を集めている。 しかし本論の目的とするような利用法のために見物衆の行動特性を記述するモデルを作成するには 至っていない。
7)梅澤力 : 駅における待ち合わせ行動予測モデル , 渡辺仁史研究室修士論文 ,1998 年度 8)伊藤倫子 , 山口有次 , 林田和人 , 中村良三 , 渡辺仁史 : パフォーマンス空間における観客の行動特性に関する研究 , 日本建 築学会大会学術講演梗概集 ,E-1 分冊 ,pp.885-856,1998.9
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.2.3 研究の位置づけ 見物衆をはじめ、駅前や街路などの都市公共空間では、さまざまな立ち止まり行為が見られる。 往来の多いこのような歩行空間であえて立ち止まる行為には、その行為の前提として「休憩をする ために」や「待ち合わせをするために」といった立ち止まるための目的があると考えられる。これ を、ここでは立ち止まるという決断をするに至る内的欲求と呼ぶこととする。内的欲求をもった各 人にはそれを実現するために必要な条件が発生することとなる。例えばドラッグストアなど(図 1.2.3-1)、ある路面店でタイムセールをしているとしよう。ここの商品を手に取るための人だかり が発生しているとする。これらの立ち止まる群衆は「商品を手に取りたい」という内的欲求のもと、 それを達成するために自分の手が商品に届く範囲に立つという空間的な条件をクリアしなければな らない。
図 1.2.3-1 商品を手にとる人だかり
このように考えると、立ち止まり行為にはその前段階に内的欲求があり、さらにそれを実現する ための空間的達成条件があると考えることができる。これらの関係を欲求の分類とともに表 1.2.3-2 に示した。我々は都市生活において見られる立ち止まる行為は、様々な内的欲求を達成するために 生じていると考えることができる。
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
表 1.2.3-2 内的欲求と達成条件 内的欲求
達成条件
行動モデル
見たい
可視範囲に居る
本研究
聴きたい
可聴範囲に居る
嗅ぎたい
可嗅範囲に居る
手に取りたい(触れたい)
手の届く範囲に居る
買いたい
可視範囲に居る
食べたい
可視範囲に居る
休みたい (人を)待ちたい 進みたい(歩きたい)
可視範囲に居る (相手の)見える位置に居る 前方に障害がない
待ち行列研究 待ち行列・稼働率研究 休憩行動研究 待ち合わせ行動研究 群衆流動・歩行行動研究
この考え方に即して群衆滞留など既往研究が扱ってきたものを考えてみると、歩きたい・前方へ 進みたいなどといった内的欲求に対して、達成するための空間的条件が未達成の結果として立ち止 まりが起きていると整理できる。空間的に人々の欲求を阻害しているために、避難などの緊急な状 況では建築計画の計画そのものが安全を脅かす危険性がある。このため群衆流動と避難は常に対比 させて論じられてきた。 一方で空間的な達成条件をクリアすべく個々が自立的に立ち止まり行為に向かう 1)結果、過密 な状態になり、群衆の存在が結果として達成条件を阻害するケースが本論で扱うテーマである。言 い換えれば建築における平面計画が人々の安全を脅かしていたことを問題視したこれまでの群衆研 究に対し、本研究では空間の選定が課題であり、自立的に集合する個々をいかに制御すればよいか という示唆を得ようとするものである。
1)自己駆動系粒子 。西成活裕著 : 渋滞学 , 新潮選書 ,2006.9
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.3
語句の定義
1.3.1 語句の定義 立ち止まり行動 本論における調査に基づく立ち止まり行動の判断は、「3秒間以上、50cm/s 以下の状態が続き、 場所の移動を行っていない状態のこと」を指すこととした。また、本項以降立ち止まりとはこの条 件によって抽出された個人の状態を指すこととする。
内的欲求・達成条件 前項で記したように、立ち止まり行動を起こす主体には、その前提として「触れるため」に立ち 止まる、「待ち合わせをするため」に立ち止まる、といった目的が意識的にせよ無意識的にせよ存 在すると考えられる。これをそれぞれの内的欲求とよぶこととした。 同様に、立ち止まり行動の前提に内的欲求が存在するのであれば、その欲求を達成するための空 間的・環境的な条件が存在すると見ることができる。つまり「触れるため」には対象に手の届く範 囲に立ち止まりが可能でなければならない。また、「待ち合わせ」をするためには、待ち合わせを する相手から見える範囲に立ち止まりが可能でなければならない。これらの内的欲求を実現する空 間的条件を達成条件とよぶこととする。 なお、人間行動と欲求の対応については、水越英一郎「行動主体における建築空間モデル」1)に 詳しい。水越は「人間がある任意の欲求、行動を満たすために行う行為に対処する際に用いる感覚
器官の状態は、空間にある種の環境的な条件とその行為を保管するための操作可能な物的要素(例: 手紙を書くときの紙や鉛筆等)を要求する。」としている。
1)水越英一郎 : 行動主体における建築空間モデル , 渡辺仁史研究室修士論文 ,1994 年度
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
見物衆 本研究では主にその調査対象およびモデル化する群衆を、不特定多数の人間が集まる公共空間に おいて、プロモーション活動などに偶然的に集まる観衆を指すことと定義する。 「観衆」について Brown(1957)2)は、観衆とは意図的に計算された聴衆、偶然的聴衆とに区別 されるとしている。この場合前者は計算された聴衆とは計画されたコンサート会場などに赴いて鑑 賞行動をとる群衆を指し、後者は街路などで、ある何かしらの対象に対して突然集まりだす群衆を さしている。前者は本研究の取り扱う流動性の高い屋外公共空間におけるパフォーマンス活動を見 物する群衆を指し示すには趣旨が異なっているが、後者は都市における自由な屋外空間で偶然的に 発生した群衆形態を想起するものであり、本研究の趣旨に即した表現となる。そのため「聴衆」指 し示す群衆のうち、後者を限定して表現する言葉として、本研究では特に「見物衆」を用いること にした。 また、この種の群衆を指し示す同義の言葉に、「観客」、「人だかり」などが挙げられる。「人だか り」については意味合いとして図 1.2.3 に示す分類のすべてを包括してしまい、明確に視覚情報へ の欲求を持った個人の集まりに限定した表現としてはふさわしくない。同様に「観客」は「見物人。
特に、映画・演劇などをみる人。」(広辞苑第五版)と説明されており、意図的に計画された特定施 設内の鑑賞行動の意味合いが強く、本研究の取り扱う群衆を指す表現としては対象が異なると考え られる。都市などの不特定多数の行きかう空間の内で、プロモーション活動などが要因となり偶然 に発生する群衆を本研究の調査及びモデル化する「見物衆」と表すこととした。
2)Brown.R 著 , 青井和夫訳 , 社会心理学講座7, 大衆 , みすず書房 ,1957.1
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
視野 視野とは、一般的には目を動かさずに知覚できる周辺視(図 2.3.2-1 を参照)の範囲を指すこと が多い。しかし本論では特に周辺視の範囲を指すものではなく、単にその場から目に見える範囲、 視認可能な範囲として視覚から情報を享受できる範囲と定義している。
視角 視角とは物体の両端と目を結ぶ二つの直線のなす角として表され、視覚系の分野では対象の大き さを表す単位として用いられることが多い。いま、図 1.3.1-1 に示すように視対象までの距離を D、 大きさを d とし、この視角をθで表せば、以下のようになる。
! = 2 tan !1 (
d ) 2D
図 1.3.1-1 距離と大きさと視角の関係 3)
視覚情報の逓減 本研究で用いる上記の言葉使いは、主に視対象の視認可能域が阻害により減少していくことで、 視対象自体を視認することが出来なくなることを指している。視対象のもともともっている視覚的 な情報量は、見物衆の群がりによってそれが阻害され、徐々に群衆が享受可能な情報量が減ってい く。このことを、本研究では「視覚情報の逓減と」呼び、後述するモデルの考え方の中心に据えて いる。
3)日本視覚学会 : 視覚情報処理ハンドブック , 朝倉書店 ,2000.9. より作成
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.3.2 見物衆の定義 都市において発生する様々な立ち止まり行動はそれぞれ内的欲求のもとに立ち止まることは先に記 したとおりであるが、欲求とそれを実現する達成条件の数だけ行動特性は無数に存在しうる。このた め、本研究で扱う見物衆は視覚情報を得ようという内的欲求のもと、自立的に群がっている同一の関 心を持つ群衆、つまりそれぞれ「見たい」という内的欲求を持ち、それを達成するために「見える」 位置に立ち止まり行動をする主体の集合であるとする。 しかし見物衆が視覚情報を得るために集合した群衆であるとすると、見物衆が見物する視対象の知 名度やプロモーション活動の内容に大きく幅があり、結果都市空間においては多種多用な見物衆が存 在すると見るのが自然である。研究の性格上これらをすべて扱うことは出来ないが、本研究は以下の 2点を限定することにより、混雑検討やプロモーターサイドの空間選定に役立てることをねらいとす るものである。 [1] 見物衆それぞれの持つ見物対象に対する興味は一律とする [2] 見物対象の知名度や人気は考慮しないものとする 以上より、本研究の目指す見物衆の再現モデルは、見物衆の特性を考慮した上での空間における最 大限の収容人数を算出し、事前の対策に役立てるものである。
同調行動 路上である人だかりが出来ていて、興味本位にその人だかりに参加する、といった経験は誰もが経 験を有するところである。この性質について Milgram(1969)1)はサクラを使った実験によって人 だかりの規模はそれ自体が人を引き込む結果を導いている。これを社会心理学の分野では同調行動と 呼ぶが、この経験則および Milgram の説に準ずると本研究のあつかう見物衆も、それ自体の規模に応 じて参加人数が増すこととなる。この問題に対して、中谷内(1993)2)は人だかりの対象が曖昧で あればあるほどその参加要因は規模に応ずるが、対象が明らかである場合は参加要因は対象によって 決定されるものであるとの説を実験によって論じた。本研究ではこの説を支持し、見物対象が明らか である街頭演説などのパフォーマンスである場合、見物対象のみによって見物衆の人数は決されるも のとする。
1)Milgram, S., Bickman, L. & Berkowitz, L.: Note on the Drawing Power of Different Size., JSPS, 13, pp.79-82, 1969 2)中谷内一也 : 人だかりの大きさとインセンティブのあいまいさが通行者の参入に及ぼす効果 , 実験社会心理学研究 , Vol.33, No.2,150-154,1993.11
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2章 本論 2.1
研究方法
2.2
基礎分析
2.3
仮説と分析
2.4
モデル化
2.5
シミュレーション
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.1 研究方法 2.1.1 研究の流れ 研究の流れを図 2.1.1 に示す。 本研究はまず見物衆の行動特性を理解するため
実測調査 ・新宿駅前の選挙街頭演説調査
実測調査より始められた。比較のため新宿駅前・
・渋谷駅前の選挙街頭演説調査
渋谷駅前の二箇所を調査対象とし、街頭演説の様 子を撮影した。
見物衆の行動特性を把握(基礎分析) ・滞在人数 ・滞在時間
次に得られた映像資料より見物衆各人の時間ご
・視対象からの距離
とに座標データを抽出し、滞在時間や滞在人数を
・視対象からの角度
初め、見物衆の特性を見る基礎的な分析を行った。
・各主体間の距離 ・密度
基礎分析で得られた見物衆の行動特性の理解を基 にモデル作成のアルゴリズムを決するための仮説
仮説の設定
設定を行った。
基礎分析より行動特性上の仮説を設定
作成したアルゴリズムを基に理論モデルを作成
アルゴリズムの構築 仮説を基にモデルの基本となる アルゴリズムの構築
し、含まれる未知不定パラメータを実測調査デー タから決した。これをもって見物衆モデルとし、 シミュレーションにより実際の屋外公共空間での モデル活用およびシミュレーション結果のポテン
モデルのパラメータ推定
シャルの可視化を行った。
アルゴリズム上の各種パラメータ推定
モデルの提案 モデルを使ったシミュレーション ・シミュレーション結果の可視化 ・見物衆の分布からみた空間の検討
図 2.1.1 研究の流れ
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2.1.2 調査方法 調査の場所と日時 都市空間におけるパフォーマンス活動の見物衆の様子を、時系列を持った座標データとして捉え るために以下の条件で調査を行った。なお、今回の調査では視対象が見物衆と同一平面状にいる場 合と、選挙カー上にいる場合の2通りのケースを実測調査資料とした。 調査対象:選挙演説に集まる見物衆 調査日時:2007 年 7 月 26 日、27 日 調査場所:①新宿駅(西口)駅前
②渋谷駅(ハチ公口)駅前
撮影内容:VTR 撮影 撮影時間:① 38 分
② 50 分
記録方法 ①については撮影エリア近隣の百貨店屋上にカメラを設置した。可能な限り撮影対象エリアを真 上より撮影し、座標検出の際の誤差を小さくするためである。 ②についても同様に可能な限り真上より撮影をするため、駅内連絡通路に設置し、撮影を行った。 撮影対象空間の平面図、及びカメラの設置箇所を図 2.1.2-1 ∼図 2.1.2-4 に示す。
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
(屋上に設置) カメラ 撮影範囲 対象
図 2.1.2-1 調査①カメラの設置
図 2.1.2-2 調査①撮影映像
スクランブル交差点
撮影範囲 対象
ハチ公前広場
渋谷駅 カメラ (連絡通路に設置)
図 2.1.2-3 調査②カメラの設置
図 2.1.2-4 調査②撮影映像
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.1.3 分析方法 映像の取り込みと座標変換 撮影した映像より見物衆各人の座標を抽出するため、撮影した映像は、QuickTimePro を用いて 1秒あたり3フレームの映像に圧縮し、後に FrameDIAS Ⅱ ver.3 を用いてデジタイズデータを作 成した(図 2.1.3-1)。なお、分析の簡単のため、処理する映像はそれぞれの映像のうち無作為に指 定した範囲 15 分間、900sec ずつとした。
図 2.1.3-1 FrameDIAS Ⅱ ver.3 操作画面(調査①:新宿) FrameDIAS Ⅱ ver.3. によってデジタイズ処理された群衆の座標のプロット図の一例を図 2.1.3.-2 に示す。
t=780[sec]
t=0[sec]
図 2.1.3-2 デジタイズされた座標データのプロットの1例1) 1)図中にプロットされたドットは人間の存在を表すが、そのドット自体の大きさは人間の身体的スケールを再現したもので はない。
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
領域の設定 見物衆の撮影はその場所選定に難しさがある。先に記したように突発的かつ偶然に発する性格を 持っているため、理想的な障害物のない空間を真上から撮影できることは稀である。本研究で得ら れた映像も撮影環境の都合上一部障害物などで限定されたものとなった。そこで、この限定された 資料から見物衆の挙動をとらえるため、座標データを正規の見物衆のデータとして判断する領域を 設定した。(図 2.1.3-3 ∼図 2.1.3-6)
見物衆の抽出 限定された範囲内における座標サンプルのうち、見物衆と判断するため、立ち止まり行為をして いるか否かを判断した。なお、先に記した通り、立ち止まりの判断基準は3秒間 30m/s 以下の移 動にとどまった主体である。 撮影範囲 限定範囲
見物対象
障害物
図 2.1.3-3 映像①の画面上の領域限定
図 2.1.3-4 調査①領域限定方法
スクランブル交差点
見物対象
図 2.1.3-5 映像②の画面上の領域限定
限定範囲
ハチ公前広場
図 2.1.3-6 調査②領域限定方法
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.2
基礎分析
2.2.1 密度の可視化 映像資料の選定 ここでは見物衆の基本的な挙動を理解し、モデル化へつなげる知見を得る。得られた座標データ は見物衆の挙動を正確に表すものでなければならないが、資料②:渋谷駅前における見物衆のデー タは画角上に障害物が多いため、大幅に削れらることとなる。そこで本節では資料①:新宿駅前に おける見物衆のデータを主に扱っていくことにする。以降特に断りなく実測調査のデータを参照す る場合は、資料①:新宿駅前における見物衆の実測調査を指すこととする。 得られた座標データ(資料①)から見物衆の空間分布のおおまかな傾向を見るため、調査平面を 1m メッシュに区切り、含まれる主体の数を密度として色分けした(図 2.2.1-1 ∼図 2.2.1-16)。
見物対象
4 人 /m2
3 人 /m2
2 人 /m2
1 人 /m2
図 2.2.1-1 t=0[sec] の見物衆の分布
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 18
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
図 2.2.1-2 t=60 見物衆の分布
図 2.2.1-3 t=120 見物衆の分布
図 2.2.1-4 t=180 見物衆の分布
図 2.2.1-5 t=240 見物衆の分布
図 2.2.1-6 t=300 見物衆の分布
図 2.2.1-7 t=360 見物衆の分布
図 2.2.1-8 t=420 見物衆の分布
図 2.2.1-9 t=480 見物衆の分布
図 2.2.1-10 t=540 見物衆の分布
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 19
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
図 2.2.1-11 t=600 見物衆の分布
図 2.2.1-12 t=660 見物衆の分布
図 2.2.1-13 t=720 見物衆の分布
図 2.2.1-14 t=780 見物衆の分布
図 2.2.1-15 t=840 見物衆の分布
図 2.2.1-16 t=900 見物衆の分布
時間経過による滞在者の推移を見ると、視対象からほぼ一定の距離をとって分布していることが わかる。また、分布している面積はおおよそ一定と見られる。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 20
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.2.2 見物衆の規模 見物衆の規模 見物衆の規模を時系列で見る。本調査で限定したエリア内においては調査時間の間、おおむね 30 ∼ 50 人の規模で見物衆が形成されていることがわかる。特に調査開始より 510 ∼ 690[sec] の 間は参加人数と離脱人数に一定の関連性が見られ、総じて全体の人数がほぼ保たれる参加・離脱の 関係性が見て取れる。なお、図 2.2.2-1 は 30 秒間の参加人数と 30 秒刻みで抽出した規模を表し ている。
[! ] 60 50 40 30 20 10 0 -10
60
150
240
330
420
510
600
690
780
870
-20 -30 [sec]
"#$%&
'(!)
