U1310
早稲田大学創造理工学部建築学科卒業論文 指導教授 渡辺仁史
左利きの空間認知論 −利き手により異なる空間選好の検証−
A Space Recognition of Left-handedness − A Verification of Selection Tendencies of Space due to Handedness −
堀坂 藍
Department of Architecture, School of Science and Engineering, Waseda University
はじめに
はじめに
小さいころ、自分が左利きであることが嫌いだった。 周りのみんなと違う方の手でお箸を持ったり、絵を描いたりして 物珍しそうに見られるのが恥ずかしかった。 でも、私はこれから「左利き」とずっと生きていくから 「自分らしさ」として大切にしていかなくちゃ。 少しずつそんなふうに思えるようになっていった。
今では電車のつり革を持つ右手に時計をしている人を見つけると 私はとても嬉しくなる。 「あの人も私とおなじ左利きだ。 」 大学の食堂で左手にお箸を持っている学生を見つけても 左手に持ったペンでクイズに回答する芸能人を見ても あったかい気持ちになる。 そして、マイノリティーの中で生きるこの人たちが もっと暮らしやすい世の中になったら嬉しいと思った。
左利きのためのの道具はたくさん出てきたけれど どうして左利きのための家は無いのだろう。 あってもいいのに。あったら私たちもっと幸せなんだけどな。 そんな思いから、この研究をはじめました。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
目次 Index
第一部:本編 第 1 章 研究概要
002
1-1 用語の定義 1-1-1 「利き」の定義
003
1-1-2 いろいろな「利き」
004
1-2 既往研究 1-2-1 利き手と非利き手の差異に関する研究
005
1-2-2 左利きの特性に言及している研究
007
1-3 研究の目的
008
1-4 研究の流れ
009
第 2 章 研究背景
011
2-1 左利きの割合 2-1-1 日本における左利きの割合
012
2-1-2 世界における左利きの割合
014
2-2 左利きが少数である要因 2-2-1 自然選択説
015
2-2-2 突然変異説
016
2-2-3 種の自己防衛説
017
2-2-4 脳の半球説
018
2-3 利き手を決定する要因 2-3-1 遺伝説
019
2-3-2 矯正説
021
2-3-3 胎内決定説
022
2-4 左利きの弊害 2-4-1 利き手の矯正
023
2-4-2 左利き短命説
025
2-5 左利きを考慮したデザイン 2-5-1 左利き用の商品
028
2-5-2 左利き用の建築
030
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
第 3 章 調 査 1 日常生活における 031 左利きにとっての不便さの調査 3-1 調査1の目的
032
3-2 調査1の方法
033
3-3 調査1の結果
034
3-4 調査1の分析
035
3-5 調査1の考察
039
第 4 章 調 査 2 左利きの空間選好プロセスと 着目要素の調査 4-1 調査 2 の目的
040 041
4-2 調査 2 の方法 4-2-1 調査の概要
042
4-2-2 調査対象者の属性
043
4-2-3 利き手の判定方法
045
4-3 調査 2 の結果
048
4-4 調査 2 の分析 4-4-1 調査対象者の利き手ごとの人数分布
054
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
056
4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析
070
4-5 調査 2 の考察 4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
074
4-5-2 利き手による着目要素の差異
079
第 5 章 まとめ
081
5-1 まとめ
082
5-2 展望
083
参考文献
084
謝辞
086
第二部:資料編
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
第一部
本編
Part Ⅰ
Main Chapter
第1章
研究概要
Chapter 1
Research outline 1-1 用語の定義 1-1-1 「利き」の定義 1-1-2 いろいろな「利き」 1-2 既往研究 1-2-1 利き手と非利き手の差異に関する研究 1-2-2 左利きの特性に言及している研究 1-3 研究の目的 1-4 研究の流れ
1-1-1 「利き」の定義 「利き」については、主な3つの辞典で以下のように述べられて いる。 【文1】 新村出『広辞苑 第六版』 岩波書店、2008 年
【文2】 梅棹忠夫 、金田一春彦 、阪倉 篤義 、日野原重 明『講談社カ ラー版日
きき【利き】:はたらき。また、 能力やはたらきがすぐれていること。 (『広辞苑 第六版』より )【文1】 きき【利】: はたらき。作用。名詞と熟合して、そのはたらきや能 力が特にすぐれている状態や、それを具有する人をあらわす。 「き き腕」「目きき」 「左きき」など。(『国語大辞典』より )【文2】
本 語 大 辞 典 ( 第 二 版 )』 講談社、1995 年
【文3】
きき【利き】: 他の語と複合して、そのはたらきのすぐれているこ との意を表す。(『大辞林』より )【文3】
松村明『大辞林 第三版』 三省堂、2006 年
以上 3 つの辞典により、 「利き」 は 「はたらきや能力が優れている。 」 という意味を有した言辞として理解できる。したがって、本研究で は「利き」を「優れた機能を有すること。 」と定義する。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-1-1 「利き」の定義
1-1 用語の定義
003
第1章 研究概要
人間の「利き」として主に挙げられる、 「利き足」 「利き腕」 「利き手」 については、 『広辞苑 第六版』で以下のように述べられてい る。 【文 1】 ききあし【利き足】: よく働き力の出せる方の足。 ききうで【利き腕】 : よく働き力の出せる方の腕。右腕の場合が多い。 利き手。 ききて【利き手】: 利き腕。他方より多く使う傾向のある左右いず れか一方の手。右手の場合が多い。
以上 3 つの「利き」を含む言辞を整理すると、大きく 2 つの「利 き」の特徴が明らかになった。 1つ目の特徴は、 「利き」が人の器官を示す言辞の連体修飾語と なっていることである。 「利き」は、 「足」や「腕」 、 「手」といった 人の肉体の一部に「優れた機能を有する」という意味を付加してい る。 2つ目の特徴は、 「利き」が左右対を成している言辞を修飾して いることである。人間の特性上、 「足」や「腕」 、 「手」は左右対を 成している。 「利き」は、その対を成すものの片方の優位を示す言 辞として機能している。 つまり、 「利き」とは、前項で定義した「優れた機能を有する」 という意味以上に、人に備わった左右対を成す器官の優劣を示す働 きを有している事が明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-1-2 いろいろな「利き」
1-1-2 いろいろな「利き」
004
第1章 研究概要
1-2-1 利き手と非利き手の差異に関する研究 【包丁操作の研究】 【文4】 立屋敷かおる、鈴木優 子、 宮 下 理 英 子、 今 泉 和彦「包丁による調理 操作のパフォーマンス
包丁を用いて一定時間に大根試料を切ることによって得た試料の 枚数と長さを指標として利き手と非利き手のパフォーマンスと調節 能に差があるか否か、あるとすればどのような違いがあるかを明確
と調節能に対する利き
にすることを目的としている。結果として、大根試料を包丁で切る
手と非利き手の比較と
際の作業量や調節能は利き手が非利き手より明らかに優位であるこ
その解析」『日本調理科 学 会 誌 』vol.39、No.1、 2006 年、pp31-35
とが分かった。そして、この現象は利き手と非利き手との神経筋協 応能の差が主な要因と推定している。 【文4】
【箸使い動作と習熟課程の研究】 【文5】 辺 見 一 男、 辻 田 聡 美 「モーションキャプチャ 手法を用いた箸使い動 作 の 解 析 」『 県 立 長 崎 シーボルト大学国際情 報 学 部 紀 要 第 7 号 』 2006 年、pp19-28
箸で操作するターゲットのサイズを3種類に変化させ、ターゲッ トサイズと箸使いの動作の関係を明らかにし、利き手と非利き手に よる動作および習熟課程を検証することを目的としている。結果と して、難易度が上がるにしたがい箸を立てて操作を行っていること が分かり、箸使い動作の難易度と箸の操作角度の相関が認められた。 また、短時間の訓練で、非利き手の箸動作における習熟効果が明ら かになった。 【文5】
【スローイング動作の研究】 【文6】 滝 澤 裕 治、 今 泉 和 彦、 立屋敷かおる、村上晴 久「スローイングの動 作特性に対する利き手 と非利き手の差」『体力 科学』1992 年、pp756
利き手投げと非利き手投げによる投球の距離及び動作特性の差 と、投距離または投動作と習熟度の関係を明らかにし、片側優位の 発現や調節の機構を明らかにすることを目的としている。結果とし て、投動作の調節能は利き手投げと非利き手投げで著しく異なり、 利き手投げの場合、遠投距離と高い相関が見られた。また、投の熟 練者では、利き手から非利き手への転移(Transfer)は、ほとんど 認められなかった。 【文6】
【文7】 真 家 英 俊、 益 井 洋 子 「小学生の筋力発揮調整 能における利き手・非 利き手間の差に関する 検 討 」『 日 本 体 育 学 会 大 会 予 稿 集 』2011 年、 pp183
【筋力発揮調整能の研究】 最大握力及び筋力発揮調整能を測定することにより、小学生の筋 力発揮調整能における利き手・非利き手間の差を検討することを目 的としている。結果として、最大握力は利き手の方が非利き手に比 べて有意に大きい値を示した。したがって、筋力発揮調整能評価変
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-2-1 利き手と非利き手の差異に関する研究
1-2 既往研究
005
第1章 研究概要
小学校高学年の男子児童における筋力発揮調整能は、利き手・非利 き手間で差異があることを示唆している。 【文7】
【スポーツ選手の筋繊維組成と作業性肥大の研究】 【文8】 真 家 英 俊、 益 井 洋 子 「スポーツ選手の利き 手・非利き手における 筋繊維組成と作業性肥 大」『日本体育学会大会 号 』vol.33、1982 年、 pp290
運動のパフォーマンスに大きく寄与する三角筋の筋繊維の組成や 肥大の仕方を調べ、細胞レベルから見た骨格筋繊維の左右差を明ら かにすることを目的としている。結果として、筋繊維の構成比に左 右差は認められなかったが、筋繊維横断面積は非利き手側よりも利 き手側が大きい傾向にあった。 【文8】
以上の既往研究から、利き手と非利き手を使用する際の機能や能 力の程度に差が生じることが理解できる。また、動作を行う際に、 利き手が非利き手と比較して優れた能力を発揮する傾向がある。し たがって、利き手に適した空間を考察することの有用性が明らかに なった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-2-1 利き手と非利き手の差異に関する研究
数においても利き手の方が非利き手に比べて優れていた。以上から、
006
第1章 研究概要
【握力と歩数からみた動作特性の研究】 【文9】 堤 實、中雄 勇「握力と 歩数からみた利き手の 動作特性」『日本体育学 会大会号』vol.45、1994 年、pp564
