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論文編
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
1
はじめに いつも利用している駅で、まれにコンサートが行われていた。
駅前のコンサートではなく、プラットフォームを挟んだ向かい側のホームの上で ドラムやギターなどの楽器で演奏されていた。
そのコンサートが行われていると、僕は惹き付けられるように、反対側のホーム で電車を待っていた。
僕のような人が何人もいた。
多くの人が、コンサートが観たいがために反対ホームで電車を待っていた。
この見えない力で人は惹き付けられている。
この見えない力を利用して、人を惹き付けたいと思った。
この見えない力を調べる必要があった。
僕の研究はここから始まる。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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目次
001 論文編 002 はじめに 003 目次 005 第一章 研究概要 006 1-1 研究目的 008 1-2 研究概念 011 1-3 研究の流れ 013 第二章 研究背景 014 2-1 社会背景 015 2-1-1 駅の機能の拡大 018 2-1-2 増加する廃線 020 2-1-3 駅における広告 021 2-1-4 路上パフォーマンス 022 2-2 駅舎における新たな取り組みの事例 023 2-2-1 デジタルサイネージによる広告 024 2-2-2 住民グループによる駅前の管理 025 2-2-3 廃線の再活用 028 2-2-4 東京駅での プロジェクションマッピング 029 2-3 既往論文 035 2-4 本研究の位置付け 037 第三章 研究方法 038 3-1 調査方法 039 3-1-1 調査概要 040 3-1-2 調査場所 042 3-2 行動調査 043 3-2-1 実験器具 044 3-2-2 対象空間 045 3-2-3 調査手順 047 3-3 アンケート調査
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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054 第四章 調査結果 055 4-1 滞在位置結果 056 4-1-1 平常時の滞在位置調査 061 4-1-2 コンサート演奏時の滞在位置結果 064 4-2 アンケート結果 065 4-2-1 平常時のアンケート結果 067 4-2-2 演奏時のアンケート結果∼ 1・2番線ホーム∼ 069 4-2-3 演奏時のアンケート結果∼3番線ホーム∼ 071 第伍章 分析 072 5-1 コンサート視聴範囲の選定 076 5-2 ESC からの行動分析 084 5-3 階段からの行動分析 092 第六章 考察 093 6-1 行動分析の考察 094 6-1-1 ホーム上の利用者の平常時と演奏時の滞在位置の差異 095 6-1-2 滞在位置と乗車位置の比較∼ ESC の場合∼ 096 6-1-3 滞在位置と乗車位置の比較∼階段の場合∼ 097 6-1-4 ホーム上での状態遷移図 100 6-2 アンケート結果の考察 102 第七章 まとめ 103 7-1 まとめ 105 7-2 展望 107 謝辞 108 参考文献 資料編
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
第1章
研究概要
Chapter1 Research Øutline
1-1 研究目的 1-2 研究概念
1-3 研究の流れ
駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
1-1. 研究目的
駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
プラットフォームにおける線路を挟んだ空き空間でのイベン トに対する群集の行動モデルを明らかにし、群集の行動制御の 可能性を検討する。
駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
1-2. 研究概念
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第一章 研究概要
空きプラットフォームでコンサートを行っている両国駅のコ ンサート開催時と平常時におけるホーム上での駅利用客の滞在 位置や行動を観察し、コンサートの駅利用客に対する影響を明 らかにする。
図 1-2-1 コンサートの様子
駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
混雑時における群衆の行動制御はこれまで物理的要因によっ て行われてきたものが多い。しかし、本研究では心理的な要因 によって群衆の行動制御を行うことが可能なのではないかと考 えた。
図 1-2-2 柱による群衆制御
図 1-2-3 心理的要因による群衆制御
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第一章 研究概要
1-3. 研究の流れ
駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第一章 研究概要
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用客に対して両国駅の印象調査を行う。
での利用客の行動を撮影。
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用客と観客対して両国駅の印象調査を行
での利用客の行動を撮影。
10 月 14 日に両国駅ホーム上
10 月 14 日(日)両国駅ホーム上の利
10 月 21 日(日)両国駅ホーム上の利
10 月 21 日に両国駅ホーム上
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駅ホームでの群衆分布制御について∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第二章 研究背景
第2章
研究背景
Chapter2 Research background
2-1 社会背景
2-1-1 駅の機能の拡大 2-1-2 増加する廃線
2-1-3 駅における広告
2-1-4 路上パフォーマンス
2-2 駅舎における新たな取り組みの事例
2-2-1 デジタルサイネージによる広告 2-2-2 住民グループによる駅前の管理 2-2-3 廃線の再利用
2-2-4 東京駅でのプロジェクション マッピング 2-3 既往論文
2-4 本研究の位置付け
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第二章 研究背景
2-1. 研究背景
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第二章 研究背景
2-1-1 駅の機能の拡大
図 2-1-1-1 秋葉原駅構内の様子
近年、交通拠点としての駅が「街づくり」や「商業施設」に 対して大きな役割を担っている。そして、「街づくり」への波 及効果、地域のコミュニティのコミニュケーションの場として ふさわしい機能を保持していることに注目を浴びている。 駅は大きく分けて「交通の拠点」、「地域交流の拠点」、「商業 の中核」という 3 つの機能を持っている。それら 3 つの関係 性は、最初に「交通の拠点」という機能に対して、その集客力 を期待して商業施設が開発されいき、次に「交通の拠点」とい う機能と「商業の中核」という機能の二つによって周辺に波及 効果をもたらし、最後に駅周辺が「地域交流の拠点」となり「街 づくり」へと繫がっていくのである。
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第二章 研究背景
日本の三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)は大量交通機 関に支えられて都市が保たれている。一方、三大都市圏以外の 地方の都市はアメリカ型の自動車社会で長期低落化が続き都市 としての機能を果たしていないというのが現状である。しかし、 そのような地方の都市に中心市街地の役割をもつ大型ショッピ ングセンターのような建物の立地に適しているのは、地域の顔 となる「駅周辺街区」である。商業立地の中で重要な「徒歩・ 自転車利用者」、「乗用車利用者」、「電車・バス利用者」がバラ ンス良く集客する場は「駅周辺街区」しかないからである。そ の意味から駅および駅の商業施設は、点から点へ、線から面へ と拡大する「街づくり」への重要な役割を担っていく必要があ る。 以上より、駅とは 3 つの場を持つことで「街づくり」のた めの基礎となり、周辺地域への波及効果をもたらすと考える。
図 2-1-1-2 地方の駅前
図 2-1-1-3 都市部の駅前
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第二章 研究背景
①地域の表玄関の " 場 " 駅は利用する地域の人々にとって、誰もが、ここが地域の中 心と認めることができる場になることが必要である。(例えば、 ランドマークとなるような商業施設を造ったり、待ち合わせ場 所になるような " まちのシンボル " をつくるなど) ②住民のコミュニティの " 場 " 駅は利用する地域の人々にとって、コミュニティ&コミュニ ケーション(交流の場やオアシスの場・サードプレイス=第 3 の居場所)の場となることが必要である。 ③生活者のショッピングの " 場 " 駅は利用者のみならず、周辺地域の生活者の買い物・飲食・ サービス・エンターテインメントの場となることが必要である。 このように、駅は単なる交通手段の基地としてではなく、コ ミュニティの場に適した場であることが分かる。つまり、集客 の要素である駅の表玄関としての場や駅のコミュニティとして の場を創出することにより乗降客の少ない駅においても駅を発 端とする「街づくり」を行うことが出来ることが分かる。
