関節疾患に着目した住宅のテーラーメイドデザインに関する研究

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関節疾患に着目した住宅のテーラーメイドデザインに関する研究 Research on Tailor Maid Design of Housing Focusing on the Relationship with the Disease of the Joints


00 はじめに


はじめに  渡辺仁史研究室に所属して以来、卒論や様々なプロジェクトで主に動作計測に携わらせていただいた。自分たち が普段使いやすいと感じている建築のデザインが、装置を用いて動作計測の負荷の数字からみてみると必ずしも楽 なものとはいえないという意外性から、動作計測の実験には非常に興味をもつようになった。  しかし、あるときからこの動作計測に対して、疑問を持つようになった。  被験者に裸に海水パンツ一枚で、全身に赤外線を感知する銀色のボールをつけてもらうという明らかに異様な姿 で、こちらが用意した「日常」生活を想定した、ハリボテの「非日常」な空間の中で、特定の動作の「フリ」をする。 もちろん実験は、綿密にデザインのパターンを検討して、本当に測ることができるのかどうかのプレ実験を何度も 行ってから計測を行ったもので、そこから得られるデータは、必ずしも間違っているともいえないし、ある程度客 観的に判断することができるデータの材料ではあるのだけれど、しかしながら、その動作計測による数値がどれほ どのものになるのか分からないし、我々が研究してきたことはこれまでの建築人間工学の既往研究からみると、か なり特殊な狭い領域のことをやっているような気がしてきた。  私は、動作計測を行っているうちに、どうしてもそれが絶対的な価値観になってしまい、それに凝り固まってしまっ た部分があるように感じた。物事の善し悪しというものは決して単純に決められるものではなく、もっといろんな 側面がある。ましてや、一つの方法から一義的に決定できるものではないはずである。自分がやってきたことをも う少し広い視点から、今までとは違った角度から見てみたいと思うようになった。

『常識に対する非常識。 いまや、その非常識すら常識になってきたこの現代では、 人間の本当の業、常識にも非常識にも総括出来ない人の心の奥にある 曖昧模糊とした、モノ』

立川流落語会 家元 立川談志

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


Contents 00 はじめに 01 研究目的

1

01-1. 研究目的

2

01-2. 本研究の位置付け

3

01-3. 用語の定義

4

01-4.ICF コード一覧

6

02 研究背景

7

02-1. 研究背景

8

02-2. 関節疾患について

10

02-3. 高齢者の居住に関する法律

12

02-4. 介護予防の現在

13

02-5. 高齢者の居住環境の動き

16

03 研究方法

25

03-1. 研究フロー

26

03-2. プレ調査

27

03-3. コンジョイント分析

28

03-3-1. 実験概要

29

03-3-2. コンジョイントカードの設計方法

30

03-3-3. コンジョイントカードの一例

31

03-4. 筋電位計測

32

03-4-1. 実験概要

33

04 実験結果

36

04-1. コンジョイント分析による効用値のシミュレーション

37

04-1-1. コンジョイント分析の結果まとめ

72

04-2-1. 筋電位計測による高齢者用運動プログラムの計測結果

74

04-2-2. 筋電位計測による昇降動作の実験結果

79

04-2-3. 実験結果による各筋肉の負荷推定モデル

80

04-3. 実験結果を用いた昇降デザイン評価プログラム

82

04-4. 施設の評価方法

84

05 考察・まとめ

91

05-1. 考察

92

05-2. 展望

93

06 おわりに

94

07 資料編

99


第 00 章 はじめに


はじめに  渡辺仁史研究室に所属して以来、卒論や様々なプロジェクトで主に動作計測に携わらせていただいた。自分たち が普段使いやすいと感じている建築のデザインが、装置を用いて動作計測の負荷の数字からみてみると必ずしも楽 なものとはいえないという意外性から、動作計測の実験には非常に興味をもつようになった。  しかし、あるときからこの動作計測に対して、疑問を持つようになった。  被験者に裸に海水パンツ一枚で、全身に赤外線を感知する銀色のボールをつけてもらうという明らかに異様な姿 で、こちらが用意した「日常」生活を想定した、ハリボテの「非日常」な空間の中で、特定の動作の「フリ」をする。 もちろん実験は、綿密にデザインのパターンを検討して、本当に測ることができるのかどうかのプレ実験を何度も 行ってから計測を行ったもので、そこから得られるデータは、必ずしも間違っているともいえないし、ある程度客 観的に判断することができるデータの材料ではあるのだけれど、しかしながら、その動作計測による数値がどれほ どのものになるのか分からないし、我々が研究してきたことはこれまでの建築人間工学の既往研究からみると、か なり特殊なことをやっているような気がしてきた。  私は、動作計測を行っているうちに、どうしてもそれが絶対的な価値観になってしまい、それに凝り固まってしまっ た部分があるように感じた。物事の善し悪しというものは決して単純に決められるものではなく、もっといろんな 側面がある。ましてや、一つの方法から一義的に決定できるものではないはずである。自分がやってきたことをも う少し広い視点から、今までとは違った角度から見てみたいと思うようになった。

『常識に対する非常識。 いまや、その非常識すら常識になってきたこの現代では、 人間の本当の業、常識にも非常識にも総括出来ない人の心の奥にある 曖昧模糊とした、モノ』

立川流落語会 家元 立川談志

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02 研究背景


02-1. 研究背景  現在、腰痛や膝関節痛といった関節に関する疾患が高齢期のあらゆる年代層の疾患の上位を占め、医療費の高騰、 労働力の低下などの問題を引き起こしていることから、その予防策、治療法が世界規模で注目を集めている。この ような疾患がひどくなってくると、日常生活での行動を阻害し、行動範囲を縮小させる要因になる。建築や都市では、 そういった人々に対して、痛みを引き起こす箇所を減らし、負担を軽減させることが必要である。また、痛みがな い人にとっては、関節の疾患が発症するリスクを低減させるために、ある程度の適度な負荷を日常生活の中で取り 入れ、筋力を増進させることで、関節疾患を予防することも重要であると予防医学の観点から言われ始めている。  建築工学では、このように一人一人個別の身体状況に応じた多様な空間づくりには身体負荷や心理的側面などの データを元に、適切な利用シーンを提供するシステムが重要である。

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本章では、既往研究、文献調査から高齢期に最も顕著にみられる関節疾患を取り上げ、住環境の側面から関節疾 患に対してアプローチする研究を行う社会的な意義と、現在の高齢者の居住環境に対する行政やディベロッパー、 建設会社の取り組みに関してまとめていく。  関節疾患は現在、高齢期で最も顕著にみられる疾患であり、高齢者の QOL を著しく低下させることからもその治 療法、予防法に関心が高まっている。  関節疾患に対する医学的なアプローチとして、理学療法の分野では、関節疾患のない健常者に対しては、積極的 に体を動かすことが奨められ、また、既に関節に疾患を有する者に対しては、身体への過度な負荷を避けながら、 痛みを我慢できる範囲でなるべく生活を取り戻すリハビリテーションを行う必要がある、という考え方が主流になっ てきている。日常生活の中の運動強度を高めることが重要であると考えられるようになってきた。  住環境は、日常生活のライフスタイルと密接な関連をもつことから、住環境における運動強度を研究することは 意義があると考える。日常生活では自身の身体状況により、過度な負荷を避け、リハビリテーションを行うことが 出来る空間を目指す場合と予防することが出来る空間を目指す場合があり、適切にライフスタイルおよび住環境が 選択されるべきである。  病院やデイサービスセンターなどで高齢者用に開発された適度な負荷のある運動プログラムを行うことで自立し た生活を出来るだけ長く続けるための介護予防に取り組む機会も設けられている。しかし、日常生活の中で自然に 負荷を取り入れていくことも関節疾患のような高齢者の QOL を低下させる疾患の予防、リハビリテーションに対し て有効であると考える。  次に、行政やディベロッパー、建設会社の高齢者の居住環境に対するの取り組みについてまとめていく。日本では、 高齢者の施設といえば、社会的な弱者が扱われる施設としてとらえられることが多く、特別養護老人ホームや医療 施設では出来るだけ身体に負担をかけないような画一的なデザインがなされてきた。法制度の点からみても、この ような施設の設計の際に適用される法律は、最低限度を定めるものであり、高齢者の身体能力が衰え、最もひどくなっ た場合のことをあらかじめ考慮して、車いすで生活することを念頭に設定されているものである。  しかしながら 近年、わが国においても高齢者の価値観が多様化しており、生活の求める水準、ニーズが多岐に わたるようになってきた。近年、日本に登場するようになったリタイアメントビレッジや高齢者向け優良賃貸住宅 に代表されるように、健康で自立した生活を送ることが出来る高齢者を対象とした新しいタイプの施設も登場する ようになった。ところが、このような施設に対しても適用される法制度はこれまでの高齢者の施設と同様のもので ある。  高齢期の身体状況、疾患の症状は多様であるため、より多様な住環境に対する取り組みが求められるが、現状で はそれが十分な状態ではない。これまでの高齢者の施設でみられるような画一的なデザインでは、健康な状態を有 する高齢者にとっては日常生活の中で必要となる筋力を使う機会を喪失し、また、疾患を伴う高齢者にとっても疾 患の種類により、使いづらいものになってしまう場合があると考えられる。    以上のような観点から本研究では、高齢期に代表される疾患である関節疾患に着目しながら、より多様な空間を 設計していくことで、テーラーメイド(個人に対応)することができる建築計画を行うための評価方法を作成して いく必要があると考える。

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02-2. 関節疾患について  現在、介護保険の利用者は 460 万人近くに上り、そのうち 100 万人以上は関節の疾患をはじめとした運動器の疾 患が原因とされている。厚生労働省の発表する平成 16 年度国民生活調査の中で、身体の不調を訴える人の割合で ある「有訴率」をみると、高齢期のあらゆる年代層で、「腰痛」や「手足の関節の痛み」といった項目が上位にある ことが分かる。同様に、病院に通院している人の率である「通院者率」を見てみると、「腰痛」や「関節症」といっ た疾患が中、高年の疾患の上位を占めていることがわかる。腰痛症や変形性関節症などの慢性疼痛による関節疾患 は、高齢者の自立喪失に至るものであり、国民の生活機能を大きく阻害している。WHO では、2010 までを Bone and Joint Decade( 運動器の 10 年運動 ) と定義し、運動器の病気の征圧を目指し、病気の治療や予防、リハビリの普 及などの運動を進めている。  これらの運動器の疾患を予防するには、日常生活で正しい姿勢を保ち、適度な運動をすることが必要であり、症 状が出てからも歩かないでいることで、体力が落ちて症状を悪化させる。歩ける範囲で歩くことで、筋力と柔軟性 を保つことが欠かせないといわれている。 table.02.2.1. 中高年者の有訴率(H16 年厚生労働省国民生活調査より) !"#$%&'()*+,-./0123/456789:;<=>

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高齢者の関節疾患予防  近年、筋力トレーニングなどのように高齢者に対して、身体的な負荷を与える試みが積極的に見られるようになり、 ここ十数年の間に様々な研究によってその有効性が検証されてきた。中でも、Fiatarone らの研究は、90 歳以上の 超高齢者であっても、筋力トレーニングの介入によって若年者同様に、筋力増強が認められたとしている。  このような筋力トレーニングなどの介入は、高齢者の関節が安定し、関節疾患や痛みの予防・改善に役立ち、身 体の動きがスムーズになる。更に、精神的にも自信がつくため、高齢者が様々な活動に対して積極性が増すように なることが報告されている。  永池 (2005) の「筋力低下を予防する住空間のデザイン―日常生活動作時の腰部周りの筋活動量計測」の研究によ れば、住宅内の動作の中でも、階段やスロープでの歩行動作は、高齢者用に開発された適度に負荷のある運動プロ グラムと比較すると、過剰な負荷はないため、身体を損傷する危険はそれほどないと考えられる。そのため、日常 生活の中に、階段の昇降動作を積極的に取り入れることは健康増進、疾患予防の観点からみると有効であるといえる。 table.02.2.3. 永池の筋電位実験結果による動作負荷の比較 Ü‘’e,πk 䣧J, µ∂9y> •¶ 䣧J, µ∂9—“> •¶ 䣧J, µ∂9”> •¶ 䣧J, ≤ •¶ ß ® ® © ∆« ä™ 4, œ– ´, 4, ÀÃÕ ´, ä™ ¨≠Z ±VŒ ÆØZ ∞j »… ±e ≤ ≥¥ µ∂ù∑∏¢ ≥¥ µ∂9â∏> ≥¥ ä ≥¥ ¿N ≥¥ ì¬JN ≥¥ ƒïV9¿N> ≥¥

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実際に、デンマークやスウェーデンなどでは、階段を使う方が体のためにはよいという発想があり、積極的に階 段を利用することで、日ごろから足腰の筋肉を鍛えているという。踊り場や階段の途中に椅子を設置し、疲れたと きに休憩できるスペースを設けることで、階段を利用したいと思わせるような工夫をしている。  更に、実際に膝関節疾患者へのヒアリングから、膝関節の疾患の進行を抑制するために、医師から無理のない範 囲での階段およびスロープの昇降動作を奨められていることが分かっている。

fig.02.2.1. スウェーデン,デンマークの高齢者施設の階段踊り場のデザインの事例

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02-3. 高齢者の居住に関する法律  高齢者の居住環境に関する法律、制度の中で、特に段差やスロープ、また、住宅内外での床下、高低差に関して 述べている項目を以下にまとめる。 ○高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法):国土交通省 ○高齢者の居住の安定確保に関する法律:財団法人高齢者住宅財団 ○高齢者が居住する住宅の設計に係る指針:国土交通省 ○高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法):国土交通省  ※バリアフリー法の施行に伴い、ハートビル法及び交通バリアフリー法は廃止されている。 ○長寿社会対応住宅設計指針:国土交通省 ○建築基準法施行令:国土交通省 ○公庫耐久性仕様:独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)  建築基準法施行令によると、日本では、防湿の関係から直下の地面からその床の上面まで 450mm の寸法が必要 であるとされている。更に、独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)では、基礎の高さが地盤面から 400mm の寸法が必要とあることから、一般的な住宅では、建築の内外で段差が生じやすく、その高低差は 450mm 以上になることが多く、こういった段差は高齢者や障害者にとって、日常生活でを阻害し、行動範囲が縮小してし まう、また、外出する際のバリアとなってしまうという報告もなされている。  このような現状に対し、現在の高齢者が居住する環境に関する法律・制度では、その多くが、あらかじめ加齢な どに伴って身体の機能の低下が生じた場合も、高齢者がそのまま住み続けるための設計上の配慮事項であるといえ、 更にこれらの法制度では、高齢者や障害者は車いすを用いて日常生活を送ることを前提としている。そのため、こ のような段差のみだけでなく、住宅における様々な空間の要素に対して、画一的な設計がなされているといえる。  しかしながら、このような法律・制度は、自立した生活を送っている高齢者や特別な疾患がない健常者とっては、 必ずしも有効であるとはいえず、逆に日常生活で必要とされる筋力を使う機会を失ってしまうため、様々な疾患を 引き起こすリスクを生じる一因となってしまうともいえる。自立した高齢者に対しては、体力・機能向上をめざす 環境整備を考える必要がある。  建築や都市においては、様々なリスクのケースを考慮し、それらを出来るだけ取り除くよう努力する必要がある。 個人の趣向、体力レベル、運動機能レベルに応じた多様な空間づくりに取り組むべきであると考える。

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02-4. 介護予防の現在 基本的な枠組み  我が国の高齢社会に対する対策の基本的な枠組みは平成 7 年に施行された「高齢社会対策基本法」に基づいてお り、その中にある高齢社会対策大綱は、高齢社会対策の中長期的にわたる基本的かつ総合的な指針となるものである。 平成 8 年に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから、高齢者人口の急速な増加、高齢者独居世帯の増加、痴呆性 高齢者の増加といった社会情勢の変化に対応すべく見直しが行われ、平成 13 年 12 月に新たな大綱が閣議決定され た。 そこでは、従来の「介護」を中心としたモデルから、「予防」を重視するモデルへと転換されてきており、平成 12 年からはじまった介護保険制度もこのような社会情勢の影響を受けて、平成 18 年の 4 月に改定が行われている。

介護保険制度の見直し  今回の介護保険制度の改訂では、介護予防の推進が大きなテーマであり、これまで要支援、要介護 1 ∼ 5 と段階 的に分かれていたものを、要支援のほうを要支援 1、要介護 1 の利用者を要支援 2 と要介護 1 に区別されるようになっ た。そして、地域包括支援センターを中核として要支援 1 および要支援 2、更には、一般高齢者の中のハイリスクグルー プに対して予防的なサービスを提供する体制が創設されたことが大きな特徴となっている。

fig.02.4.1. 保険給付と要介護区分

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サービス内容は、筋力トレーニング、栄養改善などの新メニューと、現在行われている訪問介護やデイサービス などを予防型に変えたメニューから成っている。  更に、今回の見直しで注目すべき点として、高齢者の生活の質の向上という視点から ICF の考え方に基づいたケ アプランの作成が強く打ち出されており、高齢者の生活機能を参加(人生レベル)、活動(生活レベル)、心身機能・ 身体構造(生命レベル)で考えるという評価の枠組みが導入された点が挙げられる。  このような新しい理念で始まった介護予防事業であるが、現時点で実際のサービスを提供する現場では、かなり の混乱が生じており、地域包括支援センターの保健師は大量の要支援 1、要支援 2 のケアプランの作成に追われ、 必ずしも十分なアセスメントとモニタリングが行われていない状況である。しかも、要支援で給付されるサービスは、 ADL 面における自立の低下を予防するためのものであったはずだが、日常生活における動作が改善されたという実 例も多く報告されているものの、実際には、それ以上に要支援者の悪化割合は非常に高くなっているという調査報 告もなされている。  ちなみに、現在、要支援 1、2、要介護 1 及び非該当となった高齢者の半分以上が腰痛や膝関節症などの筋骨格系 疾患を疾患を有していることも明らかになっている。

