池袋コンコースにおける人間の流動に関する研究

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U8810 早稲 田 大学 理 工 学 部建 築学科 卒業論文 指 導教授 渡 辺仁 史

池 袋 駅 コ ン コー ス にお け る人 間 の 流 動 に 関 す る研 究 翼S姫 敬

Department of Architecture,School of Science and Engineering, Waseda University



池袋駅 コ ン コー スにおけ る 人 間 の流動 に 関す る研究

昭和

63年 度 卒 業論 文

早稲 田大 学 理 工 学 部建 築 学 科 指導 教 授

:渡 辺

仁 史 教授

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池 袋 駅 は 新 宿 駅 、 渋 谷 駅 と と も に 都 心 の 一 角 を 占 め て お り、 利 用 乗 降 客 の 多 い 駅 で あ る。 池 袋 駅 は そ の 地 理 的 な 条 件 に よ り、 従 来 か ら郊 外 地 域 と都 心 部 の 節 点 と し て 都 心 と郊 外 を結 ぶ 交 通 網 の 乗 り換 え駅 とな っ て い る。 山の手 線 、 埼京 線 、 高 崎線 、 東 北 線 な ど

JR線 を は じめ 、 都 心 部 へ の 地 下 鉄

(丸

ノ内線 と有 楽 町線 )及 び 郊 外 地 域 へ の 私 鉄 (西 武 池 袋 線 と東 武 東 上 線 )な 'ど 数 多 く の 電 車 路 線 が 池 袋 駅 に 乗 り入 れ て い る。 従 っ て 、 池 袋 駅 は利 用 客 が 多 く、 混 雑 が 激 しい。 特 に 地 下 一 階 に あ る中 央 通 路 は駅 全 体 の 中 心 に 位 置 して お り、 駅 の 東 西 を結 ぶ 最 も 大 き な 動 線 と して 利 用 さ れ て い る。´さ らに 、 この 中 央 通 路 に 沿 っ て デ バ ー ト が あ るた め に 、 各 路 線 の 乗 降 客 及 び デ バ ー トの 利 用 客 が 同 一 平 面 上 で 交 錯 し、 ぶ つ か り合 う こ とに よ っ て 、 渋 滞 が 発 生 して い る。 特 に 朝 、 夕 の 通 勤 時 間 帯 に は 一 時 的 な 滞 留 人 数 が 増 加 し、 地 下 コ ン コ ー ス全 体 に 人 が 集 中 して い る。 この 混 雑 、 渋 滞 を 解 消 す る に は 、 各 出 入 日 の 特 徴 、 コ ン コ ー ス内 部 で の 利 用 客 の 流 れ の 方 向 、 特 性 、 構 内 案 内 図 の 配 置 な どに つ い て 、 調 査 及 び 観 察 を行 い 、 現 状 に お け る 人 の 流 れ の 傾 向 を把 握 す る こ とが 大 変 重 要 で あ る。 観 察 及 び 調 査 の 分 析 に よ っ て得 られ た知 識 は 、 駅 全 体 の よ リス ム ー ズ で 効 率 的 な 動 線 計 画 を実 現 す る こ とや 駅 コ ン コ ー ス に お け る安 全 計 画 を 保 全 す る こ と に 役 立 つ 。 本 研 究 は 、 池 袋 駅 を具 体 例 に 、 大 量 の 人 間 が 同 時 に 集 中 して 利 用 磨 る公 共 空 間 に お け る動 線 を理 論 的 に 把 握 す る と と も に 、 新 た な 動 線 計 画 の あ り方 を提 案 す る も の で あ る。


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用語定義

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関連研 究

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調査対 象 各 出入 口 につ いて の説 明 調 査方法 調 査 結 果 ― 断 面 交 通 量 調 査・ 追 跡 調 査 調 査 結 果 の分 析 調査 の考 察

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」ト イテ 車軋 屁藤 副電 璽夢 4-1 調査 の概要 .

4-2 1 各出入画面の軌跡図 4-3 調査 の考 察

5。

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'勇 の コー スにおい 、 OLil真│、 ↓をLLの 交錯 脊 研究 目的は 通袋駅コン ‖ による混雑 と不 自然な人の流れ を明 らかにし、出入回の配置計画及び動線計画 につ いて考察を行 うtと ― もに、調 査結 果をもとに、一般的な駅 コンコー スにおけるスム ーデ な勘

を実現するための計画案を提案 す嗜 こ とである。

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2Tl 主 動線

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用語定義 以 上 を有 す る乗 降 客 の 流 れ (動 線 )

断 面 交 通 量 :出 入 口 を過 す る 乗 降 客 の 数 追 跡 調 査 :乗 降 客 が どの 出入 口 か ら コ ン コ ー ス 内 部 に 流 入 し、 どの 出 入 口 を 使 つ て 流 出 す るか を 追 跡 に よ っ て 確 認 す る調 査 の こ と。 流 出 確 率 :あ る出 入 日 か ら入 っ て き た乗 降 客 が 別 の 出 入 口 を 通 じて 出 て い くと きの 、 流 出 者 数 の 流 入 者 捧 数 に 対 す る割 合 。 推 定 流 出 確 率 :あ る 出 入 口か ら流 出 した乗 客 数 と調 査 さ れ た乗 客 の 総 数 を 掛 け 合 わ せ て 、 実 測 調 査 で 得 た乗 客 数 で 割 つ た も の 。

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定 流 出確 率 ` 入 日か ら流 出 した乗 客数 査 され た乗 客 の 総 数 >

測 調 査 で得 た乗 客 数

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行 動特 性 :人 間 の 集 積 の 中 に 共 通 に 内在 す る規 則性 や 秩 序 の こ と。 歩 行 軌 跡 :あ る場 所 か ら別 の 場 所 に移 っ た と きの動線 (ル ー ト) ビス トン効果 :電 車 の発着により、風が正圧 と負圧を繰 り返される現象。

