子どもの学習環境における「ついたて」の不透明度と学習集中度

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子どもの学習環境における「ついたて」の不透明度と学習集中度 A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children


はじめに

嬉しいと、笑う 悔しいと、怒る 楽しいと、綻ぶ 哀しいと、泣く 子どもたちは感情を、表情や行動で素直に表現する

そんな彼らに見えている世界は 本当に彼らにとって居心地の良いものなのだろうか 私たち大人にとっての居心地の良さだけで 彼らの世界を作り上げてしまってしまってはいないだろうか

大人になってしまった私の目では見えないその世界を この研究を通じて ほんの少し、覗いてみたいと思った

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children


A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

<本編>

0.

はじめに

1.

研究背景 1-1

1-2

1-3

1-4

2

3

子ども−健常児と障がい児の観点から− 1-1.1

空間認識の違い

1-1.2

TEACCH とは

空間の仕切り 1-2.1

「仕切り」とは

1-2.2

「仕切り」の実例とそれぞれの意義

従来の学習環境と最近の事例 1-3.1

増える個別指導塾

12

1-3.2

増えるリビング学習

16

1-3.3

子どもの現状と今後

18

1-4.1

机上のついたてに関する既往研究

29

1-4.2

本実験のついたて制作の際の参考研究

32

1-4.3

本研究の位置づけ

37

既往研究

研究概要 2-1

用語の定義

38

2-2

研究目的

43

2-3

研究フローチャート

44

実験目的

45

研究方法 3-1 3-2

実験方法 3-2.1 実験概要

46

3-2.2 被験者の決定

47

3-2.3 調査手順

48

3-2.4 教示内容

50

3-2.5 調査基準

51

3-2.6 ついたての配置・カメラの位置の決定

52

3-2.7 実験フローチャート

53

INDEX


5

結果

54

4-1

プリント点数・解答時間

55

4-2

よそ見回数・時間

56

4-3

喋る回数・時間

57

4-4

居眠りした回数・時間

58

4-5

観察様子

59

4-6

口頭アンケート(感想)

60

分析・考察

61

5-1

本実験の有用性

62

5-2

透明度別分析 5-2.1 1回の学習の平均点・1枚当たりの時間からの分

6

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

4

65 69

5-2.2 「よそ見」の行動からの分析

72

5-3

被験者別分析

73

5-4

考察

75

5-5

被験者以外の子供たちの結果からの考察

まとめ 6-1

結論

78

6-2

展望

79

謝辞

82

参考文献

84

<資料編> 1

ついたての制作過程

-1-

保護者宛実験同意書

-2-

各分析結果

-4-

子どもたちの様子の観察

-18-

INDEX


研究背景

研究概要

調査方法

結果

分析・考察

まとめ

参考文献

Research on effective learning environment with varying opacity of the screen

本編



1−1.1 空間認識の違い

*1 電子政府の総

子どもは、広いところで遊ばせたい。そのような言葉が不動産の広告でも使

合窓口イーガフ

われるようになって久しい。実際に幼稚園は、広い教室・広い体育館・広い校

「幼稚園設置基準」 http://law.e-gov. go.jp/htmldata/

庭が重要で、一学級の幼児数や教室の最低面積が定められている。*1 それは環 境的な意味合いも大きいが、教育上必要とも示されている。

S31/S31F0350

彼らはその「一つの教室」で、 「給食を食べ」 「歌を歌い」 「玩具で遊び」 「お

1000032.html

迎えを待つ」。それらは、至極当然のことのように思われるが、そういった複 数の行動を一つの空間で行うことを理解しにくい子どもたちが居る。  彼らの多くは、知的な障がいや自閉傾向をもつ子どもたちである。彼らは、

*2 http://www. newstokyo.jp/ index.php?id=2 NEWS TOKYO 「トップインタ

一つの空間を複数の行為で使用する時、それぞれの行為の整理をすることが苦 手であり、時にはパニックを起こしてしまうこともある。  そのようなことを防ぐために、彼らが通う通園施設では、TEACCH(構造化) の概念が普及し、空間の整理を行っている。

ビュー・若葉会幼 稚園園長 三井富 美子さん」

*3 http://www. o a k l a n d s . hounslow.sch. uk/page/?pid=33 「OAKKANDS school」 about us

図1−1.1(上)健常児が通う幼稚園(若葉会幼稚園)*2   図1−1.2(下)障がいをもつ子どもたちが通う学校(OAKLANDS SCHOOL)*3

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1−1.子ども−健常児と障がい児の観点からー

例えば、図1−1.1のように、健常児が通う幼稚園では、広い空間を教室 として利用するが、障がいをもつ子どもが通う学校は、図1−1.2のように 仕切りを設けて、一つ一つのスペースを区切っている。これは所謂「空間の構 造化」であり、この「構造化」の考え方を含む「TEACCH」に関しては、後に 詳しく述べることにする。

1.研究背景

1


*4「本当の TEAC

*4

A.TEACCH とは

CH」 /内山登紀夫

TEACCH とは、自閉症スペクトラム障がいの子どもたちを支援するための個

/学習研究社

別教育プログラムである。1960 年代にアメリカで生まれたが、世界的にも高

/ 2006.09.21 発 行

く評価され、日本国内でも取り入れられている。  TEACCH は、「Treatment and Educat ion of Aut ist ic and related Communication handicapped Children」の略で、 「自閉症及び関連障がい、関 連領域にコミュニケーションの障がいをもつ子どもの治療と教育」の意味であ るが、治療・教育プログラムだけでなく、家族のための相談・関連職種の育成 までを含めた事業である。  適切な診断・認知能力の評価を行ったうえで、一人一人に即した個別支援プ ログラムを作成し、それに基づいた治療・教育を行ったことが始まりである。 TEACCH では、自閉症児を取り巻く家族・医師・保育者や教師・臨床心理士・ 言語聴覚士など、幅広い領域の支援者がそれぞれの場所でプログラムを実践し ていく。

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1−1.2.TEACCH からみる障がい児の空間認識

1.研究背景

2


B.TEACCH の主な手法=「構造化」

gooside.com/ kizuna/ASD.htm

TEACCH では、自閉症の子どもたちにとっての分かりやすさを重視し、空間

/ NPO 法 人 奈 良

や時間・手段を構造化(可視化)した上で療育を進める。

県自閉症協会「自 閉症スペクトラム の理解と支援」 /門眞一郎

構造とは、いわゆる状況や場面であり、それが明確に伝わるように、一つ一 つを解きほぐしていくことが構造化である。障がいをもたない人が何気なく過 ごしている世界は、様々な構造が重なり合っている。  例えば小学校では一つの教室で、①学習をし、②休み時間を過ごし、③給食 を食べ、④掃除をする。これに対し、自閉症の子どもたちは、 「ここは勉強を する場所のはずなのにどうしてご飯をここで食べるのか?」と自身の経験と認 識にずれが生じ、不安を感じやすくなってしまう。また、その幾つかの構造の 内、どれを取り出して認識するかによって、コミュニケーションにずれが生じ るため、取り出し方が異なる、自閉症児と健常児とでは、同じ行動や認識を共 有しにくくなる。*5  障がいをもたない人が、障がいをもつ人の言動に違和感をもつのと同様に、 障がいをもつ人も一生懸命障がいをもたない人の言動を理解しようとしてい る。障がいをもたない人が、障がいをもつ人の世界を認め、想像することが求 められる。構造化は、その契機となる理論である。

C.構造化の効果  環境(場・空間)のもつ意味 ( 構造 ) を認識しやすくなったり、見通しが立 ちやすくなったりする。これにより、 以下のような効果が見られるようになる。

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*5.http://asn.

①不安や混乱が抑えられ、落ち着いて行動できるようになる。  ②注意集中が容易になり、効率的な学習が進む。  ③地域生活において自立度が高くなる。  ④自分の行動を自分でコントロールできるようになる。

1.研究背景

3


①手順の構造化 「どのように」  歯磨き・洗顔・着替え・入浴・排泄などの身の回りのことも、自分でで きるように教えなければならない。自閉症の子どもは、複雑な手順を必要 とする作業では、一つ一つのことはできても、最後まで通してこなすこと が難しい場合がある。そのようなときは、 手順を細かいステップに分けて、 一段階ずつ絵や写真を使って示すようにする。 これが手順の構造化である。 例えば歯磨きなら、歯ブラシの用意から、歯ブラシの動かし方まで、目で 見て分かるように絵で示して洗面台に貼り出しておくと覚えやすくなる。 ②時間の構造化 「いつ」 「どれだけ」 「なにを」 「終わった後は」  これから、どれくらいの時間、何をするのか。そういったスケジュール が決まっていないと、自閉症の子どもたちは安心できない。また、適当な 時間で切り上げるとか、やるべきことが終わらないから少し時間を延長し ようといった、臨機応変も利かない。そのため、一日の時間割や一週間の スケジュールを決めておき、それに則って行動させるようにする。これが 時間の構造化である。 ③空間の構造化 「どこで」  自閉症の子どもは多用途で自由な空間に入ると、何をしたらよいのかわ からず、混乱してしまう。逆に用途が決まっている場所であれば、ものご とに取り組むことができる。例えば、一つの部屋の中を区切って、それぞ れの空間の用途を定めたり、この机では勉強・このテーブルではお絵描き

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D.構造化の種類

をする、といったような決まりを作ったり、といったように、場所や物ご とに用途を定め、意味づけをすること、これを空間の構造化と呼ぶ。これ により、混乱することが減り、過ごしやすくなる。

1.研究背景

4


E.空間の構造化の例

めの絵で見る構造 化」

①教室内の構造化 *6( 「自閉症児のための絵で見る構造化」より一部簡略化)

/佐々木正美 / 学習研究社 / 2004.02 発行

*7.「 図 解 よ く わ かる自閉症」 /榊原洋一 /ナツメ社 / 2008.02.22 発 行

図1−1.3 教室内の構造化

②家庭内の構造化 *7( 「図解よくわかる自閉症」より一部簡略化)

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*6「自閉症児のた

図1−1.4 家庭内の構造化

1.研究背景

5


F . 構造化の実例

childs.jpn.org/ P 0 5 _ J S N / d i a r y. cgi?page=2 NPO法人チャイ ル ズ  実 践 紹 介 「食卓のついたて」

実際に通園施設や特別支援学校にも見学に伺ったが、至る所で構造化が見ら れた。例えば、ある特別支援学校の高等科では、校舎内に複数ある階段の色を それぞれ変えていたり、調理室の前に前室を作っていたりと、ハードな構造化 が多かった。一方で、ある通園施設では、教室内を可動式の棚で区切ったり、 給食の際についたてを立てて視覚刺激を制御したりと、ソフトな構造化が見ら れた。

図1−1.5 食卓のついたてのイメージ図(左:外側、右:内側)*8

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*8 http://www.

1.研究背景

6


G.構造化の考え方が有効とされる対象児

goo.ne.jp/ bouzan0807/e/

TEACCH は自閉症児を対象としたプログラムであり、構造化の考え方も、多

ba8200a767da34

くの書籍が自閉症児を中心に適用している。ただし、 発達支援を行う現場では、

1989dc0bda9cf16 92e / BOUZAN 工房

自閉症児以外にも、構造化の効果が見直されている。これに関しては、以下三 つの論文からの引用文を掲載する。

「Q:構造化があ わない自閉症のタ イプは ? 」

「構造化があわない自閉症のタイプはありません。自閉症の特 性と個々の特性に応じた構造化を設定します。もちろん他の障 害種にも有効です。特に知的障害や精神障害、高次脳機能障害

*10.『視覚支援と

の方など、以下の特性に対して構造化は有効です。

構造化の工夫、そ

・情報を記憶することの困難さ(特に短期、作業記憶)

して「自分」の成

・情報の理解の困難さ(視覚支援の必要性)

長』/金井孝明 h t t p : / / homepage1.nifty. com/kanaipage/ memoa-19.pdf

・情報の整理統合の困難さ(時間、空間、意味の整理統合)等」 (http://bouzan-note.com/BOUZAN 工房 *9 より引用) 「自閉症スペクトラム障害があったり、知的障害が重度な児童 生徒の生活や学習環境の支援として、一人一人の認知発達や認

*11. 施 設「 も や

知特性に基づいて、視覚支援と構造化の工夫が広く行なわれる

い」における知的

ようになってきている。 」

障害者へのコミュ

(『視覚支援と構造化の工夫、そして「自分」の成長』より引用 *10)

ニケーション支援 /古橋由実子ら

「はたおりグループでは、自閉症ではない知的障害のある方の 活動場所にも、構造化を意図的に取り入れている。一人 1 台ず

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*9.http://blog.