図 2-1-1-4 拡大する駅ナカビジネス
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第二章 研究背景
2-1-2 増加する廃線
廃線とは、鉄道路線が営業を廃止することのことを示す。ま た、 その廃止する路線のこと。事務手続き上の扱いでは「休止」 となっているが。実際は事実上廃線になっている場合も多くあ る。 鉄道路線が廃線になる時には多く理由があるが、一番多い 理由は利用者・貨物の減少である。利用者・貨物の減少の要 因としては、戦前や昭和初期ではバスの輸送の自由性があり、 1960 年代まではバスやトラックの発達であったが、近年自動 車の所持率の向上がある。 また、沿線人口の減少(過疎化)が利用客の減少を招くこと もある。近郊部でも国鉄改革に伴う貨物輸送の大幅な変更によ る減少により廃線に追い込まれた鉄道もある。
図 2-1-2-1 鉱山が閉山になり廃線となった線路
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第二章 研究背景
その他の理由としては次の理由がある。 ・経営破綻による廃線 (利用客・貨物の減少や地方公共団体からの援助の打ち切りに よるもの) ・接続路線の廃線の影響による廃線 (接続する路線が廃線になったことで連鎖的に廃線になってし まうもの) ・公共事業への障害による廃線 (ダムの建設予定地であったり、河川や道路の改修などの公共 事業に対して障害となるので廃止を余儀なくされるもの) ・災害の影響による廃線 (地震、水害、土砂崩れといった災害により線路が寸断されて しまったことが原因。この場合は以前から沿線人口の減少や貨 物等の輸送量の減少という前提があり、自然災害を理由に踏み 切ったかたちがほとんどである) ・戦争の影響による廃線 (太平洋戦争で戦場となった沖縄県の鉄道は戦闘で破壊されて しまいそのまま消滅した) ・事故による廃線 ・構造物や車輌の欠陥による廃線
図 2-1-2-2 東日本大震災により線路が流された 常磐線坂本駅
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第二章 研究背景
2-1-3 駅における広告
駅は公共空間であるが、鉄道会社私有の土地・建物であり、 駅構内やホームには多数の広告物が設置されていて近年さらに その量が増えつつある。あまりにも広告物が多すぎれば目障り で落ち着かない空間となってしまうが、反対に広告物がまった くなければ、殺風景で寂しいと感じられる。特に駅ホームにお ける広告物は、電車の待ちの時間にふと眺める暇つぶしの対象 動く標的『交通広告 編』/ ( 株 ) ジェイ アール東日本企画移 動者マーケティング 研究会 編
として、あるいは情報源として利用客にとっても一定のメリッ トがある。実際に、駅を利用する人の 75% が「駅構内・ホー ムの広告を見た」と回答し、ホム上において 45% の人が「ポ スター・看板を見て過ごす」と答えている。 都市のイメージを発信する場所として駅舎は重要な役割を 担っている、 。そして、その駅舎の広告の善し悪しによって都 市のイメージを向上することにも繫がっている。
図 2-1-3 原宿駅ホーム向かいの巨大広告
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第二章 研究背景
2-1-4 路上パフォーマンス
路上パフォーマンスとは、マチュアのアーティストが駅前の 広場などを利用して、自分たちで音響機器などを設置し簡易コ ンサートを行う行為をいう。この行為によって知名度を上げた り CD の販売を行ったりしているが問題点が多くある。 歩道などの公道で警察などの許可を取っていない演奏行為は 道路交通法で禁止されている。公園などでの演奏行為や拡声器 を使用して音を流すことについても自治体の条例などで禁止さ れていることが多く、仮に禁止されていなくても興味のない人 間にとっては騒音でしかなく、聴衆が増えることによって通行 妨害などの迷惑行為にも繫がる。 一方で、まちづくりの一環として若者を引き寄せることに関 しては利点もある。東京都ではヘブンアーティストという制度 を始めた。ヘブンアーティストとは大道芸人公認制度のことで ある。 オーディションを行いライセンスを大道芸人に発行する。 質の高い芸人を選抜することで都民に娯楽を提供し、優れた大 道芸人を育成することにも繫がる。これはフランスにならった ものであり、主な活動場所として、上野公園、代々木公園、東 京ドームなどで大道芸を行っている。
図 2-1-4 路上パフォーマンスの様子
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第二章 研究背景
2-2. 駅舎における新たな取り組みの事例
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第二章 研究背景
2-2-1 品川駅のデジタルサイネージによる広告
駅舎を通過する利用者に対して、スクリーンに映し出された 広告。品川駅港南口に44面のデジタルサイネージにより圧倒 的な存在感とともに、歩行者に見やすいように目線から高さを 設け、歩行者に対して絶妙な角度を設けている。特に大きな駅 舎では電車の乗り換えなどで長い距離を移動する場合も多く、 広告として壁や天井などに広告を施している駅も少なくないの が現状である。また、図 2-2-1 で分かるようにデジタルサイネー ジで表示する画像や映像は必ずしも広告ではなく、駅舎の案内 等もあり、駅舎の機能を向上させていることが分かる。
図 2-2-1 品川駅のデジタルサイネージ
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第二章 研究背景
2-2-2 北千住駅西口ペデストリアンデッキ上プランターの管理
足立区ホームページ http://www.city. adachi.tokyo.jp/chiiki/ kurashi/kankyo/sehanahanakai.html
千住花花会とは「千住のまちを花でいっぱいに」という言葉 を合言葉に結成された住民グループである。このボランティア 団体は北千住駅にのプランターの管理を行っている。管理を始 めた当初は住民グループだけでしたが、現在では北千住マルイ や北千住警察署などと協力して管理している。これは都市では めずらしく駅舎と住民と企業が協力して行っているボランティ アである。駅前広場の管理を住民が行うことでまちづくりを自 らの手で行うことに繫がっている。駅前広場は駅から降りた人 が最初に降り立つ場所であり、街の第一印象を受ける場所であ るため、この行為によって街のイメージの向上につながってい ると考えることが出来る。
図 2-2-2 プランター管理の様子
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第二章 研究背景
2-2-3 廃線の再活用
鉄道の廃線後にも整備や回収の上で廃線が再活用されている 事例がある。 2-2-3-1 遊歩道 安曇野の旅 http://www.azuminoe-tabi.net/co0+index. id+2.htm
長野県安曇野市、旧国鉄篠ノ井線、1988 年廃止 レンガ積みの漆久保トンネルや当時の信号機などが残るコー スを遊歩道として改修することにより新たな観光スポットと なった。
漆久保のトンネルの様 子 http://www.i-turn. jp/kyu-kokutetus i n o n o i s e n n haisennjiki-3keyakitorekinngu-1.html
図 2-2-3-1-1 漆久保トンネル
図 2-2-3-1-2 潮信号所付近の遊歩道
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第二章 研究背景
2-2-3-2 サイクリングロード 大分県中津市、大分耶馬渓線、1975 年廃止 廃線跡は勾配が緩く、峠越えの区間でも通常 2-2.5%以下で あるため、サイクリングロードとしての再利用の事例が多くあ る。 大分耶馬渓線は廃線から平成初頭まで線路跡が手付かずだっ たが区画整理事業によってメイプル耶馬サイクリングロードへ と変わった。特に大貞公園駅ー野路駅手前までは桜が植えられ ている。
図 2-2-3-2-1 耶馬サイクリングロード
図 2-2-3-2-2 廃線になった駅名看板が残されている
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第二章 研究背景
2-2-3-3 その他の廃線の再活用の例 ・一般道 鹿児島県曽於群、大隅線、1987 年廃止 廃線となった線路を撤去し一般道とした。大隅高須駅の鹿屋 方にあるトンネルはフィットネスパースの一部として利用され ている。 ・バス専用道路 白棚線・福島県、秋稲電鉄・宮城県、名鉄岡崎市内線・愛知 県、富山地方鉄道射水線・富山県 ・高速道路 東海道本線大谷駅ー稲荷駅間の旧線跡のほとんどは名神高速 道路の建設に利用された ふるさと銀河線り く べ つ 鉄 道 http:// business4.plala.or.jp/ rikutetu/top.htm
・保存鉄道 観光目的のためにボランティア団体によって運営されている もの。北海道ちほく高原鉄道の車輌を旧陸別駅構内で動態保存 している「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」などがある。
図 2-2-3-3 鉄道保存展示施設となった陸別駅
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第二章 研究背景
2-2-4 東京駅でのプロジェクションマッピング
2012 年 9 月 22・23 日、プロジェクションマッピングによっ て東京駅が美しい「時空を超えた旅」を見せた。 プロジェクションマッピングとは、立体物の形状に合わせた 様々な映像を投影する技術のことで、今回の東京駅プロジェク ションマッピング映像「TOKYO STATION VISION 東京駅プ ロジェクションマッピング」が YouTube に投稿されると海外 からも高い評価を得た。 今回のプロジェクションマッピングは、東京駅丸の内駅舎の 復元工事完成イベントとして行われたもので、大正創建当時の 姿によみがえった東京駅には、鉄道の過去と未来を描いた「時 空を超えた旅」が美しく映し出された。 数多くの来場者が東京駅の新たなスタートに花を添えるとと もに、駅舎から発信するイベントの新たなかたちがこのプロ ジェクションマッピングから読み取ることが出来た。