2


今 まで、空 間 における人 間 の行動特性 につ いての調査研究 は数多 く行われて来 た。その中で も人の歩行動線につ いての研究は建築 を設計する時 の動線計画及び 避難計画 に重要なため、頻 繁 に行われて きた。特 に、利用頻度 の 高 く、利用客が一 時的 に集中す る場所 を設計す る際に、 設計者達 はよ り効率 的 、安全な行動計画 を得 るために人間 の行動特性 と環境 による反応 につ い ての知 識がなければな らない。 また、地 下 に設置す る地下空間につ いて、動線計画 は照明 、音響計画 とともに、人 々に よ り 快適で、安全な行動空間を与えることに大変重要である。 人 々の歩行特性はそれぞれの歩行軌跡 であらわ している。追跡調査 は人 々の歩行動線 を探 し だ し、 図面化す るこ とがで きる。 こい う軌 跡図の分析 に よ って、人 々はどいう環境で どいうふ に対応 しているかを イメー ジすることがで きる。 人間 の歩行軌跡 につ いての研究が 日本で最初 に行われたのは昭和 20年 ご ろである。 この頃 の 調査研究 は特別に人間の行動特性 あ るいは人 の動線 だけにつ いて行 うのではな く、調査対象 にな る範囲 内 の交通な ど移 動性 の あ るものをも考慮 してお り、 これ らとの関係 につ いての考察

を行 ったものである。この ような研究 の調査方法 と して、被験者か ら事情を聞いた り、現場の 配置計画を検討する方法がある。調査例では、昭和 26年 上田光雄氏の「購買中心に於ける動 線」及び 29年 下河辺千穂子の「住宅 における主婦の動き」がある。 次第 に、軌跡調査に対 してより専門的、 より詳 しい調査結果が要求されるようになってきた。 調査対象の移動 に対 し、ただ方向だけについて研究するではな く、その移動時間及び郷里、回 数 、内容なども、調査されてきた。 動線が混雑 している場所 にどのように計画がなされるべ きかを提案 したものとして、太田利 彦氏 (清 水建設)の 「動線計画の数学的解析」がある。 この提案の中で氏は機能の複雑な所で は、それぞれの機能 によって分類 した場合、その分類されたものの間には、異な った点 がある はずであ り、設計に当た って こういうものを考慮 しなければならないと述べている。 この他 、数多 くの実験が行われ、人 々の行動計画 に対する関心も高まってきた。地上におけ る人間の動線研究のほかに、特 に、多数 の利用者が一時的に集中 し、混雑の起こりやすし 、 地下

.

3


駅 コン コー ス及び地下街 についても、 よ く研究 されて きた。敷地 をよ り有効 に利用 す るには駅 コン コー ス及び商店街 を地下に酉己置 し、地上において、人 々により広 い活動空間を与 えること がで きるので、最近 で は利用者の行動空間をで きるだけ地下に設置す るこ とによ り、 よ り自然 的な生活環境を作 る事 に重点をお いた都市計画が数多 くなされている。 こ ういう地下行動空 間 の建設 に 当た っては、人間 の行動特性及び地下 にいるときの不安感 の 発生な ど本能的な反応 につ いての 専門的な学問知 識 が必要 とな って くる。 こ ういう知 識を得 る ためには現存 している利用者が多 く、通過交通量の多 い、中でも利用者が一 時的 に集中 し、混 雑 の起 こ り易い遊園地や駅などに つ いて調査及び実験 を行 い、デ ー タの収集、分析 を しなけれ ばな らない。 ここで得 られた知識 は利用者数が多 い新 しい施設 の建設計画 に大変役 に立 つ もの である。 この研究 に当た って、最も参考 になった調査研究 である高泉豊氏 らの多方面群集流動 におけ る交錯点 の解消 モデル 旅客駅

1、

2(文 献 6、 7)は 交錯群集流動 につ いて観測 し、調査対象 として

(JR線 渋谷駅 )を 選び、その改札口付近 の利用量 の高 い歩行空間 における群集流動 に

っよて引 き起 こされ た混雑の緩不日策 を求め、空 間の混雑 を交錯点 という概念で把 え、 モデル化 とともに、その交錯点 の解消 モデル を提案 し、狭 い行動空間 における群集流動 によ つてできて 来 た混雑 を周辺 のやや広 い範囲 に効果的 に分散 して解決す るこ とを行 って いた。

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時代 の移 り変わ りとともに、人 々の求める快適 で安全な空間 レベルも向上 してゆ く。今後 、 マクロな面での調査研究 は当然 の こ と、さ らに、サ インや照明 の配置 、出入口の配置 、大 きさ な ど人間の行動 に影響 を 与えるミク ロな部分 の調査研究 も必要 になるだろう。

4


本研究では駅 コン コー スの中の 流動の分布 とその流れ方向、密度 につ いての調査 を行 う。 乗降客の多 い駅 コンコー スでは、人 々の流れが自然 的 に発生 して くることが多 い。人が多いた め、個 人 の歩行は隣にい る他人に左右 され影響 されている。そ ういうところで は、人 々は他

か らの影響 を最少 限 に しようとす る意 識が発生 し、その環境 に対応 して 自分 の歩行行動 を 調整 す る。特 に、個人個人 で別 々に新 しい歩行 ル ー トを歩 くよ り、隣 に ある群集の後 に付 いて行 く という特性が よくみ られ る。こうい う特性 に よって、人 の流れが発生 して くる。これ らの流れ の方向性、発生する回数及び密度 をよ り明確 にす るために調査 を行 い、検討する。

(AM8:00-10:oo)、 昼 (AM10:Oo― PM2:00) (PM3:00-6:00)三 つ の 時間帯 にわけて、各出入 口それぞ れの断面交通量 を測

本研究では、一 日を朝 、夕

定 した。さ らに、 よ り正 確な結果 を得 るため、駅 の 中 の流れパ ター ンを一 週間 にわ た って観察 を行 った。

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また、池袋駅 の流れ の 曜 日変動 は三 つパ ター ンにわけるこ とができる。 それは通勤 日 (月 、 火 、水 、金、土 曜日)、 会社の休 日 (日 曜 日)及 びデバー トの休業 日 (木 曜 日)で ある。そ こ で、今回 の 調査では、会社の休日である日曜 日、デパー トの休業 日であ る木曜日と平 日の金 曜 日のそれぞ れの朝 、昼 、夕 につ いて調査を行 った。