*+!)
図 2.2.2-1 見物衆の規模の時間推移
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 21
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
見物衆の規模と参加人数 1.3.2 同調行動の項で論じた人だかりそれ自体がさらに人をひきつける力があるという Milgram (1969)1)の仮説が、本研究のテーマにも即したものか否かをもう一度ここで検証した。Milgram の説は人だかりが多いほど、その人だかりと同調行動をとる外部からの参加者が増加するというも のであった。これに対して本論では見物対象が明らかであるプロモーションの場合、見物衆の規模 はプロモーション内容によってのみ決定され、見物衆の規模は影響を与えないとの立場をとってい る。 以下実測調査によって得られた見物衆の規模と参加人数との関係である。分析の際の代表値とし て 15 秒間の参加人数と 15 秒刻みで抽出した規模の関係性を見ている。
14 12
'(!) [ ! ]
10 8 6 ,-.)
4
0.321
2 0 0
10
20
30
40
50
/$0%& [ ! ]
図 2.2.2-2 見物衆の規模と参加人数 分析の結果、相関係数は 0.32 であり、人だかりすなわち本研究における見物衆の規模と、それ に参加する人数にはこの両者は相関がないことが示された。
1)Milgram, S., Bickman, L. & Berkowitz, L.: Note on the Drawing Power of Different Size., JSPS, 13, pp.79-82, 1969
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 22
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.2.3 人数の分布 領域を再定義 見物衆の人数と対象からの距離の関係を出すため、実測調査の撮影環境の都合上死角となる箇所 を除外した。距離による分析を行う際には、死角となっている箇所に見物衆が滞在した場合、その 人数をカウントできず、対象からの距離と人数の分布の分析に影響が出ると判断したためである。 この作業により、見物衆の形状を把握しようと努めた。以降、本研究で特に断りなく資料としたも のは、図 2.2.3.-1 に示すように範囲を限定したデータである。
先の限定範囲 死角を除くための 限定範囲
死角を除くための 限定範囲 見物対象
見物対象 障害物により 抽出が出来な かったエリア
障害物
図 2.2.3-1 調査①より死角を除去
見物対象からの距離と人数分布 撮影した映像より死角領域が除外されたことにより距離による見物衆の特性の把握が可能な資料 が準備された。次に見物対象からの距離によってどのように見物衆人数分布が見られるのかを見た。 結果を図 2.2.3-2 に示す。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 23
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
E.T.Hall(1970)1)は、人間同士の間の距離のとり方とコミュニケーションを総合的に扱い、距 離のとり方もコミュニケーションの一部であると考えた。距離とコミュニケーションの対応を分類 し、密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の距離帯にわけ人間関係や行動を分析している。人 体寸法が目に見える寸法であるとすると、人間のまわりの空間には分類された目に見えない秩序の 寸法が広がっているとしているが、本研究で扱う見物衆と見物対象の距離をこの考えに照らし合わ せることにより、両者の対応関係を明らかにした。見物衆は対象から一定の距離をおいて集合して おり、この距離は Hall の言う公衆距離の始まりにおおよそ近い値となっている。さらに、「大声 ,
聴衆に向かって話す 」距離に相当している。なお、図 2.2.3-2 は代表値として実測開始後 300 秒後、 360 秒後、420 秒後、480 秒後の4シーンの見物衆の分布を任意に抽出し記載している。
10 9 8 7
!"[!]
6 5 4 3 2 1 0
[m]
0
距離の略分類[E.Hall]
1 個体 (∼1.2)
480sec 420sec 360sec 300sec 3
2
4
3
社会 (∼3.1)
5
4
6
5
7
6
8
7
9
8
10
9
11
10
12
11
公衆 (3.1∼) [Spreoregen]
密接 (∼0.45)
[E.Hall]
[m]
12
13
14
15
16
表情の識別限界
20
25
30
知人の識別
多少大きめのはっきりした声 はっきりとした声 公的な伝言
大声,聴衆に向かって話す
遠くから呼びかけるとき 別れあいさつ
[Bluemenfeld]
[Lynch] 屋外においてたえられない狭さ
表情の識別限界
親しげな距離
図 2.2.3-2 人数分布と知覚距離 2)
1)Hall,Edward T. 著 , 日高敏隆・佐藤信行訳 : かくれた次元 , みすず書房 ,1970 2)日本建築学会編 : 建築設計資料集成[人間], 丸善 ,2003.1.31. より作成
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 24
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
最前列の差異 対象からの距離に応じて見物衆がどのように分布するのか。図 2.2.3-2 ではその傾向を視距離に よって把握したが、これは前提として見物衆各主体の場所に関わらず同心円上にいるものとみての 分析であった。見物衆が円状に分布しているのかを確かめるため、最前列にいる主体はみなこの推 定に当てはまるのかを検証する。まず、15 分間のサンプルのうち 60 秒ごとに最前列の者の視対 象からの距離をもとめ、その推移を図化した(図 2.2.3-3)。
5.05 5
89:0;* [m]
4.95 4.9 4.85 4.8 4.75 4.7 4.65 4.6 4.55
60
120
180
240
300
360
420
480
1234567
540
600
660
720
780
840
900
[sec]
図 2.2.3-3 最前列の距離の推移 結果、30 センチ前後の差に収まり調査時間を通してほぼ最前列の位置は変化がないことがうか がえる。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 25
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
次に、調査エリアにおいて同心円状に見物衆が分布しているのか否かを明らかにするため、座 標抽出をしたエリアを 15 度ごとに区切り、最前列の者の位置の差の検定を行った。調査エリアを 15 度ずつ区切った設定方法を図 2.2.3-4、表 2.2.3-5 に示す。なお、表中の角度(From,To など) による数値は基準(角度0)を図中に記す。また、各区分に分けて分析をすることにより、それぞ れの区分に応じて見物衆が滞在可能なエリアが限定された。とり得る最大の視距離(視対象からの 距離)を算出し表中に記した。このように設定したそれぞれの区分において、最前列の滞在者の視 距離の平均値について検定を行った。結果を表 2.2.3-6、表 2.2.3-7 及び図 2.2.3-8 に記す。
限定範囲
区分1 区分 2 区分 3 区分 4 区分 5
0° 見物対象
区分 6 障害物により
区分 7
抽出が出来な かったエリア
図 2.2.3-4 15 度ずつの区分方法
表 2.2.3-5 各区分の詳細 設定区分
From
区分1
122[度]
137.49[度]
To
区間内最前列(平均) 6.48[m]
区間内最大視距離 8.26[m]
区分2
137.49
152.49
5.79
9.53
区分3
152.49
167.49
5.16
8.66
区分4
167.49
182.49
4.84
8.46
区分5
182.49
197.49
5.06
8.86
区分6
197.49
212.49
5.29
10.02
区分7
212.49
227.49
5.90
12.51
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 26
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.2.3-6 一元配置分散分析 分散分析表 変動要因
偏差平方和
全変動
159.874
群間変動
121.507
誤差変動
38.368
自由度
平均平方
F値
6
20.251
221.683
420
0.091
P値
F(0.95)
F(0.99)
426 8.9476E-127
2.120
2.845
表 2.2.3-7 多重比較検定の結果 多重比較検定の結果(Tukey法) 組み合わせ
平均値の差
危険率5%
危険率1%
棄却値
棄却値
区分1,区分2
0.687
0.162
0.190
**
区分1,区分3
1.318
0.162
0.190
**
区分1,区分4
1.636
0.162
0.190
**
区分1,区分5
1.420
0.162
0.190
**
区分1,区分6
1.193
0.162
0.190
**
区分1,区分7
0.576
0.162
0.190
**
区分2,区分3
0.631
0.162
0.190
**
区分2,区分4
0.949
0.162
0.190
**
区分2,区分5
0.733
0.162
0.190
**
区分2,区分6
0.506
0.162
0.190
**
区分2,区分7
-0.111
0.162
0.190
区分3,区分4
0.318
0.162
0.190
区分3,区分5
0.102
0.162
0.190
区分3,区分6
-0.125
0.162
0.190
区分3,区分7
-0.742
0.162
0.190
**
区分4,区分5
-0.216
0.162
0.190
**
区分4,区分6
-0.443
0.162
0.190
**
区分4,区分7
-1.060
0.162
0.190
**
区分5,区分6
-0.227
0.162
0.190
**
区分5,区分7
-0.844
0.162
0.190
**
区分6,区分7
-0.617
0.162
0.190
**
**
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 27
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
8 7
8E;*0FG
[m]
6 5 4 3 2 1 0
<=>
<=?