つ専用の机を用意し、他者の動き・物品が気になる方へは、机 と机の間に間仕切りを設置し、視覚刺激を制限している。また、 各自に専用の棚を設け、当日行なう必要な物品のみを提示して いる。」 (「施設「もやい」における知的障害者へのコミュニケーション 支援」より引用 *11)  つまり、構造化の概念は、自閉症の子どもだけにとどまらず、全ての子ども たちに適用することが出来るのである。

1.研究背景

7


1−2.1 「仕切り」とは

*12. 大辞泉「仕切

し ‐ きり【仕切り】

り」

区切ること。また、そのもの。 「ついたてで―を作る」*12

http://kotobank.

(大辞泉 http://kotobank.jp/ より引用)

jp/ より引用

人間が生活する中で、 空間を区切るための「仕切り」は何処にでも存在する。  本研究では、机上における「仕切り」の役目を果たす「ついたて」を調査す るが、そもそも「仕切り」として、どのようなものが有効なのか、特に子ども の視覚的に有効なものはどのようなものが有るのかを見ていく。

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1−2.空間の「仕切り」

1.研究背景

8


A. 不透明の仕切りの実例と意義 *13 http://

プライバシーが必要とされる場所において使用される。障がいをもつ子ども

www.comany.

たちも、視覚刺激を制御できる不透明の仕切りを用いることが多い。

co.jp/case/detail/ case_201006100 93605.html / コ マ ニ ー「 納 入 事 例  中 国 中 央病院」

*14 R-STORE

図1−2.1 不透明の仕切りを利用した病院 *13

「大岡山 side of HAINOKI 101」 http://www. r-store.jp/ room/21414

B. 透明の仕切りの実例と意義  開放感を求める場所において使用される。近年は、デザイナーズマンション などにおいて、風呂やトイレなどを透明の仕切りで覆うものも増えてきている。

*15 http://www. sawamura-rental. com/event/jirei/ サワムラレンタ ル 「パネルご使用の 事例紹介」

図1−2.2 透明の仕切りを利用したマンション *14

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1−2.2 仕切りの実例とそれぞれの意義

C. 半透明の仕切りの実例と意義  不透明におけるプライバシーを守る意義と、透明における開放感の両方を得 られる。自然の光を得ることが出来、圧迫感から解放される。

図1−2.3 半透明の仕切りを利用したオフィス *15

1.研究背景

9


D.枠だけの仕切り

e d u . t o w n . k i b i c h u o .

建築家、小泉雅生氏による吉備高原幼稚園は、子ども、特に幼児には、 「枠

okayama.jp/kibi-

が存在するだけでは『仕切り』としての効果がないこと」を利用した建築であ

ps/ /吉備高原幼稚園 「園区・園の概要」

る。この建築は、木造の立体格子がジャングルジムのような構造体の形を成し て、屋根を支えている。このジャングルジムは 1200㎜四方のモデュールを用 いており、大人の目線では「仕切り」になるものの、幼児の目線では「仕切り」

*17.http://www.

にならず、室内全体が一つの大きな空間として、子どもたちには認識されてい

k-atl.com/

る。*16

/小泉アトリエ 「吉備高原幼稚園」 より画像引用

*18.http://www. hybridmokuzou. jp/column/ preseminar/ preseminar02. html ハイブリッド木造 研究会「木造の可 能性をいろいろな 角度から追求」よ り画像引用

図1−2.4 吉備高原幼稚園における子どもに「見えない仕切り」*17 *18

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*16.http://www.

1.研究背景

10


ある学習塾では、子どもたちが学習するスペースと待合室スペースとが連続 していた。以前はその連続した状態のまま学習を行っていたが、待合室スペー スにいる学習が終わった子どもたちとの視線の行き交いが起こり、結果集中で きない場面がたびたび見られた。そこで、簡易的にレースのカーテンをかけた ところ、視線の行き交いが減り、会話したりよそ見したりする回数が減ったと いう。  レースであるため、視覚刺激の遮断という点では不完全であり、また触れる だけで形を変えるため、自由に動かすことが出来てしまう。だがそれでも、薄 く頼りない一枚の布が、子どもにとっては十分な仕切りになることがこの実例 からわかる。

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E.素材の異なる仕切り

図 1 −2.5 某学習塾におけるレースのカーテンによる「仕切り」

1.研究背景

11


1−3.1.増える個別指導塾

*19 *20 *21

*19.http://resemo

図1−3.1の通り、学習塾・予備校の市場規模は、少子化の影響などから、

m.jp/article/2012/

僅かずつ減少傾向にあると言われる。その一方で個別指導塾の市場規模は年々

10/10/10246.html

増加傾向にある。これは、学習指導要領が改訂されたことによる補習需要の拡

/ Rese Mom「学習

大が、主な要因として挙げられる。特に小学校高学年を対象に英語が必修化さ

塾の市場規模は 2 年 連続拡大」/工藤め

れたことが大きい。

ぐみ

*20.http://www.

(億円)

shopbiz.jp/fc/colum

9600

n/market/40863.

9500

html

9400

/ NIKKEI MESSE

9300

「学習塾業界リポー ト」

学習塾・予備校市場規模

9700

9200 9100 9000

*21.http://bizmako to.jp/makoto/articl es/1107/20/news00 9.html / business media 誠 「 全 国 8000 教 室、 個別指導塾フラン チャイズ最前線を行 く」

(億円)

個別指導塾市場規模

3800 3700 3600 3500 3400 3300

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1−3.従来の学習環境と最近の事例

3200

図 1 −3.1 学習塾数の変遷 *20 (「学習塾業界リポート」より画像引用)

1.研究背景

12


また、個別指導塾の教室内レイアウトを見ると、各々個室が与えられたり、

selmo.jp/sc/

広い教室内をついたて等で細かく区切っていたりと多種多様である。

nagaokatenjin/ 個別学習のセルモ

*23.http://www. reo-research.com/ system/ REO 個別指導塾

*24.http://www. kobetsu.co.jp/ school/detail/33/ 東京個別指導学院

*25.http://www. ichishin.co.jp/ kotaro/ 個太郎塾

図1−3.2 個別指導塾の教室レイアウト例 上段左:個別学習のセルモ *22 上段右:REO 個別指導塾 *23 下段左:東京個別指導学院 *24 下段右:個太郎塾 *25

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*22.http://www.

1.研究背景

13


でも主に4つのタイプに分けられる。 ①「新興グループ」  デジタル教材や小資本開業といった、 これまでにない展開方法をとっている。 ②「老舗グループ」  これまでのノウハウを活かせるという強みがある。最近では、海外展開をす る企業や、他社と提携する企業も増えており、更なる拡大を狙っている様子が 見える。 ③「集団グループ」  集団塾から参入。企業規模という強みから、順調に教室数を増やしている。 ④「異業種グループ」  塾以外の業種から参入してくるグループであり、自社のコンテンツを巧みに 塾用に変換させている。特に東進衛星予備校は、映像授業の老舗として展開し ている。

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また、現在の個別指導塾は、フランチャイズ方式が増えてきており、その中

図1−3.3 個別指導塾の 4 タイプ

1.研究背景

14


なってきた。更に、塾の形態も講師が生徒の前に立ち教える、という形式だけ でなく、映像授業を用いる塾も増えている。今後、少子化により学習塾の市場 規模は縮小していくと見られるが、一方で、表1−3.4に示す通り、不況期 でも保護者は子どもに対する学資投資を削りにくく、生徒・保護者のニーズに 合わせた生き残り競争が激化することが見込まれている。

*26. 電通総研 「ママラボニュー ス vol.1」 http://www. dentsu.co.jp/ dii/project/ mamalabo/pdf/ mamalabo01_2. pdf

図1−3.4 世帯年収が 1 割程度減る場合、母親ができるだけ削減したくないもの *26

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

前述の通り、昨今では大手の集団指導塾も、各社個別指導を展開するように

1.研究背景

15


*27.http://smi-ly.net/ sumai /l i vi ng-study. html 住まい LY 「勉強部屋なんかいら

*27

近年、子どもたちの学習机をリビングに置くことが主流になってきている。 「中学受験に成功した子どもの多くがリビングで勉強していた」という報告が あったことから、一気に広まった考え方である。  彼らは、リビングやダイニング、居間のちゃぶ台などの、必ず家族と顔を合

ない?中学受験をリビ

わせる「家の中のパブリックスペース」で勉強をしており、時にはそういった

ング学習で乗り切る」

場所を転々と動くこともあった。これは最近の私立中入試の問題傾向が、知識 だけで解答できる問題から、子どもたちの考え方を記述させるものへと変化し

*28.「頭のよい子が育

ていったことが大きな要因である。 こういった問題に解答するためには、 コミュ

つ家」

ニケーション能力の向上から得られる「説明能力」が大きく関与している。*28

/四十万靖・渡邊朗子 /文藝春秋 / 2010.03.10

かつては、周囲の人もできるだけ落ち着き、テレビなどの音をかけない環境 こそ、子どもの学習する環境として最適であるという考え方が主流だった。*29

*29.「 集 中 力 が な く、

しかし、このリビング学習の考え方が流布されたことで、あらゆる刺激・誘

机の前に座っていられ

惑の中で勉強することこそ、集中力を磨くことになるとされるようになった。

ない子」

また、親の目が届く場所で、互いに会話をしながら学習することが能率を上げ

/田中久美子

*30. http://

ることに繋がる要因ともされる。  特に幼い子どもは、一人で自室にこもることに寂しさを感じることが多く、

www.kyoeikasai.co.jp/

家族の気配を感じながら学習することが、安心感ややる気を生むと言われてい

kpa/agent/

る。小学生という年代は、自室にこもることで拠り所を得る年代であると同時

monosiri2012-01.htm

に、「かまってほしい」年代でもあるのだ。*28

/共栄火災

ただし、リビングでの学習が効果的であるとはいえ、食卓などで親と対面し

「リビング学習で学力 アップを」

て学習すると、親の表情が気になったり、親からの口出しが多くなったりしや すく、リビングにも食卓ではない学習机を設置することの効果を実感する保護 者が多い。*30

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

1−3.2.増えるリビング学習

1.研究背景

16


だが、実際リビングのような場所では、 兄弟の声やテレビの音などで気が散っ

切れない家族の

たり、勉強にそぐわないものが視界に入る機会も増えたりする。無論、 そういっ

仕切り方」 『All about』 http://allabout.

た場所で学習できることは、集中力が高いと言えるが、何の工夫もされないま ま、リビングに学習机を置いただけでは、特に集中することが苦手な子どもた

co.jp/gm/gc/411

ちにとっては難しいようだ。子どもが集中しやすくなるような簡易的な工夫を

89/

与えて、徐々にそれを無くしていきながら、結果的に集中力が向上する、その ような空間装置が必要になってくる。  例えば、図1−3.5のように、パーテーションや棚で、家族の気配を感じ つつ、学習スペースとしての独立性をもたせるといった工夫もある。全ての情 報をシャットアウトする必要はないが、ある程度の工夫を子どもに親が与える ことも重要なのである。

図1−3.5 リビング学習の場を区切る例 *31 (「切っても切れない家族の仕切り方」より画像引用)

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*31 「 切 っ て も

1.研究背景

17


*32.http://www.

A.子どもの学力低下と集中力との関係性

mext.go.jp/ a_menu/shotou/ gakuryoku/genjo. htm /文部科学省 「子どもたちの学 力の現状」

昨今、子どもの学力が低下していると言われている。表1−3.1、表1− 3.2に示す通り、国際調査などにおいて、日本の学力は国際的に上位にある ものの、低学力層はトップレベルの国々と比較して多く、*32 更に、  1.読解力や判断力、表現力の低さ  2.学習意欲の低さ  3.学校の授業以外の勉強時間の少なさ

*33. 平 成 24 年 度 文部科学白書/文

といった問題点が指摘されている。*33

部科学省

表1−3−1.第4回国際数学・理科教育動向調査結果順位 *34 *34.http://www.