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池袋駅 コン コー スは近隣地域の発展 による利用客の増大 とともに、数回 の増改築 をイ 子って現 在 の状態 に至 って い る。そ こで、池袋駅 コン コー スの配 置及び構造 をよ り明確 にす るには、駅 全体の建 築計画 を立面 的及び平面的 に考察す る必要があ る。

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私録

池袋駅 の立面図

図 1の ように池袋駅 の地 上一 階 に は、 JR線 の他 に西武池袋線 と東武東上線が配置 されてい る。注 目すべ き点 はプラッ トフォー ムの両側 に大手デ バー トがあるために、ほとん との乗客が 地下 コ ンコー スを使用 しな ければな らな くな っているこ とである。

1

これには二 つ の原因が あ る。

(1)よ

り効果的に敷地利用するために、駅の人口か ら、 目的のプラ ッ トフォー ム までの動

線空間を地下 に建設 せざ るをえな くな った。

(2)コ ン コー スの両側 にはデパー トの地下街があ り、通勤時間帯 以外でも、コン コー スは 買 い物客で混雑 している。

(3)地 下 コン コー スの下 には地下鉄

(丸 ノ内 線 、有楽 町線 )が 通 ってお り、地下鉄 の利用

客 も他の各路線 の乗降客及びデバー トの買 い物客 とともに地下 コンコー スを利用 して いる。 地下 コン コー スの配置 をよ り明快 にす るには、 図 3の ような構内案内図を参考 にす る必要が ある。案 内図で示 しているように駅全体 は次の様 な二 つ の主な通路で形成 されている。駅 の中


心部分 に中央 口通路が配置され、その両側 に南通路及び北通路が配置 されている。そ して、利 用客数 の少な い JR線 専用 の北通路 に くらべ て、駅 の東西を連結する中央通路 と南通路のほう に利用客が集中 してい る。 更 に、駅全体の動線計画 をよ リスムー ズに行 うために、最近 二 つの通路 を連結す るバ イバ ス と してアップル ロー ドとオ レンジ ロー ドが設置され、駅全体 の交通混雑 も改善されて きた。 一 方 、池袋駅の近隣地域の著 しい発展 、特 に大手デ バー トの進出及び娯楽施設の建設による 利用客 も多 くな っている。特 に、東西 を連結す る大動脈でもある中央通路は通勤時 間帯 だけで な く、普通 の 時間帯でも、かな り大勢の利用客で混雑 している。 今回の調査 は、最 も利 用客 の多 い中央通路 の一部 (東 口寄 り)を 調査対象 とした。

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西 武 百 貨店

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図4

Pl P2 P3 P4

P5 P6 P7 P8 P9 P10 P‖

P12 P13 P14

P15 P16

こお け る各 出 入 回 の 位 置

目的 地 別 各 出 入 口

表 1 出入ロ

駅 地下 コ ン コ』

関連路操、場所 西武口 (lF)、 南池袋 1丁 目 JR線 券売繊 JR線 中央喘凛 ,□ 東武東上繰、EEI繰 、池袋西ロ 東武東上腺、東武百貨店、池袋西□

JR組 中央改札ロ 丸ノ内線券売機 通F8(東 口方面 )

各 出 入 日の位 置及 び 関 連場所

西武百貨店

東池袋 1、 3、 4丁 目、サンシヤインシテイー方面 丸ノ内線券売機 雨池袋 1丁 目 西馬 ―

(lF),

今 回 の 研 究 で は全 部 で 16の 出入 口 に つ い て 調 査 を 行 っ た。

、路線を図4及 び表■に示す。

西武ロ

西武百貨店 丸ノ内線東口改札ロ 丸ノ内線中央改札ロ

写真

*

AM4:00」 5:00 地上 一 階 の写 真 で あ る。 右 側 の 出入 回は ,今 回 の

調 査 の P13

に 相 当 す る。 左 側 に は 出 入 回 Plが あ る。 また 、左 の シ ャ ツ タ ー の 奥 に は地 下 一 階 と連 結 す る 特 設 階 段 が あ る。

10


Pl

写真

1-B

Pl

AM4:00‐ 5:00

P M3:00-4:00

シ ャ ッ タ ー は西 武 If貨 店 の 出 入 「 I` であ り、 写 真 2-B σ)よ うにフ Ч武 線 の 運 行 開 始 時 1と と も に 隣│け られ る。 こ の 出 入 111に は 地 li一 階 に _L が る階 段 も設 置 され て い る。 │11人「 IPl`であ る。 左 ‖1の

1苫

1)1か ら流 入 した 人 の 流 れ は通 路 中 心 部 に 流 れ る傾 ││∫ が あ る。

11


写真

2-A

写真

2-B

AM4:00-5:00

P2

P M3:00‐ 4:00

JR線 切 符 売 場 で あ る。 切符 を 買 っ た乗 客 の ほ とん どが P3(J IR線 の りば )に 流 出 す る。 こ こ で は 、 路 線 表 示 図 の 所 に 人 が 集 中 して い お。 こ れ は 11分 が行 きた い 駅 ま で の 運 賃 を確 認 す る ため で あ る と思 わ れ る 。 ま た 、 時 に は 切符 を 買 うため に 並 ぶ 人 の 列 が他 の 乗 客 流 れ を妨 害 す る こ と も あ る。

12


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P3

写真

3-B

P3

P M3:00-4:00

乗 降 客 の 一 番 多 い JR線 の 中央 改 札 [コ で あ り、 の りか え が 一 番 激 しい 所 で も あ る。 券 売 機 が近 い た め 、 利 用 客 の 数 も P。 (同 じ中 央 改札 口 )よ り多 い。 特 に 、 通 勤 時 間 帯 及 び 祭 日に は乗 降 客 の 出 入 りが 激 しいた め 、 改札 日 の 数 も 多 く必 要 に な っ て い る 。 従 っ て 、 こ う い う と き に は出 口 及 び 入 日 を そ れぞ れ lFtl別 に 設 置 す る必 要 が あ る。 (つ づ く)