図 2-2-4 東京駅でのプロジェクションマッピングの様子
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第二章 研究背景
2-3. 既往論文
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第二章 研究背景
駅舎に関する研究はこれまでに多くされており、その研究内 容は多岐にわたっている。駅舎の研究では多くの場合にケース スタディから汎用性を見出し、他の駅舎でも利用出来る結果を 出す形のものが多い。その中で汎用性の高い研究を利用して本 研究にも活用できるものを選んだ。本研究は駅のホーム上での 群衆分布制御の可能性を検討しホーム上での利用者の行動モデ ルの作成と駅舎に対する印象評価のアンケート結果の解析を行 う。一つ目の既往研究の分類は駅舎に関する研究である。二つ 目はインタラクティブ映像と路上パフォーマンスに対する行動 モデルの作成に関する研究である。
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第二章 研究背景
一つ目は駅舎についての研究である。 鉄道駅における旅 客流動に関する研
青木・木戸は電車が駅に停車している時間について調べてい
究 青 木 俊 幸・ 木
る。利用客の乗降分布(降りる場所の分布)と乗降速度の二つ
戸広道(1998 年)
のと停車時間を軸にとり関係性を調べたものである。降車分布 では当該駅の階段の配置でほとんど決定されるが乗車分布では 降車側の駅の階段の一に影響するため一概に乗車駅と関係があ るとは言えない事が明らかになっている。 一方、乗降速度では乗降人数が増加するとそれに要する時間 も増加する。降車速度は比較的まとまっているのに対して、乗 車速度はばらつきが見られる事が分かった。これは乗車速度 の場合は車両内外の旅客密度に影響されるためと考えられてい る。
鉄道駅ホーム上の エスカレータ利用 に 関 す る 研 究 関 根 宏・ 佐 藤 英 彰 (2000 年)
関根・佐藤は駅舎のホーム上のエスカレータの利用とエスカ レータ付近の滞留について調べている。エスカレータは利用者 数が増加するとエスカレータの利用率は低下しこの傾向は高齢 者よりも健常者において顕著に見られることを示した。また、 エスカレータ付近ではエスカレータの左側に立つことより右側 よりも左側において滞留が生じやすくなることを示した。
駅ホーム上の階段・ エスカレータ併設 型昇降施設におけ る歩行者流動に関 す る 研 究 荻 内 伸 彦・林田和人(2005 年) 駅ホーム上階段付 近における空間定 位 に 関 す る 研 究 熊 倉 知 博・ 林 田 和 人(2004 年)
先のエスカレータの左側で滞留が生じる場合に、左側に階段 を併設している場所では滞留が減少することを明らかにしたの が荻内と林田である。この研究ではサインなどの指示があると より効果的な結果が得られることも明らかにしている。 熊倉・林田は駅ホーム上での電車の待ち時間に空間において どの位置に待機するかを調べている。この研究では階段から 10 18m と 22 28m の間が一番多く滞在していることを明ら かにしている。また、キオスク(JR のホーム上にある簡易売店) から 0 2m 付近に人がほとんど滞在していないのに対し 2 4m 付近には多くの人が滞在していることが明らかになった。
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第二章 研究背景
駅舎に関する評価 特性と物理的属性 との関係について 志 水 英 樹・ 西 野 真知子(1992 年)
志水・西野は駅舎のアンケートを SD 法によって調査し、3 つの結果を明らかにした。 ・ 駅舎については、高架であるものは暗く汚いと見られやすい。 また、地上レベルで傾斜屋根を持つ駅舎は大変身近に感じられ る。 ・ 駅舎周辺については、駅前ロータリーや歩道空間が好まれ、 特に歩道空間は商店街と共に明るく楽しいと評価されている。 ・ 駅舎とその周辺に関する総合評価には、駅前広場(ロータ リー、歩道空間)の存在が、特に強く影響することが分かった。
駅利用者へのアン ケ ー ト 調 査 中 坂 守・青木英雄(2004 年)
坂・青木は駅舎における課題を探すために駅利用者に対しア ンケートを行った。アンケート内容は通勤編、出張・買い物編、 旅行編および駅設備編の4編構成となっている。アンケートに より駅利用客は、それぞれ異なった情報を欲しているのに対し 駅側は大量のデータを提示している。そこで今後は、個人個人 に合う情報を提供することが重要であることを明らかにした。
地方における鉄道 の役割と利用者の 意 識 澤 喜 司 郎 (1994 年)
澤の上の二つと同様にアンケートによって地方の駅利用者の 2つの傾向に付いて明らかにした。 ・ 平日と休日では乗車目的に違いがあり、また平日には乗車目 的は利用者によって違い、利用理由も利用者によって違いがあ ると判断できる。杯実には「通学」「通院」の足として、休日 には「通学」 「買い物」の足としての利用が多く、それらは便 利だから利用されている反面、とりわけ19歳以下の利用者は 他に交通手段が無いから利用していることも分かった。 ・ 運賃に対する評価は利用者の年齢によって異なり、列車の速 度に対する評価は利用者の性別や乗車目的によって異なると判 断できる。運賃を高いと感じている利用者の比率は利用者の年 齢層が低くなるにつれて高くなり、通勤目的の利用者は列車の 速度が遅いて感じている割合が最も高くなっていたのである。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第二章 研究背景
これらの駅舎に関する研究では、平常時のホーム上での行動 観察を行い、対象とする条件に対した行動を明らかにすること を目的としている。これらの研究は、新しい機能を持った装置 に対して、ホーム上での行動におよぼす影響について調査して いるものである。また、物理的な要因から、人の行動にどのよ うな影響を及ぼすのかを調査しているものである。 本研究では、プラットフォームを挟んだ空間で行われている コンサートによる行動観察を行うが、これは既往研究とは異な り、心理的な要因によって群衆分布制御の可能性があることに ついて研究する。これまでの研究で、駅のホームにおいて何か パフォーマンスのような人の気を引くものを行った時のホーム の様子について扱ったものはなく、本研究によって、駅ホーム の多様な利用方法についての可能性を見い出す。 また、アンケートによる印象評価の調査では多くの場合 SD 法(意味差別法)が利用されている。しかし多くの研究では場 所が異なっているものや、比べるものの条件が異なりすぎてい てその調査結果が直接的要因とは断言出来ないものが少なくは ない。本研究では平常時とコンサート演奏時というコンサート の有無という変数を利用することで他の条件は変えずにアン ケートを行った。
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第二章 研究背景
2つ目は路上パフォーマンスに対する行動モデルの作成に関 する研究である。 インタラクティブ 映像の鑑賞行動に 関する研究 小 池 泰 輔・ 渡 辺 仁 史(2009 年)
インタラクティブアートに関する行動に関する研究をしてい た小池からは撮影した映像の解析方法を参考とした。これはあ る時間において、画像からその場所にいるデータを集計し対象 時間における平均的な行動に利用される経路をビジュアル化す ることが出来る。
視覚情報の逓減か らみた街頭プロ モーション活動の 見物衆のモデル化 菊 地 徹・ 渡 辺 仁 史 (2007 年)
菊地は選挙演説という広場での特殊状態での行動モデルの作 成を行った。この研究では歩行者と演説の聴衆という二つの異 なった群衆を一旦、分離させてそれぞれの行動モデルの作成を 行っている。その完成された二つの行動モデルを掛け合わせる ことで選挙演説による広場での群衆の分布図と3D による表現 を行ったものである。この研究の大筋は本研究と似ているとこ ろがあり研究方法は参考にした。この研究では撮影した動画を 一定間隔で画像を取り出し動画上で作成したグリッド上に乗っ ている人をカウントし平均的な滞在位置を検出している。 デジタルサイネージに対する行動モデルの作成に関する研究 では、実験場所が大学内なので学内を自由に行動している学生 が対象となっている。路上パフォーマンスに対する行動モデル の作成に関する研究では移動中の歩行者や選挙演説を聴く聴衆 が対象者である。本研究では対象者を駅のホーム上で電車を 待っている利用者として行動分析を行った。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第二章 研究背景
2-4. 本研究の位置付け
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
35
第二章 研究背景
本研究は次の2つの分野の重なる場所であると位置付けをす る。 1. 駅舎のプラットフォーム上での群衆制御と行動モデル ・鉄道駅における旅客流動に関する研究 青木俊幸・木戸広道 (1998 年) ・鉄道駅ホーム上のエスカレータ利用に関する研究 関根宏・ 佐藤英彰(2000 年) ・駅ホーム上階段付近における空間定位に関する研究 熊倉知 博・林田和人(2004 年) ・駅舎に関する評価特性と物理的属性との関係について 志水 英樹・西野真知子(1992 年) ・駅利用者へのアンケート調査 中坂守・青木英雄(2004 年) 2. パフォーマンスに対する行動モデル ・視覚情報の逓減からみた街頭プロモーション活動の見物衆の モデル化 菊地徹(2008 年) ・インタラクティブ映像の鑑賞行動に関する研究 小池大輔 (2009 年) ・エージェントを用いた人間行動モデルー美術館における鑑賞 行動 勝山道雄(2003 年)