各利き手の者の日常生活での諸動作の調査をもとに、日常生活で の利き手の使用状況(機能的・支持的・補助的)について、利き手 と握力・歩数との関係よりみることを目的としている。結果として、 日常生活で右利きの者は右手を機能的により多く使用しているが、 左手は支持的・補助的に右手ほど多く使用していないことが分かっ た。一方、左利きの者は左右の手を機能的にも支持的にもよく使用 しており、左右差がみられないことが明らかになった。 【文9】
【利き手と配置による台所作業パフォーマンスの研究】 【文 10】 今 村 有 一、 城 仁 士「 利 き手と配置による台 所作業のパフォーマ ン ス の 差 異 」『 神 戸 大 学発達科学部研究紀 要 』vol.9(1)、2001 年、 pp129-145
配置の異なる台所での作業に利き手による差異が認められるかと いう点に着目し、一般に台所で行われる作業の大部分を占める「調 理」と「洗浄」という2つの作業パターンについて検討することを 目的としている。結果として、右利きにとって利便性の良い配置が 左利きにはかえって利便性の低い配置となりえることが分かった。 台所作業という具体的・現実的な場面において左利きは右利きとは 明らかに異なる特性を示すことを明らかにしている。 【文 10】
【生活環境デザインにおける特性の研究】 【文 11】 堤 實、中雄 勇「生活環 境デザインにおける左 利き手特性の分析」『デ ザイン学研究 . 研究発 表 大 会 概 要 集 』vol.45、 1998 年、pp176-177
健常者と身体特性の異なる人達を配慮した生活環境の整備が進め られている中で、身体特性の異なるユーザーとして左手利き者に注 目し、左手利き者の問題を明らかにすることを目的としている。結 果として、環境の大多数が右利き手者が行いやすい方向にデザイン されているため、方向性のある道具を使用する行為に困難が生じる ことを明らかにしている。 【文 11】
以上の既往研究から、左手を利き手とする人と右手を利き手とす る人の間には、行動の特性に違いがあることが理解できる。しかし、 これらの研究は道具や設備の一部に注目したものであり、空間全体 に注目して研究したものは無い。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-2-2 左利きの特性に言及している研究
1-2-2 左利きの特性に言及している研究
007
第1章 研究概要
本研究では、 「利き手」の違いによる空間の選好要素をを分析し、 選好を決定するプロセスの差異、さらに着目する要素の差異を明ら かにすることで、左手を利き手とする人に対して建築設計をする際 の視点を提案することを目的とする。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
1-3 研究の目的
1-3 研究の目的
008
第1章 研究概要
1-4 研究の流れ
1-4 研究の流れ 本研究の流れをフローチャートで以下に示す。
「利き手と非利き手の差異」 、 「左利きの特性」に関する既往研究のリサーチ 文献調査
⇩
「利き手に適した空間を考察することの有用性」 、 「空間全体に利きが考慮されていないこと」の発見
【調査1】
⇩
左手を利き手とする人に対する、 「日常生活における左利きにとっての不便さ」の調査 アンケート調査
⇩
「利きによる住み易さ」は体の動きに合わせた位置や 配置に起因することの発見
【調査2】
⇩
左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査 アンケート調査
⇩分析・考察
選好を決定するプロセスの差異、着目する要素の差異を明らかにし、 左手を利き手とする人に対して建築設計をする際の視点を提案する。 図 1. 研究フロー
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
009
第1章 研究概要
010
第1章 研究概要
1-4 研究の流れ
本研究の調査は次のような流れで進める。 第1章 既往研究の文献調査 目的 : 「利き手と非利き手の差異に関する研究」 、 「左利きの特性に言及している研究」の調査 ↓ 第 3 章 「調査 1 日常生活における 左利きにとっての不便さの調査」 目的 :左手を利き手とする人の住み易さに影響与えている 要素の抽出 調査対象:左手を利き手とする人 方法
:インターネット上のアンケート
↓ 第 4 章 「調査 2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査」 目的 : 「利き手」の違いによる、空間の選好を決定するプロ セスの差異と着目要素の差異を明らかにする。 調査対象:左手を利き手とする人、右手を利き手とする人、どち らにも該当しない人 方法
:紙媒体のアンケート
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
第2章
研究背景
Chapter 2
Research background
2-1 左利きの割合 2-1-1 日本における左利きの割合 2-1-2 世界における左利きの割合 2-2 左利きが少数である要因 2-2-1 自然選択説 2-2-2 突然変異説 2-2-3 種の自己防衛説 2-2-4 脳の半球説 2-3 利き手を決定する要因 2-3-1 遺伝説 2-3-2 矯正説 2-3-3 胎内決定説 2-4 左利きの弊害 2-4-1 利き手の矯正 2-4-2 左利き短命説 2-5 左利きを考慮したデザイン 2-5-1 左利き用の商品 2-5-2 左利き用の建築
左利き、右利き、両利きの人口の割合については多くの文献で調 査・記述がなされている。それらから代表的な文献を抽出し、整理 することで、 「日本における左利きの割合」と「世界における左利 きの割合」について述べる。
2-1-1 日本における左利きの割合 (図 2)より、日本人の左利きの割合は子供に多く、成人になる にしたがって少なくなっている。また、女性よりも男性に多くなっ ている。日本人の成人での左利きの割合を大まかに計算すると、男 【文 12】 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』 講談社、1989 年
性で3∼5%、女性で 2 ∼ 3%程度となっている。 【文 12】 また、1972 年から 1979 年に行われた利き手に関する調査に よると、小学生の子どものうち両利きと左利きを合わせたものは 14.8%、13 歳児で 14.6%、15 歳児で 9.0%、大学生で 10.6% であっ
【文 13】 坂野登
た。【文 13】
『かくれた左利きと右 脳』青木書店、1982 年
図 2. 年齢別に見た日本人の左手利きの頻度
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-1-1 日本における左利きの割合
2-1 左利きの割合
012
第2章 研究背景
八田氏らによる、1973 年の調査における左利きの割合は、男子 は 6.2%、女子は 4,2% で、全体としては 4.8% であった。さらに、 1993 年の調査で 1973 年のものと同じ利き手テストを再度実施し、 日本人の利き手の割合の変化を検討した。 (表 1)から明らかなよ うに、女子に限ってであるが、20 年の間に非右利きが統計学的に も有意に増加した。 表 2. 年齢別に表した日本人の利き手の割合(%)
また、年齢群別の利き手の割合を示したものが(表 2)である。 なお、20 歳代の大学生の調査は 1993 年に実施したものであり、 それ以外の中高年者の調査は 2003 年に実施したものである。 (表 2) 【文 14】 八田武志 『左対右 利き手大研究』、 DOJIN 選書、2008 年
から、若年者で非右利きの割合が高く、高齢になるほど右利きの割 合が高いことが分かる。したがって、日本人に関しては右利きであ るべきことへの拘束が減少している、と推測している。 【文 14】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-1-1 日本における左利きの割合
表 1. 利き手の世代間比較(%)
013
第2章 研究背景
世界における左利きの割合を比較すると、最大 25%、最小 1%と 大きな開きが認められるが、これは測定方法と定義の違いによるた めと考えられている。多くのデータや推測値はあるものの、全体を 見ると 3 ∼ 10%程度とする報告が最も多く、実際には人種による 【文 12】 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』
差はあまり無いとされている。 【文 12】 以下に、過去に行われた調査の割合の図表を示す。
講談社、1989 年
図 3. 左手にペンを持つ人の割合
(図 3)は、左手でペンを持つ人の割合を示したものである。オー ストラリアについて見てみると、1890 年頃は 2%であったもの が、70 年後の 1960 年では 13%を上回っている。アメリカでも、 1920 年頃は 3%弱であったものが、1960 年には 12%に増加して いる。この現象に関しては、期間が 100 年に満たない期間である ため、人間の脳の機能が変化したとは考えにくい。むしろ、古くか ら左利きに対して存在していた偏見が減り、社会が左利きに対して 寛容になったためだ、と推察されている。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-1-2 世界における左利きの割合
2-1-2 世界における左利きの割合
014
第2章 研究背景
なぜ左利きが少数なのか、未だに要因の確定には至っていない。 しかし、その問いに対して複数の諸説が発表されている。この項で は、主な 4 つの説について以下に述べる。
2-2-1 自然選択説 【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き
自然選択説とは、心臓が左半身にあるため、戦いの場で右利きの 人間が多く生き残るとする説である。 右利きの戦士は右手に剣を持ち左手に盾を持って戦うため、左半 身にある心臓を盾で守ることができる。一方で、左利きの戦士は左 手に剣を持ち右手に盾を持って戦うので、心臓を危険にさらし致命 傷を追う確率が高くなるとされる。 しかし、この説では心臓の位置が左半身という前提になっている が、実際には身体のほぼ中央にあることが分かっている。また、盾 を使っていた年代や地域は限定される。したがって、盾を使わず弓 や両手剣を使っていた文化圏でも左利きが出ることや、盾がまだな い石器時代から左利きが少数であること、盾が廃れた近代になっ ても左利きが増えないことを説明できないと考えられている。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-2-1 自然選択説
2-2 左利きが少数である要因
015
第2章 研究背景
016
第2章 研究背景
2-2-2 突然変異説
2-2-2 突然変異説 【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ
突然変異説とは、DNA や染色体の異常といった突然変異により
リー百科事典』
左利きが生まれるとする説である。
http://ja.wikipedia.org/
しかし、左利きと右利きの間に DNA や染色体の差異は無いこと
wiki/ 左利き
が証明されており、民間で生まれた都市伝説に近いものであると考 えられる。証明される以前には信じる人が多く、そのために左手に 対するマイナスイメージを生んだとされる。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き