13


:写 真

3-C

AM4:00‐ 5:00

P3 P M3:00‐ 4:00 混 雑 と きに は 、 写 真 3 ―Aの よ うに 専用 人 口 を 設 置 し、 写 真 8-Cの 所 を 専 用 出 日 と して 利 用 して い る。 一 方 、 す い て い る 時 に は写 3- Cの 真 出 人 口 を 出 入 り兼 用 に 利 用 して い る。

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写真

4-

P4

A M4:00‐ 5:00

P M3:00‐ こ の 出 入 日 は 中 央 通 路 の 真 中 に 位 置 して い る 。 左 ‖1に は 地 下 鉄 有 楽 町 線 に 行 く近 道 (オ レンジ Ll― ド)が あ る。 向 こ う 11に は 東 武 東 L線 、 東 武 デ パ ー ト及 び 池 袋 駅 西 日 が あ り、 昼 ‖1に は

JR線 、 東 武 線 な どの 乗 降 客 で 混 雑 して い る。

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写真

5-A

Ps

写真

5-B

P5

AM4:00-5:00

P M3:00‐ 4:00

P4と 同 様 、 中 央 通 路 の 中 心 位 置 に あ る。 そ の 向 こ う償1に は池 袋 駅 西 日 、 東 武 東 上 線 、 丸 ノ 内 線 及 び 東 武 デ バ ー トが あ る。 右 側 に は 北 通 路 に 続 くバ イパ ス (ア ップ ル ロ ー ド)が あ る。

16


AM4:00‐ 5:00

P6

P M3:00-4:00

って 、 乗 降 客 は あ ま りい な い 。 そ の 」 R線 の 中 央 改 札「1で あ りな が ら、 P3と 避 ヽ llll山 の 一つ と して 券 売 機 まで の製 E離 が 違 い た め 、 切符 を 買 った乗 客 が P6よ り距 離 の 近 い P3を 使 っ て い る こ と が考 え られ る。 ●■ ■ P


A M4:00-5:00

写 真 7-B

Pマ

P M3:00‐ 4:00

丸 ノ内 線 の 切 符 売 場 で あ る 。 丸 ノ内 線 を利 用 す る乗 客 だ け が こ こ に や っ て くるた め 、 利 用 客 も少 な い 。

13


写真

8-A

写 真 8-B

AM4:00‐ 5:00

P8 P M3:00‐

4:00

池 袋 駅 東 口及 び 地 下 食 堂 街 に 行 く出 入 口 で あ る。昼 間 に は食 事 に 行 く人 及 び 北 通 路 か ら流 れ て くる乗 降 客 で 混 雑 して い て 、 視 界 が よ くな い 。

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写真

9-A

P8 P M3:00‐ 4:00

西 武 百 貨 店 で あ る。 早 朝 及 び 深 夜 の 営 業 が な い た め 、 利 用 客 は あ る 限 っ た 時 間 帯 に 発 生 す る。 写 真

9-Aに

写 つ て い る バ ン屋 が 主 な 乗 客 流 入 源 で あ る。 バ ン屋 の 隣

に は 上 階 に 上 が る エ レベ ー タが 設 置 さ れ て お り、 断 続 的 な 乗 客 の 流 入 が 見 られ る。

9-B

A M4:00‐ 5:00

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写真


写 真 10-A

写 真 10-B 東 池 袋 1、 3、

Pl口

A M4:00‐ 5:00

Pl口 P M3:00‐ 4:00

4丁 目 、 サ ン シ ャ イン シ テ ィ ー 方 面 に 連 結 す る地 下 通 路 で あ る。

通 勤 時 間 帯 に 利 用 客 が 多 い。 左 側 に は 百 貨 店 が あ り、 昼 ご ろの 通 過 客 も多 い 。

10-Aは

Pl口 か ら見 た 中 央 通 路 で あ る。 正面 に は 丸 ノ内 線 東 口 改 札 回 P15 が あ る。 ま た 、 そ の 向 こ う側 に は P12が あ る。 写真

0ム 0こ


写 真 H―

A

AM4:00-5:00

写 真 H―

B

PH PP llM3:00‐ P M3:00‐ 4:00

丸 ノ 内 線 の 切 符 売 場 で あ る。 普 段 は利 用 客 が 少 な いが 日曜 、 祭 日 に は 都 心 部 に 行 く乗 客 で 混 雑 して い る 。

22


写 真 12-A

写 真 12-B

P12

A M4:00‐ 5:00

P12P12 PM3:00‐ PM3:00‐ 4:00

南 池 袋 1丁 目 と連 結 す る地 下 通 路 で あ る。 地 上 の 明 治 通 りで 信 号 待 ち を す る 時 間 を 節 約 して 地 下 コ ン コ ー ス に 降 りて くる人 の 流 れ が あ る。 出 入 日 の 右 側 に は コ イ ン ロ ッカ ー が あ り、 左 側 に は旅 行 案 内 所 が あ る。

23


i“ 哺饉

写 真 13-A

P13 PM3:00-4:00

写 真 13-B

P13

AM4:00‐ 5:00

朝 の 通 勤 時 間帯 に は 西 武 池袋 線 か ら丸 ノ内 線 に 乗 り換 え る乗 客 で 混 雑 して い る。 写 真 13-Bは P13か ら降 りた 時 に 見 た 駅 コ ン コ ー ス (丸 ノ内 線 東 口 改 札 口方 面 ) で あ る。 ロ ツカ ー と電 話 機 の 間 の 通 路 は Pl口 に 行 く近 道 で あ る。 りと

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写 真 14-A

写 真 14-B

P M3:00‐ 4:00

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P M3:00-4:00

西 武 百 貨 店 地 下 一 階 の 売 場 で あ る。 昼 間 に は 買 い物 客 が 多 い 。 西 武 線 を頻 繁 に 利 用 して い る客 は この 出 入 口 を通 り、 買 い 物 を した あ とす ぐ西 武 線 (南 通 路 に あ る ) に 乗 る こ とが で き る。