図 2-4 研究の位置付け
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
第3章
研究方法
Chapter3 Method of research
3-1 調査方法
3-1-1 調査概要 3-1-2 調査場所 3-2 行動調査
3-2-1 実験器具 3-2-2 対象空間 3-2-3 調査手順
3-3 アンケート調査
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
3-1. 調査方法
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
3-1-1 調査概要
JR 両国駅の普段は使われていない3番線ホームにおけるコ ンサートによって1・2番線のホーム上での群衆の行動の変 化を明らかにするために、まず、平常時(10 月 14 日【日曜 日】 )の 13:00 14:30 における 1・2 番線ホーム上のを撮影 する。次にコンサートの演奏時(10 月 21 日【日曜日】)の 13:00 14:30 の 1・2 番線ホーム上の様子を撮影する。 また、平常時の駅の利用者とコンサート演奏時の駅の利用者 に対してアンケート調査により両国駅のイメージに及ぼすの影 響を調査する。
図 3-1-1 両国駅でのコンサートの様子
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第三章 研究方法
3-1-2 調査場所
JR 東日本総武本線の駅であり、1・2 番線ホームには定期 列車として緩行線を走る総武本線のみが停車する。昔は三番線 ホームを利用して房総方面への急行電車が発着していた。しか し、1982 年が終了してしまい、現在では実験車輌以外は利用 されることはなく、普段はほとんど使われることはない。最近 では、廃線となったホームを利用してコンサートや小規模の絵 画展が開催されることがある。
図 3-1-2-1 両国駅外観
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第三章 研究方法
アンケート調査:JR 両国駅1・2・3番線ホーム 行動調査:JR 両国駅1・2番線ホーム
図 3-1-2-2 両国駅 1・2 番線ホーム
図 3-1-2-3 両国駅 3 番線ホーム 写真のように 1 番線と 2 番線は向かい合っており、両側を 線路に挟まれた島型のホームであり、移動すること可能であ る。一方、3 番線は1つだけで島型ホームになっているため 1・ 2 番線ホームから一度階段を降りて地上階を経由しなければ 3 番線ホームに移動することは出来ない。
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第三章 研究方法
3-2. 行動調査
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
3-2-1 実験器具
・ HDV カメラ× 3 デジタル HD ビデオカメラレコーダー HDR-SR(SONY)
図 3-2-1-1 ビデオカメラ
図 3-2-1-2 調査時の撮影風景
・三脚
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
3-2-2 対象空間
今回は両国駅全体ではなく、エスカレーターと階段に挟ま れた空間を対象空間とする。両国駅の三番線ホームで行われ るコンサートがホーム上の駅の利用者におよぼす影響を調べ るため、エレベータ(以下 ESC と表記)と階段の向かい合っ ている部分と階段から駅員所までの範囲を今回の対象範囲と した。この範囲は下図で示す赤い部分である。
図 3-2-2 両国駅概略平面図
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
3-2-3 調査手順
対象空間全体が撮影出来るように三台のビデオカメラと1 台のメガネ型ビデオカメラを利用した。いかに示す図はそれぞ れのビデオカメラによって撮影される範囲を示す。黒い点は撮 影する場所を示している。(撮影した場所は向かいのビルの5 階の窓辺)
図 3-2-3-1 ビデオ 1 の撮影範囲
図 3-2-3-2 ビデオ2の撮影範囲
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第三章 研究方法
図 3-2-3-3 ビデオ3の撮影範囲
図 3-2-3-4 撮影範囲全体図
図 3-2-3-4 の撮影範囲全体図のように、図 3-2-2 での対象 範囲を全て撮影している。
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第三章 研究方法
33 アンケート調査
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
次に示すのは、10 月 14 日(日)の平常時に、1・2番線ホーム にいた駅利用客に対するアンケート用紙と 10 月21日(日)のコン サート開催時に 1・2番線ホームにいた駅利用者に対するアンケート 用紙と、10 月21日(日)に三番線ホームでコンサートを鑑賞して いた人に対するアンケート用紙である。 A:平常時の 1・2 番線ホーム上での駅利用客に対するアンケート B-1:コンサート演奏時 1・2 番線ホーム上での駅利用客に対するア ンケート一枚目 B-2:コンサート演奏時 1・2 番線ホーム上での駅利用客に対するア ンケート二枚目 C-1:コンサート演奏時3番線ホーム上での観客に対するアンケート 一枚目 C-2:コンサート演奏時3番線ホーム上での観客に対するアンケート 二枚目
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第三章 研究方法
両国駅コンサートについてのアンケート 対象者:1・2番線ホームの乗降客
早稲田大学創造理工学部建築学科 4 年の大竹涼土と申します。 今回、駅内劇場空間における可能性についての卒業研究を行うにあたり、両国駅における3番線ホームを利用したコンサートに関する アンケートを行うことになりました。お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご協力の程よろしくお願い致します。 このアンケート結果は本研究の目的以外に使用することは一切ございません。いただいたデータを個人が特定できる形で用いることはあ りません。また、データの管理は厳重に行い、研究室外部への流出はいたしません。 早稲田大学創造理工学部建築学科 渡辺仁史研究室4年 大竹涼土 〒169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1 55N801
1、あなた自身のことについてお聞きします。 ① 性別とご年齢に⃝をおつけください。 【男・女】 【20歳以下・20代・30代・40代・50代・60代・70歳以上】 ② 今の状況を教えて下さい。 【電車から両国駅に降りた。 】 ・【両国駅から電車に乗る予定だ。 】 ③ 自宅または勤務先や学校の最寄り駅が両国駅ですか? 【はい・いいえ】 ④ 両国駅の3番線ホームで行われているコンサートのことを知っていますか? 【はい・いいえ】 ⑤ ④ではいと答えた方にお聞きします。実際に3番線ホームで行われるコンサートを見たことがありますか? 【はい・いいえ】 ⑥ ⑤ではいと答えた方にお聞きします。その時に3番線ホームまでコンサートを聴きに行きましたか? 【はい・いいえ】
2、 両国駅のイメージについてお聞きします。以下の項目のうち該当する数字に⃝をおつけ下さい。
例)両国駅は 広い 1 2 3 4 狭い
かなり広い やや広い やや狭い かなり狭い
広い 1 2 3 4 狭い
新しい 1 2 3 4 古い
にぎやかな 1 2 3 4 寂しげな
清潔な 1 2 3 4 不潔な
親しみ易い 1 2 3 4 親しみにくい
便利である 1 2 3 4 不便である
街の顔として好ましい 1 2 3 4 街の顔としては好ましい 楽しい 1 2 3 4 つまらない
ご協力ありがとうございました。
図 3-3-1 アンケート A
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第三章 研究方法
両国駅コンサートについてのアンケート 対象者:1・2番線ホーム乗降客用
早稲田大学創造理工学部建築学科 4 年の大竹涼土と申します。 今回、駅内劇場空間における可能性についての卒業研究を行うにあたり、両国駅における3番線ホームを利用したコンサートに関する アンケートを行うことになりました。お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご協力の程よろしくお願い致します。 また、このア ンケート結果は本研究の目的以外に使用することは一切ございません。いただいたデータを個人が特定できる形で用いることはありませ ん。また、データの管理は厳重に行い、研究室外部への流出はいたしません。 早稲田大学創造理工学部建築学科 渡辺仁史研究室4年 大竹涼土 〒169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1 55N801
1、あなた自身のことについてお聞きします。 ① 性別とご年齢に⃝をおつけください。 【男・女】 【20歳以下・20代・30代・40代・50代・60代・70歳以上】 ② 今の状況を教えて下さい。 【電車から両国駅に降りた。】・【両国駅から電車に乗る予定だ。】 ③ 自宅または勤務先や学校の最寄り駅が両国駅ですか? 【はい・いいえ】 ④ 両国駅の3番線ホームで行われているコンサートのことを知っていましたか? 【はい・いいえ】 ⑤ ④の質問ではいと答えた方にお聞きします。 今までに3番線ホームで行われるコンサートを見たことがありますか? 【はい・いいえ】 ⑥ ⑤の質問ではいと答えた方にお聞きします。 その時に3番線ホームまでコンサートを聴きに行ったことがありますか? 【はい・いいえ】 ⑦ コンサートをホームから見て3番線ホームまで行ってコンサートを聴きたいと思われましたか? 【はい・いいえ】 ⑧ いいえと答えた方にお聞きします。どうしてですか?