(左)算数 (右)理科

mext.go.jp/ b_menu/shingi/ chukyo/chukyo3/ siryo/ 05010401/005. htm 文部科学省 「国際数学・理科 教育動向調査」

第4回 2003年(平成15年) 国/地域(25) シンガポール 香港 日本 台湾 ベルギー(フラマン語圏) オランダ ラトビア リトアニア ロシア イギリス ハンガリー アメリカ キプロス モルドバ イタリア オーストラリア ニュージーランド スコットランド スロベニア アルメニア ノルウェー イラン フィリピン モロッコ チュニジア (小学校4年)

平均得点 594点 575 565 564 551 540 536 534 532 531 529 518 510 504 503 499 493 490 479 456 451 389 358 347 339

第4回 2003年(平成15年) 国/地域(2 5 ) シンガポール 台湾 日本 香港 イギリス アメリカ ラトビア ハンガリー ロシア オランダ オーストラリア ニュージーランド ベルギー(フラマン語圏) イタリア リトアニア スコットランド モルドバ スロベニア キプロス ノルウェー アルメニア イラン フィリピン チュニジア モロッコ (小学校4年)

平均得点 565点 551 543 542 540 536 532 530 526 525 521 520 518 516 512 502 496 490 480 466 437 414 332 314 304

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

1−3.3 子どもの現状と今後

1.研究背景

18


A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

表1−3−2.国際数学・理科教育動向調査結果 その2*34

1.研究背景

19


ではそもそも学力とは何か。学力には以下のように、3 つの種類があり、こ

intweb.co.jp/

の3つの学力は相互に関連し合っている。*35

teian/gakuryoku_ ishiki.htm / INT「学力向上 を支えるもの」

1.測定しやすい学力 :知識・理解・技能など  2.見えにくい学力  :思考力・読解力・論述力・解決力・表現力など  3.広義の学力    :集中力・コミュニケーション力・知的好奇心など

*36. 子どもの睡眠 /亀井雄一、岩垂

従来の試験は、測定しやすい学力を知ることが目的だったが、昨今の試験は

喜貴

多様化しており、単に知識・理解や技術で解答できる出題は少なくなっている。

*37. 感性評価から

その代わりに、思考力や問題解決力、読解力・表現力が要求される時代になっ

見た学習机の集中

てきているのである。いずれにしても、従来の学力では対応しきれず、教科的

力に関する研究―

学力の基礎基本の上に、総合的な学力をしっかりと形成していく必要がある。

こどもの学習にお

ではこうした学力が低下していると言われる原因は何か。その一つとして、

ける囲み空間の検 証 その1― /西隆明/道垣内 まゆ/浅田育男/ 渡辺仁史/林田和 人

「子どもの集中力の低下」が挙げられている。家庭でも学校でも、集中力を維 持することは学習における基本であるが、 最近は生活習慣の変化などが原因で、 集中することが苦手な子どもが増えている。*36 この改善策として、心理作用や 指導方法といった内面的な部分ばかりが成されており、空間的な指針がないこ とが課題である。*37

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*35.http://www.

1.研究背景

20


B.今後の学校教育−エデュース教育に関する展望−

c-able.ne.jp/ miki-k/kougaku/ keitai2.html / ANY U LIKE「授 業形態」

<現在の授業形態と、今後の授業形態>  現在の学校や塾における授業形態は、  ①集団学習方式 ②小集団学習方式 ③個別学習方式

*39.http://www.

の 3 つが主である。その中でも集団学習方式は学校の現場では公私に関わら

city.hakodate.

ず、基本的な授業形態とされている。しかし近年では、生徒の理解度に合わせ、

hokkaido.jp/

様々な工夫が成されるようになってきた。それぞれの長所と短所は以下のよう

board_of_edu/ shidou/sonota/

になっている。*38 *39

sidousiryou/ sidousiryou21/ wakaru6.pdf / 函

①集団学習方式

館市「学習効果を

一人の教師が学級全員に同一の内容を同一の進度・方法で指導する方式であ

高める学習形態」

り、一般的に公私共に行われている。学習への方向付けなどに用いられること が多い。   長所:多数の生徒を相手に授業をするため、効率がよく、学力の平均化が      可能。      生徒は互いに影響を受けながら学習することが出来る。   短所:教師主導で、生徒が受け身になりやすい。      授業の画一化・形式化に陥りやすい。      多数に対しての授業が行われるため、個人差を視野に入れることが      難しくなってしまう。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*38.http://www.

1.研究背景

21


②小集団学習方式 *40

pref.shimane.

学級内をいくつかのグループに分けて、グループ単位で進める方式。 習熟度

lg.jp/hamada_ec/ k e n k y u / kiyou_houkoku/

別学習がこれにあたり、教師にとっての利便性や、自分の習熟度・理解度にあっ た授業が受けられるという生徒にとってのメリットがあるものの、習熟度で分

jyugyou.data/

けることは差別ではないか、という保護者の声も上がっている。

q16.pdf

ただし、言語活動の充実という視点でも注目されている方法でもあり、小集

/島根県浜田教育

団学習を適切に取り入れることで、子どもたちの学力が向上したという報告も

センター「小集団

ある。

学習などの学習形 態」

長所:少人数のため、それぞれが学習活動に参加しやすくなり、意見      の交流が活発になる。      子どもの興味・関心や習熟の程度に対応可能。      コミュニケーション能力の育成が図られる。   短所:一部の子どもだけで学習が進んでしまう可能性がある。      目標が明確でないと、単なる興味関心だけに陥る場合がある。

③個別学習方式  学級全体での指導を減らし、児童生徒一人一人の能力や興味や関心に応じた 方法で指導する。 個別学習方式は厳密には二種類あり、教師一人に対して生徒 が複数人いる個別指導と、教師一人に対して生徒が一人の個人指導とがある。  個別指導:集団学習方式と教師と生徒の割合が同じながら、教師が教室を巡 回しながら、生徒の質問に受け答えし、生徒一人一人の能力に合わせた授業を

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*40 http://www.

行うことができる指導法。   長所:一人一人の進度に合わせて授業が行える   短所:教師が教室を巡回する間に、他の生徒が放置されがちである。     個人指導:教師がマンツーマンで生徒の指導に当たる。   長所:個人の能力、意欲に応じた方法で個々に応じた指導ができる。   短所:経済的な負担・手間がかかる。

1.研究背景

22


生徒の理解度を深めるため、授業形態は様々に形を変えてきたが、それぞれ

c-able.ne.jp/

に長所も短所も含まれている。集団だけ、個別だけといった画一的な考えでは

miki-k/kougaku/ keitai2.html / ANY U LIKE「授 業形態」

なく、広い視野で授業形態を見ていく必要がある。つまり、授業を行う上で重 要になるのは、生徒に合った授業であるか否かであり、子どもの能力・適性・ 興味・関心・習熟などに合わせて、それぞれの学習形態を適切に取り入れてい くことが大切になってくる。  集団学習は、基礎的・基本的な事項の説明や指示などによって、教師から直 接的に働きかけ、知識や技能を伝える際に効率的であるし、小集団学習で出さ れた意見を学級全体で整理・確認、比較検討していく場合にもこの形態が基本 になる。また、集団学習や小集団学習の前に、個別学習の時間を取り、自分自 身で考えさせたり、小集団学習の途中や集団学習の後に振り返らせたりするこ とも重要になってくる。  例えば、集団学習で課題を把握させ、グループ学習で課題解決の方法を話し 合う、または個別学習で子どもたちそれぞれが自分なりの方法で課題解決に取 り組む。さらに集団学習でその成果を発表しあい、個別学習で定着・復習を行 う。こういった繋がりが、学習の中で大切なのである。*41  同時に、今やる気がない子を、いかにやる気にさせるかが重要で、集団学習 方式では授業に積極的に参加しない子に、小集団学習などで、学習に取り組ま せるような刺激の与え方を考えなければならない。  また、昨今の情報化に伴い、映像授業が用いられることは多くなってきた。 今後、自ら繰り返し再生できるこういった学習方法は広く使われることになる だろう。その際に、集団・小集団・個別の学習方法をどのように混合させてい くかを考えていく必要がある。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*41 http://www.

1.研究背景

23


<学校教育の方針の今後> *42

(引き出し型)教 育の推進のための 試論−動機づけ、 理解させ、納得さ

日本の教育のスタイルは、従来、 「教え込み型」が主流だった。要は、教師 が教壇に立ち、席に座る子どもたちに勉強を教えるといった方法だ。そこで近

せて社会対応力を

年考えられているのが、 「エデュース型」教育である。エデュース型とは、以

育成する教育−/

下のように定義されている。

高橋誠

「エデュース型教育は、生徒の可能性を引きだし、自主思考で問題 解決が出来るようにすることを目的としており、生徒に学びたいと 動機づけ、学んだことを理解・納得・体得させ、社会対応力を育成 する教育のこと。 (エデュース教育の推進のための試論/高橋誠より引用)*42」  このスタイルを実践するためには、5 つの対策が必要となり、その中の一つ が、教室レイアウトであるとされている。このエデュース型教育の考え方は、 閉塞感のある日本の教育改革に一つの解決策として論じられている。  教室レイアウトの種類としては、①全体講義型、②対面講義型、③演習討議 型などがあるが、昨今では②が増えてきている。これは講義やペアでの練習に は有効であるとはいえ、エデュース型教育を成立させるためには、講義中心の レイアウトでなく、教育の手段ごとに最適な教室レイアウトに変化させていく べきである、と言われている。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*42. エ デ ュ ー ス

図1−3.6 教室レイアウトの主な 4 種類 *42 (「エデュース教育の推進のための試論」より画像引用」)

1.研究背景

24


<昨今増えつつあるオープン型教室、その課題> *43 *44

プン型教室に対す る教員の評価/山 口勝巳ら

*44. 教 室 空 間 の オープン化につい て/柳澤要

*45.http://www. s u g i n a m i -

図1−3.7 オープン型教室の例

school.ed.jp/

左:杉並区立杉並第四小学校 *45 中:藤沢市立高砂小学校 *46  右:越谷市立城ノ上小学校 *47

sugi4shoubg/ 2013 / 杉 並 区 立 杉並第四小学校 「施設案内」

*46.http:// eharachieko. cocolog-nifty.

1960 年代の教育の現代化運動を受けて、学校生活にゆとりと充実を与える ため、空間や学習形態のオープン化といった考えが広がるようになり、昨今、 学校などの現場でオープン型教室が増えつつある。その中で、オープン型教室 に対して抱える不安も出てきている。

com/photos/

まず多いのが、音に関する不安だが、それと同時に視線が気になることを挙

primaryschool/

げる声も多い。これは、教室とオープンスペースの境界の形態だけの問題では

phot_07.html

ないが、教員・児童共に感じている人が多い。また、オープン型教室は特別支

/越谷市立城ノ上

援を要する児童には向かないことが多く、対策が必要とされる。児童の個別の

小学校「新しい小 学校の形を考え る」

*47.http://www.