<=@
<=A
<=B
<=C
<=D
図 2.2.3-8 検定結果
結果、ほぼ全区分において、その最前列の取り方に差があることが分かる。このことから、見物 衆は同心円上に分布していないことがわかる。対象から最前列までの距離には平均値に最大で 1.5m 近くの開きがみられる。以降の分析については、必要に応じこの区分設定を参照・使用することと する。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 28
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.2.4 基礎分析のまとめ 以上により見物衆の基本的な挙動を理解できた。基礎分析の項で明らかになった点は以下である。 [1] 見物衆の分布は時間経過によらずほぼ一定している(図 2.2.1-1 ∼図 2.2.1-16)。 [2] 見物衆の滞在域は、時間経過に関わらずおおよそ同様の分布を維持していると考えられる(図 2.2.2-1)。 [3] 見物衆の規模がさらなる人だかりへの参加を促すという Milgram(1969)の説 1)は本研究 の対象にはあてはまらない(相関係数 0.32)。中谷内の人だかりの同調行動に関しての説が本研究 の扱う域であることを確認した(図 2.2.2-2)。 [4] 見物衆の視距離からの分布は Hall(1970)の示したコミュニケーションと距離の区分である 公衆距離に相当するものであり、「大声、群衆に向かって話す 」距離にほぼ当てはまるものとなっ ている(図 2.2.3-2)。 [5] 調査資料①に関して、最前列の距離や、角度による区分わけ調査など、以降の分析につなげ る準備が整った。
1)1.3.2 見物衆の定義における、同調行動の項目を参照のこと。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 29
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.3 仮説と分析 2.3.1 仮説の設定 前節で得られた見物衆の集合についての基本的な知見を基に、本節では本研究の目的である見物 衆のモデル化に向けて仮説を設定した。まず 1.3.2 節で記したように見物衆の定義に即し、 [1] 見物衆は視野を阻害されないように、視野を確保する行動特性を持って形成されている。 という仮説を設けた。 次に、見物衆はこれまで見てきた内的欲求と、それを満たすための達成条件 1)という観点から、 それぞれの立ち位置の決定の際に、自己の欲求と他の見物衆から適切な距離とを秤にかけて適切と 判断した位置を取っていると考えられる。このことから、 [2] 個人の領域確保が見物衆の系全体の形成に主要な要因となる。 という仮説を設定した。以降、本節ではこれらの説の妥当性を検討していき、モデル化に向けて の理解を深めることとする。
1)内的欲求、達成条件については図 1.2.3 を参照のこと
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 30
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.3.2 視野確保 見物衆の視野 本研究であつかう見物衆は「見るため」に立ち止まり、集合した群衆である。本論冒頭に記した ように、この内的欲求を満たすためには達成条件があり、見物衆における立ち止まり行動の達成条 件は見える場所に各自が位置することであるとした。そこで、各見物衆は実際に「見るため」の位 置取りをしていることを確かめる。 人間は、水平方向でおよそ 180 度(左右それぞれ 90 度)、垂直方向でおよそ 130 度(上下それ ぞれ 65 度)の視野の中で対象を検出できるが、鋭敏な視覚はこれよりもずっと狭い範囲に限られ ている。最も鮮明な中心視は中心から 1 度∼ 2 度の範囲で、視線中心から 10 度離れると視力は中 心の 75%、30 度離れると 50%になるとされている(図 2.3.2-1)。図 2.3.2-2 は各滞在者がおの おのの滞在時間のうち、特定の視野角に対応させて視野を阻害されている時間を割合として表した ものである。なお、調査により得られた座標データから視野を阻害している他者を検出する分析の 方法は図 2.3.2-3 に示している。
視軸 中心視
傍中心視
2°
2°:中心視に相当
20°:傍中心視に相当
10°
30° それ以上の視野角
20°
2° それ以上 近周辺視
8.3
60°
29.5 38.1
周辺視
10°
70.5
180° 30°
59.1[%]
20°
図 2.3.2-1 人間の視野角
1)
図 2.3.2-2 視野が阻害されている時間の割合
1)日本視覚学会 : 視覚情報処理ハンドブック , 朝倉書店 ,2000.9. より作成
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 31
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
視野の阻害と滞在時間 上記では前方の他者が視野に含まれることで視野阻害とみなした。次に視野角2度の中心視にお いて、時間にして平均何人の他者が視野を阻害しているかを割合で算出し、おのおのの滞在時間と 対応させた。目の前に他者がいれば、そのぶん視覚情報が得られないことから、滞在時間が短くな ると考えられる。この考えに沿って、自分の視野のなかに阻害要因となる人間が何人いるのかとい う値と、それによる滞在時間の大小の傾向を見た散布図を作成した(図 2.3.2-4)。
視対象
2°,10°など、
視野を阻害する
図 2.3.1-1 を参 考にした特定の 視野角
IJ0KL
3
2
1
前方の他者 0 0
図 2.3.2-3 視野阻害の計算方法
100
200
300
400 500 6H[sec]
600
700
800
900
図 2.3.2-4 視野角2度における視野阻害割合と滞在時間
これによると、相関はみられないものの、割合が大きいほど滞在時間が短く、逆に滞在時間が長 いものは値が小さい者に限られていることが分かる。つまり長く滞在する人間ほど視野の阻害が少 ない傾向がうかがえる。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 32
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.3.3 個人領域に関して 前節では主に見物対象と滞在者各人との間の関係性を見てきた。しかし前もっての混雑状況の再 現と管理対策の検討手段としての本研究の目的に合致するモデルを作成するためには、滞在者同士 がいかに距離を取り、過密に時には疎になるのかを把握しなければならない。そこで本項では滞在 者同士の距離のとり方を中心に見ていくことでモデルに組み込むべき考え方の基礎を築く。
個人領域に関して まずはじめに、滞在者が他者とどのような間隔のおき方をしているのかを見るため、滞在者各自 にもっとも近い他者の分布を調べた(図 2.3.3-1)。滞在者同士の相対距離が最も近い他者を見つけ、 その相対距離と相対角度とを求めプロットしてある。
視対象の方向
図 2.3.3-1 最小距離の他者の分布
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 33
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
人が静止状態で確保する領域については、これまで E.T.Hall1)や R.Sommer2)の個人空間(パー ソナルスペース)に代表されるような、領域寸法を測定し概念として距離分類を行う研究や、2次 元平面上の寸法を捉える研究 3-4)がなされてきた。本研究では静止状態を扱う点ではこれらと同様 と見ることができるが、見物衆の特性上群衆すべてがひとつの対象を見ている、言い換えれば並ん でいる状況に近いことから、これらの研究の成果として見られた人体を中心にした卵型の個人空間 を援用することは難しい。そこで、人体を中心に横方向、前方に的を絞り(図 2.3.3-2)、どのよう に他者との距離のとり方がなされているのかを見ることにする。
視対象方向
横方向の他者との間隔
前方の他者との距離の取り方
周辺視 60 度 (図 2.3.1-1 を参照)
この角度内にいる他者の中で 最寄の他者を検出
If!周辺視内!Then
検出された前方他者との間の 視対象からの距離の差を算出
自分と視対象間距離 ー 相手の視対象間距離
最寄の他者を探す
If!120°以上 240°未満、 または -60°以上 60°未満!Then 最寄の他者を探す
見物衆の位置によってこの差 に違いがあるか検定
検出された前方他者と 相対距離の差を算出 視対象間距離の差
見物衆の位置によってこの差 に違いがあるか検定
相対距離
図 2.3.3-2 個人領域の測定方法
1)Hall,Edward T. 著 , 日高敏隆・佐藤信行訳 : かくれた次元 , みすず書房 ,1970 2)Sommer Robert 著 , 穐山貞登訳 : 人間の空間−デザインの行動研究 , 鹿島出版会 ,1972 3)Horowiz M.J.,Duff.D.F.,Stratton.L.O. 著 , 広田君美編 : 個人空間の解明 , 環境心理学3, 誠信書房 ,pp.92,1974 4)橋本都子 , 西出和彦 , 高橋公子 , 高橋鷹志 : 実験による対人距離から見た心理的領域の平面方向の広がりに関する考察 , 日 本建築学会計画系論文集 ,No.485 号 ,pp.135-142,1996.7
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 34
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
横方向の間隔 視対象からの距離、つまり見物衆の前方にいるのか後方にいるのかによって、周囲の他者との間 隔が異なるのかを検討する。見物衆各人から見た、最も近い横方向の他者との間隔は、見物対象と の距離に応じて変化が見られるかを検討するために、対象からの距離に応じた区分で分散分析を 行った(表 2.3.3-3 ∼表 2.3.3-5、図 2.3.3-6)。
表 2.3.3-3 分散分析データ 対象からの距離区分
データ数
平均値
不偏分散
標準偏差
標準誤差
区間の平均値
4.5-5.0m
17
0.814
0.038
0.194
0.047
4.877
5.0-5.5m
93
0.775
0.022
0.149
0.015
5.254
5.5-6.0m
95
0.845
0.058
0.240
0.025
5.783
6.0-6.5m
116
0.717
0.062
0.250
0.023
6.226
6.5-7.0m
72
0.786
0.092
0.303
0.036
6.744
7.0-7.5m
38
0.797
0.093
0.304
0.049
7.241
7.5-8.0m
29
0.879
0.106
0.326
0.061
7.719
8.0-8.5m
6
0.966
0.097
0.311
0.127
8.195
それ以上
8
1.301
0.307
0.554
0.196
8.808
474
0.797
0.072
0.269
0.012
6.761
合計
表 2.3.3-4 分散分析表 分散分析表 変動要因 全変動
偏差平方和 34.205
自由度
平均平方
F値 6.442
P値
F(0.95)
F(0.99)
1.958
2.550
473
群間変動
3.413
8
0.427
誤差変動
30.792
465
0.066
5.86E-08
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 35
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.3.3-5 検定結果表 多重比較検定の結果(Tukey法) 組み合わせ
平均値の差
危険率5%
危険率1%
棄却値
棄却値
4.5-5.0m,5.0-5.5m
0.039
0.212
0.245
4.5-5.0m,5.5-6.0m
-0.031
0.211
0.245
4.5-5.0m,6.0-6.5m
0.096
0.208
0.242
4.5-5.0m,6.5-7.0m
0.027
0.216
0.251
4.5-5.0m,7.0-7.5m
0.017
0.234
0.271
4.5-5.0m,7.5-8.0m
-0.066
0.245
0.284
7.0-7.5m,8.0-8.5m
-0.169
0.352
0.409
7.0-7.5m,それ以上
-0.504
0.312
0.362
7.5-8.0m,8.0-8.5m
-0.087
0.360
0.417
7.5-8.0m,それ以上
-0.422
0.320
0.372
8.0-8.5m,それ以上
-0.335
0.433
0.502
** **
2 1.8
QRS0HT[m]
1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 4.5 -5.0m
5.0 -5.5m
5.5 -6.0m
6.0 -6.5m
6.5 -7.0m
7.0 -7.5m
7.5 -8.0m
MNOP 8.0 -8.5m
図 2.3.3-6 平均値推移
この結果、対象からの距離が8m 付近、つまり見物衆の後方では有意な差が見られるが、おお むね差が見られない。対象からの距離に依存せずに横方向の間隔は決定されていることが分かる。 なお、表 2.3.3-5 検定結果表につていは資料編に全データを記した。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 36
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
前方の他者との間隔 横方向の間隔を検討したのと同様に、前方の他者との間隔を調べた。ここでは、この後の議論に つなげるため、図 2.3.3-2 に記すように、視距離の差、つまり、自分と視対象との距離、前方の他 者と視対象との距離、両者の差を求める間隔としている。結果を表 2.3.3-7 ∼表 2.3.3-9、図 2.3.3-10 に記す。
表 2.3.3-7 分散分析データ 対象からの距離区分
データ数
平均値
不偏分散
標準偏差
標準誤差
区間の平均値
4.5-5.0m 5.0-5.5m
12
0.492
0.016
0.127
0.037
0.492
5.5-6.0m
62
0.603
0.022
0.148
0.019
0.603
6.0-6.5m
93
0.746
0.074
0.272
0.028
0.746
6.5-7.0m
76
0.735
0.074
0.272
0.031
0.735
7.0-7.5m
41
0.755
0.063
0.250
0.039
0.755
7.5-8.0m
33
0.892
0.154
0.392
0.068
0.892
8.0-8.5m
8
0.940
0.074
0.273
0.096
0.940
それ以上
7
1.009
0.118
0.343
0.130
1.009
332
0.734
0.079
0.280
0.015
0.772
合計
表 2.3.3-8 分散分析表 分散分析表 変動要因 全変動
偏差平方和 26.033
自由度
平均平方
F値
P値
F(0.95)
F(0.99)
7.165
5.62E-08
2.038
2.695
331
群間変動
3.490
7
0.499
誤差変動
22.544
324
0.070
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 37
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.3.3-9 検定結果表 多重比較検定の結果(Tukey法) 組み合わせ
平均値の差
危険率5%
危険率1%
棄却値
棄却値
5.0-5.5m,5.5-6.0m
-0.111
0.254
0.296
5.0-5.5m,6.0-6.5m
-0.254
0.247
0.288
5.0-5.5m,6.5-7.0m
-0.243
0.250
0.292
5.0-5.5m,7.0-7.5m
-0.263
0.264
0.308
5.0-5.5m,7.5-8.0m
-0.400
0.271
0.317
**
5.0-5.5m,8.0-8.5m
-0.448
0.367
0.429
**
5.0-5.5m,それ以上
-0.517
0.383
0.447
**
5.5-6.0m,6.0-6.5m
-0.143
0.132
0.154
*
5.5-6.0m,6.5-7.0m
-0.132
0.138
0.161
5.5-6.0m,7.0-7.5m
-0.152
0.162
0.189
5.5-6.0m,7.5-8.0m
-0.289
0.173
0.202
*
**
1.600
9R0UVW0HT[m]
1.400 1.200 1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 0.000 5.05.5m
5.56.0m
6.06.5m
6.57.0m
7.07.5m
7.58.0m
8.08.5m
MNOP
図 2.3.3-10 平均値推移
差の見られる区間にばらつきはあるものの、距離に応じて増加傾向にあることがわかる。なお、 表 2.3.3-9 検定結果表につていは資料編に全データを記した。
本節のまとめ 仮説として設定した2点、すなわち視野の確保(仮説 [1])および視対象からの距離に応じた前 方との距離(仮説 [2])が見物衆の特性を理解する上で妥当な観点であることが確認された。以降 ではこれらの結果を基に、見物衆の行動特性を再現するためのモデル化を行っていく。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 38