【 】 ( )
【時間がないから・ここで聴いているでだけで十分だから・興味が無いから その他
⑨ こちら側のホームからでもコンサートは楽しめましたか?
【とても満足・それなりに満足・あまり満足していない・全く満足していない】
図 3-3-2 アンケート B-1
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
⑩ 今度はコンサートを見に両国まで来たいと思いました? 【はい・いいえ】 ⑪ 両国のイメージはどのように変わりましたか? ( 自由記述 )
【 】 ⑫ 駅舎のホームという公共の場所でコンサートを行うことについてどう思いますか? 【とても良いと思う・それなりにいいと思う・あまり良いとは思わない・止めた方がいいと思う】 ⑬ 止めたほうがいいと思うを選んだ方にお聞きします。どうして止めたほうがいいと思いますか?
【 】 2、 両国駅のイメージについてお聞きします。以下の項目のうち該当する数字に⃝をおつけ下さい。
例)両国駅は 広い 1 2 3 4 狭い
かなり広い やや広い やや狭い かなり狭い
広い 1 2 3 4 狭い
新しい 1 2 3 4 古い
にぎやかな 1 2 3 4 寂しげな
清潔な 1 2 3 4 不潔な
親しみ易い 1 2 3 4 親しみにくい
便利である 1 2 3 4 不便である
街の顔として好ましい 1 2 3 4 街の顔としては好ましい 楽しい 1 2 3 4 つまらない
ご協力ありがとうございました。
図 3-3-3 アンケート B-2
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
両国駅コンサートについてのアンケート 対象者:コンサート観客 早稲田大学創造理工学部建築学科 4 年の大竹涼土と申します。 今回、駅内劇場空間における可能性についての卒業研究を行うにあたり、両国駅における3番線ホームを利用したコンサートに関する アンケートを行うことになりました。お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご協力の程よろしくお願い致します。 また、このア ンケート結果は本研究の目的以外に使用することは一切ございません。いただいたデータを個人が特定できる形で用いることはありませ ん。また、データの管理は厳重に行い、研究室外部への流出はいたしません。 早稲田大学創造理工学部建築学科 渡辺仁史研究室4年 大竹涼土 〒169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1 55N801
1、あなた自身のことについてお聞きします。 ① 性別とご年齢に⃝をおつけください。 【男・女】 【20歳以下・20代・30代・40代・50代・60代・70歳以上】 ② 今の状況を教えて下さい。 【電車から両国駅に降りた。】・【両国駅から電車に乗る予定だ。】 ③ 自宅または勤務先や学校の最寄り駅が両国駅ですか? 【はい・いいえ】 ④ 両国駅の3番線ホームで行われているこのコンサートのことを知っていましたか? 【はい・いいえ】 ⑤ ④の質問ではいと答えた方にお聞きします。 このコンサートをこの場所で聴くのは何回目ですか?
⃝
【初めて・ ⑥ ⑤の質問で二回目以上と答えた方にお聞きします。 今日はコンサートが目的で両国駅まで来られましたか?
回目】
【はい・いいえ】 ⑦ どうして今回3番線ホームでコンサートを聴こうと思われたのですか?
【 】
・ホーム上で気になってこっちのホームに移動して来た
・改札口の先から何かやっていることを知り気になったから来た ・コンサートが目的で来た ・その他
(
)
⑧ 実際にコンサートを聴いてみて楽しめましたか?
【とても満足・それなりに満足・あまり満足していない・全く満足していない】
図 3-3-4 アンケート C-1
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第三章 研究方法
⑩ 今度はコンサートを見に両国まで来たいと思いました? 【はい・いいえ】 ⑪ 両国のイメージはどのように変わりましたか? ( 自由記述 )
【 】 ⑫ 駅舎のホームという公共の場所でコンサートを行うことについてどう思いますか? 【とても良いと思う・それなりにいいと思う・あまり良いとは思わない・止めた方がいいと思う】 ⑬ 止めたほうがいいと思うを選んだ方にお聞きします。どうして止めたほうがいいと思いますか?
【 】 2、 両国駅のイメージについてお聞きします。以下の項目のうち該当する数字に⃝をおつけ下さい。
例)両国駅は 広い 1 2 3 4 狭い
かなり広い やや広い やや狭い かなり狭い
広い 1 2 3 4 狭い
新しい 1 2 3 4 古い
にぎやかな 1 2 3 4 寂しげな
清潔な 1 2 3 4 不潔な
親しみ易い 1 2 3 4 親しみにくい
便利である 1 2 3 4 不便である
街の顔として好ましい 1 2 3 4 街の顔としては好ましい 楽しい 1 2 3 4 つまらない
ご協力ありがとうございました。
図 3-3-5 アンケート C-2
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
第4章
調査結果
Chapter4 Research Results
4-1 滞在位置調査
4-1-1 平常時の滞在位置調査 4-1-2 コンサート開催時の 滞在位置調査 4-2 アンケート結果
4-2-1 平常時のホーム上での アンケート結果
4-2-2 コンサート開催時の
ホーム上でのアンケート結果 4-2-3 コンサート開催時の
観客のアンケート結果
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第四章 調査結果
4-1. 滞在位置結果
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
4-1-1 平常時の滞在位置結果 動画撮影日
2012 年 10 月 14 日(日曜日)
動画撮影時間
13:00 13:15,13:30 13:40,14:00 14:15
動画を解析するにあたって動画に対して 1m × 1m のグリッ ドを作成し、動画の上にレイヤーを重ねることで動画上にグ リッドをしくことが出来る。次に、指定された 15 分間の中か ら 30 秒おきに動画からグリッド上に何人が滞在しているのか をカウントする。そして、カウントして人数の合計したものを 900 秒で割ることで、1 秒間に 1㎡あたりに何人が滞在してい るのか分かる。
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第四章 調査結果
1m×1mのグリッドをのせる
t=ns
t=n+30s
t=n+60s
t=0s t=30s t=60s t=90s t=120s t=150s
1m 1m
t=180s
0.10(人/㎡・秒)
0.07人 1秒間の平均
0.05(人/㎡・秒) 0.0(人/㎡・秒)
図 4-1-1-1 滞在位置分布マップの作成方法
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-1-1-7 ∼図 4-1-1-9 は、平常時の 13:00 ∼ 13:15、 13:30 ∼ 13:45、14:00 ∼ 14:15 までの 1・2番線ホーム における駅の利用者の滞在位置の平均値をプロットしたも のである。また、図 4-1-1-10 は平常時の滞在位置の平均値 を示したものである。
図 4-1-1-2 平常時 13:00 ∼ 13:15 までの平均滞在位置
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第四章 調査結果
図 4-1-1-3 平常時 13:30 ∼ 13:45 までの平均滞在位置
図 4-1-1-4 平常時 14:00 ∼ 14:15 までの平均滞在位置 駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-1-1-5 平常時の平均滞在位置 平常時の平均滞在位置から読み取れること ・全体的にばらついていることが分かる。 ・エスカレータ付近が少し込んでいてキオスクの手前は比較的密 度に余裕があることが読み取れる。 ・階段付近では人が少ないことが分かる。
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第四章 調査結果
4-1-2 コンサート開催時の滞在位置結果
図 4-1-2-1 ∼図 4-1-2-3 は、コンサート開催時の 13:00 ∼ 13:15、13:30 ∼ 13:45、14:00 ∼ 14:15 までの 1・2番線ホー ムにおける滞在位置の平均値をプロットしたものである。紫の 場所はコンサート会場を示している。また、図 4-1-2-4 は、コ ンサート開催時の平均値を示したものである。下図の紫の場所 はコンサート会場を表しているもので、緑の場所はコンサート の観客の椅子を表している。
図 4-1-2-1 13:00 ∼ 13:15 までの滞在位置
図 4-1-2-1 演奏時 13:00 ∼ 13:15 までの滞在位置
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-1-2-2 演奏時 13:30 ∼ 13:45 までの平均滞在位置
