都市空間としての工事の印象評価に関する研究
目次
はじめに 目次 第1章
研究背景
1-1 工事の現状 1-1-1 1 年間の工事面積と件数
1
1-1-2 一般的イメージ
2
1-1-3 工事と安全
3
1-1-3 工事現場の法規
7
1-1-4 工事の閉鎖性について
10
1-2 都市の非日常空間 1-2-1 非日常とは
11
1-2-2 非日常空間の都市における意味
12
第2章
研究概要
2-1 研究目的
13
2-2 研究概要
14
第3章
工事現場における主観的フィールドワーク
3-1 調査概要
17
3-2 調査方法
18
3-3 結果・分析
26
3-4 考察
44
3-5 まとめ
45
都市空間としての工事の印象評価に関する研究
目次
第 4 章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析 4-1 調査概要 ∼注視編∼
46
4-2 調査方法
47
4-3 結果
51
4-4 分析
60
4-5 考察
87
4-6 まとめ
88
4-7 調査概要 ∼アンケート編∼
89
4-8 調査方法
90
4-9 結果
91
4-10 分析
99
4-11 考察
108
4-12 まとめ
109
第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析 5-1 調査概要
110
5-2 調査方法
111
5-3 結果
113
5-4 分析
125
5-5 考察
127
5-6 まとめ
129
第6章 建築生産の専門家が考える 工事現場の安全性と解放の可能性の調査 6-1 調査概要
130
6-2 調査方法
131
6-3 結果
132
6-4 分析
136
6-5 考察
138
6-6 まとめ
139
都市空間としての工事の印象評価に関する研究
第7章
目次
まとめ
7-1 人々の工事現場に対する欲求
140
7-2 工事関係者の工事現場に対する欲求
142
7-3 工事空間の開放可能性
144
第8章 ・おわりに ・謝辞
145
・参考文献、参考資料
146
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第1章 研究背景
1-1 工事の現状
■ 1-1-1 1 年間の工事面積と件数 平成24年度建築着工統
平成 24 年度の東京都の面積は、2187.4k㎡ ( 注 1) であり、そこから林野面積、及
計調査
び湖沼面積を差し引いた可住地面積は 1395.9k㎡である。平成 24 年度の東京都内で
国土交通省総合政策局 http://www.mlit.go.jp/ toukeijouhou/chojou/ kakodata.html(注 1)
の新築着工建築物の件数は 48710 件、総敷地面積は約 11.2k㎡にのぼる。単純に計 算して東京都の約 0.8%に相当する千代田区や中央区とほぼ同等の面積であり、東京 ドームに換算して約 240 コ分(注 2)、の面積が 1 年間のうちに工事現場へと変容を遂 げている。
東京ドーム計算機 HDMT Logic and Intuition http://hmdt.jp/ T o k y o D o m e / TokyoDome.html(注 2)
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1
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
■ 1-1-2 工事に対する一般的なイメージ 建築施工法 第 2 版
日本の建設業界には昔から 3K と言われる「きつい・汚い・危険」というイメージ
田村 恭
がある。近年でもそのイメージは払拭されておらず、建設産業関係者や国土交通省で
丸善株式会社 2003 年
もイメージアップのための様々な戦略をたてているが、未だにそのイメージは向上し ていないと考えられる。 工事関係者のそういったイメージをもたれる原因の一つとしてバブル経済破綻以降の 建設投資額の大幅な減少がある。建設投資額の削減により、建設会社の事業量が減り 経営状況は悪化し,企業数や就業者数の減少を招いている。それに伴い労働条件の悪 化、雇用の減少、度重なる不正・談合や設計偽装問題による社会的信用の失墜等がメ ディアでは大きく取りざたされることでそのイメージを強くしている。
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
■ 1-1-3 工事と安全 平成 24 年労働災害動向
工事現場の事故発生率は近年減少傾向にある。本章ではそれを説明するために、工
調査 [ 事業所調査(事業
事現場の事故の種類、評価方法について述べた後、発生率を検証する。
所規模 100 人以上) 及 び総合工事業調査 ] の概況
まず工事中に起こる事故は主に「労働災害」と「公衆災害」に大別される。
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
■労働災害
toukei/itiran/roudou/
労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた業務上の災害のことで、業務上の負傷、
saigai/12/dl/toukei01.
業 務上の疾病及び死亡をいう。ただし、業務上の疾病であっても、遅発性のもの ( 疾
pdf(注3)
病の発生が、事故、災害など の突発的なものによるものでなく、緩慢に進行して発 生した疾病をいう。例えば、じん肺、鉛中毒症、振動障害 などがある。)、食中毒及
建設工事公衆災害防止対 策要綱
び伝染病は除く。 なお、通勤災害による負傷、疾病及び死亡は除く。(注3)
建設省 htt p:/ /www.kkr. m l i t.
■公衆災害
go.jp/plan/hikkei_kouji/
当該工事の関係者以外の第三者に対する生命、身体及び財産に関する危害並びに迷
pdf/doboku/14.pdf(注4)
惑等をいう。(注4) 労働災害の状況は次に示す、労働災害率 ( 度数率・強度率 ) 及び労働損失日数で表す。
□度数率 延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。ただ し、本概況における度数率は、休業 1 日以上及び身体の一部又は機能を失う労働災害 による死傷者数に限定して 算出している。 [ 算出方法 ] 度数率=労働災害による死傷者数/延べ実労働時間数 ( 注 ) 同一人が 2 回以上被災した場合には、その被災回数を死傷者数としている ( 同一人が 2 回被災 した場合の 死傷者数は 2 人となる )。
□強度率 延べ実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す。 延べ労働損 失日数
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
平成 24 年労働災害動向
[ 算出方法 ]
調査 [ 事業所調査(事業
強度率 = 延べ労働損失日数/延べ実労働時間数
所規模 100 人以上) 及 び総合工事業調査 ] の概況
□延べ労働損失日数
厚生労働省
労働災害による死傷者の延べ労働損失日数をいう。 労働損失日数は次の基準によ
http://www.mhlw.go.jp/
り算出する。
toukei/itiran/roudou/
死亡・・・7,500 日
saigai/12/dl/toukei01.
永久全労働不能・・・別表の身体障害等級 1 3 級の日数 (7,500 日 )
pdf(注3)
永久一部労働不能・・・別表の身体障害等級 4 14 級の日数 ( 級に応じて 50 5,500 日 ) 一時労働不能・・・暦日の休業日数に 300/365( うるう年は 300/366) を乗じた日数
表 1-1-3 身体障害等級表
身体障害等級(級) 1 ∼ 3 労働損失日数(日) 7500 10 600
4 5500
5 4000 11 400
6 3000 12 200
7 2200
8 1500
13 100
9 1000 14 50
平成 24 年度の産業別労働災害率 ( 事業所規模 100 人以上 ) を見ると、主として注 文又は自己建設よって建築工事、土木工事を施工する事業所を指す建設業のうち元請 企業として工事指導や調整を担当する総合工事業(ゼネコン)を除いたものの度数率 は 0.62 と低く、強度率が 0.30 と農業林業に次いで高い値となっている。建設業は 災害発生回数は少ないが発生すれば重大な労働損失を招くことが多い。 平成 24 年度産業別労働 災害率 ( 事業所規模 100 人以上 ) 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ toukei/itiran/roudou/
saigai/12/dl/toukei01. pdf [ 図 1-3-1]
図 1-3-1 平成 24 年度産業別労働災害率 ( 事業所規模 100 人以上 )
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
平成 24 年度労働災害率
しかしながら総合工事業の工事現場でみると、度数率が 0.83( 前年 0.85)、強度率
及び死傷者 1 人平均労
が 0.05 ( 同 0.21) となり、死傷者 1 人の平均労働損失日数が 65.7 日 ( 同 243.6 日 )
働損失日数の推移 ( 総合 工事業 )
となっている。前年と比べ、度数率 が 0.02 ポイント、強度率が 0.16 ポイントそれ
厚生労働省
ぞれ低下し、死傷者 1 人平均労働損失日数も 177.9 日減少している。建設業の中で
http://www.mhlw.go.jp/
も工事現場が度数率、強度率ともに低くなっていた。
toukei/itiran/roudou/ saigai/12/dl/toukei01. pdf [ 図 1-3-2] 平成 24 年度労働不能程 度別労働災害率及び死傷 者 1 人平均労働損失日 数 ( 総合工事業 ) 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ toukei/itiran/roudou/ saigai/12/dl/toukei01. pdf [ 図 1-3-3]
図 1-3-2 平成24度労働災害率及び死傷者 1 人平均労働損失日数の推移 ( 総合工事業の工事現場 )
工事の種類別でみると、土木工事業の度数率が 0.80( 同 1.84)、強度率が 0.24 と 比較的高い値になっているが ( 同 0.60)、建築事業の度数率が 0.84( 同 0.74)、強度 率が 0.03( 同 0.16) で、災害発生回数も労働損失も少ないことが示されている。 表 1-3-2 平成 24 年度労働不能程度別労働災害率及び死傷者 1 人平均労働損失日数 ( 総合工事業 )
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
平成 24 年の労働災害発
平成 24 年度の労働災害発生状況のグラフ(図 1-3-3)を見ると、全産業に対する
生状況
建設産業の死亡を含む休業 4 日以上の死傷数は重大な労働災害は年々減少傾向にあ
労務安全情報センター http://spotjn.blog.fc2.
ることが分かる。
com/blog-category-4. html [ 図 1-3-3]
労働災害発生状況の推移 日本建設業連合会 http://www.nikkenren. com/publication/pdf/ [ 図 1-3-4]
図 1-3-3 平成 24 の労働災害発生状況
また労働災害による死亡者数も近年、減少の傾向にあり、安全管理についての積極
的な取り組みが行われる中で工事現場は3K で語られる、「危険」の要素は薄らいで いる。
図 1-3-4 労働災害発生状況の推移
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
■ 1-1-4 工事現場の法規 建築施工法 第 2 版
工事現場について法律での規定がなされているものは大きく以下の4つである。
田村 恭 丸善株式会社 2003 年 p39 40 (注 1-1-5)
労働安全衛生法
□建設業法 建設業のあり方や現場における施工管理の仕方に係る諸事項を規定する法律を指し 「建設業の許可基準、登録の申請等を定め、建設工事の請負契約の原則について」(注 規定する法である。
1-1-5)
総務省法令データ提供シ ステム(法)
□労働安全衛生法
http://law.e-gov.
建設工事にともなって起こる労働災害に対してその防止を目的として昭和47年6
go.jp/htmldata/S47/ S47HO057.html (注 1-1-6)
月 8 日に制定された法律を指し「労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まって、 労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促 進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場
労働基準法
における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する
総務省法令データ提供シ
ことを目的」(注 1-1-6)としている。
ステム(法) http://law.e-gov. go.jp/htmldata/S22/ S22HO049.html (注 1-1-7)
□労働基準法 労働者に対して最低限度の労働基準を定めるため昭和60年 6 月1日に制定され た法律である。労働契約、労働賃金、労働時間や休憩等について規定を設けており、 憲法第25条1項の生存権「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む
建築基準法施行令
権利を有する。 」 、第27条2項の勤労条件の基準「賃金、就業時間、休息その他の勤
総務省法令データ提供シ
労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」(注 1-1-7)を法律として具現化したもの
ステム(法)
である。
http://law.e-gov. go.jp/htmldata/S25/ S25HO201.html (注 1-1-8)
□建築基準法施行令 「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、 健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」 (注 1-1-8)
建築基準法の規定を実施するための具体的な方法、方策を定めたものである。
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第1章 研究背景
1-1 工事の現状
ひと目で分かる 図説
4つの法律のうち特に、工事現場内の作業計画に関しての規定を設けているのが労
安衛則
働安全衛生法である。この法律の中で工事現場内の作業について種々の規定があり、
ゼロ災害実践研究所 代 表 武下尚憲 労働調査会
例えば、作業に従事する場合、安全帽の着用、2m 以上の高所作業における安全帯 着用を義務づけている。また作業が行われている作業場への関係者以外の立ち入り禁 止、機械や設備等の間隔を80センチ以上に保つこと、作業床を平滑に保ち、つまづ きや転倒を防止する等の工事現場内の安全に対する細かな規定がなされている。これ らは現場内の労働者に対する法律であり、労働者以外(雇用主や一般の人々)に対し て規定する法律ではなく、工事現場は基本的に労働者以外の内部への立ち入りを考慮 して計画されていない。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第1章 研究背景
1-1 工事の現状
図 1-3-4 労働安全衛生規則フロー
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第1章 研究背景
1-1 工事の現状
■ 1-1-5 工事現場の高い閉鎖性 建築基準法では「木造の建築物で高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メート ルを超えるもの又は木造以外の建築物で二以上の階数を有するものについて(中略) 工事を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面からの高さが一・ 八メートル以上の板塀その他これに類する仮囲いを設けなければならない。」と規定 している。 工事現場の高い閉鎖性は法律によって規定され、一般に対して工事が開 放される例はこういった仮囲い周辺に対してのみにとどまっている。
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第1章 研究背景
1-2 都市の非日常空間
■ 1-2-1 非日常とは 非日常
非日常とは「日常的ではないこと、特に、通常の日常生活では体験出来ないような
Weblio 辞書
場面や状況、または経験などのことを幅広く指す言い回しである。」(注 2-1-1)
http://www.weblio.jp/co ntent/%E9%9D%9E%E6 %97%A5%E5%B8%B8
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第1章 研究背景
1-2 都市の非日常空間
■ 2-1-2 都市における非日常空間 高度消費社会における劇
都市における非日常空間としてお祭りやイベントなどがあげられる。例えば江戸三
場型空間の創出と都市環
大祭りである浅草の三社祭、日枝神社の山王祭りや神田明神で行われる神田祭りなど
境の変貌 鈴木 貢 http://libro.do-
は例年多くの人が足を運び、祭りを楽しんでいる。新宿の歩行者天国も毎週たくさん の人々でにぎわい、駅前のストリートパフォーマーにはちょっとした人だかりができ
bunkyodai.ac.jp/
ている。
research/pdf/
あるとき突然出来上がる非日常空間は人々を惹きつけてやまない。
treatises10/03suzuki. pdf
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第2章 研究概要
■ 2-1 研究目的
■ 2-1 研究目的 本研究は工事現場に対する、施工側と一般の人々のニーズを明らかにし、工事が有 する非日常空間という新たな視点から、工事のあり方の可能性を提案することを目的 とする。
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第2章 研究概要
■ 2-2 研究概要
■ 2-2 研究概要 本研究は次のような流れで研究を進める。 第3章 「工事現場における主観的フィールドワーク」 目的 :工事現場のどのような要素が魅力的であるのか主観的に明示し、それら を分類・分析する。 調査対象 :都心の大規模な工事の様々な工程における非日常性 場所 :東京都内の再開発による大規模な工事現場周辺 方法 :フィールドワークとカメラによる動画、静止画撮影音声記録 ↓ 第4章 「工事現場に対する客観的な印象の収集と分析」 目的 :工事現場周辺を行き交う歩行者の、工事現場に対する注視を記録・分析 する事で、人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにする。 調査対象 :工事現場に対する注視・不特定多数の人々の工事への興味とその対象 場所 :丸の内の大規模工事 方法 :カメラによる動画撮影を行い、その注視行動を分析、インターネットの アンケートによる工事現場への興味の対象を分析する。 ↓ 第5章 「工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析」 目的 :工事関係者が感じる工事現場の魅力や解放の可能性を収集・分析する。 調査対象 :工事現場監督者、またはその経験のある人の現場開放の知見 方法 :工事現場監督者へのヒアリングと、同じ質問内容によるアンケート及び 専門家へのヒアリング
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都市空間としての工事の印象評価に関する研究
第2章 研究概要
↓ 第6章 「建築生産の専門家が考える工事現場の安全性と解放の可能性の調査」 目的 :工事現場の学術的な観点からの現状把握 方法 :早稲田大学 理工学部 建築学科 教授 嘉納成男氏への直接ヒアリング
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第2章 研究概要
■ 2-2 研究概要
■研究フローチャート 次に研究の具体的な流れを示すためにフローチャートを作成する。