指導の際には、場所を変えるなどの配慮が必要である点も留意点である。  また、教室にとらわれないオープンスペースを設置する学校が増える一方で、 無目的な空間となってしまっている課題もある。その原因として挙げられるの

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*43. 小学校のオー

が、主に以下の三つである。*43

city.fujisawa. kanagawa.jp/ khmb0703/ jiman03.html /藤沢市立高砂小

①他クラスへの騒音・他クラスからの視線を気にする  ②個別・グループ学習などで利用できる十分な家具・コーナーがない  ③オープンスペース自体の面積が小さく、一度に多くの児童が利用できない

学校「学校じまん」

1.研究背景

25


従来のクローズ型教室に慣れてしまった学校側の考え方を改めていかなけれ

の学習・生活空間

ばならない。ただし、視線や騒音といった点が原因になりつつあるという点は、

の音環境に関する 調査研究/上野 佳奈子ら

集中することが苦手な子どもたちにとって、余計な視覚刺激・聴覚刺激が入っ てきやすいということでもあり、熟慮する必要がある。  また、特別支援学級の子どもたちは、特定の授業のみ別の教室で行う、といっ た方法をとることが多く、図工などの作業は共にすることが多い。知的障がい をもつ子どもたちにとってオープン型教室は、訓練の一つとして有用とする見 方もあるものの、自閉症の子どもたちには、空間的に連続している場での認識 を理解しにくい。*48 統合教育が進んでいる今、同じ場で学習を受けるために、 彼らにも配慮していかなければならない。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*48. 障碍児のため

1.研究背景

26


<教室レイアウトと指導法の今後> *49 *50 *51

イアウト選択から

教室内の机は、学校によって様々な配置方法がある。そういった家具レイア

みた教室空間 ― 学習環境における 教室計画に関する

ウトは、個人机の単位ユニットと、その組み合わせ型で決まる。個人机として は、シングル型やペア型の単位ユニットが多く使われている。またシングル型

研究 2 −/松崎

はテストで、ペア型は一斉指導で、コの字型やグループ型は話し合いで、といっ

悟・今井正次・武

たように、作業内容によって頻度高く使われている配置が異なってくる。また、

市洋二

1 年生の間はほとんどの授業が島型の配置になっており、2 年生からは整列型 配置が増えて見られるようになる。

*50. 学習形態に対 応する家具配置に 関する分析/勝山 聡美・太田拓人・ 森田舞・曽山友仁・ 柳澤要

*51. 小学校の習熟 度別授業における 展開授業と学習空 間の利用/桑子杏 奈・宮本文人

*52. 家具レイアウ トからみた教室空 間像/松崎悟・今

図1−3.8 机の配置方法 *52

井正次・小林智樹

(家具レイアウトからみた教室空間像/松崎悟ら より画像引用)

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*49. 教師の家具レ

また、小学校で行われる習熟度別編成の授業は、コースごとでの一斉指導が 主となり、机配置はそれぞれ異なる。  習熟の早い子どもは、問題の答え合わせをし、解き方を検討しあうなど、自 分たちで進める活動が多かったり、読書やゲームなどの自由活動を行う子ども も見られたりする。習熟の遅い子どもには、個別指導が行われることが多く、 他の子どもの視線を避けて、教室脇のスペースや掲示板で囲まれた場所が利用 される。

1.研究背景

27


作業をする際に、隣の子どもとの間に境界がない机配置になることも考えられ る。こういった際に、どのような机配置が成されていても、ついたてを立てる ことで自身の作業に集中できる子どもには、可動式のついたてを用意しておく ことも有用になる。  また、統合保育・教育の効果が見直されつつある昨今、障がいのある子ども たちに対する配慮をしていく必要があり、今後オープン型教室でも有用なつい たてが提案されることが期待される。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

もし、今後、エデュース型教育が学校に広まっていくことになれば、個別で

1.研究背景

28


1−4.1.机上のついたてに関する既往研究

*53. 感性評価から

A.ついたての大きさ *53

見た学習机の集中

西らは、小学生を対象に、早稲田大学西早稲田キャンパスにて、表1−4. 1

力に関する研究― こどもの学習にお ける囲み空間の検

のように、高さと囲みの大きさを変化させて、クレペリンテストを実施した。 これにより、どの大きさのついたてが最も効果が高いのかを調査している。

証 その1― /西隆明/道垣内 まゆ/浅田育男/

表1−4.1 実験に使用したついたての高さと囲みの組み合わせ

渡辺仁史/林田和 人

表1−4.2、表1−4.3、表1−4.4が、この実験の結果である。表1 −4.2では、高さや囲みの大きさが変化する中で、それぞれの被験者がどの ついたてで最も高い点数を取ることが出来たか、また最高正答数獲得の人数は 何人いたのかを示している。また、表1−4.4において居心地のアンケート も行われており、点数が割り振られ、その総合点による順位が示されている。

表1−4.2 9 種類のついたてによる集中度の結果①

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

1−4.既往研究

表1−4.3 9 種類のついたてによる集中度の結果②

1.研究背景

29


*54.http://www.

囲み・高さどちらも比較的大きいものが、正答数が高いことが明らかになり、

itoki.jp/home/

ID33 では、正答率の高さを維持できた。また、アンケートでは、高さのある

studydesk/

囲み空間に対し、「落ち着く・安心する」といった心理作用が得られた。

p r o d u c t / shuchudesk/ /イトーキ 「集中 DESK」

この研究結果を踏まえて、学習研究会・イトーキと共同開発した「集中 DESK」という製品が発売され、心拍数やアイマークレコーダーによる実験値 から、ついたてで囲う学習机になっている。*54

より画像引用

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

図1−4.1 9 種類のついたての居心地に関するアンケート結果

図1−4.2 イトーキと共同開発された学習机 *54

1.研究背景

30


B.机の大きさとついたての大きさの関係 *55

くる机上空間の視

八木らは、建築系の学生 12 名を対象に、机の大きさ・ついたての大きさ・

覚的効果に関する 研究 /八木澄夫

何面を囲むか、を計 70 通り変化させ、それぞれ評価してもらう実験を行った。  その結果、全体的についたてが高くなるほど安定し、机が大きく・ついたて が小さくなるほど開放的になるが、机が小さい場合、全般に閉塞的で不安定で あることが分かった。また、ついたてが高くなると机上空間がより意識される ようになり、その空間が小さすぎると感じたり、圧迫感を感じたりすることも 分かった。  側面・正面の系列ではついたて面積が同じでも、ついたて下部が開いている 方が不安定な感じを与えており、机上面の連続感と視点高さの上下で、ついた ての効果が異なることが関係していると思われる。ただし、下部の開きが小さ い場合には、不安定でない状態で開放性を高める効果があることが分かった。  つまり、机の大きさによって、最適なついたての大きさは変化するというこ とであった。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*55. ついたてがつ

1.研究背景

31


*56. 学習形態と家

次章で詳しく述べるが、本論文では、ついたてを用いた実験を行っている。

具の使われ方から

その際に、どのようなついたてである必要があるのか、あるいは、どのような

みた教室空間のあ り方 /島村明良・梶田 尚令

配置である必要があるのかを考えるために参考にした論文を以下にまとめた。 A.動作寸法 *56  この論文では、机に向かう際の子どもの動作空間が示されている。当然なが ら、年齢が上がるほど、机に向かう差に必要になる動作寸法は大きくなってい く。この寸法あるいは、以下に示す論文の内容を基に、次章の実験では、つい たての大きさを決めることにする。  下図の内、左側は立ち上がり動作に必要な寸法であり、右側は座って肘を外 側に突き出した状態で学習・読書をするために必要な寸法である。  本研究においては、ついたての配置に際して、ついたての大きさや机の配置 の決定に、この値を用いている。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

1−4.2.本実験のついたて制作の際の参考研究

図1−4.3・表1−4.4 教室内における動作寸法

1.研究背景

32


B.子どもの視界 *56 *57

kosodatenotomo.

com/security_ shikai.php /子育ての友「子

スウェーデンの研究では、大人は、垂直方向(上下)120 度、水平方向(左右)

150 度に対し、6 歳児の平均的な水平視野は 90 度程度で、垂直視野の平均は 70 度程度と報告されている。大人に比べると、 その視野は非常に狭いのである。

どもの視界の狭

本研究においては、座った状態での子どもたちの視界が、ついたてを越してし

さ」

まわないかを算出するための大まかな指針としている。

*58.http://psycho logy-moth-ch.coc olog-nifty.com/bl og/2009/07/inde x.html /マザーチャイル ド 「子どもの視野」

図1−4.4 子どもの視界 *57

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*57.http://www.

1.研究背景

33


C.人影が机上面作業に与える影響 *59

机上面での作業に

何らかの集中を要する作業の時は、無意識的に得られる周辺情報、特に人影

対する集中度に与 える影響 /仲田浩之/川瀬

が作業の妨げになることがあるため、人影をコントロールして、集中しやすい 空間を作ることを目的としている。

貴晴/宗方淳/吉

そこで仲田らは、大学生を対象に、被験者の前方又は側方に投影、人影の大

岡陽介

きさ・速度が集中力に与える影響を、クレペリンテストをもって調査している。 被験者はクレペリンテストの最中、前方・側方各 2 回ずつ、人影を投影される。  人影の動きのパターンは以下のようになっており、それぞれの人影に遠近が ある。

表1−4.5 人影の動きのパターン

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*59. 周囲の人影が

1.研究背景

34


2人は、それぞれのパターンも識別しており、人影を見なかった人も中央停止 パターンは識別していた。正面方向と横方向とでは、人影の気になる度合いが 異なった。  クレペリンテストでは、人影があるときの方が時間が増加していた。  正面の近い位置では人影が中速で移動するとき、横方向の近い位置では人影 が停止する時の方が回答時間が延びる。  一方で、横方向の遠い位置では停止しない方が長くなる。つまり、 速度:側方遠い人影は速いほど、正面近い人影は中速のとき、集中力の妨げ になる 動き:側方近い人影は停止するとき、側方遠い人影は停止しないとき、集中 力の妨げになる 大きさ・位置:正面の遠い人影は比較的気にならない ということが分かった。  本研究では、ついたてに映る他の子どもたちが、集中力にどのように影響す るかの参考として、この研究を用いている。具体的には、ついたてを配置する 際、動線に接さない場所でありながら、他の子どもたちの動きがついたてに映 りやすい場所を選んでいる。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

ヒアリング調査では、6 人ともが人影の存在には気づいていた。人影を見た

1.研究背景

35


D.必要な机上面寸法 *59

容からみた学校用

この論文では小学 2・4・6 年生を対象に、教科ごとに必要な机面寸法を調

家具の改善に関す る研究−小学校に おける教室用机面

査している。  高学年の生徒たちは、机上面をコンパクトにするため、教科書同士を重ねる

の使用実態―

などの工夫が見られたが、低学年の児童は、全教具を重ねずに机上に広げてい

/市岡綾子・若井

る様子が確認できた。そのため、体位が成長し、最大作業域が大きくなっても、

正一

高学年の生徒の方が、必要な机面寸法は小さく、低学年の方が大きくなってい る。

表1−4.6 教科ごとに必要とされる机上面寸法

本研究では、ついたてに囲われている机上面が、子どもの学習に十分な面積 であるかを確認するための参考としている。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*59. 学習形態の変

1.研究背景

36


① 5471 完成評価から見た学習机の集中力に関する研究     /西隆明/道垣内まゆ/浅田育男/渡辺仁史/林田和人 ② 4022 ついたてがつくる机上空間の視覚的効果に関する研究/八木澄夫 ③ 5208 学習形態と家具の使われ方からみた教室空間のあり方/島村明良・梶田尚令

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

1−4.3.本研究の位置付け

④ 40025 周囲の人影が机上面での作業に対する集中度に与える影響     /仲田浩之/川瀬貴晴/宗方淳/吉岡陽介 ⑤ 5327 学習形態の変容からみた学校用家具の改善に関する研究  −小学校における教室用机面の使用実態―/市岡綾子・若井正一 ⑥ 5390 幼児が「いつく」囲み空間の形状に関する研究     /浅田育男/木戸大祐/林田和人/渡辺仁史 ⑦ 5258 児童・生徒の体位の変容からみた学校用家具の使用実態に関する研究     /根本賢/若井正一

1.研究背景

37



*55. ついたてがつ くる机上空間の視 覚的効果に関する 研究 /八木澄夫 (章1−4. 1.B)

《ついたて》  図2−1.1に示す、机上に設置して、前面・両側面を覆う囲い。対象が 子どもであることを考慮し、安全性と加工性からスチレンボードとポリプロ ピレンシートで制作する。また各辺の寸法は、本研究では、幅 750㎜、奥 行き 500㎜、高さ 480㎜となっている。

*56. 学習形態と家 具の使われ方から みた教室空間のあ り方 /島村明良・梶田 尚令 (章1−4. 2.A)

*53. 完成評価から

図2−1.1 本論文で使用したついたて

見た学習机の集中 力に関する研究― こどもの学習にお ける囲み空間の検

この大きさに関しては、前章で記した既往研究の値により決定した。

証 その1―

①幅

/西隆明/道垣内

本研究で使用する机は、 奥行き 350㎜、 幅 1500㎜の 3 人掛け用机であるため、

まゆ/浅田育男/

一人分の幅を 750㎜にまで広げ、極力、一人分の机上面積を広げることにした。

渡辺仁史/林田和

これにより、「机上面積が狭いと高さは関係なく圧迫感を感じる *55」ことに配

人 (章1−4. 1.A)

慮している。 ②奥行き

*54.http://www.it

「小学 5 年生の着座している際の奥行きは 800㎜である *56」という点と、机

oki.jp/home/stud

の奥行きが 350㎜であることから、机に重ならない子どもの身体の厚みを

ydesk/product/

450㎜と仮定する。更に前後の机間が 600㎜であることを踏まえ、図2−1. 2

shuchudesk/

の通り、奥行きを 500mm に決定した。

/イトーキ (章1−4. 1.A)

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

2−1.用語の定義

③高さ  既往研究では、 「高ければ高いほど安定する *53」と示されているため、イトー

*57.http://www.