図 4-1-2-3 演奏時 14:00 ∼ 14:15 までの平均滞在位置 駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-1-2-4 演奏時の平均滞在位置
演奏時の平均滞在位置から分かること ・コンサートが演奏されているホームで多くの利用者が電車を 待っている。特に平常時に比べて階段の壁沿いで電車を待つ利用 者が大変増加している。 ・コンサートの演奏とは逆のホームで電車を待つ利用者は減少し ていた。 ・平常時ではエスカレータ付近で多くの利用者が電車を待ってい たが演奏時は減少していた。
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第四章 調査結果
4-2. アンケート結果
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
4-2-1 平常時のアンケート結果
演奏時の 1・2番線ホーム上で電車を待つ駅の利用者に対す るアンケート結果。図 4-2-2-1 と図 4-2-2-2 はアンケート対象 者の詳細。図 4-2-2-3 は両国駅の印象調査の結果である。 アンケート調査実施日
2012 年 10 月 14 日(日曜日)
アンケート調査時間
13:00 14:00
アンケート総数 37 人
図 4-2-1-1 平常時アンケート対象者(性別)
図 4-2-1-2 平常時アンケート対象者(世代別)
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-2-1-3 平常時の駅の利用者による両国駅の印象評価 平常時に両国駅の印象について以上の8点について評価を 行ったところ、上の図のような評価を得た。この評価を基準に して、コンサートによって両国駅の評価がどのように向上しど の点において特に評価されるのかを判断する。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
4-2-2 演奏時のアンケート結果(1・2番線ホーム)
演奏時の 1・2番線ホームで電車を待つ駅の利用者に対する アンケート結果。図 4-2-2-1 と図 4-2-2-2 はアンケート対象者 の詳細。図 4-2-2-3 は両国駅の印象調査の結果である。 アンケート調査実施日
2012 年 10 月 21 日(日曜日)
アンケート調査時間
13:00 14:00
アンケート総数 43 人
図 4-2-1-1 平常時アンケート対象者(性別)
図 4-2-1-2 平常時アンケート対象者(世代別)
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-2-2-3 演奏時の駅の利用者による両国駅の印象評価 演奏時に両国駅の印象について平常時と同様に以上の8点につ いて評価を行ったところ、上の図のような評価を得た。演奏時 は平常時と比べて全ての印象に対して評価を向上させることが 分かり、 特に「親しみやすさ」などでは平常時に比べてコンサー トによって大幅なイメージアップに繫がったと考えらる。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
4-2-3 演奏時のアンケート結果(三番線ホーム)
演奏時の3番線ホームでコンサートを聴いているに観客対す るアンケート結果。図 4-2-3-1 と図 4-2-3-2 はアンケート対象 者の詳細。図 4-2-3-3 は両国駅の印象調査の結果である。 アンケート調査実施日
2012 年 10 月 21 日(日曜日)
アンケート調査時間
13:00 14:00
アンケート総数 25 人
図 4-3-3-1 演奏時三番線ホーム上観客アンケート対象者 (性別)
図 4-3-3-2 演奏時三番線ホーム上観客アンケート対象者 (世代別)
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第四章 調査結果
図 4-3-3-3 演奏時の三番線ホームでの観客のによる両国駅 の印象評価 演奏時に両国駅の印象について平常時と演奏時の 1・2番線 ホーム乗客に対してと同様に以上の8点について評価を行った ところ、上の図のような評価を得た。演奏を座って聴いている 観客には、両国駅は「楽しい」という新たな印象をホーム上の 客より多く感じていることがこの印象評価から読み取ることが 出来る。 以上の3つのデータを考察において比べる。
駅ホームでの群衆分布制御についての研究∼両国駅ホームにおけるコンサートの効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
70
第伍章 分析
第5章
分析
Chapter5 Analysis
5-1 コンサートの視聴範囲の選定 5-2 ESC からの行動分析 5-3 階段からの行動分析
駅ホームでの群衆分布制御似ついての研究∼両国駅ホームにおけるコンサート効果について∼ 早稲田大学理工学部建築学科 渡辺仁史研究室 2012 年度卒業論文
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第伍章 分析
5-1 コンサート視聴範囲の選定
平常時とコンサート演奏時の滞在位置を比較し、演奏時に平 常時より増加している場所を コンサート視聴範囲 (コンサー トを見るために人が集まっている位置)と設定する。図 5-11-1 は平常時と演奏時のホーム上での人口密度を比較して、差 のあったところをマップ化したものである。
図 5-1-1 平常時と演奏時の人口密度の差
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第伍章 分析
行動分析用に新たに対象範囲にグリッドを設ける。横方向に 関しては対象範囲内で両国駅に到着する 2 番線の総武線千葉 方面において 3 号車から6号車までが含まれている。その中 で車輌全体が含まれている 4 号車と 5 号車を対象車輌とする。 (図 5-1-1-2)ここで反対ホームの 1 番線の総武線新宿方面に おいても同様に 5 号車と 6 号車を対象車輌とする。
図 5-1-2 両国駅の車輌停車位置 次にドアに対応するグリッドに名前を付ける。4 号車と 5 号 車はそれぞれ車輌の長さとドアの数が異なっている。その車輌 のドアに対して均等になるようにグリッドを設ける。5 号車の ドアに対応するグリッドを後方から A、B、C、D、E、F、と名 付け、4 号車の後方から 4 つのドアに対応するグリッドを後方 から G、H、I、J、と名付ける。図 5-1-1-3 において英字の下 にあるのが電車のドアである。
図 5-1-3 横方向のグリッドの場所と名称
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第伍章 分析
縦方向は 1 番線と 2 番線の真ん中でホームを 2 等分する。
図 5-1-4 縦方向のグリッドの名前と場所
今回、4 号車の範囲は 4 等分にして、5 号車の車輌は6等分 にするのでグリッドの大きさが場所によって異なってしまう。 そこで滞在位置の分布図とではそれぞれに対して 1㎡あたりの 人口密度がでるように計算の際にそのグリッドの面積で割るこ とにより同じ単位での数値を出すことが可能である。
図 5-1-5 新たなグリッド名と場所 最後に、新しいグリッドの中で、コンサートの視聴範囲とな るのは 2 番線エリアの D、E、H、I、J、の5つである。
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第伍章 分析
最後に、新しいグリッドの中で、コンサートの視聴範囲とな るのは 2 番線エリアの D、E、H、I、J、の5つである。
図 5-1-6 コンサート視聴範囲
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第伍章 分析
5-1-2 ESC からの利用者の行動分析
対象となる利用者は 13:00 14:30 の間に ESC からホーム上 に現れ行動の一部始終が観察された利用者 100 人とする。 行動経緯は次の順で観察する。 ① ESC からホームに到着した利用者が最初に 1 番線エリアと 2番線エリアのどちらに滞在するか確認する。
図 5-2-1 ESC からの利用者の滞在エリアの確認イメージそ の1
②その利用者がそれぞれのうち A J のうちでどの場所に行っ たのかを確認する。
図 5-2-2 ESC からの利用者の滞在エリアの確認イメージそ の2
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第伍章 分析
③電車が到着するとき、利用者がどのエリアから乗車したのか を確認する。
図 5-2-3 乗車位置の確認イメージ
④最後に全体の利用者の内から何人の利用者が乗り過ごしてコ ンサートを聴いていたのかを確認する。
図 5-2-4 乗り過ごし確認のイメージ
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第伍章 分析
図 5-2-5 1番線での滞在位置の割合
図 5-1-2- 6 1 番線での滞在位置の割合
図 5-1-2-7 2番線での滞在位置の割合
図 5-2-8 割合の図との対応マップ
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第伍章 分析