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-1 調査概要
■調査概要 東京都内にある、いくつかの工事現場周辺でフィールドワークを行い、工事現場に おけるアトラクションとしての要素をカメラ、ビデオで収集し、分析、分類すること を目的する。
■調査目的 工事現場のどのような要素が魅力的であるのか主観的に明示し、それらを分類・分 析する。
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
■調査日 2013年7月20日、10月4・5日、11・12日、14・15日、17・ 18日の計9日間。
■調査地 東京メトロ銀座線虎ノ門駅、東京メトロ南北線六本木一丁目駅、JR 線東京駅八重 洲口、東京メトロ東西線大手町駅、JR 線新橋駅、JR 線新宿駅、都営大江戸線勝月島駅、 中央区晴海5丁目、以上の周辺で行われている工事現場を調査地として設定した。い ずれの調査地も、フィールドワークを行った当時、大規模な開発工事が進行しており、 工事現場のアトラクション要素の抽出に適していた。 以下の対象地を Google Maps(https://maps.google.co.jp)の地図情報サービスによっ て検索、フィールドワークに出向いた。
図 3-2-1 東京メトロ銀座線虎ノ門駅周辺
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
Earth 航空写真 交通状況
図 3-2-2 東京メトロ南北線六本木一丁目駅周辺
Earth 航空写真 交通状況 100 m 200 フィート 地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
図 3-2-3 JR 線東京駅八重洲口周辺
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100 m 200 フィート 地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
Earth 航空写真 交通状況
Earth 航空写真
図 3-2-4 東京メトロ東西線大手町駅
交通状況
周辺
100 m 200 フィート 地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
図 3-2-5 JR 線新橋駅周辺
100 m 200 フィート
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地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
Earth 航空写真 交通状況
Earth 航空写真
図 3-2-6 JR 線新宿駅新南口周辺
交通状況
100 m 200 フィート 地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
図 3-2-7 都営大江戸線月島駅周辺
100 m 200 フィート
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地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
Earth
航空写真
交通状況 路線図 写真 天気情報 勝どき 大崎
図 3-2-8 中央区晴海5丁目周辺 100 m 200 フィート 地図データ ©2013 Google, ZENRIN - 問題の報告
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
■調査機材 ・SONY 製のデジタルカメラ NEX-5D を使用した。
図 3-2-8 SONY NEX-5D
・SONY 製のデジタルカメラ NEX-6L を使用した。
図 3-2-9 SONY NEX-6L
・CANON 製のデジタルカメラ Powershot G11 を使用した。
図 3-2-10 CANON Power Shot G11
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
■調査機材 ・三脚(二台)
図 3-2-11 三脚①
図 3-2-12 三脚②
・クランプ・クリップ固定 自由雲台カメラスタンド(二個)
図 3-2-13 クリップスタンド①
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図 3-2-14 クリップスタンド②
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-2 調査方法
■調査内容 対象地の工事現場周辺を歩いて回り魅力的な工事の様相を静止画や動画による撮影 で収集する。
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■虎ノ門駅周辺 虎ノ門ヒルズ
東急メトロ銀座線虎ノ門駅周辺では環状第2号線の延伸を目的とした幹線道路の整
MORI ビル
備と平行して超高層のオフィスビルの建設工事が進行中であった。
http://www.mori.co.jp/ projects/kanjo-2go/ ( 注 3-3-1)/「 図 3-31」
以下に計画内容を示す。 「環状第2号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業Ⅲ街区 (環状二号線プロジェクトⅢ街区)」(注 3-3-1)
建築主:森ビル(事業施工者:東京都) 施工者:大林組 所在地:東京都港区虎ノ門Ⅰ丁目 面積:約 5.7ha 整備内容:公共施設 環状第2号線 施設建築物:延べ面積 約 244,360㎡ 主要な用途:事務所、店舗、駐車場、 住宅、文化交流施設 高さ 52 階 建築工事着工:2011年 4月 「図 3-3-1」 虎ノ門ヒルズ
建築工事完了:2014年 予定
以下に印象的だった工事の様相を挙げる。
「図 3-3-2」 虎ノ門ヒルズ鉄骨注
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「図 3-3-3」 虎ノ門ヒルズ足場
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
「図 3-3-4」 虎ノ門ヒルズと環状2号線
「図 3-3-5」 虎ノ門ヒルズ作業者とクレーン
東京都の幹線道路の整備と超高層ビルの建設工事が結びついた特殊な工事が行われ ていた。この工事で印象に残ったのは、工事の「鉄骨の構造体」、「足場の積層」、「ト ンネル工事」 、 「作業者」の4つであった。
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第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■六本木1丁目駅周辺 六本木三丁目東地区第一
東急メトロ南北線六本木1丁目駅周辺では「土地の高度利用、有効利用を図るとと
種市街地再開発事業
もに、六本木一丁目の広場および六本木通り沿いの広場の整備とそれらをつなげる地
東京都都市整備局 h t t p : / / w w w . toshiseibi.metro. tokyo.jp/cpproject/
下鉄連絡通路を整備し、加えて歩道状空地の整備を行うことで歩行者ネットワークの 確保」(注 3-3-2)を目的とした再開発工事が進行中であった。 以下に計画内容を示す。
field/roppongigu/ saikaihatsu3-16.html
「六本木三丁目東地区第一種市街地再開発事業」(注 3-3-3)
(注 3-3-2)/(注 3-3-3)
建築主:六本木三丁目東地区市街地再開発組合 施工者:大成建設・大林組
所在地:港区六本木三丁目 面積:約 2.7ha 整備内容:公共施設 区道 397 号、区道 845 号、区道 846 号 施設建築物:延べ面積 約 201,815㎡ 主要な用途:事務所、店舗、駐車場、住宅 高さ 52 階 建築工事着工:2014年 5月 建築工事完了:2017年 3月予定 「図 3-3-6」 再開発イメージパース
以下に印象的だった工事の様相を挙げる。
「図 3-3-7」 くい打ち機の動き
DIPLOMA 2013
「図 3-3-8」 ドラグラインクレーン
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28
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
「図 3-3-9」 シャベルカーの動き
「図 3-3-10」 「作業者と土工事と風景」
大規模な土工事が行われており、様々な重機がせわしなく稼働していた。この工事 で印象に残ったのは、工事の「重機」と「重機の動き」「工事の大きさ」、「作業者と 土工事と風景」の4項目であった。
DIPLOMA 2013
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29
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■ JR 東京駅八重洲口周辺 東京駅丸の内駅舎保存・
JR 東京駅八重洲口周辺では JR 東日本株式会社が八重洲口「グランルーフ」を始め
復原工事及び八重洲口開
とした駅周辺の整備事業を進めており、八重洲北口付近でも鉄鋼ビルの立て替え工事
発第2期工事について 東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/
が進行していた。八重洲口前面の日本橋地区においても日本橋2丁目地区開発計画を 始めとした、再開発事業が多数行われており、立て替えや解体工事の現場が至る所に
press/2011/20110906.
存在していた
pdf「図 3-3-11」
以下に対象とした3つ工事現場の計画内容を示す。
東京駅八重洲口開発第2
「東京駅八重洲口開発第2期工事」(注 3-3-5)
期工事の計画概要につい
建築主:東日本旅客鉄道株式会社
て 東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/
施工者:東京駅八重洲開発中央部他
新築共同企業体(鹿島建設・鉄建建設)
(注 3-3-5)
所在地:東京都千代田区丸の内 1-9-1 面積:約 1.07ha
都市の風景
整備内容:公共施設
スケール http://urbanreallife.
バス発着場、タクシー乗り場
blog52.fc2.com/blog-
施設建築物:延べ面積 約 212,000 ㎡
entry-977.html 「図 3-3-12」
「図 3-3-11」 グランルーフイメージパース
主要な用途:鉄道営業施設、店舗、 歩行者デッキ等 高さ4階 建築工事着工:2008年 建築工事完了:2013年 9月20日
「( 仮称 ) 新鉄鋼ビル」(注 現地掲示図より) 建築主:株式会社鉄鋼ビルディング 施工者:大成・増岡組建設共同体 ( 代表:大成建設 ) 所在地:千代田区丸の内 1 丁目 1 番及び中央区八重洲 1丁目102番 面積:約 0.7ha 建築物内容:延べ面積 約 117,000㎡ 主要な用途:事務所、ホテル、店舗、駐車場 高さ 26 階 建築工事着工:2014年 4月 建築工事完了:2016年 4月予定
「図 3-3-12」 現地掲示の外観パース
DIPLOMA 2013
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
「( 仮称 )N プロジェクト」(注 現地掲示図より) 建築主:日誠不動産株式会社 施工者:大林組 所在地:中央区日本橋三丁目7−1外 面積:約 0.2ha 建築物内容:延べ面積 約 29,995㎡ 主要な用途:事務所、駐車場 高さ12階 建築工事着工:2013年 10月 建築工事完了:2014年 4月予定
「図 3-3-13」 工事の様子(7月20日)
以下に印象的だった工事現場の様相を挙げる。
「図 3-3-14」 工事の舞台裏
「図 3-3-15」 工事によるゲート
「図 3-3-16」 重機のサイズ
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「図 3-3-17」 重機群
31
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
テコレップシステム 大成建設株式会社 http://www.taisei.co.jp/ about_us/(注 3-3-6)
「図 3-3-18」 解体工事
「図 3-3-19」 変化の体験
工事と一般の人々の動線が交錯しているグランルーフの工事、重機の密集による土 工事、上階から解体していくテコレップシステム(注 3-3-6)による工事など特異な工事現 場が多いように感じた。印象に残ったのは、工事の「工事の舞台裏」、 「工事によるゲー ト」 、 「重機のサイズ感」、 「重機群」、 「解体工事による変化の体験」の5項目であった。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■大手町駅周辺 まちづくりガイドライン
東京メトロ東西線大手町駅周辺には、2000年から社団法人大手町・丸の内・有
2012
楽町地区まちづくり懇談会による「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドラ
大手町・丸の内・有楽町 地区まちづくり懇談会 http://www.aurora.dti. ne.jp/ ppp/guideline/
イン」(注 3-3-7)が策定されており、地区の将来像に対して明確な目標を設定し、それに 基づいた都市整備が積極的に行われている。調査を実施を行った期間中も高層のオ フィスビル建設工事や再開発事業が密集して行われていた。
pdf/guideline2012.pdf (注 3-3-7)
「三井住友銀行東館計画」(注 現地掲示物より) 建築主:東日本旅客鉄道株式会社 施工者:大林組 所在地:東京都千代田区大手町 1 丁目 1 番2号 面積:約 1. 1ha 整備内容:オフィス 商業施設 文化交流施設 駐車場 「図 3-3-20」 工事現状
高さ 33階 建築工事着工:2012年 建築工事完了:2016年 春
「( 仮称 ) 大手町 1-1」計画 A 棟」(注 現地掲示図より) 建築主:日誠不動産株式会社 施工者:三菱地所設計 所在地:東京都千代田区大手町 1 丁目 1 番2号 面積:約0.9ha 建築物内容:延べ面積 約 147,000㎡ 主要な用途:事務所、店舗、 サービスアパートメント 駐車場 「図 3-3-21」 工事の様子(10月5日)
高さ29階 建築工事着工:2013年 建築工事完了:2016年 予定
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
超高層マンション・超高
「日本生命大手町ビル計画」(注 現地掲示図より)
層ビル BLUE STYLE .COM
建築主:日誠不動産株式会社
http://bluestyle.
施工者:大林組
livedoor.biz/tag/(%E4%B
所在地:東京都千代田区丸の内1丁目
B%AE%E7%A7%B0)%E5
面積:約 0.4ha
%A4%A7%E6%89%8B%
建築物内容:延べ面積 約55,700㎡
E7%94%BA1
主要な用途:事務所
「図 3-3-23」工事の様子
高さ12階 建築工事着工:2013年 建築工事完了:2014年 予定
「図 3-3-22」 工事の様子(10月14日)
「読売新聞東京本社ビル」(注 現地掲示図より) 建築主:読売新聞東京会社 施工者:清水建設 所在地:東京都千代田区大手町一丁目 7 番 1 号 面積:約 0. 6ha 建築物内容:延べ面積 約 89,409㎡ 主要な用途:オフィス、興行場、集会所、店舗 診療所、託児所 高さ33階 建築工事着工:2010年 建築工事完了:2010年 10月予定 「図 3-3-23」 工事の様子
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■大手町駅周辺 以下に印象的だった工事現場の様相を挙げる。
「図 3-3-23」 仮設ができていくところ
DIPLOMA 2013
「図 3-3-24」 使用前の空間
「図 3-3-25」 材料の整然とした並び
「図 3-3-26」 材料のスケール感
「図 3-3-27」 一斉作業
「図 3-3-28」 内部仮設空間
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
「図 3-3-29」 トラックの出入り
「図 3-3-30」 重機群
「図 3-3-31」 つくる光、火花
「図 3-3-32」 工事の光、
「図 3-3-33」 横での時間軸の変化
「図 3-3-34」 使用前エスカレーター
「図 3-3-35」 工事の光と色
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「図 3-3-36」 鉄骨駆体
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
大規模で様々な工程の工事が過密に行われていた。これらの工事で印象に残ったの は、工事の「仮設ができていくところ」、「使用前が見られたこと」、「材料の整然とし た並び」 、 「材料のスケール感」、 「一斉作業」、 「内部の仮設空間」、 「トラックの出入り」 、 「重機群」 、 「つくっている光」、 「工事の光」、 「横での時間軸の変化」、 「エスカレーター」 、 「工事の光と色」 、 「鉄骨躯体」の以上14項目であった。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■ JR 新橋駅、新宿駅新南口周辺 東海道線新橋駅改良工事
JR 新橋駅、新宿駅新南口は、人々の利用を中断せずに駅舎の改修工事を行っていた。
の着手について
新橋駅は耐震化とバリアフリー化、駅内コンコースの一体化と東海道線のホームの拡
東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/ press/2010/20100901. pdf(注 3-3-8)
幅をはかるために作業構台をホーム上部に設けて工事をおこなっており(注 3-3-8)、新宿 駅は「人工地盤を構築し、鉄道と高速バス、タクシーや車などの連携をスムーズにす るための多層構造の都市インフラを整備」(注 3-3-10)と JR 駅ビル工事を並行して行って いた。どちらも特殊な工事が人々から見やすい位置で進行していた。
進行中の建設プロジェク ト
「新宿駅新南口ビル」(注 3-3-5)
東日本旅客鉄道株式会社 http://www.jreast.co.jp/
建築主:東日本旅客鉄道株式会社
construction/station/
施工者:大林組
(注 3-3-10)
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目他 面積:約 1. 1ha 整備内容:オフィス 商業施設 文化交流施設 駐車場 「図 3-3-37」 グランルーフイメージパース
高さ 33階 建築工事着工:2012年 建築工事完了:2016年 春
「新橋駅改良工事」(注 3-3-5) 建築主:東日本旅客鉄道株式会社 施工者:鉄道建設株式会社 所在地:東京都港区新橋 2 丁目 面積:約 1. 1ha 整備内容:ホーム、コンコース 建築工事着工:2013年 「図 3-3-38」 グランルーフイメージパース
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建築工事完了:2016年
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
以下に印象的だった工事現場の様相を挙げる。
「図 3-3-39」 工事によってできたゲート
「図 3-3-40」 作業構台
「図 3-3-41」 大きなかごの中の重機
「図 3-3-42」 線路の先からすぐ工事現場になっているところ
工事がインフラと結びつくことで人々とより一層近接していた。これらの工事で印 象に残ったのは「工事によってできたゲート」、 「作業構台」、 「大きなかごの中の重機」 、 「線路の先からすぐ工事現場になっている所」の4項目であった。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■都営大江戸線月島駅周辺 月 島 1 丁 目 3、4、5 番
都営大江戸線月島駅周辺では古くからの木造密集地を解消し、土地の高度利用をは
地区第一種市街地再開発
かるための再開発事業が進行であった。
事業 東京都都市整備局 h t t p : / / w w w .