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.4 モデル化 2.4.1 アルゴリズムの構築 アルゴリズムの構築 プロモーション活動の見物衆は、その見物対象の内容や規模の違いによって様々な形を作ること が予想される。知名度の高い見物対象であれば、それは本研究の前提としている「見るため」とい う行為を超えて、内的欲求は「握手をしたい」などに変わり、見物衆は系をつくることはない。近 年増加している演舞をまじえた祭りなどの対象であれば、当然その演舞の範囲に合わせて見物衆は 変形する。したがって、見物衆のその形状は、一概に記述することはできないように思われる。 しかし、この問題に対して、例えば伊藤(1998)は、パフォーマンスにおける見物衆の滞在エ リアはパフォーマーエリアの1∼3倍の短形・長形の楕円を基本にしていると記している 1)。この ように、パフォーマンスや本研究の扱う街頭演説などの定位置の見物対象である場合、その形態 は円形・楕円形などの分布をすることが多いことは都市生活を送る上では想像にかたくない(図 2.4.1-1)。一般に「見るために」集まる群衆においては、その視対象を視認するために一定の距離 を置いて群衆が集合する。そこで本研究では、このような見物衆の形状を楕円・円形などで記述可 能なように、視対象からの極座標系でとらえることとした。
図 2.4.1-1 円形(楕円)に集合する見物衆の形態の例
1)伊藤倫子 , 山口有次 , 林田和人 , 中村良三 , 渡辺仁史 : パフォーマンス空間における観客の行動特性に関する研究 , 日本建 築学会大会学術講演梗概集 ,E-1 分冊 ,pp.885-856,1998.9
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 39
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
また前節より、見物衆からの距離に応じて変化するパラメータが予想されていることから、対象 からの距離で人数の分布を記述できるモデルを作成することとした。視対象からの距離による記述 のため、その分布を列で近似し、視対象を中心として何層にも重ねられていく考え方を導入してい る。このことで見物衆の全体の系の記述を目指した。2.3.3 で設定した説をうけて、視対象が見え る視野確保を前提とし、前列の人間は後列の視野阻害要因となるようにアルゴリズムを設計した。 なお、後述するが、調査①における見物衆は、その視対象が見物衆の視線のレベルと同等の高さ に位置している。もちろん選挙カー上で選挙演説をおこなったり、路上パフォーマンスなどで地面 付近の高さでプロモーションを行うなど、様々なケースが考えられる。しかし、ここではまず調査 ①に則し、見物衆のアイレベルと同等の高さに視対象があるケースを考えることとする。 まず、視対象が視認可能なエリアを設定する(I0)。これは空間構成上制限がない場合、360 度 となる。次に人数の分布を列で近似するため、最前列の位置を定める(x0)。この値から列の横幅 を円周として求め、この列の横幅に対し、横方向の他者との間隔の値(SD0)を挿入できる分だけ 挿入する。つまり最前列に人間が収まらなくなるまで収める考え方である。さらに、次の列を前列 との距離(DF1)だけ間隔をあけて配置する。この手順で計算をしていき、滞在可能な距離の限界 に達した時点で、もしくは阻害角の合計が Ii と等しくなり見物対象を視認できる余地がなく滞在者 の増加が見込めない時点で、終了となる。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 40
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
列 i
DS i 見物対象 横方向の間隔 最前列までの距離 DFi
x0
前列との間隔
xi 列iまでの距離 start
I 0 : 視対象が見える範囲を設定
滞在可能な空間はあるか (xi が確保可能か) 列i
no
end 見物対象
yes 阻害角
ⅰ. x i と DS i から一人の占有角を求める
ⅱ. I i に"#$ を最大限割り当てる ⅲ. 並べられた人間の頭幅の阻害角だ
一人あたりの占有角 対象との距離:x i
け I i から引く I i+1 = I i - ( 阻害 角 ) ⅳ. 次列 i+1 の対象からの距離 x i+1 = x i + DF i+1 0.16 0.42[m ]
図 2.4.1-2 モデルのアルゴリズム 2)
2)日本建築学会編 : 建築設計資料集成 , 単位空間Ⅰ , 丸善 ,1980. より数理基準を決定
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 41
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
アルゴリズムの検討(プレシミュレーション) 用意したアルゴリズムの検討および次項以降のモデルの作成のため、滞在者数の計算値を算出し た。ここでは列に含まれる人数を算出するための横方向の間隔の取り方(DSi)や前列との間隔(DFi)、 および最前列までの距離(x0)を未知数として任意に複数組の数値を代入し、検討している。対象 が視認可能な範囲(I0)を 30 度として計算を行った。結果および設定した任意の未知数を図 2.4.1-3 に示す。ここでは比較参考のため、実測調査より 30 度の範囲で算出した値を載せた。図 2.2.3-4 の 15 度ずつ区切ったエリアのうち、区分1、2合計 30 度、区分3、4合計 30 度、その他を区 分5∼7としている。なお、ここでは任意の値を使った計算値であるため、考察を避け、分布の形 状のみを議論する。 横方向の間隔 8
DS i 変化による試行 見物衆の人数 [人]
DS i : 0.50 4
8
[人]
4
0.80 1.2
Xm]
0 0
5
10
DS i
15
20
0 0
x i=20 までの見物衆
0.50 [m ]
29
1. 2
29
前列との間隔
4
6
8
10
合計滞在人数 区分1+ 区分2の滞在者
24 [人]
0.80
2
区分3+ 区分4の滞在者 区分5+区分6+ 区分7の滞在者
DF i 変化による試行
8
8
最前列までの距離 x 0 変化による試行
[人]
[人] 8.0
4
4
6.0
1.2 0.80
DF i : 0.50 0
x 0 : 4.0
0 0
5
DF i 0.50 [m ]
10
15
x i=20 までの見物衆 25 [人]
20
0
5
x0 4.0[m ]
10
15
20
x i=20 までの見物衆 23 [人]
0.80
29
6.0
29
1. 2
30
8.0
34
図 2.4.1-3 プレシミュレーション
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 42
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.4.2 パラメータの推定 次に、前項で用意した任意の値である横方向の他者との間隔(DSi)、前列との間隔(DFi)、およ び最前列までの距離(x0)を実測調査から導き出し、算出過程に加える。
横方向の他者 2.3.3 項において個人領域に関する各種検定をおこなったところ、見物衆を構成する滞在者各人 から見たもっとも近い横方向の他者との間隔は、視対象からの距離とは無関係であることが明らか になった。つまり見物衆の前方・後方問わず、平均して一定の間隔があけられていることになる。 このことから DSi は視距離によらない値をとることとした。調査①より導かれた平均値を DS(以降、 i 列番号によらない定数となることから、DS と表記する)とした。
DS = 0.797
値 2.4.2-1
前列との間隔 前項 1.4.1 で計算した試行においては、前列との間隔は一定であるとして計算した。しかし、実 際には 2.3.3 項において明らかになったように、前列との距離は視対象からの距離に応じて増加す る傾向にある。さらに詳しくこの傾向を分析するために、図 2.2.3-4 に示すように 15 度ずつ区切っ たエリアで、この傾向を見た。 まず、図 2.4.1-2 でも簡単に触れたように、視距離に応じた人数分布を求める。15 度ずつ計7 区分で表した(図 2.4.2-2)。15 秒間隔でデジタイズデータを切り取り、計 60 フレーム(15 分 /15 秒= 60 フレーム)で滞在人数を合計し、フレーム平均を出した。この結果、前列であればあ るほど滞在人数が多くなる傾向が見て取れる。これは図 2.4.1-2 で行ったプレシミュレーションの 結果に相応するものであり、モデルの考え方が正しいことが分かる。 9 8
FG!)[!/`a2b]
7
2.5
6 5
2
4
1.5
3
1
2 0.5
1
0
0 0
2
4
6
<HYZ[\FG]^_;* [m]
8
10 区分1
0
2
4
6
8
区分2
区分3
区分4
区分5
区分6
10 区分7
図 2.4.2-2 区分に分けて表す見物衆の人数の分布
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 43
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
次に、前列との間隔の取り方と見物対象との距離の関係を見た。視距離 xi、すなわち見物対象と の距離について、0.5m 間隔でデータをヒストグラム化し、そこでの区間内で視距離の平均を出し ている。図 2.4.2-3 ∼図 2.4.2-7 では前列との間隔 DFi をこの視距離区間内の平均値として求め、 視対象からの距離に応じてどのように間隔 DFi の取り方が変化するのかをみた。なお、区分1、2
3
120
2.5
2
80
1.5
60
1
40
0.5
20 0 6.57.0m
7.58.0m
8.59.0m
1
40
0.5 0 4.55.0m
9.510m
5.56.0m
6.57.0m
7.58.0m
8.59.0m
9.510m
_;* [m]
_;* [m]
図 2.4.2-3 区分3における xi と DFi
図 2.4.2-4 区分 4 における xi と DFi
3
140
3
120
2.5
120
2.5
100
2
80
1.5
60
1
40
0.5
0 5.56.0m
6.57.0m
7.58.0m
8.59.0m
100
2
80
1.5
60
1
40
0.5
20 0
0 4.55.0m
]^V) [!]
140
20
0 4.55.0m
9.510m
5.56.0m
6.57.0m
7.58.0m
8.59.0m
9.510m
_;* [m]
_;* [m]
図 2.4.2-5 区分5における xi と DFi
図 2.4.2-6 区分6における xi と DFi
140
2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0
120
]^V)[ !]
1.5
60
0
9:;* [m]
]^V) [!]
5.56.0m
2
80
20
0 4.55.0m
100
100 80 60 40 20 0 4.55.0m
5.56.0m
6.57.0m
7.58.0m
8.59.0m
9:;* [m]
100
9:;* [m]
140
2.5
]^!) [!]
3
120
9:;* [m]
140
9:;* [m]
]^!) [!]
においては、そのサンプル数が少ないため、ここでは省略した。
9.510m
_;* [m]
図 2.4.2-7 区分7における xi と DFi
区分3∼区分7の考え方や最前列、最大視距離の考え方につ いては図 2.2.3-4、表 2.2.3-5 を参照のこと
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 44
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
各区分において類似した傾向が見られるため、この傾向の比較を行った。先に視距離で分析した 結果を最前列からの距離におきかえ、この相対距離をx軸にとることで各区分で類似した傾向を標 準化した。なお、図 2.4.2-3 ∼図 2.4.2-7 における後方部で少数の滞在者の区間において前列の他 者との間隔にばらつきが認められるが、見物衆の平均的な傾向を見るため、これらの極端に前方に いる滞在者および極端に後方に居る滞在者については全体の5%水準で棄却した。この結果を図 2.4.2-8 にあらわした。 結果、DFi の増加にはほとんど均一の傾向が見られ、この分析によって、最前列の位置如何で前 列との詰まり方が変わらないことを確認した。
1.2
9: W0 HT
[m]
1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0
0.5
1
1.5
89: cd0 ,e;*
区分 3
区分 4
区分 5
2
2.5
[m] 区分 6
区分 7
図 2.4.2-8 最前列からの相対距離による DFi 実測値
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視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
以上から DFi は視対象からの距離に応じる変数ではなく、その説明変数は最前列からの距離である ことが分かった。
この結果を受けて、次に、DFi を相対距離によって説明するための式を表 2.4.2-9 のように用意 し、モデルに組み込むための式を推定した。相対距離 Xi = xi - x0 とおき、Xi による線形1次式 a 式と、 反比例式 b 式、および指数関数による c 式を用意した。 表 2.4.2-9 DFi 関数 式名
式
a.
DFi = #X i + "
b.
DFi =
c.
DFi = # exp( "X i ) + $
# +$ Xi + "
未知パラメータ
#, " #, ", $ #, ", $
最小2乗法 1)を用いて各未知パラメータを推定した。この結果を表 2.4.2-10 ∼表 2.4.2-12 に記 す。いずれも高い重決定の値が見られ、実測値として使用した値(Xi)の範囲ではモデルの記述力 が確保できる。 しかし、実際の見物衆の挙動を想定した場合、見物対象から遠ざかるにつれて前列との間隔が発 散してしまうことは考えにくい。用いた実測値以外の遠方の範囲で式のあてはまりを考えた場合、 前列との間隔 DFi は一定値に収束すると考えたほうが自然である。このため、Xi の値の増大により 収束する式 b または c を採用すべきと考えた。また、この両式を比較するとき、複雑な式を採用す るより簡易な記述法が本研究のモデルにふさわしい。そこで、遠方の Xi では値が収束し、かつ比 較的単純な b 式を採用することとした。
1)説明変数から目的変数を予測するモデルを構築するための統計的データ解析手法で、もっとも広く用いられている。偏差 の2乗の和を最小にするようにパラメーターを選んでいくことから、式 b. および式 c. では Microsoft Excel 2003 のソルバー アドインを使用して最小2乗和と未知パラメータを求めた。詳細は資料編を参照のこと。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 46
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.4.2-10 式 a. の推定結果
表 2.4.2-11 式 b. の推定結果
DFi = #X i + "
a. 線形
b. 反比例
DFi =
# +$ Xi + "
#
"
#
"
$
0.213
0.416
- 3.310
2.623
1.600
実測 X i
実測DF i
理論DF i
誤差
実測 X i
実測DF i
理論DF i
誤差
0.384
0.500
0.498
0.002
0.384
0.500
0.500
0.000
0.700
0.602
0.565
0.036
0.700
0.602
0.605
0.003
1.075
0.760
0.645
0.115
1.075
0.760
0.705
0.054
0.016
1.405
0.731
0.779
0.048
0.003
1.710
0.783
0.837
0.054
0.837
0.896
0.059
1.405
0.731
1.710
0.783
0.715 0.780
2.074
0.837
0.857
0.021
2.074
2.389
0.879
0.925
0.045
2.389
0.879
0.940
0.061
2.722
1.121
0.995
0.126
2.722
1.121
0.981
0.140
0.117
0.312
0.441
0.129
0.117
0.312
0.393
0.081
3.437
1.045
1.147
0.103
3.437
1.045
1.054
0.009
平均誤差
0.060
平均誤差
0.051
R
0.941
R
0.964
R2
0.886
R2
0.929
表 2.4.2-12 式 c . の推定結果 c. 指数型
# - 0.910
DFi = # exp( "X i ) + $ " - 0.423
$ 1.274
実測 X i
実測DF i
理論DF i
0.384
0.500
0.500
0.000
0.700
0.602
0.597
0.005
1.075
0.760
0.696
0.064
1.405
0.731
0.771
0.041
1.710
0.783
0.832
0.049
2.074
0.837
0.895
0.058
2.389
0.879
0.942
0.063
2.722
1.121
0.986
0.135
0.117
0.312
0.407
0.095
3.437
1.045
1.061
0.016
平均誤差
誤差
0.053
R
0.962
R2
0.925
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 47
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
以上をまとめると、前列との間隔 DFi は最前列の位置取り如何に関わらず、最前列との相対距離 によってきまることが明らかになり、さらに、その式は相対距離を Xi として、
3.31 + 1.60 X i + 2.62
DFi = ! =!