図 5-2-9 ESC からの利用者の滞在位置の分布 上記に示したものは図 5-1-2-1 ∼図 5-1-2-3 までの数値を 視覚化したマップである。これより 1B、2B、2C、1D、1E、 1G、 1I の場所が ESC からの利用者が多く滞在することが分かっ た。また、図 5-1-2-5 は図 5-1-1-6 で示した ESC からコンサー ト視聴範囲に滞在した客の割合である。
図 5-2-10 ESC からの利用者のコンサート視聴範囲で滞在 した客の割合
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第伍章 分析
次に、エリア1(2 番線に乗車する位置)にいた利用者がエ リア2(1番線に乗車する位置)に移動する場合がある。その 割合を求めたものが図 5-2-7 である。
図 5-2-11 エリア 1 で滞在していた客が乗車するエリアの 割合
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第伍章 分析
以下は最終的に乗車するためのホーム上の滞在位置について 示したものである。
図 5-2-12 1番線での乗車位置の割合
図 5-2-13 2番線での乗車位置の割合
図 5-2-14 割合の図との対応マップ
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第伍章 分析
図 5-2-15 ESC からの利用者の乗客位置の分布
図 5-2-15 での単位は一回の電車にそのドアから乗車する平 均の人数である。ESC からの利用者は1番線で乗車する場合は B や C などの ESC から比較的近い位置で乗車するが、2 番線で 乗車する場合は分散されることが分かった。
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第伍章 分析
図 5-2-9 ESC からの利用者の滞在位置の分布
図 5-2-15 ESC からの利用者の乗客位置の分布 滞在位置と乗車位置の分布から 2A、2E、2G で滞在してい た利用者はそれぞれ 1A、1E、1G へと移動して 1 番線へと乗 車していることが分かった。
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第伍章 分析
5-1-3 階段からの行動分析
対象となる客は ESC の行動解析のときと同様、13:00 ∼ 14:15 の間に行動の始終が観察された利用者のみを対象とす る。対象者数は 100 人であった。 解析方法は ESC のときと同様に、滞在位置を明らかにし次 に乗車位置を明らかにする。
図 5-3-1 階段からの縦方向でみたの滞在位置の割合
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第伍章 分析
図 5-3-2 階段からの1番線での滞在位置の割合
図 5-3-3 階段からの 2 番線での滞在位置の割合
図 5-3-4 割合の図との対応マップ
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第伍章 分析
図 5-3-5 階段からの利用者の滞在位置の分布 上図より、1D、1F、2F、1G、2G、1H、1J において他の場 所と比べて滞在していることが分かる。ESC と比べて滞在位置 としての利用の分布が全体的に右に寄っていることが分かる。 また、下に示すものはコンサート視聴範囲で聴いていた利用者 の割合である。
図 5-3-6 階段からの利用者のホーム上での視聴範囲での滞 在する割合
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第伍章 分析
次に、ESC のときと同様に 2 番線ホーム(2 番線に乗車する 位置)にいた利用者が1番線ホーム(1番線に乗車する位置) に移動する場合がある。その割合を求めたものが図 5-1-3-7 で ある。
図 5-3-7 2 番線ホームで滞在していた利用者が乗車するエ リアの割合
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第伍章 分析
図 5-3-8 1番線での乗車位置の割合
図 5-3-9 2番線での乗車位置の割合
図 5-3-10 割合の図との対応マップ
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第伍章 分析
図 5-3-10 階段からの利用者の乗車位置の分布
図 5-3-10 での単位は一回の電車にそのドアから乗車する平 均の人数である。階段からの利用利用者は階段付近に溜まって しまうことが分かる。これは階段から上がった近くにコンサー トの演奏会場があるものと考えられる。 また、対象となった 200 人のうち乗り過ごしてコンサート を見ていた利用者は7人で全体では 3%であった。
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第伍章 分析
図 5-3-5 階段からの客の滞在位置の分布
図 5-3-10 階段からの客の乗客位置の分布
ESC の分析のときと同様に滞在位置と乗車位置での違いが生 じた。特に差が見られたエリアは 1A、1C、1G、1H、1J であっ た。ESC のときとは異なり、階段の脇で滞在し乗車する利用者 が多くいた。
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第伍章 分析
また、ESC と階段の全体のうち利用者のうち 3% の利用者が 乗り過ごしてコンサートを聴いていたことも分かった。
図 5-3-11 乗り過ごしの場所
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第六章 考察
第6章
考察
Chapter6 Consideration
6-1 行動分析の考察
6-1-1 ホーム上利用者の平常時と演奏 時ででの滞在位置の差異
6-1-2 滞在位置と乗車位置との比較 ESC の場合
6-1-3 滞在位置と乗車位置との比較 階段の場合
6-1-4 状態遷移図の考察
62 アンケート分析の考察
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第六章 考察
6.1- 行動分析の考察
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第六章 考察
6-1-1 ホーム上利用者の平常時と演奏時ででの滞在位置の差異
図 6-1-1-1 平常時の滞在位置の分布図
図 6-1-1-2 演奏時の滞在位置の分布図 平常時に比べて演奏時は滞在位置が2番線ホームによってい るとが分かる。これは、コンサートが行われていることにより 電車を待つ時間をコンサートを観て電車を待つ人が多いからだ と考えられる。
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第六章 考察
6-1-2 乗車位置と滞在位置の比較∼ ESC からの場合∼
図 6-1-2-1 ESC からの滞在位置
図 6-1-2-2 ESC からの乗車位置 ESC からの利用者は 2 番線エリアの B と D と E に滞在して いることが分かる。これは演奏に気づいた人が演奏を聴いてい るがコンサート会場まで少し距離があるので D、E に偏ったと 考えられる。また、この利用者の多くは1番線に乗るために乗 車位置は1番線の B と E で乗車することが分かった。
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第六章 考察
6-1-3 乗車位置と滞在位置の比較∼階段からの場合∼
図 6-1-3-1 階段からの滞在位置
図 6-1-3-2 階段からの乗車位置 階段からは階段の直線方向の 2 番線の E、F、G に利用者が 溜まっていることが分かる。これは階段からの利用者がホーム に到着してコンサートに気付いてコンサートを観ながら滞在 するためだと考えられる。乗車場所では1番線の F、G、H が 滞在位置と比べて増加していることが分かる。これは ESC の ときと同様に滞在している場所と乗車する場所がコンサートに よって影響されたのだと考えられる。
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第六章 考察
6-1-4 状態遷移図
状態遷移図によって、階段と ESC からホーム上にきた利用 者がホーム上でどこに滞在して、どこのドアに乗車するのかが 確率のもと図に表すことが出来た。 ESC からホーム上にきた利用者の 50% 近くが2番線の C G の場所に滞在していることが分かった。これは ESC の直線方 向にコンサートが行われていて、ESC を降りて真っ直ぐ歩くこ とをコンサートが誘導しているためだと考えられる。 次に階段からホーム上にきた利用者の 50% 近くが2番線の F J の場所で滞在していることが分かった。これは、階段を上 り終えた付近でコンサートを観ることが可能なのでそのまま滞 在するためと思われる。 最後に、ESC から降りた利用者が2番線の H J の場所に行 かない理由と階段から降りた利用者が2番線の D、E の場所に 行かない理由としては次のように考えられる。ESC からの利用 者と階段からの利用者は中間の F、G の場所に滞在することが 多い。これにより ESC からの利用者も、階段からの利用者も 人溜まりを超えることを避けるので、人だまりの無い方へ向か うのではないかと考えられる。 下の図はホーム上に引いたグリッドと名前。グリッドの中で、 コンサートの視聴範囲と名付けたものは、2 番線エリアの D、E、 H、I、J、の5つである。