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介護予防の今後  これまでのリハビリテーション医学が対象は、ほとんどが脳血管障害や骨折などの傷病を経験したあとの治療を 必要としているものであり、生活不活発病などの予防的なリハビリテーションに関してはあまり考えられてはこな かった。そのため、軽度の疾患を有する高齢者を対象とするリハビリテーションのケア、介護予防サービスを提供 するための具体的な事例が不足しているのが現状である。  今後、介護予防においては、公的介護保険に基づくサービスを利用する前の高齢者のリスクを把握し、予防的なサー ビスに取り組む仕組みが必要になってくる。  予防医学や予防的なリハビリテーションの重要性はますます高まっていくといえる。

fig.02.4.2. 予防型システムへの転換

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02-5. 高齢者の居住環境の動き  近年、わが国においても高齢者の価値観が多様化しており、欧米諸国のように自らの手で老年期のライフスタイ ルを選択するという時代になりつつある。今後、高齢者がどれだけ自らが満足する居住環境を獲得し、QOL が高い ライフスタイルを選択していくことができるかは、社会全般の非常に大きな課題になっていくものと思われる。 ○リタイアメントコミュニティの概要  リタイアメントコミュニティとは退職者の居住のために人工的に作られた街をいう。シニアタウン、リタイアメ ントビレッジ、アクティブ・アダルト・コミュニティなどとも称される。1960 年以降、アリゾナ、フロリダ、カリフォ ルニアなどといった地域に相次いで建設されており、現在、全米で 1100 以上あるともいわれている。  その中でも最も早い時期に建設され、かつ有名なものが、1950 年にアリゾナ州フェニックス近郊に建築会社デル・ ウエッブ社 (Del Webb) によって作られ、販売されたサンシティ (Sun City) である。  サンシティでは、入居の条件を家族の 1 名が 55 歳以上、全員が 19 歳以上と定めている。また、子供の同居を 認めていない「シニア限定コミュニティ」である。居住者は健康で自立した生活を送ることを義務付けられ、体が 不自由になり、介護を必要とするようになった場合、入居者の多くは住宅を売却し、状況に合った施設に入居する。 その体の状況に応じて、入居する施設の内容が変わり、移動していくことに特徴がある。  サンシティでは、約 1200 万坪という広大な敷地の中に住宅以外に病院、教会、ショッピングセンター、レスト ランなどの公共施設、リゾート型のレクリエーション施設が完備されている。しかし、医療施設や福祉施設は、こ の敷地内にはなく、また開発会社も住宅地の介護内容を売り物にしようというコンセプトは全くない。ここが日本 で考える場合の高齢者用住宅地というものと異なるものである。

fig.02.5.1.SunCity East を眺める(Google Earth)

fig.02.5.2.Del Webb 社の SunCity の入居募集広告 -16-

fig.02.5.3.SunCity の内観・概観写真 早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


新しい取り組み  総じては評価を受けているデル・ウエッブ社によるリタイアメント・コミュニティであるが、最近では、従来の 高齢者の好みや嗜好に合わせてデザインされたゴルフ場やシャッフルボード・コートなどのレジャー施設が近年の アクティブシニア層の嗜好には、もはや合わなくなっていると言われている。更に、アクティブシニア層自体がリ タイアメント・コミュニティに対してあまり関心を持たなくなってきており、リタイアメント・コミュニティの高 齢化は歯止めがきかない状態になっている。このことから、短期的には成功していたと言える高齢者だけのコミュ ニティも大きな転換をしなければ、中々今後の維持は難しいのではないか、というのが専門家の意見である。  これは、今後シニアタウン構想などが高齢化の進むニュータウンなどで進められる可能性の高い日本では、よく 見極めなければならないことである。中長期的な高齢化防止戦略などのアメリカの教訓を生かしたものをわが国で は実施しなければならない。  そんな中、先進的なケースとして注目を集めているのが、カレッジリンク型リタイアメントコミュニティである。 その中でもマサチューセッツ州ボストンに隣接するニュートンにあるラッセル・ビレッジ (Lasell Village) は、大学 キャンパス内に存在している。このカレッジリンク型リタイアメントコミュニティの特徴は、    (1) 入居者に年間 450 時間以上の講座受講の義務付け  (2) 入居者はビレッジ独自の講座に加え、ラッセル・カレッジの講座にも参加できる  というように、大学内に位置するだけでなく、完全に学習を義務付けられたリアイアメントコミュニティである。 入居費、月間費も決して安いものではなく、ファシリティもかなり充実したものを提供されている。そのことから、 入居者の多くは、高学歴のミドルアッパークラス以上の層ばかりであるといわれている。  しかし 2000 年に始まったこのカレッジリンク型のリタイアメントコミュニティは、アクティブシニア層の学習 意欲の高まりと、医療体制、終身ケアの体制が整っているため、既に定員を満たして入居待ちまでいる状態という。 学生数の減少に直面し、地域への貢献が求められている日本の大学にとっても参考になる事例であるといえる。

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わが国での動き  これまで日本では高齢者の住居という場合、体の不自由な人の住居を意味し、又社会的な施設も体の不自由さに 応じて整備されてきた。日本では退職することが社会からの引退を意味し、「体の弱った老年になる」という風に捉 えられてきたが、実態は 60 代といっても介護認定を受けていない健常な高齢者の方が圧倒的に多い。しかし、子 育てを終え、仕事を退職した団塊世代がどのような生活を選択するのか、この元気な 60 代、70 代の方がどのよう に住むかということはこれまであまり注目されてこなかった。  このような流れの中で、近年、わが国でも、福岡県甘木市の「美奈宣(みなぎ)の杜」や沖縄県名護市の「カヌチャ ヒルトコミュニティ」などのように、アメリカのリタイアメントコミュニティの動きを受けたリタイアメントコミュ ニティの建設が行われている。   東日本においても、埼玉県の「グリーンフォレストビレッジ」、「七彩の街」をはじめ団塊世代に向けたリタイ アメントコミュニティが続々とオープンしている。  福岡の「美奈宣の杜」は、サンシティをヒントにした日本初のリタイアメントコミュニティであるといわれてい る。自然の中で余生を過ごしたいアクティブシニア層に対して、1 戸 1 千万円から 5 千万円程度で住宅を販売した。 38 万坪の敷地内にはコミュニティセンターがあり、英会話、テニスなど生きがいづくりのための各種教室や催しも のが行われる。また、病院や在宅介護支援センターとタイアップしたクリニックが併設されていたり、居住者が身 体的理由で自立した生活ができなくなり転居する場合、販売者が住居を買い取る制度を設けるなど居住者の健康状 態に配慮した運営を行っている。日本では、自立した健常な高齢者の住居をどのように考えるかということがあま り考えられてこなかった。

fig.02.5.4. 日本のリタイアメントコミュニティ

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高齢者向け優良賃貸住宅  現在、国からの補助金を得て計画されている施設はすべて体の不自由になった要介護認定を受けた高齢者を対象 にしている。現在ある高齢者の居住関係施設の中では、ケアハウスが比較的健常な高齢者を対象にしている。実際 に既往研究(伊藤,2001)からケアハウスやグループホームといった施設の入居者の多くは、健常な高齢者や要介 護度が低い高齢者であり、更に、歩行能力も非常に高く、多くの高齢者が健常者とほぼ同程度であることから、ケ アハウスやグループホームに暮らす高齢者は自立度が高いことがわかる。  ケアハウスの入居者は体が不自由になれば別の施設に移ることを求められるが、このコンセプトは、前述したア メリカのリタイアメントコミュニティーに通じる考えが見られる。  近年、日本では、健常者を対象にした住居の一例として、バリアフリーを考慮した高齢者が住みやすいマンショ ンが見られるようになってきた。高齢者向け優良賃貸住宅もその一例といえる。

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fig.02.5.6. 各種高齢者施設の利用者の要介護度の割合

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fig.02.5.7. 各種高齢者施設の利用者の歩行レベルの割合

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高齢者向け優良賃貸住宅は高齢者の身体特性に対応した建築仕様、設備を持ち、緊急時対応のサービスを行う、 都道府県の認定を受けた民間事業者などが提供する賃貸住宅であり、平成 13 年の「高齢者の居住の安定確保に関 する法律」により法制化された。  入居者は、60 歳以上の自立した日常生活を送ることができる高齢単身者、夫婦を対象としている。入居者が終身 にわたり安心して居住できるように「手すりの設置」、「広い廊下」、「段差の解消」、「緊急時対応サービス」といっ たバリアフリー化された空間を備えていることが求めらている。  しかしながら、高齢者向け優良賃貸住宅の入居者として対象とするような自立した生活を送ることができる高齢 者にとっては、このようなバリアフリー対策は、日常生活で必要とされる筋力を使う機会を喪失し、逆に関節疾患 のような障害を負うリスクを高める可能性がある。更に、場合によっては、このような過剰なバリアフリー対策は、 かえって空間を使いづらくしてしまう可能性もある。  従って、軽度の要支援認定を受けている高齢者、認定を受けるまでには至らない疾患を抱えたハイリスクな高齢 者にとっては、これ以上の生活レベルの低下を防ぎ、健康を増進するための住居対策が必要があり、また、健常で 自立した生活を送る高齢者にとっては、生活レベルの水準を落とさないための健康を維持する住居対策が必要であ る。  このように、高齢者向け優良賃貸住宅、ケアハウスといった不特定多数の人が居住し、かつ、その入居者の健康 のレベルが様々であるような施設においては、高齢者の多様性を認め、個人の身体状況にあわせた住宅指針が必要 であり、より多様な空間づくりが求められる。

<自立>   <要支援>     <要介護>       <医療> I + II + III + IV + V

シニア住宅

高齢者向け優良賃貸住宅

有料老人ホーム(介護付)

ケアハウス

ケアハウス(介護付)

シルバーハウジング 費用

認知症高齢者グループホーム

軽費老人ホーム A 型

病院 特別養護老人ホーム

軽費老人ホーム B 型 生活支援ハウス

住宅系 福祉系

養護老人ホーム

施設

低 資料: (財)高齢者住宅財団 HP

fig.02.5.8. 高齢者の身体状況、費用と施設の関係性の位置付け

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高齢者を取り巻く様々な法律、制度、取り組みに関してまとめる。  現在、急速に増加すると見込まれる要介護の高齢者人口に対して、様々な施設や介護サービスの供給が追いつか なくなるという危惧から、これまでの「介護」を重視する視点から、「予防」を重視する方向へ社会情勢がシフトし ている。社会全般の高齢者に対する意識も高齢者は要介護、要支援認定を受けている社会的弱者である、という立 場から、比較的に健常で自立した生活を送る高齢者も多くいるという点で、多様な高齢者の存在を認めるようになっ てきたといえる。  しかし、その一方で、現在の住環境における高齢者に対する取り組みは、あらかじめ身体能力が落ち、環境が悪 くなることを想定した上での取り組みであるといえ、現段階において、健常で自立した生活を送っている高齢者に 対しては、予防医学の観点からみると必ずしも適したものであるとはいえない。現行のバリアフリー制度では、日 常生活で必要とされる身体の負荷を低減させてしまうため、特に高齢期によくみられる関節疾患のような疾患を引 き起こし、かえって健常な高齢者を要介護状態にしてしまうリスクを高める一因となりうる。  今後の高齢者の住環境を考える場合、画一的な法制度では対応することは難しい。そのため、高齢者の身体状況、 心理の多様化を考え、より幅広いきめ細やかな設計指針が必要になってくると考える。

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02-6. 高齢者の施設の分類

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02-7. 高齢者の居住環境の法律

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02-8. 東日本のリタイアメントビレッジの一例

グリーンフォレスト(埼玉県熊谷市)

七彩の街(埼玉県入間郡)

西五反田高齢者複合施設(東京都品川区)

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03 研究方法


03-1. 研究フロー  本研究では、段差や坂のデザインを心理的負担と身体的負荷の両面から計測を行った。心理的負担はコンジョイ ント分析を行い、身体的負荷は、表面筋電計を用いた筋電位計測を行った。これらの実験結果から得たデータを用 いて、評価、プログラムの作成を行っていく。  以下に研究フローを示す。なお、括弧内の数字は本論において、該当箇所を記述してある章と項目の数字である。

・既往研究、文献調査 (02-1. - 02-5.) 高齢期の疾患、健康状態に関する調査。 高齢者の居住環境に関する取り組みの調査。

・プレ調査 (03-2.) 関節疾患者に住宅内で痛みのために困っていること、動作のヒアリング。    ↓ 階段及びスロープの昇降動作の抽出。

・筋電位計測 (03-4-1. , 04-2-2.)

・コンジョイント分析 (03-3. - 03-3-3. , 04-1.-04-1-1.)

階段及びスロープの昇降動作時

被験者に階段及びスロープのイメージを貼付した

の各筋肉の負荷量の計測。

2 種類のそれぞれ 10 枚ずつのカードを並び替えて

・高齢者用運動プログラム 15 動作の計測 (03-4-1. , 04-2

-

昇降動作時の筋力の負荷の目安として計測を行った。

もらうことで、心理的負担量のモデル化を行う。

・比較,分析 (04-3-1. , 04-3-2.)

・アンケート調査 (03-3-1.) コンジョイント分析と同時にアンケート調査を実

高齢者用運動プログラムとの差の検定。(04-3-1.)

施した。被験者に関節疾患の有無とどの部位が痛

階段及びスロープの昇降動作時の負荷の

むかを挙げてもらい、コンジョイント調査を行う

重回帰分析。負荷の推定。(04-3-2.)

被験者の属性分けを行う・

・昇降デザイン評価プログラムの作成 (04-3.) VBA を用いた昇降動作時の身体的負荷と 心理的負担を算出するプログラムの作成。

・施設の評価 (04-4.) 不特定多数の健常者及び関節疾患者が利用する施設 において、昇降デザインが利用者全体に与える心理 的負担及び身体的負荷を算出し、評価行う。

fig.03.1 . 研究フロー

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03-2. プレ調査  今回の実験の対象とする動作及び住宅内のデザインを決定するために、関節痛疾患者を対象にヒアリングを行い、 住宅内の日常生活動作の中で痛みが伴うために、困難になってしまう動作を列挙してもらった。ヒアリングを行っ たのは腰痛や変形性膝関節痛といった関節に疾患を有する 20 代から 80 代の男女 15 名である。その結果、住宅内 で最も痛みが伴うため、困難とされる動作が階段及びスロープの昇降動作であった。  また、このプレ調査において、関節疾患者 15 名に対して川島 (2005) の「腰部疾患者の経路選択要因に関する研究」 で用いたコンジョイントカードと同じものを用いて腰部以外に関節の疾病を抱える人が町で買い物を行う場合を想 定し、経路選択の際に、どのような要素に優先順位を定めているかについて、コンジョイント分析を用いて調査を行っ た。結果は以下に示す。  腰部疾患者は川島の研究からも分かるように、階段よりも坂を好む傾向にあるが、膝関節疾患者は、逆に階段を 坂の方よりも好むという結果が得られた。更に、腰部疾患者と膝関節疾患者では経路選択の際に重要視する要因が 異なることが分かった。従って、関節痛疾患者はその疾患の部位によって、経路を選択する要因が異なることが考 えられる。  この結果から、本研究では、階段及びスロープの昇降動作を実験対象とした。

table.o3.2. 川島 (2005) が「腰部疾患者の経路選択要因に関する研究」で用いたコンジョイントカードの要因と水準

要因 距離 高低差 段差の種類 人通りの激しさ

水準1 500m なし 階段 混んでいる

水準2 遠回り(800m ) 1階分 坂 混んでいない

膝疾患者の経路選択の効用値

水準3 3階分

各要因の重要度 45

2.0

41.88

40

1.5

35

1.0

31.98

30

効用値

0.5

25

0.0

6分 -0.5

9分

経路の総歩行時間

なし

1階分

3階分

経路間の昇降高低差

階段

段差の種類

混んでいる混んでいない 人通りの激しさ

18.78

20 15 10

-1.0

7.36

5

-1.5

0 経路の総歩行時間

-2.0

腰部疾患者の経路選択の効用値

経路間の昇降高低差

段差の種類

人通りの激しさ

各要因の重要度 45

2.0

40.64

40

1.5

33.14

35

1.0

30

効用値

0.5

25

0.0

6分 -0.5

9分

経路の総歩行時間

なし

1階分

3階分

経路間の昇降高低差

階段

段差の種類

混んでいる混んでいない 人通りの激しさ

20

19.88

15 10

-1.0

6.34

5

-1.5

0 経路の総歩行時間

-2.0

経路間の昇降高低差

段差の種類

人通りの激しさ

fig.03.2. 川島 (2005) の 「腰部疾患者の経路選択要因に関する研究」と同様のコンジョイント分析を行っ た際の腰部疾患者と膝関節疾患者の効用値および相対重要度の比較

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03-3. コンジョイント分析  マーケティングの分野で主に利用する実験計画法である。商品やサービスの持つ複数の要素について、ユーザー がどのような点に重きを置いているのか、ユーザーが最も好む要素の組み合わせを探るためのシミュレーションと して用いる方法である。  実際に我々が商品を選ぶ時は、「この程度の性能だけどこの価格なら妥当」「○○という要素はないけど△△とい う機能がついているからこちらの方がいい」といったかたちで、個々の要素の比較ではなく、要素の組み合わせに 対して総合的な評価と判断を行い、最終的な選択を行っている。コンジョイント分析で、「組み合わせにより決定さ れる選択順位」の根拠を数値で表現することが可能になる。  コンジョイント分析により ・どの要素が注目されているのかが分かる重要度 ・その部位の中で水準ごとの効き目である効用値 を把握することができ、相乗効果を加味した組み合わせの決定および効用値を使って、マインドシェアのシミュレー ションを行うことが出来る。  今回はこの手法を段差や坂のデザインに用いた。高齢者や関節疾患者が、身体状況、疾患の部位の違いによって、 段差や坂を利用する際に、心理的に負担になる様々な要因に関して、どのように優先順位を定め、選択を行ってい るかを定量的に明らかにする。デザインの組み合わせ方、違いによる心理的な負担を定量化し、シミュレーション モデルを作成する。

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03-3-1. 実験概要 ○コンジョイント分析による選択実験  ・被験者数:120 人(20 代 50 人、30 代 14 人、40 代 4 人、50 代 33 人、60 代 4 人、70 代 8 人、80 代以上7人) ・アンケート配布方法:知人への郵送配達、高齢者施設への依頼、Web でのアンケート ○アンケート調査  同時に、アンケート調査を行い、腰や膝といった関節部分を中心に被験者の身体の痛む部分を挙げてもらい、痛 みのある部位ごとに被験者の属性分けを行い、コンジョイント分析を行なった。

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fig.03.3.1. 被験者の人数・年齢分布

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fig.03.3.2. 被験者の男女比

被験者の人数(人)