25


三 二__二 ⊇

写 真 15-A

写 真 15-

P15

A M4:00-5:00

P15 PM3:00‐ 4:00

駅 コ ン コー スの 中 の 配 置 及び 都 心 部 に 行 く乗 客 しか利 用 しな い た め 、 朝 の 通 勤 時 間 を 除 いて 、 他 の 改 札 口 よ りも乗 降 客 が少 な い 。 電 車 が 駅 に 着 くたび に 乗 客 の 出 入 りが 見 られ る。 写真

15-Bの

左 側 通 路 には P12ヽ

P13か ら流 入 した乗 降 客 で混 雑 して い る。

20


写 真 16-A

P16 A M4:00-5:00

写 真 16-B

P16 P M3:00‐ 4:00

この 出 入 回 はそ の ロ ケ ー シ ョ ン か ら他 の 丸 ノ内 線 改 札 口 よ りも 乗 降 客 が 多 い 。 朝 の 通 勤 時 間 だ けで な く、 他 の 時 間 帯 に も多 く利 用 され て い る。 こ こ か ら流 出 した 乗 客 の 流 れ は 他 の 流 れ と 交 錯 し、 渋 滞 を起 こ す こ とも しば しば あ る。 ↓L

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P16 AM4:00-5:00

写真

写真

16-D

P M3:00-4:00

16-cは P7(丸 ノ 内線 切 符 売 場 )か ら見 た Pl。 で あ る。 切 符 を 買 っ た上

客 は交 錯 す る 人 の 流 れ の 中 を通 っ て 改 札 口 へ 向 か う。

28


実減1調 査では、各出入 回の断面交通量調査及び追跡調査 を行 った。断面交通量調査では各出 入口

(Plか らP16ま で )そ れぞ れにつ いて、その流出者数及び流入者数 を 5分 間ず つカウ

ンターで計測 した。 この 計測調査 は曜 日別 、 時間帯別 にわけて行 い、計瀬1結 果 は表 2に 示 して いる。 駅 コ ンコー スの流れ動線 をより明確 にす るには以上 の断面交通量調査の他 に、各出入 口か ら 流入 した利用客か らある一 定の数 を選んで追跡調査を行 う必要があるが、 今回 の調査 には各出 入 口につ いて、流入者 を 20人 ず つ を無作為 に抽出 し、総計 320人 (木 曜 日はデ パー トの休 業 日にあた るため、 P9と

P14か

ら流入者がいな いため、人数 は金、 日曜 日より少ない)に

つ いて、各 々の流出口を追跡 によって確認 した。 この追跡調査 か ら得 た各 出入回の流出確率 は 断面交通量調査 の結果 とともに表 2に まとめて いる。

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断面交通量 につ いての 計瀬1調 査 と流動追跡調査の結果 (表 2)の 分析か ら、 コ ンコー スの中 の主な流れ動線 (主 動線 )を 想定す る こ とがで きる。表 Pの ような実測 OD表 に基 づ き、 5分 間の間 に Pxか ら流入 した乗降客 の数 Nlの 内 Pjへ 流出 した人数 Nijは 次 の式

(1)に よ

り求め られ る。

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(1)を 用 いて各出入 口か ら流入 した乗降客が どの出入口を使 って流出 したか、 さ らιヽ

流出者 が どの ぐらいあ つたかを計算 で想定で きる。 表 3は 計算で得 た調査結果の分析 の まとめ である。 これ らの分析結果 は現実 において、 どの ぐらい正確であるかを確かめ るには各出入口 それぞれの推定流出者数 と実測流出者数 (断 面交通量調査で得 たもの )の 差 を比べ れば よい。 差の小 さいところの分析結果は差 の大 きいとこ ろの よ りも正確であると言 える。 一方 、各 々の出入 日の推定流出者数 は式

2)

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(2)で 求め られ る。

各 々の 出 入 日 の 推 定 流 出者 数 各 出 入 口 そ れ ぞ れ の 流 出 確 率 に よ る推 定 流 出者数 全 出 入 日 の 流 出 確 率 に よ る流 出 者 の 総 合 数 実 測 で 得 た全 出 入 口 の 流 出 者 の 総 合 数 守f

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調査結果の考察

表 Aは 各出入口それぞれの流出確率 につ いての分析結果であ り、各 々の 出入 口に流出 した流 出者数を示 している。その中 には人数 の少な いところもあれば、人数の多いとこ ろもある。 こ れ らによって作 られ た動線は必ず しも全部が コン コー スの中で他 の流 れ影響 を与 えるとは限 ら な い。人数 の多 い動線 は人数の少ない動線 に影響 を与 え、もしくはそ の 弱 い流れ動線 を吸収 し、 自分 の流れの一 員 とす ることも起 こ りうる。従 って、今回 の研究 にはそ ういう弱 く、周囲 のも のに影響 を与 えるこ とのできな い動線 を無視 し、 100人 以上を有 する流れ動線 を主な動線

(主 動線 )と して調査対象 とす る。各曜 日別、時間帯別 に表 Bに まとめた。

表 Bに まとめた主な動線を図 5の ように図面化す ると、駅 コンコー スの 中 におけ る各主動線 それぞれの流入源 (流 入 した出入 口)か ら流出場所 までの方向をよ り見やす くす る ことがで き る。図 5で は、それぞれの主な流 れ動線の方向を概念的 に把握 できるだけでな く、動線 と動線 との交錯点 を明 らかにす るこ ともで きる。それぞ れの曜日別、時間帯別概念図を比 べ てみ ると、 動線 の方向及 び交錯点の数が異な っている ことがわか つて くる。主動線 の多 く発生す る時間帯 には交錯点 の数 も多 くなる。図で の平行線 は往復す る流れ動線を示 している。

