オヴニー・パ リの 新聞
毎月 1 日・15 日発行
N°
860
1eroctobre 2018
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© Photo André Perlstein Collection privée
イヴ・サンローラン、東洋の夢。
夏
から軒並みジャポニスムのパリ… と思いきや、ひと味ちがう展覧会が 始まる。 「サンローランが夢見たア ジア」― 1年前に開館したイヴ・サンローラ ン美術館が催す最初の企画展だ。インド・ 中国・日本の衣服と文化は、フランス的エレ ガンスを象徴するこの天才デザイナーのイマ ジネーションを大いに刺激した。 アルジェリアのオランで生まれ、子ども時
代を過ごしたサンローラン。東洋的なものに 敏感で、インドの衣装や装飾品を早くからコ レクションに取り入れた。しかしインドには 生涯、足を踏み入れず、書籍や蒐集した美 術品から想像力を膨らませた。中国も北京を 一度訪れただけ…プルーストの小説に出てく る描写や京劇、オーソン・ウェルズの映画『上 海から来た女』などに触発されて自由奔放に、 自分が夢想する「中国」を1977年のコレク
ションと香水「オピウム」で表現した。 サンローランは西洋の因襲的な美の基準を くつがえし、黒人やアジア人のモデルを最初に 起用したデザイナーのひとりでもある。スモー キングやマハラージャの衣装など男装をとり入 れて、ジェンダーの枠も軽々と越えた。世界 各地の伝統的衣服・装飾品をもとにモダンな 創作を生み出した過程には、異国趣味を超 えた他文化への情熱が見てとれる。 (飛)