オヴニー・パ リの 新聞
毎月 1 日・15 日発行
916
15 mai 2021
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ノール = パ・ド・カレー地方
オービュッソン、 宮崎駿を織る。
N°
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よみがえる産業遺産。
© Jean – Michel André – Mission Bassin Minier
パ
リから北に向かう電車に乗って1時間
をもたらし、この地方では見られなかった植物
需と戦後復興の原動力となった石炭。国をあげ
ほどすると、そこかしこに黒っぽい山
がボタ山に芽を吹いた。人が手を加えずに動植
て石炭増産が謳われ、炭鉱労働者が英雄と讃 えられた時代があった。北フランスの「Bassin
が見えてくる。炭鉱から出た土や石を
物が生態系を形成した山もあれば、人が種を蒔
積んだ「ボタ山(terrilテリ)」だ。不毛なものと
いたり植樹した山もあり、今ではワイン造りも行
minier」と呼ばれる炭鉱地域は、そうして2世
ばかり思っていたが、そうでもないらしい。炭鉱
われている。ほかにも、遊歩道や頂上の展望台
紀半にわたって国の産業を支えた。この地方最
閉鎖後しばらくすると、コケが生え、虫やカエル、 が整備されたり、ボタ山ランニング、傾斜を利
後の炭鉱閉山から30年。今ではユネスコの世界
ウサギなどが生息するようになり、人工照明の
用したスキーなど、レジャーに再活用されている。 遺産に登録された炭鉱跡地に、さまざまな形で
光害のない山にやってきた鳥たちは遠くから種子
19世紀フランスの産業革命、二度の大戦の軍
新しい生命が息づいている。 (六)