40

37

35 30

15 10 5 0

なし 腰部 股関節 膝 足首

23

25 20 13

11 0

4

若年者

7 0

1

4

1

中年者

2

2

5

1

高年者

fig.03.3.3. 被験者の疾患部位の内訳

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03-3-2. コンジョイントカードの設計方法  コンジョイントカードの設定を考える際に、既往の動作計測研究とヒアリングから以下の要因と水準を設定した。

table..03.3.2.1. コンジョイント分析に用いた要因と水準

要因 段差の種類 勾配 手すり 移動方法

水準1 階段 ゆるい あり 上り

水準2 坂 急 なし 下り

これらの全水準の総当りを行うと、2 × 2 × 2 × 2 の 16 通りの組み合わせが出来るが、SPSS15.0J コンジョイ ントを用いることで、分析に必要最低限である 10 通りの組み合わせまで絞ることができる。また、これらの水準 を組み合わせた空間を被験者に具体的にイメージをしてもらうために、コンジョイントカードに CG を添付した。      このコンジョイントカードに用いる CG を作成する際に、階段、坂の勾配角度はそれぞれ以下の数値を用いた。 これは、新バリアフリー法を参照し、      550(mm) ≦踏み面 +2* 蹴上げ≦ 650(mm)・・・① および   踏み面≧ 195(mm)・・・② の計算式から、最も勾配のゆるい数値と最も勾配の急となる数値を採用した。坂に関しては、一般の住宅や施設内 に多く見られる勾配角度の多くが 1/15 ∼ 1/12 であることからこの値を採用した。  建築基準法の住宅の床下が 450mm という数値を根拠として段差、坂の高低差を 450mm と設定したカードを作 成した。また、たとえ、同じ「ゆるい勾配の坂を上る」としても、高低差が高くなり、距離が長くなる、段数が増 えてくると心理的な負担は、高低差が低い場合と異なってくることが想定されたため、高低差が 900mm あるカー ドを作成した。本研究では、この 450mm のカード、900mm のカードそれぞれ 2 種類のカードを A-450、B-900 と定義する。被験者に A-450、B-450 それぞれ 10 枚ずつのカードのセットを「この道を通りたい、この道だったら通っ てもいい」と思う順に並び替えてもらうことで、段差や坂のデザインの選択する際の心理的負担を定量化した。  実験で用いたコンジョイントカードの一例とカードの見方は次のページに掲載している。また、実際に被験者に 配布した調査概要とアンケート用紙、コンジョイントカードの一覧は資料編に添付した。

table..03.3.2.2. コンジョイントカードに用いる水準の数値

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03-3-3. コンジョイントカードの一例  このようなカードを被験者に提示し、A-450、B-900 それぞれ 10 枚のカードを「通りたい、通ってもいい」と思 う順に並び替えてもらった。

カード No.示 す

A-450 B-900 を示す

経路の全体像を示す 昇降動作時の条件を示す

昇降動作時の略式図を示す

進行方向からみた経路を示す

fig.03.3.3.1. コンジョイントカードの一例

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03-4. 筋電位計測  本研究では、階段及びスロープの昇降動作と、その動作の負荷の目安として高齢者用運動プログラムを行った際 の負荷を計測している。これまでの既往研究ではこれらの動作は主に筋電計を用いて動作時の筋活動を計測し、分 析が行なわれている。本研究はこれらの研究に則り、同様の筋電計を用いた。  筋電計から得られたデータには様々な分析方法があり、筋活動のタイミング、筋活動量、筋疲労などを知ること が出来る。本研究では、既往研究などを参照に、ARV(整流平滑化・平均振幅の特微量)という分析手法を採用した。 この分析手法の特徴は、筋肉の放電量および放電のタイミングから、どの筋肉がどのタイミングで、どの程度活動 したかを知ることができるということが挙げられる。    本研究では、前脛骨筋、大腿直筋、大殿筋、腰腸肋筋に関して計測を行った。これらの筋肉およびこれらの筋肉 を含む筋群は、それぞれの関節疾患の予防、負担の軽減に関与があるとされている。この部位が衰えると、関節疾 患を引き起こしてしまうため、ある程度の負荷を加えて筋力を鍛えることで関節疾患を予防できるとされている。 逆に、関節疾患が進行し、日常生活に支障をきたすようになってしまった場合は、これらの筋肉、筋群にあまり負 担をかけないデザインが必要になってくる。 それぞれの筋肉は、前脛骨筋は、足首関節疾患、大腿直筋は変形膝関節痛をはじめとした膝関節疾患、大殿筋は変 形股関節症をはじめとした股関節疾患、腰腸肋筋は腰痛や腰周りの関節の疾患にそれぞれ関係があるとされている。

s7601 体幹の筋肉 体 s7402 骨盤の筋肉 s7402   骨盤の筋肉

大殿筋

大腿直筋 大 大腿 腿 腿直筋 筋

s75002 大腿の筋肉 大

s75012 下腿の筋肉 下 前頚骨筋 筋 s75022 足首と足の筋肉 首

前部

後部

fig.03.4. 本研究で計測対象とした筋肉及び筋群

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03-4-1. 実験概要 ・被験者数:14 名 ( 関節疾患のない健常な 20 代男性 ) 2007 年 12 月 23 日 1 人 2007 年 12 月 26 日 3 人 2007 年 12 月 27 日 3 人 2007 年 12 月 28 日 1 人 2005 年 12 月末 6 人 ・実験場所:55 号館 S 棟 8F 渡辺研究室 および 55 号館ドライエリアのスロープ及び階段 (A)、明治通り側の階段 (B) の 2 箇所において計測を行った。  永池 (2005) の「筋力低下を予防する住空間のデザイン―日常生活動作時の腰部周りの筋活動量計測」の研究を参 照し、前述した前脛骨筋、大腿直筋、大殿筋、腰腸肋筋の所定の部位に電極を貼付し、サンプリング周波数 1kHz で、 計測を行った。  なお、それぞれの筋肉の部位は以下の方法で、最大自発筋収縮時の筋電位を計測する。 ・前脛骨筋:被験者に椅子に腰を掛けてもらった状態で、実験者が足甲に力を加えて、その抵抗力に対して、被験       者に最大筋力で足首を屈曲してもらった。 ・大腿直筋:被験者に椅子に腰を掛けてもらい、膝の角度を 90°に保ってもらった状態で実験者が被験者の膝と足       首を持ち、膝を伸展させようとする力に対して、抵抗力を加えた。 ・大殿筋:被験者にやや前傾の状態で立ってもらい、両手で椅子の背もたれや机をつかんでもらった状態で、片足      立ちをしてもらい、膝の角度を 90°に保ったまま後ろの方向へ出来るだけあげてもらった。 ・腰腸肋筋:被験者に椅子に腰を掛けてもらい、その状態から上体を後ろに伸展させよう(反らせよう)とする力       方向に対し、抵抗力を加えた。

仙骨

1

2

大転子 4

4

1

fig.03.4.1.1. 前脛骨筋の貼付位置 fig.03.4.1.2. 大腿直筋の貼付位置 fig.03.4.1.3. 腰腸肋筋の貼付位置

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fig.03.4.1.4. 大殿筋の貼付位置

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今回の実験で計測した動作を以下に示した。階段およびスロープの昇降動作、高齢者のために開発された高齢者 用運動プログラム 15 動作の計測を行った。実験に用いた (A)、(B) の階段及びスロープのデザインは table. に示した。 高齢者用運動プログラムは、東京都老人総合研究所の HP および文献を参照し、前述した前脛骨筋、大腿直筋、大殿筋、 腰腸肋筋およびそれらを含む筋群を鍛えるのに、高齢者の身体を壊さない程度の適度な負荷がかかっているとされ ているものを選んだ。

table.03.4.1. 昇降動作実験に用いた階段及びスロープの実験設定

(A) 実験番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9

(B) 種類 階段 階段 坂 坂 階段 階段 坂 坂 平地歩行

勾配・角度 170/350 170/350 6° 6° 170/350 170/350 6° 6° -

手すり × × × × ○ ○ ○ ○ -

移動方法 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り -

実験番号 1 2 3 4

種類 階段 階段 階段 階段

勾配・角度 160/370 160/370 160/370 160/370

No.1 体前屈

No.2 股関節の屈曲

No.3 足の横上げ

No.4 足首の伸展・屈曲

No.5 膝の持ち上げ

No.6 つま先立ち

No.7 片足上げ

No.8 足首の伸展・屈曲

No.9 片足上げ

No.13 股関節の伸展

No.10 仰向け片足上げ No.11 四つん這い片足上げ

No.14 うつ伏せ片足上げ

手すり ○ × ○ ×

移動方法 上り 上り 下り 下り

No.12 片足膝曲げ

No.15 椅子に足掛け

fig.03.4.1.5. 実験に用いた高齢者用運動プログラム 15 動作

-34-

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実験手順  筋電位計測を行った際の実験手順を以下に示す。 a. 皮膚処理および電極の貼付  1. 被験筋の筋腹を探し、そこからやや外した位置に貼付部を決定し、油性マジックで印をつける。  2. 電極設置部位を剃毛し、研磨剤入りペーストで皮膚の角質を除去し、アルコールで拭く。これは筋電位計測時   の皮膚抵抗を軽減し、ノイズ成分を押さえるためである。  3. 電極の貼付は、筋繊維方向に沿って、a-1. で印をつけた位置を電極板の 2 電極が挟むように電極を置く。  4. 足首にアース電極を貼付する。 ↓ b. キャリブレーション  何もしていないときの筋電位の 0 値を設定するためのキャリブレーションを行う。被験者に仰向けに寝てもらっ た状態で、全身の力を抜いたリラックスした状態になってもらった。 ↓ c. 最大自発筋収縮時の筋電位の計測  前述した前脛骨筋、大腿直筋、大殿筋、腰腸肋筋の筋電位活動が最も起こるとされている動作を行った際の筋電 位を計測する。 ↓ d. 計測  目的の動作の計測を行う。

分析手順  筋電位計測を行う際の分析方法を以下に示す。 a.ARV(Average Rectified Value)の算出 得られたデータである生波形の絶対値を求める事によって整流波を求め、0.0150 秒区間の平均振幅により平滑した。 これを整流平滑化(ARV:Average Rectified Value)という。 ↓ b.MVC(Maximal Voluntary Contraction)の算出 ARV を算出した後、動作時の各筋のピーク値を検出した。(MVC%) ↓ c. 動作時の MVC% b. で得られた MVC% の値を最大自発筋収縮時の筋電位で除する。 ↓ d. 負荷モデルの作成 c. で得られた各被験者の筋電位の値を用いて、段差、坂の勾配、手すりの有無、上り下りといった項目を変更した 際の負荷を推測するための重回帰式を作成し、昇降動作を行う際の負荷モデルを作成する。 なお、a、b の作業では「Wad」、c の作業は、「Excel」、d の作業は「SPSS15.0J」をそれぞれアプリケーションソフ トとして用いた。

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04 実験結果


04-1. コンジョイント分析による効用値のシミュレーションモデル  今回の実験から健常者及び各関節疾患者の心理負担のシミュレーションモデルを得ることが出来た。コンジョイ ント分析による各要素、各水準の効用値と、相対重要度の数値を示す。効用値は値が大きいほど、その疾患者群にとっ て評価が高く、使いやすいと感じている。逆に値が小さいほど、疾患者群にとって評価が低く、負担になっている要因・ 水準であるといえる。また、相対重要度は各要因の重要度の合計を 100 として、その要因をどの程度重視している かを示す。 被験者を疾患の部位、年代層、実験に用いた A-450 と B-900 のカードの種類から以下の 34 パターンに分けた。次 のページから各パターンに対して行ったコンジョイント分析の結果を掲載した。

table.04.1. 被験者の年齢と属性、カードの種類によるパターン

なし

腰部

股関節

足首

若年者 中年者 高年者 若年者 中年者 高年者 全体 若年者 中年者 高年者 全体 若年者 中年者 高年者 全体 若年者 中年者 高年者 全体

A-450 N o. 該当人数 1 37 3 7 5 2 7 11 9 13 11 6 13 23

N o. 2 4 6 8 10 12 14

15 17 19 21 23 25 27

1 2 3 4 4 5 13

16 18 20 22 24 26 28

1 2 3 4 4 5 13

29 31 33

1 1 2

30 32 34

1 1 2

-37-

B-900 該当人数 37 7 2 11 13 6 23

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No.1 なし 若年者 A-450 心理的負担量 y=-0.892X1-0.554X2-0.392X3+0.973X4+5.797 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-38-

効用値 -0.892 -1.784 -0.554 -1.108 -0.392 -0.784 0.973 1.946 5.797

相対重要度 32.66 23.39 15.08 28.87

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No.2 なし 若年者 B-900 心理的負担量 y=-1.041X1-0.446X2-0.284X3+0.324X4+6.669 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-39-

効用値 -1.041 -2.081 -0.446 -0.892 -0.284 -0.568 0.324 0.649 6.669

相対重要度 35.04 23.04 18.31 23.62

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No.3 なし 中年者 A-450 心理的負担量 y=-0.429X1-0.786X2-1.571X3+0.643X4+7.714 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-40-

効用値 -0.429 -0.857 -0.786 -1.571 -1.571 -3.143 0.643 1.286 7.714

相対重要度 19.99 22.85 22.88 34.38

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No.4 なし 中年者 B-900 心理的負担量 y=-0.429X1-1.071X2-2.214X3+1.429X4+6.643 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-41-

効用値 0.429 0.857 -1.071 -2.143 -2.214 -4.429 1.429 2.857 6.643

相対重要度 20.59 19.97 32.12 27.32

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No.5 なし 高年者 A-450 心理的負担量 y=-0.250X1-1.500X2-1.250X3+0.750X4+11.250 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-42-

効用値 -0.250 -5.000 -1.500 -3.000 -1.250 -2.500 0.750 1.500 11.250

相対重要度 35.71 28.57 17.86 17.86

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No.6 なし 高年者 B-900 心理的負担量 y=-1.500X1-1.500X2+1.000X3-0.500X4+8.250 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-43-

効用値 -1.500 -3.000 -1.500 -3.000 1.000 2.000 -0.500 -1.000 8.250

相対重要度 21.43 28.57 42.86 7.14

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No.7 腰部 若年者 A-450 心理的負担量 y=0.409X1-1.500X2-1.000X3+0.773X4+6.477 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-44-

効用値 0.409 0.818 -1.500 -3.000 -1.000 -2.000 0.773 1.545 6.477

相対重要度 18.12 25.56 24.40 31.92

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No.8 腰部 若年者 B-900 心理的負担量 y=0.400X1-1.150X2-0.900X3+0.850X4+5.700 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-45-

効用値 0.400 0.800 -1.150 -2.300 -0.900 -1.800 0.850 1.700 5.700

相対重要度 18.03 33.34 17.21 31.42

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No.9 腰部 中年者 A-450 心理的負担量 y=0.077X1-1.346X2-0.885X3+0.385X4+7.154 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-46-

効用値 0.077 0.154 -1.346 -2.692 -0.885 -1.769 0.385 0.769 7.154

相対重要度 31.78 26.83 25.08 16.31

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No.10 腰部 中年者 B-900 心理的負担量 y=0.308X1-1.500X2-0.962X3+0.231X4+7.385 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-47-

効用値 0.308 0.615 -1.500 -3.000 -0.962 -1.923 0.231 0.462 7.385

相対重要度 28.07 31.19 24.40 16.34

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.11 腰部 高年者 A-450 心理的負担量 y=0.583X1-2.417X2-1.750X3+0.500X4+9.125 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-48-

効用値 0.583 1.167 -2.417 -4.833 -1.750 -3.500 0.500 1.000 9.125

相対重要度 18.78 33.67 29.51 18.04

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.12 腰部 高年者 B-900 心理的負担量 y=1.214X1-1.786X2-2.143X3-0.500X4+9.321 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-49-

効用値 1.214 2.429 -1.786 -3.571 -2.143 -4.286 -0.500 -1.000 9.321

相対重要度 20.91 25.12 32.49 21.48

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No.13 腰部 全体 A-450 心理的負担量 y=0.068X1-1.523X2-1.136X3-0.659X4+7.398 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-50-

効用値 0.068 0.136 -1.523 -3.045 -1.136 -2.273 0.659 1.318 7.398

相対重要度 21.532 28.178 23.459 26.831

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No.14 腰部 全体 B-900 心理的負担量 y=0.250X1-1.273X2-2.136X3+0.386X4+7.057 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-51-

効用値 0.25 0.5 -1.273 -2.545 -1.068 -2.136 0.386 0.773 7.057

相対重要度 21.354 31.671 23.476 23.5

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No.15 股関節 中年者 A-450 心理的負担量 y=2.500X1-2.500X2+2.500X3-1.000X4+2.250 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-52-

効用値 2.500 5.000 -2.500 -5.000 2.500 5.000 -1.000 -2.000 2.250

相対重要度 29.412 29.412 29.412 11.765

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No.16 股関節 中年者 B-900 心理的負担量 y=4.000X1-0.500X2+0.500X3-1.000X4+0.000 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

-53-

4.000 8.000 -0.500 -1.000 0.500 1.000 -1.000 -2.000

0.000

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

効用値

相対重要度 66.667 8.333 8.333 16.667

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No.17 股関節 高年者 A-450 心理的負担量 y=2.000X1-2.000X2-0.750X3+2.750X4+1.500 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

-54-

2.000 4.000 -2.000 -4.000 -0.750 -1.500 2.750 5.500

1.500

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

効用値

相対重要度 66.667 8.333 8.333 16.667

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No.18 股関節 高年者 B-900 心理的負担量 y=1.250X1-3.250X2-1.750X3+1.000X4+8.625 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

-55-

1.250 2.500 -3.250 -6.500 -1.750 -3.500 1.000 2.000

8.625

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

効用値

相対重要度 14.706 48.039 23.039 14.216

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No.19 股関節 全体 A-450 心理的負担量 y=2.167X1-2.167X2+0.333X3+1.500X4+1.750 (0X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-56-

効用値 2.167 4.333 -2.167 -4.333 0.333 0.667 1.5 3 1.75

相対重要度 27.066 28.256 16.054 28.624

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No.20 股関節 全体 B-900 心理的負担量 y=2.167X1-2.333X2-1.000X3+0.333X4+5.750 (0X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-57-

効用値 2.167 4.333 -2.333 -4.667 -1 -2 0.333 0.667 5.75

相対重要度 32.026 34.804 18.137 15.033

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No.21 膝 若年者 A-450 心理的負担量 y=0.625X1+0.375X2-1.500X3-2.125X4+8.438 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-58-