種の自己防衛説とは、急激な環境変化に適応するための多様化の 一種として、左利きが生まれるとする説である。 未知の伝染病や気候変動に遭遇した場合に、生物は多様化するこ とによって全滅を防ごうとすると考えられている。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-2-3 種の自己防衛説
2-2-3 種の自己防衛説
017
第2章 研究背景
018
第2章 研究背景
2-2-4 脳の半球説
2-2-4 脳の半球説 【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き
脳の半球説とは、人間は言語処理をする際に脳の左側を使うため、 脳の左側が制御する右半身の方が発達し、左利きは少数になるとす る説である。 人間以外の霊長類で人間のように複雑な話し言葉を使うものは無 く、利き手の偏りが見られないことからこのように考えられている。 また、言語と作業の処理において、より良い運動神経を要する場合、 脳の片側の半球で判断をした方が、両方の脳を使うよりも効率的で あるとしている。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
個人の利き手を決定する要因は、先天的であるとするものと後天 的であるとするものがあるが、未だに確定的な要因は分かっていな い。 利き手を決定する要因として言及される、主な3つの説を以下で述 べる。
2-3-1 遺伝説 【文 12】 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』 講談社、1989 年
遺伝説とは、両親の利き手が子供の利き手に遺伝するとする説で ある。 前原勝矢氏らが、10歳から29歳までの日本人の男女 7351 名 を対象に調査した結果が(図 4)である。家族に左利きがいる場合 といない場合とを比較すると、家族に左利きがいない人の左利きの 割合は 2-3% であるのに対し、いる場合は男性 10. 1%、女性 8.7% と有意に高率となった。 【文 12】
図 4. 家族の利き手から見た左手利き
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-3-1 遺伝説
2-3 利き手を決定する要因
019
第2章 研究背景
020
第2章 研究背景
2-3-1 遺伝説
【文 12】 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』 講談社、1989 年
次に、左利きが父親か、母親か、兄弟か、姉妹か、それに両親が 共に左利きかの 5 群に分けて、左利きの頻度を調査した。その結 果が(図 5)である。すると、兄弟や姉妹が左利きである場合には、 3∼4%でわずかな増加を示すのみで、非家族性との差は見られな かった。しかし、父または母が左利きである場合には優位に高率と なり、身近な肉親ほど強い影響を受けることが示された。 【文 12】
図 5. 左利きの父母・兄弟姉妹を持つ場合の左利きの出現頻度
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
021
第2章 研究背景
2-3-2 矯正説
2-3-2 矯正説 【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き
矯正説とは、本来は左利きであったが、幼少期に親等の周りの大 人に矯正されることにより右利きとなる説である。 左利きから右利きへの矯正は子供にとって過度のストレスとなり、 吃音といった症状が出てくる可能性がある。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
022
第2章 研究背景
2-3-3 胎内決定説
2-3-3 胎内決定説 【文 16】 『X51.ORG』 http://x51.org/ x/04/07/2252.php
胎内決定説とは、人間の利き手は妊娠10週目の頃に決定してい るという説である。 2004 年、英ベルファストのクイーンズ大学ピーター・ホッパー 博士は、今回の研究にあたり妊娠中の女性 1000 人に超音波走査を 実施した。その結果、10週目から12週目の頃に胎児が右手の親 指を左手よりも頻繁に吸っていた場合、子供はほぼ確実に右利きと して生まれてくるという関係性が明らかになった。 また、博士は10週目の頃の胎内における手の動きと利き手の関 連性について、その他いくつかの発見があったとしている。しかし、 現在のところ脳が手に対してそれらの命令を出しているという証拠 は無く、脳より脊髄反射によるものである可能性が高いと話してい る。【文 16】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-4-1 利き手の矯正 【文 12】 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』 講談社、1989 年
個人差はあるものの多く見られる現象として、年齢が上がる程利 き手の変更は困難になる。そのため、幼少時に周囲の大人が箸や鉛 筆の利き手の変更を行わせようとすることが多い。 しかし、この「矯正」によってうまく腕を動かせない、指導をす る親に叱られるといったストレスがあるため、悪影響は少なくない
【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ
と考えられている。
リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/
表 3. 各国語における、左、左利きの二義的な意味
wiki/ 左利き
(表 3)から分かるように、 かつては世界の地域を問わず左利き を身体障害者と考える人が多く、知的障害の一種のように扱う人も いた。そのため、利き手の矯正は高い比率で行われ、時には体罰を 伴うこともあった。 【文 12】 日本においては、左利きに対する「ぎっちょ」という言葉が存 在するように、かつては左利きに対する偏見を持つ人が多くいた。 「ぎっちょ」は、平安時代の宮廷にあった「毬杖 ( ぎっちょう )」と いう杖で球を打つ遊びが語源の有力な説として主に挙げられる。左 利きの人が左打ちをすると、他の人が打ち返すのが困難であったた め、左打ちする人を特別に「ぎっちょう」と呼んでいた。それがや がて左利きの人を指す蔑称となり、 「ぎっちょ」と省略されるよう になったと考えられている。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-4-1 利き手の矯正
2-4 左利きの弊害
023
第2章 研究背景
024
第2章 研究背景
2-4-1 利き手の矯正
近年では、左利きは障害者ではないことが一般的に知れ渡り、さ らに利き腕も個性のひとつとして受け入れられるようになってき た。そのため、利き手を矯正する親の割合は減少している。 【文 15】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
025
第2章 研究背景
2-4-2 左利き短命説
2-4-2 左利き短命説 【文 14】 八田武志 『左対右 利き手大研究』、 DOJIN 選書、2008 年
1991 年にカナダの研究者であるコレンは、 「左利きは右利き の人に比べて平均寿命が短い。 」という論文を発表した。 【文 14、 15】
【文 15】 『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア フ リー百科事典』 http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き
図 6. 年齢別の右利き率
(図 6)を見ると、明らかに高齢になるほど右利きの割合が増加 している。つまり左利きの割合が減少していることが分かる。この 加齢とともに左利きが減る理由をコレンらが問題にしたところか ら、「左利き短命説」が生まれた。 コレンらが「左利き短命説」を支持する証拠として、3つの根拠 を挙げている。 第一の根拠は、たいていの文化に共通して男子の方が女子よりも 左利きの割合が大きいことである。そして、男子の方が女子よりも 寿命が短いことは一般的な事実であるので、左利きは右利きよりも 寿命が短いと推測している。 第二の根拠は、野球年鑑に基づくものである。1978 年までにア メリカ野球年鑑に記載されている 2271 名の選手の中から、右投げ 右打ちの選手と左投げ左打ちの選手を選び平均死亡年齢を比較し た。すると、右利きの選手は 64.6 歳であるのに対し、左利きの選 手は 64.0 歳であった。この差異は統計学的に有意であり、左利き が短命であることを科学的に断定しても差し支えないとした。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
026
第2章 研究背景
2-4-2 左利き短命説
【文 14】 八田武志 『左対右 利き手大研究』、 DOJIN 選書、2008 年
図 7. 右利き選手と左利き選手の生存率
第二の根拠は、野球年鑑に基づくものである。1978 年までにア メリカ野球年鑑に記載されている 2271 名の選手の中から、右投げ 右打ちの選手と左投げ左打ちの選手を選び平均死亡年齢を比較し た。すると、右利きの選手は 64.6 歳であるのに対し、左利きの選 手は 64.0 歳であった。この差異は統計学的に有意であり、左利き が短命であることを科学的に断定しても差し支えないとした。 (図 7)はより詳細にデータを表したものである。この図から、90 歳を 超えて生存した左利き選手は皆無であることが分かる。左利き選手 は 81 歳が最高であるのに対し、右利き選手では 2.5% が 81% 以上 であり、108 歳を超える選手もいたことが調査から明らかになった。 【文 14】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
027
第2章 研究背景
2-4-2 左利き短命説
【文 14】 八田武志 『左対右 利き手大研究』、 DOJIN 選書、2008 年
図 8. 987 名の無作為抽出で選んだ死亡者の利き手と 平均年齢および性差
第三の理由は、利き手と死亡年齢を親族に問い合わせるという南 カリフォルニアで行われた調査に基づくものである。その結果、 (図 8)より女子の平均寿命は 77.4 歳、男子は 71.3 歳で 6 歳ほどの差 があった。データの分析では利き手別の寿命に性差は見られず、右 利きの 75.0 歳に対して左利きは 66.0 歳であった。したがって約 8 年の違いがあることになり、左利きは短命であるとした。 しかしながら、以降に右利きの人に比べて左利きの人が短命であ るという証拠はないことが示唆されている研究もあり、 現在では「左 利き短命説」の信頼性を疑問視する者も少なくない。 【文 14】
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-5-1 左利き用の商品 最近では、左利きを考慮した商品が多く作られている。また、よ り使いやすい商品の開発を目指して、左利きの人の意見を積極的に 取り入れる動きが見られるようになってきている。 【フェリシモ 左利き友の会】 【文 17】 『FELISSIMO』 http://www.felissimo. co.jp/kraso/act/left/
フェリシモは主に女性用の生活雑貨を扱っている通販サイトであ る。 「左利き友の会」では、 「みんなの使いにくいをなくそう」をスロー ガンに左利きの暮らしに関するアンケート調査をホームページ上で 随時行っており、消費者の意見をより良い商品開発に活用している。 【文 17】
図 9. 「フェリシモ 左利き友の会」のホームページ画面