「月島1丁目 3、4、5 番地区第一種市街地再開発事業」(注 3-3-11)
toshiseibi.metro. tokyo.jp/cpproject/
建築主:月島1丁目 3、4、5 番地区市街地再開発組合
field/tukisimagu/
施工者:清水建設
saikaihatsu2-12.html(注
所在地:東京都中央区月島一丁目ノ門Ⅰ丁目
3-3-11)/「
面積:約 1,0ha
図 3-3-
整備内容:施設建築物:延べ面積 約 87,350㎡
36」
主要な用途:店舗、住宅、公益施設等 高さ:高層部 53 階、低層部12階 建築工事着工:2012年 2月 建築工事完了:2016年 7月予定
「図 3-3-43」 完成イメージパース
以下に印象的だった工事現場の様相を挙げる。
DIPLOMA 2013
「図 3-3-44」 一斉作業
「図 3-3-45」 タワークレーンの動き
「図 3-3-46」 タワークレーンと人の動き
「図 3-3-47」 工事現場の整然さ
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
工事を俯瞰で捉えたことで人の動きと機械の動き現場の整然さを把握することがで きた。この工事で印象に残ったのは「一斉に作業が行われるところ」、「タワークレー ンと現場の動き」 「タワークレーン自体の動き」、 、 「工事現場の整然さ」の4項目であっ た。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
■中央区晴海5丁目周辺 晴海三丁目西地区第一種
中央区晴海5丁目周辺では都市圏における市街地整備の改善や賃貸住宅の供給を目
市街地再開発事業
的にして設立された国土交通省所管の独立行政法人「UR 都市機構」による大規模な
UR 都市機構 http://www.ur-net.go.jp/ haru3/outline/about. html(注 3-3-12)/「図
市街地再開発事業が進行していた。 「 (仮称)晴海三丁目西地区 A2・A3 街区計画」(注 3-3-12)
3-3-41」
建築主:独立行政法人都市再生機構 施工者:前田建設工業 所在地:東京都中央区晴海3丁目102番 面積:約 1,5ha 整備内容:施設建築物:延べ面積 約 174,800㎡ 主要な用途:物販店舗、共同住宅、事務所 診療所、自動車車庫 高さ:高層部52階 「図 3-3-48」 完成イメージパース
建築工事着工:2012年12月 建築工事完了:2016年 1月予定
以下に印象的だった工事現場の様相を挙げる。
「図 3-3-49」 重機群
「図 3-3-50」 工事の内部
「図 3-3-51」 工事現場のスケール感
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-3 調査結果・分析
かなり規模の大きな工事を俯瞰で捉えられたことで工事のダイナミックさやシステ マチックさ、現場の精密さの一方で最終工程は手作業で作り上げているところなどま でみることができた。この工事で印象に残ったのは「重機群」、「奥への期待感」、「工 事のスケール感」 、の3項目であった。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-4 考察
今回の調査によって、収集してきた工事現場の要素を短期間見ただけでも楽しめる ものと長期間、継続的に見たときに楽しめるものとに分類した。 ■長期間の事象への魅力 •
「解体工事による変化の体験」
•
「仮設ができていくところ」
■短期間の事象への魅力
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•
「タワークレーンと現場の動き」
•
「材料のスケール感」
•
「タワークレーン自体の動き」
•
「内部の仮設空間」
•
「一斉作業」
•
「トラックの出入り」
•
「工事の光と色」
•
「重機群」
•
「鉄骨躯体」
•
「エスカレーター」
•
「鉄骨の構造体」
•
「工事によってでたゲート」
•
「足場の積層」
•
「大きなかごの中の重機」
•
「トンネル工事」
•
「線路の先からす
•
「作業」
•
「重機」
•
「工事現場の整然さ」
•
「工事の大きさ」
•
「奥への期待感」、
•
「作業者と土工事と風景」
•
「工事のスケール感」
•
「工事の舞台裏」
•
「使用前が見られたこと」
•
「材料の整然とした並び」
工事現場になっている所」
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44
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第3章 工事現場における主観的フィールドワーク
3-6 まとめ
今回の調査によって、工事現場のどのような要素が魅力的であるのか主観的に明示でき
た。それらは、 「鉄骨」、「重機」、「工事のスケール感」と「重機の動き」、「解体工事によ る変化の体験」 、 「仮設ができていくところ」、「一斉に作業が行われるところ」、」であり、 それらの工事現場が存在し、人々の目に入る期間の長さで、大きく「短期間の事象」と「長 期間の事象」のふたつに分類できる。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-1 調査概要 ∼注視編∼
■調査概要 工事現場に対する歩行者の注視行動、及びその場の臭いや音による注視を調査、記 録し、 歩行者の注視の対象を明らかにすることで工事に対する興味の対象を導き出す。
■調査目的 工事現場周辺を行き交う歩行者の、工事現場に対する注視を記録・分析する事で、 人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにするための調査を行った。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-2 調査方法 ∼注視編∼
■調査日 10月15日、17日の平日の通勤ラッシュ時間帯(8:00∼9:00)と昼休 みの時間帯(12:00∼13:00)に動画の撮影を行った。
■調査地 東京メトロ東西線、大手町駅周辺の再開発工事の現場二つについて調査を行った。 ・日本生命大手町ビル 敷地面積:約4000㎡ 主要用途:事務所 制 度:一般設計 最高高さ:約115m 延べ面積:約55,700㎡ 竣工予定:2014年3月予定 図 4-2-1/4-2-2
日本生命大手町ビル
・ (仮称)三井住友銀行本店東館計画 敷地面積:約5960㎡ 主要用途:事務所、ホール、駐車場 制 度:一般設計 最高高さ:約150m 延べ面積:約89,115㎡ 竣工予定:2015年2月末予定
図 4-2-3 (仮称)三井住友銀行本店東館計画
三井住友銀行東館 工事
日本生命大手町ビル 工事
図 4-2-4 撮影場所
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-2 調査方法
■調査機材 ・SONY 製のデジタルカメラ NEX-5D を使用した。
図 4-2-5 SONY NEX-5D
・SONY 製のデジタルカメラ NEX-6L を使用した。
図 4-2-6 SONY NEX-6L
・CANON 製のデジタルカメラ Powershot G11 を使用した。
図 4-2-7 CANON Power Shot G11
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-2 調査方法 ∼注視編∼
■調査機材 ・三脚(二台)
図 4-2-8 三脚①
図 4-2-9 三脚②
・クランプ・クリップ固定 自由雲台カメラスタンド(二個)
図 4-2-10 クリップスタンド①
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図 4-2-11 クリップスタンド②
49
都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-2 調査方法 ∼注視編∼
■調査内容 調査地に図のようにカメラを配置し、10月15日、17日、27日の平日と休日 の8:00∼9:30と12:00∼13:30の間に動画の撮影を行った。また並 行して工事現場の要素を抽出するため、工事現場と前面の歩道をパノラマ撮影し、現 場内も見える範囲で撮影した。映像では収集しきれない音や臭い等の要素もメモをと り記録した。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
■注視調査 以下に今回の調査の結果をまとめる。 ■歩行人数と注視人数に関して ・三井住友銀行本店東館前 ∼平日∼(8:30∼8:40) 通行人数:67 注視人数:歩道側15 対面側15 男性42 女性25 ∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:8 注視人数:歩道側 0 対面側 3 男性8 女性 3 ∼休日∼(9:10∼9:20) 通行人数:14 注視人数:歩道側3 対面側5 男性12 女性2 ∼休日∼(13:00∼1310) 通行人数:22 注視人数:歩道側6 対面側6 男性14 女性8
・日本生命大手町ビル前 ∼平日∼(8:30∼8:40) 通行人数:58 注視人数:歩道側17 対面側7 男性41 女性17 ∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:70 注視人数:歩道側14 対面側8 男性53 女性17 ∼休日∼(9:20∼9:30) 通行人数:10 注視人数:歩道側2 対面側2 男性9 女性1 ∼休日∼12:50∼13:00) 通行人数:28 注視人数:歩道側3 対面側7 男性11 女性17
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
以下に工事現場を行き交う人々の注視とその対象、考えられる要因をまとめる。 ■三井住友銀行本店東館前 ∼平日∼(8:30∼8:40) 通行人数:67 注視人数:歩道側15 対面側15 男性42 女性25
表 4-3-1 三井住友銀行本店 平日8:30∼8:40
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
■ ∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:8 注視人数:歩道側 0 対面側 3 男性8 女性 3 表 4-3-2 三井住友銀行本店 平日12:50∼13:00
∼休日∼ 通行人数:14 注視人数:歩道側3 対面側5 男性12 女性2 表 4-3-3 三井住友銀行本店 休日
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
■ ∼休日∼ 通行人数:22 注視人数:歩道側6 対面側6 男性14 女性8 表 4-3-4 三井住友銀行本店 休日
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
■日本生命大手町ビル ∼平日∼(8:30∼8:40) 通行人数:58 注視人数:歩道側17 対面側7 男性41 女性17 表 4-3-5 日本生命大手町ビル 平日朝
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:70 注視人数:歩道側14 対面側8 男性53 女性17
表 4-3-6 日本生命大手町ビル 平日昼
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
表 4-3-6 日本生命大手町ビル 平日
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
∼休日∼ 通行人数:10 注視人数:歩道側2 対面側2 男性9 女性1 表 4-3-7 日本生命大手町ビル 休日
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-3 調査結果
∼休日∼ 通行人数:28 注視人数:歩道側3 対面側7 男性11 女性17
表 4-3-6 日本生命大手町ビル 休日昼
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
以下に特徴的な工事の注視の対象と要因について分析する。 ■三井住友銀行本店東館前 ∼平日∼(8:30∼8:40)
注視数(回)
通行人数:67 注視人数:歩道側15人 対面側15人 男性42人 女性25人
注視数(回)
図 4-4-1 三井住友平日朝 注視の種類別のグラフ
図 4-4-2 三井住友平日朝 サラリーマン
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
注視数 (回)
4-4 分析
図 4-4-3 三井住友平日朝 OL
注視者の属性はサラリーマン、OL であった。 注視の対象として特徴的だったのは「向かいの工事」に対するもの、「工事現場内」 であった。 ぞれぞれの属性ごとでみると ・サラリーマンで特徴的だったのは「向かいの工事」への見ながら歩きと「工事現場内」 に対する一瞥であった。 ・OL で特徴的だったのは「向かいの工事」への見上げと振り返りと「工事現場内」 への見ながら歩きであった。 また「工事現場内部」への注視がサラリーマンに多かった。 以下に結果から抽出した注視の要因と考えられるものを記述する。 ・ゲート上部/ドリルの音 ・工事掲示物/工事音や工事車両の搬入、警笛 ・工事現場内/ゲートが開いていた、警笛 ・工事車両/警笛 ・向かいの工事/向かいの工事音、警笛、鉄筋同士が当たる音 以上のように工事音や警笛等で注視を向ける人が多いことが分かった。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:8人 注視人数:歩道側 0 人 対面側 3 人 男性8人 女性 3 人
図 4-4-4 三井住友平日昼 種類別注視数
図 4-4-5 三井住友平日昼 サラリーマン
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-6 三井住友平日昼 OL
図 4-4-7 三井住友平日昼 工事関係者
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
注視者の属性は工事関係者、OL、サラリーマンの3人だった。 注視の対象としてあったのは「向かいの工事」に対するものであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥」を加える、対象を下か ら上へ見上げる「見上げ」、2つであった。 注視に着目してみると「一瞥」をしたのは工事関係者で、隣の進行具合を確認した のだと思えわれる。 「見上げ」では「向かいの工事」がその対象であった。特に工事 音が鳴ったときに見上げを繰り返えす動作が見られた。 以下に結果から抽出した注視の要因と考えられるものを記述する。 ・向かいの工事/向かいの工事音、 以上のように工事音で注視を向ける人がいた。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼休日∼(9:10∼9:20) 通行人数:14人 注視人数:歩道側3人 対面側5人 男性12人 女性2人
図 4-4-8 三井住友休日朝 種類別注視
図 4-4-9 三井住友休日朝 サラリーマン
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-10 三井住友休日朝 作業着
図 4-4-11 三井住友休日朝 普段着
注視者の属性はサラリーマンだけでなく普段着の人や作業着が見られた。 注視の対象として特徴的だったのは「向かいの工事」に対するもの、 「工事現場内」、 「工 事掲示物」の3つであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥」を加える、対象を下か ら上へ見上げる「見上げ」、2秒以上見ながら歩く「見ながら歩き」の3つであった。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
注視に着目してみると「一瞥」で特徴的だったのは「工事現場内」であった。工事 現場のゲートが少し開いている所からドリルの音が聞こえて「一瞥」を加えたり「向 かいの工事」から視線を移したりしていた。「見上げ」で特徴的だったのは「向かい の工事」であった。 「向かいの工事」を見た後、複数回に渡り工事中の建物を「見上 げ」て全容を確認していた。この時間帯は「向かいの工事」は屋上でタワークレーン が稼働しておりその動作を見返していたと考えられる。「見ながら歩き」で特徴的だっ たのは「向かいの工事」や「工事掲示物」であった。「向かいの工事」の様子を見な がら歩いていたり、 「工事掲示物」を読みながら歩いている人が見受けられた。 また属性を対象地の工事を見慣れているサラリーマンや OL と見慣れていない普段 着とで比較すると見慣れている属性の方が工事内部を注視していた。 以下に結果から抽出した注視の要因と考えられるものを記述する。 ・警備員/誘導の際に視線があった。 ・工事掲示物/工事現場内を見た後、工事内容の確認のために見た。 ・工事現場内/向かいのゲート、工事音 ・向かいの工事/向かいの工事音、溶接音 工事音や警笛等だけでなく警備員の視線や工事現場の中からの継続的な注視を向け るなどの注視要因があることが分かった。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼休日∼(13:00∼1310) 通行人数:22人 注視人数:歩道側6人 対面側6人 男性14人 女性8人