効用値 0.625 1.250 0.375 0.750 -1.500 -3.000 -2.125 -4.250 8.438

相対重要度 43.44 4.69 20.64 31.23

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No.22 膝 若年者 B-900 心理的負担量 y=2.000X1-0.375X2-2.375X3-1.000X4+7.125 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-59-

効用値 2.000 4.000 -0.375 -0.750 -2.375 -4.750 -1.000 -2.000 7.125

相対重要度 31.66 8.33 38.78 21.23

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No.23 膝 中年者 A-450 心理的負担量 y=1.125X1-1.000X2-2.875X3+0.875X4+7.313 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-60-

効用値 1.125 2.250 -1.000 -2.000 -2.875 -5.750 0.875 1.750 7.313

相対重要度 16.19 18.07 50.28 15.47

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No.24 膝 中年者 B-900 心理的負担量 y=1.375X1-0.750X2-3.000X3+0.250X4+7.688 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-61-

効用値 1.375 2.750 -0.750 -1.500 -3.000 -6.000 0.250 0.500 7.688

相対重要度 20.39 19.62 45.39 14.62

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No.25 膝 高年者 A-450 心理的負担量 y=-0.900X1-2.700X2-2.300X3-0.600X4+14.250 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-62-

効用値 -0.900 -1.800 -2.700 -5.400 -2.300 -4.600 -0.600 -1.200 14.250

相対重要度 17.92 38.69 32.06 11.33

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.26 膝 高年者 B-900 心理的負担量 y=-0.100X1-2.200X2-2.800X3-0.400X4+12.750 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-63-

効用値 -0.100 -0.200 -2.200 -4.400 -2.800 -5.600 -0.400 -0.800 12.750

相対重要度 12.25 31.65 41.52 14.57

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.27 膝 全体 A-450 心理的負担量 y=0.192X1-1.231X2-2.231X3-0.615X4+10.327 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-64-

効用値 0.192 0.385 -1.231 -2.462 -2.231 -4.462 -0.615 -1.231 10.327

相対重要度 25.239 21.882 34.152 18.727

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.28 膝 全体 B-900 心理的負担量 y=1.000X1-1.192X2-2.731X3-0.385X4+9.462 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-65-

効用値 1.000 2.000 -1.192 -2.385 -2.731 -5.462 -0.385 -0.769 9.462

相対重要度 20.726 20.774 41.864 16.636

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


No.29 足首 中年者 A-450 心理的負担量 y=4.000X1-1.000X2-1.000X3+1.000X4+2.66E-15 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

-66-

4.000 8.000 -1.000 -2.000 -1.000 -2.000 1.000 2.000

0.000

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

効用値

相対重要度 57.14 14.29 14.29 14.29

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No.30 足首 中年者 B-900 心理的負担量 y=4.000X1-1.500X2+0.000X3+1.500X4-1.500 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-67-

効用値 4.000 8.000 -1.500 -3.000 0.000 0.000 1.500 3.000 -1.500

相対重要度 57.14 21.43 0.00 21.43

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No.31 足首 高年者 A-450 心理的負担量 y=4.000X1+0.500X2+0.500X3+0.000X4-3.000 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-68-

効用値 4.000 8.000 0.500 1.000 0.500 1.000 0.000 0.000 -3.000

相対重要度 80.00 10.00 10.00 0.00

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No.32 足首 高年者 B-900 心理的負担量 y=2.000X1+0.500X2-0.500X3+4.000X4-4.500 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-69-

効用値 2.000 4.000 0.500 1.000 -0.500 -1.000 4.000 8.000 -4.500

相対重要度 28.57 7.14 7.14 57.14

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No.33 足首 全体 A-450 心理的負担量 y=4.000X1-0.250X2-0.250X3+0.500X4-1.500 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-70-

効用値 4.000 8.000 -0.250 -0.500 -0.250 -0.500 0.500 1.000 -1.500

相対重要度 68.571 12.143 12.143 7.143

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No.34 足首 全体 B-900 心理的負担量 y=3.000X1-0.500X2-0.250X3+2.750X4-3.000 (X1:昇降部の種類 X2:勾配角度 X3:手すりの有無 X4:移動方法 )

要因 種類 勾配 手すり 方法

水準 階段 坂 低い 高い あり なし 上り 下り

(定数) 要因 種類 勾配 手すり 方法

-71-

効用値 3.000 6.000 -0.500 -1.000 -0.250 -0.500 2.750 5.500 -3.000

相対重要度 42.857 14.286 3.571 39.286

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04-1-1. コンジョイント分析の結果まとめ

コンジョイント分析から得られた効用値のシミュレーションモデルの一覧を以下に示す。  このモデルから、自分の年齢、疾患の部位、段差および坂のデザイン(勾配角度、手すりの有無、高低差、移動方法) を入力することで、心理的負担量を推定することができる。

table.04.1.1. コンジョイント分析から得られた評価式 450 m m X1:昇降部の種類

腰痛疾患者

股関節痛疾患者

膝関節痛疾患者

足首関節痛疾患者

健常者

X2:勾配角度

900 m m

X3:手すりの有無

X4:移動方法

X1:昇降部の種類

X2:勾配角度

X3:手すりの有無

若年者

y=0 .409X1-1.500 X2-1.000 X3+0 .773 X4+6 .477

y=0 .400 X1-1.150 X2-0.900 X3+0 .850 X4+5 .700

中年者

y=0 .077 X1-1.346 X2-0.885 X3+0 .385 X4+7 .154

y=0 .308 X1-1.500 X2-0.962 X3+0 .231 X4+7 .385

高年者

y=0 .583 X1-2.417 X2-1.750 X3+0 .500 X4+9 .125

y=1 .214 X1-1.786 X2-2.143 X3-0.500 X4+9 .321

全体

y=0 .068 X1-1.523 X2-1.136 X3-0.659 X4+7 .398

y=0 .250 X1-1.273 X2-2.136 X3+0 .386 X4+7 .057

中年者

y=2 .500 X1-2.500 X2+2 .500 X3-1.000 X4+2 .250

y=4 .000 X1-0.500 X2+0 .500 X3-1.000 X4+0 .000

高年者

y=2 .000 X1-2.000 X2-0.750 X3+2 .750 X4+1 .500

y=1 .250 X1-3.250 X2-1.750 X3+1 .000 X4+8 .625

全体

y=2 .167 X1-2.167 X2+0 .333 X3+1 .500 X4+1 .750

y=2 .167 X1-2.333 X2-1.000 X3+0 .333 X4+5 .750

若年者

y=0 .625 X1+0 .375 X2-1.500 X3-2.125 X4+8 .438

y=2 .000 X1-0.375 X2-2.375 X3-1.000 X4+7 .125

中年者

y=1 .125 X1-1.000 X2-2.875 X3+0 .875 X4+7 .313

y=1 .375 X1-0.750 X2-3.000 X3+0 .250 X4+7 .688

高年者

y=-0.900 X1-2.700 X2-2.300 X3-0.600 X4+14 .250

y=-0.100 X1-2.200 X2-2.800 X3-0.400 X4+12 .750

全体

y=0 .192 X1-1.231 X2-2.231 X3-0.615 X4+10 .327

y=1 .000 X1-1.192 X2-2.731 X3-0.385 X4+9 .462

中年者

y=4 .000 X1-1.000 X2-1.000 X3+1 .000 X4+2 .66E-15

y=4 .000 X1-1.500 X2+0 .000 X3+1 .500 X4-1.500

高年者

y=4 .000 X1+0 .500 X2+0 .500 X3+0 .000 X4-3.000

y=2 .000 X1+0 .500 X2-0.500 X3+4 .000 X4-4.500

全体

y=4 .000 X1-0.250 X2-0.250 X3+0 .500 X4-1.500

y=3 .000 X1-0.500 X2-0.250 X3+2 .750 X4-3.000

若年者

y=-0.892 X1-0.554 X2-0.392 X3+0 .973 X4+5 .797

y=-1.041 X1-0.446 X2-0.284 X3+0 .324 X4+6 .669

中年者

y=-0.429 X1-0.786 X2-1.571 X3+0 .643 X4+7 .714

y=-0.429 X1-1.071 X2-2.214 X3+1 .429 X4+6 .643

高年者

y=-0.250 X1-1.500 X2-1.250 X3+0 .750 X4+11 .250

y=-1.500 X1-1.500 X2+1 .000 X3-0.500 X4+8 .250

-72-

X4:移動方法

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コンジョイント分析から、各年代層、各関節疾患者が昇降動作を行う際に負担になる要素について定量化するこ とが出来た。  ・健常者は年代層にかかわらず、手すりはあまり重要視する項目ではないことがわかる。また、スロープよりも 階段を好む傾向にある。上りよりも下りの方が負担を感じていない。  ・腰部疾患者は、階段よりもスロープの方をより好む傾向に見られる。これは、川島 (2005) の「コンジョイント 分析を用いた腰部疾患者の経路選択要因に関する研究」の結果とも一致している。また、腰痛疾患者は加齢に伴っ て、手すりを重要視するようになる傾向が見られる。腰痛疾患は、加齢に伴って身体のバランスが不安定になるため、 手すりを設けることで昇降動作時の腰部疾患者の負担を軽減することが出来るためであると考えられる。  ・膝関節痛疾患者は上りよりも下りに大きな負担を感じる。この一つの原因として膝関節痛疾患者に対して行っ たヒアリングから膝関節痛疾患者は、関節の痛みを軽減させるために、膝をあまり屈曲させずに、靭帯をのばした まま下りる傾向がみられるからである。このため、重心が不安定になり、階段を下りる際に余計な力がかかる、下 りる際に恐怖感を感じると考える。また、膝関節痛疾患を抱えた高年者は、若年者、中年者と異なり、スロープよ りも階段のほうを好む。これは、階段は 1 段上り下りするたびに、動作をやめ、休息できるのに対し、スロープの 昇降時は、常に一定の筋力負荷を足腰にかけていないと立位を保てないため、スロープの昇降動作は特に筋力の衰 えた高齢者には負担に感じてしまうためであると考える。  ・足首関節疾患者は、今回は、被験者の中に足首に疾患をもつ人が少なかったため、統計学的に断定は難しいが、  足首関節痛疾患者は階段のデザインの違いにかかわらず、全体的にスロープを選ぶ傾向にある。  ・関節痛疾患者は疾患の部位、年代の違いによって、重要視している要因、負担に感じる要因が異なることが  分かる。従って、今後、このような高齢者施設、関節痛疾患者が多く利用するような施設を設計する際には、居  住者の疾患の部位、状況を把握する必要があると考える。

-73-

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04-2-1. 筋電位計測による高齢者用運動プログラムの計測結果  昇降動作とと比較する目安として計測した高齢者用運動プログラム 15 動作の各筋肉の負荷値を示す。

No.1 体前屈 (1) 両手をまっすぐに伸ばして椅子の後ろに立ち、両手で椅子の背もたれ  を握る。 (2) 肩と背中全体をまっすぐにしたままで、上半身と床と平行になるまで  股関節から体を曲げる。 (3) 肩と背中を丸めないようにする。 (4) この状態を 10 秒間保持する。

No.2 股関節の屈曲

1 平均 標準偏差

前脛骨筋 14.6% 12.0%

大腿直筋 12.4% 12.5%

腰腸肋筋 72.2% 9.0%

大殿筋 31.8% 28.3%

(1) 椅子やテーブルを片手でつかみ、3 秒かけて、左ひざを曲げな がら  できるだけ胸に近づくように上げる。 (2) このとき腰が動かないようにまっすぐ立ち、この姿勢を 1 秒保持する。 (3)3 秒かけてゆっくりと左足を元の位置まで下ろす。 (4) 右足も同様の動作をし、交互に一回ずつの動作を行う。

No.3 足の横上げ

2 平均 標準偏差

前脛骨筋 10.3% 16.5%

大腿直筋 29.1% 14.7%

腰腸肋筋 60.8% 21.9%

大殿筋 27.9% 12.4%

(1) 両足の間隔をわずかにあけ、椅子やテーブルを片手でつかみ、 3 秒か  けて、右脚を横(外側)に 15 ∼ 30cm 上げる。 (2) このとき、背中と両脚はまっすぐにしておく。また、つま先は外側に  向けず、正面を向いたままにする。 (3) 秒間この状態を保持し、3 秒間かけて右足を元の位置まで下ろす。 (4) 左足も同様の動作をし、交互に一回ずつの動作を行う。

3 平均 標準偏差

前脛骨筋 23.4% 5.9%

-74-

大腿直筋 25.2% 12.1%

腰腸肋筋 68.0% 17.2%

大殿筋 76.2% 21.3%

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No.4 足首の伸展・屈曲 (1)椅子に腰掛け、上体を真直ぐに保つ。 (2)両足を椅子の高さまでゆっくりと持ち上げ、両足の指先を最大に内  側に反らし (1)、5 秒程度停止した後、外側にしっかり伸ばす (2) 動作を  5 ∼ 10 回反復する。

No.5 膝の持ち上げ

4 平均 標準偏差

前脛骨筋 27.7% 30.4%

大腿直筋 34.8% 18.4%

腰腸肋筋 24.4% 8.0%

大殿筋 7.2% 7.8%

(1)椅子に腰掛け、上体を真直ぐに保つ。 (2)両膝をゆっくりと持ち上げ、約 5 秒間停止した後、ゆっくり 下ろす  動作を 5 ∼ 10 回反復する。 (3)きつい時には、片足ずつ行ってもよい。

No.6 つま先立ち

5 平均 標準偏差

前脛骨筋 10.9% 3.8%

大腿直筋 26.3% 18.3%

腰腸肋筋 46.1% 23.6%

大殿筋 8.0% 7.5%

(1)壁向きに立つ。 (2)爪先を軸に踵を上げ、3 ∼ 5 秒間停止後下げる動作を 5 ∼ 10 回反  復する。 (3)バランスを取りにくいときには、壁に軽く片手を付けて行う。

6 平均 標準偏差

前脛骨筋 17.3% 6.6%

-75-

大腿直筋 23.9% 35.7%

腰腸肋筋 33.7% 20.0%

大殿筋 7.6% 3.0%

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No.7 片足上げ (1)椅子に腰掛け、上体を真直ぐに保つ。 (2)片足を椅子と水平の高さまでゆっくりと持ち上げ、約 5 秒間停止し  た後、ゆっくり下ろす。 (3)片足ずつ 5 ∼ 10 回反復する。

No.8 足首の伸展・屈曲

7 平均 標準偏差

前脛骨筋 17.1% 9.2%

大腿直筋 41.7% 13.6%

腰腸肋筋 12.2% 2.0%

大殿筋 4.7% 2.9%

(1) 椅子の前端に座り、体を後ろに傾ける。このとき枕などで背中を支える。 (2) 両脚を前に滑らせ、両脚を伸ばす。 (3) 踵を床につけたまま、足首の前面に伸びを感じるまでつま先を 体か  ら離れるように向ける。 (4) この状態を 10 秒間保持する。

No.9 片足上げ

8 平均 標準偏差

前脛骨筋 16.2% 9.3%

大腿直筋 11.2% 9.5%

腰腸肋筋 21.0% 22.8%

大殿筋 4.8% 4.6%

(1)両手を後ろに、背中を伸ばして座る。 (2)膝を曲げる。 (3)片足を伸ばしながら持ち上げる。 (4)上げて、5 秒程度停止した後、ゆっくりと下ろす。 (5)片足ずつ 5 ∼ 10 回反復する 。

9 平均 標準偏差

前脛骨筋 5.7% 4.3%

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大腿直筋 65.1% 13.4%

腰腸肋筋 12.2% 6.0%

大殿筋 11.0% 7.6%

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No.10 仰向け片足上げ (1)仰向けになり、膝を立てる。 (2)片足の膝を伸ばしながらゆっくり持ち上げる。 (3)上げて 5 秒程度停止後、元に戻す。 (4)片足ずつ 5 ∼ 10 回反復する 。

No.11 四つん這い片足上げ

10 平均 標準偏差

前脛骨筋 5.3% 3.4%

大腿直筋 39.0% 15.5%

腰腸肋筋 13.9% 9.5%

大殿筋 4.4% 0.8%

(1)四つん這いの姿勢から片足の膝を伸ばしながら持ち上げる。 (2)上げて 3 ∼ 5 秒間停止後、ゆっくり元に戻す。 (3)交互に 5 ∼ 10 回反復する。

No.12 片足膝曲げ

11 平均 標準偏差

前脛骨筋 24.3% 19.2%

大腿直筋 42.5% 14.6%

腰腸肋筋 78.8% 5.2%

大殿筋 53.6% 17.9%

(1)壁に向かって自然に立つ。 (2)安全のために、片手を壁に当ててバランスを取る。 (3)片足を上げる。 (4)反対側の足に体重をかけるとともに膝を曲げる。膝を曲げ過  ぎないように注意(約 30°程度が適当)する (5)5 ∼ 10 秒程度曲げた後、膝を伸ばす。5 ∼ 10 回反復後、足  を交代する

12 平均 標準偏差

前脛骨筋 17.8% 5.3%

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大腿直筋 5.3% 5.3%

腰腸肋筋 54.2% 20.8%

大殿筋 18.7% 18.6%

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No.13 股関節の伸展 (1) 椅子やテーブルから 35cm ∼ 40cm 離れ、片手でつかみ、上半身を 45  °前に傾ける。 (2)3 秒かけて右脚をまっすぐ後ろに引き上げる。このとき膝を曲げずに、  つま先を伸ばさず、上半身を最初よりも曲げないように注意する。 (3)1 秒間この状態を保持し、3 秒間かけて右足をもとの位置まで下ろす。 (4) 左足も同様の動作をし、交互に一回ずつの動作を行う。

No.14 うつ伏せ片足上げ

13 平均 標準偏差

前脛骨筋 17.7% 5.9%

大腿直筋 12.5% 7.5%

腰腸肋筋 84.4% 0.0%

大殿筋 66.7% 36.9%

(1)両足を揃えて、うつ伏せになり、両手は顎の下に置く (2)膝を伸ばしたまま、ゆっくりと片足を持ち上げる (3)上げて 5 秒間停止した後、ゆっくり下げる (4)片足 5 ∼ 10 回反復後、足を交代する