キの学習机 *54 と同様の 480㎜とした。子どもの視界から見れば、ついたてを

kosodatenotomo

越えていかないような十分な高さになっている。*57

.com/security_ shikai.php

尚、ついたての制作方法については、資料編 p.1 に掲載する。

/子育ての友 (章1−4. 2.B)

2.研究概要

38


また、本研究において、ついたてに求める目的に、以下の三つがある。 A.簡便な空間装置である  ついたてを好む子どもがいれば、そうでない子どももいる。また、ついた てが欲しいときもあれば、 不必要な時もある。ついたてが 「欲しい子にだけ」 、 ついたてが「欲しいときだけ」 、立てることの出来る、簡便なついたての定 義を探っていく。  B.汎用性がある空間装置である  今回学習塾、特に公文式を実験場所として選んだことで、周りの子どもた ちに動きがある環境での実験が可能になった。学校などでも、自習の時間が あった時、周囲に動きがないことはありえない。話しかける子、遊び始める 子、様々であり、自習に集中したいとき、周囲の情報をシャットアウトする ことが本人のためになる場合もあり得る。また、最近はリビングで学習する

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

図2−1.2 ついたての奥行きの決定

子供が増えているが、視覚刺激の多い場所で集中することが苦手な子どもに とっては、親の目が届くというメリットも逆効果になってしまう。そういっ た周りで動きが生まれる場所においても、子どもたちが、心地よく感じられ、 かつ集中できる、そのような空間を明らかにしたい。

2.研究概要

39


る空間装置である  障がいをもつ子どもたちが、障がいのせいで生活しにくいのではなく、そ れが一つの個性として見られるようになることを期待している。 そのために、 健常児と同じ場所にいながら、障がい児を特別視しないような空間装置の提 案を目指した。  構造化の概念からも分かる通り、何事も分かりやすく、視覚に訴えかけて あげることが、障がいをもつ子どもたちにとっての居心地の良さに繋がる。 ついたてを立てることで、その場所が何をすべき場所なのかを明確に割り振 ることが重要になってくる。  だがその一方で、今後彼らが小学校・中学校と進学していく中で、通常学 級の子どもたちの中で授業を受けることになった際、彼らだけについたてが 立てられている状態は他の子どもたちにどう映るだろう。 「あの子は他の子 と違うから隔離されている」「あの子はトクベツな子だから近付かない方が いいのかな」そう考えが派生してしまうことを懸念している。  更に本実験で健常児を対象に集中度を調査することで、 「ついたてによる 障がい児にとって心地良い空間」 は、 「全ての子どもにとっても心地良い空間」 であることを、本論文で同時に検証できると考えている。それにより、健常 児と障がい児との間の隔たりが薄らぐことを期待している。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

C.ユニバーサルデザインに繋がる、健常児と障がい児とが同じ場にいられ

2.研究概要

40


今回は、ついたての向かいにいる子どもが見えるか見えないかという点から、 半透明のついたてを二種類に分類している。 透明度の差は、下図の通りで、左から「不透明」 、 「半不透明」 、 「半透明」となっ ている。

図2−1.3 ついたての透明度の違い ( 左 ) 不透明 ( 中 ) 半不透明 ( 右 ) 半透明

表2−1.1 本論文における、ついたての透明度の定義と分類

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

《透明度》

2.研究概要

41


協力していただいた学習塾に通う小学1年生から6年生までの児童の中 で、普段の学習時から、落ち着きのなさや集中力の無さが原因で、基準時間 内で学習が終わらない子どもを、スタッフさんたちに選定してもらい、保護 者の許可を頂いた上で、ついたての中に入ってもらった。

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《子ども》

2.研究概要

42


ついたての不透明度の変化による、子どもの学習における集中力への影響を

明らかにし、現代の学習環境を効果的にするついたての設計手法を示すことを 目的とする。

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2−2.研究目的

2.研究概要

43


図2−3.1 研究フローチャート

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2−3.研究フローチャート

2.研究概要

44



「ついたての不透明度による、子どもの学習における集中力への影響を示す。 」

透明度が上がることで周囲との遮断が弱まるに伴い、より周囲の人が動いて いる状態に影響された集中度の変化が見えてくると考えられる。自宅や自室で の学習机のような、周囲に人がいない状態でのついたての効果が、リビング学 習や、学校での自習の時間などといった、周囲に人がいる状態でも認められる のか、さらに、不透明なついたてによっておこる圧迫感を、ついたての透明度 を上げていくことで軽減し、その上で不透明な状態での効果が維持できるかを 明らかにする。  また、障がい児にとって、構造化することの居心地の良さが明らかになって いることから、障がいをもつ子どもにとって心地良い空間は、全ての子どもに とっても心地良い空間になることを示す。

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3−1.実験目的

3.研究方法

45


3−2.1.実験概要  場所 :公文式峰教室  (栃木県宇都宮市の個別学習塾)  日時 :2013 年 9 月 20 日 ( 金 ) ∼ 10 月 18 日 ( 金 ) 15 時∼ 20 時 30 分      1 週間の内、火・金曜日の教室日に実験を行った。           *尚、データとして収集するのは、教材を解いている間の数値のみで      あり、教材を解く前に時計を見た時点から、解き終わって時計を見      た時点までの間を、本研究のデータとして取り扱うものとする。  被験者:下記3−2. 2の通り、決定した。

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3.2 実験方法

3.研究方法

46


前章で示した通り、普段の学習時から、落ち着きのなさや集中力の無さが 原因で、基準時間内で学習が終わらない子どもを、 スタッフに選出してもらっ た。  内訳は、以下の通りである。 表3−2.1 被験者一覧

尚、教科は基本的に算数を用いている。これは、集中力が時間に直結する教 科であるためである。尚、 被験者 C に関しては、 英語のみを受講しているため、 本実験では英語を対象としている。

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3−2.2.被験者の決定

3.研究方法

47


以下のような手順で実験を行った。

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3−2.3.調査手順

3.研究方法

48


コントロールを防ぐため、本人には集中度を測る実験であることは伝えて いない。 *2 この場合の否定的発言は、 「入りたくない」といった言葉に類するも のとし、ついたての中に入ることを拒む、あるいは躊躇する発言のみとし ている。そのような子どもたちに対しては、ついたての中に入れることは せず、データの収集も行っていない。 *3 観察の際は、著者以外に公文式のスタッフが一人以上、共に様子を 見る。まだ幼い子どもたちは、否定的な言葉を上手に口にすることは難し いと判断し、スタッフの指示を受けながら、体調の変化等が見られた子ど もたちは、声をかけて、ついたての中から出した。途中までついたての中 に入った子どもに関しては、データの収集を行った。 *4 相手が子どもであることから、アンケートは書面ではなく、口頭で 行っている。「集中できた?」などの、 「確認」にならない質問、 つまり「は い」「いいえ」で答えられない質問を行う。

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*1 この際、撮影は行っていない。また、教示による不必要なマインド

3.研究方法

49


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3−2.4.教示内容

3.研究方法

50


集中度を測定する調査基準として、以下の6つをデータとして収集した。 ①点数(その日解いた教材の平均点) ②教材の解答時間(1枚あたりの解答時間) ③よそ見時間・回数 ④会話時間・回数 ⑤居眠り時間・回数 ⑥様子観察

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3−2.5.調査基準

図3−2.1 調査基準

3.研究方法

51


ついたての配置は、図3−2. 3のようになっている。   ①子どもたちの動線に接さないこと  ②隣に子どもが座れること  ③前もしくは後ろに子どもが座れること  ④私以外に、1 人以上のスタッフから見える位置であること  以上を決定の基準とした。  更に落下時を考慮し、子どもたちの安全性を確保できる場所にビデオカメラ を設置するため、その位置から十分に映すことの出来る場所を基準の一つにし ている。またこの際、ビデオカメラ設置場所の近くに著者が座り、カメラに映 らない足元の様子等を観察した。 (図3−2. 2、図3−3. 3)

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3−2.6.ついたての配置・カメラの位置の決定

S=1/200 N

図3−2.2 ビデオの配置場所

図3−2.3 ついたて・ビデオの配置場所

3.研究方法

52


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3−2.7.実験フローチャート

図3−2.4 実験フローチャート

3.研究方法

53



被験者の内、三種類のついたて全てに入った子どもは、被験者A∼Eの5人、 実験のスケジュール上、二種類のついたてのみに入った子どもは、被験者F・ Gの2人である。  また、不透明のついたてを用いた、本人への確認の時点で、ついたてに入る ことを拒んだ子どもは、被験者H∼Jの3人であった。  これより、三種類全てに入った子どもと、二種類のみ入った子どもとで、分 けて結果を示す。尚、ついたてに入ることを拒んだ子どもたちのデータは収集 していない。  また、被験者 D においては、不透明のついたての実験の際、入ることを拒 まなかったものの、途中姿勢が崩れたため、本人に確認したところ、 「暑い」 「何 だか嫌な感じがする」などといった感想が聞かれたため、その時点で終了して いた枚数までで、ついたての外に出てもらった。

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本章では、実験から得られた実験データを示す。

4.結果

54


以下に、1回の学習時における5枚のプリントの点数と、それぞれかかった 時間を示す。尚、点数の単位は「点」 、時間の単位は「分」である。  本実験においては、初出の単元は対象としていないため、点数での大きな差 は見られなかった。その一方で、被験者E・被験者Fは、点数・時間ともに、 透明度の変化によって、顕著な変化が見られた。

表4−1. 1 三種類のついたてに入った子ども

被験者ID A

B

C

D

E

ついたて種類 透明度ID 時間 点数 半不透明 1 100 100 99 95 100 13 半透明 2 94 90 100 100 90 12 無 3 99 100 95 80 90 17 不透明 0 100 100 100 100 100 9 不透明 0 100 94 100 80 100 16 無 3 90 90 80 90 99 12 半透明 2 95 95 100 95 95 13 半不透明 1 88 94 100 100 94 10 半不透明 1 100 100 100 100 100 12 不透明 0 100 100 100 100 100 14 半透明 2 100 100 100 100 100 9 無 3 100 100 100 100 95 15 不透明 0 100 100 100 - - 10 不透明から出た後 - - - - 100 100 4 半透明 2 100 100 100 100 100 9 無 3 75 85 95 80 95 9 半不透明 1 100 98 96 97 97 10 半不透明 1 100 94 100 94 94 8 無 3 93 93 86 86 79 22 半透明 2 100 100 86 93 100 18 不透明 0 65 86 79 - - 16

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4−1.プリント点数・解答時間

表4−1. 2 二種類のついたてに入った子ども

被験者ID

4.

ついたて種類

透明度ID

半透明

2

3

半不透明

1

無 半不透明 半透明

3 1 2

100 100 99 100 100 100 93 100 100

100 100 100 100 95 100 100 94 93

点数 100 100 100 100 100 100 94 88 94

時間 100 100 100 94 100 100 94 - -

100 100 85 100 100 100 88 - -

9 21 19 26 36 23

4.結果

55


以下に、1回の学習時におけるよそ見の回数と、よそ見していた時間の総和 を示す。尚、よそ見回数の単位は「回」 、よそ見時間の単位は「秒」である。  本実験においては、透明度が低くなるほど、 よそ見時間が増加する傾向にあっ た。

表4−2. 1 三種類のついたてに入った子ども

被験者ID A

B

C

D

E

ついたて種類 半不透明 半透明 無 不透明 半不透明 不透明 無 半透明 半不透明 不透明 半透明 無 不透明 不透明から出た後 半透明 無 半不透明 半不透明 無 半透明 不透明

透明度ID 1 2 3 0 1 0 3 2 1 0 2 3 0 - 2 3 1 1 3 2 0

よそ見回数 0 0 7 2 6 6 6 3 5 16 4 6 11 4 4 0 4 2 9 6 11

よそ見時間 0 0 19 3 36 16 12 12 50 77 20 32 93 33 23 0 6 6 148 22 47

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4−2.よそ見回数・時間

表4−2. 2 二種類のついたてに入った子ども

被験者ID F

4.