図 4-4-12 三井住友休日昼 種類別注視
図 4-4-13 三井住友休日昼 普段着
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-14 三井住友休日昼 観光
図 4-4-15 三井住友休日昼 ランナー
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
注視者の属性は観光客や普段着、ランナーが見られた。 注視の対象として特徴的だったのは「向かいの工事」に対するもの、「仮囲い」、「工 事掲示物」の3つであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥」を加える、通り過ぎた が振り返って見る「振り返り」、対象を下から上へ見上げる「見上げ」、2秒以上見な がら歩く「見ながら歩き」の4つであった。 注視に着目してみると「一瞥」で特徴的だったのは「向かいの工事」であった。向 かいの工事車両の音や工事音に対して「一瞥」を加えていた。「振り返り」で特徴的 だったのものは「工事掲示物」であった。通り過ぎてから振り返って「工事掲示物」 を見ていた。 「見上げ」で特徴的だったのが「向かいの工事」であった。「向かいの工 事」を「一瞥」してから更に「見上げ」に移って全体を確認していた人がいた。この 時間帯屋上でタワークレーンが稼働しており、その動作を見ていたと考えられる。「見 ながら歩き」で特徴的だったのは「向かいの工事」や「ゲート」、 「仮設構造物」であっ た。 「向かいの工事」の様子を見ながら歩いていたり、 「ゲート」を見ながら歩いた後、 頭上の「仮設構造物」を見ながら歩いている人がいた。 以下に結果から抽出した特徴的な注視の要因と考えられるものを記述する。 ・ゲート/工事車両の音 ・工事掲示物/工事の仮囲いや頭上の仮設構造物を見回したあとに視線に入った。 ・工事現場内/ゲートが開いた。 ・向かいの工事/工事車両、工事音 ・工事車両/動作音 工事車両の音や工事音が特徴的であった。また工事の仮囲いや仮設構造物が工事の 掲示物の注視を引く要因になっている事例が見受けられた。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
■日本生命大手町ビル前 ∼平日∼(8:30∼8:40) 通行人数:58人 注視人数:歩道側17人 対面側7人 男性41人 女性17人
図 4-4-16 日本生命平日朝 種類別注視
図 4-4-17 日本生命平日朝 サラリーマン
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-18 日本生命平日朝 OL
図 4-4-19 日本生命平日朝 作業着
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-20 日本生命平日朝 普段着
図 4-4-21 日本生命平日朝 旅行鞄
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
歩行者の属性はサラリーマンや OL が見られた。 注視の対象として特徴的だったのは「工事現場内」、「向かいの工事」に対するものの 2つであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥」を加える、対象を下か ら上へ見上げる「見上げ」、2秒以上見ながら歩く「見ながら歩き」、対象をすぐに見 返す「2度見」の4つであった。 注視に着目してみると「一瞥」で特徴的だったのは「向かいの工事」と「工事現場 内」であった。警備員の誘導やゲートが開く音で「工事現場内」へ「一瞥」を加えて いた。また向かい側の工事音だけでなく、こちら側の工事音が「向かいの工事」に対 する「一瞥」を加える要因になっている場合も見受けられた。「見上げ」で特徴的だっ たのが「向かいの工事」、「工事現場内」、「現場内、コンクリート車」であった。工事 音だけでなく警備員が視界に入ったときに注視を向けている場合もあった。またコン クリート車の搬入が目に留まりそのまま搬入を見続ける人もいた。「2度見」で特徴 的だったはの工事音を聞いて「見上げ」を行う場合が多かった。また「工事現場内」 に対して「見上げ」を行っいるものもあり、このとき行われていた躯体工事の骨組み を見ていたと考えられる。「見ながら歩き」で特徴的だったのは「工事現場内」であっ た。トラックの搬入やトンカチで叩く音、警備員の誘導で「工事現場内」を見ながら 歩いている人が多かった。 また属性を対象地の工事を見慣れているサラリーマンや OL、作業着と見慣れてい ない旅行鞄とで比較すると見慣れている属性の方が工事内部に対する注視が長くなっ ていた。 以下に結果から抽出した特徴的な注視の要因を記述する。 ・仮囲い/工事の音 ・現場内コンクリート車/コンクリート車の搬入が目に留まった ・工事現場内/トンカチで叩く音、トラック搬入、 ・向かいの工事/工事車両、工事音、警笛 ・工事上部/警備員が視界に入った 工事車両の音や工事音が特徴的であった。また音だけでなく警備員やコンクリート 車の搬入などのゲート付近の要因が中への注視の要因になっている事例が見受けられ た。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼平日∼(12:50∼13:00) 通行人数:70人 注視人数:歩道側14人 対面側8人 男性53人 女性17人
図 4-4-22 日本生命平日昼 注視種類別全注視数
図 4-4-23 日本生命平日昼 サラリーマン
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-24 日本生命平日昼 外国人
図 4-4-34 日本生命平日昼 観光 図 4-4-25 日本生命平日昼 OL
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-26 日本生命平日昼 観光客
歩行者の属性はサラリーマンや OL の他、外国人や観光客が見られた。 注視の対象として特徴的だったのは「工事現場内」、「向かいの工事」に対するもの、 2つであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥を加える」、対象を下か ら上へ見上げる「見上げ」、2秒以上見ながら歩く「見ながら歩き」、対象をすぐに見 返す「2度見」の4つであった。 注視に着目してみると「一瞥」で特徴的だったのは「工事現場内」であった。警備 員がゲートを開く音や工事音によって「一瞥」を加えていたり、「工事現場内」へ入 るため、 ゲートを開ける動作に「一瞥」を加えたりしていた。「見上げ」で特徴的だっ たのが「向かいの工事」、 「工事上部」であった。工事音や警笛などで「向かいの工事」 を見ていた。また工事のゲート付近で工事上部を「見上げ」ていた。「2度見」で特 徴的だったはのは「向かいの工事」であった。工事音が主な要因で「2度見」を行っ ていた。 「見ながら歩き」で特徴的だったのは「向かいの工事」、 「工事現場内」であっ た。工事音以外にも「向かいの工事」から「工事現場内」など注視の行ききが要因と なって「見ながら歩き」をしている人が見られた。 また属性を対象地の工事を見慣れているサラリーマンや OL と見慣れていない旅行 客や外国人で比較すると見慣れている属性の方が工事内部に対する注視が長くなって いた。しかし向かいに対する注視も長くなっていた。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
以下に結果から抽出した特徴的な注視の要因を記述する。 ・工事現場内/警笛、中に入る人がいたため、警備員がゲートを開けた ・向かいの工事/工事音、現場内を見たため ・工事上部/ゲートを見たから 注視は工事音以外にもゲートを開ける人や二つの工事への注視が行き来することが 要因となっている場合が見受けられた。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼休日∼(9:20∼9:30) 通行人数:10人 注視人数:歩道側2人 対面側2人 男性9人 女性1人
図 4-4-27 日本生命休日朝 種類別注視
図 4-4-28 日本生命休日朝 普段着
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-29 日本生命休日朝 自転車
図 4-4-30 三井住友休日朝 ランナー
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
歩行者の属性は普段着やランナー、自転車が見られた。 注視の対象として特徴的だったのは「工事現場内」、ゲート上部に対するものの2つ であった。 今回の調査で見られた注視の種類は、対象を下から上へ見上げる「見上げ」、2秒 以上見ながら歩く「見ながら歩き」2つであった。 注視に着目してみると「「見上げ」で特徴的だったのが「向かいの工事」であった。 工事音や警笛、工事車両などで「向かいの工事」を見ていた。「見ながら歩き」で見 られたのは「ゲート上部」であった。ゲートのメッシュ部分を見ながら走っており中 の躯体に注視していたと考えられる。 また属性は対象地の工事を見慣れていない普段着やランナー、外国人工事内部に対す る注視は見られなかった。しかしランナーに関してはゲートの上部から工事の様子を 伺う行動が見られた。 以下に結果から抽出した特徴的な注視の要因を記述する。 ・向かいの工事/工事音、工事車両、警笛 ・工事上部/ゲート上部から中の躯体が見られたから 注視は工事音以外にもゲートから見える工事の躯体にも要因となっている事例が見 受けられた。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
∼休日∼(12:50∼13:00) 通行人数:28人 注視人数:歩道側3人 対面側7人 男性11人 女性17人
図 4-4-31 日本生命休日昼 種類別注視
図 4-4-32 日本生命休日昼 普段着
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
図 4-4-33 日本生命休日昼 観光
図 4-4-34 日本生命休日昼 外国人
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-4 分析
歩行者の属性は普段着や観光客の他、外国人が見られた。 注視の対象として特徴的だったのは、「向かいの工事」、「工事掲示物」に対するもの の2つであった。 今回の調査で見られた注視の種類は、ちらっと見る「一瞥」、対象を下から上へ見 上げる「見上げ」 、2秒以上見ながら歩く「見ながら歩き」、対象をすぐに見返す「2 度見」の4つであった。 注視に着目してみると「一瞥」で特徴的だったのは「向かいの工事」であった。警 笛によって「向かいの工事」に「一瞥」を加えていた。「見上げ」で特徴的だったのが「向 かいの工事」 「工事上部」であった。主に工事音が要因で「向かいの工事」、 、 「工事上部」 を見ていた。 「2度見」で特徴的だったはのは「向かいの工事」、 「工事上部」であった。 工事音や工事車両が主な要因で「2度見」を行っていた。「見ながら歩き」で特徴的だっ たのは「向かいの工事」であった。この注視も工事音が要因で「向かいの工事」を見 ていた。 また属性は対象地の工事を見慣れていない旅行客や外国人であり、工事内部に対す る注視は見られず、工事上部への注視のみとなっていた。 以下に結果から抽出した特徴的な注視の要因を記述する。 ・向かいの工事/工事音、警笛、工事車両 ・工事上部/工事音、向かいの工事から注視を移した 注視は工事音、警笛や工事車両によるものが多かったが、向かいの工事を見ること が要因となっているものも見受けられた。
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4-4 分析
■注視属性別の分析 以下に特徴的な注視の対象と要因について分析する。 ・注視の対象を注視数別にグラフ化すると注視の対象は工事現場内、向かいの工事、 工事車両、仮囲い、ゲート、ゲート上部、警備員の要素が上げられた。 注視種類別の注視対象のグラフで注視の時間が長いものは工事の様子が見られるも のが多い傾向にあった。工事の様相が見られる開口部の開閉の度合いで注視が異なる ことが分かった。 調査日に行われていた工事は、三井住友では躯体工事と地下基礎工事、日本生命大 手町ビルでは既存駆体の解体工事、地下基礎工事、躯体工事がそれぞれ行われていた。 それぞれの工事ではクレーンの仮設構造物の運搬と作業員による組み立てが上層階で 行われており、そういった作業風景やクレーンの動きが注視の対象となっていたと考 えられる。 またそれぞれの工事現場内の要素とアンケートの傾向より工事現場内の作業風景や躯 体、工事車両等が注視の対象としてあったとき注視時間が長くなることが分かった。 以上より工事周辺を行き交う人々の工事に対する注視の対象は以下の要素に大別でき その中でも注視時間が長い、作業風景やできていく過程、普段見られないものが見ら れる工事現場内、作業風景やタワークレーンが見られる工事の上層部といった、「普 段見られないもの」 、 「作業風景が見られるもの」に興味があり、そこに注視が集まる ことが分かった。
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4-4 分析
■工事を見慣れている、見慣れていない属性別の分析 人々の注視の対象、二つが明らかになった。二つの工事について、普段から対象地 の工事を見慣れていると考えられるサラリーマン、OL、作業者、の属性と対象地の 工事を見慣れていないと考えられる観光客、休日の普段着、外国人、ランナーの属性 とで比較を行った。
図 4-4-1 普段から工事を見ている場合の注視の割合
図 4-4-2 工事を見なれない場合の注視の割合
普段から工事を見慣れている属性と見慣れていない属性では工事現場内、工事上部 に対する注視に差が見られた。工事を見慣れていない属性では仮囲い、工事掲示物に は注視していなかった。また警備員への注視はされていなかった。
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4-6 考察
■工事を見慣れている、見慣れていない属性別の分析 以下に分析に対する考察をまとめる。 普段から調査地の工事を見ている属性と見慣れていない属性とでは工事現場内への 注視に差が見られた。工事を見慣れない観光客や休日の普段着といった属性が工事上 部を注視している割合が高かった。この理由として調査日に日本生命大手町ビル側で 行われていた工事が上部の鉄骨工事やタワークレーンによる運搬であり、ゲート付近 での搬入が見られなかったことが考えられる。しかし、工事現場への注視は普段工事 を見慣れている属性にとっては内部と外部の両方に対して行われていたが、工事現場 を見慣れない属性にとっては工事の外部だけが注視の対象となっていた。工事現場を 見慣れていた属性は工事現場内の「長期間の事象」の変化に興味を抱き内部への注視 をしていたと考えられ、見慣れない属性は工事現場外の「短期間の事象」に目を向け ていたと考えられる。
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4-7 まとめ
■注視調査のまとめ 今回の調査で工事現場周辺を行き交う歩行者の、工事現場に対する注視を記録・ 分析する事で、人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにすることができた。そ れは以下の通りである。 平日と休日で利用客の属性が異なる工事の平日の朝と休日の昼の注視を比べると平 日では工事現場内に注視が集まり、休日では向かいの工事に注視が集まっていた。 これは対象地の工事現場を見慣れているものとそうでないものとによる「長期間の事 象」に対する興味と「短期間の事象」に対する興味の差であると考えられる。工事現 場を見慣れていた属性は工事現場内の「長期間の事象」の変化に興味を抱き内部への 注視をしていたと考えられ、見慣れない属性は工事現場外の「短期間の事象」に目を 向けていたと考えられる。 よって、工事現場に慣れている人々は工事内部を、工事現場に慣れていない人は向か いの工事を見る傾向にあったと考えられる。
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4-8 調査概要 ∼アンケート編∼
■調査概要 ■ 本研究では人々が思う、工事現場への興味の対象を、アンケートによって収集する ことによって、工事現場周辺を行き交う人々が工事現場のどのようなところに対して 興味を抱いているのかを明らかにする。
■調査目的 インターネットによるアンケートを用いて、人々が普段目にする工事現場の要素を収 集・分析する事で、人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにする。
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4-9 調査方法 ∼アンケート編∼
■調査日 2012 年 10 月 19 日∼ 20 日