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4-1

調査 の 概要

調査で行われた断面交通量調査及び追跡調査では、ある特定な出入 口か ら流入 した乗客が ど の 出口を通 って流出 したかの流 出確率 を求めているが、その調査結果か らもわか るように、通 勤時間帯 の通勤客 のイ 子動特性が調査結果 に最 も影 響 してお り、朝、昼 、夕 のデー タの中の最大 要因でもある。 通勤客 はみんな毎 日同 じコー スを使 っていて、 自分が行 きたい場所 までに、距離の一 番短 い ルー ト、すなわち、 目的地 に一 番近 い出入 口を選択す る意識が働 いて い る。従 って、平 日にお いての朝 の通勤時間帯か ら得た流 れ方向につ いての調査結果は、ほ とん ど同 じである。通勤客 の少な い日曜日及び祭 日には駅 コ ンコー スの内部で人 の流れ動線 が どの ように変わ って行 くの かを確認 す るため、補 足調査 (歩行軌跡調査 )を 行 つた。 日曜 日につ いての 調査は実:則 調査でも行 ったが、今回 (補 足調査 )は 追 いかけ調査で用 いた 各出入 日の乗降客か ら 20人 つづ を選ぶ という制約条件 をとりやめ、乗 降客 だけでな く、 どの 出入口を選ぶかも無作為 に行 い、乗降客 の行動軌跡図及び流出す る出口を記録 して、 コ ンコー スの中 における乗降客 の動線分布 を探 し出す こ とに した。 この補足調査か らは コンコー スの中における人の流れの密度及び発生 す る確率が想定で きる。 断面交通量 の多 い出入口での流 れの発生率 は交通量の少な い所 よりも高 い。これは人数 が多い ため、他人 と同時 に同 じルー トを使 う人が多 いためである。 調査 を行 ってい る間は、どの 出入日か ら流入 した乗降客でも調査対象 とな りうるが、流人数 の多 い出入 回の者が選ばれる確率 が高い。 これは彼 らが コン コー スの乗降客の中で大 きな割合 を占めて いるか らで ある。従 って、流入量の多 い出入回の近 くに動線が集中 し、混雑 して しま うこ とにな る。 この ような無作為 な選び方は各出入 回の断面交通量 とバ ランスの とれた流れ動線図が得 られ る。補足調査 (歩 イ 子軌跡調査 )か ら得 た結果は図 6(Page50)に

表わ している。

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4-2

各 出入 □別 の軌跡 □

\ 各出入 日か ら流入 した乗降客 の軌跡図 をまとめて見 ると、乗降客は高 い割合で最短経 路 を選 択 して、移動 している こ とが明かにな った。例 えば、出入 Plか ら流入 した客 は P10と P12に 行 く確率 はほとんど 0に 等 しい。も し、地上一 階 の人 々

(Plに 流入す るものも地上一 階 にい

たものである)が P10ま たは P12の 関連す る場所 (東 池袋

1、

3、

4丁 目、サンシ ャイ ンシテ

ィー、南池袋 1丁 目方面 )に 移動す るときは、 Plよ りも P13の ほうがよ り速 く移動で きるた め、 P13を 選ぶ こ とが多 い。 また、 P10と P12の ような幅 の狭 い地下通路を使わな いで直接地 上一 階の西武 日か ら出て、 目的地 に行 くことがで き、わざわざ Plま たは P13を 通 って地下 コ ンコー スを渡 つて行 く必要がな いことが、 Plか らP10ま たは P12に 行 く乗降客が いな いこと の理 由と考 えられ る。従 って、ほとん どの利用者が 、流入 した人口に近 い出口か ら流出す る傾 `

向がある。

図 7-A、 Bか ら図 18-A、 Bま では出入 口 Plか らP16そ れぞれの流入 した乗降客 の軌跡 図 (図 A)及 び各出入口 に向かう人 々の歩行軌跡図 (図 B)で ある。各出入口それぞれの軌跡 図 につ いて考察 を行 う。 図 7は 出入 口 Plか ら流出及び Plに 向か う乗降客 の軌跡図で ある。 まえにも述 べ た ように、

Plか ら流入 したものは調査範囲 の東 口寄 り部分 にはあま り行かな い。 Plの 流入者 は地上一 階のものであるので、 コ ン コー スの東 口寄 りにあ るにある各場所 に行 くには Plよ りも P13の ほうが よ く利用されて いる。

P2に 流入する乗客 の多 くは切符 を買 うため にや つて くる。 ここか ら流出 したものの ほとん どは P3に 流 れて行 く。 (軌 跡図がない) 図 8は 利用客 が多 く、出入 りが一 番激 しい JR線 中央改札 日の歩行軌跡図で ある。乗降客 の 数が多 いため、 ここか ら流れて行 く乗客 の動線 も多 く、行 く場所 も人それぞれ違 って い る。 こ こにや って くる乗降客 の軌跡 も特定 的 なル ー トがな く、いろいろな ところか ら集 まって来 るが、 日曜日で あるため、定期券を持 っている通勤客が少な く、 当日の切符 を求め るために P2(切 符売場 )立 ち寄 って来 た乗客が P2と

P3の 間 に他 の動線 よ り少 し太 い流 れ動線 を形成 して い

る。 51'


図 9と 図 10は それぞれ出入 口 P4と

P5の 乗降客 の歩行軌跡図である。 P4と P5は 中央通

路 の 中間点 に位置 しているため、調査範囲 に含 まれていない中央通路 の西 日寄 りか らの乗 降客 が ここか ら流入 して くる。 この二つ出入口 に流れて来 る乗客動線 は二つのルー トにな っていて、 ここにや って くる乗降客のほとん どは中央通 路 の 中心部を使わな いで、両側 の人の流れ に入 り 込んで 、その流れ の一 部 として流れて来 る傾向がある。 図 Hに 示 しているように、 P6か ら流 入 した者のほとんどが Plと P10に 流出す る。その中 でも Plの ほうが よ り多 く利 用 している。 Plは 西武 口とつなが ってお り、 P16か ら地上に上 がる最短距離であ り、 P10か らでも地上 (特 に池袋駅周辺の中で、最 もにぎやかな東 口方面 ) に上が るこ とがで きるが、地下 にいるという恐怖感及び 混雑 して いる駅 コ ン コー スか らで きる だけ早 くはなれたいという意識が発生 しているため、 P10よ りも Plを 選 ん だと思われ る。