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-5-1 左利き用の商品
2-5 左利きを考慮したデザイン
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第2章 研究背景
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第2章 研究背景
2-5-1 左利き用の商品
【無印良品プロジェクト ハートフル・左利き】 年齢・性別を問わず誰もが使いやすいユニバーサルデザインの観 点から商品開発を目指すプロジェクト。キッチン用品やステーショ ナリーなど具体的な商品についての購入。不満度等について左利き の人を対象に意識調査を行っている。それらの結果をもとに改良さ れた商品のデザインスケッチを提案し、評価を募ることでさらなる 【文 18】 『無印良品 くらしの良
商品の向上に取り組んでいる。 【文 18】
品研究所』 http://www.muji. net/lab/project/lefthandedness/
図 10. 「無印良品プロジェクト ハートフル・左利き」のホームページ画面
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
【ファーニーハースト城(Ferniehurst Castle) 】 【文 19】 『Ferniehirst Castle Home of the Kerrs, Castles Scotland, UK』 http://www.ferniehirst. com
15 世紀後半、スコットランドのジェドバラにサー・トーマス・カー が建設した城である。 カー一族は、ジェッドボローというスコットランドの最南の位置に 拠点を構えており、この地域は、イングランド人との抗争や無法な 掠奪者たちがのさばり、争いの絶えない場所であった。
【文 20】 『doublehand-masters. com』 h t t p : / / w w w . doublehand-masters. com/left-hand/ knowledge/lefty-family. html
カー一族は一族のほとんどが左利きという伝説が残っている。こ の戦国の中において左利きの剣士は大変希少で、その特異な剣技を いかして、勢力を拡大していった。 トーマス・カーの息子であるアンドリュー・カーは自分たちの特 徴である左利きを最大限にいかすために、通常右回りの螺旋階段を 左回りに改造した。これは、右手に剣を持った敵兵に攻め込まれた 場合において、手すりや壁が邪魔になって剣を使えなくするためで あり、逆に左利きではスムーズ闘う事ができるので、簡単に敵を全 滅させることができたと考えられている。 【文 19、20】
図 11. ファーニーハースト城
図 12. ファーニーハースト城平面図
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
2-5-2 左利き用の建築
2-5-2 左利き用の建築
030
第2章 研究背景
第3章
調 査 1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
Chapter 3
Research of inconvenience for left-handedness 3-1 調査1の目的 3-2 調査1の方法 3-3 調査1の結果 3-4 調査1の分析 3-5 調査1の考察
4章「調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査」を 行う前段階として、3章では左手を利き手とする人を対象にアン ケート調査を実施する。本アンケートでは、日常生活において利き 手が左手であることを理由に「不便である」と感じる場面について アンケートを行う。そして、回答から「不便である」と感じる場面 と、その場面に対する回答人数の大小から不便さの度合いを明らか にし、左手を利き手とする人の住み易さに影響与えている要素を抽 出することを目的とする。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
3-1 調査1の目的
3-1 調査1の目的
032
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
次の内容で調査を行った。 ◆日時 :2013 年 8 月 27 日∼ 9 月 3 日 ◆調査対象:左手を利き手とする 10 代∼ 50 代の男女 238 名 ◆調査方法:インターネット上におけるアンケート調査 ( 『 無 料 Web ア ン ケ ー ト /Mr. ア ン ケ ー ト 』(http:// www.smaster.jp) を使用した。
図 13. アンケートに使用した web ページ
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
3-2 調査1の方法
3-2 調査1の方法
033
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
3-3 調査1の結果
3-3 調査1の結果 アンケートの回答内容と回答人数は以下のようになった。 表 4. 調査1 アンケート結果
回答内容 1. 横書きがしづらい 2. 左側に座っている人と肘がぶつかる 3. レードル ( スープ用おたま ) が使いにくい 4. 改札機で Suica のタッチが右側にある 5. 左利き用の物の数が少ない 6. 筆・筆ペンで上手く字が書けない 7. ハサミがよく切れない 8. ペンのインクが出ない 9. 缶切りが使いづらい 10. カメラのシャッターボタンが右側にある 11. 領収書が右開きで書きづらい 12. 外食時の食器、ごはんの並び方 13. 充電しながら携帯使いづらい ( 左に差し込み ) 14. 左頁に問題、右頁に解答欄がある 15. トランプの数字が見えない 16. がま口が開けづらい 17. 急須でお茶を入れづらい 18. 編み物の教本が全て右利き用 19. 自販機の硬貨投入口が右側 20. バネ付きペンが使いづらい 21. 修正テープが使いづらい 22. 医療器具が使えない 23. ペンのロゴが握ると逆になる 24. カッター使いづらい 25. 包丁が切りにくい 26. 左利き用の物の値段が高い 27. ハンディが打ちづらい 28. 斜めのフライ返しが使いづらい 29. リングノートのリングがあたる 30. マーカーを引きづらい 31. マークシートが使いづらい 32. ビデオカメラがぶれる 33. 片手なベが使いづらい 34. 定規の目盛りが読みにくい 35. 左右をとっさに判断できない 36. アイロンがかけづらい ( 右側にコード ) 37. ネクタイを上手く締められない 38. 丸いドアノブが使いづらい 39. ネックレスの留め金 40. 向かいから来た人とぶつかりやすい 41. 制服の胸ポケットが左側にある 合計 ( 人 )
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
034
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
回答人数 ( 人 ) 34 30 24 23 14 9 8 7 6 6 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 238
( 表 4) の回答内容を、左手を利き手とする人が不便さを感じる要 素に着目すると、以下の4つに分類することができた。 ・動作系:利き手である左手を頻繁に動かすために不都合が生じる 等、体を動かす際に不便さを感じるもの。 ・道具系:道具のデザインが左利きの人にとって適しておらず、そ の道具を使用する際に不便さを感じるもの。 ・位置系:設備や物の位置・配置が左利きの人にとって適しておらず、 それらを使用する際に不便さを感じるもの。 ・少数系:左利きの人が右利きの人に比べて少数であるために不都 合が生じ、不便さを感じるもの。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
3-4 調査1の分析
3-4 調査1の分析
035
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
036
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
3-4 調査1の分析
( 表 4) の回答内容を「動作系」 「道具系」 「位置系」 「少数系」の 4つに分類した表を以下に示す。 表 5. アンケート回答内容の4つの分類
分類 動作系
回答内容 1. 横書きがしづらい 2. 左側に座っている人と肘がぶつかる 40. 向かいから来た人とぶつかりやすい 3, レードル ( スープ用おたま ) が使いにくい 6. 筆・筆ペンで上手く字が書けない 7. ハサミがよく切れない 8. ペンのインクが出ない 9. 缶切りが使いづらい 10. カメラのシャッターボタンが右側にある
道具系
位置系
少数系
回答人数 ( 人 ) 34 30 1 24 9 8 7 6 6
11. 領収書が右開きで書きづらい
5
13. 充電しながら携帯使いづらい ( 左に差し込み ) 15. トランプの数字が見えない 16. がま口が開けづらい 17. 急須でお茶を入れづらい 21. 修正テープが使いづらい 22. 医療器具が使えない
5 4 4 4 3 3
23. ペンのロゴが握ると逆になる
3
24. カッター使いづらい 25. 包丁が切りにくい 27. ハンディが打ちづらい 28. 斜めのフライ返しが使いづらい 29. リングノートのリングがあたる 30. マーカーを引きづらい 31. マークシートが使いづらい 32. ビデオカメラがぶれる 33. 片手なベが使いづらい 34. 定規の目盛りが読みにくい 36. アイロンがかけづらい ( 右側にコード ) 38. 丸いドアノブが使いづらい 39. ネックレスの留め金 41. 制服の胸ポケットが左側にある 4. 改札機で Suica のタッチが右側にある 12. 外食時の食器、ごはんの並び方 14. 左頁に問題、右頁に解答欄がある 19. 自販機の硬貨投入口が右側 20. バネ付きペンが使いづらい 5. 左利き用の物の数が少ない 18. 編み物の教本が全て右利き用 26. 左利き用の物の値段が高い 35. 左右をとっさに判断できない 37. ネクタイを上手く締められない
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
3 3 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 23 5 4 4 4 14 4 2 1 1
037
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
3-4 調査1の分析
また、回答内容の合計と回答人数の合計を、4つの分類ごとにそ れぞれ示した表を以下に示す。 表 6. 4つの分類ごとの回答内容の合計と回答人数の合計
回答内容の合計 ( 個 )
回答人数の合計 ( 人 )
動作系
3
65
道具系
28
111
位置系
5
40
少数系
5
22