式 2.4.2-13
3.31 + 1.60 ( xi ! x0 ) + 2.62
とあらわせる。この DFi 関数理論式と、実測値の対応を図 2.4.2-14 に示す。
1.6
9:HT DFi [m]
1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
,e;* Xi [m] fghij<=Yklm=[mnonp
DFi -)0qrh
図 2.4.2-14 DFi 関数と実測値の対応
最前列の位置 見物対象から最前列までの距離 x0 はプロモーションの種類や群衆の規模によって大きく変わる と予想される。街頭演説などにおける対人距離は E.Hall2)が行動観察に基づいた研究によって「大
声、聴衆に向かって話す 」距離を提示しているように、ある程度の特性があると考えられる。しか し定数として定めるにはモデルの汎用性に影響があると判断し、モデルに決定式を組み込む議論を 避け、計算時に設定する手順を踏むことにした。
2)Hall,Edward T. 著 , 日高敏隆・佐藤信行訳 : かくれた次元 , みすず書房 ,1970
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 48
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
パラメータ推定のまとめ ・モデル上で使われるパラメータのうち DS(横方向の他者との間隔は見物衆の位置取りに関わ らず一定値である(値 2.4.2-1)。 ・モデル上で使われるパラメータのうち DFi(前列との間隔)は最前列からの相対距離に応じて 変化し、相対距離を説明変数とした式 2.4.2-14 で表される。 ・モデル上で使われるパラメータのうち x0(最前列の視距離)および I0(初期視認可能範囲)は、 人間の特性上 3.1m ∼(E.Hall)の値をとるが、モデルに組み込む決定値は特に存在しないため、 その空間の形状に合わせ、モデルの利用時に決定することができるパラメータであるとする。x0 に 関しては、人間の特性上 3.1m ∼(E.Hall)の値をとる。 以上を図 2.4.1-2 のアルゴリズムに組み込み計算をした結果を実測値と比較し、整合性を確かめ た(図 2.4.2-15)。なお、図における視距離の階級値は統計学的にヒストグラムの階級・階級間隔 を定めたものである。見物衆の視距離と滞在人数において、実測値と理論値との高い整合性が見て 取れる。図に示した平均値で 81.1%、もっとも再現性の高かったデータ抽出ポイント t=540[sec] で 86.5%のあてはまりが確認された。これによってモデルは高い記述性を有していることが確か められた。 18 16
]^!) [ ! ]
14 12 10 8 6 4 2 0 4.8
6.6
7.8
8.9
10.1
11.3
_;* [m] 実測値(平均)
実測値( t=540sec #
理論値
図 2.4.2-15 実測値と理論値 3)
3)区分1、2をのぞく、区分3∼7について合計した滞在人数と比較した。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 49
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.4.3 通行人の影響と滞在時間の検討 視角の減衰と視覚情報の逓減 視覚情報の逓減から構築したモデルを検討するため、モデルを使って算出した滞在者おのおのの 視角と、視対象の視覚情報の逓減を比較した(図 2.4.3-1)。視覚情報の逓減により視角が減少して いることがわかるが、1.3.1 語句の定義の節で確認したように、視角とはつまり視距離に反比例す る性格を持つ。視角の値が大きいとき、つまり滞在者が見物衆の前方に位置しているときは視対象 から得る視覚情報は大きい。見物衆の後方に居る場合、他者の阻害によって得る視覚情報は大きく 逓減していくという仮説に基づく見物衆の特性が記述された。なお、ここでは理論値として検討 するため、初期の視認可能範囲(I0)を 360 度とし、これを 100%の視覚情報としている。また、 最前列の距離(x0)、滞在者が最大にとり得る視距離(Max{xi})は任意に、それぞれ 5m、20m と している。
2.5
_v[w]
2 1.5 1 0.5 0 100
80
60 40 _stu I[%]
20
0
図 2.4.3-1 視覚情報の逓減と滞在者の視角
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 50
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
視覚情報の逓減と滞在人数 次に、調査による実測値も交え、滞在人数と視距離による視角の減衰を比較した(図 2.4.3-2)。こ れによると、視覚情報が十分に消費されていない段階で滞在者は、グラフの後半において、その分布 を終えていることが分かる。視対象である演説者固有の求心力によるものとも考えられるが、冒頭で 記したように、ここではその議論を避け、これについて考えられる要因として、次を挙げた。 ・空間の規制による(Max{xi}) ・見物衆以外の通行人による
Max{xi} のとる範囲についてはモデルに組み込まれた値であるため、当然結果に反映される。した がって検討すべきは通行人との兼ね合いであると見ることができ、また、モデルの利用シーンを考え る上でもこの問題は重要であると考えられる。以降では通行人との関係を議論した。
18
100
16
]^!) [ ! ]
12 60
10 8
40
6 4
_stu [%]
80
14
20
2 0
0 0
2
4
6
8
10
12
_;* [m] 滞在人数実測値
滞在人数理論値
視覚情報
図 2.4.3-2 視覚情報の逓減と滞在者の人数
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 51
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
通行人との交雑 まず、2.2.1 節で密度を可視化した例にならい、通行人と見物衆の兼ね合いを密度として可視化 した(図 2.4.3-3 ∼図 2.4.3-4)。
通行人の密度 2 人 /m2 1 人 /m2
見物衆の密度
図 2.4.3-3 t=60sec における分布
図 2.4.3-4 t=180sec における分布
上図は調査資料より任意に二つの時点を抽出したものであるが、見物衆の滞在域と通行人の通路 が重なっていることがわかる。また、図中では滞在者と歩行者とが重なるグリッドにおいて、密に なっている様子もうかがえる。このことから、滞在者の存在が歩行者の自由歩行の阻害になって いると考えられる。都市公共空間における見物行動が他の歩行者の阻害要因となっては健全なプ ロモーション活動とは言いがたい。そこでこの問題について検討できるモデルとするため、文献1) を参考に閾値を設定した(図 2.4.3-5、図 2.4.3-6)。
1)ジョン・J・フルーイン著 : 歩行者の空間 , 鹿島出版社 ,1974
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 52
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
1.6
9:W0HT DFi[m]
1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0
図 2.4.3-5 J. J. Fruin による通り抜け領域 1)
5
10 _;* xi [m]
15
20
図 2.4.3-6 通り抜け閾値と前列間隔(DFi)
上図に示すようにフルーイン(1974)が記した 120cm を、歩行者が見物衆の間を通り抜ける、 つまり見物衆の系と歩行者空間が錯綜し得る閾値として設定した。式 2.4.2-13 より DFi > 0.12 と なる閾値を与える視距離を算出すると、相対距離 Xi(Xi=xi-x0 であった)は 5.61m と求まる。本実 測調査によると、最前列はおおむね5m 前後であるので、閾値は 10m 前後ということになる。こ こで、図 2.4.3-2 を再び見てみると、先に挙げた見物衆以外の通行人による影響で滞在者が減少し ているという説が正しいことがわかる。 このことから、DFi > 0.12 の条件をモデルに組み込み、本研究の目的のひとつである公共空間に おける歩行者と見物衆の錯綜の検討資料とするためのモデルとした。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 53
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
滞在時間 次に、各滞在者の滞在時間を検討する。滞在者はそれぞれの興味に応じて見物する時間が異なっ てくると考えられる。また、視対象であるプロモーションする側の内容によっても、同様に滞在者 の時間は大きく変化すると考えられる。しかし、本研究では個人個人の興味度合いおよびプロモー ションの内容等は勘案せず、あくまで視覚情報の享受に応じるものとしている。これによって基本 的な空間利用の検討が可能となると考えられるためである。実測値による傾向を見るため、視角の 減少と滞在時間との対応を図化した(図 2.4.3-7)。 なお、確認するが、1.3.1 節で見たように視角は視対象との距離に応じて決定される「見えやすさ」 の単位である。また、視覚情報の逓減は視対象のものもの持つ視認可能な空間範囲としている。し たがってここでは「見えやすさ」と滞在時間を検討するため、視角と滞在時間の対応を見る。
歩行者との交錯閾値
60
2.5 2
40
1.5
30 1
20
_v
]^6H [sec]
50
0.5
10 0
0 0
5
10 12 _;* [m] 滞在時間
15
20
視角
図 2.4.3-7 滞在時間と視角
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 54
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
滞在時間は、おおむね視覚情報の逓減に応じて減少傾向にあることがわかる。この視覚情報と滞 在時間の値の関係性をみるため、ふたつのデータの相関係数を求めたところ、その値は 0.86 であり、 両者の高い関係性を確認することができた。ここでは視覚情報は理論値を、滞在時間はその視距離 に滞在した者のうち平均してどれだけ滞在したのかという実測値をそれぞれプロットしてある。ま た、理論上前列との間隔が 120cm を超えた見物衆に関しては一般の歩行者と錯綜の可能性が出て くるため、ここではその閾値を記してある。やや定性的な表現ではあるが、閾値の前後を境に滞在 時間の減少が起きていると見ることもできる。 60 50 ]^6H [sec]
40 R 2 = 0.5694
30 20 10 0
-1.4
-1.2
-1
-0.8 -0.6 _v0,eh
-0.4
-0.2
0
図 2.4.3-8 滞在時間と視角の相対値
以下、モデルに組み込むために、最前列の位置によらない回帰式を求めた。図 2.4.3-8 では最前 列の視角を基準として視角の相対値を求め、歩行者との交錯が起こるとした 120cm の閾値以降を 省く形をとった後、関係式を求めている。この結果、ri を i 列における滞在者の視角、r0 を最前列 の滞在者の視角とし、以下の式 2.4.3-9 が得られる。
time!" = 17.83(ri ! r0 ) + 50.46
式 2.4.3-9
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 55
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.4.4 モデルの提案 見物衆の行動特性のまとめ 見物衆の特性分析および前節までの決定事項をまとめると次のようになる。 [1] 視野の確保(仮説 .1)を前提にし、局座標系で列に近似した見物衆を算出するモデル化のた めのアルゴリズムを作成した。 [2] モデル上で使われるパラメータのうち DS(横方向の他者との間隔)は一定値とし 0.528 と する(値 2.4.2-1)。 [3] モデル上で使われるパラメータのうち DFi(前列との間隔)は最前列からの距離に応じて増 加し(仮説 .2)、最前列からの相対距離を説明変数とした式 2.4.2-14 で表される。 [4] モデル上で使われるパラメータのうち x0 および r0 は、その空間の形状に合わせ、モデルの 利用時に決定することができるパラメータである。しかし、x0 に関しては、人間の特性上 3.1m ∼ (E.Hall)の値をとる。 [5] モデルの計算上、前列との距離が閾値(120cm)を超えたものに関しては一般の歩行者と交 錯の可能性が出てくる。このため、この閾値を判断する仮定をアルゴリズムに組み込む。 [6] 視角に応じて滞在時間は減少傾向にある。この傾向を最前列からの相対視角を説明変数とし た式 2.4.3-9 で説明する。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 56
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
モデルの提案 以上を踏まえ、図 2.4.4-1、図 2.4.4-2 にモデルを提案する。実測値とあてはまりは、先に図 2.4.2-15 に表したとおりである。 start
I 0 : 視対象が見える範囲を設定
DS
: 同列の横方向の他者との間隔(定数)
w
: 視覚阻害がおきる幅 (例えばここでは人の頭の幅)(定数)
Ii
: 視覚情報(単位は度)
xi
: 視距離(x0は最前列の距離)
DFi : 前列との間隔
no
滞在可能な空間はあるか (xi が確保可能か)
end
yes
no
歩行者との阻害はないか ( If DFi <120[cm] Then )
%i
: 滞在者1人あたりの占有角
&i
: 滞在者1人あたりの阻害角
Ni
: 列 i %&'()*+
滞在者は歩行者と干渉の危険
yes
列i
ⅰ. x i と DS から一人の占有角(%i)を求める
%i = 2 tan !1 ( DS )
ⅱ. I i に"#$ を最大限割り当てる
Ni =
ⅲ. 並べられた人間の頭幅の阻害角の分だけ 視覚情報が逓減する
2 xi
Ii %i w ) 2 xi
I i +1 = I i ! N i& i
xi +1 = xi + DFi +1
(式2.4.2-13を参照)
&i = 2 tan !1 (
ⅳ. 次列 i+1 の対象からの距離
(値2.4.2-1を参照)
図 2.4.1-1 見物衆の形成ルーチン
start : 滞在の開始
滞在時間をカウント
滞在時間規定値を超えるか (time,-./>カウント) yes
ri
: 列 i 0滞在者が視対象を見る視角
xi
: 視距離(x0は最前列の距離)
wobj : 視対象の大きさ(定数)
no
end : 離脱
time!" = 17.83(ri ! r0 ) + 50.46 ri = 2 tan !1 (
wobj 2 xi
)
図 2.4.1-2 見物衆の滞在時間ルーチン
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 57
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.4.5. 視線高について 選挙カー上での演説 これまで論じてきたモデルは主に調査①の群衆の挙動に基づいて構築されたものである。一般に 選挙演説などのプロモーション活動といわれるもののうち、この調査資料①については演説者が見 物衆が同じ平面上に位置しているというひとつの特徴をもっていた。そのため先に提案したモデル は、仮に演説者及び見物衆の視線高が同一(例えば視高 150cm など)であると仮定した2次元の ものであり、プロモーション活動を行う主体とその見物衆が同じレベルに立っているシーンでしか 利用できない。 しかし、選挙演説などのプロモーションには選挙カーなどの上に立って行われるものや、設置さ れたステージ上など観衆とは異なるレベルで展開されるものもある。本研究の目的であるプロモー ション活動における空間利用の事前検討を可能にするためには、これらのシーンにも柔軟に対応す るモデルが必要である。 選挙カー上の演説者に対する見物衆について、これまで構築したモデルと異なる点はまず視野の 阻害による視覚情報の逓減である。この概念を図 2.4.5-1 にあらわした。
調査①など、同一平面上に視対象があるプロモーション。
調査②など、視対象が同一平面上にない
前方の他者の存在により視野阻害が起き、視覚情報の逓減が
プロモーション。視距離によっては、前方
生じる。
の他者の存在により視野阻害が起きにくい。
選挙カーなど
図 2.4.5-1 視線の高さとプロモーションの種類
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 58
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
これまでのモデルでは視野阻害角(図 2.4.1-1 における &i)によって見物衆の視対象の視覚情報 が減少するモデルであったが、前頁の図に示したように、視線高の異なる視対象に対して集まる見 物衆では視野の阻害はこれまでと同様に起きないと考えられる。そのため、視線高の異なる見物衆 の記述に関しては図 2.4.5-2 に示す考え方をつかってこれまでのモデルを基に阻害角 &i に変化をつ け、これを再現しようと試みた。
視対象を見上げる仰角によって、視野が 阻害される割合が変化すると考えられる。 視対象
視野の阻害
このため、仰角の変化と係数 k 1234 56789:%;<=>?)