ついたて種類 半透明 無 半不透明 無 半不透明 半透明

透明度ID 2 3 1 3 1 2

よそ見回数 4 2 12 38 16 9

よそ見時間 12 22 92 1509 340 77

4.結果

56


以下に、1回の学習時における喋る回数と、 喋っていた時間の総和を示す。 尚、 喋る回数の単位は「回」 、喋る時間の単位は「秒」である。  本実験においては、透明度によって差は見られなかったが、被験者Eを除き、 ついたてが有ると、喋ることがなくなった。

表4−3. 1 三種類のついたてに入った子ども

被験者ID A

B

C

D

E

ついたて種類 透明度ID 喋る回数 喋る時間 半不透明 1 0 0 半透明 2 0 0 無 3 5 35 不透明 0 0 0 半不透明 1 0 0 不透明 0 0 0 無 3 0 0 半透明 2 0 0 半不透明 1 0 0 不透明 0 0 0 半透明 2 0 0 無 3 1 2 不透明 0 0 0 不透明から出た後 - 0 0 半透明 2 0 0 無 3 12 225 半不透明 1 0 0 半不透明 1 0 0 無 3 4 49 半透明 2 0 0 不透明 0 5 30

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4−3.喋る回数・時間

表4−3. 2 二種類のついたてに入った子ども

被験者ID F

ついたて種類 半透明 無 半不透明 無 半不透明 半透明

透明度ID 喋る回数 喋る時間 2 0 0 3 15 268 1 0 0 3 6 122 1 0 0 2 0 0

4.結果

57


以下に、1回の学習時における居眠りした回数と、居眠りした時間の総和を 示す。尚、居眠りした回数の単位は「回」 、 居眠りした時間の単位は「秒」である。  本実験においては、被験者Fを除き、居眠りをした被験者は見られなかった。

表4−4. 1 三種類のついたてに入った子ども

被験者ID A

B

C

D

E

ついたて種類 透明度ID 居眠りした回数 居眠りした時間 半不透明 1 0 0 半透明 2 0 0 無 3 0 0 不透明 0 0 0 半不透明 1 0 0 不透明 0 0 0 無 3 0 0 半透明 2 0 0 半不透明 1 0 0 不透明 0 0 0 半透明 2 0 0 無 3 0 0 不透明 0 0 0 不透明から出た後 - 0 0 半透明 2 0 0 無 3 0 0 半不透明 1 0 0 半不透明 1 0 0 無 3 0 0 半透明 2 0 0 不透明 0 0 0

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4−4.居眠りした回数・時間

表4−4. 2 二種類のついたてに入った子ども

被験者ID F

ついたて種類 半透明 無 半不透明 無 半不透明 半透明

透明度ID 居眠りした回数 居眠りした時間 2 0 0 3 0 0 1 0 0 3 10 1385 1 4 416 2 0 0

4.結果

58


以下に、様子の観察を行った。基準としては、 ①集中していない様子が見られたとき ②特に集中している様子が見られたとき ③ついたてから出た後の他の教科に移ったとき を主に観察している。

表4−5. 1 三種類のついたてに入った子ども

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4−5.様子の観察

表4−5. 2 二種類のついたてに入った子ども

4.結果

59


以下に、授業終了後に行った、口頭でのアンケートの結果を示す。*は、 下記の通り、「特になし」 「よく分からない」などの曖昧な返答を示す。おおむ ね、不透明を嫌がる子どもが多かった。

表4−6. 1 三種類のついたてに入った子ども

被験者ID

ついたて種類 半不透明

A

半透明 無 不透明

B

C

D

E

半不透明 不透明 無 半透明 半不透明 不透明 半透明 無 不透明 半透明 無 半不透明 半不透明 無 半透明 不透明

感想 「集中できた気がする」「時計が見えないと時間の把握が しにくかった」 「周りが見えてうれしかった」 「(前回と比べて)急に高くなったように感じた」「半透明だ と感じなかったんだけどなぁ」 「向こう側が見えるといい」 * 「友達が見えるので、やる気になった」 * 「音読の練習の時に、周りから見られていないと思うと声 が出しやすい」 「周りが見えて、声を出すのをためらってしまった」 「暑かった気がする」「暗かった気がする」 * * * * 「何だか窮屈だった」 *は「特になし」「よく分からない」など、曖昧な回答を示す。

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4−6.口頭アンケート(感想)

表4−6. 2 二種類のついたてに入った子ども

被験者ID F

ついたて種類 半透明 無 半不透明 無 半不透明 半透明

感想 「集中できたような気がする」 「前に入ったもの(半透明)の方が何となく良かった」 「周りからみられていないと思ったら、集中して眠れた」 -

4.結果

60



としない。両被験者とも、実験日時の都合上、 「半不透明」 「半透明」の、三種 類全てのついたてに入ることができなかったことが、その要因である。  このため、本章の分析では、三種類のついたて全てに入った、被験者A∼E の5人を分析の対象とする。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

前章で示した結果の内、被験者Fと被験者Gに関しては、本章の分析の対象

5.分析・考察

61


**1  P 値 と 有 意

本実験結果を、有意水準α= 0.05 の値を用いて分散分析したところ、全被

水 準 α = 0.05 を

験者のプリントの点数においてのみ、表5−1.1で示すような有意性が見ら

比較し、αよりP 値が小さければ、 有意性が示せる。

れたが、その他の要素に関しては、際立った有意性を示すことが出来なかった。 (資料編 pp.7-11 参照)

**1

表5−1.1 全被験者のプリントの点数による分散分析結果

この要因として、被験者が少なかったため、得られるサンプルが少なく、標 準誤差が大きくなってしまったことが考えられる。 (資料編 p.4 参照)

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5−1.本実験の有意性

5.分析・考察

62


検定を行ったところ、P値は以下の表5−1.2のようになった。 (資料編 pp.12-19 参照)

表5−1.2 それぞれの要素におけるt−検定結果

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

表5−1.1からさらに、透明度それぞれの組み合わせを総当たりでt−

5.分析・考察

63


水 準 α = 0.05 を

全ての結果において有意性は示せなかったものの、以下の結果の差には有意

比較し、αよりP

性があると言える。**2

値が小さければ、

①点数において、ついたてが「無い」状態と「半透明」 「半不透明」との

有意性が示せる。 この分析では、サ

間には、十分な有意性があった。

ンプル数が少ない

② 1 枚当たりの時間において、 ついたてが「無い」状態と「半不透明」 「不 、

ことも考慮して、

透明」と「半透明」との間には、有意性が出る傾向になった。

P値≦ 0.1 前後を

③よそ見回数において、 「不透明」と「半透明」 「半不透明」との間には、

「有意性が出る傾

十分な有意性があった。

向になった」、P

④よそ見時間において、 「不透明」と「半透明」との間には、有意性が出

値≦ 0.05 前後を、

る傾向になった。

「十分な有意性が あった」としてい る。

全てにおいて際立った有意性を示すことは出来なかったが、本実験では、子 どもたちの透明度に対する認識や行動の違いに対して、傾向を示すことは出来 た。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

**2  P 値 と 有 意

5.分析・考察

64


5−2.1.1回の学習の平均点・1 枚当たりの時間からの分析

表5−2.1、表5−2. 2で、1回の実験における平均点と、1枚あたりに かかった時間を算出し、被験者ごとに、不透明度によって点数がどれだけ変動 したかを示している。尚、平均点の単位は「点」 、時間の単位は「分」である。

表5−2.1 平均点と1枚あたりにかかった時間 一覧

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

5−2.透明度別分析

5.分析・考察

65


A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

図5−2.1 平均点

図5−2.2 1枚あたりにかかった時間

5.分析・考察

66


かの透明度をもつついたてがある状態を比較した結果が、表5−2. 2である。 ついたての無い状態よりも点数が低い、あるいは時間が長くかかっている場合 を「×」で、それ以外を「○」で示している。  これによると、平均点においては、ついたてのある状態が効果をもたらすこ とが示されている。だが1枚当たりの時間においては、不透明のついたての効 果が現れておらず、透明度の高いついたてに効果が現れていることが分かる。

表5−2.2 ついたての無い状態との比較(点数・時間)

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

さらに、平均点・1枚あたりの時間において、ついたての無い状態と、何ら

5.分析・考察

67


付けを行った。

表5−2.3 平均点と1枚あたりにかかった時間 被験者ごとに順位づけ

平均点においては、 全ての子どもたちが、何らかの不透明度をもつついた てがあることが集中力を上げることに繋がっていることを示すことが出来る。  1枚当たりの時間においては、透明度の高いついたてほど、効果があること をが分かる。更に、ついたての無い状態と比較して、不透明のついたては効果 に繋がりにくいことが分かる。  また、表5−2.3の順位付けより、平均点と1枚当たりの時間の二つの順 位から、 どの不透明度に有用性があるかを表5−2. 4に示す。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

表5−2.2を元に、表5−2. 3では、被験者ごとに、透明度における順位

表5−2.4 順位付け 総合(点数・時間) ついたての種類 無 半透明 半不透明 不透明

ID 3 2 1 0

平均点 平均点 順位 91.0 4 97.3 2 97.6 1 94.3 3

1枚当たりの時間 3.0 2.4 2.1 3.3

1枚当たりの時間 順位 3 2 1 4

以上より、1回の学習の平均点・1枚当たりの時間から分析すると、 「半不 透明」と「半透明」のついたての有用性が特に示されていると言える。

5.分析・考察

68


「よそ見」の回数と時間を、被験者ごとに示した表が、表5−2. 3、表5− 2.4 である。「不透明」のついたての際に、よそ見の回数が増えた。尚、よ そ見回数の単位は「回」 、よそ見時間の単位は「秒」である。

図5−2.3 よそみ回数

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

5−2.2 「よそ見」の行動からの分析

図5−2.4 よそ見時間

5.分析・考察

69


を基準に比較した表が、表5−2.5である。ついたての無い状態よりもよそ 見の回数が増えた、あるいは時間が長くかかっている場合を「×」で、それ以 外を「○」で示している。

表5−2.5 ついたての無い状態との比較(よそ見) 被験者ID A

D

E

ついたての無いときとの比較 半透明 半不透明 不透明 半透明 半不透明 不透明 半透明 半不透明 不透明 半透明 半不透明 不透明 半透明 半不透明 不透明

よそ見回数 よそ見時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ × × × × × × × × × ○ ○ ○ ○ × ○

被験者Dを除く全ての被験者が、半透明のついたてで、よそ見の回数・時間 が、ついたての無い状態と比べ、減少することが示された。また、被験者B・C・ Dの子どもにおいて、不透明のついたてがよそ見の時間を減少させることはで きないことが示された。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

よそ見をした回数と、よそ見をしていた時間において、ついたての無い状態

5.分析・考察

70


A B C D E

よそ見回数 ついたて無し 不透明 半不透明 半透明 4 3 1 1 2 2 1 2 3 4 2 1 1 4 2 2 3 4 1 2

A B C D E

よそ見時間 ついたて無し 不透明 半不透明 半透明 4 3 1 1 1 3 4 1 2 4 3 1 1 4 3 2 4 3 1 2

表5−2.7 順位付け 総合(よそ見回数・よそ見時間)

ついたて無し 半透明 半不透明 不透明

よそ見回数 28 17 17 46

順位 3 1 1 4

よそ見時間 211 77 98 236

順位 3 1 2 4

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

表5−2.6 よそ見回数とよそ見時間 被験者ごとに順位づけ

表5−2.6において、よそ見回数と時間を要素として、透明度に順位付け を行った。これにより、 不透明のついたてに著しく効果がないことが示された。  また、表5−2.7において、全体を通してみても、不透明のついたてがそ の他の透明度をもつついたてに比べ、明らかに効果がないことが示された。  以上より、よそ見の回数・時間から分析すると、不透明のついたてによる集 中力の低下が示された。