■調査対象 126名(10 20代男性36名・30代男性10名・40代以上11名・10 ∼20代女性59名・30代女性3名・40代以上6名)うち建築関係者ではないも の68名・建築関係者である、または関係者であったもの60名
■調査内容 インターネット上のアンケート作成サイト「アンケートツクレール」で日頃、目に する工事現場について中を覗いてみたいか、覗くとすればどんなところを覗いてみた いのか、その対象と理由について自由記述してもらうアンケートを作成した。 そのアンケートの URL をソーシャルネットワークサービス「FaceBook」を通じて知 人を中心に公開し、アンケート回答者を募った。
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4-9 調査方法 ∼アンケート編∼
■質問内容 ①日頃どういった工事現場を目にしますか?以下から選んで下さい。(複数回答可) ・一戸建て、事務所等の小さな工事現場 ・マンションや事務所ビル等の中規模の工事現場 ・高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場 ・駅や高速等のインフラの工事現場 ・その他 ②思い当たる工事現場について工事している中を覗いてみたいと思うものはあります か?その他、なしと答えられた方は問8にお進みください。(複数回答可) ・一戸建て、事務所等の小さな工事現場 ・マンションや事務所ビル等の中規模の工事現場 ・高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場 ・駅や高速等のインフラの工事現場 ・その他 ・なし ③質問②の工事現場の中のどのようなところを見てみたいですか?その理由を例のよ うに書いてください。 ( 例:重機/かっこいいから、作業風景/普段見れないから、クレーン/動いている から、等々 )(複数回答可) ④質問②でその他と答えた方はその工事の具体例と覗いてみたい理由をお書きくださ い。また、なしと答えた方はその理由をお書きください。 (例 危険そう/きたない/くさい/うるさい/こわい/その他)
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4-10 調査結果
以下にそれぞれの質問項目に対する回答結果をまとめる。
①日頃どういった工事現場を目にしますか?以下から選んで下さい。(複数回答可)
表 4-10-1 日 頃 見 か け る 工 事 現
②思い当たる工事現場について工事している中を覗いてみたいと思うものはあります か?その他、なしと答えられた方は問8にお進みください。(複数回答可)
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表 4-10-2 日頃見かける工事現場の中で覗いてみたいもの
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4-10 調査結果
回答結果③については今回の調査で特徴的だったものを記載する。なお全回答結果 は別途資料編に掲載する。 ③②の工事現場の中のどのようなところを見てみたいですか?その理由を例のよう に書いてください。 ( 例:重機/かっこいいから、作業風景/普段見れないから、クレーン/動いている から、等々 )(複数回答可) 回答数が多かった以下の2項目の結果をそれぞれ記載する。 ①高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場 ②高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場 駅や高速等のインフラの工事現場
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-10 調査結果
①高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場への回答 ・作業風景 / 普段なかなか見られないから、一戸建ての住宅の場合は身近なものだか らどのように作られていくのか実際に見てみたいから ・インフラの工事現場などをみてみたいのは、目的が車用、電車用など徒歩以外のた めの用途であったら、実際利用が開始されてしまったら見れないので、歩いたとき の目線で見てみたい。 ・建物の構造 ・作業風景 / 工法を見たいから ・作業風景 普段見れないから ・構造 / どういう風に家がなっているのか興味があるから ・作業風景 / 部分的に見えるが全体像がわからないため 配管 / 共同溝と思われるものがどのような姿か一目みたい ・躯体の中身。理由 : 高層ビルという大きなものを支える基本が見てみたいから。 ・進み具合を見たいから。 どんな人たちが、どんな機械を使って仕事しているかを見たいから。" ・基礎の部分。どのように作られているか ・どうゆう工夫をしているか。 組み立てたりの作業が好きなので見てみたい。 ・骨組み / 普通の家とどう違うのか気になる ・普段見られないから。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-10 調査結果
・自分は特に作業風景を見てみたいと思います。 駅の工事など ( 例えば新宿駅の東西自由通路設置工事や、各駅のホームドアの設置 ) を毎日見ていて、人が大量に行き交う時間帯には下準備も含めてどの様な作業を 行っているのか、逆に人のいない夜の内にどこまで工事が進み、最終的な形へとど う変化していくかの過程が気になります。 また造る作業だけでなく、逆に建築物を解体していく過程というのも気になります。 過去形ではありますが、特に千葉のザウスなど巨大かつ特殊な建築物に対してはど の様な工法を用いて、またどういった順序でそれを撤去していったかという点で大 変興味深く感じます。" ・実際の現場における施工の手順を見たいため。学生時代はその辺を勉強で教えても らったところで何もイメージがわかず、よくわからないままになっていました。 ・普段見ることの出来ない大型施設の骨組みの作りや組み立て。理由としては、大き な壁や屋根が計算され尽くして組み上げられていく様子に美学を感じるから。 ・土台とか骨組みとか。普段見れない部分がみれるから。ものができる最中を見れる 機会ってあまりないし。 ・コンクリートの打設風景 ¦ コンクリートが生き物のようで面白いから 足場の組み立て ¦ 重たい足場が宙を舞う様子が、雑技団を見ているようで楽しいか ら 朝のラジオ体操 ¦ 規則正しい行動を感じ、自分の背筋ものびるから 早さ一夜城のように、何もない場所に突然建築物が現れて、職人の凄さを感じるか ら 大工さんの木づちの音 ¦ リズム良く音楽のように聞こえるから かんながけ ¦ 気の匂いがしてとても気持ちいいから 左官屋さんの塗り仕事 ¦ こてに土をのせる技術がみててきもちいいから " ・作業風景 / 普段暮らす空間の壁や床下や屋根裏に入ってるものがどんな風になって いるのか気になる。隠されたものを暴いてみたい感覚。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-10 調査結果
③高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場駅や高速等のインフラの工事 現場への回答 ・全体的 / かっこいい、仕組みが気になる、完成品しか普段知らないから出来上がっ ていくところが見たい ・普段みれないところ ・できていく過程。できている過程でしか見れないもの。 ・骨組み / 仕組みを知りたいから ・建設過程 / 高さなど成長していくところに興味がある ・作業風景 ( 完成前を見てみたいから ) ・最近のマンションやビルは、隣の建物との距離がすごく近いので、どうやって作っ ているんだろうと思っていた。さまざまな工夫がありそうだから。 ・どういう過程で家を作っているのかが気になる。 ・作業風景、自宅の家の内部が気になるから ・高層マンションはすごく時間も労力もかかりそうで、気になるから。 ・作業風景 / どんどん変わっていく様子 / 建築躯体 ・地下を作ってるところをみたい 普段みられない建築の内側 ( 梁柱とか、鉄筋がむき出しになってるとか、人間のレ ントゲンみたいな部分 ) ・自分が中古マンションをリノベして住んでいるので、どんな工事をするのか。どん な間取りで、仕様で作るのか。どんなバスやキッチンを入れるのか、内装は ? と気 になる。ためになる部分があったら、次回リフォームする時に取り入れたい。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-10 調査結果
・高層ビル : 躯体だけの姿を見たい 高速 : 作り方が気になる ・重機 メカニックな所 男を感じるね ・建築を専攻している者なので、どういった機材を利用して創られているのかを見て みたい。 ・全体 / どのように組み上がるのか興味がある。 ・普段見ることの出来ないインフラの裏側を見てみたいから。 ・でっかい重機が見たい。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-10 調査結果
④質問②でその他と答えた方はその工事の具体例と覗いてみたい理由をお書きくだ さい。また、なしと答えた方はその理由をお書きください。 (例 危険そう/きたない/くさい/うるさい/こわい/その他) [ その他に対する回答 ] ・解体現場の足場が組まれるところから、建物が壊されて更地になるまでのすべての 過程を見たい。 ・好きだから ・美術館やホールなどの専門施設 / 構造を知ってみたいから ・駅前の道路の地下 / 何度も配管が破裂して水が溢れたと聞いて、原因を知りたかっ た [ なしに対する回答 ] ・工事現場に興味がないです。 ・興味がない ・興味が無いから ・工事現場の音が苦手です。 ・いらないところまで気になってしょうがないから他人の現場は見ません。 ・見たい , 以上に騒音がひどそうなので . ・特に興味がない
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
問①、②に関しては日頃目にする工事と中を覗いてみたい工事をグラフ化し、③、④ に関してはその要素を抽出し記載する。
(票数)
(工事種類)
「図 4-11-1」 日頃見かける工事のグラフ
「図 4-8-5」のグラフより日頃見かける工事現場は一戸建てや事務所等の小さな規 模の工事現場、マンションや事務所ビル等の中規模の工事現場、次いで駅や高速等の インフラの工事現場が多いことがわかった。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
(票数)
(工事種類)
「図 4-11-2」 見てみたい工事のグラフ
「図 4-11-6」のグラフより見てみたい工事現場は高層マンションやオフィスビル 等の大規模な工事現場が多く、次いで駅や高速等のインフラの工事現場と一戸建てや 事務所等の小さな規模の工事現場であることが分かった。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
以下、工事現場の覗いてみたい部分の全回答結果から抽出したワードを記載する。
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•
工事の工夫
•
骨組み
•
人間の工事管理
•
作業風景
•
細かい作業
•
重機
•
駅工事
•
全体的
•
高層ビル
•
構造
•
大規模現場
•
内部
•
地下
•
線路の移動
•
地下下水工事
•
普段みれない所
•
建築機材
•
専門工事
•
施工の手順
•
進み具合
•
コンクリートの打設風景
•
できていく所
•
できてからは見られない裏側
•
つくる手順
•
躯体
•
インフラの工事現場
•
材料
•
日々の変化
•
足場の組み立て
•
建物の構造
•
使われていない状況
•
作業現場
•
インフラの構造
•
建設過程
•
近隣に対する取り組み
•
大型橋梁の構造
•
ものが作りかえられる所
•
掘削作業
•
高速
•
土台
•
火花
•
基礎
•
朝のラジオ体操
•
一戸建て
•
工事の経時的な流れ
•
橋をつくっているところ
•
解体工事
•
できかけの空間
•
木材加工
•
クレーン
•
配管工事
•
出来上がってく過程
•
地下工事
•
プロが手早く作業するところ
•
普段見られない建築の内側
•
作業用エレベーター
•
間取り
•
鉄筋
•
大規模工事現場の基礎
•
家が建てられていく様子
•
マンション工事の基礎
•
変わっていく様子
•
リフォーム
•
工程
•
大工さんの作業
•
工事の仕組み
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
•
安全に対する取り組み
•
変わった形のオフィスビル
•
大工さんの作業
•
建てるときの工夫
•
壁や天井の裏
•
躯体
•
作業工程
•
左官
•
工法
•
もの作りの現場
•
一戸建ての設備関係
•
支持地盤の確認方法等。
•
人の手ではできないこと
•
トンネルの内側を固めている
•
高層階まで骨組みを組み立てて
ところ
いく過程
•
杭や連続地中壁の施工状態
•
建設途中でないと見れないもの
•
駅の改修工事での仮囲いの位
•
職人がどのような作業をしてい
置養生計画
るのか
•
住む空間がどのような過程で
•
•
きるか
駅の改修工事で営業しながらの
安全確保と人の流動の調整
以上のワードを似通ったものでまとめて集計したものが以下のグラフである。
「図 4-11-3」 興味の対象のグラフ
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
■ それぞれの項目別の興味の理由を以下にまとめる。 [ 作業風景 ] ・実際どうなってるのか分からないから ・普段見れないから ・工法を見たいから ・全体像が見たい ・完成前を見たい ・内部が気になる ・できていく過程を見たい ・作られ方を知りたい ・雑技団を見ているようで楽しいから
[ 職人の作業 ] ・細やかな作業 ・テクニックを見たい ・見られないから ・好きだから ・職人の凄さを感じる ・技術が見ていてきもちいい
[ 完成後見られなくなる内部 ] ・普段見られないから ・変わっていく様子が楽しみ ・興味がある ・出来上がっていく様子が見たい
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
■ [ 骨組み・構造・躯体 ] ・普段見られないから ・耐震への興味 ・仕組みを知りたい ・きれい ・フレームだけの状態の興味がある ・どうできているのか知りたい ・部材を見たい ・愛着がわきそう ・何で支えているのか気になる
[ 基礎・土台・地下 ] ・あまり見たことがないから ・むき出しになっているから ・面白そう
[ 材料・鉄筋 ] ・勉強のため ・かっこいい
[ 全体的な工事内容 ] ・親近感がわきそう ・参考にしたい ・組み上がり方に興味がある ・かっこいい
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
[ 工法・作る手順 ] ・変化していく過程が楽しい ・不思議に思ったことがあるから ・見当がつかないから知りたい ・想像できなくて面白そうだから ・気になる ・実際が知りたい ・勉強のため
[ コンクリートの打設 ] ・生き物のようで面白い ・気になる
[ 解体工事 ] ・興味がある ・変化していく過程が楽しい ・工事の過程が見たい
[ 配管工事 ] ・普段見れないから
[ 作業用エレベーター ] ・ワクワクする ・かっこいいから
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
■ [ 重機 ] ・かっこいいから ・想像できなくて面白いから ・どんな機械を使っているのか気になるから ・かっこいい ・スケール感が狂うのが面白い ・どういう機能なのか見てみたい ・てっぺんに行きたい ・男を感じる
[ できていく過程 ] ・面白い、興味がある ・異空間が味わえそう ・計算され尽くした美を感じる ・気になる ・普段見られないから ・興味がある
[ 日々の変化 ] ・面白いからもっと感じたい
[ 専門的な部分 ] ・工期に対する取り組み ・近隣に対する取り組み ・工事管理 ・安全に対する取り組み
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-11 分析
■ 以上の要素を長期間の事象と短期間の事象とに分類したものを以下に示す。 【長期間の事象】 [ 作業風景 ] [ 工法・作る手順 ] [ できていく過程 ] [ 日々の変化 ] [ 解体工事 ] [ 全体的な工事内容 ] 【短期間の事象】 [ 作業風景 ] [ 重機 ] [ 作業用エレベーター ] [ 専門的な部分 ] [ 配管工事 ] [ コンクリートの打設 ] [ 完成後見られなくなる内部 ] [ 材料・鉄筋 ] [ 基礎・土台・地下 ] [ 骨組み・構造・躯体 ] [ 職人の作業 ] 以上のように人々が興味を抱く要素には長時間的事象と短時間的事象の要素が内包 されていることが明らかになった。これらの興味の理由に対して経時的な興味とそう 出ないものを次のページで分類した。
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第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-12 考察