No.15 椅子に足掛け

14 平均 標準偏差

前脛骨筋 14.5% 11.0%

大腿直筋 27.4% 21.7%

腰腸肋筋 76.1% 23.8%

大殿筋 42.0% 17.4%

(1)両手を腰に当て、椅子に片足を掛け、膝を曲げる (2)体重をゆっくりかけ、5 秒間停止した後、膝を伸ばす (3)片足 5 ∼ 10 回反復後、足を変える (4)反対側の足裏を地面につけて、膝を伸ばす (5)足と骨盤の筋力アップに効果的である

15 平均 標準偏差

前脛骨筋 27.6% 12.2%

大腿直筋 23.4% 7.4%

腰腸肋筋 25.9% 10.0%

大殿筋 17.2% 7.5%

大腿直筋 28.0% 15.3%

腰腸肋筋 45.6% 26.6%

大殿筋 25.5% 23.8%

15 種類の高齢者用運動プログラムの平均負荷を以下に示す

全体 平均 標準偏差

前脛骨筋 16.7% 7.0%

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04-2-2. 筋電位計測による昇降動作の実験結果  筋電位計測による昇降動作の実験結果を以下の fig. に示す。  グラフ内のオレンジの太線は、高齢者の運動プログラムを行った際の平均の筋力負荷であり、棒グラフは、実験 設定のデザインの違いによる身体的負荷 (%MVC) を示す。%MVC が大きいほど、身体的に筋力の負荷が高いもので ある。また、各デザインの負荷は、オレンジの太線である高齢者用運動プログラムと差の検定を行った。  高齢者用運動プログラムと比較し、5% の有意水準で、高齢者用運動プログラムより負荷が大きいと判別されたデ ザインは、濃いグレーで示し、同様に、5% 水準で負荷が小さいと判別されたものは薄いグレーで示した。 table.04.3.1. 昇降動作実験に用いた階段及びスロープの実験設定

(A)

(B)

実験番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9

種類 階段 階段 坂 坂 階段 階段 坂 坂 平地歩行

勾配・角度 170/350 170/350 6° 6° 170/350 170/350 6° 6° -

移動方法 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り -

実験番号 1 2 3 4

前脛骨筋

0.800 0.600

手すり × × × × ○ ○ ○ ○ -

0.502

0.478

0.400

0.422

0.442

0.600

0.422

0.384

0.376

0.407

0.400

0.046

2

0.341

3

4

5

6

7

8

2

0.224

3

0.205

0.273

0.300

1

0.543

2

5

6

7

0.149

0.699

0.680 0.485

3

4

0.800 0.312

0.200

3

4

5

0.384 0.234

0.216

大腿直筋

0.616

6

8

9

1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 0.000

0.598

7

0.559

8

0.481

0.600 0.500 0.400 0.300 0.200 0.100 0.000

9

0.421

0.297

0.273

5

6

0.192

0.191

1

2

0.255 0.164

0.000

0.120

大殿筋

0.600

0.284

0.100

0.246 0.116

4

2

0.400

腰腸肋筋

0.568

0.314 0.051

9

0.200

0.275

移動方法 上り 上り 下り 下り

0.000

大腿直筋

1

0.400

0.433

1

1

手すり ○ × ○ ×

前脛骨筋

0.200

0.200

1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 0.000

勾配・角度 160/370 160/370 160/370 160/370

0.800

0.000

0.600 0.500 0.400 0.300 0.200 0.100 0.000

種類 階段 階段 階段 階段

0.600

0.651

1

2

0.235

8

9

4

0.550

3

0.460

4

大殿筋

0.342

1

0.271

3 腰腸肋筋

0.350

2

0.304

3

0.210

4

0.000 1

2

3

4

7

fig.04.3.1. 昇降動作実験の実験結果―昇降動作の動作負荷 (%MVC)

-79-

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


04-2-3. 実験結果による各筋肉の負荷推定モデル  今回の実験結果から以下のような重回帰式を得ることが出来た。  この式の X1 に、階段およびスロープの勾配角度、X2 に手すりの有無(ある場合は 1、ない場合は 0)を代入す ることで、各筋肉の負荷値 (MVC%) の推定値を得ることができる。 ・前脛骨筋  階段上り   0.024X1+0.148X2+0.278  階段下り   -0.190X1+0.182X2+0.278  スロープ上り s75012 下腿の筋肉

前頚骨筋

s75022 足首と足の筋肉

0.012X1+0.025X2+0.286  スロープ下り   0.007X1+0.048X2+0.286 ・大腿直筋  階段上り   0.301X1-0.008X2+0.104  階段下り   0.243X1-0.016X2+0.112  スロープ上り

大腿直筋 s75002 大腿の筋肉

0.012X1-0.055X2+0.100  スロープ下り   0.011X1-0.019X2+0.100 ・大殿筋  階段上り   0.118X1+0.062X2+0.203  階段下り   -0.025X1+0.105X2+0.194

s7601 体幹の筋肉 s7402 骨盤の筋肉

大殿筋

スロープ上り   0.019X1+0.126X2+0.180  スロープ下り   0.005X1+0.063X2+0.180 ・腰腸肋筋  階段上り   0.045X1+0.159X2+0.470  階段下り   -0.156X1+0.180X2+0.477

s7601 体幹の筋肉 s7402 骨盤の筋肉

腰腸肋筋

スロープ上り   0.014X1+0.065X2+0.449  スロープ下り   -0.010X1+0.166X2+0.449

fig.04.3.2. 昇降動作時の各筋肉の負荷量算定式 (%MVC) -80-

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筋電位計測を行った結果、以下のようなことが分かった。  ・筋電位計測から、昇降動作中に手すりを用いることで大腿直筋と前脛骨筋といった下肢の筋肉は、%MVC のピー ク値を減少させ、負荷を軽減させることが出来る。しかし、腰腸肋筋や大殿筋といった体幹にかかわる筋肉は手す りを用いると、%MVC のピーク値が増加し、負荷が増加してしまうことが分かった。これは手すりを用いる際に腕 で体重を支えるために、昇降動作中の全身の筋肉のバランスが崩れるため、部位によっては過剰な負荷がかかって しまうためであると考えられる。この結果は理学療法学における階段の昇降動作実験の既往研究からも一致してい る。  ・階段や坂は上るときよりも下るときの方が %MVC のピーク値は減少する傾向にある。これも既往研究と同じ傾 向が見られる。  ・前脛骨筋、大腿直筋、大殿筋、腰腸肋筋はそれぞれ同じデザインの階段やスロープを利用しても筋活動の量が 大きく異なる。例えば、あるスロープを利用する際に、前脛骨筋はさほど筋活動が見られなくても、腰腸肋筋では 大きな筋活動が見られる場合がある。この各筋肉の活動量の違いが、各関節痛疾患者にとっては大きな負担になる 場合があると考えられる。  ・また、昇降動作中の各筋肉の負荷を高齢者用運動プログラムを行った際の各筋肉の負荷と比較し、t 検定を行い、 分析を行なった。その結果、階段及びスロープの昇降動作は高齢者用運動プログラムと比較して同等の負荷がある 場合、過剰な負荷がかる場合、大きく負荷を軽減できる場合とある。昇降動作はデザインの違いにより、負荷をコ ントロールすることができる。従って、階段及びスロープのデザインは、施設を利用する利用者の身体状況をよく 考慮した上で設計する必要がある。

-81-

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04-3. 実験結果を用いた昇降デザイン評価プログラム  実験から得られた結果を用いて、デザインの違いによる筋力負荷と効用値を計算するプログラムを作成した。  このプログラムでは、関節疾患者が自分の年齢と、関節の痛む部位の ICF コード、階段およびスロープの寸法を 入力することで、そのデザインから受ける身体的負荷と心理的負担量を計算し、その評価結果をグラフ上にプロッ トする。%MVC の値が大きいほど、身体的に筋力の負荷が高いものであり、コンジョイント分析から算出した効用 値が大きいほど各疾患者にとって評価が高く利用しやすいと感じているといえる。このプロットの位置から関節疾 患者の身体状況を考慮してデザインを提示するものを考案した。なお、このプログラムは Excel2003 に搭載された VBA(Visual Basic for Applications) マクロを用いた。なお、本研究に用いたプログラム作成に用いたプログラミング 及び昇降デザイン評価プログラムは資料編に添付した。

-82-

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実験結果を用いた評価プログラム

1. 関節疾患者が自分の年齢(若年者(20-30 代)、中年者(40-50 代)、高年者(60 代以降))の入力する。

2. 関節の一番痛む部位の ICF コードを入力する。

3. 階段およびスロープの寸法を入力する。(手すりがある場合はチェックを入れる)

4. そのデザインから受ける身体的負荷と心理的負担量を計算し、その評価結果がグラフ上にプロットされる。 評価結果

100.0 % 90.0% 80.0%

階段 坂

上り 65.2%

下り 57.9%

450 900 450上り 450下り 900上り 900下り 4.22 4.72 4.76 4.26

00上り 9 0 9900下り 000下 下り り 9900上り

70.0% 60.0% 50.0%

% MVC

筋電位負荷

高低差

上り り 450上り 450上

4 5 4450下り 500下 下り り

40.0% 30.0% 20.0% 10.0% (2 .00)

-83-

0.0% 0.00

2.00

4.00 効用値

6.00

8.00

10.00

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04-4. 施設の評価方法  前項まで、個人の身体状況と疾患から、どのデザインが望ましいか検証してきた。そこで、不特定多数の人があ る施設を利用する際、利用者一人一人の個別の身体状況、疾患とその分布を把握することで、その施設が利用者全 体の心理面、身体面を総括的に評価することができる。  身体状況の分布は、伊藤 (2001) の「要介護高齢者の日常生活行動のモデル化に関する研究」で明らかにしている。 ケアハウスやグループホームの入居対象となる要支援者および介護認定を受けていない自立度の高い高齢者のかか りつけ医から診断された疾患に関するデータがある。これによると、自立度の高い高齢者の 50% の高齢者は、下肢 の関節に関する疾患を有しており、23.4% が腰、4.8% が股関節、17.7% が膝、4.0% が足首にそれぞれ疾患を有す ることが分かっている。  昇降デザイン評価プログラムから、各関節痛疾患者が段差や坂のデザインから受ける効用値と %MVC の数値を算 出し、それぞれに、伊藤の研究から得られた関節疾患者の有訴者の比率を掛け合わせた数値を足し合わせて建築物 を使う関節疾患者全体からみた評価を行う。この手法を用いることで、高齢者の疾患の実情にあわせて評価するこ とが出来る。  例えば、ある階段のデザインが足首関節痛疾患者を持つ人に対して評価が高いものであったとしても、足首関節 に疾患を有する疾患者の割合は、比較的少ないため、そのデザインが有訴者の多い腰痛疾患者にとって使いづらい ものであり、その施設の評価は利用者全体からみると低いものになってしまう。そのために、この手法は施設を身 体全体で評価するものとして妥当であると考える。  なお、評価対象としては、「設計資料資料」と「新建築」に掲載されているものの中からグループホーム、ケアハ ウス、シルバーハウジングに該当するものを選んだ。個々の施設の評価結果は、ファイルメーカー Pro8.5 を用いて まとめた。データの読み方は次のページに掲載する。

fig.04.3.4.1. 伊藤の要介護高齢者の日常生活行動のモデル化に関する研究 による自立度の高い高齢者の関節疾患の有訴割合

-84-

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・対象となる施設の心理的負担の算出方法 (対象の施設の心理的負担)=(腰痛疾患者の効用値)× ( 腰痛疾患者の割合 )               +(股関節痛疾患者の効用値)× ( 股関節痛疾患者の割合 )               +(膝関節痛疾患者の効用値)× ( 膝関節痛疾患者の割合 )               +(足首関節痛疾患者の効用値)× ( 足首関節痛疾患者の割合 ) ・対象となる施設の身体的負荷の算出方法 (対象の施設の身体負荷)=(腰腸肋筋の %MVC)× ( 腰痛疾患者の割合 )              +(大殿筋の %MVC)× ( 股関節痛疾患者の割合 )              +(大腿直筋の %MVC)× ( 膝関節痛疾患者の割合 )              +(前脛骨筋の %MVC)× ( 足首関節痛疾患者の割合 )

■階段および坂のデザイン

腰腸肋筋

大殿筋

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大腿直筋

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×

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非関節疾患者・健常な高齢者

腰部疾患者

股関節疾患者

膝関節疾患者

足首関節疾患者

50%

23.4%

4.8%

17.7%

4.0%

前頚骨筋

■昇降デザイン評価プログラムによる心理的負担量、身体的負荷の算出

■高齢者の身体状況の分布

心理的負担 = (X1 * 0.234) + (X2 * 0.048) + (X3 * 0.177) + (X4 * 0.040) 身体的負荷 = (Y1 * 0.234) + (Y2 * 0.048) + (Y3 * 0.177) + (Y4 * 0.040) fig.04.3.4.2 評価方法

-85-

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個々の施設の評価結果は、ファイルメーカー Pro8.5 を用いてまとめた。ここでは、その一例とデータの読み方を 以下に示す。なお、全施設の評価結果は資料編に添付した。

fig.04.3.4.3. 個々の施設の評価結果の読み方

-86-

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04-3-4-1. 昇降動作評価プログラムによる施設の身体的負荷の評価 ,-./012345978 !"!!! $

以下の table.04.3.4.1 に掲載した 24 施設 32 箇所について、昇降動作 評価プログラムを用いて身体的負荷を算出し、評価を行った。これはそ の一覧になる。なお、オレンジのラインは高齢者用運動プログラムを行っ た際の身体的負荷である。オレンジのラインと比較し、数値の近いもの

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ほど高齢者用運動プログラムを行った際と同等の身体的負荷があり、大

'

きく上回っているものは過剰な負荷がかかっている、大きく下回ってい

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るものはからだに負荷があまりかからない施設であるといえる。

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また、「各施設の身体的負荷」は、前述した

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(対象の施設の身体負荷)

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=(腰腸肋筋の %MVC)× ( 腰痛疾患者の割合 )

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+(大殿筋の %MVC)× ( 股関節痛疾患者の割合 )

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+(大腿直筋の %MVC)× ( 膝関節痛疾患者の割合 )

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+(前脛骨筋の %MVC)× ( 足首関節痛疾患者の割合 )

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から算出した関節疾患者全体の身体的負荷の合計値である。

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N o. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

建物名称

# ( +

楓・メイプルリーフ いわうちわの里 いわうちわの里 ほほえみ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 和らぎ・歓び 和らぎ・歓び 八重桜 輝き壱番館 輝き壱番館 いわきり 梨花苑 梨花苑 まんぼう ゴジカラ村 ほっとほっと アライブ―上荻の里 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 ジュリオ朝霧 シーザル 白石市営鷹巣第2住宅 白石市営鷹巣第2住宅 横浜市営住宅三ツ境ハイツ 早稲田南町コーポラス 建国ビハーラ リバティーガーデン フロイデ彦島 上井草グルッポボエンデ マナ

2F食堂 アプローチ アプローチ 茶室

物干し場 アプローチ ポーチ アプローチ 中庭 中庭 中庭 階段室 中庭 食堂 階段室 中庭 通路 アプローチ アプローチ 階段室 中庭 LSA 室 LSA 室 中庭 アプローチ アプローチ テラス 食堂 アプローチ 階段室

建物区分 グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス シルバーハウジング シルバーハウジング グループホーム シルバーハウジング ケアハウス ケアハウス ケアハウス グループホーム ケアハウス

-108-

種類 階段 スロープ スロープ 階段 階段 スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ 階段 スロープ 階段 階段 階段 階段 スロープ スロープ スロープ 階段 階段 階段 スロープ スロープ 階段 階段 階段 階段 階段 スロープ 階段

寸法 蹴上げor高さ 踏み面or距離 400 400 600 7200 600 6000 200 200 200 250 3200 31000 500 3200 500 4500 400 4500 400 9600 400 2600 165 300 700 12200 180 250 200 250 165 250 150 300 800 10000 600 6000 600 4000 150 300 150 200 120 250 450 4800 450 5600 200 300 155 250 150 250 200 250 200 400 1800 12000 140 300

手すり × × × × ○ × × × ○ × × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○

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table.04.3.4.1. 評価を行った施設 24 施設 32 箇所

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fig.04.3.4.1. 関節疾患者の各施設における身体的負荷量の推定値

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


04-3-4-2. 昇降動作評価プログラムによる施設の心理的負担の評価

各施設の心理的負担量合計(上り) -5.000

-3.000

以下の table.04.3.4.2 に掲載した 24 施設 32 箇所について、昇降動作

-1.000

1.000

3.000

-5.000

-3.000

-0.015 1 3

1.416

3 4

1.700

5 6

高く、段差やスロープが使いやすい施設であり、逆に効用値の小さい施

-3.583

0.290

6

-3.441

-0.551 8 9

-3.422

1.597

2.326

=(腰痛疾患者の効用値)× ( 腰痛疾患者の割合 )

16

1.700 2.050

+(膝関節痛疾患者の効用値)× ( 膝関節痛疾患者の割合 )

-3.164

19

-3.021

20 21

+(足首関節痛疾患者の効用値)× ( 足首関節痛疾患者の割合 )

22

1.355

25

から算出した関節疾患者全体の心理的負担量の合計値である。

26

-1.89 9 -0.36 8

4.256

23

1.247

24

2.211

25

2.034

2.512

19

-1.68 7

1.498 2.342 1.420

1.08 5

物干し場 アプローチ ポーチ アプローチ 中庭 中庭 中庭 階段室 中庭 食堂 階段室 中庭 通路 アプローチ アプローチ 階段室 中庭 LSA 室 LSA 室 中庭 アプローチ アプローチ テラス 食堂 アプローチ 階段室

グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス シルバーハウジング シルバーハウジング グループホーム シルバーハウジング ケアハウス ケアハウス ケアハウス グループホーム ケアハウス

-109-

階段 スロープ スロープ 階段 階段 スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ 階段 スロープ 階段 階段 階段 階段 スロープ スロープ スロープ 階段 階段 階段 スロープ スロープ 階段 階段 階段 階段 階段 スロープ 階段