5.分析・考察

71


章5−2に、お喋り・様子の観察・感想を加えて、透明度による比較を行い、 子どもたちに最適なついたての透明度を提案する。

表5−3.1 ついたての透明度ごとに順位付け

平均点順位 1枚当たりの時間順位 よそ見回数 よそ見時間 喋り回数 喋り時間

ついたて無し 4 4 4 4 4 4

不透明 1 1 3 3 1 1

半不透明 2 3 1 1 1 1

半透明 3 2 1 1 1 1

平均点順位 1枚当たりの時間順位 よそ見回数 よそ見時間 喋り回数 喋り時間

4 2 2 1 1 1

3 4 2 3 1 1

2 1 1 4 1 1

1 3 2 1 1 1

平均点順位 1枚当たりの時間順位 よそ見回数 よそ見時間 喋り回数 喋り時間

4 4 3 2 4 4

1 3 4 4 1 1

1 2 2 3 1 1

1 1 1 1 1 1

平均点順位 1枚当たりの時間順位 よそ見回数 よそ見時間 喋り回数 喋り時間

4 1 1 1 4 4

1 4 4 4 1 1

3 3 2 3 1 1

1 1 2 2 1 1

平均点順位 1枚当たりの時間順位 よそ見回数 よそ見時間 喋り回数 喋り時間

3 3 3 4 4 3

4 4 4 3 1 1

1 1 1 1 3 4

2 2 2 2 1 1

標準偏差

1.1968

1.3250

0.9894

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

5−3.被験者別分析

0.6110

表5−3.1は、ついたての透明度ごとに、各要素の順位付けを行い、被験 者別にまとめたものである。被験者別に分析すると、それぞれが求める透明度 には個人差があることが分かる。その中でも、透明度が上がるほど、個人差が 小さくなり、高い順位を維持する傾向にあり、また、前章でまとめた感想にお いても、半透明を好む声が多かった(章4−6参照)ことから、半透明のつい たての有用性が示された。

5.分析・考察

72


章5−1から5−3の分析より、以下のことが考えられる。 章5−1より、 1.分散分析結果により、 「点数の結果の差には有意性がある」 2.t−検定の結果により、以下の結果の差には有意性がある。   A.点数における、 「ついたて無しと半透明」 「ついたて無しと半不透明」 、   B.プリント1枚当たりの時間における、 「ついたて無しと半不透明」 、     「不透明と半不透明」   C.よそ見回数における、 「不透明と半透明」 、 「不透明と半不透明」   D.よそ見時間における、 「不透明と半透明」 章5−2.1より、 3.平均点において、 「ついたてがある方がいい」 4.1枚当たりの時間において、 「不透明は効果がない」 「透明度が高い方が   効果が出た」 章5−2.2より、 5.よそ見回数において、 「不透明で増加した」 6.よそ見時間において、 「半透明で減少」し、 「不透明で増加」した。 7.よそ見の順位付けにおいて、他の透明度と比べて「不透明が著しく効   果が現れない」 章5−3より、 8.透明度が上がるほど、個人差が減り、 「透明度の高いものに効果が出た」

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

5−4.考察

以上より、以下のことを示すことが出来る。 ○「点数からみると、透明度が高い方が適している」 (1、2−A、3) ○「1枚当たりの時間からみると、半不透明は良く、不透明は適さない」   (2−B、4) ○「よそ見からみると、不透明は適さない」 (2−C・D、5、6、7)

5.分析・考察

73


以上のことを総合して、考えられることを以下に述べる。

形成能力からみた 子どもの居場所− 質的空間学研究の 試み− /中井孝章

被験者Eにおいて平均点が著しく下がった点を除き、点数において、ついた ての透明度による差は見られなかった。ただし、全体を通して、ついたての有 無の差は著しく、ついたてがあることによる効果が示せた。  だがこれが1枚当たりの解答時間を絡めると、不透明のついたてによる効果 は見られず、ついたてが無い状態以上に集中度が下がってしまった。これは、 よそ見の回数・時間を絡めて見ると、集中度が不透明のついたてで著しく落ち ていることが明確になる。  これは、不透明のついたてにより、 視覚「刺激」が目に入らなくなった一方で、 視覚「情報」も入らなくなってしまったことが要因であると推測できる。隣に 誰が座ったのか、前を誰が通ったのか、後ろで誰が先生と話しているのか、そ ういった視覚で得られるはずの情報が遮断されてしまい、無意識の内に不安感 が煽られた結果であると考えられる。これは、周囲に人がいるために起こるこ とであり、実際についたてが使われる際、同様の状況下におかれても、同じよ うな「よそ見」の行動が見られると推察される。  また、透明度が高くなったとしても、視覚刺激の遮断には繋がらないはずだ が、本実験では最も効果が表れたと言えるのが、半透明のついたてであった。  これは、子どものテリトリーに対する考え方が反映されていると推察される。 子どもから大人にかけて、テリトリー形成能力には生涯発達モデルがあること を、中井らは提唱している。これによると、本実験で対象としている学齢期の 子どもには、「自分のコーナーやプライバシーの無い自分の部屋」を拠点とし、

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

*61 テリトリー

「その拠点を管理しようとする」という特徴がある。*61  つまり、本実験で使用したついたてで囲まれた空間こそ、被験者にとっての 「拠点」であり、透明度が高いことは「プライバシーを必要としない」この時 期の子どもであるために、効果が出たと言える。  以上より「最も汎用性のあるついたては、半透明である」と言える。

5.分析・考察

74


本実験では、透明度の変化による集中力への影響を示すため、被験者を著者 側で選出し、三種類すべてのついたてに入ってもらった。一方で、本実験とは 関係なく、被験者が塾の教室内にいない時間帯は、自由に入れるようについた てを設置しておいた。この時、 「半透明」と「半不透明」のついたてには、自 ら進んで入った子どもが二人いた。彼らは、ついたてに興味を持った様子で入 り、全ての教科をついたて内で過ごした。その一方で、 「不透明」のついたて が設置されている際には、双方とも入りたがらなかった。この時の二人の動線 経路が図5−5.1から図5−5. 3である。 (写真は資料編 p.50-52 参照)  片方の子どもに至っては、不透明を観察した後、それを避けて、半透明のつ いたてに入った。この時、躊躇する様子は見られなかった。  彼らは二人とも小学二年生の男児で、不透明のついたてから途中退席した被 験者Dと同い年である。この結果から、不透明のついたては、体の小さい彼ら の年齢には高すぎたものと推察される。本実験において、最も体の大きかった 被験者Aも、不透明のついたてに入った際には「高くなったように感じた」と いう感想を話しており、透明度が下がるほど、圧迫感が高まることを示してい る。

A Correlation Research on effective between learning Concentration environment Levels with andvarying Opaqueness opacityofofPartition the screen on a Learning Environment for Children

5−5.被験者以外の子どもたちの結果からの考察

5.分析・考察

75


A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

図5−5.1 2年生男児A・半不透明のついたてに対する動線経路

図5−5.2 2年生男児A・不透明のついたてに対する動線経路

5.分析・考察

76


半透明のついたてに対する動線経路

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

図5−5.3 2年生男児B・不透明のついたて(手前側)と

5.分析・考察

77



本研究から示すことが出来たのは、以下の二つである。 1.透明度が高くなることで集中度が上がる 2.透明度が下がるほど、ついたてから受ける圧迫感が高まり、体の小さな 子供には不向きである  これらから、本研究の目的「ついたての不透明度の変化による、子どもの学 習における集中力への影響を明らかにし、現代の学習環境を効果的にするつい たての設計手法を示すことを目的とする。 」に対し、 「ついたての不透明度が変化しても、集中力の維持は可能であり、  かつ、透明度が高いほど、子どもたちの集中力は増し、心理的負担も少ない」  と結論付ける。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

6−1.結論

6.まとめ

78


*62 http://

本実験においては、以上のような結果が示されたが、反省点として、以下の

www1.ocn.ne.jp/

三点を挙げる。

siesta/colorpage1.htm ホテルマンのシエ スタ 「色の不思議と心

1.サンプル数の少なさ  本実験ではサンプル数が少なく、十分な有意性を示すことが出来なかった。 今後の展望としては、更にサンプル数を増やし、汎用性を高める必要がある。

理」

2.透明度の段階の少なさ *63  図 解 雑 学  よくわかる色彩の 科学

本実験では、ついたての透明度として、 「不透明」 「半不透明」 「半透明」の 三種類を用いた。これを、より細分化し、子どもの集中力の増減が切り替わる

/永田泰弘・三ツ

境界を知る必要がある。また、前章で示した「子どものテリトリー」の考え方

塚由貴子/株式

を応用すれば「透明」にも十分な効果があったのではないかと推測される。

会社ナツメ社/ 2007.07.31

*64  徹 底 図 解  色のしくみ/城一 夫/新星出版社/ 2009.03.25

3.素材の選択、特に不透明における色  本実験で使用した、不透明のついたては、他の透明度のついたてと素材を変 えないため、ポリプロピレンを使用している。これにより、不透明部分の白が、 青味のある白色になってしまった。 「真っ白」は膨張色であり、視神経に強く 作用するため、壁に使用すると、人の気持ちは落ち着かず、イライラするよう になるのである。*62 結果、圧迫感を子どもに与えてしまった可能性がある。

*65 「 子 ど も に

このように、「白」という色には、大人には「清潔さ」 「新しさ」といった、

とっての建築素材

ポジティブなイメージがある一方で、子どもには「厳か」 「冷淡」といったネ

の研究−建築室内 に触れる行動と心 理−」/道垣内ま ゆ

ガティブなイメージがある。*63 そのため、学齢期になると、子供部屋の色味 もベージュや淡いブルーなどが良いとされているのである。本実験でも、教室 や自室の壁紙に近い、アイボリーやベージュを用いていたら、また異なった結

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

6−2.展望

果になった可能性はある。*64  また、素材そのものも、同じ不透明でも、ビニルと木材では、全く異なる値 になった可能性がある。これは道垣内らの子ども対象の建築素材に関する研究 より、「ビニルは最も心地良さの度合いが低く、それは、年齢別・性別で見て も示すことが出来る」という点から推測される。*65  よって、本研究では加工性と安全性からポリプロピレンを選定したが、今後 の展望としては、これに限らず、より多くの素材から選定し、検討する必要が ある。

6.まとめ

79


たちには、実験であることを伝えなかったため、余計な先入観をもたず、学習 を行うことができた。「入りたくない」といった態度が見られたことや、反対 に自ら入りたがったことも、 伝えなかったことによる効果だったと考えている。 今後、子どもを対象にした実験を行う際、その教示内容が非常に重要になって くると推測される。  また、透明度の違いによって十分な集中力の差が見られた点、特に不透明の ついたてによって集中力が低下した点は、本研究において非常に興味深い点で あった。通常の個別指導塾にあるような仕切りでは、幼い子どもでは圧迫感を 感じやすいことが分かる。

最後に、ついたてにおける展望として、本研究で用いた「机上に立てるつい たて」を、私は「リビング」と「学校」の2つの場面で使用することを提案する。  「章2−1.用語の定義<ついたて>」 でも述べた通り、 本実験で制作した 「机 上に立てる」ついたてには、 「簡便さ」 「汎用性」 「ユニバーサルデザイン」の 3つの目的がある。  「欲しい人が欲しいときにだけ立てられる簡便さ」は、例えば、普段は置い ていなくても、子供が勉強をするときだけ、リビングテーブルの一角についた てを置いたり、あるいは、学校で自習や個別学習の時間に、自ら立てる・ある いは立てられたスペースへ行ったり、といった使われ方が考えられる。これは つまり、様々な場面で使用することが出来る汎用性をもつといえる。  また、統合教育が進む中で、 「健常児と障がい児が共に過ごせる教室」であ るためには、障がい児と健常児双方にとっての居心地の良さが重要となる。従

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

しかしながら、本実験の様子から収穫も見られた。今回被験者である子ども

来、障がい児の周りには不透明で閉鎖的なついたてが使用されている。本研究 によって、半透明なついたての有用性が示されたことで、統合教育の中でも使 用されることがあれば、偏見の生まれやすい従来のついたてにとって代わり、 「見えないついたて」として、障がい児と健常児の間を緩やかにつなぐことが 出来るのではないか。  つまり、リビングにおいては、周囲からの誘惑を遮りつつ、家族と同じ場に いられる安心感を得ることが出来るし、学校においては、学習の時間にメリハ リをもたせるのと同時に、健常児と障がい児の境を曖昧にする役目をもたせる ことが出来るのである。

6.まとめ

80


研究を今後進めることで、より効果的な学習環境を示すことが出来るだろうと 考えている。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