普段目にしている工事現場別に、【短期間の事象】と【長期間の事象】に対する要 求を比較する。 いずれの規模でも【短期間の事象】に対する興味が多数を占めたがそれに対して s 2 割を超える回答者が【長期間の事象】に興味を持っていた。 ・一戸建て、事務所等の小さな工事現場をよく見かける人々は【短期間の事象】に対 しての興味が多い傾向にあった。【短期間の事象】として顕著だったのは現場の「作 業風景」や「骨組み、構造、躯体」や「重機」などであった。また特徴的だったのは 人の作業を表す項目が他の規模の工事に比べて多いことであった。普段から小さい規 模の工事を、よく目にしている分、経時的な変化ではなく「短期間の事象」に興味を もったと考えられる。 ・マンションや事務所ビル等の中規模の工事現場をよく見かける人々は【短期間の事 象】に対する興味の差は余り見受けられなかったが、「作業風景」や「骨組み、構造、 躯体」や「重機」などに興味を持っていた。 ・高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現場をよく見かける人々は【短期 間の事象】に対する興味が最も少なかった。その興味の内容は「作業風景」や「骨組 み、構造、躯体」や「重機」などであった。また【長期間の事象】で「作業風景」の 経時的な変化に対する興味が最も多かった。 ・駅や高速等のインフラの工事現場をよく見かける人々は【長期間の事象】に対する 興味が最も多かった。【長期間の事象】への興味として「作業風景」や「できていく過程」 が多い傾向にあった。
以上のように、 【短期間の事象】と【長期間の事象】で分類すると一戸建て、事務所 等の小さな工事現場は特に【短期間の事象】、マンションや事務所ビル等の中規模の 工事現場には興味が集中しなかったが、高層マンションやオフィスビル等の大規模な 工事現場や、駅やインフラの工事現場では【長期間の事象】に対する興味が増加する 傾向にある。
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都市空間としての工事現場の印象評価に関する研究
第4章 工事現場に対する客観的な印象の収集と分析
4-13 まとめ
インターネットによるアンケートを用いて、人々が普段目にする工事現場の要素を 収集・分析する事で、人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにできた。それは 以下の通りである。 【長期間の事象】 [ 作業風景 ] [ 工法・作る手順 ] [ できていく過程 ] [ 日々の変化 ] [ 解体工事 ] [ 全体的な工事内容 ] 【短期間の事象】 [ 作業風景 ] [ 重機 ] [ 作業用エレベーター ] [ 専門的な部分 ] [ 配管工事 ] [ コンクリートの打設 ] [ 完成後見られなくなる内部 ] [ 材料・鉄筋 ] [ 基礎・土台・地下 ] [ 骨組み・構造・躯体 ] [ 職人の作業 ]
特に、一戸建て、事務所等の小さな工事現場を良く目にする人は短期間の事象として の「作業風景」や「骨組み、構造、躯体」や「重機」を、マンションや事務所ビル等 の中規模の工事現場を良く目にする人は短期間の事象としての「作業風景」や「骨組 み、構造、躯体」や「重機」を、高層マンションやオフィスビル等の大規模な工事現 場を良く目にする人は長期間の事象としての作業風景を、駅や高速等のインフラの工 事現場を良く目にする人は、長期間としての作業風景の事象を見てみたいと答えた。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-1 調査概要
■調査概要 工事関係者を対象にヒアリング調査と、ヒアリング調査と同じ質問内容で構成され たアンケート調査を行い、工事現場側が考える魅力や開放の可能性と、それに伴う問 題を抽出する。
■調査目的 工事関係者が感じる工事現場の魅力や解放の可能性を収集・分析することを目的と する。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-2 調査方法
■調査日 2013年、10月 8 日、13日、23日に工事現場監督の経験者にヒアリング を行い、10月11日∼22日までの期間でアンケート調査を実施した。
■調査対象 実際に工事現場を監督している、またはしたことがある人を対象にヒアリング行っ たのが3名、アンケート調査を実施したのが6名、計9名である。
■調査機材 スマートフォンにプリインストールされているボイスレコーダアプリを使用した。
図 5-2-1 GALAXY-S Ⅲ
図 5-2-2 ボイスレコーダーアプリ
■調査内容 工事現場監督者、または監督した経験のある人に対してヒアリングを行い、その内 容をボイスレコーダアプリを使用して記録した。また、並行してヒアリングの質問内 容と同じ質問項目によるアンケートを作成し、研究室の OB を通して、工事現場監督 者、または現場を監督した経験のある人へ、メールによるアンケート配布を行い、回 答を募った。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-2 調査概要
■質問内容 ①みなさまが思う、現場の見せたいところ ( お客さん / 家族や友達の二つに対して ) を理由も含め、お書きください。 ②①の内容以外でみなさまが思う、現場の魅力を自由にお書きください。 ③みなさまが思う、現場の見せたくない場所をお書きください。 ④現場の現状は現場内に興味がある一般の人々が部分的に立ち入れるような環境に なっていると思いますか?立ち入れる場合、なぜそう思うか、理由をお書きください。 ⑤④で立ち入れる環境になっていないと思われた場合はその理由をお書きください。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
以下にヒアリング及び、アンケートのそれぞれの質問項目に対する回答結果をまと める。 ①みなさまが思う、現場の見せたいところ ( お客さん / 家族や友達の二つに対して ) を理由も含め、お書きください。 □某総合建設会社 T さん 完成前に見えなくなってしまう所、先立っての外の眺望、躯体から仕上げにかけての 工事の場合は、その骨組み、建物の中身がどうなっているのかを見せたいです。 家族などに対しては肉親が働いている姿。つくっているときに苦労したが仕上げで隠 れてしまうところなどを見てもらいたいです。 □某総合建設会社 O さん 現場見学や職場見学会では、家族に対して自分たちがどういった所でどんな仕事をし ているのか、建物をつくるのがどれだけ大変な作業なのかを知ってもらうため、実際 に現場に入っていって、作業用エレベーターに乗ってもらったり、屋上からの景色を 見てもらったりしています。そういった現場に入らないと分からないものが見せたい 所だと思います。また商店街や近隣住民に対してはこの現場が、やがては街の一部と して還元されるという理解を持ってもらうためにも「人」がつくっているという過程 は見せたいです。 □某総合建設会社 H さん 施工途中の建物だからこそ分かる重量感や規模、重さや大きさなどの実際に見なけれ ば分からない所を見せたいと思います。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 H さん 組みあがってすぐの鉄筋や足場等の美しさは芸術的だと思います。また重機の迫力や 大型のショベル、ポンプ車、クレーンなどを近くで見て、格好よさを体感してほしい です。 働く職人さん同士のチームワークも見てもらいたい。時に厳しく、でも暖かい人間関 係。上下関係や礼儀を守って一丸となって作り上げる姿は他の職業ではなかなか見ら れないものなので。 □某総合建設会社 S さん 客先に対しては品質面(コンクリートの外観など)や、安全面(現場独自のルールを 実践しているところなど)。また、現場の整理整頓状況を見せたい。それによる他社 との差別化を図ることで、お客さんにいい印象を与えたいから。(NEXCO 工事なので 他の現場さんとよく比較されます) 家族や友人に対しては大型重機が稼動しているところや、生コン打設前の配筋状態と いった「現場が動いている様子」や「普段見れないもの」を見せたい。建設業ってす ごい!カッコイイ!魅力的!と思ってもらいたい。 純粋にものづくりのよさを広くみんなに知ってもらいたい。 □某総合建設会社 N さん 施工状況と作業員との打ち合わせ状況。現場内で作業員がいかに苦労して施工を行っ ているのかを知ってもらいたい。作業員との打ち合わせは熱を帯びていて、ものづく りに対する真摯な態度がわかります。 □某総合建設会社 T さん 地下躯体や内装下地などの建設途中の部分は完成したら一般の人は見れないので、見 たら面白いと思います。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 K さん 現場内の自分自身が担当した工事が見える箇所。自分が行ったこと、指示した内容、 苦労した体験、工夫等をより多くの人に語りたい、知ってもらいたいと思うから。 □某総合建設会社 M さん 大掛かりな作業、重機などが所狭しと動き回っている所。 お客さんに見せたいところ、現場内での信頼関係や整理整頓等、けじめのある現場を 見てもらいたい。現場の人間関係や信頼関係の固さなどを見てほしい。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
②①の内容以外でみなさまが思う、現場の魅力を自由にお書きください。 □某総合建設会社 T さん 多くの人が一つの建物を作り上げるために作業をしているところ、大きな建物がどん どん詰み上がってできていくダイナミックさ。 □某総合建設会社 O さん 人とものが渾然一体となって建物が造られていく様子や人が最後にはものをつくって いるという人の力みたいなものが魅力だと思う。 □某総合建設会社 H さん 人がいっぱいいるということ、労働集約産業としての職種の多様性が魅力だと思う。 また仮設の面白さもあると思う。 □某総合建設会社 H さん 命を懸けて働く人の真剣さ、強さ、厳しさ。 実際のスケールを感じながら本当のものづくりが味わえる。 天気や温度、音、匂い…五感をフルに働かせ、人間らしくいることができる。 □某総合建設会社 S さん 作業員さんがそれぞれ自分たちの専門分野の仕事をすることで、ひとつのものを造り あげていくところ。 □某総合建設会社 N さん 様々な工種の作業員が同じ場所で一つの目的に向かって仕事をしている。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 T さん 毎朝のラジオ体操は健康維持に役立っていると思うので、魅力の一つだと思います。 □某総合建設会社 K さん どれほど大きな建築物でも、一人一人の職人さんが、自分たちの手で、技術で建築を 作り上げていること。機械式に組みあがっていくのではない、生身の工事中の姿は魅 力的だと思う。 □某総合建設会社 M さん 大きな現場を担当していて、作業工程や材料等、自分が計画した通りに工事が進行し ていくと気持ちいい、また人間関係が面白い。人が多いので様々な人と関われるとこ ろが魅力だと思う。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
③みなさまが思う、現場の見せたくない場所をお書きください。 □某総合建設会社 T さん ほとんどない、しっかりとした工事をやているという自負があれば、見せることので きない所はない。強いて言うならば施工をしていて危険な場所はみせたくはない。。 □某総合建設会社 O さん 特にない。 □某総合建設会社 H さん 建築の現場としては特にない。 □某総合建設会社 H さん 型枠解体直後、コンクリートの肌が汚なかったとき。 内装工事中の粉じんや、コンクリート漏れなど、体に良くないことや、汚い場所。 □某総合建設会社 S さん 打ち合わせなどで、意見の衝突をしているところ。 休憩中の様子。 (喫煙者が多いのでイメージが悪いかも) □某総合建設会社 N さん 特になし。 □某総合建設会社 T さん 作業員休憩所などは決して衛生的ではない場合があるので、あまり見られたくはない です。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 K さん 現場は誤差をどう少なくするか、もしくは修正していくかということが至上命題であ り、図面通りの誤差 0mm のものを作り上げるということは不可能です。その様な中 で、その誤差に気づかれてしまうような工事中の場所は見られたくないと思う。 □某総合建設会社 M さん 土ぼこり、泥等、作業上仕方ない部分が一般的に見ると汚いと思うのでそこは見せた くない。狭い所で、ものが散在してしまう部分もありそこは見せたくない。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
④現場の現状は現場内に興味がある一般の人々が部分的に立ち入れるような環境に なっていると思いますか?立ち入れる場合、なぜそう思うか、理由をお書きください。 □某総合建設会社 T さん なっていない。 □某総合建設会社 O さん 工事をやっているときは立ち入らせることは出来ない。 □某総合建設会社 H さん なっていない。 □某総合建設会社 H さん 立ち入れない。 □某総合建設会社 S さん 難しいと思います。 □某総合建設会社 N さん しっかりした現場であれば、通路が整備されているため、部分的な立ち入りは可能と 思います。 □某総合建設会社 T さん 基本的に一般の方は立ち入れません。事前にアポをとって了承を得ていれば立ち入れ る場合はあります。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 K さん 現状なっていない。 □某総合建設会社 M さん 今までの自分の現場から見るとなかなか難しい。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
⑤④で立ち入れる環境になっていないと思われた場合はその理由をお書きください。 □某総合建設会社 T さん 制約がなければ開放は可能だと思う。制約は安全の面から考えた場合の責任の所在 にある。事故が起きれば現場の責任となるし、不特定多数の人への開放であれば、安 全の補填として保険をかけるなどの措置が考えられるがコストがかかり、効率的では ない。常に開放していくのであれば中から外への発信という形をとればやりやすい。 (定点カメラ等による出来上がっていく過程の撮影) コストと工期が問題だと思う。例えば安全通路等も開放するとなれば整備しなければ ならないし、案内係も必要となる。また工事も開放中は作業をある程度制限しなけれ ばならない。もしこれが製造工場等であれば生産ラインを見せるための見学ラインを 一つ整備すれば事足りるが、工事現場は状況が日々変わってしまう、見学のコースを つくっても、一週間後にはそこが作業場になって、また見学のコースを整備し直さな ければならない。 □某総合建設会社 O さん 現場には現場のルールがあって、それが成り立つからこそ安全が確保されると思う。 自分のような現場管理の目線から見ると、例えば安全帯をしっかりつけるであったり、 仮囲いの中に入ったら安全帽をつけるとか、吊り荷をつっている作業半径には入らな いとか、当たり前だが一般の人へは周知されていないルールがしっかり守られること で工事が成り立ち管理ができている。予測不能な要素をもつ一般人の立ち入りは管理 する上では難しい。 物見櫓等を建てての見学は可能だが、作業中のそばまでよってその鉄骨を見るのはや はり厳しいし、それは現場監督の特権だと思う。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 H さん 立ち入れることを考慮して現場自体ができていない。安全が担保されるというとこ ろ自体が難しい。 施主によるところが大きいと思う。国税によって行われる国の工事ではその使用目的、 使用用途などを明快にするために工事を一般に開放することが法律で定められている が、民間の工事となると施主にとってそれが利益とならない限り、開放はしていない のが現状である。 □某総合建設会社 H さん 現場になれている作業員ですら危険な場所なのに、一般の人が入ってきたら事故を 起こす。もし、事故が起きたら現場の責任になってしまう。 少しでも不備、不具合があると、さらには現場のせいではなくてもすべて現場のせ いになってしまう。揚げ足をとられる現状がある。 □某総合建設会社 S さん 現在私が勤務している現場では、多いときでは月2回ほど地元見学会を開催してい ます。 人数によっては現場稼働日に開催されることもありますが、通常は日曜日に 行っています。しかし、どちらの場合でも必ず我々元請社員が数名同行し、現場内の 説明と、安全の確保を行います。理由は、知識を持たない一般の方が現場に来ても、 何の作業をしているのかわからないからというのがひとつ、もうひとつは、現場は常 に危険が伴う場所だからです。私は工事現場が閉ざされた空間であるのは、そこに危 険が伴うから、というのが最大の要因と考えます。現場に第三者の目が入ること自体 は、現場のマンネリ化防止、作業員の美化意識向上、 社会の建設業に対する親近感 の創出等の理由から賛成ですが、知識のない不特定多数の人間が現場に入ってくるこ とは、 安全の面から考えて反対です。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-3 調査結果