21

0.75 1 0.43 6

24

26

0.16 0 0.16 7

0.11 8

27

0.87 5

27

1.01 1

28

0.12 6

28

0.89 4

28

29

1.11 3

0.05 0

30

-0.52 2

31

32

0.70 3

29

0.16 4

0.17 0 0.14 1 0.18 5

30

31

0.17 7

0.12 1

29

0.98 9

30

-1.17 7

31

1.14 7

32

31 32

0.80 6

30

-0.87 8

2.291

0.18 8 0.07 3

25

27

1.540

0.14 8

23

0.99 0

30

0.36 0 0.11 5

22

1.00 8

27

29

0.22 0

31

1.02 1

32

0.19 0

32

2.375

-1.500

-0.500

0.500

6

× × × × ○ × × × ○ × × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○

0.60 4

0.83 0

5

2F食堂 アプローチ アプローチ 茶室

0.18 5

0.05 0

20

1.874

table.04.3.4.2. 評価を行った施設 24 施設 32 箇所 楓・メイプルリーフ いわうちわの里 いわうちわの里 ほほえみ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 和らぎ・歓び 和らぎ・歓び 八重桜 輝き壱番館 輝き壱番館 いわきり 梨花苑 梨花苑 まんぼう ゴジカラ村 ほっとほっと アライブ―上荻の里 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 ジュリオ朝霧 シーザル 白石市営鷹巣第2住宅 白石市営鷹巣第2住宅 横浜市営住宅三ツ境ハイツ 早稲田南町コーポラス 建国ビハーラ リバティーガーデン フロイデ彦島 上井草グルッポボエンデ マナ

24

0.18 5 0.12 2

0.82 0

4

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

19

23

0.10 8

0.16 1

26

29

手すり

22

0.15 2 0.14 1

25

3

種類

0.25 7

20

0.17 2

0.10 9

0.10 1

-1.78 2

1.500

-1.000

-0.500

0.67 6

2

0.25 9 0.00 2

4

0.68 9

5

0.17 8

-0.25 1 8

8

0.91 3

9

2.10 6 0.94 5

16 17

1.32 7 0.68 9

15

0.83 2

16

0.99 6

17

1.26 2

18

0.53 6

19

21

0.69 4

21

22

0.74 0

22

24

2

0.07 4

1.01 7 0.74 8

0.31 0

4

0.63 2

6

7

7

8

8

0.46 9

9

1.41 6

11

0.39 3

0.87 1 0.91 6

13

0.70 9

14

0.09 8

0.63 2

15

0.15 1

0.76 6

16

0.21 2 0.26 5 0.20 4 0.19 2

15 16

18

0.88 3

18

0.15 0

19

20

22

0.22 0

23

24

0.24 0

24

0.12 1 0.32 4 0.36 8 0.31 3 0.12 0 0.23 0 0.36 5 0.15 7 0.26 9 0.13 2 0.12 1 0.14 1 0.16 5 0.10 2 0.08 0 0.36 0

20

0.49 8 0.68 0 0.93 7 0.33 0

21

0.11 5

22

0.12 8

23 24

0.16 8 0.10 3

25

0.71 4

25

0.15 1

0.82 6

26

0.14 9

26

0.76 0

26

0.14 0

27

0.87 3

27

0.16 6

27

0.80 4

27

0.14 7

28

0.89 4

28

0.17 4

28

0.82 3

28

29 30

0.68 9

29

0.99 6

30

-0.47 4

31 32

25

1.03 0

0.31 7

14

17

23

0.32 0 0.14 0

13

0.91 8

21

0.11 7

12

0.09 8 0.21 2

30

-1.24 8

31 32

29

0.22 5

0.63 2 0.91 8

31 32

29 30

0.500

0.30 0

10

17

19

-1.69 0

0.300

0.14 0

11

12

0.12 8

5

-0.15 5 6

9

0.19 3

0.100

2

10

-1.80 1

-0.100

-0.08 74

-0.57 5 0.50 4

-0.300

3

-1.87 0 0.26 8

-0.500

1

5

0.10 4

各施設の足首関節痛疾患者の心理的負担(下り)

2.000

26

25

1.20 2

1.000

-0.08 03 0.09 8

-0.12 0 20

20

23

-0.99 5

14

0.000

0.15 0

13

0.77 1

18 19

12

-1.000

-0.08 71

-0.14 2 11

13

15

各施設の膝関節痛疾患者の心理的負担(下り) -2.000

0.07 4

10

11

14

1.000

-0.03 66 -0.15 6 7

12

0.500

-0.0036

7

9

-1.57 0

0.000 1

10

-1.70 1

各施設の股関節痛疾患者の心理的負担(下り) 2.500

0.00 2

2

建物区分

18

0.06 9

0.36 5 0.17 7

26

1

場所

0.95 4

22

0.23 0

16

18

21

0.09 0

15

17

0.06 0

0.36 8 0.31 3

14

0.98 9

21

25

各施設の腰痛疾患者の心理的負担(下り)

建物名称

13

17

19

-1.58 4

0.98 7

0.83 7

16

0.07 2

12

0.70 3

15

0.21 7

0.94 2 0.77 9

14

0.16 4

0.16 4

10

26

-2.500

N o.

0.14 1

0.94 3

2.041

寸法 蹴上げor高さ 踏み面or距離 400 400 600 7200 600 6000 200 200 200 250 3200 31000 500 3200 500 4500 400 4500 400 9600 400 2600 165 300 700 12200 180 250 200 250 165 250 150 300 800 10000 600 6000 600 4000 150 300 150 200 120 250 450 4800 450 5600 200 300 155 250 150 250 200 250 200 400 1800 12000 140 300

13

20

0.14 0

5

11

12

0.10 3

0.14 0

4

9

1.52 2

11

0.05 0

24

0.57 5

0.500

0.06 4

26

25

2.384

9

0.34 5

23

0.63 1

24

28

2.535

1.13 4

23

2.201

32

0.85 7

22

1.665

28

-2.337

0.57 7

0.70 3

10

0.08 0

19

-0.25 2

21

28

31

0.41 9

20

0.01 9

8

0.14 5

18

3

0.300

0.14 0

2

8

-1.69 4

17

1.37 9

0.38 1

7

0.37 2

16

1.11 3

18

1.991

2.451

0.94 9

0.100

7

0.13 6

14 15

-0.100

6

-0.46 9

13

0.80 6

17

27

1.700

1.44 4

-0.300

-0.08 46 -1.76 3

12

0.88 8

-0.500

1

5

11

1.06 2

16

2.291

4

10

-0.27 4

各施設の足首関節痛疾患者の心理的負担(上り)

2.000

0.01 9

2

0.05 0

9

1.98 9

1.000

-0.19 9 3

7

0.79 6

15

1.891

0.000

0.10 2

-0.02 8

8

2.151

30

-0.28 8

14

1.540

-1.000

-0.08 4 6

13

2.905

0.970

5

0.29 5

12

1.740

各施設の膝関節痛疾患者の心理的負担(上り) -2.000

-0.05 84

11

2.166

1.000

1

2

10

-1.81 8

0.500

-0.0032

0.80 6

9

1.770

0.000

0.93 6

7

27

29

-2.357

22

2.501

23 24

6

0.310

20 21

1.825

-0.500

0.79 3

5

1.540

18

0.798

-1.000

-0.11 54

0.128

17

2.672

18 19

16

2.451

17

+(股関節痛疾患者の効用値)× ( 股関節痛疾患者の割合 )

15

各施設の股関節痛疾患者の心理的負担(上り) 2.000

-0.05 81

2

11

14

1.000

3

13

1.900

0.000

1.436

12

2.885

13

15

-1.000

0.493

10

-3.279

12

(対象の施設の心理的負担)

-2.000

-0.11 51

7

9

4.113

11

14

5.000

-0.409 8

10

また、「各施設の心理的負担量合計」は、前述した

3.000

0.128

5

7

設ほど評価が低く、段差やスロープが使いづらい施設であるといえる。

1.000

2

0.799

-0.015 4

の一覧になる。効用値が大きい施設ほど各関節疾患者からみて、評価が

-1.000 1

2

評価プログラムを用いて心理的負担を算出し、評価を行った。これはそ

各施設の腰痛疾患者の心理的負担(上り)

各施設の心理的負担量合計(下り) 5.000

0.15 0 0.12 1 0.16 5 0.38 0

31

0.95 0

32

0.17 0

fig.04.3.4.2. 関節疾患者の各施設における心理的負担量の推定値

早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


:¿BCD/01234EFG23H/IJKLM5678

:¿BCD/01234EFG23H/IJKLM5978 )!"!º

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04-3-4-3. 昇降動作評価プログラムによる施設の身体的負荷と心理的負担のプロット図

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&"de/fgchijklmjXnWj ocp $&"VWXP #*"YZ[\]^]_` $+"STU ##"}ìYîèï #'"Ø∞±¶] $#"NOi7 $%"aÅEaÅE #)"°¢öõü†£§•¶É§ (#"∫ª (!"≤JÉ_≥¥ $)"|}~ Ä #("ñ]óâ #%"ß®©™´¨]≠ Æ

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$'"Ç ÉÑÖ6Ü/R #&"òôöõúùû#ü†

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トしたものになる。x 軸に心理的負担量、y 軸に身体的負荷の軸をとる。

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$&"VWXP ##"}ìYîèï $+"STU #)"°¢öõü†£§•¶É§ $)"|}~ Ä #'"Ø∞±¶] #%"ß®©™´¨]≠ Æ $#"NOi7 $%"aÅEaÅE (!"≤JÉ_≥¥ #("ñ]óâ (#"∫ª

評価プログラムから算出した身体的負荷と心理的負担量の数値をプロッ #("!º

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価が高く使いやすい、左に行くほど評価が低く使いづらいと感じる箇所

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であるといえる。  また、グラフの上に行くほど身体的負荷が大きく、下に行くほど身体

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なお、プロット図の中の青い点は、グループホーム、オレンジの点は、

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#"NOPQO/R

的負荷が小さい施設である。 ケアハウス、ピンクの点はシルバーハウジングを指す。

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#"NOPQO/R

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グラフの右に行ほど、心理的負担量が大きく各関節疾患者にとって評

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以下の table.04.3.4.3 に掲載した 24 施設 32 箇所について、昇降動作

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N o. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

建物名称 楓・メイプルリーフ いわうちわの里 いわうちわの里 ほほえみ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 万寿の森:みずき・さくら・ぼたん・もみじ 和らぎ・歓び 和らぎ・歓び 八重桜 輝き壱番館 輝き壱番館 いわきり 梨花苑 梨花苑 まんぼう ゴジカラ村 ほっとほっと アライブ―上荻の里 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 サンヒルズヴィラ・アキーノ桜坂・朝陽ヶ丘 ジュリオ朝霧 シーザル 白石市営鷹巣第2住宅 白石市営鷹巣第2住宅 横浜市営住宅三ツ境ハイツ 早稲田南町コーポラス 建国ビハーラ リバティーガーデン フロイデ彦島 上井草グルッポボエンデ マナ

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場所 2F食堂 アプローチ アプローチ 茶室

物干し場 アプローチ ポーチ アプローチ 中庭 中庭 中庭 階段室 中庭 食堂 階段室 中庭 通路 アプローチ アプローチ 階段室 中庭 LSA 室 LSA 室 中庭 アプローチ アプローチ テラス 食堂 アプローチ 階段室

建物区分 グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム グループホーム ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス ケアハウス シルバーハウジング シルバーハウジング グループホーム シルバーハウジング ケアハウス ケアハウス ケアハウス グループホーム ケアハウス

種類 階段 スロープ スロープ 階段 階段 スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ スロープ 階段 スロープ 階段 階段 階段 階段 スロープ スロープ スロープ 階段 階段 階段 スロープ スロープ 階段 階段 階段 階段 階段 スロープ 階段

寸法 蹴上げor高さ 踏み面or距離 400 400 600 7200 600 6000 200 200 200 250 3200 31000 500 3200 500 4500 400 4500 400 9600 400 2600 165 300 700 12200 180 250 200 250 165 250 150 300 800 10000 600 6000 600 4000 150 300 150 200 120 250 450 4800 450 5600 200 300 155 250 150 250 200 250 200 400 1800 12000 140 300

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fig.04.3.4.3. 関節疾患者の各施設における身体的負荷量と心理的負担量のプロット図 -110-

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04-3-5. 昇降デザイン評価プログラムを用いた建築評価の結果  昇降動作評価プログラムを用いて 24 施設 32 箇所に関して、身体的負荷及び心理的負担の評価を行った。  ・上るという動作に関して、心理的負担と身体的負荷は負の比例関係にあることがわかる。すなわち、身体的負 荷が大きくなるほど心理的負担は小さくなり、関節疾患者からみた評価が下がる。身体的負荷が小さくなるほど心 理的負担が大きくなるので、関節疾患者の評価が上がることが分かる。足首関節痛疾患者に関しては、今回は被験 者の数が少なかったため、断定することが難しいが、心理的負担と身体的負荷の関係は相関があまりみられない。従っ て、足首関節痛疾患者のためには、段差やスロープといったデザインは慎重に考える必要がある。  ・下るという動作に関しては、心理的負担と身体的負荷は正の比例関係にあることが分かる。すなわち、身体的 負荷が大きくなるほど心理的負担が大きくなり、関節疾患者の評価が上がる。しかし、膝関節痛疾患者に関してみ ると、下る動作は負の比例関係にある。膝関節疾患者にとっては、階段や坂を下る行為は負担に感じることから、 負荷が小さいものほど評価が高くなる。  ・スロープの方が、階段に比べると全体的に身体的負荷は小さいが、必ずしもスロープの方が心理的負担が大き い訳ではなく、場合によっては、階段のほうが使いやすい場合もある。従って、階段や坂のデザインは利用者の身 体状況を把握した上で、きめ細やかな設計を行うことが望まれる。  ・同じデザインをもった階段やスロープでも、疾患の部位によって過剰な負荷がかかっている場合もあれば、あ まり負荷が大きくない場合もある。また、必ずしも身体的負荷と心理的負担は一致するものではない。  ・今回は、比較的自立度の高い高齢者を入居対象としているケアハウス、グループホーム、高齢者向け優良賃貸 住宅などを評価対象としたが、本研究から得られた昇降動作評価プログラムを用いることで、高齢者や関節疾患者 が多く利用するような、より多様な居住者が暮らす際にも評価を行うことが出来る。

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05 考察・まとめ


05-1. 考察  バリアフリーとは、建築用語で「バリア(障壁)」を「フリー(除く)」つまり、障壁となるものを取り除き、生 活しやすくすることを意味する。建物内の段差など、物理的な障壁の除去と言う意味合いで用いられる。そのため、 高齢者や障害者といった社会的弱者のために設計された施設は、段差を解消し、スロープを設置することが望まし いとされている。  特別養護老人ホームのような寝たきりで、車いすで生活することが中心であるような高齢者が対象となる施設で は、介護者の負担を軽減する意味でも有効である。しかし、ある程度自立して生活することが出来るような高齢者 に対しては、スロープはかえって日常生活で必要とされる筋力を使う機会を失ってしまうため、様々な疾患を引き 起こすリスクを生じる一因となってしまうともいえる。これまでの建築工学、バリアフリー工学でみられる設計手 法は必ずしも十分ではないことが分かる。  また、ある施設に階段やスロープのような昇降動作を伴う設備が一つしか設置されていない場合、疾患を有する 一部の高齢者には、その建築設備は使いづらいものになってしまい、健常な高齢者がいる場合、運動効果が得られ ないために QOL を低下させてしまう可能性がある。更に、加齢に伴い、施設の利用者全体の身体能力が落ちてきた 場合に対応できなくなる可能性もある。従って、健康状態が多岐にわたる高齢者が暮らす住環境を設計するには様々 な設備を準備する必要がある。  これはこれまでのバリアフリーなどでみられるあらかじめ利用者の身体が衰えたときのことを考慮して車いす対 応の住環境を設計するものとは異なるものである。  本研究においては、高齢期に最も顕著にみられる疾患である関節疾患と、関節に疾患を有する人が住宅内で痛み が伴うために最も動作が困難となる昇降動作に限定した。  今後は不特定多数の居住者が利用するような施設を設計する際には、施設内の様々な場面において、そこを利用 する人の個別の疾患を細かく把握し、また、その疾患を有する高齢者の身体状況が変化してきたときでも対応でき る多様な空間を設計する必要がある。

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05-2. 展望  本研究の結果から、関節疾患者が階段及びスロープを利用する際にどのような要素を重要視し、選択をおこなっ ているかを定量化し、また関節疾患者が階段及びスロープを利用する際に身体にどれくらいの負荷を受けているか を明らかにすることが出来た。そして、そのデータを元に、実際の施設にある階段やスロープを利用する際の評価 を行うモデルを作成した。  今回は、高齢期に最も顕著にみられる疾患である関節疾患に着目した。また、関節疾患者が日常生活の中で痛み のために動作が困難となるものとして挙げているものの中で、最も有訴の多かった階段及びスロープの昇降動作に ついて評価を行った。ただし、高齢期の疾患、身体状況は多様であるため、関節疾患に限らず、多岐にわたる疾患 が高齢者の健康状態を脅かしている。建築内で起こる様々な動作に関して評価を行っていく必要がある。  今後は、幅広く高齢者の疾患を捉え、より多くの動作解析データを収集、デザインの評価を行い、個人の身体状況、 疾患にあわせた建築デザインを考える必要がある。

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06 おわりに


謝辞  あっという間の大学院生活でした。特に 2 年の後期から僕のまわりでいろいろなことがあり、環境がガラっと変 わってしまって、自分でもうまく気持ちの整理をつけられないまま、最後の追い込みに突入してしまったので、い まだに気持ちが宙ぶらりんなままであります。  そんな中で取り組んだこの論文。執筆するにあたって色々な想いがこみ上げ、とても感慨深いものがあります。 中でも研究員である長澤さんに言われたことが特に印象に残っております。 「あなたがここまで来るのにどれだけの人がかかわってきて、どれだけ協力してくれたのかをよく考えなさい」  こんなどうしようもない僕でしたが、多くの人に支えられ、協力してもらい、助けてもらい、甘えさせてもらっ た結果、こうしてひとつの研究を、学生生活の集大成をまとめることが出来ました。どこから手をつければいいか 分からないくらい色々な人にお世話になったし、感謝してもしきれません。  年末のクソ忙しい中、無理を言って被験者になってくれた松島君、こう君、木原君、大塚君、ハブ君、平居さん、 阿部君、池内君。ありがとうございました。寒い中、恥をしのんで真冬に海パンでドライエリアをうろちょろさせ て申し訳なかったです。  阿部君、大塚君、平居さんはプライベートでも楽しい時間をありがとう。これから渡辺研究室を盛り上げていっ てください。  毎回毎回突然のアポ、訪問にもかかわらず、気さくに対応してくれた嫁こと近藤君。おかげでなんとかなったく さいよ。ありがとうございます。  入江研の中川さん。タイトルの英語翻訳ありがとうございました!  めんどくさいアンケートに協力していただいた藤原牧師、山本広大さんをはじめとした恵約宣教教会のみなさま。 自分のおばあさんにまでコンジョイントを取りに行ってくれた幸敏さん。無理を言って勤めている施設で高齢者の 方にアンケートを配布して下さった半田祥子さん。同じくアンケートを集めるのに、会社や親戚中を駆け回ってく れた家族、親戚一同のみなさま。愛知銀行昭和橋支店のみなさま。おかげさまで有益なデータを回収することが出 来ました。  はるかへ。ここまで来るのにいっぱい寂しい想いをさせてしまいましたね。ごめんね。僕のわがままはいっぱい 聞いてもらってるその上に、僕がつらいとき、苦しいとき、一番励ましてくれ、勇気づけてくれたのがあなたです。 本当にありがとう。そして調査に協力してくれた玉造の仲田家のみなさま、ありがとうございました。  そして、健康空間ゼミのみなさんへ。  木原君。あなたには終始いろんなことでお世話になりました。まったくもってどっちが修士でどっちが卒論生な んだか分からなかったですwwwここまで、なんとかかたちにできた一番の功労者はあなただと思います。ありが とうございました。今後は渡辺研究室の柱になってがんヴぁっていってください。  松島君。夜遅くに呼び出してしまったり、ちょいちょいめんどくさいことを言ってしまって申し訳なかったです。 何よりあなたが渡辺研究室に来てくれたことがとてもうれしいです。とても癒されました。ありがとう!