上記の(表 6)より、 「動作系」は回答内容の合計が3個、回答 人数の合計が65人であった。 「道具系」 は回答内容の合計が28個、 回答人数の合計が111人であった。 「位置系」は回答内容の合計 が 5 個、回答人数の合計が40人であった。 「少数系」は回答内容 の合計が5個、回答人数の合計が22人であった。 4つの分類を回答内容の合計数が大きいものから順に並べると、 「道具系」「位置系」 「少数系」 「動作系」となる。回答内容の合計数 の大きさは、不便さを感じる場面の多さを表す。回答内容の合計数 が大きい程、不便さを感じる場面が多いことを表し、回答内容の合 計数が小さい程、不便さを感じる場面が少ないことを表す。 したがって、4つの分類の中で最も不便さを感じる場面が多いの は「道具系」である。これは、日常生活において、右手で使うこと を想定して作られた道具の種類が多いことを表している。 一方で、4つの分類の中で最も不便さを感じる場面が少ないのは 「動作系」である。これは、利き手である左手を使う際に不便さを 感じる場面は、日常生活において限定されることを表している。 (表 5)と(表 6)より、 「動作系」に着目すると、他の3つの分 類と比較して回答内容の合計数は小さいが、1つの回答内容にに対 する回答人数が多い傾向にある。したがって、日常生活において体 を動かす際には、同じ場面で不便さを感じる人が多い。つまり、不 便さの度合いは大きいと考えられる。 一方で、「道具系」に着目すると、他の3つの分類と比較して回
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
038
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
3-4 調査1の分析
答内容の合計数は大きいが、1つの回答内容に対する回答人数には ばらつきが見られ、特に回答人数が5人以下の少数がである傾向が 強い。したがって、日常生活において道具を使用する際に同じ場面 で不便さを感じる人は少ない。つまり、不便さを感じる場面には個 人差が大きいとみられる。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
調査1では、左手を利き手とする人にとっての住み易さに影響を 与えている4つの要素を抽出することができた。その要素とは、 「動 作」「道具」 「設備や物の位置・配置」 「左利きが少数であること」 である。 また、日常生活における同じ場面で不便さを感じる程度が最も大 きい「動作」の要素は、他の要素と比較して住み易さに及ぼす影響 が大きいと考えられる。つまり、 「動作系」の場面を1つ1つ解決 して住み易さの向上を図ることは、対策に要する労力に比べて効果 が大きいと推察される。 一方で、日常生活において不便さを感じる場面や程度にばらつき が見られる「道具」の要素は、他の要素と比較して住み易さに及ぼ す影響は個人差が大きい。つまり、 「道具系」の場面を1つ1つ解 決して住み易さの向上を図ることは、対策にかかる労力に比べて効 果が小さいと推察される。また、2章5節より最近では左利きを考 慮した道具が多く作られているため、道具の使用による不便さの改 善は進んでおり、容易に行われやすいと考えられる。 したがって、より大きな効果をあげるために特化して解決をして いくべき場面は、 「動作系」の場面であると考えられる。そして、 「動 作に合わせた位置・配置」が、左手を利き手とする人にとっての住 み易さに大きな影響を及ぼしている、と推察する。以上により、調 査1の目的が達成されたといえる。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
3-5 調査1の考察
3-5 調査1の考察
039
第3章 調査1 日常生活における左利きにとっての不便さの調査
第 4 章
Chapter 4
調 査 2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査 Research of selection process and attention in space of left-handedness 4-1 調査 2 の目的 4-2 調査 2 の方法 4-2-1 調査の概要 4-2-2 調査対象者の属性 4-2-3 利き手の判定方法 4-3 調査 2 の結果 4-4 調査 2 の分析 4-4-1 調査対象者の利き手ごとの 人数分布 4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析 4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析 4-5 調査 2 の考察 4-5-1 利き手による選好プロセスの差異 4-5-2 利き手による着目要素の差異
3章では、左手を利き手とする人にとっての住み易さに影響を与 えている、「動作」 「道具」 「設備や物の位置・配置」 「左利きが少数 であること」の4つの要素を抽出することができた。その中でも、 日常生活における「動作」を伴った場面に特化して着目することが、 左利きに適した空間を提案する効果が大きいことが推察された。 しかしながら、左利きがどのように空間の選好を行い、また具体 的にどのような要素に着目しているのかが明らかになったわけでは ない。4章では、左手を利き手とする人、右手を利き手とする人、 そのどちらにも該当しない人を対象に「空間の選好」を問うアンケー トを行う。そして、結果から「利き手」毎に好まれる空間の具体的 な要素を抽出し、それらから「空間の選好」のプロセスの違いと、 着目している要素の違いを明らかにすることを目的とする。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-1 調査 2 の目的
4-1 調査2の目的
041
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-2-1 調査の概要 次の内容で調査を行った。 ◆日時 :2013 年 10 月 2,3,4,7,16 日(5 日間) ◆調査対象:大学生 (18 歳∼ 22 歳 ) 男性 17 名、女性 16 名、計 33 名 (うち、建築系学生男性 7 名、女性 11 名、計 18 名) ◆調査方法:紙媒体のアンケート ◆使用器具:アンケート用紙、筆記用具 調査対象者に対し、第二部資料編に記載した合計8ページにわた るアンケートを実施した。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-2-1 調査の概要
4-2 調査2の方法
042
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-2-2 調査対象者の属性
4-2-2 調査対象者の属性 【性別】 調査対象者の男女の人数と、その比率を以下に示す。 表 7. 調査対象者の性別
性別 男 女 合計
人数 ( 人 ) 17 16 33
図 14. 調査対象者の男女比率
本調査では、男性の比率が 52%、女性の比率が 48%とした。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-2-2 調査対象者の属性
【所属】 調査対象者の所属人数と、その比率以下に示す。 表 8. 調査対象者の所属
所属 創造理工学部建築学科 教育学部 社会科学部 商学部 政治経済学部 国際教養学部 文化構想学部 無回答 合計
人数(人) 18 4 3 3 2 1 1 1 33
図 15. 調査対象者の所属の比率
本調査では、調査対象者の所属の比率を大きい順序に並べると、 創造理工学部建築学科が 55%、教育学部が 12%、社会学部と商学 部が 9%、政治経済学部が 6%、 国際教養学部と文化構想学部が 3%、 無回答が3%でとなった。他の学部学科と比較して、図面の読み取 りや空間の把握に比較的慣れていると考えられる創造理工学部建築 学科の人が最も大きい割合の調査となった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
利き手の判定方法として主に使用される、3つのテストを以下に 述べる。 【文 20】 「doublehand-masters. com」 h t t p : / / w w w . doublehand-masters. com/extra/test.html
【エディンバラ利き手テスト】 【文 20,21】 「エディンバラ利き手テスト」とは、1970 年代に作成された利 き手判定方法である。テストでは、それぞれの調査項目でどちらの 側(の手、足、目)を使うかを調べ、その点数により利き手および その利き手度(ラテラリティ係数=側性係数 Laterality Quatient:
【文 21】 「左利きを考える レフ
LQ)を判定する。
ティやすおの左組通信 L e f t y
Y a s u o ' s
H I D A R I G U M I Announcement」 http://homepage3.nifty. com/lefty-yasuo/index. html
〈調査項目〉 1. 書く 2. 描く 3. 投げる 4. はさみ 5. 歯ブラシ 6. ナイフ 7. スプーン 8. ほうき 9. マッチをする 10. 箱を開ける 11. 蹴る時の足 12. 片目で見る時 〈判定方法〉 常に決まって右手を使う場合は「右に2点」 、常に決まって左手 を使う場合は「左に2点」 、おおかた右手を使う場合は「右に1点」 、 おおかた左手を使う場合は「左に1点」 、左右どちらの手も使う場 合は「右と左の両方に1点」をそれぞれの調査項目の結果に対して 振る。右と左それぞれの側の点数を合計し、その合計点の(右−左) を(右+左)で割り、その値が「プラス」の場合は「右利き」 、 「マ イナス」の場合では「左利き」と判定する。また、その値が利き手 度(ラテラリティ係数=側性係数 Laterality Quatient: LQ)であり、 +の値が大きければ右利き、−の値が大きければ左利きに偏ってい ることになる。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-2-3 利き手の判定方法
4-2-3 利き手の判定方法
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-2-3 利き手の判定方法
【文 21】 「左利きを考える レフ ティやすおの左組通信 L e f t y
Y a s u o ' s
H I D A R I G U M I Announcement」
【チャップマン利き手テスト】 【文 21,22】 「チャップマン利き手テスト」とは、1987 年に作成された利き 手判定方法である。テストでは、それぞれの調査項目でどちらの手 を使うかを調べ、その点数により利き手を判定する。
http://homepage3.nifty. com/lefty-yasuo/index. html
〈調査項目〉 1. 絵をかく
【文 22】 八田武志『左利きの神 経心理学』医歯薬出版、 1996 年
2. 文字をかく 3. せん抜きを使う 4. 雪玉を木をめがけて投げる 5. カナヅチを使う 6. 歯ブラシを使う 7. ドライバーを使う 8. 消しゴムを使う 9. テニスラケットを使う 10. ハサミを使う 11. マッチをするとき軸をもつ 12. ペンキの缶をまぜる 13. バットを振る前にのせるほうの肩 〈判定方法〉 右手を使う場合は「1 点」 、左右どちらの手も使う場合は「2点」 、 左手を使う場合は「3点」をそれぞれの調査項目の結果に対して割 り当てる。 合計点数が 13 点∼ 17 点の場合は「右利き」 、18 点∼ 32 点の 場合は「両利き」 、33 点∼ 39 点の場合は「左利き」と判定する。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
「左利きを考える レフ ティやすおの左組通信 L e f t y
Y a s u o ' s
H I D A R I G U M I
【H.N. 利き手テスト】 【文 21,22】 「H.N. 利き手テスト」は、前記の「エディンバラ利き手」は、社 会的文化的影響を強く受けている日本人の利き手を正しく判断で
Announcement」
きないという考えによって作成された利き手判定方法である。 「エ
http://homepage3.nifty.