仰角
仰角
2345067 @ 89:0AB$ & i C 仰角 × k ( 係数)
図 2.4.5-2 仰角の違いによる視覚情報の逓減 まず調査②より視距離と滞在人数の関係を抽出し、モデルにおける &i に乗ずる係数を任意に設 定した。表 2.4.2-10 ∼表 2.4.2-12 で試みたのと同様の手法により2乗和を最小とする係数を決定 した。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 59
]^!) [!]
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
5 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0
5
10
15 _;* [m]
理論値
20
25
30
実測値
図 2.4.5-3 調査②とモデルのあてはまり 決定された係数は 0.220 となり、これをあてはめたモデルの計算結果との比較を図 2.4.5-3 にあらわ した。決定された係数をモデルに組み込むことによって導かれた滞在人数と、実測値との間の平均誤差 は 0.63 人と算出され、高い当てはまりを確認できた(詳細は資料編を参照のこと)。 なお、上図のモデルを使った計算結果と比較検討したデータは調査資料②よりえられたものである。 調査資料②においては、視対象は 1.92[m] の高さを持つ選挙カー上に立っており、資料①の同一平面 上の見物衆とは性格が異なる。なお、ビデオ撮影調査上の都合により最前列の位置は把握できなかった ため、調査①で得られた平均の最前列距離を値として用いている。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 60
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.5 シミュレーション 2.5.1 シミュレーション環境について モデルのビジュアライズ 見物衆の再現のため、得られたモデルに即して表計算で滞在者の分布を算出後、OriginLab Corporation の Origin8.0 で可視化した。ここではまず、調査①および②とは無関係に、見物衆の 滞在に対し空間に制限のない理想エリアを想定し、モデルの理論値を可視化した。 閾値
50 40 ]^!)X!x 30 10
20 10
5
!"#$
0 -10
0 yscale[m] -5 -5
0 xscale[m]
5 -10
10 図 2.5.1-2 同一の視線高の見物衆
閾値
50 40 30 ]^!)X!x
10
20 5
10 0 -10
0 -5 -5
0
yscale[m]
5 xscale[m]
-10 10
図 2.5.1-2 視線高の異なる見物衆 Hitoshi Watanabe Lab. 2007 61
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
調査①の再現 次に、調査①を行った新宿駅西口エリアにおいて、モデルによって滞在人数を算出し、計算結果 を可視化した(図 2.5.1-3 ∼図 2.5.1-5)。この結果を実測値と比較したものを図 2.5.1-6 にしめす。 視覚的に、ほぼ見物衆の滞在分布を再現できていることが分かる。なお、このモデルによる理論値 と実際の見物衆の整合性の詳細は先に図 2.4.2-15 に示したとおりである。 ]^!) X ! x 6
2.16 1.89 1.62 1.35 1.08 0.81 0.54 0.27 0 X!x
4
2 視対象の位置 0
-15
9 -10
0
-5 0
_;* Xyx
-9 _;* Xyx
5 10 15
-18
図 2.5.1-3 調査①の再現その1
]^!) X ! x
2
0
_;* Xyx 10 0 -10
0
10 _;* Xyx
-10
図 2.5.1-4 調査①の再現その2 Hitoshi Watanabe Lab. 2007 62
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
_;* X ! x 2.16 1.89 1.62 1.35 1.08 0.81 0.54 0.27 0 X!x
10
2LM
0
-10
-10
0
10
_;* X ! x
図 2.5.1-5 調査①の再現その3
89:%H)IJK 10
_;* Xyx
5
0 -5
2.16 1.89 1.62 1.35 1.08 0.81 0.54 0.27 0 X!x
-10 -15
-10
-5
0 _;* Xyx
DEFG 2LM
図 2.5.1-6 実測値のプロットとモデル理論値の比較
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 63
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
歩行者との交雑の考察 研究目的の項で確認したように、本モデルを作成した背景には、見物衆を制御・管理する立場へ のツール提供というねらいがあった。ここまで議論してきた街頭プロモーションは、もっぱら公共 都市空間で行われることがおおいため、実際のモデルの利用シーンを想定すれば、公共空間におけ る歩行者との交雑の問題もまた、シミュレーションとして視覚的に表現されねばならない。そこで 歩行者との交雑の起きる閾値により見物衆の滞在域の広がりが終わるものとして、これを可視化し 行者との交雑が起きない場合と比較した。 2.16 1.89 1.62
]^!) X ! x 6
6
1.35 1.08 0.81
4
4
0.54 0.27 0 X!x
2
2
0
0
9
9 0 _;* Xyx
-15
_;* Xyx
-9
-10
0
-15 -9
-10 -5
-5
図 2.5.1- 7 歩行者と見物衆が交雑する場合と交雑のない場合の比較 例えば伊藤 1)は観察によって、歩行空間内のパフォーマーの見物衆に対する通行人の行き来す る方向へ形態が伸びていく傾向を指摘しているが、歩行者と見物衆の交雑で比較検討したように、 これは図 2-5-1-8 のように通行人と錯綜が原因となっているものであると考察できる。歩行者と錯 綜の少ない方向、すなわち通行方向に沿う方向に見物衆は滞在していき、その形態は楕円形となる。 歩行者の通行 0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0[!] 閾値
10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10
図 2.5.1-8 歩行者の動線方向と見物衆の形態 1)伊藤倫子 , 山口有次 , 林田和人 , 中村良三 , 渡辺仁史 : パフォーマンス空間における観客の行動特性に関する研究 , 日本建 築学会大会学術講演梗概集 ,E-1 分冊 ,885-856,1998.9
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 64
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
2.5.2 見物衆の制御について 前列との間隔の制御 次に、プロモーション活動を実施する際どのように見物衆を制御すれば効率のよいプロモーショ ンが実施できるのかを検討するため、モデルのパラメータを操作することでシミュレーションを 行った。ここでは、より安全かつ快適な鑑賞行動を支援するために、群衆の管理する第三者の観点 に立ち、前列との間隔を制御する手段や、最前列の位置取りを制御する手段をとることを想定した。 まず、通行人の影響を考えず、平坦な空間でプロモーションを行うと仮定し、見物衆の滞在のた めにどのような管理を行うのが適切かを検討した。検討シミュレーションを図 2.5.2-1 ∼図 2.5.2-3 に示す。 比較のため、はじめに歩行者の通行により、見物衆が広がらない状況のシミュレーションを図示 した(図 2.5.2-1)。これは図 2.5.1-1 および図 2.5.1-2 とまったく同様のシミュレーション結果の 可視化である。
! 0 [NN] 6
0.30 0.57 4
0.86
]^!) X ! x
1.14
2
1.43 0
1.71
-2
2.00
9
2.16
-15
0 _;* Xyx
_;* Xyx -10 -9 -5
図 2.5.2-1 歩行者の影響を含めた滞在者 1)
1)実測のように建物等の阻害をここでは考えていない。また、両軸ともに視距離が 0 である地点に視対象が立ち、そこから の相対距離を座標上にプロットしてある。視距離につく符号は座標上の方向性を示すものであり、意味を成していないこと に注意してほしい。なお、シミュレーションの結果、エリア内の滞在者の合計は 65.3 人であった。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 65
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
歩行者の影響を考えない空間におい て、 前 列 と の 間 隔 DFi を 変 化 さ せ、 シ ミュレーションを行った。使った値は図 2.5.2-2 ∼ 図 2.5.2-4 の 順 で そ れ ぞ れ 式
2.4.2-13 による DFi、視距離によらない
エリア内滞在者 = 91. 3[ 人 ]
定数 0.6[m]、1.2[m] の3つである。また、
6
エリア内の総滞在人数を算出し、図中に 記してある。
4 2
この結果、列が均一の間隔で並んでい
0 -2
るとした 0.6[m] のシミュレーション(図
9 -15
2.5.2-3)より人間の行動特性に即した式
0
2.4.2-13 による DF(図 2.5.2-2)のシミュ i
-10
レーションのほうがより多くの滞在者を
-9
受け入れられることがわかる。
-5
図 2.5.2-2 歩行者の影響を考えない場合
エリア内滞在者 = 100[ 人 ]
エリア内滞在者 = 87. 8[ 人 ] 6
6
4
4
2
2
0
0 -2
9
-2
9 -15
-15
0
0 -10
-10
-9
-9 -5
-5
図 2.5.2-3 DFi を一定にする(DFi = 0.6[m])
図 2.5.2-4 DFi を一定にする(DFi = 1.2[m])
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 66
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
さらに式による DFi よりも 1.2[m] の均等の間隔をとった場合に、より多くの滞在者が見込める ことがわかる。多くの滞在者が見込める順に、0.6[m](定数)< DFi < 1.2[m](定数)であった。 滞在者が多く見込めるという結果は、つまり多くの見物衆が視野確保を実現し、プロモーション の情報を享受できるということを示している。前者との間隔を詰めるよりも、ゆとりをもって間隔 をあけたほうがより多くの滞在者が見込めるという結果は興味深いものである。 この結果を受けて、プロモーションの主体が、より多くの群衆に見てもらいたい、視覚的な情報 を伝えたいと考えるのであれば、ゆとりをもった均一の間隔をあけて見物衆を滞在させる工夫が必 要であるということがわかる。 ところで図 2.5.2-5 に示すのは、選挙遊説開始前のようすであるが、ここでは混雑回避の対策と 考えられる仕切りが設置されていることがわかる。本研究のシミュレーションの結果から考察すれ ば、このような仕切りなどを設けてることで集合する見物衆に一定の間隔をあけさせる工夫は、混 雑の緩和策としての意味のみならず、視覚情報の提供にも有効であることいえるだろう。
図 2.5.2-5 選挙遊説前の会場整備のようす
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 67
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
最前列の制御 前列との間隔 DFi を変化させたシミュ レーションにつづき、見物衆の最前列の 位置を変化させたシミュレーションを 行った。使った値は図 2.5.2-5 ∼図 2.5.2-6 に記した順でそれぞれ、調査①による実
エリア内滞在者 = 91. 3[ 人 ]
測 値、3.5[m]、7.5[m]、 の 3 つ で あ る。
6
また、エリア内の総滞在人数を算出し、 図中に記してある。
4 2
その結果、3.5[m] < 実測値 < 7.5[m] の
0 -2
順に滞在可能な人数が増加した。最前列
9 -15
は距離をある程度とったほうが同様のエ
0
リアでも滞在可能な人数のキャパシティ
-10
が増えることがわかる。一見、制御され
-9
て前にいくことが出来ない状態と考えら
-5
図 2.5.2-5 最前列 x0 は調査①に基づく
れるが、それがかえって全体の視覚情報 享受の効率性をあげる結果となっている。
最前列視距離 = 3.5 [m] エリア内滞在者 = 73.9[ 人 ]
最前列視距離 = 7.5 [m] エリア内滞在者 = 109.8[ 人 ] 6
6
4
4
2
2
0
0 -2
9 -15
0
-2
9 -15
0 -10
-10
-9
-9 -5
図 2.5.2-6 x0 = 3.5[m] の制御
-5
図 2.5.2-7 x0 = 7.5[m] の制御
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 68
3章 結論 3.1
まとめ
3.2
展望
Hitoshi Watanabe Lab. 2007
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
3.1 まとめ
街頭プロモーションは時に公共都市空間に大きな混雑を招く要因になりかねない。その一方で豊 かで魅力ある都市生活にはなくてはならないものである。本研究ではこのようなプロモーション活 動などによる活気ある都市生活を支えるため、その安全や効率化に焦点をあてて取り組んだ。見物 衆の挙動を明らかにし、モデル化することで安全性の検討や利用空間の選定に資する手段を用意す ることを目指した。 見物衆の挙動はこれまでの群衆流動の研究の蓄積では記述できない特性を持っている。群衆の滞 留などは人間の周囲の状況により受動的に混雑に巻き込まれるが、一方で見物衆は自らの意思決定 に従って混雑に向かう。これらの特徴を、本研究では、人間が立ち止まる前に、何のために立ち止 まるのかという目的別に整理し、立ち止まり行為の内的欲求としてカテゴライズした(図 1.2.3-2)。 また、その欲求達成には、見える場所に立ち止まる、または手の届く範囲に立ち止まる、などの空 間的な達成条件が関連付けられる。 この整理の中で、本研究の扱ったプロモーション活動に集まる見物衆は、「見たい」という内的 欲求のもと「見える」位置に立ち止まるという達成条件を課せられていると見て、これをモデルに 組み込んだ。 以下、本研究によって明らかになった点、さらに達成できた点を列挙する。 [1] 見物衆は、その視対象が「見える」位置に立ち止まるという仮説のもとに、視野の確保につ いて調査をした結果、見物衆は視野の確保を前提に集まることがわかった(2.3.2 視野の確保)。 [2] 見物衆は視野の確保を前提にしているため、視野の阻害に無関係の横方向の他者については、 間隔の取り方に傾向は見られない。 [3] 見物衆は集団の前方であればあるほど、前に詰まったかたちで位置する。すなわち前方の他 者との間隔は、集団のなかのどこに位置するのかによって把握できる(式 2.4.2-13)。 [4] 見物衆の滞在時間についても、視覚情報に密接に関わっており、集団の後方であればあるほ どその時間は短い(図 2.4.3-2、および式 2.4.3-9)。 [5][1] ∼ [4] を考慮し、モデルを作成した。 [6] 作成したモデルにより管理対策を検討することを実証した。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 69
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
3.2 展望
本研究で作成したモデルは「見たい」という欲求による見物衆であれば、視覚情報の逓減から見 た汎用性の高いものとなった。本研究はモデルの計算結果をビジュアライズするにとどまったため、 今後は本研究で得られた知見をエージェント指向シミュレータ作成などに生かしてくことも考えら れるだろう。 また、繰り返し論じてきたように、公共都市空間において見られる街頭プロモーションとは選挙 遊説に限られたものではない。路上パフォーマンス、ゲリラライブなど人間がそのプロモーション 主体であるものから、ディスプレイなど視対象が人間でないものまでその内容は多岐多用であり、 そこに集まる見物衆の持つ興味の度合いもまた、実際にはさまざまであると考えられる。 都市空間利用のさらなる快適性を目指し、本研究で扱わなかった視対象が明らかでない場合や、 その他「視覚情報」から発生する見物衆以外の人だかりの議論も積み重ねる必要があると考えられ る。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 70
視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆のモデル化
謝辞
本研究を終えるにあたり、学部4年より3年間お世話になった渡辺先生にまず感謝の意を示した いと思います。私にとってこの大学院生活が非常に豊かなものになったのは先生のご指導があった がゆえであったと考えております。ありがとうございました。 また、同じく3年間お世話になった情報化建築ゼミの遠田さん、出来のわるい情報ゼミ一期生の 私でしたが懲りずにご指導していただき、本当にありがとうございました。 本研究を進めるにあたりご指導していただいた林田先生、長澤さんのお二人にも大変感謝してお ります。特に林田先生には本研究を通してお世話をかけっぱなしであったように思います。重ねて お礼の意を示します。長澤さんにはその的確なコメントで多くを学ばせていただきました。的確か つ丁寧なご指導ありがとうございました。 本研究を手伝ってくれた渡辺くん、無理難題なプログラミングを課して正月の休みを奪ってし まったことが心残りではありますが、どうもありがとう。 最後に研究室の友、そして私の大学院進学を応援してくれた両親に深謝して、本研究を終えたい と思います。