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こう君。あなたがいてくれたおかげで楽しい大学院生活になりました。一時期、きつくあたってしまったことも ありましたが、本当に申し訳なかったです。これからも個人的に色々と遊びに行けたらと思います。ありがとう! もうゴールしてもいいよね?  佐古君。やっぱりいざというときに最後に一番頼れる男はあなたでした。研究だけのことに係らず、いろんなと ころで相談に乗ってくれたり、グチをきいてくれてありがとう。  同じ M2 の簾藤さん。3 年間本当にお世話になりました。最後に一緒に健康住宅の設計が出来たことが今では、 いい思い出です。またどこかで機会があれば、一緒にプロジェクトに取り組むことが出来たらいいですね。木原君 も言っていましたが、あなたは僕のよいリモコンでしたwwwうはwwwwwwwwww同じく日下部さん。特に 生活面、というかプライベート面で一番相談にのってもらったのが日下部さんかもしれません。今の僕があるのは、 日下部さんのおかげです。あのこととか、一番初めに相談に乗ってもらいましたしねwありがとうございました。  城戸さん、小沼さん、菊池くんもありがとう。僕が素直になれなかったばっかりに、あまり話す機会とかもなかっ たけれど、いざ話してみると、みんなとってもいい人たちでした。あまり時間が共有できなかったことが今は悔や まれてなりません。みんなのおかげで論文執筆も辛くは感じませんでした。ありがとう。みんなこれから社会に出 てがんヴぁっていってね。  長澤さん。この 3 年間どっぷり甘えさせてもらいました。が、ゆえに色々と期待に添えない部分もあり、申し訳 ありませんでした。方向性はちょっとズレるかも知れませんが、僕はどうも長澤さんと同じ研究者としての道を歩 むことになりそうです。そんな研究者としてのあり方、生き方を学ばせていただきました。これからがんばって生 きたいと思います。大変お世話になりました。  私に研究する時間、環境を与えてくれ、様々なプロジェクトに携わらせていただき、3 年もの間、ご指導ご鞭撻 していただき、更に私のこれからの人生まで考えるきっかけを与えてくれた渡辺先生には感謝しても感謝しきれま せん。  みなさんのおかげでここに一つの研究をまとめることができました。そして今まで僕を支えてくれたすべてのも のに多謝!!本当にありがとうございました!!!!

最後に、私の学生生活を陰ながら支えてくれ、昨年の 9 月に他界した祖母かず子にこの研究を捧げます。

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参考文献リスト ■卒論・修論関係 ○遠田敦:収納動作により生じる健康リスク緩和のための設計評価手法に関する研究 , 修士論文,2004 ○永池俊也:筋力低下を予防する住空間のデザイン―日常生活動作時の腰部周りの筋活動量計測 , 修士論文,2005 ○川島佑介:コンジョイント分析を用いた腰部疾患者の経路選択要因に関する研究 , 修士論文,2005 ○長澤夏子:腰部負担からみた加齢対応住宅の設計計画に関する研究 , 学位論文,2006 ○松井香代子:腰部負荷と筋活動からみた調理空間の研究,修士論文,2006 ○伊藤あかね:要介護高齢者の日常生活行動のモデル化に関する研究,修士論文,2001 ○簾藤麻木 : ベッド周り空間の違いによる介護移乗動作と腰部負荷 , 卒業論文 , 2005 ○大河内重敬:高齢者の筋力維持を目的とした日常生活における動作の負荷に関する研究―高齢者用運動プログラ  ムと生活動作の腰部負荷の比較―,卒業論文,2005 ■介護予防・介護保険制度関連 ○松田晋哉:介護予防事業を促進させる立場から ( 地域リハビリテーションの実践と課題 : 法制度改革による今後の  展望とリハビリテーション医の役割 , 第 43 回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 ),リハビリテーション医  学,Vol.44, No.4 pp. 215-220,2007 ○『健康長寿ネット』:http://www.tyojyu.or.jp/hp/menu000000100/hpg000000002.htm ○特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク「みんなで育てる介護保険」Vol.21 ■高齢者用運動プログラム関連 ○米国国立老化研究所・総合研究所運動機能部門 :高齢者の運動ハンドブック,大修館書店,2002 ○『高齢者の転倒予防を目指す運動プログラム』:http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/EPID/tentouWeb/mokuji.htm ■関節疾患関連 ○坂巻豊教:変形性股関節症,からだの科学 240,p.37 41,2004 ○富士川恭輔:変形性膝関節症,からだの科学 240,p.42 47,2004 ○池添冬芽:高齢者の体力づくり,京都大学医学部保健学科紀要健康科学,第 1 巻,p.39-45,2004 ○青木務:高齢者と階段に関する研究―デンマークやスウェーデンの高齢者施設を視察して―,神戸大学大学院人  間発達環境学研究科 研究紀要第 1 巻第 1 号,p.163-168,2007 ■高齢者の居住環境関連 ○デル・ウェッブ社 (Del Webb) 公式サイト:http://www.delwebb.com/Default.aspx ○ Suncity 概要写真:http://www.palmspringslife.com/media/Palm-Springs-Life/October-2006/Luxe-Living/Sun-   City-Shadow-Hills-By-Del-Webb/index.php ○野村祥平:クリスチャン・プロフェッショナル・リタイアメント・コミュニティにおけるライフスタイル,ルー  テル学院研究紀要,Vol.40,pp. 121-129,2007 ○村田裕之:「第四の縁」がシニアの街作りを促す―日本におけるリタイメントコミュニティの今後―,スマートシ  ニア・ビジネス・レビュー,Vol.7,2001 ○ 60 代をどのような住居で過ごしますか:http://www.eusekkei.co.jp/public_html/dokuhon/issue_9/60.html ○ラッセル・ビレッジ (Lasell Village) 公式サイト:http://www.lasellvillage.com/

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■筋電計測関連 ○木山良二,大重匡,前田哲男,佐々木順一,森本典夫,安楽満男:勾配歩行の歩行解析―下り勾配のトレッドミ  ルを用いて―,理学療法学 第 29 巻第 6 号,pp.185 pp.191,2002 ○川初清典: 高齢者の健康づくりに効果的な住居内階段の仕様について―骨粗鬆症予防を中心にして―,住宅総合  研究財団 No.23,p.217 p.226,1996 ■エネルギー代謝関連 ○勝浦哲夫,栃原裕,佐藤陽彦,神山真太郎:人間工学基準数値数式便覧,p.204,1992 ○宇野英隆,古瀬敏:住宅階段利用時のエネルギー負荷に関する検討,日本建築学会論文報告集 第 345 号,    p.115 p.121,1984 ○塩野谷明,中村和男,長谷川光彦,三宅仁:住居を利用した有酸素性運動およびトレーニングのための基礎的研究,  長岡技術科学大学研究報告 第 20 号,p.119 128,1998 ○佐藤栄治,吉川徹,山田あすか:地形による負荷と年齢による身体能力の変化を勘案した歩行換算距離の検討―  地形条件と高齢化を勘案した地域施設配置モデル その 1 ―,日本建築学会計画系論文集 第 610 号,p.133 139,  2006 ■関節モーメント関連 ○勝平純司,山本澄子,関川伸哉,丸山仁史:階段及びスロープ昇降時の腰部モーメント分析,人間工学 Vol.39,  No.5,p.232 p.240,2003 ○勝平純司,山本澄子,関川伸哉,丸山仁史,長澤夏子,渡辺仁史:階段の形状と手すりの使用が階段昇降時の腰部モー  メントに及ぼす影響,バイオメカニズム学会誌 Vol.29,No.2,p.95 p.103,2005 ○苅谷健司,横山裕:段差昇降動作に関わる改修メニューの評価と加齢の影響 介護予防を目的とした住環境整備  の評価手法に関する研究 その 3,日本建築学会構造系論文集 第 612 号,p.23 p.30,2007 ■リハビリ関連 ○池添冬芽,浅川康吉,島浩人:3 年間の筋力トレーニングが高齢者の体力および移動動作能力に及ぼす影響,京  都大学医学部保健学科紀要 健康科学 第 3 巻,p.1 p.5,2006 ■ SPSS、コンジョイント分析関連 ○真城知己:SPSS によるコンジョイント分析―教育・心理・福祉分野での活用法,東京図書,2003 ○盧志和,石村貞夫:建築デザイン・福祉心理のための SPSS による統計処理,東京図書,2005 ○リアルタイム・リテール:http://premium.nikkeibp.co.jp/retail/keyword/72.shtml ○ Flash+CBC コンジョイントデザイン画像評価デモ:http://m-te.com/flashconjo/ ■設計関連資料 ○社団法人 日本建築学会:建築設計資料集成―人間,丸善株式会社,2003 ○建築思潮研究所・編:高齢者のグループホーム―痴呆性を和らげる住まい,2003 ○建築思潮研究所・編:ケアハウス・有料老人ホーム,2004

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07 資料編


介護保険制度で受けられるサービス

財団法人 長寿科学振興財団が運営する『健康長寿ネット』http://www.tyojyu.or.jp/hp/menu000000100/hpg000000002.htm 及び、特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク「みんなで育てる介護保険」Vol.21 によれば、改訂後の介護保険制度では、以下のサービスが受けられるとされている。 ○介護予防居宅療養管理指導  介護予防居宅療養管理指導は、通院できない要支援 1 又は要支援 2 と認定された高齢者に対して、介護予防を目的として、医師、歯 科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士等によって療養上の管理及び指導を行う。 (1) 医師及び歯科医師によって行われる介護予防居宅療養管理指導では、訪問診療又は訪問歯科診療の際に、医学的管理又は歯科医学的 管理に基づき、ケアマネジャーなど、利用者の介護に関わる者に対してケアプランを作成するために必要な利用者の状況の情報提供を行 うとともに、利用者やその家族に対して介護保険で給付されるサービスを利用する上での留意点、介護方法等についての指導、助言を行う。 (2) 薬剤師によって行われる介護予防居宅療養管理指導では、医師又は歯科医師の指示に基づき、薬学的管理として薬剤の服薬指導や助 言等が行われる。 (3) 管理栄養士によって行われる介護予防居宅療養管理指導では、医師の指示に基づき、摂食・嚥下機能(えんげ:物を飲み下すこと) や食形態にも配慮した栄養ケア計画に従って栄養管理を行い、栄養管理に関する情報提供、指導、助言が行われる。 (4) 歯科衛生士等によって行われる介護予防居宅療養管理指導では、利用者の自宅で訪問歯科診療を行った歯科医師の指示に基づいて、 自宅を訪問して、口腔内の清掃、入れ歯の手入れ、摂食・嚥下機能に関する実地指導が行われる。 ●自己負担 (1 割 ) の目安  医師・歯科医師の場合(月 2 回まで) 500 円  医療機関の薬剤師の場合(月 2 回まで) 550 円  薬局の薬剤師の場合(月 4 回まで) 500 円(1 回目)300 円(2 回目∼ 4 回目)  歯科衛生士などの場合(月 4 回目) 350 円 ○介護予防訪問介護  「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善の可能性が高い」として、要支援 1 又は要支援 2 と認定された方を対 象とする介護予防訪問介護では、本人が自分で行うのが困難な掃除、買い物、洗濯、調理等の家事について、家族や地域による支え合い や他の福祉施策等の代替サービスが利用できない場合に提供される。ホームヘルパーが訪問し、以前はしていたものの、今はしていない 家事を、ホームヘルパーが手伝いをすることにより、また「したい」という意欲をもってもらいながら、サービス利用者が自分でできる ことを増やすことによって、自立した日常生活を送れるように支援する介護サービスである。  平成 18 年度から市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に依 頼される場合がある。)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。 ●自己負担(1 割)の目安(1 ヶ月)  週 1 回程度の利用 1234 円  週 2 回程度の利用 2468 円 ※上記を超える利用の場合は、要支援 2 のみ 4010 円 ○介護予防訪問看護 介護予防訪問看護とは、要支援者を対象として訪問看護ステーションや病院・診療所から、保健師、看護師、准看護師が生活の場であ る家庭に出向いていって介護予防を目的とした療養上のお世話や診療の補助を行う。看護師等は、要支援者の心身の特性を踏まえて、日 常生活全般にわたる支援を図るとともに、生活の質の確保を重視した在宅医療が継続できるように支援を行う。  具体的には、 (1) 病状・障害の観察 (2) 清拭・洗髪等による清潔の保持 (3) 食事及び排泄等日常生活の世話 (4) 褥瘡の予防・処置

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(5) リハビリテーション (6) ターミナルケア (7) 認知症患者の看護 (8) 療養生活や介護方法の指導 (9) カテーテル等の管理 (10) その他医師の指示による医療処置 を行う。  このサービスの対象者は、「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善の可能性が高い」方として、要支援 1 又は 要支援 2 と認定された人である。平成 18 年度から市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成につ いては指定居宅支援事業者に依頼される場合がある。)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。 ●自己負担 (1 割 ) の目安 ・病院・診療所から  20 分未満 230 円  30 分未満 343 円  30 分∼ 1 時間未満 550 円 ・訪問看護ステーションから  20 分未満 285 円  30 分未満 425 円  30 分∼ 1 時間未満 830 円 ※早朝または夜間(午後 6 ∼ 10 時)は 25% 加算。深夜は 50% 加算 ○介護予防通所介護(デイサービス)  介護予防通所介護は、介護予防を目的として、デイサービスセンター等の施設で入浴、排泄、食事等の介護等の日常生活の支援等を利 用できるサービスである。このサービスを利用することができるのは、「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の維持もしくは改善 の可能性が高い」として、要支援 1 又は要支援 2 と認定された者とする。  平成 18 年度から市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に依 頼される場合がある)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。  介護予防通所介護(デイサービス)では、日常生活上の支援、生活行為を向上させるための「共通的サービス」に加えて、 「選択的サー ビス」を利用することができる。選択的サービスには、「運動器の機能向上」、「栄養改善」、「口腔機能の向上」がある。「運動器の機能向 上」は、理学療法士等を中心に経験のある介護職員等が運動器の機能向上を目的とする機能訓練を行う。「栄養改善」は、低栄養状態や そのおそれのある利用者に管理栄養士等が食事相談等の栄養管理を行う。「口腔機能の向上」は、言語聴覚士または歯科衛生士が口腔清 掃や嚥下機能(えんげ:物を飲み下すこと)に関する訓練の指導・実施する。介護予防通所介護では、いずれの選択的サービスも利用し ない方のために「アクティビティ」を選択することができる。「アクティビティ」では、集団的に行われるレクリエーション、創作活動 等が行われる。 ●自己負担(1 割)の目安(1 ヶ月) 要支援 1 2226 円 要支援 2 4353 円 ※利用するメニューによって別に費用が加算される。(運動機能向上 225 円 / 月、口腔機能向上 100 円 / 月、栄養改善 100 円 / 月) ○介護予防通所リハビリテーション(デイケア)  介護予防通所リハビリテーションは、介護予防を目的として、介護老人保健施設、病院、診療所で理学療法、作業療法等のリハビリテー ションを中心に利用できるサービスである。このサービスを利用することができるのは、「日常生活上の基本動作がほぼ自立し、状態の 維持もしくは改善の可能性の高い」方として、要支援 1 又は要支援2と認定された人である。平成 18 年度から市町村が設置する地域包 括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に依頼される場合がある)に基づき、利用者一人 ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。

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介護予防通所リハビリテーションでは、日常生活上の支援、生活行為を向上させるための「共通的サービス」に加えて、 「選択的サービス」 を利用することができる。選択的サービスには、 「運動器の機能向上」、 「栄養改善」、 「口腔機能の向上」がある。「運動器の機能向上」は、 理学療法士等を中心に経験のある介護職員等が運動器の機能向上を目的とする機能訓練を行う。「栄養改善」は、低栄養状態やそのおそ れのある利用者に管理栄養士等が食事相談等の栄養管理を行う。「口腔機能の向上」は、言語聴覚士または歯科衛生士が口腔清掃や嚥下 機能(えんげ:物を飲み下すこと)に関する訓練の指導・実施する。 ●自己負担(1 割)の目安(1 ヶ月) 要支援 1 2496 円 要支援 2 4880 円 ※利用するメニューによって別に費用が加算される。(運動機能向上 225 円 / 月、口腔機能向上 100 円 / 月、栄養改善 100 円 / 月) ○介護予防短期入所生活介護  介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)等に短期間入所して、介護予防を目的として、要支援者の心身の特性を踏まえて、その居宅 において有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排泄、食事等の介護、機能訓練が提供され、これによって、 利用者の心身機能の維持・改善や利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものである。  平成 18 年度から市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に依 託される場合がある)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。  居室は、通常の個室、定員 2 人以上の相部屋(多床室)、それに居間など、共有スペースを併設したユニット型個室等がある。それぞ れ自己負担額が異なる。 ●自己負担(1 割)の目安 (1 日 ) ・従来型個室 要支援 1 450 円 要支援 2 563 円 ・多床室 要支援 1 500 円 要支援 2 619 円 ・ユニット型、準ユニット型 要支援 1 526 円 要支援 2 657 円 ※費用は施設の種類やサービスに応じて異なる。 ※連続した利用が 30 日を超えた場合、31 日からは全額自己負担となる。 ○介護予防短期入所療養介護  介護予防短期入所療養介護は、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等に短期間入所して、介護予防を目的として、入浴、排せつ、 食事等の介護、機能訓練、看護が提供され、これによって、利用者の心身機能の維持・改善や利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽 減を図るものである。  平成 18 年度から市町村が設置する地域包括支援センターが作成したケアプラン(その原案の作成については指定居宅支援事業者に依 託される場合がある)に基づき、利用者一人ひとりの自立支援に役立つサービスが提供される。 ●自己負担(1 割)の目安 (1 日 ) ・従来型個室 要支援 1 558 円 要支援 2 698 円場合もある。この場合は、ケアマネジャーを通じて個別に介護保険による在宅サービスを利用することとなる。入居は 有料老人ホームに直接申し込む。サービスの詳細等についてもその施設にお問い合わせる必要がある。 ●自己負担(1 割)の目安 (1 日 ) 要支援 1 214 円 要支援 2 494 円