ディンバラ利き手テスト」から文字や絵を書/描く動作、およびナ
com/lefty-yasuo/index. html
イフやスプーンあるいは箸を使うといった摂食に関わる動作を割愛 して、いわゆる「矯正」の影響を省こうとしている。八田武志・中
【文 22】 八田武志『左利きの神 経心理学』医歯薬出版、 1996 年
塚善次郎氏によって作成されたため、その頭文字をとって「H.N. 利 き手テスト」と呼ばれている。テストでは、それぞれの調査項目で どちらの手を使うかを調べ、その点数により利き手を判定する。 〈調査項目〉 1. 消しゴムはどちらの手に持って消しますか? 2. マッチをするのに軸はどちらの手に持ちますか? 3. ハサミはどちらの手に持って使いますか? 4. 押しピンはどちらの手に持って押しますか? 5. 果物の皮をむくときナイフはどちらの手に持ちますか? 6. ネジまわしはどちらの手に持って使いますか? 7. クギを打つときカナヅチはどちらの手に持ちますか? 8. カミソリ、または口紅はどちらの手に持って使いますか? 9. 歯をみがくとき歯ブラシはどちらの手に持って使いますか? 10. ボールを投げるのはどちらの手ですか? 〈判定方法〉 左手を使う場合は「− 1 点」 、どちらでもない場合(どちらとも いえない場合)は「0点」 、右手を使う場合は「+1点」をそれぞ れの調査項目の結果に対して割り当てる。 合計点数が(−4)点以下の場合は「左利き」 (−3)点∼(+7) 、 点の場合は「両利き」 (+8)点以上の場合は「右利き」と判定する。 、
本調査では、日本人の利き手を正しく判断できるように「エディ ンバラ利き手テスト」を修正した、 「H.N. 利き手テスト」を用いて 調査対象者の利き手を判定することとする。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-2-3 利き手の判定方法
【文 21】
047
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
4-3 調査2の結果 【利き手】 「H.N. 利き手テスト」で判定した調査対象者の利き手と、その比 率を以下に示す。
表 9. 調査対象者の利き手
利き手 右利き 左利き 両利き 合計
人数 ( 人 ) 15 9 9 33
図 16. 調査対象者の利き手の比率
本調査では、調査対象者の利き手の比率を大きい順序に並べると、 右利きが 46%、左利きと両利きが共に 27%であった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
048
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
049
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
表 10. 調査対象者の利き手テストの点数
点数 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 合計
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
人数(人) 4 0 3 0 1 0 1 0 0 0 3 0 0 0 3 0 3 0 1 0 14 33
050
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
【利き目】 調査対象者の利き目と、その比率を以下に示す。 表 11. 調査対象者の利き目
利き目 左利き 右利き 合計
人数(人) 19 14 33
図 17. 調査対象者の利き目比率
本調査では、左目を利き目とする人の比率が 52%、右目を利き 目とする人の比率が 48%であった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
051
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
アンケートの集計結果を表で以下に示す。 【2-(1)】 アンケートの選択肢である A とBのうち、A を選択した人の人数 を「A 選択人数(人) 」の列に、 Bを選択した人数を「B選択人数(人) 」 の列に示す。以下、 【2-(2)】から【3-(4)】の結果も同様とする。 表 12. 2-(1) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 4 5 3 12
5 10 6 21
【2-(2)】
表 13. 2-(2) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 2 14 3 19
7 1 6 14
【2-(3)】 表 14. 2-(3) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 3 7 3 13
6 8 6 20
【3-(1)】 表 15. 3-(1) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 3 7 2 12
6 8 7 21
052
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
【3-(2)】 表 16. 3-(2) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 7 7 2 16
2 8 7 17
【3-(3)】 表 17. 3-(3) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 7 10 5 22
2 5 4 11
【3-(4)】 表 18. 3-(4) の利き手ごとの選択人数
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
A選択人数 ( 人 )
B選択人数 ( 人 ) 3 11 5 19
6 4 4 14
【3-(5)】 アンケート用紙上の「現在地」から、左方向に進んで客席に座る ことを選択した人の人数を「左方向選択人数」の列に、右方向に進 んで客席に座ることを選択した人の人数を「右方向選択人数」の列 に示す。 表 19. 3-(5) の利き手ごとの方向選択人
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
左方向選択人数 ( 人 )
右方向選択人数 ( 人 ) 6 9 6 21
3 6 3 12
053
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-3 調査 2 の結果
【3-(6)】 アンケートの「猫の絵を描いてください。 」という質問に対し、 左向きの猫の絵を描いた人の人数を「左向き(人) 」の列に、右向 きの猫の絵を描いた人の人数を「右向き(人) 」の列に、正面を向 いた猫の絵を描いた人の人数を「正面(人) 」の列に示す。アンケー 表 20. 3-(6) の利き手ごとの猫の絵の向き
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
左向き ( 人 )
右向き ( 人 )
4 5 5 14
正面 ( 人 ) 1 0 0 1
4 10 4 18
【3-(7)】 アンケートの「車の絵を描いてください。 」という質問に対し、 左向きの車の絵を描いた人の人数を「左向き(人) 」の列に、右向 きの車の絵を描いた人の人数を「右向き(人) 」の列に、正面を向 いているもしくは向きが判断できない車の絵を描いた人の人数を 「その他(人) 」の列に示す。 表 21. 3-(7) の利き手ごとの車の絵の向き
利き手 左利き 右利き 両利き 全体
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
左向き ( 人 ) 5 8 6 19
右向き ( 人 )
その他 ( 人 ) 2 1 2 5
2 6 1 9
4-4-1 調査対象者の利き手ごとの人数分布
4-4 調査2の分析 4-4-1 調査対象者の利き手ごとの人数分布 (表 10)の結果をグラフで表したものが以下である。
〈左利き〉
〈両利き〉
〈右利き〉
図 18. 調査対象者の利き手テストの点数による人数分
(図 18)において、利き手テストの点数が(− 10)点∼(− 4) 点の場合は左手を利き手とする「左利き」 、 (− 3)点∼7点の場合 は場合は左右の手の利きに大きな差が見られない「両利き」 、 8 点 ∼ 10 点の場合は右手を利き手とする「右利き」と判定されている。 「左利き」の区間である(− 10)点∼(− 4)点に注目すると、 (− 10)点が4人、 (− 8)点が3人、 (− 6)点が 1 人となっている。 つまり、左利きは人数がそれぞれそれ点数に分散している。 「両利き」 の区間である(− 3)点∼ 7 点に注目すると、0 点が 3 人、4 点が 3人、6 点が 3 人となっている。つまり、両利きは人数がそれぞれ の点数に分散している傾向がある。 「右利き」の区間である 8 点∼ 10 点に注目すると、8 点が 1 人、10 点が 14 人となっている。右 利きに関しては人数の分布に偏りがみられ、特に右利きの人の大半 が 10 点に集中していることが分かる。使用した「H.N. 利き手」の 特徴として、点数が低いほど左手を使う頻度が多く、左利き度の偏 りが大きいといえる。一方で、点数が高いほど右手を使う頻度が多 く、右利き度の偏りが大きいといえる。したがって、左利きの人は 左利き度の偏りに個人差がみられ、両利きとの境界も比較的曖昧で あると考えられる。しかし、右利きの人は右利き度の偏りが大きい 人が大多数であり、両利きとの境界は比較的明瞭であると考えられ
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
054
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
方の手を日常生活の中で使用する頻度が高いことが分かった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-1 調査対象者の利き手ごとの人数分布
る。以上から、左利きの人は右利きの人に比べて、利き手ではない
055
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
【2-(1)】 2-(1) における選択肢と、 (表 12)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉
図 19. 2-(1) の選択肢
図 20. 2-(1) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 20)から、 「左利き」 、 「右利き」 、 「両利き」の全ての利き手 について、Aを選択した人の比率はBを選択した人の比率より小さ いことが読み取れる。したがって、全体として利き手に関わらずA よりもBを選好しやすい傾向があることが明らかになった。 また、全体と比較した場合、 「右利き」と「両利き」については AとBそれぞれの選択人数の比率には大きな差が見られないが、 「左 利き」についてはAとB共に選択人数の比率に 10%程度の差があ る。したがって、右利きの人と両利きの人に比べて、左利きの人は
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
056
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
こ こ で は「H.N. 利 き 手 テスト」で左手が利き
Aを選好しやすく、Bを選好しにくい傾向があることが明らかに なった。【注】
手であると判定された 人を「左利きの人」、右 手が利き手であると判 定された人を「右利き の人」、その他の人を「両 利きの人」と記す。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【注】
057
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
2-(2) における選択肢と、 (表 13)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉
図 21. 2-(2) の選択肢
図 22. 2-(2) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 22)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 22.2%、Bを選択した人の比率は 77.8% であり、A を選択した人 の比率は B を選択した人の比率より小さい。つまり、左利きの人 は A よりもBを選好しやすい傾向がある。 「右利き」については A を選択した人の比率は 93.3%、Bを選択した人の比率は 6.7% であ り、A を選択した人の比率は B を選択した人の比率より非常に大 きい。つまり、右利きの人はBよりも A を選好しやすい傾向が極 めて強い。 「両利き」については A を選択した人の比率は 33.3%、 Bを選択した人の比率は 66.7% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比率より小さい。つまり、両利きの人は A より もBを選好しやすい傾向がある。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【2-(2)】
058
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
35% 程度小さく、 「右利き」が 35% 程度大きく、 「両利き」が 25% 程度大きい。したがって、左利きの人は右利きの人と両利きの人に 比べて A を選好しにくく、Bを選好しやすい傾向があることが明 らかになった。 以上のことから、前問の ( 図 19) と比較して、( 図 21) の図面の 選好に与える利き手の影響は大きい事が推察される。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
また、全体と比較すると、A を選択した人の比率は「左利き」が
059
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
2-(3) における選択肢と、 (表 14)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉 【A】 【B】
図 23. 2-(3) の選択肢
図 24. 2-(3) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 24)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 33.3%、Bを選択した人の比率は 66.7% であり、A を選択した人の 比率は B を選択した人の比率より小さい。つまり、左利きの人は A よりもBを選好しやすい傾向がある。 「右利き」については A を選 択した人の比率は 46.7%、Bを選択した人の比率は 53.3% であり、 A を選択した人と B を選択した人の比率に大きな差は見られない。 つまり、右利きの人の選好には傾向が無いことが分かった。 「両利き」 については A を選択した人の比率は 33.3%、Bを選択した人の比