子どもは学習する際、その学習環境から影響を受けやすい。そのため、この

6.まとめ

81


渡辺仁史研究室に所属して早半年。毎日が怒涛のように過ぎていってしまい、未だ どこか時間に取り残されたような気持ちでいます。  まずは、研究室選びを呑気に考えていた私を、研究室に迎え入れてくださった渡辺 仁史先生に感謝申し上げます。思えば、最初は高齢者の視点で建築を見たいと言って いた私に、子どもというテーマを与えてくださったのは先生でした。不安だらけで始 めたテーマも、多くの子どもたちと触れ合うたびに、徐々に私の中で確固たるものに なったと感じています。  また、どんなテーマをもっていっても背中を押してくださった中村先生、子どもと 向き合う厳しさを教えてくださった林田先生、いつも簡潔な言葉でアドバイスしてく ださった小林先生、本当にありがとうございました。先生方から頂く新しいアイディ アの数々には脱帽の一言で、毎回ついていくのに必死でした。  そして、いつも前向きで的確な指導をして下さった馬淵さん、英語のタイトルと分 析方法を考えてくださった菊池さん、フットワークの軽さとタイピングの速さに憧れ ていますすぎたつさん、どんなに疲れていても小さなことから大きなことまで相談に のってくださった伊永さん、沢山憎まれ口叩いてごめんなさい本当はクリエイターと しての才能を尊敬してますりょうじさん、そして担当ののぞみさん、ありがとうござ いました。  テーマの決定で悩み、実験方法で悩み、りょうじさんの何気ない一言で崩れ落ち、 体調を崩し続けて予定が遅れ、のぞみさんには幾度となく、ご心配・ご迷惑をおかけ しました。本当に本当にすみませんでした。それでもいつも笑顔で「がんばれー!」っ て言ってくださるのぞみさんがだいすきです!  そしてそして、同期のM0のみんな、英語の喋れない私にもにこにこ笑いかけてく れるジャンさん、ありがとう。色々な視点をみんなが持っていて、一つ相談すれば、

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

謝辞

沢山の案が出てくるところがとっても楽しかった。辛いとき、苦しいとき、みんなに 励ましてもらって元気をもらいました。研究室生活が楽しくて帰りたくなくなったの はみんなのおかげです。特になみえ師匠と陳君は沢山笑わせてくれてありがとう。ビッ グボーイで私の何かが壊れたよ。笑  そして、実験場所を提供してくれた母にも、ありがとう。何処に行っても、「廣田 先生の娘さんなら協力しますよ」って言ってもらえて、改めて母の偉大さを感じまし た。実験期間中、おいしいご飯を作ってくれた祖母、ついたて作りを手伝ってくれた 姉、いつも見守ってくれている祖父、本当にありがとう。私が大学に入れたのも、好 きなことを勉強できているのも、家族のおかげです。

6.まとめ

82


助けをしてくださった公文式峰教室のスタッフの皆様、実験を快諾してくださった公 文式宇都宮事務局地区担当さま、被験者以外にも私に笑顔をくれた子どもたちみんな、 ありがとうございました。  そして、この研究テーマにたどり着くまでに、様々な施設・団体の方々にお世話に なりました。お一人お一人に感謝の言葉を申し上げたいところですが、紙面のスペー ス上、お名前のみ紹介させていただきます。  宇都宮市子ども発達センター 若葉園さま  学校法人大恵会 石川幼稚園 理事長      石川経子様  社会福祉法人大成会 かしの木園        柳澤輝昌様  社会福祉法人足利むつみ会   デイアクティビティセンター WIN 副管理者  高久保夏樹様  東京都立あきる野学園校長           大伊信雄様  発達障害と生活環境を考える会         下村旭様  若葉台特別支援学校校長            坪井純一様  Relax' Creation project             橋本敦子様  株式会社 PAS さま  カウンセリングステーション・ユー       山中裕子様  島田療育センター 支援部 生活支援室               スヌーズレン担当  鈴木清子様  見学・相談に伺った私を温かく迎えてくださったこと、そして、沢山の子どもたち と触れ合う機会を与えてくださったことに、心より感謝申し上げます。

A Correlation between Concentration Levels and Opaqueness of Partition on a Learning Environment for Children

そして、実験に協力してくださった被験者の子どもたちと保護者の皆様、実験の手

障がいをもつ子どもたちや、スヌーズレンなど、興味を持ったもの・新しく知った ものに猪突猛進で駆け抜けたこの半年間、とても充実していました。だからこそ、卒 論の仕上がりを待つ今、寂しい気持ちが正直少しあります。  それでも子どもたちにしか見えない世界をほんの少しでも覗くことが出来たこの経 験を、今後の卒業計画、更には来年からの社会人としての仕事に繋げていきたいと思 います。  皆様、本当にありがとうござました。  ついたてのなかから、あいをこめて。  廣田由梨奈

6.まとめ

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1.既往研究

1 「施設「もやい」における知的障害者へのコミュニケーション支援」   /古橋由実子ら/ http://www.jasssdd.org/Journal/pdf/0402.pdf   / 2013.09.20 閲覧   /『発達障害支援システム学研究 4(1・2)』  pp.9-14 2005.03   /日本発達障害支援システム学会 2 「子どもの睡眠」/亀井雄一、岩垂喜貴   / http://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010003.pdf   /保健医療科学 61(1) pp.11-17 2012.02 /国立保健医療科学院   / 2013.09.20 閲覧 3 「感性評価から見た学習机の集中力に関する研究    ―こどもの学習における囲み空間の検証 その1―」   /西隆明/道垣内まゆ/浅田育男/渡辺仁史/林田和人   /学術講演梗概集 .E-1 pp.987-988 2010.07.20 /社団法人日本建築学会   / 2013.10.20 閲覧 4 「エデュース(引き出し型)教育の推進のための試論    −動機づけ、理解させ、納得させて社会対応力を育成する教育−」   / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/els/110007224895   /高橋誠/日本教育大学院大学   /教育総合研究 日本本教育大学院大学紀要 2 pp.15-36 2009.03   / 2013.09.20 閲覧

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*.参考文献

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* 参考文献

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7 「障碍児のための学習・生活空間の音環境に関する調査研究」

11 「家具レイアウトからみた教室空間像」/松崎悟・今井正次・小林智樹   / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110006971880   /東海支部研究報告集 (41) pp.685-688 2003.02.15   /社団法人日本建築学会/ 2013.10.10 閲覧 12 「感性評価から見た学習机の集中力に関する研究   ―こどもの学習における囲み空間の検証 その1―」   /西隆明/道垣内まゆ/浅田育男/渡辺仁史/林田和人   /学術講演梗概集 .E-1 pp.987-988 2010.07.20 /社団法人日本建築学会   / 2013.09.01 閲覧

* 参考文献

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/ http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110004184201   /学術講演梗概集 .D pp.43-44 1990.09.01 /社団法人日本建築学会   / 2013.09.01 閲覧 14 「学習形態と家具の使われ方からみた教室空間のあり方」   /島村明良・梶田尚令   / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110004136168   /学術講演梗概集 .59 pp.1395-1396 1984.09.10   /社団法人日本建築学会/ 2013.09.01 閲覧 15 「周囲の人影が机上面での作業に対する集中度に与える影響」   /仲田浩之/川瀬貴晴/宗方淳/吉岡陽介   / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110007980134   /学術講演梗概集 .D-1 pp.49-50 2009.07.20   /社団法人日本建築学会/ 2013.09.01 閲覧 16 「学習形態の変容からみた学校用家具の改善に関する研究    −小学校における教室用机面の使用実態―」/市岡綾子・若井正一   / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110004540753   /学術講演梗概集 .E-1 pp.653-654 2002.06.30   /一般社団法人日本建築学会/ 2013.09.01 閲覧 17 「テリトリー形成能力からみた子どもの居場所

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13 「ついたてがつくる机上空間の視覚的効果に関する研究」/八木澄夫

−質的空間学研究の試み−」/中井孝章      / http://ci.nii.ac.jp.ez.wul.waseda.ac.jp/naid/110006325885   /生活科学研究誌 5 pp.213-241 2006.03 /大阪市立大学   / 2013.10.27 閲覧 18 「子どもにとっての建築素材の研究−建築室内に触れる行動と心理−」   /道垣内まゆ・林田和人・浅田育男・渡辺仁史   /こども環境学研究 8(1) p.87 2012.04.20 /こども環境学会   / http://jglobal.jst.go.jp/ / 2013.10.20 閲覧

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2.参考文献

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1 「幼稚園設置基準」『電子政府の総合窓口イーガフ』 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S31/S31F03501000032.html 2013.10.24 閲覧 2 「自閉症スペクトラムの理解と支援」/『NPO 法人奈良県自閉症協会』 http://asn.gooside.com/kizuna/ASD.htm /門眞一郎 / 2013.10.20 閲覧 3 「Q:構造化があわない自閉症のタイプは ?」 『BOUZAN 工房』 / http://blog.goo.ne.jp/bouzan0807/e/ba8200a767da341989dc0 bda9cf1692e / 2013.06.10 閲覧 4 「視覚支援と構造化の工夫、そして「自分」の成長」 /『金井孝明 my homepage』 / http://homepage1.nifty.com/kanaipage/memoa-19.pdf / 2013.09.20 閲覧 5 「仕切り」/『大辞泉』   / http://kotobank.jp/ より引用/ 2013.10.10 閲覧 6 「園区・園の概要」『吉備高原幼稚園』   / http://www.edu.town.kibichuo.okayama.jp/kibi-ps/   / 2013.10.10 閲覧

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/ http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/board_of_edu/shidou/sonota/    sidousiryou/sidousiryou21/wakaru6.pdf / 2013.09.20 閲覧 18 「小集団学習などの学習形態」 『島根県浜田教育センター』   / http://www.pref.shimane.lg.jp/hamada_ec/kenkyu/kiyou_houkoku/    jyugyou.data/q16.pdf / 2013.09.20 閲覧 19 「授業形態」『ANY U LIKE』   / http://www.c-able.ne.jp/ miki-k/kougaku/keitai2.html   / 2013.09.20 閲覧 20 「子どもの視界の狭さ」 『子育ての友』   / http://www.kosodatenotomo.com/security_shikai.php   / 2013.10.20 閲覧 21 「子どもの視野」『マザーチャイルド』   / http://psychologymoth-ch.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/index.    html / 2013.10.10 閲覧 22 「色の不思議と心理」 『ホテルマンのシエスタ』   / http://www1.ocn.ne.jp/ siesta/color-page1.htm / 2013.10.25 閲覧

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17 「学習効果を高める学習形態」 『函館市』

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4.参考URL(画像)

/ http://www.k-atl.com/ より画像引用/ 2013.10.10 閲覧 8 「木造の可能性を色々な角度から追求」 『ハイブリッド木造研究会』   / http://www.hybridmokuzou.jp/column/preseminar/preseminar02.html   / 2013.10.10 閲覧 9 「セルモ長岡天神本部教室」 『個別学習のセルモ』   / http://www.selmo.jp/sc/nagaokatenjin/ / 2013.10.12 閲覧

* 参考文献

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/ http://www. reo-research.com/system / 2013.10.12 閲覧 11 「教室内の雰囲気」 『東京個別指導学院』   / http://www.kobetsu.co.jp/school/detail/33 / 2013.10.12 閲覧 12 「個太郎塾5つのポイント」 『個太郎塾』   / http://www.ichishin.co.jp/kotaro/ / 2013.10.12 閲覧 13 「切っても切れない家族の仕切り方」 『All about』   / http://allabout.co.jp/gm/gc/41189/ / 2013.10.31 閲覧 14 「施設案内」『杉並区立杉並第四小学校』   / http://www.suginami-school.ed.jp/sugi4shoubg/2013/   / 2013.10.20 閲覧 15 「新しい小学校の形を考える」 『越谷市立城ノ上小学校』   / http://eharachieko.cocolognifty.com/photos/primaryschool/phot_07.    html / 2013.10.20 閲覧 16 「学校じまん」『藤沢市立高砂小学校』   / http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/khmb0703/jiman03.html   / 2013.10.20 閲覧

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10 「集中できる教室レイアウト」 『REO 個別指導塾』

17 「集中 DESK」『イトーキ』   / http://www.itoki.jp/home/studydesk/product/shuchudesk/   / 2013.10.20 閲覧

* 参考文献

92


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