□某総合建設会社 N さん しっかりした現場であれば、通路が整備されているため、部分的な立ち入りは可能 と思います。 □某総合建設会社 T さん 一般の方が立ち入って怪我などをした場合、責任が現場側にくる可能性があるので、 一般の方は立入禁止です。 □某総合建設会社 K さん 通常現場は外部の人が仮囲い内には入ってこないとう想定で動いています。そのた め安全帯や安全靴等の使用はもちろんのこと、一般の人が予想できない危険個所も存 在するかもしれません。また、一般の人が自由に入れるという環境は、制限を設けた としても、作業員にとっては作業の一定の邪魔になります。現場外から社員が来る場 合でも、見学ルートを事前に現場内社員で決め、社員が誘導しながら歩くことが常で す。 □某総合建設会社 M さん 危険を周知するものが一般の人向けにはあまりないし、ものをもった作業者や工事 車両との接触などの懸念もある。 人が通るための道路を確立している現場でなら可能かもしれないが、今の自分の現場 では厳しい。 会社の方針による所が大きいと思う。会社の意向で現場を見せるようにしている所な らば積極的にやるだろうが、そうではない現場の方が多いのが現状。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-4 分析
以下に工事現場監督者、及び監督経験者へのヒアリングとアンケートに対する分析 を行う。 ■質問①「現場の見せたいところ」対する回答について 質問①に対する回答について顕著であったものは、「完成後見えなくなってしまう 部分(鉄筋の骨組み、地下躯体、内装下地等)」、「重機の迫力」、「大勢の人が携わっ て作っているところ」の3つであった。 いずれも工事現場内で実際に行われているが一般の人々が普段目にしない事象につい てである。また客先に対して見せたいものとして顕著だったものは、施工の品質状態 や現場の安全への配慮、整理整頓の状況等の現場のイメージをより良く見せられるも のであった。 見せたい「短期間の事象」として顕著だったのは「建設途中の部分」、 「重機やクレー ン車のかっこよさ」 、 「大掛かりな作業」などの工事途中でしか見られない事象や作業 のダイナミックさであり、見せたい「長期間の事象」は「人」がつくっているという 過程」 、 「現場内で作業員がいかに苦労して施工を行っているのか」といった人の作業 であった。 ■質問②「現場の魅力」に対する回答について 質問②に対する回答について顕著であったものは、「多くの人が一つの建築をつく り上げていくところ」や「様々な工種の作業員が同じ場所で一つの目的に向かって仕 事をしているところ」等の建築が人の手で作られていることであった。 「短時間の事象」に分類される「現場の魅力」は「多くの人が一つの建築を作り上 げるために作業をしているところ」に見られる工事現場の「人の数の多さ」つまり、 スケールの大きさであると考えられる。また「長期間の事象」に分類される「現場の 魅力」は「大きな建物がどんどん詰み上がってできていくダイナミックさ」や「専門 分野の仕事によって一つの建物が作り上げられていくところ」など、できていく過程 についてのものと多業種の作業が経時的に重なり合って建築物ができているところで あった。 ■質問③「現場の見せたくない場所」に対する回答について 質問③に対する回答について顕著だったのは、 「特にない」と「衛生的ではない場所」 や「危険なところ」の3つであった。工事現場で見せたくないところは少なく、休憩 所や粉塵の舞う現場などの衛生的でないところや屋外作業で土、泥汚いと思われると ころや危険だと思われるところであることがわかる。 DIPLOMA 2013
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-4 分析
■質問④「一般人が部分的に立ち入れる環境になっているか、いなか」に対する回答 について 質問④に対する回答について大部分が「なっていない」であった。部分的な立ち入 りは可能であるという回答も一部あったが、大多数が立ち入れる環境になっていない と回答していた。 ■質問⑤「立ち入れる環境になっていない理由」対する回答について 質問⑤に対する回答について顕著だったものは「安全面」、 「責任の所在」、 「コスト」 、 「工期」 、 「現場のルール」、「立ち入ることを考慮して現場ができていない」、「施主の 希望の有無」であった。現場の開放には安全性、事故が起きたときの責任の所在、開 放する上でのコストや工期の遅れが施主、工事業者のデメリットにつながるためその 部分が制約としてあることが分かった。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-5 考察
現場の見せたい所に関しては、 「完成後見えなくなってしまう部分」や「重機の迫力」 、 「大勢の人が携わって作っていくところ」などであった。 客先に対しては「施工の品質」、「現場の安全への配慮」、「整理整頓の状況」等の現 場のイメージをより良く見せられるもの、家族に対して見せたいものは「建設途中の 部分」 、 「重機やクレーン車のかっこよさ」、「大掛かりな作業」などの工事途中でしか 見られない事象や作業のダイナミックさであった。 これらは「短期間の事象」に分類され普段見られない工事現場内でどういったもの が存在するのか、についてのものである。また家族友人に対しても、「現場が動いて いる様子」や「大型重機が稼働しているところ」等の「短期間の事象」を見せたい傾 向にある。 一方で現場の魅力に関しては「短時間の事象」と「長期間の事象」が見られた。短 期間の事象として 「多くの人が一つの建築を作り上げるために作業をしているところ」 に見られる工事現場の「人の数の多さ」つまり、スケールの大きさが上げられる。ま た「長期間の事象」に分類される「現場の魅力」は「大きな建物がどんどん詰み上がっ てできていくダイナミックさ」や「専門分野の仕事によって一つの建物が作り上げら れていくところ」など、できていく過程についてのものと多業種の作業が経時的に重 なり合って建築物ができているところであった。 「実際に現場がそれらの見せたい部分、魅力を開放出来る環境になっているか」とい う質門に対しては大部分がなっていないと回答していた。 工事現場を開放出来ない理由として「安全面」、「責任の所在」、「コスト」、「工期」 、 「現場のルール」 「立ち入ることを考慮して現場ができていない」、 、 「施主の希望の有無」 などの項目が挙げられた。 工事現場に一般の人々が部分的に立ち入ることになった場合に出てくる問題として 以下の項目が考えられる。 ・一般の人々に対する安全の確保に伴って発生する現場内の整備によって工期が増加 し、 全体としてコストがかかってしまうこと。 ・もし事故が起きた場合の責任の所在が現場側にあること。
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第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-5 考察
・現場のルールとは相容れない、人々が現場に入ることによって現場の管理が難しく なること これらの問題を解決することで工事現場を一般に開放することができると考えられ る。
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都市空間としての工事の印象評価に関する研究
第5章 工事関係者からみた工事現場の印象の収集と分析
5-5 まとめ
今回の調査によって工事関係者が感じる工事現場の魅力や解放の可能性を収集・分 析できた。 まず、工事関係者が現場において見せたいところは以下の通りであった。 次に、工事関係者が感じる工事現場の魅力は以下の通りであった。 ・ 「完成後見えなくなってしまう部分」 ・ 「重機の迫力」 ・ 「大勢の人が携わって作っていくところ」等 の「短期間の事象」としての工事途中でしか見られないものや作業のダイナミックさ。 ・ 「大きな建物がどんどん詰み上がってできていくダイナミックさ」 ・ 「専門分野の仕事によって一つの建物が作り上げられていくところ」等 の「長期間の事象」としてのできていく過程や多業種の作業が重なり合って工事が進 んでいくところ。 これらのデータは、第 3 章第 4 章で調査した、【工事現場周辺を行き交う人々の興味 の対象】と一致する。 しかし、工事を解放する為には以下の点が問題であり、実際に工事現場を人々に解放 する際にはという配慮が必要である。 問題点 ・一般の人々に対する安全の確保に伴って発生する現場内の整備によって工期が増加 し、 全体としてコストがかかってしまうこと。 ・もし事故が起きた場合の責任の所在が現場側にあること。 ・現場のルールとは相容れない、人々が現場に入ることによって現場の管理が難しく なること
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
安全性と解放の可能性の調査
6-1 調査概要
■調査概要 工事現場に対する安全性と開放可能性に関する学術的な知見を得るため、早稲田大 学創造理工学部建築学科の嘉納成男教授にヒアリングを行った。工事現場の専門家か ら見た安全性や開放可能性とそれに対する問題を抽出する。
■調査目的 工事現場に対する安全性と開放可能性に関する学術的な知見を得ることを目的とす る。
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
安全性と解放の可能性の調査
6-2 調査方法
■調査日 2013年、10月17日
■調査機材 スマートフォンにプリインストールされているボイスレコーダアプリを使用した。
図 6-2-1 GALAXY-S Ⅲ
図 6-2-2 ボイスレコーダーアプリ
■調査内容 建築生産の専門家の嘉納成男教授に対してヒアリングを行い、その内容をボイスレ コーダアプリを使用して記録した。
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
安全性と解放の可能性の調査
6-3 調査結果
①工事の安全性についての見方が昔と現在とでどう変わっているのか。またその要因 について。 50年前と比べても、安全は工事の最重要項目として掲げられている。人命が重要 なのはいつの時代もあたりまえの事だが、工事中に事故が起こってしまうと工事自体 が止まってしまい、死亡事故となると社会問題にも発展してしまう。重大災害が起き ればその被害者はもちろん関係者もその現場から退かされることにもなる。死亡事故 に関して言えば、概算で霞が関ビル位の1000億円規模のプロジェクトで10本立 てて1人くらい亡くなる程度の頻度であり、死亡事故は少なくなっている。 ②工事作業をしている中で、関係者ではない人々を巻き込んだ事故(公衆災害)と関 係者同士(労働災害)はどのくらいあるのか? そのような公衆災害は非常に少ない。あるとしたら最近解体工事で仮囲いを倒して の死亡事故が最近起きてはいる。工事関係者同士(労働災害)での事故は霞が関ビル 一本立てるのに対して2∼3回くらいはある。建物を1㎡作るのに今の技術であれば 3 人くらいの人手がかかる。10階建てのビルであれば10000㎡、六本木のアー クヒルズは300000㎡であるから単純計算して 10 万人の人手がかかる。その中 で事故が何回か起こるといった頻度である。労働災害は大きな現場では少ない。逆に 小さな現場での事故が多い傾向にある。働いた人に対しての比率という話もあるが、 それにしても大きい現場での事故は少ない。 ③工事の安全性自体は昔と比べて実際にどう変わったか。どこに要因があるか。 労働災害は、昔から発生率が下がり続ける傾向にある。それは統計資料を見ても明 らかである。具体的には骨折等の障害は年間で22000件、死亡は日本全国で一日 一人くらいである。その要因はやはり作業者がしっかりと安全を意識して工事作業を 行っているという所が大きい。そういった安全意識の高まりが背景には存在する。例 えば、今の現場では作業者が初めて現場に入る場合、健康診断をしたあと、安全教育 やその現場での特に注意すべき事項に対しての教示を行う、入場者教育を行っている。 それらをクリアして初めて現場での作業を行える。そういった安全意識の浸透が事故 発生率の低下につながっている。 また法律が厳しくなってきたというのも安全性向上の一要因として言える。安全に対 する法律を変えれば、それに適合するように現場の環境も変わっていく。法律の整備 とコストが対応していけるように徐々に法改正を行うことでゆったりとした安全性向
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
安全性と解放の可能性の調査
6-3 調査結果
上のグラフが描かれる。しかし職人の習熟度に比例して、自信がつき、ちょっとした 作業は安全帯をつけずに行ったりするようにもなる、安全帯をしていれば、高所作業 で落ちることはまずないのだが、それでは作業能率が低下してしまう場合もある。安 全帯をつけないでも滑落はしないかもしれないが、その作業を例えば、年間300日、 30年間働いて毎日行うとして10000回も行えばそれだけリスクも増える。 ④施工技術の進歩、情報化が安全性や工事内空間の景観にどんな影響を与えたのか。 施工技術によって今まで人が行っていた危険な作業を機械が代行できるようになっ た。それによって確実に安全性は向上している。情報化は視覚的な安全性においては 寄与しているのだろう。現場内の整理整頓の面からいえば、工事作業終了の前にその 日に出たごみや端材などを清掃する時間を設ける事が最近の大規模な現場では多く なってきている。清掃後は釘ひとつ落ちていない。 ⑤工事は今どれほど安全なのか。 基本的には安全である。安全通路は安全が確保されており、そこを通る分にはいつ 見学者が入って行っても安全である。しかしそこを外れて作業者の作業領域に入ると 安全は確保されない。例えば、天井の工事をしているとき、作業者も下に人がいるこ とが前提で作業をしているわけではない。もちろん資材や工具を上から落とすことは ないが、一瞬のミスでボルトが落ちることも作業を何万回も続けていればあり得る。 作業領域に入る場合は、作業者とのコミュニケーションをとるこが必須である。
⑥工事の現場開放には様々な形があるが、それらはなぜ可能なのか。日本においてそ ういった開放に関する事例はあるか、それに対する法律やしがらみになっている要素 はなんなのか。問題点はどういった所にあるのか。 現場に入るにはまず安全が確保されなければならない。安全通路を歩いていく分に は安全だがそれ以外の作業領域に入ると危険を伴う。万が一に備えての安全帽や軍手 の着用は労働安全衛生法での決まっている。万が一の場合に備えてというのはヒュー マンエラーに対してである。人が動いているところではどうしても危険が伴う。それ が道路でも同じことで、携帯を見ながら自転車で走っている人がいれば衝突の危険も ある。街中で躓いて転ぶことが起きたとして、そこに鉄筋があるのかないか、で危険 の度合いが変わってくる。工事が一般に対して閉鎖的なのは、それが仕事であるとい
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6-3 調査結果
う側面がある。仕事をしている人の環境を良好に保つというのが、重要視されるので あろう。現場が外から見えないのは、周辺環境への配慮もある。不特定多数の作業者 からの視線が周辺住民にとって気になるということも、最近では多くなってきている。 例えば、オフィスビルなどの工事をやる場合、作業が始まる前は、ビル同士である程 度、事業内容やどういった人が何をしているのか、理解があったが、工事が始まった 途端に不特定多数の目線に工事周辺がさらされ続けることになり、それを不快に思う ということなのだろう。またちりやごみについての周辺からの目線が厳しくなってき ているのも一因としてあるだろう。それにともなって工事はさらに閉鎖的になってし まっている。 ⑦工事はどういった部分まで開放可能か。また開放するときに問題となるのは、どう いったところか。 開放するメリットがないと開放はできない。たとえばマンションなどの工事であれ ば、購入者に対する現場見学などを通してコマーシャルを行うことはよくやられてい る。 子供の日に現場を案内するなど、地方自治体からの要望と会社側の社会貢献のニー ズと合致していれば、できるなど、コストの問題が解消されれば開放ができる部分は 広がる。また作業をしている環境を守ることがある条件としてあると思う。作業者と いうのは前提としてまず、工事をきっちり行ってもらうために事業者側が雇っている のであって、作業を第三者に見せるために雇っているわけではない。仕事量に比例し て賃金がきまってくる職業だからこそ思う存分仕事ができるという環境の現場が一番 良い。 ⑧工事は今どういったところが重要視されているのか。また将来、工事現場はどのよ うに変わっていくと思うか。 コスト、工期、安全と周辺環境への配慮であると思う。部材を現場ではなく、工場 である程度作ってしまえるようなってきた。現場では取り付けるだけで、その分現場 で騒音や振動などはだんだんと減っていく傾向にある。 しかし、基本的にはあまり変わらない。
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
安全性と解放の可能性の調査
6-3 調査結果
⑨教育において工事現場を見学するカリキュラムがくまれることがあるが、工事現場 見学にはどういった教育的価値があると思われるか。 実際にやられているところをみたり、関係者への話を聴くこと、という実際に触れ るという上での重要性がまずあると思う。なかなか一人では見られない現状の中で、 企画をして、現場を体感し見えなかったところにまで視野を広げるというところが見 学の重要性だと思う