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【2-(3)】
060
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
率より小さい。つまり、両利きの人は A よりもBを選好しやすい 傾向がある。全体として、利き手に関わらず A よりもBを選好し やすい傾向があることが明らかになった。 また、「左利き」と「両利き」を比較すると、AとBそれぞれの 選択人数の比率に差は見られなかった。一方で、 「左利き」と「右 利き」を比較すると、AとB共に選択人数の比率に 15%程度の差 がある。したがって、右利きの人に比べて、左利きの人はAを選好 しにくく、Bを選好しやすい傾向があることが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
率は 66.7% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比
061
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
3-(1) における選択肢と、 (表 15)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉 【A】 【B】
図 25. 3-(1) の選択肢
図 26. 3-(1) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 26)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 33.3%、Bを選択した人の比率は 66.7% であり、A を選択した人 の比率は B を選択した人の比率より小さい。つまり、左利きの人 は A よりもBを選好しやすい傾向がある。 「右利き」については A を選択した人の比率は 46.7%、Bを選択した人の比率は 53.3% であり、A を選択した人と B を選択した人の比率に大きな差は見 られない。つまり、 右利きの人の選好には傾向が無いことが分かっ た。「両利き」については A を選択した人の比率は 22.2%、Bを 選択した人の比率は 77.8% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比率より非常に小さい。つまり、両利きの人は A よりもBを選好しやすい傾向が極めて強い。全体として、利き手 に関わらず A よりもBを選好しやすい傾向があることが明らか
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【3-(1)】
062
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
また、「左利き」と「右利き」を比較すると、AとB共に選択人 数の比率に 15%程度の差がある。 「左利き」と「両利き」を比較す ると、AとB共に 10% 程度の差がある。したがって、右利きの人 に比べて、左利きの人はAを選好しにくく、Bを選好しやすい傾向 がある。さらに、両利きの人に比べて、左利きの人はAを選好しや すく、Bを選好しにくい傾向があることが分かった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
になった。
063
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
3-(2) における選択肢と、 (表 16)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉 【A】 【B】
図 27. 3-(2) の選択肢
図 28. 3-(2) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 28)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 77.8%、Bを選択した人の比率は 22.2% であり、A を選択した人の 比率は B を選択した人の比率より非常に大きい。つまり、左利きの 人は A よりもBを選好しやすい傾向が極めて強い。 「右利き」につ いては A を選択した人の比率は 46.7%、Bを選択した人の比率は 53.3% であり、A を選択した人と B を選択した人の比率に大きな差 は見られない。つまり、右利きの人の選好には傾向が無いことが分 かった。「両利き」については A を選択した人の比率は 22.2%、B を選択した人の比率は 77.8% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比率より非常に小さい。つまり、両利きの人は A よりもBを選好しやすい傾向が極めて強い。以上のことから、利き 手によって選好に違いが出ていることが明らかになり、( 図 28) の
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【3-(2)】
064
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
また、「左利き」と「右利き」を比較すると、AとB共に選択人 数の比率に 30%程度の差がある。 「左利き」と「両利き」を比較す ると、AとB共に 55% 程度の差がある。したがって、右利きの人 と両利きの人に比べて、左利きの人はAを選好しにくく、Bを選好 しやすい傾向が大きいことが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
螺旋階段の選好に与える利き手の影響は大きい事が推察される。
065
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
3-(3) における選択肢と、 (表 17)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉 【A】 【B】
図 29. 3-(3) の選択肢
図 30. 3-(3) の利き手ごとの選択人数の比率
(図 30)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 77.8%、Bを選択した人の比率は 22.2% であり、A を選択した人の 比率は B を選択した人の比率より非常に大きい。つまり、左利き の人は A よりもBを選好しやすい傾向が極めて強い。 「右利き」に ついては A を選択した人の比率は 66.7%、Bを選択した人の比率 は 33.3% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比率 より非常に大きい。つまり、A よりもBを選好しやすい傾向が極め て強い。右利きの人の選好には傾向が無いことが分かった。 「両利き」 については A を選択した人の比率は 22.2%、Bを選択した人の比 率は 77.8% であり、A を選択した人の比率は B を選択した人の比 率より非常に小さい。つまり、両利きの人は A よりもBを選好し やすい傾向が極めて強い。全体として、利き手に関わらず A より もBを選好しやすい傾向があることが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【3-(3)】
066
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
数の比率に 10%程度の差がある。 「左利き」と「両利き」を比較 すると、AとB共に 20% 程度の差がある。したがって、右利きの 人と両利きの人に比べて、左利きの人はAを選好しやすく、Bを 選好しにくい傾向があることが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
また、「左利き」と「右利き」を比較すると、AとB共に選択人
067
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
3-(4) における選択肢と、 (表 18)の結果をグラフで表したもの が以下である。 〈選択肢〉 【A】 【B】
図 31. 3-(4) の選択肢
図 32. 3-(4) の利き手ごとの選択人数の比
(図 32)から「左利き」については、A を選択した人の比率は 33.3%、Bを選択した人の比率は 66.7% であり、A を選択した人の 比率は B を選択した人の比率より小さい。つまり、左利きの人は A よりもBを選好しやすい傾向がある。 「右利き」については、A を 選択した人の比率は 73.3%、 Bを選択した人の比率は 26.7% であり、 A を選択した人の比率は B を選択した人の比率より非常に大きい。 つまり、右利きの人はBよりも A を選好しやすい傾向が極めて強い。 「両利き」については A を選択した人の比率は 55.6%、Bを選択し た人の比率は 44.4% であり、A を選択した人と B を選択した人の 比率に大きな差は見られない。つまり、両利きの人の選好には傾向
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
【3-(4)】
068
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
いが出ていることが明らかになり、( 図 31) の扉の選好に与える利 き手の影響は大きい事が推察される。 また、「左利き」と「右利き」を比較すると、AとB共に選択人 数の比率に 30%程度の差がある。 「左利き」と「両利き」を比較す ると、AとB共に 55% 程度の差がある。したがって、右利きの人 と両利きの人に比べて、左利きの人はAを選好しにくく、Bを選好 しやすい傾向が大きいことが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-2 利き手ごとの選好傾向の分析
が無いことが分かった。以上のことから、利き手によって選好に違
069
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
アンケートにおいて対象者が着目したとして図面上で丸をつけた 範囲と、選好の理由として自由記述した内容が指す範囲を一つにつ き色を 50% の半透明にして重ねた。また、回答に出てくる頻度が 高かった、「馴れ」 「印象」 「動線」に関連した記述をしているもの に関しては、記述の回数分だけ色を重ね、3つそれぞれを図面の下 に表した。したがって、濃くなっているものほど着目度が高いと言 える。 〈「馴れ」に関する記述の例〉 ・自分の今の部屋に似ている ・自宅の配置に似ている ・頻繁に使うドアの向きが自室と同じ 〈「印象」に関する記述の例〉 ・なんとなく落ち着く ・しっくりくる ・直感で良いと感じる 〈「動線」に関する記述の例〉 ・動線が左に向くので進みやすい ・右にどんどん進む方が落ち着く ・反時計回りの動きの方が安定していそう
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析
4-4-3 利き手ごと着目要素の分析
070
第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
〈右利き〉
〈左利き〉
1 1
2 1
〈両利き〉
2 2
1 1
1 1
11 1 1 1
1 11
2 2
〈A〉
3 3
馴れ
動線
印象
2
2
1
3
〈B〉
1
3 3 2
3 3 3
1
3
3
1
1
馴れ
印象
馴れ
印象
1
1
4
2
図 33. 2-(1) の利き手ごとの着目点
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
13
3
4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析
【2-(1)】
071
第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析
【2-(2)】
〈左利き〉
〈両利き〉
〈右利き〉
1
1
〈A〉
1
1 1 2 1 1
1
1
印象
動線
馴れ
印象
動線
馴れ
印象
1
1
2
3
4
1
2
1 1
1
〈B〉
1
1 1
1
印象
動線
馴れ
印象
動線
3
1
1
1
1
図 34. 2-(2) の利き手ごとの着目点
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
072
第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
4-4-3 利き手ごとの着目要素の分析
【2-(3)】
〈右利き〉
〈左利き〉
〈両利き〉
1
1 1 〈A〉
2 2 2
1
2 2 1
2
1 馴れ
印象
馴れ
1
1
1
2 2 1 〈B〉
1 1 1 1 1 1
2
2 2
2 2
2 1
2
2
2 2 2 1
2 2 1
1
3 3 2 1
3 3 3 3
馴れ
印象
直感
4
1
1
図 35. 2-(3) の利き手ごとの着目点
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
073
第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
アンケートにおける利き手テストと 4-4-1 から、両利きの人は左 右の手を使用する場面・頻度が人によって異なる。そのため、図面 や画像を見た場合に頭の中でイメージする状況や動きに個人差があ り、選好の価値基準に一定の傾向が見えにくいと考えられる。そこ で以降の考察では、左右の手の使用率に顕著な偏りがみられる左利 きと右利きに注目し、差異を考察する。
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異 4-4-3 では、色を重ねるためにアンケートの自由記述回答が「図 面上の要素」 、 「馴れ」 、 「印象」 、 「動線」に関するものの4つに分け られた。「図面上の要素」と「動線」に関連した記述をしている者は、 ドアの開く向きや進んで行く方向など、空間内の様子や配置、使い 勝手をイメージしてから選択していると推測される。一方で、 「馴 れ」と「印象」に関連した記述をしている人は、図面を見てあまり 思慮すること無く、感性で選択していると推測される。そこで、 「図 面上の要素」と「馴れ」に関する記述を「考えるプロセスを経て結 論を出す『思考系』 」に分類する。また、 「馴れ」と「印象」に関す る記述を「理屈ではなく感性で結論を出す『直感系』 」に分類する。 そして、(図 33) (図 34) (図 35)における円を「思考系」と「直 感系」に分類して重ね合わせたものを以下の表に示す。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