図 6-1-4 コンサート視聴範囲とグリッド名
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第六章 考察
6.2- アンケート結果の考察
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第六章 考察
図 6-2-1 アンケート結果のまとめ 両国駅で行ったアンケート結果は次のような結果が見られ た。 ・平常時と演奏時では全ての評価において結果が向上していた。 ・清潔さ、街の顔としての好ましさ、楽しさの3つの点では平 常時に比べて演奏時は大幅に向上した。 ・新しさ、賑やかさ、便利さでは評価があまり向上していなかっ た。 コンサートを行うことで電車の待ち時間を有意義に過ごせる ことは明らかであったが、両国駅のイメージ向上にも繫がるこ とが分かった。また、このコンサート自体の知名度は非常に低 く全体の 20%程であった。これはコンサートが行われている 日が日曜日であることから、ホーム上にいる駅の利用者は両国 付近に住んでいるのではなく、両国に用があってきた人が多い と考える。
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第七章 まとめ
第7章
まとめ
Chapter7 Conclusion
7-1 まとめ 7-2 展望
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第七章 まとめ
7-1. まとめ
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第七章 まとめ
研究目的であった、プラットフォームにおける線路を挟んだ 空き空間でのイベントに対する群集の行動モデルを作成するこ とで、群集の行動制御の可能性があることが分かった。理由と しては、次のことが考えられる。 〈平常時と演奏時の滞在位置〉 平常時の分布がホーム全体にばらけており、エスカレータ周 辺が溜まりやすくなっているのに対し、演奏時ではコンサート の見える位置に滞在が増えている。 〈階段・エスカレータそれぞれからの利用者の行動観察〉 本来の利用者は、エスカレータと階段が向き合っているため、 2つの間のところに人だまりができてしまうが、コンサート演 奏時は演奏を観るため、ホーム上がってから滞在位置までの移 動距離が伸び、人だまりが解消された。また、電車を待つ間、 本来の乗車位置で待機せず、演奏が観える場所で滞在している 人がいた。 以上の結果より、コンサートのような人を惹き付ける心理的 要因によって、群衆分布に影響を与えることが分かった。
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第七章 まとめ
7-2. 展望
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第七章 まとめ
今後、両国国技館でのイベントにおいて1万人規模の観客が 一斉に駅に向かい、ホーム上に人が溢れてしまう時に、本研究 を参考にして、ホームの隅や人の少ない場所の向かい側など 滞留を考慮した場所でコンサートを行うことにより、両国駅で のホーム上の利用者を効率よく分散できるのではないかと考え る。 また、廃線ホームが現在でも残っている場所や、プラット フォームの向野スペースが空いている場所では、今回のような 心理的要因によって群衆分布を行うことが出来るのではないか と考える。
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謝辞 この度は、このような卒業論文を書かせて頂くにあたり各方面に多大なご迷惑をか けてしまったとともに、多くの感謝をここに記したいと思います。 まず、この論文を書かせて頂く機会をくださった渡辺仁史先生に感謝の言葉を述べ たいと思います。ありがとうございました。僕個人としましては、新潟とのプロジェ クトで初めて出張に一人で行かせて頂いたことにとても感謝しています。その当時は、 卒業論文の内容もあやふやでしたが、先生は僕の話を真剣に聞いて下さっていたのが とても嬉しかったです。ありがとうございました。 中村先生は僕の話に多くの派生をもたらし、様々な観点から物事を見る姿勢を教え て下さってとても感謝しています。ありがとうございました。林田先生にいわれた「自 分の好きなことやれば。 」というお言葉にはとても深い意味があったなと今思うとこ ろがあります。 そして多くの研究室の先輩、同期の人にはとても感謝しています。まず、先輩方。 馬淵さんが覚醒していたけつたたきで馬淵さんの一声で大筋が決まりました。その後 の流れなども相談に乗っていただき有難うございました。大杉さんは僕が S 棟で作業 が飽きてきた頃にちょうど現れて、くだらない話に付き合ってくれたことに感謝して います。小池さんは「いく?」っていい頃合いで声をかけて頂きありがとうございま した。そして石井さんとはこの卒論の追い込み期間に長い時間一緒にいてとても有意 義な時間を過ごせました。また、ギャラードの 145km の話をしましょう。同期のみ んなは一緒にいる時間が短かったけど、たまにあうと声をかけてくれたり、誕生日会 をやったりと息抜きが上手な皆さんで、僕もその輪の中にいれば少しは卒論も苦労せ ずに書けたのではないかと今思うと残念です。 また、僕の担当であった余語さんには言葉では有り余るほどの感謝をしています。 S 棟で島流しの刑になっているのをいいことに全く作業が進まないを僕を N 棟へ強制 送還させたり、僕の進行が遅いことを本気で怒ってくれたりと余語さんがいなければ この論文は完成していませんでした。余語さんの他の担当の同期はとても優秀で、余 語さんからすると外れくじでしかなかったかもしれませんが、僕の担当が余語さんで あったことは僕にとっては当たりくじであったように思われます。余呉さんの添削を 何も見ずにもう一回添削をお願いしたり、睡眠時間がやたら長かったりととても手を 焼いていたことだと思います。しかし、最後まで見捨てず、僕の卒論完成を見守って くれたことは、僕の人生で忘れることはないです。ありがとうございました。 最後に、この卒業論文に関わって下さった全ての方に、御礼を申し上げたいと思い ます。ありがとうございました。 2012 年 11 月 5 日 大竹涼土
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参考文献
参考文献
※1 鉄道駅における旅客流動に関する研究 その 1 ホーム上の流動 青木俊幸、安藤恵一郎、大戸広道 日本建築学会学術講演梗概集 E 413-414 1992 年 08 月 413-414 ※2 駅を中心とした魅力ある街づくりについての基礎研究(2) 川合康央、池田岳史、益岡了 日本建築学会大会学術講演梗概集 2010 年 689-670 ※3 駅のネック箇所における群衆歩行の圧縮開放に関する研究 林 田和人、山本昌和、石突光隆、渡辺仁史 日本建築学会関東支部研究 報告集 2008 年 77-80 ※4 鉄道駅における旅客流動に関する研究 その 9 乗車位置選択の 利用者意識調査 河合邦治、青木俊幸、大戸広道 日本建築学会学術 講演梗概集 1999 年 847-848 ※5 都市空間におけるプロモーション活動に集まる見物衆に関する 研究 渡辺英俊、遠田敦、渡辺仁史 日本建築学会大会学術講演梗概 集 2008 年 557-558 ※6 鉄道駅における旅客流動に関する研究 その 10 降車分布 青木俊幸、大戸広道、都築知人 日本建築学会学術講演梗概集 1999 年 849-850 ※7 駅利用者へのアンケート調査 中坂守、西城毅、青木英雄、笠 井 浩 司 社 団 法 人 上 処 理 学 会 研 究 報 告 2004-ITS-16 2004 年 65-69 ※8 駅をスムーズにご利用いただくために、 JR EAST Technical Review No.24-SUMMER.2008 ※9 実測調査に基づく鉄道通勤旅客の行動分析 家田仁、佐野可寸 志 日本行動測量学会大会発表論文妙録集
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参考文献
※10 混雑時のホームにおける乗降方式に関する研究:その1大都 市ターミナル駅における乗降形態と規制方法についての実態調査 安 田健一、江本達哉、竹村則雅、日本建築学会大会学術講演梗概集 1996 年 861-862 ※11 鉄 道 駅 に お け る 旅 客 流 動 に 関 す る 研 究 そ の 10 降者分布 河合邦治、青木俊幸、大戸広道 日本建築学会学術講演梗概集 1999 年 849-850 ※12 鉄道駅における旅客流動に関する研究 その11 乗車分布の 予測 河合邦治、青木俊幸、大戸広道 日本建築学会学術講演梗概集 1999 年 849-850
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