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・多床室 要支援 1 617 円 要支援 2 771 円 ・ユニット型、準ユニット型 要支援 1 624 円 要支援 2 780 円 ※費用は施設の種類やサービスに応じて異なる。 ※連続した利用が 30 日を超えた場合、31 日からは全額自己負担となる。

○介護予防特定施設入居者生活介護  介護保険制度において、要支援者を対象とする介護予防特定施設入居者生活介護は、有料老人ホーム等であって、人員、施設、設備、 施設運用が一定の基準を満たしているとして都道府県の指定を受けている施設に入居して、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、看 護等のサービスを利用した場合に、介護保険から給付されるサービスである。居室は原則として個室とし、機能訓練室が設けられている。  有料老人ホームであっても、介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合もある。この場合は、ケアマネジャーを通じ て個別に介護保険による在宅サービスを利用することとなる。入居は有料老人ホームに直接申し込む。サービスの詳細等についてもその 施設にお問い合わせる必要がある。 ●自己負担(1 割)の目安 (1 日 ) 要支援 1 214 円 要支援 2 494 円

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昇降デザイン評価プログラムコード (VBA) Public bui Public tesuri Public age Sub フォーム () UserForm1.Show End Sub Private Sub CheckBox1_Click() If UserForm1.CheckBox1 = True Then ElseIf UserForm1.CheckBox1 = False Then End If End Sub Private Sub CommandButton1_Click() Worksheets(" 一覧表 ").Cells(2, 3).Value = TextBox1.Value Worksheets(" 一覧表 ").Cells(2, 5).Value = TextBox2.Value Worksheets(" 一覧表 ").Cells(2, 8).Value = TextBox4.Value Worksheets(" 一覧表 ").Cells(2, 10).Value = TextBox3.Value Call behave03 End Sub Private Sub MultiPage1_Change() End Sub Private Sub OptionButton1_Click() If UserForm1.OptionButton1 = True Then age = 0 ElseIf UserForm1.OptionButton1 = False Then age = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton2_Click() If UserForm1.OptionButton2 = True Then age = 1 ElseIf UserForm1.OptionButton2 = False Then age = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton3_Click() If UserForm1.OptionButton3 = True Then age = 2 ElseIf UserForm1.OptionButton3 = False Then age = 0 End If End Sub 早稲田大学渡辺仁史研究室 2007 年度修士論文 Hitoshi Watanabe Lab,Master Thesis 2007


Private Sub OptionButton4_Click() If UserForm1.OptionButton4 = True Then bui = 0 ElseIf UserForm1.OptionButton4 = False Then bui = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton5_Click() If UserForm1.OptionButton5 = True Then bui = 1 UserForm1.Label10.Visible = True UserForm1.Label11.Visible = False UserForm1.Label12.Visible = False UserForm1.Label13.Visible = False End If If UserForm1.OptionButton5 = False Then bui = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton6_Click() If UserForm1.OptionButton6 = True Then bui = 2 UserForm1.Label11.Visible = True UserForm1.Label10.Visible = False UserForm1.Label12.Visible = False UserForm1.Label13.Visible = False End If If UserForm1.OptionButton6 = False Then bui = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton7_Click() If UserForm1.OptionButton7 = True Then bui = 3 UserForm1.Label12.Visible = True UserForm1.Label10.Visible = False UserForm1.Label11.Visible = False UserForm1.Label13.Visible = False End If If UserForm1.OptionButton7 = False Then bui = 0 End If End Sub Private Sub OptionButton8_Click() If UserForm1.OptionButton8 = True Then bui = 4 UserForm1.Label13.Visible = True

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UserForm1.Label10.Visible = False UserForm1.Label11.Visible = False UserForm1.Label12.Visible = False End If If UserForm1.OptionButton8 = False Then bui = 0 End If End Sub Private Sub TextBox1_Change() Dim atai If Me.TextBox1 = "" Then Exit Sub ' 空の場合の MSGBOX 表示しないため atai = Me.TextBox1 ' 入力文字の取得 atai = IsNumeric(atai) ' 数字判定 If atai = False Then MsgBox " 数字では有りません。" Me.TextBox1 = "" Me.TextBox1.SetFocus End If End Sub Private Sub TextBox2_Change() Dim atai If Me.TextBox2 = "" Then Exit Sub ' 空の場合の MSGBOX 表示しないため atai = Me.TextBox2 ' 入力文字の取得 atai = IsNumeric(atai) ' 数字判定 If atai = False Then MsgBox " 数字では有りません。" Me.TextBox2 = "" Me.TextBox2.SetFocus End If End Sub Private Sub TextBox3_Change() Dim atai If Me.TextBox3 = "" Then Exit Sub ' 空の場合の MSGBOX 表示しないため atai = Me.TextBox3 ' 入力文字の取得 atai = IsNumeric(atai) ' 数字判定 If atai = False Then MsgBox " 数字では有りません。" Me.TextBox3 = "" Me.TextBox3.SetFocus End If End Sub

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Private Sub TextBox4_Change() Dim atai If Me.TextBox4 = "" Then Exit Sub ' 空の場合の MSGBOX 表示しないため atai = Me.TextBox4 ' 入力文字の取得 atai = IsNumeric(atai) ' 数字判定 If atai = False Then MsgBox " 数字では有りません。" Me.TextBox4 = "" Me.TextBox4.SetFocus End If End Sub Sub behave03() Dim x Dim y y = 4 + (bui * 2) x = (age * 4) + 11 If UserForm1.CheckBox1 = True Then ' 筋電位 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, 6).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("E8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, 7).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("F8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 450 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, x).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("G8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, x + 1).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("H8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 900 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, x + 2).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("I8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 13, x + 3).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("J8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues

' スロープ筋電位 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, 6).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("E9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, 7).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("F9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 450 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, x).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("G9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, x + 1).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("H9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues

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' 効用値 900 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, x + 2).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("I9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 14, x + 3).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("J9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ElseIf UserForm1.CheckBox1 = False Then ' 筋電位 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, 6).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("E8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, 7).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("F8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 450 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, x).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("G8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, x + 1).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("H8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 900 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, x + 2).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("I8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y, x + 3).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("J8").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues

' スロープ筋電位 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, 6).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("E9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, 7).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("F9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 450 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, x).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("G9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, x + 1).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("H9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 効用値 900 Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, x + 2).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("I9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues Worksheets(" 一覧表 ").Cells(y + 1, x + 3).copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("J9").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues End If ' 体操平均ボーダー ' 前脛骨筋 If bui = 1 Then Worksheets(" 一覧表 ").Range("E31:O33").copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("M25:W27").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 大腿直筋 ElseIf bui = 2 Then

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Worksheets(" 一覧表 ").Range("E36:O38").copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("M25:W27").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 大臀筋 ElseIf bui = 3 Then Worksheets(" 一覧表 ").Range("E41:O43").copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("M25:W27").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues ' 腰腸肋筋 ElseIf bui = 4 Then Worksheets(" 一覧表 ").Range("E46:O48").copy Worksheets(" グラフ結果 ").Range("M25:W27").PasteSpecial Paste:=xlPasteValues End If End Sub

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CD-ROM 内容

・ファイルメーカー結果一覧 ・昇降デザイン評価プログラム

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01 研究目的


01-1. 研究目的  身体や疾患の状況によって、負担を軽減し、身体を損傷するリスクを軽減する必要があるケース、筋力を鍛える ことで疾患を発症するリスクを軽減する必要があるケースがある。このことから、本研究では、疾患の違いによっ て建築の中で心理的に負担を感じるデザインの要素と、そのデザインの違いによる身体的な負荷を明らかにし、心理、 身体の両面から総括的に個人の身体状況の状態に応じた建築デザインを提案するための評価方法を作成することを 目的とする。なお、本研究では、高齢期に最も顕著にみられる疾患である関節疾患に着目し、住宅の内外で頻繁に 行われる行為である階段、坂の昇降動作を対象としている。

リスク

健康増進が

負担軽減が

必要なケース

必要なケース

筋力低下による

過剰な負担による

疾患発症リスク

身体損傷リスク

デザイン D

デザイン C

デザイン E

デザイン B

・本研究の研究領域

個人の身体状況と使いやすさを デザイン F デザイン G  考慮したデザインの提案

デザイン A

身体負荷

筋電位計測による身体負荷を用いる

fig.01.1. 本研究の概念図

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01-2. 本研究の位置付け  建築工学においては、空間におけるあらゆるリスクを低減させる必要があると考えられている。  これまでの研究では、身体を損傷するリスク回避の観点から身体負担の軽減が必要なケースや、筋力低下による 疾患を発症するリスクを低減させるために適度な運動負荷を日常生活の中に取り入れる必要があるケースに対して 研究を行ってきた。  牛山 (2003)、松井 (2004,2006) らの研究では、それぞれ立ち上がり動作、収納動作、キッチンでの食器洗いの動 作に関して、腰部の負担を軽減するために、適切なしつらえの研究を行ってきた。  その一方で、加齢に伴い、筋力が衰えることで、QOL が低下してしまうという事例があることから、大河内 (2005) の研究では、介護予防の分野で用いられる高齢者用に開発された適度な負荷のある運動プログラムを計測し、それ らを日常生活の動作の負荷と比較することで、日常生活の動作の負荷の目安を探るとともに、過剰な負荷のかかっ ている動作の抽出を行ってきた。また、永池 (2005) の研究では、筋電計を用いて日常生活の動作を計測し、どの動 作がどの筋の運動として有効であるかを明らかにすることで、身体の筋力の低下を出来るだけ抑える研究を行って きた。特に高齢期の疾患、症状は多様であるため、個人の生活目標にあわせて環境を整えることが必要になってくる。 長澤 (2007) の研究では、これらの研究を受け、一人一人の個人の身体状況にあわせた建築デザインを提案するため に動作計測を用いてこれまでの住環境の設計指針を再評価することを目的とした研究を行った。    また、階段及びスロープの昇降動作について建築工学、人間工学、理学療法学などの分野からどのようにとらえ られているかをまとめてみる。  建築工学における階段やスロープの昇降動作に関する研究に関しては、その歴史は長く、日本においては 1970 年頃から古瀬や永田らが行ってきた研究が代表的なものとしてある。これらの研究は、住宅内外での階段やスロー プでの転倒が交通事故死を除いた事故死亡者総数の 26.8% を占めていることから、階段やスロープでの安全性に関 して評価を行ってきた。主観評価と動作解析を主に行い、身体にかかる負荷が小さいものほど、心理的な負担も小 さくなり、安全性の向上につながるという観点で研究を行ってきた。現在のバリアフリー法などの基準となってい るものは、これらの段差及びスロープの安全性評価の研究によるものである。  理学療法学やリハビリテーションの分野においても、脳卒中片麻痺患者、前十字靭帯損傷者などの重度の障害を もった高齢者、障害者からみると、昇降動作は大変な負担になることから、重度の疾患を負った高齢者、障害者に 対して動作実験を行い、昇降動作中に受ける身体の負荷をモデル化し、負担軽減に役立てる研究がみられる。  しかし、その一方で、健康医学や予防医学などの分野では、階段やスロープの昇降動作は健常な高齢者にとっては、 健康増進にとても有効であるとし、無理のない範囲で適度に昇降動作を生活の中に取り入れることを推奨している。  これらの研究を受け、建築工学の観点から個人の身体状況と健康増進、負担軽減といった個人の目的に応じて、 身体の負荷と心理的な負担両面から階段及びスロープの評価手法を作成する必要があると考える。

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01-3. 用語の定義 ○関節疾患:関節軟骨が老化などにより、変形・磨耗することにより、痛みや運動障害を招く病気である。関節疾 患には、四十肩・五十肩、肩こりなどの肩の痛み、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアなどの腰の痛み、膝関節疾患、リ ウマチ性疾患などがある。それらの疾患の多くは、老化や運動不足による筋力低下などが原因とされ、治療には薬 物療法や手術療法とあわせてリハビリテーションが必要となる。本研究では、特に自立に大きく関わる腰部、股関節、 膝、足首の下肢の関節を対象としており、関節疾患とは、この下肢の関節の疾患を指す言葉として用いる。 ○健康増進:厚生労働省の「健康増進法」にある「健康増進」の定義によれば、『「健康増進」とは、積極的に健康 状態を改善することにより、健康に生活することができる期間(健康寿命)を延伸させるとともに、生活の質の向 上を図ることを指す用語である』とされていることから、本研究における、健康増進の定義もこの意味に従うもの とする。 ○アクティブシニア:「シニア」を 50 歳以上とし、そのうち、介護を必要としない健常者を「アクティブシニア」 と定義する。 ○若年者:20 ∼ 30 代を指す。 ○中年者:40 ∼ 50 代を指す。 ○高年者:60 代以上を指す。 ○負荷(身体的負荷) :主に筋電位計測による MVC% の数値のことを指す。この数値が高いほど、その動作を行う際の、 各筋肉に対する負荷が高いといえる。MVC% は動作の際の最大筋収縮時の筋電位を、最大自発筋収縮時の筋電位で 除した値である。 (MVC%) = ( 動作時の最大筋収縮時の筋電位 ) / ( 最大自発収縮時の筋電位 )

○負担(心理的負担):関節疾患者が、行動する際にその行動を阻害してしまうような要因である。本研究では、コ ンジョイント分析によって算出された効用値によって評価を行っている。効用値が大きいほど、関節疾患者にとっ て評価が高く、負担の少ない使いやすいものと感じているといえる。逆に、効用値が小さいほど、評価が低く、負 担の大きい使いづらいものだと感じているといえる。

○コンジョイントカード:コンジョイント分析において用いられる被験者に並び替えてもらうための複数枚のカー ドを指す。 ○要因:本研究ではコンジョイント分析における選択の原因と定義する。例えば、パソコンを購入する際に考慮さ れる値段や CPU・メモリなどのスペック、色・デザインなどの要素のことを「要因」という。 ○水準:コンジョイント分析で用いられる「要因」の代償などの程度と定義する。例えば、値段という要因の 100,000 円、200,000 円などが「水準」である。

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○効用値:その「水準」の選好の度合い(影響の大きさ)を「効用値」と呼ぶ。本研究では、この効用値を用いて 心理的負担のシミュレーションを行う。 ○昇降デザイン評価プログラム:本研究において作成した、階段やスロープによって疾患者がどの程度の身体的負 荷を受け、どの程度の心理的負担を受けるかを算出し、評価を行うプログラムを指す。 ○ ICF コード:ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health) は、国際機能分類の略であり、 人間の生活機能と身体機能、環境要因の分類法として、2001 年5月、世界保健機関 (WHO) 総会において採択され たものである。ICF および ICF コードは、 ・ 健康状況と健康関連状況,結果,決定因子を理解し,研究するための科学的基盤の提供。 ・ 健康状況と健康関連状況とを表現するための共通言語を確立し,それによって,障害のある人々を含む,保健医 療従事者,研究者,政策立案者,一般市民などのさまざまな利用者間のコミュニケーションを改善すること。 ・ 各国,各種の専門保健分野,各種サービス,時期の違いを超えたデータの比較。 ・ 健康情報システムに用いられる体系的コード化用分類リストの提供。 といった目的に用いられる。ICF コードは全ての人に関する分類である。あらゆる健康状態に関連した健康状況や 健康関連状況は ICF コードによって記述することが可能である。つまり,ICF コードの対象範囲は普遍的である。

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01-4.ICF コード一覧  本研究に関連する ICF コードを以下にまとめた。  コードの抽出には「ICF 検索エンジン」を用い、 「痛み」 「関節」 「筋肉」 「移動」をキーワードとして検索した結果から、 研究趣旨が合致するものを抽出した。 ○歩行(d450) (歩くこと) 常に片方の足が地面についた状態で、一歩一歩、足を動かすこと.例えば、散歩、ぶらぶら歩き、前後左右への歩行. (補足説明: 常に片方の足が地面についた状態で、一歩一歩、足を動かすこと.例えば、散歩、ぶらぶら歩き、前 後左右への歩行) 含まれるもの: 短距離あるいは長距離の歩行、さまざまな地面あるいは床面上の歩行、障害物を避けての歩行 ○登り降りすること(d4551) (階段の昇り降り) 段、岩、梯子、階段、舗道の縁石などの床面やその他の物の上で、身体全体を上方あるいは下方へと移動させるこ と ○通路や階段の手すり(e1501w11) (職業場面で含まれるもの: 廊下の両サイドに手すり) ○段差をなくした(e1500w32) (職業場面で含まれるもの: 床面のフラット化、段差の解消 ; 保育園敷地入口) ○スロープ設置、段差解消(e1500w3) スロープを設置するなど、段差を解消した (職業場面で含まれるもの: スロープと車椅子専用のトイレ ; 車椅子使用者へのスロープや障害者用トイレの設置) ○関節の痛み(b28016) 身体部位の損傷やその可能性を示す、小関節や大関節を含む関節の不愉快な感覚 含まれるもの: 股関節の痛み、肩関節の痛み ○背部の痛み(b28013) 身体部位の損傷やその可能性を示す、背部の不愉快な感覚 含まれるもの: 体幹の痛み、腰痛 ○腰部脊柱(s76002) ○股関節(s75001) ○膝関節(s75011) ○足首と足の筋肉(s75022) なお、この ICF コードの検索には以下のサイトを参照した。 http://plaza.umin.ac.jp/ haruna/icf_jpn/index.htm

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