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
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6-4 分析
建 設 業 労 働 災 害 分 析
■工事現場の安全性について
データ 中央労働災害防止協会 http://www.jisha.or.jp/ info/bunsekidata/ pdf/3000.pdf 「図 5-4-1」 事業場規模
工事現場の安全性に関しては、いつの時代も現場の最重要項目として掲げられてき ており、近年では作業者の安全意識の高まりや法律の厳格化が、施工技術の発達や情 報化といった要因とも相まって、工事現場での死亡事故、傷害事故を減少させている。 これは大規模なプロジェクトの現場で顕著に現れている。
別発生状況の推移 「図 5-4-2」 事故の型別
被災者人数(人)
発生状況の推移
年度数(年)
「図 6-4-1」 事業場規模別発生状況の推移
工事現場については安全通路を通る限りは安全であるといえる。しかし作業領域内 への出入りには危険が伴う。作業をしている職人はその作業領域内に他の人が入って くることを前提として作業をしているわけではないため、一瞬のミスによって事故が 起こる可能性が作業を何万回も続けていればありえる。労働安全衛生法によって工事 現場内での安全帽や安全帯の着用が義務づけられているのは、そういった万が一に起 こるヒューマンエラーに備えてであり、人が動いているところではどうしても危険が 伴ってしまう。それは工事であっても、道路であっても同様で、躓いた先に固い建築 資材があるかないかの違いによって危険の度合いが変わってくる。「図 5-4-2」 事 故の型別発生状況の推移のグラフを見ても安全帯の装着が義務づけられているにも関
被災者人数(人)
わらず転落や墜落が起きてしまっている現状が読み取れる。
年度数(年)
「図 6-4-2」 事故の型別発生状況の推移
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6-4 分析
■工事現場を開放する上での制約について 工事現場で今、重要視されているのは、工期、生産性、安全性、周辺への配慮である。 工事が一般に対して閉鎖的なのは、生産性、工期の側面からくる作業員の作業効率確 保が目的であったり、周辺環境への配慮の側面からくる作業所内のちりやゴミの流出 防止や工事現場内から工事現場外のプライバシーを守ること目的であったりといった 理由がある。作業環境を守り、コストに対してメリットの補填を行うことが前提条件 である。 ■工事現場見学を行う教育的な価値について 実際に工事が行われているところを見ることや関係者に話を聞くこと、工事の実際 に触れさせたり、現場を体感して見えなかった所にさらに視野を広げさせることが工 事現場見学を行う教育的な価値である。
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
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6-5 考察
6-4 分析から工事現場の安全性は年々高まっており、作業領域以外の安全通路に関 しては安全が確保されていることが分かった。これは大規模なプロジェクトの現場で 顕著に現れていた。またヒューマンエラーに関連する事故の発生は未だにあるものの 現場内の一般の人々による事故という面から見たとき、それらは必ずしも対応しない と考えられる。 「表 6-5-1」の事故の型別発生件数の推移から、現場内の一般の人々に対しての事故 の発生要因を考えると転倒、激突され、飛来・落下、切れ・こすれに対する以上4項 目が上げられる。高所作業等をに実際に従事しない観光客出あれば墜落・転落の可能 性は除外でき、重機等の稼働範囲に入らなければ、はさまれ、巻き込まれの可能性も 除外することができると考えられる。そういった制約を設け、以上に上げた4項目へ の対処を考慮することで現場を部分的に開放することができると考えられる。 「表 6-51」 事故の型別発生件数の推移
以上の制約と工事現場の中で求められる、工期や生産性を守り、コストに対してメ リットの補填を行うことが開放の前提条件であると考えられる。 教育という観点からみた工事現場は建築を学ぶ学生にとっては、また工事現場の見学 は実際に工事がやられているところを見たり、関係者に話を聞くこと、といった個人 では、なかなかできないことを学校側が企画して、学生に工事の実際に触れさせたり、 現場を体感して見えなかった所にさらに視野を広げさせるような機会を持たせるとい うところが重要である。
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第 6 章 建築生産の専門家が考える工事現場の 都市空間としての工事の印象評価に関する研究
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6-6 まとめ
工事現場に対する安全性と開放可能性に関する学術的な知見を得ることができた。 それは以下の通りである。 ・安全性に関して 工事現場の安全性は年々高まっており、作業領域以外の安全通路に関しては安全が確 保されていることが分かった。大規模なプロジェクトの現場での安全性は特に高いこ とが分かった。現場内の一般の人々に対しての事故の発生要因から考え、開放する範 囲や部分に応じて制約を設けることで現場を部分的に開放することができると考えら れる。 ・開放可能性について 安全に対する制約と工事現場の中で求められる、工期や生産性を守り、コストに対 してメリットの補填を行うことで開放は可能であると考えられる。
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第7章 まとめ
7-1 人々の工事現場に対する欲求
■第3章、第4章のまとめ 第3章では工事現場のどのような要素が魅力的であるのか主観的に明示し、それら を分類・分析するためにいくつかの工事現場周辺でフィールドワークを行い、工事現 場における魅力の要素をカメラ、ビデオで収集した。その結果、工事現場のどのよう な要素が魅力的であるのか主観的に明示できた。それらは、「鉄骨」、「重機」、「工事 のスケール感」 、 「重機の動き」と「解体工事による変化の体験」、「仮設ができていく ところ」であり、存在する・人々の目に入る期間の長さで、大きく「短期間の事象」 と「長期間の事象」のふたつに分類できた。 第4章では工事現場周辺を行き交う歩行者の、工事現場に対する注視を記録・分析 する事で、人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにするための注視の調査を 行った。 その結果人々の工事現場に対する興味の対象を明らかにすることができた。それは 以下の通りである。 平日と休日で利用客の属性が異なる工事の平日の朝と休日の昼の注視を比べると平 日では工事現場内に注視が集まり、休日では向かいの工事に注視が集まっていた。 これは対象地の工事現場を見慣れているものとそうでないものとによる「長期間の事 象」に対する興味と「短期間の事象」に対する興味の差であると考えられる。工事現 場を見慣れていた属性は工事現場内の「長期間の事象」の変化に興味を抱き内部への 注視をしていたと考えられ、見慣れない属性は工事現場外の「短期間の事象」に目を 向けていたと考えられる。 よって、工事現場に慣れている人々は工事内部を、工事現場に慣れていない人は向か いの工事を見る傾向にあったと考えられる。 また同章で、人々が思う、工事現場への興味の対象を、アンケートによって収集す ることによって、工事現場周辺を行き交う人々が工事現場のどのようなところに対し て興味を抱いているのかを明らかにするためにインターネットによるアンケートを 行った。 その結果、人々が思う、工事現場への興味の対象が明らかになった。 【長期間の事象】として [ 作業風景 ] [ 工法・作る手順 ] [ できていく過程 ] [ 日々の変化 ] [ 解体工事 ] [ 全体的な工事内容 ]
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第7章 まとめ
7-1 人々の工事現場に対する欲求
【短期間の事象】としての [ 作業風景 ] [ 重機 ] [ 作業用エレベーター ] [ 専門的な部分 ] [ 配管工事 ] [ コンクリートの打設 ] [ 完成後見られなくなる内部 ] [ 材料・鉄筋 ] [ 基礎・土台・地下 ] [ 骨組み・構造・躯体 ] [ 職人の作業 ] 特に、一戸建て、事務所等の小さな工事現場を良く目にする人に対しては短期間の事 象としての「作業風景」や「骨組み、構造、躯体」や「重機」を、マンションや事務 所ビル等の中規模の工事現場を良く目にする人は短期間の事象としての「作業風景」 や「骨組み、構造、躯体」や「重機」を、高層マンションやオフィスビル等の大規模 な工事現場を良く目にする人は長期間の事象としての作業風景を、駅や高速等のイン フラの工事現場を良く目にする人は、長期間としての作業風景の事象を見てみたいと 答えた。
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第7章 まとめ
7-2 工事関係者の工事現場に対する欲求
■第5章と第6章のまとめ ■ 第5章では工事関係者が感じる工事現場の魅力や解放の可能性を収集・分析するこ とを目的とし、ヒアリング調査と、ヒアリング調査と同じ質問内容で構成されたアン ケート調査を行った。 その結果、 今回の調査によって工事関係者が感じる工事現場の魅力や解放の可能 性を収集・分析できた。 まず、工事関係者が現場において見せたいところは以下の通りであった。 ・ 「完成後見えなくなってしまう部分」 ・ 「重機の迫力」 ・ 「大勢の人が携わって作っていくところ」等 の「短期間の事象」としての工事途中でしか見られないものや作業のダイナミックさ。 次に、工事関係者が感じる工事現場の魅力は以下の通りであった。 ・ 「大きな建物がどんどん詰み上がってできていくダイナミックさ」 ・ 「専門分野の仕事によって一つの建物が作り上げられていくところ」等 の 「長期間の事象」としてのできていく過程や多業種の作業が重なり合って工事が進ん でいくところ。 これらのデータは、第 3 章第 4 章で調査した、【工事現場周辺を行き交う人々の興味 の対象】と一致する。 しかし、工事を解放する為には以下の点が問題であり、実際に工事現場を人々に解放 する際には「安全面」、「責任の所在」、「コスト」、「工期」、「現場のルール」、「施主の 希望の有無」への配慮が必要である。 以下、問題点 ・一般の人々に対する安全の確保に伴って発生する現場内の整備によって工期が増加 し、 全体としてコストがかかってしまうこと。 ・もし事故が起きた場合の責任の所在が現場側にあること。 ・現場のルールとは相容れない、人々が現場に入ることによって現場の管理が難しく なること
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第7章 まとめ
7-2 工事関係者の工事現場に対する欲求
■第5章と第6章のまとめ ■ 第6章では工事現場に対する安全性と開放可能性に関する学術的な知見を得ること を目的とし、 早稲田大学創造理工学部建築学科の嘉納成男教授にヒアリングを行った。 その結果工事現場に対する安全性と開放可能性に関する学術的な知見を得ることがで きた。それは以下の通りである。 ・安全性に関して 工事現場の安全性は年々高まっており、作業領域以外の安全通路に関しては安全が確 保されていることが分かった。大規模なプロジェクトの現場での安全性は特に高いこ とが分かった。現場内の一般の人々に対しての事故の発生要因から考え、開放する範 囲や部分に応じて制約を設けることで現場を部分的に開放することができると考えら れる。 ・開放可能性について 安全に対する制約と工事現場の中で求められる、工期や生産性を守り、コストに対 してメリットの補填を行うことで開放は可能であると考えられる。
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第7章 まとめ
7-3 工事空間解放の可能性
7-1、7-2 より工事現場の周辺の人々と工事関係者がもつ工事現場への欲求が合致 していることが明らかになった。またそれに対しての技術的、社会的な制限は存在す るものの、工事現場を開放することが両者の欲求を結びつける方法であると考えられ る。工事現場の工期や生産性を守り、コストに対してメリットの補填を行うことで開 放可能であるとの専門家の知見から工事現場の開放の可能性を考えたい。 たとえば、現状として都市空間と工事空間は切りはなされて存在しているが、今後 もその工事は確実に一般の人々の生活のそばにあり続ける。それを開放する上でのメ リットとして考えなければいけないのはメリットを享受する対象としての施主の設定 である。民間における工事の一般開放の例は少なく、施主側が公的な機関になってい くに従って、見学的な開放が可能性を持ってくる。民間に対してはその開放が利益に つながらなければ開放はなされないが、工事現場自体が工事中の建築物の期待感を高 めるのに寄与すれば、その開放可能性は広がると考えられる。本論文で人々の工事現 場への興味の対象として「長期間の事象」と「短期間の事象」とを提示したが、工 事を開放することによる「長期間の事象」としての興味が高まることで建築に対する 期待感や愛着といったものが高まるのではないだろうか。近年開催される東京オリン ピックに向けて今都市は転換期を迎えている。その中で工事中の期待感や愛着を高め つつ工事を行うことができれば、今までにない都市の更新の仕方が考えられるのでは ないだろうか。
DIPLOMA 2013
HITOSHI WATANABE LAB. WASEDA UNIV.
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都市空間としての工事の印象評価に関する研究
第 8 章 おわりに
8-2 参考文献
■参考文献 建築施工法 工事計画と管理 田村 恭 丸善株式会社 2003 建築施工入門 井上 司郎 第二本法令印刷株式会社 1998 ひと目でわかる図説 案衛則 武下 尚憲 労動調査会 2007 工事中景 鹿島 光一 鹿島出版社 2006 建築を創る 今伝えておきたいこと 関谷 勉 井上書院 ディズニーランドの空間科学 山口有次 学文社 ■参考資料 平成24年度建築着工統計調査 国土交通省総合政策局 http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/kakodata.html 東京ドーム計算 HDMT Logic and Intuition http://hmdt.jp/TokyoDome/TokyoDome.html 平成 24 年の労働災害発生状況 労務安全情報センター http://spotjn.blog.fc2.com/blog-category-4.html 平成 24 年労働災害動向調査 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/12/dl/toukei01.pdf
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都市空間としての工事の印象評価に関する研究
第 8 章 おわりに
8-2 参考文献
平成 24 年労働災害動向調査 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/12/dl/toukei01.pdf 平成 24 年労働災害動向調査 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/12/dl/toukei01.pdf 建設工事公衆災害防止対策要綱 建設省 http://www.kkr.mlit.go.jp/plan/hikkei_kouji/pdf/doboku/14.pdf 平成 24 年度労働災害率及び死傷者 1 人平均労働損失日数の推移 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/12/dl/toukei01.pdf 平成 24 年度労働不能程度別労働災害率及び死傷者 1 人平均労働損失日 数 ( 総合工事業 ) 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/12/dl/toukei01.pdf 労働災害発生状況の推移 日本建設業連合会 http://www.nikkenren.com/publication/pdf/ 総務省法令データ提供システム(法) 総務省 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO057.html 非日常 Weblio 辞書 http://www.weblio.jp/content/%E9%9D%9E%E6%97%A5%E5%B8%B8 高度消費社会における劇場型空間の創出と都市環境の変貌 http://libro.do-bunkyodai.ac.jp/research/pdf/treatises10/03suzuki.pdf
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