P7の 流出者 は明 らかに P16に 行 くもので、軌跡図はとって いない。 図 12の P8に 関す る軌跡図を見 ると、 P8も Plと 同 じように乗降客の出入 りが激 しい出入 口であ ることが分か らて来 る。 P8か ら流 入 したものはい ろい ろな出口に向か って流れて行 く。 一方 、 P8に や って来 る者 もいろいろな所か ら駅 コンコー スの中に入 って来 た者で形 成 されて いる。 図 13は P10の ものである。

P10は 池袋駅周辺 において、一 番 にぎやかな所 (東 池袋 1、

3、

4丁 目、サンシ ャインシテ

ィー方面 )と 連結 してため、流入 した人 々の数 もかな り多い。 ここか ら入 って来た者は コ ンコ ー ス両 側 の壁 を沿 って駅の深部 に行 く傾向が見 られ る。 ここにやて くる乗降客 も同 じように、 中心部 に行かな いで、両側 に沿 ってや って来 る。 この特性は、特 に、デパ ー トの営業時間以外 の時間帯 に よ く発生 して 'ヽ る。 出入 口 P12に 流入 した者は少な く、 ここにや って くる者も少数である。 流入者が少ない こと の理 由として 、 P12が 地下通 路であ り、人 々は地下 に入 る抵抗感及び階段 を使 うときにおける、 降 りた り上が った りの面倒な動 作 を避 けようとす る本能的な意識が発生 して いたため と思われ る。

51


P13か ら流入 して来 た者 の多 くは西武池袋線か ら丸 ノ内線 に乗 り換 える乗降客であ るため、 日曜 日だけでな く、平 日にも P13と P15の 間 に流れ動線がで きている。特に、朝の通勤時間帯 には P13と P15の 間の 通路が郊外地域か ら都心部に行 く通勤者で混雑 されている。調査か ら得 た日曜 日の乗客軌跡は図 _で 表わ され る。 図 16は P14西 武百貨点か ら流出 した買い物客の歩行軌跡図 と百貨店に行 く者 の歩行軌跡図で ある。大手デ バー トであるため、客 もいろいろな地域か ら電車でや って くるため、デ バー トか ら流出 した客の動線 もいろいろな出 口に向か つて流れて行 く。 図 17は P15に 関す る乗降客 の軌跡 図である。 ここ P15は 出入 口 P13と 一番深 いかかわ りを持 っている出入口であ る。 ここか ら流入 した者 の 多 くは P13を 通 じて 、地上 に上が る。同様に、 P13か らコ ンコー スに入 った者の多 くは P15 (地 下鉄丸 ノ内線 )を 利用 して都 ′ い部 に行 く。特 に、通勤時間帯 には乗降客 の歩行動線 が限定

され、それぞれがは っき り見 られ るようにな る。一方 、 P10を 通 って東 口に出 られ るため、 P 10に 流出す る者 も多い。

図 18は 出入口

(P16)の 乗降客 の 歩行軌跡図である。地下 コン コー スの中心位置 に配置 され

てい るため、 この 丸 ノ内線中央改本L口

(P16)は 他 の丸 ノ内線の改札口よ りも、よ く利用され

てい る。流入者 のほとん どは距離 の 近 い Plを 通 って、地上一 階 に上が って行 く。人 々は地下 にいるにおける不安及び恐怖感が感 じ、で きるだけ早め に地上に上が りたいため、 Plに 向か って流 れて行 くと考 え られ る。 ここに来 る者の多 くは Plか らの乗降客で、特 に西武線 の利用 者で もある者も多 い。 P7(切 符売場 )か らの者 もいる。 P16と いう出入口は他 の 出入口と違 って、二つの方向 に流出 することがで きる。 P7に 面 している所 には、出口 (丸 ノ内線 にとっ て人 口である)し か設置 されていな いため、 P16か らコ ンコー スに流入す る乗降客は反対側 の 出入 口を利用 している。

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従来か ら、安全で快適な動線計画 を提供す るために、今回の池袋駅 コンコー スの様な、一 時 的 に利用者が集中す る場所 における数 々の研究が行われて来 た。 さて、今 回 の調査 の 目的は乗降客 の 歩行動線 をよ り正確 に把握す るためのものであ った。 つ ま り、池袋駅の地下コン コー ス内部 における乗降客 の行動軌跡 を追跡調査で収集・ 分析 し、駅 構内の主動線の流れと、 そ れぞれが交差す る地点 を明かに した。

調査対象 とな る中央通路は駅の東西 を結ぶ通路 は各路線の乗降客 だけでな く、地域住民 も不1 用す るため、一 日中利用客で混雑 して いる。 また、歩行軌跡のサ ンブル数はそれぞれの出入 口 における断面交通量 の多少 に よって異な っている。そのため、通過人数の多 い出入口では、数 多 く軌 跡が収集でき、逆 に交通量 の 少 ない出入 り口では、調査対象 となる者が他の出入 口と比 べて数少 くな りあま り収集できない。

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歩行軌跡 を図面化 した軌 跡図か ら以下 の ような検討 を行 った。特 に移動距離 の長 さや歩行空 間 の広さ等 か ら歩行行動が どの様にイ 子われたか を説明す る。全体か ら明かな様 に乗降客 の軌跡 は、入 口か ら出口までの移動距離 の 長短 、及び時間帯 の二 つの要因 に よって大 き く影響 を受 け ている。 また、距離の長短 に つ いて前述 した ように、人間は地下 に不安感 を持ち 、地 下 に残留 す る時 間をで きるだけ減少 し、早めに地上 にあが ろうとす る特性がある。従 って、人 々は 自分 か ら離 れている出入 口よりも、近 い出口を選び 、最短経路 を選択する傾 向が強 くな るこ とが明かにな った。