4-5 調査2の考察
074
第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
表 22. 2-(1):「思考系」と「直感系」に分類した重ね合わせ
7
0
5
2
5
1
5
6
上の(表 22)において、4-4-2 の結果から A とBのうち選択し た人の比率が高かった方のデータ欄を黄色く色付けしている。 さらに、利き手による選好プロセスの傾向を把握するために、重 ねた「思考系」と「直感系」の円の個数の割合を以下に円グラフで 表す。その際に、A とBのうち選好した人の比率が高かった選択肢 のデータを使用する。
16.7% 83.3%
図 36. 2-(1): 左利きの選好プロセスの割合
45.5%
54.5%
図 37. 2-(1): 右利きの選好プロセスの割合
( 図 36) より、左利きの「思考系」の比率は 83.3%、 「直感系」 の比率は 16.7% であり、 「思考系」の比率が高かった。一方で、( 図 37) より右利きの「思考系」の比率は 45.5%、 「直感系」の比率は 54.5% であり、 「直感系」の比率が高かった。 また、左利きと右利きで比較を行うと、左利きは右利きより「思 考系」が 37.8% 高く、 「直感系」が 37.8% 低くなった。 以下、2-(2) と 2-(3) についても同様に表を示す。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
表 23. 2-(2):「思考系」と「直感系」に分類した重ね合わせ
2
1
12
5
5
3
0
1
29.4%
37.5% 62.5% 図 38. 2-(2): 左利きの選好プロセスの割合
70.6% 図 39. 2-(2): 右利きの選好プロセスの割合
( 図 38) より、左利きの「思考系」の比率は 62.5%、 「直感系」 の比率は 37.5% であり、 「思考系」の比率が高かった。( 図 39) より、 右利きの「思考系」の比率は 70.6%、 「直感系」の比率は 29.4% で あり、「思考系」の比率が高かった。 また、左利きと右利きの比較を行うと、左利きは右利きより「思 考系」が 8.1% 低く、 「直感系」が 8.1% 高くなった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
表 24. 2-(3):「思考系」と「直感系」に分類した重ね合わせ
1
2
5
1
7
0
7
5
100%
図 40. 2-(3): 左利きの選好プロセスの割合
41.7% 58.3%
図 41. 2-(3): 右利きの選好プロセスの割合
( 図 40) より、左利きの「思考系」の比率は 100%、 「直感系」の 比率は 0% であり、 「思考系」が全割合を占めた。 (図 41)より、 右利きの「思考系」の比率は 58.3%、 「直感系」の比率は 41.7% で あり、「思考系」の比率が高かった。 また、左利きのと右利きで比較を行うと、左利きは右利きより「思 考系」が 41.7% 高く、 「直感系」は 41.7% 低くなった。 以上の結果から、3つ全ての質問項目において、左利きは「直感 系」よりも「思考系」の割合が高くなることが分かった。したがっ て、左利きの人は「直感」で決断するよりも「思考」するプロセス を経て空間の選好をする、と考えられる。 また、2-(1) と 2-(3) の結果より、左利きと右利きの「直感系」の 比率に着目すると、全体に占める「直感系」の比率が右利きは左利 きよりも明瞭に高いことが読み取れる。2-(2) においては、2-(1) と
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
よりも大きくなっている。これは、2-(2) のみが現代の生活の中で 接する機会が少ない茶室を含む和室であり、不馴れな図面を読み解 くのに「思考」したためであることが推測される。また、左利きと 右利きの比率の差は 8.1% であり、明瞭な差であるとは言い難い。 以上のことから、右利きの人は左利きよりも「直感」で決断するプ ロセスを経て空間の選好をする、と考えられる。 以上、4-5-1 の考察から、 「左利きの人は直感ではなく思考して 空間の選好をするが、右利きの人は左利きの人よりも直感で選好し やすい」という利き手による選好プロセスの違いが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-5-1 利き手による選好プロセスの差異
2-(3) の結果と異なり、右利きの「思考系」が占める比率が左利き
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第4章 調査2 左利きの空間選好プロセスと着目要素の調査
次に、「思考系」と「直感系」のうち、 「思考系」のみに注目し考 察を行う。4-5-1 より、 「思考系」には「図面上の要素」と「動線」 に関するものが分類されている。そして、 (図) 、 (図) 、 (図)にお ける「図面上の要素」と「動線」に関する円のみを抽出し、利き手 によって着目する要素にどのような違いがあるのかを明らかにす る。 まず、(図 33) 、 (図 34) 、 (図 35)における「図面上の要素」と 「動線」に関する円の形状とアンケートの自由回答記述の内容から、 着目する要素を以下の3つに分類することができた。 【A】
【B】
独立の設備に着目
空間や複数の設備の位置関係に着目
【C】
空間の広がり方に着目
図 42. 着目要素の3つの分類
(図 42)において、四角形は扉や台所といった図面内の設備を表 している。 【A】は、 「扉」や「台所」 、 「下足入れ」のような個々の独立した 設備に着目しているものである。 【B】は、 「台所と左側の壁」や「玄 関と右側の空間」といった、空間や複数の設備の位置関係に着目し たものである。 【C】は、 「奥行き」や「複数の設備の集合」など、 広範囲の空間の広がり方に着目しているものである。 これら3つの形状が、選好した図面上でどのくらいの割合で表れ たのかを示したものが、以下の(図 43) 、 (図 44)である。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
4-5-2 利き手による着目要素の差異
4-5-2 利き手による着目要素の差異
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第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
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第4章 調査2 左利きに適した空間要素の調査
4-5-2 利き手による着目要素の差異
図 43. 左利きの着目要素の割合
図 44. 右利きの着目要素の割合
(図 44)より、A が全体に占める比率は 2-(1) で 100%、2-(2) で 33.3%、2-(3) で 66.7% となった。2-(2) においてはBとCの2つ の比率と同値になっているが、2-(1) と 2-(3) においては、それぞ れの項目中で占める比率が最も大きい。したがって、右利きの人は 空間の選好をする際に「独立した設備」に最も着目する、と考えら れる。 一方で、左利きに関しては(図 43)より 2-(1) においては A が 最も高い比率となったが、2-(2) と 2-(3) ではそのような傾向は見 られなかった。したがって、左利きの人は「独立した設備」に最も 注目して空間の選好をするとは限らないと考えられる。 次に、左利きと右利き間でBとCの比率の和を比較する。2-(1) では、左利きのBとCの比率の和は 40% であるのに対し右利きは 0% であり、左利きが 40% 高い比率となった。2-(2) では、左利き のBとCの比率の和は 80% であるのに対し右利きは 66.6% であり、 左利きが 13.4% 高い割合となった。2-(3) では、左利きのBとCの 比率の和は 57.1% であるのに対し右利きは 33.3% であり、左利き が 23.8% 高い割合となった。以上から、2-(1)、2-(2)、2-(3) の全て の項目において、BとCの比率の和は左利きが右利きより高かった。 したがって、左利きの人は右利きの人に比べて「空間や複数の設備 の位置関係」や、 「空間の広がり方」に着目すると考えられる。 以上、4-5-2 の考察から、 「右利きの人は独立した設備に最も着 目して空間の選好をするが、左利きの人は独立した設備に限らず、 位置関係や空間の広がりにも着目し、広範囲に目を向けて選好をす る」という利き手による着目要素の違いが明らかになった。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
第 5 章
Chapter 5
まとめ Conclusion 5-1 まとめ 5-2 展望
参考文献 謝辞
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第 5 章 まとめ
5-1 まとめ
5-1 まとめ 本研究では、 「利き手」の違いによる空間の選好要素をを分析し、 選好を決定するプロセスの差異、さらに着目する要素の差異を明ら かにすることで、左手を利き手とする人に対して建築設計をする際 の視点を提案することを目的とした。 そこで、選好の傾向とその要素を抽出することができるアンケー ト調査を実施した。そして、分析と考察を行った結果、選好を決定 するプロセスの差異と着目する要素の差異についてそれぞれ以下の 事柄が明らかになった。 1. 左利きの人は直感ではなく思考して空間の選好をするが、右利き の人は左利きの人よりも直感で空間の選好をしやすい。 2. 右利きの人は独立した設備に最も着目して空間の選好をするが、 左利きの人は独立した設備に限らず、位置関係や空間の広がりにも 着目し、広範囲に目を向けて空間の選好をする。 以上 2 つの考察により、左手を利き手とする人に対して建築設 計をする際の視点を提示できた。したがって、本研究は一定の成果 を得たと言える。
左利きの空間認知論 ー利き手により異なる空間選好の検証ー
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第 5 章 まとめ
5-2 展望
5-2 展望 「私だけの、私のためのもの」 、というアイデンティティーに即し た生き方を選択できることは、私たちに幸福感をもたらしてくれる。 そういう意味で、左利きがマイノリティーであるために今まであま り重視されてこなかった「利き手」も、 立派なアイデンティティー の1つとなりうる。本研究は、 「利き手」の違いによる空間の選び 方や着目する要素の傾向を明らかにし、 「利き手」毎にに適した空 間を提案する糸口となることができた。しかしながら、 現状では「利 き手」に適した具体的な建築空間が明らかになったわけではない。 今後、実際の設計指針として役立て、より汎用性のある指標とする ために、「利き手」の違いによって表れる特性をより詳細に調査・ 実験し、建築デザインとして活用して行く必要がある。そして、自 分の「利き手」をもとに生き方を選択できる、より幸せな未来が来 ることを望む。
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第 5 章 まとめ
参考文献
参考文献 1)新村出『広辞苑 第六版』岩波書店、2008 年 2)梅棹忠夫 、金田一春彦 、阪倉 篤義 、日野原重明 『講談社カ ラー版日本語大辞典 ( 第二版 )』講談社、1995 年 3)松村明『大辞林 第三版』三省堂、2006 年 4)立屋敷かおる、鈴木優子、宮下理英子、今泉和彦 「包丁による調理操作のパフォーマンスと調節能に対する利き手と 非利き手の比較とその解析」 『日本調理科学会誌』vol.39、No.1、 2006 年、pp31-35 5)辺見一男、辻田聡美「モーションキャプチャ手法を用いた箸使 い動作の解析」 『県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要 第7 号』2006 年、pp19-28 6)滝澤裕治、今泉和彦、立屋敷かおる、村上晴久 「スローイングの動作特性に対する利き手と非利き手の差」『体力科 学』1992 年、pp756 7)真家英俊、益井 洋子 「小学生の筋力発揮調整能における利き手・非利き手間の差に関す る検討」『日本体育学会大会予稿集』2011 年、pp183 8)真家英俊、益井 洋子 「スポーツ選手の利き手・非利き手における筋繊維組成と作業性肥 大」『日本体育学会大会号』vol.33、1982 年、pp290 9)堤 實、中雄 勇 「握力と歩数からみた利き手の動作特性」『日本体育学会大会号』 vol.45、1994 年、pp564 10)今村有一、城仁士 「利き手と配置による台所作業のパフォーマンスの差異」『神戸大学 発達科学部研究紀要』vol.9(1)、2001 年、pp129-145
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第 5 章 まとめ
参考文献
11)堤 實、中雄 勇 「生活環境デザインにおける左利き手特性の分析」 『デザイン学研究 . 研究発表大会概要集』vol.45、1998 年、pp176-177 12)前原勝矢 『右利き・左利きの科学』講談社、1989 年 13)坂野登 『かくれた左利きと右脳』青木書店、1982 年 14)八田武志 『左対右 利き手大研究』 、DOJIN 選書、2008 年 15)『ウィキペディア フリー百科事典』http://ja.wikipedia.org/ wiki/ 左利き、2013 年 10 月 19 日閲覧 16)『X51.ORG』 http://x51.org/x/04/07/2252.php、2013 年 10 月 19 日閲覧 17)『FELISSIMO』http://www.felissimo.co.jp/kraso/act/left/、 2013 年 10 月 13 日閲覧 18)『無印良品 くらしの良品研究所』 、http://www.muji.net/lab/ project/left-handedness/、2013 年 10 月 13 日閲覧 19)『Ferniehirst Castle Home of the Kerrs, Castles Scotland, UK』 http://www.ferniehirst.com、2013 年 10 月 29 日閲覧 20)『doublehand-masters.com』 http://www.doublehand-masters.com/left-hand/knowledge/leftyfamily.html、2013 年 10 月 24 日閲覧 21)「左利きを考える レフティやすおの左組通信 Lefty Yasuo's HIDARIGUMI Announcement」、http://homepage3.nifty.com/leftyyasuo/index.html、2013 年 10 月 24 日閲覧 22)八田武志『左利きの神経心理学』医歯薬出版、1996 年
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