※本研究は大林都市研究振興財団平成 18 年度研究助成金により進められました。ここに記して 謝意をあらわします。
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 71
資料編 □
参考文献
□
立ち止まり行動・領域の限定マクロ
□
表 2.3.3-5 検定結果表
□
表 2.3.3-9 検定結果表
□
前方の他者を検出するマクロ
□
図 2.3.3-1 最小距離の他者の分布の作成
□
調査①:新宿駅前における見物衆のデジタイズ
□
DF i 関数算出(表 2.4.2-11、表 2.4.2-12)
□
図 2.4.5-2 係数決定
Hitoshi Watanabe Lab. 2007
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
参考文献 群衆 Hall,Edward T. 著 , 日高敏隆・佐藤信行訳 : かくれた次元 , みすず書房 , 1970 Sommer Robert 著 , 穐山貞登訳 : 人間の空間−デザインの行動研究 , 鹿島出版会 , 1972 Horowiz M.J.,Duff.D.F.,Stratton.L.O. 著 , 広田君美編 : 個人空間の解明 , 環境心理学3, 誠信書房 , pp.92, 1974
西成活裕著 : 渋滞学 , 新潮選書 ,2006.9 橋本都子 , 西出和彦 , 高橋公子 , 高橋鷹志 : 実験による対人距離から見た心理的領域の平面方向の広がり に関する考察 , 日本建築学会計画系論文集 , No.485 号 , pp.135-142, 1996.7 高柳英明 , 佐野友紀 , 渡辺仁史 : 群集交流動における歩行者領域確保に関する研究−歩行領域モデルを用 いた解析− , 日本建築学会計画系論文集 , No.549 号 , pp.185-191, 2001.11 ジョン・J・フルーイン著 : 歩行者の空間 , 鹿島出版社 , 1974 加藤邦夫 , 上原孝雄 , 中村和男 , 吉岡松太郎 : 群集対向流動の解析 , 日本建築学会論文報告集 , Vol.289, pp.119-129, 1980 岡崎甚幸 : 建築空間における歩行のためのシミュレーションモデルの研究 , その1 磁気モデルの応用 による歩行モデル , 日本建築学会論文報告集 , Vol.283, pp.111-119, 1979.9 松下聡 : 待ち行動を含む群集歩行シミュレーションモデルの研究 , 日本建築学会計画系論文報告集 , Vol432, pp.79-85, 1992.2 大佛俊泰 , 佐藤航 : 心理的ストレス概念に基づく歩行行動のモデル化 , 日本建築学会計画系論文集 , Vol.573, pp.41-48, 2003.11
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
参考文献 立ち止まり行動 畔田麻理子 , 長澤夏子 , 木村謙 , 林田和人 , 渡辺仁史 : 高齢者の多い空間における「立ち止まり」に関す る研究 , 日本建築学会大会学術講演梗概集 , E-1 分冊 , pp.823-824, 1999.9 大西直徳 : 待ち合わせを考慮したエージェント指向シミュレータの研究 , 渡辺仁史研究室卒業論文 , 2004 年度 葛島知佳 : 携帯電話が変化させる空間に関する研究 , 待ち合わせについての研究 , 渡辺仁史研究室卒業論 文 , 1999 年度 梅澤力 : 駅における待ち合わせ行動予測モデル , 渡辺仁史研究室修士論文 , 1998 年度 田口想 : 流動の影響を考慮した立ち止まり行動のモデル化に関する研究 , 渡辺仁史研究室修士論文 , 2003 年度 伊藤倫子 , 山口有次 , 林田和人 , 中村良三 , 渡辺仁史 : パフォーマンス空間における観客の行動特性に関 する研究 , 日本建築学会大会学術講演梗概集 , E-1 分冊 , pp.885-856, 1998.9
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
参考文献 視覚情報 村田勉著 : 知覚闘争のメカニズムとダイナミズム , 生体の科学 58, 医学書院 , 2007 日本視覚学会編 : 視覚情報処理ハンドブック , 朝倉書店 , 2000.9 飯島泰蔵著 : 視覚情報の基礎理論 , パターン認識問題の源流 , コロナ社 , 1999.6. 乾敏郎著 : 視覚情報処理の基礎 , サイエンス社 , 1990.4
社会心理学
中谷内一也著 : リスクのモノサシ−安全・安心生活はありうるか− , NHKブックス , 1063, 日本放 送出版協会 , 2006 中谷内一也 : 人だかりの大きさとインセンティブのあいまいさが通行者の参入に及ぼす効果 , 実験社会 心理学研究 , Vol.33, No.2, pp.150-154, 1993.11 斉藤勇著 : 社会的勢力と集団組織の心理 , 誠信書房 , 1982.7 新建築学体系編集委員会編 : 環境心理 , 新建築学大系 11, 彰国社 , 1982 Brown.R 著 , 青井和夫訳 : 社会心理学講座7, 大衆 , みすず書房 , 1957.1 Milgram, S., Bickman, L. & Berkowitz, L. : Note on the Drawing Power of Different Size., JSPS, 13, pp.79-82, 1969
その他
水越英一郎 : 行動主体における建築空間モデル , 渡辺仁史研究室修士論文 , 1994 年度 日本建築学会編 : 建築設計資料集成[人間], 丸善 , 2003.1.31 日本建築学会編 : 建築設計資料集成 , 単位空間Ⅰ , 丸善 , 1980
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
立ち止まり行動・領域の限定マクロ 立ち止まり行動の算出のため、3秒以上 50cm/sec の移動以下であったものを抽出するマクロ。
Dim msg As Variant Dim spd As Variant Dim i As Integer Dim j As Integer Dim thisx As Variant
' 現在の座標
Dim thisy As Variant Dim pas1x As Variant
' 1秒前の座標
Dim pas1y As Variant Dim pas2x As Variant
' 2秒前の座標
Dim pas2y As Variant Dim pas3x As Variant
' 3秒前の座標
Dim pas3y As Variant
' 領域限定、速度限定、For 071218_2_ 基礎データ .xls Sub Macro1() spd = 0.5 ' 停止とみなす速度 ' 領域を限定 p1_x = -8.98538 p1_y = -5.29684 p3_x = -3.49469 p5_y = 0 p7_y = 14
For i = 2 To 94 For j = 5 To 902 Worksheets(3).Activate
thisx = Cells(j, i * 2).Value thisy = Cells(j, i * 2 + 1).Value pas1x = Cells(j - 1, i * 2).Value
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
pas1y = Cells(j - 1, i * 2 + 1).Value pas2x = Cells(j - 2, i * 2).Value pas2y = Cells(j - 2, i * 2 + 1).Value pas3x = Cells(j - 3, i * 2).Value pas3y = Cells(j - 3, i * 2 + 1).Value ' 領域限定 If (thisx >= p1_x And thisy <= p7_y And thisy >= p1_y) And (thisx < p3_x Or thisy > p5_y) Then ' 速度限定 If Sqr((thisx - pas1x) * (thisx - pas1x) + (thisy - pas1y) * (thisy - pas1y)) < spd _ And Sqr((pas1x - pas2x) * (pas1x - pas2x) + (pas1y - pas2y) * (pas1y - pas2y)) < spd _ And Sqr((pas2x - pas3x) * (pas2x - pas3x) + (pas2y - pas3y) * (pas2y - pas3y)) < spd Then Worksheets(5).Activate Cells(j, i * 2).Value = thisx Cells(j, i * 2 + 1).Value = thisy End If End If Next Next msg = MsgBox(" 処 理 が 終 了 し ま し た ", vbOKOnly + vbApplicationModal + vbExclamation + vbDefaultButton1, " 動作確認 ") End Sub
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.3.3-5 検定結果表 表 2.3.3-5 検定結果表の全データ。
多重比較検定の結果(Tukey法)
危険率5%
危険率1%
平均値の差
棄却値
棄却値
4.5-5.0m,5.0-5.5m
0.039
0.212
0.245
4.5-5.0m,5.5-6.0m
-0.031
0.211
0.245
4.5-5.0m,6.0-6.5m
0.096
0.208
0.242
4.5-5.0m,6.5-7.0m
0.027
0.216
0.251
4.5-5.0m,7.0-7.5m
0.017
0.234
0.271
4.5-5.0m,7.5-8.0m
-0.066
0.245
0.284
4.5-5.0m,8.0-8.5m
-0.152
0.381
0.442
4.5-5.0m,それ以上
-0.487
0.344
0.399
5.0-5.5m,5.5-6.0m
-0.070
0.117
0.136
5.0-5.5m,6.0-6.5m
0.057
0.112
0.129
5.0-5.5m,6.5-7.0m
-0.012
0.126
0.146
5.0-5.5m,7.0-7.5m
-0.022
0.154
0.179
5.0-5.5m,7.5-8.0m
-0.105
0.171
0.198
5.0-5.5m,8.0-8.5m
-0.191
0.338
0.392
5.0-5.5m,それ以上
-0.526
0.295
0.343
**
5.5-6.0m,6.0-6.5m
0.128
0.111
0.129
*
5.5-6.0m,6.5-7.0m
0.058
0.125
0.145
5.5-6.0m,7.0-7.5m
0.048
0.154
0.179
5.5-6.0m,7.5-8.0m
-0.034
0.170
0.197
5.5-6.0m,8.0-8.5m
-0.121
0.338
0.392
5.5-6.0m,それ以上
-0.456
0.295
0.342
6.0-6.5m,6.5-7.0m
-0.069
0.120
0.140
6.0-6.5m,7.0-7.5m
-0.080
0.150
0.174
6.0-6.5m,7.5-8.0m
-0.162
0.167
0.193
6.0-6.5m,8.0-8.5m
-0.249
0.336
0.389
6.0-6.5m,それ以上
-0.583
0.293
0.340
6.5-7.0m,7.0-7.5m
-0.010
0.161
0.187
6.5-7.0m,7.5-8.0m
-0.093
0.176
0.205
6.5-7.0m,8.0-8.5m
-0.180
0.341
0.395
6.5-7.0m,それ以上
-0.514
0.299
0.347
7.0-7.5m,7.5-8.0m
-0.082
0.198
0.229
7.0-7.5m,8.0-8.5m
-0.169
0.352
0.409
7.0-7.5m,それ以上
-0.504
0.312
0.362
7.5-8.0m,8.0-8.5m
-0.087
0.360
0.417
7.5-8.0m,それ以上
-0.422
0.320
0.372
8.0-8.5m,それ以上
-0.335
0.433
0.502
組み合わせ
**
**
**
**
**
**
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
表 2.3.3-9 検定結果表 表 2.3.3-9 検定結果表の全データ。
多重比較検定の結果(Tukey法)
危険率5%
危険率1%
平均値の差
棄却値
棄却値
5.0-5.5m,5.5-6.0m
-0.111
0.254
0.296
5.0-5.5m,6.0-6.5m
-0.254
0.247
0.288
5.0-5.5m,6.5-7.0m
-0.243
0.250
0.292
5.0-5.5m,7.0-7.5m
-0.263
0.264
0.308
5.0-5.5m,7.5-8.0m
-0.400
0.271
0.317
**
5.0-5.5m,8.0-8.5m
-0.448
0.367
0.429
**
5.0-5.5m,それ以上
-0.517
0.383
0.447
**
5.5-6.0m,6.0-6.5m
-0.143
0.132
0.154
*
5.5-6.0m,6.5-7.0m
-0.132
0.138
0.161
5.5-6.0m,7.0-7.5m
-0.152
0.162
0.189
5.5-6.0m,7.5-8.0m
-0.289
0.173
0.202
**
5.5-6.0m,8.0-8.5m
-0.337
0.302
0.353
*
5.5-6.0m,それ以上
-0.406
0.321
0.374
**
0.124
0.145
組み合わせ
6.0-6.5m,6.5-7.0m
0.010
6.0-6.5m,7.0-7.5m
-0.010
0.151
0.176
6.0-6.5m,7.5-8.0m
-0.146
0.163
0.190
6.0-6.5m,8.0-8.5m
-0.194
0.297
0.346
6.0-6.5m,それ以上
-0.263
0.315
0.368
6.5-7.0m,7.0-7.5m
-0.020
0.156
0.182
6.5-7.0m,7.5-8.0m
-0.156
0.168
0.196
6.5-7.0m,8.0-8.5m
-0.205
0.299
0.349
6.5-7.0m,それ以上
-0.274
0.318
0.371
7.0-7.5m,7.5-8.0m
-0.136
0.188
0.220
7.0-7.5m,8.0-8.5m
-0.185
0.311
0.363
7.0-7.5m,それ以上
-0.254
0.329
0.384
7.5-8.0m,8.0-8.5m
-0.048
0.317
0.370
7.5-8.0m,それ以上
-0.117
0.335
0.391
8.0-8.5m,それ以上
-0.069
0.417
0.486
*
Hitoshi Watanabe Lab. 2007 資料編
視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
前方の他者を検出するマクロ 本論 2.3.2 で使用した前方の他者を検出するためのマクロ。これをベースに横方向の他者を検出す るマクロ、最寄の他者を検出するマクロを用意した。
Dim i, j, k, s, t, u, v As Integer
' 行、列など
Dim range As Integer
' 前方の他者を見つける左右角度
Dim thisx, thisy, objx, objy, thisd, testd, testr, mind As Variant Dim frontd, frontr, thisr As Variant
' セルの情報、角度、距離変数
' 取得する距離情報、角度情報
Dim msg As Variant Const Pi = 3.14159265358979 'For 080112_9.2_ 他者 .xls、最小距離の前列他者の情報を算出 Sub macro() range = 30 ' 近周辺視 For i = 2 To 61 Worksheets(1).Activate objx = Cells(i + 1, 2).Value objy = Cells(i + 1, 3).Value ' ワークシート1 For j = 2 To 100 ' 変数の初期化 mind = 100 frontr = 0 frontd = 0 Worksheets(1).Activate thisx = Cells(i + 1, j * 2).Value thisy = Cells(i + 1, j * 2 + 1).Value If thisx <> "" Then thisd = Sqr((thisx - objx) * (thisx - objx) + (thisy - objy) * (thisy - objy)) thisr = Application.WorksheetFunction.Atan2(objx - thisx, objy - thisy) * 180 / Pi ' 距離判定 1 ~ 100 For k = 2 To 100
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