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図 19。 図

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Bか ら図 21-A・ Bは 中央通路の中 間点である出入 口 P4と

P5か ら流入 し

て きた利用 者が、出入 口 P10が 配置 されている東 口方 面 にゆ く軌跡図 と、 P10か ら入 つた者が 中央通路の中 央付近 に行 くときの軌跡 図を三 つの 時間帯別にわけてい るものであ る。 P10ま た は P4ゝ

P5の 利用者 の軌跡 の時系列変化 を比 べ てみ ると次 の二つのこ とが、 明か にな った。

(1)両 者 ともコン コー ス両側 の壁面 に近 い所 を歩 行空間として利用 している。 ‐

(2)人 間 の行動特性で ある左側通 過 が発生 して い る。例えば、 P10を 目的地点 に している 人間の場合の様 にコンコー スの最初 の段階で左の壁 づ たいに移動す るこ とが確認 され ている。

図 22・

23・ 24に つ いて

図22,23,,24は 中央通路の 中央 におけ る乗 降客 の移動軌跡 図である。時間変動 もな く、 また は つ きりと確認で きる動線 もない。

全 体か らいえることは、 しば しば、池袋駅 と同 じような地下 コ ン コー スにおいて、

人 々は地

下 にいるこ とに対する恐怖感や不安感 をもつ ため、 よ り早 くコン コー スか ら離れ、地上に上が って行 きたい と思 っている。一 時的 に群集が集 ま り混雑 している 状況 を改善するためには、

降客達 に、 よ り充実 した情報の提供や 、 よ り安全で快適な動線計画 を行 うこ とが必 要であろう。 サ インにつ いて コンコー スにおいて、サ インが歩行者 の行動 の決定要因 とな つて いることが多 く、共通性 。 同一 性があ り、かつ体系 だ ったサ イン計画が望 まれて いる。写真 17、 18に もわか るように、池 袋駅 コンコー スに改札 口前 を除 いて、ほ とん どの場所 では適切なサ インや案内な どが不足 して いるため、利用客 が無秩序 な歩行行動 を行 っている こ とが軌跡図で読 み取れ る。 その上、 コ ン コー スの中には数多 く柱 が設置されて お り、混雑 をまねいているだけでな く、 混雑 しているときには、視界の じゃまにもな ってい る。 これは、特 に安全計画 において、大変 危 険であるので、 より厳密な考慮が必要 であろう。 し Э


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前述 したように、コンコー スには改本L口 前を除いてサ インが少な い。さらに、柱 の多さがめ た つている。

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今回 の乗降客 の流動調査を行 った池 袋駅 は、利用客 が多 く、乗降客の乗 り換えが激 し く、 し かも乗降客 の歩行空間が地下に配置 されている。 こ うした駅 のコンコー ス内部における乗降客 の動線計画 を設計す るには、人 々の行動特性、地下にいる時に起 きる恐怖 感及び人間 の環境変 化 に対す る本 能的な反応 につ いて、 よ り深 く考慮 しなければな らな くな ってきている。 設計者達が コンコ∵ ス内部の乗 降客 の流れ動線 をよ リスム ーズに操作す る為には、人間 の行 動特性や環境変化に対す る本能的な反応 につ いての知識 を持 っていなければな らな い。 コンコ ー ス内部 の乗降客 にとって安全で 、快適な歩行空間 にな るように、設計者達は出入 回の配置計 画 の他 に、統 一 したサ イン (特 に、電車路線 の多 い駅 コン コー スに共通的 、同一 的なものが望 ましい)の 設置計画及び地下の照明、音響計画 にもよ り厳密な要求が必要 とな って いる。 その上 、地 下 コン コー スの設計 に 当た って、よ り高い天丼 の設置 に よ って、乗 降客 に快適な 行動空間 を与 え、か つ 、コンコー スの下 に地下鉄駅が設置されている所 において、地下鉄の到 着 と発車 の 際 に発生す るビス トン効果 を制 御するこ とにも役立 つ だろう。 今後 、 コ ン コー スにおけるスムーズな人間流動を実現 してい くため には、既存 の コ ン コー ス の 中の 出人 口の入れ替 えを行 うこ とによ って、利用 者が移動 の際 、他 の利用者 と衝突す る回数 や動線 の複雑 さを改善 してい くこ とがで きると思 われ る。 従 って、駅 とコン コー スがつなが った様な複合施設 に おいては、今後 ます ます行 動科学的な アプ ロー チで計画を立案 してい く必要があ るだろう。

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著者

出版者

出版年

1

盛 り場、池 袋 の魅力

牛窪

2

歩行 の科学

阿久津邦男

不味堂新書

3

流れ

東京大学公開講座

東京大学出版

4

人間行動の分析 に おける確 率 モデル

竹内

数理科学 2月 号

5

人間行動の心理

木村忠雄ほか 4名

6

多方面群集流動におけ る

高泉

交錯点の解消モデル

7

浩 、奥 田道大

豊 ほか 2名

高泉

豊 ほか 2名

交錯点 の解消 モデル 2

8

空間 と人間行動

1975 1978

1974

1981

福村出版

日本建築学会

1979

講演梗概集

1

多方面群集流動におけ る

1985

時潮社

日本建築学会

1979

講演梗概集

渡辺仁史

新建築学大系 環境心理

1982

(H)

渡辺研究室の諸先輩 の論文集

75


乗降客 の動線調査は池袋駅地下 コ ン コー ス内部 における乗降客の歩行動線 を明確 し、 コ ンコ ー スの中の乗 降客 の流れの形成及び発生す る原 因が乗降客それぞれ の行動特 性 と人間の環境変 化 に対す る本能的な反応、特 に地下 にい る恐怖感 を感 じる ことによ って左右 されている こ とが 分か って来 た。 よ り正確 的な現状を把握す るために、補足調査 も行 った。 今回の研究 の調査及び論文 のまとめ に 当た つて、渡辺仁史先生 を始め、渡 辺研究室 の諸先輩 及び 日本語学校 の友人か ら、多 くの協力及び 助言 を頂 いたことを、心か ら感謝致 します。

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