If k <> j And Cells(i + 1, k * 2).Value <> "" Then testd = Sqr((thisx - Cells(i + 1, k * 2).Value) * (thisx - Cells(i + 1, k * 2).Value) _ + (thisy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value) * (thisy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value)) testr = Application.WorksheetFunction.Atan2(Cells(i + 1, k * 2).Value - thisx, _ Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value - thisy) * 180 / Pi ' 前方にあるエージェントなのか判断 If Sqr((objx - Cells(i + 1, k * 2).Value) * (objx - Cells(i + 1, k * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value)) < thisd _ And Abs(thisr - testr) < range Then If testd < mind Then mind = testd frontr = testr frontd = thisd - Sqr((objx - Cells(i + 1, k * 2).Value) * (objx Cells(i + 1, k * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, k * 2 + 1).Value)) End If End If End If Next ' 距離判定 101 ~ 200 Worksheets(2).Activate For s = 1 To 100 If s <> j And Cells(i + 1, s * 2).Value <> "" Then
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
testd = Sqr((thisx - Cells(i + 1, s * 2).Value) * (thisx - Cells(i + 1, s * 2).Value) _ + (thisy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value) * (thisy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value)) testr = Application.WorksheetFunction.Atan2(Cells(i + 1, s * 2).Value - thisx, _ Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value - thisy) * 180 / Pi ' 前方にあるエージェントなのか判断 If Sqr((objx - Cells(i + 1, s * 2).Value) * (objx - Cells(i + 1, s * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value)) < thisd _ And Abs(thisr - testr) < range Then If testd < mind Then mind = testd frontr = testr frontd = thisd - Sqr((objx - Cells(i + 1, s * 2).Value) * (objx Cells(i + 1, s * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, s * 2 + 1).Value)) End If End If
End If Next ' 各変数書き出し If mind <> 100 Then Worksheets(3).Activate Cells(i + 1, j + 1).Value = frontd Worksheets(4).Activate
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
Cells(i + 1, j + 1).Value = frontr - thisr + 90 Worksheets(6).Activate Cells(i + 1, j + 1).Value = mind Worksheets(7).Activate Cells(i + 1, j + 1).Value = thisd End If Worksheets(5).Activate 'If thisr < 0 Then thisr = thisr + 360 Cells(i + 1, j + 1).Value = thisr + 180 End If Next ' ワークシート2 For t = 1 To 100 ' 変数の初期化 mind = 100 frontr = 0 frontd = 0 Worksheets(2).Activate thisx = Cells(i + 1, t * 2).Value thisy = Cells(i + 1, t * 2 + 1).Value If thisx <> "" Then thisd = Sqr((thisx - objx) * (thisx - objx) + (thisy - objy) * (thisy - objy)) thisr = Application.WorksheetFunction.Atan2(objx - thisx, objy - thisy) * 180 / Pi ' 距離判定 1 ~ 100 Worksheets(1).Activate
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
For u = 2 To 100 If u <> t And Cells(i + 1, u * 2).Value <> "" Then testd = Sqr((thisx - Cells(i + 1, u * 2).Value) * (thisx - Cells(i + 1, u * 2).Value) _ + (thisy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value) * (thisy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value)) testr = Application.WorksheetFunction.Atan2(Cells(i + 1, u * 2).Value - thisx, _ Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value - thisy) * 180 / Pi ' 前方にあるエージェントなのか判断 If Sqr((objx - Cells(i + 1, u * 2).Value) * (objx - Cells(i + 1, u * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value)) < thisd _ And Abs(thisr - testr) < range Then If testd < mind Then mind = testd frontr = testr frontd = thisd - Sqr((objx - Cells(i + 1, u * 2).Value) * (objx Cells(i + 1, u * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, u * 2 + 1).Value)) End If End If End If Next ' 距離判定 101 ~ 200 Worksheets(2).Activate For v = 1 To 100
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
If v <> t And Cells(i + 1, v * 2).Value <> "" Then testd = Sqr((thisx - Cells(i + 1, v * 2).Value) * (thisx - Cells(i + 1, v * 2).Value) _ + (thisy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value) * (thisy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value)) testr = Application.WorksheetFunction.Atan2(Cells(i + 1, v * 2).Value - thisx, _ Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value - thisy) * 180 / Pi ' 前方にあるエージェントなのか判断 If Sqr((objx - Cells(i + 1, v * 2).Value) * (objx - Cells(i + 1, v * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value)) < thisd _ And Abs(thisr - testr) < range Then If testd < mind Then mind = testd frontr = testr frontd = thisd - Sqr((objx - Cells(i + 1, v * 2).Value) * (objx Cells(i + 1, v * 2).Value) _ + (objy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value) * (objy - Cells(i + 1, v * 2 + 1).Value)) End If End If End If Next ' 各変数書き出し If mind <> 100 Then Worksheets(3).Activate Cells(i + 1, t + 101).Value = frontd
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
Worksheets(4).Activate Cells(i + 1, t + 101).Value = frontr - thisr + 90 Worksheets(6).Activate Cells(i + 1, t + 101).Value = mind Worksheets(7).Activate Cells(i + 1, t + 101).Value = thisd End If Worksheets(5).Activate 'If thisr < 0 Then thisr = thisr + 360 Cells(i + 1, t + 101).Value = thisr + 180 End If Next Next msg = MsgBox(" 処 理 が 終 了 し ま し た ", vbOKOnly + vbApplicationModal + vbExclamation + vbDefaultButton1, " 動作確認 ") End Sub
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
図 2.3.3-1 最小距離の他者の分布の作成 図 2.3.3-1 最小距離の他者の分布作成に使用した記述方法。作成環境は macromedhia studio MX2004 Flash ActionScript2.0。
var d_array = new Array(/* カンマ区切りの相対距離データ . 作図には 256 データを使用 */); var r_array = new Array(/* カンマ区切りの相対角度データ . 作図には 256 データを使用 */);
var num =256 ;// エージェント数
var mc_array = new Array(); for(i=0;i<num;i++){ _root.attachMovie("human","human"+i,i); mc_array[i] = eval("human" + i); mc_array[i]._alpha = 70; mc_array[i]._x = center_mc._x + 100*d_array[i]*Math.cos(r_array[i]*Math.PI/180); mc_array[i]._y = center_mc._y + 100*d_array[i]*Math.sin(r_array[i]*Math.PI/180); }
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
調査①:新宿駅前における見物衆のデジタイズ 調査①を FrameDIAS Ⅱ ver.3 上でデジタイズしたもののうち、60 秒ごとに可視化した。
t=0[sec]
t=60[sec]
t=120[sec]
t=180[sec]
t=240[sec]
t=300[sec]
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
t=360[sec]
t=420[sec]
t=480[sec]
t=540[sec]
t=600[sec]
t=660[sec]
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
t=720[sec]
t=780[sec]
t=840[sec]
t=900[sec]
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
DFi 関数算出(表 2.4.2-11、表 2.4.2-12) 本文中で触れたように、最小2乗法を用いて算出した。一般的な最小2乗法の算出過程はここで は省く(たとえば、http://www.gs.niigata-u.ac.jp/ kimlab/lecture/math/lsq.html を参照された い)。Microsoft Excel 2003 のソルバーアドインによって、設定した式の最小2乗和を実現するパ ラメータを求めた過程と結果を記す。
式 b. 反比例型 M ic ro so ft E xc e l 1 1 .0 解 答 レポ ー ト ワ ー クシ ー ト名 : [0 8 0 1 2 4 本 文 用 パ ラメー タ推 定 .xls]5% 棄 却 (ソル バ ー ) レポ ー ト作 成 日 : 2 0 0 8 / 0 1 / 2 8 2 2 :2 3 :5 9
目的セル (最小値) セル 名前 計算前の値 2.13317827 $S$15 合計 (DFi-f(x))^ 2
セル の 値 0.041462093
変化させるセル セル $O$20 $P$20 $Q$20
名前 α β γ
計算前の値 -5 2.5 2.5
制約条件 セル $P$4
名前 DFi
セル の 値 0.499935171
セル の 値 -3.309735961 2.622952455 1.600452511
制約条件 $P$4=$R$4
ス テー タス 部分的に満たす
条 件 との 差 0
M ic ro so ft E xc e l 1 1 .0 感 度 レポ ー ト ワ ー クシ ー ト名 : [0 8 0 1 2 4 本 文 用 パ ラメー タ推 定 .xls]5% 棄 却 (ソル バ ー ) レポ ー ト作 成 日 : 2 0 0 8 / 0 1 / 2 8 2 2 :2 3 :5 9
変化させるセル セル $O$20 $P$20 $Q$20
名前 α β γ
計算 値 -3.309735961 2.622952455 1.600452511
名前 DFi
計算 値 0.499935171
限界 傾斜 0 0 0
制約条件 セル $P$4
ラグ ランジ ュ 乗数 -0.240815163
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
式 c. 指数型 M ic ro so ft E xc e l 1 1 .0 解 答 レポ ー ト ワ ー クシ ー ト名 : [0 8 0 1 2 4 本 文 用 パ ラメー タ推 定 .xls]5% 棄 却 (e xp ) レポ ー ト作 成 日 : 2 0 0 8 / 0 1 / 2 8 2 2 :5 3 :4 4
目的セル (最小値) セル 名前 計算前の値 $S$15 合計 (DFi-f(x))^ 2 0.782744525
変化させるセル セル $O$20 $P$20 $Q$20
名前 α β γ
計算前の値 -0.2 -2 1
制約条件 セル $R$4
名前 DFi
セル の 値 0.499935163
セル の 値 0.043137351
セル の 値 -0.910320581 -0.423327837 1.273519826
制約条件 $R$4=$P$4
ス テー タス 部分的に満たす
条 件 との 差 0
M ic ro so ft E xc e l 1 1 .0 感 度 レポ ー ト ワ ー クシ ー ト名 : [0 8 0 1 2 4 本 文 用 パ ラメー タ推 定 .xls]5% 棄 却 (e xp ) レポ ー ト作 成 日 : 2 0 0 8 / 0 1 / 2 8 2 2 :5 3 :4 4
変化させるセル セル $O$20 $P$20 $Q$20
名前 α β γ
計算 値 -0.910320581 -0.423327837 1.273519826
名前 DFi
計算 値 0.499935163
限界 傾斜 0 0 0
制約条件 セル $R$4
ラグ ランジ ュ 乗数 0.238257959
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視覚情報の逓減からみたプロモーション活動の見物衆のモデル化
図 2.4.5-2 係数決定 図 2.4.5-2 で記したように、選挙カーなどでプロモーションを行う視対象に対し、視野阻害角に 乗ずる係数を最小2乗法を用いて決した。
!"#$%&%'()*+#,-)../0)123456 758956:);)<&"=/+-&>?@,,(A)BCDEF 3456GHI);)A00JK0AK0L).M;NA;NO PQRS)BTUVF RS :W [\[.O ]X)^_A
XYWZV AN/0LA.LJJ.
RSZV A/N.ONMNMOO
`abcdRS RS :W [e[A fg
XYWZV 0/N
RSZV 0/A.hhAJJLA
ijkl mn
!"#$%&%'()*+#,-)../0)op3456 758956:);)<&"=/+-&>?@,,(A)BCDEF 3456GHI);)A00JK0AK0L).M;NA;NO `abcdRS RS :W [e[A fg
XY qr V st 0/A.hhAJJLA 0
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